説明

ピラジナミド耐性菌検出用プローブセット

【課題】ピラジナミド(PZA)耐性菌を効率よく検出しうるプローブセット、PZA耐性菌検出用キット及びPZA耐性菌検出方法を提供する。
【解決手段】PZA薬剤耐性は、菌が保有するピラジナミダーゼ(PZase)の変異により獲得される。PZaseをコードするpncA遺伝子のPZA薬剤耐性に関連するいずれかの変異をもれなく検出することができるプローブセットによる。検体中のpncA遺伝子を核酸増幅方法により増幅した後、これらのプローブセットを用いてPZA耐性菌を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラジナミド耐性菌の検出用プローブセット、ピラジナミド耐性菌検出用キット、及びピラジナミド耐性菌検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日本では年間数千人が、地球規模では年間数百万人が結核により死亡しているといわれている。結核の治療は、化学療法を中心とする内科的療法が基本であり、内科的療法では治療の目的を達成することが不可能な場合に外科療法を考慮する。
内科的療法で使用する結核治療の薬剤としては、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ストレプトマイシン(SM)、エタンブトール(EB)等、多くの種類の薬剤が知られているが、薬剤を患者に投与した場合、突然変異により投与した薬剤に対する耐性を有する耐性菌が生じることが問題となっている。1996年より使用が開始されたピラジナミド(以下単に「PZA」ともいう。)については多くの報告はないものの、その耐性菌の出現は危惧されている。
【0003】
結核患者が保有する結核菌の薬剤耐性について情報を得るため、結核菌の薬剤感受性試験が行われている。薬剤感受性試験は、所定の薬剤を含有させた薬剤感受性培地における菌体の増殖の有無により、該所定の薬剤に対する耐性の有無を検査する方法が一般的である。例えば薬剤感受性試験用培地として、バクテックMGITTM960(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)、結核感受性PZA液体培地(極東製薬株式会社製)等が挙げられる。しかし、結核菌は増殖が遅く、結核菌の増殖の有無を確かめて耐性の有無を判断するまでに数週間を要するという問題がある。
【0004】
薬剤耐性菌は、特定遺伝子が変異することで薬剤耐性の性質を有することが報告されている。特定遺伝子の変異を検出することによる薬剤耐性菌の検査法が開発されている。結核治療用薬剤に感受性である野生型結核菌及びいずれかの薬剤に耐性を有する変異型結核菌の、結核菌ゲノム上の結核治療用薬剤耐性関連遺伝子の塩基配列をもとに合成されたオリゴヌクレオチドを固定化した基板を含む結核菌診断キットに関し、開示がある(特許文献1)。現在開発されているDNAマイクロアレイキット「Oligo Array」(日清紡績株式会社製)は、INH、RFP、SM、カナマイシン(KM)、EBの5薬剤に対する耐性に関与する遺伝子変異を検出しうるキットである。
【0005】
ピラジナミド(PZA)に対する耐性菌は、ピラジナミダーゼ(pirazinamidase)をコードするpncA遺伝子の変異により耐性となることが報告されている(特許文献2、非特許文献1〜5)。しかしながら、PZA薬剤耐性に関連する遺伝子の変異はpncA 遺伝子の全領域にわたって数多く存在することが知られており、またそのうちのいずれか1つの変異によりPZA薬剤耐性を獲得するといわれている。つまり、PZA薬剤耐性を検出するためには、そのいずれか1つの変異を漏らすことなく検出できなければならないため、PZA耐性菌に関し適切な情報を得ることは困難であった。
【0006】
【特許文献1】特開2001-103981号公報
【特許文献2】特表2000-512493号公報
【非特許文献1】J. Korean Med Sci., 16, p.537-543 (2001)
【非特許文献2】Epidemiol. Infect., 128, p.337-342 (2002)
【非特許文献3】J. Clin. Microbiol., 40, 2,p.501-507 (2002)
【非特許文献4】Microbiol. Drug, 3, 7, p.223-228 (2001)
【非特許文献5】Nat. Med., 2, 6, p.662-667 (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ピラジナミド(以下、「PZA」という場合もある。)耐性菌を効率よく検出しうるプローブ、プローブセット、PZA耐性菌検出用キット及びPZA耐性菌検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、PZA薬剤耐性は、菌が保有するピラジナミダーゼ(pirazinamidase;以下、「PZase」という場合もある。)の変異により獲得されることに着目し、PZaseをコードするpncA遺伝子のPZA薬剤耐性に関連するいずれかの変異をもれなく検出することができれば、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異を検出しうる複数種のプローブからなるプローブセット。
2.配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異が、以下に示す1以上の位置の変異である前項1に記載のプローブセット:
第-11位、第3位、第8位、第11位、第14位、第19位、第20位、第23位、第24位、第26位、第28位、第29位、第35位、第40位、第41位、第42位、第68位、第69位、第74位、第75位、第77位、第78位、第83位、第100位、第102位、第104位、第134位、第137位、第139位、第143位、第146位、第151-230位、第152位、第153位、第157位、第158位、第161位、第162位、第169位、第170位、第172位、第181位、第182位、第185位、第187位、第190位、第199位、第202位、第203位、第212位、第216位、第226位、第227位、第231位、第233位、第254位、第261位、第286位、第287位、第288位、第290位、第295位、第296位、第307位、第308位、第309位、第307-311位、第341位、第351位、第356位、第362位、第363位、第369位、第381-382位、第383位、第382-390位、第386位、第386-389位、第392位、第393位、第403位、第406位、第410位、第412位、第415位、第416位、第421位、第422位、第436位、第442位、第449位、第452位、第464位、第466位、第467位、第476位、第481位、第486-496位、第494位、第515位、第525位、第533位、第538位。
3.配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異が、以下に示す1以上の変異、又はその相補的な関係にある変異である前項2に記載のプローブセット:
1)第-11位の塩基AからGへの変異
2)第3位の塩基GからTへの変異
3)第8位の塩基CからAへの変異
4)第11位の塩基TからGへの変異
5)第11位の塩基TからCへの変異
6)第14位の塩基TからAへの変異
7)第19位の塩基GからTへの変異
8)第20位の塩基TからAへの変異
9)第24位の塩基CからGへの変異
10)第23位の塩基AからGへの変異
11)第26位の塩基TからGへの変異
12)第26位の塩基TからCへの変異
13)第29位の塩基AからCへの変異
14)第28位の塩基CからTへの変異
15)第29位の塩基AからGへの変異
16)第35位の塩基AからCへの変異
17)第40位の塩基TからCへの変異
18)第41位の塩基GからAへの変異
19)第42位の塩基CからGへの変異
20)第68位の塩基GからT及び第69位の塩基TからCへの変異
21)第74位の塩基CからA及び第75位の塩基CからAへの変異
22)第77位の塩基Gの欠落
23)第78位の塩基Cの欠落
24)第78位の塩基CからGへの変異
25)第83位の塩基CからAへの変異
26)第100位の塩基TからGへの変異
27)第102位の塩基CからGへの変異
28)第104位の塩基TからCへの変異
29)第134位の塩基TからGへの変異
30)第137位の塩基CからAへの変異
31)第139位の塩基AからGへの変異
32)第143位の塩基Aの欠落
33)第146位の塩基AからCへの変異
34)第151-230位の間が80塩基が欠落
35)第153位の塩基CからGへの変異
36)第152位の塩基AからCへの変異
37)第157位の塩基GからAへの変異
38)第158位の塩基Aの欠落
39)第162位の塩基Gの欠落
40)第161位の塩基Cの欠落
41)第161位の塩基CからTへの変異
42)第170位の塩基AからCへの変異
43)第169位の塩基CからGへの変異
44)第172位の塩基TからCへの変異
45)第181位の塩基AからCへの変異
46)第182位の塩基C及び第183位の塩基Aの欠落
47)第184/185位の間に塩基Tの挿入
48)第187位の塩基GからCへの変異
49)第190位の塩基TからGへの変異
50)第199位の塩基TからCへの変異
51)第202位の塩基TからCへの変異
52)第202位の塩基TからGへの変異
53)第203位の塩基GからAへの変異
54)第203位の塩基GからCへの変異
55)第212位の塩基AからCへの変異
56)第216位の塩基CからGへの変異
57)第226位の塩基AからCへの変異
58)第227位の塩基CからTへの変異
59)第230/231位の間に6110塩基の挿入
60)第233位の塩基GからAへの変異
61)第254位の塩基TからGへの変異
62)第254位の塩基TからCへの変異
63)第260/261位の間に塩基ACの挿入
64)第288位の塩基Gが欠落
65)第286位の塩基AからCへの変異
66)第286位の塩基AからGへの変異
67)第287/288位の間に塩基Tの挿入
68)第287位の塩基AからCへの変異
69)第290位の塩基GからAへの変異
70)第295位の塩基TからGへの変異
71)第296位の塩基AからCへの変異
72)第307位の塩基TからCへの変異
73)第308位の塩基AからCへの変異
74)第309位の塩基CからGへの変異
75)第307-311位の塩基TACAGの欠落
76)第341位の塩基Cが欠落
77)第350/351位の間に塩基Tの挿入
78)第356位の塩基GからAへの変異
79)第362位の塩基GからC及び第363位の塩基GからCへの変異
80)第368/369位の間に18塩基の挿入
81)第381-382位の塩基GGの欠落
82)第383位の塩基TからGへの変異
83)第382/383位の間に塩基AGの挿入
