説明

ピッチ変更装置

【課題】長さや搬送ピッチの異なる複数個の搬送物を順次受け取り、受け取った複数個の搬送物を搬送ピッチを搬送物毎に独立して変更して順次受け渡すことができるピッチ変更装置及び該ピッチ変更装置を備えた搬送システムを提供すること。
【解決手段】 第1の搬送装置K1から搬送されてくる搬送物Qを順次受け取り、受け取った該搬送物Qを第2の搬送装置K2に搬送ピッチを変更して順次受け渡すピッチ変更装置であって、前記搬送物Qを前記第1の搬送装置K1から受け取り且つ受け取った該搬送物Qを前記第2の搬送装置K2に受け渡す受取りヘッド2を複数個備えており、複数個の前記受取りヘッド2は、それぞれが独立して駆動されるようになっており、前記受取りヘッド2の駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、前記搬送物Qの搬送ピッチを変更できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されてくる搬送物を順次受け取り、受け取った搬送物を搬送ピッチを変更して順次受け渡すピッチ変更装置及び該ピッチ変更装置を備えた搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンの製造装置においては、長尺状に連結した生理用ナプキン半製品を長手方向に切断(トリミング)し、切断された複数個の生理用ナプキン半製品を、その長手方向に沿って所定の搬送ピッチで順次搬送し、反転装置において、生理用ナプキンを、その幅方向が搬送方向になるように90度反転させて、更に該幅方向に沿って搬送することが行われている。
反転装置においては、通常、生理用ナプキンを90度反転させる反転ヘッドが周方向に複数個設けられており、反転ヘッド毎に1個の生理用ナプキンを吸着させて、反転ヘッドを90度反転させることにより、生理用ナプキンの向きを反転させている。
【0003】
一方、生理用ナプキンにおいては、用途等によってその長さが異なるため、搬送ピッチ(隣接する切断後の生理用ナプキンの中心間距離)が異なることになる。そのため、製造する生理用ナプキンの長さに応じて、その搬送ピッチに対応する反転装置に交換していた。
【0004】
詳述すると、図9(a)に示すように、対向するカッターロール81Aとアンビルロール81Bとからなるトリミングカッター81により長尺状の生理用ナプキンが切断されて、所定長さの生理用ナプキンQが形成される。生理用ナプキンQは、所定の搬送ピッチをおいて順次、反転装置83に搬送される。反転装置83には、生理用ナプキンQの向きを90度反転させる反転ヘッド83Aが、中心軸83Cに反転アーム83Bを介して連結されて周方向に複数個設けられており、生理用ナプキンQは、反転ヘッド83A毎に1個に吸着されて、周方向に搬送される。
【0005】
その後、シールロール84により生理用ナプキンQの所定位置にシールが施された後、反転アーム83Bがその長手方向を中心に90度反転することにより、反転ヘッド83Aに吸着されている生理用ナプキンQの向きが90度反転し、生理用ナプキンQの幅方向が搬送方向に一致する。生理用ナプキンQは、その状態で転回ロール85により搬送方向を水平方向にされ、次工程に搬送される。
【0006】
しかし、このような工程を経るため、長さの長い生理用ナプキンQを製造する場合には、図9(b)に示すように、図9(a)に示す反転装置83よりも周径が大きく周速度が速い反転装置83に交換して、対応する必要があった。シールロール84及び転回ロール85についても同様に交換して対応していた。反転装置83等の交換は、3〜4名程度の作業員が4時間程度の所要時間掛けて行う必要があり、また、長さの種類毎に反転装置を用意する必要があるため、作業効率が悪いと共に、設備費が高くなる。
このような問題点は、生理用ナプキン以外の吸収性物品を搬送する場合、吸収性物品以外の物品を搬送物として搬送する場合にも同様に生じていた。
【0007】
