説明

ピッキング設備

【課題】収納棚の強度を確保しながら、できる限り多くの収納部をピッキング作業用の収納部として設定することができるピッキング設備を提供すること。
【解決手段】収納棚102が、走行移動空間の棚横幅方向において端部に対応する横端部に、補強用構造体Dを備えるように構成され、補強材9が、収納棚の複数の収納部10のうちの補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の物品取出用開口を閉じないように架設されているピッキング設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する複数の収納部を縦横に並ぶ状態で備える収納棚と、この収納棚の表面側の走行移動空間を棚横幅方向に移動するスタッカークレーンとが備えられ、前記収納棚における裏面側のうちの一部に、前記収納部における棚裏面側の物品取出用開口を閉じる状態で補強材が架設され、前記収納棚の前記複数の収納部のうちで、前記補強材にて棚裏面側の前記物品取出用開口が閉じられていない収納部が、前記収納棚の裏面側より物品をピッキングできるように構成されたピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ピッキング設備は、前記収納棚の裏面側に設けられたピッキング作業場に位置する作業者が、ピッキング作業用の収納部として設定された収納部の物品取出用開口からピッキング対象の物品を取り出して、搬出用の台車やコンベヤ等に移載する作業を行うものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、収納部における棚裏面側の物品取出用開口から取出した物品は、搬出用の台車やコンベヤ等に移載することから、特許文献1にも示されているように、ピッキング作業用の収納部を複数設定する場合は、ピッキング作業場の床高さに対応して棚の上下方向で同じ高さのものが設定される。したがって、処理能力の高いピッキング設備を構成するためにも、棚の横幅方向にできるだけ多くのピッキング作業用の収納部を設定できることが望ましい。
【0004】
また、従来より、上記ピッキング設備では、収納棚の強度を高くするために、収納棚の裏面側の一部には補強材が設けられている(例えば、特許文献2参照。)。そして、収納棚の強度を十分に確保するためには、棚横幅方向の複数の位置において縦方向に並ぶ全ての収納部の背面に補強材を架設することが好ましく、従来のピッキング設備では、少なくとも、収納棚の横幅方向の端部に配置された収納部については補強材を架設するようにして、これらの収納部の背面側の前記物品取出用開口の全てを閉じた状態としている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−206317号公報(図2)
【特許文献2】特開2007−001753号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように収納棚の横幅方向の端部に配置された縦方向に並ぶ全ての収納部の背面に補強材を架設して対応する物品取出用開口を閉じた状態にすると、収納棚の端部側の収納部についての物品取出用開口からは物品を取り出すことができないため、収納棚の端部側の収納部をピッキング作業用の収納部として設定することができないという不都合が生じる。
【0007】
このように、従来のピッキング設備においては、収納棚の強度を確保しようとするとピッキング作業用の収納部として設定できる収納部の個数が減少するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、収納棚の強度を確保しながら、できる限り多くの収納部をピッキング作業用の収納部として設定することができるピッキング設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明にかかるピッキング設備は、物品を収納する複数の収納部を縦横に並ぶ状態で備える収納棚と、この収納棚の表面側の走行移動空間を棚横幅方向に移動するスタッカークレーンとが備えられ、前記収納棚における裏面側のうちの一部に、前記収納部における棚裏面側の物品取出用開口を閉じる状態で補強材が架設され、前記収納棚の前記複数の収納部のうちで、前記補強材にて棚裏面側の前記物品取出用開口が閉じられていない収納部が、前記収納棚の裏面側より物品をピッキングできるように構成されたものであって、
その第1特徴構成は、前記収納棚が、前記走行移動空間の棚横幅方向において端部に対応する横端部に、補強用構造体を備えるように構成され、前記補強材が、前記収納棚の前記複数の収納部のうちの前記補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じないように架設されている点にある。
