説明

ピボット丁番

【課題】 ドア枠へのドアの取付が容易であり、吊り元指挟みが防止され得、取付後にドア枠に対してドアを三軸方向に移動調整可能であるピボット丁番を提供する。
【解決手段】 ドア枠11に対してドア13を揺動可能に支持するピボット丁番12であって、ドア枠の一側の下端に取り付けられる下方の丁番部30を有し、下方の丁番部が、ドアの吊り元側の端面下部に形成された凹陥部13b内に取り付けられるベース31と、ベースに対応するドア枠の一側下端位置に固定された固定軸部32とを有し、固定軸部の垂直軸32bが上端に球体部32cを有し、ベースにおいて垂直軸を受容する軸ホルダー36が、球体部に対応する凹部36bを有し、垂直軸32bが、軸ホルダーによりドアの厚み内で回転可能に且つ三軸方向に揺動可能に支持されるように、ピボット丁番12を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部のドア枠に対して開閉可能にドアを枢支するピボット丁番に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば住宅の内装扉として、開口部を画成するドア枠の一側に丁番により揺動可能に支持された所謂開き戸タイプのドアが多く使用されている。
このような開き戸タイプのドアを枢支するための丁番としては、従来、平丁番,隠し丁番やアウトセットピボット丁番が主流であり、長い間に亘って使用され続けている。
また、例えばトイレブース等の公共用の開き戸では、インセットピボット丁番が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、平丁番は、揺動軸がドアの外側に位置する所謂アウトセットタイプであり、開放時に吊り元側が大きく開くことから、吊り元指挟みの問題がある。また、ドア枠へのドア取付の際には、ドアをドア枠に対して平行に大きく持ち上げる必要があるため、特に重いドアの場合には、取付作業が難しくなってしまう。
【0004】
また、隠し丁番は、意匠に優れると共に、壁からの外突寸法が小さく見栄えが良いが、吊り元指挟みのおそれがある。
さらに、アウトセットピボット丁番は、同様に意匠に優れているが、壁からの外突寸法が大きくなってしまうため、見栄えが損なわれ、また吊り元指挟みの問題がある。
【0005】
これに対して、インセットピボット丁番は、壁からの外突寸法が小さく、見栄えが良いと共に、吊り元指挟みの問題が低減されるので、上述した平丁番,隠し丁番やアウトセットピボット丁番と比較して、安全性に優れているが、一般的に軸がドア内に収容され、バネ部材等により外側に突出する構造であることから、少なくとも二人の人員を要するなど取付作業が困難であり、また剛性の点で問題があり、重量のあるドアを枢支することは困難であった。
【0006】
また、何れのタイプの丁番においても、ドア枠にドアを取り付けた後に、ドア枠に対してドアを三軸方向に位置調整することは困難である。従って、ドア枠に対するドアの取付精度を高めるためには、ドア枠及びドアの寸法精度を高めると共に、ドア枠及びドアに対する丁番の取付精度を高める必要があり、部品コスト,組立コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成により、ドア枠へのドアの取付が容易であるピボット丁番を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明の構成によれば、ドア枠に対してドアを揺動可能に支持するピボット丁番であって、ドア枠の一側の下端に取り付けられる下方の丁番部を有し、下方の丁番部が、ドアの吊り元側の端面下部に形成された凹陥部内に取り付けられるベースと、ベースに対応するドア枠の一側下端位置に固定された固定軸部とを有し、固定軸部の垂直軸が上端に球体部を有し、ベースにおいて垂直軸を受容する軸ホルダーが球体部に対応する凹部を有し、垂直軸が軸ホルダーによりドアの厚み内で回転可能に且つ三軸方向に揺動可能に支持されることを特徴とするピボット丁番により、達成される。
【0009】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、固定軸部の垂直軸が、基部と球体部を含む支持部とを有し、支持部が、基部に設けられた垂直方向に延びるねじ部に螺合することにより基部に対し上下調整可能である。
【0010】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、基部が、支持部を回転させるためのスパナを保持するスパナ保持構造を有する。
【0011】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、ドア枠の一側の上端に取り付けられる上方の丁番部を有し、上方の丁番部が、ドアの吊り元側の端面上部に形成された凹陥部内に取り付けられるベースと、ベースに対応するドア枠の一側上端位置に固定された固定軸部とを有し、上方の丁番部における固定軸部の垂直軸が、上方の丁番部におけるベースの軸ホルダーにより、ドアの厚み内で回転可能に且つ上下に移動可能に保持される。
【0012】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、それぞれ対応する固定軸部の垂直軸を保持する軸ホルダーを水平二軸方向に移動調整可能に支持している。