一方、下記特許文献1には、周面に複数個の搬送物を吸引して搬送する回転体(ロール)を備えた装置が開示されている。この装置においては、回転体による加工の1サイクルの途中で回転体の周速度を変化させることにより、搬送物の搬送ピッチを変更できるようになっている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−145485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1記載の装置においては、搬送される搬送物全体に対して同じ搬送ピッチに変更することしかできず、搬送物毎に独立して搬送ピッチを変更することができない。
【0010】
従って、本発明の目的は、長さや搬送ピッチの異なる搬送物を順次受け取り、受け取った搬送物を搬送ピッチを搬送物毎に独立して変更して順次受け渡すことができるピッチ変更装置及び該ピッチ変更装置を備えた搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の搬送装置から搬送されてくる搬送物を順次受け取り、受け取った該搬送物を第2の搬送装置に搬送ピッチを変更して順次受け渡すピッチ変更装置であって、前記搬送物を前記第1の搬送装置から受け取り且つ受け取った該搬送物を前記第2の搬送装置に受け渡す受取りヘッドを複数個備えており、複数個の前記受取りヘッドは、それぞれが独立して駆動されるようになっており、前記受取りヘッドの駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、前記搬送物の搬送ピッチを変更できるようになっているピッチ変更装置を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0012】
また、本発明は、前記第1の搬送装置、前記ピッチ変更装置及び前記第2の搬送装置を備えた搬送システムであって、前記第1の搬送装置には、前記搬送物の搬送速度を検出する速度センサー、該搬送物の搬送位置を検出する位置センサー及び該搬送物の搬送ピッチを検出するピッチセンサーが設けられており、前記ピッチ変更装置は、前記受取りヘッドの駆動速度が、前記速度センサー、前記位置センサー及び前記ピッチセンサーによりそれぞれ検出された速度情報、位置情報及びピッチ情報に基づき制御されるようになっており、前記搬送物を、前記第1の搬送装置、前記ピッチ変更装置、前記第2の搬送装置の順で受け渡すようになっている搬送システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のピッチ変更装置及び該ピッチ変更装置を備えた搬送システムによれば、順次搬送されてくる搬送物を順次受け取り、受け取った搬送物を搬送ピッチを搬送物毎に独立して変更して順次受け渡すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のピッチ変更装置を、その好ましい一実施形態である第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
第1実施形態のピッチ変更装置1は、図1及び図2に示すように、第1の搬送装置K1から搬送されてくる搬送物Qを順次受け取り、受け取った搬送物Qを第2の搬送装置K2に搬送ピッチを変更して順次受け渡すピッチ変更装置であって、搬送物Qを第1の搬送装置K1から受け取り且つ受け取った搬送物Qを第2の搬送装置K2に受け渡す受取りヘッド2を複数個備えており、複数個の受取りヘッド2は、それぞれが独立して駆動されるようになっており、受取りヘッド2の駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、搬送物Qの搬送ピッチを変更できるようになっている。
【0015】
第1実施形態のピッチ変更装置1について詳述する。本実施形態のピッチ変更装置1においては、図1及び図2に示すように、搬送物Qを第1の搬送装置K1から順次受け取り且つ受け取った該搬送物Qを第2の搬送装置K2に順次受け渡す受取りヘッド2(2A〜2C)を複数個(本実施形態では3個)備えている。
受取りヘッド2は、長さの長い生理用ナプキンQを吸着し得る吸着面21を備え、吸着面21には、多数の吸引口22が形成されている。受取りヘッド2の背面23(吸着面21の反対面)には、吸引ダクト24(24A〜24C)が連結されている。
【0016】
