説明

ビス−(OH−トリアジニル)−架橋連結アゾ染料、インク、その製法および使用法

式(1)の化合物またはその塩:


(式中、
およびAは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアリールであり;QおよびQは、それぞれ独立に、式(1)に示される−N=N−および−NR−基にパラ結合するフェニレン環をそれぞれ含む、置換されていてもよいアリーレンまたは多環式へテロアリーレン基であり;各Rは、独立にHまたは置換基であり;各Xは、独立に、O、SまたはNRから選択され、ここで、RはHまたは置換基であり、ただし、Xで表される基の少なくとも1つはOまたはSであり;Lは、連結基であり;ただし、式XLXで表される基は、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸およびスルホンアミド基から選択される基を含まない)。これらの化合物を含むインクは、特に良好な耐オゾン堅牢性、光学濃度、色空間そしてとりわけ良好な耐光堅牢性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤として有用な化合物、該化合物を含有するインク(特にインクジェット印刷インク)、該インクを基体へ印刷する方法、および該化合物の水性インクの製造への使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷(以後、IJP)は、ノズルを基体へ接触させることなく、インクの液滴が細いノズルを通して基体へ噴出される非衝撃印刷技術である。
IJPに用いられる着色剤およびインクには多くの性能が求められる。例えば、それらは良好な耐水堅牢性、耐光堅牢性、耐オゾン堅牢性および光学濃度を有するシャープで非羽毛状(non-feathered)の像をもたらすことが望ましい。インクは基体に塗布したとき急速に乾燥して汚れを防ぐことがしばしば求められる。しかし、インクがインクジェットノズルの先端で固まりを形成すると、プリント品質が低下する傾向が生じ、そして極端な場合、プリンターの印刷を妨げる原因となるので、インクはインクジェットノズルの先端で固まりを形成してはならない。インクはまた、分解したりまたは細いノズルを詰まらせる可能性がある沈殿を形成することなく、長期貯蔵に対して安定でなければならない。
【0003】
アゾ含有着色剤は本技術分野で知られている。
国際公開公報WO00/015723には、例えば2つのトリアジン環および連結基を介して連結された2つのアゾ基を有する染料を含有する組成物が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
我々は、インクジェット印刷インクに用いる着色剤として特に適しており、かつ上記の望ましい性質の1つ以上をもたらす、新たな一群の化合物を意外にも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、 式(1)の化合物またはその塩:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、
およびAは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアリールであり;
およびQは、それぞれ独立に、式(1)に示される−N=N−および−NR−基にパラ(para)結合するフェニレン環をそれぞれ含む、置換されていてもよいアリーレンまたは多環式へテロアリーレン基であり;
各Rは、独立にHまたは置換基であり;
各Xは、独立にO、SまたはNRから選択され、ここで、RはHまたは置換基であり、ただし、Xで表される基の少なくとも1つはOまたはSであり;
Lは、連結基であり;
ただし、式XLXで表される基は、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸およびスルホンアミド基から選択される基を含まない。)
を提供する。
およびA
およびAは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環式アリール基または単環式アリール基であり得る。
【0008】
好ましい多環式アリール基としては、ナフチル、アントラシルおよびピレニル基を挙げることができる。好ましい単環式アリール基はフェニル基である。ナフチルは2−ナフチルが好ましい。
【0009】
およびAは、それぞれ独立に、ナフチルまたはフェニルであるのが好ましい。
およびAは同一であることが好ましい。
およびAは2つとも、好ましくはナフチル、より好ましくは2−ナフチルである。
【0010】
およびA上に存在し得る任意の置換基は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アミン、アミド、エステル、ケトン、チオエーテル、ハロ、酸、ヒドロキシ、ニトロ、シアノおよび−CF基から選択されるのが好ましい。
【0011】
置換されていてもよいアルキル基は、好ましくはC1−8アルキル基、より好ましくは置換されていてもよいC1−4アルキル基である。
置換されていてもよいアルコキシ基は、好ましくはC1−8アルコキシ基、より好ましくは置換されていてもよいC1−4アルコキシ基である。
【0012】
好ましくは、置換されていてもよいアミン基は、式−NRの基である。式中、RおよびRはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよいアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであるか、あるいはRおよびRは、それらに結合した窒素原子と一緒になって置換されていてもよい5員環または6員環(例えば、ピペリジン、ピロリドン、ピリジン、ピペリジンまたはモルホリン環)を形成する。
【0013】
好ましくは、置換されていてもよいアミン基は、式−NHC(O)NR、−C(O)NR、−S(O)NRまたは−NHC(O)Rの基である。式中、RはHまたは置換されていてもよいアルキル、アリールもしくはヘテロアリールであり、そしてRおよびRが上記の定義のとおりである。
【0014】
好ましくは、置換されていてもよいエステル基は、式−C(O)ORまたは−S(O)ORの基である。式中、Rは置換されていてもよいアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。
【0015】
好ましくは、置換されていてもよいケトン基は、式−C(O)Rの基である。式中、Rは上記の定義どおりである。
好ましくは、置換されていてもよいチオエーテル基は、式−SRの基である。式中、Rは上記の定義どおりである。
【0016】
置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アミド、エステル、ケトンまたはチオエーテル置換基は、1つ以上のハロ、アミン、C1−4アルコキシ、ヒドロキシおよび酸基を有していてもよい。
【0017】
好ましいハロ基は、Cl、FおよびBrである。
