説明

ヒートポンプシステム

【課題】給湯部分の運転制御を適切に行うことができるヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】ヒートポンプシステム1は、熱源ユニット2と、第1利用ユニット4aと、第2利用ユニット10a,10bと、温度センサ107a,107bと、制御部116aとを備える。第1利用ユニット4aは、熱源ユニット2に接続され、冷媒と水媒体との熱交換を行う第1利用側熱交換器41aを有する。第2利用ユニット10a,10bは、熱源ユニット2に接続され、冷媒と空気媒体との熱交換を行う第2利用側熱交換器101a,101bを有する。温度センサ107a,107bは、第2利用ユニット10a,10bに設けられ、空調対象空間sq内の温度Trを検知する。制御部116aは、温度センサ107a,107bの検知結果と第2利用ユニット10aの目標設定温度Toとに基づいて、第1利用ユニット4aの運転のオン及びオフを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1(特開2000−46417号公報)に示されるように、対象空間に対し空調を行う空調部分と、水媒体を加熱する給湯部分と、例えば床暖房パネルである温水利用型暖房部分とが1つずつ組み合わせられることで構成されたシステムが知られている。空調部分には、冷媒と空気媒体との間で熱交換を行う熱交換器が含まれており、当該熱交換器にて熱交換された後の空調空気は対象空間内に供給される。一方、給湯部分には、冷媒と水媒体との間で熱交換を行う熱交換器が含まれており、温水利用型暖房部分は、当該熱交換器によって熱交換された後の温水を用いて対象空間を暖房する。つまり、給湯部分が水を加熱する給湯運転を行うことで、温水利用型暖房部分は、対象空間に対し暖房を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記システムに係る空調部分には、対象空間内の温度を検出する温度センサが設けられており、空調部分は、当該センサにより検知された対象空間内の温度に基づいて運転を行うことができる。一方、給湯部分及び温水利用型暖房部分は、対象空間内の温度を検知することができないため、給湯部分自体の能力(具体的には、給湯能力)の強弱が調節されることで、温水利用型暖房部分による暖房が制御されるようになっている。即ち、給湯部分は、対象空間に応じて適切に運転制御を行うことができないため、温水利用型暖房部分も、対象空間に対応してきめ細かい運転を行うことが困難となっている。
【0004】
そこで、本発明は、空調部分と給湯部分とを備えたヒートポンプシステムにおいて、対象空間に対応して給湯部分の運転制御を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明1に係るヒートポンプシステムは、熱源ユニットと、第1利用ユニットと、第2利用ユニットと、温度検知部と、制御部とを備える。第1利用ユニットは、熱源ユニットに接続され、第1利用側熱交換器を有する。第1利用側熱交換器は、冷媒と水媒体との熱交換を行う。第2利用ユニットは、熱源ユニットに接続され、第2利用側熱交換器を有する。第2利用側熱交換器は、冷媒と空気媒体との熱交換を行う。温度検知部は、第2利用ユニットに設けられ、対象空間の温度を検知する。対象空間は、第1利用側熱交換器にて熱交換された水媒体、及び第2利用側熱交換器にて熱交換された空気媒体を利用して暖房が行われる空間である。制御部は、温度検知部の検知結果と第2利用ユニットの目標設定温度とに基づいて、第1利用ユニットの運転のオン及びオフを制御する。
【0006】
このヒートポンプシステムによると、第2利用ユニット内の温度検知部によって検知された対象空間内の温度と第2利用ユニットの目標設定温度とに基づいて、第1利用ユニットの運転のオン及びオフが制御される。従って、第1利用ユニットが対象空間内の温度を検知できずとも、第1利用ユニットの制御には、第2利用ユニット側で検知された温度が用いられるため、第1利用ユニットの運転制御を適切に行うことができる。
【0007】
発明2に係るヒートポンプシステムは、発明1に係るヒートポンプシステムであって、第2利用ユニットは、1つの対象空間内に複数台設置されている。制御部は、1つの対象空間内の第2利用ユニットそれぞれに設けられた温度検知部の検知結果全ての平均値と目標設定温度との差を求め、その差を用いて第1利用ユニットの運転のオン及びオフを制御する。
【0008】
1つの対象空間内に第2利用ユニットが複数台設置されていると、各第2利用ユニットの設置位置によっては、温度検知部が検知する対象空間内の温度の値が異なる場合がある。この場合、どの温度検知部の検知結果を用いるかによって検知結果と目標設定温度との差が異なってくるため、第1利用ユニットの運転のオン及びオフの制御にも影響が及ぼされる。しかし、このヒートポンプシステムでは、対象空間内における複数の第2利用ユニットの温度検知部の検知結果全てから検知結果の平均値を求め、当該平均値と目標設定温度との差により、第1利用ユニットの運転がオン及びオフされる。従って、温度検知部の検知結果が温度検知部毎に異なっているとしても、第1利用ユニットは、この検知結果の違いに左右されることなく、対象空間全体の平均温度によって適切にオン及びオフされるようになる。
【0009】
発明3に係るヒートポンプシステムは、発明1に係るヒートポンプシステムであって、第2利用ユニットは、1つの対象空間内に複数台設置されている。制御部は、1つの対象空間内の第2利用ユニットのうちいずれか1つにおける温度検知部の検知結果と目標設定温度との差を求め、その差を用いて第1利用ユニットの運転のオン及びオフを制御する。
【0010】
このヒートポンプシステムでは、1つの対象空間内に第2利用ユニットが複数台設置されている場合、いずれかの第2利用ユニットに設けられている温度検知部の検知結果と目標設定温度との差により、第1利用ユニットの運転のオン及びオフが制御される。つまり、このシステムでは、特定の第2利用ユニットにおける温度検知部によって検知された対象空間内の温度が、第1利用ユニットの運転制御に用いられる。従って、第1利用ユニットは、特定の第2利用ユニット付近の温度に応じて運転制御が行われるようになる。尚、特定の第2利用ユニットは、例えば第1利用ユニットと第2利用ユニットとの距離関係や、対象空間内における第2利用ユニットの設置位置等によって決定される。
【0011】
発明4に係るヒートポンプシステムは、発明1〜3のいずれかに係るヒートポンプシステムであって、制御部は、1つの対象空間内の第2利用ユニットのうち少なくとも1つと第1利用ユニットとを連動して運転制御可能である。そして、ヒートポンプシステムは、表示部を更に備える。表示部は、連動ユニット情報及び連動運転制御情報の少なくとも1つを表示することが可能である。連動ユニット情報は、第1利用ユニットと連動して運転制御される第2利用ユニットを、連動ユニットとして示す情報である。連動運転制御情報は、連動ユニットと第1利用ユニットとを、制御部が現在連動して運転制御しているか否かを示す情報である。
【0012】
このヒートポンプシステムでは、第1利用ユニットがどの第2利用ユニットと連動して運転されるのかを示す連動ユニット情報、及び連動ユニットである第2利用ユニットが現在第1利用ユニットと連動して運転しているか否かを示す連動運転制御情報が、表示部に表示される。これにより、当該ヒートポンプシステムを利用するユーザは、表示部に表示された連動ユニット情報及び連動運転制御情報から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0013】
発明5に係るヒートポンプシステムは、発明4に係るヒートポンプシステムであって、制御部及び表示部は、連動ユニットと接続されている制御装置に含まれている。
【0014】
このヒートポンプシステムでは、第1利用ユニットと連動制御される第2利用ユニット(つまり、連動ユニット)に接続されている制御装置には、制御部及び表示部が含まれている。ここで、制御装置としては、例えばリモートコントローラが挙げられる。これにより、当該ヒートポンプシステムを利用するユーザは、連動ユニットに接続されているリモートコントローラの表示部から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0015】
発明6に係るヒートポンプシステムは、発明1〜5のいずれかに係るヒートポンプシステムであって、第2利用ユニットは、ファンを更に有している。ファンは、対象空間内の空気が第2利用ユニットの内部へと流れる空気流を生成する。そして、第1利用側熱交換器にて熱交換された水媒体及び第2利用側熱交換器にて熱交換された空気媒体を利用して対象空間に対し暖房が行われるモードであって、かつ温度検出対象の温度検知部が設けられている第2利用ユニットが運転を停止している場合には、制御部は、運転を停止している第2利用ユニットのファンを駆動させる。温度検出対象の温度検知部は、ファンの駆動時に温度検知を行う。
【0016】
第2利用ユニットが運転停止状態である場合には、第2利用ユニット内のファンも駆動停止状態にある。そのため、ファンの停止により第2利用ユニット内には対象空間内の空気が送り込まれないため、第2利用ユニットに設けられている温度検知部は現在の対象空間内の温度を検知することが困難となってしまう。しかし、このヒートポンプシステムでは、上記モードであって、かつ第2利用ユニットが運転停止状態である場合には、温度検出対象の温度検知部が設けられている第2利用ユニットのファンを駆動させる。これにより、現在の対象空間内の空気が第2利用ユニット内に送り込まれる空気の流れが形成されるため、温度検知部は、現在の対象空間内の温度を検知することができるようになる。
【0017】
発明7に係るヒートポンプシステムは、発明1〜6のいずれかに係るヒートポンプシステムであって、第1利用ユニットが、並列に複数台設置されている。
【0018】
このように、第1利用ユニットが並列に複数台設置されている場合であっても、各第1利用ユニットは、第2利用ユニット内の温度検知部によって検知された対象空間内の温度と第2利用ユニットの目標設定温度とに基づいて、運転のオン及びオフが制御される。そのため、第1利用ユニットの運転制御が適切に行われる。
【発明の効果】
【0019】
発明1に係るヒートポンプシステムによると、第1利用ユニットが対象空間内の温度を検知できずとも、第1利用ユニットの制御には、第2利用ユニット側で検知された温度が用いられるため、第1利用ユニットの運転制御を適切に行うことができる。
【0020】
発明2に係るヒートポンプシステムによると、温度検知部の検知結果が温度検知部毎に異なっているとしても、第1利用ユニットは、この検知結果の違いに左右されることなく、対象空間全体の平均温度によって適切にオン及びオフされるようになる。
【0021】
発明3に係るヒートポンプシステムによると、特定の第2利用ユニットにおける温度検知部によって検知された対象空間内の温度が、第1利用ユニットの運転制御に用いられるため、第1利用ユニットは、特定の第2利用ユニット付近の温度に応じて運転制御が行われるようになる。