本実施形態のピッチ変更装置1には、中心軸43が水平方向に延びるように設けられている。中心軸43には、円筒状の回転筒41(41A〜41C)が3重に外挿されている。3重の回転筒41の一端部(図1右下側の端部)は、段違い状に突出するように配置されている。
3重の回転筒41の一端部それぞれには、回転筒41の中心軸に略直交する向きに、支持アーム3(3A〜3C)が延設されている。支持アーム3の一端部(回転筒41に連結されていない側の端部)には、受取りヘッド2が設けられている。
【0017】
中心軸43の一端部には、ダクトが集中するダクト集中部44が設けられている。各受取りヘッド2の背面23に設けられた吸引ダクト24A〜24Cの他端部は、ダクト集中部44に連結されている。3個の吸引ダクト24A〜24Cは、ダクト集中部44の内部で連通しており、更に、ダクト集中部44に設けられた連結ダクト24Dを介して吸引機(図示せず)に連通している。そして、連結ダクト24D及び吸引ダクト24A〜24Cを介して吸引口22から吸引することにより、吸着面21に吸引力が発生するようになっている。
3重の回転筒41の他端部(図1左上側の端部)には、それぞれ段違い状に第1のプーリー42(42A〜42C)が設けられている。
【0018】
本実施形態のピッチ変更装置1には、受取りヘッド2の駆動源として、3個のサーボモーター51(51A〜51C)が設けられている。各サーボモーター51A〜51Cの駆動軸には、それぞれ第2のプーリー52(52A〜52C)が設けられている。第1のプーリー42A〜42C及び第2のプーリー52A〜52Cには、それぞれ無端ベルト53(53A〜53C)が掛け渡されている。
【0019】
このように構成された本実施形態のピッチ変更装置1においては、3個のサーボモーター51A〜51Cが駆動すると、それぞれ、無端ベルト53A〜53Cを介して回転筒41A〜41Cが回転し、更に回転筒41A〜41Cに連結された支持アーム3A〜3Cを介して受取りヘッド2A〜2Cが中心軸43を回転軸として回転するようになっている。即ち、独立して駆動するサーボモーター51A〜51Cの駆動に同期して、受取りヘッド2A〜2Cが独立して駆動されるようになっている。
【0020】
本実施形態のピッチ変更装置1は、図2に示すように、第1の搬送装置K1と第2の搬送装置K2との間に配設されており、第1の搬送装置K1から搬送されてくる複数個の生理用ナプキンQを順次受け取り、受け取った複数個の生理用ナプキンQを第2の搬送装置K2に搬送ピッチを変更して順次受け渡すようになっている。
第1の搬送装置K1は、生理用ナプキンQをその長手方向に沿って搬送するものである。第1の搬送装置K1には、対向するカッターロール81Aとアンビルロール81Bとからなるトリミングカッター81が設けられており、図面右側から左側に向けて搬送されている長尺状の生理用ナプキンQを所定長さに切断できるようになっている。トリミングカッター81の後工程側には、受渡しロール82が設けられており、切断された生理用ナプキンQを、本実施形態のピッチ変更装置1に受け渡すようになっている。
【0021】
本実施形態のピッチ変更装置1の後工程側には、第2の搬送装置K2が設けられている。第2の搬送装置K2は、生理用ナプキンQを、その長手方向に沿って搬送した後、その幅方向が搬送方向を向くように90度反転させて、その幅方向に沿って搬送するものである。第2の搬送装置K2には、反転装置83、シールロール84及び転回ロール85が設けられている。
【0022】
反転装置83は、生理用ナプキンQの向きを90度反転させるもので、具体的には、長手方向に沿って搬送されている生理用ナプキンQを、その幅方向に沿って搬送されるように90度反転させるものである。反転装置83には、正面視でその回転軸83Cから放射状に延びる反転アーム83Bが複数個設けられており、各反転アーム83Bには、それぞれ反転ヘッド83Aが設けられている。反転ヘッド83Aには、生理用ナプキンQを吸着できるようになっている。反転アーム83は、その長手方向を回転軸として回転するようになっていると共に、回転軸83Cを中心として等角速度で回転するようになっている。そのため、反転ヘッド83Aに吸着された生理用ナプキンQの向きを、反転アーム83Bの長手方向を回転軸として回転することにより、90度反転することができると共に、生理用ナプキンQを、回転軸83Cを中心として等角速度で回転することができるようになっている。
