説明

ピッキングシステム

【課題】 保管設備の各保管ゾーンでカートの待ちをなくし、ピッキング効率を向上すること。
【解決手段】 ピッキングシステムであって、ピッキング情報記憶手段(RFID50)に記憶されるピッキング情報に従って、折りたたみ式コンテナ40を積み込んだカート20のそれぞれを一定の出発順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させるカート出発順決定手段14を有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキングシステムとして、特許文献1に記載の如く、保管設備において、物品毎に保管ゾーンが設定された保管部と、該保管部の設置スペース内を移動可能なピッキングカートとを備え、予め指定された物品を、各物品の保管ゾーンにピッキングカートを順次移動させつつ収集するものがある。
【0003】
このとき、ホストコンピュータは、出荷〆単位(注文されて出荷すべき物品を1又は複数(例えば午前と午後の2回)の〆単位に分けた物品の単位であり、保管設備から一度のバッチ作業でピッキングして出荷すべき物品の単位)で、複数のカート上の集荷かごに取り出すべき複数種の物品の保管ゾーンとその保管ゾーンで取り出すべき物品数を含むピッキング情報を記憶したピッキング情報記憶手段を備えている。
【0004】
従来のピッキングシステムでは、集荷かごを積み込んだカートを、単に出荷〆単位の出荷先順、注文順等の順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させている。各カートの作業者は、カート上の情報端末の表示に従って、カートを必要な保管ゾーンに位置付けるように移動させ、情報端末に表示されている物品を各保管ゾーンから取り出して集荷かごに入れ、必要な物品の全てを収集した後、出荷スペースに移動してそれらの物品を出荷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-298076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のピッキングシステムでは、集荷かごを組み込んだカートを、単に出荷〆単位の出荷先順、注文順等の順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させているから、保管設備内のある保管ゾーンに複数のカートが集中したとき、当該保管ゾーンで後続するカートは徒らに待機するものになり、ピッキング効率を阻害する。
【0007】
即ち、図10は、同時期に保管設備の各保管ゾーンに到達した各カート(作業中のカートを黒丸、待機中のカートを白丸で表示)を示すものであり、(A)は出荷〆単位のバッチ作業を開始した例えば朝方の状況、(B)は出荷〆単位のバッチ作業の例えば昼頃の状況、(C)は出荷〆単位のバッチ作業を終了する例えば夕方の状況を示す。バッチ作業のいずれの段階でも、いずれかの保管ゾーンでカートの待ちを生じ、ピッキング効率を阻害している。
【0008】
本発明の課題は、保管設備の各保管ゾーンでカートの待ちをなくし、ピッキング効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ピッキングすべき複数種の物品のそれぞれが保管される保管設備内の各保管ゾーンと、各保管ゾーンでピッキングすべき物品数を含むピッキング情報を記憶したピッキング情報記憶手段を備えた複数の集荷かごと、集荷かごを積み込む複数のカートと、ピッキング情報記憶手段に記憶されるピッキング情報に従って、集荷かごを積み込んだカートのそれぞれを一定の出発順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させるカート出発順決定手段とを有してなる物品のピッキングシステムであって、カート出発順決定手段は、各カートの各保管ゾーン毎のピッキング作業時間を算出し、各カート毎の各保管ゾーンでの作業量が、当該保管ゾーンでの作業量全体に占めるピッキング作業時間比率αを算出し、各保管ゾーンにおいて次出発候補の各カートに割り当てられるピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートの仮のピッキング進捗率γとして算出し、カートの全台数Nに対し、既出発及び次出発のカートの台数xがなす平準進捗率x/Nを算出し、次出発候補の各カートについて、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算し、この合算値が最小となる次出発候補カートを次出発カートに決定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のピッキングシステムは、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートの仮のピッキング進捗率と、カートの全台数Nに対して次出発分までのカートの台数xがなすカート進捗率x/Nとが可能な限り同じになるように次出発カートを決定し、ひいては各カートの出発順を決定する。従って、保管設備の各保管ゾーンでのカートの待ちを少なくし、ピッキング効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は物品保管設備を示す平面図ある。
【図2】図2は物品保管設備の保管ゾーンを示す平面図である。
【図3】図3は集荷装置を示すブロック図である。
【図4】図4は折りたたみ式コンテナを示す模式図である。
【図5】図5はピッキングカートを示す模式図である。
【図6】図6はカートの従来の出発順に対応する各保管ゾーンのピッキング進捗率を示す模式図である。
【図7】図7はカートの本発明出発順に対応する各保管ゾーンのピッキング進捗率を示す模式図である。
【図8】図8はカート出発順決定手順を示す流れ図である。
【図9】図9は保管設備内における各カートの作業状況を示す模式図である。
【図10】図10は従来の保管設備内における各カートの待ち状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、図2に示す物品仕分け設備1は、例えば物流倉庫のフロア内に設けられ、主保管設備2と仕分け用保管設備3を備える。主保管設備2は外部から入荷されて、ケース単位で出荷される物品毎に保管ゾーンが設定される。仕分け用保管設備3は折りたたみ式コンテナ40(集荷かご)に取出される物品毎に第1〜第4の各保管部3A〜3Dが備える各保管ゾーンが設定される。仕分け用保管設備3への物品補充は主保管設備2から行なわれる。
【0013】
物品仕分け設備1にトラック等で入荷される物品は主保管設備2に一時的に保管され、主保管設備2に保管した物品を出荷頻度、出荷量に応じて物品毎に区分けした仕分け用保管設備3の各保管部3A〜3Dの各保管ゾーンに移動して保管し直す。折りたたみ式コンテナ40は折りたたみ式コンテナ組立機4等で組立てられ、カート積込場5でカート20に積み込まれる。カート20は、カート積込場5から該カート20上の折りたたみ式コンテナ40に取り出すべき所望の物品が保管されている保管部3A〜3Dの各保管ゾーンの前に移動し、必要量の物品をカート20上の折りたたみ式コンテナ40に取出して集荷し、カート20の折りたたみ式コンテナ40に集荷された物品を出荷スペース6で検品、梱包等して外部に出荷する。
【0014】
しかるに、物品仕分け設備1では、図3に示す如くの集荷装置100が用いられる。集荷装置100は、ホストコンピュータ10と、カート20と、無線ハンディーターミナル(無線HT)30を有し、集荷かごとしての折りたたみ式コンテナ40を用いて構成される。
【0015】
ホストコンピュータ10は、複数種の物品の保管ゾーン(保管部3A〜3Dの保管間口)と、その物品の保管ゾーンで取出すべき物品数を含むピッキング情報を保有しており、このピッキングに関する情報をカート20と無線HT30との間で送受信する送受信機11と、このピッキング情報をRFID(ピッキング情報記憶装置)50に書込むRFIDリードライター12と、そのピッキング情報を印字したラベルを出力するラベラー13を有する。
【0016】
尚、折りたたみ式コンテナ組立機4等で組立てられた折りたたみ式コンテナ40には、図4に示す如く、上述のRFID50のタグを着脱されるとともに、対応するラベルを貼付される。
【0017】
