説明

ビタミンDの投与のためのスプレー可能な組成物

本発明は、製薬品として許容される媒体中に、ビタミンDから誘導される薬剤活性剤、揮発性シリコーン、及び不揮発性油性相を含み、スプレー組成物の形態の組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬品として許容される媒体中に、薬剤活性剤、少なくとも1つの揮発性シリコーン、及び不揮発性油性相を含む組成物、並びにその調製方法、並びに化粧品及び皮膚科におけるその使用に関し、前記組成物は、前記活性剤の皮膚層を透過する優れた浸透を得ることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
皮膚科及び製薬組成物の処方の分野においては、当業者は、活性剤を放出し、且つ皮膚層を通過するその浸透を促進し、よってその有効性を改善するすることのできる組成物を求めている。該生成物はまた、優れた化粧品特性を示し、且つ、好ましくは非刺激性であるべきである。
【0003】
現在、活性剤を含み、その皮膚への浸透を、特に高含量での浸透性グリコールの存在によって促進することのできる、多くの局所用組成物が存在する。これら組成物は、一般的に「脂質クリーム」と呼称される高含量で脂肪相を含むエマルションの形態、「軟膏」と呼称される無水組成物の形態、「ヘアローション」とも呼称され、頭皮への適用を企図するエタノールもしくはイソプロパノールなどの揮発性溶媒を高含量で含む流動組成物の形態、あるいはまた「O/Wクリーム」とも呼称される粘性O/Wエマルションの形態で製剤される。
【0004】
例えば、GLAXOSMITHKLINE社により商標名TEMOVATE(登録商標)で市販の、コルチコイド及び高パーセンテージでプロピレングリコール(47.5%)を含むO/Wクリームが既知である。こうしたパーセンテージでグリコールを含む製剤の安定化には、該エマルション中における、グリセリルステアレートもしくはPEG100ステアレートタイプの安定化剤及び乳化剤、あるいはまた、白ろうもしくはセトステアリルアルコールタイプのコンシステンシー要素もしくは安定化剤の使用が必要であり、これらの使用によって粘性クリーム、すなわち10Pa・s(No.4の可動装置を備えたBrookfield model LVDV IIを用い、30rpmの速度で30秒間、25℃±3℃の温度で測定して、10000センチポワズ)より高い粘度を有するクリームの生成がもたらされる。したがって、この粘度は、該製品を適用困難にする。したがって、これら組成物は、第一にその粘度により化粧品としての許容性に乏しく、第二に高割合で存在するグリコールに起因する不耐性の危険性を示す。したがって、当業者は、本発明を利用してこれらのパラメータを改善することを希望する。
【0005】
高いパーセンテージで浸透促進性グリコールを含む局所用組成物の適用を容易にするために、出願人は、欧州特許出願832647によって保護される、O/Wエマルションタイプの安定な製剤であって、その粘度が、過度に流動性であって使用が過度に制限されるヘアローションと、過度に粘性であり、且つ脂性及びべたつく側面を有するO/Wクリームとの中間であると同時に、グリコールの浸透促進特性を保持するローションを製造した。これらの製剤は、活性剤の優れた浸透を有効に示すが、依然高いパーセンテージでグリコールを含み、よってべたつく作用または耐性の問題を誘発しうるため、患者による該生成物の許容度は抑えられている。
【0006】
さらにまた、快適に使用される組成物をもたらすシリコーン化合物を含む製剤が、当業者には既知である。然るに、米国特許6538039においては、経皮投与のための活性剤の新規な処方が開発されており、これは皮膚表面にフィルムを付着させるためにシリコーン化合物を含む。この出願においてはさらに、吸収促進剤、すなわち他の化合物の中でも挙げられるグリコールの必須の存在によって経皮通過が容易になっている。
【0007】
欧州特許出願0966972においては、開示される組成物はスプレーの形態で製剤可能であり、活性化合物、シリコーンゴム、及び製薬品として許容される賦形剤を含む。欧州特許出願0966972に開示された発明が解決しようとする問題は、皮膚表面で直接的フィルムが付着することであったが、この問題はシリコーンゴムの存在によって解決される。
【特許文献1】欧州特許出願832647
【特許文献2】米国特許6538039
【特許文献3】欧州特許出願0966972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明がここにその解決を提唱する問題は、薬理活性剤の浸透及びその経時的な浸透の迅速性を改善して、その治療有効性を改善すると同時に高含量でのグリコールの存在を回避した組成物を設計することである。本発明による組成物はまた、容易に使用され、且つ病理に冒された身体の全領域に対する適用のために許容される特性を示すべきである。
【0009】
二つの出願、欧州特許出願0966972及び米国特許6538039は、開示された組成物の処方に鑑みて、本発明にもっとも近い従来技術を示す。しかしながら、この従来技術を読むに、本発明による組成物を選択し、導入された活性剤の皮膚層内への優れた浸透を得ることを当業者に想起させる記載は全くない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実際、出願人は驚くべきことに、製薬品として許容される媒体中に、
