説明

ピッキングシステム

【課題】複数のワークを向きを揃えて載置する場合に、複数のワークの保持を短時間で行うこと。
【解決手段】ロボット2a,2bは、ワークwを保持する複数の保持部23a,24a,23b,24bと、アーム先端部21a,21bに対して回転可能に設けられ、複数の保持部23a,24a,23b,24bを支持する支持部22a,22bとを備える。また、制御装置は、保持部23a,24a,23b,24bを用いて保持したワークwごとに、かかるワークwの向きが所定の向きとなるように支持部22a,22bを所定量回転させたうえでかかるワークwを所定の場所へ載置する載置動作の実行をロボット2a,2bに対して指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベア等の搬送装置によって搬送されるワークをロボットによって保持して他の場所へ移動させるピッキングシステムが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ワークを保持する保持部を複数備えたロボットを用いて、複数のワークを同時に他の場所へ移動させるピッキングシステムが開示されている。かかるピッキングシステムでは、複数のワークを保持する際、これらのワークの向きを所定の向きに揃えて保持する。
【0004】
具体的には、特許文献1に記載のピッキングシステムでは、保持部を支持する支持部を回転させることによってワークに対する保持部の向きを所定の向きに合わせたうえで、ワークを保持する。かかる動作を複数のワークに対して順次行うことで、ランダムな向きで搬送されてくる複数のワークを同時に、かつ、向きを揃えた状態で他の場所へ載置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3314890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のピッキングシステムにおいては、ワークに対する保持動作が開始されてから保持部によってワークが保持されるまでの間に支持部を回転させる動作が介在するため、ワークを保持するまでに要する時間が長くなるおそれがある。ワークを保持するまでに要する時間が長くなるほど、搬送装置上での他のロボット等との干渉が生じる可能性が高くなる。このため、ワークを保持するまでに要する時間は、短い方が好ましい。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のワークを向きを揃えて載置する場合に、複数のワークの保持を短時間で行うことができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示するピッキングシステムは、ワークを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを移動させて所定の場所へ載置する載置動作を行うロボットと、前記保持動作および前記載置動作の実行を前記ロボットに対して指示する制御装置とを備え、前記ロボットは、前記ワークを保持する複数の保持部と、アーム先端部に対して回転可能に設けられ、前記複数の保持部を支持する支持部とを備え、前記制御装置は、前記保持部を用いて保持したワークごとに、当該ワークの向きが所定の向きとなるように前記支持部を所定量回転させたうえで当該ワークを所定の場所へ載置する載置動作の実行を前記ロボットに対して指示する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示するピッキングシステムの一つの態様によれば、複数のワークを向きを揃えて載置する場合に、複数のワークの保持を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係るピッキングシステムの模式斜視図である。
【図2】図2は、実施例1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施例1に係るピッキングシステムの動作例を示す図である。
【図4】図4は、各ロボットの初期姿勢の一例を示す図である。
【図5】図5は、向き検出部によって検出されるワークの向きの一例を示す図である。
【図6】図6は、ワーク決定処理の説明図である。
【図7】図7は、ワーク決定処理の他の例の説明図である。
【図8−1】図8−1は、実施例2に係るロボットのアーム先端部周辺における模式拡大図である。
【図8−2】図8−2は、実施例2に係るロボットのアーム先端部周辺における模式拡大図である。
【図9−1】図9−1は、実施例2に係るロボットのアーム先端部周辺における模式拡大図である。