好ましい酸基は、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸基である。
好ましくは、AおよびAは、それぞれ独立に、カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基から選択される1〜4個、より好ましくは1〜3個の基を有する。より好ましくは、AおよびAは、それぞれ独立に1〜3個のスルホン酸基を有する。さらに、好ましいというわけではないが、AおよびAは、カルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基以外の1つ以上の置換基を有していてもよい。
【0018】
好ましくは、AおよびAはそれぞれ独立に、式(2)もしくはその塩または式(3)もしくはその塩である。
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、星印は−N=N−基に結合する位置を表す。)
およびQ
好ましくはQおよびQは共にアリーレン基であり、より好ましくはQおよびQは同一のアリーレン基である。
【0021】
アリーレン基は多環式(例えば、ナフチレン)でも、単環式(例えば、フェニレン)でもよい。
およびQはそれぞれ独立に、好ましくは置換されていてもよいナフチレンまたはフェニレンであり、より好ましくはQおよびQは共に置換されていてもよいフェニレンであり、どちらの場合も、式(1)に示される−N=N−および−NR−基の両方にパラ結合するフェニレン環を含む。
【0022】
好ましくは、置換されていてもよい多環式へテロアリーレン基は、5員環または6員環に1つ以上の窒素、硫黄またはリン原子を含む5員環または6員環と縮合したフェニレン環を含む(例えば、式(1)に示される−N=N−および−NR−基の両方にパラ結合するフェニレン環を含むインドール基)。
【0023】
およびQ上に存在し得る任意の置換基は、AおよびAについて上記のとおりの基であるのが好ましい。
およびQ上に存在し得る任意の置換基は、C1−4アルコキシ(特にメトキシ及びエトキシ)、C1−4アルキル(特にメチル)、−NHCONH、−NHSO−C1−4アルキル(特に−NHSO−CH)、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸から選択されることが好ましい。
【0024】
好ましくは、QおよびQで表される基は独立に置換されていないか、あるいはただ1つのC1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ基で置換されている。
より好ましくは、QおよびQは共に置換されていない。
R基
好ましくは、各Rは独立に、H、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアリールである。好ましくは、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリール基は、AおよびAについて上記の定義のとおりの基である。より好ましくは、各Rは独立にHまたはC1−4アルキルであり、特にHである。
X基
好ましくは、Xで表される基は、両方ともにそれぞれ独立にOおよびSから選択される。より好ましくは、Xで表される基は、両方ともにOであるか、又はより好ましくはSである。
【0025】
Xで表される基の1つが−NRであるとき、RはHであることが好ましい。Rはまた、好ましくは置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいアリールである置換基であってよい。置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリール基は、AおよびAについて上記のとおりの基であることが好ましいが、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸またはスルホンアミド基である基、あるいはそれらを含む基は除く。
連結基L
好ましくは、連結基Lは有機基である(すなわち、Lは少なくとも1つの炭素原子を含む)。
【0026】
連結基Lは、置換されていてもよい及び/又は途中に挿入されていてもよい(optionally interrupted)アリーレンまたはアルキレンでありうる。
Lに結合した好ましい任意の置換基は、AおよびAについて上記の定義のとおりの基であるが、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸またはスルホンアミド基である基、あるいはこれらを含む基は除く。
【0027】
1つの態様では、連結基Lは、1つ以上の−S−、−O−、−N−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−C=C−、−C≡C−、アリーレンまたはヘテロアリーレン基が途中に挿入されていもよい、置換されていてもよいアルキレンでありうる。アルキレンは、好ましくはC1−30アルキレン、より好ましくはC2−10アルキレンである。
【0028】
この種の好ましい連結基は、線状C2−10脂肪族炭化水素のα,ω−ジオールおよびチオールである。
別の態様では、Lは、式−[(CH−Z]−(CH−の基であり、ここで、nは1〜4、mは1〜10であり、そしてZは独立に、O、Sおよび−NR−基から選択され、Rは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、またはより好ましくはHである。好ましくは、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリール基は、AおよびAについて上記の定義のとおりであるが、任意選択的な置換基はカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはスルホンアミド基ではあり得ず、また、それらを含むこともない。
【0029】
好ましくは、nは2または3である。好ましくは、mは1または2であり、特にnは2または3、mは1または2である。
さらに好ましくは、ZはOおよびSから選択され、特にXおよびZで表される全ての基はOまたはSのいずれかである。
【0030】
好ましくは、基−XLX−で表される残基は、式−O(CH16O−、−O(CHN(CH)(CHO−、−OCHCHOCHCHOCHCHO−、−OCHCHOCHCHO−、−OCHCHSCHCHO−、−O(CHS(CHO−、−O(CHO−、−OCHCHC(CH)CHCHO−、−O(CHO(CHO−、−S(CHS−、−SCHCHOCHCHS−、−S(CHS−、−S(CHS−、−SCHCHOCHCHOCHCHS−、−S(CH10S−、−SCH(CH)CHCHS−、−SCHCHSCHCHS−または−SCHCHSCHCHCHSCHCHS−の基である。
【0031】
基−XLX−で表される特に好ましい残基は、式−SCHCHSCHCHS−の基である。
好ましい態様
好ましい態様では、式(1)の化合物は式(4)〜(6)の化合物またはそれらの塩である。
【0032】
【化3】

