説明

ヒートシール装置及び充填封緘システム

【課題】容器を確実に、かつ封緘強度のばらつきを抑えて封緘できるヒートシール装置及び充填封緘システムを提供すること。
【解決手段】容器100の開口端部101を覆う薄膜110を挟んで開口端部101に対向して配置されるとともに薄膜110を加熱可能な押圧部材20と、押圧部材20を介して薄膜110を開口端部101へ押圧する加圧部30と、を備えるヒートシール装置10であって、加圧部30は、押圧部材20を開口端部101に向かって進退駆動させる進退駆動部35と、進退駆動部35と押圧部材20とのそれぞれに連結され、進退駆動部35と押圧部材20との間で伸縮し、押圧部材20を開口端部101の側へ押圧する圧力調整部40と、圧力調整部40に接続され、押圧部材20が薄膜110を開口端部101へ押圧するときの押圧力を一定に制御する制御部46と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシール装置及び充填封緘システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリン、アイスクリームなどのデザート類や、ヨーグルトなどの食品は、プラスチック、紙、あるいはこれらの積層体からなる容器の内部に充填された後、容器の開口が薄膜で封緘されて流通することが多い。
このように容器の開口を封緘する装置として、エアーシリンダを用いて容器の開口端部に薄膜を押し付けるとともに薄膜と開口端部とが押し付けられた状態で薄膜を加熱し軟化させて、容器を封緘するシール装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−68139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エアーシリンダは、エアーシリンダに送り込まれる空気の圧力が工場におけるエアーの使用量の変化などの要因により変動したり、エアーシリンダに送り込まれた空気が外部に漏れたりする場合がある。これらの場合に、エアーシリンダが伸縮する量及び伸縮に要する時間がエアーシリンダの動作ごとにばらつくことがある。
特許文献1のシール装置では、このようにエアーシリンダの動作がばらつくことで容器の開口端部に薄膜を押し付ける圧力と時間とがばらつくことがある。このため、容器の開口端部を封緘する封緘強度が不足する場合があり、この場合に衛生面から要求される封緘強度の基準を満たさないおそれがある。
【0005】
さらに、特許文献1に記載のシール装置を用いてすべての容器に対して十分な封緘強度で容器を封緘するためには、封緘強度が最も低くなる場合を想定して、容器の開口端部へ薄膜を押し付ける押圧力を封緘強度の平均値が高くなるように設定する必要がある。このため、封緘強度が相対的に高い容器の開封が困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は容器を確実に、かつ封緘強度のばらつきを抑えて封緘できるヒートシール装置及び充填封緘システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のヒートシール装置は、容器の開口端部を覆う薄膜を挟んで前記開口端部に対向して配置されるとともに前記薄膜を加熱可能な押圧部材と、前記押圧部材を介して前記薄膜を前記開口端部へ押圧する加圧部と、を備えるヒートシール装置であって、前記加圧部は、前記押圧部材を前記開口端部に向かって進退駆動させる進退駆動部と、前記進退駆動部と前記押圧部材とのそれぞれに連結され、前記進退駆動部と前記押圧部材との間で伸縮し、前記押圧部材を前記開口端部の側へ押圧する圧力調整部と、前記圧力調整部に接続され、前記押圧部材が前記薄膜を前記開口端部へ前記押圧するときの押圧力を一定に制御する制御部と、を有する。
【0008】
また、前記圧力調整部は、前記進退駆動部と前記押圧部材とのいずれか一方に前記連結されるとともに流体を圧入するための圧力室が内部に形成されたシリンダ本体と、前記進退駆動部と前記押圧部材との他方に前記連結されるとともに前記圧力室の内部まで延びて設けられたピストンと、を有する流体圧シリンダを備え、前記制御部は、前記圧力室の内部の前記流体の圧力が一定になるように前記圧力室に前記流体を前記圧入する量を制御することが好ましい。
【0009】
また、前記進退駆動部は、回転動作するクランクと、前記クランクの回転中心から偏心して前記クランクに固定された連結部と、を備え、前記連結部は前記圧力調整部に前記連結されていることが好ましい。
【0010】
また、前記進退駆動部は、前記クランクに接続されたモーターと、前記モーターの回転速度を制御するための回転速度制御手段と、を備え、前記回転速度制御手段は、前記クランクを一周ごとに間欠駆動させるとともに前記一周の間の前記クランクの角速度を一定にするように前記モーターを制御することが好ましい。
【0011】
本発明の充填封緘システムは、容器の内部に被充填物を充填し、被充填物が充填された前記容器の開口端部に薄膜を配置して容器を封緘する充填封緘システムであって、本発明のヒートシール装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のヒートシール装置及び充填封緘システムによれば、薄膜を容器の開口端部に押圧する押圧力を一定に制御することで容器ごとの封緘強度のばらつきを抑えることができ、容器を確実に、かつ封緘強度のばらつきを抑えて封緘できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の充填封緘システムの概略構成を示す正面図である。