【0010】
すなわち、走行移動空間の棚横幅方向において端部に対応する収納棚の横端部に補強用構造体を備えることで、収納棚の前記複数の収納部のうちの前記補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じないように補強材を架設しても、前記補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じるように補強材を架設する場合と同様の強度を確保することができる。
【0011】
そして、補強材を収納棚の前記複数の収納部のうちの前記補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じないように架設することにより、補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口から、当該収納部に収納されている物品を取り出すことが可能となるので、当該収納部をピッキング作業用の収納部とすることができる。
【0012】
このように、本発明の第1特徴構成によると、収納棚の強度を確保しながら、できる限り多くの収納部をピッキング作業用の収納部として設定することができるピッキング設備を得るに至った。
【0013】
本発明にかかるピッキング設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記収納棚が、前後に並ぶ一対の支柱を備えた支柱枠を棚横幅方向に並べる状態で設け且つ各支柱枠に物品支持体を棚上下幅方向に並べる状態で設けて構成され、前記収納部が、隣接する支柱枠の間において前記物品支持体にて物品を載置支持する状態に構成され、前記補強材が、棚横幅方向に並ぶ複数の前記支柱枠の間に架設される垂直ブレースである点にある。
【0014】
すなわち、収納棚は、前後に並ぶ一対の支柱を備えた支柱枠を棚横幅方向に並べる状態で設け、且つ、各支柱枠に物品支持体を棚上下幅方向に並べて構成されているので、前記支柱枠の並べる数を増減することで、棚の横幅方向の長さを長短に変更することが可能である。
【0015】
そして、補強材として棚横幅方向に並ぶ複数の前記支柱枠の間に架設される垂直ブレースを用いることにより、簡素な構成で収納棚を補強することができ、また、棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じる状態とすべき各収納部の配列に応じて補強材を架設することが容易となる。
【0016】
このように、本発明の第2特徴構成によると、簡素な構成にて補強できる収納棚を設備の要求仕様に柔軟に対応して構成することができるピッキング設備を得るに至った。
【0017】
本発明にかかるピッキング設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記補強用構造体が、前記支柱枠と同仕様の補強用支柱枠、及び、その補強用支柱枠に対して架設する垂直ブレースを枠組みして構成されている点にある。
【0018】
すなわち、補強用構造体を、前記支柱枠と同仕様の補強用支柱枠を棚横幅方向に単数又は複数配置し且つ補強用支柱枠を水平材にて収納棚と接続した状態で構成することで、収納棚を構成する支持枠の数を増やして、収納棚の横幅方向の長さを延ばすようにする態様で、収納棚に補強用構造体を設けることができるので、部材の共通化や設計事項の共通化を図ることができる。
【0019】
また、補強用構造体を、前記補強用支柱枠に対して垂直ブレースを架設して構成することで、補強用構造体を、収納棚の裏面側の一部に架設した補強財と同様の構成にて補強することができるので、この点においても、部材の共通化や設計事項の共通化を図ることができる。
【0020】
このように、本発明の第3特徴構成によると、収納棚に補強用構造体を設ける場合に、部材の共通化や設計事項の共通化を図って、設備の設計コストや製造コストを抑制することができるピッキング設備を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のピッキング設備を自動倉庫BUに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、自動倉庫BUには、複数の収納部10を縦横に備えた第1収納棚101、第2収納棚102、第3収納棚103、及び、第4収納棚104の4つの収納棚1が並設されている。
【0022】