84)第382-390位の間の8塩基の欠落
85)第385/386位の間に塩基CGの挿入
86)第386-389位の塩基ATGTの欠落
87)第391/392位の間に塩基GGの挿入
88)第392/393位の間に塩基Gの挿入
89)第403位の塩基AからCへの変異
90)第406位の塩基GからAへの変異
91)第406位の塩基GからTへの変異
92)第406位の塩基Gの欠落
93)第410位の塩基AからCへの変異
94)第412位の塩基TからCへの変異
95)第412位の塩基Tの欠落
96)第412位の塩基TからAへの変異
97)第414/415位の間に塩基Gの挿入
98)第416位の塩基TからCへの変異
99)第415位の塩基GからTへの変異
100)第415位の塩基GからAへの変異
101)第422位の塩基AからCへの変異
102)第421位の塩基CからTへの変異
103)第436位の塩基GからAへの変異
104)第442位の塩基CからAへの変異
105)第449位の塩基Gの欠落
106)第452位の塩基Tの欠落
107)第464位の塩基TからGへの変異
108)第465/466位の間に塩基Tの挿入
109)第467位の塩基TからAへの変異
110)第476位の塩基TからGへの変異
111)第480/481位の間に塩基TGACの挿入
112)第486-496位の間の10塩基の欠落
113)第493/494位との間にCの挿入
114)第515位の塩基TからCへの変異
115)第525位の塩基GからCへの変異
116)第532/533位の間に塩基Cの挿入
117)第538位の塩基GからTへの変異。
4.以下に示すi)又はii)に記載のオリゴヌクレオチド鎖からなるプローブを含む前項2又は3に記載のプローブセット:
i)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列を含むオリゴヌクレオチド鎖;
ii)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド鎖。
5. 配列表の配列番号1に表されたpncA遺伝子の塩基配列又はその相補配列の少なくとも第-20位から第560位を検出しうる、少なくとも23種類以上のプローブを含むプローブセット。
6.以下に示すi)又はii)に記載のオリゴヌクレオチド鎖からなるプローブを含む前項5に記載のプローブセット:
i)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列を含むオリゴヌクレオチド鎖;
ii)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド鎖。
7. 前項2〜4及び6のいずれか1に記載のプローブセットに含まれる少なくとも1つのプローブを含むピラジナミド耐性結核菌の検出用試薬。
8. 前項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットに含まれるプローブを固定したピラジナミド耐性結核菌検出用試験片。
9. 前項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットを含むピラジナミド耐性結核菌の検出用キット。
10. 前項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットを用いて検査することを特徴とする結核菌の判別方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のPZA耐性菌検出用プローブセットを用いると、結核菌のpncA遺伝子におけるいずれかの位置の変異を検出することができる。これにより、pncA遺伝子の変異の位置のいずれか少なくとも1つが変異することにより生じるPZA薬剤耐性菌を検出することができる。その結果、結核患者が保有する菌を判別することができ、PZA耐性菌を保有する結核患者に対して、適切な治療方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(ピラジナミダーゼをコードするpncA遺伝子)
例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のPZA耐性は、PZaseをコードするpncA遺伝子の変異により生じうることは上述の如くである。野生型の結核菌が保有するpncA遺伝子の塩基配列は、配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補的な配列である。配列番号1に表された塩基配列の5'末端から数えて81〜83番目の塩基ATGはタンパク質合成の開始コドンに該当し、この81番目の塩基Aを第1位とする。すなわち、配列番号1に表された配列のうち、第1〜3位はタンパク質合成の開始コドンに該当し、第559〜561位は終止コドンに該当し、第-80〜-1位までの塩基はタンパク質合成の上流部分に該当する。
【0012】
(pncA遺伝子の変異の位置)
本発明におけるPZA耐性菌となりうるpncA遺伝子の変異の位置は、配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補的な配列の少なくとも第-20位から第560位までに存在しうるpncA遺伝子の変異が挙げられる。具体的には、配列表の配列番号1に表された塩基配列のうち、以下の表1−1〜1−3に示す変異及びこれに相補的な位置及び関係の変異が挙げられる。これらのうち、既に非特許文献に開示されているものは、各表の表欄に示すとおりである。以下の表1−1〜1−3に示す変異のうち、いずれか1つの変異があれば、PZA耐性結核菌となりうるので、もれなくPZA耐性菌を検出するためには、以下の表1−1〜1−3に示す変異又はこれに相補的な位置及び関係のいずれかの変異をもれなく検出することが重要である。
