説明

ビタミンD化合物及び追加の治療薬の投与を含む癌の治療方法

本明細書では、癌を治療するための方法及び組成物を説明する。より詳細には、癌を治療するための該方法は、セオカルシトールなどのビタミンD化合物を、抗癌薬又はステロイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与することを含む。さらに、ビタミンD化合物、及び抗癌薬又はステロイド、例えば、コルチコステロイド又はより具体的にはグルココルチコイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬を含む組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本明細書中では、癌を治療するための方法及び組成物を説明する。より詳細には、癌を治療するための該方法は、ビタミンD化合物を、抗癌薬又はステロイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与することを含む。さらに、ビタミンD化合物、及び抗癌薬又はステロイド、例えばコルチコステロイド、又はより具体的にはグルココルチコイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬を含む組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
現在、癌は、米国において、心疾患に続く第2の主要死亡症例である。癌の発生率は、米国の人口が高齢化するにつれ増加するものとあまねく予想され、且つ現在の傾向が続くなら、癌は、2010年には主要死亡原因であると予想される。今後、米国の男性2名中の1名は、その生涯のどこかの時点で癌と診断され、米国の女性3名中の1名は、その生涯のどこかの時点で癌と診断されるであろうと推定される。特に重要なのは、前立腺癌及び乳癌と診断された個体である。なぜなら、肺癌に加え、前立腺癌及び乳癌は、最も一般的且つ致死的な形態の癌であるからである。
【0003】
前立腺癌は、現在、最も一般的な非皮膚癌であり、且つ男性における癌関連死亡原因の中で肺癌に続く第2の主要原因である。器官限局性前立腺癌と診断された患者に対する主な治療方策は、通常、前立腺切除又は放射線療法である。これらの治療は、高度に侵襲性であるのみならず、望ましくない副作用を有し、このような局所治療は、転移後の前立腺癌には有効でない。さらに、局所治療を受けた個体の中の大きなパーセントが、反復性癌を患う。
【0004】
さらに、乳癌は、白人及びアフリカ系米国人女性の中で最も一般的な癌である。前立腺癌を治療するのと同様、乳癌と診断された女性に対するほとんどの選択肢は、高度に侵襲的であり、且つかなりの副作用を有する。このような治療には、手術、放射線及び化学療法が含まれる。
【0005】
癌と診断された個体に対するもう1つの治療選択肢は、ビタミンDを、単独で、又は化学療法若しくは放射線療法治療と組み合わせて投与することを含む。ビタミンDは、いくつかのインビトロ及びインビボの癌モデルにおいて、細胞の成長を阻害し、且つ細胞の分化を刺激することが見出されている。
【0006】
しかし、ビタミンDを治療薬として使用することの主な制約は、それが高カルシウム血症(hypercalcemia)を惹起する傾向を有することである。高カルシウム血症は、血中カルシウム濃度が正常よりも高いことであり、悪心、嘔吐、錯乱、嗜眠、疲労、過度の渇き、腹部痛、便秘、及び筋肉虚弱を引き起こす場合がある。実際、臨床試験でのビタミンDの使用は、癌細胞の増殖を抑制するのに必要とされる血清濃度で、高カルシウム血症を誘発するその能力によって妨害される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
癌治療で達成された進歩にもかかわらず、限定はされないが前立腺癌及び乳癌などの癌を治療するための、現在の癌治療によって引き起こされる副作用を含まないより効果的な方策に対する必要性が残っている。さらに、現在の抗癌治療に応答しない患者に対する効果的な抗癌治療の選択肢が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本明細書中で説明するのは、セオカルシトールなどの治療上有効な量のビタミンD化合物を、患者、例えば、それを必要とする患者に、限定はされないが抗癌薬又はステロイドを含む治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて投与する、癌の治療方法である。このような方法は、また、癌治療を現在受けている個体を含む不応性癌を有する個体に対する効果的な治療を提供する。したがって、いくつかの実施態様において、該方法は、患者の不応性癌を治療することを対象とし、セオカルシトールなどの治療上有効な量のビタミンD化合物を、別の癌治療、例えば追加の抗癌薬の投与を現在受けている患者に投与する。好ましくは、ビタミンD化合物は、セオカルシトールなどの非高カルシウム血性のビタミンD化合物類似体である。また、ビタミンD化合物は、パルス投与で投与できる。
【0009】
例えば、いくつかの実施態様において、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.1mg/m2〜約20mg/m2の量のミトキサントロンを投与することによる、哺乳動物における癌の治療を対象とする。
【0010】
別の実施態様において、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約1mg/m2〜約175mg/m2の量のパクリタキセルを投与することによる、哺乳動物における癌の治療を対象とする。
【0011】
さらに他の実施態様において、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約1mg/m2〜約100mg/m2の量のドセタキセルを投与することによる、哺乳動物における癌の治療を対象とする。
【0012】
哺乳動物の癌を治療するための方法は、また、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.01mg〜約200mgの量のリュープロリドを投与することを含むことができ、ここで、リュープロリドは、約3日〜約12カ月にわたって投与される。
【0013】
該方法は、また、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.01mg〜約20mgの量のゴセレリンを投与することを含むことができ、ここで、ゴセレリンは、約28日〜約3カ月にわたって投与される。
【0014】
さらに、哺乳動物における癌の治療は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.01mg〜約20mgの量のトリプトレリンを投与することを含むことができ、ここで、トリプトレリンは、約1カ月にわたって投与される。
【0015】
若干の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.4mg/日〜約10,000mg/日の量の酢酸アビラテロンを投与することを含む。
【0016】
他の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約1mg/日〜約300mg/日の量のビカルタミドを投与することを含む。
【0017】
また、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約1mg/日〜約2000mg/日の量のフルタミドを投与することを含むことができる。
【0018】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.01mg/日〜約500mg/日の量のグルココルチコイド(限定はされないが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンが含まれる)を投与することを含むことができる。
【0019】
また、本明細書中で説明するのは、セオカルシトールなどの治療上有効な量のビタミンD化合物と、限定はされないが、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、フルタミド、又はステロイド(限定はされないが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンが含まれる)などの治療上有効な量の追加の抗癌薬との組合せを含む、癌を治療するための組成物である。
【0020】
最後に、セオカルシトールなどのビタミンD化合物及びグルココルチコイドを、任意選択で担体、希釈剤又は賦形剤と共に含む単一単位剤形が想定される。また、少なくとも1種のビタミンD化合物及び追加の抗癌薬若しくはステロイドを含むキットが想定される。例えば、該キットは、セオカルシトールを収納したバイアル瓶、及びグルココルチコイドを収納した別のバイアル瓶を含むことができる。
