説明

ビデオゲームシステム

【課題】複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させる。
【解決手段】通信ネットワーク50により接続された複数のサーバと、移動可能な複数のゾーン上で進行するビデオゲームを実行する1つ以上のクライアント端末とを備えたビデオゲームシステム100において、クライアント端末は、サーバと、各サーバに対応する各プロトコルがそれぞれ有効か無効かを示す有効フラグとが対応づけされたセッション情報を記憶し、有効なプロトコルに従ってサーバとの情報通信を行いビデオゲームを実行し、現在用いられているゾーンを変更先のゾーンに変更するゾーン変更処理において、変更先ゾーンに対応しているセッション情報の有無を判定し、セッション情報が有ると判定した場合には、変更先ゾーンに対応している有効フラグをプロトコルが有効であることを示す状態に更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにより接続された複数のサーバとクライアント端末とを備えたビデオゲームシステム関する各種処理を実行するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信ネットワークを介してクライアント端末とサーバとの間で各種処理を実行し遊戯するタイプのオンラインゲームが普及している。
【0003】
このようなオンラインゲームには、例えば、複数のサーバのそれぞれがストーリーの異なる同一シリーズのゲーム情報を提供するように構成されたものがある(例えば、特許文献1)。複数のサーバを用いてゲームの進行を可能にすることにより、ゲームで用いる情報量を増大させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−219283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のオンラインゲームシステムでは、クライアント端末にて通信対象とするサーバを変更する場合に、通信状態を確立するための各種の処理(例えば、ユーザの識別処理など)の実行を必要とするため、システムにおけるネットワーク処理の負荷が多大なものとなってしまうという問題があった。
【0006】
また、ユーザにとっては、サーバが変更される度に通信接続の確立に費やされる時間待たされることになり、ゲームの趣向性を減退させてしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決すべく、複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のビデオゲームシステムは、通信ネットワークにより接続された複数のサーバと、前記複数のサーバによって提供されるビデオゲームであって移動可能な複数のゾーン上で進行する当該ビデオゲームを実行する1つ以上のクライアント端末とを備えたビデオゲームシステムであって、前記サーバは、前記ビデオゲームの進行のために用いられるゲーム情報を記憶するゲーム情報記憶手段と、前記クライアント端末に対して前記ゲーム情報を提供するゲーム情報提供手段とを含み、前記クライアント端末は、前記サーバを一意に特定するための識別情報と、前記クライント端末が各サーバと情報通信を行う際の各サーバに対応する各プロトコルがそれぞれ有効か無効かを示す有効フラグとが対応づけされたセッション情報を記憶するセッション情報記憶手段と、有効フラグが有効であることを示すプロトコルに従って、当該プロトコルに対応するサーバとの間で情報通信を行う情報通信手段と、該情報通信手段によって情報通信が行われているサーバにおけるゲーム情報提供手段からのゲーム情報に基づいて、当該サーバに対応して設けられているゾーン上で前記ビデオゲームを実行するゲーム実行手段と、前記ゲーム実行手段によって実行されている前記ビデオゲームにおいて用いられているゾーンの変更要求に応じて、現在用いられているゾーンを示す現在ゾーンを変更先のゾーンを示す変更先ゾーンに変更するゾーン変更処理を実行するゾーン変更処理手段とを含み、該ゾーン変更処理手段は、前記現在ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが有効であることを示している有効フラグを当該プロトコルが無効であることを示す状態に更新するプロトコル無効化手段と、前記セッション情報記憶手段を参照し、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているセッション情報の有無を判定するセッション情報判定手段と、該セッション情報判定手段によりセッション情報が有ると判定された場合には、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが無効であることを示している有効フラグを当該プロトコルが有効であることを示す状態に更新するプロトコル有効化手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記の構成としたことで、複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させることができるようになる。
【0010】
前記ゾーン変更処理手段は、前記セッション情報判定手段によりセッション情報が無いと判定された場合には、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが有効か無効かを示す有効フラグを当該プロトコルが有効であることを示す状態としたセッション情報を作成し、セッション情報記憶手段に記憶するセッション情報作成手段を有する構成とされていてもよい。
【0011】
前記クライアント端末は、前記プロトコルが無効であることを示す有効フラグを含むセッション情報のうち所定の削除条件を満たしたセッション情報を削除するセッション情報削除手段を含む構成とされていてもよい。
【0012】
前記セッション情報削除手段は、前記プロトコル無効化手段により前記有効フラグが更新されたときから所定時間経過したセッション情報を削除する構成とされていてもよい。
【0013】
前記セッション情報削除手段は、前記セッション情報記憶手段に記憶されたセッション情報の数が予め定められた上限数を超えた場合に少なくとも1つのセッション情報を削除する構成とされていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ビデオゲームシステムの構成の例を示すブロック図である。
【図2】ゾーンとゾーンサーバとの関係について説明するための説明図である。
【図3】サーバ情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】セッション情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図5】プロトコル情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図6】ビデオゲームシステムにおけるジャンプ処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態の例について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態におけるビデオゲームシステム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、ビデオゲームシステム100は、ゲーム環境(ビデオゲームを実行できる環境)を提供する複数のゾーンサーバ11〜1N(Nは任意の整数)と、複数のクライアント端末21〜2N(Nは任意の整数)とを含む。
【0018】
複数のゾーンサーバ11〜1Nと、複数のクライアント端末21〜2Nとは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク50に接続されている。
【0019】
本例におけるビデオゲームシステム100は、通信ネットワーク50により接続された複数のサーバ11〜1Nと、複数のサーバ11〜1Nによって提供されるビデオゲームであって移動可能な複数のゾーン上で進行するビデオゲームを実行するための各種機能を有する。
【0020】
ゾーンサーバ11〜1Nは、それぞれ、例えばビデオゲームシステム100のシステム管理者によって管理され、クライアント端末21〜2Nに対してゲーム情報を提供するための各種の機能を有する。ゾーンサーバ11〜1Nは、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、ゲーム情報を格納するゲーム情報記憶部11a〜1Naを備える。
【0021】
本例においては、ゾーンサーバ11〜1Nが、ゲーム情報として、クライアント端末21〜2Nにて実行されるゲームにおける仮想空間(ゾーン)を構成するための情報(ゾーン情報)を提供する場合について説明する。なお、ゾーンは、RPGなどのビデオゲームにおける「マップ」を意味するものである。
【0022】
ゾーンサーバ11〜1Nは、情報通信の対象とするクライアント端末21〜2Nの数が膨大になることにより生じる弊害(例えば、通信不良)を回避するために、複数用意される。なお、複数のゾーンサーバ11〜1Nは、それぞれ同一のゾーン情報を提供するものであってもよい。この場合、異なるゾーンサーバ11〜1Nと通信するクライアント端末21〜2Nは、それぞれ仮想空間における並行世界でゲームを実行することになる。
【0023】
ここで、本例におけるビデオゲームシステム100におけるゾーンとゾーンサーバ11〜1Nとの関係について簡単に説明する。
【0024】
図2は、ゾーンとゾーンサーバ11〜1Nとの関係について説明するための説明図である。図2における符号Z1〜Z4は、それぞれゾーンサーバ11〜14との情報通信により、例えばクライアント端末21にて出力されるゾーンを示す。クライアント端末21のユーザは、クライアント端末21に出力されたゾーン上でビデオゲームを遊戯することになる。また、図2における符号a〜eは、クライアント端末21〜2Nの1つにおいて出力されるゾーンの変遷を示すものとする。すなわち、本例におけるビデオゲームは、例えばビデオゲームの進行などに応じてゾーン間の移動(ジャンプ)が可能なものである。
【0025】
例えば、クライアント端末21において、ゾーンZ1とゾーンZ2を経てゾーンZ3が使用されているとする。このとき、クライアント端末21は、ゾーンZ1またはゾーンZ2上でビデオゲームを実行するために情報通信を行ったゾーンサーバ11またはサーバ12との通信履歴(本例においては、後述するセッション情報)を記憶している。そして、例えばゾーンZ3からゾーンZ1へジャンプする場合、クライアント端末21は、サーバ11との通信履歴を利用してゾーンサーバ11との情報通信行う。このような構成とすることにより、例えばゾーンZ3から新たなゾーンZ4に移行する場合(すなわち、通信履歴のないゾーンサーバ14との情報通信を開始する場合)と比べて、通信履歴のあるゾーンサーバ11,12に対応するゾーンZ1,Z2にジャンプするために必要な処理(例えば、ゾーンサーバに応じたプロトコルの特定や、ゾーンサーバにおけるユーザ認証など)を少なくすることができるようになる。
【0026】
なお、本例におけるゲームシステムの概念を具体的に実現する処理については、後で詳しく説明する(図6参照)。
【0027】
クライアント端末21〜2Nは、それぞれ、ゲームを行うユーザによって管理され、例えばパーソナルコンピュータや携帯型情報端末などの情報処理装置によって構成される。クライアント端末21〜2Nは、通信ネットワーク50に接続し、ゾーンサーバ11〜1Nとの通信を行うことによりゲームを実行するためのハードウェア(例えば、ゲーム画面を表示する表示装置や音声出力装置など)およびソフトウェアを備える。なお、クライアント端末21〜2Nは、ゾーンサーバ11〜1Nを介して互いに同一のゾーンでゲームを行う機能を有する構成とされていてもよい。
【0028】
また、クライアント端末21〜2Nは、ゾーン判定部21a〜2Naと、サーバ情報記憶部21b〜2Nbと、セッション情報記憶部21c〜2Ncと、プロトコル情報記憶部21d〜2Ndとを含む。
【0029】
ゾーン判定部21a〜2Naは、後述するジャンプ処理において、ゾーンに関する判定(ゾーン判定)を行うための機能を有する。本例においては、ゾーン判定部21a〜2Naは、クライアント端末21〜2Nが、通信対象とするゾーンサーバを変更するときに、変更後の通信対象が過去に通信したことのあるゾーンサーバであるか否かを判定する。
【0030】
サーバ情報記憶部21b〜2Nbは、ゾーンサーバ11〜1Nに関する所定の情報を示すサーバ情報を記憶する記憶媒体である。
【0031】
図3は、サーバ情報記憶部21a〜2Naにおけるサーバ情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、サーバ情報は、ゾーン名称と、ゾーンサーバ11〜1Nを一意に特定するためのサーバIDと、クライアント端末21〜2Nとゾーンサーバ11〜1Nとが通信の際相互に実行する処理を示す通信規約(プロトコル)を一意に特定するためのプロトコルIDとを含む。
【0032】
セッション情報記憶部21c〜2Ncは、クライアント端末21〜2Nとゾーンサーバ11〜1Nそれぞれとの情報通信に関する情報を示すセッション情報を記憶する記憶媒体である。なお、本例におけるセッション情報は、クライアント端末21〜2Nのそれぞれが、ゾーンサーバ11〜1Nのそれぞれとの通信を行うときに作成して記憶するものとする。すなわち、本例においては、クライアント端末21〜2Nは、ゾーンサーバ11〜1N毎にセッション情報を作成し、一度も通信を行っていないゾーンサーバ11〜1Nに対応するセッション情報は作成しない。ゾーン判定部21a〜2Naは、セッション情報を参照することによりゾーン判定を行う。
【0033】
図4は、セッション情報記憶部21c〜2Ncにおけるセッション情報の格納状態の例を示す説明図である。図4に示すように、セッション情報は、各セッション情報が記憶された順番を示す履歴番号と、サーバIDと、有効フラグと、セッションIDと、時間残量とを含む。セッション情報は、サーバIDを含むことで、サーバIDが示すゾーンサーバおよびゾーンサーバに対応するゾーンおよびプロトコルに対し、有効フラグを対応付けて管理することができる。
【0034】
ここで、「有効フラグ」とは、ゾーンサーバ11〜1Nとの通信に使用するプロトコルが有効か無効かを示すフラグであり、有効とする場合には「1」が、無効とする場合には「0」が設定される。なお、本例において、クライアント21〜2Nは、有効フラグが「0」に設定されたセッション情報に応じたゾーンサーバ11〜1Nとの接続自体は切断せず、サーバIDに対応するプロトコル情報を特定し、ゾーンサーバ11〜1Nに応じたプロトコル情報の一部(必要プロトコル)を無効にするものとする。有効フラグの設定・更新は、各クライアント端末21〜2Nがそれぞれ行うものとする。
【0035】
「セッションID」とは、クライアント端末21〜2Nのユーザを識別するためにゾーンサーバ11〜1Nのそれぞれから提供される識別情報を意味する。ゾーンサーバ11〜1Nとの情報通信を開始する際に、クライアント端末21〜2N側から、一度提供されたセッションIDを提供元のゾーンサーバ11〜1Nに送信することにより、ゾーンサーバ11〜1Nにてクライアント端末21〜2Nを識別できるようになる(すなわち、セッション管理ができるようになる)。なお、本例においては、ゾーンサーバ11〜1Nは、クライアント端末21〜2Nそれぞれとの通信において、ユーザ認証に必要な所定の処理を実行することにより、各クライアント端末21〜2N毎に識別情報(セッションID)を作成し、作成した識別情報を提供・管理する。セッション管理の具体的内容意ついては、公知の方法を用いるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
また、「時間残量」とは、前回セッションに分類されて管理されるセッション情報が削除されるまでの残り時間を示す。本例においては、クライアント端末21〜2Nは、セッション情報の有効フラグを「1」から「0」に変更するときに、時間残量として所定の時間(例えば、3分など)を設定し、設定した時間残量の計測を開始するための機能を有するものとする。なお、有効フラグを「0」から「1」に変更するときは、クライアント端末21〜2Nは、時間残量を削除し、通信中にセッション情報を削除しないようにする。
【0037】
プロトコル情報記憶部21d〜2Ndは、クライアント端末21〜2Nがゾーンサーバ11〜1Nのそれぞれと通信する際に使用するプロトコルを示すプロトコル情報を記憶する記憶媒体である。
【0038】
図5は、プロトコル情報記憶部21d〜2Ndにおけるプロトコル情報の格納状態の例を示す説明図である。図5に示すように、プロトコル情報は、プロトコルIDと、ヘルスチェック間隔と、必要プロトコルとを含む。
【0039】
ここで、「ヘルスチェック間隔」とは、ゾーンサーバ11〜1Nが、クライアント端末21〜2Nとの通信を継続するか否かを判定するために、クライアント端末21〜2Nの状況を確認する処理を行う時間間隔を示す。本例において、クライアント端末21〜2Nは、プロトコルを無効にしたゾーンサーバ11〜1Nとの接続が切断されないように、ヘルスチェック間隔に応じてゾーンサーバ11〜1Nに対する接続切断の拒否通知を行う機能(ヘルスチェック機能)を有する。
【0040】
「必要プロトコル」とは、プロトコル情報においてヘルスチェック間隔以外のプロトコルを示すものである。本例においては、必要プロトコルは、対応するセッション情報が、現在用いられているゾーンに対応するゾーンサーバとの情報通信に対応するセッション情報(現在セッション)のときにのみ有効となる(すなわち、クライアント端末21〜2Nとゾーンサーバ11〜1Nとの間の情報通信が実行される)。なお、必要プロトコルとしては、例えばゾーンが「マップ」の機能を有する場合には、「キャラクタのマップ内の移動」や「戦闘判定(例えば、キャラクタのマップ内の移動による敵キャラクタとの遭遇判定、ダメージ判定など。)」などに関するプロトコルなどが考えられる。
【0041】
次に、本例のビデオゲームシステム100におけるクライアント端末21〜2Nの動作について説明する。なお、本発明に関係しない動作や処理については、その内容を省略している場合がある。
【0042】
図6は、ビデオゲームシステム100が実行するジャンプ処理の例を示すフローチャートである。ジャンプ処理では、例えばビデオゲームの進行などに応じてゾーンを変更するための処理が実行される。すなわち、本例におけるジャンプ処理は、ビデオゲームシステム100にて実行されているビデオゲームにおいて用いられているゾーンの変更要求に応じて、現在用いられているゾーンを示す現在ゾーンを変更先のゾーンを示す変更先ゾーンに変更するための処理である。
【0043】
ここでは、ユーザXによって操作されるクライアント端末21の動作を例にして説明を行なう。なお、本例において、ビデオゲームシステム100におけるゾーンサーバ11〜1Nは、クライアント端末21〜2Nのそれぞれから受け付けた通信要求に応じて、ユーザ認証、セッション管理、およびゾーン情報を含む各種情報の提供などを行う一般的なサーバとしての処理を行うので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
ジャンプ処理は、クライアント端末21がゾーンサーバ11〜1Nのうちの1つと情報通信を開始して、提供されるゾーン情報に基づいてゾーンを構成してビデオゲームを実行することにより開始される。ここでは、クライアント端末21がゾーンサーバ11との情報通信を開始した場合を例に説明を行なう。
【0045】
ジャンプ処理において、クライアント端末21は、最初のセッション情報(すなわち、ゾーンサーバ11とのセッション情報)を記憶する(ステップS101)。このとき、情報通信を行うためにプロトコルを有効にしておく必要があるので、有効フラグは「1」に設定される。
【0046】
最初のセッション情報を記憶すると、クライアント端末21は、例えばユーザXからの操作入力(例えば、クライアント端末21に設けられた所定の押しボタンの押下)によりジャンプ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。なお、本例では、ジャンプ操作によるゾーンの変更要求を受け付けたか否かを判定する構成としているが、ビデオゲームにおけるマップ上を移動するプレイヤキャラクタが所定の領域に達したことなど、ビデオゲームの進行状態に基づくゾーンの変更要求(プログラムが自動的に発する変更要求)があったか否かを判定する構成としてもよい。
【0047】
ステップS102においてジャンプ操作を受け付けていないと判定すると(ステップS102のN)、クライアント端末21は、セッション情報記憶部21cを参照し、時間残量がなくなった(すなわち、時間残量が「0」の)セッション情報があるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、時間残量が「0」のセッション情報がないと判定すると(ステップS103のN)、クライアント端末21は、ステップS102の処理に移行する。一方、時間残量が「0」のセッション情報があると判定すると(ステップS103のY)、クライアント端末21は、時間残量が「0」のセッション情報を削除し(ステップS104)、ステップS102の処理に移行する。
【0048】
なお、セッション情報を削除する場合、クライアント端末21は、削除するセッション情報に対応するゾーンサーバ11〜1Nにその旨を通知する。これにより、ゾーンサーバ11〜1Nは、クライアント端末21に対して設定したセッションIDに関する情報を削除することができる。
【0049】
一方、ジャンプ操作を受け付けたと判定すると(ステップS102のY)、クライアント端末21は、セッション情報記憶部21cを参照し、有効フラグが「0」のセッション情報があるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、有効フラグが「0」のセッション情報がないと判定すると(ステップS105のN)、クライアント端末21は、後述するステップS108の処理に移行する。
【0050】
一方、有効フラグが「0」のセッション情報があると判定すると(ステップS105のY)、クライアント端末21は、ジャンプ先のゾーンと、有効フラグが「0」のセッション情報それぞれに対応するゾーン(すなわち、セッション情報におけるサーバIDが示すゾーンサーバに対応するゾーン)のいずれかとが同一か否かを判定する(ステップS106)。すなわち、有効フラグが「0」のセッション情報それぞれに対応する各ゾーンの中に、ジャンプ先のゾーンがあるか否かを判定する。ステップS106の処理にて、ジャンプ先のゾーンと有効フラグが「0」のセッション情報に応じたゾーンとが同一であると判定すると(ステップS106のY)、クライアント端末21は、ジャンプ先のゾーンと同一のゾーンに応じたセッション情報(すなわち、ゾーンを提供するゾーンサーバを示すゾーンIDを含むセッション情報)の有効フラグを「1」に設定して(ステップS107)、後述するステップS111の処理に移行する。
【0051】
一方、ジャンプ先のゾーンとセッション情報に応じたゾーンとが同一でないと判定すると(ステップS106のN)、クライアント端末21は、サーバ情報記憶部21bとプロトコル情報記憶部21dを参照し、ジャンプ先のゾーンに応じたゾーンサーバ11〜1Nとの情報通信に必要なプロトコル情報を特定する(ステップS108)。すなわち、例えばステップS102の処理において、ユーザXによるゾーンサーバ12に応じたゾーンへのジャンプ操作を受け付けていたとすると、クライアント21は、サーバ情報記憶部21bを参照し、ゾーンサーバ12を示すゾーンIDに応じたプロトコルIDを特定して、特定したプロトコルIDに応じたプロトコル情報をプロトコル情報記憶部21dから抽出する。
【0052】
プロトコル情報を特定すると、クライアント端末21は、特定したプロトコル情報に基づいてセッション情報を作成する(ステップS109)。なお、セッションIDに関しては、特定したプロトコル情報によりゾーンサーバ11〜1Nとの通信を行うことで取得する。なお、セッションIDの取得は、後述するステップS113の処理においてゾーンサーバ11〜1Nとの通信を開始する段階で行う構成としてもよい。
【0053】
セッション情報を作成すると、クライアント端末21は、作成したセッション情報における有効フラグを「1」に設定して記憶する(ステップS110)。
【0054】
次いで、クライアント端末21は、ジャンプ元の有効フラグ(すなわち、新たに有効フラグを「1」に設定したセッション情報以外で有効フラグが「1」に設定されているセッション情報の有効フラグ)を「0」に設定する(ステップS111)。なお、ゾーンサーバ11〜1Nに、単体で複数のゾーンを提供するゾーンサーバが含まれている場合には、クライント端末21は、ジャンプ先のゾーンとジャンプ元のゾーンとが同一のゾーンサーバにより提供されているゾーンであるか否かを確認する。そして、同一ゾーンサーバにより提供されているゾーンであることが確認できた場合には、クライント端末21は、ここでの処理(ステップS111の処理)は行わず、ステップS112の処理に移行する。
【0055】
有効フラグを「1」から「0」に変更してプロトコルを無効にすると、クライアント端末21は、セッション情報における時間残量の計測を開始する(ステップS112)。
【0056】
時間残量の計測を開始すると、クライアント端末21は、有効フラグに「1」が設定されてプロトコルが有効になっているセッション情報におけるサーバIDが示すゾーンサーバ11〜1Nとの通信を開始して(ステップS113)、ステップS102の処理に移行する。
【0057】
本例においては、ジャンプ処理は、クライアント端末21におけるゲームの開始から終了まで常時実行されるものとする。また、ジャンプ処理の終了の際に、クライアント端末21が、セッション情報を初期化する。なお、ジャンプ処理の終了の際、クライアント端末21が、終了時のセッション情報を保存しておき、次回のジャンプ処理にて利用する構成としてもよい。終了時のセッション情報を保存しておく場合には、例えばクライアント端末21が、ゾーンサーバ11〜1Nに対してセッションIDに関する情報を保存させておく旨の要求を行う構成とすればよい。
【0058】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、通信ネットワーク50により接続された複数のサーバ(例えば、ゾーンサーバ11〜1N)と、複数のサーバによって提供されるビデオゲームであって移動可能な複数のゾーン(例えば、ゾーンZ1〜Z4)上で進行するビデオゲームを実行する1つ以上のクライアント端末21〜2Nとを備えたビデオゲームシステム100において、サーバ(例えば、ゾーンサーバ11〜1N)は、ビデオゲームの進行のために用いられるゲーム情報(例えば、ゾーン情報)を記憶するゲーム情報記憶部11a〜1Naを備え、クライアント端末21〜2Nに対してゲーム情報を提供し、クライアント端末21〜2N(例えば、クライアント端末21)は、サーバを一意に特定するための識別情報(例えば、サーバID)と、クライント端末21〜2Nが各サーバと情報通信を行う際の各サーバに対応する各プロトコルがそれぞれ有効か無効かを示す有効フラグとが対応づけされたセッション情報を記憶するセッション情報記憶部21c〜2Nc(例えば、セッション情報記憶部21c)を備え、有効フラグが有効であることを示すプロトコルに従って、プロトコルに対応するサーバ(例えば、ゾーンサーバ11〜1N)との間で情報通信を行い、情報通信が行われているサーバ(例えば、ゾーンサーバ13)からのゲーム情報に基づいて、サーバに対応して設けられているゾーン(例えば、ゾーンZ3)上でビデオゲームを実行し、実行されているビデオゲームにおいて用いられているゾーンの変更要求(例えば、ユーザXによるジャンプ操作に基づく要求や、ビデオゲームにおけるマップ上を移動するプレイヤキャラクタが所定の領域に達したことなどに基づく変更要求)に応じて、現在用いられているゾーンを示す現在ゾーン(例えば、ゾーンZ3)を変更先のゾーンを示す変更先ゾーン(例えば、ゾーンZ1またはゾーンZ4)に変更するゾーン変更処理(例えば、ジャンプ処理)を実行し、ゾーン変更処理において、現在ゾーンに対応するサーバ(例えば、ゾーンサーバ13)に対応しているプロトコルが有効であることを示している有効フラグ(例えば、「1」に設定されている有効フラグ)をプロトコルが無効であることを示す状態(例えば、「0」に設定されている状態)に更新し、セッション情報記憶部21c〜2Nc(例えば、セッション情報記憶部21c)を参照し、変更先ゾーンに対応するサーバ(例えば、ゾーンサーバ11またはゾーンサーバ14)に対応しているセッション情報の有無を判定し、セッション情報が有ると判定した場合には、変更先ゾーン(例えば、ゾーンZ1)に対応するサーバ(例えば、ゾーンサーバ11)に対応しているプロトコルが無効であることを示している有効フラグをプロトコルが有効であることを示す状態に更新する構成としているので、複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させることができるようになる。
【0059】
すなわち、一度接続したサーバから提供されるゲーム情報を利用する場合に、改めてサーバに対応するプロトコルを特定してセッション情報を作成する処理(例えば、ジャンプ処理におけるステップS108〜S110の処理)を実行しないで済むようにすることができるようになる。これにより、ネットワークへの負荷もなく、ユーザに対して接続待ちの時間を与えてしまうことを回避することができるようになる。
【0060】
また、上述した実施の形態において、クライアント端末21〜2N(例えば、クライアント端末21)が、ゾーン変更処理(例えば、ジャンプ処理)において、セッション情報が無いと判定した場合には、変更先ゾーン(例えば、ゾーンZ4)に対応するサーバ(例えば、ゾーンサーバ14)に対応しているプロトコルが有効か無効かを示す有効フラグをプロトコルが有効であることを示す状態(例えば、「1」に設定されている状態)としたセッション情報を作成し、セッション情報記憶部21c〜2Nc(例えば、セッション情報記憶部21c)に記憶する構成としているので、対応するセッション情報がないサーバとの情報通信を行うことができるようになる。
【0061】
また、上述した実施の形態において、クライアント端末21〜2N(例えば、クライアント端末21)が、セッション情報記憶部21c〜2Nc(例えば、セッション情報記憶部21c)に記憶されたセッション情報のうち、プロトコルが無効であるセッション情報(例えば、有効フラグが「0」のセッション情報)のうち所定の削除条件を満たしたセッション情報(例えば、時間残量が「0」となったセッション情報)を削除する構成としているので、クライアント端末に記憶される情報量が過大になることを防止することができるようになる。
【0062】
また、上述した実施の形態において、クライアント端末21〜2N(例えば、クライアント端末21)が、有効フラグが「1」から「0」に更新されたセッション情報に対して所定の時間残量を設定し、時間残量がなくなったセッション情報(すなわち、有効フラグが「1」から「0」に更新されたときから所定時間経過したセッション情報)を削除する構成としているのでクライアント端末に記憶される情報量が過大になることをより有効に防止することができるようになる。
【0063】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、クライアント端末21〜2Nが、セッション情報を削除しない構成としてもよい。このような構成とすることにより、一度情報通信を行ったサーバと再び情報通信を行う場合に必ずセッション情報を利用した情報通信を行うことができるようになる。
【0064】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、クライアント端末21〜2N(例えば、クライアント端末21)が、セッション情報記憶部21c〜2Nc(例えば、セッション情報記憶部21c)に記憶されたセッション情報の数が予め定められた上限数を超えた場合に少なくとも1つのセッション情報を削除する構成としてもよい。このような構成とすることにより、例えば、時間残量でセッション情報を管理するよりも効率的にセッション情報を管理することができるようになる。この場合、例えば、セッション情報記憶部に記憶されたセッション情報のうち、プロトコルが最後に無効となった順番が最も古いセッション情報を削除対象とするようにすればよい。また、例えば、セッション情報記憶部に記憶されたセッション情報のうち、利用頻度が所定の閾値以下である1又は2以上のセッション情報を削除対象とするようにしてもよい。なお、例えばクライアント端末が、セッション情報の数が上限数を超えたときの時間残量が最も少ないセッション情報を削除する構成としてもよいし、セッション情報毎の利用頻度(例えば、有効フラグが「1」になった回数など)を記録しておいて、セッション情報の数が上限数を越えたときの利用頻度が最も低いセッション情報を削除する構成としてもよい。
【0065】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、クライアント端末21〜2Nが、セッション情報が特定の条件を満たした場合に特定の優先度を設定し、優先度が設定されているセッション情報に対しては設定された優先度に応じた削除条件を設定する構成としてもよい。この場合、例えば、特定の条件として「通信頻度」が設定された構成としてもよい。すなわち、例えばクライアント端末21〜2Nが、通信頻度(通信回数、通信時間)の高いゾーンサーバ11〜1Nを特定し、通信頻度に応じて設定する時間残量の初期値を高くする構成としてもよい。このような構成とすることにより、使用可能性が高いセッション情報を他のセッション情報に優先して維持することができるようになる。
【0066】
また、上述した実施の形態において、クライアント端末21〜2Nが、セッション情報に、サーバ(例えば、ゾーンサーバ11〜1N)がクライアント端末21〜2Nを一意に特定するための識別情報(例えば、セッションID)を含む構成としているので、プロトコルが無効になり情報通信が終了した後、再度クライアント端末がセッション情報に応じたサーバとの情報通信を行う場合に、改めてサーバがクライアント端末を識別するための処理を行うことによる情報通信時間の増大を回避することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、複数のサーバと接続してビデオゲームを進行する際のネットワーク処理負荷を軽減させたビデオゲームを提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0068】
11〜1N ゾーンサーバ
11a〜1Na ゲーム情報記憶部
21〜2N クライアント端末
21a〜2Na ゾーン判定部
21b〜2Nb サーバ情報記憶部
21c〜2Nc セッション情報記憶部
21d〜2Nd プロトコル情報記憶部
50 通信ネットワーク
Z1〜Z4 ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにより接続された複数のサーバと、前記複数のサーバによって提供されるビデオゲームであって移動可能な複数のゾーン上で進行する当該ビデオゲームを実行する1つ以上のクライアント端末とを備えたビデオゲームシステムであって、
前記サーバは、
前記ビデオゲームの進行のために用いられるゲーム情報を記憶するゲーム情報記憶手段と、
前記クライアント端末に対して前記ゲーム情報を提供するゲーム情報提供手段とを含み、
前記クライアント端末は、
前記サーバを一意に特定するための識別情報と、前記クライント端末が各サーバと情報通信を行う際の各サーバに対応する各プロトコルがそれぞれ有効か無効かを示す有効フラグとが対応づけされたセッション情報を記憶するセッション情報記憶手段と、
有効フラグが有効であることを示すプロトコルに従って、当該プロトコルに対応するサーバとの間で情報通信を行う情報通信手段と、
該情報通信手段によって情報通信が行われているサーバにおけるゲーム情報提供手段からのゲーム情報に基づいて、当該サーバに対応して設けられているゾーン上で前記ビデオゲームを実行するゲーム実行手段と、
前記ゲーム実行手段によって実行されている前記ビデオゲームにおいて用いられているゾーンの変更要求に応じて、現在用いられているゾーンを示す現在ゾーンを変更先のゾーンを示す変更先ゾーンに変更するゾーン変更処理を実行するゾーン変更処理手段とを含み、
該ゾーン変更処理手段は、
前記現在ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが有効であることを示している有効フラグを当該プロトコルが無効であることを示す状態に更新するプロトコル無効化手段と、
前記セッション情報記憶手段を参照し、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているセッション情報の有無を判定するセッション情報判定手段と、
該セッション情報判定手段によりセッション情報が有ると判定された場合には、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが無効であることを示している有効フラグを当該プロトコルが有効であることを示す状態に更新するプロトコル有効化手段とを有する
ことを特徴とするビデオゲームシステム。
【請求項2】
前記ゾーン変更処理手段は、前記セッション情報判定手段によりセッション情報が無いと判定された場合には、前記変更先ゾーンに対応するサーバに対応しているプロトコルが有効か無効かを示す有効フラグを当該プロトコルが有効であることを示す状態としたセッション情報を作成し、セッション情報記憶手段に記憶するセッション情報作成手段を有する
請求項1記載のビデオゲームシステム。
【請求項3】
前記クライアント端末は、前記プロトコルが無効であることを示す有効フラグを含むセッション情報のうち所定の削除条件を満たしたセッション情報を削除するセッション情報削除手段を含む
請求項2記載のビデオゲームシステム。
【請求項4】
前記セッション情報削除手段は、前記プロトコル無効化手段により前記有効フラグが更新されたときから所定時間経過したセッション情報を削除する
請求項3記載のビデオゲームシステム。
【請求項5】
前記セッション情報削除手段は、前記セッション情報記憶手段に記憶されたセッション情報の数が予め定められた上限数を超えた場合に少なくとも1つのセッション情報を削除する
請求項3または請求項4記載のビデオゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3661(P2012−3661A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140305(P2010−140305)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】