説明

ビット補充機構およびトンネル掘削機

【課題】 掘削機構に悪影響を及ぼさずに簡単な構成で確実にビット補充を行い得るようにする。
【解決手段】 所要数の最外周ビット14を有するカッタヘッド3の内部に補充用最外周ビット22を収納・待機させておき、最外周ビット14の摩耗に伴い、カッタヘッド3の内部に収納・待機していた補充用最外周ビット22を地山へ出現可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド工法、山岳工法、推進工法などに使用されるトンネル掘削機およびこのトンネル掘削機に使用されるビット補充機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機には、シールド工法に用いられるシールドマシンや、山岳工法に用いられるトンネルボーリングマシン(TBM)や、推進工法に用いられる推進マシンなどがある。例えば、シールド掘進機(シールドマシン)は、筒状のシールド本体の先端に取付けたカッタヘッドを回転させることによって地山を掘削し、トンネルを構築して行くようにしたものである。なお、カッタヘッドには、ほぼ円板状をしたカッタフェイスや、ほぼ放射状をしたカッタスポークなどが存在する。
【0003】
上記カッタヘッドには、ティースビット、先行ビット、最外周ビットなど、機能、用途、形状・構造などが異なる複数種類のビット(掘削歯)が取付けられている。通常の場合、ビットは、カッタヘッドに対し、溶接によって直接固定されるか、或いは、ブラケットとボルトを用いて固定されている。
【0004】
このような、シールド掘進機では、掘削距離の長距離化などに伴い、摩耗したビットを途中で交換する必要が生じている。
【0005】
ビットを交換する手段としては、従来、カッタヘッドをシールド本体内に取込んで、シールド本体内でビットを交換したりするものや、カッタヘッドの裏面とシールド本体の先端との間に形成されるチャンバーへ作業員が出て手作業でビットを交換する(溶接固定の場合には摩耗したビットを切断して新しいビットを再溶接する、ボルト固定の場合には摩耗したビットを取外して新しいビットを締結固定する)ものなどがあった。
【0006】
しかし、カッタヘッドをシールド本体内に取込むようにする場合には、装置構成が大掛かりとなるため、シールド掘進機の製作費用が高くなり、ビット交換に費やす工程や工期も余分に掛ってしまう。
【0007】
また、最も実績の有る手段である、チャンバーへ作業員が出て手作業でビットを交換する場合、予めビットの交換位置を決めておき、その箇所を地上から地盤改良して安定化させ、ここへシールド掘進機を突入させて停止させた後、作業員がチャンバーへ出て作業を行うなどする必要があるが、チャンバー内の作業環境、地山崩壊の危険性、地上部地盤改良箇所の作業帯確保、改良地盤での掘進速度低下に伴う工事費の増大など、各種の問題が存在している。また、交換できるビットが限られてしまうという問題や、カッタヘッドがスポークタイプの場合には、カッタスポークの巨大化を伴うため、掘削メカニズムへの悪影響なども懸念されている。
【0008】
そこで、このような問題を解消するため、簡単にビットを交換できる機構の開発が望まれている。このようなものとして、カッタスポークに対して移動自在に設けたカッタ列をセンターシャフトを介してシールド本体内へ取込み交換し得るようにしたもの(特許文献1)や、半分の長さを有するカッタスポークを伸縮自在に設けてカッタスポークと共にビットを内側掘削位置から外側掘削位置へと移動させるようにしたもの(特許文献2)などがある。
【特許文献1】特開2004−19337号公報
【特許文献2】特開2004−27523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のものは、センターシャフトを介してシールド本体内へカッタ列を取込み、シールド本体内でカッタ列を交換するようにしているので、センターシャフトを太くしたり、シールド本体内に交換スペースを確保したりする必要があるなど、装置構成が大掛かりになるという問題が依然として解決されておらず、また、摩耗したカッタ列や新しいカッタ列に対する保管場所が別途必要になるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2のものは、半分の長さを有するカッタスポークを特別に設ける必要があるため、通常のカッタスポークを設けるスペースの減少を招いて