【図2】同充填封緘システムの封緘装置の動作を説明する動作説明図である。
【図3】同充填封緘システムにおけるヒートシール装置を示す正面図である。
【図4】同ヒートシール装置の使用時の動作を示す正面図である。
【図5】同実施形態の充填封緘システムと従来のシール装置を備える充填機とをそれぞれ用いて容器を封緘した実験の結果を示すグラフで、(A)は薄膜の温度変化を経時的に示すグラフ、(B)は薄膜への押圧力を経時的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態のヒートシール装置及び充填封緘システムについて説明する。図1は、本実施形態の充填封緘システムの概略構成を示す正面図である。また、図2は、充填封緘システムの封緘装置の動作を説明する動作説明図である。また、図3は、充填封緘システムにおけるヒートシール装置を示す正面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、充填封緘システム1は、例えばプリン、アイスクリームなどのデザート類や、ヨーグルトなどの食品を被充填物として容器100に充填し、その後に容器100を封緘するシステムである。
図2に示すように、充填封緘システム1によって封緘された容器100(容器100a)には、接着層を有する薄膜111が密着している。薄膜111は、シート状の薄膜110が容器100の開口端部101の外周に沿って切り抜かれて形成されている。
【0016】
充填封緘システム1の概略構成は、容器100が収容されるマガジン2と、後述する搬送装置6にマガジン2から容器100を供給するとともに容器100の内部に被充填物を充填する供給充填装置3と、容器100を封緘する封緘装置4と、封緘装置4によって封緘された容器100を搬出する搬出装置5と、容器100を支持するための支持孔が形成されたリテーナー6aによって、供給充填装置3、封緘装置4及び搬出装置5へこの順に容器100を搬送する搬送装置6と、充填封緘システム1に対してユーザの操作を入力するための操作パネル7とをフレームFに備えている。
本実施形態では、供給充填装置3、封緘装置4及び搬出装置5はそれぞれフレームFに支持されてリテーナー6aの軌道方向にこの順に一列に配置されている。
【0017】
供給充填装置3は、複数の容器100をマガジン2から取り出して搬送装置6のリテーナー6aにセットし、リテーナー6aにセットされた容器100に例えばノズルを通じて被充填物の流動体を注入して被充填物を充填するようになっている。
【0018】
封緘装置4は、供給充填装置3において被充填物が充填された容器100に対して容器100の開口端部101へ薄膜110を配置する薄膜供給装置8と、開口端部101に配置された薄膜110を容器100に熱圧着させるヒートシール装置10と、開口端部101の外周に沿って薄膜110を切断して薄膜111を形成する薄膜切断装置9とを備えている。
【0019】
薄膜供給装置8は、帯状の薄膜110がロール状に巻かれた状態でセットされた供給部8aと、薄膜切断装置9によって薄膜111が形成された後に薄膜111以外の薄膜110を巻き取って回収する回収部8bとを有している。
【0020】
搬出装置5は、薄膜111によって封緘された容器100(容器100a)を、例えば品質検査装置や箱詰め装置などへ搬送するために、他のリテーナーやコンベアなどに移載するものである。なお、搬出装置5は、容器100aに対して、製造日等を印字したり、薄膜111が開口端部101から径方向外側に延びた外周部分を織り込んだりするなど、容器100が封緘された後に容器100や薄膜111に対して加工を行うための適宜の装置を備えることができる。
【0021】
搬送装置6は、供給充填装置3と搬出装置5との間でリテーナー6aを周回軌道に沿って移動させる図示しないチェーンベルトと、チェーンベルトを移動させる駆動部6bを有している。搬送装置6は、リテーナー6aを間欠的に走行させるようになっており、例えば、2秒間停止し、0.9秒間移動するというサイクルで容器100を搬送する。
【0022】
以下では、本実施形態のヒートシール装置10の構成について図3を参照して説明する。
図3に示すように、ヒートシール装置10は、リテーナー6aにセットされた容器100の開口端部101に対して対向するように配置された押圧部材20と、押圧部材20に接続された加圧部30とを有している。
【0023】
押圧部材20は、容器100に近い側の端部に配置されたシール板21と、シール板21に固定されたヒーター22と、ヒーター22に固定されているとともに加圧部30の後述するピストン43に連結された棒部材23とを有する。
【0024】
シール板21は、容器100に近い側に薄膜110に接触するための接触面21aが設けられた板状部材であり、シール板21の大きさは、容器100の開口の径よりも大きい。シール板21の形状は、本実施形態では容器100の開口端部101を覆う例えば円板状に形成されている。また、シール板21は、容器100の開口端部101に薄膜110を介して接触するようになっている。
【0025】
シール板21における接触面21aの形状は、容器100の開口端部101を覆う平面状(所謂ベタシール)である。好ましくは、接触面21aの形状は、開口端部101の形状に沿う輪郭形状を有する平面状である。例えば、容器100が円形の開口端部101を有する場合には、接触面21aの輪郭形状は、開口端部101と同じか、あるいは開口端部101よりも径方向外側に広い円形であることが好ましい。また、接触面21aの中央あるいは中央近傍の領域で開口端部よりも径方向内側に位置する範囲には、接触面21aに垂直な方向に延びて形成された凹部あるいは貫通孔を有していてもよく、あるいは接触面21aは所謂ドーナツ状の形状を有していてもよい。なお、容器100の開口端部101の形状が例えば四角形状あるいはその他多角形状である場合には、接触面21aの形状は開口端部101の形状に応じて例えば四角形状その他多角形状に形成されていてもよい。