【図9−2】図9−2は、実施例2に係るロボットのアーム先端部周辺における模式拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本願の開示するピッキングシステムのいくつかの実施例を詳細に説明する。ただし、これらの実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
まず、本実施例に係るピッキングシステムの外観について図1を用いて説明する。図1は、実施例1に係るピッキングシステムの模式斜視図である。なお、以下では、2台のロボットを備えるピッキングシステムの例について説明するが、ピッキングシステムが備えるロボットの台数は、1台でもよいし3台以上でもよい。
【0013】
図1に示すように、本実施例に係るピッキングシステムは、コンベア1と、ロボット2a,2bと、カメラ3とを備える。コンベア1は、搬送路11上に載置されたワークwを上流から下流へ向けて搬送する搬送装置である。なお、ここでは、一例として、コンベア1がベルトコンベアであるものとするが、ワークwを所定方向へ搬送することができるものであれば他の搬送装置であってもよい。
【0014】
ロボット2a,2bは、天井や壁面・床面等に固定された多関節ロボットであり、コンベア1によって搬送されるワークwを保持する保持動作および保持したワークwを移動させて所定の場所へ載置する載置動作を行う。
【0015】
ロボット2a,2bは、アーム先端部21a,21bを備えており、かかるアーム先端部21a,21bに、ワークwを保持するエンドエフェクタを備える。
【0016】
ロボット2aに設けられるエンドエフェクタは、ワークwを保持する複数の保持部23a,24a、アーム先端部21aに対して回転可能に設けられ、複数の保持部23a,24aを支持する支持部22a等で構成される。また、ロボット2bに設けられるエンドエフェクタも同様に、ワークwを保持する複数の保持部23b,24b、アーム先端部21bに対して回転可能に設けられ、複数の保持部23b,24bを支持する支持部22b等で構成される。
【0017】
保持部23a,23b,24a,24bは、たとえば、真空ポンプ等の吸引装置を用いてワークwを吸着させる吸着式の保持部である。ロボット2a,2bは、かかる保持部23a,23b,24a,24bを用いて複数のワークwを保持する。そして、ロボット2a,2bは、保持したワークwをそれぞれコンベア4a,4bへ移動させた後、吸引装置による吸引力を解除することにより、保持した複数のワークwをコンベア4a,4b上に載置する。
【0018】
また、ロボット2a,2bは、1つのワークwについての保持動作および載置動作を終えると、あらかじめ設定された初期姿勢に戻り、かかる初期姿勢から次のワークwに対する保持動作を開始する。ここで、本実施例に係るロボット2a,2bには、それぞれ異なる初期姿勢が設定されるが、かかる点については、図4を用いて後述する。
【0019】
なお、本実施例では、ロボット2a,2bが2つの保持部を備える場合の例について説明するが、ロボット2a,2bが備える保持部の数は、3つ以上であってもよい。
【0020】
また、ロボット2a,2bが備えるエンドエフェクタは、ワークwを保持することができるものであれば他のエンドエフェクタであってもよい。たとえば、ロボット2a,2bは、ワークwを把持する複数のハンド部が設けられたエンドエフェクタを備えていてもよい。
【0021】
本実施例では、ロボット2a,2bとして垂直多関節ロボットを適用した例について説明するが、ロボットの構成はこれに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、直交ロボット等、ワークwを保持して移送できる構成であればよい。
【0022】
また、ここでは、ロボット2a,2bが搬送路11を挟んで配置される場合の例について説明するが、これに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、搬送路11に沿って並んで配置されてもよいし、搬送路11の上方に配設されてもよい。
【0023】
カメラ3は、ロボット2a,2bよりもコンベア1の上流側へ配置され、コンベア1の搬送路11上の所定領域を撮像する撮像装置である。カメラ3によって撮像された画像は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して図示しない制御装置へ出力される。
【0024】
本実施例に係るピッキングシステムは、上記のように構成されており、カメラ3が、搬送路11上を撮像し、図示しない制御装置が、カメラ3によって撮像された画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出するとともに、検出したワークwの保持動作をロボット2a,2bに対して指示する。そして、ロボット2a,2bが、制御装置からの指示に従って保持動作および載置動作を行う。
【0025】
