説明

ビデオゲーム処理装置、ビデオゲーム処理方法、およびビデオゲーム処理プログラム

【課題】脳波という不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用する。
【解決手段】ビデオゲーム処理装置10が、脳波を測定する脳波測定装置50によって測定されたプレイヤPの脳波の測定値Xに基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値Yを導出し、プレイヤ状態値Yが閾値T以上であるときに、ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する構成とし、さらに、プレイヤPの脳波の測定値Xが閾値T以上になったあと所定の時間が経過するまでの特別期間以外は、プレイヤPの脳波の測定値をプレイヤ状態値Yとして導出し、特別期間中は、プレイヤPの脳波の測定値Xとは無関係に閾値T以上となるようにプレイヤ状態値Yを導出する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、RPG(ロールプレイングゲーム:プレイヤがゲームの世界の中であるキャラクタの役割を演じ、様々な経験を通して成長していく過程を楽しみながら、所定の目的を達成していくことを遊戯するゲーム)と呼ばれるビデオゲームが各種提供されている。そのなかでも、プレイヤキャラクタが敵キャラクタに遭遇すると戦闘画面に移行するものが多く提供されている。
【0003】
また、従来から、プレイヤの脳波をゲームの入力信号として利用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、脳波などの生体信号を解析した結果に基づいてゲームの制御信号を形成することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−296757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、脳波は信号レベルが弱い信号であるとともに、そのレベル変動が大きく不安定であるため、ビデオゲームの入力信号として利用するのに適していないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決すべく、プレイヤから脳波として発せられる不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用することができるようにし、脳波という生体信号を取り込んだバラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のビデオゲーム処理装置は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出手段と、前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行手段とを含み、前記プレイヤ状態値導出手段は、前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出することを特徴とする。
【0008】
上記の構成としたことで、プレイヤから脳波として発せられる不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用することができるようになり、脳波という生体信号を取り込んだバラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようになる。
【0009】
前記プレイヤ状態値導出手段は、前記特別期間中は、徐々に値が大きくなっていくようなプレイヤ状態値を導出する構成とされていてもよい。
【0010】
前記脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値から当該測定値のピーク値を特定するピーク値特定手段と、特定されたピーク値を最高値とするゲージによってプレイヤ状態値を前記ゲーム画面中に表示するプレイヤ状態値表示手段とを含む構成とされていてもよい。
【0011】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となったあと前記所定時間が経過するまでに、前記ゲーム画面に表示されている障害物を破壊する特別処理を実行する構成とされていてもよい。
【0012】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となったあと前記所定時間が経過するまでに、前記ゲーム画面に表示されているゲーム場面を変更する特別処理を実行する構成とされていてもよい。
【0013】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となっているときに、前記プレイヤ状態値が閾値未満となっているときは認識不能となれている敵キャラクタを前記ゲーム画面に認識可能に表示する特別処理を実行し、前記ゲーム画面に認識可能に表示されている敵キャラクタに対する前記プレイヤによる攻撃操作を受け付ける攻撃操作受付手段を含む構成とされていてもよい。
【0014】
