説明

ビス(チオ−ヒドラジドアミド)塩の合成

ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法であって、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を形成するために、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)、有機溶剤、および塩基を混合する段階;ならびに該溶液とメチルt-ブチルエーテルとを混合し、それにより、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む方法を提供する。いくつかの態様においては、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法は、混合物を形成するために、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と、メタノール、エタノール、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択された有機溶剤とを混合する段階;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびカリウムエトキシドから選択された少なくとも約2モル当量の塩基を追加し、それにより溶液を形成する段階;ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させるために、該溶液とメチルtert-ブチルエーテルとを混合する段階を含む。開示された方法は凍結乾燥を必要とせず、本過程において使用される溶剤は、薬学的に許容される調製物と一致する低いレベルまで、より容易に除去されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2005年5月16日に出願した米国特許仮出願第60/681,263号の恩典を主張するものである。上記出願の全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特定のビス(チオ-ヒドラジドアミド)化合物は、医薬品、特に抗癌剤として有用である。例としては、Chenらの米国特許第6,825,235号(特許文献1)、米国特許出願公開第20040229952号(特許文献2)、ならびにKoyaらの米国特許第6,762,204号(特許文献3)および6,800,660号(特許文献4)、米国特許出願公開第20050009920号(特許文献5)および20040235909号(特許文献6)、20040225016号(特許文献7)、20030195258号(特許文献8)がある。これらの書類の全教示は、参照により組み入れられる。
【0003】
本ビス(チオ-ヒドラジドアミド)化合物の塩は、少なくとも一部において溶解性の理由から特に有用だと考えられている。例としては、Koyaらの2004年6月23日出願の米国特許仮出願第60/582,596号(特許文献9)、および現在同時出願中の米国特許仮出願 番号未指定、代理人整理番号3211.1014-001(特許文献10)がある。前記出願の全教示は参照により組み入れられる。しかし、現行の過程は、大量のエネルギーを消費し、かつ生産工程にまで拡大するには適さない凍結乾燥法を含む。
【0004】
そのため、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)化合物の塩を調製するための、改良された過程が必要である。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,825,235号
【特許文献2】米国特許出願公開第20040229952号
【特許文献3】米国特許第6,762,204号
【特許文献4】米国特許第6,800,660号
【特許文献5】米国特許出願公開第20050009920号
【特許文献6】米国特許出願公開第20040235909号
【特許文献7】米国特許出願公開第20040225016号
【特許文献8】米国特許出願公開第20030195258号
【特許文献9】米国特許仮出願第60/582,596号
【特許文献10】米国特許仮出願 番号未指定、代理人整理番号3211.1014-001
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩(disalt)は、薬剤の生産工程にまで拡大するのに適した過程において調製できることが、現在見出されている。
【0007】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法は、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)、有機溶剤、塩基を混合して、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を作るための段階;および前記溶液とメチルtert-ブチルエーテルとを混合し、それにより、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む。
【0008】
いくつかの態様においては、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法は、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と、メタノール、エタノール、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択された有機溶剤を混合して混合物を作るための段階;ならびに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびカリウムエトキシドから選択された少なくとも2当量の塩基を前記混合物に加え、それによって溶液を形成し、その溶液とメチルtert-ブチルエーテルを混合し、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む。
【0009】
開示される本方法は凍結乾燥を必要とせず、本過程で使用される溶剤は、薬学的に許容される調製物と一致する低いレベルまで、容易に除去することができる。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の好ましい態様は、以下のように説明される。本発明はビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法であり、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と有機溶剤、および塩基を混合してビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を形成する段階、ならびに前記溶液とメチルtert-ブチルエーテルとを混合し、それにより、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む。従って、本発明においては、複塩を形成するために、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は、ここで説明した塩基と反応できる、少なくとも二つの水素を有する。
【0011】
通常は、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の1モル当量あたり、少なくとも約2モル当量の塩基が用いられるが、より典型的には、約2〜約5当量、または好ましくは約2.0〜約2.5当量が用いられる。
【0012】
適切な塩基は、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と反応して、複塩を生成するのに十分なほど強い。様々な態様において、前記塩基として、アミン(例えばトリエチルアミン、ジフェニルアミン、ブチルアミンなど);水酸化アンモニウム(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなど);アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属アルコキシドC1-C6、またはアルカリ金属アミド(例えばナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミドなど)が挙げられる。いくつかの態様においては、前記塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシドC1-C6、カリウムアルコキシドC1-C6、ナトリウムアミド、またはカリウムアミドであり、また好ましくは水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、またはナトリウムエトキシドである。
【0013】
様々な態様において、前記塩基はアルカリ金属水素化物(例えばナトリウム水素化物、水素化カリウムなど)、または二価金属の塩基(例えば酸化マグネシウム)、C1-C6アルカリ金属アルキル(例えばブチルリチウム)、アリールアルカリ金属(例えばフェニルリチウム)である。より典型的には、前記塩基は、水素化リチウム、ナトリウム水素化物、水素化カリウム、ブチルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルカリウム、フェニルリチウム、フェニルナトリウム、またはフェニルカリウムである。
【0014】
本発明においては、アルカリ金属はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、およびルビジウムを含む。
【0015】
有機溶剤は、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と有機溶剤との混合物に塩基が加えられる際に安定している任意の有機溶剤であってよい。通常、有機溶剤は、溶液を形成するための前記方法によって形成された、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の塩を溶解するのに十分な極性を有する。様々な態様において、前記有機溶剤は水混和性である。前記有機溶剤は、一般的にC1-C4脂肪族アルコール(例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなど)、およびC1-C4脂肪族ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、2-ブタノンなど)、C2-C4脂肪族エーテル(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテルなど)、C2-C4環状脂肪族エーテル(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、グリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなど)、アルキルグリコールエーテル(例えばエチレングリコール、ジメチルエーテルなど)、アセトニトリルから選択することができる。より典型的には、前記有機溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール(例えば1-プロパノール、2-プロパノール)、ブタノール(例えば1-ブタノール、tert-ブチルアルコールなど)、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンから選択できる。好ましくは、有機溶剤は、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンから選択できる。
【0016】
様々な態様において、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は、有機溶剤の中にあっては実質的に不溶性であり、それにより、混合物を形成する際には、前記塩基を前記混合物と混合すると、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液が形成される。通常、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液は透明であってよい。一般的には、約0.25〜約2.5モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が、1リットル当たりの有機溶剤と混合される。あるいは典型的には、約0.75〜約1.5モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が、1リットル当たりの有機溶剤と混合される。好ましくは、約1モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が、1リットル当たりの有機溶剤と混合される。
【0017】
本明細書における「ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液」とは、前記有機溶剤、前記中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)、および前記塩基から形成される場合、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)単一塩、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩などの種を、一つ以上含んでいても良い。
【0018】
好ましい態様において、有機溶剤はエタノールである。好ましくは、前記塩基は約2〜約5モルの水酸化ナトリウム水溶液、またより好ましくは、約2〜約2.5モルの水酸化ナトリウム水溶液である。
【0019】
好ましい態様において、有機溶剤はアセトンである。好ましくは、前記塩基は約2〜約5モルのナトリウムエトキシドエタノール溶液、またより好ましくは、約2〜約2.5モルのナトリウムエトキシドエタノール溶液である。
【0020】
開示された本方法において用いられる前記中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は、構造式Iで表すことができる:

Yは共有結合、または任意に置換された直鎖のヒドロカルビル基であり;
R1-R4は、独立して、-H、任意に置換された脂肪族基、任意に置換されたアリール基であり、または、R1とR3は結合した炭素原子および窒素原子と一緒になり、および/またはR2とR4は結合した炭素原子と窒素原子と一緒になり、任意に芳香環に縮合された非芳香族複素環を形成し;
ZはOあるいはSである。
【0021】
前記中性ビス(チオヒドラジド)アミドは、Chenらの米国特許第6,825,235号と、Koyaらの米国特許第6,762,204号、第6,800,660号に記載される方法によって、および2003年10月16日に公開された同時係属中で共同所有の米国特許出願公開第20030195258号と、2004年1月15日付けの米国特許出願第10/758,589号による方法によっても調製することができる。本開示の中で言及する各文書の全教示は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。前述の開示方法によって生成される塩および互変異性体を表す構造式の例は、Koyaらの2004年6月23日出願の米国特許仮出願第60/582,596号にあり、その全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
ある態様において、構造式I中のYは、共有結合、-C(R5R6)-、-(CH2CH2)-、トランス-(CH=CH)-、シス-(CH=CH)-、または-(C≡C)-基であり、好ましくは-C(R5R6)-である。R1-R4は上記構造式Iに記載されているものである。R5とR6はそれぞれ独立した-H、脂肪族基、または置換された脂肪族基であるか、あるいはR5は-Hであり、R6は任意に置換されたアリール基であるか、あるいは一緒になったR5とR6は任意に置換されたC2-C6アルキレン基である。前記の薬学的に許容される陽イオンは以下で詳しく説明する。
【0023】
特定の態様では、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IIによって表される。