【0021】
(定義)
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、単語「癌」は、身体における異常細胞の成長、分裂又は増殖を指す。本明細書中に記載の方法及び組成物を用いて治療できる癌には、限定はされないが、前立腺癌、乳癌、副腎癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、単クローン性免疫グロブリン血症、良性単クローン性免疫グロブリン血症、重鎖病、骨及び結合組織の肉腫、脳腫瘍、甲状腺癌、膵臓癌、下垂体癌、眼癌、膣癌、外陰癌、子宮頚癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌腫、肺癌、精巣癌、陰茎癌、肝細胞癌、口腔癌、皮膚癌、腎臓癌、ウィルムス腫瘍、及び膀胱癌が含まれる。
【0022】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「治療する」及び「治療」には、腫瘍、又は原発性、局所性若しくは転移性の癌細胞又は組織の根治、除去、緩和、管理又は制御、及び癌拡大の最小化又は遅延が含まれる。
【0023】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「患者」は、動物を意味し、限定はされないが、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットなどの動物を含む。一実施態様において、患者は哺乳動物であり、別の実施態様において、患者はヒトである。いくつかの実施態様において、患者は、成人の男性又は女性でよい。若干の実施態様において、患者は、約30〜約85歳の男性である。他の実施態様において、患者は、約30〜約85歳の女性である。特定の実施態様において、患者は、癌を有するか、癌にかかりやすい(例えば、遺伝又は環境要因で)。さらなる実施態様において、患者は、腫瘍を有するか、腫瘍にかかりやすい(例えば、遺伝又は環境要因で)。他の実施態様において、患者は、去勢されていても去勢されていなくてもよい。
【0024】
用語「ビタミンD化合物」は、本明細書中で使用される場合、ビタミンD;1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールなどのビタミンDの代謝産物、並びにビタミンDの誘導体、類似体及び医薬として許容し得る塩を指す。
【0025】
句「非高カルシウム血性ビタミンD化合物」は、活性型ビタミンDに比較して、高カルシウム血症の低減された発生率又は低減された重症度を少なくとも生じさせるビタミンD化合物を指す。
【0026】
句「非高カルシウム血性ビタミンD類似体」は、活性型ビタミンDに比較して、高カルシウム血症の低減された発生率又は低減された重症度を少なくとも生じさせるビタミンD類似体を指す。
【0027】
句「ビタミンD化合物のパルス投与」又は「ビタミンD化合物のパルス投薬」は、非投薬期間によって中断され、その結果、その投薬計画により、ビタミンD化合物が高カルシウム血症の発生を回避しながら治療効果を有することを可能にするようなビタミンD化合物の投薬計画を指す。非投薬期間は、3日〜1カ月間でよい。例えば、パルス投与の投薬計画は、ビタミンD化合物の単回用量投与に続けて、3週間のビタミンD化合物の不投与を含むことができる。
【0028】
句「抗癌薬」は、本明細書中で使用される場合、癌細胞を直接若しくは間接的に死滅させる、又は癌細胞の増殖を直接若しくは間接的に予防、停止又は低下させる任意の治療薬を指す。本明細書を通して及び特許請求の範囲中で、句「抗癌薬」は、単数名詞、例えば「抗癌薬」又は「その抗癌薬」として記載されるが、句「抗癌薬」は、たった1つの抗癌薬の組込みに限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0029】
用語「17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬」は、本明細書中で使用される場合、17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(テストステロン合成に関わる酵素)の阻害薬、その類似体、その誘導体、その代謝産物、又はその医薬として許容し得る塩を指す。また、特記しない限り、特定の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬への言及は、このような特定の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬の類似体、誘導体、代謝産物、又は医薬として許容し得る塩を含むことができる。
【0030】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「治療上有効な量」は、ビタミンD化合物又は治療薬に関して使用される場合、癌などの本明細書中で開示される疾患又は障害を治療するのに有効なビタミンD化合物又は治療薬の量を意味する。
【0031】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「不応性癌」は、抗癌治療に応答していない癌、又は抗癌治療に十分には応答していない癌を意味する。不応性癌は、また、反復性又は再発性癌を含むことができる。
【0032】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「不応性患者」は、不応性癌を有する患者を意味する。
【0033】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「再発性癌」は、ある期間抗癌治療に応答性であったが、このような治療にもはや応答しないか、このような治療にもはや十分には応答しないようになった癌を意味する。
【0034】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「反復性癌」は、患者が、早くから癌と診断された、治療を受けていた、又は以前に非癌性と診断された後に元に戻った癌を意味する。
【0035】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「誘導体」は、その化学的改変が、該化合物の1つ以上の官能基で行われる、化学的に改変された化合物を指す。誘導体は、該誘導体が由来する化合物の薬理学的活性を保持又は改善する可能性がある。
【0036】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、用語「類似体」は、構造的には別のものに類似しているが、組成をわずかに異にする(ある原子を異なる元素の原子で置き換えること、又は特定官能基が存在することなど)化合物を指す。
【0037】
本明細書中で使用される場合であって、且つ別途定義しない限り、句「医薬として許容し得る塩」は、化合物の任意の塩を指し、該化合物の生物学的有効性を保持する。医薬として許容し得る塩には、限定はされないが、酢酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロル安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フィルアセテート(phylacetate)、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、アルカンスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩又はメシル酸塩)、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、及びマンデル酸塩が含まれる。いくつかの公式に認められた塩は、Remingtonの文献「製薬の化学と実際(The Science and Practice of Pharmacy)」(Mack Publ.Co.,Easton)中に列挙されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
癌を治療するための本明細書に記載の方法は、哺乳動物、好ましくはヒトに、抗癌薬又はステロイド、特にコルチコステロイド又はグルココルチコイドなどの少なくとも1種の治療薬に加えて、セオカルシトールなどのビタミンD化合物を投与することを含む。本明細書に記載の組成物は、ビタミンD化合物、及び抗癌薬又はステロイド、特にグルココルチコイドなどの少なくとも1種の追加の治療薬を含む。別の抗癌薬の投与、放射線療法、化学療法、光力学療法、手術又はその他の免疫療法などの、他の抗癌治療を、該方法及び組成物と一緒に使用できる。
(ビタミンD化合物)
【0039】