また、本発明のビデオゲーム処理方法は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理方法であって、脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出処理と、前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行処理とを含み、前記プレイヤ状態値導出処理では、前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のビデオゲーム処理プログラムは、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御させるビデオゲーム処理プログラムであって、コンピュータに、脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出処理と、前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行処理とを実行させ、前記プレイヤ状態値導出処理では、前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出する処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレイヤから脳波として発せられる不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用することができるようになり、脳波という生体信号を取り込んだバラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態におけるビデオゲーム処理装置10が含まれたビデオゲーム実行処理システム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本例のビデオゲーム実行処理システム100は、ビデオゲーム処理装置10と、脳波測定装置50とを含む。
【0019】
ビデオゲーム処理装置10は制御部11、記憶部12、表示部14、音声出力部15、プレイヤ操作受付部16、脳波信号処理部19、およびゲームプログラム読み取り部20を含む。
【0020】
ゲームプログラム読み取り部20は、ゲームプログラムが格納された記憶媒体を内蔵するゲームカートリッジ30を着脱可能に受け付ける。ゲームプログラム読み取り部20は、挿入されたゲームカートリッジ30の記憶媒体から必要なゲームプログラムを読み出す。なお、この実施形態では、ゲームカートリッジ30に内蔵される記憶媒体には、RPGに分類されるビデオゲームプログラムが記憶されているものとする。
【0021】
制御部11は、ゲームプログラム読み取り部20により読み取られたゲームプログラムを実行し、プレイヤの操作に応じてビデオゲームを進行するための各種の制御を実行する機能を有する。
【0022】
記憶部12は、ビデオゲームを進行する際に必要なゲームプログラムや各種のデータを記憶する記憶媒体である。記憶部12は、例えばRAMなどの不揮発性のメモリによって構成される。記憶部12には、ゲームの進行に従って登録・更新される各種の情報や、ゲームカートリッジ30に内蔵される記憶媒体から読み出されたゲームにおいて使用される各種の情報が格納される。
【0023】
本例では、記憶部12には、測定値管理テーブル12aと、特別処理設定テーブル12bとが格納される。各テーブル12a,12bについては、後で詳しく説明する。
【0024】
表示部14は、制御部11の制御に従って、ゲーム進行やプレイヤ操作に応じたゲーム画面を表示する表示装置である。表示部14は、例えば、液晶表示装置によって構成される。表示部14は、ビデオゲーム処理装置10の外部に備えるようにしてもよい。
【0025】
音声出力部15は、制御部11の制御に従って、ゲーム進行やプレイヤ操作に応じて音声を出力する。プレイヤ操作受付部16は、複数のボタンやマウスなどによって構成されるコントローラからのプレイヤ操作に応じた操作信号を受け付け、その結果を制御部11に通知する。
【0026】
本例のビデオゲーム処理装置10では、ゲームカートリッジ20からゲームプログラムを読み取る方式が採用されている。しかし、ビデオゲーム処理装置10は、例えば、ゲームを配信するゲームサーバから無線または有線でゲームプログラムをダウンロードするように構成してもよい。
【0027】
脳波測定装置50は、脳波の測定対象となるプレイヤPに装着される脳波測定部50aを含む。脳波測定部50aは、プレイヤPの頭部における所定の数箇所(例えば、額、左耳の後ろ、右耳のうしろ、後頭部など)から脳波を検出してプレイヤPの脳波を測定する。脳波測定装置50は、プレイヤPの脳波を測定し、脳波に関する測定データを脳波信号処理部19に通知する。脳波信号処理部19は、通知された脳波に関する測定データを分析し、ゲームにおいて使用する所定の周波数帯域(例えば、α波、β波、γ波などの使用する波の周波数帯域)を抽出し、脳波信号として制御部11に通知する。
【0028】
ここで、本例のビデオゲーム処理装置10にて実行されるビデオゲームの概要について説明する。図2は、本例のビデオゲームの概要を説明するためのゲーム画面の例を示す説明図である。本例では、図2に示すように、プレイヤPが操作するプレイヤキャラクタPC1のゲームフィールドにおける視界がゲーム画面上に表示される。
【0029】
また、ゲーム画面には、図2に示すように、ゲーム画面上には後述するプレイヤ状態値を脳波信号値としてプレイヤPに報知するための脳波信号ゲージ201、プレイヤ状態値をプレイヤP(プレイヤキャラクタPC1)の集中度としてプレイヤPに報知するための集中度表示領域202と、ゲームフィールド上におけるプレイヤキャラクタPC1の敵キャラクタ認識範囲と敵キャラクタの位置を表示するプレイヤ認識表示領域203と、プレイヤキャラクタPC1の体力(HP:ヒットポイント)を示すライフゲージ204と、プレイヤPの脳波の測定値(脳波信号値)の変移を示す脳波形を表示する脳波形表示領域205と、敵キャラクタ(ビデオゲーム処理プログラムに従って制御されるキャラクタ)NPCとプレイヤPの操作によってゲーム画面上を移動するカーソルMが表示される。
【0030】
「プレイヤ状態値」とは、プレイヤの脳波信号が示す値に基づいて定められる値であって、ゲームにおいては脳波信号値として取り扱われる値である。本例では、プレイヤ状態値が所定の値を示した場合に、プレイヤが特別な状態(集中状態、リラックス状態など)になったものとして実行されるコマンドが設定されている。
【0031】
本例のビデオゲームにおいては、プレイヤPは、コントローラによりプレイヤキャラクタPC1を操作する。また、プレイヤPは、図2に示すように、敵キャラクタNPCにカーソルMを合わせる。そして、プレイヤPは、集中することによってプレイヤ状態値を上昇させることによって、カーソルMが位置している敵キャラクタNPCに対して攻撃を加えたりすることでゲームを行う。
【0032】
次に、本例のビデオゲーム処理装置10の動作について説明する。
図3は、ビデオゲーム処理装置10が実行するプレイヤ状態値導出処理の例を示すフローチャートである。プレイヤ状態値導出処理では、脳波信号処理部19によって処理した脳波信号を本例のビデオゲームにおけるプレイヤ状態値に変換して、表示部14の表示画面上に表示する処理が実行される。なお、本発明に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。
【0033】
プレイヤ状態値導出処理において、制御部11は、プレイヤPの操作に応じてゲームを開始すると(ステップS101)、脳波信号処理部19からの脳波信号を所定期間(例えば、プレイヤに対して集中やリラックスを促したあとの30秒間、1分間など)監視することによって、プレイヤPの脳波信号のピーク値(最大値)を測定する(ステップS102)。
【0034】
次に、制御部11は、ステップS102にて測定したプレイヤPの脳波信号の最大値を、脳波信号ゲージ201のピーク値に決定する(ステップS103)。ステップS103では、制御部11は、ステップS102にて測定したプレイヤPの脳波信号の最大値を脳波信号ゲージ201のピーク値(すなわち、プレイヤ状態値の最大値Ym)として測定値管理テーブル12aに登録する処理を行う。なお、制御部11は、ゲームが開始されたあと、常に脳波信号処理部19からプレイヤPの脳波信号を受け付けているものとする。
【0035】
次に、制御部11は、脳波信号処理部19からの脳波信号が示す値(測定値X)が所定の閾値T以上となっているか否かを判断する(ステップS104)。ここで、本例では、閾値Tは、ステップS103で決定されたプレイヤ状態値の最大値Ymに対する割合が所定割合(例えば60%)となる値に設定される。
【0036】
測定値Xが閾値Tよりも小さいと判断した場合(ステップS104のN)、制御部11は、プレイヤ状態値Yを測定値Xと同じ値とすることに決定する(ステップS105)。そして、制御部11は、表示部14の表示画面における脳波信号ゲージ201にプレイヤ状態値Yが示す割合を表示する(ステップS106)。その後、ゲームが終了していなければ(ステップS110)、制御部11は、ステップS104に移行する処理を行う。
【0037】
測定値Xが閾値T以上であると判断した場合(ステップS104のY)、制御部11は、プレイヤ状態値Yを測定値Xとは無関係に閾値T以上となるように決定する(ステップS107)。そして、制御部11は、表示部14の表示画面における脳波信号ゲージ201に測定値Xとは無関係に定められたプレイヤ状態値Yが示す割合を表示する(ステップS108)。
【0038】
制御部11は、測定値Xが閾値T以上となったとき(具体的にはステップS104にてYと判定したとき)から、表示開始からあらかじめ設定された所定時間が経過するまでの特別期間内であるか否かを確認する(ステップS109)。特別期間内であった場合には、ステップS107に戻る。すなわち、特別期間内は、測定値Xとは無関係にプレイヤ状態値Yが定められ、測定値Xとは無関係に定められたプレイヤ状態値Yが示す割合が脳波信号ゲージ201に表示される。なお、制御部11が、特別期間内については、プレイヤ状態値Yを閾値T以上となる任意の値に定めるようにしてもよいし、値が徐々に増加していくようにプレイヤ状態値Yを定めていくようにしてもよいし、値が徐々に増加していったあと徐々に低減していくようにプレイヤ状態値Yを定めていくようにしてもよい。
【0039】
特別期間を終了したと判断した場合(ステップS109のY)には、制御部11は、ステップS104に移行する処理を行う。なお、特別期間を終了したあとは、測定値Xが閾値T未満に一旦低下するまで、特別期間に入らないように制御するようにしてもよい。
【0040】
上記のようにして、測定値Xが閾値T未満であるときはその測定値Xをプレイヤ状態値Yとし、測定値Xが閾値T以上となったときから所定時間が経過するまでの特別期間内は
