ヒートポンプ温水暖房装置
【課題】施工性が高く、効率も向上でき、メンテナンス性にも優れ、コンパクトなヒートポンプ温水暖房装置を提供すること。
【解決手段】冷媒回路8と水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23とを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート21、前記熱媒戻りポート23を、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置。
【解決手段】冷媒回路8と水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23とを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート21、前記熱媒戻りポート23を、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水あるいは不凍液などの熱媒を加熱して暖房を行うことができるヒートポンプ温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートポンプ温水暖房装置は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧手段および蒸発器である蒸発器を環状に接続した冷凍回路と、この冷媒回路から冷媒の供給を受けて熱交換により水を加熱し温水へする前記水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器と接続されたシスターンタンクと、この温水を離れた箇所に供給する循環ポンプとを備え、室外機を水平仕切板で上下に分割して、その水平仕切板の上方に、シスターンタンクと循環ポンプと、温水ヘッダーが載置されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来のヒートポンプ温水暖房装置の室外機100の上面内観図と正面要部内観図を示すものである。
【0004】
水あるいは不凍液などの熱媒の補給と、膨張した水あるいは不凍液などの熱媒のバッファの役目をするシスターンタンク101と、温水を離れた所に設置した外部放熱器(床暖房やファンコンベクターなど)に供給する循環ポンプ102を備え、それらを全周を外装枠103で覆い、上下仕切板105で上下に分割したヒートポンプ装置104の上方に載置している。
【0005】
また、外部放熱器と配管を接続するための熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107も同じく水平仕切板105の上方で、側方に向いて配されている。また、ヒートポンプ装置104の右側方には、電源線などを収納する配管カバー108が設けられている。
【0006】
図13は、図12で示したヒートポンプ温水暖房装置の室外機100に熱媒を循環する配管109と外部放熱器110を接続した施工図であり、ヒートポンプ装置104の上後方に配した熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107と配管109を接続し、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100後方を通して、外部放熱器110とつないでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−144986号公報
【特許文献2】特開2010−169273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、特許文献2の構成では、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100の上方に、シスターンタンク101と循環ポンプ102を配するために、外装体が大きくなり、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100本体を設置する条件が限定されるという課題を有していた。
【0009】
また、熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107も上下仕切板105上方にあるために、熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107へ接続する配管109が長くなり、効率が低下する可能性があるという課題も有していた。
【0010】
本発明は上記課題を解決するもので、施工性が高く、効率も向上させたヒートポンプ温
水暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ温水暖房装置は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、施工性が高く、効率も向上させたヒートポンプ温水暖房装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図
【図2】同ヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図
【図3】同ヒートポンプ温水暖房装置の後方内斜視観図
【図4】同ヒートポンプ温水暖房装置の前方内観斜視図
【図5】(a)同ヒートポンプ温水暖房装置の前方外観斜視図(b)同ヒートポンプ温水暖房装置の後方外観斜視図
【図6】同ヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図
【図7】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工斜視図
【図8】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工斜視図
【図9】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図10】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図11】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図12】(a)従来のヒートポンプ温水暖房装置の内観上面図(b)従来のヒートポンプ温水暖房装置の正面図
【図13】従来のヒートポンプ温水暖房装置の外観施工図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置で、施工の際に、熱媒配管を熱媒往きポート、熱媒戻りポートに取り付けることが必要であるが、その部位が、後下方へ傾斜していることにより、接続される熱媒配管も、後下方へ傾斜して取り付けられる。
【0015】
そのため、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の蒸発器側に引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポートを熱媒戻りポートを後下方へ傾斜させて配し、熱媒配管もそれに準じて、後下方に配されることで、蒸発器背面を引き回す際に、蒸発器を塞ぐことが避けることができ、蒸発器を通過する空気量を、熱媒配管が、蒸発器の背面を通らない場合と同等に確保することができ、性能の低下を防ぐことで、省エネ効果のあるヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0016】
また、側方に熱媒往きポート、熱媒戻りポートを配していることで、熱媒配管の接続が
容易であり、施工性が向上し、施工時間の短縮化を図ることができる。特に、エアコンにて、冷媒配管を接続する箇所とほぼ同じであるために、エアコンの工事と同じ対応ができることで、習熟していない施工業者でも施工が容易になる。
【0017】
さらに、本体右側方には、電源線も接続されるために、メンテナンススペースとして側方の壁と一定の距離を確保することが必要となる。それに対して、右側方に熱媒配管の引き回しを行うことは、そのスペースの有効活用につながることとなる。
【0018】
第2の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ水平方向に対して、略10度傾斜させて配設したことを特徴とするもので、この傾斜が余りにも大きすぎると、接続される熱媒配管が下方へ向くために、設置下面との間隙が小さくなり、熱媒配管の曲げ半径が小さくなり、特に架橋ポリエチレンを用いている熱媒配管の場合、白化の可能性があり、長期にわたる場合に劣化して、亀裂の生じる可能性がある。
【0019】
また、この傾斜が10度より極端に小さい場合は、接続される熱媒配管が、略水平方向へ向くこととなり、本体背面を蒸発器側に回す際に、蒸発器を熱媒配管で塞ぐ可能性があり、その場合、流通する空気量が減じ、性能を低下させる恐れがある。そのため、約10度下方へ傾斜させるのが望ましい。
【0020】
第3の発明は、前記熱媒往きポートを前記外装体に対して外方に、前記熱媒戻りポートを前記外装体に対して内方に配設したことを特徴とするもので、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方向へ引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポートを熱媒戻りポートに対して外方に配していることで、背面を引き回す際には、熱媒往きポートから流出した高温の水あるいは不凍液などの熱媒が、外方を通り、外部熱交換器で熱交換されて、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒が、本体に近い、蒸発器に近い方を通り、熱媒戻りポートへと戻ってくる。
【0021】
そのため、蒸発器は、低温の状態となっており、それに対して、その低温の蒸発器から離して、高温の水あるいは不凍液などの熱媒を流す配管が配され、低温となった熱媒配管が内方になることで、熱媒配管の高温側は冷却されず、高温を維持して、外部放熱器へ送られ、外部放熱器で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒は、蒸発器に近い位置を通ることで、より低温となって水冷媒熱交換器に送られることで、COPをより向上することが可能となり、省エネ性をたかめることができる。
【0022】
第4の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートをそれぞれ複数個備え、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートごとに、前記外装体に対して、上下方向に並べて配設したことを特徴とするもので、縦に並べることで、熱媒往きポート、熱媒戻りポートに接臆される熱媒配管を本体下方にコンパクトに収納でき、熱媒配管の引き回しが容易になり施工性が向上する。
【0023】
また、熱媒往きポート、熱媒戻りポートを縦に並べ、それらを略水平に配することで、本体側方の下方に集中して、複数の熱媒往きポート、熱媒戻りポートを配することができる。特に、複数の熱媒配管を暖房用ヒートポンプ熱源機の室外機の左方向へ引き回す際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポート、熱媒戻りポートを縦に並べ、それらを略水平に配することで、本体側方の下方に集中していることで、コンパクトに下方に熱媒配管を並べることが可能となる。
【0024】
それにより、本体背面を熱媒配管を引き回す際に、熱交換を行う蒸発器を熱媒配管が塞がないように、引き回すことが可能となり、施工によって性能を悪化させることまなく、
容易に施工することができる。
【0025】
第5の発明は、前記熱媒を貯湯するタンクと、前記熱媒を循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプと前記タンクとを前記外装体の後方に突出させて配設したことを特徴とするもので、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方向へ引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の右側方に、後方に向かって熱媒配管を取り付け、その熱媒配管を本体後方に凸状に飛び出ている、後方外装板の下方を通すことで、熱媒配管上方に行くことを防ぐことが可能となり、熱媒配管が、蒸発器を塞ぐことを防ぐことができ、蒸発器を通過する空気量が減じて、性能が低下する、消費電力量が上がるなどを防ぐことができ、省エネ性に秀でたヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0026】
これは、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方に熱媒配管を引き回す例を示したが、右方に引き回す際は、蒸発器を塞がないので、特に問題とはならないし、後方へ引き回す場合も同等であり、性能面で問題となるのは右方向に熱媒配管を引き回す場合である。
【0027】
第6の発明は、前記熱媒往きポートを、熱動弁としたことを特徴とするもので、熱動弁は、使用される外部放熱器に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器にのみ、温水が流れるように制御されるものであり、外部放熱器の使用状況に応じて、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を流す、流さないの制御ができ、使用性、省エネ性が向上する。
【0028】
第7の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーは紫外線透過防止効果を有する樹脂としたことを特徴とするもので、一般的に熱媒配管としても用いられる架橋ポリエチレン管は、紫外線で劣化し、亀裂が生じる恐れがあるが、その架橋ポリエチレン管は、被覆材で覆っている。
【0029】