第1収納棚101及び第2収納棚102の間には、収納棚1の収納部10が存在する横幅方向の長さより長い距離が設定された第1走行経路Laに沿う第1走行軌道2aが1階の床面F1に敷設されており、この第1走行経路Laに沿って走行原点位置が設定されているホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間で第1走行軌道2aに案内されながら走行移動して、物品W(実際には、パレットP及びそれに載置された荷A、又は、パレットPのみ)を搬送する第1スタッカークレーン3aが設けられている。
【0023】
同様に、第3収納棚103及び第4収納棚104の間に位置する空間には、第2走行経路Lbに沿ってホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間で第2走行軌道2bに案内されながら走行移動する第2スタッカークレーン3bが設けられている。
【0024】
そして、第1収納棚101及び第2収納棚102は、それぞれの収納部10の物品出し入れ口が存在する側(以下、表面側という。)が第1走行経路Laを挟んで互いに対向する状態で配置されており、第1スタッカークレーン3aは、走行方向に垂直な方向で左右両側に移載が可能な図外の移載装置にて、第1収納棚101の収納部10及び第2収納棚102の収納部10の双方に対して移載作業(掬い作業及び卸し作業)が行えるようになっている。
【0025】
同様に、第3収納棚103及び第4収納棚104は、それぞれの表面側が第2走行経路Lbを挟んで互いに対向する状態で配置されており、第2スタッカークレーン3bは、第3収納棚103の収納部10及び第4収納棚104の収納部10の双方に対して移載作業が行えるようになっている。
【0026】
図1、図2及び図3に示すように、自動倉庫BUの1階の床面F1には、第1収納棚101及び第4収納棚104のホームポジションHP側の端部(第1ベイ)より横外方側に、棚横幅方向で内方向きを搬送方向とする入庫コンベヤ20が、また、第2収納棚102及び第3収納棚103のホームポジションHP側の端部(第1ベイ)より横外方側に、棚横幅方向で外方向きを搬送方向とする出庫コンベヤ21が設置されている。
【0027】
入庫コンベヤ20は、外部から搬入された入庫対象の荷Aを保持した保持状態のパレットPを入庫用移載箇所20eまで搬送するものである。第1スタカークレーン3aや第2スタッカークレーン3bは、入庫用移載箇所20eに位置する荷Aを保持した保持状態のパレットPを掬って、予備品保管用収納部10sに収納する。
【0028】
出庫コンベヤ21は、予備物品保管用の収納部10sから第1スタカークレーン3aや第2スタッカークレーン3bにてパレットPに保持された状態で出庫された出荷対象の荷Aを、パレットPに保持された状態で出荷用移載箇所21sからトラック積込み場所等へ搬送するものである。
【0029】
図4及び図6に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103の間には、ピッキング間口14が形成された後述のピッキング用の収納部10pに対応する高さに背面ピッキング作業場を形成すべく、1階の床面F1の高さLV1より高い中二階の床面F2Mの高さLV2Mに合わせて、棚横幅方向の全長に亘って架台19が設けられている。架台19は、第2収納棚102及び第3収納棚103の奥側支柱5bに設けられた支持ブラケット16により第2収納棚102及び第3収納棚103の棚横幅方向で複数箇所において第2収納棚102及び第3収納棚103に連結支持されている。
【0030】
架台19の上面には、第2収納棚102及び第3収納棚103の中間箇所に、第2収納棚102及び第3収納棚103におけるピッキング用収納部10pからピッキングされた小分け物品Wp(物品Wの荷Aを構成する一つ一つの物品。)を図外の仕分作業場へと搬送する搬送ローラコンベヤ17と、小分け物品Wpを一時的に仮置きする第1仮置き台18a及び第2仮置き台18bとが設置されている。
【0031】
第1仮置き台18a及び第2仮置き台18bは、ピッキングされた小分け物品Wpを搬送ローラコンベヤ17に載せるに当たって、搬送作動している搬送ローラコンベヤ17の搬送面が他の小分け物品Wpで占有されているために当該ピッキングした小分け物品Wpを載せるスペースがない場合や、指定数量の小分け物品Wpを間違いなくピッキングするために指定数量の小分け物品Wpが全て揃うまで当該ピッキングした小分け物品Wpを搬送ローラコンベヤ17に載せない場合に、小分け物品Wpを一時的に仮置きするために用いられる。
【0032】
詳しい説明は省略するが、ピッキング作業を管理する管理制御装置が設けられており、この管理制御装置が、出荷情報等に基づいてピッキングオーダを生成し、ピッキングオーダについての品種及び数量等の情報を、各ピッキング間口14に対応して設けられたデジタル表示器に送信し、ピッキング情報を背面ピッキング作業場の作業者に通知する。そして、このデジタル表示器の表示内容に基づいて、背面ピッキングが行われる。