ここで、従来のピッキングシステムにおいて、複数のワークの向きを揃えて載置する作業をロボットに対して行わせる場合、ロボットは、保持部を支持する支持部を回転させることによってワークに対する保持部の向きを所定の向きに合わせたうえでワークを保持していた。
【0026】
したがって、従来のピッキングシステムでは、ワークに対する保持動作が開始されてから保持部によってワークが保持されるまでの間に支持部を回転させる動作が介在するため、ワークを保持するまでに要する時間が長くなるおそれがあった。ワークを保持するまでに要する時間が長くなるほど、搬送装置上において他のロボット等との干渉が生じる可能性が高くなるため、ワークを保持するまでに要する時間は、短い方が好ましい。
【0027】
また、ロボットが保持しようとするワークは、搬送装置によって搬送されているため、その位置は、時々刻々と変化する。このため、保持部の向きをワークの向きに対して所定の向きに合わせるためには、搬送装置の搬送速度も考慮に入れてロボットの動作を制御しなければならない。したがって、ロボットの動作制御に要する計算処理が複雑化するおそれがある。ロボットの動作制御に要する計算処理が複雑化すると、ロボットに対する動作指令に遅れが生じるおそれがあり、結果として、ロボットの作業効率の低下を招くおそれがある。
【0028】
そこで、本実施例に係るピッキングシステムでは、保持動作の際には、ワークwの向きを考慮することなくワークwを単純に保持しつつ、載置動作の際に、保持したワークwを向きを揃えて載置するように、制御装置がロボット2a,2bを制御することとした。以下では、かかる制御装置の構成および動作について具体的に説明する。
【0029】
図2は、実施例1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図2では、制御装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0030】
図2に示すように、制御装置5は、制御部51と、記憶部52とを備える。また、制御部51は、ワーク検出部511と、向き検出部512と、動作指示部513とを備え、記憶部52は、振分情報521を記憶する。
【0031】
制御部51は、制御装置5全体を制御する制御部である。ワーク検出部511は、カメラ3から入力される画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出する処理部である。また、ワーク検出部511は、ワークwを検出すると、かかるワークwの位置情報を含む検出結果をカメラ3によって撮像された画像とともに向き検出部512へ出力する。
【0032】
向き検出部512は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークwの向きを検出する処理部である。また、向き検出部512は、ワークwの向きを検出すると、ワーク検出部511によるワークwの検出結果に対してワークwの向きの検出結果を加えて動作指示部513へ出力する。
【0033】
なお、ワーク検出部511によるワークwの検出および向き検出部512によるワークwの向き検出については、いずれの公知技術を用いても構わない。また、ここでは、ワークwの検出処理およびワークwの向きの検出処理をそれぞれ異なる処理部が行うこととしたが、これらの処理を1つの処理部が一括して行ってもよい。
【0034】
動作指示部513は、向き検出部512から受け取ったワークwの検出結果に応じて、ワークwの保持動作および載置動作をロボット2a,2bに対して指示する処理部である。動作指示部513からの指示に従って実行されるロボット2a,2bの保持動作および載置動作の具体的な内容については、図3を用いて後述する。
【0035】
また、動作指示部513は、向き検出部512から受け取ったワークwの検出結果および記憶部52に記憶された振分情報521に基づき、各ロボット2a,2bに対して保持させるワークwを決定する処理も併せて行う。かかる点については、図4〜図6を用いて後述する。
【0036】
記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成され、振分情報521を記憶する。振分情報521は、所定の角度範囲ごとにロボット2a,2bをそれぞれ対応付けた情報である。
【0037】
ここで、本実施例に係るピッキングシステムの動作例について図3を用いて説明する。図3は、実施例1に係るピッキングシステムの動作例を示す図である。なお、図3には、一例として、ロボット2aが実行する保持動作および載置動作を示している。
【0038】
制御装置5の動作指示部513がワークw1およびワークw2の保持動作をロボット2aに対して指示したとすると、図3の上図に示すように、ロボット2aは、動作指示部513からの指示に従って、ワークw1およびワークw2の保持動作を行う。