【0033】
式(1)の化合物は本明細書に示す以外の互変異性体の形で存在し、そのような互変異性体は本発明の範囲および請求項に含まれる。
式(1)の化合物はプロトン付加された形または塩の形あるいはそれらの混合物であってもよい。
【0034】
従って、式(1)の化合物がスルホン酸、ホスホン酸、またはカルボン酸のような基を含むとき、これらは遊離酸の形(例えば、−SOH)または塩の形(例えば、−SONa)であってよい。
【0035】
好ましい塩の形は水溶性の、例えばアルカリ金属塩(特に、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、置換されたアンモニウム塩およびそれらの混合塩である。好ましいアンモニウムおよび置換されたアンモニウム塩はアンモニウムおよびアルキルまたはアリール置換アンモニウム(例えば、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウムおよびモルホリニウム)である。式(1)の化合物がナトリウム、リチウム、カリウムもしくはアンモニウム塩またはそれらの混合物の形であるのが特に好ましい。
【0036】
好ましくは、式(1)の化合物は、スルホン酸、ホスホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個、特に2〜8個の基を有する。
式(1)の化合物は、好ましくは染料、より好ましくは水溶性の染料である。
【0037】
式(1)の化合物の色はイエロー、オレンジまたはブラウンであることが好ましい。約5重量%の式(1)の化合物を含有するインクの色はイエローであることが好ましい。
本発明の化合物はインク(特に、IJPインク)の製造に有用である。これらのインクは、印刷されると、特に良好な耐オゾン堅牢性、光学濃度、色空間、そしてとりわけ良好な耐光堅牢度を示す。
【0038】
式(1)の化合物は繊維反応性基を含まないことが好ましい。そのような基はインクの長期貯蔵性を低下させる傾向があるからである。繊維反応性基という用語は本技術分野においてよく知られており、例えば欧州特許公開公報第0356014号(A1)で用いられている。繊維反応性基は適当な条件下でセルロース繊維中に存在するヒドロキシ基と、又は天然繊維中に存在するアミノ基と反応して、繊維と化合物との間に共有結合を形成することができる。式(1)の化合物およびそれらの塩は、それら以外の1種以上の着色剤と共に存在していてもよい。そのような追加的な着色剤が存在するとき、それらは繊維反応性基を有していないことが好ましい。
【0039】
式(1)の化合物又はそれらの塩は式(7)の化合物またはその塩の加水分解によって製造することができる。
【0040】
【化4】