また、接触面21aの形状は、上述のベタシール以外でもよく、例えば開口端部101に沿って円環状その他環状に延びる細い帯状の所謂ラインシールであってもよい。
【0026】
ヒーター22は、例えば電力によって加熱されてシール板21を加熱するものである。本実施形態では、ヒーター22は図示しない温度制御手段によってシール板21を一定の温度に保持することができる。本実施形態のヒーター22は、シール板21を例えば160℃に加熱して保持するようになっている。
【0027】
棒部材23は、一端がシール板21及びヒーター22に固定されているとともに、加圧部30の下端に設けられた連結部43aに他端が連結されている。棒部材23には、容器100の開口端部101に配置された薄膜110を開口端部101に押し付けるための押圧力が加圧部30から伝達されるようになっている。
【0028】
加圧部30は、押圧部材20を上下方向に進退駆動させることで、リテーナー6aにセットされてシール板21の真下に搬送された容器100の開口端部101にシール板21を突き当てる進退駆動部35と、進退駆動部35と押圧部材20とのそれぞれに連結され、容器100の開口端部101にシール板21を突き当てる押圧力を調整する圧力調整部40と、圧力調整部40に接続管路45を介して接続された制御部46とを備える。
進退駆動部35は、回転動作するクランク32と、クランク32の回転中心から偏心した位置に固定された連結部33とを備えている。
クランク32は、回転中心から径方向に延びる円盤状に形成されている。連結部33には、圧力調整部40の上端の連結棒が連結部33に対して自在に回動するように連結されている。
【0029】
さらに、進退駆動部35は、クランク32に接続されたモーター31と、モーター31の回転速度を制御するためのインバーター回路31aと、を備えている。
モーター31としては適宜の交流電動機を採用することができ、例えば三相交流電動機を採用することができる。また、インバーター回路31aは、モーター31に対して通電させる交流電流の周波数を変化させることでモーター31の回転速度を変化させるようになっている。本実施形態では、インバーター回路31aは、クランク32を一周ごとに間欠駆動させ、クランク32の上死点に連結部33が位置しているときを0度として、0度の位置でクランク32を一旦停止させつつクランク32を図3において反時計回りの一方向に回転させる。さらに、クランク32が0度から360度まで回転するときのクランク32の角速度は、設定値に基づいて一定の速度となるようにインバーター回路31aに設定されている。
【0030】
圧力調整部40は、クランク32の連結部33に一端が連結された連結棒41を有するシリンダ本体42と、押圧部材20の棒部材23に連結部43aにおいて一端が連結されるとともに他端がシリンダ本体42の内部に延びて設けられたピストン43とを備えている、シリンダ本体42とピストン43とが組み合わせられてエアーシリンダが構成されている。
【0031】
シリンダ本体42は、筒状に形成されており、クランク32の側の端部に開口している凹形状を有し、シリンダ本体42の開口は蓋体42aが取り付けられて閉じられている。また、シリンダ本体42には、シリンダ本体42の内部に連通する流体流路44aが形成されている。流体流路44aは、接続管路45を介して制御部46に接続されている。
【0032】
制御部46は、接続管路45を通じてシリンダ本体42の内部へ空気を送る送気部46aと、シリンダ本体42から制御部46に至るまでの間で空気が流通する流路の一部に設けられて空気を外部から出入りさせる開閉弁46bと、シリンダ本体42の内部の圧力を検出する圧力検出部46cと、を有している。
シリンダ本体42とピストン43との間には、送気部46aによって空気が圧入されて容積が変化する圧力室44が形成されている。
【0033】
また、加圧部30には、進退駆動部35及び圧力調整部40が押圧部材20を進退させる方向を容器100に向けて案内しつつ加圧部30をフレームFに支持する案内支持部50が設けられている。
案内支持部50は、押圧部材20の棒部材23に固定された固定部材51と、固定部材51に一端が固定されて上方に延びる案内部材52と、案内部材52が挿通されて案内部材52が自在に直線動作するように案内部材52を支持する支持本体54とを有している。なお、必要に応じて、案内部材52と支持本体54との間に付勢部材53を介在させてもよく、この場合には、押圧部材20及び加圧部30の重量を付勢部材53の付勢力によって支えることができるので、押圧部材20を上方へ引き上げるためのモーター31の出力を低減することができる。
【0034】
以上に説明した構成の、本実施形態の充填封緘システム1及びヒートシール装置10の使用時の動作について、ヒートシール装置10の動作を中心に説明する。なお、本実施形態の充填封緘システム1は、搬送装置6が複数の容器100を間欠供給するものであるが、以下ではひとつの容器100に注目して充填封緘システム1の動作を説明する。図4は、ヒートシール装置10の使用時の動作を説明するための正面図である。
【0035】
まず、図1に示す充填封緘システム1が始動されると、マガジン2から搬送装置6のリテーナー6aに供給充填装置3によって容器100がセットされ、さらに容器100の内部に被充填物が充填される。容器100の内部に被充填物が充填された後、リテーナー6aにセットされた容器100は供給充填装置3から封緘装置4まで搬送装置6によって搬送される。