【0039】
たとえば、ロボット2aは、ワークw1を保持部24a(図1参照)を用いて保持した後、ワークw2を保持部23a(図1参照)を用いて保持する。このとき、ロボット2aは、従来のピッキングシステムとは異なり、ワークw1に対する保持部24aの向きおよびワークw2に対する保持部23aの向きを考慮することなく、これらのワークw1,w2の保持を行う。したがって、ロボット2aは、ワークw1,w2を保持するまでの動作を短時間で行うことができる。
【0040】
つづいて、動作指示部513は、保持したワークw1,w2ごとに、各ワークw1,w2の向きが所定の向きとなるように支持部22aを所定量回転させたうえで各ワークw1,w2をコンベア4aへ載置する載置動作の実行をロボット2aに対して指示する。
【0041】
具体的には、動作指示部513は、向き検出部512によって検出されたワークw1の向きd1と、所定の基準載置向きd0とに基づいて、ワークw1を基準載置向きd0に揃えて載置するために必要な支持部22aの回転量を算出する。基準載置向きd0は、ここでは、コンベア4aの搬送方向と同一の向きとする。
【0042】
また、動作指示部513は、ワークw2についても、ワークw2の向きd2および所定の基準載置向きd0に基づいて、ワークw2を基準載置向きd0に揃えて載置するために必要な支持部22aの回転量を算出する。なお、支持部22aの回転量の算出には、ワークwの向きおよび基準載置向きだけでなく、ロボット2aの他の部位の回転量等も考慮される。
【0043】
そして、動作指示部513は、ワークw1,w2についてそれぞれ算出した回転量で支持部22aを回転させるようにロボット2aに対して指示する。
【0044】
ロボット2aは、かかる動作指示部513からの指示に従って、図3の中図および下図に示すように、ワークw1,w2の載置動作を行う。まず、ロボット2aは、図3の中図に示すように、支持部22aを所定量回転させてワークw1の向きd1を基準載置向きd0と一致させたうえで、ワークw1をコンベア4a上に載置する。その後、ロボット2aは、図3の下図に示すように、支持部22aを所定量回転させてワークw2の向きd2を基準載置向きd0と一致させたうえで、ワークw2をコンベア4a上に載置する。
【0045】
このように、向き検出部512が、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークw1,w2の向きを検出し、動作指示部513が、検出した向きに基づいて支持部22aの回転量を決定することで、ランダムな向きで搬送されてきたワークw1,w2を向きを揃えた状態でコンベア4a上に載置することができる。
【0046】
なお、ここでは、理解を容易にするために、保持動作および載置動作の実行指示を異なるタイミングで行うこととしたが、動作指示部513は、ワークwの保持から載置までの一連の動作の実行を一のタイミングで指示してもよい。
【0047】
次に、各ロボット2a,2bに対して保持させるワークwの決定方法について図4〜図6を用いて説明する。まず、各ロボット2a,2bの初期姿勢について図4を用いて説明する。図4は、各ロボット2a,2bの初期姿勢の一例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、ロボット2a,2bには、それぞれ異なる初期姿勢が設定されている。たとえば、ロボット2aには、支持部22aの長手方向(保持部23a,24aの並び方向)がコンベア1の搬送方向と同じ方向を向いた姿勢が初期姿勢として設定されている。また、ロボット2bには、支持部22bの長手方向(保持部23b,24bの並び方向)がコンベア1の搬送方向に対して90度の方向を向いた姿勢が初期姿勢として設定されている。
【0049】
また、図4に示すように、ロボット2aには、コンベア1の搬送方向を基準向き(0度)とした場合における−45度〜+45度、+135度〜+180度および−135度〜−180度の角度範囲200aが振分情報521によって対応付けられている(後述する図6参照)。また、ロボット2bには、コンベア1の搬送方向を基準向き(0度)とした場合における+45度〜+135度および−45度〜−135度の角度範囲200bが振分情報521によって対応付けられている(後述する図6参照)。
【0050】
このように、振分情報521には、ロボット2a,2bが初期姿勢を取った場合における支持部22a,22bの向きと基準向きとがなす角度を含む所定の角度範囲200a,200bが、各ロボット2a,2bに対して対応付けられている。以下、ロボット2aに対して対応付けられた角度範囲を第1の角度範囲200aと呼び、ロボット2bに対して対応付けられた角度範囲を第2の角度範囲200bと呼ぶ。
【0051】
