説明

ビオチン標識を含む抗凝固抗血栓二重阻害剤

本発明は、ビオチン標識またはこの類似体との少なくとも1つの共有結合をさらに含む、式:オリゴ糖−スペーサー−(GPIIb/IIIaアンタゴニスト)(式中、オリゴ糖は、4から25個の単糖類単位を含む負に帯電したオリゴ糖残基であり、電荷は正に帯電した対イオンによって相殺され、オリゴ糖残基がそれ自体(AT−III媒体)抗Xa活性を有するオリゴ糖から誘導され;スペーサーは、結合であり、または本質的に薬理学的不活性な結合残基であり;GPIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10〜20Å離れて残基内に位置するカルボキシレート部分および塩基部分を含むフィブリノゲンのRGDおよび/またはK(QA)GD断片を模倣した残基である。)の化合物または薬学的に許容されるこの塩もしくはプロドラッグもしくはこの溶媒和物に関する。本発明の化合物は、抗血栓活性を有し、血栓症の治療または予防に使用することができる。本発明の化合物の抗血栓活性は、アビジン、ストレプトアビジンおよび高いビオチン親和性を有するこの類似体の投与に関する緊急の場合に中和することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビオチン標識またはビオチン誘導体を含む新規な抗血栓二重阻害剤、これらの調製のための方法、活性成分として本化合物を含む医薬組成物、ならびに薬物製造のための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
予測可能な抗血栓作用、好ましくは、より長い半減期を(血小板凝集の一貫した抑制を達成するために)有するGPIIb/IIIaアンタゴニストの探索における最近の進展は、複合的な薬理学的プロファイルを有する新規な抗血栓二重阻害剤をもたらしている。これら新規な化合物は、凝固カスケード(Xa因子)および血小板凝集経路(GPIIb/IIIa)(EP1574516に記載)の両方の鍵となる標的を阻害する。
【0003】
抗凝固および抗アテローム血栓治療の分野の範囲内で、予防措置として、使用される抗凝固剤または抗アテローム血栓剤の活性を中和または最小化できる解毒剤の必要性が存在する。これは、出血が不測の原因により治療下の患者において誘発される可能性があることが周知であるためである。さらに、抗アテローム血栓または抗凝固治療下の患者において、手術により介入する必要がある可能性がある。さらに、一部の外科手術中に、抗凝固剤を、血液凝固を防ぐために高用量で使用する可能性があり、手術終了時にこれを中和させる必要がある。さらに、GPIIb/IIIa阻害剤が使用される抗血小板治療において、臨床的に有効な解毒剤は、まだ利用可能でない。したがって、いつでも抗アテローム血栓および/または抗凝固活性を停止させるために、中和することができる利用可能な抗アテローム血栓および/または抗凝固剤を有することは有益である。
【0004】
US2004/0024197(WO02/24754)において、緊急の場合、特定の多糖類の抗凝固活性は、これらの多糖類が少なくともビオチンまたはビオチン誘導体との共有結合を含むならば、アビジンを使用して部分的に減少させ得ることを開示している。Carbohydrate Polymers 50(2002)273−278において、O.Rogerらは、ビオチン化剤を含む還元的アミノ化(reductive amination)による炭水化物誘導について述べている。本開示は、多分散天然多糖類の非選択的修飾に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、EP1574516に記載の二重阻害剤から誘導される新規な中和可能な二重阻害剤に関する。
【0006】
【化7】

である基、[本明細書では「BT」とも呼ばれる特定のビオチン「標識」(ヘキサヒドロ−2−オキサ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−ペンタン酸、好ましくはD(+)−異性体より誘導される。)]またはこの類似体を、EP1574516に記載の化合物の構造に結合させまたは導入し、この結果、中和可能な二重阻害剤を得ることができることが発見されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、ビオチン標識またはこの類似体との少なくとも1つの共有結合をさらに含む、式(I)の化合物
オリゴ糖−スペーサー−GPIIb/IIIaアンタゴニスト (I)
(式中、オリゴ糖は、4から25個の単糖類単位を含む負に帯電したオリゴ糖残基であり、電荷は正に帯電した対イオンによって相殺され、オリゴ糖残基がそれ自体(AT−III媒介)抗Xa活性を有するオリゴ糖から誘導され;
スペーサーは、結合でありまたは本質的に薬理学的不活性な結合残基であり;
GPIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10〜20Å離れて残基内に位置するカルボキシレート部分および塩基部分を含むフィブリノゲンのRGDおよび/またはK(QA)GD断片を模倣した残基である。)
または薬学的に許容されるこの塩もしくはプロドラッグもしくはこの溶媒和物に関する。
【0008】
本発明の化合物は、Xa凝固因子のATIII媒介による阻害とおよびフィブリノゲンの受容体への結合に拮抗することによる血小板凝集の抑制との両方により有効な抗血栓症薬である。これらは、血栓症を治療および(場合によって)予防するために有用である。血栓症は凝固カスケードが活性化される多くの血栓および血栓形成前(prothrombotic)の状態を含み、これらには深部静脈血栓、肺塞栓症、血栓静脈炎、血栓症または塞栓症による動脈閉塞、血管形成中または後の動脈再閉塞、動脈損傷または侵襲的心臓病学的手技後の再狭窄、術後の静脈血栓症または塞栓症、脳卒中および心筋梗塞を含むが、これらに限定されるものではない。
【0009】
本発明の化合物におけるビオチン標識(またはこの類似体)は、アビジン(The Merck Index,Twelfth edition,1996,M.N.920,pages 151−152)またはストレプトアビジン(ビオチンと非常に高い親和性を有するそれぞれ約66,000および60,000Daに等しい質量を有する2種の四量体タンパク質)である特定の解毒剤により速やかに認識され、これら解毒剤に結合する。したがって、緊急状態では、本発明の二重阻害剤の作用を、アビジンまたはストレプトアビジンを用いて(例えば、これらを含む薬剤溶液の注射によって)、速やかに中和することができる。高いビオチン親和性を有するアビジンおよびストレプトアビジンの類似体を、同様に使用することができる。生じた不活性の解毒剤−阻害剤複合体は、血液循環から除去される。
【0010】
対応する非ビオチン化化合物との比較試験において、二重阻害剤へのビオチン標識の導入は、二重阻害剤の血小板凝集抑制活性またはこれらの抗トロンビンIII(AT−III)媒介の抗Xa効力を妨げないことが認められている。さらに、アビジンまたはストレプトアビジンの投与は、式Iの化合物の抗血栓活性の迅速および定量的中和をもたらす。
【0011】
本発明により標識として使用することができるビオチン類似体は、Pierce catalogue,1999−2000,62−81頁に見られるビオチン類似体、例えば、6−ビオチンアミドヘキサノエート、6−(6−ビオチンアミドヘキサンアミド)ヘキサノエートおよび2−ビオチンアミドエタンチオールなどから選択することができるが、これらに限定されるものではない。このような類似体において、上記の定義のように、ビオチン標識BTは、構造の特徴的部分である。その他の類似体は、例えば、ビオチニダーゼによる切断に対し安定である、ビオチンアミド結合(アルキルが(1〜4C)アルキル、好ましくはメチルである。)においてアルキル化されているビオチン類似体または例えばヒドロキシメチレン、カルボキシレートもしくは酢酸塩をビオチンアミド結合に対しアルファ位に有する他のビオチン類似体である。
【0012】
好ましいビオチン類似体は、式
−(NH−CO)−(CH−X−BT
(式中、nは、0または1であり、pは、4または5であり、XはNH、N(1〜4C)アルキル、−NH−CH(CHOH)−CH−C(O)−NH−、−NH−CH(CH)−CH−C(O)−NH−、−NH−CH(COOH)−CH−C(O)−NH−、−NH−CH(CHCOOH)−CH−C(O)−NH−であり、BTは、上記の定義の通りである。)を有する。
【0013】
4から25個の単糖類単位のいずれかの負に帯電したオリゴ糖残基は、本発明の化合物において使用可能である。本発明の適切な化合物は、オリゴ糖が硫酸化オリゴ糖残基である化合物である。好ましくは、オリゴ糖残基は、EP0454220、EP0529715、WO97/47659、WO98/03554およびWO99/36443で開示されたオリゴ糖などの、それ自体が(AT−III媒介)抗Xa活性を有するオリゴ糖から誘導される。さらに好ましいものは、4から16個の単糖類単位を有するオリゴ糖残基である。最も好ましくオリゴ糖は、硫酸化五糖類残基である。好ましい五糖類残基は、構造Aを有する
【0014】
【化8】

(式中、R1は、独立に、ビオチン標識もしくはこの類似体、OSOまたは(1〜8C)アルコキシである。)。
【0015】
特に好ましい五糖類残基は、構造Bを有する
【0016】
【化9】