ビタミンDは、カルシウム恒常性の正の調節因子として不可欠である脂溶性ビタミンである。ビタミンDの活性型が、カルシトリオールとしても知られている1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である。カルシウムの恒常性に影響を及ぼすことに加え、多くの報告が、活性ビタミンD化合物の癌治療における有用性を立証している。
【0040】
前記方法及び組成物に適したビタミンD化合物には、限定はされないが、ビタミンD、カルシトリオール、コレステロール又はエルゴステロールの側鎖よりも長い17側鎖を有する1α-ヒドロキシ誘導体(例えば、米国特許第4717721号参照);シクロペンタノ-ビタミンD類似体(例えば、米国特許第4851401号参照);アルキニル、アルケニル、及びアルカニル側鎖を有するビタミンD3類似体(例えば、米国特許第4866048号及び米国特許第5145846号参照);トリヒドロキシカルシフェロール(例えば、米国特許第5120722号参照);フルオロ-コレカルシフェロール化合物(例えば、米国特許第5547947号参照);メチル置換ビタミンD(例えば、米国特許第5446035号参照);23-オキサ-誘導体(例えば、米国特許第5411949号参照);19-ノル-ビタミンD化合物(例えば、米国特許第5237110号参照);及びヒドロキシル化24-ホモ-ビタミンD誘導体(例えば、米国特許第4857518号参照)が含まれる。具体的例には、ROCALTROL(Roche Laboratories);CALCIJEX注射用カルシトリオール;セオカルシトール;24a,26a,27a-トリホモ-22,24-ジエン-1αa,25-(OH)2-D3;20-エピ-22-オキサ-24a,26a,27a-トリホモ-1α,25-(OH)2-D3、1,25-(OH)2-20-エピ-D3);カルシポトリオール、1α,24s-(OH)2-22-エン-26,27-デヒドロ-D3,);1,25-(OH)2-16-エン-D3、1,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3及び25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3を含むRoche Pharmaceuticalの薬物;中外製薬の22-オキサカルシトリオール(22-オキサ-1α,25-(OH)2-D3;イリノイ大学からの1α-(OH)-D5;並びにZK161422(20-メチル-1,25-(OH)2-D3)及びZK157202(20-メチル-23-エン-1,25-(OH)2-D3)を含むInstitute of Medical Chemistry-Schering AGからの薬物;1α-(OH)-D2;1α-(OH)-D3及び1α-(OH)-D4;が含まれる。
【0041】
特に重要なのは、非高カルシウム血性ビタミンD類似体などの非高カルシウム血性ビタミンD化合物である。非高カルシウム血性ビタミンD化合物の例は、式(I)の構造
【化1】

を有し、式中、nは2又は3であり、mは0又は1〜4の整数であり;R1及びR2(同一又は異なってよい)は、水素、又は直鎖、分枝鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和炭化水素から水素原子を除去した後の残基を示すC1〜C8のヒドロカルビルを表すか、ヒドロキシル基をもつ炭素(式I中で星印を付した)と一緒になって、R1及びR2は、飽和又は不飽和のC3〜C8炭素環を形成することができ;さらに、R1及び/又はR2及び/又は「*」で示したm個の炭素の1つは、1つ以上の塩素又はフッ素原子で置換されていてもよく;最後に、「o」で示した炭素の1つは、1つ又は2つのC1〜C2アルキル基で置換されていてもよく;その1つ以上のヒドロキシルが、-O-アシル、-O-グリコシル又はリン酸エステル基に変換されている式(I)の化合物の誘導体;インビボで加水分解性のマスクされた基;それらの化合物のその他のプロドラッグ。式(I)及び式(I)の化合物は、開示されている(例えば、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Binderupらの米国特許第5190935号参照)。
【0042】
非高カルシウム血性ビタミンD化合物の他の例は、式(II)の構造
【化2】

を有し、式中、Xは、水素又はヒドロキシであり;R1及びR2(R1及びR2は、同一又は異なってよい)は、メチル又はエチルを表し;Qは、メチレン、エチレン、トリ-若しくはテトラ-メチレンであり、且つオキシ基、--OR3(R3は水素、メチル又はエチルである)で置換されていてもよく;Yは、単結合、又はC1〜C2のヒドロカルビレン(ここで、ヒドロカルビレンは、直鎖、分枝鎖若しくは環状の飽和又は不飽和の炭化水素から2つの水素原子を除去した後に得られるジラジカルである)であり、且つ、R1、R2又はYは、非置換であるか、又は1つ以上のフッ素原子若しくはヒドロキシル基で置換されている。式(II)及び式(II)の化合物は、開示されている(例えば、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Calverleyらの米国特許第6310226号参照)。
【0043】
好ましい実施態様において、ビタミンD化合物は、非高カルシウム血性のビタミンD類似体、セオカルシトール、又は1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),-10(19)-トリエンであって、次の構造式を有する。
【化3】

【0044】
セオカルシトールは、強い抗増殖活性、低いカルシウム血活性(low calcemic activity)及び全身性使用に適した生物学的半減期を示している。セオカルシトールは、インビトロ及びインビボで、細胞の成長及び分化の調節に関して1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールに比べて50〜200倍より強力であることが見出されているが、そのカルシウム血活性は、インビボで1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールのカルシウム血活性に比べてほぼ50%弱かった。
【0045】
非高カルシウム血性ビタミンD化合物は、当業者に周知の任意の方法に従って製造できる。ビタミンDの非高カルシウム血性類似体を合成する方法の例は、Hansenらの論文、Current Pharmaceutical Design(6,803〜828,2000)に記載されており、その全体は引用により本明細書中に組み込まれている。セオカルシトールを合成するさらなる方法は、Sabroeらの論文、Org.Proc.Res.Dev.(8(1),133〜135,2004)及びPosnerらの論文、Bioorg.Med.Chem.(9(9),2365〜71,2001)に記載されており、その全体は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0046】
癌を有する哺乳動物に投与されるビタミンD化合物の治療上有効な量は、ビタミンD化合物が、単独で投与されるか、追加の抗癌薬などの追加の抗癌治療と組み合わせて投与されるかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0047】
(追加の治療薬)
抗癌薬としてビタミンD化合物に加えて使用することのできる適切な化合物には、限定はされないが、ホルモン除去薬、抗アンドロゲン薬、分化促進薬、抗腫瘍薬、キナーゼ阻害薬、代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗生物質、免疫学的薬剤、インターフェロン型薬剤、インターカレーション剤、増殖因子阻害薬、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生物学的応答調節剤、有糸分裂阻害薬、マトリックス金属プロテアーゼ阻害薬、遺伝子治療薬、テストステロン合成阻害薬及び抗アンドロゲン薬が含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される追加の抗癌薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。以下に、上記部類の抗癌薬の若干例を列挙する。該例は、すべてを包括するものではなく、例示を目的とし、限定を目的としたものではない。下記例の多くは、複数部類の抗癌薬中に列挙される場合があり、いかなる意味でもそれらが列挙されている部類に限定されるものではない。
【0048】