カート20は、図5に示す如く、作業者により運転される電動台車等からなり、複数の折りたたみ式コンテナ40、本実施例では4個の折りたたみ式コンテナ40のそれぞれを搭載するための荷台20A〜20Dを備える。カート20は、図3に示す如く、ホストコンピュータ10との間でピッキング情報に関する情報を送受信する送受信機21と、カート20の各荷台20A〜20Dに搭載した各折りたたみ式コンテナ40に据付けたRFID50に記憶された情報(当該折りたたみ式コンテナ40に取出すべく複数種の物品の保管ゾーンとその物品の保管ゾーンで取出すべき物品数)を読取るRFIDリードライター22(読取り装置)を有する。カート20の4個の荷台20A〜20DのそれぞれにRFIDリードライター22が設置されている。
【0018】
カート20は、送受信機21とRFIDリードライター22の他に、保管ゾーンから取出した物品の商品コード(janコード)で示される品種を読取るバーコードリーダ23を有する。カート20は、送受信機21とRFIDリードライター22とバーコードリーダ23から取得した情報を制御部24で処理し、RFIDリードライター22が読取ったピッキング情報のうち、次に取出すべき物品の保管ゾーンと取出し物品数を示す情報を表示する表示装置25(1個のメイン表示器26と、各荷台20A〜20Dに対応する4個のサブ表示器27と、折りたたみ式コンテナ40に入れられた物品数が所定数であるかの検品を行なう検品手段28を有する。検品手段28は各荷台20A〜20Dに対応する4個の載置秤29により構成される。
【0019】
更に、ホストコンピュータ10は、仕分け用保管設備3の保管部3A〜3Dの各保管ゾーンに順に到達した各カート20の渋滞をなくし、ピッキング効率を向上するため、カート積込場5から出発されるカート20の出発順を決定するカート出発順決定手段14を備える。カート出発順決定手段14は、ホストコンピュータ10がRFIDリードライター12を介してRFID50に記憶させるピッキング情報に従って、折りたたみ式コンテナ40を積み込んだカート20のそれぞれをカート積込場5から一定の出発順で各保管ゾーンに向けて出発させる。
【0020】
カート出発順決定手段14がカート20の出発順を決定する原理は以下の通りである。
即ち、図6は、ゾーン1〜18を有する保管設備3に多数台のカート20を従来の如くの出荷先順、注文順等の出発順で出発させたとき、各ゾーンにおける作業時間(当該ゾーンでピッキングした全てのカートの作業時間の合計)を示すものである。各カート20による作業時間(作業負荷)が最も高い(929s)のはゾーン16であり、最初の50台のカート20による作業負荷はゾーン16で最も高い(380s)ものの、ゾーン16の最後の50台のカート20による作業負荷は低い(64s)。一方、最後の50台のカート20による作業負荷はゾーン1において最も高い(110s)。即ち、各カート20により保管設備3から一度のバッチ作業でピッキングして出荷すべき出荷〆単位の総ピッキング過程で、最も作業負荷が高いゾーンはゾーン16であるが、各カート20によるゾーン16の負荷はバッチの前半に集中していて、バッチの最後では各カート20による負荷がゾーン1に集中している。これにより、バッチの最初は各カート20による負荷がゾーン16で集中していて各カート20によるピッキングに手待ちを生ずる可能性がある。また、バッチの最後は各カート20による負荷がゾーン1で集中していて各カート20によるピッキングに手待ちを生ずる可能性がある。
【0021】
そこで、カート出発順決定手段14にあっては、図7に示す如く、各カート20による出荷〆単位の総ピッキング過程で、各ゾーン1〜16での各カート20による作業負荷(混み具合)(図7の各階段状ライン)がカート20の出発進捗率(カート20の全台数Nに対して次出発分までのカート20の台数xがなす進捗率x/N)(図7の斜めの直線)と同じになるように、各カート20の出発順を決定する。
【0022】
カート出発順決定手段14によるカート20の出発順決定手順は以下の如くとする(図8)。
【0023】
(1)各カート20の各保管ゾーン毎のピッキング作業時間を算出する(図8の工程1)。