【0041】
(式中、A、A、Q、Q、R、XおよびLは上記の定義のとおりである。)
好ましくは、加水分解は水酸化ナトリウムまたはリチウムを含有するアルカリ性溶液中で60〜80℃にて4〜10時間行われる。
【0042】
式(7)の化合物またはその塩は、式HXLXHの化合物約1モルを、式(8a)の化合物またはその塩1モル、及び式(8b)の化合物またはその塩1モルと反応させることによって製造することが好ましい。
【0043】
【化5】

【0044】
(式中、A、A、Q、Q、R、XおよびLは上記の定義のとおりである。)
反応は水溶液中で20〜40℃、pH6〜7で実施されることが好ましい。
式(1)の対称性を有する化合物またはその塩については、HXLXHは約2モルの式(8a)の化合物またはその塩と反応させることができる。
【0045】
式(8a)の化合物またはその塩は、塩化シアヌル約1モルを式(9a)の化合物またはその塩約1モルと反応させることによって製造することが好ましい。
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、A、QおよびRは上記の定義のとおりである。)
式(8b)の化合物またはその塩は、式(9b)の化合物またはその塩が式(9a)の化合物またはその塩の代わりに使用される以外は、式(8a)の化合物またはその塩と全く同じ方法で製造される。
【0048】
【化7】