【0013】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第一の調整ねじを介して軸ホルダーを支持しており、この第一の調整ねじを回すことによりベースに対して軸ホルダーを左右方向に移動調整可能である。
【0014】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第二の調整ねじ及びこの第二の調整ねじに設けられたラック・ピニオン機構を介して軸ホルダーを支持しており、第二の調整ねじを回すことによりベースに対して軸ホルダーをドアの表面に対して垂直な前後方向に揺動調整可能である。
【0015】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、ラック・ピニオン機構は、ラックと反対側に設けられ、ピニオンに弾性的に当接することにより、ピニオンをラックに向かって押圧すると共に、ピニオンの回転を制動する弾性部材を備えている。
【0016】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、上方の丁番部のベースが、ドアの凹陥部内に固定されたカップ内に着脱可能に装着され、ロック機構により装着位置に固定保持され、ロック機構が、ベースの後端付近に垂直に配置されたロック部材と、ベースの下方で前後に延びるレバーと、から構成されており、ロック部材が、ベース内で上下方向に移動可能に支持されていて、上昇したとき、その上端がカップの後端上部に係合し、レバーが、前後方向中間で水平軸の周りに揺動可能にベースに対して支持されていて、その後端がロック部材の下端の下側に配置されると共に、その前端を下方に付勢する弾性部材を備えており、レバーが、その前端が弾性部材により下方に移動したとき、カップに係合する係合突起を前端付近に備えている。
【0017】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、係合突起の下端及びロック部材の上端が、後方側にテーパを備えている。
【0018】
本発明によるピボット丁番は、好ましくは、上方の丁番部及び下方の丁番部が、それぞれ固定軸部の垂直軸及び軸ホルダーを除いて同じ部品から構成されている。
【発明の効果】
【0019】
上記構成により、下方の丁番部に関して、ベースをドアの吊り元側の端面下部に形成された凹陥部内に取り付けると共に、固定軸部をドア枠の一側下端位置に取り付けておく。また、上方の丁番部に関して、ベースに固定軸部を組み込んだ状態で、その固定軸部をドア枠の一側上端位置に取り付けておく。
この状態から、ドア枠の上縁にドア上部が当たらないように、ドア枠に対してドアを傾斜させたまま、ドア下端に露出する軸ホルダーを、ドア枠側の固定軸部に整合させ、その上端の球体部に嵌合させる。
その後、下方の丁番部における球体部を中心としてドアをドア枠に対して揺動させながら、ドアの吊り元側の端面上部に形成された凹陥部内に、ドア枠の一側上端位置に取り付けられている上方の丁番部のベースを挿入して、ドアをドア枠に対して正立させる。これにより、上方の丁番部のベースが対応するドアの凹陥部内に取り付けられ、ドア枠に対するドアの取付作業が完了する。
【0020】
従って、ドアを傾斜させると共に、ドア枠の下端に固定された固定軸部の球体部の高さまでドアを持ち上げて、下方の丁番部の軸ホルダーを固定軸部の垂直部上端における球体部に嵌合させた後、ドアを揺動させながら上方の丁番部のベースをドアの一側上端位置の凹陥部内に取り付けるだけの簡単な作業で、下方の丁番部及び上方の丁番部によるドアの取付を行なうことができるので、重量のあるドアの場合であっても、一人の作業により容易に且つ簡単にドアの取付が可能である。
また、固定軸部の垂直軸が、ドアの厚み内に位置するので、所謂インセットピボット丁番として構成されることになり、吊り元側の間隙がドアの開閉過程で変化しないから、吊り元指挟みの発生が抑制され、安全性が向上する。
【0021】
固定軸部の垂直軸が、基部と球体部を含む支持部とを有し、支持部が、基部に設けられた垂直方向に延びるねじ部に螺合することにより基部に対し上下調整可能である場合には、下方の丁番部の固定軸部において、支持部を基部に対して回転させることにより、支持部が基部に対して上下方向に移動するので、取付後のドアをドア枠に対して垂直方向に位置調整することができる。
この場合、上方の丁番部においては、ドア側の軸ホルダーがドア枠側の垂直軸を上下移動可能に支持しているので、下方の丁番部における支持部と基部による垂直方向の位置調整を妨げるようなことはない。
【0022】
基部が、支持部を回転させるためのスパナを保持するスパナ保持構造を有する場合には、支持部がスパナ保持構造に保持されたスパナを使用することにより、別途工具を用意することなく、容易にドアの垂直方向の位置調整が可能であると共に、スパナ保持構造により保持されたスパナが、支持部と基部との間に位置することにより、垂直方向に位置調整された支持部の軸高さがドアによる荷重で変化することが阻止される。
【0023】