適切なホルモン除去薬には、限定はされないが、アンドロゲン除去薬及びエストロゲン除去薬が含まれる。好ましい実施態様において、ビタミンD化合物は、デスロレリン、リュープロリド、ゴセレリン、酢酸アビラテロン(すなわち、3β-アセトキシ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)などの17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害薬(例えば、Barrieらの米国特許第5604213号参照)、又はトリプトレリンなどのホルモン除去薬と一緒に投与される。本明細書を通して及び特許請求の範囲中で、句「ホルモン除去薬」は、単数名詞、例えば「ホルモン除去薬」又は「そのホルモン除去薬」として記載されるが、句「ホルモン除去薬」は、たった1つのホルモン除去薬の組入れに限定されると解釈すべきではない。癌を有する哺乳動物に投与されるホルモン除去薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0049】
適切な抗アンドロゲン薬には、限定はされないが、ビカルタミド、フルタミド及びニルタミドが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗アンドロゲン薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0050】
別の実施態様において、ビタミンD化合物は、分化促進薬と一緒に投与できる。適切な分化誘導薬には、限定はされないが、ポリアミン阻害薬;追加のビタミンD化合物;ビタミンAの代謝産物(ATRA、レチノイン酸、レチノイドなど);短鎖脂肪酸;酪酸フェニル;及び非ステロイド性抗炎症薬;が含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される分化促進薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0051】
別の好ましい実施態様において、ビタミンD化合物は、抗腫瘍薬と一緒に投与することができ、該抗腫瘍薬には、限定はされないが、チューブリン相互作用薬、トポイソメラーゼ阻害薬、並びに薬剤、アシトレチン、アルストニン、アモナフィド、アンフェチニル(amphethinile)、アムサクリン、アンキノマイシン、アンチネオプラストン、グリシン酸アフィジコリン、アスパラギナーゼ、バッカリン、バトラシリン、ベンフルロン、ベンゾトリプト、ブロモホスファミド、カラセミド、塩酸カルメチゾール、クロルスルファキノキサロン、クランフェヌール(clanfenur)、クラビリデノン、クリスナトール、クラデルム、シタラビン、シトシチン、ダカルバジン、ダテリプチニウム、ジヘマトポルフィリンエーテル、ジヒドロレンペロン、ジナリン、ジスタマイシン、ドセタキセル、エリプラビン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エルゴタミン、エトポシド、エトレチナート、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ゲンクワダフニン(genkwadaphnin)、ヘキサデシルホスホコリン、ホモハリントニン(homoharringtonine)、ヒドロキシ尿素、イルモフォシン、イソグルタミン、イソトレチノイン、ロイコレグリン、ロニダミン、メルバロン、メロシアニン(merocyanlne)誘導体、メチルアニリノアクリジン、ミナクチビン、ミトナフィド、ミトキドン、ミトキサントロン、モピダモール、モトレチニド、N-(レチノイル)アミノ酸、N-アシル化-デヒドロアラニン、ナファザトロム、ノコダゾール誘導体、オクレオチド、オキザノシン、パクリタキセル、パンクラチスタチン、パゼリプチン、ピロキサントロン、ポリヘマトポルフィリン、ポリプレン酸、プロビマン、プロカルバジン、プログルミド、ラゾキサン、レテリプチン、スパトール、スピロシクロプロパン誘導体、スピロゲルマニウム、ストリポルジノン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニポシド、サリブラスチン、トコトリエノール、トポテカン、ウクライン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビネストラミド、ビノレルビン、ビントリプトール、ビンゾリジン、及びウィタノリドが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗腫瘍薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0052】
ビタミンD化合物は、p38阻害薬及びCDK阻害薬を含むキナーゼ阻害薬、TNF阻害薬、金属マトリックスプロテアーゼ阻害薬(MMP)、COX-2阻害薬(セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ及びエトリコキシブを含む)、SOD模擬体、又はαvβ3阻害薬と一緒に使用することもできる。癌を有する哺乳動物に投与されるキナーゼ阻害薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0053】
別の実施態様において、ビタミンD化合物は、代謝拮抗薬と一緒に投与できる。適切な代謝拮抗薬は、限定はされないが、5-FU-フィブリノーゲン、アカンサス葉酸(acanthifolic acid)、アミノチアジアゾール、ブレキナールナトリウム、カルモフール、シクロペンチルシトシン、リン酸ステアリン酸シタラビン、シタラビン複合体、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ジドックス(didox)、ドキシフルリジン、ファザラビン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5-フルオロウラシル、N-(2'-フラニジル)-5-フルオロウラシル、イソプロピルピロリジン、メトベンザプリム、メトトレキサート、ノルスペルミジン、ペントスタチン、ピリトレキシム、プリカマイシン、チオグアニン、チアゾフリン、トリメトレキサート、チロシンキナーゼ阻害薬、及びウリシチンから選択できる。癌を有する哺乳動物に投与される代謝拮抗薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0054】
別の実施態様において、ビタミンD化合物は、アルキル化薬と一緒に投与できる。適切なアルキル化薬は、限定はされないが、アルド-ホスファミド類似体、アルトレタミン、アナキシロン、ベストラブシル、ブドチタン、カルボプラチン、カルムスチン、クロルアンブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シプラタート(cyplatate)、ジフェニルスピロムスチン、二白金細胞増殖抑制薬、エルムスチン、リン酸エラムスチンナトリウム、フォテムスチン、ヘプスルファム(hepsul-fam)、イフォスファミド、イプロプラチン、ロムスチン、マフォスファミド、ミトラクトール、オキサリプラチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、スピロムスチン、タウロムスチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチン、及びトリメラモールから選択できる。癌を有する哺乳動物に投与されるアルキル化薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0055】
別の好ましい実施態様において、ビタミンD化合物は、抗生物質と一緒に投与できる。適切な抗生物質は、限定はされないが、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アドリアマイシン、アエロプリシニン(aeroplysinin)誘導体、アムルビシン、アントラサイクリン、アジノマイシンA、ビスカベリン、硫酸ブレオマイシン、ブリオスタチン-1、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジトリサルビシンB、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ドキソルビシン-フィブリノーゲン、エルサミシン(elsamicin)-A、エピルビシン、エルブスタチン、エソルビシン、エスペラミシン-A1、エスペラミシン-A1b、フォストリエシン、グリドバクチン、グレガチン-A、グリンカマイシン、ヘルビマイシン(herbimycin)、コルチコステロイド(ヒドロコルチゾンなど)、イダルビシン、イルジン、カズサマイシン、ケサリロジン(kesarirhodin)、メノガリル、マイトマイシン、ネオエナクチン(neoenactin)、オキサリシン、オキサウノマイシン、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、ポロスラマイシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ピリンダニシンA、ラパマイシン、リゾキシン、ロドルビシン、シバノミシン(sibanomicin)、シウェンマイシン(siwenmycin)、ソランギシン-A、スパルソマイシン、タリソマイシン、テルペンテシン、スラジン、トリクロザリンA、及びゾルビシンから選択できる。癌を有する哺乳動物に投与される抗生物質の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0056】