反転ヘッド83Aの長さは、製造され得る最も長い生理用ナプキンQを吸着し得る長さとなっている。
【0023】
シールロール84は、反転装置83の反転ヘッド83Aに対向する位置に設けられている。シールロール84の周面には、シール形成部84Aが設けられており、反転装置83により搬送される生理用ナプキンQに対し、シール加工をできるようになっている。シールロール84により生理用ナプキンQがシール加工されると直ちに、生理用ナプキンQの向きが90度反転するようになっている。
【0024】
転回ロール85は、シールロール84の後工程側に設けられており、シールロール84によりシール加工された後、向きを反転された生理用ナプキンQの搬送方向を、水平方向に転回するようになっている。
転回ロール85により搬送方向を水平方向とされた生理用ナプキンQは、次工程へ搬送されるようになっている。
【0025】
第1の搬送装置K1には、図3に示すように、搬送物(本実施形態においては生理用ナプキンQ)の搬送速度を検出する速度センサーS1、該搬送物の搬送位置を検出する位置センサーS1及び該搬送物の搬送ピッチを検出するピッチセンサーS2が設けられている。また、ピッチ変更装置1は、受取りヘッド2の駆動速度が、前記速度センサーS1、前記位置センサーS1及び前記ピッチセンサーS2によりそれぞれ検出された速度情報、位置情報及びピッチ情報に基づき制御されるようになっている。
【0026】
詳述すると、前記速度センサー及び前記位置センサーを兼ねる速度・位置センサーS1がトリミングカッター81の近傍に設けられている。速度・位置センサーS1は、トリミングカッター81により切断された生理用ナプキンQの速度情報及び位置情報を検出し、これらを制御装置S3に出力するようになっている。
また、第1の搬送装置K1における最終搬送工程(ピッチ変更装置1に生理用ナプキンQを受け渡す工程)に、ピッチセンサーS2が設けられている。ピッチセンサーS2は、前記最終搬送工程における生理用ナプキンQのピッチ情報を検出し、これを、ピッチ変更装置1における受取りヘッド2の駆動速度を制御する制御装置S3に出力するようになっている。
【0027】
制御装置S3は、前記速度情報、前記位置情報及び前記ピッチ情報に基づき、ピッチ変更装置1における受取りヘッド2の駆動速度を種々の制御パターンで制御するようになっている。本実施形態における制御パターンは、図4におけるA列に模式的に示すように、第1の搬送装置K1において、短い長さに切断された生理用ナプキンQの搬送ピッチを、第2の搬送装置K2における反転装置83の反転ヘッド83Aのピッチに合わせるようにしたパターンである。
【0028】
本発明の搬送システムの好ましい一実施形態は、前記第1の搬送装置K1、前記実施形態のピッチ変更装置1及び前記第2の搬送装置K2を備えてなるもので、搬送物Qを、第1の搬送装置K1、ピッチ変更装置1、第2の搬送装置K2の順で受け渡すようになっている。
【0029】
以上の説明のように構成された本実施形態のピッチ変更装置1の動作について、第1の搬送装置K1及び第2の搬送装置K2の動作と併せて説明する。
図2に示すように、第1の搬送装置K1においては、トリミングカッター81により長尺状の生理用ナプキンが切断されて、所定長さの生理用ナプキンQが形成される。生理用ナプキンQは、受渡しロール82を介して、本実施形態のピッチ変更装置1に受け渡される。生理用ナプキンQは、第1の搬送装置K1の搬送速度と略同じ周速度で回転している受取りヘッド2の吸着面21に吸着される。
【0030】
その後、受取りヘッド2は、しばらく第1の搬送装置K1における搬送速度と同じ周速度で回転した後、第2の搬送装置K2における搬送速度よりも速い周速度まで一旦加速する。そして、図2において二点鎖線で示すように、周速度を、第2の搬送装置K2における搬送速度と同じになるまで減速する。ここで、生理用ナプキンQの搬送ピッチと反転装置83における反転ヘッド83Aとの搬送ピッチとが一致する。
その状態で、生理用ナプキンQを、ピッチ変更装置1における受取りヘッド2から反転装置83における反転ヘッド83Aに受け渡す。その後、受取りヘッド2の周速度は、第1の搬送装置K1における搬送速度と同じになるまで減速し、再度受取りヘッド2への生理用ナプキンQの受渡しが行われる。