ここで、各保管ゾーン毎のピッキング作業時間は、物品を当該保管ゾーンから取り出してから各カート20の折りたたみ式コンテナ40に投入するまでの1投入時間に、作業者が当該保管ゾーンでピッキングすべきピッキング数を一度に持てる最大数で除算したものの切上げ値である投入回数を乗算した時間に、投入準備作業時間を加算して算出される。一度に持てる最大数は、標準的な手の大きさ(物品をつかむ幅)を100mmとしたとき、両手で一度に持てる最大数とし、200mm÷物品サイズで求める。例えば、1投入時間が10.5s、投入回数が2回、投入準備作業時間が6.4sであれば、ピッキング作業時間は、10.5×2+6.4=27.4sになる。
【0024】
(2)各カート20毎の各保管ゾーンでの作業量が、当該保管ゾーンでの作業量全体に占めるピッキング作業時間比率αを算出し(工程2)、各保管ゾーンにおいて次出発候補の各カート20に割り当てられるピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカート20に割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを(工程8)、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カート20の仮のピッキング進捗率γとして算出する(工程3)。
【0025】
(3)カート20の全台数Nに対し、既出発及び次出発のカート20の台数xがなす平準進捗率x/Nを算出する(工程4)。
【0026】
(4)次出発候補の各カート20について、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算する(工程5)。
【0027】
(5)上述(4)の合算値が最小となる次出発候補カート20を次出発カート20に決定する(工程6)。
【0028】
(6)順位が確定していないカート台数が1台あるか判別し(工程7)、残った1台を最後に出発するカート20とする(工程9)。
【0029】
従って、集荷装置100にあっては、ホストコンピュータ10がRFIDリードライター12を介してRFID50に記憶させ、このRFID50を介して各折りたたみ式コンテナ40に付帯させることとなるピッキング情報に従って、それらの折りたたみ式コンテナ40を積み込んだカート20のそれぞれを上述(1)〜(6)の手順で決定した出発順により保管設備3内の各保管ゾーンに向けて出発させるものになる。
【0030】
このような集荷装置100によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)カート出発決定手順14が、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カート20の仮のピッキング進捗率γと、カート20の全台数Nに対して次出発分までのカート20の台数xがなすカート進捗率x/Nとが同じになるように次出発カート20を決定する。従って、保管設備3の各保管ゾーンでカート20の待ちをなくし、ピッキング効率を向上することができる。
【0031】
(b)各カート20の各保管ゾーン毎のピッキング作業時間が、物品を当該保管ゾーンから取り出してから各カート20の折りたたみ式コンテナ40に投入するまでの1投入時間に、作業者が当該保管ゾーンでピッキングすべき物品数を一度に持てる最大数で除算したものの切上げ値である投入回数を乗算した時間に、投入準備作業時間を加算して算出されるものにした。従って、各保管ゾーンにおける各カート20のピッキング作業時間比率αを高精度に算出でき、ひいては各カート20の出発順を高精度に決定してピッキング効率を向上することができる。
【0032】
図9は、カート出発順決定手段14により各カート20の出発順を決定した保管設備3において、同時期に各保管ゾーンに到達した各カート20を示すものであり、(A)は出荷〆単位のバッチ作業を開始した例えば朝方の状況、(B)は出荷〆単位のバッチ作業の例えば昼頃の状況、(C)は出荷〆単位のバッチ作業を終了する例えば夕方の状況を示す。バッチ作業の全ての段階で、いずれの保管ゾーンにもカート20の待ちを生じていない。ピッキング効率は高い。
【0033】
以下、全5台のA〜Eのカート20により、ゾーン1〜4の各物品をピッキングするとき、カート出発順決定手段14による各カート20の出発順の決定例について説明する。
【0034】
(1)各カート20(A〜E)の各保管ゾーン1〜4のピッキング作業時間tを算出する(図8の工程1)。
表1の結果を得る。
【0035】
【表1】