【0033】
次に、各収納棚1の構成について図2、図3及び図5を参照しながら説明する。図5に第2収納棚102について代表して詳しく示すように、各収納棚1は、棚の奥行き方向で前後に対を成す状態で間隔を隔てて立設された長尺状の手前側支柱5f及び奥側支柱5bを水平材4及びラチス6にて連結して形成した支柱枠7が棚横幅方向に複数並ぶ状態で設けられ、これらの支柱枠7が棚の裏面側の上下各位置で長尺状の水平ビーム8により連結されて構成されている。
【0034】
各支柱枠7には、物品支持体11が棚上下幅方向に並ぶ状態で設けられ、収納部10が、隣り合う支柱枠7の間において、それぞれの支柱枠7に設けられた物品支持体11にてパレットPを載置支持する状態に構成されている。
【0035】
次に、第1収納棚101について説明を加える。なお、第4収納棚104は、配置方向が反対向きである点以外は第1収納棚101と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0036】
図2に示すように、第1収納棚101には、棚上下幅方向で最下段の第1段から最上段の第13段までの13段の収納部10が並び、棚横幅方向で第1ベイ〜第42ベイ(第1走行経路LaのホームポジションHP側における第1収納棚101の端部にある収納部10の列を第1ベイとしている。)の42ベイの収納部10が並ぶ状態で多数の収納部10が形成されている。なお、第1ベイは、例外的に第9段から第13段までの5段の収納部10が設けられている。
【0037】
これら各段の収納部10の高さ寸法は、大サイズL2、小サイズL1、極小サイズL0の何れかの寸法となるように、各支柱枠7に取り付けられる物品支持体11の高さ位置が設定されている。ちなみに、第4段及び第5段の極小サイズL0の収納部10の高さ寸法は、空状態のパレットPを単独で収納できるサイズ、つまり、パレットPの厚みに対応した高さ寸法となっている。
【0038】
第1収納棚101の収納部10のうち、第4段及び第5段の極小サイズL0の収納部10は、空状態のパレットPを収納するパレット収納用の収納部10rであり、これら以外の収納部10は、第2収納棚102及び第3収納棚103の後述するピッキング用の収納部10pにおける荷Aと同種の荷Aを保持した保持状態のパレットPを収納する予備物品保管用の収納部10sとなっている。
【0039】
また、支柱枠7における複数の物品支持体11の夫々の取り付け高さは支柱枠7によらず同じ位置であり、棚横幅方向において物品支持体11は高さが揃っているので、棚横幅方向に隣接する収納部10の高さ寸法は互いに同一となっている。
【0040】
図2では示されていないが、第1収納棚101の棚横幅方向で第20ベイから第21ベイの第1段から第2段における位置では、その位置に対応する手前側支柱5f及び奥側支柱5bに物品支持体11を設けず、収納部10に代えて、空状態のパレットPを段積み状態で保管する空パレットマガジン棚12が設けられている(図1参照)。空パレットマガジン棚12には、第1スタッカークレーン3aにて空状態のパレットPを移載自在で、かつ、移載されたパレットPを段積み状態とする図外の段積み装置が設けられており、この段積み装置により段積みされた空状態のパレットPが空パレットマガジン棚12に保管される。
【0041】
第1収納棚101の裏面側には略全面に亘って補強財としての垂直ブレース9が棚横幅方向に並ぶ複数の支柱枠7の間に架設されており、第1収納棚101の棚構造が補強されている。垂直ブレース9は、丸棒鋼材の端部にターンバックルを備えたものを使用しているが、ターンバックルを備えないものや、角柱鋼材で構成されたもの等でもよい。
【0042】
次に、第2収納棚102及び第3収納棚103について説明を加える。図3に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103では、第1収納棚101における極小サイズL0の第4段及び第5段並びに小サイズL1の第6段の収納部10に代えて、大サイズL2の収納部10を第4段に配置させるようにしてある。つまり、第2収納棚102及び第3収納棚103は、棚上下幅方向で最下段の第1段から最上段の第11段までの11段の収納部10が形成されており、各段の収納部10の高さ寸法は、大サイズL2、小サイズL1の2種類となっている。
【0043】
また、第2収納棚102及び第3収納棚103は、基本的には第1収納棚101と同様に、複数の支柱枠7を水平ビーム8等で連結し、支柱枠7に物品支持体11を設けて複数の収納部10が縦横に並ぶように構成されている点では同じであるが、第1ベイに収納部10が設けられていない点及び第2ベイの収納部の配置構成が異なる点や、第42ベイの棚横外方側で隣接する箇所に補強用構造体Dを備えている点で異なっている。