R1〜R6および薬学的に許容される陽イオンは、構造式Iで表される。
【0024】
構造式I-IIでは、R1とR2は同一または異なり、かつ/または、R3とR4は同一または異なり、好ましくはR1とR2は同一であり、R3とR4は同一である。構造式I-IIでは、Zは好ましくはOである。通常、構造式IおよびIIでは、ZはOであり;R1とR2は同一であり;かつR3とR4は同一である。より好ましくは、ZはOであり;R1とR2は同一であり;R3とR4は同一である。
【0025】
ほかの態様では、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IIによって表される。R1とR2はそれぞれ任意に置換されたアリール基であり、好ましくは、任意で置換されたフェニル基であり;R3とR4はそれぞれ任意に置換された脂肪族基であり、好ましくは、任意で置換されたアルキル基であり、より好ましくはメチルまたはエチルであり;R5とR6は上記に記載されたとおりであるが、R5は好ましくは-Hであり、R6は好ましくは-H、脂肪族基、または置換された脂肪族基である。
【0026】
あるいは、R1とR2はそれぞれ任意に置換されたアリール基であり、R3とR4はそれぞれ任意に置換された脂肪族基であり、R5は-Hであり、R6は-H、脂肪族基、または置換された脂肪族基である。好ましくは、R1とR2はそれぞれ任意に置換されたアリール基であり、R3とR4はそれぞれアルキル基であり、R5は-Hであり、R6は-Hまたはメチルである。より一層好ましくは、R1とR2はそれぞれ任意に置換されたフェニル基であり、R3とR4はそれぞれメチルまたはエチルであり、R5は-Hであり、R6は-Hまたはメチルである。R1とR2によって表されるアリール基、ならびにR3、R4、およびR6によって表される脂肪族基に適した置換基は、アリール基と脂肪族基について以下に記載されるとおりである。
【0027】
ほかの態様では、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IIによって表される。R1とR2はそれぞれ任意に置換された脂肪族基で、好ましくは、少なくとも一つのアルキル基で任意に置換されたC3-C8シクロアルキル基、より好ましくはシクロプロピルまたは1-メチルシクロプロピルであり;R3とR4は上記の構造式Iに表され、好ましくは両方が任意で置換されたアルキル基であり;R5とR6は上記に記載されるとおりだが、R5は好ましくは-Hであり、R6は好ましくは-H、脂肪族基、または置換された脂肪族基であり、より好ましくは-Hまたはメチルである。
【0028】
あるいは、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IIによって表される。R1とR2はそれぞれ任意に置換された脂肪族基であり;R3とR4は上記の構造式Iに表されるとおりであり、好ましくは両方が任意に置換されたアルキル基であり;R5は-Hであり、R6は-Hまたは任意に置換された脂肪族基である。好ましくはR1とR2は両方とも少なくとも一つのアルキル基で任意に置換されたC3-C8シクロアルキル基であり;R3とR4は両方とも上記の構造式Iに表されるとおりであり、好ましくはアルキル基であり;R5は-Hであり、R6は-Hまたは脂肪族基または置換された脂肪族基である。より好ましくは、R1とR2は両方とも少なくとも一つのアルキル基で任意に置換されたC3-C8シクロアルキル基であり;R3とR4は両方ともアルキル基であり、R5は-Hであり、R6は-Hまたはメチルである。より一層好ましくは、R1とR2は両方ともシクロプロピルまたは1-メチルシクロプロピルであり;R3とR4は両方ともアルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり;R5は-Hであり、R6は-Hまたはメチルである。
【0029】
特定の態様では、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IIIによって表される:

式中、R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともエチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも4-シアノフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも4-メトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともエチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも4-シアノフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも3-シアノフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも3-フルオロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも4-クロロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも2-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも3-メトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,3-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,3-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジフルオロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジフルオロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジクロロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメチルフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方ともシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともエチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はメチルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はエチルであり、R6-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5はn-プロピルであり、R6は-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともエチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3はメチルであり、R4はエチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも2-フェニルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方とも1-フェニルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロブチルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロペンチルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロヘキシルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともシクロヘキシルであり、R3とR4は両方ともフェニルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方ともt-ブチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方ともフェニルであり、R5とR6両方とも-Hである;
R1とR2は両方ともt-ブチルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
R1とR2はエチルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである;
またはR1とR2は両方ともn-プロピルであり、R3とR4は両方ともメチルであり、R5とR6は両方とも-Hである。
【0030】
特定の態様では、前記ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は構造式IVによって表される:

式中、R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともo-CH3-フェニルである;
R1とR2は両方ともo-CH3C(O)O-フェニルであり、R3とR4はフェニルである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともエチルである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともn-プロピルである;
R1とR2は両方ともp-シアノフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともp-ニトロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方ともn-ブチルである;
R1とR2は両方ともp-クロロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも3-ニトロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも3-シアノフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも3-フルオロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2-フラニルであり、R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方とも2-メトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも3-メトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2,3-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2-メトキシ-5-クロロフェニルであり、R3とR4は両方ともエチルである;
R1とR2は両方とも2,5-ジフルオロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2,5-ジクロロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2,5-ジメチルフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2-メトキシ-5-クロロフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも3,6-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともフェニルであり、R3とR4は両方とも2-エチルフェニルである;
R1とR2は両方とも2-メチル-5-ピリジルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
あるいは、R1はフェニルであり、R2は2,5-ジメトキシフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともメチル、R3とR4は両方ともp-CH3-フェニルである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方ともo-CH3-フェニルである;
R1とR2は両方とも-(CH2)3COOHであり、R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方とも次の構造式によって表され、

R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方ともn-ブチルであり、R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方ともn-ペンチルであり、R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方ともメチルでありR3とR4は両方とも2-ピリジルである;
R1とR2は両方ともシクロヘキシルであり、R3とR4は両方ともフェニルである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方とも2-エチルフェニルである;
R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方とも2,6-ジクロロフェニルである;
R1〜R4はすべてメチルである。R1とR2は両方ともメチルであり、R3とR4は両方ともt-ブチルである;
R1とR2は両方ともエチルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともt-ブチルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともエチルである;
R1とR2は両方とも1-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2-メチルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも1-フェニルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方とも2-フェニルシクロプロピルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともシクロブチルであり、R3とR4は両方ともメチルである;
R1とR2は両方ともシクロペンチルであり、R3とR4は両方ともメチルである;または
R1はシクロプロピルであり、R2はフェニルであり、R3とR4は両方ともメチルである。
【0031】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の好ましい実施例は、化合物(1)〜(18)、ならびに薬学的に許容される塩およびその溶媒和化合物を含む。




【0032】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の特定の例は化合物(1)、(17)、および(18)を含む。
【0033】
いくつかの態様では、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調製する方法は、混合物を作るために中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と、メタノール、エタノール、アセトン、およびメチルエチルケトンから選ばれた有機溶媒とを混合する段階;
前記混合物に、ナトリウム水素化物、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびカリウムエトキシドから選ばれた塩基のうちの少なくとも2当量を加え、それにより、溶液を形成する段階;および
その溶液とメチルtert-ブチルエーテルを混合してビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む。
【0034】
好ましい態様では、有機溶媒はアセトンであり、塩基はナトリウムエトキシドエタノール溶液であり、有機溶媒はエタノールであり、塩基は水酸化ナトリウム水溶液であり、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は

であり、かつ/または中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)は

である。
【0035】
「直鎖ヒドロカルビル基」とは、アルキレン基、すなわち、一つもしくはそれ以上(望ましくは一つ)の内部メチレン基が任意に連鎖基と置き換えられた、-(CH2)y-である。yは自然数(例えば、1から10の間)であり、望ましくは1から6の間、さらに望ましくは1または2である。「連鎖基」とは、直鎖ヒドロカルビルにおいてメチルエチレンを置き換える官能基のことを言う。適切な連鎖基の例は、ケトン(-C(O)-)、アルケン、アルキン、フェニレン、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)、またはアミン(-N(Ra)-)であり、Raは以下に定義される。好ましい連鎖基は-C(R5R6)-であり、R5およびR6は上記のように定義される。アルキレン基およびヒドロカルビル基に対する適切な置換基は、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)およびタキサンの抗癌作用を実質的に妨げないものである。R5およびR6は、Yで表されるアルキレン基またはヒドロカルビル基の好ましい置換基である。
【0036】
脂肪族基は、完全に飽和しているか、または一つまたはそれ以上の非飽和単位の直鎖、分岐鎖または環状の非芳香族炭化水素である。典型的に、直鎖または分岐鎖の脂肪族基は1からおよそ20、好ましくは1からおよそ10の炭素原子をもち、環状の脂肪族基は3からおよそ10、好ましくは3からおよそ8の炭素原子をもつ。脂肪族基は好ましくは直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば3からおよそ8の炭素原子をもつメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチルまたはオクチル、またはシクロアルキル基である。C1-C20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはC3-C8環状アルキル基もまた「低アルキル」基と称される。
【0037】
「芳香族基」と言う用語は「アリール」、「アリール環」、「芳香環」、「アリール基」、および「芳香族基」とほぼ同じ意味で使用されてもよい。芳香族基は、フェニル、ナフチル、およびアントラセルといった炭素環芳香族基と、イミダゾール、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロイル、ピラジニル、チアゾール、オキサゾリル、およびテトラゾールといったヘテロアリール基を含む。「ヘテロアリール基」という用語は、「ヘテロアリール」、「ヘテロアリール環」、「ヘテロ芳香環」および「ヘテロ芳香族基」とほぼ同じ意味で使用されてもよい。ここで使用されている「ヘテロアリール」という用語は、窒素、硫黄および酸素といった少なくとも一つのヘテロ原子を含むが環ごとに1、2、3または4つのヘテロ原子を含む、単環または多環芳香ヘテロ環である。芳香族基はまた、炭素環芳香環またはヘテロアリール環が一つまたはそれ以上のほかのヘテロアリール環と縮合している、縮合多環式芳香環系を含む。例えば、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンジミダゾール、キノリニル、イソキノリニルおよびイソインドリルが挙げられる。
【0038】
「アリーレン」という用語は、二つの他の化学結合により分子の残りと結びつくアリール基を言う。一例として、1,4-フェニレン基を以下に示す。

【0039】
アリーレン基の置換基は以下に記載のアリール基に対するものと同様である。
【0040】
非芳香族ヘテロ環は、その環に窒素、酸素または硫黄といった、一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む非芳香環である。環は5、6、7または8員であってもよい。例えば、テトロヒドラフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルフォリノ、チオモルフォリノ、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびチアゾリジニルが挙げられる。
【0041】
脂肪族基における適切な置換基(アルキレン基を含む)、非芳香へテロ環基、ベンジル基またはアリール基(炭素環およびヘテロアリール)は、ビス(チオヒドラジド)アミドおよびタキサンの抗癌作用を実質的に妨げないものである。置換基のない化合物と比較し、置換基のある化合物において、抗癌作用がおよそ50%以上低減されると、置換基は、実質的に抗癌作用を妨げるとされる。適切な置換基の例は、-Ra、-OH、-Br、-Cl、-I、-F、-ORa、-O-CORa、-CORa、-CN、-NO2、-COOH、-SO3H、-NH2、-NHRa、-N(RaRb)、-COORa、-CHO、-CONH2、-CONHRa、-CON(RaRb)、-NHCORa、-NRcCORa、-NHCONH2、-NHCONRaH、-NHCON(RaRb)、-NRcCONH2、-NRcCONRaH、-NRcCON(RaRb)、-C(=NH)-NH2、-C(=NH)-NHRa、-C(=NH)-N(RaRb)、-C(=NRc)-NH2、-C(=NRc)-NHRa、-C(=NRc)-N(RaRb)、-NH-C(=NH)-NH2、-NH-C(=NH)-NHRa、-NH-C(=NH)-N(RaRb)、-NH-C(=NRc)-NH2、-NH-C(-=NRc)-NHRa、-NH-C(=NRc)-N(RaRb)、-NRdH-C(=NH)-NH2、-NRd-C(=NH)-NHRa、-NRd-C(=NH)-N(RaRb)、-NRd-C(=NRc)-NH2、-NRd-C(=NRc)-NHRa、-NRd-C(=NRc)-N(RaRb)、-NHNH2、-NHNHRa、-NHRaRb、-SO2NH2、-SO2NHRa、-SO2NRaRb、-CH=CHRa、-CH=CRaRb、-CRc=CRaRb、-CRc=CHRa、-CRc=CRaRb、-CCRa、-SH、-SRa、-S(O)Ra、および-S(O)2Raである。Ra-Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、芳香族基、非芳香へテロ環基、または-N(RaRb)であり、一緒になって任意に置換された非芳香へテロ環基を形成する。Ra-Rdと表されるアルキル、芳香および非芳香へテロ環基、および、-N(RaRb)と表される非芳香へテロ環基は一つ、もしくはそれ以上のRで表される基により任意におよび独立して置換される。
【0042】
Rは、R、-OR、-O(ハロアルキル)、-SR、-NO2、-CN、-NCS、-N(R)2、-NHCO2R、-NHC(O)R、-NHNHC(O)R、-NHC(O)N(R)2、-NHNHC(O)N(R)2、-NHNHCO2R、-C(O)C(O)R、-C(O)CH2C(O)R、-CO2R、-C(O)R、-C(O)N(R)2、-OC(O)R、-OC(O)N(R)2、-S(O)2R、-SO2N(R)2、-S(O)R、-NHSO2N(R)2、-NHSO2R、-C(=S)N(R)2、または、-C(=NH)-N(R+)2である。
【0043】
Rは、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロ、-CN、-NO2、アミン、アルキルアミン、またはジアルキルアミンにより任意に置換された-H、C1-C4アルキル基、単環式ヘテロアリール基、非芳香へテロ環基またはフェニル基である。二級環アミンを含むRおよび-N(R)2で表される非芳香へテロ環基が、任意にアシル化またはアルキル化されている場合は、任意で、基-N(R)2は非芳香へテロ環基である。
【0044】
R1-R4で表されるフェニル基を含む、フェニル基の望ましい置換基は、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4ハロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル、-OH、-NH2、-F、-Cl、-Br、-I、-NO2または-CNを含む。
【0045】
R1-R4で表される脂肪族基を含む脂肪族基の望ましい置換基は、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4ハロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル、-OH、-NH2、-F、-Cl、-Br、-I、-NO2または-CNを含む。
【0046】
R1およびR2で表されるシクロアルキル基を含むシクロアルキル基の望ましい置換基は、メチル基またはエチル基といったアルキル基である。
【0047】
本発明で使用される特定の化合物は、異なる立体異性体(ジアステレオマーや光学異性体など)として得られてもよく、また本発明は、開示された化合物のすべての異性体およびラセミ体の混合物を含み、また純粋な異性体やその混合物(ラセミ体の混合物も含む)を使用して患者を治療する方法をも含むことが理解される。立体異性体は、クロマトグラフィーといった、あらゆる適切な方法を使用して分離および単離することができる。
【0048】
例証
実施例1〜3:ビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム溶液の調製
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)(化合物1、15g)の試料を40mLの無水エタノールと混合し、スラリとして混合物を形成した。室温で撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(3.0mLのH2Oの中に3.0gのNaOH)を前記混合物に加え、前記混合物を35℃を超えないように冷却した。前記の水酸化ナトリウム水溶液添加容器を、水1mLおよびエタノール5mLですすぎ、すすいだものを前記混合物に加えた。加えた後、前記混合物を110分撹拌した。前記で得られた黄色のビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム溶液を、以下の実施例のために均等に3つに分配した。
【0049】
実施例1:ビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム塩の収率63%
上記で述べた黄色のビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム溶液の3分の1を、17mLのメチルt-ブチルエーテルと混合し、60分撹拌した(30分以内で沈澱が発生した)。得られたスラリをろ過し、酢酸エチルとメチルt-ブチルエーテルが1対1の混合物10mLで洗浄し、続いて5mLの酢酸エチルでも行った。残りの溶剤は真空除去され、淡黄色の固体の化合物(1)である前記二ナトリウム塩3.51g(63%)が得られた。黄色の混入物を目で見ることができた。
【0050】
実施例2:純ビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム塩の収率87%