【0036】
図1及び図2に示すように、容器100が封緘装置4まで搬送されたら、まず薄膜供給装置8の供給部8aが、容器100の開口端部101に薄膜110を配置する。続いて、薄膜110が配置された状態の容器100は供給部8aからヒートシール装置10へ搬送装置6によってさらに搬送される。
【0037】
ヒートシール装置10は、シール板21の下方に容器100が搬送されるまで、図3に示すように進退駆動部35のクランク32に固定された連結部33が上死点にある状態で待機している。このとき、シール板21は、容器100との間に隙間(隙間d)を空けて停止している。また、制御部46には、シール板21を薄膜110に押し付ける力の大きさの設定値(以下「圧力設定値」と称する。)が、例えば使用者による入力操作などによって設定されている。
このとき、圧力調整部40では、圧力室44の容積が最大になるまで圧力室44の内部に空気が圧入されて最大まで伸長された状態で停止している。本実施形態では、圧力調整部40が最大まで伸長された状態は、シリンダ本体42からピストン43の軸部分が長さL1だけ突出している状態である。また、圧力室44の内部の空気圧は、圧力設定値と等しくなるように調整されている。
また、押圧部材20のヒーター22は、薄膜110の接着層を軟化させるのに十分な温度(例えば160℃)に加熱された状態でシール板21を保温している。
【0038】
図1に示す搬送装置6がリテーナー6aによって図3に示すシール板21の下方に容器100を搬送したら、モーター31を駆動する駆動電力の供給をインバーター回路31aが開始し、モーター31が回転してクランク32を回転させる。
図3及び図4に示すように、クランク32が回転すると、クランク32の連結部33はクランク32の軸周りに回転しつつ下方に移動し、連結部33に連結された圧力調整部40と圧力調整部40に連結された押圧部材20とは案内支持部50に支持されつつ容器100に向かって下方向に移動する。
すると、クランク32が角度Xだけ回転動作した位置において、容器100の開口端部101との間に薄膜110を挟み込むように、押圧部材20に設けられたシール板21の接触面21aが薄膜110に接触する。
【0039】
クランク32は角度Xからさらに回転し、クランク32の連結部33はさらに下方へ移動する。すると、圧力調整部40がさらに下方へ移動し、圧力調整部40で発生した圧力を押圧部材20に伝達することにより、シール板21が、開口端部101に薄膜110を押圧する。シール板21は加熱状態で保温されているので、シール板21の熱が薄膜110に伝わり、薄膜110に形成された接着層の軟化が始まる。
【0040】
また、シール板21が薄膜110を押圧する圧力は、圧力調整部40に設けられた圧力室44の内部の空気にも等しく伝わっている。圧力検出部46cは、シール板21が容器100の開口端部101に薄膜110を押圧する押圧力を、圧力室44の内部の空気圧を検出することによって検出している。
【0041】
圧力検知部46cで検知される圧力の大きさが制御部46に設定された圧力設定値になるように送気部46a及び開閉弁46bが制御されることにより、圧力室44の内部の空気圧は一定に保たれている。クランク32が角度Xから下死点まで回転する間に、クランク32は、連結部33を介して下方向の駆動力を圧力調整部40に伝達する。このとき、圧力調整部40のピストン43には、圧力室44の容積を小さくする方向の力がクランク32の側から伝達され、圧力室44の内部の空気が圧縮される。すると、圧力検出部46cで検出される圧力の大きさが大きくなり、クランク32が角度Xから下死点まで回転する間、圧力検出部46cで検出される圧力の大きさは開閉弁46bが開動作することにより制御部46に設定された圧力設定値に維持される。
【0042】
クランク32が角度Xからさらに回転動作して、連結部33がさらに下方に移動すると、圧力調整部40における圧力室44は例えば角度θ1で容積が減少し始める。クランク32の連結部33が角度θ1から下死点まで移動する間、制御部46は、圧力検出部46cが検出した圧力値が圧力設定値を超える場合には開閉弁46bを開動作させ、圧力検出部46cが検出した圧力値が圧力設定値以下にある場合には開閉弁46bを閉動作させる。
なお、圧力室44の内部の空気圧が設定値を下回った場合は送気部46aを駆動させて圧力室44の内部に空気を送って空気圧を制御してもよい。
【0043】
このとき、開閉弁46bが開動作されている間は、圧力室44の内部の空気は開閉弁46bを通じて外部へ移動する。したがって、圧力室44の内部の空気圧は開閉弁46bが開閉動作することによって圧力設定値と等しく調整されている。また、これにより圧力室44の容積は小さくなり、連結部33と押圧部材20との間の長さが短くなる方向に圧力調整部40は収縮動作する。連結部33がクランク32の下死点にあるときには、シリンダ本体42からピストン43の軸部分が長さL1よりも短い長さL2だけ突出している状態になっている。
【0044】
クランク32がさらに回転動作すると、クランク32の下死点を通過して上死点に向かって連結部33が移動し、連結部33の移動方向は下方向から上方向へ反転する。すると、連結部33に連結された圧力調整部40と圧力調整部40に連結された押圧部材20とが、連結部33によって上方向に牽引される。
【0045】
すると、圧力調整部40では、圧力室44の容積が大きくなる方向へピストン43に対してシリンダ本体42が牽引されるため、圧力室44の内部の空気が膨張する。