このようなパターンの受取りヘッド2の駆動速度の制御は、前記速度情報、前記位置情報及び前記ピッチ情報に基づき、制御装置S3により行われる。
【0031】
生理用ナプキンQは、反転ヘッド83A毎に1個吸着されて、周方向に搬送される。その後、シールロール84により生理用ナプキンQの所定位置にシールが施された後、反転アーム83Bがその長手方向を中心に90度反転することにより、反転ヘッド83Aに吸着されている生理用ナプキンQの向きが90度反転し、生理用ナプキンQの幅方向が搬送方向に一致する。生理用ナプキンQは、その状態で転回ロール85により搬送方向を水平方向にされ、次工程に搬送される。
【0032】
このように本実施形態のピッチ変更装置1によれば、複数個の受取りヘッド2がそれぞれ独立して駆動されるようになっており、受取りヘッド2の駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、生理用ナプキンQの搬送ピッチを変更できるようになっている。そのため、長さや搬送ピッチの異なる複数個の生理用ナプキンQを順次受け取り、受け取った複数個の生理用ナプキンQを搬送ピッチを生理用ナプキンQ毎に独立して変更して順次受け渡すことができる。
【0033】
また、受取りヘッド2の制御パターンを変更することで、長さの異なる生理用ナプキンQを製造する場合にも、反転装置の大きさ、角速度等を何等変更する必要はない。
詳述すると、図4のB列に示すような、A列に示す生理用ナプキンQよりも長さの長い生理用ナプキンQを製造する場合における受取りヘッド2の制御パターンは、以下の通りにすればよい。
【0034】
第1の搬送装置K1において、長尺状の生理用ナプキンが切断され、長さの長い生理用ナプキンQが形成されると、図4のB列に示すように、A列に示す長さの短い吸収性物品Qの搬送ピッチに比して、搬送ピッチが大きくなり、第1の搬送装置K1からピッチ変更装置1への生理用ナプキンQの受け渡し時間が長くなる。この場合、本実施形態のピッチ変更装置1においては、生理用ナプキンQを第1の搬送装置K1から受取った後、第2の搬送装置K2へ受け渡す前において、受取りヘッド2の加速の程度を大きくすることにより、第2の搬送装置K2において、生理用ナプキンQの搬送ピッチを、A列に示す長さの短い生理用ナプキンQの搬送ピッチと同じにすることができる。
【0035】
図4のA列又はB列に示すような、第1の搬送装置K1において等しい搬送ピッチで規則的に搬送されている搬送物Qについて搬送ピッチを変更する場合には、前述の速度センサー、位置センサー及びピッチセンサーを用いた制御は、必ずしも必要はない。
而して、搬送ピッチが一定ではない場合には、前述の速度センサー、位置センサー及びピッチセンサーを用いた制御を行うことにより、搬送ピッチを簡便に一定にすることができる。
【0036】
特に、第1の搬送装置K1に、搬送物(生理用ナプキン)Qの搬送速度を検出する速度センサーS1、搬送物Qの搬送位置を検出する位置センサーS1及び搬送物Qの搬送ピッチを検出するピッチセンサーS2が設けられており、受取りヘッド2の駆動速度が、速度センサーS1、位置センサーS1及びピッチセンサーS2によりそれぞれ検出された速度情報、位置情報及びピッチ情報に基づき制御されるようにすると、例えば、図4のC列に示すような、第1の搬送装置K1において一定ではない搬送ピッチで搬送物Qが搬送されている場合には、速度・位置センサーS1により搬送物Qの速度情報及び位置情報を検出し、ピッチセンサーS2により搬送ピッチを検出して、それらの情報に基づき、受取りヘッド2の駆動速度をそれぞれ独立して制御して、第2の搬送装置K2における搬送物Qの搬送ピッチを一定にすることができる。
【0037】
受取りヘッド2の駆動速度の制御パターンは、搬送物の搬送パターンに応じて適宜変更することができ、例えば、(1)加速→一定速→加速→減速の順に変更してもよく、(2)一定速→加速→一定速→加速の順に変更してもよい。
【0038】