下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、それぞれ対応する固定軸部の垂直軸を保持する軸ホルダーを水平二軸方向に移動調整可能に支持し、下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第一の調整ねじを介して軸ホルダーを支持しており、この第一の調整ねじを回すことによりベースに対して軸ホルダーを左右方向に移動調整可能であり、さらに下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第二の調整ねじ及びこの第二の調整ねじに設けられたラック・ピニオン機構を介して軸ホルダーを支持しており、第二の調整ねじを回すことによりベースに対して軸ホルダーをドアの表面に対して垂直な前後方向に揺動調整可能である場合には、取付後のドアをドア枠に対して水平二軸方向に位置調整することができる。従って、前述した下方の丁番部における基部と支持部の螺合による垂直方向の位置調整と合わせて、ドアをドア枠に対して三軸方向に位置調整することができる。
【0024】
ラック・ピニオン機構が、ラックと反対側に設けられ、ピニオンに弾性的に当接することにより、ピニオンをラックに向かって押圧すると共に、ピニオンの回転を制動する弾性部材を備えている場合には、ピニオンがラックに対して確実に噛合することにより、ラック・ピニオン機構が確実に作動すると共に、作動後は、弾性部材によりピニオンの回転が制動されることによって、前後方向の位置調整がずれてしまうようなことがない。
【0025】
上方の丁番部のベースが、ドアの凹陥部内に固定されたカップ内に着脱可能に装着され、ロック機構により装着位置に固定保持され、ロック機構が、ベースの後端付近に垂直に配置されたロック部材と、ベースの下方で前後に延びるレバーと、から構成されており、ロック部材が、ベース内で上下方向に移動可能に支持されていて、上昇したとき、その上端がカップの後端上部に係合し、レバーが、前後方向中間で水平軸の周りに揺動可能にベースに対して支持されていて、その後端がロック部材の下端の下側に配置されると共に、その前端を下方に付勢する弾性部材を備えており、レバーが、その前端が弾性部材により下方に移動したとき、カップに係合する係合突起を前端付近に備えている場合には、弾性部材の張力に抗してレバーの上方に持ち上げられ、上方の丁番部のベースがドア凹陥部のカップ内に挿入されたとき、ロック部材が下方に退避してカップ内に円滑に収容され、ベースがカップ内に完全に収容された状態で、レバー前端が弾性部材の張力により下方に移動し、これによりロック部材が上方に持ち上げられ、ロック部材の上端がカップの後端上部に係合すると共に、レバー前端の係合突起がカップに係合する。
【0026】
従って、ベースは、カップに対して、後端上部でロック部材の上端が、また前端下部でレバーの係合突起がそれぞれ係合することにより、縦断面にて対角線上で係合することになる。これにより、ドアの重量による荷重がカップに作用したとき、ベースがカップから脱落するように作用するモーメントに対抗して、ベースとカップが確実に係合するので、ベースのカップからの脱落が確実に防止されることになる。
また、ドア取付状態で、誤ってレバー前端が上方に持ち上げられたとしても、ロック部材の上端には、ドアの重量による荷重が作用して、摩擦力により係合状態に保持されるので、カップ後端上部から脱落してしまうようなことはない。これに対して、ドアを取り外す場合には、ドアを支持して、ドアの重量による荷重がカップに作用しないようにすれば、ロック部材は自重により落下して、カップ後端上部から脱落するので、容易にドアの取り外しを行なうことが可能である。
【0027】
係合突起の下端及びロック部材の上端が、後方側にテーパを備えている場合には、ベースをカップ内に挿入する際に、このテーパに沿ってレバーの前端が上方に持ち上げられるので、特にレバーの前端を上方に手作業で持ち上げることなく、円滑にベースをカップ内に挿入し、取り付けることができる。
【0028】
上方の丁番部及び下方の丁番部が、それぞれ固定軸部の垂直軸及び軸ホルダーを除いて同じ部品から構成されている場合には、上方の丁番と下方の丁番を共通部品で構成することによって、量産効果により、個々の部品の製造コストが低減され、各丁番部の製造コストも低減され得る。
【0029】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、ドア枠へのドアの取付が容易であると共に、吊り元指挟みが防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるピボット丁番の一実施形態を組み込んだドア構造の構成を示す開放状態での概略正面図である。
【図2】図1のドア構造を示す一部破断概略平面図である。
【図3】図1のドア構造における上方の丁番部の構成を拡大して示す分解斜視図である。
【図4】図3の上方の丁番部を示す(A)平面図,(B)側面図,(C)正面図,(D)底面図,(E)左右方向の断面図及び(F)前後方向の断面図である。
【図5】図3の上方の丁番部を拡大して示す前後方向の断面図である。
【図6】図5の上方の丁番部におけるラックピニオン構造をより詳細に示す前後方向の拡大断面図である。
【図7】図1のドア構造における下方の丁番部の構成を拡大して示す分解斜視図である。
【図8】図7の下方の丁番部を示す(A)正面図,(B)側面図,(C)平面図及び(D)左右方向の断面図である。