構造的に不利であると共に、半分の長さを有するカッタスポークを全体として伸縮させるようにしているため、このカッタスポークに伸縮機構を組込んだり伸縮に伴う強度の向上を図ったりするために、このカッタスポークの構造が複雑になると共に大掛かりな補強対策が必要になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、所要数の最外周ビットを有するカッタヘッドの内部に補充用最外周ビットを収納・待機させておき、前記最外周ビットの摩耗に伴い、カッタヘッドの内部に収納・待機していた補充用最外周ビットを地山へ出現可能としたビット補充機構を特徴としている。
【0012】
請求項2に記載された発明では、前記補充用最外周ビットが、ほぼカッタヘッドの回転方向へ延びる回転軸を中心として回転される回転体に備えられた請求項1記載のビット補充機構を特徴としている。
【0013】
請求項3に記載された発明では、前記回転軸が偏心軸であり、偏心軸の偏心回転により前記回転体の一部が出入可能に構成された請求項2記載のビット補充機構を特徴としている。
【0014】
請求項4に記載された発明では、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のビット補充機構を備えたトンネル掘削機を特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、所要数の最外周ビットを有するカッタヘッドの内部に補充用最外周ビットを収納・待機させておき、前記最外周ビットの摩耗に伴い、カッタヘッドの内部に収納・待機していた補充用最外周ビットを地山へ出現可能としたことにより、最外周ビットが摩耗した時に補充用最外周ビットを補充することが可能となる。また、カッタヘッドの内部に収納・待機させていた補充用最外周ビットを、地山へ出現させるだけの構造なので、通常のカッタヘッドにほぼそのまま適用することができ、掘削機構に悪影響を及ぼすことなく簡単な構成で確実にビット補充を行うことが可能となる。また、ビット補充が随時可能となるので、ビット補充の場所や時期を特定する必要をなくすことができる。併せて、地上からの地盤改良が不要となるので、これに伴う種々の制限から解放され、工期、費用等の面で負担を大幅に低減することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、前記補充用最外周ビットが、ほぼカッタヘッドの回転方向へ延びる回転軸を中心として回転される回転体に備えられたことにより、構成の小型化および簡略化を得ることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、前記回転軸を偏心軸とし、偏心軸の偏心回転により前記回転体の一部が出入可能となるように構成されたことにより、一層の構成簡略化を得ることができると共に、偏心回転後に回転体の一部が外部へ露出されるので、補充用最外周ビットの突出量を大きく確保することができる。これにより、回転体自体を補充用最外周ビットとして利用することも可能となる。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のビット補充機構を備えたことにより、上記と同様の作用効果を有するトンネル掘削機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
掘削機構に悪影響を及ぼさずに簡単な構成で確実にビット補充を行い得るようにするという目的を、所要数の最外周ビットを有するカッタヘッドの内部に補充用最外周ビットを収納・待機させておき、最外周ビットの摩耗に伴い、カッタヘッドの内部に収納・待機していた補充用最外周ビットを地山へ出現可能とする、という手段で実現した。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0021】
図1〜図15は、この発明の実施例1を示すものである。
【0022】
まず、構成について説明する。トンネル掘削機には、シールド工法に用いられるシールドマシンや、山岳工法に用いられるトンネルボーリングマシン(TBM)や、推進工法に用いられる推進マシンなどがある。例えば、図1、図2に示すようなシールド掘進機1(シールドマシン)は、筒状のシールド本体2の先端に取付けたカッタヘッド3を回転させることによって地山を掘削し、トンネルなどを構築して行くようにしたものである。
【0023】