ところが、熱媒往きポート、熱媒戻りポートと架橋ポリエチレン管の接続部は、架橋ポリエチレンがむき出しになってしまう。それに対して、外方を覆う配管カバーを設け、それを樹脂の場合には紫外線透過防止効果を持たせることで、紫外線による劣化を防ぐことができ、長期間に渡り品質の安定したヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1、図2は本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図であり、図2は図1より部品を追加した状態での内観側面図である。また、図3は右後上方から見た内観斜視図、図4は右前上方から見た内観斜視図、図5は外観斜視図であり、上方が右後上方から見た外観斜視図、下方が右前上方から見た外観斜視図である。
【0032】
図6は、第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水暖房装置のヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図であり、この図6に記載した部品を組み入れてヒートポンプ温水暖房装置としているのが、図1〜図5である。
【0033】
また、図7は右後上方から見た施工斜視図、図8は図7より部品を取り付けた状態の右後上方施工斜視図である。図9も同じく施工側面図であり、図10は図9より部品を取り付けた状態の施工側面図である。
【0034】
まず、図6のヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図で説明を行う。
【0035】
1は循環される水あるいは不凍液などの熱媒を加熱するためのヒートポンプ温水暖房装置の室外機本体であり、2はヒートポンプ温水暖房装置の室外機1と熱媒配管3で接続された外部放熱器であり、図では床暖房などのパネル状の外部放熱器2としているが、パネルヒーターや、送風ファンを備えたファンコンベクターなどでも構わない。
【0036】
また、この熱媒配管3には、往きの熱媒往き配管3aと戻りの熱媒戻り配管3bがある。ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1で加熱された温水が、熱媒配管3(熱媒往き配管3a)を通り、外部放熱器2へと送られ、外部放熱器2の設置された居室を暖房するのが、温水暖房であり、ヒートポンプ温水暖房装置1はその熱源となるものである。
【0037】
このヒートポンプ熱源機の室外機1内に組み込まれている部品は、以下のようになっている。
【0038】
ヒートポンプ温水暖房装置1には、冷媒を圧縮、循環する圧縮機4、熱伝導率の高い銅管で構成された、水あるいは不凍液などの熱媒と冷媒の熱交換を行う水冷媒熱交換器5、減圧手段である膨張弁6、蒸発器である蒸発器7があり、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、減圧手段6、蒸発器7を順次環状に接続して閉回路を構成し、冷媒を循環させる冷媒回路8を構成している。
【0039】
9は蒸発器である蒸発器7に空気を搬送する送風ファンであり、蒸発器7の熱交換能力を促進している。
【0040】
水冷媒熱交換器5は、銅管で構成され、冷媒管5aを外方に配し、内方に水管5bを配した二重管構造の熱交換器であり、外方を冷媒が通過し、内方を水あるいは不凍液などの熱媒が冷媒の流れと逆方向から流入し流れ、冷媒と水あるいは不凍液などの熱媒が熱交換を行うようになっている。
【0041】
10は冷媒回路8の中で、水冷媒熱交換器5にロウ付けされて取り付けられた凝縮温センサー、11は圧縮機4の圧縮機吐出配管12に設けられた圧縮機出口温センサー、13は蒸発器7の空気熱交出口配管14に設けられた空気熱交出口温センサーである。
【0042】
一方、水冷媒熱交換器5に水あるいは不凍液などの熱媒を循環し、冷媒と熱交換を行うのが温水回路15である。
【0043】
16は、温水回路15内の水あるいは不凍液などの熱媒を強制的に循環する循環ポンプであり、水冷媒熱交換器5の上流側に配されている。17は、循環ポンプ16の上流に配されたシスターンタンクであり、そのシスターンタンク17には、シスターンタンク17に水あるいは不凍液などの熱媒を補給するために開口するキャップ18、シスターンタンク17内の水位を検出する水位センサー19が設けられている
20は、水冷媒熱交換器5で加熱された温水を外部放熱器2に送るために温水回路15の往き側の末端部に設けられた熱動弁であり、使用される外部放熱器2に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器2にのみ、温水が流れるように制御される。21は熱動弁20の先に設けられた、熱動弁と一体化されている熱媒往きポートであり、この熱媒往きポート21に熱媒配管3が接続される。全ての外部放熱器2が使用されない時は、熱動弁20は閉止されている。図7では、熱動弁20が4ケ使用している図となっているが、これは1ケの場合もあれば、もっと数量の多い場合もある。
【0044】
22は、温水回路15と、熱動弁20を接続した往きヘッダ管であり、温水回路15の
1箇所が、熱動弁20の数量に応じた複数個所へと分岐される。熱動弁20が一ケの場合は、そのまま熱動弁に接続されることとなる。
【0045】
23は、外部放熱器2で放熱されて、温度の低下した温水が温水回路15に戻ってくる際の熱媒戻りポートであり、この熱媒戻りポートの数量は、熱動弁20の数量と同じとなり、この図7では4ケとなっている。
【0046】
熱動弁20が1ケの場合、熱媒戻りポート23も1ケとなる。この熱媒戻りポート23には、戻りヘッダ24があり、熱媒戻りポート23の複数個所が、1箇所の温水回路15へと合流する。熱動弁20、熱媒戻りポート23が1ケの場合は、ヘッダ形状ではなく、そのまま接続される。
【0047】
25は、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサー、26は、水冷媒熱交換器5の出口側の水あるいは不凍液などの熱媒の温度を測定するための水冷媒熱交換器出口温センサーである。
【0048】
27は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の各種アクチュエーターやセンサーの制御を行う制御装置、28は使用者がヒートポンプ給湯機の室外機1の運転を行い、居室の温度などの各種設定を行うためのリモコンである。
【0049】
この図6のヒートポンプ温水暖房装置の冷凍回路及び温水回路図で示した部品をレイアウトしたヒートポンプ温水暖房装置が図1から図5であり、図1と図2は側面図、図3、図4は内観斜視図を示し、図5は外観斜視図を示しているまた、付与した番号は図7と同じである。
【0050】
図3、図4において、ヒートポンプ温水暖房装置1の最下部には底板29があり、この底板29の右方に圧縮機4が載置されている。水冷媒熱交換器5は冷媒管5aを外方に配し、外方に水管5bを配した二重管構造の熱交換器であり、コンパクトになるように螺旋形状で構成され、底板29上に載置されている。この冷媒管5aと水管5bの流体の流れは、対向流となっている。
【0051】
冷媒回路8に含まれる冷媒管5aにおいては、圧縮機4にて高圧まで圧縮されて吐出された高温の冷媒は最上部前面側から、水冷媒熱交換器5に圧縮機吐出配管12で結ばれている。
【0052】
水管5bにおいても、水は、最下部から上方へと加熱され、最上部前面側から、温水回路15へと導かれている。これは、高温になり密度の下がった水を、上部から導くことで、浮力も加えて、循環ポンプ16の動力を減ずることができるためである。また、水冷媒熱交換器5とつながっている、熱動弁20あるいは、熱媒戻りポート23を結ぶ温水回路15は、圧縮機4の前面を通してある。
【0053】
図4にある30は、水冷媒熱交換器5の断熱性を高めるために、発泡スチロールなどの断熱材で構成された放熱器断熱材であり、放熱器断熱材上30aと放熱器断熱材下30bで水冷媒熱交換器5を挟み込んだ形をしており、放熱器断熱材下30bは、底板29の平面部の凹凸部に係合するように底板29上に載置されている。
【0054】
31は、放熱器断熱材30の外上方に配されたカバー体あり、放熱器断熱材上30a、下30bの前後左右上面を覆う形になっている。ただし、ここではカバー体31として放熱器断熱材30と別部品を用いた構成を図示しているが、カバー体31を放熱器断熱材30と兼用することも可能である(図4では、水冷媒熱交換器5が見えるように、放熱器断
熱材30、カバー体31の一部をカットしている、実際にはこのようにカットされている形状ではない)。
【0055】
7は蒸発器である蒸発器であり、水冷媒熱交換器5の後横部を覆うようにL字状に折り曲げられた形をしており、底板29に載置されている。
【0056】
9は、蒸発器7の内方、カバー体31の上方に配された送風ファンであり、蒸発器7を強制的に空気を通過させ、空気と冷媒の熱交換を促進する。32は送風ファン9を駆動する送風モータ、33は送風モータ32を保持するモータ台であり、モータ台33は、カバー体31上面に固定されている。
【0057】
34は、送風ファン9、水冷媒熱交換器5の部分と、圧縮機4、減圧手段である膨張弁6の部分を隔離するための、仕切板である。
【0058】
制御装置27は、仕切版34の上方に載置されおり、この制御装置27から、右側方に電源線接続ターミナル35a、リモコン接続ターミナル35bが取り出されている。
【0059】
そして、ここまで記載した各種部品が、ヒートポンプ温水暖房装置本体1の外装体36に収納されている。この外装体は、図3の外観斜視図で示すが、底板29に取り付けられた、前方を覆う前板37、右側方及び右後方を覆う右側板38、左側方を覆う左側板39があり、前板37、右側板38、左側板39に載置されて上方を覆う天板40で構成されている。
【0060】
図1、図2において、熱動弁20は、外装体36の右側方、圧縮機4の右外方で、右側板38の外に飛び出た形で複数の熱動弁が縦に並ぶように配されている。もちろん熱動弁20が1ケの場合は、右側板38のが外に1ケ配されていることとなる。
【0061】
この熱動弁20は、水冷媒熱交換器5で加熱され、温水となった水あるいは不凍液などの熱媒を外部放熱器2へ熱媒配管3を通して、ヒートポンプ温水暖房装置1から送る際の通過部品となる。熱動弁20の先端には、熱媒往きポート21があり、熱動弁20、熱媒往きポート21を通過して、水あるいは不凍液などの熱媒は、熱媒配管3に送られる。(熱媒配管は図7参照)
また、熱動弁20の側内方で、同じく右側板38の外に飛び出た部分には、熱動弁20と略水平位置に、同じく縦に並んだ、熱媒戻りポート23が配されており、外部放熱器2で放熱され、低温となった、水あるいは不凍液などの熱媒を温水回路15へ戻って来る際の通過口の役目をしている。
【0062】
そして、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23の開口部分は、外装体36の後方に向かったている。
【0063】
そして、この熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23は、熱媒配管3と接続される接続部(開口部)を後方に向け、下方へ10度あるいはそれ以上傾斜させている。
【0064】
41は、熱動弁20と熱媒戻りポート23が取り付けられている、ポート取付具であり、このポート取付口41は底板29に固定されており、このポート取付具41の、熱動弁20、熱媒戻りポート23取付面が傾斜しており、その結果、熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23が、後下方に10度あるいはそれ以上傾斜することとなる。
【0065】
42はポート取付具41をカバーする形状となっているポート取付具カバーであり、ポート取付具41に保持されている。
【0066】
そして、このポート取付具41とポート取付具カバー42は、右側板38の外方に凸状に飛び出た形状で取り付けてある。
【0067】
そのため、熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23も、右側板38の外方に凸状に飛び出した位置に配されていることになる。
【0068】
このように、熱動弁20と熱媒戻りポート23、それらが取り付けられたポート取付具41、ポート取付具カバー42は、ヒートポンプ温水暖房装置の外装体36から側方にはみ出した箇所に配されていることとなる。
【0069】
22は熱動弁20に接続された往きヘッダ管であり、この往きヘッダ管22と、水冷媒熱交換器5の水管5bを接続した温水回路15である、熱動弁配管43であり、この熱動弁配管43には水冷媒熱交換器出口温センサー26が取り付けられている。
【0070】
17は、圧縮機4後方の右側板38の後方に飛び出した形状で設けられたシスターンタンクである。このシスターンタンク17の下面には、熱媒戻りポート23と一体化された戻りヘッダ管24に接続された戻りポート熱媒配管44が接続されており、外部放熱器2により、放熱され温度の低下した水あるいは不凍液などの熱媒が、シスターンタンク17に導かれることとなる。
【0071】
このシスターンタンク17は、低温から高温となり、体積が増した水あるいは不凍液などの熱媒の、体積膨張分を吸収する役目も持っている。特に体積膨張率の大きな不凍液を使用する際に、水あるいは不凍液などの熱媒が溢れないように容積が決めてある。
【0072】
18は、シスターンタンク17上方に設けられた、キャップであり、このキャップ18を外して水あるいは不凍液などの熱媒を補給する。また、このキャップ18には、一部に切れ込みがあり、シスターンタンク17内の上昇した圧力を逃がすこともできる。また、シスターンタンク17に規定以上の水あるいは不凍液などの熱媒が入れられた際は、このキャップ18より膨張した水あるいは不凍液などの熱媒が溢れることとなり、それを外方に逃がすこととしている。
【0073】
19は、シスターンタンク17に設けられた、水位センサーであり、シスターンタンク17内の水位を検知し、水位が下がると、警告を使用者に知らせ、リモコン28に表示することで、水あるいは不凍液などの熱媒の補給を使用者に促す。
【0074】
循環ポンプ16はシスターンタンク17の下方に配され、シスターンタンク17と同じく、圧縮機4後方の右側板38の背面に飛び出した形状で設けられている。