別法として、ビタミンD化合物は、また、その他の抗癌薬と一緒に使用することができ、該抗癌薬には、限定はされないが、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミフォスチン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンセスチム、ベキサロテン、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリックス、クラドリビン、クロトリマゾール、ダクリズマブ、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドコサノール、ドキシフルリジン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、ジクロフェナック、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフール、エキセメスタン、エクシスリンド(exisulind)、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、グリコピン、ヘプタプラチン、イバンドロン酸、イミキモド、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レトロゾール、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、モルグラモスチン、ナファレリン、ナルトグラスチン、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ピシバニール、ピラルビシン、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリケース、リツキシマブ、ロムルチド、サルグラモスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンα、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、ウベニメックス、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビンが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗癌薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0057】
別の実施態様において、ビタミンD化合物は、抗高カルシウム血症薬及び追加の抗癌薬と組み合わせて投与できる。適切な抗高カルシウム血症薬には、限定はされないが、パミドロネート、エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、クロドロネート、及びビスホスホネートEB1053などのビスホスホネート類が含まれる。適切な抗癌薬には、限定はされないが、前に考察した抗癌薬が含まれる。癌を有する哺乳動物に投与される抗高カルシウム血症薬及び抗癌薬の量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、それぞれビタミンD誘導型高カルシウム血症及び癌を治療するのに十分である量である。
【0058】
ビタミンD化合物は、また、コルチコステロイド又はグルココルチコイドなどのステロイドと一緒に投与又は組み合わせることができる。ビタミンD化合物及びステロイドは、同一又は異なる組成物で投与できる。適切なステロイドの非制限的例には、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、デキサメタゾンが含まれる。癌を有する哺乳動物に投与されるステロイドの量は、単独で投与するか、ビタミンD化合物と組み合わせて投与するかのいずれにせよ、癌を治療するのに十分である量である。
【0059】
一実施態様において、本明細書中で提供されるのは、セオカルシトールとステロイド(特にコルチコステロイド、より詳細にはグルココルチコイド)との双方を含む方法及び組成物である。本開示の範囲に包含されるステロイドには、限定はされないが、(1)ヒドロコルチゾン(コルチゾール;シプリオナート(例えば、CORTEF)経口薬;リン酸ナトリウム塩注射薬(HYDROCORTONE PHOSPHATE);コハク酸ナトリウム塩(例えば、A-HYDROCORT、Solu-CORTEF);酢酸コルチゾン経口薬又は注射薬の形態など)、(2)デキサメタゾン(例えば、デカドロン経口薬;デカドロン-LA注射薬など)、(3)プレドニゾロン(例えば、Delta-CORTEF、酢酸プレドニゾロン(ECONOPRED)、リン酸プレドニゾロンナトリウム(HYDELTRASOL)、プレドニゾロンテブタート(HYDELTRA-TBAなど))、又は(4)プレドニゾン(例えば、DELTASONEなど)、並びにこれらの組合せが含まれる(例えば、「グッドマン及びギルマンの治療の薬学的基礎(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」(第10版、2001年)参照)。
【0060】
特定の実施態様において、約0.1μg〜約500μgの量のセオカルシトール及び約0.5mg〜約3.0mgの量のステロイド(例えば、任意選択で賦形剤、担体、希釈剤などを含む単一組成物でのグルココルチコイド)を含む、単一単位固形経口剤形が想定される。例えば、単一単位剤形は、約0.1μg〜約500μgのセオカルシトール、及び約1.0mg、1.25mg、1.5mg、又は2.0mgのステロイド(限定はされないが、コルチコステロイド又はグルココルチコイドなど)を含むことができる。
【0061】
(ビタミンD化合物及び追加の治療薬の投与)
ビタミンD化合物、及び抗癌薬又はステロイドなどの追加の治療薬は、当業者に周知の任意の方法で投与できる。いくつかの実施態様において、ビタミンD化合物及び追加の治療薬は、投与する前は別々の組成物でよい。別法として、ビタミンD化合物及び追加の治療薬を組み合わせて、投与のための単一組成物とすることができる。
【0062】
ビタミンD化合物及び追加の治療薬は、逐次的又は同時的に投与できる。逐次的に投与する場合、投与順序には、順応性がある、例えば、ビタミンD化合物は、追加の治療薬の投与に先立って投与できる。或いは、追加の治療薬の投与を、ビタミンD化合物の投与に先行させることができる。
【0063】
いくつかの実施態様において、ビタミンD化合物は、パルス投与又は投薬で投与される。ビタミンD化合物のパルス投薬の例は、Hennerらの米国特許第6521608号に開示されている。いくつかの実施態様において、パルス投与による投薬計画は、ビタミンD化合物の単一用量投与、それに続く1週間のビタミンD化合物の不投与を含むことができる。他の実施態様において、パルス投与による投薬計画は、ビタミンD化合物の単一用量投与、それに続く3週間のビタミンD化合物の不投与を含むことができる。さらに他の実施態様において、パルス投与による投薬計画は、ビタミンD化合物の単一用量投与、それに続く1カ月間のビタミンD化合物の不投与を含むことができる。
【0064】
それらの薬剤を、別々の組成物として投与するか、1つの組成物の状態で投与するかのいずれにしても、各組成物は、投与するのに医薬として適切であるのが好ましい。さらに、ビタミンD化合物及び追加の治療薬は、別々に投与されるなら、同一又は異なる投与方式で投与できる。投与方式の例には、非経口(例えば、皮下、筋内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、静脈内、皮内、腹膜内、肛門内、動脈内、鞘内、経粘膜、関節内、及び胸膜内);経皮(例えば、局所)、硬膜外、及び粘膜(例えば、鼻腔内)注射又は点滴;並びに経口、吸入、経肺、及び直腸投与が含まれる。特定の実施態様において、双方とも経口である。
【0065】
例えば、ビタミンD化合物は、経皮で投与することができ、追加の治療薬は非経口で投与できる。或いは、ビタミンD化合物は、錠剤、キャプレット又はカプセルなどの経口で投与することができ、一方、追加の治療薬は、静脈内で投与できる。このような静脈内で投与される治療薬には、限定はされないが、Taxotere(登録商標)などのドセタキセル注射薬、Paclitaxel(登録商標)などのパクリタキセル注射薬、及びNovantrone(登録商標)などのミトキサントロン注射薬が含まれる。また、追加の治療薬は、リュープロリドデポー並びに例えばViadur(登録商標)及びLupron Depot(登録商標)などの埋込み薬;トリプトレリンデポー薬、例えば、Trelstar(登録商標);ゴセレリン埋込み薬、例えばZoladex(登録商標);などのデポー薬又は埋込み薬の形態であり得る。