【0013】
【表1−1】

【0014】
【表1−2】

【0015】
【表1−3】

【0016】
(プローブセット)
本発明のプローブセットは、配列表の配列番号1に表された塩基配列又はこれに相補的な塩基配列の第-20位から第560位までの塩基、つまり合計580塩基を検出するように設計する。各プローブの長さは、検出する時の温度にもよるが、一般的には10〜30、好ましくは12〜26である。この際、上流又は下流から順にプローブを決定していき、隣接するプローブと約4-7塩基重なるように順に配置すれば、その配置する領域で変異が存在したとしても、どちらかのプローブで検知することができて好ましい。したがって、第-20位から第560位までの合計580塩基を検出するための本発明のプローブセットにおける全プローブ数は、例えば全てのプローブの長さを30に統一し、各プローブが隣接するプローブと4塩基重なるとを想定すれば、少なくとも22個以上であり、好ましくは30個以上、より好ましくは35個以上、さらに好ましくは40個以上である。
【0017】
また、本発明のプローブセットは、配列表の配列番号2〜48に表された塩基配列からなるオリゴヌクレオチド鎖又はこれらに相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド鎖のいずれかからなるプローブを含む。これらのプローブは、配列表の配列番号1に表された塩基配列又はこれに相補的な塩基配列の第-11位、第3位、第8位、第11位、第14位、第19位、第20位、第23位、第24位、第26位、第28位、第29位、第35位、第40位、第41位、第42位、第68位、第69位、第74位、第75位、第77位、第78位、第83位、第100位、第102位、第104位、第134位、第137位、第139位、第143位、第146位、第151-230位、第152位、第153位、第157位、第158位、第161位、第162位、第169位、第170位、第172位、第181位、第182位、第185位、第187位、第190位、第199位、第202位、第203位、第212位、第216位、第226位、第227位、第231位、第233位、第254位、第261位、第286位、第287位、第288位、第290位、第295位、第296位、第307位、第308位、第309位、第307-311位、第341位、第351位、第356位、第362位、第363位、第369位、第381-382位、第383位、第382-390位、第386位、第386-389位、第392位、第393位、第403位、第406位、第410位、第412位、第415位、第416位、第421位、第422位、第436位、第442位、第449位、第452位、第464位、第466位、第467位、第476位、第481位、第486-496位、第494位、第515位、第525位、第533位、第538位のいずれかの変異を検出することができる。
したがって、本発明の最も好ましいプローブセットは、図1に示すとおりである。
【0018】
また、上記に示した変異以外に新たな変異が存在又は発見されたとしても、図1に示すプローブセットであれば、ほとんどの場合においてその変異を検知することができる。
【0019】
(プローブセットを用いたキット)
本発明のキットとは、本発明のプローブセットに加えて、適当な試薬等を含み、ピラジナミド耐性菌を検出するために用いられるものを示す。
本発明のキットとして、PCR−配列特異的オリゴプローブ(SSOP : sequence-specific oligonucleotide probes)法を実施するためのキットが例示される。
PCR−SSOP法とは、変異部位を含む約10〜約30塩基の、一方の対立遺伝子配列に完全相補的なプローブを作製し、変異部位を含むDNAをPCR法により増幅した後、ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリッド形成の有無により遺伝子多型を判別する方法である。
【0020】
上記プローブは、担体表面上に物理的又は化学的に固定されることで検出用試験片を作成することができ、該試験片をキットに含めることもできる。プローブは種類ごとに一定間隔でスポッティングする。担体は、ビニル系ポリマー又はポリエステル、より詳しくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートもしくはニトロセルロースなどの有機材料、ガラスもしくはシリカなどの無機材料、金もしくは銀などの金属材料などが挙げられ、特に限定されるものではないが、成形加工性が容易である有機材料が好ましく、さらに好ましくは、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類である。これらの担体は、発色法での検知において、その発色を視認しやすくするために白色であることが好ましい。
【0021】