次に、本発明のピッチ変更装置の別の実施形態である第2実施形態について説明する。第2実施形態については、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、特に説明しない点については第1実施形態についての説明が適宜適用される。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に使用され、第1実施形態と同様の効果が奏される。
図5に示す第2実施形態のピッチ変更装置1は、第1実施形態のピッチ変更装置に比して、搬送物の向きの反転を、第2の搬送装置ではなく、ピッチ変更装置の受取りヘッドで行うようになっている点が主として異なる。
【0039】
即ち、第2実施形態のピッチ変更装置1は、受取りヘッド2が、搬送物である生理用ナプキンQを第1の搬送装置K1から受け取ってから第2の搬送装置K2に受け渡すまでに、受取りヘッド2を90度回転させることにより、搬送物Qを、その向きを90度反転させて第2の搬送装置K2に受け渡すようになっている。また、第2の搬送装置K2には、第1実施形態における第2の搬送装置K2のように反転装置83が設けられておらず、その代わりに、反転機能を有していない受取りロール86が設けられている。
受取りロール86は、ピッチ変更装置1の受取りヘッド2から搬送物である生理用ナプキンQを受取り、搬送物Qをその向きを反転することなく周方向に回転するもので、搬送物Qの向きを反転しない点以外は、機能、配置等については、第1実施形態のピッチ変更装置における反転装置83と同様である。
【0040】
受取りヘッド2の反転には、カム機構が採用されている。詳述すると、受取りヘッド2は、図6に示すように、支持アーム3を介して、周面にカム溝61が形成された溝付軸6に設けられている。3個の支持アーム3は、それぞれ連結棒33を介して、サーボモーターにより駆動される駆動機構(図示せず)によりそれぞれ独立して、溝付軸6の周面に沿って平面視で直線状に(図6に示す基準線Tに沿って)駆動されるようになっており、そのため、各支持アーム3に連結された3個の受取りヘッド2がそれぞれ独立して駆動されるようになっている。
【0041】
カム機構を構成するカム溝61は、溝付軸6の周方向に平行して延びる平行溝部分62と、該周方向に斜行して延びる斜行溝部分63とからなり、平行溝部分62と斜行溝部分63とが交互に連結して、全体として略正弦波状となっている。
支持アーム3の基端部には、溝付軸6の周面に沿うように延びる従動子31が、平面視で受取りヘッド2の長手方向と45度の傾きで設けられている。従動子31における支持アーム3が連結されていない側には、溝付軸6の中心に向かって延びるカムフロア32が設けられている。カムフロア32は、ローラからなり、カム溝61に遊嵌している。
【0042】
第2実施形態のピッチ変更装置1の構成及び動作について、第1の搬送装置K1及び第2の搬送装置K2の動作と併せて説明する。
先ず、図5に示すように、第1の搬送装置K1においてトリミングカッター81により、所定長さの生理用ナプキンQが形成される。生理用ナプキンQは、受渡しロール82を介して第2実施形態のピッチ変更装置1における受取りヘッド2の吸着面21に受け渡される。ここまでの動作は、図2に示す第1実施形態と同様である。
【0043】
図6に示すように、支持アーム3が連結棒33を介して駆動されると、支持アーム3及びそれに連結された受取りヘッド2は、前記基準線Tに沿って移動する。而して、カムフロア32は、カム溝61に遊嵌しているため、略正弦波状のカム溝61に沿って移動する。そのため、受取りヘッド2の向きが、カム溝61におけるカムフロア32の位置によって変わることになる。
【0044】
具体的には、図6に示すように、カムフロア32がカム溝61における領域T1の平行溝部分62に位置するときには、受取りヘッド2は、その長手方向が、溝付軸6の周方向(基準線Tの方向)に一致している。カムフロア32がカム溝61における領域T2の斜行溝部分63に位置するときには、従動子31が徐々に反転し、その結果、受取りヘッド2も徐々に反転する。
【0045】
更に支持アーム3が移動し、カムフロア32がカム溝61における領域T3の平行溝部分62に位置するときには、受取りヘッド2は、前記領域T1における向きから90度反転することになる。前記領域T3において、連結棒33は、溝付軸6の周方向に減速し、隣接する支持アーム3、即ち、隣接する受取りヘッド2の間隔が短くなる。この状態で受取りヘッド2から生理用ナプキンQが受取りロール86に受け渡される。