【0022】
発明4に係るヒートポンプシステムによると、当該システムを利用するユーザは、表示部に表示された連動ユニット情報及び連動運転制御情報から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0023】
発明5に係るヒートポンプシステムによると、当該システムを利用するユーザは、リモートコントローラ等である制御装置の表示部から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0024】
発明6に係るヒートポンプシステムによると、現在の対象空間内の空気が第2利用ユニット内に送り込まれる空気の流れが形成されるため、温度検知部は、現在の対象空間内の温度を検知することができるようになる。
【0025】
発明7に係るヒートポンプシステムによると、第1利用ユニットの運転制御が適切に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係るヒートポンプシステムの全体構成の概念図。
【図2】第1実施形態に係るヒートポンプシステムの構成概略図。
【図3】第1実施形態に係るリモートコントローラの構成を模式的に示す図。
【図4】第1実施形態に係るリモートコントローラの外観図。
【図5】第1実施形態に係るヒートポンプシステムの全体的な動作の流れを表すフローチャート。
【図6】第1実施形態に係るヒートポンプシステムの全体的な動作の流れを表すフローチャート。
【図7】第2実施形態に係るヒートポンプシステムの全体構成の概念図。
【図8】第2実施形態に係るリモートコントローラの構成を模式的に示す図。
【図9】第2実施形態に係るヒートポンプシステムの全体的な動作の流れを表すフローチャート。
【図10】第2実施形態に係るヒートポンプシステムの全体的な動作の流れを表すフローチャート。
【図11】その他の実施形態(c)に係るヒートポンプシステムの構成概略図。
【図12】その他の実施形態(d)に係るヒートポンプシステムの構成概略図。
【図13】図2のヒートポンシステムにおいて、第1及び第2利用ユニットが共に1台である場合の構成概略図。
【図14】図11のヒートポンシステムにおいて、第1及び第2利用ユニットが共に1台である場合の構成概略図。
【図15】図2のヒートポンシステムにおいて、第1利用ユニットが2台かつ第2利用ユニットが1台である場合の構成概略図。
【図16】図11のヒートポンシステムにおいて、第1利用ユニットが2台かつ第2利用ユニットが1台である場合の構成概略図。
【図17】図2のヒートポンシステムにおいて、第1及び第2利用ユニットが共に2台である場合の構成概略図。
【図18】図11のヒートポンシステムにおいて、第1及び第2利用ユニットが共に2台である場合の構成概略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るヒートポンプシステムについて、図面を用いて詳述する。
【0028】
<第1実施形態>
(1)ヒートポンプシステムの概要
図1は、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプシステム1の構成を概念的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るヒートポンプシステム1は、熱源ユニット2、第1利用ユニット4a、貯湯ユニット8a、温水暖房ユニット9a、第2利用ユニット10a,10b、温度センサ107a,107b(温度検知部に相当)、及びリモートコントローラ11a,11b,11cを備える。熱源ユニット2は、屋外に1台設置されている。第1利用ユニット4a、貯湯ユニット8a、温水暖房ユニット9aは、それぞれ1台ずつ屋内に設置されており、第2利用ユニット10a,10bは、屋内に2台設置されている。第2利用ユニット10a,10bそれぞれは室内機であって、1つの対象空間sq内の天井に所定間隔離れて設置されている。また、当該対象空間sq内には、例えばラジエータや床暖房パネルである温水暖房ユニット9aも設置されている。温度センサ107a,107bは、第2利用ユニット10a,10bに設けられており、リモートコントローラ11a,11b,11cは、各利用ユニット4a,10a,10bそれぞれに対応するようにして、対象空間内sqの壁面等に設置されている。
【0029】
また、熱源ユニット2は、各利用ユニット4a,10a,10bに接続されており、第1利用ユニット4aは、貯湯ユニット8a及び温水暖房ユニット9aそれぞれとも接続されている。第2利用ユニット10a,10bは、熱源ユニット2に対し並列に接続されている。リモートコントローラ11a,11bは、第2利用ユニット10a,10bそれぞれに接続されており、該利用ユニット10a,10bそれぞれを遠隔制御することができる。リモートコントローラ11cは、温水暖房ユニット9aに接続されており、温水暖房ユニット9aを介して第1利用ユニット4aを遠隔制御することができる。
【0030】
このようなヒートポンプシステム1は、蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体を加熱する運転や、当該水媒体を利用して対象空間sq内の空気を温めたりする運転等を行うことができる。具体的には、ヒートポンプシステム1は、以下の(I)〜(V)のモードで運転を行うことが可能となっている。
【0031】
(I)第1利用ユニット4aが給湯運転(具体的には、第1利用ユニット4aに加え、貯湯ユニット8a及び/または温水暖房ユニット9aも運転する)を行う、給湯モード。
【0032】
(II)第2利用ユニット10a,10bのみが冷房運転を行うことで、対象空間sq内に対し冷房を行う、冷房モード。
【0033】
(III)第2利用ユニット10a,10bのみが暖房運転を行うことで、対象空間sq内に対し暖房を行う、暖房モード。
【0034】
(IV)第1利用ユニット4aが給湯運転を行うと共に第2利用ユニット10a,10bが冷房運転を行う、給湯冷房モード。
【0035】
(V)第1利用ユニット4aが給湯運転を行うと共に第2利用ユニット10a,10bが暖房運転を行う、給湯暖房モード(本発明に係るモードに相当)。
【0036】
尚、図1では、一例として、温水暖房ユニット9aが床暖房パネルである場合を図示している。
【0037】
(2)構成
図2は、本実施形態に係るヒートポンプシステム1の構成を概略的に示す図である。図2に示すように、熱源ユニット2と第1利用ユニット4aと第2利用ユニット10a,10bとが冷媒連絡管12,13,14を介して接続されることにより、熱源側冷媒回路20が構成されている。第1利用ユニット4aと貯湯ユニット8aと温水暖房ユニット9aとが水媒体連絡管15a,16aを介して接続されることによって、水媒体回路80aが構成されている。熱源側冷媒回路20には、HFC系冷媒の一種であるHFC−410Aが熱源側冷媒として封入されており、またHFC系冷媒に対して相溶性を有するエステル系またはエーテル系の冷凍機油が熱源側圧縮機21(後述)の潤滑のために封入されている。また、水媒体回路80aには、水媒体としての水が循環するようになっている。
【0038】
以下では、図2を用いて、ヒートポンプシステム1が備える各ユニットについて詳述する。
【0039】
(2―1)熱源ユニット
熱源ユニット2は、冷媒連絡管12,13,14を介して各利用ユニット4a,10a,10bと接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
【0040】
熱源ユニット2は、主として、熱源側圧縮機21、油分離機構22、熱源側切換機構23、熱源側熱交換器24、熱源側膨張機構25、吸入戻し管26、過冷却器27、及び熱源側アキュムレータ28を有している。
【0041】
熱源側圧縮機21は、熱源側冷媒を圧縮するための機構である。本実施形態では、熱源側圧縮機21としては、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された熱源側圧縮機モータ21aによって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。この熱源側圧縮機21のケーシング内には、圧縮要素において圧縮された後の熱源側冷媒が充満する高圧空間(図示せず)が形成されており、この高圧空間には、冷凍機油が溜められている。熱源側圧縮機モータ21aは、インバータ装置(図示せず)によってその回転数(即ち、運転周波数)を可変でき、これにより熱源側圧縮機21の容量制御が可能になっている。
【0042】
油分離機構22は、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離して熱源側圧縮機の吸入に戻すための機構である。油分離機構22は、主として、熱源側圧縮機21の熱源側吐出管21bに設けられた油分離器22aと、油分離器22aと熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cとを接続する油戻し管22bとを有している。油分離器22aは、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離する機器である。油戻し管22bは、キャピラリチューブを有しており、油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油を熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cに戻す冷媒管である。
【0043】
熱源側切換機構23は、熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の放熱器として機能させる熱源側放熱運転状態と熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の蒸発器として機能させる熱源側蒸発運転状態とを切り換え可能な四路切換弁で構成されている。熱源側切換機構23は、熱源側吐出管21b、熱源側吸入管21c、熱源側熱交換器24のガス側に接続された第1熱源側ガス冷媒管23a、及びガス側閉鎖弁30に接続された第2熱源側ガス冷媒管23bに接続されている。そして、熱源側切換機構23は、熱源側吐出管21bと第1熱源側ガス冷媒管23aとを連通させるとともに、第2熱源側ガス冷媒管23bと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側放熱運転状態。図1の熱源側切換機構23の実線)する切換を行うことが可能である。また、熱源側切換機構23は、熱源側吐出管21bと第2熱源側ガス冷媒管23bとを連通させるとともに、第1熱源側ガス冷媒管23aと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側蒸発運転状態。図1の熱源側切換機構23の破線)する切換を行うことが可能である。尚、本実施形態では、熱源側切換機構23が四路切換弁で構成される場合を例に採っているが、熱源側切換機構23は、熱源側冷媒の流れ方向を切り換えられればよいため、四路切換弁に限定されない。熱源側切換機構23は、例えば複数の電磁弁で構成されていてもよい。