【0044】
すなわち、図1、図3、図4及び図5に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103は、オポジットポジションOP側の端部である第42ベイの棚横外方側の空間を利用して、第42ベイの棚横外方側に補強用構造体Dを形成するべく支柱枠7と同仕様の補強用支柱枠7bを設けて、水平ビーム8にて第42ベイの棚横外方側の支持枠7と補強用支持枠7bとが接続されている。なお、補強用支柱枠7bは、最外方の支柱枠7との設置間隔が、支柱枠7同士の設置間隔よりも広くなるように設置されている。
【0045】
そして、第2収納棚102及び第3収納棚103の背面には、第1収納棚101と同様に補強材としての垂直ブレース9が設けられているが、第2収納棚102及び第3収納棚103では、収納棚1の複数の収納部10のうちで、第4段の第5ベイ〜第11ベイ、第14ベイ〜第21ベイ、第24ベイ〜第31ベイ、第34ベイ〜第42ベイの大サイズL2の収納部10(以下、ピッキング用の収納部10pと呼ぶ。図3及び図5参照。)は、垂直ブレース9が架設されていないため、棚裏面側の物品取出用開口が閉じられておらず、ピッキング間口14が形成されている。
【0046】
さらに説明を加えると、収納棚1の強度を確保するために必要な間隔毎に、具体的には、第3ベイ及び第4ベイ、第12ベイ及び第13ベイ、第22ベイ及び第23ベイ、並びに、第32ベイ及び第33ベイに位置する収納棚1の背面には、これらのベイの最下段から最上段までの全ての収納部10が、物品取出用開口が閉じられた状態となるようにブレース9が設けられている。これらの収納部10は、第1収納棚101の収納部と同様に、予備品保管用の収納部10sとなっている。
【0047】
そして、第42ベイの棚横外方側の支持枠7と補強用支持枠7bとの間に他の垂直ブレース9と同仕様の垂直ブレース9を架設することでオポジットポジションOP側の端部の強度を確保して、第41ベイ及び第42ベイの第4段の大サイズL2の収納部10の裏面には垂直ブレース9を設けなくても済むようにしている。
【0048】
つまり、第2収納棚102及び第3収納棚103では、垂直ブレース9が、収納棚1の複数の収納部10のうちの補強用構造体Dに隣接する収納部10(第4段の第42ベイの収納部10)における棚裏面側の物品取出用開口を閉じないように架設されている。
【0049】
このように、補強用構造体Dを棚横外方側に設けることにより、従来であれば強度確保のためにブレース9を設ける必要があったために物品取出用開口が閉じられた状態となっていた棚横幅方向の端部箇所の収納部(本実施形態であれば第41ベイ及び第42ベイの収納部10)についても、ピッキング間口14を形成することができ、これらの収納部10からも小分け物品Wpをピッキングできるようなっており、より多くのピッキング用の収納部10pを使って、架台19上に設けられた前述の背面ピッキング作業場にいる作業員によりピッキングが行われる。
【0050】
図6に示すように、第2収納棚102及び第3収納棚103では、その裏面に、小分け物品Wpの落下を防止する樹脂製の背面ネット13が設けられており、さらに、上記第4段の大サイズL2の収納部10で、第5ベイ〜第11ベイ、第14ベイ〜第21ベイ、第24ベイ〜第31ベイ、第34ベイ〜第42ベイのピッキング用の収納部10pが位置する収納棚1の裏面には、背面ネット13が設けられておらず、架台19にいるピッキング作業者が、これらのピッキング用の収納部10pに収納されている保持状態のパレットPに保持されている物品Wから小分け物品Wpを収納部10の背面に形成されたピッキング間口14を介して取り出すことができるようになっている。
【0051】
また、第2収納棚102及び第3収納棚103におけるピッキング間口14が形成されているピッキング用の収納部10p及びこれに上方側で隣接する収納部10(具体的には、第5ベイ〜第11ベイ、第14ベイ〜第21ベイ、第24ベイ〜第31ベイ、第34ベイ〜第42ベイの第4段及び第5段に位置する収納部10)の夫々については、これらの収納部10の仮想底面から下側に離れた位置に、物品Wの落下を防止する四角形状の水平金網15が設けられている。水平金網15は、物品支持体11の直下において、支柱枠7に対して図外のブラケットなどにより吊り下げ支持されている。
【0052】
以上のように、第2収納棚102及び第3収納棚103では、補強用構造体Dを棚横外方側に設けているので、収納棚の強度を確保しながら補強用構造体Dに隣接する収納部10における棚裏面側の物品取出用開口がブレース9にて閉じられていない状態とすることができ、できる限り多くの収納部10をピッキング作業用の収納部10pとして設定することができるようになっている。