【0075】
45は、シスターンタンク17の下方から引き出された、ポンプ往き配管であり、このポンプ往き配管45は、シスターンタンク17の下方に配された循環ポンプ16と接続されており、上方から下方へと水あるいは不凍液などの熱媒が流通する形状となっている。つまり、シスターンタンク17、ポンプ往き配管45、循環ポンプ16はいずれも、圧縮機4後方の右側板38の背面に飛び出した位置に配されていることとなる。
循環ポンプ16は、温水回路15内を、温水が強制的に循環するように、運転を行う。
【0076】
そして、この循環ポンプ16は、水冷媒熱交換器5と、ポンプ出口配管46でつながっ
ており、このポンプ出口配管46に、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサー25が取り付けてある。
【0077】
図5は、外装体36を取り付けた状態の、ヒートポンプ温水暖房装置の外観斜視図である。前述した、循環ポンプ16、シスターンタンク17は、圧縮機4後方で、外装体36の右側板38後方に凸状に飛び出した、後方外装体47に覆われており、循環ポンプ16、シスターンタンク17に外部から水が浸入することを防いでいる。この後方外装体47は、後方底板47a、後方側板47b、後方上板47cで構成されている。
【0078】
シスターンタンク17下方に配された循環ポンプ16は、後方底板47aに固定された、ポンプ台48上に載置されている。このポンプ台48は、後方底板47aに固定されている。そして、このポンプ台48の上方に、防振ゴム49を取り付けて、この防振ゴム49上に、循環ポンプ16は載置されている。
【0079】
循環ポンプ16は、ポンプ往き配管34と、ポンプ出口配管46で上方に付勢されており、下方は防振ゴム48上に載置されているだけで、ビスで固定されるなどといった形態ではなく、自由度の高い保持構成で保持されている。
【0080】
図7の、ヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図で見れば、破線Aで囲まれた範囲が、圧縮機4側方のヒートポンプ温水暖房装置の室外機1右側方に凸状に張り出された部分であり、破線Bで囲まれた部分が、圧縮機後方である、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1後方にレイアウトされた、後方外装体47の内方に収められている部分となる。
【0081】
再び、図5に戻って、右側板38の右外方には、配管カバー50が設けられ、この配管かバー50内方の、右側板38に、ポート取付具41とポート取付具カバー42が取り付けられており、ポート取付具41に、熱動弁20と熱媒戻りポート23が取り付けられており、同じく外部から水が浸入することを防いでいる。
【0082】
また、配管カバー50は樹脂で構成された場合には、紫外線透過防止効果を持たせており、配管カバー内方に紫外線が侵入することを出来る限り防いでいる。この際の紫外線透過防止効果を持たせるために、熱可塑性樹脂の場合、酸化チタンや酸化亜鉛など紫外線吸収剤を分散させた樹脂がしばしば用いられる。それにより、紫外線透過率(Tuv)が、低くなり、紫外線遮蔽効果を有するものである。
【0083】
樹脂ではなくて、配管カバー50を板金で構成しても構わないこの場合は、板金なので、紫外線も可視光も透過はしない。
【0084】
この外装体36である前板37には、送風ファン9と同心円状の吹出し口37aがあり、この吹出し口37aには、送風ファン9と同心円状に内周面から径方向外方に向かって、略半円状に湾曲する絞り形状のベルマウス37bを設けている。
【0085】
このベルマウス37bは、送風ファン9を回転させ、送風ファン9上流にある蒸発器7から吸引して、送風ファン前方にある前板37の吹出し口37aから、吹出し風を放出することにより、熱交換を行っている。51は、送風ファン9からの吹出し風を通過させるための格子状の開口部を有する吹出しグリルであり、前板37の吹出し口37a前方に出っ張り状に設けられて、吹出し風を整流することで低騒音化を図るとともに、送風ファン9に手が触れないように保護の役割をしている。
【0086】
このヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に、熱媒配管3を取り付けた施工図が図7〜
図10であり、図8は図7に、配管カバー50を取り付けた斜視図であり、図10も図9に配管カバー50を取り付けた側面図である。
【0087】
52は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を載置し、100mm程度浮かして本体を保持する、ブロックベースであり、一般的にはコンクリートや、樹脂などでできている。
【0088】
53は、電源接続ターミナル35aとつなぎ、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に電源を供給する電源線、54はリモコン接続ターミナル35bと接続し、リモコン28に電源を供給し、データのやり取りを行うためのリモコン線である。
【0089】
3は、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に取り付けられた熱媒配管であり、この熱媒配管は、内部に架橋PE管となっており、その外方に被覆材として断熱材が設けられている。架橋ポリエチレン管の径としては、φ10が主として使用される。
【0090】
そして、この熱媒配管3を外部放熱器2と接続して、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1で加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を、熱媒往きポート21から、熱媒往き配管3aを通り、外部放熱器2へと送り、暖房を行い、そこで熱交換されて低温となった、水あるいは不凍液などの熱媒が、熱媒戻り配管3bを通り、熱媒戻りポート23へと戻され、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の中で、再度加熱されることとなり、この動作を繰り返すこととなる。
【0091】
熱媒往き配管3aは、ポート取付具41の外方に配されている熱動弁20と一体化された熱媒往きポート21に接続され、熱媒戻りポートは、ポート取付具41の内方に配されている、熱媒戻りポート23に接続される。
【0092】
熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23は、熱媒配管3と接続される接続部(開口部)を後方に向け、下方へ約10度傾斜させていることにより、それに接続される熱媒配管(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は、下方に約10度傾斜した状態で接続されることとなる。
その先の熱媒配管3は、右方、左方あるいはそのまま真っ直ぐ引き回され、外部放熱器2に接続されることとなる。
【0093】
その中で、図7では、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が本体背面を蒸発器7背面の右方向(本体を正面から見れば、左方向)に引き回した状態を記載してあるが、それと逆に左方向(本体正面から見れば右方向)の場合もあるし、そのまま真っ直ぐに引き回す場合もある。ぞのまま、真っ直ぐ引き回した例は、図11に記載している。
【0094】
ただ、図7の様に、本体正面から見て左方向への引き回しが、最も難しく、蒸発器7を塞いで、蒸発器7の面積が減じ、熱交換量が減り、効率が低下することを避けなくてはならない。
【0095】
この様に、施工の際は、熱媒配管3、電源線53、リモコン線54をヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に取り付けることが必要となる。
【0096】
その後、図8や図10の様に、配管カバー50を取り付けて、熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3bの接続部を配管カバー内に納めることが必要となる。
【0097】
図8は、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)や電源線53、リモコン
線54を取り付けた後、配管カバー50を取り付けた図である。この配管カバー50は紫外線透過防止効果があり、配管カバー50の内方の、熱媒配管3には紫外線が当らないようになっている。
【0098】
以下、図面に基づいて、上記ヒートポンプ温水暖房装置の動作を説明する。
【0099】
施工においては、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を、ブロックベース52に載置する。(それ以外の方法もあり、置き台に載置するなどもある)
次に、電源線53を、電源接続ターミナル35aとつなぎ、リモコン28とつながったリモコン線54をリモコン接続ターミナル35bと接続する。
【0100】
さらに、外部放熱器2と接続された熱媒往き配管3aを熱動弁20と一体化された、後下方に約10度傾斜している熱媒往きポート21と接続し、さらに熱媒戻り配管3bを熱媒往きポート21の略水平方向の内方に配された、同じく後下方に約10度傾斜している熱媒戻りポート23へと接続する。そのため、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は約10度下方に傾斜して接続され、その後所定の方向に引き回されることとなる。
【0101】
そして、熱媒配管3の接続後に、配管カバー50を取り付けて、接続部が配管カバー50により外部から見えなくなる。
【0102】
次に、シスターンタンク17のキャップ18を開けて、所定の量まで水あるいは不凍液などの熱媒を注入する。この際に、シスターンタンク17の下方に配された循環ポンプ16を動作させることで、水あるいは不凍液などの熱媒は、温水回路15、熱媒配管3、外部放熱器2と万遍に行渡らせる。
【0103】
これで施工が完了し、リモコン28での運転動作を行うと、運転が開始する。
【0104】
ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の運転は、リモコンで運転を開始すると、圧縮機4を動作し、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、圧縮機吐出管12を通り、水冷媒熱交換器5に送られ、循環ポンプ16により送られてきた水あるいは不凍液などの熱媒と熱交関して放熱する。これにより、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒は低温の熱媒から高温の熱媒となる。
【0105】
水冷媒熱交換器5から流出する冷媒は、減圧手段である膨張弁6にて減圧膨張され、蒸発器である蒸発器7に送られ、送風ファン9にて送られた空気と熱交換して、蒸発器である蒸発器7を通過する間に、蒸発してガス化する。このガス化した冷媒は、再度圧縮機4に吸入され、再度圧縮される過程を繰り返し、水冷媒熱交換器5を通過する低温の熱媒は徐々に加熱される。
【0106】
温水回路15に関しては、循環ポンプ16を運転することで、水冷媒熱交換器5において、冷媒回路8で加熱され水あるいは不凍液などの熱媒は、強制的に、往きヘッダ管22に送られ、この往きヘッダ管で22で複数個所(図では4箇所、これが1箇所で分岐されないケースもある)に分岐され熱動弁20に送られる。
【0107】
熱動弁20は、リモコン28で設定された外部放熱器2へと流れる箇所が開放され、それ以外の箇所は閉止されており、この熱動弁20、熱媒往きポート21を介して、ヒートポンプ温水暖房装置1の外部に取り付けられた熱媒往き配管3aを通り、外部放熱器2へと導かれる。外部放熱器2では放熱が行われ、外部放熱器2が設置された居室などを暖房する。
【0108】
外部放熱器2で放熱し、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒は、熱媒戻り配管3bを通り、熱媒往きポート21略水平方向の内方に配された熱媒戻りポート23へと流れてくる。熱媒戻りポート23、戻りヘッダ管24を通過して、戻りポート熱媒配管44を通り、シスターンタンク17の下面よりシスターンタンク17へと入ってくる。
【0109】
このシスターンタンク17には上方に空気層を有するように、一定量の水あるいは不凍液などの熱媒が入っている。その後、同じくシスターンタンク17の下面より、ポンプ往き配管45を通り、循環ポンプ16へと強制的に吸引され、循環ポンプ16にて強制的にポンプ出口配管46に送られ、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒は、水冷媒熱交換器5で加熱されて、再び外部放熱器2へと導かれる動作を繰り返すことで、外部放熱器2で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒で、居室の暖房が行われることとなる。
【0110】
この際に、まず施工において、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の右側方の凸状になった箇所に、後方に向かって約10度下方へ傾斜させた熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を取り付け、それに配管カバー50を取り付けることで、その工事は、エアコンの施工とほぼ同じとなる。(エアコンの場合は、室外機と室内機を接続した配管を同じ形で工事を行う)そのため、エアコンにて、冷媒配管を接続する箇所とほぼ同じであるために、エアコンの工事と同じ対応ができることで、習熟していない施工業者でも施工が容易になる。
【0111】
むしろ、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は、熱媒往きポート21、あるいは熱媒戻りポート23へ差込み、金具で固定する方法が一般的なために、工具が不要で、施工性はエアコンよりも容易になる。そのため、施工業者はエアコンと同じ要領でより簡単に作業を行うことができ、作業性が大幅に向上する。
【0112】
特に、施工の際には、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に取り付けることが必要であるが、その熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23が、側方に凸状になっているために、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)の接続が容易であり、施工性が向上し、施工時間の短縮化を図ることができる。
【0113】
熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の蒸発器背面へ引き回した際に、蒸発器7を熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が塞いでしまう恐れがあるが、図7、図8で示すように、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の右側方に、後方に向かって熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を下方に約10度傾斜させて取り付け、その熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を本体後方に凸状に飛び出ている後方外装体47の下方を通すことで、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が上方に行くことを防ぐことが可能となり、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が、蒸発器7を防ぐことができ、蒸発器7を通過する空気量が減じて、性能が低下する、消費電力量が上がるなどを防ぐことができ、省エネ性に秀でたヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0114】
その際に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が約10度下方に傾斜していることは、熱媒配管の曲げ半径が大きくすることが可能であることも意味している。ほぼ水平に出ていれば、本体後方の凸状に飛び出ている後方外装体47と当接してしまう可能性があるが、下方に傾斜させて熱媒配管3が出ているために、後方外装体47の下方を熱媒配管3を通すことが容易になるわけである。
【0115】
特に、熱媒配管3としては、このようなヒートポンプ温水暖房装置の場合、φ10の架橋ポリエチレン管が使用されるケースが多いが、この最小曲げ半径としてはR150以上が望ましい、ということに対して、R150以上を確保することが容易にでき、その結果、架橋ポリエチレン管に白化などが生じることこともなく、長期間に渡って劣化のない状態を満足する施工が可能となる。
【0116】
これは、図9、図10で示すように、側面図を見れば、熱媒配管3に無理な力がかかっておらず、スムーズに引き回せていることがわかる。
【0117】
これは、熱媒配管3を蒸発器7の背面を引き回した場合を説明したが、その反対を引き回す場合も、熱媒配管は、極力ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1が設置されている面に沿って引き回す方が、エクステリア面で優れている。それに対しても、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を下方に約10度傾斜させ、それに熱媒配管3を接続することで、設置面へスムーズに熱媒配管3が引き回せ、最小曲げ半径を所定以上を確保することが容易になる。
【0118】
また、熱媒配管3を真っ直ぐに配管した例を示したのが図11である。図11は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の後方に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を引き回した一例である。
【0119】
このような場合にしばしば見られるのは、床下換気口を用いて、熱媒配管を引き回し、住宅内の外部放熱器2に接続す方法であり、特に外部放熱器2が床暖房の場合は、よく用いられる。図11で、55は床下換気口であり、ここを熱媒配管3を通している。
【0120】
56は家屋の壁、57は基礎部分であり、基礎部分57の上に、ブロックベース52を置き、それにヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を載置し、熱媒配管3の施工を行っている。図11でわかるように、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を後下方に傾斜させていることで、熱媒配管3がスムーズに床下に引き回すことができ、熱媒配管3に無理な力が加わることもなく、簡単に施工が可能となることとなる。
【0121】
また、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の左方向へ引き回した際に、熱媒往きポート21を熱媒戻りポート23に対して外方に配していることで、背面を引き回す際には、熱媒往きポート21から流出した高温の水あるいは不凍液などの熱媒往き配管3aが、外方を通り、外部放熱器2で熱交換されて、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒が、熱媒戻り配管3bを通り、本体に近い、蒸発器7に近い方を通り、熱媒戻りポート23へと戻ってくる。
【0122】
蒸発器である蒸発器7は、低温の状態となっており、それに対して、その低温の蒸発器7から離して、高温の水あるいは不凍液などの熱媒を流す熱媒往き配管3aが配され、低温となった熱媒戻り配管3bが内方になることで、熱媒往き配管3aの高温側は冷却されず、高温を維持して、外部放熱器2へ送られ、外部放熱器2で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒は、蒸発器7に近い位置を通ることで、より低温となって水冷媒熱交換器に送られることで、COPをより向上することが可能となり、省エネ性を高めることができる。
【0123】
加えて、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23は複数備え(図1、図3では一例として4個となっている)、複数個ある熱媒往きポート21、前記熱媒戻りポート23を縦に並べて配置しておけておくことで、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3を本体下方にコンパクトに収納でき、熱媒配管3の引き回しが容易になり
施工性が向上する。
【0124】
また、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23を略水平方向に並べることで、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を略並行に引き回すことが可能となる。
【0125】
そのため、引き回しが容易になるとともに、特に、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1右側方にて極力下方に配しておけば、蒸発器7側に回した際にも、蒸発器7を塞ぐことがなく、性能を低下させないで、熱媒配管を引き回すことが可能となる。
【0126】
加えて、施工の際には、図6で示した様に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を取り付けた後に、図7の様に配管カバー50が取り付けられ、熱媒往きポート21や、熱媒戻りポート23は配管カバーで覆われることとなる。
【0127】
熱媒配管3には、主として、架橋ポリエチレン管が使用され、その架橋ポリエチレン管の外方に、被覆材として、断熱材が設けられている。架橋ポリエチレン管は太陽光線なおどの紫外線により劣化し、亀裂などが生じ、水漏れする恐れがあることが知られている。それに対して、この断熱材は断熱性能を高めるとともに、架橋ポリエチレン管を紫外線から保護する役目も持っている。
【0128】
ところが、熱媒往きポート21や熱媒戻りポート23と、架橋ポリエチレン管の接続部は、断熱材がない状態となる。それに対して、紫外線透過防止効果を有している配管カバー50を設けることで、その接続部を太陽光線から遮蔽することができ、劣化することを防ぎ、長期間にわたり品質の確保ができる施工とすることができる。そのためには、配管カバーは、樹脂の場合は紫外線透過防止剤を入れ、内方に紫外線が透過しないようにすることが望ましい。
【0129】
また、熱媒配管3の被覆材である断熱材が、ずれてしまい、架橋ポリエチレン管がむき出しになる可能性もある。その際にも、架橋ポリエチレン管が、配管カバー50内に納まっており、直接太陽光に曝され、紫外線が当ることを防ぐためにも、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を後下方に傾斜させていることは効果がある。
【0130】
つまり、図9と図10を比較すればわかるが、傾斜させていることで、配管かバー50内の熱媒配管3の断熱材を長くできるのである。図10に記載しているが、角度をθ傾斜させているとすれば、水平方向にLの長さが配管カバー50内に納まっているとすれば、後下方に傾斜させていることで、L×1/cosθの長さが、配管カバー50内に収納されていることとなり、水平方向に引き出した場合Lよりも長くすることができるのである。
【0131】
もちろん、上方向に傾斜させても同じと思われるかもしれないが、図11のように、床下に熱媒配管3を引き回す例が多いので、後下向きに傾斜させて、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を設けていることが効果があるのである。
【0132】
これは配管カバー50が樹脂の場合を説明したが、配管カバー50が板金で構成されている場合は、それだけで、紫外線を透過しないので、それでも構わない。
【0133】
さらに、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1本体右側方には、電源線接続ターミナル35aや、リモコン接続ターミナル35bに電源線53やリモコン28用のリモコン線54も接続されるために、メンテナンススペースとして側方の壁と一定の距離を確保するこ
とが必要となる。それに対して、右側方に熱媒配管の引き回しを行うことは、そのスペースの有効活用につながることとなる。
【0134】
また、熱媒往きポート21は、水あるいは不凍液などの熱媒の流通の開、閉を行う熱動弁20としていることで、熱動弁20は、使用される外部放熱器2に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器2にのみ、水あるいは不凍液などの熱媒が流れるように制御されるものであり、外部放熱器2の使用状況に応じて、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を流す、流さないの制御ができ、使用性、省エネ性が向上する。
【0135】
もちろん、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1のフォルムは、通常のエアコンから、後方に後方外装体47を設け、右側方に通常のエアコンでもある配管カバー50を設けた形なので、極端に大きくなることはない。そのため、コスト面でも上昇は抑えられ、コストダウンも可能である。
【0136】
また、ヒートポンプ温水暖房装置の本体1はベースとなるエアコンより、後方の後方外装体47が大きくなるが、投影面積は大きく変わらず、梱包容積も極端に増えることとなり、倉庫保管の際の、保管料のアップも最小に抑えられ、コストダウンも可能となる。
【0137】
以上のように、本発明は、ヒートポンプ温水暖房装置本体をなるべくコンパクトに維持しつつ、施工性の向上及び、性能を向上させるとともに、メンテナンス性を向上させるために、非常に有効であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上のように、本発明にかかるヒートポンプ温水暖房装置は、施工性が高く、効率も向上するため、床暖房あるいは温水暖房などの暖房機器の用いられる。
【符号の説明】
【0139】
2 外部放熱器
3 熱媒配管
4 圧縮機
5 水冷媒熱交換器
7 蒸発器
8 冷媒回路
9 送風ファン
15 温水回路
16 循環ポンプ
17 シスターンタンク
21 熱媒往きポート
23 熱媒戻りポート
36 外装体
47 後方外装体
【技術分野】
【0001】
本発明は、水あるいは不凍液などの熱媒を加熱して暖房を行うことができるヒートポンプ温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートポンプ温水暖房装置は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧手段および蒸発器である蒸発器を環状に接続した冷凍回路と、この冷媒回路から冷媒の供給を受けて熱交換により水を加熱し温水へする前記水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器と接続されたシスターンタンクと、この温水を離れた箇所に供給する循環ポンプとを備え、室外機を水平仕切板で上下に分割して、その水平仕切板の上方に、シスターンタンクと循環ポンプと、温水ヘッダーが載置されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来のヒートポンプ温水暖房装置の室外機100の上面内観図と正面要部内観図を示すものである。
【0004】
水あるいは不凍液などの熱媒の補給と、膨張した水あるいは不凍液などの熱媒のバッファの役目をするシスターンタンク101と、温水を離れた所に設置した外部放熱器(床暖房やファンコンベクターなど)に供給する循環ポンプ102を備え、それらを全周を外装枠103で覆い、上下仕切板105で上下に分割したヒートポンプ装置104の上方に載置している。