【0044】
熱源側熱交換器24は、熱源側冷媒と室外空気との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器24の液側は、熱源側液冷媒管24aに接続され、該熱交換器24のガス側は、第1熱源側ガス冷媒管23aに接続されている。この熱源側熱交換器24の熱交換に用いられる室外空気は、熱源側ファンモータ32aにより回転駆動される熱源側ファン32によって供給されるようになっている。
【0045】
熱源側膨張機構25は、熱源側熱交換器24を流れる熱源側冷媒の減圧等を行う電動膨張弁であり、熱源側液冷媒管24aに設けられている。
【0046】
吸入戻し管26は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒の一部を分岐して熱源側圧縮機21の吸入に戻す冷媒管であって、一端が熱源側液冷媒管24aに接続されており、その他端が熱源側吸入管21cに接続されている。また、吸入戻し管26には、例えば電動膨張弁で構成される開度制御が可能な吸入戻し膨張弁26aが設けられている。
【0047】
過冷却器27は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒と吸入戻し管26を流れる熱源側冷媒(具体的には、吸入戻し膨張弁26aによって減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。
【0048】
熱源側アキュムレータ28は、熱源側吸入管21cに設けられており、熱源側冷媒回路20を循環する熱源側冷媒を熱源側吸入管21cから熱源側圧縮機21に吸入される前に一時的に溜めるための容器である。
【0049】
また、熱源側液冷媒管24aと冷媒連絡管13との接続部には液側閉鎖弁29が設けられ、第2熱源側ガス冷媒管23bと冷媒連絡管14との接続部にはガス側閉鎖弁30が設けられている。熱源側吐出管21bから分岐された熱源側吐出分岐管21dと冷媒連絡管12との接続部には、吐出側閉鎖弁31が設けられている。
【0050】
また、熱源ユニット2には、各種センサが設けられている。センサの種類としては、熱源側圧縮機21の吸入側において熱源側冷媒の圧力を検出する熱源側吸入圧力センサ33、熱源側圧縮機21の吐出側において熱源側冷媒の圧力を検出する熱源側吐出圧力センサ34、熱源側熱交換器24の液側において熱源側冷媒の温度を検出する熱源側熱交温度センサ35、外気温度を検出する外気温度センサ36が挙げられる。
【0051】
(2−2)第1利用ユニット
第1利用ユニット4aは、冷媒連絡管12,13を介して熱源ユニット2及び第2利用ユニット10a,10bに接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。また、第1利用ユニット4aは、水媒体連絡管15a,16aを介して貯湯ユニット8a及び温水暖房ユニット9aに接続されており、水媒体回路80aの一部を構成している。
【0052】
このような第1利用ユニット4aは、主として、第1利用側熱交換器41aと、第1利用側流量調節弁42aと、循環ポンプ43aとを有している。
【0053】
第1利用側熱交換器41aは、熱源側冷媒と水媒体との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。第1利用側熱交換器41aにおいて、熱源側冷媒が流れる流路の液側には、第1利用側液冷媒管45aが接続されており、当該流路のガス側には、第1利用側吐出冷媒管46aが接続されている。そして、第1利用側熱交換器41aにおいて、水媒体が流れる流路の入口側には、第1利用側水入口管47aが接続されており、当該水媒体が流れる流路の出口側には、第1利用側水出口管48aが接続されている。尚、第1利用側液冷媒管45aには、冷媒連絡管13が接続されており、第1利用側吐出冷媒管46aには、冷媒連絡管12が接続されている。第1利用側水入口管47aには、水媒体連絡管15aが接続されており、第1利用側水出口管48aには、水媒体連絡管16aが接続されている。
【0054】
第1利用側流量調節弁42aは、開度制御を行うことで第1利用側熱交換器41aを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、第1利用側液冷媒管45aに設けられている。
【0055】
第1利用側吐出冷媒管46aには、冷媒連絡管12から第1利用側熱交換器41aへ向かう熱源側冷媒の流れを許容し、第1利用側熱交換器41aから冷媒連絡管12へ向かう熱源側冷媒の流れを禁止する第1利用側吐出逆止弁49aが設けられている。
【0056】
循環ポンプ43aは、水媒体の昇圧を行う機構であって、第1利用側水出口管48aに設けられている。循環ポンプ43aは、第1利用側熱交換器41aにて熱交換を行う水媒体が流れる水媒体回路80aにおいて、当該水媒体を循環させることが可能となっている。本実施形態では、循環ポンプ43aとして、遠心式や容積式のポンプ要素(図示せず)が循環ポンプモータ44aによって駆動されるポンプが採用されている。循環ポンプモータ44aは、インバータ装置(図示せず)によってその回転数(即ち、運転周波数)を可変でき、これにより循環ポンプ43aの容量制御が可能となっている。
【0057】
このような構成を有する第1利用ユニット4aは、第1利用側熱交換器41aを冷媒連絡管12から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能させることで、第1利用側熱交換器41aにおいて放熱した熱源側冷媒を冷媒連絡管13に導出し、第1利用側熱交換器41aにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体を加熱する給湯運転を行うことが可能になっている。このように、第1利用ユニット4aが給湯運転を行う場合としては、ヒートポンプシステム1の“給湯モード”“給湯暖房モード”に相当する。
【0058】
また、第1利用ユニット4aには、各種センサが設けられている。センサの種類としては、第1利用側熱交換器41aの液側における熱源側冷媒の温度を検出する第1利用側熱交温度センサ50a、第1利用側熱交換器41aの入口における水媒体の温度を検出する水媒体出口温度センサ51a、第1利用側熱交換器41aの出口における水媒体の温度を検出する水媒体出口温度センサ52aが挙げられる。
【0059】
尚、第1利用ユニット4aは、図示してはいないが、第1利用ユニット4aの各機器を制御するための制御部を有している。
【0060】
(2−3)貯湯ユニット
貯湯ユニット8aは、水媒体連絡管15a,16aを介して第1利用ユニット4aに接続されており、水媒体回路80aの一部を構成している。貯湯ユニット8aは、主として、貯湯タンク81aと、熱交換コイル82aとを有している。
【0061】
貯湯タンク81aは、給湯に利用される水媒体としての水を溜める容器である。貯湯タンク81aの上部には、蛇口やシャワー等に温められた水媒体を送るための給湯管83aが接続されており、下部には、給湯管83aによって消費された水媒体の補充を行うための給水管84aが接続されている。
【0062】
熱交換コイル82aは、貯湯タンク81a内に設けられており、水媒体回路80aを循環する水媒体と貯湯タンク81a内の水媒体との熱交換を行うことで貯湯タンク81a内の水媒体を加熱する(即ち、熱交換器として機能)。熱交換コイル82aの入口には、水媒体連絡管16aが接続されており、出口には、水媒体連絡管15aが接続されている。
【0063】
このような構成を有する貯湯ユニット8aは、第1利用ユニット4aにて加熱された水循環回路80a中の水媒体(つまり、温水)により、貯湯タンク81a内の水媒体を加熱し、加熱後の水を貯留することが可能となっている。尚、本実施形態においては、貯湯ユニット8aが、第1利用ユニット4aにて加熱された水媒体との熱交換によって加熱された水媒体を貯湯タンクに溜める型式のユニットである場合について説明している。しかし、貯湯ユニットとしては、第1利用ユニット4aにおいて加熱された水媒体そのものを貯湯タンクに溜める型式のユニットが採用されてもよい。
【0064】
また、貯湯ユニット8aには、各種センサが設けられている。センサの種類としては、貯湯タンク81aに溜められる水媒体の温度を検出するための貯湯温度センサ85a等が挙げられる。
【0065】
尚、貯湯ユニット8aは、図示してはいないが、貯湯ユニット8aの各機器を制御するための制御部を有している。
【0066】
(2―4)温水暖房ユニット
温水暖房ユニット9aは、水媒体連絡管15a,16aを介して第1利用ユニット4aに接続されており、水媒体回路80aの一部を構成している。温水暖房ユニット9aは、主として、熱交換パネル91aを有している。
【0067】
熱交換パネル91aは、床暖房パネルであって、対象空間sq内の床下等に設けられている。熱交換パネル91aは、水媒体回路80aを循環する水媒体の放熱器として機能する熱交換器であり、熱交換パネル91aの入口には、水媒体連絡管16aが接続されており、出口には、水媒体連絡管15aが接続されている。
【0068】
尚、温水暖房ユニット9aと第1利用ユニット4aとを接続している水媒体連絡管16a上には、三方弁からなる水媒体側切換機構161aが設けられている。水媒体側切換機構161aは、水媒体回路80aを循環する水媒体が貯湯ユニット8a及び温水暖房ユニット9aの両方、又は、貯湯ユニット8a及び温水暖房ユニット9aのいずれか一方に供給されるように、水媒体の流路切換を行うことができる。特に、水媒体回路80aを循環する水媒体(具体的には、温水)が温水暖房ユニット9aに供給されると、対象空間sq内の床が加熱されるようになる。つまり、第1利用ユニット4aの第1利用側熱交換器41aにて加熱された水媒体は、対象空間sqの暖房に用いられることができる。ここで、上記のように温水が温水暖房ユニット9aに供給される場合は、ヒートポンプシステム1が“給湯モード”“給湯暖房モード”である場合に該当する。
【0069】
尚、温水暖房ユニット9aは、図示してはいないが、温水暖房ユニット9aの各機器を制御するための制御部を有している。
【0070】
(2−5)第2利用ユニット
第2利用ユニット10a,10bは、冷媒連絡管13,14を介して熱源ユニット2に接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
【0071】
第2利用ユニット10a,10bは、主として、それぞれ第2利用側熱交換器101a,101b、第2利用側流量調節弁102a,102b、及び利用側ファン105a,105b(本発明に係るファンに相当)を有している。尚、第2利用ユニット10a,10bは、このようにいずれも同様の構成を有している。そのため、図2においては、第2利用ユニット10a,10bを構成する各機器の符号の数字部分については同じ数字を付しているが、第2利用ユニット10aの各機器は符号の添字「a」で表し、第2利用ユニット10bの各機器は符号の添字「b」で表している。以下では、説明の便宜上、第2利用ユニット10aの各機器を例に採り説明する。