【0049】
(式中、A、QおよびRは上記の定義のとおりである。)
式(9a)の化合物またはそれらの塩は、式A−NHの化合物をジアゾ化してジアゾニウム塩を形成し、そして得られたジアゾニウム塩を式Q−NRH(式中、A、QおよびRは上記の定義のとおりである)の化合物とカップリングさせることによって製造することができる。
【0050】
式(9b)の化合物またはそれらの塩は、式A−NHの化合物をジアゾ化してジアゾニウム塩を形成し、そして得られたジアゾニウム塩を式Q−NRH(式中、A、QおよびRは上記の定義のとおりである)の化合物とカップリングさせることによって、式(9a)の化合物またはそれらの塩と同様な方法で製造することができる。
【0051】
ジアゾニウム化は、好ましくは20℃より低い温度で、より好ましくは0〜5℃で行われる。好ましくは、ジアゾニウム化は、水、好ましくは非常に酸性のpH(3未満)の水を含む液体中で行われる。鉱酸(例えば、HClまたはHSOまたはそれらの混合物)がそのような酸性pHを達成するのに一般に用いられる。
【0052】
カップリング反応は0〜5℃で一般に1〜6時間行われるのが好ましい。pHを4〜5に調整するためにバッファー(例えば、酢酸ナトリウム)を加えることが多くの場合に望ましい。カップリング反応は水を含む液体中で行われるのこと好ましい。カップリング反応は25℃でさらに16時間続けることが好ましい。
式HXLXHの化合物
式HXLXHの好ましい化合物としては、HO(CH16OH、HO(CHN(CH)(CHOH、HOCHCHOCHCHOCHCHOH、HOCHCHOCHCHOH、HOCHCHSCHCHOH、HO(CHS(CHOH、HO(CHOH、HOCHCHC(CH)CHCHOH、HO(CHO(CHOH、HS(CHSH、HSCHCHOCHCHSH、HS(CHSH、HS(CHSH、HSCHCHOCHCHOCHCHSH、HS(CH10SH、HSCH(CH)CHCHSH、HSCHCHSCHCHSHおよびHSCHCHSCHCHCHSCHCHSH、を挙げることができる。
【0053】
式HXLXHの好ましい化合物は、HSCHCHSCHCHSHである。
インク
本発明の第2の態様では、
(a)本発明の第1の態様による少なくとも1つの式(1)の化合物またはその塩;および
(b)媒質
を含むインクを提供する。
【0054】
媒質は液体媒質または低融点固体媒質が好ましい。
さらに好ましくは、本発明の第2の態様によるインクは、
(a)0.01〜30部の、少なくとも1つの式(1)の化合物またはその塩;および
(b)70〜99.99部の液体媒質または低融点固体媒質
を含む。ここで、全ての部は重量に基づき、(a)+(b)=100の部数である。
【0055】
成分(a)の部数は、好ましくは0.1〜20部、より好ましくは0.5〜15部、特に1〜5部である。成分(b)の部数は、好ましくは99.9〜80部、より好ましくは99.5〜85部、特99〜95部である。
【0056】
成分(a)は、成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。成分(a)の20℃の成分(b)への溶解度は少なくとも10重量%であることが好ましい。このことによって、より希薄なインクの製造に使用できる濃縮物を製造することが可能になり、そして貯蔵中に液体媒質の蒸発が生じたときに式(1)の化合物またはその塩が沈殿する可能性が減少する。
【0057】
好ましい液体媒質としては、水、水と有機溶媒との混合物、及び水を含まない有機溶媒を挙げることができる。液体媒質は水であるか、又は水を含むことが好ましい。
液体媒質が水と有機溶媒との混合物を含むとき、水対有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1〜1:99、より好ましくは99:1〜50:50、特に95:5〜80:20である。
【0058】
水と有機溶媒との混合物中に存在する有機溶媒は、水混和性有機溶媒またはそのような溶媒の混合物であるのが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒としては、例えば、C1−6アルカノール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノールおよびシクロヘキサノール;線状アミド、好ましくはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;ケトンおよびケトン−アルコール、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコール;水混和性のエーテル、好ましくはテトラヒドロフランおよびジオキサン;ジオール、好ましくは炭素原子数2〜12のジオール、例えばペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールコール、ペンチレングリコールコール、ヘキシレングリコールおよびチオジグリコール並びにオリゴアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセロールおよび1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノC1−4アルキルエーテル、好ましくは炭素原子数2〜12のジオールのモノ−C1−4アルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノールおよびエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシドおよびスルホランを挙げることができる。液体媒質は水および2種以上、特に2〜8種の水混和性有機溶媒を含むことが好ましい。
【0059】
特に好ましい水混和性有機溶媒は環状アミド、特に2−ピロリドン、N−メチル−ピロリドンおよびN−エチル−ピロリドン;ジオール、特に1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール;並びにジオールのモノC1−4アルキルおよびC1−4アルキルエーテル、より好ましくは炭素原子数2〜12のジオールのモノC1−4アルキルエーテル、特に2−メトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエタノールである。
【0060】
好ましい液体媒質は
(a)75〜95部の水;および
(b)ジエチレングリコール、2−ピロリドン、チオジグリコール、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタムおよびペンタン−1,5−ジオールから選択される1種以上の有機溶媒の合計25〜5部
を含む。ここで、部は重量に基づいており、(a)+(b)の部の合計は100である。
【0061】
水と1種以上の有機溶媒を含む別の適したインク媒質の例は、米国特許第4,963,189号明細書、同第4,703,113号明細書、同第4,626,284号明細書および欧州特許公開公報第4,251,50A号に記載されている。
【0062】