【0066】
ビタミンD化合物の適切な1日当たり投与量は、治療すべき状態の重症度の本質、具体的阻害薬、投与経路、並びに個々の患者の年齢、体重及び応答を含む様々な要因によって決まる。ビタミンD化合物の適切な1日当たり投与量は、一般に1回投与又は複数回投与で約0.000001μg/kg/日〜約125μg/kg/日、又は約0.00001μg/kg/日〜約40μg/kg/日、又は約0.0001μg/kg/日〜約20μg/kg/日、又は約0.001μg/kg/日〜約15μg/kg/日の範囲でよい。
【0067】
若干の実施態様において、ビタミンD化合物は、約0.0001μg/日〜約2,500μg/日の量で投与できる。いくつかの実施態様において、ビタミンD化合物は、1回又は複数回投与で、約0.001μg/日〜約1,000μg/日、又は約0.01μg/日〜約750μg/日、又は約0.1μg/日〜約500μg/日の量で投与できる。いくつかの実施態様において、セオカルシトールは、1回又は複数回投与で、約50μg/日又は約100μg/日の量で投与できる。
【0068】
いくつかの実施態様において、セオカルシトールなどのビタミンD化合物は、ミトキサントロン、パクリタキセル又はドセタキセルなどの追加の抗癌薬と一緒に投与される。例えば、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のミトキサントンを投与することを含む。例えば、セオカルシトールは、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量で投与することができ、かつミトキサントロンは、約0.1mg/m2〜約20mg/m2の量で投与できる。好ましくは、ミトキサントロンは、21日毎に1回、約10〜約20分間にわたって投与される。
【0069】
また、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のパクリタキセルを投与することを含む。一実施態様において、セオカルシトールは、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量で投与することができ、かつパクリタキセルは、約1mg/m2〜約175mg/m2の量で投与できる。好ましくは、パクリタキセルは、3カ月毎に1回、約2〜約5時間にわたって投与される。
【0070】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のドセタキセルを投与することを含む。例えば、セオカルシトールは、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量で投与することができ、かつドセタキセルは、約1mg/m2〜約100mg/m2の量で投与できる。好ましくは、ドセタキセルは、3週間毎に1回、約1〜約2時間にわたって投与される。
【0071】
いくつかの実施態様において、セオカルシトールなどのビタミンD化合物は、ホルモン除去薬を含む抗癌薬と一緒に投与され、該ホルモン除去薬には、限定はされないが、リュープロリド、ゴセレリン、又はトリプトレリンが含まれる。例えば、哺乳動物の癌を治療するための1つの治療法は、また、ある量のセオカルシトール及びある量のリュープロリドを投与することを含む。セオカルシトールの量は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日でよく、かつリュープロリドの量は、約3日〜約12カ月間にわたって約0.01mg〜約200mgの量でよい。好ましくは、リュープロリドは、約3日〜約12カ月間にわたって約3.6mgのリュープロリド量で投与される。
【0072】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のゴセレリンを投与することを含む。例えば、セオカルシトールの量は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日でよく、かつゴセレリンの量は、約28日〜約3カ月間にわたって約0.01mg〜約20mgでよい。好ましくは、ゴセレリンは、約28日〜約3カ月間にわたって約3.6mg〜約10.8mgの量で投与される。
【0073】
いくつかの実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のトリプトレリンを投与することを含む。例えば、セオカルシトールの量は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日でよく、かつトリプトレリンの量は、約1カ月間にわたって約0.01mg〜約20mgでよく、好ましくは、トリプトレリンは、約1カ月間にわたって約3.75mgの量で投与される。
【0074】
また、一実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量の酢酸アビラテロンを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、例えば、約100μg/日のセオカルシトール、及び約0.4mg/日〜約10,000mg/日の量の酢酸アビラテロンを投与することを含む。
【0075】
別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のビカルタミドを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日でよい量のセオカルシトール、及び約1mg/日〜約300mg/日の量のビカルタミドを投与することを含む。
【0076】
さらに別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のセオカルシトール及びある量のフルタミドを投与することを含む。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日でよい量のセオカルシトール、及び約1mg/日〜約2000mg/日の量のフルタミドを投与することを含む。
【0077】
さらに、哺乳動物の癌を治療するための方法は、ある量のビタミンD化合物及びある量のグルココルチコイドを投与することを含むことができ、グルココルチコイドには、限定はされないが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンが含まれる。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量のセオカルシトール、及び約0.01mg/日〜約500mg/日の量のヒドロコルチゾンを投与することを含むことができる。他の例で、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、及び約10mg/日〜約250mg/日の量のヒドロコルチゾンを投与することを含むことができる。
【0078】
癌を治療するための方法は、また、ある量のビタミンD化合物、及びある量のグルココルチコイド、例えば、プレドニゾンを投与することを含むことができる。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量のセオカルシトール、及び約0.01mg/日〜約500mg/日の量のプレドニゾンを投与することを含むことができる。また、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、及び約10mg/日〜約250mg/日の量のプレドニゾンを投与することを含むことができる。
【0079】
さらに、癌を治療するための方法は、また、ある量のビタミンD化合物、及びある量のグルココルチコイド、例えば、デキサメタゾンを投与することを含むことができる。例えば、該方法は、約0.1μg/日〜約500μg/日、例えば、約100μg/日の量のセオカルシトール、及び約0.01mg/日〜約500mg/日の量のデキサメタゾンを投与することを含むことができる。また、該方法は、0.1μg/日〜約500μg/日の量のセオカルシトール、及び約0.5mg/日〜約25mg/日の量のデキサメタゾンを投与することを含むことができる。
【0080】
さらに別の実施態様において、哺乳動物の癌を治療するための方法は、化学療法治療と組み合わせて、ある量のセオカルシトールをパルス投与することを含む。
【0081】
(ビタミンD化合物及び追加の治療薬を含む組成物)
いくつかの実施態様において、組成物は、ビタミンD化合物、好ましくはセオカルシトールと、前に列挙した任意の治療薬との組合せを含むことができる。ビタミンD化合物と追加の治療薬が、別々の組成物で投与されるか、単一の組成物として投与されるかのいずれにせよ、それらの組成物は、各種の形態を取り得る。例えば、組成物は、意図した投与経路に応じて、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末又は徐放性製剤の形態を取り得る。
【0082】