a)治療上の有効量での少なくとも1つの薬剤活性剤、
b)少なくとも1つの揮発性シリコーン、
c)不揮発性油性相、
を含む組成物が、前記活性剤の浸透に改善をもたらすことを見いだした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、活性成分の優れた浸透を可能にする一方で、本発明の実施例8及び9に記載されるとおり、さらに患者にとっての非常に優れた許容性及び耐性を示す。従って、本発明による組成物は、皮膚症状の治療に特に適当であることが判明している。従って、本発明による組成物は皮膚症状の治療に適当であること、とりわけ乾癬の治療に非常に好適であることが判明している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、特に、製薬品として許容される媒体中に、
a)治療上の有効量での薬剤活性剤、
b)少なくとも1つの揮発性シリコーン、
c)不揮発性油性相、
を含む組成物であって、前記薬剤活性剤が、ビタミンDから誘導された化合物であることを特徴とする組成物に関する。
【0013】
「ビタミンDから誘導される化合物」なる語は、ビタミンDと類似の生物学的特性、特にビタミンDレスポンスエレメントのトランス活性化の特性、例えばビタミンDもしくはその誘導体の受容体に対するアゴニストもしくはアンタゴニスト活性を示す化合物を意味することを意図する。然るに、本発明による有用なビタミンDから誘導される化合物は、構造類似体、例えばバイオアロマティック類似体を含む。「ビタミンD類もしくはその誘導体類」なる語は、例えば、ビタミンD2、またはD3の誘導体、特に1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオール)を意味することを企図する。
【0014】
本発明によって使用可能なビタミンDから誘導される薬剤活性剤の中でも、非限定的実施例として、欧州特許出願1124779、1235824、1235777、国際特許出願02/94754及び03/050067に開示される化合物を挙げて良い。
【0015】
好ましくは、本発明によるビタミンD誘導体類は、参照のためにここに取りこむこととする特許FR2785284に開示される化合物である。これらは、ビタミンDの構造類似体であって、高カルシウム尿症(hypercalcician)誘発性となることが全くなく、細胞分化及び増殖に選択的活性を示す化合物である。
【0016】
これらの化合物は、下記の一般式(I):
【化1】

[式中、
・R1は、水素原子、メチル基または-(CH2n-OR7を表し、
・R2は、-(CH2n-OR8を表し、n、R7及びR8は下記の意味を有し、
・X-Yは、左から右、あるいは逆に読むことのできる、下式(a)乃至(d):
【化2】

(R9及びWは、下記の意味を有する)
の結合から選択される結合を表し、
・R3は、下記のビタミンD2もしくはビタミンD3中の鎖を表し、点線は、前記鎖を図(I)に表されるベンゼン環と結合する結合を表し、
【化3】

あるいは、R3は、1つ以上のヒドロキシル基で置換された、4乃至8の炭素原子を有する鎖を表し、前記ヒドロキシル基は、アセトキシ、メトキシもしくはエトキシ、トリメチルシリルオキシ、tert-ブチルジメチルシリルオキシ、もしくはテトラヒドロピラニルオキシの形態で保護可能であって、さらに、任意に:
・1つ以上の低級アルキル基もしくはシクロアルキル基で置換され、且つ/または
・1つ以上のハロゲン原子で置換され、且つ/または
・1つ以上のCF3基で置換され、且つ/または
・ここで前記鎖の1つ以上の炭素原子が、1つ以上の酸素、硫黄もしくは窒素原子に置き換えられ、前記窒素原子が任意に低級アルキル基によって置換されていることが可能であり、且つ/または
・ここで当該鎖の1つ以上の単結合が、1つ以上の二重結合及び/または三重結合によって置き換えられ、
・R3は、ベンゼン環上の、X-Y結合に対してパラまたはメタ位に位置し、
・R4、R5及びR6は、同一若しくは相違し、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、-OR10基、ポリエーテル基を表し、R10は、下記の意味を有し、
・nは0、1もしくは2であり、
・R7及びR8は、同一若しくは相違し、水素原子、アセチル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基を表し、
・R9は、水素原子若しくは低級アルキル基を表し、
・Wは、酸素原子、硫黄原子、-CH2-基もしくは、低級アルキル基で任意に置換されてもよい-NH-基を表し、
・R10は、水素原子もしくは低級アルキル基を表す]
によって表すことができ、さらに、式(I)の前記化合物の光学異性体及び幾何異性体、並びにこれらの塩であって、X-Yが式(a)の結合を表し、Wが低級アルキル基で任意に置換されてもよい-NH-基を表す場合にも該当する。
【0017】
本発明の組成物において有用である、式(I)の化合物の中でも、特に以下:
1.6-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-2-メチルヘプタ-3,5-ジエン-2-オール、
2.7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルオクタン-3-オール、
3.7-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)エチル]フェニル}-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
4.6-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)エチル]フェニル}-2-メチルヘプタ-3,5-ジエン-2-オール、
5.7-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)ビニル]フェニル}-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
6.7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチル-3-オクタノール、
7.(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
8.(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール、
9.(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-4-エン-3-オール、
10.(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-6-エン-3-オール、
11.(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-6-エン-4-イン-3-オール、
12.(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
13.(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルノン-6-エン-3-オール、
14.(E)-7-{3-[(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジル)メチルアミノ]フェニル}-3-エチルオクト-6-エン-3-オール、
15.7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチル-7-メチルオクタン-3-オール、
を挙げて良く、より好ましくは、本発明による組成物に導入される薬剤活性剤は、(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールである。
【0018】
有利には、本発明による組成物は、該組成物全重量に対して0.0001乃至20重量%、好ましくは0.025乃至15重量%、さらに好ましくは0.01乃至5重量%の活性剤を含む。
【0019】
むろん、本発明による組成物中の活性剤の量は、検討される活性剤によって異なる。
【0020】
本発明による組成物は、好ましくはビタミンDから誘導される活性剤を、2重量%未満、好ましくは0.025乃至0.5重量%の活性剤濃度で含む。本発明による好ましい薬剤活性剤は、0.3重量%の濃度で使用される(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールである。
本発明により使用可能な活性剤は、単独で、または組み合わせて使用して良い。
【0021】
本発明によれば、「揮発性シリコーン」なる語は、環状もしくは直鎖状であって、周囲条件下で測定可能な圧力を有するポリオルガノシロキサン化合物類を意味することが企図される。本発明の環状揮発性シリコーン類は、ポリジメチルシクロシロキサン類、すなわち、下式:
【化4】

[式中、
nは平均で3乃至6であり、好ましくはn=4、またはn=5であり、一般にシクロメチコーンとして既知]
の化合物である。本発明による直鎖状揮発性シリコーン類は、直鎖状ポリシロキサン類、例えばヘキサメチルジシロキサンまたは低分子量ジメチコーン類である。直鎖状揮発性シリコーン類が一般的に25℃にておよそ5センチストーク未満の粘度を有する一方で、環状揮発性シリコーン類は25℃にておよそ10センチストーク未満の粘度を有する。
【0022】
本発明による好ましい揮発性シリコーン類は、直鎖状シロキサン類、より好ましくはヘキサメチルジシロキサンである。例示のためには、Dow Corning社により市販の製品、DC Fluid 0.65cStを挙げて良い。
【0023】
有利には、本発明による組成物は、該組成物全重量に対して25乃至95重量%、好ましくは40乃至80重量%、さらに好ましくは55乃至65重量%の揮発性シリコーンを含む。
【0024】