円形掘りを行うシールド掘進機1の場合、シールド本体2は、円筒状を呈している。そして、シールド本体2先端の軸心位置に設けられた掘進方向へ延びるセンターシャフト7を回転中心として、カッタヘッド3がシールド本体2の先端面と平行な面内で回転されるようになっている。これに対応して、カッタヘッド3もシールド本体2先端の円形形状に見合った形状のものが取付けられている。カッタヘッド3には、例えば、円板状をしたカッタフェイス4や、後述するような放射状をしたカッタスポーク5(図16参照)などがある。この実施例の場合、カッタフェイス4となっているが、カッタスポーク5であっても良い。なお、カッタヘッド3の回転中心部分には、フィッシュテールやセンターコーンなどのセンター部材6が取付けられている。また、カッタフェイス4の裏面と、シールド本体2先端との間には、土圧室などと呼ばれるチャンバーが形成される。
【0024】
そして、上記カッタヘッド3の前面には、先行ビット11や、ティースビット12(またはメインビット)や、外周ビット13や最外周ビット14など、機能、用途、形状・構造などが異なる複数種類のビット(掘削歯)が取付けられている。先ず、先行ビット11は、先行して地山をほぐすことにより他のビットの掘削性を良くすると共にこれらの摩耗を防止するものである。ティースビット12(メインビット)は、先行ビット11でほぐした地山を掘削するものである。外周ビット13や最外周ビット14は、掘削抗の外径を掘削するものである。なお、最外周ビット14には、シェルビットやトリムビットやゲージビットなどの機能、用途、形状・構造の異なる各種のものが存在する。上記した各種類のビットは、カッタヘッド3の回転中心に対して、例えば、放射状や環状や螺旋状などに複数配置される。上記した各種類のビットは、通常、カッタヘッド3に固定される固定ビットとされる。
【0025】
例えば、カッタヘッド3がカッタフェイス4の場合、カッタフェイス4に半径方向へ延びる短冊状或いはスリット状の土砂取込口16が形成され、この土砂取込口16の両側部に沿って複数対のティースビット12がほぼ向い合せに配置され、その最も外側の部分に一対の最外周ビット14がほぼ向い合せに配置される。また、周方向に隣接する土砂取込口16の間の部分に、半径方向に沿って複数の先行ビット11が配置される。更に、カッタフェイス4の外周面またはカッタフェイス4前面の最も外周寄りの部分に、周方向に所要の間隔を有して複数の外周ビット13が配置される。なお、図1中、符号17はコピーカッタである。このコピーカッタ17は、ジャッキ(コピージャッキ)などによってほぼ半径方向へ突出収納可能とされて、カッタヘッド3による掘削範囲の更に外側を掘削可能な可動ビットである。このコピーカッタ17は、例えば、カッタフェイス4の外周面の周方向に180度位相をズラせた位置に2箇所設けられる。可動ビットとしては、この他にも、上記したゲージビットやローラビットなどの回転可能なものが知られている。
【0026】
この実施例のものでは、上記した各ビットを備えたカッタヘッド3に対し、以下のような(最外周)ビット補充機構21を設ける。
【0027】
即ち、このビット補充機構21を、所要数の最外周ビット14を有するカッタヘッド3の内部に、図2、図3または図6、図7或いは図10〜図12に示すように、補充用最外周ビット22を収納・待機させておき、最外周ビット14の摩耗に伴い、カッタヘッド3の内部に収納・待機していた補充用最外周ビット22を、図4、図5または図8、図9或いは図13〜図15に示すように、カッタヘッド3の外部へ、即ち、地山へ向けて出現可能なものとする。
【0028】
補充用最外周ビット22は、ほぼカッタヘッド3の回転方向(円周方向、またはこれらの接線方向)へ延びる回転軸23を中心として回転される回転体24に備えられる。図2では回転体24に対して補充用最外周ビット22を1個取付けて1回だけ補充し得るようにしている。しかし、図6に示すように、回転体24に対して補充用最外周ビット22を複数個取付けて複数回・補充し得るようにすることもできる。例えば、図6では、回転体24に対して、3個のビットが取付けられている。そして、ビットを最初から出現させるようにした場合には、最初に地山に出現させたビットが最外周ビット14となり、残りのビットが補充用最外周ビット22となる。また、ビットを最初から出現させないようにすることもできるが、この場合には、全部のビットが補充用最外周ビット22となる。なお、回転体24のビットを最外周ビット14として使用した場合、この最外周ビット14は、可動ビットとなる。この場合には、ビットの補充可能回数が1回減る代りに、土砂取込口16の部分の最外周ビット14を削減したり、なくしたりすることが可能となる。なお、回転体24に対する補充用最外周ビット22などの取付けは、目的に応じ、周方向に対して等ピッチとすることもできるし、不等ピッチとすることもできる。