(式中、R1は、OCHまたはOSOである。)。構造Bの最も好ましい五糖類において、R1は、OSOである。
【0017】
スペーサーは、結合であり、または本質的に薬理学的に不活性な、柔軟な結合残基である。ここで用いられる「本質的に薬理学的不活性な」という用語は、本発明の化合物が治療的に有効である用量で、スペーサーが、それ自体が薬理学的活性を示す原子または基を含まないことを意味する。したがって、本発明の化合物が抗トロンビン剤として使用される用量で、スペーサーの性質は、実証可能な薬理学的副作用をもたらすことはない。好ましい実施形態において、スペーサーは、オリゴ糖残基の酸素を含まないスペーサーの「バックボーン」に沿って数えられる1〜50個の原子を好ましくは有する、本質的に薬理学的不活性な結合残基である。スペーサーは、環式構造および不飽和結合などの(いくぶん)固定された要素を含んでよい。本発明の化合物のスペーサーは、好ましくは柔軟である。適切なスペーサーは、当業者により容易に設計されることができる。より好ましいスペーサーの長さは、10〜35個の原子、特に10〜28個である。しかし、合成の理由のためには、より長いスペーサーは適さないと考えられるが、より長いスペーサーが依然として本発明の化合物にうまく適用し得る。非常に適したスペーサーは、少なくとも1つの−(CHCHO)−要素を含む。より好ましいスペーサーは、より好ましくは6つの−(CHCHO)−要素を含む。
【0018】
GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基へのスペーサー付着部位は、GPIIb/IIIaアンタゴニスト活性が消失しなければ、本質的に任意に選択することができる。したがって、(場合によってエステル化された)カルボン酸部分および塩基部分は、無変化のままでなければならない。
【0019】
本発明による好ましい化合物において、GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基は、Ro435054、SC54701(ゼミロフィバン)、RWJ50042、シブラフィバン(Ro443888)、ラミフィバン(Ro449883)、GPI562、FK633、チロフィバン(MK383)、オルボフィバン(SC57101)、エプチフィバチド(C6822)、ロキシフィバン(XV459)、エラロフィバン(RWJ53308)、SR121787、レフラダフィバン(BIBU52)、ロトラフィバン(SB214857)、ガントフィバン(YM028)、T−250、EF5077、ZD2486、TAK029、TP9201、L703014、SR121566(SR121787の活性型)およびUR−3216から誘導された残基から選択される。また、前記残基の誘導体も、(場合によってエステル化された)カルボン酸部分および塩基部分(または保護塩基部分)を含む部が保持されている化学修飾残基を含む。好ましい実施形態において、SR121566(SR121787の活性型)が選択される。最も好ましいのは、GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基がチロフィバンから誘導された化合物である。
【0020】
本発明による好ましい化合物は、ビオチン標識またはこの類似体との1つの共有結合を含む。
【0021】
ビオチン(またはこの類似体)標識は、化合物式Iのすべての部分において存在することができる。したがって、本発明の実施形態は、(a)式Iの化合物のオリゴ糖残基がビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含み、(b)式Iの化合物のスペーサーがビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含み、(c)式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基がビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含む、化合物である。
【0022】
好ましいのは、式Iの化合物のオリゴ糖残基が式
−(NH−CO)−(CH−X−BT
[式中、nは、0または1であり(これらの化合物において、好ましくはn=1)、pは、4または5であり(これらの化合物において、好ましくはp=5)、XおよびBTは、上記の定義の通りである。]のビオチン類似体との1つの共有結合を含む、ビオチン類似体との1つの共有結合を含む化合物である。
【0023】
本発明の他の好ましい化合物は、ビオチン類似体との1つの共有結合を含み、この場合、式Iの化合物のスペーサーが式
−(CH−X−BT
(式中、XおよびBTは、上記の定義の通りである。)のビオチン類似体との1つの共有結合を含む。
【0024】
本発明のビオチン化二重阻害剤の代表例は、式Iの化合物の他に、以下の構造を有する、
【0025】
【化10】


スペーサーが別の位置でオリゴ糖に結合しているおよび/またはビオチン(類似体)標識がこの分子の別の位置に存在する化合物である。式IIの化合物は、本発明の好ましい例である。
【0026】
正に帯電した対イオンは、H、Na、K、Ca2+などを意味する。好ましくは、式Iの化合物は、これらのナトリウム塩の形態である。
【0027】
塩基部分という用語は、アミン、アミジン、グアニジン、ピペリジンなどのいずれかの周知の塩基部分を意味する。
【0028】
「互いに10〜20Å離れて」という句により、結合に沿って測定するだけではなく、他の1つに対する2つの基の空間的配向を意味する。距離の測定のために、周知のモデリング技術が当業者に利用可能である。(例えば、J.Med.Chem.1994,37,2537−2551を参照のこと)。
【0029】
(1〜8C)アルキルという用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ヘキシルおよびオクチルなどの1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖のアルキル基を意味する。メチルおよびエチルは、好ましいアルキル基である。
【0030】
(1〜8C)アルコキシという用語において、アルキル残基は、前記の定義の通りである。
【0031】
「プロドラッグ」という用語は、例えば、式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基における塩基部分(例えば、アミノまたはベンズアミジノ基)が、(例えば、ヒドロキシ、(1〜6C)アルコキシまたは(1〜6C)アルコキシカルボニル基により)保護されている化合物などの活性化合物へ体内で代謝される化合物を意味する。また、プロドラッグの例は、GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基におけるカルボキシレート基がエステル化されている式Iの化合物である。
【0032】
本発明による溶媒和物は、水和物を含む。
【0033】
本発明の化合物は、チロフィバン、SR121566、Ro435054、RWJ50042もしくはSC54701(ゼミロフィバンの薬理学的活性型)、ラミフィバンまたはこの類似体から誘導される前記のGPIIb/IIIaアンタゴニストを、当技術分野で一般に公知の方法を使用して、アミノ酸、ペプチド模倣物または追加の官能基(例えば、−COOH、−NH、−SH、−OH、−N、末端アルキンなど)を用いて、場合によって修飾することにより調製することができる。このような修飾RGD類似体の合成の例は、Bioorganic Chemistry 29,357−379(2001)に記載されており、ここでは化合物は、標的薬物送達のための可能性あるベクターとして示唆されている。本発明によれば、場合によって修飾されたGPIIb/IIIaアンタゴニスト部分は、(a)オリゴ糖に直接結合している、(b)オリゴ糖−スペーサー残基に結合している、または(c)引き続いてオリゴ糖−スペーサー−残基に結合しているスペーサーに結合している(例えば、WO99/65934;WO01/42262より公知の方法による。)。例えば、文献(例えば、EP0454220、EP0529715、しかしこれらの供給源に限定されるものではない。)により公知のオリゴ糖または市販のオリゴ糖など、いかなる適切なオリゴ糖も、この目的のために使用することができる。オリゴ糖を、例えば、Buijsman,R.ら(Bioorg.Med Chem.Lett.1999,9,2013−2018)に記載の当技術分野で公知の方法により、適切な時点でリン酸化することができる。オリゴ類へのスペーサーの結合は、例えば、EP0649854またはEP04005343.1に記載の方法を用いて実施することができる。
【0034】
ビオチン標識を式Iの化合物に結合させる方法に関して、化学文献が、利用することができ、当業者に周知の保護基の異なるセットを使用することができるいくつかの可能性を提供している。例えば、活性化エステル、マレイミド、ヨードアセチルまたは一級アミン型などの反応基を含むビオチン標識は、アミノ官能基、チオール官能基、カルボン酸官能基、またはアルデヒド官能基と好ましくは反応させ得、この反応は文献(参照、Savageら、Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook;Pierce Chemical Company,1992)に記載の条件に従って生じる。
【0035】
ビオチン標識は、例えば、(負に帯電した)オリゴ糖残基に直接結合させるか、またはオリゴ糖−スペーサー残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ官能基を通して、もしくは場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ酸残基を通して、式Iの化合物のオリゴ糖残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミン官能基に結合させることができる。
【0036】
本発明の別の態様において、ビオチン標識を、例えば、GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基に直接結合させるか、または結合残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ官能基を通してもしくは場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ酸残基を通して、式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミン官能基に結合させることができる。
【0037】
さらに本発明の別の態様において、ビオチン標識を、例えば、段階的に、最初はGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基に直接結合させ、または式Iのスペーサーの一部の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ官能基を通してもしくは場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ酸残基を通して、式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ官能基に結合させ、二番目にオリゴ糖に直接結合させる、または式Iのスペーサーの一部の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ官能基を通して、もしくは場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミノ酸残基を通して、式Iの化合物の(負に帯電した)オリゴ糖残基の場合によってN−(1〜4C)アルキル化されたアミン官能基に結合させる(あるいはその逆)ことにより導入することができる。
【0038】
本発明の別の態様において、場合によってN−アルキル化されたアミノ酸残基またはα−N−置換(β−)アミノ酸類似体を、当技術分野で公知の方法を使用したペプチド結合により導入することができる。アジド基は、その後のビオチン標識の導入のために、式Iの化合物の前駆体において使用することができる適切な潜在的アミノ官能基である。
【0039】
また、公知のGPIIb/IIIaアンタゴニストの他の例は、本発明の化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニストの部分(のためのベース)を利用することができる(しかしこれらの例に限定されるものではない。)。これらの化合物は、EP0529858、WO96/20172、EP0496378、EP0530505、Bioorg.& Med.Chem.3,539(1995)、WO93/08174、J.Am.Chem.Soc.115,8861(1993)、J.Med.Chem.43,3453(2000)、Bioorg.Med.Chem.3,337(1995)、US5239113、US5344957、US5973003、US5703125、WO96/37464、WO93/07867、US5378712、EP445796、US5273982、US5770575、WO01/602813、EP656348、US5726185、EP505868、EP560730、US5561112、EP513675、US5574016、WO94/09030、EP478363、US5292756、US5206373、WO93/16994、US5312923、EP743302、US5658929、US5880136、US5814643、US6040317、Expert Opin.Ther.Patents 13(8),1173−1188(2003)およびCurr.Pharm.Design 14,1567−1609(2004)に記載のRo438857、Ro483657、BIBL12、FK633、GR144053、EMD76334、SR121566、SB208651、SC54684、SC52012、DMP754、FR158999、GR200976、XV788、MK383(チロフィバン)、RWJ53308、ZD2486、L709780、RGD891、T250、C6822、BIBU104、SB214857、SC57101、G7453、TAK029、XV454、XV459、L734217、DMP802、SR121787、TP9201、DMP757、SC52012、RPR109891、YM68128、ME3229、ME3230、CT50352、MK852、S1197、DMP728、SC57345、L738167、GR233548、Ro438857、TA993、YM337、BIBW194、BIBU129、BIBW98、テトラフィブリシン、L703014、BIBU251、GR91669、RG13965、G7446、PS028、XR300、NSL9403、L756568、S1762、L746223、L767685、NSL95301、G4120、SB207043、GR83895、P246、L739758、XR299、SV873、RWJ50228、XQ870、EF5154、AR0510、G7570、G7442、G7464、RWJ52656、TAK024、MS180、MS28168、XU063、XU065、L734115、SM20302、TS943、NSL96184、UR12947、XU057、L750034、UR3216、UR2922、CP4632、AR0598、SC79992、SC4992、RGD039、ME3277、T250、SC57099B、SKF106760、SKF107260、RWJ52654、PSA0613、CGH400、NSL95317、XT111、RWJ27755、L736622、SC46749、SM20302、YM570029、CY311176およびGPIIb/IIIaアンタゴニストなどである。
【0040】
さらに、本発明に含まれるものは、互いに10〜20Å離れて残基内に位置する(場合によってエステル化された)カルボキシレート部分および塩基部分を通常含むフィブリノゲンのRGDおよび/またはK(QA)GD断片を模倣した、新規に設計されたGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基を含む化合物である。
【0041】
本発明の化合物を調製するための上記の方法における手順のステップであるペプチド結合は、ペプチド断片の結合(または縮合)のための当技術分野で一般に公知の方法、例えば、アジド法、混合酸無水物法、活性化エステル法、カルボジイミド法(carbodiimide method)により、または好ましくはTBTUなどのアンモニウム/ウロニウム塩の影響下、特にN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび7−アザ−N−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの触媒およびラセミ化抑制化合物の添加によって実施することができる。概要は、The Peptides,Analysis,Synthesis,Biology,Vol 3,E.Gross and J.Meienhofer編、(Academic Press,New York,1981)およびPeptides:Chemistry and Biology,N.Sewald and H.−D.Jakubke(Wiley−VCH,Weinheim,2002)に示されている。
【0042】
本化合物に存在するアミン官能基を、N−保護基(tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Z)基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基もしくはフタロイル(Phth)基など、αアミノ基の保護のためにペプチド化学において一般に使用される基を意味する。)によって、合成処理の間に保護できる、またはアジド部分のデマスキングによって導入できる。アミノ保護基およびこの除去に関する概要は、上記のThe Peptides,Analysis,Synthesis,Biology,Vol 3およびPeptides:Chemistry and Biologyにおいて示されている。
【0043】
アミジン官能基は、存在する場合、結合のステップにおいて非保護のままにしておくことができ、またはアリルオキシカルボニルもしくはベンジルオキシカルボニルなどのカルバミン酸塩を用いて保護することができる。アミジン官能基は、前駆体として1,2,4−オキサジアゾリン−5−オン部分を用いて穏やかな条件下で導入するのが好ましい。
【0044】
カルボン酸基を、tert−ブチルエステルなどのαカルボン酸基の保護のために、ペプチド化学において一般に使用される基によって保護することができる。修飾されたGPIIb/IIIaアンタゴニストのカルボン酸基を、ブチルエステルとして好ましくは保護する。保護基の除去は、これら保護基の性質によって異なる方法で行うことができる。通常、脱保護は、酸性条件下およびスカベンジャーの存在下に、または接触水素化などの還元条件下に行う。
【0045】
オリゴ糖へのGPIIb/IIIaアンタゴニストの連結の必要条件は、カルボキシレート基などの直交性反応型(orthogonally reactive)の固定基が存在することで、これらはオリゴ糖残基もしくはオリゴ糖−スペーサー誘導体に直接結合させる、またはスペーサーを通してオリゴ糖−スペーサー誘導体に結合させることができる。そのような連結を可能にするために、殆どの場合、GPIIb/IIIaアンタゴニストの追加的な修飾が必要である。
【0046】
式Iの化合物を合成するためのスペーサー誘導構築物(building block)の構築は、アミノ酸、これらの誘導体もしくはペプチド模倣物の段階的導入による直鎖状様式、または中間構築物のブロック結合による収束的様式のいずれかにおける当技術分野で公知の方法を用いる様々な方法において達成することができる。
【0047】
遊離塩基の形態で生じる可能性のある本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で反応混合物から単離することができる。また、薬学的に許容される塩は、式(I)の遊離塩基を、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、アスコルビン酸などの有機または無機酸で処理することによっても得ることができる。
【0048】
本発明の化合物またはその中間体は、キラル炭素原子を有することができ、したがって、純粋なエナンチオマー、またはエナンチオマーの混合物、またはジアステレオマーを含む混合物として得ることができる。純粋なエナンチオマーを得るための方法は、例えば、光学活性な酸およびラミセ混合物から得られる塩の結晶化、またはキラルカラムを用いたクロマトグラフィーなど、当技術分野において公知である。ジアステレオマーに対して、ストレート相(straight phase)または逆相カラムを使用することができる。
【0049】
本発明の化合物は、経腸的または非経口的に投与することができる。これら化合物およびこの組成物の正確な用量およびレジメンは、薬物を投与する個々の被験者の必要性、苦痛または必要性の程度および医療従事者(開業医)の判断に必然的に依存する。通常、非経口投与は、吸収により依存する他の投与方法より要求量が少ない。しかし、ヒトに対する1日投与量は、好ましくは0.0001〜10mg/kg体重、より好ましくは0.001〜1mg/kg体重である。
【0050】
また、本発明の化合物を用いて製造された薬物は、(救急)抗血栓療法におけるアジュバントとして使用することができる。そのような場合において、この薬物は、疾患状態を治療することにおいて有用なアスピリン、クロピドグレルまたはスタチンなどの他の化合物と共に投与する。例えば、標準的参考文献のGennaroら、Remington’s Pharmaceutical Sciences,(第18版,Mack Publishing Company,1990、特にPart 8:Pharmaceutical Preparations and Their Manufactureを参照)に記載のように、薬学的に適切な助剤と混合して、本化合物を、丸剤、錠剤などの固体用量単位に圧縮するか、またはカプセルもしくは坐剤に加工することができる。また、薬学的に適切な液体を用いて、本化合物を、例えば、注射製剤としての使用に、溶液、懸濁液、乳濁液の形態で適用することができる。
【0051】
用量単位を製造するために、増量剤、着色剤、ポリマー結合剤などの従来の添加物の使用が考えられる。一般に、活性化合物の機能を妨げない薬学的に許容される添加剤を使用することができる。それと共に本組成物を投与することができる適切な担体には、適切な量において使用したラクトース、デンプン、セルロース誘導体など、またはその混合物がある。
【0052】
本発明は、以下の実施例により、さらに例証される。
【0053】
(実施例)
使用される略語
ADP=アデノシン5’−二リン酸
Aq.=水性
ATIII=抗トロンビンIII
Bn=ベンジル
Boc=tert−ブチルオキシカルボニル
DCM=ジクロロメタン
DiPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N―ジメチルホルムアミド
fmoc=カルバミン酸9−フルオレニルメチル
NMM=N−メチルモルホリン
Me=メチル
sat.=飽和
PRP=多血小板血漿
PPP=乏血小板血漿
RT=室温
TBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TRAP=トロンビン受容体アゴニストペプチド
Z=ベンジルオキシカルボニル
【実施例1】
【0054】
tert−ブチル15−N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノエート(2)
EP1574516に記載のように調製したtert−ブチル15−アミノ−3,6,9,
12−テトラオキサ−ペンタデカノエート(1)(0.50g、1.45mmol)を、THF(7.5mL)およびHO(5mL)に溶解した。4N NaOH溶液を、pHが約9になるまで加えた。N−9−フルオレニルメチルカルバメートスクシンイミド(FmocOSu、0.54g、1.60mmol、1.1当量)を分割して加えた。10分後、さらに4N NaOH溶液を加えて、pHを約9に調整した。3時間後、反応混合物を1N HCl溶液を用いて、pH6〜7まで酸性化させた。HOを反応混合物に加え、次にEtOAcで3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。ろ過後、溶媒を減圧下(50mbar、50℃)で除去した。未精製油(crude oil)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1/0→95/5、v/v)で精製し、帯黄色の油(0.61g、79%)として化合物2を得た。Rf0.64(DCM/MeOH、95/5、v/v)。
【実施例2】
【0055】
15−N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノエート(3)
化合物2をDCM(3.5mL)に溶解し、TFA(3.5mL)を窒素雰囲気下で加えた。1.5時間の撹拌後、反応混合液を減圧下で濃縮した。次に、過剰なTFAをトルエン中で繰り返し濃縮することにより取り除いた。DCM/EtO(100mL、1/2、v/v)を加え、溶液を1N HClで洗浄した。水層をDCM/EtO(100mL、1/2、v/v)で抽出した。混合した有機層を鹹水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。ろ過後、溶媒を減圧下(50℃)で除去した。未精製油をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/AcOH、99/0/1→89/10/1、v/v/v)で精製し、化合物3を得た。残ったAcOHは、DCM/EtO(1/2、v/v)に未精製の油性生成物を溶解し、HO(3×)および鹹水ですすいだ後、MgSOで乾燥させることにより除去する。ろ過後、溶媒を減圧下(50℃)で除去し、帯黄色の油として化合物3を得た(0.37g、67%)。Rf032(DCM/MeOH/AcOH、89/10/1、v/v)。
【実施例3】
【0056】
tert−ブチル15−N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−(ベンジルオキシカルボニル)−L−リシン(4)
化合物3(0.37mg、0.77mmol)を、DCM(18mL)に溶解した。DIPEA(0.40μL、2.31mmol、3当量)およびTBTU(0.25g、0.77mmol)を、N雰囲気下で続いて加え、溶液を10分間撹拌させた。次に、ε−(Z)−L−Lys−OtBu−HCl(0.29g、0.77mmol)を加え、混合物をさらに1.5時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、HO、0.1N HCl、飽和NaHCO溶液および鹹水ですすいだ。有機相を乾燥させ(MgSO)、気圧下で濃縮した。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1/0→9/1、v/v)により実施し、帯黄色の油として化合物4を得た(0.51g、83%)。Rf0.85(DCM/MeOH、9/1、v/v)。ESI−MS:792.6[M+H]、814.6[M+Na]、736.4[M−tBu+H]
【実施例4】
【0057】
tert−ブチル15−N−第三ブチルオキシカルボニル−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−(ベンジルオキシカルボニル)−L−リシン(5)
化合物4(0.26g、0.32mmol)をTHF(5mL)に溶解した。EtNH(1mL)を加え、溶液を24時間撹拌させた。過剰なEtNおよび溶媒を減圧下(50℃)で除去した。トルエンを加え、減圧下(50℃、65mbar)で除去し、N−脱保護生成物を得た(0,21g、0.32mmol)。Rf0.23(DCM/MeOH、9/1、v/v)。ESI−MS:570.4[M+H]、514.4[M−tBn+H]
粗生成物をDCM(3mL)に溶解した。EtN(0.11mL)、続いてN雰囲気下でジ−t−ブチル重炭酸塩(73mg、0.34mmol、1.1当量)を加えた。5時間撹拌後、混合物を0.1N HClの冷(5℃)溶液に加え、EtOAcで抽出した。有機層を鹹水で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。ろ過後、溶媒を減圧下(180mbar、50℃)で除去した。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1/0→95/5、v/v)により実施し、無色の油を得た(0.17g、82%)。Rf0.5(DCM/MeOH、9/1、v/v)。ESI−MS:670.6[M+H]、692.4[M+Na]、570.4[M−Boc+H]、514.1[M−Boc−tBu+H]
【実施例5】
【0058】
15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−[D−(+)−ビオチニル]−L−リシン(6)
化合物5(0.23g、0.34mmol)をEtOH(8mL)およびHO(1.2mL)に溶解した。溶液を窒素で5分間フラッシング(flushing)後、Pd/C10%(0.11g)を加えた。水素を溶液に4時間通した。窒素を溶液に通して10分間フラッシュし、すべての水素を除去した。混合物をデカライトによりろ過し、減圧下(170mbar、50℃)で濃縮して、無色の油としてN−L−リシン脱保護中間体を得た(0.15g、81%)。Rf0.02(DCM/EtOAc、9/1、v/v)。
【0059】
D−(+)−ビオチン(75mg、0.31mmol)をDCM(7mL)に懸濁した。DiPEA(0.11mL、0.62mmol、2当量)およびTBTU(0.10g、0.31mmol)を、N雰囲気下で続いて加え、溶液を1時間撹拌させた。上記のε−N−L−リシン脱保護中間体のDCM(3mL)溶液を反応混合物に加えた。混合物を16時間撹拌させた。HOを加え、DCMで抽出した(3×)。有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、減圧下(850mbar、50℃)で濃縮した。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:DCM/MeOH、1/0→9/1、v/v)により実施し、油を得た(0.13g、60%)。Rf0.48(DCM/MeOH、9/1、v/v)。ESI−MS:762.6[M+H]、784.6[M+Na]、662.4[M−Boc+H]、606.4[M−Boc−tBu+H]。この油を、乾燥4N HClのジオキサン(4mL)溶液に溶解し、撹拌した。1時間後、不溶性油が出現し、その後に溶媒を減圧下(100mbar、50℃)で除去し、定量的収率の化合物6を得た。ESI−MS:606.4[M+H]、628.4[M+Na]
【実施例6】
【0060】
ベンジルN−<3−{[−ε−(D−(+)−ビオチニル)−L−リシン−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシン(8)
EP1574516に記載のように調製した化合物7(0.10g、0.16mmol)を、DMF(4mL)に溶解した。DIPEA(56μL、0.32mmol、2当量)およびTBTU(51mg、0.16mmol)を、N雰囲気下で続いて加え、溶液を45分間撹拌した。化合物6(0.17mmol)をDMF(1mL)、DiPEA(28μL、0.16mmol、1当量)に溶解し、反応混合物に加えた。混合物を16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、1N HCl溶液で洗浄した。有機相をHOで洗浄し(3×)、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、減圧下(850mbar、50℃)で濃縮した。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:DCM/MeOH/AcOH、99/0/1→79/20/1 v/v)により実施し、化合物8を得た(56mg、27%)。Rf0.15(DCM/MeOH、9/1、v/v)。ESI−MS:1316.6[M+H]、1338.8[M+Na]、1182。6[M−Z+H]、1204.6[M−Z+Na]、1314.8[M−H]
【実施例7】
【0061】
化合物10、12、17および26の調製のための一般的手順:
カルボン酸誘導体(33μmol)(すなわち、化合物8、11、16または25)を、乾燥DMF(2×2mL)で繰り返し濃縮することにより乾燥し、DMF(1mL)に溶解し、N雰囲気下のTBTU(11mg、33μmol)およびDiPEA(5.7μl、33μmol)の存在下で撹拌した。1時間後、五糖類9(31μmol)を加えた。反応混合物を、RTで終夜撹拌し、イオン交換(Mono−Q)および逆相(LunaC18)クロマトグラフィーによって分析した。反応混合物を濃縮した(<50℃、15mmHg)。(粗)生成物(HO/t−BuOH中に10mg/mL、1/1、v/v)を、10%Pd/Cによる水素添加(H)(当量(重量)を粗生成物に対して加えた。)により脱保護した。16時間後に、溶液を脱気し、0.45μM HPLCフィルターによってろ過し、減圧下(<50℃、15mmHg)で濃縮した。抱合体を、イオン交換クロマトグラフィー(Q−セファロース(Q−sepharose)、緩衝液:HO→2M NaCl)により精製した後、セファデックスG25カラム(Sephadex G25−column)(HO)により脱塩し、凍結乾燥させた。
【実施例8】
【0062】
メチルO−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<<12−N−<<Nε−(D−(+)−ビオニチル)−N−<3−{[15−N−(15−アザ−1−ケト−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデシル)]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシル>−リシル−>>−12−アザ−3,6,9−トリオキサ−ドデシル>>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシドノナキスナトリウム塩(10)
五糖類9(51.7mg、27.4μmol)[WO01/42262に記載の誘導された単糖類5とUS2004/0024197に記載の四糖類48とを、脱保護および硫酸化を含むこれら特許出願に記載の方法と類似した方法を用いて結合させることにより得ることができる。]へのカルボン酸8(37.8mg、28.7μmol)の抱合、続いて精製、および一般的手順に従って脱保護を実施した。抱合体10を収量13.6mg(16%、2段階)の白色の固体として得た。
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ 7.85(d,1H)、7.78(d,1H)、7.63(d,1H)、7.42(t,1H)、6.85(d,1H)、6.50(d,1H)、5.39(d,1H)、5.33(d,1H)、5.13(bs,1H)、5.08(d,1H)、4.58(m,1H)、4.58(d,1H)、4.49(m,1H)、4.48(m,1H)、4.33(m,1H)、4.29(m,1H)、4.28(dd,1H)、4.22(dd,1H)、4.21(m,2H)、4.20(m,1H)、4.17(m,2H)、4.09(m,1H)、4.07(m,1H)、4.05(d,1H)、4.02(m,1H)、3.96(s,2H)、3.89(m,1H)、3.86(m,1H)、3.85(m,2H)、3.79(m,2H)、3.73(m,1H)、3.69(m,1H)、3.65(m,1H)、3.61〜3.51(m,26H)、3.60〜3.38(8×s,34H)、3.48(m,2H)、3.42(m,1H)、3.38(m,1H)、3.32(m,1H)、3.19(m,3H)、2.92〜2.2.89(m,1H)、2.67(d,1H)、2.48(m,1H)、2.13(t,2H)、1.91(d,1H)、1.70(m,2H)、1.65〜1.37(m,5H)。
ESI−MS:実測値:m/z 1381.3[M+H]2−、1392.3[M+Na]2−、1402.8[M+2Na]2−、1413.8[M+3Na]2−、920.2[M−3H]3−、927.5[M−3H+Na]3−、934.5[M−3H+2Na]3−、690.2[M−4H]4−、694.7[M−4H+Na]4−
【実施例9】
【0063】
メチルO−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<12−N−<3−{[15−N−(15−アザ−1−ケト−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデシル)]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシル>−12−アザ−3,6,9−トリオキサ−ドデシル>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシドノナキスナトリウム塩(12)
化合物12を、一般的手順に従った化合物9(101mg、53.9μmol)と化合物11(60.0mg、56.6μmol)(EP1574516に記載のように調製した。)との結合により得た。収量72mg(52%)。
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ 7.84(m,1H)、7.75(m,1H)、7.62(m,1H)、7.42(t,1H)、6.83(d,2H)、6.48(d,2H)、5.38(d,1H)、5.33(m,1H)、5.08(d,1H)、5.02(bs,1H)、4.58(d,1H)、4.46(bs,2H)、4.28(m,2H)、4.17(m,1H)、4.22(m,1H)、4.20(m,2H)、4.11(m,2H)、4.04(d,1H)、4.03(m,1H)、4.02(m,1H)、3.88(m,2H)、3.84(m,2H)、3.82(m,1H)、3.79(m,1H)、3.72(1H,m)、3.66(m,2H)、3.62〜3.33(m,54H)、3.20(dd,1H)、3.18(m,1H)、2.92(m,2H)、1.92(m,2H)、1.70(m,2H)、1.58(m,1H)、1.44(m,2H)、1.33(m,4H)。ESI−MS:m/z 1225.2[M+5H+2Na]2−、823.8[M+3Na+3H]3−、816.5[M+2Na+4H]3−、809.1[M+Na+5H]3−
【実施例10】
【0064】
[D−(+)ビオチニル]−L−アスパラギン酸塩−α−ベンジルエステル(14)
D−ビオチン(2.0g、8.19mmol)のDMF(52mL)懸濁液に、ペンタフルオロフェノール(1.6g、15.6mmol)、続いてDCC(2.5g、12.3mmol)を加えた。反応混合液を、窒素雰囲気下のRTで終夜撹拌させた。反応混合物を懸濁液として残し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOに溶解し、数分間撹拌し、その後、懸濁液を真空下でろ過し、白色の固体を得た(2.58g)ESI−MS:411[M+H]。固体をDMF(90mL)に溶解し、EtN(1.24mL、8.82mmol、1.4当量)を加えた。H−Asp−OBnを固体として分割して加えた。約15分後、反応混合物は透明になり、さらに2時間撹拌させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、水、続いてMcOH(3:1)を加えた。形成した固体をろ過し、EtOで洗浄し、真空下で乾燥させ、白色の固体として化合物14を得た(2.92g、77%)ESI−MS:450[M+H]
【実施例11】
【0065】
N−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−<N−[D−(+)−ビオチニル]−L−アスパルチルα−ベンジルエステル>−L−リシン(15)
化合物13(3.60g、6.72mmol、1.07当量)(化合物6の合成のために前述したように得た。)および化合物14(2.92g、6.30mmol)を、DMF(80mL)に溶解した。DiPEA(2.2mL、12.6mmol、2当量)を窒素雰囲気下で加え、続いてTBTU(2.53g、7.88mmol、1.25当量)を加えた。反応混合物を終夜撹拌させ、その後、溶媒を減圧下で除去した。精製を、HPLC(ACN/HO)を用いて実施し、帯黄色の油を得た(2.31g)。ESI−MS:967[M+H].脱保護は、RTで2時間撹拌しながら、DCM/TFA(1:1、60mL)において実施した。DCMを加え(150mL)、溶媒を加熱することにより除去した(45℃、気圧)。この工程を繰り返し(3×)、続いてトルエンで濃縮を繰り返した(3×)。化合物15を、帯黄色の固体として収集した(3.29g、30%)。ESI−MS:811[M+H]
【実施例12】
【0066】
ε−N−(D−(+)−ビオチニル−β−L−アスパルチル)−N−<3−{[15−N−(15−アザ−1−ケト−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデシル)]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシル>−L−リシン(16)
7(1.41g、1.94mmol)のDMF(50mL)溶液に、DiPEA(1.0mL、5.8mmol、3当量)を窒素雰囲気下で加え、続いてTBTU(685mg、2.1mmol、1.1当量)を加え、1時間撹拌させた。次に15のDMF(20mL)溶液を加え、3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗成生物をHPLC(ACN/HO/TFA)により精製し、帯黄色の固体を得た(783mg、26%)。ESI−MS:1522[M+H]
【実施例13】
【0067】
メチル2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<<12−N−<<ε−N−(D−(+)−ビオチニル−β−L−アスパルチル)−N−<3−{[15−N−(15−アザ−1−ケト−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデシル)]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシル>−L−リシル−>>−12−アザ−3,6,9−トリオキサ−ドデシル>>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシドデカキスナトリウム塩(17)
化合物17の合成は、基本的に、一般的手順に従って実施した。したがって、16(768mg、0.505mmol)のDMF(50mL)溶液に、DiPEA(106μL、0.61mmol、1.2当量)、続いて窒素下でTBTU(178mg、0.56mmol、1.1当量)を加えた。溶液を1時間撹拌後、化合物9(906mg、0.48mmol)を加え、16時間撹拌を続けた。反応混合物を減圧下で濃縮し、Q−セファロースで精製した(HO→2M NaCl)。脱塩をセファデックス−G25で実施し、透明な油を得た(1.5g)。油をHO(37mL)およびt−BuOH(37mL)に溶解し、10%Pd/C(670mg)を窒素雰囲気下で加えた。水素を溶液に16時間通した。ろ過によりPd/C触媒を除去した後、化合物をQ−セファロースで再度精製し、セファデックス−G25で脱塩して、収量465mg(34%)の化合物17を得た。
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ 7.94(m,1H)、7.86(t,1H)、7.71(m,1H)、7.52(t,1H)、6.93(d,1H)、6.58(d,1H)、5.45(d,1H)、5.42(d,1H)、5.18(bs,1H)、5.15(d,1H)、4.56(m,1H)、4.33〜4.41(m,2H)、4.30〜4.21(m,4H)、4.13〜4.05(m,4H)、3.89〜3.96(m,5H)、3.87〜3.82(m,3H)、3.81〜3.70(m,7H)、3.69〜3.60(m,39H)、3.59〜3.48(m,13H)、3.47〜3.35(m,8H)、3.30〜3.24(m,3H)、3.11(t,2H)、3.06〜2.93(m,4H)、2.79〜2.73(m,2H)、2.60〜2.52(m,2H)、2.26(t,2H)、2.01〜1.96(m,2H)、1.81〜1.74(m,3H)、1.71〜1.25(m,20H)。ESI−MS:m/z 1481.9[M+4Na−4H]2−、1471.0[M+3Na−3H]2−、980.7[M+3Na−3H]3−M+Na+5H]3−
【実施例14】
【0068】
ε−N−メチル−ε−N−トリフルオロアセチル−L−リシン(19)
化合物18(1.26mg、3.2mmol)を、DMF(15mL)に溶解し、KCO(2.2g、16mmol、5当量)、続いてヨウ化メチル(1.6mL、25.6mmol、8当量)を加えた。溶液を100℃まで加熱し、密閉したフラスコにおいて24時間撹拌した。反応混合物を冷却し、EtOAcで希釈した。得られた固体をろ過し、鹹水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、95/5)で精製し、油を得て(1.18g)、DCM(5mL)とTFA(5mL)の混合物に溶解し、1時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をトルエン中で濃縮し(3×)、化合物19を得た(1.57g、87%)。ESI−MS:m/z271.2[M+H]
【実施例15】
【0069】
メチル15−アジド−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−メチル−ε−N−トリフルオロアセチル−L−リシン(21)
化合物19(1.57g、2.16mmol)と20(0.60g、2.16mmol)(EP1574516に記載の対応するtert−ブチルエステル誘導体の脱保護により調製した。)を、化合物4の合成のために記載したように結合させ、収量86%の化合物21を得た(980mg、1.85mmol)。ESI−MS:m/z530.2[M+H]、552.2[M+Na]
【実施例16】
【0070】
15−アジド−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−メチル−L−リシン(22)
化合物21(0.98g、1.85mmol)をTHF(6mL)に溶解し、1N LiOH(6mL)を加え、得られた溶液をRTで2時間撹拌した。反応混合液を1N HClの添加により中和し、続いて減圧下で濃縮し、脱保護した粗化合物22を得て、これを更なる精製なしに次の反応に使用した。ESI−MS:m/z420.2[M+H]
【実施例17】
【0071】
15−アジド−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−[D−(+)−ビオチニル]−εN−メチル−L−リシン(23)
化合物22(1.85mmol、粗)を、化合物6の調製のために前述したようにD−(+)−ビオチン(0.54g、2.22mmol、1.2当量)と結合し、ビオチン化リシン誘導体23を得て、これを次のステップで精製なしに使用した。ESI−MS:m/z646.4[M+H]、668.6[M+Na]
【実施例18】
【0072】
15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル−ε−N−[D−(+)−ビオチニル]−εN−メチル−L−リシン(24)
化合物23(1.85mmol、粗)を、t−BuOH(50mL)およびHO(50mL)に溶解した。10%Pd/C(750mg)を、窒素雰囲気下で加えた。水素を溶液に約4時間通した。Pd/Cをデカライトによるろ過により除去し、EtOHで洗浄した。溶媒を減圧下(50mbar、50℃)で除去し、油として粗化合物24を得た(>100%、残留溶媒)。ESI−MS:m/z620.4[M+H]
【実施例19】
【0073】
ベンジルN−<3−{[−ε−(D−(+)−ビオチニル−ε−N−メチル)−L−リシン−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>4−O−{4−(N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシン(25)
化合物7(0.50g、0.68mmol)への化合物24(0.58g、0.93mmol、粗)の結合を、合成化合物8のために前述したように実施した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび分取HPLCによる精製により、収量77mgでε−N−メチル化リシン誘導体25を得た(化合物21から開始される最後の4ステップにわたり8.5%)。ESI−MS:m/z1330.6[M+H]
【実施例20】
【0074】
メチルO−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<<12−N−<<Nε−(D−(+)−ビオチニル−ε−N−メチル)−N−<3−{[15−N−(15−アザ−1−ケト−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデシル)]−カルボニル}−ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)−ブチル}−L−チロシル>−リシル−>>−12−アザ−3,6,9−トリオキサ−ドデシル>>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシドノナキスナトリウム塩(26)
化合物25(77mg、58μmol)を、一般的手順に記載のように五糖類誘導体9(0.10g、55μmol)に結合させた。一般的手順に記載のように粗生成物を精製および脱塩し、続いて凍結乾燥させ、収量50mg(27%)の目標の抱合体26を得た。ESI−MS:m/z2762.5[M+H]
【0075】
【化11】

【0076】
【化12】

【0077】
【化13】

【0078】
【化14】

【0079】
【化15】

【0080】
【化16】

【0081】
【化17】

【0082】
【化18】

【実施例21】
【0083】
薬理学
1.1 ADPにより誘発されたモルモット血小板凝集の抑制に関するインビトロ試験
インビトロにおけるヒトまたはモルモットの多血小板血漿(PRP)に対するアデノシン二リン酸(ADP)の添加は、血小板凝集を誘発する。この凝集は、PRPの光学濃度(OD)における変化を測定することにより評価することができる。以下のインビトロ試験は、モルモットのADP誘発凝集への干渉について試験化合物を評価するために使用した。
【0084】
材料
多血小板血漿(PRP):自由流(Free−flowing)の血液を、健常ボランティアまたはモルモットから採取し、蒸留水HO中0.1容量のクエン酸ナトリウム.2HO、3.8%(w/v)に収集する。最終濃度は、0.38%クエン酸ナトリウムである。クエン酸塩添加血を、室温でHettich Rotanta/APにおいて1,600N/kg(160g、すなわち900rpm)で遠心する。15分後、遠心を、遠心機のブレーキをかけて中止し、上清(=PRP)を収集する。ADP(分析用)の新しい溶液(0.9%NaClのMQ水溶液中で50μM)を直ちに使用する。
【0085】
このアッセイにおいて、チロフィバン(静注用0.25mg/mL濃縮液として購入したAGGRASTAT(登録商標)(MSD))は、30〜60nM(IC50)の濃度で5μM ADPにより誘発されたヒトの血小板凝集を50%抑制する。
【0086】
器具
1.シスメックス(Sysmex)血球計数器モデルKX−21。
2.620nmフィルター付きのラボシステムズ(Labsystems)iEMSリーダーMF、1,000rpmおよび一定温度37℃に設定されたオービタルシェイカー(orbital shaker)。吸収を、ラボシステムズiEMSプログラムで測定する。
3.針付き血液採取システム600mL、artP4203(NPBI)。
4.96ウェル平底マイクロプレート(Greiner Labortechnik)。
【0087】
手順
上清(PRP)内の血小板を、シスメックス血球計数器を用いて計数し、上清をPPP(乏血小板血漿)で希釈し、約400,000±50,000plt/mLを含むPRPを得る。PRPは、室温で20分以上、3時間未満で安定化するはずである。
【0088】
150μLのPRPを、ピペットでマイクロプレートのウェルに移す。様々な濃度(化合物当たり7つの濃度)の30μLの試験化合物またはビヒクルを加え、マイクロプレートを、37℃でラボシステムズiEMSリーダーMFにかける。次に光学濃度(OD620)を、620nmで測定する。リーダー(1,000rpm)で2分間振盪後、ODを再度測定する。これは血小板の安定性(自然発生の血小板凝集のないこと)について検証するためである。次に、50μM ADP溶液20μLを加え、ODを、620で14分間、1分ごとに動力学的に測定する。2つの測定間に、プレートを1,000rpmで40秒間振盪させる。試験化合物ごとに、異なるボランティア由来のPRPを用いて少なくとも2回の実験で調査する。
【0089】
反応の評価
化合物の各濃度(溶媒を含む)での平均ODを、t=0分およびt=10分で算出する。各濃度における抑制率を、以下の式を用いて算出する。
【0090】
【数1】

【0091】
試験化合物のIC50は、ADP誘発の血小板凝集が50%減少する濃度である。このために、抑制率の値を、化合物の濃度に対してプロットし、IC50をGraphpad Prism3.0を用いて(様々な傾きで)算出する。
【0092】
1.2 TRAPにより誘発されたヒト血小板凝集の抑制に関するインビトロ試験
インビトロにおける洗浄されたヒトまたはモルモットの血小板(WPL)へのトロンビン受容体アゴニストペプチド(TRAP)の添加は、血小板凝集を誘発する。この凝集は、WPLの光学濃度を測定することにより判定することができる。ここに記載のインビトロ試験は、ヒト血小板のTRAP誘発の凝集を抑制する試験化合物の活性について分析するために用いられる。マイクロプレートリーダーは、同時にいくつかの化合物の活性を測定するために用いられる。
【0093】
材料
ワトソン緩衝液の組成:
O 1L当たり
NaCl 7.83g(134mmol)
KCl 0.22g(2.9mmol)
NaHCO 1.01g(12mmol)
NaHPO.2HO 0.06g(0.34mmol)
MgCl.6HO 0.20g(1mmol)
グルコース0.90g(5mmol)
HEPES 1.19g(5mmol)
pHは、NaOH(1mol/L)TNP緩衝液で7.4に調整する。
【0094】
TNP緩衝液の組成:
O 1L当たり
トロメタミン(トリス) 6.057g(50mmol)
NaCl 5.844g(100mmol)
PEG6000 3.0g
溶液のpHは、HCl(10mol/L)により37℃で7.4に調整する。
【0095】
PGI溶液:
KOH(1mol/L)中1mg/mLのプロスタグランジンI原液を−20℃で保存する。使用直前に、氷冷NaCl(9.0g/L)中5μg/mLの溶液を調製する。
【0096】
多血小板血漿(PRP):
自由流の血液を、健常ボランティアまたはモルモットから採取し、MQ水中0.1容量の3.8%クエン酸ナトリウム.2HO(w/v)に収集する。最終濃度は、0.38%クエン酸ナトリウムである。クエン酸塩添加血を、室温でHettich Rotanta/APにおいて1,600N/kg(160g)で遠心する。15分後、遠心を、遠心機のブレーキをかけて中止する。さらに上清(=PRP)を収集し、乏血小板血漿で希釈し、約400,000血小板/mLを含む懸濁液を得る。
【0097】
乏血小板血漿(PPP):
クエン酸塩添加血を、RTで約20,000N/kgで10分間遠心し、PPPをサイホンで移す。
【0098】
洗浄血小板(WPL):
一定分量の1μLのPGI溶液を、1mLのPRPに加え、その後、RTで約20,000N/kgで10分間遠心する。血漿をサイホンで移し、5ng/mLのPGIを含むワトソン緩衝液を血小板ペレットに加え、血小板を、プラスチック棒で静かに撹拌しながら原容量に再懸濁する。血小板懸濁液を、20,000N/kgで再度遠心する。血小板をワトソン緩衝液で再懸濁し、約400,000血小板/mLを含む懸濁液を得る。
【0099】
TRAP溶液:
TRAPをHOに溶解し、50μmol/Lを含む溶液を得る。新しい溶液を毎日調製する必要がある。すべての水溶液に対して、超高純度のHO(ミリQの品質)を使用する。
【0100】
ヒトフィブリノゲン(Kordia/ERL、art nr:FIB2粉末):0.5gのフィブリノゲン粉末を、真空下で50mLのMQ水に溶解する。この原液を、−20℃で100μLの一定分量で保存する。使用直前に、0.5mg/mLの生理食塩水溶液を調製する。
【0101】
このアッセイにおいて、チロフィバン(静注用0.25mg/mL濃縮液として購入したAGGRASTAT(登録商標)(MSD))は、30〜60nM(IC50)の最終濃度で5μM TRAPにより誘発されたヒトの血小板凝集を50%抑制する。
【0102】
手順
WPL濃度を、シスメックス血球計数器で計数し、懸濁液をワトソン緩衝剤で希釈し、約400,000plt/mLの濃度を得る。使用前に、WPLを、室温で20分以上、3〜4時間未満で安定化させる。
【0103】
150μLのWPLを、ピペットでマイクロプレートのウェルに移す。試験化合物または溶媒15μLおよび15μLのフィブリノゲン溶液を加え、マイクロプレートを、37℃でマイクロプレートリーダーにかける。次に、光学密度(OD)を、405nmで測定し、リーダーにおいて2分間振盪後、血小板の安定性(自然発生の血小板凝集のないこと)を検証するために、OD405を再度測定する。50μM TRAP溶液20μLを加え、OD405を405nmで14分間、1分ごとに動力学的に測定する。2つの測定間に、プレートを1,000rpmで40秒間振盪させる。試験化合物のIC50の測定のために、化合物ごとに、異なるボランティア由来のWPLを用いて少なくとも2回の実験において調査する。
【0104】
反応の評価:
各濃度(溶媒を含む)の平均ODを、t=0分およびt=10分で算出する。各濃度における抑制率を、以下の式によりマイクロソフトエクセルを用いて算出する。
【0105】
【数2】

【0106】
化合物の濃度を、抑制率に対してプロットする。IC50をGraphpad Prism3.0を用いて(様々な傾きで)算出する。試験化合物のIC50は、TRAP誘発の血小板凝集が50%減少する濃度である。
【0107】
1.3 ヒト血漿における抗Xa因子活性の判定のためのインビトロ試験
ヒト血漿における試験化合物の抗Xa因子活性を、TeienおよびLieにより報告された方法を用いてS2222(Chromogenix、Chromogenics Ltd、スウェーデン、ムルンダール(Molndal))によりアミド分解的(amidolytically)に測定した(Teien AN,Lie M.Evaluation of an amidolytic heparin assay method increased sensitivity by adding purified antithrombin III.Thromb.Res.1977,10:399−410)。抗Xa活性を、アミド分解活性(amidolytic activity)と標準ペパリンの検量線との比較後にU/μmolで表す。
【0108】
【表1】

【0109】
2.1 抗血栓活性のインビトロにおける中和
A.血小板凝集抑制のインビトロにおける中和
(アビジンによる化合物の予備温置)
ADP誘発の血小板凝集に関する前述のプロトコールにおいて実施したように、モルモットの最大の血小板凝集抑制が達成される濃度の225nMの化合物12または450nMの化合物10の存在下で、凝集を行った。ADPを加えることによってモルモットの血小板凝集を誘発する前に、化合物および異なる濃度のアビジン(卵白由来、Sigma)を室温で2分間温置した(図1および2)。
【0110】
B.血小板凝集抑制のインビトロにおける中和
(アビジンを遅らせて添加した後)
ADP誘発の血小板凝集に関する前述のプロトコールにおいて実施したように、モルモットまたはヒトの最大の血小板凝集抑制が達成される濃度の225nMの化合物12または450nMの化合物10の存在下で、凝集を行った。7分後、血小板凝集が中断され、異なる濃度のアビジン(卵白由来、Sigma)をt=9分で加えた。1分以内で、血小板凝集の検出が再開された(図3および4)。
【0111】
図5において、化合物17によるヒトの血小板凝集抑制に対するアビジンの作用について示す(ADP誘発の血小板凝集後の9分後、アビジンの添加)。
【0112】
結論:化合物10を含むモルモットの血小板凝集アッセイに対するアビジンの投与は、血小板凝集を直ちに回復させるが(抗血栓薬の中和(抗GPIIb/IIIa活性))、一方、非ビオチン化等価抗血栓化合物12の抑制活性は回復させることができない。化合物17へのアビジンの投与は、ヒトの血小板凝集の完全な回復をもたらす。
【0113】
3.1薬物動態
化合物10、12、17および27の薬物動態学的特性について、300〜400grのオスのウィスター系ラットにおいて検査した。ラットを、O/NO/イソフルランの混合物の吸入により麻酔し、その後に右側の頚動脈にカニューレを挿入した。翌日、ラットに100または500nmol/kgの用量を皮下投与した。皮下投与後、血液をいくつかの時間間隔で検体採取した。次に血液を遠心し、その後、血漿をサイホンで移し、使用するまで−20℃で保存した。試験化合物自体の原液から作成した検量線に対する得られた血漿試料中の試験化合物の濃度を、S2222(Chromogenix、Chromogenics Ltd、スウェーデン、ムルンダール(Molndal))を用いてTeienおよびLieの方法を基にした抗Xa活性の測定によりアミド分解的に測定した(Teien AN,Lie M.Evaluation of an amidolytic heparin assay method increased sensitivity by adding purified antithrombin III.Thromb.Res.1977,10:399−410)。試料中の濃度をnmol/mLで表し、動態パラメータを、WinNonlinのノンコンパートメントモデルで算出した。(図6および7)
【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
試験化合物10、12、17および27の変動内で、ラットにおいて同等な薬物動態学的作用を示すと結論される。
【0117】
3.2 薬物動態−中和実験
ラットを、100nmol/kgs.c.の用量の化合物10、12または27で処理した。t=1時間で、血液試料を採取し、化合物10または12で処理したラットに、アビジン(卵白由来、Sigma)10mg/kgを静脈内投与した。血液を、0.5、1、3、6および23時間後に連続して検体採取した。血液を薬物動態学的実験に記載のように処理し、試料の濃度を(残留)抗Xa活性を測定することにより判定した。(図8)
【0118】
【表4】

【0119】
化合物10(100nmol/kg)の皮下投与後、(残留)抗Xa活性を測定することにより判定した抗血栓活性を、アビジン10mg/kg静脈内投与により中和することができると結論される。アビジンによる化合物10の中和は、化合物12と比較した総T1/2eliの著しい減少、総AUC infの著しい減少およびClの著しい増加により反映されている。さらに、非ビオチン化等価化合物12の薬物動態学的作用は、アビジンの添加により(また、同等のプロファイルを示す基準の五糖類27と比較しても)影響されない。後者は、中和がビオチン標識の存在に関連し、これが二重阻害剤の薬物動態学的作用に影響を及ぼさないことを確認するものである。
【0120】
別々の実験において、化合物10、17または26を500nmol/kg皮下の用量で投与し、その後、24時間後に血液を収集した。次に10mg/kgのアビジンを静脈内投与し、血液を25および26時間後に収集した。(図9)
【0121】
【表5】