【0072】
第2利用側熱交換器101aは、熱源側冷媒と空気媒体としての室内空気との熱交換を行うことで、熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器である。第2利用側熱交換器101aの液側には、第2利用側液冷媒管103aが接続され、ガス側には第2利用側ガス冷媒管104aが接続されている。第2利用側液冷媒管103a、第2利用側ガス冷媒管104aには、それぞれ冷媒連絡管13、冷媒連絡管14が接続されている。尚、この第2利用側熱交換器101aの熱交換に用いられる空気媒体は、利用側ファン105aによって対象空間sq内から供給されるようになっている。
【0073】
第2利用側流量調節弁102aは、開度制御を行うことで第2利用側熱交換器101aを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、第2利用側液冷媒管103aに設けられている。
【0074】
利用側ファン105aは、対象空間sq内の空気が空気媒体として第2利用ユニット10aのケーシング(図示せず)内部へと流れると共に、第2利用側熱交換器101aにて熱交換された後の空気媒体(つまり、空調空気)が対象空間sq内に供給される空気流を生成する。利用側ファン105aは、利用側ファンモータ106aと接続されており、利用側ファンモータ106aによって回転駆動される。
【0075】
このような構成を有する第2利用ユニット10a,10bでは、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態である場合、第2利用側熱交換器101a,101bが冷媒連絡管13から導入される熱源側冷媒の蒸発器として機能し、第2利用側熱交換器101a,101bにおいて蒸発した熱源側冷媒が冷媒連絡管14に導出されると、第2利用側熱交換器101a,101bにおける熱源側冷媒の蒸発によって空気媒体を冷却する冷房運転を行うことが可能になっている(ヒートポンプシステム1の“冷房モード”“給湯冷房モード”に相当)。また、第2利用ユニット10a,10bでは、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態である場合、第2利用側熱交換器101a,101bが冷媒連絡管14から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能し、第2利用側熱交換器101a,101bにおいて放熱した熱源側冷媒が冷媒連絡管13に導出されると、第2利用側熱交換器101a,101bにおける熱源側冷媒の放熱によって空気媒体を加熱する暖房運転を行うことが可能になっている(ヒートポンプシステム1の“暖房モード”“給湯暖房モード”に相当)。
【0076】
尚、第2利用ユニット10a,10bは、図示してはいないが、第2利用ユニット10a,10bの各機器を制御するための制御部を有している。
【0077】
(2−6)温度センサ
温度センサ107a,107bは、上述した第2利用ユニット10a,10bに設けられている。より具体的には、温度センサ107a,107bは、第2利用ユニット10a,10bのケーシング(図示せず)に形成された吸い込み口(図示せず)付近に設けられている。温度センサ107a,107bは、吸い込み口から第2利用ユニット10a,10bのケーシング内に吸い込まれてきた空気、つまり対象空間sqにおける温度Trを検出する。例えば、ヒートポンプシステム1が“給湯暖房モード”であれば、温度センサ107a,107bは、第1利用側熱交換器41aにて熱交換された水媒体及び第2利用側熱交換器101a,101bにて熱交換された空気媒体を利用して暖房が行われている対象区間sq内の温度Trを検知することができる。
【0078】
尚、本実施形態では、温度センサ107a,107bによって検知された温度Trは、第1利用ユニット4aの運転制御に用いられるが、その詳細については後述する。
【0079】
(2−7)リモートコントローラ
リモートコントローラ11a,11b,11cは、主として、表示部及び操作部を有している。ユーザは、各リモートコントローラ11a,11b,11cを介して、接続先の各ユニットに関する設定を行ったり、各種運転に関する指示を行ったりすることができる。
【0080】
特に、本実施形態では、リモートコントローラ11a,11b,11cのうち、第2利用ユニット10aに接続されているリモートコントローラ11aは、第2利用ユニット10aの運転制御のみではなく、第1利用ユニット4aの運転制御、第1利用ユニット4aと第2利用ユニット10aとの連動制御を行う。よって、以下では、リモートコントローラ11aの構成について説明する。
【0081】
リモートコントローラ11aは、図3及び図4に示すように、第1通信部111a、第2通信部112a、操作部113a、表示部114a及び制御部115aを有している。
【0082】
〔第1通信部〕
第1通信部111aは、第1利用ユニット4aと通信を行うためのものであって、第1利用ユニット4aに対し第1運転制御情報を出力したり、第1利用ユニット4aの現在の運転状況を示す第1運転状況情報を第1利用ユニット4aから取得したりする。第1運転制御情報としては、第1利用ユニット4aの運転のオン及びオフ(具体的には、サーモオフ及びサーモオン)の指示や、サーモオン及びサーモオフに関連する循環ポンプ43aの流量制御指示、第1利用側流量調節弁42aの開度制御指示等が挙げられる。第1運転状況情報としては、第1利用ユニット4aが現在給湯運転を行っているか否かといった情報や、第1利用ユニット4aの目標設定温度等が挙げられる。
【0083】
第1通信部111aが出力する第1運転制御情報は、第1利用ユニット制御部119a(後述)として機能する制御部115aにより決定される。第1通信部111aが出力した第1運転制御情報は、第1利用ユニット4aにおける制御部(図示せず)によって受信され、第1運転制御情報に基づき第1利用ユニット4aの各機器が制御されることになる。また、第1利用ユニット4aの現在の運転状況等は、第1利用ユニット4aにおける制御部(図示せず)によって把握され、第1通信部111aは、第1利用ユニット4aの制御部(図示せず)によって把握された内容を、第1運転状況情報として取得する。
【0084】
〔第2通信部〕
第2通信部112aは、第2利用ユニット10a,10bと通信を行うためのものである。第2通信部112aは、第2利用ユニット10a,10bに対し第2運転制御情報を出力したり、第2利用ユニット10a,10bの現在の運転状況を示す第2運転状況情報を取得したりする。また、第2通信部112aは、第2利用ユニット10a,10bに設けられている温度センサ107a,107bの検知結果(つまり、対象空間sq内の温度Tr)を、各第2利用ユニット10a,10bを介して取得する。第2利用ユニット10aに対する第2運転制御情報としては、運転のオン及びオフ(つまり、サーモオフ及びサーモオン)の指示や、サーモオン及びサーモオフに関連する第2利用側流量調節弁102a,102bの開度制御指示、対象空間sq内へと吹き出される風量の強弱の制御指示、利用側ファン105aの駆動指示、温度センサ107aによる検知結果の出力指示等が挙げられる。また、第2利用ユニット10bに対する第2運転制御情報としては、利用側ファン105bの駆動指示や、温度センサ107bによる検知結果の出力指示等が挙げられる。第2運転状況情報としては、現在第2利用ユニット10a,10bそれぞれが現在運転を行っている状態であるのか、それとも運転を停止している状態であるのかといった情報の他、第2利用ユニット10a,10bそれぞれが行っている運転の種類を示す情報等が挙げられる。
【0085】
第2通信部112aが出力する第2運転制御情報は、第2利用ユニット制御部120a(後述)として機能する制御部115aにより決定される。第2通信部112aが出力した第2運転制御情報は、各第2利用ユニット10a,10bにおける制御部(図示せず)によって受信され、第2運転制御情報に基づき第2利用ユニット10a,10b(特に、第2利用ユニット10a)の各機器が制御されることになる。また、各第2利用ユニット10a,10bの現在の運転状況等は、各第2利用ユニット10a,10bにおける制御部(図示せず)によって把握され、第2通信部112aは、各第2利用ユニット10a,10bの制御部(図示せず)によって把握された内容を、第2運転状況情報として取得する。
【0086】
〔操作部〕
操作部113aは、ヒートポンプシステム1を利用するユーザによって各種設定がなされる際に用いられるものであって、図4に示すように、様々なボタンで構成されている。操作部113aは、ユーザによってボタンが押されることで各種設定がなされると、これを受け付ける。ユーザによってなされる各種設定としては、リモートコントローラ11aの接続先である第2利用ユニット10aの目標設定温度Toの変更や、第2利用ユニット10aが行う運転の種類の指示、運転停止指示や運転開始指示等が挙げられる。
【0087】
〔表示部〕
表示部114aは、液晶ディスプレイで構成されており、第2利用ユニット10aにおいて現在設定されている目標設定温度Toや(図4)、ユーザが操作部113aを介して各種設定を行う際の設定に関する情報等を表示することができる。
【0088】
特に、本実施形態に係る表示部114aは、図4に示すように、第1利用ユニット4aと連動して運転制御される第2利用ユニット10aを連動ユニットとして示す連動ユニット情報Inf1、及び当該連動ユニット(具体的には、第2利用ユニット10a)と第1利用ユニット4aとが現在連動して運転制御されているか否かを示す連動運転制御情報Inf2を表示することができる。ここで、図4では、第2利用ユニット10a,10bのうち第2利用ユニット10aが第1利用ユニット4aと連動して運転制御される場合の連動ユニット情報Inf1として、第2利用ユニット“10a”が連動ユニットである旨が表されている。また、図4では、連動ユニットである第2利用ユニット10aと第1利用ユニット4aとを制御部115aが連動して運転制御している状態時に表示される連動運転制御情報Inf2の一例を示している。
【0089】
〔制御部〕
制御部115aは、CPU及びRAMで構成されるマイクロコンピュータであって、図3に示すように、各通信部111a,112a、操作部113a、表示部114aと接続されている。制御部115aは、接続されたこれらの機器それぞれを制御する。特に、本実施形態に係る制御部115aは、接続されている第2利用ユニット10aの運転制御の他、各温度センサ107a,107bにより検知された温度Tr(つまり、検知結果)と第2利用ユニット10aの目標設定温度Toとに基づいて、第1利用ユニット4aの運転のオン及びオフを制御する。更に、制御部115aは、第2利用ユニット10aと第1利用ユニット4aとを連動して運転制御することができる。
【0090】
このような動作を行うため、制御部115aは、図3に示すように、通信制御部116a、モード把握部117a、温度差算出部118a、第1利用ユニット制御部119a、及び第2利用ユニット制御部120aとして機能する。