このとき、制御部46では、圧力室44の内部の空気圧を圧力検出部46cが検出しているので、圧力室44の内部の空気圧が圧力設定値以下まで低下すると、圧力検出部46cは、圧力室44の内部の圧力が圧力設定値以下であることを検知する。
すなわち、ピストン43に対してシリンダ本体42が上方向へ牽引されると、シール板21が薄膜110を押圧する押圧力が圧力設定値以下になったことが圧力検出部46cによって検知される。
すると、制御部46は、開閉弁46bを閉動作させるとともに送気部46aを駆動させて圧力室44の内部に空気を送る。圧力室44の内部の空気圧が圧力設定値を超えた場合には、送気部46aの駆動を停止させる。
なお、圧力室44の内部の空気圧が圧力設定値を超えた場合には開閉弁46bを開動作させて空気圧を制御してもよい。
【0046】
このように、制御部46は、送気部46aが空気を圧力室44に圧入することで、圧力室44の容積が大きくなることに伴う圧力室44の内部における空気圧の減少を相殺して、圧力室44の内部の空気圧を圧力設定値と等しく調整している。
また、これにより圧力室44の容積は大きくなり、連結部33と押圧部材20との間の長さが長くなる方向に圧力調整部40は伸長動作する。
クランク32がさらに回転動作して、連結部33がさらに上方に移動すると、圧力調整部40における圧力室44は例えば角度θ2で容積が最大となり、圧力調整部40は収縮前と等しく最大に伸長された状態になる。
【0047】
このように、クランク32が回転動作する角度θ1から角度θ2の間では、シール板21が容器100の開口端部101に薄膜110を押圧する押圧力は圧力設定値と等しく一定に調整されている。
クランク32が角度θ2からさらに回転動作して角度Yになったところで、シール板21は薄膜110から離間し、シール板21による薄膜110の押圧は終了する。
【0048】
クランク32が角度θ2を超えて360度までさらに回転するのにしたがって、圧力調整部40の全体が上方向に移動されて、押圧部材20のシール板21は薄膜110から離間する。クランク32が角度360度に到達すると、インバーター回路31aはモーター31への駆動電力の供給を停止し、モーター31の回転を停止させる。
【0049】
このように、ヒートシール装置10は、容器100の開口端部101に対して薄膜110を加熱状態で押圧し、薄膜110は、容器100の開口端部101に熱圧着される。その結果、容器100は薄膜110によって封緘される。
以上でヒートシール装置10の動作が終了する。
【0050】
薄膜110によって封緘された容器100は、リテーナー6aにセットされたまま図1に示す搬送装置6によってヒートシール装置10から薄膜切断装置9へ搬送される。
薄膜切断装置9は、図2に示すように薄膜110によって封緘された容器100の開口端部101の輪郭に沿って隙間を残しつつ開口端部101の外周を切断して、薄膜110を薄膜111として切り分ける。薄膜切断装置9が薄膜110を切断したら、薄膜供給装置8の回収部8bは薄膜111以外の部分の薄膜110を回収する。さらに、薄膜110によって封緘された容器100を搬送装置6が搬出装置5へ搬送して、搬出装置5は図示しない他のリテーナーあるいはコンベアに容器100を移載する。
以上で充填封緘システム1が容器100へ被充填物を充填し容器100を封緘する動作が終了する。
【0051】
以下では、本実施形態のヒートシール装置10を搭載する充填封緘システム(以下「試験機A」と称する。)を用いて容器100を封緘した結果と、シール板を昇降させる動作とシール板を薄膜110に押圧する動作とをともにエアーシリンダによって行う従来のシール装置(以下「従来機B」と称する。)を用いて容器100を封緘した結果とを比較して示す。
試験機Aとしては、本実施形態のヒートシール装置10を備えた充填封緘システム(ロータリー型充填機:株式会社トーワテクノ製)を使用した。また従来機Bとしては、エアーシリンダを用いてシール板の昇降を行う従来のシール装置を搭載する4列直進型充填機(株式会社トーワテクノ製)を使用した。
【0052】
容器100としては、開口端部101の口径が71mmであるポリプロピレン製の容器を採用し、被充填物としては容器100の一個あたり70cmの水を採用した。
薄膜110としては、アルミニウム、ポリエチレン、ホットメルト接着剤の層がこの順に形成されたフィルムを採用した。なお、ホットメルト接着剤は100℃から120℃で軟化状態になるように調整されている。
薄膜110によって封緘された容器100における封緘強度の測定は、日本精密測器株式会社製の封緘強度測定器(型式N.K.M.R)を用いて行った。
【0053】
(試験1)
まず、試験1として、容器100の開口端部101に薄膜110を介してシール板が押圧される押圧力を複数の大きさに設定して、それぞれの押圧力における容器100の封緘強度を測定した。
試験1では、試験機Aにおいては圧力調整部40の圧力設定値を設定して押圧力の設定を行い、従来機Bにおいてはシール板を昇降させるためのエアーシリンダへ供給される空気圧を設定して押圧力の設定を行った。
また、試験1では、試験機Aと従来機Bとのいずれも、容器100の開口端部101に薄膜110を押圧するシール板(本実施形態ではシール板21)を160℃に加熱して保温するように設定した。
また、試験1における測定結果の判定は、容器100の封緘強度の測定値の大きさに基づいて、乳等省令で定められている基準(10秒間で13.3kPa(100mmHg)まで加圧を行うとき、容器包装の破損又は漏れがないこと)を判断基準として、○(基準を満たす)及び×(基準を満たさない)の二段階で行った。
押圧力と封緘強度との関係を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