これらの担体表面にプローブを物理的に固定化する方法として、例えば、ポリリジンなどのポリカチオン性の高分子を担体表面に被覆することで、ポリアニオンであるプローブとの静電相互作用により、固定化の効率を上げることができる方法、また、プローブに無関係な塩基配列(ポリチミン鎖など)を付加し、DNAの分子量を増大させることにより固定化の効率をあげることもできる方法がある。さらに、担体表面がガラスなどの場合は、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤などで、担体表面が金などの場合は、2−アミノエタンチオールなどのアミノ基を有するチオールもしくはジスルフィド化合物などで担体表面を処理することにより、ポリアニオンであるDNAプローブとの静電相互作用を介して固定化の効率が良くなることが知られている。
【0022】
一方で、プローブに官能基を導入して化学的に固定化する方法としては、例えば、担体の材料がガラス、シリコンなどの無機材料の場合には、核酸検出用プローブの末端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能基を修飾し、その溶液に24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄する方法がある。又は、ガラス、シリコンなどの無機材料担体上に、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、担体の表面をアミノ化し、末端にカルボン酸を導入したプローブとアミノカップリング反応させることで、固定化する方法などがある。さらに、担体の材料が金、銀などの金属材料の場合、核酸検出用プローブの末端にチオール基、ジスルフィド基などの金属と結合可能な官能基を修飾し、その溶液に24〜48時間浸漬し、取り出した後、洗浄し、固定化することができる。
【0023】
さらに、合成されたプローブを固定するのでなく、リソグラフィー技術を利用して、所望の配列を有するプローブを担体表面上で直接合成する方法も知られており、本発明にはこの方法により作成された検出用試験片も含まれる。
【0024】
上記PCR−SSOP法で用いるプライマー対は、全ての変異部位を含むpncA遺伝子を増幅し得るように、全ての変異部位を含む配列部位よりも上流の配列と、多型部位よりも下流の配列と同一又は相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが使用される。本発明の好ましいプライマー対の例としては配列番号49及び50のオリゴヌクレオチド又はその相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
さらに、上記PCR−SSOP法において検知を容易にするために、放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質などを上記プライマー対に修飾しておくことが好ましい。
また、核酸の増幅は、PCR法以外にも、LAMP法、ICAN法などの公知の技術が挙げられ、本発明はこれらのいずれかの手法を用いてもよく、本発明にはこれらを準用したキットも含まれる。
【0025】
(キットを用いた検出方法)
1.検体
本発明の検体は、通常結核菌検査に必要な検体であれば良く、例えば喀痰、咽頭ぬぐい液、胃液、気管支肺胞洗浄液、気管内吸引物、喉からの拭取物及び/又は組織生検物等の体液、並びにこれらから培養して得られた結核菌そのものが挙げられる。
【0026】
2.検体の前処理方法(DNAの抽出)
上記検体からDNAを抽出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えばフェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法、バナジルリボヌクレオシド複合抽出法等が挙げられる。検体を前処理したものを本明細書において試料という。
【0027】
3.核酸の増幅
PCR法で核酸を増幅する場合、例えば、(1)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、該1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、(2)少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、(3)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(1)〜(3)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返すことで核酸を増幅することができる。
また、測定の感度を向上させるために上記PCR反応後にさらにNested−PCR法などで核酸を増幅してもよい。Nested−PCR法におけるプライマーは、上記PCR反応において用いたプライマーよりも内側の配列を選択することができる。
【0028】
4.耐性菌検出方法
結核菌の変異は、前記PCR−SSOP法を行った後、固定されたプローブの数と、PCR−SSOP法において検出されたスポットの数を比較することにより検出する。PCR−SSOP法におけるハイブリダイズの条件として、例えば配列番号2〜48に示したプローブセットの一部又は全てを使用する場合は、約60〜65℃の温度で行えば、非特異吸着反応が起きにくいため好ましい。また、スポットの数の比較は、PCR−SSOP法において検出されたスポットの数が、固定されたプローブの数と同数であれば、結核菌はPZA耐性を有さないものであり、検出スポット数が固定プローブ数以下であれば結核菌はPZA耐性を有すると判断する。