【0029】
図2〜図5の場合、回転体24は、全体がカッタヘッド3の内部に収納され、回転軸23は、回転体24の中心に設置されて、回転の前後で外部に露出しないように構成されている。補充用最外周ビット22は、カッタヘッド3に形成されたスリットやその他の切欠部3a(図12参照)から出現させるようにする。図6〜図9の場合も、ほぼ図2〜図5と同様である。
【0030】
図10〜図15の場合、回転軸23が偏心軸25とされて、偏心軸25の偏心回転により回転体24の一部が外部へ出入可能に構成されている。この場合には、上記と同様に、回転体24に補充用最外周ビット22を取付けるようにすることもできる。また、回転体24自体を補充用最外周ビット22とすることもできる。そのためには、例えば、回転体24の外周部分に超硬チップを埋め込むようにする。この実施例の場合には、回転体24の外周に対してほぼリング状をした補充用最外周ビット22を取付けるようにしている。この補充用最外周ビット22は、両歯タイプとされているが、片歯タイプのものでも良い。
【0031】
このような回転体24は、例えば、図1に示すように、カッタフェイス4の外周部分で、且つ、外周ビット13や他のビットを避けた位置に設けられる。即ち、通常の最外周ビット14の設置位置とは異なる位置に設置される。また、回転体24は、この実施例では、カッタフェイス4と面直な方向へ向けて取付けるようにしているが、回転体24を傾斜させて取付けることもできる。ここで、補充用最外周ビット22の配置や、回転体24の取付角度(或いは傾斜角度)は、シールド掘進機1の径寸法や掘削地山に応じて最適に設定する。
【0032】
この回転体24は、ローラビットやゲージビットなどの回転可能な既存のビットと同様の軸受手段26を介して支承される(図12参照)。
【0033】
そして、このようなビット補充機構21に対し、以下のような補充用最外周ビット22の出入機構27を備えるようにする。また、補充用最外周ビット22に対するロック機構も備えるようにする。なお、ビット補充機構21、出入機構27、ロック機構は、共にカッタヘッド3の内部に納められるようなコンパクトなものとする。
【0034】
例えば、出入機構27をラチェット機構28で構成する。この場合には、回転体24の回転軸23(偏心軸25)の端部にラチェット歯車29を取付け、このラチェット歯車29を操作可能な爪部を備えた油圧ジャッキ30で操作するように構成する。ラチェット機構28は構造上逆転しないので、これを逆転方向のロック機構とする。また、油圧ジャッキでラチェット歯車29の正転をロックさせることができるので、これを正転方向のロック機構とする。
【0035】
また、例えば、出入機構27をウォーム歯車機構31で構成する。この場合には、回転体24の回転軸23(偏心軸25)の端部に歯車32を取付け、この歯車32をスピンドルに取付けたウォームギヤ33で駆動するように構成する。この際、スピンドルの回転を止めることによりウォーム歯車機構31をロックさせることができるので、これをロック機構とする。
【0036】
或いは、出入機構27として油圧ジャッキを用い、油圧ジャッキで補充用最外周ビット22を直接押出させるようにすることもできる。この際、油圧ジャッキで補充用最外周ビット22を押さえることによりロックさせることができるので、これをロック機構とする。
【0037】
更に、出入機構27としてリンク機構やクランク機構などを用いることもできる。また、楔効果を利用して回転体24を回転する機構などを用いることができる。或いは、上記以外の手段を用いることもできる。
【0038】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0039】
トンネル掘削機としてのシールド掘進機1は、筒状のシールド本体2の先端に取付けたカッタヘッド3を回転させることによって地山を掘削し、トンネルなどを構築して行く。地山を掘削したズリは土砂取込口16からチャンバー内へ入り、チャンバーから図示しないコンベヤなどによって機外へ排出される。
【0040】