つまり、各受取りヘッド2は、搬送物である生理用ナプキンQを第1の搬送装置K1から受取ってから、第2の搬送装置K2に受け渡すまでに、それぞれ独立して、その向きが90度反転すると共に、隣接する受取りヘッド2とのピッチを変更できるようになっている。
【0046】
更に支持アーム3が移動し、カムフロア32がカム溝61における領域T4の斜行溝部分63を移動すると、溝付軸6の周面に対する従動子31の向きが元の向きに戻るように90度反転し、この反転に従って、支持アーム3に連結された受取りヘッド2の向きも、その長手方向が溝付軸6の周方向と平行する向きに90度反転する。即ち、受取りヘッド2の向きが元の向き(前記領域T1における向き)に戻り、隣接する受取りヘッドとのピッチも元に戻ることになる。
【0047】
この状態で、受取りヘッド2の吸着面21に受け渡しロール82から生理用ナプキンQが受け渡される。
つまり、各受取りヘッド2は、搬送物である生理用ナプキンQを第2の搬送装置K2に受渡してから、第1の搬送装置K1側に戻るまでに、それぞれ独立して、その向きが反対方向に90度反転して元の向きに戻ると共に、隣接する受取りヘッドとのピッチを変更できるようになっている。
【0048】
一方、向きが反転されると共に搬送ピッチが変更された搬送物Qは、図5に示すように、受取りロール86に受け渡される。受取りロール86に受け渡された搬送物Qは、その後、第1実施形態と同様に、シールロール84によりシール加工された後、転回ロール85により搬送物Qの搬送方向を水平方向に転回され、次工程へ搬送される。
【0049】
このように、第2実施形態のピッチ変更装置によれば、搬送物である生理用ナプキンQの搬送ピッチの変更ができるため、第1実施形態のピッチ変更装置と同様の効果が奏される。更に、反転装置83と同様に搬送物Qの向きを反転させることもできるため、第2の搬送装置K2において反転装置を省略することができる。
従って、図7に示すような長さの短い生理用ナプキンQを搬送物として搬送する場合でも、図8に示すような長さの長い生理用ナプキンQを搬送物として搬送する場合でも、反転装置を用いることなく、ピッチ変更装置において生理用ナプキンQをその長さに応じた搬送ピッチに変更すると共に向きを90度反転することができ、生理用ナプキンQを90度反転させた状態で第2の搬送装置K2に受け渡すことができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明のピッチ変更装置及び搬送システムは、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
受取りヘッドの駆動源は、受取りヘッドそれぞれを独立して駆動し、受取りヘッドの駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、搬送物の搬送ピッチを変更できるようになっているものであれば、サーボモーターに制限されず、例えば、ステッピングモーターでもよい。
第2の搬送装置に搬送物を一定の搬送ピッチで受け渡す形態に制限されず、第2の搬送装置に搬送物をランダムな搬送ピッチで受け渡す形態とすることもできる。
搬送される搬送物は、生理用ナプキンに制限されず、使い捨ておむつ等の吸収性物品でもよく、吸収性物品以外の物品でもよい。
受取りヘッドを90度回転させる機構は、カム機構に制限されず、例えば、回転式エアシリンダー機構でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明のピッチ変更装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す第1実施形態のピッチ変更装置を含む生理用ナプキンの製造装置を模式的示す正面図である。
【図3】図3は、図2に示す第1の搬送装置におけるセンサーを模式的に示す正面図である。
【図4】図4は、搬送物の搬送ピッチの変化を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、本発明のピッチ変更装置の第2実施形態を含む生理用ナプキンの製造装置を模式的示す正面図である(図2対応図)。