本発明によれば、「不揮発性油性相」なる語は、製薬または化粧品組成物用として適当な様々な不揮発性油を意味することを企図する。不揮発性油は一般的に、25℃にておよそ10センチポワズより高い粘度を有し、25℃にて上限1000000センチポワズの範囲に達しうる粘度を有する。不揮発性油性相は、多様な合成もしくは天然の、シリコーン油または有機油から構成可能である。かかる油の、網羅的でないリストを例示のために記載する。
【0025】
(a)エステル類
本発明により使用可能な不揮発性油の例には、式RCO-OR'(式中、R及びR'は同一でも相違してもよく、1乃至25の炭素原子、好ましくは4乃至20の炭素原子を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、もしくはアルコキシカルボニルオキシアルキル鎖を表す)のエステルが含まれる。こうしたエステルの例には、イソトリデシルイソノナノエート、PEG-4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレエート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレエート、イソデシルネオペンタノーエト、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレエート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、及びオクトドデカノールが含まれる。
【0026】
(b)脂肪酸のグリセリルエステル類
前記油は、さらに、天然脂肪酸類の脂肪エステル類、または動物もしくは植物由来のトリグリセリド類を含む。こうした例には、ひまし油、ラノリン油、トリイソセチルシトレート、10乃至18の炭素原子を含むトリグリセリド類、カプリル/カプリントリグリセリド類、ココナッツ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油(flax oil)、ミンク油、オリーブ油、ヤシ油、イリッペ脂、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、ナッツ油、及び等価物が含まれる。
【0027】
(c)脂肪酸グリセリド類
同じく好適な油は、合成もしくは半合成グリセリルエステル類、例えば脂肪酸モノ-、ジ-、もしくはトリ-グリセリド類であって、変性天然油もしくは脂、例えばグリセリルステアレート、グリセリルジオレエート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリオクタノエート、グリセリルリノレエート、グリセリルミリステート、グリセリルイソステアレート、PEGひまし油類、PEGグリセリルオレエート類、PEGグリセリルステアレート類、及び等価物が含まれる。
【0028】
(d)不揮発性炭化水素類
不揮発性炭化水素類、例えばパラフィン類、イソパラフィン類、鉱物油類、及び等価物もまた、不揮発性非極性溶媒として、本発明による組成物に非常に好適である。
【0029】
(e)ゲルベエステル類
ゲルベエステル類は、下記の一般式:
【化5】

のゲルベアルコールと下記の一般式:
R3-COOHまたはHOOC-R3-COOH
[式中、
R1及びR2は、同一もしくは相違してよく、4乃至20の炭素原子を含むアルキルを表し、
R3は置換もしくは無置換の脂肪基、例えば直鎖状もしくは分枝状であり、飽和もしくは不飽和の、1乃至50の炭素原子を含むアルキルもしくはアルキレン鎖、またはハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、もしくはアルキルカルボニルヒドロキシルで置換されていて良いフェニルを表す]
のカルボン酸との反応により生じるエステル類である。
【0030】
(f)シリコーンオイル類
不揮発性相の調製に使用可能な本発明によるシリコーンオイル類は、周囲条件下で測定可能な圧力及び厳密に10センチストークスより大きく20センチストークス未満である粘度を有するポリオルガノシロキサン化合物類である。本発明により使用可能な不揮発性シリコーン類は、下式:
【化6】

[nは厳密に6より大である]
の化合物である。
【0031】
本発明による好ましい不揮発性油性相は、パラフィン油である。
【0032】
有利には、本発明による組成物は、該組成物全重量に対して1乃至50重量%、好ましくは5乃至30重量%、さらに好ましくは7乃至15重量%の不揮発性油性相を含む。
【0033】
本発明による組成物の好ましい実施態様によれば、該組成物はシリコーンゴムをさらに含む。実際、出願人は、驚くべきことに、以下に定義される濃度でシリコーンゴムを含む組成物が、皮膚の様々な相を通過する活性剤の、より迅速な浸透を示すことを見いだした。
【0034】
「シリコーンゴム」なる語は、当業者に既知であり、特に参照のためにここに取りこむこととする欧州特許出願0966972に開示のものを意味することを企図する。本発明による組成物の好ましい実施態様によれば、シリコーンゴムは0.001乃至3重量%、好ましくは0.01乃至1重量%の濃度で導入される。Dow Corningは、99%のヘキサメチルジシロキサンと1%のシリコーンガムとから製造されるDC Silmogen Carrierの名称で市販の商用製品を提供する。この製品を本発明による組成物の1つにおいて使用してよい。