そして長距離掘削などを行う場合に、途中で表面のビット(地山に露出されたビット)が摩耗するので、摩耗したビットを補充する工程を行う。この実施例では、摩耗した最外周ビット14に対して補充用最外周ビット22を補充する。
【0041】
補充用最外周ビット22を補充する場合、出入機構27を用いて回転体24を回転することにより、補充用最外周ビット22を外部(地山)へ出現させる。この状態で、ロック機構を用い、補充用最外周ビット22をロックさせるようにする。補充用最外周ビット22を複数備えている場合には、上記を複数回繰返すことにより、複数回の補充が可能となる。
【0042】
このように、この実施例によれば、所要数の最外周ビット14を有するカッタヘッド3の内部に補充用最外周ビット22を収納・待機させておき、最外周ビット14の摩耗に伴い、カッタヘッド3の内部に収納・待機していた補充用最外周ビット22をカッタヘッド3の外部、即ち、地山へ出現可能としたことにより、最外周ビット14が摩耗した時に補充用最外周ビット22を補充することが可能となる。
【0043】
また、カッタヘッド3の内部に収納・待機させていた補充用最外周ビット22を、カッタヘッド3の外部、即ち、地山へ出現させるだけの構造なので、通常のカッタヘッド3にほぼそのまま適用することができ、掘削機構に悪影響を及ぼすことなく簡単な構成で確実にビット補充を行うことが可能となる。
【0044】
また、ビット補充が随時可能となるので、ビット補充の場所や時期を特定する必要をなくすことができる。
【0045】
併せて、地上からの地盤改良が不要となるので、これに伴う種々の制限から解放され、工期、費用等の面で負担を大幅に低減することができる。
【0046】
また、図2〜図5または図6〜図9或いは図10〜図15に示すように、補充用最外周ビット22が、ほぼカッタヘッド3の回転方向へ延びる回転軸23を中心として回転される回転体24に備えられたことにより、ビット補充機構21、出入機構27、ロック機構を含む、カッタヘッド3内に納められる構成全体の小型化および簡略化を得ることができる。
【0047】
更に、図10〜図15に示すように、回転軸23を偏心軸25とし、偏心軸25の偏心回転により回転体24の一部が出入可能となるように構成されたことにより、一層の構成簡略化を得ることができると共に、偏心回転後に回転体24の一部が外部へ露出されるので、補充用最外周ビット22の突出量を大きく確保することができる。これにより、回転体24自体を補充用最外周ビット22として利用することも可能となる。
【実施例2】
【0048】
図16および図17〜図19は、この発明を具体化した実施例2を示すものである。なお、実施例1と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すものとし、説明が省略されている部分については、上記実施例の記載を以て、この実施例の記載とする。
【0049】
この実施例2では、カッタスポーク5に対して実施例1と同様のビット補充機構21を適用したものである。
【0050】
カッタスポーク5は、図16では円形掘りを行うシールド掘進機1に対して取付けられており、図17〜図19では矩形掘りを行うシールド掘進機1に対して取付けられているが、両者に基本的な相違はない。図16の円形掘りを行うシールド掘進機1は、シールド本体2が、円筒状を呈している。そして、カッタスポーク5が1つ備えられている。これに対し、図17〜図19の矩形掘りを行うシールド掘進機1は、シールド本体2が、ほぼ正方形状、または、正方形を複数(この実施例では3つ)連接したほぼ長方形状の先端面形状を有するほぼ角筒状を呈している。この場合、カッタスポーク5は、シールド本体2の正方形の各部分に対してそれぞれ1つずつ備えられている。
【0051】
カッタスポーク5は、センターシャフト7を中心として放射状に配置された複数本のスポーク部5aを有している。スポーク部5aの本数は、目的や用途に応じて任意とされる。各スポーク部5aは回転方向に所要のピッチで配置されている。図16の円形掘りを行うシールド掘進機1では、スポーク部5aは、回転方向にほぼ等間隔に(72度のピッチで)5本設けられている。図17〜図19の矩形掘りを行うシールド掘進機1では、スポーク部5aは、回転方向にほぼ等間隔に(120度のピッチで)3本設けられている。各カッタスポーク5は、その掘削範囲が一部重複するように配置されており、互いに干渉しないように位相をずらせて回転されるように構成されている。また、上記正方形状の各部分の各コーナーに相当する位置で且つ各カッタスポーク5の掘削範囲外となる部分には、それぞれ小型の回転式ビット部41が設けられている。