【図6】図6は、図5に示す第2実施形態のピッチ変更装置における溝付軸の周面を仮想的に展開した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、長さの短い生理用ナプキンを搬送ピッチを変更すると共に向きを反転させる動作を模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、長さの長い生理用ナプキンを搬送ピッチを変更すると共に向きを反転させる動作を模式的に示す平面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、従来の生理用ナプキンの製造装置を模式的示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ピッチ変更装置
2、2A、2B、2C 受取りヘッド
3、3A、3B、3C 支持アーム
21 吸着面
22 吸引口
23 背面
24A、24B、24C 吸引ダクト
41A、41B、41C 回転筒
42A、42B、42C 第1のプーリー42
43 中心軸
44 ダクト集中部
51A、51B、51 サーボモーター
52A、52B、52C 第2のプーリー52
53A、53B、53C 無端ベルト
6 溝付軸
61 カム溝
83 反転装置
83A 反転ヘッド
83B 反転アーム
83C 回転軸
K1 第1の搬送装置
K2 第2の搬送装置
Q 搬送物(生理用ナプキン)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の搬送装置から搬送されてくる搬送物を順次受け取り、受け取った該搬送物を第2の搬送装置に搬送ピッチを変更して順次受け渡すピッチ変更装置であって、
前記搬送物を前記第1の搬送装置から受け取り且つ受け取った該搬送物を前記第2の搬送装置に受け渡す受取りヘッドを複数個備えており、
複数個の前記受取りヘッドは、それぞれが独立して駆動されるようになっており、
前記受取りヘッドの駆動速度をそれぞれ独立して制御することにより、前記搬送物の搬送ピッチを変更できるようになっているピッチ変更装置。
【請求項2】
前記受取りヘッドの駆動源は、サーボモーターである請求項1記載のピッチ変更装置
【請求項3】
前記第1の搬送装置は、前記搬送物をその長手方向に沿って搬送するものであり、前記第2の搬送装置は、該搬送物を、その長手方向に沿って搬送した後、その幅方向が搬送方向を向くように90度反転させて、その幅方向に沿って搬送するものである請求項1又は2記載のピッチ変更装置。
【請求項4】
前記受取りヘッドは、前記搬送物を前記第1の搬送装置から受け取ってから前記第2の搬送装置に受け渡すまでに、該受取りヘッドを90度回転させることにより、該搬送物を、その向きを90度反転させて該第2の搬送装置に受け渡すようになっている請求項1又は2記載のピッチ変更装置。
【請求項5】
前記搬送物は、吸収性物品である請求項1〜4の何れかに記載のピッチ変更装置。
【請求項6】
前記第1の搬送装置、請求項1〜5の何れかに記載のピッチ変更装置及び前記第2の搬送装置を備えた搬送システムであって、
前記第1の搬送装置には、前記搬送物の搬送速度を検出する速度センサー、該搬送物の搬送位置を検出する位置センサー及び該搬送物の搬送ピッチを検出するピッチセンサーが設けられており、
前記ピッチ変更装置は、前記受取りヘッドの駆動速度が、前記速度センサー、前記位置センサー及び前記ピッチセンサーによりそれぞれ検出された速度情報、位置情報及びピッチ情報に基づき制御されるようになっており、
前記搬送物を、前記第1の搬送装置、前記ピッチ変更装置、前記第2の搬送装置の順で受け渡すようになっている搬送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−16139(P2006−16139A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195301(P2004−195301)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】