液体媒質が水を含まない有機溶媒を含む(すなわち、水が1重量%未満)とき、有機溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは30〜150℃、特に30〜125℃である。有機溶媒は水非混和性若しくは水混和性溶媒又はそれらの混合物でよい。好ましい水混和性有機溶媒は、前記の水混和性有機溶媒及びそれらの混合物でよい。好ましい水非混和性有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素;エステル、好ましくはエチルアセテート;塩素化炭化水素、好ましくはCHCl;およびエーテル、好ましくはジエチルエーテル;およびそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
液体媒質が水非混和性有機溶媒を含むとき、極性溶媒は染料の液体媒質中への溶解度を高めるので、極性溶媒が含有されていることが好ましい。極性溶媒の例はC1−4アルコールおよびケトンである。
【0064】
上記の好ましい溶媒についての例示を考慮すると、液体媒質が水を含有しない有機溶媒であるとき、液体媒質はケトン(とりわけメチルエチルケトン)および/またはアルコール(とりわけC1−4アルカノール、より特定的にはエタノールまたはプロパノール)を含むことが特に好ましい。
【0065】
水を含有しない有機溶媒は、単一の有機溶媒または2種以上の有機溶媒混合物でもよい。液体媒質が水を含まない有機溶媒であるとき、2〜5種類の有機溶媒の混合物であるのが好ましい。これによって、液体媒質を選択してインクの乾燥特性および貯蔵安定性を良好に調整することが可能になる。
【0066】
水を含有しない有機溶媒を含むインク媒質は、速乾性が求められる場合、そして特に、疎水性および非吸収性基体、例えばプラスチック、金属およびガラスへ印刷するとき、特に有用である。
ホット−メルトインク
低融点固体は25℃で固体であり、50℃より高い温度で溶融することが好ましい。低融点固体の融点が60〜125℃であることがさらに好ましい。
【0067】
この温度範囲において溶融する好適な媒質としては、長鎖脂肪酸、スルホンアミドまたはアルコール、好ましくはC18−24鎖を有するこれらの化合物が挙げられる。式(1)の化合物またはその塩は低融点固体に溶解しうるか、あるいはそれに微細に分散されうる。
添加剤
本発明の第2の態様によるインクは、インクジェット印刷に用いるのに適した追加的成分、例えば粘度および表面張力調節剤、腐蝕防止剤、殺生物剤、焦げ付き減少添加剤および界面活性剤を含有していてもよい。
インク特性
インクの粘度は、好ましくは50mPa.s未満、より好ましくは20mPa.s未満、特に5mPa.s未満である。粘度は25℃で測定することが好ましい。粘度は100rpmに相当するせん断速度で円錐平板粘度計によって測定されることが好ましい。インクはニュートン粘度挙動(すなわち、粘度はせん断速度に影響されない)を示すのが好ましい。
【0068】
好ましくは、インクは10ミクロン未満の平均細孔サイズを有するフィルターに通して濾過されている。より好ましくは、インクは、10〜0.2ミクロン、より好ましくは5〜1ミクロンの平均細孔サイズを有するフィルターに通して濾過されている。
【0069】
インクのハロゲン化物イオン濃度は、好ましくは500ppm未満、より好ましくは100ppm未満である。インクの2価および3価金属は合計で100ppm未満、より好ましくは50ppm未満である。ppmは、インクの総重量に対する当該イオンまたは金属の重量部を意味する。ハロゲン化物イオンおよび/または2価および3価金属の除去には任意の適当な手段(例えば、イオン交換および限外濾過)を用いることができる。
印刷方法
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様による式(1)の化合物またはその塩を含有するインクを基体へ塗布することを含む、像を基体へ印刷する方法を提供する。
【0070】
好ましくは、インクはインクジェットプリンターによって塗布される。
この方法で用いられるインクは、本発明の第2の態様によるインクであることが好ましい。
基体
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様による式(1)の化合物またはその塩を含むインクで印刷される基体(好ましくは紙、オーバーヘッドプロジェクタースライドまたは布地材料)を提供する。インクは本発明の第2の態様によるインクが好ましい。
【0071】
好ましい紙は普通紙、または酸、アルカリ性または中性の加工紙である。商業的に入手可能な処理紙の例には以下のものが含まれる:Photo Paper Pro(PR101)、Photo Paper Plus(PP101)、Glossy Photo Paper(GP401)、Semi Gloss Paper(SG101)、Matte Photo Paper(MP101)(いずれもキャノン社から入手可能);Premium Glossy Photo Paper、Premium Semi Gloss Photo Paper、ColorLifeTM、Photo Paper、Photo Quality Glossy Paper、Double−sided Matte Paper、Matte Paper Heavyweight、Photo Quality Inkjet Paper、Bright White Inkjet Paper、Premium Plain Paper(いずれもセイコー・エプソン社から入手可能);HP All−In−One Printing Paper、HP Everyday Inkjet Paper、HP Everyday Photo Paper Semi−Glossy、HP Office Paper、HP Photo Paper、HP Premium High−Gloss Film、HP Premium Paper、HP Premium Photo Paper、HP Premium Plus Photo Paper、HP Printing Paper、HP Superior Inkjet Paper(いずれもヒューレット・パッカード社から入手可能);Everyday Glossy Photo Paper、Premium Glossy Photo Paper(両者ともLexmarkTM社から入手可能);Matt Paper、Ultima Picture Paper、Premium Picture Paper、Picture Paper、Everyday Picture Paper(コダック社から入手可能)。
【0072】
好ましい基体は、インクのための受容層を有するものである。受容層は多孔質でも非多孔質でもよい。
カートリッジ
本発明の第5の態様では、チャンバー(chamber)およびインクを含むインクジェットプリンターカートリッジを提供する。このとき、該インクは該チャンバー内に存在し、該インクは本発明の第1の態様による式(1)の化合物またはその塩を含む。該インクは、本発明の第2の態様によるインクであるのが好ましい。
使用法
本発明の第6の態様では、本発明の第1の態様による式(1)の化合物またはその塩及び水含有液体媒質を含み、50μS/cm未満の導電率を有するインク(特に、インクジェット印刷インク)の製造のための、該化合物またはその塩の使用を提供する。
【実施例】
【0073】
本発明をさらに以下の実施例により説明する。特に断りがなければ実施例中の部および%は全て重量に基づく。
実施例
実施例1:染料(1)の製造
【0074】
【化8】