【0052】
カッタヘッド3がカッタスポーク5の場合、図19に示すように、スポーク部5aの両側部に沿って複数対のティースビット12が配置されると共に、その最外周の位置に一対の最外周ビット14が配置される。また、スポーク部5aの幅方向中央部に沿って複数の先行ビット11が配置される。スポーク部5aのうちの幾つかの先端部には、図16および図17に示すように、コピーカッタ17も設置される。図16の5本のスポーク部5aを有するカッタスポーク5の場合、コピーカッタ17は2本のスポーク部5aに設けられている。図17の3本のスポーク部5aを有するカッタスポーク5の場合も、コピーカッタ17は2本のスポーク部5aに設けられている。
【0053】
このような、カッタスポーク5に対し、コピーカッタ17が設けられていない残りのスポーク部5a’の外周部分に、(最外周)ビット補充機構21を設けるようにする。ビット補充機構21の種類および設置の仕方については、上記実施の形態1と同様である。この実施例2では、図10〜図15の場合と同様に、偏心軸25の偏心回転により回転体24の一部が出入可能となるように構成された補充用最外周ビット22が取付けられている。
【0054】
上記以外の部分については、上記実施例と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。なお、記載を省略した部分についての詳細は、上記実施例の記載を以て、この実施例の説明とする。
【0055】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例1にかかるカッタフェイスを備えたシールド掘進機の正面図である。
【図2】図1のシールド掘進機の概略側面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図2の作動図である。
【図5】図3の作動図である。
【図6】回転体が複数の補充用最外周ビットを備えた場合の図2と同様のシールド掘進機の概略側面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】図6の作動図である。
【図9】図7の作動図である。
【図10】偏心軸を用いた場合の図2と同様の概略側面図である。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】図11の補充用最外周ビットを拡大した断面図である。
【図13】図10の作動図である。
【図14】図11の作動図である。
【図15】図12の作動図である。
【図16】本発明の実施例2にかかるカッタスポークを備えたシールド掘進機(円形掘りタイプ)の斜視図である。
【図17】本発明の実施例2にかかるカッタスポークを備えた別のシールド掘進機(矩形掘りタイプ)の斜視図である。
【図18】図17のシールド掘進機を横倒しにした状態の斜視図である。
【図19】図17のスポーク部の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0057】
3 カッタヘッド
14 最外周ビット
21 ビット補充機構
22 補充用最外周ビット
23 回転軸
24 回転体
25 偏心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要数の最外周ビットを有するカッタヘッドの内部に補充用最外周ビットを収納・待機させておき、
前記最外周ビットの摩耗に伴い、カッタヘッドの内部に収納・待機していた補充用最外周ビットを地山へ出現可能としたことを特徴とするビット補充機構。
【請求項2】
前記補充用最外周ビットが、ほぼカッタヘッドの回転方向へ延びる回転軸を中心として回転される回転体に備えられたことを特徴とする請求項1記載のビット補充機構。
【請求項3】
前記回転軸が偏心軸であり、偏心軸の偏心回転により前記回転体の一部が出入可能に構成されたことを特徴とする請求項2記載のビット補充機構。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のビット補充機構を備えたことを特徴とするトンネル掘削機。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate