ビン方式微小血管密度法、およびその装置
一局面において、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を獲得する方法が提供される。該方法は、複数のビンのそれぞれに対して該画像の関心のある領域を分析するアクトであって、該複数のビンのそれぞれは、所定の範囲の血管サイズと関連付けられ、該関心のある領域を分析するアクトは、血管である対象のそれぞれの部分と関連付けられるサイズに基づいて、該関心のある領域において識別された該任意の血管である対象の部分が、該複数のビンのどれに属するかを決定し、該部分が属する該複数のビンのうちの対応するビンと該血管である対象の各部分を関連付けることと、該複数のビンのそれぞれに対して少なくとも1つの測定値を計算することであって、該少なくとも1つの測定値は、該それぞれのビンと関連付けられる該血管である対象の部分の該MVDと関連付けられる、こととを含む、アクトを包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、本明細書において参考としてその全体が援用される2006年6月28日出願の「BINNED−MICRO−VESSEL DENSITY METHODS AND APPARATUS」と題される米国仮特許出願第60/817658号に対して、35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、組織サンプル(例えば、脈管構造の一部分の画像)における血管の特性を決定することに関し、さらに詳細には、1つ以上の微小血管密度(MVD)測定値を計算することに関する。
【背景技術】
【0003】
微小血管密度(MVD)は、癌性腫瘍の様々な処置の効能を評価するために使用されている。特に、X線画像の特定の領域、または共焦点顕微鏡を使用して組織のスライスにおいて見ることができる特定の領域において識別可能な血管の数が、組織の領域を特徴付けるために使用され得る。例えば、一定の抗腫瘍起因性血管形成剤は、腫瘍が生存および/または成長するために必要な微小血管の形成を防止するように働く。MVD測定値は、多くの場合に、腫瘍の成長が、特定の抗抗腫瘍起因性血管形成剤を使用して、適切に減速しているか否か、サイズを減少させているか否か、根絶されたか否かなどを判断するために使用される。例えば、MVD測定値は、特定の処置に応答して、時の経過と共に腫瘍において生じる形態変化の特性決定を容易にし得る。
【0004】
従来のMVD法は、多くの場合に、2つの異なる技術のうちの1つに基づいている。第1の技術においては、特定の領域において識別可能な血管の総数が、血管密度を決定するためにカウントされる。このカウントする手順は、一般的に、かかる技術に関して訓練された専門家に脈管領域(例えば、生物学的組織の脈管構造の画像)を検査させ、そして、関心のある領域、例えば、腫瘍または他の特定の組織にとって異常な血管集積と関連付けられる可能性のあるホットスポットにおいて現れる血管をマニュアルでカウントすることによって達成される。用語「ホットスポット」は、概して、周囲の組織と比較して、比較的に高い血管の集中度を有するとして識別された組織の領域を指す。ホットスポットは、多くの場合に、腫瘍または他の生物学的異常の存在を識別するか、またはそれと関連付けられる。
【0005】
第2の技術においては、比率が、脈管の全範囲と組織の領域の全範囲(例えば、ホットスポットの全範囲)との間で計算される。この方法は、多くの場合に、全脈管範囲(TVA)と呼ばれる。血管カウント法と同様に、TVA測定は、多くの場合に、医師などの熟練した専門家によるマニュアルの検査によって達成される。2つの方法が、時の経過による腫瘍の変化を評価することを容易にする血管情報を提供し、患者を診断および/または処置する際に医師を助ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の局面は、管状体の構造を分析することに関する。一部の実施形態において、1つ以上の構造的なパラメータが、複数の管状構造に対して分析され、該複数の管状構造は、サイズ(例えば、直径)に基づいて区分けされている。本発明の局面は、1つ以上の画像化技術または走査技術から獲得された構造情報を評価するときに、分析的な解像度を増加させ得る。本発明の一局面に従って、ビン方式の構造分析は、サイズに従って(例えば、関心のある範囲における管状構造の直径または半径に従って)区分または分類された管状構造のあらゆる分析を指す。例えば、一部の実施形態において、ビン方式の微小血管密度(BMVD)分析は、関心のある範囲の血管の直径に従って分類された血管に基づいた血管密度の分析を指す。
【0007】
ビン方式の分析技術は、管状構造に特徴的であり得る多くの異なるパラメータの分析に適用され得る。例えば、異なる直径を有する管状構造のビンは、以下のパラメータ:ねじれ、曲率、密度、分枝の頻度、分枝の階層性(例えば、分枝の階層性の存在または不在)、相対分布、および/または管状構造(例えば、血管)の方向、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を決定することによって評価され得る。ビン化されたデータに分析を行うことによって、主に、1つのサイズ範囲における構造に影響を与えるわずかな変化が、検出される可能性がさらに高くなる。なぜならば、そのわずかな変化は、他のサイズ範囲における構造の変化の相対的な不在によってマスキングされていないからである。したがって、本発明の方法は、時間の経過によって、または疾患または処置などに応答して管状構造(例えば、血管)の分析を精緻化するために使用され得る。本発明の局面はまた、疾患組織(例えば、癌性または前癌性の組織、壊死領域など)を検出または描写するために使用され得る。
【0008】
一部の実施形態は、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を獲得する方法を含み、該方法は、複数のビンのそれぞれに対して該画像の関心のある領域を分析するアクトであって、該複数のビンのそれぞれは、所定の範囲の血管サイズと関連付けられ、該関心のある領域を分析するアクトは、血管である対象のそれぞれの部分と関連付けられるサイズに基づいて、関心のある領域において識別された任意の血管である対象のその部分が、複数のビンのどれに属するかを決定し、部分が属する複数のビンのうちの対応するビンと血管である対象の各部分を関連付けることと、複数のビンのそれぞれに対して少なくとも1つの測定値を計算することであって、該少なくとも1つの測定値は、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分のMVDと関連付けられる、こととを含む、アクトを包含する。
【0009】
一部の実施形態は、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を含み、該方法は、画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域のMVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトとを包含している。
【0010】
一部の実施形態は、1つ以上のプロセッサにおいて実行することができる命令を符号化するコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、該命令は、実行されたときに、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を実行し、該方法は、画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域のMVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトとを包含している。
【0011】
したがって、本発明の局面は、人間および他の動物の体における内部の管状構造に関するデータを獲得および/または分析する方法およびデバイスを提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、サイズに基づいて分類されたビン化された血管に対して1つ以上のパラメータ(または時間の経過によるパラメータの変化)を分析することを含む。例えば、血管は、以下の非限定的な直径範囲:約0〜10ミクロン、約10〜25ミクロン、約25〜50ミクロン、約50〜75ミクロン、約75〜約100ミクロン、約100〜150ミクロン、約150〜200ミクロン、約200〜300ミクロン、約300〜400ミクロン、約400〜500ミクロン、約500〜1,000ミクロン、またはそれらのあらゆる組み合わせに従ってビン化され得る。しかしながら、あらゆる他の適切なビンのサイズ範囲(より大きなサイズ範囲、より小さなサイズ範囲、または中間のサイズ範囲を含む)が使用され得る。一部の実施形態において、異なるビンの数は、約2個〜約10個までの間であり得る。しかしながら、より多くの数のビンがまた、使用され得る。一部の実施形態においては、2個〜5個(例えば、2個、3個、4個、または5個)のビンだけが、使用される。一定の実施形態において、3個の血管のビンのサイズが使用される。すなわち、小、中、および大である。一部の実施形態において、所定のサイズ範囲を有する単一のビンが、選ばれ、そして、他のサイズ範囲は、分析されない。
【0012】
1つ以上の選択されたインサイチュの構造に関するデータが、構造(または構造の変化)に基づいて動物の生理学的な状態に関する情報を探り出すために獲得および/または分析され得る。構造情報は、診断、予測、予後、治療、介入、研究、および/または開発の目的のために使用され、ならびに疾患を等級付けおよび/または段階付けするために使用され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、ビン化されたインサイチュの構造データまたは構造情報に基づいて、1つ以上の構造的なパラメータ(または時間の経過による構造的なパラメータの変化)を分析することを含み得る。本発明の方法は、自動化され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、腫瘍起因性血管形成、および/または被検体内の腫瘍起因性血管形成のパターン変化を検出することを含む。
【0013】
本発明の局面は、特定な生物学的な過程、状態、および/または疾患と関連付けられるバイオマーカの市場提供および/または使用許諾を含み得るビジネス方法に関する。一部の実施形態において、ビン化された血管のパターン(例えば、幾何形状的な特徴)が、関心のある、一定の生物学的な過程、状態、および/または疾患との関連または相関を識別または評価するために分析される。構造的なバイオマーカ(例えば、本明細書において記述されるような、臨床、診断、治療、および/または研究の用途に対する)として使用され得るパターンパラメータが、識別され得る。これらのバイオマーカは、コストを減少させ、そして、医療技術および研究技術の効率および感度を増加させるために使用され得る。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカ、またはそのバイオマーカを使用する方法が、医療関係もしくは研究関係の顧客、または潜在的な顧客に対して市場提供され得る。一実施形態において、料金ベースのサービスが、医療関係または研究関係の組織に提供され得、医学的な画像に関する情報が、獲得され、そして、1つ以上のバイオマーカの存在に対して分析され、そして、結果として生じた情報が、料金と交換で返される。金額は、少なくとも部分的には、提供される画像情報のタイプと、必要とされる分析のタイプおよび程度と、分析の形式および時期とによって決定され得る。本発明の局面は、多数の異なる走査モダリティー(限定するものではないが、マイクロCT、MDCT、回転血管造影、MRI、PACSを含む)のうちの1つ以上から獲得された画像情報に適用可能であり得るということが理解されるべきである。この情報は、限定するものではないが、以下:医療センター、大規模な製薬会社(例えば、臨床前評価と関連して、または臨床試験の間に)、CRO(臨床前分析または臨床分析に対して)、医療研究所および開業医(例えば、走査センター)、病院、医院、医療センター、生命工学関連の小企業(例えば、臨床前評価と関連して、または臨床試験の間に)、生物医学の研究組織のうちの1つ以上を含む多数の異なるソースから受け取られ得る。次に、分析結果が、これらの組織のうちの任意のものに返され得る。一部の実施形態において、分析結果は、画像情報を送った同じ事業体に返され得る。他の実施形態において、結果は、異なる事業体に返され得る(例えば、画像情報は、走査実験室から受け取られ得、そして、分析は、医師に返され得る)。情報を受け取ること、構造特徴を分析すること、結果を処理すること、および受取人に結果を転送することと関連する1つ以上のステップが、自動化され得る。これらのステップのうちの1つ以上が、独立して、または協調して、米国外で行なわれ得るということもまた理解されるべきである。ビジネス手順(例えば、市場提供、販売、使用許諾)が、独立して、または強調して行なわれ得る。
【0014】
本発明の局面が、個々の分析ステップ、特定の構造的な特徴などと関連して本明細書に記述され得る。しかしながら、本明細書において記述される方法およびデバイスのうちの任意のものがまた、1つ以上の血管の構造的な特徴またはパターンに基づいたバイオマーカの使用と関連付けられるビジネス方法に組み込まれ得るということが理解されるべきである。
【0015】
本発明の局面は、インサイチュの管状構造のパターンパラメータ(例えば、被検体のインサイチュの脈管構造のパラメータ)を検出および分析することに関する。本発明の局面は、(例えば、本明細書に記述されるような1つ以上のコンピュータ実装のアクトを使用して)自動化され得る。1つ以上のパターンパラメータ(例えば、個々の血管の構造的な特徴、血管または血管の構造的な特徴の分布、またはそれらの組み合わせ)が、1つ以上の定量的な方法および/または1つ以上の定性的な方法を使用して、ビン化されたデータに対して分析され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、1つ以上のパラメータが、測定および定量化され得、そして、測定値が、本明細書において記述されるような閾値または基準値を用いた評価および/または比較のために、標準的な定性的な技術および/または標準的な統計的な技術を使用して分析され得る。一定の実施形態において、1つ以上のパラメータが、各ビン化されたデータに対して、(例えば、所定の要因に基づいた)所定の採点方法を使用して評価され得る。幾何学的なパラメータが、ベクトルを使用して表示され得る。例えば、関心のある体積の中の、血管の分布、血管の曲率、血管のねじれ、または血管の方向が、複数のベクトルを使用して表示され得る。別々のベクトルが、別々の血管(例えば、連結性が、分析の間に決定されていない血管)を表示するために使用され得る。しかしながら、別々のベクトルはまた、単一の血管の個々のセグメントもしくは個々の断片、または(例えば、連結性が決定されているか、分析の間に決定され得る)脈管の樹枝状分岐の一部分を表示するために使用され得る。脈管構造のパターンパラメータは、数値またはスコアを選別および/または分類するためのあらゆる適切な技術を使用して分析され得る。
【0016】
一部の実施形態において、スコアが、疾患または疾患の段階などの生理学的な状態の可能性にパターンパラメータを関連付けるために獲得され得る。本発明の局面は、異所性の内部構造と関連付けられる1つ以上の疾患の場所のインサイチュの診断、介入、および治療の分析に対して使用され得る。本明細書において使用される場合、「インサイチュ」は、バイオプシーまたは他の組織サンプルではなく、動物(例えば、人間)の体の中を意味する。本発明の局面は、治療薬を含む疾患の処置を開発および評価するために、そして、他の目的のために、疾患と関連付けられる構造的な変化を研究するために使用され得る。本発明の局面は、構造的な特徴またはパターンを自動的に分析することと、その分析に基づいてスコアを自動的に生成することとを含む。
【0017】
一部の実施形態において、本発明の局面は、動物内の選択された内部の管状構造網を検出および/または分析することを含む。本明細書において使用される場合、内部の管状網は、連結された円筒形の体内構造網を意味する。管状網は、限定するものではないが、動物の体内の、心臓血管系、呼吸器系、胃腸系、および泌尿生殖器系、ならびにそれらの一部分を含む。したがって、円筒形の構造は、分枝された円筒形の要素、直線状の円筒形の要素、湾曲した円筒形の要素、および/またはねじられた円筒形の要素を含み得る。円筒形の構造および要素は、円筒を含み得るだけでなく、平坦にされた領域、またはゆがめられた領域を含み得る。円筒形の構造または要素の断面は、実際には、円形、楕円形、ほぼ円形、ほぼ楕円形、またはより不規則であり得る。円筒形の要素の内径は、変化し得るか、関心のある領域にわたってほぼ同じであり得る。循環器網などの管状網は、動物の外側の環境から封鎖され得る。対照的に、循環器網および胃腸網などの管状網は、環境の外側に開いていることがあり得る。
【0018】
異なるサイズ範囲の管状構造(例えば、血管)が、本明細書において記述されるように、別々に分析され、そして、異なる閾値または異なる基準値と比較され得る。一部の実施形態において、1つ以上の構造的なパラメータが、ビン化されたサイズ範囲のサブセットだけに対して(例えば、変化が、関心のある診断、予後、臨床、研究の用途と関連付けられると知られているサイズ範囲だけに対して)獲得される(例えば、計算される、またはモデル化されるなど)。しかしながら、一定の実施形態において、ビン化されたサイズ範囲の全てが、分析される。一部の実施形態において、1つ以上の異なるパラメータが、異なるサイズ範囲に対して分析される。しかしながら、一定の実施形態において、同じパラメータが、分析されているビン化されたサイズ範囲の全てに対して分析される。ビン方式の分析は、異なるビン範囲に対して獲得された数値またはスコアの分布を表すヒストグラムまたは曲線の形式で提供され得る。
【0019】
本発明の一定の局面が、実施例および図を含む以下の部分でさらに詳細に記述される。サイズに基づいて血管を分類するために使用される分析技術は、サイズに基づいて他の管状体構造を分類するために使用され得るということが理解されるべきである。管状の構造(例えば、血管)が、サイズに基づいて分類されると、関心のある異なるパラメータに対して獲得された関連付けられる値またはスコアもまた、分類および分析され得る。この分類および分析の局面は、例えば、本明細書において記述されるように自動化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一部の実施形態に従った、1つ以上のBMVD測定を行う方法を例示する。
【図2】図2は、本発明の一部の実施形態に従った、血管分布の空間情報を組み込むBMVD法を例示する。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。
【図4】図4は、本発明の一部の実施形態に従った、時空的な血管情報を導出するために可変のサイズ範囲を使用するBMVD法を例示する。
【図5】図5は、本発明の一部の実施形態に従った、3D画像におけるBMVD法の使用を例示する。
【図6A】図6Aは、本発明の一部の実施形態に従った、BMVDを自動的に行う一方法を例示する。
【図6B】図6Bは、本発明の一部の実施形態に従った、少なくとも一部の脈管である対象を含んでいる画像を、血管領域と非血管領域とにセグメント化する方法を例示する。
【図6C】図6Cは、本発明の一部の実施形態に従った、セグメント化された画像を半径でラベル付けする方法を例示する。
【図7A】図7Aは、本発明の一部の実施形態に従った、血管構造を検出するために使用されるモデルの特徴的な関数のグレースケールの表示を例示する。
【図7B】図7Bは、図7Aのグレースケールのガウス分布の中央におけるx軸に沿った強度の値の図を例示する。
【図8】図8は、本発明の一部の実施形態に従った、円筒形の血管部分の強度分布モデルを概略的に例示する。
【図9A】図9Aは、本発明の一部の実施形態に従った、血管の領域と非血管の領域とにセグメント化された画像の一部分を例示する。
【図9B】図9Bは、本発明の一部の実施形態に従った、図9Aに例示された血管構造のセグメント化された領域において行われる距離変換を例示する。
【図9C】図9Cは、本発明の一部の実施形態に従った、図9Bの距離変換画像から転換された半径でラベル付けされた画像を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において考察されるように、微小血管密度を計算することに関する2つの一般的な方法、すなわち、1)組織の関心のある領域(ROI)またはホットスポットにおいて見ることができる血管の総数をカウントすることと、2)ROIまたはホットスポットの全範囲に対する脈管の全範囲の比率を決定することとが、存在する。本出願人は、従来のMVDを行う方法は、かなりの欠点を有し得るということを認識している。脈管をカウントすることは、毛細血管と、他の比較的小さな血管との役割を過度に強調しがちである。特に、より大きな血管がホットスポットの範囲の実質的に大部分を占め得るという事実に関わらず、毛細血管(および他の小さな血管)と、比較的大きな血管との両方が、脈管の総数に対する単一の増分に寄与する。
【0022】
対照的に、従来のTVAは、大きな血管の役割を過度に強調しがちである。例えば、単一の動脈が、1000本の毛細血管と同じ重要度でTVA測定に寄与し得る。TVAカウントが、腫瘍起因性血管形成の特性を決定するために利用されるときに、この大きな動脈への偏りが、小さな血管サイズにおいて生じる変化を不明瞭にし、測定において利用可能な情報内容を減少させがちである。例えば、毛細血管の範囲のかなりの変化が、気付かれずに終わり得る。なぜならば、血管の全範囲は、より大きな血管からの寄与で大部分を構成されているからである。一部の場合において、従来のTVAによって見逃される、小さな血管の範囲におけるこの変化が、重要であり、従来のTVA測定を役に立たないものにしている。
【0023】
本出願人は、従来のMVDアプローチの様々な欠点が、1つ以上のビン方式分析微小血管密度(BMVD)の演算または測定を行うことによって解決され得るということを理解している。ビン方式分析微小血管密度、すなわちBMVDという用語は、測定値が血管サイズに従って分類されている血管に基づいて決定される任意のMVD測定スキームを指す。特に、BMVD演算は、少なくとも2つの異なる血管サイズおよび/または少なくとも2つの異なる血管サイズの範囲に対して、関心のある領域を別々に分析することによって行われ得る。
【0024】
図1は、発明の一部の実施形態に従った、1つ以上のBMVD測定を行う方法を例示する。BMVDが所望される組織の断面が、被検体から獲得される。断面は、顕微鏡の下で観察される組織のスライスであり得るか、例えば、X線走査デバイスを使用して獲得される、組織の断面の2D画像であり得る。図1において、獲得された断面は、断面100で概略的に表示されている。断面100は、複数のビン(例えば、ビン1〜ビン5)のそれぞれに対して分析される。各ビンは、血管サイズの特定の範囲と関連付けられる。測定値115が、各ビンに対して獲得されており、該測定値115は、1以上の数、値、および/または各ビンに対応するサイズ範囲の血管と関連付けられる特徴である。断面100は、1つ以上の関心のある領域を含む断面であり得るか、(例えば、組織のより大きな画像または断面からセグメント化されたような)関心のある領域自体を表わし得るということが理解されるべきである。
【0025】
一部の実施形態に従って、断面100は、ビン階層におけるそれぞれのビンに対して、各サイズ範囲における血管の総数をカウントすることによって分析される。例えば、ビン1に対して、n2以上であり、かつ、n1よりも小さい半径を有する全ての血管が、測定値115aを生成するためにカウントされる。ビン2に対して、n3以上であり、かつ、n2よりも小さい半径を有する全ての血管が、測定値115bを生成するためにカウントされるなど、ビン階層全体でカウントされる。図1の実施形態において、n1>n2=n3>n4=n5>n6=n7>n8=n9>n10である。しかしながら、任意の数が、各ビンに対して割り当てられる範囲を規定するために使用され得るということが理解されるべきである。さらに、範囲は、等しいサイズのものである必要はない。例えば、下記の表1は、本発明の一部の実施形態に従った、ビン階層に対する例示的な値を例示する。
【0026】
【表1】
他の実施形態において、BMVDが、従来のTVA法を改良するために使用されている。特に、各ビンに対して、関連付けられるサイズ範囲の血管の全範囲が、計算される。血管範囲の計算が、単独で、または非血管範囲と比較して(例えば、全血管範囲と非血管範囲との間の比率)、各ビンに対する測定値115として提供され得る。各ビンに適したサイズの血管に対する他の血管範囲の計算が、測定値115を提供するために、単独で、または組み合わせて使用され得る。さらに、1つ以上のTVA法が、各ビンに対する測定値115を提供するために、1つ以上のカウント法と組み合わせられ得る。その他任意のMVD測定値、または各ビンに対する、血管の特性と関連付けられる他の情報とが、測定値115を形成するために、単独で、または組み合わせて獲得および提供され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。他のMVD法、他のMVDカウント、および/または他のMVD測定値が、BMVDの枠組みの中で決定または計算され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0027】
BMVD測定は、従来のMVD法よりも豊富な情報を提供する。特に、各ビンに対して別々の測定値を提供することによって、異なるサイズの血管が、別々に分析され得る。したがって、特に、従来の血管カウントにおける小さな血管への偏りと、従来のTVA測定における大きな血管への偏りとからもたらされる従来のMVDの欠点が、ビン化によって情報を分割することによって対処され得る。結果として、各血管サイズからの寄与が、別々に分析および評価され得、このことが、検査下の組織のROIのより良好な特徴付けをもたらし得る。
【0028】
本明細書において考察されているように、時の経過と共に取得されるMVD測定値が、組織領域の進展に関する貴重な情報を提供し得る。例えば、腫瘍の時間的MVD測定値は、腫瘍のサイズが成長しているか、収縮しているかを示す情報を提供し得、このことが、特定の処置の有効性を評価するために使用され得る。時の経過と共に評価された1つ以上のBMVD測定値は、異なるサイズの血管に関する組織の領域の進展に関する情報を提供する。したがって、(例えば、血管サイズの偏りによって)従来のMVD法においては不明確であり得る組織領域の変化が、BMVDを使用して獲得され得る。
【0029】
各ビンにおいて生成された測定値を組み合わせることが、従来のMVDを使用して獲得されるものと同じ尺度をもたらすということが理解されるべきである。例えば、ビン全体にわたって血管数の全てを合計することが、従来のMVDカウント尺度を使用して獲得され得るものと同じ全血管数をもたらす。同様に、ビン全体にわたる血管範囲を合計することが、従来のTVAを使用して獲得され得る血管範囲と同じ全血管範囲をもたらす。したがって、従来のMDVを使用して獲得される情報において行われ得るあらゆる分析が、BMVDを行うことによって獲得された結果において行われ得る。すなわち、BMVDは、同じくらいの情報を受けるというよりも、むしろより豊富な情報の組をもたらす。
【0030】
図1に例示されたビン階層は、5つのビンを含むが、任意の値を割り当てられたあらゆる数のビンが、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。たった2つのビンが、従来のMVD法を上回る、ROIの特徴付けの改善をもたらし得るということが、上記から理解されるべきである。より多くのビンが使用されるほど、結果として生じる測定値が、関心のある領域における真の血管分布をより厳密に表わす。すなわち、各ビンのサイズ範囲が、0に近づくので、結果として生じる血管の測定値は、検討中の組織の領域の血管分布を示す連続的な曲線に近づき、該結果として生じる血管の測定値の積分は、従来のMVD法を使用して達成され得る対応する測定値と等しい。従って、特に、BMVDは、血管サイズの関数として、従来のMVDを使用して獲得された情報を分化する。
【0031】
本出願人は、組織における血管の空間分布がまた、分析される組織の領域の特性に関する貴重な情報を含み得るということを認識している。特に、血管分布に関する空間情報が、どの程度、組織の領域(例えば、腫瘍)が、時の経過と共に進展するかに関するより良い理解を得ることを容易にし得る。次に、この時空的なデータが、例えば、選ばれた処置が腫瘍を根絶する際にどの程度有効か、および/または選択された薬物が、異常な組織領域において意図した効果を有するか否かを確認するために使用され得る。したがって、時空的BMVDは、どのサイズの血管が変化しているかに関する理解と、どこで変化が生じているかに関する理解との両方を容易にする。
【0032】
図2は、本発明の一部の実施形態に従った、血管分布の空間情報を組み込むBMVD法を例示する。図2に例示されたビン階層は、図1に例示された階層と同様であり得る。特に、断面200が、各ビンに対して適切なサイズ範囲の血管に対する測定値(例えば、血管数、血管範囲の比など)を決定するために分析され得る。しかしながら、図2に例示された実施形態において、断面200(例えば、関心のある領域)が、複数の範囲201に分割される。各ビンに対して、測定値を計算するというよりも、測定値は、各ビンに対する複数の範囲201のそれぞれに対して決定される。したがって、l個の測定値が各ビンに対して獲得され、ここで、1は、関心のある領域が分割される範囲の数である。結果として、測定値115は、各ビンに対する長さlのベクトルであり得、ベクトルの各成分は、断面の対応する範囲201から取得された測定値を表わす。
【0033】
一部の実施形態において、各領域において、そして、各ビンに対して獲得された測定値は、それぞれの範囲に現れるそれぞれのビンに適したサイズの血管の総数である。他の実施形態において、各領域において、そして、各ビンに対して獲得された測定値は、それぞれの範囲に現れるそれぞれのビンに対応するサイズの血管の全血管範囲に関連付けられる。単独か、組み合わせかいずれかの多数の異なる測定値が、各ビンにおける各範囲に対して獲得され得るということが理解されるべきである。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。さらに、異なる測定値または同じ測定値が、各範囲および/または各ビンに対して取得され得る。例えば、体積範囲の測定値が、腫瘍の壊死の程度を決定するために、断面の中央部分において、ビン5の範囲に対して取得され得るが、ビン1においては取得されないことがあり得る。なぜならば、大きな血管における変化は、腫瘍の壊死の早期段階を示さないことがあり得、および/または腫瘍の壊死の早期段階に特徴的ではないことがあり得るからである。しかしながら、任意のビンの任意の範囲において獲得された任意の測定が、ビン階層のどこででも行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0034】
ビンの全ての領域にわたって合計することが、断面または関心のある領域が、空間的に分割されていない場合に獲得され得るものと同じ測定値をもたらすということが理解されるべきである。すなわち、図2と関連して記述された方法によって獲得された測定値を合計すること(または組み合わせること)が、図1に記述された方法に従って獲得されたものと同じ測定値をもたらす。例えば、関心のある領域の各範囲の血管の総数または血管の全範囲を合計することによって、関心のある領域の血管の総数または全血管範囲が、獲得される。したがって、情報は、時空的測定値を計算することによっては失われない。本明細書において記述されているように、各ビンに対して獲得される測定値は、従来のMVD法を使用して獲得され得る測定値に到達するように合計または積分され得る。したがって、様々なBMVD技術は、従来のMVD法によって提供された情報を分化する。したがって、従来のMVD技術を使用して獲得された情報の全てが、BMVD技術を使用して獲得される情報から導出され得るが、BMVD技術は、複数の種類の追加情報を提供し得る。
【0035】
関心のある領域が、多数の範囲に分割され得るということが、上記から理解されるべきである。16個の範囲201への断面200の理論的な分割は、単なる例示であり、そして、断面は、より多くの範囲またはより少ない範囲に分割され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。さらに、断面または関心のある領域は、概ね規則的なグリッドに分割される必要はない。関心のある領域は、任意の形状および任意のサイズ範囲にセグメント化され得、そして、個々の範囲が、均一なサイズまたは均一な形状である必要はない。なぜならば、本発明の局面は、複数の空間範囲にROIを分割することに関して、特定のサイズ、特定の形状、または均一性を伴う使用に限定されないからである。特に、断面の特定の領域は、より多くの粒状の時空的情報を獲得するためにより小さい範囲に分割され得る。また、断面は、ビン化される前、および/または空間的に分割される前に、セグメント化および/またはラベル付けされ得る。
【0036】
本出願人は、関心のある領域が分割される範囲のサイズを選ぶことに関して、信頼性と特定性との間にトレードオフが存在しているということを理解している。特に、信頼性に関しては、範囲が広くなるほど、測定値は、統計的変動に対する抵抗性がより大きくなり得る。極端な場合においては、範囲は、(例えば、図1に示されているように)関心のある領域全体となる。特定性に関しては、範囲が小さくなるほど、測定値は、より多くの空間情報を含む。したがって、BMVD測定値が獲得される範囲のサイズを減少させることは、特定性を増加させるが、信頼性を低下させる。同様に、BMVD測定値が獲得される範囲のサイズを増加させることは、信頼性を増加させるが、特定性を低下させる。
【0037】
本出願人は、分割された範囲1つ当たりの血管の臨界数に到達すると、測定値の信頼性は飽和しがちであるということを理解する。すなわち、最小数の適切なサイズの血管が、範囲に現れた場合には、獲得される測定値は、より多くの数の適切なサイズの血管が領域に存在しているのと同じぐらい、実質的に統計的変動に対する抵抗性があるものである。したがって、最適なサイズ範囲は、最も小さい寸法を有するが、それでもやはり、信頼性に対する最小の閾値を達成するものである。
【0038】
図3Aおよび図3Bは、(異なる半径を有する円によって示された)2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。特に、図3Aにおける範囲301aは、幅wと高さhとを有し、そして、図3Bにおける範囲301bは、幅Wと高さHとを有する。本明細書において考察されているように、測定値が統計的変動に対して充分に耐性があるために必要とされる血管の最小数が存在する。示されているように、4本だけのより大きな血管が、範囲301aに現れている。この数は、統計的変動に対して保護するためには充分でないことがあり得、より大きな血管に関してこの範囲から獲得された測定値を信頼できないものにする。しかしながら、範囲301aは、おそらくは、より小さい血管に関して獲得された測定値を信頼できるものにするためには充分に、より小さな血管をかなり多く含んでいる。したがって、信頼できないことに起因したより大きな血管には適していない範囲のサイズが、より小さな血管に適切となり得る。したがって、血管が分析される最適な範囲のサイズは、少なくとも部分的には、考慮される血管サイズに依存する。
【0039】
本出願人は、信頼性と特定性との間の平衡は、関心のある領域が、考慮される血管サイズに従って分割される範囲のサイズを変更することによって達成され得るということを理解する。一実施形態において、各ビンに対して、関心のある領域は、それぞれのビンにおいて考慮される血管サイズに従って決定された寸法を有する範囲を使用して分割される。概して、各ビンに対して選ばれた範囲のサイズは、考慮される血管サイズの減少の関数として減少する。しかしながら、これは、本発明の局面を限定しない。
【0040】
図4は、本発明の一部の実施形態に従った、時空的な血管情報を導出するために可変のサイズ範囲を使用するBMVD法を例示する。断面400は、サイズが分析されるビンに依存するグリッド範囲に分割される。特に、ビン1において、最も大きい血管が分析されるので、最も大きいグリッド範囲が使用される。したがって、範囲のサイズは、信頼性の閾値が最も大きい血管に適合するということを確実にするように選ばれ得る。同様に、ビン5において、最も小さい血管が、最も小さいグリッド範囲を使用して分析される。範囲のサイズは、信頼性の閾値がより小さい血管によって小さい範囲において適合される可能性がより高いことに起因して、より小さい血管に対してより高い特定性を達成するように減少させられ得る。図4に示されているように、断面または関心のある領域400は、対応するビンにおいて考慮される血管サイズの関数として、サイズが減少される範囲に分割される。血管が分析される範囲のサイズを変えることによって、より最適な平衡が、信頼性と特定性との一般的に競合する関心事の間で達成され得る。
【0041】