【0035】
本発明による製薬品として許容される媒体は、本発明に本来的に付随する有利な特性が、予定する添加によって変更されることのないように、もしくは実質的に変更されることのないように選択されるべきである。好ましくは、本発明による媒体は、活性剤を溶解させる作用剤であるように選択される。この活性剤−溶解性媒体は、単一の賦形剤、例えば溶媒から、または賦形剤の混合物、例えばエマルションの形成のために使用されるものから構成されて良い。単独または混合物として使用して良い賦形剤の非限定的な例としては、エマルション、乳剤、ゲル、軟膏、もしくは起泡性組成物の形成に使用可能な、水、溶媒、希釈剤、及びあらゆる賦形剤を挙げて良い。これらの賦形剤は、製薬組成物の処方に通常使用される化合物である。好ましくは、本発明による活性剤−溶解性賦形剤は、水、アルコール類、ポリオール類、エーテル類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、脂肪酸類及び脂肪アルコール類、並びに脂肪エステル類である。さらに好ましくは、使用される賦形剤はアルコールである。本発明によれば、「アルコール」なる語は、直鎖状もしくは分枝状の脂肪族アルコール類、例えばエタノール、プロパノール、またはイソプロパノールを意味することを企図する。
【0036】
かくして、本発明による好ましい実施態様において使用される媒体は、アルコール性である。
【0037】
本発明によれば、「アルコール性媒体」なる語は、少なくとも15%のアルコールを含む媒体、好ましくは少なくとも25%のエタノールを含む媒体を意味することを企図する。
【0038】
本発明による製薬組成物は、不活性添加剤またはこれら添加剤の組み合わせ、例えば、
・湿潤剤;
・調味料;
・保存料;
・安定化剤;
・湿分調整剤;
・pH調整剤;
・浸透圧調整剤;
・乳化剤;
・UV-A及びUV-Bスクリーン剤;
・浸透促進剤;
・酸化防止剤;及び
・合成ポリマー類;
をさらに含んで良い。
【0039】
むろん、当業者であれば、これらの組成物に添加しうる化合物を、本発明に本来的に付随する有利な特性が予定する添加によって変更されることのないように、もしくは実質的に変更されることのないように注意深く選択するであろう。
【0040】
とりわけ、本発明による組成物は、皮膚及び粘膜の治療を企図して、外用薬、クリーム、乳剤、軟膏、粉末、含浸パッド、合成洗剤、溶液、ゲル、スプレー、フォーム、懸濁物、ローション、スティック、シャンプー、ガーゼ、または洗浄基剤の形態で提供されうる。これはまた、制御された放出を可能にするために脂質小胞もしくはポリマー小胞もしくはナノスフェアもしくはミクロスフェアもしくはポリマーパッチの懸濁物の形態、及びヒドロゲルの形態で提供して良い。この局所適用組成物は、無水形態で、水性形態で、またはエマルションの形態で提供して良い。
【0041】
浸透性に優れた本発明による組成物は、好ましくはスプレー可能な組成物の形態で投与される。スプレー可能とするためには、本発明の組成物は50センチストークス未満の粘度を有することが好ましく、より好ましくは10センチストークス未満の粘度を有する。
【0042】
スプレー可能な形態もしくはスプレーは、当業者に知られた従来の製剤方法によって得られる。例えば、該組成物を、容器、瓶、もしくは等価物から該組成物を押し出す機械的スプレー装置によってスプレーして良い。この組成物は、所望の適用箇所に直接向けられていてよいノズルを通過する。このノズルは、当業者には既知の技術により、該組成物を蒸気の形態もしくは液滴の噴流の形態で適用できるように選択可能である。選択される薬剤活性剤により、スプレー機構は常に、同一量の活性剤の送達が可能なものでなければならない。スプレーにより送達しようとする組成物の量を制御するための機構もまた、当業者には既知である。
【0043】
好ましくは、本発明による組成物のためには、その適用領域及び投薬特性は制御されており、且つ再現性をもつ、投薬スプレーボトルが使用される。例えば、使用されるスプレー装置は、25μlの投薬バルブを備えた瓶からなる。
【0044】
本発明の主題はまた、
・分化もしくは増殖に関する角質生成障害に関連した皮膚症状、特に尋常性挫瘡、コメド タイプの挫瘡、多形性挫瘡、しゅさ性挫瘡、結節性嚢胞、集簇性挫瘡、老人性挫瘡、日光挫瘡もしくは薬物性挫瘡もしくは職業性挫瘡等の二次性挫瘡;
・魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエ病、掌蹠角皮症、白斑形成、白斑形成状態、皮膚もしくは粘膜(頬)の苔癬;
・細胞増殖障害を伴うか否かによらない、炎症状免疫アレルギー性成分を伴う皮膚症状、特に、皮膚、粘膜もしくは爪の乾癬、乾癬性リウマチ、皮膚アトピー、例えば湿疹、呼吸性アトピー、または歯肉肥大;
・良性か悪性かによらず、ウィルス起源であるか否かによらない皮膚もしくは表皮の過剰増殖、特に、尋常性ゆうぜい、扁平ゆうぜい、ゆうぜい状表皮発育異常症、口腔もしくは葉状の乳頭腫症、及びT細胞リンパ腫;
・紫外線によって誘発されうる増殖、特に基底細胞上皮腫及び脊髄細胞上皮腫;
・前癌性皮膚病変、特に角化棘細胞腫;
・免疫皮膚病、特にエリテマトーデス;
・水疱性免疫疾患;
・コラーゲン疾患、特に硬化症;
・免疫成分を伴う皮膚科もしくは全身性の症状;
・UV光線への暴露による皮膚障害、または皮膚の光誘発性もしくは経年性の老化、または光線角化症及び色素沈着、あるいは経年性もしくは化学性の老化に関連するあらゆる病理、特に乾皮症;
・皮脂機能障害、特に過剰脂漏性挫瘡もしくは単純脂漏症もしくは脂漏性湿疹;
・瘢痕化障害または妊娠線;
・色素沈着障害、例えば色素過剰症、黒皮症、色素脱失、または白斑;
・脂質代謝疾患、例えば肥満、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、もしくはX症候群;
・炎症性疾患、例えば関節炎;
・癌性もしくは前癌性の症状;
・様々な原因による脱毛症、特に化学療法もしくは放射線に起因する脱毛症;
・免疫機構障害、例えば喘息、1型真性糖尿病、多発性漿膜炎、もしくは選択的免疫機能不全、あるいは
・心臓血管系疾患、例えば動脈硬化症もしくは高血圧症、
の治療を企図した医薬製品の製造のための、本発明による組成物の使用である。
【0045】
この組成物の使用の好ましい実施態様においては、前記組成物は、0.3%の(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールを含み、且つ乾癬の治療を企図した医薬品の製造のために使用される。
【0046】
本発明はまた、ビタミンDから誘導される薬剤活性剤の浸透改善方法であって、製薬品として許容される媒体中に、
a)治療上の有効量での、ビタミンDから誘導される化合物、
b)少なくとも1つの揮発性シリコーン、
c)不揮発性油性相、
を含む組成物が、スプレーの形態で皮膚に適用されることを特徴とする方法にも関する。
【0047】
実際、出願人は、驚くべきことに、活性剤、特にビタミンDから誘導される化合物の皮膚を通過する浸透が、本発明の組成物によって、浸透促進活性を有する賦形剤の非存在下においてさえも改善されることを見いだした。
【0048】
「皮膚への浸透における改善」なる表現は、市場において従来製造されている製剤に比べて少なくとも2倍の、皮膚への浸透における著しい増大を意味することを企図する。
【0049】
活性剤の浸透は、実施例4に記載するプロトコルに従って測定される。
【0050】
以下の実施例は、非網羅的に本発明による組成物の処方例及び皮膚への浸透の結果を示す。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
製剤が、下記の様々な化合物を均一且つ透明な溶液が得られるまで混合することによって得られる。
【表1】

【0052】
(実施例2)
使用する操作は実施例1のものと同一である。
【表2】

【0053】
(実施例3)
使用する操作は実施例1のものと同一である。
【表3】

【0054】
(実施例4:二つの異なる製剤に含まれる0.3%の(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールの、ヒトの皮膚表面におけるインビトロ放出/浸透の研究)
二つの製剤のうち一方は、本発明の好ましい実施態様によるスプレー可能なものである。
【0055】
第一の目標は、両方の処方で製剤化された活性剤の、皮膚表面における、皮膚へのインビトロ浸透を、適用の16時間後に定量化することである。本発明によるスプレー可能な製剤を、軟膏の形態の組成物を比較する。
【0056】
二つの製剤の正確な組成を、以下の表4に示す。
【表4】

【0057】
実験条件:
経皮吸収を、ヒトの皮膚により区切られた二つの区画からなる拡散セルを用いて評価する。前記製剤を閉塞なしに16時間適用した。前記製剤は、1cm当たり10mgの割合で適用した(すなわち、30ミクログラムの(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール)。研究の間中、時間の関数として再生されない(静的モード)受容側の液体と皮膚とは接触している。適用期間の終点で、表面過剰量を除去し、(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール)の分布を様々な皮膚区画で、及び受容液体中で定量化する。(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール)の濃度を、当業者には従来より知られたHPLC/MS/MS法を利用して定量化する(LQ:10ng・mL-1)。スプレー製剤を、25μlの投薬バルブを備えたスプレーボトルを利用して適用した。
【0058】
実験結果は、試験した製剤がいずれであっても、活性剤は主に皮膚(角質を含む表皮、及び真皮)内に分布していることを示す。浸透した全量(角質+表皮+真皮+受容液体)は、以下の通りである。
【表5】

【0059】
結果:
結果は、本発明によるスプレー製剤は、16時間後に前記軟膏製剤と比較して、4倍の活性剤浸透の増大を示すことをここに示す。
【0060】
したがって、この結果は、本発明による組成物によれば、既存の製剤と比較して、ビタミンDから誘導される活性剤の浸透における著しい改善が得られることを示す。
【0061】