【0075】
染料(1)は工程(a)〜(b)に従って製造した。
工程(a):中間体(1a)の製造
【0076】
【化9】

【0077】
アニリン(511g、5.5モル)を、水中のホルムアルデヒド/亜硫酸水素ナトリウム付加化合物(740g、5.5モル)(1000ml)溶液に40℃でゆっくり加えて反応混合物を形成した。
【0078】
反応混合物を50℃で3時間攪拌し、次に、塩化ナトリウム(100g)を加え、反応混合物をさらに3時間攪拌し、同時に反応混合物の温度を25℃に冷却した。
生成物は沈殿した。濾過によって生成物を集め、メチル化スピリット(3×300ml)で洗浄し、乾燥して、白色固体状の中間体(1a)970gを得た。
工程(b):中間体(1b)の製造
【0079】
【化10】

【0080】
7−アミノナフタレン−1,3,5−トリスルホン酸(76.6g、0.2モル)を水(800ml)に溶解し、これを2N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH7に調整し、次に、亜硝酸ナトリウム(13.8g、0.2モル)を加えて溶液を形成した。
【0081】
上記の溶液を0〜5℃の濃硫酸(60g)と水(150ml)の混合物に滴下して加え、反応混合物を形成した。
反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌した。工程(a)からの中間体(1a)(37.4g、0.2モル)を0〜5℃の反応混合物へ10分かけ数回に分けて加え、酢酸ナトリウムの添加によりpHを4〜5に調整し、反応混合物をさらに0〜5℃で4時間攪拌した。水酸化ナトリウム(100g)を反応混合物へ加え、次に、80℃でさらに6時間攪拌した。
【0082】
反応混合物を25℃に冷却し、塩化ナトリウム(200g)の添加によって生成物を沈殿させた。濾過によって生成物を集め、乾燥して、橙色の固体状の中間体(1b)58gを得た。
工程(c):染料(1)の製造
【0083】
【化11】

【0084】
アセトン(100ml)中の塩化シアヌル酸(9.2g、0.05モル)溶液を氷/水(300g)混合物に加えて、塩化シアヌル酸懸濁液を形成した。
工程(b)からの中間体(1b)(24.4g、0.05モル)を水(200ml)へ溶解し、2N水酸化リチウム溶液の添加によってpH7に調整し、次に、0〜5℃の上記塩化シアヌル酸懸濁液に加えて反応混合物を形成した。2N水酸化リチウム溶液を用いて反応混合物のpHを5〜6.5に1時間維持した。
【0085】
2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタンチオール(HSCHCHSCHCHSH3.9g、0.025モル)を上記反応混合物へ加えた。反応混合物を35℃、pH7〜8(2N水酸化リチウム溶液を使用)で18時間攪拌した。反応混合物を25℃に冷却し、得られた沈殿を濾過によって集め、アセトン(200ml)で洗浄し、乾燥して固体を得た。
【0086】
上記固体を水(500ml)中のLiOH(50g)溶液に溶解し、得られた溶液を75℃で3時間攪拌した。塩化リチウム(100g)の添加によって生成物を沈殿させ、濾過により集めた。生成物を水(300ml)に溶解させ、半透膜管で透析することによって50μS未満の導電性となるように精製した。水を60℃で蒸発させた後、橙色固体の染料(1)(5g)がリチウム塩として得られた。
【0087】
染料(1)を用いてインクジェット印刷インクを製造することができる。製造されたインクは、特に良好な耐オゾン堅牢性、耐光堅牢性、プリンター作業性、インク安定性を示し、さらに望ましい黄色の色彩を呈する。
【0088】
更なる染料は、2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタンチオールの代わりに、同じモル量で上記式HXLXHの好ましい化合物が使用される以外は、実施例1と全く同じ方法で製造することができる。
インク
表Iおよび表IIに記載のインクを製造することができる。第1欄に記載の染料は同じ数字の上記実施例で製造された染料である。第2欄以後に示す数字は関連成分の部数であり、全ての部は重量に基づく。インクは熱または圧電インクジェット印刷によって紙に塗布することができる。
【0089】
以下の略語を表I及び表IIで用いる:
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2,3−ジオール
CET=セチルアンモニウムブロミド
PHO=NaHPOおよび
TBT=t−ブタノール
TDG=チオジグリコール
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物またはその塩
【化1】