【0091】
−通信制御部−
通信制御部116aは、第1及び第2通信部111a,112aの通信制御を行う。
【0092】
例えば、通信制御部116aは、第1利用ユニット4aの第1運転状況情報及び各第2利用ユニット10a,10bの第2運転状況情報を、定期的(例えば5分毎)に第1通信部111a及び第2通信部112aに取得させる。
【0093】
また、通信制御部116aは、ヒートポンプシステム1が“給湯暖房モード”であって、かつ第2利用ユニット10a,10bのうち少なくとも1つが運転を停止している状態にある場合には、運転を停止している第2利用ユニット10a,10bに対し、利用側ファン105a,105bを所定時間(例えば1分程度)駆動させる旨の第2運転制御情報を、第2通信部112aに出力させる。そして、利用側ファン105a,105bが駆動を開始した旨の第2運転状況情報を第2通信部112aが取得すると、通信制御部116aは、温度センサ107a,107bそれぞれによって検知された対象空間sq内の最新の温度Trを、第2通信部112aに取得させる。
【0094】
また、通信制御部116aは、上記モード時に第2利用ユニット10a,10bが運転を行っている状態であれば、温度センサ107a,107bそれぞれによる検知結果の出力指示を定期的(例えば5分毎)に第2通信部112aに出力させると共に、当該センサ107a,107bによって検知された対象空間sq内の最新の温度Trを、第2通信部112aに取得させる。
【0095】
更に、通信制御部116aは、対象空間sq内の最新の温度Trに基づいて第1運転制御情報及び第2運転制御情報が第1利用ユニット制御部119a及び第2利用ユニット制御部120aそれぞれによって決定されれば、第1利用ユニット4a及び第2利用ユニット10aに対し、決定された第1運転制御情報及び第2運転制御情報を第1通信部111a及び第2通信部112aそれぞれに出力させる。
【0096】
−モード把握部−
モード把握部117aは、第1運転状況情報及び第2運転状況情報等に基づいて、ヒートポンプシステム1の現在のモードを把握する。例えば、第1運転状況情報が「第1利用ユニット4aが給湯運転を行っている」という情報であって、第2運転状況情報が「第2利用ユニット10a,10b全てが電源をオフしている」という情報であれば、モード把握部117aは、ヒートポンプシステム1の現在のモードが“給湯モード”であると把握する。また、第1運転状況情報が「第1利用ユニット4aが給湯運転を行っている」という情報であって、第2運転状況情報が「第2利用ユニット10a,10bの少なくとも1台が暖房運転を行っている」という情報であれば、モード把握部117aは、ヒートポンプシステム1の現在のモードが“給湯暖房モード”であると把握する。
【0097】
−温度差算出部−
温度差算出部118aは、第2通信部112aが温度センサ107a,107b全てから対象空間sq内の温度Trを取得すると、当該温度Trの平均値Tavを求める。次いで、温度差算出部118aは、第2利用ユニット10aの目標設定温度Toから当該平均値Tavを減算することで、第2利用ユニット10aの目標設定温度Toと当該平均値Tavとの差を温度差Txとして求める(Tx=To−Tav)。
【0098】
尚、本実施形態では、第2利用ユニット10aの目標設定温度Toから平均値Tavを減算することで温度差Txが求められる場合について説明するが、温度差Txは、平均値Tavから第2利用ユニット10aの目標設定温度Toを減算することで求められてもよい。
【0099】
−第1利用ユニット制御部−
第1利用ユニット制御部119aは、モード把握部117aによる把握結果と、温度差算出部118aによって求められた温度差Txとに基づいて、第1利用ユニット4aの運転をオン(サーモオン)またはオフ(サーモオフ)させるための第1運転制御情報を生成する。
【0100】
例えば、モード把握部117aによる把握結果が“給湯暖房モード”である場合を例に取る。先ず、第1利用ユニット制御部119aは、温度差Txと所定値Taとを比較する。ここで、所定値Taは、プラスの値であって、具体的には“1℃”や“2℃”等が挙げられる。温度差Txが所定値Ta以上であれば(Tx≧Ta)、目標設定温度Toに対し対象空間sq内の温度Trが全体的に比較的低い状態にあるということになるため(To>Tr)、第1利用ユニット制御部119aは、第1利用ユニット4aの運転をオン(サーモオン)の状態にする旨の第1運転制御情報を生成する。つまり、温度差Txが所定値Ta以上であれば、第1利用ユニット制御部119aは、第1利用ユニット4aが給湯運転を行うことで水媒体が加熱され、当該水媒体が温水暖房ユニット9aによる対象空間sq内の暖房に用いられるようにする。
【0101】
逆に、温度差Txが所定値Ta以下であれば(Tx≦Ta)、対象空間sq内の温度Trが全体的に目標設定温度Toに近いか、または目標設定温度Toよりも高い状態であるということになる(To≦Tr)。そのため、第1利用ユニット制御部119aは、第1利用ユニット4aによる給湯運転をオフ(サーモオフ)の状態にする旨の第1運転制御情報を生成する。ここで、温度差Txが所定値Taよりも低い場合としては、所定値Taが例えば“1℃”であるとした場合、温度差Txが1℃以下である場合が挙げられる他、温度差Txがマイナスの値である場合も挙げられる。つまり、温度差Txが所定値Ta以下であれば、第1利用ユニット制御部119aは、第1利用ユニット4aの給湯運転が停止されることで温水暖房ユニット9aによる対象空間sq内の暖房もオフされるようにする。
【0102】
上述のようにして生成された第1運転制御情報は、第1通信部111aによって第1利用ユニット4aに送られるが、第1利用ユニット4aの制御部(図示せず)によって各機器の制御に用いられることとなる。
【0103】
尚、第1利用ユニット4aの運転をオフ及びオフさせるための具体的な方法としては、例えば循環ポンプ43aをオフ及びオンにする方法や、第1利用側流量調節弁42aを閉じることによって、第1利用ユニット10aへと流れ込む冷媒の流れを止める方法等が挙げられる。
【0104】
また、本実施形態では、所定値Taがプラスの値である場合について説明した。しかし、所定値Taの値は、マイナスの値であってもよい。
【0105】
−第2利用ユニット制御部−
第2利用ユニット制御部120aは、モード把握部117aによる把握結果、及び温度差算出部118aによって求められた温度Tx等に基づいて、第2利用ユニット10aを運転制御するための第2運転制御情報を生成する。
【0106】
例えば、ヒートポンプシステム1が“給湯暖房モード”であって、温度差Txが所定値Ta以上であれば(Tx≧Ta)、第2利用ユニット制御部120aは、第2利用ユニット10aから対象空間sq内に供給される空調空気の量(風量)を現在よりも強めにする旨の第2運転制御情報を生成する。逆に、温度差Txが所定値Ta以下であれば(Tx≦Ta)、第2利用ユニット制御部120aは、第2利用ユニット10aから対象空間sq内に供給される空調空気の量を現在よりも弱めにする旨の第2運転制御情報を生成する。ここで、対象空間sq内へと供給される空調空気の量をどの程度強めるか、または弱めるかについては、温度差Txの値の大きさに応じて適宜決定される。例えば、温度差Txの値が大きい程、対象空間sq内へと供給される空調空気の量が強めに設定され、温度差Txの値が小さい程、当該空調空気の量が弱めに設定される。また、温度差Txがマイナスの値となれば(Tx<0)、対象空間sq内の温度Trが目標設定温度Toよりも高いことになるため、第2利用ユニット制御部120aは、第2利用ユニット10aの運転をオフする旨の第2運転制御情報を生成する。尚、第2利用ユニット10aの運転をオフするための具体的な方法としては、例えば第2利用側流量調節弁102aを閉じることによって、第2利用ユニット10aへと流れ込む冷媒の流れを止める方法等が挙げられる。
【0107】
上述したように、本実施形態においては、温度差Txが所定値Ta以上であれば(Tx≧Ta)、第2利用ユニット10aの暖房運転が強められるだけではなく第1利用ユニット4aがサーモオンされ、逆に温度差Txが所定値Ta以下であれば(Tx≦Ta)、第2利用ユニット10aの暖房運転が弱められるだけではなく第1利用ユニット4aがサーモオフされる。つまり、第1利用ユニット4aと第2利用ユニット10aとは、温度差Txに基づき連動制御される。
【0108】
更に、本実施形態に係る第2利用ユニット制御部120aは、ヒートポンプシステム1が“給湯暖房モード”であって、かつ温度検知対象の温度センサ107a,107bそれぞれを有している第2利用ユニット10a,10bの少なくとも1台が運転を停止している場合には、運転を停止している第2利用ユニット10a,10bの利用側ファン105a,105bを駆動させるための第2運転制御情報を生成する。具体的には、第2利用ユニット制御部120aは、モード把握部117aによる把握結果が“給湯暖房モード”である場合には、第2利用ユニット10a,10bからの各第2運転状況情報に基づき利用側ファン105a,105bが現在停止中である第2利用ユニット10a,10bを把握し、運転停止中にある利用側ファン105a,105bを所定時間(例えば、1分程度)駆動させる旨の第2運転制御情報を生成する。この制御は、利用側ファン105a,105bが停止していると、対象空間sq内の空気が第2利用ユニット10a,10bのケーシング(図示せず)内部に取り込まれないため、温度センサ107a,107bが現在の対象空間sq内の温度Trを検知することが困難となってしまうために行われる。つまり、間欠的に利用側ファン105a,105bを駆動させることにより、対象空間sq内の空気が第2利用ユニット10a,10bのケーシング(図示せず)内へと流れるため、温度センサ107a,107bは、現時点での対象空間sq内の温度Trを測定することが可能となる。
【0109】
上述した動作によって生成された第2運転制御情報は、第2通信部112aによって第2利用ユニット10aや第2利用ユニット10bに送られるが、第2利用ユニット10a,10bの制御部(図示せず)によって利用側ファン105a,105bの駆動制御等に用いられることとなる。
【0110】
(3)動作
次に、本実施形態に係るヒートポンプシステム1の動作について、図5及び図6を用いて説明する。尚、以下では、説明の便宜上、リモートコントローラ11aの制御部115aの各機能部を、まとめて“制御部115a”と表している。
【0111】
ステップS1〜S3:リモートコントローラ11aの制御部115aは、第1利用ユニット4aの第1運転状況情報及び第2利用ユニット10a,10bそれぞれの第2運転状況情報を取得し、各利用ユニット4a,10a,10bの現在の状況を把握することで、ヒートポンプシステム1のモードを確認する。ヒートポンプシステム1のモードが“給湯暖房モード”であって(S1のYes)、かつ第2利用ユニット10a,10bの少なくとも1つがたとえ一時的ではあったとしても現在は運転を停止している場合には(S2のYes)、制御部115aは、運転停止状態にある第2利用ユニット10a,10bの利用側ファン105a,105bを所定時間だけ駆動させる制御を行う(S3)。