なお、ここでは、コンベア1の搬送方向を基準向きとしたが、基準向きは、必ずしも搬送方向であることを要しない。また、各ロボット2a,2bに対して設定される初期姿勢は、図4に示した姿勢に限ったものではない。
【0052】
つづいて、各ロボット2a,2bに対して保持させるワークwの決定処理について図5および図6を用いて説明する。図5は、向き検出部512によって検出されるワークwの向きの一例を示す図であり、図6は、ワーク決定処理の説明図である。なお、図5には、カメラ3によって撮像された画像の画像領域100(図3参照)内にワークw3〜w6が含まれる場合の例を示している。
【0053】
図5に示すように、カメラ3によってワークw3〜w6が撮像され、ワーク検出部511によってこれらワークw3〜w6が検出されたとする。かかる場合、向き検出部512は、ワーク検出部511によって検出されたワークw3〜w6の向きd3〜d6を検出する。
【0054】
つづいて、動作指示部513は、向き検出部512によって検出された各ワークw3〜w6の向きd3〜d6と基準向き(本実施例では、コンベア1の搬送方向)とがなす角度を求め、求めた角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークw3〜w6の保持動作を指示する。
【0055】
たとえば、図6に示すように、ワークw3の向きd3およびワークw6の向きd6は、ロボット2aに対して対応付けられた第1の角度範囲200aに含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw3およびワークw6の保持動作および載置動作をロボット2aに対して指示する。
【0056】
また、ワークw4の向きd4およびワークw5の向きd5は、ロボット2bに対して対応付けられた第2の角度範囲200bに含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw4およびワークw5の保持動作および載置動作をロボット2bに対して指示する。
【0057】
このように、動作指示部513は、向き検出部512によって検出されたワークwの向きに基づいてロボット2a,2bに対して保持させるワークwを決定することとした。すなわち、制御装置5は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークwの向きを検出し、検出したワークwの向きに対応するロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作を指示することとした。
【0058】
より具体的には、制御装置5は、所定の角度範囲ごとにロボット2a,2bをそれぞれ対応付けておき、検出したワークwの向きと所定の基準向きとがなす角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作を指示することとした。したがって、ロボット2a,2bの一方に処理負荷が集中することを防止し、作業効率を高めることができる。また、各ロボット2a,2bに対して同じような向きのワークwを保持させることで、載置動作の際に支持部22a,22bを回転させる量を少なくすることができるため、載置動作を高速化することができる。
【0059】
なお、ここでは、載置動作の高速化を優先したが、保持動作の高速化を優先する場合には、たとえば、ワークw同士を結ぶ線の向きに対応するロボット2a,2bに対して、かかる線によって結ばれた2つのワークwを保持させればよい。かかる点について図7を用いて説明する。図7は、ワーク決定処理の他の例の説明図である。
【0060】
図7に示すように、向き検出部512は、ワークw4の重心p4とワークw5の重心p5とを結ぶ線の向きd7およびワークw3の重心p3とワークw6の重心p6とを結ぶ線の向きd8をそれぞれ検出する。
【0061】
つづいて、動作指示部513は、向き検出部512によって検出された向きd7,d8と基準向き(コンベア1の搬送方向)とがなす角度を求め、求めた角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークw3〜w6の保持動作を指示する。
【0062】
たとえば、図7に示すように、向きd7は、ロボット2aに対して対応付けられた第1の角度範囲200a(図6参照)に含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw4およびワークw5の保持動作および載置動作をロボット2aに対して指示する。また、向きd8は、ロボット2bに対して対応付けられた第2の角度範囲200b(図6参照)に含まれる。このため、動作指示部513は、ワークw3およびワークw6の保持動作および載置動作をロボット2bに対して指示する。
【0063】