試験機Aでは、押圧力が519.4N以上で、標準偏差の下限の容器100が100mmHg以上となる封緘強度を得られた。また、押圧力が519.4N以上では、押圧力によらず封緘強度はほぼ一定であった。さらに、従来機Bと比較して、押圧力の設定値が等しい条件における封緘強度の標準偏差が試験機Aを用いた場合には小さく、容器ごとの封緘強度のばらつきが小さいことが明らかになった。
これは、試験機Aにおいては進退駆動部35においてクランク32が一定速度で回転するのでシール板21が薄膜110を押圧している時間は押圧力によらず一定しており、かつ圧力調整部40において制御部46が押圧力を圧力設定値に等しく一定に調整するからであると考えられる。これに対して、従来機Bではシール板の昇降と押圧力を薄膜110にかけることをエアーシリンダが行っており、容器ごとにエアーシリンダの動作がばらつき、シール板21が薄膜110を押圧している時間および押圧力がばらついているものと考えられる。
【0056】
試験1の結果、本実施形態のヒートシール装置10では、従来機Bと比較して押圧力の設定値が低くても基準を満たす封緘強度で封緘された容器を安定して得ることができることがわかった。
【0057】
(試験2)
次に、試験2として、容器100の開口端部101に薄膜110を熱圧着させる時間(シール時間)を複数の時間幅に設定して、それぞれのシール時間における容器100の封緘強度を測定した。
試験2では、試験機Aにおいてはインバーター回路31aにおける周波数を複数の値に設定することでクランク32の角速度を複数の速度に設定し、これによりクランク32が角度Xから角度Yに至るまで回転動作する時間をシール時間として複数の条件に設定した。一方、従来機Bにおいてはシール板を昇降させるエアーシリンダへ空気を供給する時間を複数の時間幅に設定し、これによりエアーシリンダがシール板を薄膜110に押し付けている時間をシール時間として複数の条件に設定した。
また、試験2では、試験機Aと従来機Bとのいずれも、試験1と同様にシール板を160℃に加熱して保温するように設定した。
また、試験2における測定結果の判定は、試験1における判定と同様に行った。
シール時間と封緘強度との関係を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
試験機Aでは、シール時間が0.36秒以上で、標準偏差の下限の容器100が100mmHg以上となる封緘強度を得られた。また、シール時間の設定値が0.36秒の場合には、封緘強度の最小値が基準を満たしているとともに、封緘強度の最大である容器100においても容器100の開封が容易であった。
これは、クランク32の位置が角度θ1から角度θ2の間ではシール板21を薄膜110に押圧する押圧力を圧力調整部40に設けられた制御部46が一定に調整するので、シール時間のほぼ全域にわたって薄膜110が押圧されているからであると考えられる。
一方、従来機Bでは、標準偏差の下限の容器100に対して100mmHg以上の封緘強度を得るためには0.75秒以上にシール時間を設定することを要した。また、従来機Bでは、シール時間を短く設定するにしたがって封緘強度の標準偏差が大きくなる傾向があることがわかった。
これは、シール板を昇降動作させるエアーシリンダの動作がばらつくことで、シール時間として設定された時間の中で実際には薄膜110の押圧力が不足している時間が発生しているからであると考えられる。すなわち、従来機Bはシール板を昇降させる動作とシール板を薄膜110に押圧する動作とをともにエアーシリンダを用いて行っているので、実際に容器100の開口端部101に薄膜110を押し付けている正味のシール時間に大きなばらつきが発生していると考えられる。
【0060】
(試験3)
次に、容器100の開口端部101に薄膜110を熱圧着させるときの薄膜110の温度を、試験機Aと従来機Bとを用いた場合のそれぞれについて測定した。
試験3では、薄膜110の面のうち容器100の側に向く面に、容器100の開口端部101の径方向外側に隣接するように熱電対を配置して、シール板21が薄膜110を加熱する温度を測定した。熱電対としては、貼り付け型熱電対(理化工業株式会社製 ST−50)を採用した。また、温度データの収集にはKEYENCE社製のNR−500を使用した。
【0061】
また、試験3では、シール板の温度は試験1、2と同様に160℃とした。また、上記乳等省令で定められている基準を満たす範囲で容器100の封緘強度が試験機Aと従来機Bとでほぼ同等となるように、シール板が薄膜110を押圧する押圧力及びシール時間を設定した。具体的には、試験機Aでは、押圧力の設定値は1146.6Nかつシール時間の設定値は0.57秒とし、従来機Bでは、押圧力の設定値は1440.6Nかつシール時間の設定値は0.75秒とした。なお、このとき、容器100の封緘強度の平均値は、試験機Aでは184mmHg、従来機Bでは194mmHgであった。
【0062】
図5(A)は、試験機A及び従来機Bを用いて容器100の開口端部101に薄膜110を熱圧着した場合の薄膜110の温度の経時変化を示すグラフである。図5(A)の縦軸は、熱電対によって検出された温度値を示しており、横軸は、試験機Aにおけるクランク32の動作開始時点を原点とした時間を示している。図5(A)において菱形で示す点81のそれぞれは試験機Aを用いて容器100を封緘した実験の結果を示し、四角で示す点82のそれぞれは従来機Bを用いて容器100を封緘した実験の結果を示している。
【0063】