各ビンに対して使用される範囲のサイズは、多数の方法で決定され得る。例えば、範囲のサイズは、ビンと関連付けられる範囲内の血管の半径または直径の関数として計算され得る。あるいは、のサイズは、最適な範囲のサイズまたは所望の範囲のサイズを見積もるために、経験的に計算され得るか、確率的な枠組みを使用して決定され得る。一部の実施形態において、範囲のサイズは、各ビンと関連付けられる範囲の上限の定数α倍として計算される。あるいは、αは、範囲の下限、範囲の中位数、または領域の平均などと関連付けられる乗数であり得る。しかしながら、少なくとも部分的に、分析される血管サイズに依存する変化する範囲のサイズを決定する任意の方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。一部の実施形態において、選ばれたROIにおける血管密度(例えば、予測される通常の血管密度)が、範囲のサイズを決定または計算するときに考慮され得る。
【0042】
図4に示されたグリッド範囲は、概略的であり、そして、単に、各ビンにおいて分析される血管サイズに従って範囲のサイズを変更する概念を例示するために選ばれたということが理解されるべきである。しかしながら、範囲は、任意のサイズのものを選択され得、そして、各ビンに対して異なる必要はない。さらに、範囲は、任意の形状のものであり得、そして、関心のある領域にわたって、規則的に、または均一に、分布される必要はない。なぜならば、本発明の局面は、どのような特定の範囲のサイズ、どのような特定の形状、どのような特定の構成、および/またはどのような特定の分布を伴う使用にも限定されないからである。
【0043】
簡潔、かつ、明瞭にするために、図1〜図4は、組織サンプルの2D断面(例えば、2D画像、または組織の2Dスライス)と関連付けて記述された。しかしながら、本発明の局面はまた、組織サンプルの三次元(3D)体積を用いて使用され得るということが理解されるべきである。特に、図5に例示されているように、組織サンプルは、組織の3Dサンプルであり得、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)を組織に三次元で行うことによって形成される組織の3D画像であり得る。したがって、関心のある体積500から抽出される測定値は、二次元の範囲または領域ではなく体積で獲得され得る。同様に、体積500が分割される範囲は、体積であるので、血管数、血管の体積の計算などは、2Dの面積ではなく3Dの体積にわたって行われる。本明細書に記述された方法のうちの任意のものが、3Dで行われ得、そして、一部の場合においては、特に、3Dにおける使用に適合されている。例えば、本明細書に記述されたBMVD法の任意のものが、関心のある領域の3D画像において行われ得る。
【0044】
用語「範囲」は、本明細書において、概して、空間の2D領域と3D領域との両方を指す。特に、用語「範囲」は、2Dにおける二次元の面積と、3Dにおける三次元の体積とを指す。同様に、用語「領域」は、概して、空間の2D範囲と3D範囲とに適用される。特に断りがない場合には、領域および範囲という用語は、相互交換可能であり、そして、2D空間と3D空間との両方を記述するために使用される。一方の上記の用語または他方の上記の用語を使用した結果として、次元に関して、推断が行われるべきではない。
【0045】
画像に替えて、または画像に加えて、本明細書に記述されたBMVD技術のうちの任意のものが、脈管構造から作成されたキャストについて行われ得る。例えば、動物の組織または臓器が、組織または臓器の1つ以上の脈管構造を安定化させるために、キャスティング剤を含む組成物で満たされ得る。次に、脈管構造が、1つ以上のBMVD技術を使用して、(例えば、キャストの構造を分析することによって)分析され得る。例えば、適切なビン階層が、結果として生じるキャスト構造に対する血管サイズ(例えば、半径、直径など)、ならびにカウントされた各ビンにおける血管数、および/または各ビンに対して計算された、非血管範囲に対する血管範囲の比率に従って規定され得る。さらに、キャストは、血管組成および/または血管構造に関する位置情報を獲得するために空間範囲に分割され得る。空間範囲のサイズは、特定性と信頼性との間により最適な平衡を提供するための、各ビンにおける血管サイズの関数であり得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。本発明の局面は、この点においては限定されないので、任意のBMVD技術が、脈管構造のキャストにおいて使用され得るということが理解されるべきである。
【0046】
そのキャストを生成するために組織/臓器の中に灌流されるキャスティング剤は、様々なポリマー材料のうちの任意のものなどの任意の適切な材料であり得る。例えば、キャスティング剤は、限定するものではないが、Microfil(登録商標)、メチルメタクリレート、事前重合メチルメタクリレート(MercoxTM))、MercoxTMCL−2B、シリコン、金ナノ粒子、Batson No.17など、または2つ以上のそれらの組み合わせを含み得る。本明細書において考察されているように、キャスティング剤は、詳細な分析のためにインビボの構造を保護するために使用され得る。一部の実施形態において、この分析が、特定の構造特性または特定の分布特性を識別し、該特定の構造特性または該特定の分布特性は、次に、例えば、結果として生じるキャストに1つ以上のBMVD技術を適用することによって、(人間を含む)生きている動物の、インビボの、診断、治療、研究、および/または他の用途のためのマーカとして使用され得る。一部の実施形態において、BMVD分析は、疾患モデルと関連付けられる脈管形成のキャストについて行われ得る。疾患モデルは、動物(例えば、マウス)における腫瘍モデル(例えば、異所性の腫瘍モデルまたは同所性の腫瘍モデル)であり得る。しかしながら、その他任意の適切な疾患モデルが使用され得る。一部の実施形態において、分析は、疾患の進行と関連付けられる脈管の変化、処置に対する反応、または他の要素のモニタリングを含み得る。
【0047】
BMVDが行われる画像は、本明細書に記述された方法の任意のものによって獲得されるキャストの画像を含み得るということが理解されるべきである。例えば、獲得されたキャストの、取得された2Dまたは3D画像は、本明細書において記述された1つ以上のBMVD法に従って処理され得る。さらに、本明細書に記述された、BMVD技術のうちのいずれか、またはBMVD技術の任意の組み合わせが、管状構造(例えば、血管構造)の再構築モデルにおいて行われ得る。例えば、モデル(例えば、管状構造の数学的記述、幾何学的記述、または他の記述)が、画像データ、生の観測データなどの分析を介して獲得され得る。次に、かかる計算モデルは、再構築モデルに関して本明細書に記述された、BMVD技術のうちのいずれか、またはBMVD技術の任意の組み合わせを行うことによってさらに処理され得る。
【0048】
本明細書において考察されているように、血管数または血管範囲を決定することは、一般的に、医師、または厳しく訓練された他の専門家などの熟練したオペレータまたは熟練した技術者が、組織のサンプルを見て(例えば、共焦点顕微鏡を使用して、または組織のX線画像を見て)、そして、所望の計算をマニュアルで行うことによって行われる。しかしながら、この手順は、非常に時間を消費するものであり、そして、熟練したオペレータの存在(およびリソース)を必要とする。さらに、マニュアルの分析は、オペレータの誤りと、オペレータの疲労とを被りやすい。本出願人は、組織サンプルの分析は、分析に含まれる作業の少なくとも一部を自動化することによってはかどらせられ得るということを理解している。したがって、本出願人は、関心のある組織の領域の画像などの組織サンプルに関する1つ以上の測定を自動的に行うように適合された様々なコンピュータ実装のアルゴリズムを開発した。
【0049】
一部の実施形態において、少なくとも一部の脈管構造を含む組織の領域の画像が、血管領域と、非血管領域とにセグメント化される。次に、血管領域が、血管の少なくとも1つのサイズ特性を決定するために分析される。決定された特性(例えば、血管サイズ)でラベル付けされたセグメント化された画像が、次に、画像において1つ以上のBMVD測定を自動的に行うために使用され得る。例えば、ラベル付けされた画像は、1つ以上のビンと関連付けられる特定のサイズ範囲の血管の数をカウントするために使用され得る。同様に、ラベル付けされた画像は、1つ以上のビンと関連付けられる血管範囲の測定値を獲得するために使用され得る。本明細書に記述された実施形態は、1つ以上の作業が、医師などの人間のオペレータによってマニュアルで行われる必要がないように、セグメント化、ラベル付け、および/または1つ以上のBMVDの演算または測定を自動的に行うように適合された命令を実行する1つ以上のプロセッサによって行われ得る。
【0050】
図6Aは、本発明の一部の実施形態に従った、BMVDを自動的に行う一方法を例示する。方法600は、オペレータからのあらゆる実質的な介入を必要とすることなく、血管サイズ情報をセグメント化および決定することとを容易にする。特に、方法600は、コンピュータ実装されるように構成され、熟練した専門化が、血管領域を識別し、所望のビン化階層に従ってサイズによって血管領域を分類する必要性を不要にする。例えば、方法600は、1つ以上のプロセッサにおいて実行されたときに、1つ以上の自動BMVD測定を行う命令を有するコンピュータプログラムとして符号化され得る。
【0051】
アクト610において、1つ以上の自動BMVD測定値が決定される画像615が、獲得される。画像は、考慮される組織サンプルの2Dまたは3Dの画像であり得る。例えば、画像は、処置される腫瘍を含む人間の患者の一部分の2Dまたは3Dの画像であり得るか、診断、処置、または分析される何らかの他の生物学的異常の画像であり得る。画像は、様々な画像化技術および/または様々な画像化モダリティーのうちの任意のものから取得され得る。例えば、画像は、患者のインビボのCTスキャンを獲得することからもたらされ得る。あるいは、画像は、磁気共鳴映像法(MRI)、ポジション放射断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)からもたらされ得るか、共焦点顕微鏡からから獲得される画像などであり得る。例えば、画像は、腫瘍などの組織の異常の進展を評価するために、時間の経過と共に獲得されたか、時間の経過と共に獲得される一連の画像のうちの1つの画像であり得る。
【0052】
アクト620において、画像615は、血管範囲と、非血管範囲とにセグメント化される。例えば、画像の画素または3D画素が、血管の一部または(例えば、周囲の組織の一部として)非血管の一部いずれかでラベル付けされ得る。画素または3D画素は、血管の画素/3D画素が白くなり、そして、非血管の画素/3D画素が黒くなる(またはその逆である)ように、二進数でラベル付けされ得る。しかしながら、血管領域および非血管領域に対応する画素/3D画素は、任意の適切な方法で区別され得る。血管領域と非血管領域とに画像をセグメント化することに適切であり得る多数のセグメント化方法があり、そして、本発明の局面は、どの特定のセグメント化スキームを伴う使用にも限定されない。例えば、画像は、様々な領域成長および/もしくは閾値化技術のうちの任意のもの、様々なレベルセット法もしくは様々な高速マーチング法のうちの任意のもの、またはその他任意の適切なセグメント化アルゴリズムを使用してセグメント化され得る。
【0053】
一部の実施形態において、セグメント化は、図6Bと関連付けて以下でさらに詳細に考察されるように、第1に、画像の1つ以上の特性に基づいて、血管を含む可能性のある領域と、血管を含まない可能性のある領域とを識別し、そして、第2に、初期条件として第1のステップにおいて確立された領域を使用してレベルセットセグメント化法を行うことによって行われる。レベルセットセグメント化の結果は、少なくとも、画像の関心のある部分の画素または3D画素が、血管素材からもたらされたとして、または非血管素材からもたらされたとしてラベル付けされるか、示される画像を含む。しかしながら、任意のセグメント化法が使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0054】
アクト630において、アクト620において計算されたセグメント化された画像625が、識別された血管素材の少なくとも1つのサイズ特性を確認するためにさらに分析される。例えば、セグメント化された画像は、血管素材として識別された対象の血管の半径または直径を決定するために分析され得る。識別された血管素材の1つ以上のサイズ特性を決定することによって、1つ以上のBMVD測定値が、獲得されたサイズ特性から計算され得る。例えば、血管範囲および/または血管数の情報が、適切に、セグメント化され、かつ、ラベル付けされた画像から自動的に計算され得る。
【0055】
一部の実施形態において、半径でのラベル付けが、少なくとも画像の関心のある領域に対して血管素材としてセグメント化された画素または3D画素を適切な半径を用いてラベル付けするために使用される。例えば、距離変換アルゴリズムが、最も近い境界点(すなわち、最も近い非血管点)からの距離で各画素または各3D画素をラベル付けするために使用され得る。次に、同じ最も近い境界点を共有する全ての画素/3D画素が、共有された境界点から最大の距離の画素/3D画素の距離でラベル付けされ得、このことが、血管の半径を近似する。半径でラベル付けする方法の一実施形態が、図6Cと関連付けて以下でさらに詳細に記述される。他の方法が、セグメント化された画像を半径でラベル付けされた画像に転換するために、単独で、または距離変換法と組み合わせて使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0056】
アクト640において、アクト630において計算された、セグメント化され、かつ、ラベル付けされた画像635が、少なくとも1つのBMVD測定値を計算するために分析される。例えば、半径でラベル付けされた画像が、複数のビンを使用してビン化され得、各ビンは、血管サイズの所望の範囲と関連付けられる。各3D画素は、各3D画素が属する血管の半径でラベル付けされているので、半径でラベル付けされた画像は、各ビンに対して適切な範囲の血管を使用して分析され得る。一部の実施形態において、各ビンにおける全血管範囲が、例えば、それぞれのビンの範囲内にある、半径でラベル付けされた各3D画素を自動的にカウントすることによって計算される。次に、ビンに対する結果として生じる血管範囲が、各ビンに対するTVA測定値を獲得するために(例えば、非血管としてラベル付けされた3D画素を自動的にカウントすることによって)全非血管範囲と比較され得る。
【0057】
画像635は、各ビンにおける血管の分布に関して空間情報を獲得するために複数の範囲に分割され得るということが理解されるべきである。例えば、画像は、空間情報をTVA測定値に符号化するために、図2に示されたように分割され得る。さらに、画像は、範囲のサイズが図4に示されたように各ビンにおける血管のサイズに対して変更される範囲に分割され得る。したがって、獲得されたTVA測定値は、信頼性および特定性に関して最適化され得る。
【0058】
別の実施形態において、半径でラベル付けされた画像は、同じ血管に属する領域に画素/3D画素をまとめるためにさらに処理され得る。このように、血管をカウントする様々なBMVD測定が、行われ得る。例えば、連結成分分析が、同じ半径を有する隣接画素をまとめるために使用され得る。領域成長などの技術が、半径でラベル付けされた画素/3D画素を別々の血管領域にさらにセグメント化するために使用され得る。このようにして、画像内の血管数が、識別され得る。さらに、各セグメント化された血管もまた、半径でラベル付けされるので、1つ以上のBMVDの血管数の測定値が、画像から獲得され得る。
【0059】
図6Bは、本発明の一部の実施形態に従った、少なくとも一部の脈管である対象を含んでいる画像を、血管領域と非血管領域とにセグメント化する方法を例示する。特に、方法620’は、図6Aに例示された方法600におけるアクト620に対して行われ得るセグメント化方法の実施形態である。方法620’は、血管領域と非血管領域とに画像615をセグメント化するためにレベルセット法を含む。方法620’は、あらゆる寸法のあらゆるタイプの画像において行われ得る。セグメント化方法は、2D画像に関して記述されているが、セグメント化アルゴリズムは、2D画像だけではなく3D画像においても行われるように設計されており、そして、本発明の局面は、どのような特定の寸法の画像との使用に限定されない。
【0060】
アクト622において、レベルセット法は、最初に、血管構造に特徴的である、画像における少なくとも1つの特性または特徴を識別することによって初期化される。特徴は、様々な画像処理技術のうちの任意のものによる特徴の検出を容易にする1つ以上の検出可能な特性を含み得る。一実施形態において、特徴は、血管構造に特徴的である、画像における複数の画素の強度間の特定の関係を識別することによって検出され得る。例えば、特徴を検出することは、限定するものではないが、特徴的なグレースケールのパターンを識別すること、検出可能な縁の特性などの1つ以上の導関数特性を特定すること、または隆起線などの1つ以上の他の高次の導関数特性を特定することを含み得る。血管の特性的な特徴を識別することによって、血管素材に属する画素または3D画素が、識別され、そして、レベルセットセグメント化アルゴリズムを初期化するために使用され得る。
【0061】
本出願人は、血管の断面は、概ねガウス形状の強度分布によって特徴付けられ得るということを理解する。血管の断面密度は、モデル化された密度が、血管の中心において最も高いように、血管の長手方向軸に中心を定めたガウス分布によってモデル化され得る。例えば、円筒形の血管部分の断面の密度分布は、長手方向軸が、z軸と一致するように向けられたときには、
【0062】
【数1】
としてモデル化され得、式中、ρは、円筒部分の中心における密度係数であり、そして、rは、円筒部分の半径であり、したがって、密度が、中心において最も大きくなる(すなわち、ρと等しい)ようにモデル化され、そして、中心からの半径方向の距離の関数として指数関数的に減衰する。図7Aは、方程式1において与えられた関数のグレースケール表示を例示しており、図7Aにおいては、より黒いグレースケールの値は、密度の値の増加を示す。図7Bは、図7Aのグレースケールのガウス分布の中央においてx軸に沿った強度値の図を例示する。
【0063】
円筒の長手方向軸に沿った(すなわち、図7Aのページの外から中への)密度分布は、実質的に均一であり、実質的には変わらず、そして、長手方向軸に沿って断面分布の一定な関数として、すなわち、分布の中心からの半径方向の距離dの一定な関数としてモデル化され得る。図8は、円筒形の血管部分の強度分布モデルを概略的に例示する。特に、円筒形の血管部分のモデルは、中心において、最大密度を有し、該最大密度は、中心からの半径方向の距離dの関数として、血管の境界に向かって指数関数的に減衰する。各距離dにおいて、密度は、z軸に沿って均一である。例えば、d=0における密度は、血管の長さに沿った密度の最大値である。線805によって示されたこの密度の最大値は、隆起線と呼ばれる。
【0064】
本明細書において記述された特徴的な強度分布または同様な分布が、画像内に識別され得る場合には、関連付けられる画素/3D画素は、血管に属する可能性がある。特徴的な点が、血管領域と非血管領域とに画像をセグメント化することを容易にするために使用され得る。図8に例示された特徴的な形状を検出する一方法は、画像(例えば、画像615)において隆起検出を行うことである。しかしながら、他の方法が、モデルによって画定される特徴的な形状を検出するために使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0065】
隆起点は、強度が、主曲率方向、すなわち、最も急激な強度勾配を有する方向において局所的な極値をとる画像内の点としてここで規定される。例えば、図8における点815において(および隆起線805に沿って)、曲率の主方向が、u0(すなわち、(d,z)座標系における単位ベクトル(1,0))で示されている。隆起線805に沿った各点が、隆起点を形成する。なぜならば、各点が、z軸に沿った局所的な最大値であるからである。したがって、隆起線は、画像における局所的な導関数情報によって特徴付けられ得、そして、画像における関心のある点付近の強度に関する曲率を調べることによって検出され得る。一実施形態において、へッシアン演算子が、隆起点の検出を容易にするために画像から曲率情報を抽出するために使用される。一般的に、へッシアン演算子を加える目的は、強度値が関心のある画素の周りの画素において変わる方法に関する情報を集めることである。以下で考察されるように、この情報は、隆起線に特徴的な範囲を識別するために使用され得る。2Dにおけるヘッシアン演算子は、
【0066】
【数2】
として表され得、式中、gは、ヘッシアンによって演算される画像であり、xおよびyは、画像の座標軸である。例えば、ヘッシアン演算子は、標的画素と呼ばれる、画像における、各画素、または画素のサブセットのそれぞれにおいてヘッシアン行列を計算することによって画像に加えられ得る。ヘッシアン行列の偏導関数成分は、様々な方法で各標的画素において計算され得る。例えば、ヘッシアン行列は、標的画素の画素近傍(例えば、標的画素の隣接近傍の8画素)における適切な差を計算することによって決定され得る。3x3の近傍を使用して、ヘッシアン行列の成分は、離散導関数マスクの対応する成分に従って、画素の強度を重み付けし、そして、次に、その結果を合計することによって計算され得る。ヘッシアンの偏導関数成分に対する例示的な導関数マスクは、
【0067】
【数3】
である。
【0068】
各行列の中心は、標的画素に対応し、そして、標的画素に対する、8つの隣接する画素のそれぞれの強度は、マスクの対応する成分によって乗算され、そして、合計される。各マスクからの合計は、ヘッシアンにおける対応する成分を決定する。離散偏導関数を計算することに関する本発明の局面は、どのような特定の方法または実装にも限定されないので、他のサイズの近傍と、近傍の中の画素に対する異なる挿入関数(すなわち、マスクの重み)とが、使用され得るということが理解されるべきである。
【0069】
ここで考察されたように、ヘッシアンは、画像の画素における強度の局所的な曲率を記述する。曲率の主方向は、ヘッシアンを特性に分解することによって決定され得る。行列の特性を決定する一方法は、行列の固有値および関連付けられる固有ベクトルを決定することである。
【0070】
概して、ヘッシアン行列の固有ベクトルは、ヘッシアンが決定された標的画素における曲率の特性方向を示す。以下で考察されるように、曲率のこれらの特性方向間の関係は、隆起線の特徴を有する画像における範囲を識別するために利用され得る。行列の固有値および関連付けられる固有ベクトルが、様々な方法で決定され得、例えば、行列を対角化する多数の周知の反復方法、または、解析的に、
Hu=λu (4)
の関係を直接的に解くことによって決定され得、式中、Hは、方程式2のヘッシアン行列であり、uは、行列Hの固有ベクトルであり、そして、λは、uと関連付けられる固有値である。ヘッシアンの各固有値の大きさは、関連付けられる固有ベクトルの「有意性」に関連付けられる。言い換えると、固有値は、どの程度、関連付けられる固有ベクトルに沿った曲率が、ヘッシアンによって決定された局所的な曲率に寄与するかを示す。したがって、ヘッシアン行列の最も大きな固有値は、曲率の主方向と関連付けられる。
【0071】
周知のように、2Dヘッシアンは、2x2の対称的な行列であり、したがって、それぞれの一次独立固有ベクトルu0およびu1(すなわち、固有ベクトルu0およびu1は直交している)と関連付けられる2つの固有値λ0およびλ1を有する。本明細書において固有値λ0は、最大の絶対値を有する固有値を示し、そして、一次固有値と呼ばれる。したがって、関連付けられる固有ベクトルu0は、標的画素における曲率の主方向を示し、そして、λ0は、曲率の大きさと関連付けられる。(二次固有値と呼ばれる)固有値λ1は、u1の方向、すなわち、u0によって示された曲率の主方向に対して直交する方向における曲率の大きさに関連付けられる。
【0072】
隆起線において、外形に沿った方向の曲率は、比較的に大きいことが予測され得るが、隆起線に沿った直交方向の曲率は、比較的に小さいことが予測され得る。したがって、隆起点は、大きな一次固有値と、小さな二次固有値とを生成し得る。例えば、予測の固有値u0およびu1は、図8の隆起点815においてラベル付けされる。u0の方向における曲率は、大きいので、λ0の大きさも、同様に、大きくなることを予測される。同様に、強度分布は、シヌソイドトレースに沿って実質的に均一であることを予測されるので、u1の方向における曲率は、理論的には0であり、そして、λ1の大きさは、実質的に0になることを予測される。λ0とλ1との値、およびλ0とλ1との間の関係は、ヘッシアンが計算される各標的画素が、隆起点に特徴的であるか否かを決定するために利用され得る。すなわち、隆起点は、固有値を評価することによって検出され得る、λ0とλ1との値および/またはλ0とλ1との間の関係によって表される局所的な曲率の特徴を有し得る。
【0073】
一実施形態において、標的画素は、標的画素におけるヘッシアンの固有値に対する所定の基準に基づいて、潜在的な隆起点として識別され得る。例えば、閾値を超える一次固有値を有する標的画素だけを潜在的な隆起点として選択するように、閾値が、λ0の大きさとされ得る。さらに、または代替的に、閾値を超える比率が画像の隆起点に由来することを考慮されるように、λ1の大きさに対するλ0の大きさの比率は、閾値とされ得る。
【0074】
λ0の符号が、誤った極値(すなわち、局所的な最大値に対する局所的な最小値)によって特徴付けられる隆起を除外するためにも使用され得る。所謂、これらの谷は、血管に特徴的ではなく、そして、考慮から排除され得る。例えば、画像のグレーレベルのスキームが、図8におけるように、より明るい画素(より高いグレーレベルの値)によるより密度の高い光線の減衰を表すときには、負のλ0をもたらす点は、無視され得る(すなわち、点は、クレストではなくトラフを示す)。同様に、グレーレベルのスキームが、より低いグレーレベルの値によるより密度の高い光線の減衰を表すときには、正のλ0をもたらす点は、無視され得る。固有値および/または固有ベクトルを評価する他の基準が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0075】
したがって、隆起検出が、画像内の標的点に関する局所的な曲率特性を評価することによって隆起点を選択するために画像に適用され得る。隆起点を特定する上記の技術は、単に例として記述されているということが理解されるべきである。非隆起点から隆起点を区別するのに適したその他任意の方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。本発明は、隆起、もしくはその他任意の特定の特性および/または特徴に限定されないので、血管構造に特徴的なあらゆる特徴が、検出され、そして、レベルセットセグメント化法を初期化するために使用され得るということが、さらに理解されるべきである。
【0076】
本明細書において考察される場合に、画像内の関心のある領域は、異なるサイズの様々な血管を有する脈管構造を含み得る。異なるサイズの血管は、異なる尺度でガウスプロフィールをもたらす。特に、ガウスプロフィールのσ(図7を参照)は、血管サイズの関数として変化する。結果として、1つの尺度における隆起検出(すなわち、特定のサイズの血管の検出)は、異なる尺度における血管を検出する際には効果的ではないことがあり得る。血管を見落とすことを回避するために、隆起検出は、多数の異なるサイズにおいて、血管構造に属する適切な点を識別するために、所望の数の尺度で行われ得る。例えば、隆起検出は、BMVDの計算に使用される各ビンに対応する尺度において行われ得る。2つ以上の尺度が、同様に、単一のビンにおいて血管を検出するために使用され得る。隆起検出および/または何らかの他のタイプの特徴検出が、あらゆる尺度で、かつ、あらゆる数の尺度で行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0077】
隆起点(または他の検出された特徴点)は、次に、血管素材がその点に存在するというインジケータとして使用され得る。次に、リッジの特性は、血管構造に属する他の点をさらに識別するために使用され得る。例えば、隆起点が検出された尺度が、血管の幅を推定し、そして、最大の曲率の方向にある血管内の点を識別するために使用され得る。さらに、隆起の向き(すなわち、最小の曲率の方向)が、血管素材を表している可能性があるさらに遠い点を識別するために隆起を追跡するために使用され得る。他の方法が、血管素材を表す画像におけるさらに遠い点を識別するために使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0078】
アクト626において、強度に基づいた方法が、血管素材を表している可能性のある点を識別するために使用され得る。開始点として、(血管の中心に対応する)アクト624において識別された隆起のピーク点を使用して、隆起点の強度プロフィールが、どの点が血管構造の中にあるか、そして、どの点が、血管構造の外側にある可能性があるかを決定するために分析され得る。本明細書において考察されたように、血管構造は、特徴的なガウスプロフィールを有する。したがって、ガウス核が、血管構造の内側の点と外側の点とを識別するために使用され得る。特に、血管構造内の点は、血管構造の外側の点よりもガウス核に対して強く反応することが予測される。確率的な方法(例えば、仮説検定)が、どの点が、隆起から検出された血管構造の内側にある可能性があるか、そして、どの点が、血管構造の外側にある可能性があるかを決定するために使用され得る。
【0079】
一実施形態において、(例えば、隆起点を検出するために使用された尺度によって推定されたような)適切な尺度における複数のガウス核が、隆起点から順により遠い距離(すなわち、検出された血管の中心から引き続いてさらに遠い距離)位置での隆起点付近の領域に繰り返し含まれる。例えば、ガウス核は、仮定された血管構造の内側、想定された境界に近い仮定された血管構造の内側、想定された境界に近い仮定された血管構造の外側、および仮定された血管構造の外側に位置決めされ得る。次に、確率的な方法は、点が存在する場合には、異なる領域とガウスプロフィールとの間の類似性に基づいて、どの点が、血管の内側にあるか、そして、どの点が血管の外側にあるかを決定する。
【0080】
強度に基づいたアプローチは、少なくとも2つの有益な効果を有する。第1に、強度分析は、検出された隆起点付近の領域もまた、血管構造に特徴的な強度プロフィールを含むということを確実にし、したがって、偽陽性(すなわち、血管以外の構造からもたらされる隆起)を排除するか、偽陽性の数を減少させる。さらに、強度分析は、血管構造を表している可能性のある隆起付近の点を識別する。したがって、アクト624とアクト626とは、隆起の基準を満たし、かつ、血管構造に特徴的な強度プロフィールを有する血管素材を識別する。隆起に基づき、かつ、強度に基づいた分析が行われた後に、血管を表しているとして識別された点(すなわち、画素、3D画素など)が、そのようにラベル付けされる。さらに、識別された血管点は、どの程度、点が血管素材を表している可能性があるかと関連付けられるあらゆる確率(例えば、信頼レベル)でラベル付けされ得る。
【0081】
アクト628において、画像は、非血管素材に属する画素または3D画素を識別するために分析される。本質的に、これが、アクト624のもうひとつの面である。血管素材を表している可能性のある画像の点を識別する代わりに、非血管素材を表している可能性のある、画像内の点が、識別される。一実施形態において、隆起検出の結果が、画像内の谷を識別するために使用され得る。谷は、単に、最大曲率の点が局所的な密度の最大値ではなく局所的な密度の最小値である隆起である。本明細書において考察されたように、λ0の符号は、最大曲率の点が、隆起であるか、谷であるかを示す。したがって、同じ隆起検出データが、谷点を識別するために使用され得、該谷点は、非血管素材を表すことが想定される。さらに、アクト626において上で記述された、強度に基づいた分析は、血管の外側の範囲、すなわち、非血管範囲を識別するために使用され得る。したがって、血管素材として識別された領域と、非血管素材として識別された領域とが、レベルセットセグメント化法を初期化するために使用され得る。血管点と非血管点との両方を識別し、そしてラベル付けすることによって、より正確であり、かつ、より効率的な「2面」レベルセットセグメント化が、以下でさらに詳細に記述されるように行われ得る。
【0082】
隆起検出とガウスプロファイリングとが、上記の実施形態において、血管に特徴的な特徴を検出するために使用され得るが、あらゆる方法が、画像内の血管素材を識別するために使用され得る。あらゆる方法が、レベルセットセグメント化法を初期化するために、血管素材の一部である可能性のある点、領域、または構造を識別し、および/または非血管素材の一部分である可能性のある点、領域、または構造を識別するために使用され得るということが理解されるべきである。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0083】
アクト626において、血管素材としてラベル付けされた領域と、非血管素材としてラベル付けされた領域とが、初期設定から展開するために、偏微分方程式(PDE)を利用するレベルセットセグメント化アルゴリズムを初期化するために使用され、完全にセグメント化された領域に収束する。すなわち、血管素材としてラベル付けされる画素/3D画素は、PEDによって記述された力の関数として展開し始め、PEDが途中で遭遇する画素/3D画素を、血管素材を表すとしてラベル付けする。同様に、非血管素材としてラベル付けされる画素/3D画素は、PEDの力に従って展開し、PEDが途中で遭遇する画素/3D画素を、非血管素材を表すとしてラベル付けする。したがって、2面レベルセットセグメント化法が行われ、ラベル付けされた血管の画素/3D画素と、ラベル付けされた非血管の画素/3D画素との両方から展開する。レベルセットアルゴリズムは、画素/3D画素の全てが、血管または非血管いずれかを表すとしてラベル付けされたときに完了し得る。
【0084】
一実施形態において、領域が近傍の画素に展開する速度は、少なくとも部分的には、領域が同様な素材の範囲にあるか否かに依存する。すなわち、血管領域は、より血管範囲に似た範囲においては速く展開し、そして、あまり血管範囲らしくない範囲においては速度を落とす。同様に、非血管領域は、非血管領域である可能性の少ない領域よりも、非血管領域である可能性の高い領域において速く展開する。あるいは、血管領域および/または非血管領域は、(例えば、一定の高速マーチング法におけるように)均一な速度で展開し得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。他のレベルセットセグメント化法が当業者に見出され、そして、本発明の局面は、上で記述された2面レベルセットセグメント化法、または任意の特定のレベルセットセグメント化法、もしくは他のセグメント化法に限定されないということが理解されるべきである。
【0085】
さらに、他の特性が、レベルセットアルゴリズムの展開を制御するために使用され得る。例えば、画像の縁が、領域の展開を減速および/または停止させるために使用され得る。特に、縁に遭遇することが、領域が血管素材から非血管素材(またはその逆)にわたっているというしるしとして使用され得る。したがって、縁検出は、適切な画素/3D画素を縁としてラベル付けするために画像において行われ得る。縁は、血管領域の展開と非血管領域の展開とに対する境界として、レベルセットアルゴリズムと、レベルセット関数とに輪郭線を提供する。したがって、縁は、さらなる力、および/またはレベルセット展開を記述するPEDの制約を提供する。
【0086】
レベルセットセグメント化アルゴリズムが、収束したときに、画像は、血管の画素/3D画素と、非血管の画素/3D画素とにセグメント化される(例えば、バイナリ画像にセグメント化される)。画像615が、セグメント化された画像625にセグメント化されると、さらなる処理が、血管の画素/3D画素に関する少なくとも1つのサイズ特性を決定するために、画像に行われ得る。本明細書において記述されているように、一実施形態は、アクト620における血管素材の半径の識別を決定することを含む。しかしながら、1つ以上のBMVD演算を容易にする他のサイズの特性が、決定され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0087】
図6Cは、本発明の一部の実施形態に従った、セグメント化された画像を半径でラベル付けする方法を例示する。特に、方法630’は、図6Aに例示された方法600におけるアクト630として行われ得る方法の一実施形態である。アクト632において、距離変換が、セグメント化された画像625’において計算され、該セグメント化された画像625’は、例えば、図6Bにおいて記述された方法620’を行うことによってセグメント化され得る。距離変換は、基準の画素/3D画素からの距離で各画素または各3D画素をラベル付けするあらゆる方法を含み得る。方法630’において、基準の画素/3D画素は、本明細書において境界点と呼ばれる最も近い非血管の画素/3D画素である。
【0088】
図9Bは、図9Aに例示された血管構造のセグメント化された領域において行われる距離変換を例示する。各画素は、画素が最も近い境界の画素(すなわち、最も近い黒色の画素)から置かれた距離でラベル付けされている。距離だけが、各画素にラベル付けされて示されているが、各画素はまた、最も近い境界点を用いてラベル付けされ得るということが理解されるべきである。例えば、各画素は、1つ以上の最も近い境界点のx,y座標でラベル付けされ得る。結果として、最も近い境界点が、各画素から基準にされ得る。例えば、図9Aにおけるセグメント化された画像は、血管素材(例えば、白色の画素)および非血管素材(例えば、黒色の画素)として、画素をラベル付けする任意の所望のセグメント化アルゴリズムからもたらされ得る。
【0089】
距離変換は、境界において波面を生成し、そして、各反復において、一回に、1画素だけ、境界から前方に、かつ、離れるように波面を前進させると考えられ、そして、それによって計算され得る。境界からの距離が、各反復において増分され、そして、波面と遭遇する各画素が、増分された距離でラベル付けされる。図9Bにおいて、距離変換が、簡潔にするために、市街地ブロック距離またはマンハッタン距離を使用して計算されている。すなわち、波面は、垂直方向と水平方向とにだけ動く。したがって、2Dにおける最も近い境界点(xb,yb)からの画素(xn,yn)の距離は、/xn−xb/+/ynyb/である。同様に、3Dにおけるもっとも近い境界点(xb,yb,zb)からの3D画素(xn,yn,zn)の距離は、/xn−xb/+/yn−yb/+/zn−zb/である。
【0090】
他の距離測定方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、
【0091】
【数4】
および
【0092】
【数5】
として、最も近い境界点からの距離を計算するユークリッド距離が、距離変換において距離を計算するために使用され得る。あるいは、チェス盤距離が使用され得る。チェス盤距離を使用する場合、垂直方向、水平方向、および対角方向の移動は全て、距離の観点から等価であると考えられる。すなわち、チェス盤距離は、
2DにおいてDchess=max(/xn−xb/,/yn−yb/) (7)
そして
3DにおいてDchess=max(/xn−xb/,/yn−yb/,/zn−zb/)(8)
として最も近い境界点からの距離を計算する。
【0093】
他の距離測定が、同様に使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、さらに高度な方法が、距離変換を計算するために使用され得る。例えば、距離は、画素の境界の粒度を使用して遭遇する離散化誤差の多くを回避するためにサブピクセルレベルで計算され得る。さらに、距離は、セグメント化された画像の中心軸を計算することによって、解析的に、または反復的に計算され得る。画像内の画素および/または3D画素と最も近い境界点、もしくはその最も近い境界点が生じる境界との間の距離をマッピングするあらゆる距離変換方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0094】
アクト634において、距離変換画像633は、半径でラベル付けされた画像635’に転換される。図6に例示された概略的な血管の半径が、血管網の中間軸に対応するということが理解されるべきである。当該分野において公知であるように、物体の中間軸は、物体の中の最大の内接(2点で接する)円の中心の軌跡である。すなわち、中間軸は、最も近い境界点からのその点の距離が、同じ最も近い境界点からのそれを共有する他の全ての点以上である点の組である。したがって、距離変換に関連して、中間軸は、その最も近い境界点から最大の距離である全ての点(すなわち、各画素は、境界に戻る最も長い最短経路とを有する)を識別することによって計算され得る。中間軸は、図9Cにおいて太字で強調されている。
【0095】
したがって、境界からの中間軸点の距離は、その点における物体の半径を示すために使用され得る。さらに、中間軸への波面によって取られる経路に沿う各画素も、中間軸における半径でラベル付けされるべきである。各画素に対する最も近い境界点は、既知であり、そして、距離変換の間にラベル付けされ得るので、中間軸点と同じ境界点を共有する全ての点が、中間軸点の距離でラベル付けされ得る。図9Cは、図9Bに示された距離変換画像633から転換された半径でラベル付けされた画像を例示する。示されているように、各画素は、画素が関連付けられる血管の半径でラベル付けされている。
【0096】
マンハッタン距離が、距離変換を計算するために使用されたので、中間軸点から境界に戻る複数の最長の最短経路が存在し得る。図9Cにおいて、これらの経路に沿った画素のそれぞれが、対応する中間軸点の距離でラベル付けされた。各画素、さらに詳細には、中間軸点における最も近い境界点の情報を維持する多数の方法が存在する。例えば、双方向のポインタが、そこから波面が伝播したその画素/3D画素を示す各画素/3D画素において維持され得る。中間軸が決定されると、境界点から中間軸まで各経路に沿った画素/3D画素が、同じ経路で戻り得、そして、経路に沿った画素/3D画素は、中間軸点における距離の測定値でラベル付けされ得る。本発明の局面は、この点においては限定されないので、任意の適切なアルゴリズムが、距離変換を行い、そして、半径でラベル付けされた画像に距離変換を転換するために使用され得るということが理解されるべきである。
【0097】
図9Cは、1つ以上のBMVD測定を行うために充分な情報を含む。特に、各画素における血管サイズが計算され、したがって、既知である。さらに、画像は、血管点と非血管点とにセグメント化され、血管サイズのあらゆる所望の範囲に対する、血管範囲と非血管範囲との間の比較を容易にする。画像は、血管分布特性などの空間的な情報を獲得するために、多数の範囲に分割され、および/または少なくとも部分的に分析される血管のサイズに依存したサイズを有する範囲に分割され得るということが理解されるべきである。図7dにおける画像は、生物学的な脈管構造を含む実際の画像に行われ得る本発明の概念のうちの少なくとも一部を明確に例示するために概略的なものであるということが理解されるべきである。さらに、方法620’と方法630’とが、例示を容易にする目的で、2D画像に関して記述されている。しかしながら、本明細書において記述された方法は、3Dにおいても同様に行われるように設計され得る。したがって、本明細書において記述された方法は、どのような特定の寸法の画像に限定されない。
【0098】
本明細書において記述された方法、さらに詳細には、図6および図7と関連付けて記述された方法は、(ビン化すること、および/または空間的にセグメント化することから血管の特性に関するより多くの情報を抽出することに加えて)方法が、自動的に行われ得るという点で従来のMVD計算を上回る実質的な利益を提供する。すなわち、方法は、医師などの訓練を積んだ専門家によって分析が行われるのではなく、コンピュータ実装されたプログラムを用いて画像を処理することによって行われ得る。したがって、自動BMVD計算は、マニュアルでセグメント化することと、関心のある画層において1つ以上のBMVD測定をマニュアルで行うこととの時間を消費し、かつ、誤差を生じやすい作業から、訓練を積んだ医師を解放する。
【0099】
本出願人は、BMVD測定値は、癌性腫瘍などの生物学的な異常の診断、予測、および予後に関する多数の用途において使用され得るということを理解する。特に、血管分布に関する時空的な情報が、腫瘍の様子と、特定の抗腫瘍起因性血管形成剤などの有効性などの処置の有効性と、どのように、腫瘍が、異なるサイズの血管に関して、時間の経過と共に変化しているかとに関する様々なインジケータを提供する。本発明の様々な局面に従った、1つ以上のBMVD測定値を使用した多数の例示的な用途が、ここで記述される。本出願人は、その全体が参考として援用される2005年12月22日出願のPCT出願第US2005/047081号において、血管の特性、分布、サイズ、形状などの情報を取得することによって容易にされる様々な用途を識別および開示した。本出願人は、これらの用途のうちの特定のものが、1つ以上のBMVD測定値を獲得するか、1つ以上の代替のビン方式分析を使用するかによって容易にされるということを理解する。あらゆる用途が、異なるサイズの微小脈管形成の1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のビンに限定される分析を含み得るということが理解されるべきである。例えば、ビン方式分析は、診断の用途に有用であり得る。一実施形態において、本発明の局面が、インサイチュの管状網のパターン(例えば、個々の構造特徴または分布)と関連付けられる疾患を検出および診断するために使用され得る。一部の場合において、診断は、一回の、関心のあるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の検査から与えられ得る。あるいは、被検体における疾患の予後が、2つ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の時点において構造分析を行うことによって追跡され得る。疾患の追跡は、診断情報および予後情報を患者に提供するために使用され得る。例えば、疾患の予後情報は、腫瘍の進行性および/または侵襲性を評価するために使用され得る。
【0100】
本発明は、1つ以上の疾患に関連付けられる徴候の存在に対して個人または個体群をスクリーニングするために使用され得る。本明細書において述べられるように、スクリーニングは、体全体のスクリーニングであり得るか、1つ以上の標的領域(例えば、特定の臓器または組織)に焦点を合わせられるかであり得る。
【0101】
一実施形態において、本明細書において記述された技術は、1つ以上の、疾患と関連付けられる構造的なパターンまたは構造的な特徴を有する個人を自動的に識別するために使用され得る。次に、これらの個人は、さらなる病気の徴候に関してテストされ得る。次のテストは、任意の適切な形態で行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、テストの追跡調査は、従来の技術を利用し得る。限定ではない例として、本発明の局面の使用は、費用効果の高いスクリーニング技術を可能にし得、該費用効果の高いスクリーニング技術は、疾患の危険にあるような比較的小さな候補のプールを識別し得、そして、最終的な診断または予後に到達するために、技術の追跡調査は、本明細書に記述された本発明の技術を使用して狭められない幅広いサンプルに行うにはあまりにも高価であり得る比較的高価なテスト手順の使用を正当化し得る。さらなる例として、本明細書に記述された本発明の局面は、単独で、または他の技術と組み合わせていずれかで、次のテストを行うために使用され得る。この局面において、初期スクリーニングの感度は、初期スクリーニングがいくつかの偽陽性を示すよう比較的高く設定され得、そして、本明細書に記述された本発明の局面に従った技術の次の適用が、さらに詳細な情報を提供し得るより高い感度で利用され得る。
【0102】
一実施形態において、本発明の局面は、1人以上の個人における疾患の徴候の存在を識別するために、危険な状態の個人(例えば、癌、循環障害、または他の疾患などの疾患に対する遺伝子的な要因または他の危険な要因を有する個人)の個体群をスクリーニングするために使用され得る。
【0103】
一実施形態において、本発明の診断方法は、効率とスループットを増加させ、そして、個々の医師と関連付けられる変動性を減少させるようにコンピュータ実装されている。しかしながら、本明細書において考察されたように、一部の実施形態において、最終的な診断は、本明細書に記述された本発明の局面を使用して、自動的な分析または構造的な表示によって生成された情報に基づいて医師によって行われ得る。
【0104】
上記から理解されるように、本発明の局面は、病気を有することが分かっている患者に使用され得るか、定期的に健康な被検体をスクリーニングするために使用され得る。被検体は、1つ以上の疾患に対してスクリーニングされ得る。スクリーニングは、定期的(毎週、毎月、毎年、または他の時間間隔)に行われるか、一回のイベントとして行われ得る。異なる条件が、異なる時間間隔で、そして、異なるリスク要因(例えば、年齢、体重、性別、喫煙歴、家族歴、一般的なリスク、毒素および/もしくは発癌物質に対する暴露、またはそれらの組み合わせ)の関数でスクリーニングされ得る。
【0105】
一実施形態において、本発明の局面は、脈管構造の変化と関連付けられる疾患を診断、評価、または段階付けるために利用され得る。脈管構造におけるわずかな変化の検出が、早期段階の疾患検出と疾患のモニタリングとに有益であり得る。ビン化された血管の形態学的な決定が、分析され得、そして、1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、異常な特性の存在に関して評価され得る。一実施形態において、一連の連結された分枝された血管を含む脈管構造が、獲得され得、そして、該脈管構造は、動脈、細動脈、静脈、細静脈、毛細血管、および他のサイズの血管を含み得る。しかしながら、本発明の局面に従って、連結された脈管構造は、必要とされず、そして、異なるサイズの血管が、別々に分析され、そして、ヒストグラムまたは他の形式の分布表示に表示され得る。本発明の一部の局面において、全身の血管が分析され得、そして、他の局面において、標的の臓器、組織またはそれらの一部の血管が、分析され得る。本発明の一部の局面において、血管サイズのサブセット(例えば、約500ミクロン、好適には、約200ミクロン、さらに好適には、100ミクロン、またさらに好適には、50ミクロン、またさらに好適には、25ミクロンを下回る直径を有する血管)だけが、ビン化され、そして、分析される。一実施形態において、毛細血管だけが分析される。別の実施形態において、毛細血管、ならびに小さな動脈および小さな静脈(細動脈および細静脈)が、分析される。例えば、樹枝状脈管構造(例えば、食道粘膜の樹枝状脈管構造などの粘膜の樹枝状脈管構造)が、それが発見されたあらゆる組織において分析され得る。
【0106】
脈管の樹枝状分岐の分枝が、患者の状態に関する情報を探り出すために分析され得る。一実施形態において、脈管の樹枝状分岐の分枝は、腫瘍起因性血管形成の特定の特性が、評価され得る特定の領域を識別するために追跡され得る(例えば、異常な構造が疾患と関連付けられる血液を供給している場合に、異常な構造を有し得る小さな血管を識別するために、大きな分枝から開始して、そして、分枝の第2、第3、もしくは第4、またはそれに続くレベルに樹枝状分岐を追跡する)。あるいは、脈管の樹枝状分岐におけるいくつかの異なるサイズが、腫瘍起因性血管形成の徴候に関して評価され得る。別の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の全体的な分枝パターンが、分析され得る。例えば、健康な脈管の樹枝状分岐は、血管が分枝するにつれて、血管のサイズが概ね減少するという点でほぼ階層的であり得る。対照的に、疾患の(例えば、腫瘍起因性血管形成の)脈管の樹枝状分岐は、血管のサイズがほとんど減少しないか、全く減少しないかなりの血管の分枝の範囲を伴うあまり階層的ではないものである。分析の性質および程度は、診断評価の目的に依存し得るということが理解されるべきである。例えば、全身の走査は、異なる疾患の徴候に関して、全ての脈管構造を選択し、そして、全脈管網を分析して評価され得る。あるいは、疾患にかかった疑いのある体の領域が、選択され得、そして、データが、(例えば、関心のある領域の構造のセグメント化された表示を獲得するために)その領域の脈管構造に焦点を合わせるように処理され得る。関心のある領域は、臓器(例えば、膵臓、肝臓、乳房、結腸など)または組織(皮膚の表皮組織)であり得る。異常な脈管構造の存在は、早期段階の検出が効果的な治療に重要である広範な疾患の早期段階の徴候であり得る。
【0107】
脈管構造の変化と関連付けられる疾患(例えば、所与のときにおける異常な脈管パターンの存在、または時間の関数として観察された異常な組織の変化によって検出され得る)は、限定するものではないが、癌、心臓病および関連の循環器障害、眼病、皮膚病、および外科的状態を含む。例えば、脈管構造の変化と関連付けられる疾患および状態は、限定するものではないが、腫瘍性脈管形成、再発性癌および進行性癌、冠状動脈疾患、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、アテローム性プラーク新脈管形成、閉塞性動脈疾患、虚血、虚血性再脈管形成または心筋塞栓後虚血性再脈管形成、抹消血管症(糖尿病性網膜症を含む)、血栓塞栓症(例えば、卒中、肺塞栓、脳動脈瘤、および深部動脈血栓症)、はこう、リウマチ疾患(例えば、関節炎)、免疫疾患(例えば、リウマチ性関節炎、脈管炎、ウェグナー肉芽腫症、および全身性狼瘡紅斑(SLE))、肺疾患(気腫、COPD、特発性肺繊維症、肺動脈高血圧症、および他の呼吸器疾患を含む)、骨髄腫、脈管増殖疾患、胃腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患(IBD))、婦人科疾患(子宮内膜ポリープ、膣出血、子宮内膜症、不正子宮出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、子宮頸癌、および子宮頸形成不全)、皮膚疾患(小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水泡症、スティーブンス−ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症(TEN))、眼の疾患(黄斑変性症、黄斑症、糖尿病性網膜症、および未熟網膜症(水晶体後方繊維増殖症))、創傷治癒、免疫応答と関連付けられる炎症、下肢虚血および心虚血を含む虚血、アルツハイマー病、および創傷解離、バーガー症(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症(ASO)、虚血性潰瘍)などの他の疾患、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底肥大吸虫症、足底筋膜炎、フォンヒッペルリンドウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺症、良性前立腺肥大症、糸球体腎炎、異所性骨形成、およびケロイドを含む。
【0108】
これらの異なる疾患は、脈管構造の異なる変化によって特徴付けられる。したがって、本発明の一局面において、パラメータと、採点方法が、疾患を示す脈管構造の特定の特性に基づいて、特定の疾患と、それらと関連付けられる治療とを検出、診断、およびモニタリングするために使用され得る。各疾患のカテゴリー内でさえも、異なる疾患は、脈管構造における変化によって特徴付けられ得る。したがって、構造の探索および採点は、カテゴリー内の特定のタイプの疾患に対する感度を増加させるように微調整され得る(例えば、肺癌のスコア、乳癌のスコアなどが、開発される)。患者固有の採点パラメータがまた、患者の特定の疾患または特定の障害の進行を追跡することによって開発され得る。
【0109】
構造的な脈管構造の変化は、血管および/またはリンパ管に影響を与える、脈管のアーキテクチャおよび脈管の形態の変化を含む。構造的な変化は、新脈管形成(大きな血管の成長(例えば、動脈形成)を含む)および微小脈管構造の成長(腫瘍起因性血管形成)と、大きな血管の拡張と、脈管の壊死とを含み得る。腫瘍起因性血管形成は、先に存在する血管から出る新たな血管の形成を含む。腫瘍起因性血管形成は、主に発達の間に生じる血管の新たな形成である脈管形成とは異なる。脈管形成は、疾患および障害とほとんど関連付けられない。しかしながら、本発明の局面は、新たな血管の形成における欠陥を識別および理解することを助けるために脈管形成の本来のプロセスを調査するために使用され得る。
【0110】
腫瘍起因性血管形成は、多くの場合に腫瘍の成長と関連付けられ、そして、癌のバイオマーカとして有用である。腫瘍起因性血管形成はまた、新たな血管の成長が、(血栓症、塞栓症、アテローム性動脈硬化症、または他の慢性的な閉塞、または脈管構造の偏狭のいずれかに起因した)酸素供給または血流の減少に反応して生じる状態と関連付けられ得る。特定の呼吸器疾患、心血管疾患、および炎症性疾患がまた、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる。
【0111】
腫瘍起因性血管形成の血管は、確立した血管の構造的特性とは異なる構造的特性を有する。例えば、腫瘍起因性血管形成の血管の分枝パターンとねじれとは、正常な血管とは非常に異なる。これらの構造的な特徴と、他の構造的な特徴とが、主に、微小脈管構造において見つけられ、そして、脈管構造の構造的な画像を探索および採点するために使用され得る。しかしながら、動脈および静脈などの大きな血管の変化もまた、特定の疾患または特定の疾患の段階(例えば、大きな腫瘍の成長および発達、腫瘍の末期段階)と関連付けられ得る。
【0112】
腫瘍を維持する脈管構造は、一般的に、(柔組織における)悪性細胞を維持する腫瘍の結合組織(間質)と関連付けられる。本明細書において考察されたように、腫瘍性血管は、不規則に間隔を置かれており、そして、不均一な構造パターンまたは特徴によって特徴付けられる。しかしながら、腫瘍性血管の形成と腫瘍起因性血管形成の他の形態とは、一連の特徴的な段階を含み得る(例えば、その全開示が本明細書において参考として援用される、Dvorak、2003年、American Journal of Pathology、Vol.162:6、pp.1747〜1757を参照。)。早期段階の腫瘍起因性血管形成は、脈管の過透過性と、フィブリン堆積およびゲル形成と、浮腫とによって特徴付けられ得る。これは、小静脈などの微小血管の拡大をもたらし得る。拡大された微小血管の断面積は、正常な微小血管の断面積の約4倍である。拡大された微小血管の周囲は、正常な微小血管の周囲の約2倍であり得る。拡大された微小血管は、活性腫瘍起因性血管形成の領域において、正常な微小血管の体積の約4〜7倍を占め得る。拡大された微小血管の出現には、拡大されており、薄壁性であり、蛇行性であり、そして、過透過性である「母」血管の出現が続き得る。母血管は、架橋が進行し、それにより、経腔内架橋が形成され、血管の中の血流をより小さい経路に分割する。発達する母血管はまた、1つ以上の糸球体を含み得、該糸球体は、一般的には曲がりくねったいくつかのより小さい経路に母血管の管腔を分割するように拡張し得る。母血管における架橋と糸球体の形成とは、腫瘍起因性血管形成に特徴的な小さな毛細血管の出現をもたらし得る。しかしながら、一定の母血管は、薄壁を有する異常に拡大された血管として生き残る。これらの脈管の形成異常は、多くの場合に、非対称的な筋層の存在と血管周囲繊維症とによって特徴付けられる。小さな動脈と細動脈とはまた、疾患組織においてサイズを増加させ得る。本発明の局面は、本明細書において記述された血管構造の変化のうちの任意の1つ以上のものを検出および/またはモニタリングすることを含む。一実施形態において、新たな血管形成に特徴的な1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の存在が、疾患を検出またはモニタリングするために使用され得る。別の実施形態において、1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の存在は、身体領域内の腫瘍起因性血管形成の段階(例えば、早期段階、中期段階、末期段階など)を決定するために使用され得る。
【0113】
したがって、血管サイズ(直径および/または長さ)の異常な変化は、癌、または血液供給の増加と関連付けられる他の疾患などの疾患の早期段階の徴候であり得る。血管サイズの変化は、腫瘍起因性血管形成のあらゆる構造的な徴候が現れる前に生じ得る。一実施形態において、本発明の局面は、膨んだ、および/または通常よりも長い血管(例えば、毛細血管)の検出のために有用である。例えば、本発明の局面は、(例えば、食道粘膜における癌の早期段階と関連付けられる)異常に長い上皮乳頭間ループ状毛細血管をインサイチュで検出するために有用である。
【0114】
一部の実施形態において、腫瘍組織の壊死を示す血管の変化が、腫瘍組織の進行性、および/もしくは転移の可能性、および/もしくは治療に対する反応性、および/もしくは治療処置(例えば、候補の薬物)の効能、および/もしくは治療処置の選択、ならびに/または修正(例えば、個々の患者に対する薬物または投与量の変化)を示し得る。したがって、壊死を示すインサイチュのパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)は、患者の予後に対する有用なバイオマーカであり得る。特定の実施形態において、腫瘍の領域内の壊死は、その領域内の以下のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布):血管構造の崩壊、貧弱な脈管形成(例えば、腫瘍の他の領域に対する低血管密度、または腫瘍の周囲に対する低血管密度)、時間の経過による血管のサイズまたは形状の変化、閾値よりも低い数の血管、腫瘍の体積の中で閾値を上回る距離(例えば、100ミクロンを上回る距離、150ミクロンを上回る距離、または200ミクロンを上回る距離)だけ離された(例えば、微小血管または毛細血管内の)血管、過少脈管形成を示す微小血管の直径または密度など、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上によって示され得る。一部の実施形態において、無血管形成または過少血管形成の体積が、評価または定量化され、そして、壊死のインジケータとして使用され得る。壊死の他の徴候が、単独で、または血管の特徴と組み合わせて使用され得るということが理解されるべきである。他の徴候は、組織崩壊、または(例えば、CTなどを使用して)視覚化され得る空洞形成の徴候、および/または代謝活動の1つ以上のマーカ(例えば、PETスキャンを使用して分析され得るものなど)を使用した組織の生存能力の徴候を含み得る。
【0115】
本発明の局面は、被検体(例えば、被検体における腫瘍)における壊死の範囲の検出(例えば、自動検出)のために使用され得る。壊死の領域は、疾患組織の境界内の無血管領域である。本発明の方法は、脈管形成された疾患組織と、壊死領域の境界を画定する無血管領域との間の遷移を(例えば、自動的に)検出するために使用され得る。
【0116】
本発明の局面は、治療に対する反応を(例えば、自動的に)検出または評価するために使用され得る。例えば、治療(例えば、特定の薬物、および/もしくは薬物の特定の用量、ならびに/または薬物の組み合わせおよびこれらの薬物の特定の用量の組み合わせ)に対する反応が、以下のように検出および評価され得る。血管パターンの変化(例えば、血管の正常化/直線化、より低い微小血管密度をもたらし、そして、より大きな血管に向かった血管の直径分布のひずみをもたらすより小さい直径の血管の消失)が、疾患組織の境界と壊死範囲の境界とによって画定される体積の中で検出および/または評価され得る。壊死範囲の絶対的な体積のサイズの増加および/またはかかる変化の速度が、疾患(例えば、腫瘍)の全体積は、一定なままであるが、治療が有効であるというインジケータとして検出および/または評価され得る。壊死範囲の絶対的な体積サイズと、全疾患(例えば、腫瘍)の体積との間の比率の増加、および/またはこの比率の変化の速度が、検出および/または評価され得、そして、治療が有効であるインジケータとして使用され得る。疾患組織の体積と壊死領域の体積との比率が、検出および/または評価され得、比率が、1に近付き、そして、全体的な疾患組織の体積が収縮し始めたときに、それは、治療が有効であるというしるしを提供する。
【0117】
したがって、一部の実施形態において、ビン方式分析は、治療の反応の予測となり得る。
【0118】
特定の実施形態において、ビン方式分析は、1つ以上の治療薬と関連付けられる望ましくない副作用からもたらされる脈管構造の変化に感度が高くなり得る。したがって、ビン方式分析は、特定の薬物の中毒性の副作用を検出または定量化するために使用され得る。
【0119】
ビン化された血管の形態は、血管が正常であるか、(例えば、疾患と関連付けられる)異常であるかという可能性に関するスコアを提供するために使用され得る特定のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を識別および評価するために探索され得る。血管を採点するためのパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)は、限定するものではないが、以下:直径、曲率、(例えば、ねじれの程度、異常なねじれが観察される血管の長さかなどを含む)ねじれ、(距離全体にわたるか、体積における空間的な変動性または不均一性を含む)変動性もしくは不均一性、分枝の形状またはパターン、分枝の密度、分枝の階層性、血管密度、血管サイズの分布(大血管構造に対する微小血管構造の比率)、フィールド効果(特定の領域に向かって曲がる血管の存在)、血管の直径分布、血管または血管の断片の幾何形状的な向きの変動性、およびフィールド内の向きの分布を含む。スコアは、これらのパラメータのうちの2つ以上(たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上、または全て)が評価された場合には、さらに有意性を持ち得る。一部の実施形態において、スコアが、患者固有の医学的情報(例えば、年齢、体重、身長、性別など)、およびX線または他の画像上の目に見える病変などの疾患の1つ以上の追加のインジケータの存在などの追加情報と組み合わされたこれらの構造的なパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される。一部の実施形態において、スコアが腫瘍に対して提供され得る。有用なスコアの例は、腫瘍の脈管質を反映しているスコアである。異常に高い脈管質(正常な血管数、正常な血管密度、正常な血管の長さ、または上記の組み合わせよりも高いと測定されている)は、概して、より進行性の腫瘍またはより侵襲性の腫瘍を示す。一実施形態において、脈管質は、腫瘍起因性血管形成の脈管構造の管腔の体積(腫瘍と関連付けられる血管の樹枝状分岐の中の体積)を測定することによって評価される。別の実施形態において、脈管質の評価指標は、腫瘍起因性血管形成の管腔の体積を充実性腫瘍の体積で除算することによって提供される。追加情報は、2つ以上の時点でスコア(または他の構造的な評価)を取得することから探り出され得る。変化するスコア(または他の構造的な評価)は、疾患または障害と関連付けられ得る発達する脈管構造を示す。本明細書において記述されたパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、調査される血管に連結性を課すことなく分析のフィールドに対して識別および分析され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、正常な特徴とは異なる、個々の血管の1つ以上の構造的な特徴または血管の1つ以上の幾何形状的な特徴を検出するために、血管の断片だけを分析することが充分であり得る。例えば、0.5mm、1mm、5mm、10mm、50mm、1cm、5cm、10cm、50cmなどの平均長を有する血管の断片が使用され得る。しかしながら、より短い長さ、もしくはより長い長さ、または中間の長さが、使用され得るということが理解されるべきである。本明細書において記述された本発明の採点および探索の局面は、自動化され得る。したがって、疾患(例えば、腫瘍起因性血管形成)の脈管構造が、正常な脈管構造の中から自動的に検出され得る。血管のねじれ、血管の分枝、血管の密度、および全血管内体積を含む様々な脈管構造のパラメータが、別々に、またはあらゆる組み合わせのいずれかで自動的に検出および採点され得るが、本発明は、どのような特定のパラメータまたはどのような特定のパラメータの組み合わせにも限定されない。
【0120】
一実施形態において、本発明の局面は、卒中、肺塞栓、閉塞された微小冠状動脈、深部静脈血栓などを含む閉塞された血管と血栓塞栓症の発生とを検出するために使用され得る。閉塞された血管は、(1)直接的に、閉塞された血管の構造的な変化(例えば、血塊、壁の肥厚化、または他の血流低下の徴候)を検出することによって、および/または(2)間接的に、閉塞に反応して生成された新たな脈管形成を検出することによって検出され得る。概して、付随的な血管の形成は、癌と関連付けられる腫瘍起因性血管形成よりも規則正しい。本明細書に記述された本発明の一局面はまた、血塊が小さな血管において検出されることを可能にする。
【0121】
本明細書において記述されたように、本発明の局面は、あらゆる組織における異常のあらゆる形態に対してスクリーニングするために、人間または他の動物の脈管構造全体をスクリーニングするために使用され得る。あるいは、体のサブセットがスクリーニングされ得る。したがって、ビン化された血管の構造が、1つ以上の臓器または組織のタイプに関して分析され得る。さらに、標的体積における全脈管の樹枝状分岐に対してではなく、任意の所定のビンにおける血管の一部分だけが、任意の標的体積の中で分析され得る。これは、関心のある範囲に焦点を合わせた構造データを分析することによって行われ得るか、大量の構造データが獲得され得るが、分析は、利用可能なデータのサブセットに制限され得る。一部の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の一部分だけ、例えば、特定のサイズ範囲のものであるそれらの血管の一部分だけが、ビン化および/または分析され得る。一部の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の断片だけが、その断片が関心のあるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を提供するために充分に有用である場合には、表示および/または分析される。断片は、分枝を含み得るか、分枝されていないことがあり得る。分析される脈管構造の一部分が、統計学的に有意であり得るので、あらゆる観察(正常または異常)が、生理学的に有意である。例えば、高い血管密度などの脈管構造の変化(例えば、腫瘍起因性脈管形成)と関連付けられ得るその他任意のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を確実に検出するために、充分な数の血管の下部構造が、分析される場合には、分枝された構造は、分析に必要ではないことがあり得る。本発明の局面において、脈管のパターンは、1mm3、2mm3、5mm3、1cm3、2cm3、5cm3、10cm3などの体積で、インサイチュで検出および/または評価され得る。しかしながら、より小さい体積、もしくはより大きな体積、または中間の体積がまた、分析され得る。
【0122】
異なる組織および異なる臓器(例えば、非常に脈管形成されている肺)は、異なり、かつ、特徴的な血管パターンを有する。したがって、一実施形態において、構造分析と、関連付けられる構造的なパラメータとが、異なる組織の評価に対して最適化され得る。
【0123】
一部の実施形態において、走査データが、1つ以上の臓器(例えば、肺、心臓、結腸、脳、肝臓、膵臓、腎臓、乳房、前立腺など)、もしくは組織(例えば、皮膚、骨など)、または上記の組み合わせに関して獲得および/または分析される。
【0124】
脳が、脳腫瘍、および/または脈管構造のパターンと関連付けられ得る他の神経障害の徴候に対して評価され得る。例えば、アルツハイマー病は、特定の脈管の異常と関連付けられ得る。一実施形態において、血管パターンの1つ以上の変化(例えば、形状および/またはサイズ)が、脳内の高血圧のインジケータとして検出され得る。
【0125】
一部の実施形態において、臓器または組織の特定の領域が、焦点を置かれる。例えば、アテローム性動脈硬化症は、一般的に、動脈の樹枝状分岐の特定の部分(例えば、分枝、側枝、分流地点の向かい側の領域、腫瘍起因性血管形成が多くの場合にアテローム性動脈硬化症と関連して生じる他の範囲)において見つけられ、そして、特定の癌は、特定の臓器または特定の組織領域においてより頻繁に生じる傾向にある(たとえば、結腸癌は、結腸の長さに沿って均等には分布されない)。
【0126】
他の実施形態において、本発明の局面は、疾患の他の1つ以上の徴候(例えば、便潜血、結腸ポリープ、肺小瘤、1つ以上の嚢胞、または疾患の他の徴候)を有するとして識別された個人を追跡調査するために使用され得る。本発明の局面は、疾患の存在を確認するか、疾患関連の病変の位置を決定するか、疾患の評価および予後を提供するかのために使用され得る。例えば、本発明の局面は、異常な脈管構造が、病変の部位(例えば、結腸ポリープ、肺小瘤、膀胱嚢胞、前立腺嚢胞、乳房嚢胞、マンモグラフィ上の点、もしくはその他任意の嚢胞、こぶ、または物理的に、視覚的に、もしくはその他任意の診断技術を使用して検出され得る点)に存在するか否かを決定し、そして、病変と関連付けられる悪性腫瘍(または他の発癌性疾患の段階)の可能性を評価するのを助けるために使用され得る。したがって、本発明の局面は、事実上の悪性腫瘍の検出(例えば、事実上の結腸内視術、事実上の結腸の悪性腫瘍検出、事実上の気管支鏡法、事実上の肺の悪性腫瘍検出、事実上のマンモグラフィ、事実上の膀胱鏡検査法など)のために使用され得る。
【0127】
他の実施形態において、本発明の局面は、癌性の病変の程度を評価するために、および/または1つ以上の転移性の病変(例えば、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる1つ以上の場所)の存在をスクリーニングするために、癌患者をスクリーニングするために使用され得る。癌患者は、原発性癌の最初の診断の際にスクリーニングされ得る。さらに、または代替的に、癌患者は、最初の癌処置(例えば、手術、放射線療法、および/または化学療法)の後に、少なくとも一度スクリーニングされ得る。このスクリーニングは、あらゆる癌の再発を検出するために元々の癌の場所を含み得る。このスクリーニングは、他の病変の存在に関してスクリーニングするために、同じ組織または同じ臓器において、似た体の組織を含み得る(例えば、癌性の病変が結腸の1つの領域において検出されたときに、結腸全体が、スクリーニングされ得、そして、癌性の病変が第1の乳房において検出されたときには、第2の乳房が、スクリーニングされ得る)。このスクリーニングはまた、全身、または転移性の病変を含むと疑われる1つ以上の他の場所に拡張され得る。一実施形態において、癌患者は、最初の癌処置の後に、何度か(例えば、約6ヶ月の時間間隔、約1年の時間間隔、約2年の時間間隔、約5年の時間間隔、または他の時間間隔)スクリーニングされ得る。
【0128】
一実施形態において、追跡調査手順は、転移性の病変の存在に対して、1つ以上の臓器または1つ以上の組織をスクリーニングすることを含み得る。異なる癌は、転移の異なる特徴的なパターンを有し得る。したがって、異なる標的の場所が、異なる癌に対してスクリーニングされ得る。例えば、転移性の乳癌は、一般的に、肺、肝臓、骨、および/またはCNSに広がる。したがって、患者が、乳癌と診断された後に、これらの組織のタイプまたは臓器のうちの1つ以上が、スクリーニングされ得る。同様に、患者が、他の癌のタイプと診断された後に、他の標的の場所が、スクリーニングされ得る。一部の実施形態において、癌患者の体全体が、転移の徴候に対してスクリーニングされ得る。
【0129】
一局面において、最初のスクリーニングが、低解像度の表示を使用して、および/または、例えば、疾患の徴候を検出するために、わずかに1つ、もしくは2つ、または少ない数(例えば、5つ未満)のパターンパラメータを分析して、全身または全臓器に行われ得る。次に、疾患の存在および/または性質が、高解像度の表示を使用して、および/または、例えば、1つ以上の追加のパターンパラメータ、または最初の検出のために分析されたパラメータ以外の代替のパターンパラメータを分析して、診断され得る。
【0130】
本発明の診断の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0131】
本発明の局面はまた、疾患と関連付けられる1つ以上の構造的な異常の位置を特定することによって疾患の場所を識別するために使用され得る。この情報は、疾患の病変の正確な位置の特定またはその他任意の目的のために、バイオプシー手順または処置(例えば、1つ以上の中毒性の化学物質、放射線、熱、冷気、小分子、遺伝子療法、外科手術、その他任意の処置、または上記のうちの2つ以上の組み合わせを用いた処置)を目的とするために使用され得る。
【0132】
一実施形態において、画像化デバイスは、疾患の病変のリアルタイムの視覚表示を提供するコンピュータに接続される。一実施形態において、リアルタイムの視覚表示は、(実際の画像とは異なり)関連付けられる脈管構造を加えた体の領域と病変との正確なモデルであり得る。この視覚情報は、バイオプシーのための外科用器具を誘導するために使用され得る。あるいは、情報は、侵襲性(例えば、外科的除去またはバイパス)または非侵襲性(例えば、放射線療法)の処置手順を、疾患の病変(例えば、腫瘍または血塊)の部位に誘導するために使用され得る。
【0133】
一部の実施形態において、本発明の局面は、疾患の組織と非疾患の組織との間の境界、もしくは壊死性の組織と非壊死性の組織との間の境界など、またはそれらの任意の組み合わせを画定するために使用され得る。例えば、境界は、関心のある幾つかの範囲に対するビン化されたデータを分析し、そして、非常に異なる血管密度(または疾患、壊死など、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられる他の形態学的パラメータの相違)を有する隣接した範囲を識別することによって識別または画定され得る。
【0134】
一実施形態において、本発明の局面は、処置が適用される前に、処置に対する組織の範囲を識別するために使用され得る。例えば、処置の標的領域が、無秩序な血管構造の境界を検出することによって識別され得る。範囲は、処置が適切に標的に向けられたということを確認するために、処置の後に評価され得る。一実施形態において、構造は、体の領域から取り除かれる組織の程度を識別するために手術前に分析され得る。一実施形態において、体の領域は、どんな異常な構造も見落とされていないかどうかを決定するために、手術後に分析され得る。これは、放射線処置または病変組織の外科的な除去の成功を確認するために使用され得る。あるいは、これは、さらなる外科手術および/または別の形態の処置を決定するために使用され得る。別の実施形態において、疾患の境界は、異常な脈管構造の境界によって画定され得るか、描かれ得る。処置(例えば、放射線療法、外科手術など)は、疾患の境界によって誘導され、および/または疾患の境界に囲まれた体積に制限され得る。
【0135】
一実施形態において、本発明の局面は、外科的インプラントまたは外科的移植の成功を評価するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、臓器移植または組織移植の後の新たな血管の形成を評価するために使用され得る。
【0136】
別の実施形態において、新たな血管の発達は、腫瘍組織の除去後、または腫瘍のバイオプシーの後にモニタリングされ得る。(該腫瘍組織の除去と該腫瘍のバイオプシーとの両方は、腫瘍起因性血管形成を引き起こし、および/または潜伏中の腫瘍を悪性腫瘍に転換し得るものである)。
【0137】
本発明の診断の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0138】
本発明の局面はまた、患者に対する治療処置を最適化するために使用され得る。異なる処置のタイプまたは異なる用量に反応した疾患の進行または退行の程度が、モニタリングされ得、そして、最適な処置が識別され得る。最適な処置は、疾患が進行すると変化し得る。時間の経過に伴う処置の有効性が、本明細書に記述された本発明の局面を使用して、疾患関連のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の変化を分析することによってモニタリングされ得る。
【0139】
一実施形態において、第1の治療が、施され得、そして、異常な血管成長の減速、停止、または後退に関するその有効性が、不定期的に、または一定の時間間隔(例えば、毎日、毎週、毎月、または他の時間間隔)いずれかでモニタリングされ得る。一部の実施形態において、第1の治療レジメンが、疾患の進行に対して所望の効果を有さない場合には、第2の治療レジメンが、評価され得る。同様に、追加の治療レジメンが、患者毎に評価され得る。さらに、本発明は、わずかな治療的な変化の効果をモニタリングし、そして、条件および患者に対して最も効果的に見える条件を使用することによって選択された治療レジメンを最適化(例えば、薬物または他の処置の、用量、タイミング、送達、または他の特徴を最適化)するために使用され得る。
【0140】
処置の治療効果を見るときに、疾患固有のパラメータが、モニタリングされ得る。当然、全てのパラメータが、獲得され得、そして、サブセットだけが、検討され得る。しかしながら、疾患を特徴付けるパラメータに対するビン化されたデータだけを単に獲得することが、より効果的であり得る。
【0141】
本発明の局面に従って、腫瘍起因性血管形成の脈管構造と他の異常な血管とを検出するために使用されるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)がまた、処置に対する疾患の反応をモニタリングするために使用され得る。例えば、腫瘍起因性血管形成の脈管構造または他の疾患の脈管構造の脈管質全体またはその他の体積的分析と、血管サイズの分布(例えば、大きな血管に対する小さな血管の比率)が、疾患の進行または退行のインジケータとして、独立して、または共に使用され得る。概して、微小脈管構造は、抗腫瘍起因性血管形成処置(または他の疾患の処置)が、効果的である場合には、大血管形成の前に消失する。したがって、効果的な処置は、より大きな血管に向かう血管サイズ分布のシフトをもたらす。抗腫瘍起因性血管形成活性の指標は、小さな血管の損失、または単一のサイズに向かった観察された血管のシフトいずれか(または両方)として採点され得る。
【0142】
別の局面において、パラメータは、時間の経過による変化であり得る(または時間の経過による変化を含み得る)。例えば、第2の時点に存在する構造は、第1の時点に存在する構造と比較され得る。一実施形態において、疾患は、治療前および/または治療後に追跡され得る。当然、さらなる時点が使用され得る。時点は、観察される状態(例えば、既に識別された疾患の進行であるか、時間の経過による患者のスクリーニングであるか)に依存し得る。期間は、毎日、毎週、毎月、毎年、またはより短い期間、中間の期間、もしくはより長い期間であり得る。時間間隔は、一連の定期的な期間であり得る。しかしながら、他の時間間隔もまた有用であり得る。一実施形態において、患者固有の基準が、確立され、そして、時間の経過と共にモニタリングされる。例えば、結腸、乳房、もしくは他の組織、または他の臓器における脈管構造の変化が、定期的にモニタリングされ得る。
【0143】
本発明の一局面において、処置のタイプが、1つ以上の、疾患と疑われる場所(癌の場所)において検出された異常な脈管構造(例えば、腫瘍起因性脈管形成)の程度または範囲によって決定され得る。例えば、癌と疑われる場所または転移が、腫瘍起因性血管形成の前であるか、早期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、どのような形式の処置も用いることなくその場所をモニタリングすることが適切であり得る。しかしながら、適切な治療は、あらゆる新たな脈管構造の形成を防止するために1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤の投与を含み得る。癌と疑われる場所または転移が、中期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、適切な治療は、1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤の投与であり得る。癌と疑われる場所における中期段階の腫瘍起因性血管形成を有する患者はまた、あらゆるさらなる血管の発達が、より積極的に処置され得るようにモニタリングされるべきである。癌と疑われる場所または転移が、末期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、適切な処置は、少なくとも1つ以上の化学療法(例えば、細胞障害性の化学療法、および/またはホルモンベースの化学療法)、放射線療法、外科手術、および/または1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤を用いた処置を含み得る。しかしながら、上記の処置の選択肢のうちの任意のものが、あらゆる程度の腫瘍起因性血管形成と関連付けられるあらゆる1つ以上の病変を有する患者を処置するために使用され得るということが理解されるべきである。
【0144】
腫瘍起因性血管形成阻害剤の例は、限定するものではないが、2−メトキシエストラジオール(2−ME)、AG3340、アンジオスタチン、アンジオザイム、アンチトロンビンIII、VEFG阻害剤(例えば、抗VEFG抗体)、バチマスタット、ベバシツマブ(アバスタチン)、BMS−275291、CAI、2C3、HuMV833カンスタチン、カプトプリル、軟骨由来阻害剤(CDI)、CC−5013、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、COL−3、コンブレスタチン、コンブレスタチンA4フォスフェート、ダルテパリン(FRAGIN(登録商標))、EMD121974(シレンジチト)、エンドスタチン、エルロチニブ、(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ)、ゲニステイン、ハルフジノン、ヒドロブロミド(TEMPOSTATINTM)、Id1、Id3、IM862、イマチニブメシレート、IMC−IC11誘導タンパク質10、インターフェロンα、インターロイキン12、ラベンダスチンA、LY317615またはAE−941(NEOVASTATTM)、マリマスタット、マスピン、メドロキシプロゲステロンアセテート、Meth−1、Meth−2、ネオバスタット、オステオポンチン分解産物、PEX、色素上皮成長因子(PEGF)、血小板第4因子、プロラクトンフラグメント、プロリファリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222584、ZD6474、組み換えヒト血小板第4因子(rPF4)、レスチン、スクワラミン、SU5416、SU6668、SU11248スラミン、タキソール、テコガラン、サリドマイド、トロンボスポンジン、TNP−470、トロポニンI、バソスタチン、VEG1、VEGF−Trap、およびZD6474を含む。
【0145】
一部の実施形態は、特定のインサイチュの血管構造の分析に基づいて、処置のための被検体を選択し、および/または処置もしくは一連の治療を選択する方法を含み得る。方法は、例えば、スコアを獲得するために人間の被検体におけるインサイチュの脈管構造を分析することを含み得る。スコアは、(例えば、明らかに健康な個体群における)コントロールスコア、または同じ被検体の先の分析からの先のスコアと比較され得る。処置または一連の処置は、かかる比較に基づき得る。一部の実施形態において、脈管構造の分析を獲得することが、時間の経過による治療に対する人間の被検体の反応をモニタリングするために繰り返される。本発明のこの局面の一部の実施形態において、方法は、さらに、人間の被検体における疾患の第2の指標を測定することをさらに包含し、処置または一連の治療を決定することはまた、該第2の指標の測定値に基づいている。
【0146】
特定の実施形態において、過少に脈管形成された腫瘍(例えば、壊死の徴候を示す腫瘍)を有する患者が、1つ以上の抗腫瘍起因性血管形成化合物を用いた処置に対して選択され得る。過少に脈管形成された腫瘍は、血管の低い密度を有する腫瘍、または血管の直径が小さい(例えば、脈管形成された腫瘍に一般的な閾値の数を下回る)腫瘍として識別され得る。
【0147】
本発明の局面はまた、時間の経過による血管のパターンまたは特徴の存在をモニタリングすることによって治療の有効性をモニタリングすることを含み得る。例えば、治療に反応した腫瘍における血管の進行性の消失は、治療が有効であるという徴候であり得る。対照的に、脈管構造に影響が存在しないことが、治療が患者に有効ではないというインジケータであり、かつ、代替の治療が考慮または使用されるべきであるというインジケータであり得る。
【0148】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0149】
一実施形態において、本発明の局面は、関心のある生物学的な過程(例えば、疾患の発達および進行)と関連付けられる構造的な変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の脈管構造が、創傷治癒、異なる疾患、または異なる疾患の段階と関連付けられ得る追加のパターン(例えば、特定のビン化されたサイズ範囲とだけ関連付けられる個々の構造的な特徴、分布または変化)を識別するために分析され得る。これらの追加のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、本発明の診断、介入、治療、および開発の局面のうちの1つ以上において使用され得る。
【0150】
一実施形態において、本発明の局面は、医学的な手順と関連付けられる構造的な変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の脈管構造が、手術後の創傷治癒または(異種移植片を含む)インプラント/移植片の成長または拒否反応と関連付けられる変化を識別するために分析され得る。
【0151】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0152】
別の実施形態において、本発明の局面は、異常な内部構造(例えば、異常な管状網)と関連付けられる疾患を処置するために、化合物ライブラリのスクリーニングにおいて、または候補の化合物を検証するために使用され得る。本発明の局面は、ビン化されたデータ(例えば、BMVD)を使用して内部構造の変化の効率的な高スループットの分析を可能にする。これらの変化は、特定の疾患に対する代理マーカ(バイオマーカ)として働き得る。結果として、多くの場合に疾患の徴候が変化するのを待つことを含み、かつ、組織のバイオプシーも必要とし得る現在の検証と比較したときに、スクリーニング工程が、かなりの程度まで自動化され得、そして、結果を得るための時間が、かなり短くなる。
【0153】
本発明の局面は、診断、治療、ならびに研究および開発の目的で代理マーカとして使用され得る脈管パターン(例えば、構造的な特徴)を識別および定量化するために使用され得る。代理マーカは、診断、治療の評価、および薬物開発の時間を減少させるために有用である。代理マーカは、臨床的な結果(例えば、薬物に反応した生存時間の増加)を待つことなく、疾患の診断、疾患の予後、疾患の有効性に対する早期のインジケータとして使用され得る。したがって、脈管構造分析は、(臨床前実験と臨床実験との両方における)薬物開発、臨床的なスクリーニング(例えば、乳房のスクリーニング、肺のスクリーニング、または結腸のスクリーニング)、および臨床的な治療のモニタリングに対する代理マーカとして使用され得る。例えば、ビン化された脈管構造は、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる疾患、例えば、癌に対する有用な代理マーカであり得る。
【0154】
一実施形態において、本発明の局面は、新脈管構造形成の処置および/または疾患と関連付けられる脈管構造パターンの変化における候補の化合物または治療の有効性に対して、候補の化合物または治療をスクリーニングおよび/または検証する方法を提供する。本発明の局面は、(例えば、マウスなどの実験動物に、個々にまたはひとまとめにこれらの化合物を投与し、そして、腫瘍起因性血管形成の脈管構造におけるそれらの効果を評価することによって)個々の化合物もしくは少ない数の化合物を評価するために、または複数の候補化合物を評価および/または識別するためにライブラリをスクリーニングするために使用され得る。ライブラリは、多数の化合物(例えば、約100個から約1,000,000個まで)を含み得る。抗体または小分子などを含む異なるタイプの化合物が、スクリーニングされ得る。しかしながら、本発明は、評価され得る化合物の数および/またはタイプによって限定されない。
【0155】
一実施形態において、候補化合物の有効性が、基準化合物と比較され得る。基準化合物は、構造に対する公知の効果を有する任意の化合物であり得る。例えば、アバスチン(Genentech)は、新脈管構造の成長に関する候補化合物の効果をテストするための基準として使用され得る血管内皮成長因子(VEFG)に対する公知のモノクローナル抗体である。
【0156】
本発明の局面に従って、化合物および治療が、動物の疾患モデルなどのインビボモデルに関して評価され得る。例えば、癌または腫瘍起因性血管形成を有するマウスが、有用な治療を評価、最適化、および識別するために使用され得る。他の動物モデルが、使用され得る。本発明の局面は、高スループットの分析に有用であり得る。なぜならば、本発明の局面は、脈管構造におけるわずかな変化を検出し得、そして、侵襲性の手順は、ほとんど必要としないか、全く必要としないので、最低限の操作で短時間に治療を評価するために使用され得るからである。
【0157】
本発明の脈管分析の局面が、例えば、短期間における薬物の有効性をテストするために、同所性のモデルに使用され得る。例えば、マウスの同所性の腫瘍モデルにおける腫瘍起因性血管形成における候補薬物の効果は、約5日後(例えば、モデルと薬物とに依存して1日〜10日の間)に定量化可能であり得る。対照的に、皮下の癌の動物モデルは、分析され、そして、コントロールと比較される腫瘍の成長に対しては、約1ヶ月を必要とする。
【0158】
同所性のモデルが、異なる疾患または臨床的な状態をモデル化するために使用され得る。例は、癌、組織再生、創傷治癒(外傷後の治癒、外科的介入後の治癒、皮膚などのやけどした組織の治癒を含む)、組織または臓器の移植治療、医療デバイスのインプラント治療、新脈管形成もしくは正常な脈管構造における変化と関連付けられる他の状態、または上記のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含む。しかしながら、本発明は、同所性のモデルのタイプ、もしくは疾患のタイプ、または分析される臨床的な状態によって限定されない。
【0159】
単一の同所性疾患のモデル動物が、2つ以上の候補薬物分子をテストするために有用である。なぜならば、分析は、モデル動物を犠牲にすることを含まないからである。したがって、第1の候補を用いたテストが完了すると、次の候補が、同じモデル動物において評価され得る。モデルが、アッセイに必要である新脈管形成の特徴を保持するということを仮定して、一連の候補が、適切なコントロールを用いて単一のモデル動物においてテストされ得る。
【0160】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0161】
本明細書において記述された任意の1つ以上の構造的なパラメータが、基準パラメータに対する比較によって評価され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、基準パラメータは、正常な被検体または健康な被検体におけるそのパラメータに対する量またはスコアであり得る。他の実施形態において、基準は、疾患の状態を表し得る。一部の実施形態において、本明細書において記述されたような疾患または状態と相関させられるか、関連付けられる任意の構造的なパラメータの変化または量は、基準被検体に対する、疾患の被検体またはテスト被検体におけるそのパラメータの統計学的に有意な変化または相違であり得る。一部の実施形態において、構造的なパラメータの相違または変化は、特定のパラメータ(またはパラメータの組み合わせ)の増加または減少であり得る。パラメータの増加は、基準被検体に対する、テスト被検体におけるそのパラメータにおける少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の増加であり得る。同様に、そのパラメータの減少は、基準被検体に対する、テスト被検体におけるそのパラメータの評価指標における少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の減少であり得る。パラメータの変化または相違の量が、疾患または状態と相関させられるか、関連付けられると、そのレベルが、本発明に従った次の方法において使用され得る。したがって、一部の実施形態において、基準値に対するデータのビンの範囲内の任意の所与の構造的なパラメータ(例えば、本明細書において記述されたような、ねじれ、密度、体積、またはその他任意の個々の構造的な特徴、構造の分布、もしくは構造的な特徴)の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の相違が、本発明の方法の閾値として使用され得る。より高い値、もしくはより低い値、または中間の値が使用され得るということが理解されるべきである。異なるパラメータは、異なる閾値または異なる基準レベルを有し得るということもまた理解されるべきである。また、異なるパラメータ(および/または各パラメータに対する異なるレベル)が、異なる条件または異なる疾患と関連付けられ得る。したがって、特定の疾患の値もしくは閾値、または特定の状態の値もしくは閾値は、異なるパラメータまたはそれらの組み合わせに対して識別され得る。これらの閾値は、病気の検出、診断、モニタリングに対して使用され得るか、(例えば、本明細書において記述された自動化された方法において)本明細書に記述された、その他任意の治療用途、臨床的な用途、または研究の用途に対して使用され得る。
【0162】
互いに独立して、または任意の組み合わせで使用され得る本明細書に記述された本発明の様々な局面が存在するということが上記から理解されるべきである。特に、本明細書において記述された演算のうちの任意のものが、多数の組み合わせおよび多数の手順のうちの任意のものにおいて利用され得る。さらに、本発明の局面は、様々なタイプの画像または任意の次元と関連付けて使用され得る。さらに、1つ以上の自動的な演算が、1つ以上のマニュアルの演算と組み合わせて使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点で限定されないからである。どのように獲得された場合であっても、BMVDの結果は、組織に対する様々な形態学的な変化のうちの任意のものの特徴付けを容易にし、および/または本明細書において記述された技術のうちの任意のものを、単独でまたは組み合わせて使用して治療の効率を評価する際に補助するために使用され得る。
【0163】
本明細書において記述された本発明の実施形態は、様々な方法のうちの任意のもので実装され得る。例えば、自動BMVDの実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアに実装されるときには、ソフトウェアコードが、単一のコンピュータに提供されたか、複数のコンピュータ間に分散された、任意の適切なプロセッサまたは任意の適切なプロセッサの集合体において実行され得る。本明細書において記述された機能を行う任意のコンポーネントまたは任意のコンポーネントの集合体は、概して、本明細書において記述された機能を制御する1つ以上のコントローラとして考えられ得るということが理解されるべきである。1つ以上のコントローラが、本明細書において記載された機能を行うためのマイクロコードまたはソフトウェアを使用してプログラミングされた専用のハードウェアまたは汎用のハードウェア(例えば、1つ以上のプロセッサ)などの様々な方法で実装され得る。
【0164】
本明細書において概説された様々な方法は、様々なオペレーティングシステムまたは様々なプラットフォームのうちの任意のものを利用する1つ以上のプロセッサにおいて実行可能であるソフトウェアとして符号化され得るということが理解されるべきである。さらに、かかるソフトウェアは、多数の適切なプログラム言語および/または従来のプログラムツールもしくはスクリプトツールのうちの任意のものを使用して書き込まれ得、そして、実行可能なマシン語コードとしてコンパイルされ得る。この点に関して、本発明の一実施形態は、実行されたときに、1つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサが本明細書において考察された本発明の様々な実施形態を実装する方法を行う1つ以上のプログラムで符号化されたコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられているということが理解されるべきである。コンピュータ読み取り可能な媒体は、可搬型であり得るので、そこに格納されたプログラムは、本明細書において考察されたような本発明の様々な局面を実装するために、1つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされ得る。
【0165】
用語「プログラム」は、本明細書において考察されたような本発明の様々な局面を実装するために、コンピュータまたは他のプロセッサをプログラミングするために利用され得る任意のタイプのコンピュータコードまたは任意のタイプの命令の組を指すように、一般的な意味で本明細書において使用されているということが理解されるべきである。さらに、この実施形態の一局面に従って、実行されたときに、本発明の方法を行う1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたは単一のプロセッサにある必要ななく、本発明の様々な局面を実装するために、多数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間にモジュール式で分散され得るということが理解されるべきである。
【0166】
請求項の要素を修正するための、特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの順序を示す用語の使用は、それ自体は、1つの請求項の別の要素に対する何らの優先度、上位性、順序または方法のアクトが行われる時間的な順序を意味せず、請求項の要素を区別するために(しかし、順序を示す用語の使用のために)、特定の名称を有する1つの請求項の要素を同じ名称を有する別の要素から区別するためのラベルとして単に使用されている。
【0167】
本明細書において使用される語法および用語法は、記述の目的のためのものであり、限定とみなされるべきではない。「含む」、「備える」、または「有する」、「含有する」、「包含する」、および本明細書におけるそれらの変化形の使用は、その後に列挙される項目、およびその均等物、ならびに追加の項目を含むように意味されている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、本明細書において参考としてその全体が援用される2006年6月28日出願の「BINNED−MICRO−VESSEL DENSITY METHODS AND APPARATUS」と題される米国仮特許出願第60/817658号に対して、35U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、組織サンプル(例えば、脈管構造の一部分の画像)における血管の特性を決定することに関し、さらに詳細には、1つ以上の微小血管密度(MVD)測定値を計算することに関する。
【背景技術】
【0003】
微小血管密度(MVD)は、癌性腫瘍の様々な処置の効能を評価するために使用されている。特に、X線画像の特定の領域、または共焦点顕微鏡を使用して組織のスライスにおいて見ることができる特定の領域において識別可能な血管の数が、組織の領域を特徴付けるために使用され得る。例えば、一定の抗腫瘍起因性血管形成剤は、腫瘍が生存および/または成長するために必要な微小血管の形成を防止するように働く。MVD測定値は、多くの場合に、腫瘍の成長が、特定の抗抗腫瘍起因性血管形成剤を使用して、適切に減速しているか否か、サイズを減少させているか否か、根絶されたか否かなどを判断するために使用される。例えば、MVD測定値は、特定の処置に応答して、時の経過と共に腫瘍において生じる形態変化の特性決定を容易にし得る。
【0004】
従来のMVD法は、多くの場合に、2つの異なる技術のうちの1つに基づいている。第1の技術においては、特定の領域において識別可能な血管の総数が、血管密度を決定するためにカウントされる。このカウントする手順は、一般的に、かかる技術に関して訓練された専門家に脈管領域(例えば、生物学的組織の脈管構造の画像)を検査させ、そして、関心のある領域、例えば、腫瘍または他の特定の組織にとって異常な血管集積と関連付けられる可能性のあるホットスポットにおいて現れる血管をマニュアルでカウントすることによって達成される。用語「ホットスポット」は、概して、周囲の組織と比較して、比較的に高い血管の集中度を有するとして識別された組織の領域を指す。ホットスポットは、多くの場合に、腫瘍または他の生物学的異常の存在を識別するか、またはそれと関連付けられる。
【0005】
第2の技術においては、比率が、脈管の全範囲と組織の領域の全範囲(例えば、ホットスポットの全範囲)との間で計算される。この方法は、多くの場合に、全脈管範囲(TVA)と呼ばれる。血管カウント法と同様に、TVA測定は、多くの場合に、医師などの熟練した専門家によるマニュアルの検査によって達成される。2つの方法が、時の経過による腫瘍の変化を評価することを容易にする血管情報を提供し、患者を診断および/または処置する際に医師を助ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の局面は、管状体の構造を分析することに関する。一部の実施形態において、1つ以上の構造的なパラメータが、複数の管状構造に対して分析され、該複数の管状構造は、サイズ(例えば、直径)に基づいて区分けされている。本発明の局面は、1つ以上の画像化技術または走査技術から獲得された構造情報を評価するときに、分析的な解像度を増加させ得る。本発明の一局面に従って、ビン方式の構造分析は、サイズに従って(例えば、関心のある範囲における管状構造の直径または半径に従って)区分または分類された管状構造のあらゆる分析を指す。例えば、一部の実施形態において、ビン方式の微小血管密度(BMVD)分析は、関心のある範囲の血管の直径に従って分類された血管に基づいた血管密度の分析を指す。
【0007】
ビン方式の分析技術は、管状構造に特徴的であり得る多くの異なるパラメータの分析に適用され得る。例えば、異なる直径を有する管状構造のビンは、以下のパラメータ:ねじれ、曲率、密度、分枝の頻度、分枝の階層性(例えば、分枝の階層性の存在または不在)、相対分布、および/または管状構造(例えば、血管)の方向、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を決定することによって評価され得る。ビン化されたデータに分析を行うことによって、主に、1つのサイズ範囲における構造に影響を与えるわずかな変化が、検出される可能性がさらに高くなる。なぜならば、そのわずかな変化は、他のサイズ範囲における構造の変化の相対的な不在によってマスキングされていないからである。したがって、本発明の方法は、時間の経過によって、または疾患または処置などに応答して管状構造(例えば、血管)の分析を精緻化するために使用され得る。本発明の局面はまた、疾患組織(例えば、癌性または前癌性の組織、壊死領域など)を検出または描写するために使用され得る。
【0008】
一部の実施形態は、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を獲得する方法を含み、該方法は、複数のビンのそれぞれに対して該画像の関心のある領域を分析するアクトであって、該複数のビンのそれぞれは、所定の範囲の血管サイズと関連付けられ、該関心のある領域を分析するアクトは、血管である対象のそれぞれの部分と関連付けられるサイズに基づいて、関心のある領域において識別された任意の血管である対象のその部分が、複数のビンのどれに属するかを決定し、部分が属する複数のビンのうちの対応するビンと血管である対象の各部分を関連付けることと、複数のビンのそれぞれに対して少なくとも1つの測定値を計算することであって、該少なくとも1つの測定値は、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分のMVDと関連付けられる、こととを含む、アクトを包含する。
【0009】
一部の実施形態は、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を含み、該方法は、画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域のMVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトとを包含している。
【0010】
一部の実施形態は、1つ以上のプロセッサにおいて実行することができる命令を符号化するコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、該命令は、実行されたときに、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を実行し、該方法は、画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域のMVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトとを包含している。
【0011】
したがって、本発明の局面は、人間および他の動物の体における内部の管状構造に関するデータを獲得および/または分析する方法およびデバイスを提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、サイズに基づいて分類されたビン化された血管に対して1つ以上のパラメータ(または時間の経過によるパラメータの変化)を分析することを含む。例えば、血管は、以下の非限定的な直径範囲:約0〜10ミクロン、約10〜25ミクロン、約25〜50ミクロン、約50〜75ミクロン、約75〜約100ミクロン、約100〜150ミクロン、約150〜200ミクロン、約200〜300ミクロン、約300〜400ミクロン、約400〜500ミクロン、約500〜1,000ミクロン、またはそれらのあらゆる組み合わせに従ってビン化され得る。しかしながら、あらゆる他の適切なビンのサイズ範囲(より大きなサイズ範囲、より小さなサイズ範囲、または中間のサイズ範囲を含む)が使用され得る。一部の実施形態において、異なるビンの数は、約2個〜約10個までの間であり得る。しかしながら、より多くの数のビンがまた、使用され得る。一部の実施形態においては、2個〜5個(例えば、2個、3個、4個、または5個)のビンだけが、使用される。一定の実施形態において、3個の血管のビンのサイズが使用される。すなわち、小、中、および大である。一部の実施形態において、所定のサイズ範囲を有する単一のビンが、選ばれ、そして、他のサイズ範囲は、分析されない。
【0012】
1つ以上の選択されたインサイチュの構造に関するデータが、構造(または構造の変化)に基づいて動物の生理学的な状態に関する情報を探り出すために獲得および/または分析され得る。構造情報は、診断、予測、予後、治療、介入、研究、および/または開発の目的のために使用され、ならびに疾患を等級付けおよび/または段階付けするために使用され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、ビン化されたインサイチュの構造データまたは構造情報に基づいて、1つ以上の構造的なパラメータ(または時間の経過による構造的なパラメータの変化)を分析することを含み得る。本発明の方法は、自動化され得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、腫瘍起因性血管形成、および/または被検体内の腫瘍起因性血管形成のパターン変化を検出することを含む。
【0013】
本発明の局面は、特定な生物学的な過程、状態、および/または疾患と関連付けられるバイオマーカの市場提供および/または使用許諾を含み得るビジネス方法に関する。一部の実施形態において、ビン化された血管のパターン(例えば、幾何形状的な特徴)が、関心のある、一定の生物学的な過程、状態、および/または疾患との関連または相関を識別または評価するために分析される。構造的なバイオマーカ(例えば、本明細書において記述されるような、臨床、診断、治療、および/または研究の用途に対する)として使用され得るパターンパラメータが、識別され得る。これらのバイオマーカは、コストを減少させ、そして、医療技術および研究技術の効率および感度を増加させるために使用され得る。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカ、またはそのバイオマーカを使用する方法が、医療関係もしくは研究関係の顧客、または潜在的な顧客に対して市場提供され得る。一実施形態において、料金ベースのサービスが、医療関係または研究関係の組織に提供され得、医学的な画像に関する情報が、獲得され、そして、1つ以上のバイオマーカの存在に対して分析され、そして、結果として生じた情報が、料金と交換で返される。金額は、少なくとも部分的には、提供される画像情報のタイプと、必要とされる分析のタイプおよび程度と、分析の形式および時期とによって決定され得る。本発明の局面は、多数の異なる走査モダリティー(限定するものではないが、マイクロCT、MDCT、回転血管造影、MRI、PACSを含む)のうちの1つ以上から獲得された画像情報に適用可能であり得るということが理解されるべきである。この情報は、限定するものではないが、以下:医療センター、大規模な製薬会社(例えば、臨床前評価と関連して、または臨床試験の間に)、CRO(臨床前分析または臨床分析に対して)、医療研究所および開業医(例えば、走査センター)、病院、医院、医療センター、生命工学関連の小企業(例えば、臨床前評価と関連して、または臨床試験の間に)、生物医学の研究組織のうちの1つ以上を含む多数の異なるソースから受け取られ得る。次に、分析結果が、これらの組織のうちの任意のものに返され得る。一部の実施形態において、分析結果は、画像情報を送った同じ事業体に返され得る。他の実施形態において、結果は、異なる事業体に返され得る(例えば、画像情報は、走査実験室から受け取られ得、そして、分析は、医師に返され得る)。情報を受け取ること、構造特徴を分析すること、結果を処理すること、および受取人に結果を転送することと関連する1つ以上のステップが、自動化され得る。これらのステップのうちの1つ以上が、独立して、または協調して、米国外で行なわれ得るということもまた理解されるべきである。ビジネス手順(例えば、市場提供、販売、使用許諾)が、独立して、または強調して行なわれ得る。
【0014】
本発明の局面が、個々の分析ステップ、特定の構造的な特徴などと関連して本明細書に記述され得る。しかしながら、本明細書において記述される方法およびデバイスのうちの任意のものがまた、1つ以上の血管の構造的な特徴またはパターンに基づいたバイオマーカの使用と関連付けられるビジネス方法に組み込まれ得るということが理解されるべきである。
【0015】
本発明の局面は、インサイチュの管状構造のパターンパラメータ(例えば、被検体のインサイチュの脈管構造のパラメータ)を検出および分析することに関する。本発明の局面は、(例えば、本明細書に記述されるような1つ以上のコンピュータ実装のアクトを使用して)自動化され得る。1つ以上のパターンパラメータ(例えば、個々の血管の構造的な特徴、血管または血管の構造的な特徴の分布、またはそれらの組み合わせ)が、1つ以上の定量的な方法および/または1つ以上の定性的な方法を使用して、ビン化されたデータに対して分析され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、1つ以上のパラメータが、測定および定量化され得、そして、測定値が、本明細書において記述されるような閾値または基準値を用いた評価および/または比較のために、標準的な定性的な技術および/または標準的な統計的な技術を使用して分析され得る。一定の実施形態において、1つ以上のパラメータが、各ビン化されたデータに対して、(例えば、所定の要因に基づいた)所定の採点方法を使用して評価され得る。幾何学的なパラメータが、ベクトルを使用して表示され得る。例えば、関心のある体積の中の、血管の分布、血管の曲率、血管のねじれ、または血管の方向が、複数のベクトルを使用して表示され得る。別々のベクトルが、別々の血管(例えば、連結性が、分析の間に決定されていない血管)を表示するために使用され得る。しかしながら、別々のベクトルはまた、単一の血管の個々のセグメントもしくは個々の断片、または(例えば、連結性が決定されているか、分析の間に決定され得る)脈管の樹枝状分岐の一部分を表示するために使用され得る。脈管構造のパターンパラメータは、数値またはスコアを選別および/または分類するためのあらゆる適切な技術を使用して分析され得る。
【0016】
一部の実施形態において、スコアが、疾患または疾患の段階などの生理学的な状態の可能性にパターンパラメータを関連付けるために獲得され得る。本発明の局面は、異所性の内部構造と関連付けられる1つ以上の疾患の場所のインサイチュの診断、介入、および治療の分析に対して使用され得る。本明細書において使用される場合、「インサイチュ」は、バイオプシーまたは他の組織サンプルではなく、動物(例えば、人間)の体の中を意味する。本発明の局面は、治療薬を含む疾患の処置を開発および評価するために、そして、他の目的のために、疾患と関連付けられる構造的な変化を研究するために使用され得る。本発明の局面は、構造的な特徴またはパターンを自動的に分析することと、その分析に基づいてスコアを自動的に生成することとを含む。
【0017】
一部の実施形態において、本発明の局面は、動物内の選択された内部の管状構造網を検出および/または分析することを含む。本明細書において使用される場合、内部の管状網は、連結された円筒形の体内構造網を意味する。管状網は、限定するものではないが、動物の体内の、心臓血管系、呼吸器系、胃腸系、および泌尿生殖器系、ならびにそれらの一部分を含む。したがって、円筒形の構造は、分枝された円筒形の要素、直線状の円筒形の要素、湾曲した円筒形の要素、および/またはねじられた円筒形の要素を含み得る。円筒形の構造および要素は、円筒を含み得るだけでなく、平坦にされた領域、またはゆがめられた領域を含み得る。円筒形の構造または要素の断面は、実際には、円形、楕円形、ほぼ円形、ほぼ楕円形、またはより不規則であり得る。円筒形の要素の内径は、変化し得るか、関心のある領域にわたってほぼ同じであり得る。循環器網などの管状網は、動物の外側の環境から封鎖され得る。対照的に、循環器網および胃腸網などの管状網は、環境の外側に開いていることがあり得る。
【0018】
異なるサイズ範囲の管状構造(例えば、血管)が、本明細書において記述されるように、別々に分析され、そして、異なる閾値または異なる基準値と比較され得る。一部の実施形態において、1つ以上の構造的なパラメータが、ビン化されたサイズ範囲のサブセットだけに対して(例えば、変化が、関心のある診断、予後、臨床、研究の用途と関連付けられると知られているサイズ範囲だけに対して)獲得される(例えば、計算される、またはモデル化されるなど)。しかしながら、一定の実施形態において、ビン化されたサイズ範囲の全てが、分析される。一部の実施形態において、1つ以上の異なるパラメータが、異なるサイズ範囲に対して分析される。しかしながら、一定の実施形態において、同じパラメータが、分析されているビン化されたサイズ範囲の全てに対して分析される。ビン方式の分析は、異なるビン範囲に対して獲得された数値またはスコアの分布を表すヒストグラムまたは曲線の形式で提供され得る。
【0019】
本発明の一定の局面が、実施例および図を含む以下の部分でさらに詳細に記述される。サイズに基づいて血管を分類するために使用される分析技術は、サイズに基づいて他の管状体構造を分類するために使用され得るということが理解されるべきである。管状の構造(例えば、血管)が、サイズに基づいて分類されると、関心のある異なるパラメータに対して獲得された関連付けられる値またはスコアもまた、分類および分析され得る。この分類および分析の局面は、例えば、本明細書において記述されるように自動化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一部の実施形態に従った、1つ以上のBMVD測定を行う方法を例示する。
【図2】図2は、本発明の一部の実施形態に従った、血管分布の空間情報を組み込むBMVD法を例示する。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。
【図4】図4は、本発明の一部の実施形態に従った、時空的な血管情報を導出するために可変のサイズ範囲を使用するBMVD法を例示する。
【図5】図5は、本発明の一部の実施形態に従った、3D画像におけるBMVD法の使用を例示する。
【図6A】図6Aは、本発明の一部の実施形態に従った、BMVDを自動的に行う一方法を例示する。
【図6B】図6Bは、本発明の一部の実施形態に従った、少なくとも一部の脈管である対象を含んでいる画像を、血管領域と非血管領域とにセグメント化する方法を例示する。
【図6C】図6Cは、本発明の一部の実施形態に従った、セグメント化された画像を半径でラベル付けする方法を例示する。
【図7A】図7Aは、本発明の一部の実施形態に従った、血管構造を検出するために使用されるモデルの特徴的な関数のグレースケールの表示を例示する。
【図7B】図7Bは、図7Aのグレースケールのガウス分布の中央におけるx軸に沿った強度の値の図を例示する。
【図8】図8は、本発明の一部の実施形態に従った、円筒形の血管部分の強度分布モデルを概略的に例示する。
【図9A】図9Aは、本発明の一部の実施形態に従った、血管の領域と非血管の領域とにセグメント化された画像の一部分を例示する。
【図9B】図9Bは、本発明の一部の実施形態に従った、図9Aに例示された血管構造のセグメント化された領域において行われる距離変換を例示する。
【図9C】図9Cは、本発明の一部の実施形態に従った、図9Bの距離変換画像から転換された半径でラベル付けされた画像を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において考察されるように、微小血管密度を計算することに関する2つの一般的な方法、すなわち、1)組織の関心のある領域(ROI)またはホットスポットにおいて見ることができる血管の総数をカウントすることと、2)ROIまたはホットスポットの全範囲に対する脈管の全範囲の比率を決定することとが、存在する。本出願人は、従来のMVDを行う方法は、かなりの欠点を有し得るということを認識している。脈管をカウントすることは、毛細血管と、他の比較的小さな血管との役割を過度に強調しがちである。特に、より大きな血管がホットスポットの範囲の実質的に大部分を占め得るという事実に関わらず、毛細血管(および他の小さな血管)と、比較的大きな血管との両方が、脈管の総数に対する単一の増分に寄与する。
【0022】
対照的に、従来のTVAは、大きな血管の役割を過度に強調しがちである。例えば、単一の動脈が、1000本の毛細血管と同じ重要度でTVA測定に寄与し得る。TVAカウントが、腫瘍起因性血管形成の特性を決定するために利用されるときに、この大きな動脈への偏りが、小さな血管サイズにおいて生じる変化を不明瞭にし、測定において利用可能な情報内容を減少させがちである。例えば、毛細血管の範囲のかなりの変化が、気付かれずに終わり得る。なぜならば、血管の全範囲は、より大きな血管からの寄与で大部分を構成されているからである。一部の場合において、従来のTVAによって見逃される、小さな血管の範囲におけるこの変化が、重要であり、従来のTVA測定を役に立たないものにしている。
【0023】
本出願人は、従来のMVDアプローチの様々な欠点が、1つ以上のビン方式分析微小血管密度(BMVD)の演算または測定を行うことによって解決され得るということを理解している。ビン方式分析微小血管密度、すなわちBMVDという用語は、測定値が血管サイズに従って分類されている血管に基づいて決定される任意のMVD測定スキームを指す。特に、BMVD演算は、少なくとも2つの異なる血管サイズおよび/または少なくとも2つの異なる血管サイズの範囲に対して、関心のある領域を別々に分析することによって行われ得る。
【0024】
図1は、発明の一部の実施形態に従った、1つ以上のBMVD測定を行う方法を例示する。BMVDが所望される組織の断面が、被検体から獲得される。断面は、顕微鏡の下で観察される組織のスライスであり得るか、例えば、X線走査デバイスを使用して獲得される、組織の断面の2D画像であり得る。図1において、獲得された断面は、断面100で概略的に表示されている。断面100は、複数のビン(例えば、ビン1〜ビン5)のそれぞれに対して分析される。各ビンは、血管サイズの特定の範囲と関連付けられる。測定値115が、各ビンに対して獲得されており、該測定値115は、1以上の数、値、および/または各ビンに対応するサイズ範囲の血管と関連付けられる特徴である。断面100は、1つ以上の関心のある領域を含む断面であり得るか、(例えば、組織のより大きな画像または断面からセグメント化されたような)関心のある領域自体を表わし得るということが理解されるべきである。
【0025】
一部の実施形態に従って、断面100は、ビン階層におけるそれぞれのビンに対して、各サイズ範囲における血管の総数をカウントすることによって分析される。例えば、ビン1に対して、n2以上であり、かつ、n1よりも小さい半径を有する全ての血管が、測定値115aを生成するためにカウントされる。ビン2に対して、n3以上であり、かつ、n2よりも小さい半径を有する全ての血管が、測定値115bを生成するためにカウントされるなど、ビン階層全体でカウントされる。図1の実施形態において、n1>n2=n3>n4=n5>n6=n7>n8=n9>n10である。しかしながら、任意の数が、各ビンに対して割り当てられる範囲を規定するために使用され得るということが理解されるべきである。さらに、範囲は、等しいサイズのものである必要はない。例えば、下記の表1は、本発明の一部の実施形態に従った、ビン階層に対する例示的な値を例示する。
【0026】
【表1】
他の実施形態において、BMVDが、従来のTVA法を改良するために使用されている。特に、各ビンに対して、関連付けられるサイズ範囲の血管の全範囲が、計算される。血管範囲の計算が、単独で、または非血管範囲と比較して(例えば、全血管範囲と非血管範囲との間の比率)、各ビンに対する測定値115として提供され得る。各ビンに適したサイズの血管に対する他の血管範囲の計算が、測定値115を提供するために、単独で、または組み合わせて使用され得る。さらに、1つ以上のTVA法が、各ビンに対する測定値115を提供するために、1つ以上のカウント法と組み合わせられ得る。その他任意のMVD測定値、または各ビンに対する、血管の特性と関連付けられる他の情報とが、測定値115を形成するために、単独で、または組み合わせて獲得および提供され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。他のMVD法、他のMVDカウント、および/または他のMVD測定値が、BMVDの枠組みの中で決定または計算され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0027】
BMVD測定は、従来のMVD法よりも豊富な情報を提供する。特に、各ビンに対して別々の測定値を提供することによって、異なるサイズの血管が、別々に分析され得る。したがって、特に、従来の血管カウントにおける小さな血管への偏りと、従来のTVA測定における大きな血管への偏りとからもたらされる従来のMVDの欠点が、ビン化によって情報を分割することによって対処され得る。結果として、各血管サイズからの寄与が、別々に分析および評価され得、このことが、検査下の組織のROIのより良好な特徴付けをもたらし得る。
【0028】
本明細書において考察されているように、時の経過と共に取得されるMVD測定値が、組織領域の進展に関する貴重な情報を提供し得る。例えば、腫瘍の時間的MVD測定値は、腫瘍のサイズが成長しているか、収縮しているかを示す情報を提供し得、このことが、特定の処置の有効性を評価するために使用され得る。時の経過と共に評価された1つ以上のBMVD測定値は、異なるサイズの血管に関する組織の領域の進展に関する情報を提供する。したがって、(例えば、血管サイズの偏りによって)従来のMVD法においては不明確であり得る組織領域の変化が、BMVDを使用して獲得され得る。
【0029】
各ビンにおいて生成された測定値を組み合わせることが、従来のMVDを使用して獲得されるものと同じ尺度をもたらすということが理解されるべきである。例えば、ビン全体にわたって血管数の全てを合計することが、従来のMVDカウント尺度を使用して獲得され得るものと同じ全血管数をもたらす。同様に、ビン全体にわたる血管範囲を合計することが、従来のTVAを使用して獲得され得る血管範囲と同じ全血管範囲をもたらす。したがって、従来のMDVを使用して獲得される情報において行われ得るあらゆる分析が、BMVDを行うことによって獲得された結果において行われ得る。すなわち、BMVDは、同じくらいの情報を受けるというよりも、むしろより豊富な情報の組をもたらす。
【0030】
図1に例示されたビン階層は、5つのビンを含むが、任意の値を割り当てられたあらゆる数のビンが、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。たった2つのビンが、従来のMVD法を上回る、ROIの特徴付けの改善をもたらし得るということが、上記から理解されるべきである。より多くのビンが使用されるほど、結果として生じる測定値が、関心のある領域における真の血管分布をより厳密に表わす。すなわち、各ビンのサイズ範囲が、0に近づくので、結果として生じる血管の測定値は、検討中の組織の領域の血管分布を示す連続的な曲線に近づき、該結果として生じる血管の測定値の積分は、従来のMVD法を使用して達成され得る対応する測定値と等しい。従って、特に、BMVDは、血管サイズの関数として、従来のMVDを使用して獲得された情報を分化する。
【0031】
本出願人は、組織における血管の空間分布がまた、分析される組織の領域の特性に関する貴重な情報を含み得るということを認識している。特に、血管分布に関する空間情報が、どの程度、組織の領域(例えば、腫瘍)が、時の経過と共に進展するかに関するより良い理解を得ることを容易にし得る。次に、この時空的なデータが、例えば、選ばれた処置が腫瘍を根絶する際にどの程度有効か、および/または選択された薬物が、異常な組織領域において意図した効果を有するか否かを確認するために使用され得る。したがって、時空的BMVDは、どのサイズの血管が変化しているかに関する理解と、どこで変化が生じているかに関する理解との両方を容易にする。
【0032】
図2は、本発明の一部の実施形態に従った、血管分布の空間情報を組み込むBMVD法を例示する。図2に例示されたビン階層は、図1に例示された階層と同様であり得る。特に、断面200が、各ビンに対して適切なサイズ範囲の血管に対する測定値(例えば、血管数、血管範囲の比など)を決定するために分析され得る。しかしながら、図2に例示された実施形態において、断面200(例えば、関心のある領域)が、複数の範囲201に分割される。各ビンに対して、測定値を計算するというよりも、測定値は、各ビンに対する複数の範囲201のそれぞれに対して決定される。したがって、l個の測定値が各ビンに対して獲得され、ここで、1は、関心のある領域が分割される範囲の数である。結果として、測定値115は、各ビンに対する長さlのベクトルであり得、ベクトルの各成分は、断面の対応する範囲201から取得された測定値を表わす。
【0033】
一部の実施形態において、各領域において、そして、各ビンに対して獲得された測定値は、それぞれの範囲に現れるそれぞれのビンに適したサイズの血管の総数である。他の実施形態において、各領域において、そして、各ビンに対して獲得された測定値は、それぞれの範囲に現れるそれぞれのビンに対応するサイズの血管の全血管範囲に関連付けられる。単独か、組み合わせかいずれかの多数の異なる測定値が、各ビンにおける各範囲に対して獲得され得るということが理解されるべきである。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。さらに、異なる測定値または同じ測定値が、各範囲および/または各ビンに対して取得され得る。例えば、体積範囲の測定値が、腫瘍の壊死の程度を決定するために、断面の中央部分において、ビン5の範囲に対して取得され得るが、ビン1においては取得されないことがあり得る。なぜならば、大きな血管における変化は、腫瘍の壊死の早期段階を示さないことがあり得、および/または腫瘍の壊死の早期段階に特徴的ではないことがあり得るからである。しかしながら、任意のビンの任意の範囲において獲得された任意の測定が、ビン階層のどこででも行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0034】
ビンの全ての領域にわたって合計することが、断面または関心のある領域が、空間的に分割されていない場合に獲得され得るものと同じ測定値をもたらすということが理解されるべきである。すなわち、図2と関連して記述された方法によって獲得された測定値を合計すること(または組み合わせること)が、図1に記述された方法に従って獲得されたものと同じ測定値をもたらす。例えば、関心のある領域の各範囲の血管の総数または血管の全範囲を合計することによって、関心のある領域の血管の総数または全血管範囲が、獲得される。したがって、情報は、時空的測定値を計算することによっては失われない。本明細書において記述されているように、各ビンに対して獲得される測定値は、従来のMVD法を使用して獲得され得る測定値に到達するように合計または積分され得る。したがって、様々なBMVD技術は、従来のMVD法によって提供された情報を分化する。したがって、従来のMVD技術を使用して獲得された情報の全てが、BMVD技術を使用して獲得される情報から導出され得るが、BMVD技術は、複数の種類の追加情報を提供し得る。
【0035】
関心のある領域が、多数の範囲に分割され得るということが、上記から理解されるべきである。16個の範囲201への断面200の理論的な分割は、単なる例示であり、そして、断面は、より多くの範囲またはより少ない範囲に分割され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。さらに、断面または関心のある領域は、概ね規則的なグリッドに分割される必要はない。関心のある領域は、任意の形状および任意のサイズ範囲にセグメント化され得、そして、個々の範囲が、均一なサイズまたは均一な形状である必要はない。なぜならば、本発明の局面は、複数の空間範囲にROIを分割することに関して、特定のサイズ、特定の形状、または均一性を伴う使用に限定されないからである。特に、断面の特定の領域は、より多くの粒状の時空的情報を獲得するためにより小さい範囲に分割され得る。また、断面は、ビン化される前、および/または空間的に分割される前に、セグメント化および/またはラベル付けされ得る。
【0036】
本出願人は、関心のある領域が分割される範囲のサイズを選ぶことに関して、信頼性と特定性との間にトレードオフが存在しているということを理解している。特に、信頼性に関しては、範囲が広くなるほど、測定値は、統計的変動に対する抵抗性がより大きくなり得る。極端な場合においては、範囲は、(例えば、図1に示されているように)関心のある領域全体となる。特定性に関しては、範囲が小さくなるほど、測定値は、より多くの空間情報を含む。したがって、BMVD測定値が獲得される範囲のサイズを減少させることは、特定性を増加させるが、信頼性を低下させる。同様に、BMVD測定値が獲得される範囲のサイズを増加させることは、信頼性を増加させるが、特定性を低下させる。
【0037】
本出願人は、分割された範囲1つ当たりの血管の臨界数に到達すると、測定値の信頼性は飽和しがちであるということを理解する。すなわち、最小数の適切なサイズの血管が、範囲に現れた場合には、獲得される測定値は、より多くの数の適切なサイズの血管が領域に存在しているのと同じぐらい、実質的に統計的変動に対する抵抗性があるものである。したがって、最適なサイズ範囲は、最も小さい寸法を有するが、それでもやはり、信頼性に対する最小の閾値を達成するものである。
【0038】
図3Aおよび図3Bは、(異なる半径を有する円によって示された)2つのサイズの血管の断面を含む異なるサイズ範囲を概略的に例示する。特に、図3Aにおける範囲301aは、幅wと高さhとを有し、そして、図3Bにおける範囲301bは、幅Wと高さHとを有する。本明細書において考察されているように、測定値が統計的変動に対して充分に耐性があるために必要とされる血管の最小数が存在する。示されているように、4本だけのより大きな血管が、範囲301aに現れている。この数は、統計的変動に対して保護するためには充分でないことがあり得、より大きな血管に関してこの範囲から獲得された測定値を信頼できないものにする。しかしながら、範囲301aは、おそらくは、より小さい血管に関して獲得された測定値を信頼できるものにするためには充分に、より小さな血管をかなり多く含んでいる。したがって、信頼できないことに起因したより大きな血管には適していない範囲のサイズが、より小さな血管に適切となり得る。したがって、血管が分析される最適な範囲のサイズは、少なくとも部分的には、考慮される血管サイズに依存する。
【0039】
本出願人は、信頼性と特定性との間の平衡は、関心のある領域が、考慮される血管サイズに従って分割される範囲のサイズを変更することによって達成され得るということを理解する。一実施形態において、各ビンに対して、関心のある領域は、それぞれのビンにおいて考慮される血管サイズに従って決定された寸法を有する範囲を使用して分割される。概して、各ビンに対して選ばれた範囲のサイズは、考慮される血管サイズの減少の関数として減少する。しかしながら、これは、本発明の局面を限定しない。
【0040】
図4は、本発明の一部の実施形態に従った、時空的な血管情報を導出するために可変のサイズ範囲を使用するBMVD法を例示する。断面400は、サイズが分析されるビンに依存するグリッド範囲に分割される。特に、ビン1において、最も大きい血管が分析されるので、最も大きいグリッド範囲が使用される。したがって、範囲のサイズは、信頼性の閾値が最も大きい血管に適合するということを確実にするように選ばれ得る。同様に、ビン5において、最も小さい血管が、最も小さいグリッド範囲を使用して分析される。範囲のサイズは、信頼性の閾値がより小さい血管によって小さい範囲において適合される可能性がより高いことに起因して、より小さい血管に対してより高い特定性を達成するように減少させられ得る。図4に示されているように、断面または関心のある領域400は、対応するビンにおいて考慮される血管サイズの関数として、サイズが減少される範囲に分割される。血管が分析される範囲のサイズを変えることによって、より最適な平衡が、信頼性と特定性との一般的に競合する関心事の間で達成され得る。
【0041】
各ビンに対して使用される範囲のサイズは、多数の方法で決定され得る。例えば、範囲のサイズは、ビンと関連付けられる範囲内の血管の半径または直径の関数として計算され得る。あるいは、のサイズは、最適な範囲のサイズまたは所望の範囲のサイズを見積もるために、経験的に計算され得るか、確率的な枠組みを使用して決定され得る。一部の実施形態において、範囲のサイズは、各ビンと関連付けられる範囲の上限の定数α倍として計算される。あるいは、αは、範囲の下限、範囲の中位数、または領域の平均などと関連付けられる乗数であり得る。しかしながら、少なくとも部分的に、分析される血管サイズに依存する変化する範囲のサイズを決定する任意の方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。一部の実施形態において、選ばれたROIにおける血管密度(例えば、予測される通常の血管密度)が、範囲のサイズを決定または計算するときに考慮され得る。
【0042】
図4に示されたグリッド範囲は、概略的であり、そして、単に、各ビンにおいて分析される血管サイズに従って範囲のサイズを変更する概念を例示するために選ばれたということが理解されるべきである。しかしながら、範囲は、任意のサイズのものを選択され得、そして、各ビンに対して異なる必要はない。さらに、範囲は、任意の形状のものであり得、そして、関心のある領域にわたって、規則的に、または均一に、分布される必要はない。なぜならば、本発明の局面は、どのような特定の範囲のサイズ、どのような特定の形状、どのような特定の構成、および/またはどのような特定の分布を伴う使用にも限定されないからである。
【0043】
簡潔、かつ、明瞭にするために、図1〜図4は、組織サンプルの2D断面(例えば、2D画像、または組織の2Dスライス)と関連付けて記述された。しかしながら、本発明の局面はまた、組織サンプルの三次元(3D)体積を用いて使用され得るということが理解されるべきである。特に、図5に例示されているように、組織サンプルは、組織の3Dサンプルであり得、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)を組織に三次元で行うことによって形成される組織の3D画像であり得る。したがって、関心のある体積500から抽出される測定値は、二次元の範囲または領域ではなく体積で獲得され得る。同様に、体積500が分割される範囲は、体積であるので、血管数、血管の体積の計算などは、2Dの面積ではなく3Dの体積にわたって行われる。本明細書に記述された方法のうちの任意のものが、3Dで行われ得、そして、一部の場合においては、特に、3Dにおける使用に適合されている。例えば、本明細書に記述されたBMVD法の任意のものが、関心のある領域の3D画像において行われ得る。
【0044】
用語「範囲」は、本明細書において、概して、空間の2D領域と3D領域との両方を指す。特に、用語「範囲」は、2Dにおける二次元の面積と、3Dにおける三次元の体積とを指す。同様に、用語「領域」は、概して、空間の2D範囲と3D範囲とに適用される。特に断りがない場合には、領域および範囲という用語は、相互交換可能であり、そして、2D空間と3D空間との両方を記述するために使用される。一方の上記の用語または他方の上記の用語を使用した結果として、次元に関して、推断が行われるべきではない。
【0045】
画像に替えて、または画像に加えて、本明細書に記述されたBMVD技術のうちの任意のものが、脈管構造から作成されたキャストについて行われ得る。例えば、動物の組織または臓器が、組織または臓器の1つ以上の脈管構造を安定化させるために、キャスティング剤を含む組成物で満たされ得る。次に、脈管構造が、1つ以上のBMVD技術を使用して、(例えば、キャストの構造を分析することによって)分析され得る。例えば、適切なビン階層が、結果として生じるキャスト構造に対する血管サイズ(例えば、半径、直径など)、ならびにカウントされた各ビンにおける血管数、および/または各ビンに対して計算された、非血管範囲に対する血管範囲の比率に従って規定され得る。さらに、キャストは、血管組成および/または血管構造に関する位置情報を獲得するために空間範囲に分割され得る。空間範囲のサイズは、特定性と信頼性との間により最適な平衡を提供するための、各ビンにおける血管サイズの関数であり得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。本発明の局面は、この点においては限定されないので、任意のBMVD技術が、脈管構造のキャストにおいて使用され得るということが理解されるべきである。
【0046】
そのキャストを生成するために組織/臓器の中に灌流されるキャスティング剤は、様々なポリマー材料のうちの任意のものなどの任意の適切な材料であり得る。例えば、キャスティング剤は、限定するものではないが、Microfil(登録商標)、メチルメタクリレート、事前重合メチルメタクリレート(MercoxTM))、MercoxTMCL−2B、シリコン、金ナノ粒子、Batson No.17など、または2つ以上のそれらの組み合わせを含み得る。本明細書において考察されているように、キャスティング剤は、詳細な分析のためにインビボの構造を保護するために使用され得る。一部の実施形態において、この分析が、特定の構造特性または特定の分布特性を識別し、該特定の構造特性または該特定の分布特性は、次に、例えば、結果として生じるキャストに1つ以上のBMVD技術を適用することによって、(人間を含む)生きている動物の、インビボの、診断、治療、研究、および/または他の用途のためのマーカとして使用され得る。一部の実施形態において、BMVD分析は、疾患モデルと関連付けられる脈管形成のキャストについて行われ得る。疾患モデルは、動物(例えば、マウス)における腫瘍モデル(例えば、異所性の腫瘍モデルまたは同所性の腫瘍モデル)であり得る。しかしながら、その他任意の適切な疾患モデルが使用され得る。一部の実施形態において、分析は、疾患の進行と関連付けられる脈管の変化、処置に対する反応、または他の要素のモニタリングを含み得る。
【0047】
BMVDが行われる画像は、本明細書に記述された方法の任意のものによって獲得されるキャストの画像を含み得るということが理解されるべきである。例えば、獲得されたキャストの、取得された2Dまたは3D画像は、本明細書において記述された1つ以上のBMVD法に従って処理され得る。さらに、本明細書に記述された、BMVD技術のうちのいずれか、またはBMVD技術の任意の組み合わせが、管状構造(例えば、血管構造)の再構築モデルにおいて行われ得る。例えば、モデル(例えば、管状構造の数学的記述、幾何学的記述、または他の記述)が、画像データ、生の観測データなどの分析を介して獲得され得る。次に、かかる計算モデルは、再構築モデルに関して本明細書に記述された、BMVD技術のうちのいずれか、またはBMVD技術の任意の組み合わせを行うことによってさらに処理され得る。
【0048】
本明細書において考察されているように、血管数または血管範囲を決定することは、一般的に、医師、または厳しく訓練された他の専門家などの熟練したオペレータまたは熟練した技術者が、組織のサンプルを見て(例えば、共焦点顕微鏡を使用して、または組織のX線画像を見て)、そして、所望の計算をマニュアルで行うことによって行われる。しかしながら、この手順は、非常に時間を消費するものであり、そして、熟練したオペレータの存在(およびリソース)を必要とする。さらに、マニュアルの分析は、オペレータの誤りと、オペレータの疲労とを被りやすい。本出願人は、組織サンプルの分析は、分析に含まれる作業の少なくとも一部を自動化することによってはかどらせられ得るということを理解している。したがって、本出願人は、関心のある組織の領域の画像などの組織サンプルに関する1つ以上の測定を自動的に行うように適合された様々なコンピュータ実装のアルゴリズムを開発した。
【0049】
一部の実施形態において、少なくとも一部の脈管構造を含む組織の領域の画像が、血管領域と、非血管領域とにセグメント化される。次に、血管領域が、血管の少なくとも1つのサイズ特性を決定するために分析される。決定された特性(例えば、血管サイズ)でラベル付けされたセグメント化された画像が、次に、画像において1つ以上のBMVD測定を自動的に行うために使用され得る。例えば、ラベル付けされた画像は、1つ以上のビンと関連付けられる特定のサイズ範囲の血管の数をカウントするために使用され得る。同様に、ラベル付けされた画像は、1つ以上のビンと関連付けられる血管範囲の測定値を獲得するために使用され得る。本明細書に記述された実施形態は、1つ以上の作業が、医師などの人間のオペレータによってマニュアルで行われる必要がないように、セグメント化、ラベル付け、および/または1つ以上のBMVDの演算または測定を自動的に行うように適合された命令を実行する1つ以上のプロセッサによって行われ得る。
【0050】
図6Aは、本発明の一部の実施形態に従った、BMVDを自動的に行う一方法を例示する。方法600は、オペレータからのあらゆる実質的な介入を必要とすることなく、血管サイズ情報をセグメント化および決定することとを容易にする。特に、方法600は、コンピュータ実装されるように構成され、熟練した専門化が、血管領域を識別し、所望のビン化階層に従ってサイズによって血管領域を分類する必要性を不要にする。例えば、方法600は、1つ以上のプロセッサにおいて実行されたときに、1つ以上の自動BMVD測定を行う命令を有するコンピュータプログラムとして符号化され得る。
【0051】
アクト610において、1つ以上の自動BMVD測定値が決定される画像615が、獲得される。画像は、考慮される組織サンプルの2Dまたは3Dの画像であり得る。例えば、画像は、処置される腫瘍を含む人間の患者の一部分の2Dまたは3Dの画像であり得るか、診断、処置、または分析される何らかの他の生物学的異常の画像であり得る。画像は、様々な画像化技術および/または様々な画像化モダリティーのうちの任意のものから取得され得る。例えば、画像は、患者のインビボのCTスキャンを獲得することからもたらされ得る。あるいは、画像は、磁気共鳴映像法(MRI)、ポジション放射断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)からもたらされ得るか、共焦点顕微鏡からから獲得される画像などであり得る。例えば、画像は、腫瘍などの組織の異常の進展を評価するために、時間の経過と共に獲得されたか、時間の経過と共に獲得される一連の画像のうちの1つの画像であり得る。
【0052】
アクト620において、画像615は、血管範囲と、非血管範囲とにセグメント化される。例えば、画像の画素または3D画素が、血管の一部または(例えば、周囲の組織の一部として)非血管の一部いずれかでラベル付けされ得る。画素または3D画素は、血管の画素/3D画素が白くなり、そして、非血管の画素/3D画素が黒くなる(またはその逆である)ように、二進数でラベル付けされ得る。しかしながら、血管領域および非血管領域に対応する画素/3D画素は、任意の適切な方法で区別され得る。血管領域と非血管領域とに画像をセグメント化することに適切であり得る多数のセグメント化方法があり、そして、本発明の局面は、どの特定のセグメント化スキームを伴う使用にも限定されない。例えば、画像は、様々な領域成長および/もしくは閾値化技術のうちの任意のもの、様々なレベルセット法もしくは様々な高速マーチング法のうちの任意のもの、またはその他任意の適切なセグメント化アルゴリズムを使用してセグメント化され得る。
【0053】
一部の実施形態において、セグメント化は、図6Bと関連付けて以下でさらに詳細に考察されるように、第1に、画像の1つ以上の特性に基づいて、血管を含む可能性のある領域と、血管を含まない可能性のある領域とを識別し、そして、第2に、初期条件として第1のステップにおいて確立された領域を使用してレベルセットセグメント化法を行うことによって行われる。レベルセットセグメント化の結果は、少なくとも、画像の関心のある部分の画素または3D画素が、血管素材からもたらされたとして、または非血管素材からもたらされたとしてラベル付けされるか、示される画像を含む。しかしながら、任意のセグメント化法が使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0054】
アクト630において、アクト620において計算されたセグメント化された画像625が、識別された血管素材の少なくとも1つのサイズ特性を確認するためにさらに分析される。例えば、セグメント化された画像は、血管素材として識別された対象の血管の半径または直径を決定するために分析され得る。識別された血管素材の1つ以上のサイズ特性を決定することによって、1つ以上のBMVD測定値が、獲得されたサイズ特性から計算され得る。例えば、血管範囲および/または血管数の情報が、適切に、セグメント化され、かつ、ラベル付けされた画像から自動的に計算され得る。
【0055】
一部の実施形態において、半径でのラベル付けが、少なくとも画像の関心のある領域に対して血管素材としてセグメント化された画素または3D画素を適切な半径を用いてラベル付けするために使用される。例えば、距離変換アルゴリズムが、最も近い境界点(すなわち、最も近い非血管点)からの距離で各画素または各3D画素をラベル付けするために使用され得る。次に、同じ最も近い境界点を共有する全ての画素/3D画素が、共有された境界点から最大の距離の画素/3D画素の距離でラベル付けされ得、このことが、血管の半径を近似する。半径でラベル付けする方法の一実施形態が、図6Cと関連付けて以下でさらに詳細に記述される。他の方法が、セグメント化された画像を半径でラベル付けされた画像に転換するために、単独で、または距離変換法と組み合わせて使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0056】
アクト640において、アクト630において計算された、セグメント化され、かつ、ラベル付けされた画像635が、少なくとも1つのBMVD測定値を計算するために分析される。例えば、半径でラベル付けされた画像が、複数のビンを使用してビン化され得、各ビンは、血管サイズの所望の範囲と関連付けられる。各3D画素は、各3D画素が属する血管の半径でラベル付けされているので、半径でラベル付けされた画像は、各ビンに対して適切な範囲の血管を使用して分析され得る。一部の実施形態において、各ビンにおける全血管範囲が、例えば、それぞれのビンの範囲内にある、半径でラベル付けされた各3D画素を自動的にカウントすることによって計算される。次に、ビンに対する結果として生じる血管範囲が、各ビンに対するTVA測定値を獲得するために(例えば、非血管としてラベル付けされた3D画素を自動的にカウントすることによって)全非血管範囲と比較され得る。
【0057】
画像635は、各ビンにおける血管の分布に関して空間情報を獲得するために複数の範囲に分割され得るということが理解されるべきである。例えば、画像は、空間情報をTVA測定値に符号化するために、図2に示されたように分割され得る。さらに、画像は、範囲のサイズが図4に示されたように各ビンにおける血管のサイズに対して変更される範囲に分割され得る。したがって、獲得されたTVA測定値は、信頼性および特定性に関して最適化され得る。
【0058】
別の実施形態において、半径でラベル付けされた画像は、同じ血管に属する領域に画素/3D画素をまとめるためにさらに処理され得る。このように、血管をカウントする様々なBMVD測定が、行われ得る。例えば、連結成分分析が、同じ半径を有する隣接画素をまとめるために使用され得る。領域成長などの技術が、半径でラベル付けされた画素/3D画素を別々の血管領域にさらにセグメント化するために使用され得る。このようにして、画像内の血管数が、識別され得る。さらに、各セグメント化された血管もまた、半径でラベル付けされるので、1つ以上のBMVDの血管数の測定値が、画像から獲得され得る。
【0059】
図6Bは、本発明の一部の実施形態に従った、少なくとも一部の脈管である対象を含んでいる画像を、血管領域と非血管領域とにセグメント化する方法を例示する。特に、方法620’は、図6Aに例示された方法600におけるアクト620に対して行われ得るセグメント化方法の実施形態である。方法620’は、血管領域と非血管領域とに画像615をセグメント化するためにレベルセット法を含む。方法620’は、あらゆる寸法のあらゆるタイプの画像において行われ得る。セグメント化方法は、2D画像に関して記述されているが、セグメント化アルゴリズムは、2D画像だけではなく3D画像においても行われるように設計されており、そして、本発明の局面は、どのような特定の寸法の画像との使用に限定されない。
【0060】
アクト622において、レベルセット法は、最初に、血管構造に特徴的である、画像における少なくとも1つの特性または特徴を識別することによって初期化される。特徴は、様々な画像処理技術のうちの任意のものによる特徴の検出を容易にする1つ以上の検出可能な特性を含み得る。一実施形態において、特徴は、血管構造に特徴的である、画像における複数の画素の強度間の特定の関係を識別することによって検出され得る。例えば、特徴を検出することは、限定するものではないが、特徴的なグレースケールのパターンを識別すること、検出可能な縁の特性などの1つ以上の導関数特性を特定すること、または隆起線などの1つ以上の他の高次の導関数特性を特定することを含み得る。血管の特性的な特徴を識別することによって、血管素材に属する画素または3D画素が、識別され、そして、レベルセットセグメント化アルゴリズムを初期化するために使用され得る。
【0061】
本出願人は、血管の断面は、概ねガウス形状の強度分布によって特徴付けられ得るということを理解する。血管の断面密度は、モデル化された密度が、血管の中心において最も高いように、血管の長手方向軸に中心を定めたガウス分布によってモデル化され得る。例えば、円筒形の血管部分の断面の密度分布は、長手方向軸が、z軸と一致するように向けられたときには、
【0062】
【数1】
としてモデル化され得、式中、ρは、円筒部分の中心における密度係数であり、そして、rは、円筒部分の半径であり、したがって、密度が、中心において最も大きくなる(すなわち、ρと等しい)ようにモデル化され、そして、中心からの半径方向の距離の関数として指数関数的に減衰する。図7Aは、方程式1において与えられた関数のグレースケール表示を例示しており、図7Aにおいては、より黒いグレースケールの値は、密度の値の増加を示す。図7Bは、図7Aのグレースケールのガウス分布の中央においてx軸に沿った強度値の図を例示する。
【0063】
円筒の長手方向軸に沿った(すなわち、図7Aのページの外から中への)密度分布は、実質的に均一であり、実質的には変わらず、そして、長手方向軸に沿って断面分布の一定な関数として、すなわち、分布の中心からの半径方向の距離dの一定な関数としてモデル化され得る。図8は、円筒形の血管部分の強度分布モデルを概略的に例示する。特に、円筒形の血管部分のモデルは、中心において、最大密度を有し、該最大密度は、中心からの半径方向の距離dの関数として、血管の境界に向かって指数関数的に減衰する。各距離dにおいて、密度は、z軸に沿って均一である。例えば、d=0における密度は、血管の長さに沿った密度の最大値である。線805によって示されたこの密度の最大値は、隆起線と呼ばれる。
【0064】
本明細書において記述された特徴的な強度分布または同様な分布が、画像内に識別され得る場合には、関連付けられる画素/3D画素は、血管に属する可能性がある。特徴的な点が、血管領域と非血管領域とに画像をセグメント化することを容易にするために使用され得る。図8に例示された特徴的な形状を検出する一方法は、画像(例えば、画像615)において隆起検出を行うことである。しかしながら、他の方法が、モデルによって画定される特徴的な形状を検出するために使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0065】
隆起点は、強度が、主曲率方向、すなわち、最も急激な強度勾配を有する方向において局所的な極値をとる画像内の点としてここで規定される。例えば、図8における点815において(および隆起線805に沿って)、曲率の主方向が、u0(すなわち、(d,z)座標系における単位ベクトル(1,0))で示されている。隆起線805に沿った各点が、隆起点を形成する。なぜならば、各点が、z軸に沿った局所的な最大値であるからである。したがって、隆起線は、画像における局所的な導関数情報によって特徴付けられ得、そして、画像における関心のある点付近の強度に関する曲率を調べることによって検出され得る。一実施形態において、へッシアン演算子が、隆起点の検出を容易にするために画像から曲率情報を抽出するために使用される。一般的に、へッシアン演算子を加える目的は、強度値が関心のある画素の周りの画素において変わる方法に関する情報を集めることである。以下で考察されるように、この情報は、隆起線に特徴的な範囲を識別するために使用され得る。2Dにおけるヘッシアン演算子は、
【0066】
【数2】
として表され得、式中、gは、ヘッシアンによって演算される画像であり、xおよびyは、画像の座標軸である。例えば、ヘッシアン演算子は、標的画素と呼ばれる、画像における、各画素、または画素のサブセットのそれぞれにおいてヘッシアン行列を計算することによって画像に加えられ得る。ヘッシアン行列の偏導関数成分は、様々な方法で各標的画素において計算され得る。例えば、ヘッシアン行列は、標的画素の画素近傍(例えば、標的画素の隣接近傍の8画素)における適切な差を計算することによって決定され得る。3x3の近傍を使用して、ヘッシアン行列の成分は、離散導関数マスクの対応する成分に従って、画素の強度を重み付けし、そして、次に、その結果を合計することによって計算され得る。ヘッシアンの偏導関数成分に対する例示的な導関数マスクは、
【0067】
【数3】
である。
【0068】
各行列の中心は、標的画素に対応し、そして、標的画素に対する、8つの隣接する画素のそれぞれの強度は、マスクの対応する成分によって乗算され、そして、合計される。各マスクからの合計は、ヘッシアンにおける対応する成分を決定する。離散偏導関数を計算することに関する本発明の局面は、どのような特定の方法または実装にも限定されないので、他のサイズの近傍と、近傍の中の画素に対する異なる挿入関数(すなわち、マスクの重み)とが、使用され得るということが理解されるべきである。
【0069】
ここで考察されたように、ヘッシアンは、画像の画素における強度の局所的な曲率を記述する。曲率の主方向は、ヘッシアンを特性に分解することによって決定され得る。行列の特性を決定する一方法は、行列の固有値および関連付けられる固有ベクトルを決定することである。
【0070】
概して、ヘッシアン行列の固有ベクトルは、ヘッシアンが決定された標的画素における曲率の特性方向を示す。以下で考察されるように、曲率のこれらの特性方向間の関係は、隆起線の特徴を有する画像における範囲を識別するために利用され得る。行列の固有値および関連付けられる固有ベクトルが、様々な方法で決定され得、例えば、行列を対角化する多数の周知の反復方法、または、解析的に、
Hu=λu (4)
の関係を直接的に解くことによって決定され得、式中、Hは、方程式2のヘッシアン行列であり、uは、行列Hの固有ベクトルであり、そして、λは、uと関連付けられる固有値である。ヘッシアンの各固有値の大きさは、関連付けられる固有ベクトルの「有意性」に関連付けられる。言い換えると、固有値は、どの程度、関連付けられる固有ベクトルに沿った曲率が、ヘッシアンによって決定された局所的な曲率に寄与するかを示す。したがって、ヘッシアン行列の最も大きな固有値は、曲率の主方向と関連付けられる。
【0071】
周知のように、2Dヘッシアンは、2x2の対称的な行列であり、したがって、それぞれの一次独立固有ベクトルu0およびu1(すなわち、固有ベクトルu0およびu1は直交している)と関連付けられる2つの固有値λ0およびλ1を有する。本明細書において固有値λ0は、最大の絶対値を有する固有値を示し、そして、一次固有値と呼ばれる。したがって、関連付けられる固有ベクトルu0は、標的画素における曲率の主方向を示し、そして、λ0は、曲率の大きさと関連付けられる。(二次固有値と呼ばれる)固有値λ1は、u1の方向、すなわち、u0によって示された曲率の主方向に対して直交する方向における曲率の大きさに関連付けられる。
【0072】
隆起線において、外形に沿った方向の曲率は、比較的に大きいことが予測され得るが、隆起線に沿った直交方向の曲率は、比較的に小さいことが予測され得る。したがって、隆起点は、大きな一次固有値と、小さな二次固有値とを生成し得る。例えば、予測の固有値u0およびu1は、図8の隆起点815においてラベル付けされる。u0の方向における曲率は、大きいので、λ0の大きさも、同様に、大きくなることを予測される。同様に、強度分布は、シヌソイドトレースに沿って実質的に均一であることを予測されるので、u1の方向における曲率は、理論的には0であり、そして、λ1の大きさは、実質的に0になることを予測される。λ0とλ1との値、およびλ0とλ1との間の関係は、ヘッシアンが計算される各標的画素が、隆起点に特徴的であるか否かを決定するために利用され得る。すなわち、隆起点は、固有値を評価することによって検出され得る、λ0とλ1との値および/またはλ0とλ1との間の関係によって表される局所的な曲率の特徴を有し得る。
【0073】
一実施形態において、標的画素は、標的画素におけるヘッシアンの固有値に対する所定の基準に基づいて、潜在的な隆起点として識別され得る。例えば、閾値を超える一次固有値を有する標的画素だけを潜在的な隆起点として選択するように、閾値が、λ0の大きさとされ得る。さらに、または代替的に、閾値を超える比率が画像の隆起点に由来することを考慮されるように、λ1の大きさに対するλ0の大きさの比率は、閾値とされ得る。
【0074】
λ0の符号が、誤った極値(すなわち、局所的な最大値に対する局所的な最小値)によって特徴付けられる隆起を除外するためにも使用され得る。所謂、これらの谷は、血管に特徴的ではなく、そして、考慮から排除され得る。例えば、画像のグレーレベルのスキームが、図8におけるように、より明るい画素(より高いグレーレベルの値)によるより密度の高い光線の減衰を表すときには、負のλ0をもたらす点は、無視され得る(すなわち、点は、クレストではなくトラフを示す)。同様に、グレーレベルのスキームが、より低いグレーレベルの値によるより密度の高い光線の減衰を表すときには、正のλ0をもたらす点は、無視され得る。固有値および/または固有ベクトルを評価する他の基準が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0075】
したがって、隆起検出が、画像内の標的点に関する局所的な曲率特性を評価することによって隆起点を選択するために画像に適用され得る。隆起点を特定する上記の技術は、単に例として記述されているということが理解されるべきである。非隆起点から隆起点を区別するのに適したその他任意の方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。本発明は、隆起、もしくはその他任意の特定の特性および/または特徴に限定されないので、血管構造に特徴的なあらゆる特徴が、検出され、そして、レベルセットセグメント化法を初期化するために使用され得るということが、さらに理解されるべきである。
【0076】
本明細書において考察される場合に、画像内の関心のある領域は、異なるサイズの様々な血管を有する脈管構造を含み得る。異なるサイズの血管は、異なる尺度でガウスプロフィールをもたらす。特に、ガウスプロフィールのσ(図7を参照)は、血管サイズの関数として変化する。結果として、1つの尺度における隆起検出(すなわち、特定のサイズの血管の検出)は、異なる尺度における血管を検出する際には効果的ではないことがあり得る。血管を見落とすことを回避するために、隆起検出は、多数の異なるサイズにおいて、血管構造に属する適切な点を識別するために、所望の数の尺度で行われ得る。例えば、隆起検出は、BMVDの計算に使用される各ビンに対応する尺度において行われ得る。2つ以上の尺度が、同様に、単一のビンにおいて血管を検出するために使用され得る。隆起検出および/または何らかの他のタイプの特徴検出が、あらゆる尺度で、かつ、あらゆる数の尺度で行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0077】
隆起点(または他の検出された特徴点)は、次に、血管素材がその点に存在するというインジケータとして使用され得る。次に、リッジの特性は、血管構造に属する他の点をさらに識別するために使用され得る。例えば、隆起点が検出された尺度が、血管の幅を推定し、そして、最大の曲率の方向にある血管内の点を識別するために使用され得る。さらに、隆起の向き(すなわち、最小の曲率の方向)が、血管素材を表している可能性があるさらに遠い点を識別するために隆起を追跡するために使用され得る。他の方法が、血管素材を表す画像におけるさらに遠い点を識別するために使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0078】
アクト626において、強度に基づいた方法が、血管素材を表している可能性のある点を識別するために使用され得る。開始点として、(血管の中心に対応する)アクト624において識別された隆起のピーク点を使用して、隆起点の強度プロフィールが、どの点が血管構造の中にあるか、そして、どの点が、血管構造の外側にある可能性があるかを決定するために分析され得る。本明細書において考察されたように、血管構造は、特徴的なガウスプロフィールを有する。したがって、ガウス核が、血管構造の内側の点と外側の点とを識別するために使用され得る。特に、血管構造内の点は、血管構造の外側の点よりもガウス核に対して強く反応することが予測される。確率的な方法(例えば、仮説検定)が、どの点が、隆起から検出された血管構造の内側にある可能性があるか、そして、どの点が、血管構造の外側にある可能性があるかを決定するために使用され得る。
【0079】
一実施形態において、(例えば、隆起点を検出するために使用された尺度によって推定されたような)適切な尺度における複数のガウス核が、隆起点から順により遠い距離(すなわち、検出された血管の中心から引き続いてさらに遠い距離)位置での隆起点付近の領域に繰り返し含まれる。例えば、ガウス核は、仮定された血管構造の内側、想定された境界に近い仮定された血管構造の内側、想定された境界に近い仮定された血管構造の外側、および仮定された血管構造の外側に位置決めされ得る。次に、確率的な方法は、点が存在する場合には、異なる領域とガウスプロフィールとの間の類似性に基づいて、どの点が、血管の内側にあるか、そして、どの点が血管の外側にあるかを決定する。
【0080】
強度に基づいたアプローチは、少なくとも2つの有益な効果を有する。第1に、強度分析は、検出された隆起点付近の領域もまた、血管構造に特徴的な強度プロフィールを含むということを確実にし、したがって、偽陽性(すなわち、血管以外の構造からもたらされる隆起)を排除するか、偽陽性の数を減少させる。さらに、強度分析は、血管構造を表している可能性のある隆起付近の点を識別する。したがって、アクト624とアクト626とは、隆起の基準を満たし、かつ、血管構造に特徴的な強度プロフィールを有する血管素材を識別する。隆起に基づき、かつ、強度に基づいた分析が行われた後に、血管を表しているとして識別された点(すなわち、画素、3D画素など)が、そのようにラベル付けされる。さらに、識別された血管点は、どの程度、点が血管素材を表している可能性があるかと関連付けられるあらゆる確率(例えば、信頼レベル)でラベル付けされ得る。
【0081】
アクト628において、画像は、非血管素材に属する画素または3D画素を識別するために分析される。本質的に、これが、アクト624のもうひとつの面である。血管素材を表している可能性のある画像の点を識別する代わりに、非血管素材を表している可能性のある、画像内の点が、識別される。一実施形態において、隆起検出の結果が、画像内の谷を識別するために使用され得る。谷は、単に、最大曲率の点が局所的な密度の最大値ではなく局所的な密度の最小値である隆起である。本明細書において考察されたように、λ0の符号は、最大曲率の点が、隆起であるか、谷であるかを示す。したがって、同じ隆起検出データが、谷点を識別するために使用され得、該谷点は、非血管素材を表すことが想定される。さらに、アクト626において上で記述された、強度に基づいた分析は、血管の外側の範囲、すなわち、非血管範囲を識別するために使用され得る。したがって、血管素材として識別された領域と、非血管素材として識別された領域とが、レベルセットセグメント化法を初期化するために使用され得る。血管点と非血管点との両方を識別し、そしてラベル付けすることによって、より正確であり、かつ、より効率的な「2面」レベルセットセグメント化が、以下でさらに詳細に記述されるように行われ得る。
【0082】
隆起検出とガウスプロファイリングとが、上記の実施形態において、血管に特徴的な特徴を検出するために使用され得るが、あらゆる方法が、画像内の血管素材を識別するために使用され得る。あらゆる方法が、レベルセットセグメント化法を初期化するために、血管素材の一部である可能性のある点、領域、または構造を識別し、および/または非血管素材の一部分である可能性のある点、領域、または構造を識別するために使用され得るということが理解されるべきである。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0083】
アクト626において、血管素材としてラベル付けされた領域と、非血管素材としてラベル付けされた領域とが、初期設定から展開するために、偏微分方程式(PDE)を利用するレベルセットセグメント化アルゴリズムを初期化するために使用され、完全にセグメント化された領域に収束する。すなわち、血管素材としてラベル付けされる画素/3D画素は、PEDによって記述された力の関数として展開し始め、PEDが途中で遭遇する画素/3D画素を、血管素材を表すとしてラベル付けする。同様に、非血管素材としてラベル付けされる画素/3D画素は、PEDの力に従って展開し、PEDが途中で遭遇する画素/3D画素を、非血管素材を表すとしてラベル付けする。したがって、2面レベルセットセグメント化法が行われ、ラベル付けされた血管の画素/3D画素と、ラベル付けされた非血管の画素/3D画素との両方から展開する。レベルセットアルゴリズムは、画素/3D画素の全てが、血管または非血管いずれかを表すとしてラベル付けされたときに完了し得る。
【0084】
一実施形態において、領域が近傍の画素に展開する速度は、少なくとも部分的には、領域が同様な素材の範囲にあるか否かに依存する。すなわち、血管領域は、より血管範囲に似た範囲においては速く展開し、そして、あまり血管範囲らしくない範囲においては速度を落とす。同様に、非血管領域は、非血管領域である可能性の少ない領域よりも、非血管領域である可能性の高い領域において速く展開する。あるいは、血管領域および/または非血管領域は、(例えば、一定の高速マーチング法におけるように)均一な速度で展開し得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。他のレベルセットセグメント化法が当業者に見出され、そして、本発明の局面は、上で記述された2面レベルセットセグメント化法、または任意の特定のレベルセットセグメント化法、もしくは他のセグメント化法に限定されないということが理解されるべきである。
【0085】
さらに、他の特性が、レベルセットアルゴリズムの展開を制御するために使用され得る。例えば、画像の縁が、領域の展開を減速および/または停止させるために使用され得る。特に、縁に遭遇することが、領域が血管素材から非血管素材(またはその逆)にわたっているというしるしとして使用され得る。したがって、縁検出は、適切な画素/3D画素を縁としてラベル付けするために画像において行われ得る。縁は、血管領域の展開と非血管領域の展開とに対する境界として、レベルセットアルゴリズムと、レベルセット関数とに輪郭線を提供する。したがって、縁は、さらなる力、および/またはレベルセット展開を記述するPEDの制約を提供する。
【0086】
レベルセットセグメント化アルゴリズムが、収束したときに、画像は、血管の画素/3D画素と、非血管の画素/3D画素とにセグメント化される(例えば、バイナリ画像にセグメント化される)。画像615が、セグメント化された画像625にセグメント化されると、さらなる処理が、血管の画素/3D画素に関する少なくとも1つのサイズ特性を決定するために、画像に行われ得る。本明細書において記述されているように、一実施形態は、アクト620における血管素材の半径の識別を決定することを含む。しかしながら、1つ以上のBMVD演算を容易にする他のサイズの特性が、決定され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0087】
図6Cは、本発明の一部の実施形態に従った、セグメント化された画像を半径でラベル付けする方法を例示する。特に、方法630’は、図6Aに例示された方法600におけるアクト630として行われ得る方法の一実施形態である。アクト632において、距離変換が、セグメント化された画像625’において計算され、該セグメント化された画像625’は、例えば、図6Bにおいて記述された方法620’を行うことによってセグメント化され得る。距離変換は、基準の画素/3D画素からの距離で各画素または各3D画素をラベル付けするあらゆる方法を含み得る。方法630’において、基準の画素/3D画素は、本明細書において境界点と呼ばれる最も近い非血管の画素/3D画素である。
【0088】
図9Bは、図9Aに例示された血管構造のセグメント化された領域において行われる距離変換を例示する。各画素は、画素が最も近い境界の画素(すなわち、最も近い黒色の画素)から置かれた距離でラベル付けされている。距離だけが、各画素にラベル付けされて示されているが、各画素はまた、最も近い境界点を用いてラベル付けされ得るということが理解されるべきである。例えば、各画素は、1つ以上の最も近い境界点のx,y座標でラベル付けされ得る。結果として、最も近い境界点が、各画素から基準にされ得る。例えば、図9Aにおけるセグメント化された画像は、血管素材(例えば、白色の画素)および非血管素材(例えば、黒色の画素)として、画素をラベル付けする任意の所望のセグメント化アルゴリズムからもたらされ得る。
【0089】
距離変換は、境界において波面を生成し、そして、各反復において、一回に、1画素だけ、境界から前方に、かつ、離れるように波面を前進させると考えられ、そして、それによって計算され得る。境界からの距離が、各反復において増分され、そして、波面と遭遇する各画素が、増分された距離でラベル付けされる。図9Bにおいて、距離変換が、簡潔にするために、市街地ブロック距離またはマンハッタン距離を使用して計算されている。すなわち、波面は、垂直方向と水平方向とにだけ動く。したがって、2Dにおける最も近い境界点(xb,yb)からの画素(xn,yn)の距離は、/xn−xb/+/ynyb/である。同様に、3Dにおけるもっとも近い境界点(xb,yb,zb)からの3D画素(xn,yn,zn)の距離は、/xn−xb/+/yn−yb/+/zn−zb/である。
【0090】
他の距離測定方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、
【0091】
【数4】
および
【0092】
【数5】
として、最も近い境界点からの距離を計算するユークリッド距離が、距離変換において距離を計算するために使用され得る。あるいは、チェス盤距離が使用され得る。チェス盤距離を使用する場合、垂直方向、水平方向、および対角方向の移動は全て、距離の観点から等価であると考えられる。すなわち、チェス盤距離は、
2DにおいてDchess=max(/xn−xb/,/yn−yb/) (7)
そして
3DにおいてDchess=max(/xn−xb/,/yn−yb/,/zn−zb/)(8)
として最も近い境界点からの距離を計算する。
【0093】
他の距離測定が、同様に使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、さらに高度な方法が、距離変換を計算するために使用され得る。例えば、距離は、画素の境界の粒度を使用して遭遇する離散化誤差の多くを回避するためにサブピクセルレベルで計算され得る。さらに、距離は、セグメント化された画像の中心軸を計算することによって、解析的に、または反復的に計算され得る。画像内の画素および/または3D画素と最も近い境界点、もしくはその最も近い境界点が生じる境界との間の距離をマッピングするあらゆる距離変換方法が、使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。
【0094】
アクト634において、距離変換画像633は、半径でラベル付けされた画像635’に転換される。図6に例示された概略的な血管の半径が、血管網の中間軸に対応するということが理解されるべきである。当該分野において公知であるように、物体の中間軸は、物体の中の最大の内接(2点で接する)円の中心の軌跡である。すなわち、中間軸は、最も近い境界点からのその点の距離が、同じ最も近い境界点からのそれを共有する他の全ての点以上である点の組である。したがって、距離変換に関連して、中間軸は、その最も近い境界点から最大の距離である全ての点(すなわち、各画素は、境界に戻る最も長い最短経路とを有する)を識別することによって計算され得る。中間軸は、図9Cにおいて太字で強調されている。
【0095】
したがって、境界からの中間軸点の距離は、その点における物体の半径を示すために使用され得る。さらに、中間軸への波面によって取られる経路に沿う各画素も、中間軸における半径でラベル付けされるべきである。各画素に対する最も近い境界点は、既知であり、そして、距離変換の間にラベル付けされ得るので、中間軸点と同じ境界点を共有する全ての点が、中間軸点の距離でラベル付けされ得る。図9Cは、図9Bに示された距離変換画像633から転換された半径でラベル付けされた画像を例示する。示されているように、各画素は、画素が関連付けられる血管の半径でラベル付けされている。
【0096】
マンハッタン距離が、距離変換を計算するために使用されたので、中間軸点から境界に戻る複数の最長の最短経路が存在し得る。図9Cにおいて、これらの経路に沿った画素のそれぞれが、対応する中間軸点の距離でラベル付けされた。各画素、さらに詳細には、中間軸点における最も近い境界点の情報を維持する多数の方法が存在する。例えば、双方向のポインタが、そこから波面が伝播したその画素/3D画素を示す各画素/3D画素において維持され得る。中間軸が決定されると、境界点から中間軸まで各経路に沿った画素/3D画素が、同じ経路で戻り得、そして、経路に沿った画素/3D画素は、中間軸点における距離の測定値でラベル付けされ得る。本発明の局面は、この点においては限定されないので、任意の適切なアルゴリズムが、距離変換を行い、そして、半径でラベル付けされた画像に距離変換を転換するために使用され得るということが理解されるべきである。
【0097】
図9Cは、1つ以上のBMVD測定を行うために充分な情報を含む。特に、各画素における血管サイズが計算され、したがって、既知である。さらに、画像は、血管点と非血管点とにセグメント化され、血管サイズのあらゆる所望の範囲に対する、血管範囲と非血管範囲との間の比較を容易にする。画像は、血管分布特性などの空間的な情報を獲得するために、多数の範囲に分割され、および/または少なくとも部分的に分析される血管のサイズに依存したサイズを有する範囲に分割され得るということが理解されるべきである。図7dにおける画像は、生物学的な脈管構造を含む実際の画像に行われ得る本発明の概念のうちの少なくとも一部を明確に例示するために概略的なものであるということが理解されるべきである。さらに、方法620’と方法630’とが、例示を容易にする目的で、2D画像に関して記述されている。しかしながら、本明細書において記述された方法は、3Dにおいても同様に行われるように設計され得る。したがって、本明細書において記述された方法は、どのような特定の寸法の画像に限定されない。
【0098】
本明細書において記述された方法、さらに詳細には、図6および図7と関連付けて記述された方法は、(ビン化すること、および/または空間的にセグメント化することから血管の特性に関するより多くの情報を抽出することに加えて)方法が、自動的に行われ得るという点で従来のMVD計算を上回る実質的な利益を提供する。すなわち、方法は、医師などの訓練を積んだ専門家によって分析が行われるのではなく、コンピュータ実装されたプログラムを用いて画像を処理することによって行われ得る。したがって、自動BMVD計算は、マニュアルでセグメント化することと、関心のある画層において1つ以上のBMVD測定をマニュアルで行うこととの時間を消費し、かつ、誤差を生じやすい作業から、訓練を積んだ医師を解放する。
【0099】
本出願人は、BMVD測定値は、癌性腫瘍などの生物学的な異常の診断、予測、および予後に関する多数の用途において使用され得るということを理解する。特に、血管分布に関する時空的な情報が、腫瘍の様子と、特定の抗腫瘍起因性血管形成剤などの有効性などの処置の有効性と、どのように、腫瘍が、異なるサイズの血管に関して、時間の経過と共に変化しているかとに関する様々なインジケータを提供する。本発明の様々な局面に従った、1つ以上のBMVD測定値を使用した多数の例示的な用途が、ここで記述される。本出願人は、その全体が参考として援用される2005年12月22日出願のPCT出願第US2005/047081号において、血管の特性、分布、サイズ、形状などの情報を取得することによって容易にされる様々な用途を識別および開示した。本出願人は、これらの用途のうちの特定のものが、1つ以上のBMVD測定値を獲得するか、1つ以上の代替のビン方式分析を使用するかによって容易にされるということを理解する。あらゆる用途が、異なるサイズの微小脈管形成の1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のビンに限定される分析を含み得るということが理解されるべきである。例えば、ビン方式分析は、診断の用途に有用であり得る。一実施形態において、本発明の局面が、インサイチュの管状網のパターン(例えば、個々の構造特徴または分布)と関連付けられる疾患を検出および診断するために使用され得る。一部の場合において、診断は、一回の、関心のあるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の検査から与えられ得る。あるいは、被検体における疾患の予後が、2つ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の時点において構造分析を行うことによって追跡され得る。疾患の追跡は、診断情報および予後情報を患者に提供するために使用され得る。例えば、疾患の予後情報は、腫瘍の進行性および/または侵襲性を評価するために使用され得る。