【0112】
ステップS4:ステップS2において、ヒートポンプシステム1のモードは“給湯暖房モード”であるが、第2利用ユニット10a,10bは共に運転している状態である場合(S2のNo)、及びステップS3において、停止していた第2利用ユニット10a,10bの利用側ファン105a,105bが駆動開始した場合、各第2利用ユニット10a,10bの温度センサ107a,107bは、対象空間sq内の温度Trを検知し、リモートコントローラ11aの第2通信部112aは、これを取得する(S4)。
【0113】
ステップS5〜S7:第2通信部112aが第2利用ユニット10a,10b全てから温度Trを取得した場合(S5のYes)、制御部115aは、当該温度Tr全ての平均値Tavを算出する(S6)。そして、制御部115aは、連動ユニットである第2利用ユニット10aの目標設定温度Toから当該平均値Tavを減算することで、温度差Txを算出する(S7)。尚、ステップS5において、第2通信部112aが第2利用ユニット10a,10b全てから温度Trを取得していない場合には(S5のNo)、第2通信部112aが全ての温度センサ107a,107bから温度Trを検知するまで、ヒートポンプシステム1は、ステップS4の動作を繰り返す。
【0114】
ステップS8〜S10:ステップS7で求めた温度差Txが所定値Ta以下である場合には(S8のNo)、制御部115aは、第1利用ユニット4aの運転をオフ(サーモオフ)させる旨の第1運転制御情報を生成する(S9)。更に、制御部115aは、第2利用ユニット10aの暖房運転を弱めるか、または運転を停止させる旨の第2運転制御情報を生成する。逆に、温度差Txが所定値Ta以上である場合には(S8のYes)、制御部115aは、第1利用ユニット4aの運転をオン(サーモオン)させる旨の第1運転制御情報を生成する(S10)。更に、制御部115aは、第2利用ユニット10aの暖房運転を強める旨の第2運転制御情報を生成する。これにより、第1利用ユニット4aは、第1運転制御情報が第1利用ユニット4aの運転をオフさせる旨の内容であれば、サーモオフし、第1運転制御情報が第1利用ユニット4aの運転をオンさせる旨の内容であれば、サーモオンする。また、第2利用ユニット10aは、第1利用ユニット4aに連動して対象空間sq内への風量(空調空気の量)を強めにしたり弱めにしたりする。
【0115】
ステップS11:ヒートポンプシステム1は、ヒートポンプシステム1が“給湯暖房モード”である限り(S11のYes)、ステップS2以降の動作を繰り返し行う。ステップS1及びS11において、ヒートポンプシステム1のモードが“給湯暖房モード”でない場合(S1のNo,S11のNo)、ヒートポンプシステム1は、上述した一連の動作を終了する。ここで、ヒートポンプシステム1のモードが“給湯暖房モード”でない場合としては、ヒートポンプシステム1が完全にオフした状態であるか、“暖房モード”“冷房モード”等である場合が挙げられる。
【0116】
(4)効果
(A)
本実施形態に係るヒートポンプシステム1によると、第2利用ユニット10a,10b内の温度センサ107a,107bによって検知された対象空間sq内の温度Trと、第2利用ユニット10aの目標設定温度Toとに基づいて、第1利用ユニット4aの運転のオン及びオフが制御される。従って、第1利用ユニット4aが対象空間sq内の温度Trを検知できずとも、第1利用ユニット4aの制御には、第2利用ユニット10a,10b側で検知された温度Trが用いられるため、第1利用ユニット4aの運転制御を適切に行うことができる。
【0117】
(B)
1つの対象空間sq内に第2利用ユニット10a,10bが複数台設置されていると、各第2利用ユニット10a,10bの設置位置によっては、温度センサ107a,107bが検知する対象空間sq内の温度Trの値が異なる場合がある。この場合、どの温度センサ107a,107bが検知した温度Trを用いるかによって温度差Txが異なってくるため、第1利用ユニット4aの運転のオン及びオフの制御にも影響が及ぼされる。
【0118】
しかし、本実施形態に係るヒートポンプシステム1では、対象空間sq内における2台の第2利用ユニット10a,10bそれぞれの温度センサ107a,107bの検知結果(つまり、温度Tr)全てから当該温度Trの平均値Tavを求め、目標設定温度Toと当該平均値Tavとの温度差Txにより、第1利用ユニット4aの運転がオン及びオフされる。従って、温度センサ107a,107bが検知する温度Trの値が異なっているとしても、第1利用ユニット4aは、この温度Trの違いによる影響に左右されることなく、対象空間sq全体の平均温度Tavによって適切にオン及びオフされるようになる。
【0119】
(C)
また、本実施形態に係るヒートポンプシステム1では、第1利用ユニット4aがどの第2利用ユニット10aと連動して運転されるのかを示す連動ユニット情報Inf1、及びこの第2利用ユニット10a(即ち、連動ユニット)が現在第1利用ユニット4aと連動して運転しているか否かを示す連動運転制御情報Inf2が、表示部114aに表示される。これにより、当該システム1を利用するユーザは、表示部114a上に表示された連動ユニット情報Inf1及び連動運転制御情報Inf2から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0120】
(D)
特に、本実施形態では、連動ユニット情報Inf1及び連動運転制御情報Inf2が表示される表示部114aと、第1利用ユニット4a及び第2利用ユニット10aを制御する制御部115aとが、第1利用ユニット4aと連動制御される第2利用ユニット10a(つまり、連動ユニット)に接続されているリモートコントローラ11aに含まれている。これにより、当該ヒートポンプシステム1を利用するユーザは、リモートコントローラ11aの表示部上から、連動ユニットがどの第2利用ユニットであるのか、及び現在連動運転が行われているのか否かを知ることができる。
【0121】
(E)
第2利用ユニット10a,10bが運転停止状態である場合には、第2利用ユニット10a,10b内の利用側ファン105a,105bも駆動停止状態にある。そのため、第2利用ユニット10a,10bのケーシング(図示せず)内には対象空間sq内の空気が送り込まれず、温度センサ107a、107bは、現在の対象空間sq内の温度Trを検知することが困難となってしまう。
【0122】
しかし、本実施形態に係るヒートポンプシステム1では、給湯暖房モード時に第2利用ユニット10a,10bが運転停止状態である場合には、当該第2利用ユニット10a,10bの利用側ファン105a,105bを駆動させる。これにより、現在の対象空間sq内の空気が第2利用ユニット10a,10b内に送り込まれる空気の流れが形成されるため、温度センサ107a,107bは、現在の対象空間sq内の温度Trを検知することができるようになる。
【0123】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、第2利用ユニット10a,10bの温度センサ107a,107b全ての検知結果(つまり、温度Tr)を用いて温度差Txが算出される場合について説明した。以下の第2実施形態では、温度差Txの算出方法が上記第1実施形態とは異なる場合について説明する。
【0124】
図7は、第2実施形態に係るヒートポンプシステム200の構成を概略的に示す図である。図8は、第2実施形態に係るリモートコントローラ211aの構成を模式的に示す図である。図7に示すように、ヒートポンプシステム200は、熱源ユニット202、第1利用ユニット204a、貯湯ユニット208a、温水暖房ユニット209a、2台の第2利用ユニット210a,210b、温度センサ307a,307b及びリモートコントローラ211a,211b,211cを備える。第2利用ユニット210a,210bは、上記第1実施形態と同様、対象空間sq内に2台とも設置されており、当該対象空間sq内には、温水暖房ユニット209aも設置されている。
【0125】
リモートコントローラ211a,211b,211cは、接続されている各ユニット210a,210b,204a(209a)に関する各種設定や運転制御を遠隔で行う。特に、第2利用ユニット210aに接続されているリモートコントローラ211aは、第1実施形態のリモートコントローラ11aと同様、第2利用ユニット210aの運転制御のみではなく、第1利用ユニット204aの運転制御、第1利用ユニット204aと第2利用ユニット210aとの連動制御を行う。図8に示すように、リモートコントローラ211aは、第1通信部311a、第2通信部312a、操作部313a、表示部314a及び制御部315aを有しており、制御部315aは、通信制御部316a、モード把握部317a、温度差算出部318a、第1利用ユニット制御部319a、及び第2利用ユニット制御部320aとして機能する。
【0126】
尚、本実施形態に係るヒートポンプシステム200では、温度差Txの算出方法を除いては、上記第1実施形態と同様である。即ち、ヒートポンプシステム200の熱源ユニット202、第1利用ユニット204a、貯湯ユニット208a、温水暖房ユニット209a、第2利用ユニット210a,210b、温度センサ307a,307b及びリモートコントローラ211b,211cは、上記第1実施形態に係るヒートポンプシステム1の熱源ユニット2、第1利用ユニット4a、貯湯ユニット8a、温水暖房ユニット9a、第2利用ユニット10a,10b、温度センサ107a,107b及びリモートコントローラ11b,11cと同様の構成を有する。また、リモートコントローラ211aの第1通信部311a、第2通信部312a、操作部313a、表示部314a、制御部315aの機能であるモード把握部317a、第1利用ユニット制御部319aは、上記第1実施形態に係るリモートコントローラ11aの第1通信部111a、第2通信部112a、操作部113a、表示部114a、制御部115aの機能であるモード把握部117a、第1利用ユニット制御部119aと同様である。従って、以下では、本実施形態に係るリモートコントローラ211aの通信制御部316a、温度差算出部318a、及び第2利用ユニット制御部320aについて説明する。
【0127】
(1−1)通信制御部
通信制御部316aは、全ての温度センサ307a、307bの検知結果(つまり、温度Tr)を第2通信部312aに取得させるのではなく、対象空間sq内の第2利用ユニット210a,210bのうちいずれか1つにおける温度センサ307a,307bの検知結果を、第2通信部312aに取得させる。即ち、通信制御部316aは、2台の第2利用ユニット210a,210bの中から、対象空間sq内の温度Trの取得先とする1台の第2利用ユニット(本実施形態では、第2利用ユニット210aとする)を特定の第2利用ユニットとして決定しておき、特定の第2利用ユニット(つまり、第2利用ユニット210a)に設けられている温度センサ307aのみから、検知結果を取得する。ここで、特定の第2利用ユニットは、例えば第1利用ユニット204aとの距離関係や、対象空間sq内における第2利用ユニット210a,210bの設置位置等によって決定される。
【0128】
また、通信制御部316aは、第1実施形態に係る通信制御部116aと同様、各利用ユニット204a,210a,210bからの第1運転状況情報及び第2運転状況情報を各通信部311a,312aに取得させる。また、通信制御部316aは、温度Trの取得の際に特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aが運転を停止している場合には、第2利用ユニット210aに対し、利用側ファンを動かす旨の第2運転制御情報を第2通信部312aに出力させる。
【0129】
(1−2)温度差算出部
温度差算出部318aは、特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aの目標設定温度Toと、当該第2利用ユニット210aの温度センサ307aによって検知された温度Trとの差を温度差Txとして求める(Tx=To−Tr)。つまり、温度差算出部318aは、特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aの温度センサ307aによる検知結果を直接用いて温度差Txを求めるため、全ての第2利用ユニット210a,210bの温度センサ307a,307bにおける検知結果の平均値Tavを求める必要がない。
【0130】
尚、本実施形態では、第2利用ユニット210aの目標設定温度Toから温度Trを減算することで温度差Txが求められる場合について説明するが、温度差Txは、温度Trから第2利用ユニット210aの目標設定温度Toを減算することで求められてもよい。
【0131】
(1−3)第2利用ユニット制御部
第2利用ユニット制御部320aは、第1実施形態に係る第2利用ユニット制御部120aと同様、モード把握部317aによる把握結果及び温度差算出部318aによって求められた温度Tx等に基づいて、第2利用ユニット210aを運転制御するための第2運転制御情報を生成する。
【0132】
また、第2利用ユニット制御部320aは、ヒートポンプシステム200が“給湯暖房モード”であって、かつ特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aが運転を停止している場合には、第2利用ユニット210aの利用側ファンを駆動させるための第2運転制御情報を生成する。即ち、本実施形態では、特定の第2利用ユニット(第2利用ユニット210a)における温度センサ307aのみから検知結果を取得するため、第2利用ユニット制御部320aは、第2利用ユニット210aの利用側ファンのみを制御すればよく、全ての第2利用ユニット210a,210bの利用側ファンを制御する必要はない。
【0133】
(2)ヒートポンプシステムの動作
図9,10は、ヒートポンプシステム200の全体的な動作を示すフローチャートである。尚、以下では、図5,6と同様、リモートコントローラ211aの制御部315aの各機能部を、まとめて“制御部315a”と表すこととする。
【0134】
ステップS51〜S53:リモートコントローラ211aの制御部315aは、第1利用ユニット204aの第1運転状況情報及び第2利用ユニット210a,210bそれぞれの第2運転状況情報を取得し、各利用ユニット204a,210a,210bの現在の状況を把握することで、ヒートポンプシステム200のモードを確認する。ヒートポンプシステム200のモードが“給湯暖房モード”であって(S51のYes)、かつ特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aがたとえ一時的ではあったとしても現在は運転を停止している場合には(S52のYes)、制御部315aは、第2利用ユニット210aの利用側ファンを所定時間だけ駆動させる制御を行う(S53)。
【0135】
ステップS54:ステップS52において、ヒートポンプシステム1のモードは“給湯暖房モード”であるが、第2利用ユニット210aは運転している状態である場合(S52のNo)、及びステップS53において、第2利用ユニット210aの利用側ファンが駆動開始した場合、第2利用ユニット210aの温度センサ307aは、対象空間sq内の温度Trを検知し、リモートコントローラ211aの第2通信部312aは、これを取得する(S54)。
【0136】
ステップS55:制御部315aは、第2利用ユニット210aの目標設定温度ToからステップS54における温度Trを減算することで、温度差Txを算出する(S55)。
【0137】
ステップS56〜S10:ステップS55で求めた温度差Txが所定値Ta以下である場合には(S56のNo)、制御部315aは、第1利用ユニット204aの運転をオフ(サーモオフ)させる旨の第1運転制御情報を生成する(S57)。更に、制御部315aは、第2利用ユニット210aの暖房運転を弱めるか、または運転を停止させる旨の第2運転制御情報を生成する。逆に、温度差Txが所定値Ta以上である場合には(S56のYes)、制御部315aは、第1利用ユニット204aの運転をオン(サーモオン)させる旨の第1運転制御情報を生成する(S58)。更に、制御部315aは、第2利用ユニット210aの暖房運転を強める旨の第2運転制御情報を生成する。これにより、第1利用ユニット204aは、第1運転制御情報が第1利用ユニット204aの運転をオフさせる旨の内容であれば、サーモオフし、第1運転制御情報が第1利用ユニット204aの運転をオンさせる旨の内容であれば、サーモオンする。また、第2利用ユニット210aは、第1利用ユニット204aに連動して対象空間sq内への風量(空調空気の量)を強めにしたり弱めにしたりする。
【0138】
ステップS59:ヒートポンプシステム200は、ヒートポンプシステム200のモードが“給湯暖房モード”である限り(S59のYes)、ステップS52以降の動作を繰り返し行う。ステップS51及びS59において、ヒートポンプシステム200のモードが“給湯暖房モード”でない場合(S51のNo,S59のNo)、ヒートポンプシステム200は、上述した一連の動作を終了する。
【0139】
(3)効果
本実施形態に係るヒートポンプシステム200では、1つの対象空間sq内の2台の第2利用ユニット210a,210bのうち、特定の利用ユニットである第2利用ユニット210aに設けられている温度センサ307aの検知結果と、第2利用ユニット210aの目標設定温度Toとの温度差Txにより、第1利用ユニット204aの運転のオン及びオフが制御される。つまり、このシステム200では、特定の第2利用ユニットである第2利用ユニット210aにおける温度センサ307aによって検知された対象空間sq内の温度が、第1利用ユニット204aの運転制御に用いられる。従って、第1利用ユニット204aは、特定の第2利用ユニット210a付近の対象空間sq内の温度に応じて運転制御が行われるようになる。
【0140】
<その他の実施形態>
(a)
上記第1実施形態では、図4に示すように、リモートコントローラ11aの表示部114aには、連動ユニット情報Inf1と共に連動運転制御情報Inf2が表示される場合について説明した。しかし、リモートコントローラ11aの表示部114aに表示される情報は、連動ユニット情報Inf1及び連動運転制御情報Inf2のうちいずれか1つであってもよい。
【0141】
また、連動ユニット情報Inf1及び連動運転制御情報Inf2は、ヒートポンプシステムを利用するユーザが確認可能に表示されればよいため、リモートコントローラ11aの表示部114a以外に表示されてもよい。例えば、連動ユニット情報Inf1及び連動運転制御情報Inf2は、室内機である第2利用ユニット11a,11bのケーシングの正面に設けられた表示部(図示せず)に表示されてもよいし、温水暖房ユニット9aに接続されているリモートコントローラ11cの表示部に表示されてもよい。
【0142】
(b)
上記第1及び第2実施形態では、制御部115a,315aが、第1利用ユニット4a,204aと第2利用ユニット10a,210aとを連動して運転制御する場合について説明した。しかし、第1利用ユニットと連動して運転制御される第2利用ユニットは、1台のみに限定されない。第1利用ユニットは、対象空間sq内の第2利用ユニット全て(図1では第2利用ユニット10a,10b)と連動して運転制御されてもよい。
【0143】
(c)
上記第1及び第2実施形態では、ヒートポンプシステムが図2に示す構成の場合について説明した。しかし、本発明に係るヒートポンプシステムは、図11に示すような構成の場合にも適用することができる。
【0144】
図11に係るヒートポンプシステム400は、熱源ユニット2、第1利用ユニット4a、貯湯ユニット8a、温水暖房ユニット9a、第2利用ユニット10a,10b、温度センサ107a及びリモートコントローラ(図示せず)を備える。尚、第1利用ユニット4a以外は、図2と同様であるため、図2と同じ符号を付している。
【0145】
利用ユニット4aは、熱源側冷媒回路20の一部及び水媒体回路80aの一部を構成すると共に、利用側冷媒回路40aを構成している。熱源側冷媒回路20の一部及び水媒体回路80aの一部を構成する部分については、第1実施形態と同様である。
【0146】
利用側熱源回路40aは、図11に示すように、利用側圧縮機62a、冷媒−水熱交換器65a、冷媒−水熱交側流量調節弁66a及び第1利用側熱交換器41aが冷媒管71a、70a、72a、68a、69aを介して接続されることによって構成されている。
【0147】
利用側圧縮機62aは、利用側冷媒を圧縮するための機構であり、図2に係る熱源側圧縮機21と同様、密閉式圧縮機が採用されている。この利用側圧縮機62aは、利用側圧縮機モータ63aによって駆動され、利用側圧縮機モータ63aは、回転数(即ち、運転周波数)を可変可能に回転することができる。また、利用側圧縮機62aの吐出には、カスケード側吐出管70aが接続されており、利用側圧縮機62aの吸入には、カスケード側吸入管71aが接続されている。このカスケード側吸入管71a上には、アキュムレータ67aが接続されており、カスケード側吸入管71aは、第2カスケード側ガス冷媒管69aに接続されている。
【0148】
冷媒−水熱交換器65aは、利用側冷媒と水媒体との熱交換を行うことで利用側冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。冷媒−水熱交換器65aのうち、利用側冷媒が流れる流路の液側及びガス側には、カスケード側液冷媒管68a及び第1カスケード側ガス冷媒管72aがそれぞれ接続されている。また、冷媒−水熱交換器65aのうち、水媒体が流れる流路の入口側及び出口側には、第1利用側水入口管47a及び第1利用側水出口管48aがそれぞれ接続されている。尚、第1カスケード側ガス冷媒管72aは、カスケード側吐出管70aに接続されている。
【0149】