測定値Xとは無関係にプレイヤ状態値Yを決定し、最大値Ymに対するプレイヤ状態値Yの割合を脳波信号ゲージ201に表示する処理が実行される。
【0041】
次に、プレイヤ状態値Yが閾値T以上であるときに、ビデオゲームの進行状態などに応じて実行可能となる特別処理を実行する特別処理実行処理について説明する。図4は、ビデオゲーム処理装置10が実行する特別処理実行処理の例を示すフローチャートである。
【0042】
特別処理実行処理において、制御部11は、プレイヤPの操作に応じてゲームを開始すると(ステップS201)、プレイヤ状態値Yが閾値T以上であるか否かを判断する(ステップS202)。プレイヤ状態値Yが閾値T以上であれば、制御部11は、特別処理の実行中でなければ(ステップS203)、特別処理を実行可能なゲーム場面であるか否かを確認する(ステップS204)。
【0043】
特別処理を実行可能なゲーム場面であれば、制御部11は、ビデオゲームの進行状態に応じた所定の特別処理を開始する(ステップS205)。ステップS202,S204,S205では、制御部11は、特別処理設定テーブル12bを参照して、現在の進行状態(具体的にはゲーム上の場面)に実行可能な特別処理があるか否かと、その場面において使用される閾値Tと、その場面において実行する特別処理の内容とを確認し、ビデオゲームの進行状態に応じた所定の特別処理を実行する。本例では、制御部11は、例えば図5に示すような特別処理設定テーブル12bを参照して、超能力による破壊、瞬間移動、念視のいずれがを実行可能な場面であるか否かを参照し、ここでは「超能力による破壊」を実行可能な場面であるものとして閾値Tを基準値Ymの60%とし、その閾値Tを超えたときに「超能力による破壊」の動作内容であるフィールド上の敵キャラクタNPCに攻撃を行ってどの敵キャラクタを破壊する特別処理を実行する。そして、ステップS211に移行する。
【0044】
具体的には、制御部11は、ビデオゲームの進行状態に応じて、例えばゲーム画面上に表示されている障害物を破壊する特別処理、ゲーム画面上において視認不能であった敵キャラクタを視認可能に表示する特別処理、あるいはゲーム画面上に表示されているゲームフィールドを別のゲームフィールドに変更する特別処理を行う。
【0045】
すなわち、現在のゲーム場面が超能力により破壊可能な障害物が表示されている場面であれば、制御部11は、例えば図2に示すように、ゲーム画面上に表示されている障害物(敵キャラクタNPC)を超能力によって破壊するための特別処理(例えば、カーソルMが位置している障害物である敵キャラクタNPCが段々と大きく揺れていったあと爆発する演出画像を表示する処理)を開始する。また、現在のゲーム場面が超能力により視認可能な敵キャラクタが視認不能に存在している場面であれば、制御部11は、例えば図6に示すように、視認不能な敵キャラクタ(例えば幽霊)SPCをプレイヤキャラクタPC2の超能力によって視認可能な状態に表示するための特別処理(例えば、視認不能であった敵キャラクタSPCが徐々に視認可能に現れる演出画像を表示し、その後は継続して敵キャラクタSPCが視認可能に表示しておく処理)を開始する。さらに、現在のゲーム場面が超能力により瞬間移動(テレポーテーション)可能なエリアにプレイヤキャラクタが位置している場面であれば、制御部11は、ゲーム画面上に表示されているフィールドを別にフィールドに変更する特別処理(例えば、プレイヤキャラクタが位置しているフィールドが瞬時に別のフィールドに変更する演出画像を表示する処理)を開始する。
【0046】
なお、視認不能な敵キャラクタSPCが超能力によって視認可能となっているときにのみ、プレイヤの操作に応じて敵キャラクタSPCに対して攻撃することができるようにしてもよい。
【0047】
制御部11は、ステップS203にて特別処理の実行中であると判定した場合には(ステップS203のY)、実行している特別処理を続行し(ステップS206)、特別処理を終了するタイミングとなっていれば(ステップS207のY)、特別処理を終了する(ステップS208)。すなわち、特別処理が時間によって完了するもの(障害物の破壊、テレポーテーション)であれば、制御部11は、その時間が経過したときに特別処理を終了する。そして、ステップS211に移行する。
【0048】
プレイヤ状態値Yが閾値T未満である場合には、制御部11は、特別処理の実行中であれば(ステップS209のY)、その特別処理を強制的に終了する(ステップS210)。そして、ステップS211に移行する。
【0049】
ステップS211では、制御部11は、ゲームが終了したか否かを確認し、終了していなければステップS202に戻る。
【0050】
上記のようにして、制御部11は、プレイヤ状態値Yが閾値T以上となったときに、ゲーム場面に応じて特別処理を開始し、プレイヤ状態値Yが閾値T未満となったときに強制的に終了する。本例では、上述した特別期間が終了するまでは特別処理が継続して実行されるため、特別期間を調整(特別処理が十分に実行される程度以上の期間に調整するようにすればよい)することで、特別処理が中途半端なところで終了してしまうことを防止できる。具体的には、特別期間を調整することで、障害物を破壊する演出、テレポーテーションを行う演出、敵キャラクタを視認可能に表示する演出を確実に実行することができるようになる。
【0051】
なお、上記の例では特に言及していないが、特別処理が複数設定されている場合に、各特別処理に異なる閾値Tが対応付けされていてもよい。
【0052】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、プレイヤPが操作するプレイヤキャラクタPCを表示部14の表示画面上に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置10が、脳波を測定する脳波測定装置50によって測定されたプレイヤPの脳波の測定値Xに基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値Yを導出し、プレイヤ状態値Yが閾値T以上であるときに、ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する構成とし、さらに、プレイヤPの脳波の測定値Xが閾値T以上になったあと所定の時間が経過するまでの特別期間以外は、プレイヤPの脳波の測定値をプレイヤ状態値Yとして導出し、特別期間中は、プレイヤPの脳波の測定値Xとは無関係に閾値T以上となるようにプレイヤ状態値Yを導出する処理を実行する構成としているので、プレイヤから脳波として発せられる不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用することができるようになり、脳波という生体信号を取り込んだバラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようになる。
【0053】
すなわち、プレイヤPの脳波の測定値Xをそのままゲーム操作信号として使用すると、一定以上の信号レベルを保持することが困難であるため、そのゲーム操作信号による特別処理が発動しても直ぐに強制終了されることとなってしまうが、プレイヤ状態値Yが閾値T以上であるときに、ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する構成とし、特別期間中は、プレイヤPの脳波の測定値Xとは無関係に閾値T以上となるようにプレイヤ状態値Yを導出する処理を実行する構成としているので、一旦閾値T以上に上昇したプレイヤ状態値Yが特別期間中に閾値T未満に低下してしまうことを回避することが可能となり、プレイヤPの脳波の測定値Xに基づくゲーム操作信号に応じて特別処理を少なくとも特別期間中は継続させることが可能となる。よって、プレイヤから脳波として発せられる不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用することができるようになり、脳波という生体信号を取り込んだバラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようになるのである。
【0054】
また、上述した一実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10が、プレイヤPの脳波の測定値Xが閾値以上になったあと所定の時間が経過するまでの特別期間中は、徐々に大きくなっていくようなプレイヤ状態値Yを導出する構成としているので、プレイヤPに対して集中力などによる脳波信号の信号レベルが上昇しているような感覚を与えることが可能となり、その信号レベルを維持しようとする動機付けとすることができ、バラエティに富んだビデオゲームを提供することができるようになる。
【0055】
また、上述した一実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10が、脳波測定装置50によって測定されたプレイヤPの脳波の測定値Xから当該測定値Xのピーク値を特定し、特定されたピーク値を最高値とする脳波信号ゲージ201によってプレイヤ状態値を表示部14の表示画面上に表示する構成としているので、各プレイヤの脳波変動範囲を加味した適切なピーク値を設定することが可能となり、プレイヤの脳波変動範囲の合った脳波信号ゲージを用いることができるようになる。
【0056】
また、上述した一実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10が、特別処理実行処理にて、プレイヤ状態値が閾値以上となったあと所定時間が経過するまでに、表示部14の表示画面上の障害物を破壊する特別処理を実行する構成としているので、プレイヤPの脳波レベルに基づく超能力をゲーム操作信号として障害物を破壊したかのような演出を行うことが可能となる。
【0057】
また、上述した一実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10が、特別処理実行処理にて、プレイヤ状態値が閾値以上となったあと所定時間が経過するまでに、ゲーム画面に表示されているゲーム場面を変更する特別処理を実行する構成としているので、プレイヤPの脳波レベルに基づく超能力をゲーム操作信号として瞬間移動したかのような演出を行うことが可能となる。
【0058】
また、上述した一実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10が、特別処理実行処理にて、プレイヤ状態値が閾値以上となっているときに、プレイヤ状態値が閾値未満となっているときは認識不能とされている敵キャラクタNPCを表示部14の表示画面上認識可能に表示する特別処理を実行し、表示部14の表示画面上に認識可能に表示されている敵キャラクタNPCに対するプレイヤPによる攻撃操作を受け付ける構成としているので、プレイヤPの脳波レベルに基づく超能力をゲーム操作信号として視認不能な敵キャラクタを視認可能な状態にした(透視あるいは念視した)かのような演出を行うことが可能となる。また、透視した状態となっているときに攻撃操作を受け付ける構成としているので、バリエーションに富んだゲームを提供することが可能となる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、ビデオゲーム処理装置10がゲームカートリッジ30から読み取ったゲームプログラムに基づいて上述したゲーム処理などの各種の処理を実行する構成としていたが、ゲームサーバからインターネットなどの通信ネットワークを介してゲームプログラムを取得するようにしてもよい。また、ビデオゲーム処理装置10がゲームサーバとして機能し、通信ネットワークを介してゲームプログラムをゲーム端末に提供するようにしてもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、脳波の測定値Xが閾値T(例えば基準値Ymの60%)以上となったときに特別処理を実行することとしていたが、閾値を2つ設けることとし、脳波の測定値Xが閾値T1(例えば基準値Ymの60%)以上となり、そのままピーク値に近い値に設定される閾値T2(例えば基準値Ymの90%)まで上昇したときに特別処理を実行するようにしてもよい。この場合、ステップS104にて、脳波の測定値Xが閾値T2以上となった場合にステップS107に移行し、その後のステップS104にて、脳波の測定値Xが閾値T1未満となったときにステップS105に移行するようにすればよい。
【0061】
図7は、2つの閾値を設けて特別期間を定める場合の測定値Xとプレイヤ状態値Yがそれぞれ示す割合の推移の例を示す説明図である。図7の上側の波形は、プレイヤPの脳波の測定値Xの基準値Ymに対する割合の推移の例を示す。図7の下側の波形は、プレイヤPの脳波の測定値Xに基づいて定められるプレイヤ状態値Yの基準値Ymに対する割合の推移の例を示す。この例では、測定値Xからプレイヤ状態値Yを導出するための時間を十分に確保するとともに、プレイヤ状態値Yが急激に変化することを避けるために、プレイヤPの脳波の測定値Xを測定してからt秒後に、測定値Xに対応するプレイヤ状態値Yの割合を表示(ゲーム画面では脳波信号ゲージ201によって表示する)する構成としている。
【0062】
図7に示す例では、測定値Xが閾値T2未満であるときは、測定値Xと同じ値にプレイヤ状態値Yが決定され、そのプレイヤ状態値Yの基準値Ymに対する割合が測定値Xを測定してからt秒後に表示される。その後、測定値Xが閾値T2以上となった場合には、測定値Xの値によらずに閾値T1以上となるプレイヤ状態値Yが決定され、測定値Xを測定してからt秒後に、閾値T1以上に決定されたプレイヤ状態値Yの基準値Ymに対する割合が表示されるとともに特別期間が開始される。測定値Xが閾値T2以上となったあとt秒が経過するまでの間については、プレイヤ状態値Yは、例えば図7に示すように、徐々に閾値T1に近付いていくような値に定められる。なお、特別期間中はプレイヤ状態値Yを徐々に大きな値としていき、図7に示すように徐々に割合が高くなっていくようにすることが望ましい。特別期間が終了するまでは、閾値T1以上となるプレイヤ状態値Yが決定され、閾値T1以上に決定されたプレイヤ状態値Yの基準値Ymに対する割合が表示される。本例では、特別期間が終了したあとにt秒間の調整期間が設けられている。この調整期間中は、調整期間終了時のプレイヤ状態値Y(調整期間開始時の測定値X)に滑らかに近付いていくようにプレイヤ状態値Yが定められる。そして、調整期間を経過すると、t秒前の測定値Xと同じ値に決定されたプレイヤ状態値Yの割合が表示される状態に戻る。
【0063】
上記のように構成すれば、集中力などの脳波の測定値Xのレベルが閾値T1を超えたことによって特別処理は発動されるものと安定していない状態とし、測定値Xのレベルがピーク値に近い閾値T2を超えたときにのみ少なくとも一定の期間(特別期間)が経過するまで安定して特別処理が継続されるようにすることが可能となり、バラエティに富んだゲームを提供することができるようになる。なお、上記の例において、時間tは、ユーザー操作と画面上での動きとの間でプレイヤPに違和感を感じさせない小さな値(例えば、0.1秒、0.5秒、1秒など)とすることが望ましい。
【0064】
なお、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置10は、自己が備える記憶装置(記憶部12)に記憶されている制御プログラム(ビデオゲーム処理プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、脳波という不安定な信号をゲーム操作信号として有効に利用するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態におけるビデオゲーム処理装置を含むビデオゲーム処理実行システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】表示画面の例を示す説明図である。
【図3】プレイヤ状態導出処理の例を示すフローチャートである。
【図4】特別処理実行処理の例を示すフローチャートである。
【図5】特別処理設定テーブルの例を示す説明図である。
【図6】表示画面の例を示す説明図である。
【図7】2つの閾値を設けて特別期間を定める場合の測定値Xとプレイヤ状態値Yがそれぞれ示す割合の推移の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
10 ビデオゲーム処理装置
11 制御部
12 記憶部
14 表示部
15 音声出力部
16 プレイヤ操作受付部
19 脳波信号処理部
20 ゲームプログラム読み取り部
50 脳波測定装置
100 ビデオゲーム実行処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置であって、
脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出手段と、
前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行手段とを含み、
前記プレイヤ状態値導出手段は、
前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、
前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出する
ことを特徴とするビデオゲーム処理装置。
【請求項2】
前記プレイヤ状態値導出手段は、前記特別期間中は、徐々に値が大きくなっていくようなプレイヤ状態値を導出する
請求項1記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項3】
前記脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値から当該測定値のピーク値を特定するピーク値特定手段と、
特定されたピーク値を最高値とするゲージによってプレイヤ状態値を前記ゲーム画面中に表示するプレイヤ状態値表示手段とを含む
請求項1または請求項2記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項4】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となったあと前記所定時間が経過するまでに、前記ゲーム画面に表示されている障害物を破壊する特別処理を実行する
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項5】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となったあと前記所定時間が経過するまでに、前記ゲーム画面に表示されているゲーム場面を変更する特別処理を実行する
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項6】
前記特別処理実行手段は、前記プレイヤ状態値が閾値以上となっているときに、前記プレイヤ状態値が閾値未満となっているときは認識不能となれている敵キャラクタを前記ゲーム画面に認識可能に表示する特別処理を実行し、
前記ゲーム画面に認識可能に表示されている敵キャラクタに対する前記プレイヤによる攻撃操作を受け付ける攻撃操作受付手段を含む
請求項1から請求項5のうちいずれかに記載のビデオゲーム処理装置。
【請求項7】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理方法であって、
脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出処理と、
前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行処理とを含み、
前記プレイヤ状態値導出処理では、
前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、
前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出する
ことを特徴とするビデオゲーム処理方法。
【請求項8】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタをゲーム画面に表示してビデオゲームの進行を制御させるビデオゲーム処理プログラムであって、
コンピュータに、
脳波を測定する脳波測定装置によって測定された前記プレイヤの脳波の測定値に基づいて、ゲームにおいて使用されるプレイヤ状態値を導出するプレイヤ状態値導出処理と、
前記プレイヤ状態値が閾値以上であるときに、前記ビデオゲームの進行状態に応じて所定の特別処理を実行する特別処理実行処理とを実行させ、
前記プレイヤ状態値導出処理では、
前記プレイヤの脳波の測定値が前記閾値以上となったあと所定時間が経過するまでの特別期間以外は、前記プレイヤの脳波の測定値をプレイヤ状態値として導出し、
前記特別期間中は、前記プレイヤの脳波の測定値とは無関係に前記閾値以上となるようなプレイヤ状態値を導出する処理を
実行させるためのビデオゲーム処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−88672(P2010−88672A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262008(P2008−262008)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】