【0122】
アビジン(10mg/kg)投与の2時間後以内に、化合物10、17および26の血漿濃度が、それぞれ75、83および66%減少したと結論される。この実験は、ビオチン化化合物の皮下投与の24時間後に実施された。このことは、ビオチン部分と抗血栓化合物の間のリンカーが、インビボにおいて安定していることを示している。
【0123】
4.抗血栓活性のインビボにおける中和
ラットにおいて、コラーゲン懸濁液の静脈内注入は血小板凝集を誘発し、一過性の血小板減少を引き起こす。本試験は、ラットにおいて、コラーゲンにより誘発された血小板減少の重症度に対する試験化合物の影響について評価するために使用する。
【0124】
第1の実験において、オスのモルモットに対して、コラーゲン注入の4時間前に、75nmol/kgの用量の化合物10または溶媒を皮下投与した。第2の実験において、化合物12および17を、同じ時間に100nmol/kgの用量で皮下投与した。オスのモルモットを、ケタミン+セダマン(Sedamun)(それぞれ90+10mg/kg)の筋肉内投与により麻酔した。15分後、総頚動脈の1つを分断し、PE50カニューレ(Clay Adams)でカニューレ処置した。0.5mLの2つの血液試料を、25μLの0.20M NaEDTA溶液を含むプラスチックバイアルに収集した。次にカニューレを、0.25mg/mLのコラーゲン懸濁液(Hormon Chernie、西ドイツ、ミュンヘン、pH2.8の等張緩衝液で希釈)を含む注射器に接続した。この懸濁液を、30秒間で225μLの注入を通して投与した。次に注射器を取り外し、5mLの2つの血液試料を、コラーゲン注入開始から85および95秒後に採取した。次に、動物をユーサセート(euthasate)で屠殺し、その後、試料ごとの血小板数をシスメックス(Sysmex)血球計数器モデルKX−21で計数した。アビジンを使用した場合には、アビジン10mg/kgを、化合物10、12または17の皮下投与後のt=4hで静脈内投与し、その後、コラーゲンを5分以内に注入した。
【0125】
収集した血液試料における血小板数の計数後、t=85および95秒で得られた血液試料の平均血小板数を、t=0で得られた血液試料の平均値で割ることによって、血小板数の減少が算出された。本試験は、n=4で実施した。
【0126】
【表6】

【0127】
【表7】

【0128】
化合物10の75nmol/kgまたは化合物12もしくは17の100nmol/kgの皮下投与後、化合物は、投与4時間後に66%を上回るコラーゲン誘発血小板凝集を抑制した。コラーゲン注入直前の10mg/kgのアビジン投与は、化合物10および17の血小板抑制活性の迅速および定量的中和を引き起こしたが、ビオチン部分を欠く化合物12では引き起こさなかった。これらの結果は、化合物10および17の抗GPIIb/IIIa媒介抗血小板活性の中和が、ビオチン標識単独で媒介され、アビジンへの特異的結合に基づくことを示している。さらに、化合物10、12および17により生じた血小板数の相対的減少の比較は、ビオチン標識が二重阻害剤の固有の抗血小板活性を妨げないことを示している。
【0129】
更なる薬理学
化合物17の投与後にモルモットにおいて誘発された用量依存的出血が、アビジン(静脈内10mg/kg)の投与によって直ちに止まった。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、化合物12による血小板凝集の抑制に対するアビジンの作用を示す図である。化合物およびアビジンの予備温置。
【図2】図2は、化合物10による血小板凝集の抑制に対するアビジンの作用を示す。化合物およびアビジンの予備温置。
【図3】図3は、化合物12によるモルモットの血小板凝集の抑制に対するアビジンの作用を示す(ADP誘発血症凝集の9分後にアビジンの添加)。
【図4】図4は、化合物10による血小板凝集の抑制に対するアビジンの作用を示す(ADP誘発血症凝集の9分後にアビジンの添加)。
【図5】図5は、化合物17によるヒトの血小板凝集の抑制に対するアビジンの作用を示す(ADP誘発血症凝集の9分後にアビジンの添加)。
【図6】図6は、500nmol/kgの化合物の皮下投与後の平均データを示す。
【図7】図7は、100nmol/kgの化合物の皮下投与後の平均データを示す。
【図8】図8は、100nmol/kgの化合物の皮下投与後の平均データを示す。t=1時間で、アビジン(10mg/kg)を、化合物10または12で処理したこれらのラットに静脈内投与した。アビジン非存在下での化合物27(五糖類部分)の薬物動態学的作用を比較のために示す。
【図9】図9は、化合物10、17または26の500nmol/kgの皮下投与後の平均データを示す。T=24時間で、アビジン(10mg/kg)を静脈内投与し、その後血液試料をT=25および26時間で収集した。比較のために、化合物17の化合物100nmol/kg(皮下)の値を、500nmol/kgの用量に正規化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物(この式(I)の化合物は、ビオチン標識またはこの類似体との少なくとも1つの共有結合をさらに含む。)
オリゴ糖−スペーサー−GPIIb/IIIaアンタゴニスト (I)
(式中、オリゴ糖は、4から25個の単糖類単位を含む負に帯電したオリゴ糖残基であり、電荷は正に帯電した対イオンによって相殺されており、前記オリゴ糖残基はそれ自体が(AT−III媒介)抗Xa活性を有するオリゴ糖から誘導されており;
スペーサーは、結合であり、または本質的に薬理学的不活性な結合残基であり;
GPIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10〜20Å離れて残基内に位置するカルボキシレート部分および塩基部分を含むフィブリノゲンのRGDおよび/またはK(QA)GD断片を模倣した残基である。)
または薬学的に許容されるこの塩もしくはプロドラッグもしくはこの溶媒和物。
【請求項2】
スペーサーが本質的に薬理学的不活性な結合残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
スペーサーが1から50個原子の長さを有する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
スペーサーが少なくとも1つの−(CHCHO)−要素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
オリゴ糖が4から16個の単糖類単位を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
オリゴ糖が硫酸化五糖類残基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
五糖類残基が構造Aを有する、請求項6に記載の化合物
【化1】

(式中、R1は、独立に、ビオチン標識もしくはこの類似体、OSOまたは(1〜8C)アルコキシである。)。
【請求項8】
五糖類残基が構造Bを有する、請求項7に記載の化合物
【化2】

(式中、R1は、OCHまたはOSOである。)。
【請求項9】
GPIIb/IIIaアンタゴニスト残基が、Ro435054、SC54701(ゼミロフィバン)、RWJ50042、シブラフィバン(Ro443888)、ラミフィバン(Ro449883)、GPI562、FK633、チロフィバン(MK383)、オルボフィバン(SC57101)、エプチフィバチド(C6822)、ロキシフィバン(XV459)、エラロフィバン(RWJ53308)、SR121566(SR121787の活性型)、レフラダフィバン(BIBU52)、ロトラフィバン(SB214857)、ガントフィバン(YM028)、T−250、EF5077、ZD2486、TAK029、TP9201、L703014およびUR−3216から誘導された残基から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
ビオチン標識またはこの類似体との1つの共有結合を含む、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
式Iの化合物のオリゴ糖残基がビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含む、請求項1から7、9および10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
式Iの化合物のオリゴ糖残基が、式−(NH−CO)−(CH−X−BT(式中、nは、0または1であり、pは、4または5であり、Xは、NH、N(1〜4C)アルキル、NH−CH(CHOH)−CH−C(O)−NH、NH−CH(CH)−CH−C(O)−NH、NH−CH(COOH)−CH−C(O)−NHまたはNH−CH(CHCOOH)−CH−C(O)−NHであり、BTは、以下の標識
【化3】

である。)のビオチン類似体との1つの共有結合を含む、ビオチン類似体との1つの共有結合を含む、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
【化4】

である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式Iの化合物のスペーサーがビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含む、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
式Iの化合物のスペーサーが、式
−(CH−X−BT
(式中、XおよびBTは、請求項12の定義の通りである。)のビオチン類似体との1つの共有結合を含む、ビオチン類似体との1つの共有結合を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
【化5】

である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
このナトリウム塩の形態である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
【化6】

である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基がビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
式Iの化合物のGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基がビオチン標識またはこの類似体との共有結合を含む、ビオチン標識またはこの類似体との1つの共有結合を含む、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に適切な助剤を含む医薬組成物。
【請求項22】
治療に使用するための請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−511543(P2009−511543A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535002(P2008−535002)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067127
【国際公開番号】WO2007/042469
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】