冷媒−水熱交側流量調節弁66aは、開度制御を行うことで冷媒−水熱交換器65aを流れる利用側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、カスケード側液冷媒管68aに設けられている。
【0150】
第1利用側熱交換器41aは、熱源側冷媒と利用側冷媒との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。第1利用側熱交換器41aのうち、熱源側冷媒が流れる流路の液側及びガス側には、第1利用側液冷媒管45a及び第1利用側吐出冷媒管46aがそれぞれ接続されている。第1利用側熱交換器41aのうち、利用側冷媒が流れる流路の液側及びガス側には、カスケード側液冷媒管68a及び第2カスケード側ガス冷媒管69aがそれぞれ接続されている。
【0151】
図2及び図7の構成において、上述した利用側熱源回路40aを加えた構成である第1利用ユニット4aは、第1利用側熱交換器41aを冷媒連絡管12から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能させることで、第1利用側熱交換器41aにおいて放熱した熱源側冷媒を冷媒連絡管13に導出し、第1利用側熱交換器41aにおける熱源側冷媒の放熱によって利用側冷媒回路40aを循環する利用側冷媒を加熱する。そして、第1利用ユニット4aは、この加熱された利用側冷媒が利用側圧縮機62aにおいて圧縮された後に、冷媒−水熱交換器65aにおいて放熱することによって水媒体を加熱する給湯運転を行うことが可能になっている。
【0152】
(d)
また、本発明に係るヒートポンプシステムは、図2や図11のように回路構成されたシステムに限定されず、図12のように回路構成されたシステムにおいても適用することができる。図12のシステムは、1台の熱源ユニット2に水媒体用の利用ユニット4a及び空気媒体用の利用ユニット10aが接続されており、さらに水媒体用の利用ユニット4aには床暖房等の暖房運転を行うことができる暖房装置9aが接続されている。また、図12においては図示してはいないが、図12のシステムの第2利用ユニット10a内には温度センサが設けられており、第2利用ユニット10aにはリモートコントローラが接続されている。
【0153】
尚、第2利用ユニット10aと暖房装置9aは、共に1つの対象空間内に設置されている。第2利用ユニット10aでは、第2利用側熱交換器101aにて熱交換された空調空気が、利用側ファン105aによって対象空間内へと供給される。第1利用ユニット4aでは、第1利用側熱交換器41aにおいて水媒体が加熱され、加熱後の水媒体は、暖房装置9aへと供給され、対象空間内の暖房に用いられる。
【0154】
(e)
上記第1及び第2実施形態、その他の実施形態(c)では、1つの対象空間sq内に第2利用ユニットが2台設けられている場合について説明した。しかし、対象空間sq内に設けられる第2利用ユニットの台数は、2台に限定されず、1台や3台以上であってもよい。一例として、図13では、図2の回路構成において第2利用ユニットが1台設けられた場合の概略構成を示しており(図13の第2利用ユニット10a)、図14では、図11の回路構成において第2利用ユニットが1台設けられた場合の概略構成を示している(図14の第2利用ユニット10a)。
【0155】
(f)
また、本発明に係るヒートポンプシステムでは、第1利用ユニットの台数についても1台に限定されず、複数台設けられていてもよい。一例として、図15では、図2の回路構成において第1利用ユニットが2台(図15の第1利用ユニット4a,4b)、第2利用ユニットが1台設けられた場合の概略構成を示している。図16では、図11の回路構成において第1利用ユニットが2台(図16の第1利用ユニット4a,4b)、第2利用ユニットが1台設けられた場合の概略構成を示している。このように、第1利用ユニットが複数台設けられる場合には、各第1利用ユニットは互いに並列に接続される。このような場合であっても、各第1利用ユニットは、第2利用ユニット内の温度センサによって検知された室内の温度と第2利用ユニットの目標設定温度とに基づいて運転のオン及びオフが制御される。そのため、第1利用ユニットの運転制御が適切に行われる。
【0156】
(g)
更に、本発明に係るヒートポンプシステムでは、第1及び利用ユニットそれぞれが複数台設けられていても良い。一例として、図17では、図2の回路構成において各利用ユニットが2台ずつ設けられた場合の概略構成を示しており(図17の利用ユニット4a,4b,10a,10b)、図18では、図11において各利用ユニットが2台ずつ設けられた場合の概略構成を示している(図18の利用ユニット4a,4b,10a,10b)。
【0157】
尚、図13〜図18では、温水暖房ユニット9a,209a、貯湯ユニット8a,208a及び水媒体回路80a等の詳細な図示を省略している。
【0158】
(h)
上記第1実施形態では、温度差Txが所定値Ta以上であれば、第1利用ユニット4aがサーモオンすると共に第2利用ユニット10aの風量が強められ、逆に温度差Txが所定値Ta以下であれば、第1利用ユニット4aがサーモオフすると共に第2利用ユニット10aの風量が弱められる場合について説明した。しかし、第2利用ユニットは、第1利用ユニットと同様に、温度差Txが所定値Ta以上であればサーモオンし、逆に温度差Txが所定値Ta以下であればサーモオフするように制御されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係るヒートポンプシステムは、第1利用ユニットの運転制御を適切に行うことができるという効果を有する。本発明に係るヒートポンプシステムは、1つの熱源ユニットに水媒体を加熱可能な第1利用ユニットと、空気媒体を利用して暖房を行う第2利用ユニットとが接続されており、加熱された水媒体が暖房に利用されるシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0160】
1 ヒートポンプシステム
2 熱源ユニット
4a 第1利用ユニット
8a 貯湯ユニット
9a 温水暖房ユニット
10a,10b 第2利用ユニット
11a,11b,11c リモートコントローラ
41a 第1利用側熱交換器
101a,101b 第2利用側熱交換器
105a,105b 利用側ファン
107a,107b 温度センサ
114a 表示部
115a 制御部
117a モード把握部
118a 温度算出部
119a 第1利用ユニット制御部
120a 第2利用ユニット制御部
Inf1 連動ユニット情報
Inf2 連動運転制御情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】
【特許文献1】特開2000−46417号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源ユニット(2,202)と、
前記熱源ユニット(2,202)に接続され、冷媒と水媒体との熱交換を行う第1利用側熱交換器(41a)を有する第1利用ユニット(4a,204a)と、
前記熱源ユニット(2,202)に接続され、冷媒と空気媒体との熱交換を行う第2利用側熱交換器(101a,101b)を有する第2利用ユニット(10a,10b,210a,210b)と、
前記第2利用ユニット(10a,10b,210a,210b)に設けられ、前記第1利用側熱交換器(41a)にて熱交換された水媒体及び前記第2利用側熱交換器(101a,101b)にて熱交換された空気媒体を利用して暖房が行われる対象空間の温度を検知する温度検知部(107a,107b,307a,307b)と、
前記温度検知部(107a,107b,307a,307b)の検知結果と前記第2利用ユニット(10a,10b,210a,210b)の目標設定温度とに基づいて、前記第1利用ユニット(4a,204a)の運転のオン及びオフを制御する制御部(115a,315a)と、
を備える、ヒートポンプシステム(1,200)。
【請求項2】
前記第2利用ユニット(10a,10b)は、1つの前記対象空間内に複数台設置されており、
前記制御部(115a)は、1つの前記対象空間内の前記第2利用ユニット(10a,10b)それぞれに設けられた前記温度検知部(107a,107b)の検知結果全ての平均値と前記目標設定温度との差を求め、その差を用いて前記第1利用ユニット(4a)の運転のオン及びオフを制御する、
請求項1に記載のヒートポンプシステム(1)。
【請求項3】
前記第2利用ユニット(210a,210b)は、1つの前記対象空間内に複数台設置されており、
前記制御部(315a)は、1つの前記対象空間内の前記第2利用ユニット(210a,210b)のうちいずれか1つにおける前記温度検知部(107a)の検知結果と前記目標設定温度との差を求め、その差を用いて前記第1利用ユニット(204a)の運転のオン及びオフを制御する、
請求項1に記載のヒートポンプシステム(200)。
【請求項4】
前記制御部(115a)は、1つの前記対象空間内の前記第2利用ユニット(10a,10b)のうち少なくとも1つと前記第1利用ユニット(4a)とを連動して運転制御可能であって、
前記第1利用ユニット(4a)と連動して運転制御される前記第2利用ユニット(10a)を連動ユニットとして示す連動ユニット情報、及び前記連動ユニットと前記第1利用ユニット(4a)とを前記制御部(115a)が現在連動して運転制御しているか否かを示す連動運転制御情報、の少なくとも1つを表示可能な表示部(114a)、
を更に備える、
請求項1〜3のいずれかに記載のヒートポンプシステム(1)。
【請求項5】
前記制御部(115a)及び前記表示部(114a)は、前記連動ユニットと接続されている制御装置(11a)に含まれている、
請求項4に記載のヒートポンプシステム(1)。
【請求項6】
前記第2利用ユニット(10a,10b,210a,210b)は、前記対象空間内の空気が前記第2利用ユニット(10a,10b,210a,210b)の内部へと流れる空気流を生成するファン(105a,105b)、を更に有しており、
前記制御部(115a,315a)は、前記第1利用側熱交換器(41a)にて熱交換された水媒体及び前記第2利用側熱交換器(101a,101b)にて熱交換された空気媒体を利用して対象空間に対し暖房が行われるモードであって、かつ温度検出対象の前記温度検知部(107a,107b,307a)が設けられている前記第2利用ユニット(10a,10b,210a)が運転を停止している場合には、運転を停止している前記第2利用ユニット(10a,10b,210a)の前記ファン(105a,105b)を駆動させ、
温度検出対象の前記温度検知部(107a,107b、307a)は、前記ファン(105a,105b)の駆動時に温度検知を行う、
請求項1〜5のいずれかに記載のヒートポンプシステム(1,200)。
【請求項7】
前記第1利用ユニット(4a,4b)が、並列に複数台設置されている、
請求項1〜6のいずれかに記載のヒートポンプシステム(1,200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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