【0005】
また、外部放熱器と配管を接続するための熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107も同じく水平仕切板105の上方で、側方に向いて配されている。また、ヒートポンプ装置104の右側方には、電源線などを収納する配管カバー108が設けられている。
【0006】
図13は、図12で示したヒートポンプ温水暖房装置の室外機100に熱媒を循環する配管109と外部放熱器110を接続した施工図であり、ヒートポンプ装置104の上後方に配した熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107と配管109を接続し、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100後方を通して、外部放熱器110とつないでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−144986号公報
【特許文献2】特開2010−169273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、特許文献2の構成では、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100の上方に、シスターンタンク101と循環ポンプ102を配するために、外装体が大きくなり、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機100本体を設置する条件が限定されるという課題を有していた。
【0009】
また、熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107も上下仕切板105上方にあるために、熱媒往きポート106、熱媒戻りポート107へ接続する配管109が長くなり、効率が低下する可能性があるという課題も有していた。
【0010】
本発明は上記課題を解決するもので、施工性が高く、効率も向上させたヒートポンプ温
水暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ温水暖房装置は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、施工性が高く、効率も向上させたヒートポンプ温水暖房装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図
【図2】同ヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図
【図3】同ヒートポンプ温水暖房装置の後方内斜視観図
【図4】同ヒートポンプ温水暖房装置の前方内観斜視図
【図5】(a)同ヒートポンプ温水暖房装置の前方外観斜視図(b)同ヒートポンプ温水暖房装置の後方外観斜視図
【図6】同ヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図
【図7】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工斜視図
【図8】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工斜視図
【図9】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図10】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図11】同ヒートポンプ温水暖房装置の施工側面図
【図12】(a)従来のヒートポンプ温水暖房装置の内観上面図(b)従来のヒートポンプ温水暖房装置の正面図
【図13】従来のヒートポンプ温水暖房装置の外観施工図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置で、施工の際に、熱媒配管を熱媒往きポート、熱媒戻りポートに取り付けることが必要であるが、その部位が、後下方へ傾斜していることにより、接続される熱媒配管も、後下方へ傾斜して取り付けられる。
【0015】
そのため、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の蒸発器側に引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポートを熱媒戻りポートを後下方へ傾斜させて配し、熱媒配管もそれに準じて、後下方に配されることで、蒸発器背面を引き回す際に、蒸発器を塞ぐことが避けることができ、蒸発器を通過する空気量を、熱媒配管が、蒸発器の背面を通らない場合と同等に確保することができ、性能の低下を防ぐことで、省エネ効果のあるヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0016】
また、側方に熱媒往きポート、熱媒戻りポートを配していることで、熱媒配管の接続が
容易であり、施工性が向上し、施工時間の短縮化を図ることができる。特に、エアコンにて、冷媒配管を接続する箇所とほぼ同じであるために、エアコンの工事と同じ対応ができることで、習熟していない施工業者でも施工が容易になる。
【0017】
さらに、本体右側方には、電源線も接続されるために、メンテナンススペースとして側方の壁と一定の距離を確保することが必要となる。それに対して、右側方に熱媒配管の引き回しを行うことは、そのスペースの有効活用につながることとなる。
【0018】
第2の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ水平方向に対して、略10度傾斜させて配設したことを特徴とするもので、この傾斜が余りにも大きすぎると、接続される熱媒配管が下方へ向くために、設置下面との間隙が小さくなり、熱媒配管の曲げ半径が小さくなり、特に架橋ポリエチレンを用いている熱媒配管の場合、白化の可能性があり、長期にわたる場合に劣化して、亀裂の生じる可能性がある。
【0019】
また、この傾斜が10度より極端に小さい場合は、接続される熱媒配管が、略水平方向へ向くこととなり、本体背面を蒸発器側に回す際に、蒸発器を熱媒配管で塞ぐ可能性があり、その場合、流通する空気量が減じ、性能を低下させる恐れがある。そのため、約10度下方へ傾斜させるのが望ましい。
【0020】
第3の発明は、前記熱媒往きポートを前記外装体に対して外方に、前記熱媒戻りポートを前記外装体に対して内方に配設したことを特徴とするもので、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方向へ引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポートを熱媒戻りポートに対して外方に配していることで、背面を引き回す際には、熱媒往きポートから流出した高温の水あるいは不凍液などの熱媒が、外方を通り、外部熱交換器で熱交換されて、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒が、本体に近い、蒸発器に近い方を通り、熱媒戻りポートへと戻ってくる。
【0021】
そのため、蒸発器は、低温の状態となっており、それに対して、その低温の蒸発器から離して、高温の水あるいは不凍液などの熱媒を流す配管が配され、低温となった熱媒配管が内方になることで、熱媒配管の高温側は冷却されず、高温を維持して、外部放熱器へ送られ、外部放熱器で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒は、蒸発器に近い位置を通ることで、より低温となって水冷媒熱交換器に送られることで、COPをより向上することが可能となり、省エネ性をたかめることができる。
【0022】
第4の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートをそれぞれ複数個備え、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートごとに、前記外装体に対して、上下方向に並べて配設したことを特徴とするもので、縦に並べることで、熱媒往きポート、熱媒戻りポートに接臆される熱媒配管を本体下方にコンパクトに収納でき、熱媒配管の引き回しが容易になり施工性が向上する。
【0023】
また、熱媒往きポート、熱媒戻りポートを縦に並べ、それらを略水平に配することで、本体側方の下方に集中して、複数の熱媒往きポート、熱媒戻りポートを配することができる。特に、複数の熱媒配管を暖房用ヒートポンプ熱源機の室外機の左方向へ引き回す際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、熱媒往きポート、熱媒戻りポートを縦に並べ、それらを略水平に配することで、本体側方の下方に集中していることで、コンパクトに下方に熱媒配管を並べることが可能となる。
【0024】
それにより、本体背面を熱媒配管を引き回す際に、熱交換を行う蒸発器を熱媒配管が塞がないように、引き回すことが可能となり、施工によって性能を悪化させることまなく、
容易に施工することができる。
【0025】
第5の発明は、前記熱媒を貯湯するタンクと、前記熱媒を循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプと前記タンクとを前記外装体の後方に突出させて配設したことを特徴とするもので、熱媒往きポートと熱媒戻りポートに接続される熱媒配管を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方向へ引き回した際に、蒸発器を熱媒配管が塞いでしまう恐れがあるが、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の右側方に、後方に向かって熱媒配管を取り付け、その熱媒配管を本体後方に凸状に飛び出ている、後方外装板の下方を通すことで、熱媒配管上方に行くことを防ぐことが可能となり、熱媒配管が、蒸発器を塞ぐことを防ぐことができ、蒸発器を通過する空気量が減じて、性能が低下する、消費電力量が上がるなどを防ぐことができ、省エネ性に秀でたヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0026】
これは、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機の左方に熱媒配管を引き回す例を示したが、右方に引き回す際は、蒸発器を塞がないので、特に問題とはならないし、後方へ引き回す場合も同等であり、性能面で問題となるのは右方向に熱媒配管を引き回す場合である。
【0027】
第6の発明は、前記熱媒往きポートを、熱動弁としたことを特徴とするもので、熱動弁は、使用される外部放熱器に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器にのみ、温水が流れるように制御されるものであり、外部放熱器の使用状況に応じて、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を流す、流さないの制御ができ、使用性、省エネ性が向上する。
【0028】
第7の発明は、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーは紫外線透過防止効果を有する樹脂としたことを特徴とするもので、一般的に熱媒配管としても用いられる架橋ポリエチレン管は、紫外線で劣化し、亀裂が生じる恐れがあるが、その架橋ポリエチレン管は、被覆材で覆っている。
【0029】
ところが、熱媒往きポート、熱媒戻りポートと架橋ポリエチレン管の接続部は、架橋ポリエチレンがむき出しになってしまう。それに対して、外方を覆う配管カバーを設け、それを樹脂の場合には紫外線透過防止効果を持たせることで、紫外線による劣化を防ぐことができ、長期間に渡り品質の安定したヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1、図2は本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水暖房装置の内観側面図であり、図2は図1より部品を追加した状態での内観側面図である。また、図3は右後上方から見た内観斜視図、図4は右前上方から見た内観斜視図、図5は外観斜視図であり、上方が右後上方から見た外観斜視図、下方が右前上方から見た外観斜視図である。
【0032】
図6は、第1の実施の形態におけるヒートポンプ温水暖房装置のヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図であり、この図6に記載した部品を組み入れてヒートポンプ温水暖房装置としているのが、図1〜図5である。
【0033】
また、図7は右後上方から見た施工斜視図、図8は図7より部品を取り付けた状態の右後上方施工斜視図である。図9も同じく施工側面図であり、図10は図9より部品を取り付けた状態の施工側面図である。
【0034】
まず、図6のヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図で説明を行う。
【0035】
1は循環される水あるいは不凍液などの熱媒を加熱するためのヒートポンプ温水暖房装置の室外機本体であり、2はヒートポンプ温水暖房装置の室外機1と熱媒配管3で接続された外部放熱器であり、図では床暖房などのパネル状の外部放熱器2としているが、パネルヒーターや、送風ファンを備えたファンコンベクターなどでも構わない。
【0036】
また、この熱媒配管3には、往きの熱媒往き配管3aと戻りの熱媒戻り配管3bがある。ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1で加熱された温水が、熱媒配管3(熱媒往き配管3a)を通り、外部放熱器2へと送られ、外部放熱器2の設置された居室を暖房するのが、温水暖房であり、ヒートポンプ温水暖房装置1はその熱源となるものである。
【0037】
このヒートポンプ熱源機の室外機1内に組み込まれている部品は、以下のようになっている。
【0038】