【0053】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0054】
(1)上記実施形態では、ピッキング用の収納部10pが、中二階の床面F2Mの高さLV2Mに対応して収納棚1に設けられたものを例示したが、1階の床面F1の高さLV1に対応して設けられたものであってもよく、ピッキング用の収納部10pの設定高さは適宜変更可能である。
【0055】
(2)上記実施形態では、補強用構造体が、収納棚の支柱枠と同仕様の補強用支柱枠、及び、その補強用支柱枠に対して架設する垂直ブレースを枠組みして構成されているものを例示したが、これに限らず、補強用構造体を収納棚の支柱枠と異なる仕様の部材を用いて構成してもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、補強用構造体が、補強用支柱枠を走行移動空間の棚横幅方向において端部に対応する横端部に一つだけ配置して、この補強用支柱枠を水平ビームにて収納棚本体の支柱枠と接続したものを例示したが、これに限らず、複数の補強用支柱枠を棚横幅方向に並べ、これらの補強用支柱枠を水平ビームにて接続したものであってもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、補強用構造体に架設されている垂直ブレースとして、他の部分に架設されている垂直ブレースと同仕様であるもの使用しているが、補強用構造体に架設されている垂直ブレースは、他の部分に架設されている垂直ブレースと異なる仕様であってもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、補強用構造体が、スタッカークレーンの走行移動空間のオポジットポジション側の対応する箇所に設けられたものを例示したが、補強用構造体を、ホームポジション側の対応する箇所に設けてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、補強用構造体が、収納棚の高さに合わせた高さに構成されたものを例示したが、補強用構造体が、収納棚の高さよりも高く構成されたものでもよいし、低く構成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のピッキング設備が備えられた物流倉庫の1階における全体平面図
【図2】第1収納棚の正面図
【図3】第2収納棚の背面図
【図4】本発明のピッキング設備が備えられた物流倉庫の中2階における全体平面図
【図5】収納棚の構造を示す斜視図
【図6】背面ピッキング作業場の設置状態を示す縦断断面図
【符号の説明】
【0061】
La,Lb 走行移動空間
W 物品
D 補強用構造体
102,103 収納棚
3a,3b スタッカークレーン
7 支柱枠
9 補強材
10 収納部
11 物品支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納部を縦横に並ぶ状態で備える収納棚と、
この収納棚の表面側の走行移動空間を棚横幅方向に移動するスタッカークレーンとが備えられ、
前記収納棚における裏面側のうちの一部に、前記収納部における棚裏面側の物品取出用開口を閉じる状態で補強材が架設され、
前記収納棚の前記複数の収納部のうちで、前記補強材にて棚裏面側の前記物品取出用開口が閉じられていない収納部が、前記収納棚の裏面側より物品をピッキングできるように構成されたピッキング設備であって、
前記収納棚が、前記走行移動空間の棚横幅方向において端部に対応する横端部に、補強用構造体を備えるように構成され、
前記補強材が、前記収納棚の前記複数の収納部のうちの前記補強用構造体に隣接する収納部における棚裏面側の前記物品取出用開口を閉じないように架設されているピッキング設備。
【請求項2】
前記収納棚が、前後に並ぶ一対の支柱を備えた支柱枠を棚横幅方向に並べる状態で設け且つ各支柱枠に物品支持体を棚上下幅方向に並べる状態で設けて構成され、
前記収納部が、隣接する支柱枠の間において前記物品支持体にて物品を載置支持する状態に構成され、
前記補強材が、棚横幅方向に並ぶ複数の前記支柱枠の間に架設される垂直ブレースである請求項1記載のピッキング設備。
【請求項3】
前記補強用構造体が、前記支柱枠と同仕様の補強用支柱枠、及び、その補強用支柱枠に対して架設する垂直ブレースを枠組みして構成されている請求項2のピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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