【図9】図1のドア構造における上方の丁番部のドア枠に対する固定軸部の取付位置を拡大して示す一部破断拡大平面図である。
【図10】図1のドア構造におけるドアのドア枠に対する取付工程の第一段階を示す部分拡大斜視図である。
【図11】図1のドア構造におけるドアのドア枠に対する取付工程の第二段階を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び図2は、本発明によるピボット丁番の一実施形態を組み込んだドア構造の要部の構成を示している。
図1及び図2に示すように、ドア構造10は、例えば住宅の室内における部屋の入り口等に設けられた開口部を画成するドア枠11と、ドア枠11に対してピボット丁番12により揺動可能に支持されたドア13と、から構成されている。
【0032】
ここで、ピボット丁番12は、図1に示すように、ドア枠11の一側の上端に取り付けられる上方の丁番部20と、ドア枠11の一側の下端に取り付けられる下方の丁番部30と、から構成されている。
これら上方及び下方の丁番部20,30は、図2に示すように、また後述するように、それぞれ揺動軸がドア13内に位置する、所謂インセットタイプのピボット丁番として構成されている。
【0033】
上方の丁番部20は、図3及び図4に示すように、ドア13の吊り元側の端面上部に形成された凹陥部13a内に取り付けられるベース21と、このベース21に対応するドア枠11の一側の上端位置に固定された固定軸部22と、から構成されている。
【0034】
ベース21は、例えばZDCから構成されており、ドア13の前後方向(X方向)両側の壁部により中空状に形成されていると共に、ドア13の対応する凹陥部13a内に取り付けられたカップ23内に、後述するように着脱可能に且つロック機構29によりロック可能に装着される。
また、ベース21の左右方向(Y方向)の一側(図3にて左側)は、カバー24により閉じられている。
このカバー24は、その表面が、ドア13の吊り元側の端面の形状に合わせて湾曲して形成されている。即ち、ドア13は、その吊り元側の端面が、図2に示すように、水平断面にて半円形の外形を有しており、カバー24は、この半円形の外形と整合するように形成されている。
【0035】
ベース21は、その中空部の下側に、Y方向に移動可能な調整部材25を備えている。この調整部材25は、Y方向に沿って配置された左右調整ネジ25aを有しており、左右調整ネジ25aは、調整部材25に対して回転可能に且つY方向に移動しないように支持されている。ここで、調整部材25は、図3において左側部分が左右調整ネジ25aを受容するように下方まで延びて形成されている。
左右調整ネジ25aは、ネジ頭部が調整部材25のドア13の吊り元側の端面からカバー24の窓部24aを介して露出するように、調整部材25の下方に延びた部分に設けられたY方向に延びる貫通穴25bに挿通され、Eリング25cにより、回転可能に且つ軸方向に移動しないように保持されている。
さらに、左右調整ネジ25aは、その先端側のネジ部25dが、ベース21に設けられたY方向に延びるネジ穴21aに螺合している。これにより、左右調整ネジ25aを回転させることにより、調整部材25がベース21に対してY方向に移動調整される。
【0036】
他方、ベース21は、その中空部の上側に、軸ホルダー26を備えている。この軸ホルダー26は、例えばZDCから構成されており、他側付近において、軸ホルダー26及びベース21を垂直に貫通するキングピン26aの周りに揺動可能に支持されている。
軸ホルダー26は、後述する固定軸部22の垂直軸22bを受容する軸受部26bを上面に備えていると共に、一側端縁の下端にX方向に延びるラック26cを有している。
軸受部26bは、固定軸部22の垂直軸22bを受容し、回転可能に且つ上下移動可能に支持する。
【0037】
軸ホルダー26を前後方向に移動調整するための前後調整ネジ27は、調整部材25に設けられたY方向に延びる穴25eに対して、そのネジ頭部が調整部材25のドア13の吊り元側の端面からカバー24の窓部24bを介して露出するように挿通され、Eリング27aにより、調整部材25に対して回転可能に且つ軸方向に移動しないにように保持されている。
【0038】
前後調整ネジ27は、図5に詳細に示すように、その頭部に隣接してピニオン27bを備えており、このピニオン27bは、上述した軸ホルダー26のラック26cに噛合して、ラック・ピニオン機構を構成している。
これにより、前後調整ネジ27を回転させることで、軸ホルダー26の軸受部26bを備えた前端がほぼX方向に移動するように、キングピン26aの周りに揺動する。
【0039】
ここで、調整部材25のドア吊り元側の端面には、露出した左右調整ネジ25aのピニオン27bに隣接して、軸ホルダー26のラック26cとは反対側に、即ち下側に、規制部材28が設けられている。
この規制部材28は、弾性材料から構成されており、図6に示すように、ピニオン27bに対向する側で、ピニオン27bの外形に対応してほぼ円弧状に形成されていると共に、ピニオン27bの各歯27cに対応する小さな凹部28aを備えている。図示の場合、この小さな凹部28aは、八枚の歯27cを有するピニオン27bに対して、その半分のピッチで形成されている。
【0040】