【0100】
本発明は、1つ以上の疾患に関連付けられる徴候の存在に対して個人または個体群をスクリーニングするために使用され得る。本明細書において述べられるように、スクリーニングは、体全体のスクリーニングであり得るか、1つ以上の標的領域(例えば、特定の臓器または組織)に焦点を合わせられるかであり得る。
【0101】
一実施形態において、本明細書において記述された技術は、1つ以上の、疾患と関連付けられる構造的なパターンまたは構造的な特徴を有する個人を自動的に識別するために使用され得る。次に、これらの個人は、さらなる病気の徴候に関してテストされ得る。次のテストは、任意の適切な形態で行われ得る。なぜならば、本発明の局面は、この点においては限定されないからである。例えば、テストの追跡調査は、従来の技術を利用し得る。限定ではない例として、本発明の局面の使用は、費用効果の高いスクリーニング技術を可能にし得、該費用効果の高いスクリーニング技術は、疾患の危険にあるような比較的小さな候補のプールを識別し得、そして、最終的な診断または予後に到達するために、技術の追跡調査は、本明細書に記述された本発明の技術を使用して狭められない幅広いサンプルに行うにはあまりにも高価であり得る比較的高価なテスト手順の使用を正当化し得る。さらなる例として、本明細書に記述された本発明の局面は、単独で、または他の技術と組み合わせていずれかで、次のテストを行うために使用され得る。この局面において、初期スクリーニングの感度は、初期スクリーニングがいくつかの偽陽性を示すよう比較的高く設定され得、そして、本明細書に記述された本発明の局面に従った技術の次の適用が、さらに詳細な情報を提供し得るより高い感度で利用され得る。
【0102】
一実施形態において、本発明の局面は、1人以上の個人における疾患の徴候の存在を識別するために、危険な状態の個人(例えば、癌、循環障害、または他の疾患などの疾患に対する遺伝子的な要因または他の危険な要因を有する個人)の個体群をスクリーニングするために使用され得る。
【0103】
一実施形態において、本発明の診断方法は、効率とスループットを増加させ、そして、個々の医師と関連付けられる変動性を減少させるようにコンピュータ実装されている。しかしながら、本明細書において考察されたように、一部の実施形態において、最終的な診断は、本明細書に記述された本発明の局面を使用して、自動的な分析または構造的な表示によって生成された情報に基づいて医師によって行われ得る。
【0104】
上記から理解されるように、本発明の局面は、病気を有することが分かっている患者に使用され得るか、定期的に健康な被検体をスクリーニングするために使用され得る。被検体は、1つ以上の疾患に対してスクリーニングされ得る。スクリーニングは、定期的(毎週、毎月、毎年、または他の時間間隔)に行われるか、一回のイベントとして行われ得る。異なる条件が、異なる時間間隔で、そして、異なるリスク要因(例えば、年齢、体重、性別、喫煙歴、家族歴、一般的なリスク、毒素および/もしくは発癌物質に対する暴露、またはそれらの組み合わせ)の関数でスクリーニングされ得る。
【0105】
一実施形態において、本発明の局面は、脈管構造の変化と関連付けられる疾患を診断、評価、または段階付けるために利用され得る。脈管構造におけるわずかな変化の検出が、早期段階の疾患検出と疾患のモニタリングとに有益であり得る。ビン化された血管の形態学的な決定が、分析され得、そして、1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、異常な特性の存在に関して評価され得る。一実施形態において、一連の連結された分枝された血管を含む脈管構造が、獲得され得、そして、該脈管構造は、動脈、細動脈、静脈、細静脈、毛細血管、および他のサイズの血管を含み得る。しかしながら、本発明の局面に従って、連結された脈管構造は、必要とされず、そして、異なるサイズの血管が、別々に分析され、そして、ヒストグラムまたは他の形式の分布表示に表示され得る。本発明の一部の局面において、全身の血管が分析され得、そして、他の局面において、標的の臓器、組織またはそれらの一部の血管が、分析され得る。本発明の一部の局面において、血管サイズのサブセット(例えば、約500ミクロン、好適には、約200ミクロン、さらに好適には、100ミクロン、またさらに好適には、50ミクロン、またさらに好適には、25ミクロンを下回る直径を有する血管)だけが、ビン化され、そして、分析される。一実施形態において、毛細血管だけが分析される。別の実施形態において、毛細血管、ならびに小さな動脈および小さな静脈(細動脈および細静脈)が、分析される。例えば、樹枝状脈管構造(例えば、食道粘膜の樹枝状脈管構造などの粘膜の樹枝状脈管構造)が、それが発見されたあらゆる組織において分析され得る。
【0106】
脈管の樹枝状分岐の分枝が、患者の状態に関する情報を探り出すために分析され得る。一実施形態において、脈管の樹枝状分岐の分枝は、腫瘍起因性血管形成の特定の特性が、評価され得る特定の領域を識別するために追跡され得る(例えば、異常な構造が疾患と関連付けられる血液を供給している場合に、異常な構造を有し得る小さな血管を識別するために、大きな分枝から開始して、そして、分枝の第2、第3、もしくは第4、またはそれに続くレベルに樹枝状分岐を追跡する)。あるいは、脈管の樹枝状分岐におけるいくつかの異なるサイズが、腫瘍起因性血管形成の徴候に関して評価され得る。別の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の全体的な分枝パターンが、分析され得る。例えば、健康な脈管の樹枝状分岐は、血管が分枝するにつれて、血管のサイズが概ね減少するという点でほぼ階層的であり得る。対照的に、疾患の(例えば、腫瘍起因性血管形成の)脈管の樹枝状分岐は、血管のサイズがほとんど減少しないか、全く減少しないかなりの血管の分枝の範囲を伴うあまり階層的ではないものである。分析の性質および程度は、診断評価の目的に依存し得るということが理解されるべきである。例えば、全身の走査は、異なる疾患の徴候に関して、全ての脈管構造を選択し、そして、全脈管網を分析して評価され得る。あるいは、疾患にかかった疑いのある体の領域が、選択され得、そして、データが、(例えば、関心のある領域の構造のセグメント化された表示を獲得するために)その領域の脈管構造に焦点を合わせるように処理され得る。関心のある領域は、臓器(例えば、膵臓、肝臓、乳房、結腸など)または組織(皮膚の表皮組織)であり得る。異常な脈管構造の存在は、早期段階の検出が効果的な治療に重要である広範な疾患の早期段階の徴候であり得る。
【0107】
脈管構造の変化と関連付けられる疾患(例えば、所与のときにおける異常な脈管パターンの存在、または時間の関数として観察された異常な組織の変化によって検出され得る)は、限定するものではないが、癌、心臓病および関連の循環器障害、眼病、皮膚病、および外科的状態を含む。例えば、脈管構造の変化と関連付けられる疾患および状態は、限定するものではないが、腫瘍性脈管形成、再発性癌および進行性癌、冠状動脈疾患、心筋症、心筋虚血、動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、アテローム性プラーク新脈管形成、閉塞性動脈疾患、虚血、虚血性再脈管形成または心筋塞栓後虚血性再脈管形成、抹消血管症(糖尿病性網膜症を含む)、血栓塞栓症(例えば、卒中、肺塞栓、脳動脈瘤、および深部動脈血栓症)、はこう、リウマチ疾患(例えば、関節炎)、免疫疾患(例えば、リウマチ性関節炎、脈管炎、ウェグナー肉芽腫症、および全身性狼瘡紅斑(SLE))、肺疾患(気腫、COPD、特発性肺繊維症、肺動脈高血圧症、および他の呼吸器疾患を含む)、骨髄腫、脈管増殖疾患、胃腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、および炎症性腸疾患(IBD))、婦人科疾患(子宮内膜ポリープ、膣出血、子宮内膜症、不正子宮出血、卵巣過刺激症候群、子癇前症、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、子宮頸癌、および子宮頸形成不全)、皮膚疾患(小児血管腫、尋常性疣贅、乾癬、神経線維腫症、表皮水泡症、スティーブンス−ジョンソン症候群、および中毒性表皮壊死症(TEN))、眼の疾患(黄斑変性症、黄斑症、糖尿病性網膜症、および未熟網膜症(水晶体後方繊維増殖症))、創傷治癒、免疫応答と関連付けられる炎症、下肢虚血および心虚血を含む虚血、アルツハイマー病、および創傷解離、バーガー症(閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症(ASO)、虚血性潰瘍)などの他の疾患、多発性硬化症、特発性肺繊維症、HIV感染、足底肥大吸虫症、足底筋膜炎、フォンヒッペルリンドウ病、CNS血管芽細胞腫、網膜血管芽細胞腫、甲状腺症、良性前立腺肥大症、糸球体腎炎、異所性骨形成、およびケロイドを含む。
【0108】
これらの異なる疾患は、脈管構造の異なる変化によって特徴付けられる。したがって、本発明の一局面において、パラメータと、採点方法が、疾患を示す脈管構造の特定の特性に基づいて、特定の疾患と、それらと関連付けられる治療とを検出、診断、およびモニタリングするために使用され得る。各疾患のカテゴリー内でさえも、異なる疾患は、脈管構造における変化によって特徴付けられ得る。したがって、構造の探索および採点は、カテゴリー内の特定のタイプの疾患に対する感度を増加させるように微調整され得る(例えば、肺癌のスコア、乳癌のスコアなどが、開発される)。患者固有の採点パラメータがまた、患者の特定の疾患または特定の障害の進行を追跡することによって開発され得る。
【0109】
構造的な脈管構造の変化は、血管および/またはリンパ管に影響を与える、脈管のアーキテクチャおよび脈管の形態の変化を含む。構造的な変化は、新脈管形成(大きな血管の成長(例えば、動脈形成)を含む)および微小脈管構造の成長(腫瘍起因性血管形成)と、大きな血管の拡張と、脈管の壊死とを含み得る。腫瘍起因性血管形成は、先に存在する血管から出る新たな血管の形成を含む。腫瘍起因性血管形成は、主に発達の間に生じる血管の新たな形成である脈管形成とは異なる。脈管形成は、疾患および障害とほとんど関連付けられない。しかしながら、本発明の局面は、新たな血管の形成における欠陥を識別および理解することを助けるために脈管形成の本来のプロセスを調査するために使用され得る。
【0110】
腫瘍起因性血管形成は、多くの場合に腫瘍の成長と関連付けられ、そして、癌のバイオマーカとして有用である。腫瘍起因性血管形成はまた、新たな血管の成長が、(血栓症、塞栓症、アテローム性動脈硬化症、または他の慢性的な閉塞、または脈管構造の偏狭のいずれかに起因した)酸素供給または血流の減少に反応して生じる状態と関連付けられ得る。特定の呼吸器疾患、心血管疾患、および炎症性疾患がまた、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる。
【0111】
腫瘍起因性血管形成の血管は、確立した血管の構造的特性とは異なる構造的特性を有する。例えば、腫瘍起因性血管形成の血管の分枝パターンとねじれとは、正常な血管とは非常に異なる。これらの構造的な特徴と、他の構造的な特徴とが、主に、微小脈管構造において見つけられ、そして、脈管構造の構造的な画像を探索および採点するために使用され得る。しかしながら、動脈および静脈などの大きな血管の変化もまた、特定の疾患または特定の疾患の段階(例えば、大きな腫瘍の成長および発達、腫瘍の末期段階)と関連付けられ得る。
【0112】
腫瘍を維持する脈管構造は、一般的に、(柔組織における)悪性細胞を維持する腫瘍の結合組織(間質)と関連付けられる。本明細書において考察されたように、腫瘍性血管は、不規則に間隔を置かれており、そして、不均一な構造パターンまたは特徴によって特徴付けられる。しかしながら、腫瘍性血管の形成と腫瘍起因性血管形成の他の形態とは、一連の特徴的な段階を含み得る(例えば、その全開示が本明細書において参考として援用される、Dvorak、2003年、American Journal of Pathology、Vol.162:6、pp.1747〜1757を参照。)。早期段階の腫瘍起因性血管形成は、脈管の過透過性と、フィブリン堆積およびゲル形成と、浮腫とによって特徴付けられ得る。これは、小静脈などの微小血管の拡大をもたらし得る。拡大された微小血管の断面積は、正常な微小血管の断面積の約4倍である。拡大された微小血管の周囲は、正常な微小血管の周囲の約2倍であり得る。拡大された微小血管は、活性腫瘍起因性血管形成の領域において、正常な微小血管の体積の約4〜7倍を占め得る。拡大された微小血管の出現には、拡大されており、薄壁性であり、蛇行性であり、そして、過透過性である「母」血管の出現が続き得る。母血管は、架橋が進行し、それにより、経腔内架橋が形成され、血管の中の血流をより小さい経路に分割する。発達する母血管はまた、1つ以上の糸球体を含み得、該糸球体は、一般的には曲がりくねったいくつかのより小さい経路に母血管の管腔を分割するように拡張し得る。母血管における架橋と糸球体の形成とは、腫瘍起因性血管形成に特徴的な小さな毛細血管の出現をもたらし得る。しかしながら、一定の母血管は、薄壁を有する異常に拡大された血管として生き残る。これらの脈管の形成異常は、多くの場合に、非対称的な筋層の存在と血管周囲繊維症とによって特徴付けられる。小さな動脈と細動脈とはまた、疾患組織においてサイズを増加させ得る。本発明の局面は、本明細書において記述された血管構造の変化のうちの任意の1つ以上のものを検出および/またはモニタリングすることを含む。一実施形態において、新たな血管形成に特徴的な1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の存在が、疾患を検出またはモニタリングするために使用され得る。別の実施形態において、1つ以上のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の存在は、身体領域内の腫瘍起因性血管形成の段階(例えば、早期段階、中期段階、末期段階など)を決定するために使用され得る。
【0113】
したがって、血管サイズ(直径および/または長さ)の異常な変化は、癌、または血液供給の増加と関連付けられる他の疾患などの疾患の早期段階の徴候であり得る。血管サイズの変化は、腫瘍起因性血管形成のあらゆる構造的な徴候が現れる前に生じ得る。一実施形態において、本発明の局面は、膨んだ、および/または通常よりも長い血管(例えば、毛細血管)の検出のために有用である。例えば、本発明の局面は、(例えば、食道粘膜における癌の早期段階と関連付けられる)異常に長い上皮乳頭間ループ状毛細血管をインサイチュで検出するために有用である。
【0114】
一部の実施形態において、腫瘍組織の壊死を示す血管の変化が、腫瘍組織の進行性、および/もしくは転移の可能性、および/もしくは治療に対する反応性、および/もしくは治療処置(例えば、候補の薬物)の効能、および/もしくは治療処置の選択、ならびに/または修正(例えば、個々の患者に対する薬物または投与量の変化)を示し得る。したがって、壊死を示すインサイチュのパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)は、患者の予後に対する有用なバイオマーカであり得る。特定の実施形態において、腫瘍の領域内の壊死は、その領域内の以下のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布):血管構造の崩壊、貧弱な脈管形成(例えば、腫瘍の他の領域に対する低血管密度、または腫瘍の周囲に対する低血管密度)、時間の経過による血管のサイズまたは形状の変化、閾値よりも低い数の血管、腫瘍の体積の中で閾値を上回る距離(例えば、100ミクロンを上回る距離、150ミクロンを上回る距離、または200ミクロンを上回る距離)だけ離された(例えば、微小血管または毛細血管内の)血管、過少脈管形成を示す微小血管の直径または密度など、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上によって示され得る。一部の実施形態において、無血管形成または過少血管形成の体積が、評価または定量化され、そして、壊死のインジケータとして使用され得る。壊死の他の徴候が、単独で、または血管の特徴と組み合わせて使用され得るということが理解されるべきである。他の徴候は、組織崩壊、または(例えば、CTなどを使用して)視覚化され得る空洞形成の徴候、および/または代謝活動の1つ以上のマーカ(例えば、PETスキャンを使用して分析され得るものなど)を使用した組織の生存能力の徴候を含み得る。
【0115】
本発明の局面は、被検体(例えば、被検体における腫瘍)における壊死の範囲の検出(例えば、自動検出)のために使用され得る。壊死の領域は、疾患組織の境界内の無血管領域である。本発明の方法は、脈管形成された疾患組織と、壊死領域の境界を画定する無血管領域との間の遷移を(例えば、自動的に)検出するために使用され得る。
【0116】
本発明の局面は、治療に対する反応を(例えば、自動的に)検出または評価するために使用され得る。例えば、治療(例えば、特定の薬物、および/もしくは薬物の特定の用量、ならびに/または薬物の組み合わせおよびこれらの薬物の特定の用量の組み合わせ)に対する反応が、以下のように検出および評価され得る。血管パターンの変化(例えば、血管の正常化/直線化、より低い微小血管密度をもたらし、そして、より大きな血管に向かった血管の直径分布のひずみをもたらすより小さい直径の血管の消失)が、疾患組織の境界と壊死範囲の境界とによって画定される体積の中で検出および/または評価され得る。壊死範囲の絶対的な体積のサイズの増加および/またはかかる変化の速度が、疾患(例えば、腫瘍)の全体積は、一定なままであるが、治療が有効であるというインジケータとして検出および/または評価され得る。壊死範囲の絶対的な体積サイズと、全疾患(例えば、腫瘍)の体積との間の比率の増加、および/またはこの比率の変化の速度が、検出および/または評価され得、そして、治療が有効であるインジケータとして使用され得る。疾患組織の体積と壊死領域の体積との比率が、検出および/または評価され得、比率が、1に近付き、そして、全体的な疾患組織の体積が収縮し始めたときに、それは、治療が有効であるというしるしを提供する。
【0117】
したがって、一部の実施形態において、ビン方式分析は、治療の反応の予測となり得る。
【0118】
特定の実施形態において、ビン方式分析は、1つ以上の治療薬と関連付けられる望ましくない副作用からもたらされる脈管構造の変化に感度が高くなり得る。したがって、ビン方式分析は、特定の薬物の中毒性の副作用を検出または定量化するために使用され得る。
【0119】
ビン化された血管の形態は、血管が正常であるか、(例えば、疾患と関連付けられる)異常であるかという可能性に関するスコアを提供するために使用され得る特定のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を識別および評価するために探索され得る。血管を採点するためのパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)は、限定するものではないが、以下:直径、曲率、(例えば、ねじれの程度、異常なねじれが観察される血管の長さかなどを含む)ねじれ、(距離全体にわたるか、体積における空間的な変動性または不均一性を含む)変動性もしくは不均一性、分枝の形状またはパターン、分枝の密度、分枝の階層性、血管密度、血管サイズの分布(大血管構造に対する微小血管構造の比率)、フィールド効果(特定の領域に向かって曲がる血管の存在)、血管の直径分布、血管または血管の断片の幾何形状的な向きの変動性、およびフィールド内の向きの分布を含む。スコアは、これらのパラメータのうちの2つ以上(たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上、または全て)が評価された場合には、さらに有意性を持ち得る。一部の実施形態において、スコアが、患者固有の医学的情報(例えば、年齢、体重、身長、性別など)、およびX線または他の画像上の目に見える病変などの疾患の1つ以上の追加のインジケータの存在などの追加情報と組み合わされたこれらの構造的なパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される。一部の実施形態において、スコアが腫瘍に対して提供され得る。有用なスコアの例は、腫瘍の脈管質を反映しているスコアである。異常に高い脈管質(正常な血管数、正常な血管密度、正常な血管の長さ、または上記の組み合わせよりも高いと測定されている)は、概して、より進行性の腫瘍またはより侵襲性の腫瘍を示す。一実施形態において、脈管質は、腫瘍起因性血管形成の脈管構造の管腔の体積(腫瘍と関連付けられる血管の樹枝状分岐の中の体積)を測定することによって評価される。別の実施形態において、脈管質の評価指標は、腫瘍起因性血管形成の管腔の体積を充実性腫瘍の体積で除算することによって提供される。追加情報は、2つ以上の時点でスコア(または他の構造的な評価)を取得することから探り出され得る。変化するスコア(または他の構造的な評価)は、疾患または障害と関連付けられ得る発達する脈管構造を示す。本明細書において記述されたパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、調査される血管に連結性を課すことなく分析のフィールドに対して識別および分析され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、正常な特徴とは異なる、個々の血管の1つ以上の構造的な特徴または血管の1つ以上の幾何形状的な特徴を検出するために、血管の断片だけを分析することが充分であり得る。例えば、0.5mm、1mm、5mm、10mm、50mm、1cm、5cm、10cm、50cmなどの平均長を有する血管の断片が使用され得る。しかしながら、より短い長さ、もしくはより長い長さ、または中間の長さが、使用され得るということが理解されるべきである。本明細書において記述された本発明の採点および探索の局面は、自動化され得る。したがって、疾患(例えば、腫瘍起因性血管形成)の脈管構造が、正常な脈管構造の中から自動的に検出され得る。血管のねじれ、血管の分枝、血管の密度、および全血管内体積を含む様々な脈管構造のパラメータが、別々に、またはあらゆる組み合わせのいずれかで自動的に検出および採点され得るが、本発明は、どのような特定のパラメータまたはどのような特定のパラメータの組み合わせにも限定されない。
【0120】
一実施形態において、本発明の局面は、卒中、肺塞栓、閉塞された微小冠状動脈、深部静脈血栓などを含む閉塞された血管と血栓塞栓症の発生とを検出するために使用され得る。閉塞された血管は、(1)直接的に、閉塞された血管の構造的な変化(例えば、血塊、壁の肥厚化、または他の血流低下の徴候)を検出することによって、および/または(2)間接的に、閉塞に反応して生成された新たな脈管形成を検出することによって検出され得る。概して、付随的な血管の形成は、癌と関連付けられる腫瘍起因性血管形成よりも規則正しい。本明細書に記述された本発明の一局面はまた、血塊が小さな血管において検出されることを可能にする。
【0121】
本明細書において記述されたように、本発明の局面は、あらゆる組織における異常のあらゆる形態に対してスクリーニングするために、人間または他の動物の脈管構造全体をスクリーニングするために使用され得る。あるいは、体のサブセットがスクリーニングされ得る。したがって、ビン化された血管の構造が、1つ以上の臓器または組織のタイプに関して分析され得る。さらに、標的体積における全脈管の樹枝状分岐に対してではなく、任意の所定のビンにおける血管の一部分だけが、任意の標的体積の中で分析され得る。これは、関心のある範囲に焦点を合わせた構造データを分析することによって行われ得るか、大量の構造データが獲得され得るが、分析は、利用可能なデータのサブセットに制限され得る。一部の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の一部分だけ、例えば、特定のサイズ範囲のものであるそれらの血管の一部分だけが、ビン化および/または分析され得る。一部の実施形態において、脈管の樹枝状分岐の断片だけが、その断片が関心のあるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を提供するために充分に有用である場合には、表示および/または分析される。断片は、分枝を含み得るか、分枝されていないことがあり得る。分析される脈管構造の一部分が、統計学的に有意であり得るので、あらゆる観察(正常または異常)が、生理学的に有意である。例えば、高い血管密度などの脈管構造の変化(例えば、腫瘍起因性脈管形成)と関連付けられ得るその他任意のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)を確実に検出するために、充分な数の血管の下部構造が、分析される場合には、分枝された構造は、分析に必要ではないことがあり得る。本発明の局面において、脈管のパターンは、1mm3、2mm3、5mm3、1cm3、2cm3、5cm3、10cm3などの体積で、インサイチュで検出および/または評価され得る。しかしながら、より小さい体積、もしくはより大きな体積、または中間の体積がまた、分析され得る。
【0122】
異なる組織および異なる臓器(例えば、非常に脈管形成されている肺)は、異なり、かつ、特徴的な血管パターンを有する。したがって、一実施形態において、構造分析と、関連付けられる構造的なパラメータとが、異なる組織の評価に対して最適化され得る。
【0123】
一部の実施形態において、走査データが、1つ以上の臓器(例えば、肺、心臓、結腸、脳、肝臓、膵臓、腎臓、乳房、前立腺など)、もしくは組織(例えば、皮膚、骨など)、または上記の組み合わせに関して獲得および/または分析される。
【0124】
脳が、脳腫瘍、および/または脈管構造のパターンと関連付けられ得る他の神経障害の徴候に対して評価され得る。例えば、アルツハイマー病は、特定の脈管の異常と関連付けられ得る。一実施形態において、血管パターンの1つ以上の変化(例えば、形状および/またはサイズ)が、脳内の高血圧のインジケータとして検出され得る。
【0125】
一部の実施形態において、臓器または組織の特定の領域が、焦点を置かれる。例えば、アテローム性動脈硬化症は、一般的に、動脈の樹枝状分岐の特定の部分(例えば、分枝、側枝、分流地点の向かい側の領域、腫瘍起因性血管形成が多くの場合にアテローム性動脈硬化症と関連して生じる他の範囲)において見つけられ、そして、特定の癌は、特定の臓器または特定の組織領域においてより頻繁に生じる傾向にある(たとえば、結腸癌は、結腸の長さに沿って均等には分布されない)。
【0126】
他の実施形態において、本発明の局面は、疾患の他の1つ以上の徴候(例えば、便潜血、結腸ポリープ、肺小瘤、1つ以上の嚢胞、または疾患の他の徴候)を有するとして識別された個人を追跡調査するために使用され得る。本発明の局面は、疾患の存在を確認するか、疾患関連の病変の位置を決定するか、疾患の評価および予後を提供するかのために使用され得る。例えば、本発明の局面は、異常な脈管構造が、病変の部位(例えば、結腸ポリープ、肺小瘤、膀胱嚢胞、前立腺嚢胞、乳房嚢胞、マンモグラフィ上の点、もしくはその他任意の嚢胞、こぶ、または物理的に、視覚的に、もしくはその他任意の診断技術を使用して検出され得る点)に存在するか否かを決定し、そして、病変と関連付けられる悪性腫瘍(または他の発癌性疾患の段階)の可能性を評価するのを助けるために使用され得る。したがって、本発明の局面は、事実上の悪性腫瘍の検出(例えば、事実上の結腸内視術、事実上の結腸の悪性腫瘍検出、事実上の気管支鏡法、事実上の肺の悪性腫瘍検出、事実上のマンモグラフィ、事実上の膀胱鏡検査法など)のために使用され得る。
【0127】
他の実施形態において、本発明の局面は、癌性の病変の程度を評価するために、および/または1つ以上の転移性の病変(例えば、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる1つ以上の場所)の存在をスクリーニングするために、癌患者をスクリーニングするために使用され得る。癌患者は、原発性癌の最初の診断の際にスクリーニングされ得る。さらに、または代替的に、癌患者は、最初の癌処置(例えば、手術、放射線療法、および/または化学療法)の後に、少なくとも一度スクリーニングされ得る。このスクリーニングは、あらゆる癌の再発を検出するために元々の癌の場所を含み得る。このスクリーニングは、他の病変の存在に関してスクリーニングするために、同じ組織または同じ臓器において、似た体の組織を含み得る(例えば、癌性の病変が結腸の1つの領域において検出されたときに、結腸全体が、スクリーニングされ得、そして、癌性の病変が第1の乳房において検出されたときには、第2の乳房が、スクリーニングされ得る)。このスクリーニングはまた、全身、または転移性の病変を含むと疑われる1つ以上の他の場所に拡張され得る。一実施形態において、癌患者は、最初の癌処置の後に、何度か(例えば、約6ヶ月の時間間隔、約1年の時間間隔、約2年の時間間隔、約5年の時間間隔、または他の時間間隔)スクリーニングされ得る。
【0128】
一実施形態において、追跡調査手順は、転移性の病変の存在に対して、1つ以上の臓器または1つ以上の組織をスクリーニングすることを含み得る。異なる癌は、転移の異なる特徴的なパターンを有し得る。したがって、異なる標的の場所が、異なる癌に対してスクリーニングされ得る。例えば、転移性の乳癌は、一般的に、肺、肝臓、骨、および/またはCNSに広がる。したがって、患者が、乳癌と診断された後に、これらの組織のタイプまたは臓器のうちの1つ以上が、スクリーニングされ得る。同様に、患者が、他の癌のタイプと診断された後に、他の標的の場所が、スクリーニングされ得る。一部の実施形態において、癌患者の体全体が、転移の徴候に対してスクリーニングされ得る。
【0129】
一局面において、最初のスクリーニングが、低解像度の表示を使用して、および/または、例えば、疾患の徴候を検出するために、わずかに1つ、もしくは2つ、または少ない数(例えば、5つ未満)のパターンパラメータを分析して、全身または全臓器に行われ得る。次に、疾患の存在および/または性質が、高解像度の表示を使用して、および/または、例えば、1つ以上の追加のパターンパラメータ、または最初の検出のために分析されたパラメータ以外の代替のパターンパラメータを分析して、診断され得る。
【0130】
本発明の診断の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0131】
本発明の局面はまた、疾患と関連付けられる1つ以上の構造的な異常の位置を特定することによって疾患の場所を識別するために使用され得る。この情報は、疾患の病変の正確な位置の特定またはその他任意の目的のために、バイオプシー手順または処置(例えば、1つ以上の中毒性の化学物質、放射線、熱、冷気、小分子、遺伝子療法、外科手術、その他任意の処置、または上記のうちの2つ以上の組み合わせを用いた処置)を目的とするために使用され得る。
【0132】
一実施形態において、画像化デバイスは、疾患の病変のリアルタイムの視覚表示を提供するコンピュータに接続される。一実施形態において、リアルタイムの視覚表示は、(実際の画像とは異なり)関連付けられる脈管構造を加えた体の領域と病変との正確なモデルであり得る。この視覚情報は、バイオプシーのための外科用器具を誘導するために使用され得る。あるいは、情報は、侵襲性(例えば、外科的除去またはバイパス)または非侵襲性(例えば、放射線療法)の処置手順を、疾患の病変(例えば、腫瘍または血塊)の部位に誘導するために使用され得る。
【0133】
一部の実施形態において、本発明の局面は、疾患の組織と非疾患の組織との間の境界、もしくは壊死性の組織と非壊死性の組織との間の境界など、またはそれらの任意の組み合わせを画定するために使用され得る。例えば、境界は、関心のある幾つかの範囲に対するビン化されたデータを分析し、そして、非常に異なる血管密度(または疾患、壊死など、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられる他の形態学的パラメータの相違)を有する隣接した範囲を識別することによって識別または画定され得る。
【0134】
一実施形態において、本発明の局面は、処置が適用される前に、処置に対する組織の範囲を識別するために使用され得る。例えば、処置の標的領域が、無秩序な血管構造の境界を検出することによって識別され得る。範囲は、処置が適切に標的に向けられたということを確認するために、処置の後に評価され得る。一実施形態において、構造は、体の領域から取り除かれる組織の程度を識別するために手術前に分析され得る。一実施形態において、体の領域は、どんな異常な構造も見落とされていないかどうかを決定するために、手術後に分析され得る。これは、放射線処置または病変組織の外科的な除去の成功を確認するために使用され得る。あるいは、これは、さらなる外科手術および/または別の形態の処置を決定するために使用され得る。別の実施形態において、疾患の境界は、異常な脈管構造の境界によって画定され得るか、描かれ得る。処置(例えば、放射線療法、外科手術など)は、疾患の境界によって誘導され、および/または疾患の境界に囲まれた体積に制限され得る。
【0135】
一実施形態において、本発明の局面は、外科的インプラントまたは外科的移植の成功を評価するために使用され得る。例えば、本発明の局面は、臓器移植または組織移植の後の新たな血管の形成を評価するために使用され得る。
【0136】
別の実施形態において、新たな血管の発達は、腫瘍組織の除去後、または腫瘍のバイオプシーの後にモニタリングされ得る。(該腫瘍組織の除去と該腫瘍のバイオプシーとの両方は、腫瘍起因性血管形成を引き起こし、および/または潜伏中の腫瘍を悪性腫瘍に転換し得るものである)。
【0137】
本発明の診断の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0138】
本発明の局面はまた、患者に対する治療処置を最適化するために使用され得る。異なる処置のタイプまたは異なる用量に反応した疾患の進行または退行の程度が、モニタリングされ得、そして、最適な処置が識別され得る。最適な処置は、疾患が進行すると変化し得る。時間の経過に伴う処置の有効性が、本明細書に記述された本発明の局面を使用して、疾患関連のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)の変化を分析することによってモニタリングされ得る。
【0139】
一実施形態において、第1の治療が、施され得、そして、異常な血管成長の減速、停止、または後退に関するその有効性が、不定期的に、または一定の時間間隔(例えば、毎日、毎週、毎月、または他の時間間隔)いずれかでモニタリングされ得る。一部の実施形態において、第1の治療レジメンが、疾患の進行に対して所望の効果を有さない場合には、第2の治療レジメンが、評価され得る。同様に、追加の治療レジメンが、患者毎に評価され得る。さらに、本発明は、わずかな治療的な変化の効果をモニタリングし、そして、条件および患者に対して最も効果的に見える条件を使用することによって選択された治療レジメンを最適化(例えば、薬物または他の処置の、用量、タイミング、送達、または他の特徴を最適化)するために使用され得る。
【0140】
処置の治療効果を見るときに、疾患固有のパラメータが、モニタリングされ得る。当然、全てのパラメータが、獲得され得、そして、サブセットだけが、検討され得る。しかしながら、疾患を特徴付けるパラメータに対するビン化されたデータだけを単に獲得することが、より効果的であり得る。
【0141】
本発明の局面に従って、腫瘍起因性血管形成の脈管構造と他の異常な血管とを検出するために使用されるパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)がまた、処置に対する疾患の反応をモニタリングするために使用され得る。例えば、腫瘍起因性血管形成の脈管構造または他の疾患の脈管構造の脈管質全体またはその他の体積的分析と、血管サイズの分布(例えば、大きな血管に対する小さな血管の比率)が、疾患の進行または退行のインジケータとして、独立して、または共に使用され得る。概して、微小脈管構造は、抗腫瘍起因性血管形成処置(または他の疾患の処置)が、効果的である場合には、大血管形成の前に消失する。したがって、効果的な処置は、より大きな血管に向かう血管サイズ分布のシフトをもたらす。抗腫瘍起因性血管形成活性の指標は、小さな血管の損失、または単一のサイズに向かった観察された血管のシフトいずれか(または両方)として採点され得る。
【0142】
別の局面において、パラメータは、時間の経過による変化であり得る(または時間の経過による変化を含み得る)。例えば、第2の時点に存在する構造は、第1の時点に存在する構造と比較され得る。一実施形態において、疾患は、治療前および/または治療後に追跡され得る。当然、さらなる時点が使用され得る。時点は、観察される状態(例えば、既に識別された疾患の進行であるか、時間の経過による患者のスクリーニングであるか)に依存し得る。期間は、毎日、毎週、毎月、毎年、またはより短い期間、中間の期間、もしくはより長い期間であり得る。時間間隔は、一連の定期的な期間であり得る。しかしながら、他の時間間隔もまた有用であり得る。一実施形態において、患者固有の基準が、確立され、そして、時間の経過と共にモニタリングされる。例えば、結腸、乳房、もしくは他の組織、または他の臓器における脈管構造の変化が、定期的にモニタリングされ得る。
【0143】
本発明の一局面において、処置のタイプが、1つ以上の、疾患と疑われる場所(癌の場所)において検出された異常な脈管構造(例えば、腫瘍起因性脈管形成)の程度または範囲によって決定され得る。例えば、癌と疑われる場所または転移が、腫瘍起因性血管形成の前であるか、早期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、どのような形式の処置も用いることなくその場所をモニタリングすることが適切であり得る。しかしながら、適切な治療は、あらゆる新たな脈管構造の形成を防止するために1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤の投与を含み得る。癌と疑われる場所または転移が、中期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、適切な治療は、1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤の投与であり得る。癌と疑われる場所における中期段階の腫瘍起因性血管形成を有する患者はまた、あらゆるさらなる血管の発達が、より積極的に処置され得るようにモニタリングされるべきである。癌と疑われる場所または転移が、末期段階の腫瘍起因性血管形成と関連付けられる場合には、適切な処置は、少なくとも1つ以上の化学療法(例えば、細胞障害性の化学療法、および/またはホルモンベースの化学療法)、放射線療法、外科手術、および/または1つ以上の腫瘍起因性血管形成阻害剤を用いた処置を含み得る。しかしながら、上記の処置の選択肢のうちの任意のものが、あらゆる程度の腫瘍起因性血管形成と関連付けられるあらゆる1つ以上の病変を有する患者を処置するために使用され得るということが理解されるべきである。
【0144】
腫瘍起因性血管形成阻害剤の例は、限定するものではないが、2−メトキシエストラジオール(2−ME)、AG3340、アンジオスタチン、アンジオザイム、アンチトロンビンIII、VEFG阻害剤(例えば、抗VEFG抗体)、バチマスタット、ベバシツマブ(アバスタチン)、BMS−275291、CAI、2C3、HuMV833カンスタチン、カプトプリル、軟骨由来阻害剤(CDI)、CC−5013、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、COL−3、コンブレスタチン、コンブレスタチンA4フォスフェート、ダルテパリン(FRAGIN(登録商標))、EMD121974(シレンジチト)、エンドスタチン、エルロチニブ、(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ)、ゲニステイン、ハルフジノン、ヒドロブロミド(TEMPOSTATINTM)、Id1、Id3、IM862、イマチニブメシレート、IMC−IC11誘導タンパク質10、インターフェロンα、インターロイキン12、ラベンダスチンA、LY317615またはAE−941(NEOVASTATTM)、マリマスタット、マスピン、メドロキシプロゲステロンアセテート、Meth−1、Meth−2、ネオバスタット、オステオポンチン分解産物、PEX、色素上皮成長因子(PEGF)、血小板第4因子、プロラクトンフラグメント、プロリファリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222584、ZD6474、組み換えヒト血小板第4因子(rPF4)、レスチン、スクワラミン、SU5416、SU6668、SU11248スラミン、タキソール、テコガラン、サリドマイド、トロンボスポンジン、TNP−470、トロポニンI、バソスタチン、VEG1、VEGF−Trap、およびZD6474を含む。
【0145】
一部の実施形態は、特定のインサイチュの血管構造の分析に基づいて、処置のための被検体を選択し、および/または処置もしくは一連の治療を選択する方法を含み得る。方法は、例えば、スコアを獲得するために人間の被検体におけるインサイチュの脈管構造を分析することを含み得る。スコアは、(例えば、明らかに健康な個体群における)コントロールスコア、または同じ被検体の先の分析からの先のスコアと比較され得る。処置または一連の処置は、かかる比較に基づき得る。一部の実施形態において、脈管構造の分析を獲得することが、時間の経過による治療に対する人間の被検体の反応をモニタリングするために繰り返される。本発明のこの局面の一部の実施形態において、方法は、さらに、人間の被検体における疾患の第2の指標を測定することをさらに包含し、処置または一連の治療を決定することはまた、該第2の指標の測定値に基づいている。
【0146】
特定の実施形態において、過少に脈管形成された腫瘍(例えば、壊死の徴候を示す腫瘍)を有する患者が、1つ以上の抗腫瘍起因性血管形成化合物を用いた処置に対して選択され得る。過少に脈管形成された腫瘍は、血管の低い密度を有する腫瘍、または血管の直径が小さい(例えば、脈管形成された腫瘍に一般的な閾値の数を下回る)腫瘍として識別され得る。
【0147】
本発明の局面はまた、時間の経過による血管のパターンまたは特徴の存在をモニタリングすることによって治療の有効性をモニタリングすることを含み得る。例えば、治療に反応した腫瘍における血管の進行性の消失は、治療が有効であるという徴候であり得る。対照的に、脈管構造に影響が存在しないことが、治療が患者に有効ではないというインジケータであり、かつ、代替の治療が考慮または使用されるべきであるというインジケータであり得る。
【0148】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0149】
一実施形態において、本発明の局面は、関心のある生物学的な過程(例えば、疾患の発達および進行)と関連付けられる構造的な変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の脈管構造が、創傷治癒、異なる疾患、または異なる疾患の段階と関連付けられ得る追加のパターン(例えば、特定のビン化されたサイズ範囲とだけ関連付けられる個々の構造的な特徴、分布または変化)を識別するために分析され得る。これらの追加のパターン(例えば、個々の構造的な特徴または分布)が、本発明の診断、介入、治療、および開発の局面のうちの1つ以上において使用され得る。
【0150】
一実施形態において、本発明の局面は、医学的な手順と関連付けられる構造的な変化を理解するために使用され得る。例えば、動物の脈管構造が、手術後の創傷治癒または(異種移植片を含む)インプラント/移植片の成長または拒否反応と関連付けられる変化を識別するために分析され得る。
【0151】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0152】
別の実施形態において、本発明の局面は、異常な内部構造(例えば、異常な管状網)と関連付けられる疾患を処置するために、化合物ライブラリのスクリーニングにおいて、または候補の化合物を検証するために使用され得る。本発明の局面は、ビン化されたデータ(例えば、BMVD)を使用して内部構造の変化の効率的な高スループットの分析を可能にする。これらの変化は、特定の疾患に対する代理マーカ(バイオマーカ)として働き得る。結果として、多くの場合に疾患の徴候が変化するのを待つことを含み、かつ、組織のバイオプシーも必要とし得る現在の検証と比較したときに、スクリーニング工程が、かなりの程度まで自動化され得、そして、結果を得るための時間が、かなり短くなる。
【0153】
本発明の局面は、診断、治療、ならびに研究および開発の目的で代理マーカとして使用され得る脈管パターン(例えば、構造的な特徴)を識別および定量化するために使用され得る。代理マーカは、診断、治療の評価、および薬物開発の時間を減少させるために有用である。代理マーカは、臨床的な結果(例えば、薬物に反応した生存時間の増加)を待つことなく、疾患の診断、疾患の予後、疾患の有効性に対する早期のインジケータとして使用され得る。したがって、脈管構造分析は、(臨床前実験と臨床実験との両方における)薬物開発、臨床的なスクリーニング(例えば、乳房のスクリーニング、肺のスクリーニング、または結腸のスクリーニング)、および臨床的な治療のモニタリングに対する代理マーカとして使用され得る。例えば、ビン化された脈管構造は、腫瘍起因性血管形成と関連付けられる疾患、例えば、癌に対する有用な代理マーカであり得る。
【0154】
一実施形態において、本発明の局面は、新脈管構造形成の処置および/または疾患と関連付けられる脈管構造パターンの変化における候補の化合物または治療の有効性に対して、候補の化合物または治療をスクリーニングおよび/または検証する方法を提供する。本発明の局面は、(例えば、マウスなどの実験動物に、個々にまたはひとまとめにこれらの化合物を投与し、そして、腫瘍起因性血管形成の脈管構造におけるそれらの効果を評価することによって)個々の化合物もしくは少ない数の化合物を評価するために、または複数の候補化合物を評価および/または識別するためにライブラリをスクリーニングするために使用され得る。ライブラリは、多数の化合物(例えば、約100個から約1,000,000個まで)を含み得る。抗体または小分子などを含む異なるタイプの化合物が、スクリーニングされ得る。しかしながら、本発明は、評価され得る化合物の数および/またはタイプによって限定されない。
【0155】
一実施形態において、候補化合物の有効性が、基準化合物と比較され得る。基準化合物は、構造に対する公知の効果を有する任意の化合物であり得る。例えば、アバスチン(Genentech)は、新脈管構造の成長に関する候補化合物の効果をテストするための基準として使用され得る血管内皮成長因子(VEFG)に対する公知のモノクローナル抗体である。
【0156】
本発明の局面に従って、化合物および治療が、動物の疾患モデルなどのインビボモデルに関して評価され得る。例えば、癌または腫瘍起因性血管形成を有するマウスが、有用な治療を評価、最適化、および識別するために使用され得る。他の動物モデルが、使用され得る。本発明の局面は、高スループットの分析に有用であり得る。なぜならば、本発明の局面は、脈管構造におけるわずかな変化を検出し得、そして、侵襲性の手順は、ほとんど必要としないか、全く必要としないので、最低限の操作で短時間に治療を評価するために使用され得るからである。
【0157】
本発明の脈管分析の局面が、例えば、短期間における薬物の有効性をテストするために、同所性のモデルに使用され得る。例えば、マウスの同所性の腫瘍モデルにおける腫瘍起因性血管形成における候補薬物の効果は、約5日後(例えば、モデルと薬物とに依存して1日〜10日の間)に定量化可能であり得る。対照的に、皮下の癌の動物モデルは、分析され、そして、コントロールと比較される腫瘍の成長に対しては、約1ヶ月を必要とする。
【0158】
同所性のモデルが、異なる疾患または臨床的な状態をモデル化するために使用され得る。例は、癌、組織再生、創傷治癒(外傷後の治癒、外科的介入後の治癒、皮膚などのやけどした組織の治癒を含む)、組織または臓器の移植治療、医療デバイスのインプラント治療、新脈管形成もしくは正常な脈管構造における変化と関連付けられる他の状態、または上記のうちの2つ以上の任意の組み合わせを含む。しかしながら、本発明は、同所性のモデルのタイプ、もしくは疾患のタイプ、または分析される臨床的な状態によって限定されない。
【0159】
単一の同所性疾患のモデル動物が、2つ以上の候補薬物分子をテストするために有用である。なぜならば、分析は、モデル動物を犠牲にすることを含まないからである。したがって、第1の候補を用いたテストが完了すると、次の候補が、同じモデル動物において評価され得る。モデルが、アッセイに必要である新脈管形成の特徴を保持するということを仮定して、一連の候補が、適切なコントロールを用いて単一のモデル動物においてテストされ得る。
【0160】
本発明の治療の局面の一部または全てが、本明細書において記述されたように自動化され得るということが理解されるべきである。
【0161】
本明細書において記述された任意の1つ以上の構造的なパラメータが、基準パラメータに対する比較によって評価され得るということが理解されるべきである。一部の実施形態において、基準パラメータは、正常な被検体または健康な被検体におけるそのパラメータに対する量またはスコアであり得る。他の実施形態において、基準は、疾患の状態を表し得る。一部の実施形態において、本明細書において記述されたような疾患または状態と相関させられるか、関連付けられる任意の構造的なパラメータの変化または量は、基準被検体に対する、疾患の被検体またはテスト被検体におけるそのパラメータの統計学的に有意な変化または相違であり得る。一部の実施形態において、構造的なパラメータの相違または変化は、特定のパラメータ(またはパラメータの組み合わせ)の増加または減少であり得る。パラメータの増加は、基準被検体に対する、テスト被検体におけるそのパラメータにおける少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の増加であり得る。同様に、そのパラメータの減少は、基準被検体に対する、テスト被検体におけるそのパラメータの評価指標における少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の減少であり得る。パラメータの変化または相違の量が、疾患または状態と相関させられるか、関連付けられると、そのレベルが、本発明に従った次の方法において使用され得る。したがって、一部の実施形態において、基準値に対するデータのビンの範囲内の任意の所与の構造的なパラメータ(例えば、本明細書において記述されたような、ねじれ、密度、体積、またはその他任意の個々の構造的な特徴、構造の分布、もしくは構造的な特徴)の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の相違が、本発明の方法の閾値として使用され得る。より高い値、もしくはより低い値、または中間の値が使用され得るということが理解されるべきである。異なるパラメータは、異なる閾値または異なる基準レベルを有し得るということもまた理解されるべきである。また、異なるパラメータ(および/または各パラメータに対する異なるレベル)が、異なる条件または異なる疾患と関連付けられ得る。したがって、特定の疾患の値もしくは閾値、または特定の状態の値もしくは閾値は、異なるパラメータまたはそれらの組み合わせに対して識別され得る。これらの閾値は、病気の検出、診断、モニタリングに対して使用され得るか、(例えば、本明細書において記述された自動化された方法において)本明細書に記述された、その他任意の治療用途、臨床的な用途、または研究の用途に対して使用され得る。
【0162】
互いに独立して、または任意の組み合わせで使用され得る本明細書に記述された本発明の様々な局面が存在するということが上記から理解されるべきである。特に、本明細書において記述された演算のうちの任意のものが、多数の組み合わせおよび多数の手順のうちの任意のものにおいて利用され得る。さらに、本発明の局面は、様々なタイプの画像または任意の次元と関連付けて使用され得る。さらに、1つ以上の自動的な演算が、1つ以上のマニュアルの演算と組み合わせて使用され得る。なぜならば、本発明の局面は、この点で限定されないからである。どのように獲得された場合であっても、BMVDの結果は、組織に対する様々な形態学的な変化のうちの任意のものの特徴付けを容易にし、および/または本明細書において記述された技術のうちの任意のものを、単独でまたは組み合わせて使用して治療の効率を評価する際に補助するために使用され得る。
【0163】
本明細書において記述された本発明の実施形態は、様々な方法のうちの任意のもので実装され得る。例えば、自動BMVDの実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアに実装されるときには、ソフトウェアコードが、単一のコンピュータに提供されたか、複数のコンピュータ間に分散された、任意の適切なプロセッサまたは任意の適切なプロセッサの集合体において実行され得る。本明細書において記述された機能を行う任意のコンポーネントまたは任意のコンポーネントの集合体は、概して、本明細書において記述された機能を制御する1つ以上のコントローラとして考えられ得るということが理解されるべきである。1つ以上のコントローラが、本明細書において記載された機能を行うためのマイクロコードまたはソフトウェアを使用してプログラミングされた専用のハードウェアまたは汎用のハードウェア(例えば、1つ以上のプロセッサ)などの様々な方法で実装され得る。
【0164】
本明細書において概説された様々な方法は、様々なオペレーティングシステムまたは様々なプラットフォームのうちの任意のものを利用する1つ以上のプロセッサにおいて実行可能であるソフトウェアとして符号化され得るということが理解されるべきである。さらに、かかるソフトウェアは、多数の適切なプログラム言語および/または従来のプログラムツールもしくはスクリプトツールのうちの任意のものを使用して書き込まれ得、そして、実行可能なマシン語コードとしてコンパイルされ得る。この点に関して、本発明の一実施形態は、実行されたときに、1つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサが本明細書において考察された本発明の様々な実施形態を実装する方法を行う1つ以上のプログラムで符号化されたコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられているということが理解されるべきである。コンピュータ読み取り可能な媒体は、可搬型であり得るので、そこに格納されたプログラムは、本明細書において考察されたような本発明の様々な局面を実装するために、1つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされ得る。
【0165】
用語「プログラム」は、本明細書において考察されたような本発明の様々な局面を実装するために、コンピュータまたは他のプロセッサをプログラミングするために利用され得る任意のタイプのコンピュータコードまたは任意のタイプの命令の組を指すように、一般的な意味で本明細書において使用されているということが理解されるべきである。さらに、この実施形態の一局面に従って、実行されたときに、本発明の方法を行う1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたは単一のプロセッサにある必要ななく、本発明の様々な局面を実装するために、多数の異なるコンピュータまたはプロセッサの間にモジュール式で分散され得るということが理解されるべきである。
【0166】
請求項の要素を修正するための、特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの順序を示す用語の使用は、それ自体は、1つの請求項の別の要素に対する何らの優先度、上位性、順序または方法のアクトが行われる時間的な順序を意味せず、請求項の要素を区別するために(しかし、順序を示す用語の使用のために)、特定の名称を有する1つの請求項の要素を同じ名称を有する別の要素から区別するためのラベルとして単に使用されている。
【0167】
本明細書において使用される語法および用語法は、記述の目的のためのものであり、限定とみなされるべきではない。「含む」、「備える」、または「有する」、「含有する」、「包含する」、および本明細書におけるそれらの変化形の使用は、その後に列挙される項目、およびその均等物、ならびに追加の項目を含むように意味されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を獲得する方法であって、該方法は、
複数のビンのそれぞれに対して該画像の関心のある領域を分析するアクトであって、該複数のビンのそれぞれは、所定の範囲の血管サイズと関連付けられ、該関心のある領域を分析するアクトは、
血管である対象のそれぞれの部分と関連付けられるサイズに基づいて、該関心のある領域において識別された該任意の血管である対象のその部分が、該複数のビンのどれに属するかを決定し、該部分が属する該複数のビンのうちの対応するビンと該血管である対象の各部分を関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して少なくとも1つの測定値を計算するアクトであって、該少なくとも1つの測定値は、該それぞれのビンと関連付けられる該血管である対象の部分の該MVDと関連付けられる、アクトと
を含む、関心のある領域を分析するアクト
を包含する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンに対して、前記それぞれのビンと関連付けられる前記血管である対象の部分の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンに対して、前記それぞれのビンと関連付けられる前記血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関心のある領域を分析するアクトは、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、そして、前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、該それぞれの範囲において位置を特定された血管である対象の前記MVDと関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のびんのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、前記対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法であって、該方法は、
該画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、
該複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、
それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと該複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して、該それぞれのビンと関連付けられる血管領域の該MVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトと
を包含している、方法。
【請求項8】
前記複数の血管領域を自動的に識別するアクトは、前記関心のある領域を血管領域と非血管領域とにセグメント化するアクトを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記血管サイズを自動的に決定するアクトは、前記複数の血管領域のそれぞれが、それぞれの半径でラベル付けされるように、該複数の血管領域について半径でのラベル付けを行うアクトを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のビンのそれぞれは、それぞれの半径範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのうちの1つと前記複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトは、該複数の血管領域のそれぞれを、その内に該それぞれの半径がある該半径範囲を有する該複数のビンのうちのそれぞれのビンと関連付けるアクトを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記関心のある範囲を複数の範囲に分割するアクトをさらに包含し、前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、それぞれの範囲において特定された前記血管である対象の前記MVDに関連付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のプロセッサにおいて実行することができる命令を符号化するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、該命令は、実行されたときに、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を実行し、該方法は、
該画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、
該複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、
該それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと該複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域の該MVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトと
を包含している、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項17】
前記複数の血管領域を自動的に識別するアクトは、前記関心のある領域を血管領域と非血管領域とにセグメント化するアクトを含む、請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項18】
前記血管サイズを自動的に決定するアクトは、前記複数の血管領域のそれぞれが、それぞれの半径でラベル付けされるように、該複数の血管領域に半径でのラベル付けを行うアクトを含む、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項19】
前記複数のビンのそれぞれは、それぞれの半径範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのうちの1つと前記複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトは、該複数の血管領域のそれぞれを、その内に該それぞれの半径がある該半径範囲を有する該複数のビンのうちのそれぞれのビンと関連付けるアクトを含む、請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項21】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項22】
前記関心のある範囲を複数の範囲に分割するアクトをさらに包含し、少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、それぞれの範囲において特定された前記血管である対象の前記MVDに関連付けられる、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項23】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項22に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項24】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、前記対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項23に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項1】
複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を獲得する方法であって、該方法は、
複数のビンのそれぞれに対して該画像の関心のある領域を分析するアクトであって、該複数のビンのそれぞれは、所定の範囲の血管サイズと関連付けられ、該関心のある領域を分析するアクトは、
血管である対象のそれぞれの部分と関連付けられるサイズに基づいて、該関心のある領域において識別された該任意の血管である対象のその部分が、該複数のビンのどれに属するかを決定し、該部分が属する該複数のビンのうちの対応するビンと該血管である対象の各部分を関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して少なくとも1つの測定値を計算するアクトであって、該少なくとも1つの測定値は、該それぞれのビンと関連付けられる該血管である対象の部分の該MVDと関連付けられる、アクトと
を含む、関心のある領域を分析するアクト
を包含する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンに対して、前記それぞれのビンと関連付けられる前記血管である対象の部分の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンに対して、前記それぞれのビンと関連付けられる前記血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関心のある領域を分析するアクトは、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、そして、前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、該それぞれの範囲において位置を特定された血管である対象の前記MVDと関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のびんのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、前記対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法であって、該方法は、
該画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、
該複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、
それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと該複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して、該それぞれのビンと関連付けられる血管領域の該MVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトと
を包含している、方法。
【請求項8】
前記複数の血管領域を自動的に識別するアクトは、前記関心のある領域を血管領域と非血管領域とにセグメント化するアクトを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記血管サイズを自動的に決定するアクトは、前記複数の血管領域のそれぞれが、それぞれの半径でラベル付けされるように、該複数の血管領域について半径でのラベル付けを行うアクトを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のビンのそれぞれは、それぞれの半径範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのうちの1つと前記複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトは、該複数の血管領域のそれぞれを、その内に該それぞれの半径がある該半径範囲を有する該複数のビンのうちのそれぞれのビンと関連付けるアクトを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記関心のある範囲を複数の範囲に分割するアクトをさらに包含し、前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、それぞれの範囲において特定された前記血管である対象の前記MVDに関連付けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のプロセッサにおいて実行することができる命令を符号化するコンピュータ読み取り可能な媒体であって、該命令は、実行されたときに、複数の血管を含む生物学的な脈管構造の画像から微小血管密度(MVD)測定値を自動的に獲得する方法を実行し、該方法は、
該画像における関心のある領域における複数の血管領域を自動的に識別するアクトと、
該複数の血管領域のそれぞれと関連付けられる血管サイズを自動的に決定するアクトと、
該それぞれの血管領域と関連付けられる血管サイズに基づいて、複数のビンのうちの1つと該複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトと、
該複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管領域の該MVDと関連付けられる少なくとも1つの測定値を自動的に計算するアクトと
を包含している、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項17】
前記複数の血管領域を自動的に識別するアクトは、前記関心のある領域を血管領域と非血管領域とにセグメント化するアクトを含む、請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項18】
前記血管サイズを自動的に決定するアクトは、前記複数の血管領域のそれぞれが、それぞれの半径でラベル付けされるように、該複数の血管領域に半径でのラベル付けを行うアクトを含む、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項19】
前記複数のビンのそれぞれは、それぞれの半径範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのうちの1つと前記複数の血管領域のそれぞれを自動的に関連付けるアクトは、該複数の血管領域のそれぞれを、その内に該それぞれの半径がある該半径範囲を有する該複数のビンのうちのそれぞれのビンと関連付けるアクトを含む、請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分の血管範囲を計算するアクトを含む、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項21】
前記少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、それぞれのビンと関連付けられる血管である対象の部分に存在する血管の数を計算するアクトを含む、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項22】
前記関心のある範囲を複数の範囲に分割するアクトをさらに包含し、少なくとも1つの測定値を計算するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該複数の範囲のそれぞれに対する少なくとも1つの測定値を計算するアクトを含み、該少なくとも1つの測定値は、それぞれの範囲において特定された前記血管である対象の前記MVDに関連付けられる、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項23】
前記関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトは、前記複数のビンのそれぞれに対して、該関心のある領域を複数の範囲に分割するアクトを含み、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のサイズは、各それぞれのビンと関連付けられるサイズ範囲に基づいて選択される、請求項22に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項24】
前記複数のビンは、階層的に構成され、そして、該階層における該複数のビンのそれぞれは、連続的により小さくなる血管サイズの範囲と関連付けられ、そして、該複数のビンのそれぞれに対する該複数の範囲のそれぞれのサイズは、前記対応する範囲の血管のサイズと共に減少する、請求項23に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【公表番号】特表2009−542332(P2009−542332A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518272(P2009−518272)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/015048
【国際公開番号】WO2008/002648
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(507209447)バイオ−ツリー システムズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/015048
【国際公開番号】WO2008/002648
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(507209447)バイオ−ツリー システムズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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