このように、制御装置5は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークw同士を結ぶ線の向きを検出し、検出した向きに対応するロボット2a,2bに対して、かかる線で結ばれたワークwの保持動作を指示する。より具体的には、制御装置5は、ロボット2a,2bが初期姿勢を取った場合における支持部22a,22bの向きと、所定の基準向きとがなす角度を含む所定の角度範囲を、かかるロボット2a,2bに対して対応付けておく。そして、制御装置5は、ワークw同士を結ぶ線の向きと所定の基準向きとがなす角度を含む角度範囲と対応付けられたロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作を指示する。
【0064】
これにより、各ロボット2a,2bがワークwを保持する際に支持部22a,22bを回転させる量を少なくすることができる。すなわち、各ロボット2a,2bがそれぞれ保持しやすい姿勢のワークwを処理することができるため、保持動作を高速化することができる。
【0065】
なお、向き検出部512は、ワークw4とワークw5とを結ぶ線の向きd7およびワークw3とワークw6とを結ぶ線の向きd8だけでなく、ワークw3とワークw5とを結ぶ線やワークw5とワークw6とを結ぶ線等の向きも検出する。
【0066】
このとき、たとえば、ワークw3とワークw5とを結ぶ線の向きおよびワークw4とワークw6とを結ぶ線の向きに基づいて各ロボット2a,2bに保持させるワークw3〜w6を決定した場合には、ワークw3〜w6の全てをロボット2bに保持させることとなる。また、ワークw5とワークw6とを結ぶ線の向きおよびワークw3とワークw4とを結ぶ線の向きに基づいて決定した場合には、ワークw3〜w6の全てをロボット2aに保持させることとなる。すなわち、一方のロボット2a,2bに対して作業が集中してしまうこととなる。
【0067】
このため、動作指示部513は、一方のロボット2a,2bに作業が集中することを防止するために、ワークw4とワークw5とを結ぶ線の向きd7およびワークw3とワークw6とを結ぶ線の向きd8に基づいて各ロボット2a,2bに保持させるワークw3〜w6を決定する。具体的には、動作指示部513は、第1の角度範囲200aに属することとなる線の数と、第2の角度範囲200bに属することとなる線の数との差が最も小さくなるように、ワークw同士を結ぶ線を選択すればよい。
【0068】
また、ここでは、ワークw同士を結ぶ線の向きを、下流側に位置するワークwから上流側に位置するワークwへ向かう向きとしたが、これに限らず、上流側に位置するワークwから下流側に位置するワークwへ向かう向きとしてもよい。
【0069】
また、ここでは、ワークwの重心同士を結ぶこととしたが、重心以外の任意の点同士を結んでも構わない。
【0070】
上述してきたように、本実施例では、ロボットが、ワークを保持する複数の保持部と、アーム先端部に対して回転可能に設けられ、複数の保持部を支持する支持部とを備えることとした。また、本実施例では、制御装置が、保持部を用いて保持したワークごとに、かかるワークの向きが所定の向きとなるように支持部を所定量回転させたうえでかかるワークを所定の場所へ載置する載置動作の実行をロボットに対して指示することとした。したがって、複数のワークを向きを揃えて載置する場合に、複数のワークの保持を短時間で行うことができる。
【実施例2】
【0071】
ところで、上述した実施例1では、支持部22a,22bを回転させることによって、保持したワークwの向きを基準載置向きに揃えることとしたが、ワークwの向きを揃える方法は、これに限ったものではない。たとえば、保持部自体を回転させることによって、保持したワークwの向きを揃えるようにしてもよい。
【0072】
以下では、実施例2に係る保持部の構成および動作について図8−1〜図9−2を用いて説明する。図8−1〜図9−2は、実施例2に係るロボットのアーム先端部周辺における模式拡大図である。
【0073】
なお、図9−1および図9−2は、図8−1および図8−2に示す状態から保持部23a,24aをそれぞれ回転させることによってワークw7,w8の向きを基準載置向きに揃えた状態を示す図である。また、図8−2は、図8−1に示す支持部22aおよびワークw7,w8をZ軸の負方向から見た場合の図であり、図9−2は、図9−1に示す支持部22aおよびワークw7,w8をZ軸の負方向から見た場合の図である。以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
図8−1に示すように、実施例2に係るロボットは、保持部23a,24aが、それぞれ支持部22aに対して回転可能に支持される。また、実施例2に係るロボットは、支持部22aに対して保持部23aを回転させる駆動部および支持部22aに対して保持部24aを回転させる駆動部をそれぞれ備える。