ヒートポンプ温水暖房装置1には、冷媒を圧縮、循環する圧縮機4、熱伝導率の高い銅管で構成された、水あるいは不凍液などの熱媒と冷媒の熱交換を行う水冷媒熱交換器5、減圧手段である膨張弁6、蒸発器である蒸発器7があり、圧縮機4、水冷媒熱交換器5、減圧手段6、蒸発器7を順次環状に接続して閉回路を構成し、冷媒を循環させる冷媒回路8を構成している。
【0039】
9は蒸発器である蒸発器7に空気を搬送する送風ファンであり、蒸発器7の熱交換能力を促進している。
【0040】
水冷媒熱交換器5は、銅管で構成され、冷媒管5aを外方に配し、内方に水管5bを配した二重管構造の熱交換器であり、外方を冷媒が通過し、内方を水あるいは不凍液などの熱媒が冷媒の流れと逆方向から流入し流れ、冷媒と水あるいは不凍液などの熱媒が熱交換を行うようになっている。
【0041】
10は冷媒回路8の中で、水冷媒熱交換器5にロウ付けされて取り付けられた凝縮温センサー、11は圧縮機4の圧縮機吐出配管12に設けられた圧縮機出口温センサー、13は蒸発器7の空気熱交出口配管14に設けられた空気熱交出口温センサーである。
【0042】
一方、水冷媒熱交換器5に水あるいは不凍液などの熱媒を循環し、冷媒と熱交換を行うのが温水回路15である。
【0043】
16は、温水回路15内の水あるいは不凍液などの熱媒を強制的に循環する循環ポンプであり、水冷媒熱交換器5の上流側に配されている。17は、循環ポンプ16の上流に配されたシスターンタンクであり、そのシスターンタンク17には、シスターンタンク17に水あるいは不凍液などの熱媒を補給するために開口するキャップ18、シスターンタンク17内の水位を検出する水位センサー19が設けられている
20は、水冷媒熱交換器5で加熱された温水を外部放熱器2に送るために温水回路15の往き側の末端部に設けられた熱動弁であり、使用される外部放熱器2に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器2にのみ、温水が流れるように制御される。21は熱動弁20の先に設けられた、熱動弁と一体化されている熱媒往きポートであり、この熱媒往きポート21に熱媒配管3が接続される。全ての外部放熱器2が使用されない時は、熱動弁20は閉止されている。図7では、熱動弁20が4ケ使用している図となっているが、これは1ケの場合もあれば、もっと数量の多い場合もある。
【0044】
22は、温水回路15と、熱動弁20を接続した往きヘッダ管であり、温水回路15の
1箇所が、熱動弁20の数量に応じた複数個所へと分岐される。熱動弁20が一ケの場合は、そのまま熱動弁に接続されることとなる。
【0045】
23は、外部放熱器2で放熱されて、温度の低下した温水が温水回路15に戻ってくる際の熱媒戻りポートであり、この熱媒戻りポートの数量は、熱動弁20の数量と同じとなり、この図7では4ケとなっている。
【0046】
熱動弁20が1ケの場合、熱媒戻りポート23も1ケとなる。この熱媒戻りポート23には、戻りヘッダ24があり、熱媒戻りポート23の複数個所が、1箇所の温水回路15へと合流する。熱動弁20、熱媒戻りポート23が1ケの場合は、ヘッダ形状ではなく、そのまま接続される。
【0047】
25は、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサー、26は、水冷媒熱交換器5の出口側の水あるいは不凍液などの熱媒の温度を測定するための水冷媒熱交換器出口温センサーである。
【0048】
27は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の各種アクチュエーターやセンサーの制御を行う制御装置、28は使用者がヒートポンプ給湯機の室外機1の運転を行い、居室の温度などの各種設定を行うためのリモコンである。
【0049】
この図6のヒートポンプ温水暖房装置の冷凍回路及び温水回路図で示した部品をレイアウトしたヒートポンプ温水暖房装置が図1から図5であり、図1と図2は側面図、図3、図4は内観斜視図を示し、図5は外観斜視図を示しているまた、付与した番号は図7と同じである。
【0050】
図3、図4において、ヒートポンプ温水暖房装置1の最下部には底板29があり、この底板29の右方に圧縮機4が載置されている。水冷媒熱交換器5は冷媒管5aを外方に配し、外方に水管5bを配した二重管構造の熱交換器であり、コンパクトになるように螺旋形状で構成され、底板29上に載置されている。この冷媒管5aと水管5bの流体の流れは、対向流となっている。
【0051】
冷媒回路8に含まれる冷媒管5aにおいては、圧縮機4にて高圧まで圧縮されて吐出された高温の冷媒は最上部前面側から、水冷媒熱交換器5に圧縮機吐出配管12で結ばれている。
【0052】
水管5bにおいても、水は、最下部から上方へと加熱され、最上部前面側から、温水回路15へと導かれている。これは、高温になり密度の下がった水を、上部から導くことで、浮力も加えて、循環ポンプ16の動力を減ずることができるためである。また、水冷媒熱交換器5とつながっている、熱動弁20あるいは、熱媒戻りポート23を結ぶ温水回路15は、圧縮機4の前面を通してある。
【0053】
図4にある30は、水冷媒熱交換器5の断熱性を高めるために、発泡スチロールなどの断熱材で構成された放熱器断熱材であり、放熱器断熱材上30aと放熱器断熱材下30bで水冷媒熱交換器5を挟み込んだ形をしており、放熱器断熱材下30bは、底板29の平面部の凹凸部に係合するように底板29上に載置されている。
【0054】
31は、放熱器断熱材30の外上方に配されたカバー体あり、放熱器断熱材上30a、下30bの前後左右上面を覆う形になっている。ただし、ここではカバー体31として放熱器断熱材30と別部品を用いた構成を図示しているが、カバー体31を放熱器断熱材30と兼用することも可能である(図4では、水冷媒熱交換器5が見えるように、放熱器断
熱材30、カバー体31の一部をカットしている、実際にはこのようにカットされている形状ではない)。
【0055】
7は蒸発器である蒸発器であり、水冷媒熱交換器5の後横部を覆うようにL字状に折り曲げられた形をしており、底板29に載置されている。
【0056】
9は、蒸発器7の内方、カバー体31の上方に配された送風ファンであり、蒸発器7を強制的に空気を通過させ、空気と冷媒の熱交換を促進する。32は送風ファン9を駆動する送風モータ、33は送風モータ32を保持するモータ台であり、モータ台33は、カバー体31上面に固定されている。
【0057】
34は、送風ファン9、水冷媒熱交換器5の部分と、圧縮機4、減圧手段である膨張弁6の部分を隔離するための、仕切板である。
【0058】
制御装置27は、仕切版34の上方に載置されおり、この制御装置27から、右側方に電源線接続ターミナル35a、リモコン接続ターミナル35bが取り出されている。
【0059】
そして、ここまで記載した各種部品が、ヒートポンプ温水暖房装置本体1の外装体36に収納されている。この外装体は、図3の外観斜視図で示すが、底板29に取り付けられた、前方を覆う前板37、右側方及び右後方を覆う右側板38、左側方を覆う左側板39があり、前板37、右側板38、左側板39に載置されて上方を覆う天板40で構成されている。
【0060】
図1、図2において、熱動弁20は、外装体36の右側方、圧縮機4の右外方で、右側板38の外に飛び出た形で複数の熱動弁が縦に並ぶように配されている。もちろん熱動弁20が1ケの場合は、右側板38のが外に1ケ配されていることとなる。
【0061】
この熱動弁20は、水冷媒熱交換器5で加熱され、温水となった水あるいは不凍液などの熱媒を外部放熱器2へ熱媒配管3を通して、ヒートポンプ温水暖房装置1から送る際の通過部品となる。熱動弁20の先端には、熱媒往きポート21があり、熱動弁20、熱媒往きポート21を通過して、水あるいは不凍液などの熱媒は、熱媒配管3に送られる。(熱媒配管は図7参照)
また、熱動弁20の側内方で、同じく右側板38の外に飛び出た部分には、熱動弁20と略水平位置に、同じく縦に並んだ、熱媒戻りポート23が配されており、外部放熱器2で放熱され、低温となった、水あるいは不凍液などの熱媒を温水回路15へ戻って来る際の通過口の役目をしている。
【0062】
そして、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23の開口部分は、外装体36の後方に向かったている。
【0063】
そして、この熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23は、熱媒配管3と接続される接続部(開口部)を後方に向け、下方へ10度あるいはそれ以上傾斜させている。
【0064】
41は、熱動弁20と熱媒戻りポート23が取り付けられている、ポート取付具であり、このポート取付口41は底板29に固定されており、このポート取付具41の、熱動弁20、熱媒戻りポート23取付面が傾斜しており、その結果、熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23が、後下方に10度あるいはそれ以上傾斜することとなる。
【0065】
42はポート取付具41をカバーする形状となっているポート取付具カバーであり、ポート取付具41に保持されている。
【0066】
そして、このポート取付具41とポート取付具カバー42は、右側板38の外方に凸状に飛び出た形状で取り付けてある。
【0067】
そのため、熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23も、右側板38の外方に凸状に飛び出した位置に配されていることになる。
【0068】
このように、熱動弁20と熱媒戻りポート23、それらが取り付けられたポート取付具41、ポート取付具カバー42は、ヒートポンプ温水暖房装置の外装体36から側方にはみ出した箇所に配されていることとなる。
【0069】
22は熱動弁20に接続された往きヘッダ管であり、この往きヘッダ管22と、水冷媒熱交換器5の水管5bを接続した温水回路15である、熱動弁配管43であり、この熱動弁配管43には水冷媒熱交換器出口温センサー26が取り付けられている。
【0070】
17は、圧縮機4後方の右側板38の後方に飛び出した形状で設けられたシスターンタンクである。このシスターンタンク17の下面には、熱媒戻りポート23と一体化された戻りヘッダ管24に接続された戻りポート熱媒配管44が接続されており、外部放熱器2により、放熱され温度の低下した水あるいは不凍液などの熱媒が、シスターンタンク17に導かれることとなる。
【0071】
このシスターンタンク17は、低温から高温となり、体積が増した水あるいは不凍液などの熱媒の、体積膨張分を吸収する役目も持っている。特に体積膨張率の大きな不凍液を使用する際に、水あるいは不凍液などの熱媒が溢れないように容積が決めてある。
【0072】
18は、シスターンタンク17上方に設けられた、キャップであり、このキャップ18を外して水あるいは不凍液などの熱媒を補給する。また、このキャップ18には、一部に切れ込みがあり、シスターンタンク17内の上昇した圧力を逃がすこともできる。また、シスターンタンク17に規定以上の水あるいは不凍液などの熱媒が入れられた際は、このキャップ18より膨張した水あるいは不凍液などの熱媒が溢れることとなり、それを外方に逃がすこととしている。
【0073】
19は、シスターンタンク17に設けられた、水位センサーであり、シスターンタンク17内の水位を検知し、水位が下がると、警告を使用者に知らせ、リモコン28に表示することで、水あるいは不凍液などの熱媒の補給を使用者に促す。
【0074】
循環ポンプ16はシスターンタンク17の下方に配され、シスターンタンク17と同じく、圧縮機4後方の右側板38の背面に飛び出した形状で設けられている。
【0075】
45は、シスターンタンク17の下方から引き出された、ポンプ往き配管であり、このポンプ往き配管45は、シスターンタンク17の下方に配された循環ポンプ16と接続されており、上方から下方へと水あるいは不凍液などの熱媒が流通する形状となっている。つまり、シスターンタンク17、ポンプ往き配管45、循環ポンプ16はいずれも、圧縮機4後方の右側板38の背面に飛び出した位置に配されていることとなる。
循環ポンプ16は、温水回路15内を、温水が強制的に循環するように、運転を行う。
【0076】
そして、この循環ポンプ16は、水冷媒熱交換器5と、ポンプ出口配管46でつながっ
ており、このポンプ出口配管46に、水冷媒熱交換器5に入る温水の温度を測定する水冷媒熱交換器入口温センサー25が取り付けてある。
【0077】
図5は、外装体36を取り付けた状態の、ヒートポンプ温水暖房装置の外観斜視図である。前述した、循環ポンプ16、シスターンタンク17は、圧縮機4後方で、外装体36の右側板38後方に凸状に飛び出した、後方外装体47に覆われており、循環ポンプ16、シスターンタンク17に外部から水が浸入することを防いでいる。この後方外装体47は、後方底板47a、後方側板47b、後方上板47cで構成されている。
【0078】
シスターンタンク17下方に配された循環ポンプ16は、後方底板47aに固定された、ポンプ台48上に載置されている。このポンプ台48は、後方底板47aに固定されている。そして、このポンプ台48の上方に、防振ゴム49を取り付けて、この防振ゴム49上に、循環ポンプ16は載置されている。
【0079】
循環ポンプ16は、ポンプ往き配管34と、ポンプ出口配管46で上方に付勢されており、下方は防振ゴム48上に載置されているだけで、ビスで固定されるなどといった形態ではなく、自由度の高い保持構成で保持されている。
【0080】
図7の、ヒートポンプ温水暖房装置の冷媒回路、温水回路図で見れば、破線Aで囲まれた範囲が、圧縮機4側方のヒートポンプ温水暖房装置の室外機1右側方に凸状に張り出された部分であり、破線Bで囲まれた部分が、圧縮機後方である、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1後方にレイアウトされた、後方外装体47の内方に収められている部分となる。
【0081】
再び、図5に戻って、右側板38の右外方には、配管カバー50が設けられ、この配管かバー50内方の、右側板38に、ポート取付具41とポート取付具カバー42が取り付けられており、ポート取付具41に、熱動弁20と熱媒戻りポート23が取り付けられており、同じく外部から水が浸入することを防いでいる。