また、図5(B)は試験機A及び従来機Bにおいて容器100の開口端部101に薄膜110を押圧する力の大きさである押圧力の経時変化を示すグラフである。図5(B)の縦軸は押圧力の大きさを示しており、横軸は、図5(A)と同様にクランク32の動作開始時点を原点とした時間を示している。図5(B)に示す線83は試験機Aを用いて容器100を封緘した実験の結果を示し、線84は従来機Bを用いて容器100を封緘した実験の結果を示している。
【0064】
図5(A)及び図5(B)において、T1は従来機Bにおいてシール板が降下し始めた時間、T2は従来機Bにおいてシール板が薄膜110に接触し始めた時間、T3は試験機Aにおいてシール板21が薄膜110に接触し始めた時間、T4は試験機A及び従来機Bにおいてシール板が薄膜110から離れ始めた時間である。また、図5(A)及び図5(B)では、シール板が薄膜110から離れ始めた時間T4を試験機A及び従来機Bにおいて時系列の基準時間として、試験機Aを用いた結果と従来機Bを用いた結果をあわせてグラフ化している。
【0065】
図5(A)に示すように、試験機Aと従来機Bとのいずれにおいても、熱電対が検出した薄膜110の温度は、シール板が薄膜110に接触した時点を起点として上昇し、シール板が薄膜110から離れた時点を起点として下降に転じる。
ここで、試験機Aでは、薄膜110の温度が上昇し始めてから下降しはじめるまでの間で薄膜110においてホットメルト接着剤が軟化状態となる120度を越えて加熱された時間は0.6秒であり、その後薄膜110の温度は下降した。また、試験機Aでは、図5(A)及び図5(B)に示すように、シール時間として設定した0.57秒の時間幅のほぼ全域にわたってホットメルト接着剤が軟化状態にあり、この間所定の押圧力でシール板が、開口端部101に薄膜110を押圧していることがわかった。すなわち、試験機Aにおいては、容器100の開口端部101に薄膜110を熱圧着する正味のシール時間はシール時間の設定値とほぼ等しいことがわかった。
【0066】
一方で、従来機Bでは、図5(A)及び図5(B)に示すように、ホットメルト接着剤が軟化状態にある時間は、少なくとも1.0秒以上であった。この結果から、従来機Bでは、試験機Aを用いた場合と同程度の封緘強度を得るためには、薄膜110を加熱する時間をより長く要することがわかった。
【0067】
これは、エアーシリンダがシール板を昇降する従来機Bでは、シール板が薄膜110を押圧する押圧力が規定の押圧力に達するまでエアーシリンダを駆動している間にもシール板が薄膜110に接触しており、薄膜110を容器100に熱圧着させるための押圧力が不足している状態で薄膜110が加熱されているからであると考えられる。
さらに、従来機Bではシール板が薄膜110に接触するとスプリングが圧縮されていき、スプリングの反力が薄膜110を押圧する押圧力となるが、押し縮められたスプリングの反力がエアーシリンダの動作の抵抗となり、シール板が規定の押圧力で薄膜110を押圧して加熱する正味のシール時間はホットメルト接着剤が軟化状態にある時間の一部にすぎないと考えられる。
【0068】
このように、試験機Aでは、薄膜110が加熱状態にあってホットメルト接着剤が軟化している時間が、従来機Bに比べて短くても基準を満たす封緘強度が得られるため、薄膜110や容器100に伝達される熱量の総和が従来機Bに比べて少なく、被充填物が加熱されることによる被充填物への影響を低減できる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の充填封緘システム1及びヒートシール装置10によれば、シール板21を昇降させる進退駆動部35と、シール板21を薄膜110に押圧する押圧力を調整する圧力調整部40を備えているので、シール板21が薄膜110を押圧している間の押圧力を一定に調整しつつ、容器100の開口端部101へ薄膜110を押圧することができる。その結果、本実施形態のヒートシール装置10及び充填封緘システム1によれば、容器を確実に、かつ封緘強度のばらつきを抑えて封緘できる。
【0070】
また、押圧部材20のシール板21が容器100の開口端部101に薄膜110を押圧している間に圧力調整部40が伸縮動作するので、進退駆動部35が圧力調整部40を進退動作させている間でもシール板21が薄膜110を押圧する押圧力を一定にすることができる。
【0071】
また、圧力調整部40にはシリンダ本体42とピストン43とが設けられており、シリンダ本体42とピストン43とが組み合わせられて生じる圧力室44に圧入される空気の量を、制御部46が調整しているので、容器100の開口端部101に薄膜110を押圧する押圧力を一定に調整することができ、特に圧力室44から空気を排出して圧力室44の内部を減圧する動作を迅速に行うことができる。
【0072】
また、回転動作するクランク32とクランク32に固定された連結部33とを進退駆動部35が備えているので、クランク32の回転動作に連結部33の動作が正確に追従し、連結部33に連結された圧力調整部40をクランク32の回転動作に精度よく追従させて動作させることができる。このため、シール板21が薄膜110を押圧し始める時点からシール板21が薄膜110を押圧し終える時点までの時間が動作ごとにばらつくことを抑えることができ、容器100の開口端部101に薄膜110を熱圧着させる時間がばらつくことを抑えることができる。
【0073】