【0075】
実施例2に係る制御装置は、保持部23a,24aによってそれぞれ保持されたワークw7,w8の向きが所定の向きとなるように、各保持部23a,24aの駆動部をそれぞれ駆動させる。具体的には、実施例2に係る制御装置は、カメラ3によって撮像された画像に基づいてワークw7,w8の向きを検出し、検出した向きに基づいて支持部22aの回転量および各保持部23a,24aの駆動部の駆動量をそれぞれ決定する。
【0076】
そして、実施例2に係る制御装置は、ワークw7,w8を保持した後、保持したワークw7,w8のコンベア4aへの載置が完了するまでの間に、決定した回転量で支持部22aを回転させるとともに、決定した駆動量で各保持部23a,24aの駆動部を駆動するようにロボットに対して指示する。
【0077】
これにより、実施例2に係るロボットは、支持部22aを回転させるとともに、各保持部23a,24aの駆動部を駆動させる、すなわち、各保持部23a,24aを回転させる。この結果、ランダムな向きで保持されたワークw7,w8は、コンベア4aへの移動中に各保持部23a,24aの回転によって向きが揃えられ(図9−1および図9−2参照)、基準載置向きを向いた状態でコンベア4aに載置されることとなる。
【0078】
このように、実施例2では、ロボットが、支持部に対して保持部を回転させる駆動部をさらに備え、制御装置が、保持部によって保持したワークの向きが所定の向きとなるように支持部に加えて駆動部をさらに駆動させたうえで、かかるワークを所定の場所へ載置する載置動作の実行をロボットに対して指示することとした。これにより、ワークの載置動作をより迅速に行うことが可能となる。また、ワークの向きを揃えるためにロボットの動作を変更する必要がない。
【0079】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
w,w1〜w6 ワーク
1 コンベア
11 搬送路
2a,2b ロボット
21a,21b アーム先端部
22a,22b 支持部
23a,23b,24a,24b 保持部
3 カメラ
4a,4b コンベア
5 制御装置
51 制御部
511 ワーク検出部
512 向き検出部
513 動作指示部
52 記憶部
521 振分情報
100 画像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを移動させて所定の場所へ載置する載置動作を行うロボットと、
前記保持動作および前記載置動作の実行を前記ロボットに対して指示する制御装置と
を備え、
前記ロボットは、
前記ワークを保持する複数の保持部と、
アーム先端部に対して回転可能に設けられ、前記複数の保持部を支持する支持部と
を備え、
前記制御装置は、
前記保持部を用いて保持したワークごとに、当該ワークの向きが所定の向きとなるように前記支持部を所定量回転させたうえで当該ワークを所定の場所へ載置する載置動作の実行を前記ロボットに対して指示することを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記ロボットよりも前記搬送装置の上流側へ配置され、前記搬送装置の搬送路上を撮像する撮像装置
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記ワークの向きを検出し、検出した向きに基づいて前記支持部の回転量を決定することを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記ワーク同士を結ぶ線の向きを検出し、検出した向きに基づいて前記ロボットに対して保持させるワークを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記ワークの向きを検出し、検出した向きに基づいて前記ロボットに対して保持させるワークを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記ロボットは、
前記支持部に対して前記保持部を回転させる駆動部
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記保持部によって保持したワークの向きが所定の向きとなるように前記支持部に加えて前記駆動部をさらに駆動させたうえで当該ワークを所定の場所へ載置する載置動作の実行を前記ロボットに対して指示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【公開番号】特開2013−855(P2013−855A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136329(P2011−136329)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】