局所又は経皮投与の場合、組成物は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液、又は膏薬として製剤できる。
【0083】
経口投与の場合、組成物は、治療される予定の患者が経口で摂取するための、錠剤、丸剤、糖衣錠、トローチ、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤できる。
【0084】
組成物は、また、カカオバター又はその他のグリセリドなどの従来的坐薬基剤を含む坐薬若しくは滞留浣腸などの直腸又は膣用組成物として製剤できる。
【0085】
前述の製剤に加えて、組成物は、デポー調合物としても製剤できる。このような長期作用性製剤は、埋込み(例えば、皮下又は筋内)で、又は筋内注射で投与できる。したがって、例えば、治療薬は、適切なポリマー性又は疎水性材料(例えば、許容し得るオイル中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂を用いて、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤できる。
【0086】
さらに、組成物は、該組成物を含む固体ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性システムを使用して送達できる。各種形態の徐放性材料が確立されており、かつ当業者に周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に応じて、数時間、数日間、数週間、数カ月にわたって組成物を放出できる。例えば、徐放性カプセルは、100日間又はそれ以上にわたって組成物を放出できる。組成物の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、安定化のためのさらなる戦略を採用できる。
【0087】
組成物は、さらに、医薬として許容し得る担体を含むことができる。用語「担体」は、治療薬と一緒に投与される、希釈剤、補助剤(例えば、フロイントのアジュバンド(完全及び不完全))、賦形剤、又はビヒクルを含むことができる。
【0088】
非経口投与の場合、組成物は、次の担体、すなわち、滅菌希釈剤(注射用水、生理食塩水、不揮発性オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒など);抗菌剤(ベンジルアルコール又はメチルパラベンなど);酸化防止剤(アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸など);緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩など);及び張性調節剤(塩化ナトリウム又はデキストロースなど);の中の1つ以上を含むことができる。非経口調合物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ或いは複数回投与用のバイアル瓶中に封入できる。
【0089】
経口固形製剤の場合、適切な担体には、糖類、例えば、乳糖、蔗糖、マンニトール及びソルビトールなどの増量剤;トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米穀デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、脂肪及びオイルなどのセルロース調合物;顆粒化剤;及び微結晶セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤;架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)、プリモゲル(Primogel)、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロテス(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;蔗糖又はサッカリンなどの甘味剤;或いはペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ風味料などの風味剤;が含まれる。所望なら、固形剤形は、標準的技術を使用して糖被覆又は腸溶性被覆を施すことができる。その他の適切な経口製剤には、限定はされないが、中鎖トリグリセリド及び長鎖トリグリセリドなどの脂質を含む製剤が含まれる。脂質製剤は、可溶化過程に関して肯定的効果を有し、ポリエチレングリコールを含む製剤と比較して2倍高いセオカルシトールの生物学的利用能をもたらすことが示されている。適切な脂質製剤の製造方法の例は、参照により本明細書中に組み込まれているJournal of Pharmaceutical Sciences(94,1830〜1838,2005)に開示されている。
【0090】
静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。いずれの場合も、組成物は、無菌でなければならず、且つシリンジで容易に注射できる程度まで流動性であるべきである。組成物は、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、且つ細菌及びカビなどの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒又は分散媒体、並びにそれらの適切な混合物でよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆を使用して、分散液の場合には要求される粒子径を維持して、及び界面活性剤を使用して維持することができる。微生物作用の防止は、各種の抗菌及び抗カビ剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用いて達成できる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖類;マンニトール、ソルビトールなどのポリオール;塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射可能組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0091】
また、静脈内投与の場合、組成物は、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液中の溶液として製剤できる。溶液は、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含むことができる。好ましい実施態様において、組成物は、滅菌溶液として製剤される。
【0092】
経粘膜投与の場合、浸透すべき障壁に適切な浸透剤を製剤中で使用できる。このような浸透剤は、当技術分野で周知であり、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、経鼻スプレー又は坐薬の使用を介して達成できる。
【0093】
吸入による投与の場合、組成物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はその他の適切な気体を使用して、加圧容器又はネブライザーからのエーロゾルスプレーとして製剤できる。加圧エーロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達ためのバルブを備えることによって決めることができる。インへラー又はインサフレーター中で使用するためのゼラチンのカプセル及びカートリッジは、組成物と、乳糖又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含めて製剤できる。
【0094】
医薬組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣形成、研和、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥の工程によって製造できる。
【0095】
ビタミンD化合物及び追加の治療薬を含む組成物の一例が、セオカルシトールをステロイドと組み合わせて含有する、経口組成物、又は経口投与に適した組成物である。例えば、経口組成物は、丸剤、錠剤又はカプセルなどの固形剤形でよい。経口組成物は、約0.0001μg、0.001μg、0.01μg、0.05μg、0.1μg、0.25μg、0.5μg、0.75μg、1.0μg、2.5μg、5.0μg、7.5μg、10μg、25μg、50μg、75μg、100μg、150μg、200μg、250μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、550μg、600μg、650μg、700μg、750μg、800μg、850μg、900μg、950μg又は1000μgのセオカルシトールを含むことができる。経口組成物は、約0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2.0mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3.0mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、5.0mg、7.5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、又は50mgのステロイドを含むことができる。