したがって、開示のスプレー製剤は、グリコール類を使用する必要がなく、皮膚浸透も低減させず、したがって高含量でグリコールを含む組成物に対して非刺激性である点においてさらなる利点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬品として許容される媒体中に、
a)治療上の有効量での少なくとも1つの薬剤活性剤、
b)少なくとも1つの揮発性シリコーン、
c)不揮発性油性相、
を含む組成物であって、
前記薬剤活性剤がビタミンDから誘導されること、及びスプレー可能であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
a)0.0001乃至20重量%の前記活性剤、
b)25乃至95重量%の揮発性シリコーン、
c)1乃至50重量%の不揮発性油性相、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビタミンD誘導体が、以下の化合物:
6-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-2-メチルヘプタ-3,5-ジエン-2-オール、
7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルオクタン-3-オール、
7-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)エチル]フェニル}-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
6-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)エチル]フェニル}-2-メチルヘプタ-3,5-ジエン-2-オール、
7-{3-[2-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェニル)ビニル]フェニル}-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチル-3-オクタノール、
(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール、
(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-4-エン-3-オール、
(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-6-エン-3-オール、
(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルオクト-6-エン-4-イン-3-オール、
(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルオクタ-4,6-ジエン-3-オール、
(E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルフェノキシメチル)フェニル]-3-エチルノン-6-エン-3-オール、
(E)-7-{3-[(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジル)メチルアミノ]フェニル}-3-エチルオクト-6-エン-3-オール、
7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチル-7-メチルオクタン-3-オール、
から選択ことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記薬剤活性剤が、(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
0.01乃至2重量%の、ビタミンDから誘導される化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記媒体が、アルコール性媒体であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルコール性媒体が、少なくとも15%のアルコールを含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルコール性媒体が、少なくとも25%のエタノールを含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記揮発性シリコーンが、ポリジメチルシクロシロキサン類及び低分子量直鎖状ポリシロキサン類からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記揮発性シリコーンが、ヘキサメチルジシロキサンタイプの直鎖状ポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
55乃至65重量%のヘキサメチルジシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記不揮発性油性相が、非極性油であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記非極性油が、パラフィン油であることを特徴とする、請求項1乃至異9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