また、進退駆動部35が、電力の周波数を調整するインバーター回路31aと、インバーター回路31aによって駆動電力の周波数が調整されて駆動するモーター31とを備え、クランク32が回転する角速度を一周の間で一定にするので、クランク32の角速度を精度よく設定することができ、シール板21が薄膜110を押圧する時間のばらつきを抑えることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、圧力調整部40として、空気を圧入して圧力調整を行うエアーシリンダを採用したが、これに限らず、油圧シリンダなどの流体圧シリンダを採用することもできる。また、シリンダ構造を有するもの以外にも、例えばマッキベン型アクチュエータなどの伸縮動作可能なリニアアクチュエータを採用してもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、クランク32の連結部33が下死点から上死点に向かう間には圧力室44の内部に空気を圧入して薄膜110を押圧する動作を継続する例を示したが、クランク32が角度θ1から下死点まで移動する間のみをシール時間として、クランク32の連結部33が下死点から上死点に向かう間に薄膜110を押圧しない構成とすることもできる。この場合でも、インバーター回路31aにおける電力の周波数を設定してクランク32の角速度を設定することで本実施形態と同等のシール時間および押圧力を生じさせることができ、本発明と同様の効果を奏することができる。
【0076】
また、上述の実施形態では、モーター31とインバーター回路31aとによってクランク32を回転動作させる構成を説明したが、これに限らず、クランク32を回転させるための他の動力及び回転速度制御手段を備えることができる。例えば、クランク32を回転させるモーターとして直流モーターを採用し、回転速度制御手段として、直流モーターに対して周期的に通電状態のオンとオフとを繰り返して矩形パルス状の駆動電力を供給して直流モーターの回転速度を制御する手段を採用することもできる。
【0077】
また、制御部46における送気部46aに代えて、クランク32の連結部33が下死点から上死点に向かう間に圧力調整部40を伸長させて圧力調整部40の長さを最大長さL1に戻す他の構成を採用することもできる。
【0078】
また、上述の実施形態の充填封緘システム1の説明では容器100がリテーナー6aの軌道方向に一列に配列される場合を説明したが、これに限らず、容器100を2列以上で並列に移動させて、容器100への被充填物の充填及び容器100の封緘を行ってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 充填封緘システム
2 マガジン
3 供給充填装置
4 封緘装置
5 搬出装置
6 搬送装置
8 薄膜供給装置
9 薄膜切断装置
F フレーム
10 ヒートシール装置
20 押圧部材
21 シール板
21a 接触面
22 ヒーター
30 加圧部
31 モーター
31a インバーター回路
32 クランク
33 連結部
35 進退駆動部
40 圧力調整部
42 シリンダ本体
43 ピストン
44 圧力室
46 制御部
100、100a、100b、100c、100d 容器
101 開口端部
110、111 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口端部を覆う薄膜を挟んで前記開口端部に対向して配置されるとともに前記薄膜を加熱可能な押圧部材と、前記押圧部材を介して前記薄膜を前記開口端部へ押圧する加圧部と、を備えるヒートシール装置であって、
前記加圧部は、
前記押圧部材を前記開口端部に向かって進退駆動させる進退駆動部と、
前記進退駆動部と前記押圧部材とのそれぞれに連結され、前記進退駆動部と前記押圧部材との間で伸縮し、前記押圧部材を前記開口端部の側へ押圧する圧力調整部と、
前記圧力調整部に接続され、前記押圧部材が前記薄膜を前記開口端部へ前記押圧するときの押圧力を一定に制御する制御部と、
を有するヒートシール装置。
【請求項2】
前記圧力調整部は、前記進退駆動部と前記押圧部材とのいずれか一方に前記連結されるとともに流体を圧入するための圧力室が内部に形成されたシリンダ本体と、前記進退駆動部と前記押圧部材との他方に前記連結されるとともに前記圧力室の内部まで延びて設けられたピストンと、を有する流体圧シリンダを備え、
前記制御部は、前記圧力室の内部の前記流体の圧力が一定になるように前記圧力室に前記流体を前記圧入する量を制御する請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記進退駆動部は、
回転動作するクランクと、
前記クランクの回転中心から偏心して前記クランクに固定された連結部と、
を備え、
前記連結部は前記圧力調整部に前記連結されている請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記進退駆動部は、
前記クランクに接続されたモーターと、
前記モーターの回転速度を制御するための回転速度制御手段と、
を備え、
前記回転速度制御手段は、前記クランクを一周ごとに間欠駆動させるとともに前記一周の間の前記クランクの角速度を一定にするように前記モーターを制御する請求項3に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
容器の内部に被充填物を充填し、被充填物が充填された前記容器の開口端部に薄膜を配置して容器を封緘する充填封緘システムであって、
請求項1から4のいずれか一項に記載のヒートシール装置を備える充填封緘システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−31976(P2011−31976A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182375(P2009−182375)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000223148)株式会社トーワテクノ (10)
【Fターム(参考)】