【0082】
また、配管カバー50は樹脂で構成された場合には、紫外線透過防止効果を持たせており、配管カバー内方に紫外線が侵入することを出来る限り防いでいる。この際の紫外線透過防止効果を持たせるために、熱可塑性樹脂の場合、酸化チタンや酸化亜鉛など紫外線吸収剤を分散させた樹脂がしばしば用いられる。それにより、紫外線透過率(Tuv)が、低くなり、紫外線遮蔽効果を有するものである。
【0083】
樹脂ではなくて、配管カバー50を板金で構成しても構わないこの場合は、板金なので、紫外線も可視光も透過はしない。
【0084】
この外装体36である前板37には、送風ファン9と同心円状の吹出し口37aがあり、この吹出し口37aには、送風ファン9と同心円状に内周面から径方向外方に向かって、略半円状に湾曲する絞り形状のベルマウス37bを設けている。
【0085】
このベルマウス37bは、送風ファン9を回転させ、送風ファン9上流にある蒸発器7から吸引して、送風ファン前方にある前板37の吹出し口37aから、吹出し風を放出することにより、熱交換を行っている。51は、送風ファン9からの吹出し風を通過させるための格子状の開口部を有する吹出しグリルであり、前板37の吹出し口37a前方に出っ張り状に設けられて、吹出し風を整流することで低騒音化を図るとともに、送風ファン9に手が触れないように保護の役割をしている。
【0086】
このヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に、熱媒配管3を取り付けた施工図が図7〜
図10であり、図8は図7に、配管カバー50を取り付けた斜視図であり、図10も図9に配管カバー50を取り付けた側面図である。
【0087】
52は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を載置し、100mm程度浮かして本体を保持する、ブロックベースであり、一般的にはコンクリートや、樹脂などでできている。
【0088】
53は、電源接続ターミナル35aとつなぎ、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に電源を供給する電源線、54はリモコン接続ターミナル35bと接続し、リモコン28に電源を供給し、データのやり取りを行うためのリモコン線である。
【0089】
3は、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に取り付けられた熱媒配管であり、この熱媒配管は、内部に架橋PE管となっており、その外方に被覆材として断熱材が設けられている。架橋ポリエチレン管の径としては、φ10が主として使用される。
【0090】
そして、この熱媒配管3を外部放熱器2と接続して、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1で加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を、熱媒往きポート21から、熱媒往き配管3aを通り、外部放熱器2へと送り、暖房を行い、そこで熱交換されて低温となった、水あるいは不凍液などの熱媒が、熱媒戻り配管3bを通り、熱媒戻りポート23へと戻され、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の中で、再度加熱されることとなり、この動作を繰り返すこととなる。
【0091】
熱媒往き配管3aは、ポート取付具41の外方に配されている熱動弁20と一体化された熱媒往きポート21に接続され、熱媒戻りポートは、ポート取付具41の内方に配されている、熱媒戻りポート23に接続される。
【0092】
熱動弁20と、熱動弁20と一体となった熱媒往きポート21、さらにその内方に配された熱媒戻りポート23は、熱媒配管3と接続される接続部(開口部)を後方に向け、下方へ約10度傾斜させていることにより、それに接続される熱媒配管(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は、下方に約10度傾斜した状態で接続されることとなる。
その先の熱媒配管3は、右方、左方あるいはそのまま真っ直ぐ引き回され、外部放熱器2に接続されることとなる。
【0093】
その中で、図7では、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が本体背面を蒸発器7背面の右方向(本体を正面から見れば、左方向)に引き回した状態を記載してあるが、それと逆に左方向(本体正面から見れば右方向)の場合もあるし、そのまま真っ直ぐに引き回す場合もある。ぞのまま、真っ直ぐ引き回した例は、図11に記載している。
【0094】
ただ、図7の様に、本体正面から見て左方向への引き回しが、最も難しく、蒸発器7を塞いで、蒸発器7の面積が減じ、熱交換量が減り、効率が低下することを避けなくてはならない。
【0095】
この様に、施工の際は、熱媒配管3、電源線53、リモコン線54をヒートポンプ温水暖房装置の室外機1に取り付けることが必要となる。
【0096】
その後、図8や図10の様に、配管カバー50を取り付けて、熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3bの接続部を配管カバー内に納めることが必要となる。
【0097】
図8は、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)や電源線53、リモコン
線54を取り付けた後、配管カバー50を取り付けた図である。この配管カバー50は紫外線透過防止効果があり、配管カバー50の内方の、熱媒配管3には紫外線が当らないようになっている。
【0098】
以下、図面に基づいて、上記ヒートポンプ温水暖房装置の動作を説明する。
【0099】
施工においては、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を、ブロックベース52に載置する。(それ以外の方法もあり、置き台に載置するなどもある)
次に、電源線53を、電源接続ターミナル35aとつなぎ、リモコン28とつながったリモコン線54をリモコン接続ターミナル35bと接続する。
【0100】
さらに、外部放熱器2と接続された熱媒往き配管3aを熱動弁20と一体化された、後下方に約10度傾斜している熱媒往きポート21と接続し、さらに熱媒戻り配管3bを熱媒往きポート21の略水平方向の内方に配された、同じく後下方に約10度傾斜している熱媒戻りポート23へと接続する。そのため、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は約10度下方に傾斜して接続され、その後所定の方向に引き回されることとなる。
【0101】
そして、熱媒配管3の接続後に、配管カバー50を取り付けて、接続部が配管カバー50により外部から見えなくなる。
【0102】
次に、シスターンタンク17のキャップ18を開けて、所定の量まで水あるいは不凍液などの熱媒を注入する。この際に、シスターンタンク17の下方に配された循環ポンプ16を動作させることで、水あるいは不凍液などの熱媒は、温水回路15、熱媒配管3、外部放熱器2と万遍に行渡らせる。
【0103】
これで施工が完了し、リモコン28での運転動作を行うと、運転が開始する。
【0104】
ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の運転は、リモコンで運転を開始すると、圧縮機4を動作し、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、圧縮機吐出管12を通り、水冷媒熱交換器5に送られ、循環ポンプ16により送られてきた水あるいは不凍液などの熱媒と熱交関して放熱する。これにより、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒は低温の熱媒から高温の熱媒となる。
【0105】
水冷媒熱交換器5から流出する冷媒は、減圧手段である膨張弁6にて減圧膨張され、蒸発器である蒸発器7に送られ、送風ファン9にて送られた空気と熱交換して、蒸発器である蒸発器7を通過する間に、蒸発してガス化する。このガス化した冷媒は、再度圧縮機4に吸入され、再度圧縮される過程を繰り返し、水冷媒熱交換器5を通過する低温の熱媒は徐々に加熱される。
【0106】
温水回路15に関しては、循環ポンプ16を運転することで、水冷媒熱交換器5において、冷媒回路8で加熱され水あるいは不凍液などの熱媒は、強制的に、往きヘッダ管22に送られ、この往きヘッダ管で22で複数個所(図では4箇所、これが1箇所で分岐されないケースもある)に分岐され熱動弁20に送られる。
【0107】
熱動弁20は、リモコン28で設定された外部放熱器2へと流れる箇所が開放され、それ以外の箇所は閉止されており、この熱動弁20、熱媒往きポート21を介して、ヒートポンプ温水暖房装置1の外部に取り付けられた熱媒往き配管3aを通り、外部放熱器2へと導かれる。外部放熱器2では放熱が行われ、外部放熱器2が設置された居室などを暖房する。
【0108】
外部放熱器2で放熱し、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒は、熱媒戻り配管3bを通り、熱媒往きポート21略水平方向の内方に配された熱媒戻りポート23へと流れてくる。熱媒戻りポート23、戻りヘッダ管24を通過して、戻りポート熱媒配管44を通り、シスターンタンク17の下面よりシスターンタンク17へと入ってくる。
【0109】
このシスターンタンク17には上方に空気層を有するように、一定量の水あるいは不凍液などの熱媒が入っている。その後、同じくシスターンタンク17の下面より、ポンプ往き配管45を通り、循環ポンプ16へと強制的に吸引され、循環ポンプ16にて強制的にポンプ出口配管46に送られ、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒は、水冷媒熱交換器5で加熱されて、再び外部放熱器2へと導かれる動作を繰り返すことで、外部放熱器2で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒で、居室の暖房が行われることとなる。
【0110】
この際に、まず施工において、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の右側方の凸状になった箇所に、後方に向かって約10度下方へ傾斜させた熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を取り付け、それに配管カバー50を取り付けることで、その工事は、エアコンの施工とほぼ同じとなる。(エアコンの場合は、室外機と室内機を接続した配管を同じ形で工事を行う)そのため、エアコンにて、冷媒配管を接続する箇所とほぼ同じであるために、エアコンの工事と同じ対応ができることで、習熟していない施工業者でも施工が容易になる。
【0111】
むしろ、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)は、熱媒往きポート21、あるいは熱媒戻りポート23へ差込み、金具で固定する方法が一般的なために、工具が不要で、施工性はエアコンよりも容易になる。そのため、施工業者はエアコンと同じ要領でより簡単に作業を行うことができ、作業性が大幅に向上する。
【0112】
特に、施工の際には、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に取り付けることが必要であるが、その熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23が、側方に凸状になっているために、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)の接続が容易であり、施工性が向上し、施工時間の短縮化を図ることができる。
【0113】
熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の蒸発器背面へ引き回した際に、蒸発器7を熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が塞いでしまう恐れがあるが、図7、図8で示すように、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の右側方に、後方に向かって熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を下方に約10度傾斜させて取り付け、その熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を本体後方に凸状に飛び出ている後方外装体47の下方を通すことで、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が上方に行くことを防ぐことが可能となり、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が、蒸発器7を防ぐことができ、蒸発器7を通過する空気量が減じて、性能が低下する、消費電力量が上がるなどを防ぐことができ、省エネ性に秀でたヒートポンプ温水暖房装置とすることができる。
【0114】
その際に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)が約10度下方に傾斜していることは、熱媒配管の曲げ半径が大きくすることが可能であることも意味している。ほぼ水平に出ていれば、本体後方の凸状に飛び出ている後方外装体47と当接してしまう可能性があるが、下方に傾斜させて熱媒配管3が出ているために、後方外装体47の下方を熱媒配管3を通すことが容易になるわけである。
【0115】
特に、熱媒配管3としては、このようなヒートポンプ温水暖房装置の場合、φ10の架橋ポリエチレン管が使用されるケースが多いが、この最小曲げ半径としてはR150以上が望ましい、ということに対して、R150以上を確保することが容易にでき、その結果、架橋ポリエチレン管に白化などが生じることこともなく、長期間に渡って劣化のない状態を満足する施工が可能となる。
