説明

ピクセルを含む有機電子デバイス

【課題】ピクセル内の空間をより効率的に利用し、従来のピクセルと比べてピクセルの開口率を増加させることを可能にするレイアウトおよび電子部品構造体を提供する。
【解決手段】有機電子デバイスがピクセルを含む。1つの実施形態においては有機電子デバイスは、ボトム・エミッション電子デバイスである。ピクセルは少なくとも40%の開口率を有する。別の実施形態においては、ピクセルは第1の側部と、その第1の側部に対向する第2の側部とを有する。平面図で見ると、データ線および第1の電源線は、ピクセルの長さに沿って延びる長さを有し、第2の側部と比べて第1の側部のより近くに位置する。さらに別の実施形態においては、有機電子デバイスは基板と、データ線と、電源線とを含む。ピクセルは、選択トランジスタと駆動トランジスタとを含む。第1のピクセル内ではデータ線および第1の電源線の各々は、選択トランジスタと比べて基板のより近くに位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイスに関し、より特定的には、ピクセルを含む有機電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子デバイスを含む電子デバイスは、日常生活において幅広く利用され続けている。有機電子デバイスの例には、有機発光ダイオード(OLED)が含まれる。アクティブ・マトリックスOLED(AMOLED)ディスプレイは、各々がピクセル回路を有する複数のピクセル(画素子)を含む。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第10/840,807号
【非特許文献1】CRC Handbook of Chemistry and Physics、81st Edition(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のピクセルは、ピクセルの幅に沿った一対の対向する短い側部と、ピクセルの長さに沿った一対の対向する長い側部とを持つ矩形形状を有する。従来の1つのレイアウトでは、ピクセルに接続されるデータ線およびVdd線は、ピクセルの対向する側部に沿って位置し、OLEDは、それらのデータ線とVdd線の間に位置する。典型的なピクセルのレイアウトは、ピクセル駆動回路を有し、平面図で見ると、そのピクセル駆動回路によって占有されるエリアが、長い側部の間に位置し、短い側部の一方から他方の短い側部に向かって部分的に延びるようになっている。その同じレイアウトは、長い側部の間に位置し他方の短い側部からピクセル駆動回路に向かって延びる、OLEDによって占有されるエリアを有する。このレイアウトを用いる開口率は、ボトム・エミッション電子デバイスについては、典型的には35%程度である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による有機電子デバイスはピクセルを含む。本発明の1つの態様においては、ピクセルは、ピクセル駆動回路と、そのピクセル駆動回路に結合される第1の電子部品とを含む。有機電子デバイスは、ボトム・エミッション電子デバイスである。ピクセルは、少なくとも40%の開口率を有する。
【0006】
本発明の別の態様においては、有機電子デバイスは、第1の側部とその第1の側部に対向する第2の側部とを有する第1のピクセルを含む。第1および第2の側部は、第1のピクセルの長さに沿って延びる。有機電子デバイスはさらに、第1のピクセルに結合されるデータ線と、その第1のピクセルに結合される第1の電源線とを含む。平面図で見ると、データ線および第1の電源線は、第1のピクセルの長さに沿って延びる長さを有し、第2の側部と比べて第1の側部のより近くに位置する。
【0007】
さらに本発明の別の態様においては、有機電子デバイスは、基板と、データ線と、第1の電源線と、第1のピクセルとを含む。第1のピクセルは、基板上に位置するピクセル駆動回路を含み、そのピクセル駆動回路は、選択トランジスタと駆動トランジスタとを含む。データ線は、選択トランジスタに接続され、第1の電源線は、駆動トランジスタに結合される。第1のピクセル内では、データ線および第1の電源線の各々は、選択トランジスタと比べて基板のより近くに位置する。
【0008】
以上の概略的な説明および以下の詳細な説明は、例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲で定義される本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、例示として示されるものであり、添付図面に限定されるものではない。
【0010】
当業者であれば、図面内の要素は、簡単かつ明確にするために示されており、必ずしも縮尺に合わせて描かれてはいないことが、分かる。例えば、図面内の要素の幾つかの寸法は、本発明の実施形態の理解を高めることを助けるために、他の要素に対して誇張された場合がある。
【0011】
有機電子デバイスはピクセルを含む。1つの実施形態においては、ピクセルは、ピクセル駆動回路と、そのピクセル駆動回路に結合される第1の電子部品とを含む。有機電子デバイスは、ボトム・エミッション電子デバイスである。ピクセルは、少なくとも40%の開口率を有する。別の実施形態においては、開口率は少なくとも53%であり、さらに別の実施形態においては、開口率は少なくとも56%である。
【0012】
さらに別の実施形態においては、ピクセル駆動回路は、選択トランジスタと駆動トランジスタとを含む。特定の実施形態においては、ピクセルは、ピクセルの長さに沿って延びる側部を含む。第1の電子部品は、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有する。平面図で見ると、ピクセル駆動回路内のすべての電子部品は、ピクセルの側部と、第1の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアとの間に位置する。平面図で見ると、ピクセル駆動回路は、ピクセルの側部の長さの少なくとも半分に沿って延びる。さらに特定の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに、ピクセル駆動回路の少なくとも一部と第1の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアとの間に位置する黒色層を含む基板構造体を含む。
【0013】
別の特定の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに、基板と、選択トランジスタに接続されるデータ線と、駆動トランジスタに結合される電源線とを含む。ピクセル内では、データ線および電源線の各々は、選択トランジスタと比べて基板のより近くに位置する。
【0014】
さらに別の実施形態においては、ピクセルは、第1の側部と、その第1の側部に対向する第2の側部とをさらに含み、その第1および第2の側部は、ピクセルの長さに沿って延びる。データ線はピクセルに結合され、電源線はそのピクセルに結合される。平面図で見ると、データ線および電源線は、ピクセルの長さに沿って延びる長さを有し、第2の側部と比べて第1の側部のより近くに位置する。
【0015】
1つの実施形態においては、有機電子デバイスは、第1の側部とその第1の側部に対向する第2の側部とを有する第1のピクセルを含む。第1および第2の側部は、第1のピクセルの長さに沿って延びる。有機電子デバイスはさらに、第1のピクセルに結合されるデータ線と、その第1のピクセルに結合される第1の電源線とを含む。平面図で見ると、データ線および第1の電源線は、第1のピクセルの長さに沿って延びる長さを有し、第2の側部と比べて第1の側部のより近くに位置する。
【0016】
別の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに基板を含む。第1のピクセルは、選択トランジスタと駆動トランジスタとを含む。データ線は選択トランジスタに接続され、第1の電源線は駆動トランジスタに結合される。第1のピクセル内では、データ線および第1の電源線の各々は、選択トランジスタと比べて基板のより近くに位置する。特定の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに、基板および選択線を含む。第1のピクセル内では、データ線および第1の電源線の各々は、基板と選択線との間に位置し、その選択線は、基板と選択トランジスタのチャネル領域との間に位置する。別の特定の実施形態においては、有機電子デバイスは電子部品をさらに含む。電子部品は、駆動トランジスタおよび第2の電源線に接続される。
【0017】
さらに別の実施形態においては、第1のピクセルはさらに、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有する第1の電子部品とピクセル駆動回路とを含む。平面図で見ると、ピクセル駆動回路内のすべての電子部品は、第1のピクセルの第1の側部と第1の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアとの間に位置し、ピクセル駆動回路は、その第1のピクセルのその第1の側部の長さの少なくとも半分に沿って延びる。特定の実施形態においては、有機電子デバイスは、第2の電子部品を含む第2のピクセルをさらに含む。第2の電子部品は、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有する。平面図で見ると、実質的には、第1のピクセルのピクセル駆動回路はいずれも、第1および第2の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアの間には位置しない。
【0018】
1つの実施形態においては、有機電子デバイスは、基板と、データ線と、第1の電源線と、第1のピクセルとを含む。第1のピクセルは、基板上に位置するピクセル駆動回路を含み、そのピクセル駆動回路は、選択トランジスタと駆動トランジスタとを含む。データ線は、選択トランジスタに接続され、第1の電源線は、駆動トランジスタに結合される。第1のピクセルの内部では、データ線および第1の電源線の各々は、選択トランジスタと比べて基板のより近くに位置する。
【0019】
別の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに選択線を含む。第1のピクセルの内部では、データ線および第1の電源線の各々は、基板と選択線との間にあり、その選択線は、基板と選択トランジスタのチャネル領域との間にある。さらに別の実施形態においては、有機電子デバイスはさらに第1の電子部品を含む。第1の電子部品は、駆動トランジスタおよび第2の電源線に接続される。
【0020】
さらに別の実施形態においては、第1のピクセルは、その第1のピクセルの長さに沿って延びる第1の側部と、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有する第1の電子部品とを含む。平面図で見ると、ピクセル駆動回路内のすべての電子部品は、第1のピクセルの第1の側部と第1の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアとの間にあり、ピクセル駆動回路は、その第1のピクセルのその第1の側部の長さの少なくとも半分に沿って延びる。特定の実施形態においては、有機電子デバイスは、第2の電子部品を含む第2のピクセルをさらに含む。第2の電子部品は、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有する。平面図で見ると、第1のピクセルのピクセル駆動回路はいずれも、実質的には、第1および第2の電子部品の放射線放出エリアまたは放射線反応エリアの間には位置しない。
【0021】
さらなる実施形態においては、平面図で見ると、データ線および電源線は、第1のピクセルの長さに沿って延びる長さを有し、第2の側部と比べて第1の側部のより近くに位置する。
【0022】
以下の詳細な説明では、最初に用語の定義および説明を扱い、続いて回路図、ピクセル・レイアウトおよび電子デバイス製造、他の実施形態を扱い、最後に利点を扱う。
1.用語の定義および説明
後述の実施形態の詳細を扱う前に、幾つかの用語を定義または説明する。「アモルファス・シリコン(a−Si)」という用語は、識別可能な結晶構造を持たない1つまたは複数のシリコン層を意味することが意図される。
【0023】
「開口率(aperture ratio)」という用語は、ピクセルの総面積に対する、放射線を放出するかまたはそれに反応するために利用されるピクセルの面積の比率を意味することが意図される。開口率は、典型的には、パーセントとして表される。
【0024】
「アレイ」、「周辺回路」、および「遠隔回路(remote circuitry)」という用語は、電子デバイスの異なる範囲または部品を意味することが意図される。例えば、アレイは、(通常は、列および行によって示される)規則的な配列内のピクセル、セル、または他の構造体を含むことがある。アレイ内のピクセル、セル、または他の構造体は、そのアレイと同じ基板上ではあるがアレイ自体の外部に位置する周辺回路によって、局所的に制御することができる。遠隔回路は、典型的には、周辺回路から離れて位置し、(典型的には周辺回路を介して)信号をアレイに送信するか、またはそのアレイから信号を受信することができる。遠隔回路は、アレイとは無関係の機能を実行することもできる。遠隔回路は、アレイを有する基板上にあってもなくてもよい。
【0025】
「黒色層(black layer)」という用語は、対象となる波長またはスペクトルでの放射線の約10%しか透過しない層を意味することが意図される。
【0026】
ディスプレイまたは他の電子デバイスについて言う場合の「ボトム・エミッション(bottom emission)」という用語は、(a)放射線放出部品からの放射線を、その放射線放出部品が形成される基板を通して放出するように設計されているか、あるいは(b)放射線反応部品への放射線を、その放射線反応部品が形成される基板を通して受け取るように設計されているか、または、(c)これらのいずれかの組み合わせ、を意味することが意図される。
【0027】
「チャネル領域」という用語は、電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域間に位置し、電界効果トランジスタのゲート電極を介してバイアスをかけると、ソース/ドレイン領域間のキャリアの流れが影響を受けるかまたはそれが欠乏する領域を意味することが意図される。
【0028】
「回路」という用語は、適切に接続され、適切な電位が与えられたときに、全体として機能を実行する電子部品の集合体を意味することが意図される。有機電子部品用のTFTドライバ回路は、回路の一例である。
【0029】
電子部品、回路、またはそれらの一部に関して、「接続される(connected)」という用語は、2つまたはそれ以上の電子部品、2つまたはそれ以上の回路、または、少なくとも1つの電子部品と少なくとも1つの回路とのいずれかの組み合わせが、それらの間に位置する介在電子部品をまったく持たないことを意味することが意図される。寄生抵抗、寄生容量、またはその両方は、この定義においては電子部品とはみなされない。1つの実施形態においては、電子部品は、それらが互いに電気的に短絡され、実質的に同じ電圧にあるときに接続される。電子部品は、このような電子部品間で光信号を伝送することを可能にする光ファイバ線を用いて相互に接続できることに留意されたい。
【0030】
「連続粒界シリコン」(「CGS(continuous grain silicon)」)という用語は、個々の結晶が電界効果トランジスタのチャネル長に平行な向きに配向されるタイプのポリシリコンを意味することが意図される。配向結晶は、電荷が粒界に遭遇する頻度を減少させ、不規則に配向されたポリシリコン・チャネルと比べてチャネル領域全体の移動度をより高める結果をもたらす。
【0031】
「完全に重なり合う(coterminous)」という用語は、同一の境界または一致する境界を有することを意味することが意図される。
【0032】
「結合される(coupled)」という用語は、2つまたはそれ以上の電子部品、2つまたはそれ以上の回路、2つまたはそれ以上のシステム、あるいは、(1)少なくとも1つの電子部品、(2)少なくとも1つの回路、または(3)信号(例えば、電流、電圧、または光信号)を一方から他方へ伝送できるような少なくとも1つのシステムのうちの少なくとも2つのいずれかの組み合わせの、接続、リンク、または関連を意味することが意図される。「結合される」についての限定されない例として、1つまたは複数の電子部品、1つまたは複数の回路もしくは1つまたは複数の電子部品、あるいは1つまたは複数の回路と、それらの間に接続されるスイッチ(例えば、1つまたは複数のトランジスタ)との間の直接接続を挙げることができる。
【0033】
「データ線」という用語は、情報を含む1つまたは複数の信号を伝送する主要機能を有する信号線を意味することが意図される。
【0034】
「設計ルール(design rules)」という用語は、電子部品、電子デバイス、またはこれらの組み合わせの設計が従うべきルールまたはガイドラインの組を意味することが意図される。設計ルールの組は、典型的には、その設計ルールの組が対応することができる構造の最小寸法によって言及される。
【0035】
「駆動トランジスタ(driving transistor)」という用語は、それ自体によって、または、1つまたは複数の他の電子部品と共に、別の電子部品に流れる信号強度(例えば、電流の量)を制御するトランジスタを意味することが意図される。
【0036】
「電子部品」という用語は、電気的機能を実行する回路の最小レベルのユニットを意味することが意図される。電気部品は、トランジスタ、ダイオード、レジスタ、キャパシタ、インダクタなどを含むことができる。電子部品は、寄生抵抗(例えば、ワイヤの抵抗)または寄生容量(例えば、導体間のキャパシタが意図されたものでないかまたは偶発的な場合に、異なる電子部品に接続される2つの導体間の静電結合)を含まない。
【0037】
「高さ(elevation)」という用語は、基準面への最短の距離を意味することが意図される。1つの実施形態においては、基準面は、基板の主面である。
【0038】
「電界効果トランジスタ」という用語は、導電特性がゲート電極への電圧によって影響を受けるトランジスタを意味することが意図される。電界効果トランジスタは、接合型電界効果トランジスタ(JFET)と、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、金属窒化酸化膜半導体(MNOS)電界効果トランジスタ、またはこれらの組み合せを含む金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ(MISFET)とを含む。電界効果トランジスタは、(n型キャリアがチャネル領域内を流れる)nチャネル型または(p型キャリアがチャネル領域内を流れる)pチャネル型とすることができる。電界効果トランジスタは、(チャネル領域が同じ電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域と比べて異なる導電型を有する)エンハンスメント型トランジスタまたは(同じ電界効果トランジスタのチャネル領域とソース/ドレイン領域とが同じ導電型を有する)デプレッション型トランジスタとすることができる。
【0039】
「長さ」および「幅」という用語は、電子デバイスを平面図で見たときの寸法のことをいい、互いに実質的に垂直な寸法の対を意味することが意図され、長さは幅と等しいかまたはそれより大きい。
【0040】
「低温ポリシリコン」(LTPS)という用語は、550℃程度の温度で堆積させた1つまたは複数のポリシリコン層を意味することが意図される。LTPSを形成するためのプロセスの一例は、逐次的横方向結晶化(「SL362S」)であり、これは、改良型エキシマ・レーザ結晶化(ELC)プロセスを用いて、より大きなサイズの配向粒子を形成し、LTPSを形成するための従来のELC技術と比べて電荷キャリアの移動度をより高めるものである。
【0041】
設計ルールに言及するときには、「最小寸法」という用語は、設計ルールの組によって許容される構造の最小寸法を意味することが意図される。例えば、4ミクロン設計ルールについての最小寸法は、4ミクロンである。
【0042】
「有機活性層」という用語は、有機層の少なくとも1つが、それ自体で、または異なる材料と接触しているときに、整流接合を形成することができる1つまたは複数の有機層を意味することが意図される。
【0043】
「有機電子デバイス」という用語は、1つまたは複数の有機半導体の層または材料を含むデバイスを意味することが意図される。有機電子デバイスは、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオード・ディスプレイ、ダイオード・レーザ、または照明パネル)、(2)電子的プロセスを通して信号を検出するデバイス(例えば、光検出器(例えば、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管)、赤外線(IR)検出器、バイオセンサ)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力装置または太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)、または、(1)から(4)までのデバイスのいずれかの組み合わせを含む。
【0044】
「物理チャネル長」という用語は、電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域間の実際の距離を意味することが意図される。
【0045】
「ピクセル」という用語は、1つの電子部品に対応するアレイの一部と、もしあれば、その特定の1つの電子部品のために設けられる対応する1つまたは複数の電子部品とを意味することが意図される。1つの実施形態においては、ピクセルは、OLEDと、その対応するピクセル駆動回路とを有する。本明細書に用いられるピクセルは、それらの用語が本明細書以外で当業者によって用いられるようなピクセルまたはサブピクセルとすることができることに留意されたい。
【0046】
「ピクセル回路」という用語は、ピクセル内部の回路を意味することが意図される。1つの実施形態においては、ピクセル回路は、ディスプレイまたはセンサ・アレイに用いることができる。
【0047】
「ピクセル駆動回路」という用語は、このような回路によって駆動する1つのみの電子部品についての1つまたは複数の信号を制御するピクセル内部の回路を意味することが意図される。
【0048】
「ポリシリコン」という用語は、不規則に配向された結晶でできたシリコンの層を意味することが意図される。
【0049】
「電源線」という用語は、電力を伝達する主要機能を有する信号線を意味することが意図される。
【0050】
「主面」という用語は、電子部品が形成されるかまたは後に形成された基板の表面を意味することが意図される。
【0051】
「放射線放出部品」という用語は、適切にバイアスをかけたときに対象となる波長または波長のスペクトルでの放射線を放出する電子部品を意味することが意図される。放射線は、可視光スペクトル内または可視光スペクトル外(紫外線(UV)または赤外線(IR))のものとすることができる。発光ダイオードが、放射線放出部品の一例である。
【0052】
「放射線反応部品」という用語は、対象となる波長または波長のスペクトルでの放射線に反応することができる電子部品を意味することが意図される。放射線は、可視光スペクトル内または可視光スペクトル外(UVまたはIR)のものとすることができる。IRセンサおよび光電池が、放射線反応部品の例である。
【0053】
「整流接合」という用語は、半導体層内部の接合、または半導体層と異なる材料との間の界面によって形成される接合であって、1つの型の電荷キャリアがその接合を通って反対方向と比べて一方向に流れ易い接合を意味することが意図される。pn接合が、ダイオードとして用いることができる整流接合の一例である。
【0054】
「選択線」という用語は、信号線の組の中の特定の信号線であって、その特定の信号線を作動させたときに、1つまたは複数の電子部品、1つまたは複数の回路、またはこれらのいずれかの組み合わせを作動させるのに用いられる1つまたは複数の信号を伝達する主要機能を有し、その特定の信号線を作動させたときに、その信号線の組の中の別の信号線と関連する1つまたは複数の他の電子部品、1つまたは複数の他の回路、またはこれらのいずれかの組み合わせを作動させない特定の信号線を意味することが意図される。信号線の組の中の信号線は、時間の関数として作動させることも作動させないこともできる。
【0055】
「選択トランジスタ」という用語は、選択線上の信号によって制御され、ピクセル駆動回路の別の部分へのデータの流れを制御するトランジスタを意味することが意図される。
【0056】
「半導体」という用語は、内部に形成されるかまたは異なる材料(例えば、金属含有材料)と接触したときに形成される整流接合を含むかまたは有することが可能な材料を意味することが意図される。
【0057】
「信号」という用語は、電流、電圧、光信号、またはこれらのいずれかの組み合わせを意味することが意図される。信号は、電源からの電圧もしくは電流とするか、または、単独でもしくは他の信号と組み合わせてデータもしくは他の情報を表すものとすることができる。光信号は、パルス、強度、またはこれらの組み合わせに基づくものとすることができる。信号は、実質的に一定とする(例えば、電源電圧)か、または、時間の経過とともに変化させる(例えば、オンについてある電圧とし、オフについて別の電圧とする)ことができる。
【0058】
「信号線」という用語は、1つまたは複数の信号を伝達させることができる線を意味することが意図される。伝達される信号は、実質的に一定とするか、または変化させることができる。信号線は、制御線、データ線、走査線、選択線、電源線、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。信号線は、1つまたは複数の主要機能を果たすことができることに留意されたい。
【0059】
「ソース/ドレイン領域」という用語は、電荷キャリアをチャネル領域に注入するかまたは電荷キャリアをチャネル領域から受け取る、電界効果トランジスタの領域を意味することが意図される。ソース/ドレイン領域は、電界効果トランジスタを通る電流の流れに応じて、ソース領域またはドレイン領域を含むことができる。ソース/ドレイン領域は、電流が電界効果トランジスタを通ってある方向に流れるときはソース領域として機能し、電流が電界効果トランジスタを通って反対方向に流れるときはドレイン領域として機能することができる。
【0060】
「実質的に垂直な」という用語は、1つまたは複数の線、1つまたは複数の線分、または、1つまたは複数の平面のいずれかの組み合わせが、互いに垂直であるか、または、当業者が多少の偏差は重要ではないと考えるようにほぼ垂直であることを意味することが意図される。
【0061】
「基板」という用語は、剛性があるものまたは柔軟性があるもののいずれかとすることができ、限定されるものではないが、ガラス、ポリマー、金属、もしくはセラミックス材料、またはこれらの組み合わせを含むことが可能な1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含むことができる加工物を意味することが意図される。
【0062】
「基板構造体」という用語は、基板上に位置する構造体であって、範囲または領域をより小さい範囲または領域に分ける主要機能を果たす構造体を意味することが意図される。加工物構造体は、陰極セパレータまたはウェル構造を含むことができる。
【0063】
ここで用いられるときには、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、またはこれらの他のいずれかの変型は、非排他的な包含に及ぶことが意図される。例えば、要素の列挙を含む方法、プロセス、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、こうした方法、プロセス、物品、または装置に明示的に列挙されない他の要素またはそれらに固有ではない他の要素を含むことができる。さらに、明示的に反対のことを述べていない限り、「または」は、「包含的論理和」を指し、「排他的論理和」ではない。例えば、条件AまたはBは、以下のもの、すなわち、Aが真であり(すなわち、存在する)かつBが偽である(すなわち、存在しない)、Aが偽であり(すなわち、存在しない)かつBが真である(すなわち、存在する)、ならびに、AおよびBが共に真である(すなわち、存在する)、のうちのいずれか1つによって満たされる。
【0064】
さらに、明確にするために、および本明細書に記載された実施形態の範囲の一般的な意味を与えるために、「不定冠詞」(”a”または”an”)は、その「不定冠詞」が指示する1つまたは複数の物品を記述するのに使用される。したがって、説明は、「不定冠詞」が用いられるときは常に1つまたは少なくとも1つを含むように読むべきであり、単数が複数を含まないことが明確にされない限り、単数は複数をも含む。
【0065】
特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施形態について、または、本発明の実施形態を作成もしくは使用するための方法について、適切な方法および材料が本明細書で説明されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、説明されたものと同様のまたは同等の他の方法および材料を用いることができる。本明細書で述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が引用により組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書を調整することになる。さらに、材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0066】
元素の周期律表の列に対応するグループ番号は、非特許文献1に掲載されている「新表記」規則(”new notation”convention)を用いる。
【0067】
本明細書で説明されない限り、特定の材料、処理動作、および回路に関する多くの詳細は、従来のものであり、有機発光ディスプレイ技術、光検出器技術、半導体技術、およびマイクロエレクトロニクス回路技術の教科書および他の情報源に見出すことができる。放射線検出素子および回路の詳細に言及する前に、放射線放出素子、ピクセル、およびピクセル回路に関する詳細を扱う。
【0068】
2.回路図
図1は、電子デバイス100の一部の回路図である。電子デバイス100は、第1のピクセル120と、第2のピクセル140と、第3のピクセル160とを含む。ピクセル120、140、および160の各々は、図1に示されるピクセル回路を含む。各々のピクセル回路は、ピクセル駆動回路と、電子部品128、148、または168とを含む。
【0069】
第1のピクセル120は、選択トランジスタ122と、容量電子部品(capacitive electronic component)124と、駆動トランジスタ126と、電子部品128とを含む。電子部品128は、電流によって駆動されるほとんどすべての電子部品とすることができる。1つの実施形態においては、電子部品128は、OLEDなどの放射線放出部品である。ピクセル120内では、ピクセル駆動回路には、選択トランジスタ122と、容量電子部品124と、駆動トランジスタ126とが含まれる。
【0070】
選択トランジスタ122は、選択線(SL)134に接続されるゲート電極と、データ線(DL)132に接続される第1のソース/ドレイン領域と、容量電子部品124の第1の電極および駆動トランジスタ126のゲート電極に接続される第2のソース/ドレイン領域とを含む。SL134は、制御信号を選択トランジスタ122に与え、DL132は、選択トランジスタ122を作動させたときに容量電子部品124および駆動トランジスタ126のゲート電極に通過することになるデータ信号を与える。
【0071】
容量電子部品124は、第1の電極と第2の電極とを含む。容量電子部品124の第1の電極は、選択トランジスタ122の第2のソース/ドレイン領域と駆動トランジスタ126のゲート電極とに接続される。容量電子部品124の第2の電極は、1つの実施形態においてはVdd1線136である第1の電源線に接続される。代替的な実施形態(図示せず)においては、任意の劣化防止ユニットを、容量電子部品124と、ピクセル120に接続される電源線(例えば、Vss線138、Vdd1線136、またはその両方)の少なくとも1つとに接続することができる。
【0072】
駆動トランジスタ126は、第1のゲート電極と、第1のソース/ドレイン領域と、第2のソース/ドレイン領域とを含む。駆動トランジスタ126の第1のソース/ドレイン領域は、電子部品128の第1の電極に接続され、その駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域は、Vdd1線136に結合される。1つの実施形態においては、駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域は、Vdd1線136に接続される。別の実施形態においては、任意の劣化防止ユニットを、駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域とVdd1線136とに接続することができる。
【0073】
電子部品128は、第1の電極と、Vss線138に接続される第2の電極とを含む。1つの実施形態においては、第1の電極は陽極であり、第2の電極は陰極である。別の実施形態においては、電子部品128は、OLEDなどの放射線放出有機電子部品である。1つの実施形態においてはピクセル駆動回路であるピクセル回路の残りの部分は、電子部品128を駆動する可変電流源を提供するのに適している。したがって、電流駆動される1つまたは複数の電子部品を、電子部品128の代わりに、または電子部品128と共に、用いることができる。1つまたは複数の電子部品は、ダイオードを含んでも含まなくてもよいことに留意されたい。
【0074】
別の実施形態(図示せず)においては、電子部品128と駆動トランジスタ126とを逆にすることができる。より具体的には、(1)電子部品128の第1の電極(例えば、陽極)をVdd1線136に接続し、(2)その電子部品128の第2の電極(例えば、陰極)を駆動トランジスタ126のソース/ドレイン領域の1つに接続し、(3)その駆動トランジスタ126の他のソース/ドレイン領域をVss線138に接続する。
【0075】
第2のピクセル140は、その第2のピクセル140内では、データ線152が選択トランジスタ122の第1のソース/ドレイン領域に接続され、Vdd2線156が駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域に接続され、電子部品148がその駆動トランジスタ126の第1のソース/ドレイン領域とVss線138との間に接続されること以外は、第1のピクセル120と同様である。第3のピクセル160は、その第3のピクセル160内では、データ線172が選択トランジスタ122の第1のソース/ドレイン領域に接続され、Vdd3線176が駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域に接続され、電子部品168が駆動トランジスタ126の第1のソース/ドレイン領域とVss線138との間に接続されること以外は、第1のピクセル120および第2のピクセル140と同様である。
【0076】
1つの実施形態においては、電子部品128、148、168は、互いに実質的に同一である。別の実施形態においては、電子部品128、148、および168は、互いに異なる。例えば、電子部品128は青色発光部品であり、電子部品148は緑色発光部品であり、電子部品168は赤色発光部品である。Vdd1線136、Vdd2線156、およびVdd3線176は、相互に比較して同じ電圧または異なる電圧とすることができる。別の実施形態(図示せず)においては、電子部品128、148、168の第2の電極を、実質的に同じ電圧または大きく異なる電圧で作動することができる異なる電源線に接続することができる。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、特定の用途についての必要性または要求を満たす電子デバイス100を設計することができるであろう。
【0077】
選択トランジスタ122、駆動トランジスタ126、またはこれらのいずれかの組み合わせは、電界効果トランジスタを含むことができる。図1に示すようなピクセルについての回路では、すべてのトランジスタがnチャネル・トランジスタである。nチャネル・トランジスタのいずれか1つまたは複数を、pチャネル・トランジスタのいずれか1つまたは複数に代えることができる。他の実施形態においては、(1つまたは複数のJFET、1つまたは複数のバイポーラ・トランジスタ、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む)他のトランジスタを、選択トランジスタ122内に用いることができる。
【0078】
3.ピクセルのレイアウトおよび電子デバイスの製造
図2から図15までは、図1に示される回路を形成中の、電子デバイスの一部の平面図および断面図である。これら図面は、回路内で電子部品およびそれらの相互接続を形成するためのレイアウトおよび製造手順についての幾つかの実施形態を単に例示するものである。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、他のレイアウトを用いて図1に示すような回路を形成できることが分かるであろう。簡単にするために、誘電体層および絶縁層は、平面図には示されていない。
【0079】
ピクセル120、140、および160によって占有される基板の範囲は、図2において破線によって示される。導電性部材232、252、および272は、それぞれ、ピクセル120、140、および160用のデータ線132、152、および172の一部である。導電性部材232、252、および272のそれぞれ一部222、242、および262は、データ線132、152、および172と、選択トランジスタ122の第1のソース/ドレイン領域との間で接続が行われることになる場所である。導電性部材236、256、および276は、それぞれ、ピクセル120、140、および160用のVdd1線136、Vdd2線156、およびVdd3線176の一部である。導電性部材236、256、および276のそれぞれ一部224、244、および264は、Vdd1線136、Vdd2線156、およびVdd3線176と駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域との間で接続が行われることになる場所である。
【0080】
図3は、切断線3−3において見られる基板300並びに導電性部材272および276の一部の断面図である。基板300は、剛性があるものかまたは柔軟性があるものとすることができ、有機材料、無機材料、または有機材料および無機材料の両方の1つまたは複数の層を含むことができる。1つの実施形態においては、電子デバイスはボトム・エミッション・ディスプレイを含み、基板300は、その基板300に入射する放射線の少なくとも70%を透過させることが可能な透明材料を含む。
【0081】
導電性部材232、236、252、256、272、よび276の各々は、黒色層322および導電層324を含み、基板300上に形成される。1つの実施形態においては、黒色層322および導電層324は、従来の堆積手順および任意のパターン形成手順を用いて形成することができる。例えば、黒色層322および導電層324用の層は、ステンシル・マスクを用いてパターン形成された層として堆積させることができる。別の実施形態においては、黒色層322および導電層324用の層を基板300上に連続的に堆積させ、その黒色層322および導電層324を、従来のリソグラフィ工法を用いてパターン形成することができる。さらに別の実施形態においては、黒色層322を基板300の実質的にすべての上に形成し、導電層324を、パターン形成された層としてその黒色層322の上に堆積させることができる。導電層324は、エッチング・ステップの際にハード・マスクとして機能し、その導電層324によって覆われていない黒色層322の一部を除去することができる。別の実施形態においては、黒色層322を省略し、基板300の表面上に導電層324を形成することができる。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、他の多くの工法を用いて黒色層322および導電層324を形成できることが分かるであろう。
【0082】
黒色層322は、周辺光条件で用いられるときに電子デバイスのコントラスト比を改善することを可能にする。黒色層の材料および厚さは、2004年5月7日に米国で出願されたGang Yu(ガング ユー)らの「Array Comprising Organic Electronic Devices With a Black Lattice and Process For Forming the Same」(ブラック・ラティスを有する有機電子デバイスからなるアレイとそれを形成するプロセス)という発明の名称の特許文献1に、より完全に記載されている。1つの実施形態においては、黒色層322は、Cr、Ni、またはその両方の1つまたは複数の層を含む。
【0083】
導電層324は、周期律表のグループ4から6まで、8、および10から14までのうちから選択される少なくとも1つの元素、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、1つまたは複数の層を含むことができる。1つの実施形態においては、導電層324は、Cu、Al、Ag、Au、Mo、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。別の実施形態において、導電層324が2つ以上の層を含む場合には、層の1つは、Cu、Al、Ag、Au、Mo、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができ、別の層は、Mo、Cr、Ti、Ru、Ta、W、Si、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。元素金属のいずれかまたはこれらの合金の代わりに、またはそれらと共に、1つまたは複数の導電性金属酸化物、1つまたは複数の導電性金属窒化物、またはこれらの組み合わせを用いることができることに留意されたい。1つの実施形態においては、導電層324は、約0.2から5ミクロンまでの範囲の厚さを有する。
【0084】
絶縁層422および導電プラグ424が、導電性部材232、236、252、256、272、および276の上に形成される。図4は、絶縁層422および導電プラグ424の1つが導電性部材272の上に位置する場合の断面図である。絶縁層422は、従来の堆積技術を用いて形成することができ、二酸化シリコン、アルミナ、酸化ハフニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸窒化シリコン、半導体技術において用いられる従来の別のゲート誘電体材料、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む1つまたは複数の層を含むことができる。1つの実施形態においては、絶縁層422の厚さは、約0.1から5.0ミクロンまでの範囲である。別の実施形態においては、第1の絶縁層は、約0.5から2.0ミクロンまでの範囲の厚さを有する。絶縁層422は、導電層324の一部を露出させるために従来技術を用いてパターン形成される。
【0085】
導電プラグ424は、絶縁層422内の開口部を実質的に充填するのに十分な1つまたは複数の導電層について、従来の選択的堆積技術またはブランケット堆積技術によって、形成することができる。1つまたは複数の導電層の部分は、それが絶縁層422の開口部の外側に出ている部分であれば、従来のエッチング工法または研磨工法を用いて除去することができる。導電プラグ424は、導電層324に関連してすでに説明したように、1つまたは複数の層、1つまたは複数の材料、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0086】
図5および図6で示すように、導電性部材522、524、542、および562が、導電性部材232、236、252、256、272、および276の1つまたは複数の一部の上に形成される。導電性部材522、542、および562は、駆動トランジスタ126用のゲート電極、およびコンデンサ型電子素子124用の第1の電極になる。導電性部材524は、選択線134の一部である。
【0087】
導電性部材522、524、542、および562の各々は黒色層622を含み、導電層624が絶縁層422の上に形成される。黒色層322および導電層324について既述した形成技術、材料、層の数、および厚さのいずれか1つまたは複数を、それぞれ黒色層622および導電層624について用いることができる。1つの実施形態においては、黒色層622は、黒色層322と同じ1つまたは複数の形成技術、1つまたは複数の材料、層の数、および1つまたは複数の厚さを用いて形成することができる。別の実施形態においては、黒色層622は、黒色層322の場合とは異なる別の形成技術、材料、層の数、および厚さを用いて形成することができる。1つの実施形態においては、導電層624は、導電層324と同じ1つまたは複数の形成技術、1つまたは複数の材料、層の数、および1つまたは複数の厚さを用いて形成することができる。別の実施形態においては、導電層624は、導電層324の場合とは異なる別の形成技術、材料、層の数、および厚さを用いて形成することができる。
【0088】
1つの実施形態においては、導電層624は、約0.5から5.0ミクロンまでの範囲の厚さを有する相対的に導電性の高い材料(例えば、Al、Cu、Mo)の第1の層と、約50から500nmまでの範囲の厚さを有するnドープSi層またはpドープSi層とを含む。nドープSi層またはpドープSi層は、後に形成される選択トランジスタ122用の活性領域にオーム接触を形成させることを可能にする。
【0089】
誘電体層822および活性領域722、724、742、および762は、基板300上の図7に示される位置に形成される。活性領域722、742、および762は、駆動トランジスタ126の活性領域であり、活性領域724は、選択トランジスタ122の活性領域である。誘電体層822および活性領域722、724、742、および762の構造、組成、および厚さは、それぞれ図7の切断線8−8および9−9における断面図である図8および図9に関して、より詳細に説明される。
【0090】
図8および図9に示すように、誘電体層822は、従来の堆積技術を用いて絶縁層422上に形成することができる。誘電体層822は、二酸化シリコン、アルミナ、酸化ハフニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸窒化シリコン、半導体技術において用いられる従来の別のゲート誘電体材料、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む1つまたは複数の層を含むことができる。別の実施形態においては、誘電体層822の厚さは、約50から1000nmまでの範囲である。
【0091】
図8および図9に示すように、第1の半導体層842および第2の半導体層844が、基板300および導電層624の上に順次に連続して形成される。活性領域722、724、742、および762の各々は、1つまたは複数の従来技術を用いて形成される。1つの実施形態においては、活性領域722、724、742、および762は、ステンシル(stencil)・マスクを用いて第1の半導体層842および第2の半導体層844を堆積させることにより、1つまたは複数の従来技術を用いてパターン形成層として形成される。別の実施形態においては、活性領域722、724、742、および762は、第1の半導体層842および第2の半導体層844をブランケット堆積させ、その第1の半導体層842およびその第2の半導体層844を1つまたは複数の従来のリソグラフィ工法を用いてパターン形成することによって、形成される。
【0092】
第1の半導体層842および第2の半導体層844の各々は、従来から電子部品において半導体として用いられる1つまたは複数の材料を含むことができる。1つの実施形態においては、第1の半導体層842、第2の半導体層844、またはその両方は、アモルファス・シリコン(a−Si)、低温ポリシリコン(LTPS)、連続粒界シリコン(CGS)、またはこれらのいずれかの組み合わせとして形成される(例えば、堆積させられる)。別の実施形態においては、第1の半導体層842、第2の半導体層844、またはその両方について、グループ14の他の元素(例えば、炭素、ゲルマニウム)を、単独で、または組み合わせて(シリコンと共にまたはシリコン無しで)、用いることができる。さらに他の実施形態においては、第1の半導体層842および第2の半導体層844は、III−V族(グループ13〜グループ15)半導体(例えば、GaAs、InP、GaAlAsなど)、II−VI族(グループ2〜グループ16、またはグループ12〜グループ16)半導体(例えば、CdTe、CdSe、CdZnTe、ZnSe、ZnTe、CuOなど)、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。さらに別の実施形態においては、第1の半導体層842および第2の半導体層844は、ポリアセチレン(PA)もしくはその誘導体のいずれか、ポリチオフェン(PT)もしくはその誘導体のいずれか、ポリ(p−フェニルビニレン)(PPV)もしくはMEH−PPV(メトキシ・エチル・ヘシソキシ−フェニルビニレン)などといったPPV誘導体のいずれか、C60などのフラーレン分子もしくはその誘導体のいずれか、バッキー・チューブ、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニュウム)もしくは他の金属キレート(M−L)型有機金属分子、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。第1の半導体層842および第2の半導体層844のいずれかまたは両方は、有機材料および無機材料からなる複合材か、またはこのような材料の二層もしくは多層の形態の複合材とすることもできる。
【0093】
1つの実施形態においては、第1の半導体層842は、シリコンを唯一の半導体材料として含み、第2の半導体層844は、ゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウム、またはシリコンとは異なる別の半導体材料を、単独でまたはシリコンと混合して含む。第1の半導体層842および第2の半導体層844の中の異なる材料の重要性は、本明細書において後述されるパターン形成手順の中で明らかになるであろう。
【0094】
第1の半導体層842は、ドープされないか、または、約1×1019原子/cm程度の濃度でn型ドーパントまたはp型ドーパントを有する。第2の半導体層844は、第1の半導体層842より大きい濃度でn型ドーパントまたはp型ドーパントを含む。1つの実施形態においては、第2の半導体層844は、後に形成される金属含有構造体とのオーム接触を形成するために、少なくとも1×1019原子/cmまでnドープまたはpドープされる。別の実施形態においては、第2の半導体層844内のドーパント濃度は、1×1019原子/cmよりも小さく、かつ後に形成される金属含有構造体と接触したときにショットキー接触を形成する。従来のn型ドーパント(リン、ヒ素、アンチモンなど)またはp型ドーパント(ホウ素、ガリウム、アルミニウムなど)を用いることができる。このようなドーパントは、堆積中に組み込むか、または、別個のドーピング手順(例えば、埋め込みおよびアニール)の間に加えることができる。第1の半導体層842および第2の半導体層844は、従来の堆積技術およびドーピング技術を用いて形成される。1つの実施形態においては、第1の半導体層842の厚さは、約30から550nmまでの範囲であり、第2の半導体層844の厚さは、約50から500nmまでの範囲である。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、他の厚さを用いて駆動トランジスタ126の所望の電子特性を達成できることが分かるであろう。
【0095】
図9において形成された活性領域762は、図9に示すように一対の端面922および926を有する。第1の半導体層842および第2の半導体層844は、端面922および926の各々において完全に重なり合うことに留意されたい。図9において、導電層624の一部は、端面926の右に延びることに留意されたい。導電層624のその部分は、容量電子部品124用の第1の電極である。端面926の右の、導電層624に接する誘電体層822の部分は、容量電子部品124用のキャパシタ誘電体層である。端面926の左の、導電層624に接する誘電体層822の部分は、駆動トランジスタ126用のゲート誘電体層である。活性領域722および742は、活性領域762と実質的に同じパターンを有する。
【0096】
誘電体層822は、導電プラグ424と、導電性部材722、742、および762の一部とを露出させる開口部を形成するようにパターン形成される。導電プラグ424上の開口部は、後に形成される導電性部材を、データ線132、152、172、および、Vdd1線136、Vdd2線156、Vdd3線176に接続することを可能にする。導電性部材722、742、および762の上の開口部は、後に形成される導電性部材が、選択トランジスタ122の第2のソース/ドレイン領域を駆動トランジスタ126のゲート電極および容量電子部品124の第1の電極に接続することを可能にする。
【0097】
図10に示すように、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076が、基板300上に形成される。図10においては、導電性部材1022は、駆動トランジスタ126の第1のソース/ドレイン領域用の接触構造体であり、導電性部材1036、1056、および1076は、駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域用の接触構造体であり、導電性部材1042は、選択トランジスタ122の第2のソース/ドレイン領域用の接触構造体であり、導電性部材1044は、選択トランジスタ122の第1のソース/ドレイン領域用の接触構造体である。
【0098】
導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076は、従来技術を用いて形成することができる。1つの実施形態においては、ステンシル・マスクを堆積作業中に用いて、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076を形成することができる。別の実施形態においては、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076は、実質的に基板300全体の上に1つまたは複数の層を堆積させ、その1つまたは複数の層をパターン形成する従来のリソグラフィ工法を用いることによって、形成される。導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076について、導電層324に関して説明した材料および厚さのいずれかを用いることができる。1つの実施形態においては、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076は、導電層324と実質的に同じ組成および厚さを有する。別の実施形態においては、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076は、導電層324とは異なる組成、厚さ、またはその両方を有する。
【0099】
図10を参照すると、電子デバイスの平面図から、第2の半導体層844の露出部分が、(1)導電性部材1042と1044の間、(4)導電性部材1022(図10の左側付近)と導電性部材1036の間、(5)導電性部材1022(図10の中央付近)と導電性部材1056の間、および、(6)導電性部材1022(図10の右側付近)と導電性部材1076の間の各々に位置する。
【0100】
1つの実施形態においては、第2の半導体層844上の導電性部材間の間隔の各々は、概ね、用いられる設計ルールについての最小寸法である。1つの実施形態において、4ミクロン設計ルールが用いられるときは、間隔は各々約4ミクロンである。別の実施形態においては、間隔は、設計ルールについての最小寸法より大きい。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、特定のトランジスタ設計についての必要性または要求を最も良く満たすドレイン・コンタクトとソース・コンタクトとの間の間隔を選択することができるであろう。
【0101】
次いで、図11および図12に示すように、第2の半導体層844の露出部分を除去して、その第2の半導体層844を通って延びる開口部1102および1202を形成する。この実施形態においては、導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076は、第2の半導体層844の露出部分を除去するときには、ハード・マスクの一部である。第2の半導体層844の残りの部分は、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126用のソース/ドレイン領域である。ピクセル160内では、選択トランジスタ122用のチャネル領域1122は、導電性部材1042および1044に自己整合し、駆動トランジスタ126用のチャネル領域1222は、導電性部材1022および1076に自己整合する。他の選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126用のチャネル領域1122および1222は、実質的に同時に、実質的に同じ方法で形成される。選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126は、それらのトランジスタ用のゲート電極がそれらの対応するチャネル領域1122および1222の下に位置するため、アンダーゲート型TFTである。導電性部材524とその上に位置する選択トランジスタ122のチャネル領域1122との間、および導電性部材522とその上に位置する駆動トランジスタ126のチャネル領域1222との間にある誘電体層822の部分は、それらの選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126用のゲート誘電体層である。
【0102】
チャネル領域1122の物理チャネル長1124およびチャネル領域1222の物理チャネル長1224の各々は、それぞれ、開口部1102および1202に沿った第2の半導体層844の部分の間の距離である。1つの実施形態においては、物理チャネル長1124および1224の1つまたは複数は、設計ルールの最小寸法の2倍程度である。別の実施形態においては、物理チャネル長1124および1224の1つまたは複数は、設計ルールの最小寸法の1.2倍程度である。別の実施形態においては、物理チャネル長1124および1224のいずれか1つまたは複数は、説明したものより長いものとするか、または短いものとすることができる。
【0103】
第2の半導体層844のエッチングは、ウェット・エッチング工法またはドライ・エッチング工法を用いて行うことができる。1つの実施形態においては、エッチャントは、第2の半導体層844を導電性部材1022、1036、1042、1044、1056、および1076に対して選択的に除去する(すなわち、より高速でエッチングする)ことが可能になるように、選択することができる。
【0104】
1つの実施形態においては、ハロゲン含有プラズマを用い、ドライ・エッチング工法を実施することによって、第2の半導体層844の露出部分を除去することができる。供給ガスは、フッ素含有ガスなどのハロゲン含有ガスを含むことができる。ハロゲン含有ガスは、Cの式を持つものとすることができ、ここで、Xは1つまたは複数のハロゲンであり、aは1または2であり、bは少なくとも1であり、aが1の場合にはb+cは4であり、aが2の場合にはb+cは4または6である。例えば、XがFのときは、ハロゲン含有ガスは過フッ化炭化水素である。別の実施形態においては、フッ素含有ガスは、F、HF、SF、NF、フッ素含有ハロゲン間化合物(ClF、ClF、ClF、BrF、BrFおよびIF)、またはこれらのいずれかの混合物を含むことができる。別の実施形態においては、ハロゲン含有ガスは、Cl、HCl、BCl、塩素含有ハロゲン間化合物(ClF、ClFおよびClF)、またはこれらのいずれかの混合物を含む塩素含有ガスである。さらに別の実施形態においては、ハロゲン含有ガスは、Br、HBr、BBr、臭素含有ハロゲン間化合物(BrFおよびBrF)、またはこれらのいずれかの混合物を含む臭素含有ガスである。さらに別の実施形態においては、ハロゲン含有ガスは、I、HI、またはこれらのいずれかの混合物を含むヨウ素含有ガスである。またさらなる実施形態においては、ハロゲン含有ガスは、この段落で説明したガスのいずれかの混合物である。特定の実施形態においては、第2の半導体層844と第1の半導体層842との間のエッチング選択性(すなわち、第1の半導体層842のエッチング速度に対する第2の半導体層844のエッチング速度の比)は、フッ素と比較べてより重いハロゲンの多くを用いることによって高めることができる。例えば、CF(1−y)Clを用いると、エッチング選択性は、yが増加するにつれて高まる。
【0105】
供給ガスは、O、O、NO、または半導体技術において酸素プラズマを生成するために従来から用いられている他の酸素含有ガスといったもののうちのいずれか1つまたは複数の酸素含有ガスを含むことができる。供給ガスは、1つまたは複数の不活性ガス(例えば、希ガス、N、CO、またはこれらのいずれかの組み合わせ)を含むこともできる。
【0106】
エッチングは、エッチング・チャンバ内で行うことができる。エッチングの間は、圧力は、約0.01から5000mTorrまでの範囲である。これらの圧力では、1つまたは複数の供給ガスは、約10から1000標準立方センチメートル毎分(sccm)の範囲の速度で流れることができる。別の実施形態においては、圧力は、約100から500mTorrまでの範囲とすることができ、1つまたは複数の供給ガスは、約100から500sccmまでの範囲の速度で流れることができる。電圧および電力をかけて、プラズマを生成することができる。電力は、典型的には、基板の表面積の一次関数またはほぼ一次関数である。したがって、(基板の単位面積当たりの電力として)電力密度が与えられる。電圧は約10から1000Vまでの範囲であり、電力密度は約10から5000mW/cmまでの範囲である。1つの実施形態においては、電圧は約20から300Vまでの範囲とすることができ、電力密度は約50から500mW/cmまでの範囲とすることができる。
【0107】
エッチングは、時限エッチングとして、または時限オーバーエッチングと共に終点検出を用いることによって、行うことができる。第1の半導体層842および第2の半導体層844が主にシリコンである場合には、時限エッチングを用いることができる。第1の半導体層842および第2の半導体層844について異なる材料を用いる場合には、終点検出を用いることになる。例えば、1つの実施形態においては、第2の半導体層844がシリコン・ゲルマニウムを含む場合には、終点検出は、第1の半導体層842が露出されるようになった後のエッチング・チャンバからの放出物中にゲルマニウムが存在しないことに基づくものとすることができる。別の実施形態においては、第2の半導体層844がほとんどシリコンのないゲルマニウムを含む場合には、終点検出は、第1の半導体層842が露出された後のエッチング・チャンバからの放出物中にシリコンが存在することに基づくものとすることができる。エッチングがより遅く行われる場合には、第2の半導体層844の一部が基板300の範囲から除去されることを確実にするために、時限オーバーエッチングを用いることができる。1つの実施形態においては、エッチングの際の電力密度をオーバーエッチング中に減少させて、第1の半導体層842およびエッチング・プラズマに曝される電子デバイスの他の部分に対する第2の半導体層844の選択性を高めることができる。
【0108】
選択されるウェット化学エッチャントは、1つには、第2の半導体層844の組成と、エッチング中に曝される電子デバイスの他の部分の組成とに基づくものである。1つの実施形態においては、エッチャントは、塩基(例えば、KOH、水酸化テトラメチルアンモニウムなど)、または酸化性物質(例えば、HNO)とHFとの組み合わせを含むものとすることができる。時限エッチングは、典型的には、ウェット化学エッチングのために用いられる。
【0109】
エッチングが完了した後に、第1の半導体層842の一部を除去するか、またはまったく除去しないものとすることができる。1つの実施形態においては、第1の半導体層842の約50nm程度が除去される。
【0110】
図11を参照すると、ピクセル160内では、導電性部材1044が導電プラグ424に接触し、その導電プラグ424は次に導電性部材272に接触する。データ線172を伝わってきた信号は、導電プラグ424および導電性部材1044に沿って、図11の右側近くにある第2の半導体層844の一部に伝達される。導電性部材1042は、(図11の中央のすぐ左側にある)第2の半導体層844の一部と、導電性部材562の導電層624とに接触する。ピクセル120および140内にも、実質的に同じ構造が存在する。
【0111】
図12を参照すると、ピクセル160内では、端面926の右側に位置する導電性部材1076の一部が、ピクセル160内の容量電子部品124用の第2の電極である。端面926の左側に位置する導電性部材1076の部分は、ピクセル160内の駆動トランジスタ126の第2のソース/ドレイン領域(第2の半導体層844の残りの部分)用の接触構造体の一部である。図12において破線で示される、ピクセル160内の容量電子部品124は、導電層624の一部と、誘電体層822の一部と、端面926の右側に位置する導電性部材1076の一部とを含む。ピクセル120および140の容量電子部品124も、同様の構造を有する。同様に、導電性部材1036および1056の一部は、それぞれピクセル120および140の容量電子部品用の第2の電極である。
【0112】
プロセスのこの時点で、ピクセル駆動回路内の電子部品の形成は実質的に完了する。図11を参照すると、ピクセル160内では、導電性部材1044の下に位置する第2の半導体層844の一部は、選択トランジスタ122用の第1のソース/ドレイン領域であり、導電性部材1042の下に位置する第2の半導体層844の一部は、選択トランジスタ122用の第2のソース/ドレイン領域である。第1の半導体層842の下に位置する導電性部材524の一部は、選択トランジスタ122用のゲート電極である。開口部1102の下方で露出する第1の半導体層の一部は、選択トランジスタ122のチャネル領域1122である。他のピクセル120および140内の他の選択トランジスタ122は、図11に示されるものと実質的に同一である。
【0113】
図12を参照すると、ピクセル160内では、端面926の左側にある導電性部材562の一部が、駆動トランジスタ126用のゲート電極を含む。端面926の右側にある導電性部材562の一部は、容量電子部品124用の第1の電極である。導電性部材1022の下に位置する第2の半導体層844の一部は、駆動トランジスタ126用の第1のソース/ドレイン領域であり、導電性部材1076の下に位置し、端面926の左側にある第2の半導体層844の一部は、駆動トランジスタ126用の第2のソース/ドレイン領域である。開口部1202の下方で露出する第1の半導体層の一部は、駆動トランジスタ126のチャネル領域1222である。端面926の右側にある導電性部材1076の一部は、容量電子部品124用の第2の電極である。他のピクセル120および140内の他の駆動トランジスタ126および容量電子部品124は、図12に示されるものと実質的に同一である。
【0114】
絶縁層およびその絶縁層内の接触開口部が、基板300の一部の上に形成される。図13に示すように、導電性部材1322は基板300の一部の上に形成される。導電性部材1322は、電子部品128、148、168用の第1の電極であり、下に位置する導電性部材1022に接続される。図13を参照すると、平面図で見た場合、導電性部材1322の右側付近の端面の各々は、導電性部材232、252、または272まで延びるかまたはそれらに重なり、導電性部材1322の左側付近の端面の各々は、導電性部材256もしくは276、または、ピクセル120の左側にある、ピクセル用のVdd線(図示せず)まで延びるかまたはそれらに重なる。導電性部材1322の上部付近の端面の各々は、導電性部材524まで延びるかまたはそれに重なり、導電性部材1322の下部付近の端面の各々は、ピクセル120、140、または160の下にある、ピクセルの選択線用の導電性部材(図示せず)まで延びるかまたはそれに重なる。
【0115】
図14は、図13の切断線14−14における断面図であり、導電性部材1322が形成された後の電子デバイスの製造工程を示す。絶縁層1422およびその絶縁層1422内の開口部は、1つまたは複数の従来技術を用いて形成することができる。1つの実施形態においては、絶縁層1422を、ステンシル・マスクを用いてパターン形成された層として堆積させる。別の実施形態においては、絶縁層1422を、実質的に基板300全体の上にブランケット堆積させ、従来のリソグラフィ工法を用いてパターン形成することができる。絶縁層1422は、誘電体層822に関して既述された材料のいずれかの1つまたは複数の層を含むことができる。絶縁層1422の厚さは、約0.1から5.0ミクロンまでの範囲である。
【0116】
導電性部材1322は、従来のOLED(有機発光ダイオード)において陽極として従来から用いられる1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含むことができる。導電性部材1322は、従来の堆積手順を用いて、または従来の堆積およびパターン形成手順によって、形成することができる。
【0117】
1つの実施形態においては、導電性部材1322は、後に形成される1つまたは複数の有機活性層によって放出されるか、または反応する放射線の少なくとも70%を透過する。1つの実施形態においては、導電性部材1322の厚さは、約100から200nmまでの範囲である。導電性部材1322はそれを通して放射線を透過させる必要がない場合には、その厚さを、1000nm以下とするか、またはさらに一層厚くするなど、より大きくすることができる。
【0118】
図15に示すように、基板構造体1522がピクセル駆動回路の上に形成される。1つの実施形態においては、基板構造体1522はウェル(well)構造であり、別の実施形態においては、基板構造体1522は液体ガイド構造(すなわち、格子ではなくストリップ状の形状を有する)とすることができる。1つの実施形態においては、基板構造体1522の少なくとも一部は、電子部品128、148、168、またはこれらのいずれかの組み合わせと、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126の少なくとも一部(例えば、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126の少なくとも半分)との間に位置する。別の実施形態においては、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126並びに容量電子部品124を含むピクセル駆動回路の実質的に全体が、基板構造体1522によって覆われる。さらに別の実施形態においては、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126のチャネル領域は、基板構造体1522によって覆われる。
【0119】
図15はまた、基板構造体1522の一部と、その下に位置するピクセル160内の駆動トランジスタ126および容量電子部品124との間の位置関係を示す。基板構造体1522は、基板300、および導電性部材1022の一部の上に位置する。基板構造体1522は、後に形成される有機活性層に、または有機活性層から、放射線を透過させることができる開口部のアレイを定める。基板構造体1522内の開口部は、導電性部材1322の一部を露光する。
【0120】
特定の実施形態においては、基板構造体1522は、無機材料(例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなど)もしくは有機材料(例えば、フォトレジスト、ポリイミドなど)またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。別の実施形態においては、基板構造体1522は、電子デバイスが作動状態にある間に周辺光に対するコントラストを増加させるために、黒色層(例えば、炭素を含む層)を含むことができる。1つの例示的な実施形態においては、基板構造体1522は、1つまたは複数のレジスト層またはポリマー層から形成することができる。レジストは、例えば、ネガ・レジスト材料またはポジ・レジスト材料とすることができる。
【0121】
レジストは、従来技術を用いて基板300および導電性部材1322の上に堆積させることができる。基板構造体1522は、堆積と同時にパターン形成するか、または、ブランケット層として堆積させ、従来のリソグラフィ工法を用いてパターン形成することができる。1つの特定の実施形態においては、基板構造体1522は、断面図で見て、約2から10ミクロンまでの間の厚さを有する。1つの例示的な実施形態においては、基板構造体1522内の開口部は、平面図で見たときに、幅が約50から100ミクロンまでの範囲であり、長さが約100から500ミクロンまでの範囲である。開口部における基板構造体1522の傾斜は、導電性部材1322の表面に対して、90°よりも小さくするか、概ね90°とするか、または90°よりも大きくすることができる。
【0122】
1つの実施形態においては、後の有機層を形成する前に、基板構造体1522に表面処理を施しても施さなくてもよい。従来のフッ化表面処理を行って、基板構造体1522の表面エネルギーを減少させることができる。
【0123】
処理は続いて、図16に示すように実質的に完成した電子部品を形成する。有機層1630および第2の電極1642が、基板300上に形成される。有機層1630は、1つまたは複数の層を含むものとすることができる。有機層1630は、有機活性層1634を含み、必要に応じて、電荷注入層、電荷トランスポート層、電荷障壁、またはこれらのいずれかの組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数を含むことができる。任意の電荷注入層、電荷トランスポート層、電荷障壁、またはこれらのいずれかの組み合わせは、有機活性層1634と導電性部材1322との間か、有機活性層1634と第2の電極1642との間か、またはこれらの組み合わせに、位置するようにすることができる。1つの実施形態においては、正孔トランスポート層1632が導電性部材1322と有機活性層1634との間に位置する。
【0124】
有機層1630の形成は、OLEDに有機層を形成するのに用いられるいずれか1つまたは複数の従来技術を用いて行われる。正孔トランスポート層1632は、約50から200nmまでの範囲の厚さを有し、有機活性層1634は、約50から100nmまでの範囲の厚さを有する。1つの実施形態においては、1つの有機活性層1634のみがアレイに用いられる。別の実施形態においては、異なる有機活性層をアレイの異なる部分に用いることができる。
【0125】
第2の電極1642は、従来のOLEDの陰極に用いられる1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含む。第2の電極1642は、1つまたは複数の従来の堆積技術または従来の堆積およびリソグラフィ工法を用いて形成される。1つの実施形態においては、第2の電極1642は、約0.1から5.0ミクロンまでの範囲の厚さを有する。特定の実施形態においては、第2の電極1642は、アレイについての共通の陰極とすることができる。
【0126】
これまでに記述した、または付加的なあらゆる層を用いて、図16には示されていない別の回路を形成することができる。図示されてはいないが、アレイの外側に位置する周辺の区域(図示せず)において回路構成を可能にするように、1つまたは複数の付加的な絶縁層および1つまたは複数の配線段(interconnect level)を形成することができる。このような回路は、行デコーダもしくは列デコーダ、ストロボ(例えば、行アレイ・ストロボ、列アレイ・ストロボ)、またはセンス増幅器(センスアンプ)を含むことができる。あるいは、このような回路は、図14に示されたいずれかの層の形成前に、形成中に、または形成後に、形成することができる。1つの実施形態においては、第2の電極1642はVss線138の一部である。
【0127】
乾燥剤1664を取り付けたリッド(lid:ふた)1662をアレイの外側の位置において基板300(図16には示されていない)に取り付け、実質的に完成したデバイスを形成する。第2の電極1642と乾燥剤1664との間には、ギャップ(間隙)1666があってもなくても良い。リッドおよび乾燥剤として用いられる材料および取り付け方法は、従来のものである。
【0128】
4.他の実施形態
上述の実施形態は、単色ディスプレイおよびフルカラー・ディスプレイを含むAMOLED(アクティブ・マトリックス有機発光ダイオード)ディスプレイに最適である。さらに、本明細書に記載される概念は、他のタイプの放射線放出電子部品について用いることができる。他の放射線放出電子部品は、III−VまたはII−VIベースの無機放射線放出電子部品を含む、パッシブ・マトリックス・ディスプレイ光パネルおよび無機LEDを含むことができる。1つの実施形態においては、放射線放出電子部品は、可視光スペクトル内の放射線を放出することができ、別の実施形態においては、放射線放出電子部品は、可視光スペクトル外の放射線(例えば、UVまたはIR)を放出することができる。
【0129】
別の実施形態においては、本明細書に記載される概念を、他のタイプの電子デバイスにまで広げることができる。1つの実施形態においては、センサ・アレイが、放射線反応電子部品のアレイを含むことができる。1つの実施形態においては、異なる放射線反応電子部品が、同じ活物質(活性物質)または異なる活物質を有するものとすることができる。それらの活物質の反応は、時間の経過とともに変化する場合がある。さらに、センサ・アレイのいくつかは、異なる波長、異なる放射線強度、またはこれらの組み合わせを受け取る異なる部分を有するものとすることができる。放射線放出電子部品を有する電子デバイスと同様に、放射線反応電子部品を有する電子デバイスは、比較的長い耐用年数を有するものとすることができる。
【0130】
放射線は、基板300、リッド(ふた)1662、またはその両方を透過することができる。放射線がリッド1662を透過することになる場合には、そのリッドは、放射線の少なくとも70%を透過させることができるであろう。乾燥剤1664は、放射線の少なくとも70%を透過させることができるように加減するか、または、1つまたは複数の位置に配置することでき、その結果、リッド1662を通して放射線を有機活性層1634から放出するか、または有機活性層1634によって受け取ることができる。例えば、乾燥剤は、基板構造体1522の上に位置し、かつ、有機活性層1634の上に位置しないようにすることができる。別の実施形態においては、導電性部材1322と第2の電極1642の構成を逆にすることができる。この実施形態においては、陰極は、共通の陽極に比べて基板300により近くなる。ピクセル駆動回路、および電子部品間の配線は、このような構造に合わせて変更することができる。
【0131】
容量電子部品124の静電容量は、導電性部材524のいずれか1つまたは複数と、その上に位置する導電性部材1036、1056、または1076との間の重なりを変化させることによって、増加または減少させることができる。
【0132】
いくつかの実施形態に関して、厚さ、幅、および長さを含む多くの寸法を与えた。本発明の範囲は、それらの寸法または寸法の範囲に限定されるものではない。本明細書を読んだ後に、当業者であれば、他の寸法を使用できることが分かるであろう。
【0133】
5.利点
本明細書で説明したレイアウト(配置構成)および電子部品構造体は、従来のピクセルと比べて、ピクセル内の空間をより効率的に利用して、ピクセルの開口率を増加させることを可能にすることができる。容量電子部品124はピクセルに組み込まれ、その静電容量は、導電性部材522、542、または562と、その上に位置する対応する導電性部材1036、1056、または1076との間の重なりを変化させることによって、調整することができる。また、選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126は、ピクセルの同じ側部に沿って位置する。より具体的には、これらのトランジスタは、ピクセルの放射線放出エリアまたは放射線反応エリアの1つと、ピクセルの長い側部の1つとの間に位置する。ピクセル内の選択トランジスタ122および駆動トランジスタ126はいずれも、そのピクセルの反対側の長い側部と比べてピクセルのその長い側部の近くに位置する。ピクセル駆動回路は、ピクセルの長さの少なくとも半分まで延びる。
【0134】
ピクセル120のレイアウトは、基板300の主面とは異なる高さにおいて異なるパターン形成層を有する。ピクセル120、140、および160内では、データ線132、152、および172は、導電性部材232、252、および272に対応し、Vdd1線136、Vdd2線156、およびVdd3線176は、導電性部材236、256、および276に対応する。ピクセル120、140、および160内では、データ線132、152、および172、ならびに、Vdd1線136、Vdd2線156、およびVdd3線176は、選択線134、導電性部材522、524、542、および544、活性領域722、724、742、および762、導電性部材1022、1042、1044、1036、1056、および1076、第1の電極1322、ならびに第2の電極1642と比べて、基板300の主面に最も近い高さに位置する。1つの実施形態においては、選択トランジスタ122は、活性領域724と、ピクセル120、140、および160内の導電性部材524に対応する選択線134の一部とを含む。
【0135】
本発明によれば、40%よりも大きい開口率を達成することができる。1つの実施形態においては、開口率は少なくとも50%であり、1つの別の実施形態においては、開口率は少なくとも53%であり、さらに別の実施形態においては、開口率は少なくとも56%である。1つの特定の実施形態においては、ピクセルは、80ミクロン×240ミクロンである。4ミクロン設計ルールでは、放射線放出エリアまたは放射線反応エリアの幅および長さは、それぞれ64ミクロンおよび236ミクロンとすることができ、開口率は約78%となる。ピクセル内のデータ線、選択線、Vdd1線、Vdd2線、およびVdd3線の幅が2倍であるとしても、開口率は依然として少なくとも65%である。
【0136】
このような開口率は、従来のボトム・エミッション有機電子デバイスにおいては達成されなかった。より大きな開口率は、駆動トランジスタ126ならびに電子部品128、148、および168を含むピクセル回路が、あまり活動的ではない条件(すなわち、低電流)で作動し、そのような場合でも所望の強度を達成可能とすることができる。電流を減少させることによって、駆動トランジスタ126ならびに電子部品128、148、および168が急速に劣化することがないため、電子デバイスの耐用年数が延びる。
【0137】
一般的な説明または例示において上述した作用のすべてを必要とするものではないこと、特定の作用の一部を必要としない場合があること、および、説明されたものに加えてさらなる作用を実現できることに留意されたい。またさらに、作用の各々が記載される順序は、必ずしもそれらが実施される順序とは限らない。本明細書を読んだ後に、当業者は、自らの特定の必要性または要求に対してどの作用を利用できるかを決定することが可能であろう。
【0138】
以上の明細書においては、特定の実施形態を参照して本発明を説明した。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更を加えることができることが分かる。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきであり、このような修正のすべては、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0139】
いずれか1つまたは複数の利益、1つまたは複数の他の効果、1つまたは複数の問題に対する1つまたは複数の解決法、あるいはこれらのいずれかの組み合わせを、1つまたは複数の特定の実施形態に関して上述した。しかしながら、その1つまたは複数の利益、1つまたは複数の効果、1つまたは複数の問題に対する1つまたは複数の解決法、あるいは、いずれかの利益、効果、もしくは解決法を生じさせるかまたはそれらがより顕著なものとなるようにすることができるいずれか1つまたは複数の要素は、特許請求の範囲のいずれか、またはすべてについての、重要であるか、必要であるか、または不可欠である特徴または要素として解釈すべきではない。
【0140】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明した本発明の特定の特徴は、単一の実施形態の中で組み合わせて提供することもできることを認識すべきである。逆に、簡単にするために単一の実施形態の文脈で説明した本発明の様々な特徴は、別々に、またはいずれかの下位の組み合わせで、提供することもできる。さらに、範囲として提示した値への言及は、その範囲内におけるあらゆる値を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】電子デバイス内のピクセル回路を含む回路図である。
【図2】基板上に導電性部材の第1の組を形成した後のアレイの一部の平面図である。
【図3】基板上に導電性部材の第1の組を形成した後のアレイの一部の断面図である。
【図4】絶縁層および導電プラグを形成した後の、図3のアレイの一部の断面図である。
【図5】導電性部材の第2の組を形成した後の、図2および図4のアレイの一部の平面図である。
【図6】導電性部材の第2の組を形成した後の、図2および図4のアレイの一部の断面図である。
【図7】第1および第2の半導体層をパターン形成した後の、図5および図6のアレイの一部の平面図である。
【図8】第1および第2の半導体層をパターン形成した後の、図5および図6のアレイの一部の断面図である。
【図9】第1および第2の半導体層をパターン形成した後の、図5および図6のアレイの一部の断面図である。
【図10】導電性部材の第3の組を形成した後の、図7から図9までのアレイの一部の平面図である。
【図11】第2の半導体層の一部をエッチングして第1の半導体層内にチャネル領域を定めた後の、図10のアレイの一部の断面図である。
【図12】第2の半導体層の一部をエッチングして第1の半導体層内にチャネル領域を定めた後の、図10のアレイの一部の断面図である。
【図13】放射線放出部品または放射線反応部品用の電極を形成した後の、図11および図12のアレイの一部の平面図である。
【図14】放射線放出部品または放射線反応部品用の電極を形成した後の、図11および図12のアレイの一部の断面図である。
【図15】ピクセル駆動回路の少なくとも一部の上に基板構造体を形成した後の、図13および図14のアレイの一部の断面図である。
【図16】実質的に完成した電子デバイスを形成した後の、図15のアレイの一部の断面図である。
【符号の説明】
【0142】
100 電子デバイス
120、140、160 ピクセル
122 選択トランジスタ
124 容量電子部品
126 駆動トランジスタ
128、148、168 電子部品
132、152、172 データ線
134 選択線
136、138、156、176 電源線
222,242,262 導電性部材に一部
232,236,252,256,272,276 導電性部材
300 基板
322 黒色層
324 導電層
422 絶縁層
424 導電プラグ 522,524,542,562 導電性部材
622 黒色層
624 導電層 722,724,742,762 活性領域
822 誘電体層
842 第1の半導体層
844 第2の半導体層
922,926 端面
1022,1036,1042,1044,1056,1076 導電性部材
1102、1202 開口部
1124,1224 物理チャネル長
1322 導電性部材
1422 絶縁層
1522 基板構造体
1630 有機層
1632 正孔トランスポート層
1634 有機活性層
1662 リッド(ふた)
1664 乾燥剤
1666 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルを含む有機電子デバイスであって、前記ピクセルは、
ピクセル駆動回路と、
前記ピクセル駆動回路に結合される第1の電子部品と、
を含み、
前記有機電子デバイスはボトム・エミッション電子デバイスであり、かつ
前記ピクセルが少なくとも40%の開口率を有する、
ことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項2】
前記開口率は少なくとも53%であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電子デバイス。
【請求項3】
前記開口率は少なくとも56%であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電子デバイス。
【請求項4】
前記ピクセル駆動回路は選択トランジスタと駆動トランジスタとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機電子デバイス。
【請求項5】
前記ピクセルは該ピクセルの長さに沿って延びる側部を含み、
前記第1の電子部品は放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有し、
平面図で見ると、前記ピクセル駆動回路内のすべての電子部品は、前記ピクセルの前記側部と、前記第1の電子部品の前記放射線放出エリアまたは前記放射線反応エリアとの間に位置し、かつ
前記平面図で見ると、前記ピクセル駆動回路は前記ピクセルの前記側部の前記長さの少なくとも半分に沿って延びる、
ことを特徴とする、請求項4に記載の有機電子デバイス。
【請求項6】
基板と、
前記選択トランジスタに接続されるデータ線と、
前記駆動トランジスタに結合される電源線と、
をさらに含み、
前記ピクセル内では、前記データ線および前記電源線の各々は、選択トランジスタと比べて前記基板のより近くに位置する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の有機電子デバイス。
【請求項7】
第1の側部と該第1の側部に対向する第2の側部とを有する第1のピクセルであって、前記第1および第2の側部は第1のピクセルの長さに沿って延びる、第1のピクセルと、
前記第1のピクセルに結合されるデータ線と、
前記第1のピクセルに結合される第1の電源線と、
を含み、
平面図で見ると、前記データ線および前記第1の電源線は、前記第1のピクセルの前記長さに沿って延びる長さを有し、前記第2の側部と比べて前記第1の側部のより近くに位置する、
ことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項8】
基板と選択線とをさらに含み、
前記第1のピクセル内では、
前記データ線および前記第1の電源線の各々は前記基板と前記選択線との間に位置し、
前記選択線は前記基板と選択トランジスタのチャネル領域との間に位置する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の有機電子デバイス。
【請求項9】
第2の電子部品を含む第2のピクセルをさらに含み、
前記第2の電子部品は放射線放出エリアまたは放射線反応エリアを有し、
前記平面図で見ると、実質的に、前記第1のピクセルの前記ピクセル駆動回路はいずれも、前記第1および第2の電子部品の前記放射線放出エリアまたは放射線反応エリアの間には位置しない、
ことを特徴とする、請求項7に記載の有機電子デバイス。
【請求項10】
基板と、
データ線と、
第1の電源線と、
第1のピクセルと、
を含み、
前記第1のピクセルは、前記基板上に位置して選択トランジスタと駆動トランジスタとを含むピクセル駆動回路を含み、
前記データ線は前記選択トランジスタに接続され、
前記第1の電源線は前記駆動トランジスタに結合され、
前記第1のピクセル内では、前記データ線および前記第1の電源線の各々は、前記選択トランジスタと比べて前記基板のより近くに位置する、
ことを特徴とする有機電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−189852(P2006−189852A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375512(P2005−375512)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(500091357)デュポン ディスプレイズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】