【0036】
(2)各保管ゾーン1〜4毎のピッキング作業時間tの合計を算出する(工程2)。
表2の結果を得る。
【0037】
【表2】

【0038】
(3)各カート20(A〜E)毎の各保管ゾーン1〜4での作業量が、当該保管ゾーンでの作業量全体に占めるピッキング作業時間比率αを算出する(工程3)。当該保管ゾーン1〜4において、既出発のカート20に割り当て済のピッキング作業時間比率βは未だ0であり、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カート20の仮のピッキング進捗率γ=αになる。
表3の結果を得る。
【0039】
【表3】

【0040】
(4)カート20の全台数Nに対し、既出発及び次出発のカート20の台数xがなす平準進捗率x/Nを算出する(工程4)。N=5、既出発カート0台、次出発カート1台であってx=1であり、x/N=1/5=0.2。
【0041】
(5)次出発候補の各カート20(A〜E)について、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算する(工程5)。ここでは、差の2乗でピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nの差を表わしている。
表4の結果を得る。
【0042】
【表4】

【0043】
(6)上述(5)の合算値が最小となる次出発候補カート20を次出発カート20に決定する(工程6)。カートDが次出発カートになる。
【0044】
(7)順位が確定していないカート20が1台か否か判定する(工程7)。全台数N=5、確定した台数i=1より、確定していない台数y=4になる。
【0045】
(8)順位が確定していない、次出発候補の各カートA、B、C、Eについて、各保管ゾーンにおいて各カート20に割り当てられているピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートDに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートA、B、C、Eの仮のピッキング進捗率γとして算出する(工程8)。
表5の結果を得る。
【0046】
【表5】

【0047】
(9)カート20の全台数Nに対し、既出発及び次出発のカート20の台数xがなす平準進捗率x/Nを算出する(工程4)。N=5、既出発カート1台、次出発カート1台であってx=2であり、x/N=2/5=0.4。
【0048】
(10)次出発候補の各カート20(A、B、C、E)について、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算する(工程5)。ここでは、差の2乗でピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nの差を表わしている。
表6の結果を得る。
【0049】
【表6】

【0050】
(11)上述(10)の合算値が最小となる次出発候補カート20を次出発カート20に決定する(工程6)。カートEが次出発カートになる。即ち、1番のカート20はD、2番のカート20はEになる。
【0051】
(12)順位が確定していないカート20が1台か否か判定する(工程7)。全台数N=5、確定した台数i=2より、確定していない台数y=3になる。
【0052】
(13)順位が確定していない、次出発候補の各カートA、B、Cについて、各保管ゾーンにおいて各カート20に割り当てられているピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートD、Eに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートA、B、Cの仮のピッキング進捗率γとして算出する(工程8)。
表7の結果を得る。
【0053】
【表7】

【0054】
(14)カート20の全台数Nに対し、既出発及び次出発のカート20の台数xがなす平準進捗率x/Nを算出する(工程4)。N=5、既出発カート2台、次出発カート1台であってx=3であり、x/N=3/5=0.6。
【0055】
(15)次出発候補の各カート20(A〜C)について、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算する(工程5)。ここでは、差の2乗でピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nの差を表わしている。
表8の結果を得る。
【0056】
【表8】

【0057】
(16)上述(15)の合算値が最小となる次出発候補カート20を次出発カート20に決定する(工程6)。カートCが次出発カートになる。即ち、1番のカート20はD、2番のカート20はE、3番のカート20はCになる。
【0058】
(17)順位が確定していないカート20が1台か否か判定する(工程7)。全台数N=5、確定した台数i=3より、確定していない台数y=2になる。
【0059】
(18)順位が確定していない、次出発候補の各カートA、Bについて、各保管ゾーンにおいて各カート20に割り当てられているピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートD、E、Cに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートA、Bの仮のピッキング進捗率γとして算出する(工程8)。
表9の結果を得る。
【0060】
【表9】

【0061】
(19)カート20の全台数Nに対し、既出発及び次出発のカート20の台数xがなす平準進捗率x/Nを算出する(工程4)。N=5、既出発カート4台、次出発カート1台であってx=4であり、x/N=4/5=0.8。
【0062】
(20)次出発候補の各カート20(A、B)について、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算する(工程5)。ここでは、差の2乗でピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nの差を表わしている。
表10の結果を得る。
【0063】
【表10】

【0064】
(21)上述(20)の合算値が最小となる次出発候補カート20を次出発カート20に決定する(工程6)。カートBが次出発カートになる。即ち、1番のカート20はD、2番のカート20はE、3番のカート20はC、4番のカート20はBになる。
【0065】
(22)順位が確定していないカート20が1台か否か判定する(工程7)。全台数N=5、確定した台数i=4より、確定していない台数y=1になる。
【0066】
(23)上述(22)で残った1台のカート20(A)を最後に出発するカートとする。従って、ホストコンピュータ10は、表1で定まるピッキング情報に従って各物品をピッキングされるべき各折りたたみ式コンテナ40が組み込まれた各カート20(A〜E)を、表11の出発順でカート積込場5から保管設備3の各保管ゾーンに向けて出発させる。
【0067】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、集荷かごを積み込んだカートを一定のピッキング情報に従って保管設備の各保管ゾーンに移動させ、各保管ゾーンの物品をそれらの集荷かごにピッキングするに際し、各保管ゾーンでカートの待ちをなくすように、各カートの各保管ゾーンへの出発順を決定し、ピッキング効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 物品仕分け設備
3 仕分け用保管設備
5 カート積込場
10 ホストコンピュータ
12 RFIDリードライター
14 カート出発順決定手段
20 カート
40 折りたたみ式コンテナ(集荷かご)
50 RFID(ピッキング情報記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングすべき複数種の物品のそれぞれが保管される保管設備内の各保管ゾーンと、各保管ゾーンでピッキングすべき物品数を含むピッキング情報を記憶したピッキング情報記憶手段を備えた複数の集荷かごと、集荷かごを積み込む複数のカートと、
ピッキング情報記憶手段に記憶されるピッキング情報に従って、集荷かごを積み込んだカートのそれぞれを一定の出発順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させるカート出発順決定手段とを有してなる物品のピッキングシステムであって、
カート出発順決定手段は、
各カートの各保管ゾーン毎のピッキング作業時間を算出し、
各カート毎の各保管ゾーンでの作業量が、当該保管ゾーンでの作業量全体に占めるピッキング作業時間比率αを算出し、
各保管ゾーンにおいて次出発候補の各カートに割り当てられるピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートの仮のピッキング進捗率γとして算出し、
カートの全台数Nに対し、既出発及び次出発のカートの台数xがなす平準進捗率x/Nを算出し、
次出発候補の各カートについて、各保管ゾーンの仮のピッキング進捗率γとカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算し、この合算値が最小となる次出発候補カートを次出発カートに決定する物品のピッキングシステム。
【請求項2】
前記各保管ゾーン毎のピッキング作業時間が、物品を当該保管ゾーンから取り出してから各カートの集荷かごに投入するまでの1投入時間に、作業者が当該保管ゾーンでピッキングすべき物品数を一度に持てる最大数で除算したものの切上げ値である投入回数を乗算した時間に、投入準備作業時間を加算して算出される請求項1に記載の物品のピッキングシステム。
【請求項3】
集荷かごに各保管ゾーンでピッキングすべき物品数を含むピッキング情報を記憶して、集荷かごに備えられたピッキング情報記憶手段から当該ピッキング情報を読み出し、
ピッキング情報記憶手段に記憶されるピッキング情報に従って、各集荷かごを積み込んだカートのそれぞれを一定の出発順で保管設備内の各保管ゾーンに向けて出発させる物品のピッキング方法であって、
各カートの各保管ゾーン毎のピッキング作業時間を算出し、
各カート毎の各保管ゾーンでの作業量が、当該保管ゾーンでの作業量全体に占めるピッキング作業時間比率αを算出し、
各保管ゾーンにおいて次出発候補の各カートに割り当てられるピッキング作業時間比率αに、当該保管ゾーンにおいて既出発のカートに割り当て済のピッキング作業時間比率βを加算したものを、各保管ゾーンにおける次出発候補の各カートの仮のピッキング進捗比率γとして算出するステップと、
カートの全台数Nに対し、既出発及び次出発のカートの台数xがなすカート進捗率x/Nを算出するステップと、
次出発候補の各カートについて、各保管ゾーンの仮のピッキング作業時間比率γがカート進捗率x/Nに対する差に基づく目標進捗からの乖離値を、全保管ゾーンに渡って合算し、この合算値が最小となる次出発候補カートを次出発カートに決定するステップとを含む物品のピッキング方法。
【請求項4】
前記各保管ゾーン毎のピッキング作業時間が、物品を当該保管ゾーンから取り出してから各カートの集荷かごに投入するまでの1投入時間に、作業者が当該保管ゾーンでピッキングすべき物品数を一度に持てる最大数で除算したものの切上げ値である投入回数を乗算した時間に、投入準備作業時間を加算して算出される請求項3に記載の物品のピッキング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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