【0116】
これは、図9、図10で示すように、側面図を見れば、熱媒配管3に無理な力がかかっておらず、スムーズに引き回せていることがわかる。
【0117】
これは、熱媒配管3を蒸発器7の背面を引き回した場合を説明したが、その反対を引き回す場合も、熱媒配管は、極力ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1が設置されている面に沿って引き回す方が、エクステリア面で優れている。それに対しても、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を下方に約10度傾斜させ、それに熱媒配管3を接続することで、設置面へスムーズに熱媒配管3が引き回せ、最小曲げ半径を所定以上を確保することが容易になる。
【0118】
また、熱媒配管3を真っ直ぐに配管した例を示したのが図11である。図11は、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の後方に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を引き回した一例である。
【0119】
このような場合にしばしば見られるのは、床下換気口を用いて、熱媒配管を引き回し、住宅内の外部放熱器2に接続す方法であり、特に外部放熱器2が床暖房の場合は、よく用いられる。図11で、55は床下換気口であり、ここを熱媒配管3を通している。
【0120】
56は家屋の壁、57は基礎部分であり、基礎部分57の上に、ブロックベース52を置き、それにヒートポンプ温水暖房装置の室外機1を載置し、熱媒配管3の施工を行っている。図11でわかるように、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を後下方に傾斜させていることで、熱媒配管3がスムーズに床下に引き回すことができ、熱媒配管3に無理な力が加わることもなく、簡単に施工が可能となることとなる。
【0121】
また、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1の左方向へ引き回した際に、熱媒往きポート21を熱媒戻りポート23に対して外方に配していることで、背面を引き回す際には、熱媒往きポート21から流出した高温の水あるいは不凍液などの熱媒往き配管3aが、外方を通り、外部放熱器2で熱交換されて、低温となった水あるいは不凍液などの熱媒が、熱媒戻り配管3bを通り、本体に近い、蒸発器7に近い方を通り、熱媒戻りポート23へと戻ってくる。
【0122】
蒸発器である蒸発器7は、低温の状態となっており、それに対して、その低温の蒸発器7から離して、高温の水あるいは不凍液などの熱媒を流す熱媒往き配管3aが配され、低温となった熱媒戻り配管3bが内方になることで、熱媒往き配管3aの高温側は冷却されず、高温を維持して、外部放熱器2へ送られ、外部放熱器2で放熱した水あるいは不凍液などの熱媒は、蒸発器7に近い位置を通ることで、より低温となって水冷媒熱交換器に送られることで、COPをより向上することが可能となり、省エネ性を高めることができる。
【0123】
加えて、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23は複数備え(図1、図3では一例として4個となっている)、複数個ある熱媒往きポート21、前記熱媒戻りポート23を縦に並べて配置しておけておくことで、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3を本体下方にコンパクトに収納でき、熱媒配管3の引き回しが容易になり
施工性が向上する。
【0124】
また、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23を略水平方向に並べることで、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23に接続される熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を略並行に引き回すことが可能となる。
【0125】
そのため、引き回しが容易になるとともに、特に、熱媒往きポート21と熱媒戻りポート23を、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1右側方にて極力下方に配しておけば、蒸発器7側に回した際にも、蒸発器7を塞ぐことがなく、性能を低下させないで、熱媒配管を引き回すことが可能となる。
【0126】
加えて、施工の際には、図6で示した様に、熱媒配管3(熱媒往き配管3a、熱媒戻り配管3b)を取り付けた後に、図7の様に配管カバー50が取り付けられ、熱媒往きポート21や、熱媒戻りポート23は配管カバーで覆われることとなる。
【0127】
熱媒配管3には、主として、架橋ポリエチレン管が使用され、その架橋ポリエチレン管の外方に、被覆材として、断熱材が設けられている。架橋ポリエチレン管は太陽光線なおどの紫外線により劣化し、亀裂などが生じ、水漏れする恐れがあることが知られている。それに対して、この断熱材は断熱性能を高めるとともに、架橋ポリエチレン管を紫外線から保護する役目も持っている。
【0128】
ところが、熱媒往きポート21や熱媒戻りポート23と、架橋ポリエチレン管の接続部は、断熱材がない状態となる。それに対して、紫外線透過防止効果を有している配管カバー50を設けることで、その接続部を太陽光線から遮蔽することができ、劣化することを防ぎ、長期間にわたり品質の確保ができる施工とすることができる。そのためには、配管カバーは、樹脂の場合は紫外線透過防止剤を入れ、内方に紫外線が透過しないようにすることが望ましい。
【0129】
また、熱媒配管3の被覆材である断熱材が、ずれてしまい、架橋ポリエチレン管がむき出しになる可能性もある。その際にも、架橋ポリエチレン管が、配管カバー50内に納まっており、直接太陽光に曝され、紫外線が当ることを防ぐためにも、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を後下方に傾斜させていることは効果がある。
【0130】
つまり、図9と図10を比較すればわかるが、傾斜させていることで、配管かバー50内の熱媒配管3の断熱材を長くできるのである。図10に記載しているが、角度をθ傾斜させているとすれば、水平方向にLの長さが配管カバー50内に納まっているとすれば、後下方に傾斜させていることで、L×1/cosθの長さが、配管カバー50内に収納されていることとなり、水平方向に引き出した場合Lよりも長くすることができるのである。
【0131】
もちろん、上方向に傾斜させても同じと思われるかもしれないが、図11のように、床下に熱媒配管3を引き回す例が多いので、後下向きに傾斜させて、熱媒往きポート21、熱媒戻りポート23を設けていることが効果があるのである。
【0132】
これは配管カバー50が樹脂の場合を説明したが、配管カバー50が板金で構成されている場合は、それだけで、紫外線を透過しないので、それでも構わない。
【0133】
さらに、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1本体右側方には、電源線接続ターミナル35aや、リモコン接続ターミナル35bに電源線53やリモコン28用のリモコン線54も接続されるために、メンテナンススペースとして側方の壁と一定の距離を確保するこ
とが必要となる。それに対して、右側方に熱媒配管の引き回しを行うことは、そのスペースの有効活用につながることとなる。
【0134】
また、熱媒往きポート21は、水あるいは不凍液などの熱媒の流通の開、閉を行う熱動弁20としていることで、熱動弁20は、使用される外部放熱器2に準じて、開放、閉止が行われ、必要な外部放熱器2にのみ、水あるいは不凍液などの熱媒が流れるように制御されるものであり、外部放熱器2の使用状況に応じて、加熱された水あるいは不凍液などの熱媒を流す、流さないの制御ができ、使用性、省エネ性が向上する。
【0135】
もちろん、ヒートポンプ温水暖房装置の室外機1のフォルムは、通常のエアコンから、後方に後方外装体47を設け、右側方に通常のエアコンでもある配管カバー50を設けた形なので、極端に大きくなることはない。そのため、コスト面でも上昇は抑えられ、コストダウンも可能である。
【0136】
また、ヒートポンプ温水暖房装置の本体1はベースとなるエアコンより、後方の後方外装体47が大きくなるが、投影面積は大きく変わらず、梱包容積も極端に増えることとなり、倉庫保管の際の、保管料のアップも最小に抑えられ、コストダウンも可能となる。
【0137】
以上のように、本発明は、ヒートポンプ温水暖房装置本体をなるべくコンパクトに維持しつつ、施工性の向上及び、性能を向上させるとともに、メンテナンス性を向上させるために、非常に有効であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上のように、本発明にかかるヒートポンプ温水暖房装置は、施工性が高く、効率も向上するため、床暖房あるいは温水暖房などの暖房機器の用いられる。
【符号の説明】
【0139】
2 外部放熱器
3 熱媒配管
4 圧縮機
5 水冷媒熱交換器
7 蒸発器
8 冷媒回路
9 送風ファン
15 温水回路
16 循環ポンプ
17 シスターンタンク
21 熱媒往きポート
23 熱媒戻りポート
36 外装体
47 後方外装体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項2】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ水平方向に対して、略10度傾斜させて配設したことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項3】
前記熱媒往きポートを前記外装体に対して外方に、前記熱媒戻りポートを前記外装体に対して内方に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項4】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートをそれぞれ複数個備え、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートごとに、前記外装体に対して、上下方向に並べて配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項5】
前記熱媒を貯湯するタンクと、前記熱媒を循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプと前記タンクとを前記外装体の後方に突出させて配設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項6】
前記熱媒往きポートを、熱動弁としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項7】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーは紫外線透過防止効果を有する樹脂としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項1】
圧縮機、水冷媒熱交換器、減圧器、蒸発器を接続した冷媒回路と、前記冷媒回路、前記水冷媒熱交換器を内設する外装体と、前記水冷媒熱交換器にて加熱された熱媒を循環させ放熱する外部放熱器と、前記外装体と前記外部放熱器とを配管で接続する熱媒往きポート、熱媒戻りポートとを備え、前記外装体の側方に、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ傾斜させて配設したことを特徴とするヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項2】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを、後下方へ水平方向に対して、略10度傾斜させて配設したことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項3】
前記熱媒往きポートを前記外装体に対して外方に、前記熱媒戻りポートを前記外装体に対して内方に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項4】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートをそれぞれ複数個備え、前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートごとに、前記外装体に対して、上下方向に並べて配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項5】
前記熱媒を貯湯するタンクと、前記熱媒を循環させる循環ポンプとを備え、前記循環ポンプと前記タンクとを前記外装体の後方に突出させて配設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項6】
前記熱媒往きポートを、熱動弁としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【請求項7】
前記熱媒往きポート、前記熱媒戻りポートを覆う配管カバーを備え、前記配管カバーは紫外線透過防止効果を有する樹脂としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートポンプ温水暖房装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−251701(P2012−251701A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123937(P2011−123937)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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