上記で述べた黄色のビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム溶液の3分の1を、17mLのメチルt-ブチルエーテルと混合し、60分撹拌した(30分以内で沈澱が発生した)。追加で17mLのメチルtert-ブチルエーテルを結果として得られた濃いスラリに加え、もう14時間撹拌した。得られたスラリをろ過し、酢酸エチルとメチルt-ブチルエーテルが1対1の混合物10mLで洗浄し、続いて10mLの酢酸エチルでも行った。残りの溶剤は真空除去され、淡黄色の固体の化合物(1)である前記二ナトリウム塩4.84g(87%)が得られた。黄色の混入物を目で見ることはできなかった。
【0051】
実施例3:純ビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム塩の収率96%
上記で述べた黄色のビス(チオ-ヒドラジドアミド)二ナトリウム溶液の3分の1を、17mLのメチルtert-ブチルエーテルと混合し、60分撹拌した(30分以内で沈澱が発生した)。追加で34mLのメチルtert-ブチルエーテルを結果として得られた濃いスラリに加え、もう14時間撹拌した。得られたスラリをろ過し、酢酸エチルとメチルtert-ブチルエーテルが1対1の混合物10mLで洗浄し、続いて10mLの酢酸エチルでも行った。残りの溶剤は真空除去され、淡黄色の固体の化合物(1)である前記二ナトリウム塩5.35g(96%)が得られた。黄色の混入物を目で見ることはできなかった。
【0052】
好ましい態様を参照して本発明を具体的に示し記述してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形や詳細の上での様々な変更が可能であることが理解されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩(disalt)を調製する方法であって:
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を形成するために、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)、有機溶剤、および塩基を混合する段階;および
前記溶液とメチルtert-ブチルエーテルとを混合し、それにより、ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させる段階を含む方法。
【請求項2】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)の各モル当量に、少なくとも約2モル当量の塩基が用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有機溶剤が水混和性である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
有機溶剤が、C1-C4脂肪族アルコール、C1-C4脂肪族ケトン、C2-C4脂肪族エーテル、C2-C4環状脂肪族エーテル、ジオキサンジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、グリコール、アルキルグリコールエーテル、ジオキサン、およびアセトニトリルから選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
有機溶剤が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、tert-ブチルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、およびメチルエチルケトンから選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
有機溶剤が、メタノール、エタノール、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
塩基が、アミン、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属C1-C6アルコキシド、またはアルカリ金属アミドである、請求項2記載の方法。
【請求項8】
塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムC1-C6アルコキシド、カリウムC1-C6アルコキシド、ナトリウムアミド、またはカリウムアミドである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
塩基が、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、またはナトリウムエトキシドから選択される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
塩基が、アルカリ金属水素化物、アルキルアルカリ金属、またはアリールアルカリ金属である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
塩基が、水素化チウム、ナトリウム水素化物、水素化カリウム、ブチルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルカリウム、フェニルリチウム、フェニルナトリウム、またはフェニルカリウムである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が、有機溶剤に実質的に不溶性である、請求項2記載の方法。
【請求項13】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が、混合物を形成するために最初に有機溶剤と混合され、そしてビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を形成するために塩基が該混合物に加えられる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
有機溶剤1リットル当たり約0.25〜約2.5モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が混合される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
有機溶剤1リットル当たり約0.75〜約1.5モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が混合される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
約2〜約5モル当量の塩基が使用される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
約2.0〜約2.5モル当量の塩基が使用される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
有機溶剤1リットル当たり約1モルの中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が混合される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
有機溶剤がエタノールである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
塩基が約2モル〜約5モルの水性水酸化ナトリウムである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
有機溶剤がアセトンである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
塩基が約2モル〜5モルのエタノール性ナトリウムエトキシドである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が以下の構造式によって表される、請求項1記載の方法:

式中、Yは、共有結合または任意に置換された直鎖のヒドロカルビル基であり;
R1-R4は独立して-H、任意に置換された脂肪族基、任意に置換されたアリール基であるか、またはR1およびR3は、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、および/またはR2およびR4は、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一緒になって、任意に芳香族環に縮合した非芳香族ヘテロ環を形成し;かつ、
ZはOまたはSである。
【請求項24】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が以下の構造式によって表される、請求項23記載の方法:

式中、R1およびR2が両方ともフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともフェニル、R3およびR4が両方ともエチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも4-シアノフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも4-メトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方ともフェニル、R3およびR4が両方ともエチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも4-シアノフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも3-シアノフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも3-フルオロフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも4-クロロフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも3-メトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,3-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,3-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジフルオロフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジフルオロフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチルであり、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジクロロフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジメチルフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2,5-ジメトキシフェニル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロプロピル、R3およびR4が両方ともエチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチル、R6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、Y‘が結合であるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がメチルかつR6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がエチルかつR6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5がn-プロピルかつR6が-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方ともメチルであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともエチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-メチルシクロプロピル、R3がメチル、およびR4がエチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2-メチルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも2-フェニルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方とも1-フェニルシクロプロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロブチル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロペンチル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロヘキシル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともシクロヘキシル、R3およびR4が両方ともフェニル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともメチル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともメチル、R3およびR4が両方ともt-ブチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともメチル、R3およびR4が両方ともフェニル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2が両方ともt-ブチル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;
R1およびR2がエチル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hであるか;または
R1およびR2が両方ともn-プロピル、R3およびR4が両方ともメチル、R5およびR6が両方とも-Hである。
【請求項25】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が

である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が

である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)複塩を調整する方法であって:
混合物をつくるために、中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)と、メタノール、エタノール、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択される有機溶剤とを混合する段階;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびカリウムエトキシドから選択される、少なくとも2当量の塩基を前記混合物に加え、それによりビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液を形成する段階;および
ビス(チオ-ヒドラジドアミド)溶液からビス(チオ-ヒドラジドアミド)の複塩を沈殿させるために、該溶液とメチルt-ブチルエーテルとを混合する段階を含む方法。
【請求項28】
有機溶剤がアセトンである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
塩基がエタノール性ナトリウムエトキシドである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
有機溶剤がエタノールである、請求項27記載の方法。
【請求項31】
塩基が水性水酸化ナトリウムである、請求項27記載の方法。
【請求項32】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が

である、請求項27記載の方法。
【請求項33】
中性ビス(チオ-ヒドラジドアミド)が

である、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2008−540658(P2008−540658A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512390(P2008−512390)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018653
【国際公開番号】WO2006/124736
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】