これにより、規制部材28は、ピニオン27bの下側に係合して、ピニオン27bに対して弾性的に当接することにより、ピニオン27bを上方に向かって、即ちラック26cに対して押圧する。従って、前後調整時には、規制部材28が弾性変形することでピニオン27bの動作を許容し、ラック・ピニオン機構が動作して、前後調整ネジ27によるY方向調整が行なわれる。
また、非調整時には、規制部材28がピニオン27bに弾性的に係合することにより、ピニオン27bの回転が制動され、不用意に前後調整が行なわれない。その際、ピニオン27bは、その歯の半分のピッチに対応する位置で規制部材28により係止されるので、凹部28aのピッチがピニオン27bのピッチと同じ場合に比べて細かい調整が可能である。
【0041】
固定軸部22は、ベース部22aと、垂直軸22bと、から構成されている。
ベース部22aは、例えばSUS303から成り、ドア枠11の上縁に取付ネジ(図示せず)により取り付けられる。
【0042】
また、垂直軸22bは、例えばSUS303から成り、ベース部22aの中心付近から下方に突出するように設けられ、ほぼ円柱状に形成されている。
ここで、垂直軸22bは、組立時には、軸ホルダー26の軸受部26a内に嵌入し、回転可能且つ上下方向移動可能に支持される。
【0043】
ロック機構29は、図3に示すように、ロック部材29aと、レバー29bと、から構成されている。
ロック部材29aは、例えばSECCから構成されており、ベース21内の後端(図3にて右端)付近で上下方向に延び、且つ上下方向に移動可能に支持されている。
さらに、ロック部材29aは、その上端29cが後方側にテーパを備えている。
そして、ロック部材29aは、上方に移動したとき、その上端29cが、対応するドア13側に取り付けられたカップ23の後端上部に設けられた係合部23aに係合すると共に、下方に移動したとき、その上端29cが下方に退避して、カップ23の係合部23aから解放される。
【0044】
レバー29bは、ベース21の下方にて左右方向(Y方向)に延びるように配置され、その左右方向中間位置で水平軸29dの周りに揺動可能に支持されていると共に、その水平軸29dより吊り元側(以下、レバー29bに関して前側という)で、付勢バネ29eにより下方に向かって付勢されている。
レバー29bの後端29fは、ロック部材29aの下端の下側まで延びており、その揺動によってロック部材29aを上方に押し上げる。
【0045】
レバー29bの前端29gは、ベース21の前側に取り付けられたカバー24の窓24cから露出していると共に、前端付近の下面から下方に突出する係合突起29hを有している。この係合突起29hは、後方側にテーパを備えている。
これに対して、カップ23は、この前端下部に係合穴23bを備えており、ベース21がカップ23内に挿入されたとき、レバー29bの係合突起29hがカップ23の係合穴23b内に嵌入し、係合する。
【0046】
レバー29bは、さらに水平軸29dより前側から上方に突出するガイド部29iを有している。このガイド部29iは、その水平軸29d側の内面が水平軸29dの軸心を中心とする円筒面として形成されている。
これに対応して、ベース21は、同様に水平軸29dを軸心とする外側円筒面として形成されたガイド面21gを有している。
これにより、レバー29bは、そのガイド部29iの内面が、ベース21のガイド面21gに沿って褶動することにより、ドア取付時におけるドア13の荷重が、レバー29bからガイド部29iからガイド面21gに逃がされ、過大な荷重がレバー29bに印加されないようになっている。
【0047】
下方の丁番部30は、図7及び図8に示すように、ドア13の吊り元側の端面下部に形成された凹陥部13b内に取り付けられるベース31と、このベース31に対応するドア枠11の一側の下端位置に固定された固定軸部32と、から構成されている。
これらのベース31及び固定軸部32は、図3及び図4に示した上方の丁番部20とは上下反転しているものの、ほぼ同じ構成である。
即ち、下方の丁番部30において、ベース31,固定軸部32,カップ33,カバー34,調整部材35,軸ホルダー36,前後調整ネジ37,規制部材38及びロック機構39は、以下の点を除いて、上方の丁番部20におけるベース21,固定軸部22,カップ23,カバー24,調整部材25,軸ホルダー26,前後調整ネジ27,規制部材28及びロック機構29と同じ構成である。
【0048】
ここで、下方の丁番部30においては、固定軸部32の垂直軸32bが、その上端に球体部32cを有している。これに対して、軸ホルダー36は、球体部32cを三軸方向に回動可能に受容し得る凹部としての軸受穴36bを備えている。
これにより、垂直軸32bは、ベース31内の軸ホルダー36の軸受部36bに係合することにより、自在継手のように、任意の方向に揺動可能に支持されることになる。
【0049】
また、固定軸部32の垂直軸32bは、下端付近の外形が例えば六角形状のナット部32dとして形成されていると共に、内側面に、ベース部32aに設けられた垂直方向に延びる雄ねじ部32eに螺合する雌ねじ部32fを備えている。
これにより、垂直軸32bは、ナット部32dを回転させることで、上下方向に移動調整可能である。
【0050】
さらに、固定軸部32は、ナット部32dに係合して垂直軸32bを回転調整するための薄型のスパナ32gと、このスパナ32gをナット部32dに係合した状態で保持する保持構造32hを有している。図示の場合、保持構造32hは、スパナ32gを図示しない固定ネジで固定軸部32に螺着するように構成されている。