【0096】
一実施態様において、経口組成物は、約0.1μg〜約500μgのセオカルシトール、及び約0.25mg〜約3.5mgの量のヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどのステロイドを含むことができる。他の例で、組成物は、約0.1μg〜約500μgのセオカルシトール、及び約1.0mg〜約2.5mgの量のヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンなどのステロイドを含むことができる。
【0097】
本明細書中に含まれる説明は、例示のためであり、限定することを目的としたものではない。本明細書中に記載の方法及び組成物は、本明細書中に記載の任意の特徴を、単独で、又は本明細書中に記載のその他任意の特徴と組み合わせて含むことができる。記載の実施態様に対して変更及び修正をなし得る。さらに、明白な変更、修正、変形形態が、当業者にとって思い浮かぶであろう。また、これまで引用されたすべての参考文献は、本開示に関連するすべての目的に関して、本明細書中にその全体で組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の前立腺癌又は乳癌を治療するための方法であって、前立腺癌又は乳癌を有する患者に、治療上有効な量のビタミンD化合物及び治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療薬を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ビタミンD化合物が、セオカルシトールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ビタミンD化合物の治療上有効な量が、約0.001μg/日〜約1000μg/日を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記追加の治療薬が、抗腫瘍薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗生物質、ホルモン除去薬、アンドロゲン除去薬、抗アンドロゲン薬、又はステロイドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ビタミンD化合物及び前記追加の治療薬が、前記哺乳動物に、該ビタミンD化合物及び該追加の治療薬を含有する単一組成物で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ビタミンD化合物及び前記追加の治療薬が、前記哺乳動物に別々に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ビタミンD化合物が、パルス投与で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
抗高カルシウム血症薬を投与することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ビタミンD化合物が、セオカルシトールを含み、かつ前記追加の治療薬が、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、フルタミド、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約0.1mg/m2〜約20mg/m2のミトキサントロンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約1mg/m2〜約175mg/m2のパクリタキセルを含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約1mg/m2〜約100mg/m2のドセタキセルを含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約3日〜約12カ月間にわたる約0.01〜約200mgのリュープロリドを含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約28日〜約3カ月間にわたる約0.01mg〜約20mgのゴセレリンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約1カ月間にわたる約0.01mg〜約20mgのトリプトレリンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約0.4mg/日〜約10,000mg/日の酢酸アビラテロンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約1mg/日〜約300mg/日のビカルクタミド(bicalcutamide)を含む、請求項9記載の方法。
【請求項18】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約1mg/日〜約2000mg/日のフルタミドを含む、請求項9記載の方法。
【請求項19】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約10mg/日〜約250mg/日のヒドロコルチゾン又はプレドニゾンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項20】
前記治療上有効な量のセオカルシトールが約0.1μg/日〜約500μg/日を含み、且つ前記治療上有効な量の追加の治療薬が、約0.5mg/日〜約25mg/日のデキサメタゾンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の癌治療を現在受けている、不応性前立腺癌又は不応性乳癌を有する患者を治療するための方法であって、該患者が現在受けている該少なくとも1種の治療に加えて、治療上有効な量のビタミンD化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
前記ビタミンD化合物が、セオカルシトールを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記治療上有効な量のビタミンD化合物が、約0.001μg/日〜約1000μg/日を含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記癌治療が、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、酢酸アビラテロン、ビカルタミド、フルタミド、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンの投与を含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
治療上有効な量のセオカルシトール及び治療上有効な量のステロイドを含む、哺乳動物の癌を治療するための医薬組成物であって、経口投与に適している、前記医薬組成物。
【請求項26】
約0.1μg〜約500μgのセオカルシトール、及び約0.25mg〜約3.5mgの前記ステロイドを含む、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記ステロイドが、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン又はデキサメタゾンを含む、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
丸剤、錠剤、又はカプセルの形態である、請求項25記載の組成物。

【公表番号】特表2010−501576(P2010−501576A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525648(P2009−525648)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/018770
【国際公開番号】WO2008/024485
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509053307)クオウガル バイオテクノロジー,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】