5乃至15重量%のパラフィン油を含むことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
さらにシリコーンゴムを含むことを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
a)0.3%の(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール、
b)60%のヘキサメチルジシロキサン、
c)10%のパラフィン油、
d)29.7%のエタノール、
を含むことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
a)0.3%の(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オール、
b)59.4%のヘキサメチルジシロキサン、
c)0.6%のシリコーンゴム、
d)10%のパラフィン油、
d)29.7%のエタノール、
を含むことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
・分化もしくは増殖に関する角質生成障害に関連した皮膚症状、特に尋常性挫瘡、コメド タイプの挫瘡、多形性挫瘡、しゅさ性挫瘡、結節性嚢胞、集簇性挫瘡、老人性挫瘡、日光挫瘡もしくは薬物性挫瘡もしくは職業性挫瘡等の二次性挫瘡;
・魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエ病、掌蹠角皮症、白斑形成、白斑形成状態、皮膚もしくは粘膜(頬)の苔癬;
・細胞増殖障害を伴うか否かによらない、炎症状免疫アレルギー性成分を伴う皮膚症状、特に、皮膚、粘膜もしくは爪の乾癬、乾癬性リウマチ、皮膚アトピー、例えば湿疹、呼吸性アトピー、または歯肉肥大;
・良性か悪性かによらず、ウィルス起源であるか否かによらない皮膚もしくは表皮の過剰増殖、特に、尋常性ゆうぜい、扁平ゆうぜい、ゆうぜい状表皮発育異常症、口腔もしくは葉状の乳頭腫症、及びT細胞リンパ腫;
・紫外線によって誘発されうる増殖、特に基底細胞上皮腫及び脊髄細胞上皮腫;
・前癌性皮膚病変、特に角化棘細胞腫;
・免疫皮膚病、特にエリテマトーデス;
・水疱性免疫疾患;
・コラーゲン疾患、特に硬化症;
・免疫成分を伴う皮膚科もしくは全身性の症状;
・UV光線への暴露による皮膚障害、または皮膚の光誘発性もしくは経年性の老化、または光線角化症及び色素沈着、あるいは経年性もしくは化学性の老化に関連するあらゆる病理、特に乾皮症;
・皮脂機能障害、特に過剰脂漏性挫瘡もしくは単純脂漏症もしくは脂漏性湿疹;
・瘢痕化障害または妊娠線;
・色素沈着障害、例えば色素過剰症、黒皮症、色素脱失、または白斑;
・脂質代謝疾患、例えば肥満、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、もしくはX症候群;
・炎症性疾患、例えば関節炎;
・癌性もしくは前癌性の症状;
・様々な原因による脱毛症、特に化学療法もしくは放射線に起因する脱毛症;
・免疫機構障害、例えば喘息、1型真性糖尿病、多発性漿膜炎、もしくは選択的免疫機能不全、あるいは
・心臓血管系疾患、例えば動脈硬化症もしくは高血圧症、
の治療を企図した医薬製品の製造のための、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
乾癬の治療のための、請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項20】
ビタミンDから誘導される薬剤活性剤の浸透改善方法であって、製薬品として許容される媒体中に、
a)治療上の有効量での、ビタミンDから誘導される化合物、
b)少なくとも1つの揮発性シリコーン、
c)不揮発性油性相、
を含む組成物が、スプレーの形態で皮膚に適用されることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記活性剤が、(4E,6E)-7-[3-(3,4-ビスヒドロキシメチルベンジルオキシ)フェニル]-3-エチルノナ-4,6-ジエン-3-オールであり、前記揮発性シリコーンがヘキサメチルジシロキサンであり、前記疎水性溶媒がパラフィン油であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、さらにシリコーンゴムを含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511578(P2007−511578A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540412(P2006−540412)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014085
【国際公開番号】WO2005/053666
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント・エス・エヌ・セ (117)
【Fターム(参考)】