これにより、下方の丁番部30における固定軸部32の垂直軸32bは、スパナ32gを利用して回転調整可能である。また、保持構造32hによりスパナ32gを保持することで、ドア13の荷重及び開閉動作により垂直軸32bが下方移動してしまうことを防ぐことができる。
【0051】
本発明によるピボット丁番12は、以上のように構成されており、ピボット丁番12を使用してドア13をドア枠11に取り付ける場合、以下のように作業が行なわれる。
【0052】
まず、上方の丁番部20については、すべて組み立てた状態で、即ち図4(E)に示された部品が組み合わされた状態で、ドア枠11の一側上端に取り付けておく。
その際、固定軸部22のベース部22aは、図9に示すように、ドア枠11の一側の上端において、二つの端縁がそれぞれドア枠11の戸当たり11a及び枠側縁11bに当接した状態で、ドア枠11の上縁に取り付けられる。
【0053】
他方、下方の丁番部30については、ベース31と固定軸部32を分離しておく、即ち固定軸部32の垂直軸32bを軸ホルダー36の軸受部36aから外しておく。
そして、固定軸部32のベース部32aが、上方の丁番部20における固定軸部22と同様に、ドア枠11の一側の下端において、二つの端縁がそれぞれドア枠11の戸当たり11aと枠側縁11bに当接した状態で、ドア枠11の下縁に取り付けられる。
また、ベース31は、ドア13側の対応するカップ33内に水平方向に挿入されている。挿入の際には、ロック機構39のレバー39bから上方に突出する係合突起39h及びロック部材39aの下端39cは、それぞれその後方側のテーパにより、円滑にカップ33内に挿入される。
【0054】
そして、ベース31がカップ33内に完全に挿入されたとき、レバー39bの係合突起39hがカップ33の係合穴33b内に嵌入し、付勢バネ39eの張力によって、図5(D)に示す係合位置に保持されると共に、ロック部材39aを下降させ、その下端39cを対応するカップ33の係合部33aに係合する。
これにより、ベース31は、カップ33に対して、後端下部と前端上部の対角線上の二箇所で、固定保持される。従って、ドア13の取付時において、ドア13の重量によりベース31に印可されるモーメントに十分に対応して、ドア13を確実に支持することが可能である。
【0055】
このような状態から、図10に示すように、ドア13を持ち上げて、ドア13の一側下端に取り付けられたベース31における軸ホルダー36の軸受穴36bを、ドア枠11の一側下部に取り付けられた固定軸部32の垂直軸32bの球体部32cに整合させた後、ドア13を下降させる。その際、ドア13を僅かに傾斜させておくと、ドア13の上部がドア枠11と干渉することがなく、容易にドア13を持ち上げることができる。
これにより、ドア13がドア枠11に対して、下方の丁番部30によって連結されることになる。
【0056】
続いて、図11に示すように、ドア13の傾斜を戻しながら、ドア13の一側上端に取り付けられたカップ23を、ドア枠11の一側上部に対して取り付けられたベース21に整合させ、ベース21をカップ23内に相対的に挿入する。
このとき、下方の丁番部30では、固定軸部32の垂直軸32bにおける球体部32cが軸ホルダー36の軸受穴36bに対して揺動可能に支持されているので、ドア13は円滑に傾斜が戻され、ベース21がカップ23内に挿入され得る。
【0057】
そして、ベース21がカップ23内に押し込まれると、下方の丁番部30におけるベース31のカップ33内への挿入時と同様にして、係合突起29h及びロック部材39aの上端29cの後方側のテーパによって、ロック機構29のレバー29bが上方に退避し、且つロック部材29bが下方に退避する。これにより、ベース21は円滑にカップ23内に挿入される。
ベース21がカップ23内に完全に挿入されたとき、レバー29bの係合突起29hがカップ23の係合穴23b内に嵌入し、付勢バネ29eの張力によって、係合位置に保持されると共に、ロック部材29aが上昇し、その上端29cが対応するカップ23の係合部23aに係合する。
【0058】
これにより、ベース21は、カップ23に対して、後端上部と前端下部の対角線上の二箇所で、固定保持される。従って、ドア13の取付時において、ドア13の重量によりベース21に印可されるモーメントに十分に対抗して、ドア13を確実に支持することが可能である。
この場合、ドア13の下端を下方の丁番部30における固定軸部32の垂直軸32bの高さ程度まで持ち上げればよく、また上方の丁番部20において、ベース21をカップ23内に押し込むだけの簡単な作業によって、ドア取付作業を容易に行なうことができる。
【0059】
このようにドア枠11に取り付けられたドア13は、以下のようにして三軸方向に調整される。
即ち、まず上下方向(Z方向)の位置調整に関しては、下方の丁番部30において、固定軸部32の垂直軸32を、スパナ32gを使用してナット部32dを回転させることにより、上下方向に移動させて、ドア11を適宜の高さ位置に位置調整する。