(式中、
およびAは、それぞれ独立に、置換されていてもよいアリールであり、
およびQは、それぞれ独立に、式(1)に示される−N=N−および−NR−基にパラ結合するフェニレン環をそれぞれ含む、置換されていてもよいアリーレンまたは多環式へテロアリーレン基であり、
各Rは、独立にHまたは置換基であり、
各Xは、独立にO、SまたはNRから選択され、ここで、RはHまたは置換基であり、ただし、Xで表される基の少なくとも1つはOまたはSであり、
Lは、連結基であり、
ただし、式XLXで表される基は、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基およびスルホンアミド基から選択される基を含まない。)。
【請求項2】
Xで表される各基が独立に、OおよびSから選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
Xで表される基の両方がOまたはSのいずれかである、請求項2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
基−XLX−で表される残基が、式−O(CH16O−、−O(CHN(CH)(CHO−、−OCHCHOCHCHOCHCHO−、−OCHCHOCHCHO−、−OCHCHSCHCHO−、−O(CHS(CHO−、−O(CHO−、−OCHCHC(CH)CHCHO−、−O(CHO(CHO−、−S(CHS−、−SCHCHOCHCHS−、−S(CHS−、−S(CHS−、−SCHCHOCHCHOCHCHS−、−S(CH10S−、−SCH(CH)CHCHS−、−SCHCHSCHCHS−または−SCHCHSCHCHCHSCHCHS−で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
およびQの両方が置換されていてもよいフェニレンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
およびQで表される基のそれぞれが独立に、置換されていないか、あるいはただ1つのC1−4アルキル基またはC1−4アルコキシ基で置換されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
およびAで表される基がそれぞれ独立に、1〜3個のスルホン酸基で置換されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
およびAがそれぞれ独立に、式(2)の基若しくはその塩、又は式(3)の基若しくはその塩である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその塩
【化2】

(式中、星印は−N=N−基に結合する位置を表す。)。
【請求項9】
式(4)、(5)若しくは(6)またはそれらの塩である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【化3】

【請求項10】
水溶性染料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
スルホン酸基、ホスホン酸基およびカルボン酸基から選択される1〜10個の基を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムもしくは置換されたアンモニウム塩またはそれらの混合物の形である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
(a)請求項1〜12のいずれか一項に記載の、少なくとも1種類の式(1)の化合物またはその塩、及び
(b)媒質
を含むインク。
【請求項14】
媒質が液体媒質である、請求項13に記載のインク。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその塩を含有するインクを基体に塗布することを含む、像を基体へ印刷する方法。
【請求項16】
インクがインクジェットプリンターによって塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(1)の化合物またはその塩を含むインクで印刷された基体。
【請求項18】
チャンバーおよびインクを含むインクジェットプリンターカートリッジであって、前記インクが前記チャンバー内に存在し、且つインクが請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(1)の化合物またはその塩を含む、インクジェットプリンターカートリッジ。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物と、水を含有する液体媒質とを含む、50μS/cm未満の導電率を有するインクの製造のための、前記化合物又はその塩の使用。

【公表番号】特表2009−541500(P2009−541500A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514868(P2009−514868)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001773
【国際公開番号】WO2007/148035
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(506139635)フジフィルム・イメイジング・カラランツ・リミテッド (75)
【Fターム(参考)】