調整後は、スパナ32gをナット部32dに係合した状態で、保持構造32hにより、固定軸部32に螺着する。これにより、上下調整に必要な工具としてのスパナ32gをスポット丁番10に一体的に配置しておくことができると共に、このようにして固定軸部32に螺着されたスパナ32gは、ナット部32dの不用意な回動を阻止するので、例えばドア13の荷重により垂直軸32bが不用意に回転し、高さ調整がずれてしまうことが効果的に防止され得る。
【0060】
これに対して、前後方向(X方向)の位置調整に関しては、上方の丁番部20及び下方の丁番部30において、それぞれ前後調整ネジ27,37を回転させることにより、対応する軸ホルダー26,36がそれぞれキングピン26a,36pの周りに回動して、軸ホルダー26,36の軸受部26b,36bがそれぞれほぼX方向に移動する。
【0061】
また、左右方向(Y方向)の位置調整に関しては、上方の丁番部20及び下方の丁番部30において、それぞれ左右調整ネジ25a,35aを回転させることにより、対応する軸ホルダー26,36がそれぞれ前後方向に移動調整される。
【0062】
ここで、X方向の位置調整は、実際には軸ホルダー26,36の揺動により行なわれるので、厳密にはY方向にも変動することになる。従って、X方向及びY方向に関して正確な位置調整を行なうためには、X方向の位置調整を行なった後、Y方向の位置調整を行なうことが望ましい。
【0063】
このようにしてドア枠11にドア13が取り付けられた状態において、何らかの原因で、ドア13の吊り元側端面で上方の丁番部20のカバー24の窓部24a内に在るレバー29bの先端29gが上方に移動されると、レバー29bが回転軸29dの周りに回動して、その後端が下方に移動する。
このとき、ロック部材29aの上端29cには、ドア13の荷重によって、横方向に力が作用しているので、摩擦力によりロック部材29aが係合位置に保持される。従って、ロック部材29aが自重により下方に落下して、カップ23の係合部23aから外れてしまうようなことはない。
【0064】
ドア13をドア枠11から取り外す場合には、上述したドア13の取付の場合と逆の手順で作業が行なわれる。
即ち、まずドア13を下方から支持して、上方の丁番部20にドア13の荷重による力が加えられないようにしておく。
この状態から、レバー29bの先端29gを上方に移動すると、レバー29bが回転軸29dの周りに回動して、その後端が下方に移動する。このとき、ロック部材29aの上端29cには、ドア13の荷重による横方向の力が作用していないので、ロック部材29aが自重により落下し、ロック機構29が解放される。この状態から、上方の丁番部20におけるベース21がカップ23から取り出される。
その後、ドア13が傾斜され、下方の丁番部30における固定軸部32の垂直軸32bから軸ホルダー36の軸受部36bが取り外され、ドア13がドア枠11から取り外される。
【0065】
このようにして、本発明によるピボット丁番12によれば、ドア枠11へのドア1
3の取付の際に、ドア13を傾斜させた状態で、下方の丁番部30の固定軸部32における垂直軸32bの高さより僅かに高くドア13を持ち上げるだけで、下方の丁番部30における取付を行なうことができると共に、ドアの傾斜を戻しながら、上方の丁番部20におけるベース21をカップ23内に挿入するだけの所謂ワンタッチの簡単な作業で、上方の丁番部20における取付を行なうことができる。
さらに、取付後のドア13を三軸方向に位置調整することができるので、ドア枠11,ドア13そしてピボット丁番12の寸法精度があまり高くなくても、ドア枠11に対してドア13を適正に取り付けることが可能である。
また、ドア13の吊り元側の端面が断面半円形に形成されており、これに対応して、上下の丁番部20,30の吊り元側が整合するように形成されているので、ドア13の開閉の際に、使用者等が誤ってドア13の吊り元側の端面とドア枠13の間に指を挟み込んでしまうようなことがなく、また、ドア13の取り付けを一人で行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、下方の丁番部30において、垂直軸32bの上端が球体部32dを有しているが、これに限らず、ドア11に垂直な軸に対して円弧状に形成されていれば、他の形状であってもよい。
【0067】
上述した実施形態においては、下方の丁番部30において、スパナ32gがスパナ保持構造32hによって固定軸部32のベース部32aに螺着されているが、これに限らず、スパナ32gは別の場所で保管するようにしてもよい。この場合、複数個の丁番部30が存在する場合でも、ただ一つのスパナ32gを用意しておけばよい。
【0068】
上述した実施形態においては、ラック・ピニオン機構において、ピニオン27b,37bは八枚の歯27c,37cを有しているが、これに限らず、ピニオン27b,37bは、七枚以下または九枚以上の歯27c,37cを有していてもよい。この場合、軸ホルダー26,36の前後方向の位置調整は、ピニオン27b,37bの端数に応じて精度が変化し、枚数が多ければ精度が高くなる。
【0069】
以上述べたように、本発明によれば、簡単な構成により、ドア枠へのドアの取付が容易であると共に、吊り元指挟みが防止され得、さらに取付後にドア枠に対してドアを三軸方向に移動調整可能である、極めて優れたピボット丁番が提供される。
【符号の説明】
【0070】
10 ドア構造
11 ドア枠
12 ピボット丁番
13 ドア
20 上方の丁番
21,31 ベース
22,32 固定軸部
22b,32b 垂直軸
23,33 カップ
24,34 カバー
25,35 調整部材
25a,35a 左右調整ネジ
26,36 軸ホルダー
26a,36a キングピン
26b,36b 軸受部
26c,36c ラック
27,37 前後調整ネジ
27b,37b ピニオン
28,38 規制部材
29,39 ロック機構
29a,39a ロック部材
29b,39b レバー
29h,39h 係合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠に対してドアを揺動可能に支持するピボット丁番であって、
前記ドア枠の一側の下端に取り付けられる下方の丁番部を有し、
前記下方の丁番部が、前記ドアの吊り元側の端面下部に形成された凹陥部内に取り付けられるベースと、該ベースに対応する前記ドア枠の一側下端位置に固定された固定軸部とを有し、
前記固定軸部の垂直軸が上端に球体部を有し、
前記ベースにおいて前記垂直軸を受容する軸ホルダーが、前記球体部に対応する凹部を有し、
前記垂直軸が、前記軸ホルダーにより、前記ドアの厚み内で回転可能に且つ三軸方向に揺動可能に支持されることを特徴とする、ピボット丁番。
【請求項2】
前記固定軸部の垂直軸は、基部と、前記球体部を含む支持部と、を有し、
前記支持部は、前記基部に設けられた垂直方向に延びるねじ部に螺合することにより該基部に対し上下調整可能である、
請求項1に記載のピボット丁番。
【請求項3】
前記基部は、前記支持部を回転させるためのスパナを保持するスパナ保持構造を有する、請求項2に記載のピボット丁番。
【請求項4】
前記ドア枠の一側の上端に取り付けられる上方の丁番部を有し、
前記上方の丁番部が、前記ドアの吊り元側の端面上部に形成された凹陥部内に取り付けられるベースと、該ベースに対応する前記ドア枠の一側上端位置に固定された固定軸部とを有し、
前記上方の丁番部における固定軸部の垂直軸が、前記上方の丁番部におけるベースの軸ホルダーにより、前記ドアの厚み内で回転可能に且つ上下に移動可能に保持される、
請求項1に記載のピボット丁番。
【請求項5】
前記下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、それぞれ対応する固定軸部の垂直軸を保持する軸ホルダーを水平二軸方向に移動調整可能に支持している、
請求項1に記載のピボット丁番。
【請求項6】
前記下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、前記ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第一の調整ねじを介して軸ホルダーを支持しており、
この第一の調整ねじを回すことにより前記ベースに対して前記軸ホルダーを左右方向に移動調整可能である、
請求項5に記載のピボット丁番。
【請求項7】

前記下方の丁番部及び上方の丁番部におけるベースが、前記ドアの表面に対して平行な左右方向に延びる第二の調整ねじ及びこの第二の調整ねじに設けられたラック・ピニオン機構を介して軸ホルダーを支持しており、
この第二の調整ねじを回すことにより前記ベースに対して前記軸ホルダーを前記ドアの表面に対して垂直な前後方向に揺動調整可能である、
請求項5に記載のピボット丁番。
【請求項8】
前記ラック・ピニオン機構は、ラックと反対側に設けられ、ピニオンに弾性的に当接することにより、ピニオンをラックに向かって押圧すると共に、ピニオンの回転を制動する弾性部材を備えている、
請求項7に記載のピボット丁番。
【請求項9】
前記上方の丁番部のベースが、前記ドアの凹陥部内に固定されたカップ内に着脱可能に装着され、ロック機構により装着位置に固定保持され、
前記ロック機構が、ベースの後端付近に垂直に配置されたロック部材と、ベースの下方で前後に延びるレバーと、から構成されており、
前記ロック部材が、前記ベース内で上下方向に移動可能に支持されていて、上昇したとき、その上端が前記カップの後端上部に係合し、
前記レバーが、前後方向中間で水平軸の周りに揺動可能に前記ベースに対して支持されていて、その後端が前記ロック部材の下端の下側に配置されると共に、その前端を下方に付勢する弾性部材を備えており、
前記レバーが、その前端が前記弾性部材により下方に移動したとき、前記カップに係合する係合突起を前端付近に備えている、
請求項1に記載のピボット丁番。
【請求項10】
前記係合突起の下端及び前記ロック部材の上端は、後方側にテーパを備えている、
請求項9に記載のピボット丁番。
【請求項11】
前記上方の丁番部及び下方の丁番部が、それぞれ固定軸部の垂直軸及び軸ホルダーを除いて同じ部品から構成されている、請求項4に記載のピボット丁番。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−72180(P2013−72180A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210019(P2011−210019)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000119449)磯川産業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】