【0029】
PCR−SSOP法において検出されたスポットの数を容易にカウントするためには、放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質などの標識物質を修飾したプライマー対を用いて核酸を増幅することが好ましい。上記標識物質を用いた検出方法は、比較的安価で容易に実施できるニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファターゼ p−トルイジニル塩(BCIP)発色法が好ましい。具体的には、上記プライマーの3'又は5'末端にビオチンを修飾したプライマー対を用いて、核酸を増幅する。末端にビオチンを有する増幅された核酸は、DNAハイブリダイゼーション後、ストレプイトアビジンに接触させた後、NBT、BCIPと反応させることにより発色させることができる。
【0030】
(プローブ及びプライマーの調製方法)
プローブ及びプライマーの配列は、標準的なプログラム及びプライマー解析ソフトウェア、例えばPrimer Express(Perkin Elmer社製)を用いることにより得ることができ、自動化オリゴヌクレオチドシンセサイザー等の標準的な方法を用いて合成することができる。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明の理解を深めるために実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないことは明らかである。
【0032】
[実施例1] 検出用試験片の作製
1.プローブの選択
配列表の配列番号1に表された塩基配列に相補的な配列の、第-11位、第3位、第8位、第11位、第14位、第19位、第20位、第23位、第24位、第26位、第28位、第29位、第35位、第40位、第41位、第42位、第68位、第69位、第74位、第75位、第77位、第78位、第83位、第100位、第102位、第104位、第134位、第137位、第139位、第143位、第146位、第151-230位、第152位、第153位、第157位、第158位、第161位、第162位、第169位、第170位、第172位、第181位、第182位、第185位、第187位、第190位、第199位、第202位、第203位、第212位、第216位、第226位、第227位、第231位、第233位、第254位、第261位、第286位、第287位、第288位、第290位、第295位、第296位、第307位、第308位、第309位、第307-311位、第341位、第351位、第356位、第362位、第363位、第369位、第381-382位、第383位、第382-390位、第386位、第386-389位、第392位、第393位、第403位、第406位、第410位、第412位、第415位、第416位、第421位、第422位、第436位、第442位、第449位、第452位、第464位、第466位、第467位、第476位、第481位、第486-496位、第494位、第515位、第525位、第533位又は第538位のいずれかの塩基の変異を検出しうるプローブとして、以下に示すプローブ1〜47(それぞれ、配列番号2〜48に対応)を構築した。
【0033】
プローブ1 cgcatacgtc caccatacgt tcgg (配列番号2)
プローブ2 atgatcaacg cccgcatac (配列番号3)
プローブ3 cacgtcgacg atgatcaacg (配列番号4)
プローブ4 gtcgttctgc acgtcgac (配列番号5)
プローブ5 ccaccctcgc agaagtcgtt (配列番号6)
プローブ6 cgagccaccc tcgcagaag (配列番号7)
プローブ7 gttaccgcca gcgagccacc (配列番号8)
プローブ8 agcgcggcgc caccggttac cg (配列番号9)
プローブ9 gtagtcgctg atggcgcggg ccagcgcg (配列番号10)
プローブ10 gccaggtagt cgctgatggc gc (配列番号11)
プローブ11 tggtagtccg ccgcttcggc caggta (配列番号12)
プローブ12 ggttgccacg acgtgatggt ag (配列番号13)
プローブ13 gatgtggaag tccttggttg c (配列番号14)
プローブ14 cgggtcgatg tggaagtc (配列番号15)
プローブ15 tggtcacccg ggtcgatgt (配列番号16)
プローブ16 cggtgtgccg gagaagtggt ca (配列番号17)
プローブ17 ccacgacgag gaatagtccg gtgt (配列番号18)
プローブ18 tgcggtggcc acgacga (配列番号19)
プローブ19 cgctgacgca atgcggtg (配列番号20)
プローブ20 cgccgggagt accgctg (配列番号21)
プローブ21 aagtccgcgc cgggagta (配列番号22)
プローブ22 gtccagactg ggatggaagt cc (配列番号23)
プローブ23 cctcgattgc cgacgtgtcc ag (配列番号24)
プローブ24 ccttgtagaa caccgcctcg a (配列番号25)
プローブ25 tccggtgtag gcacccttgt ag (配列番号26)
プローブ26 aagccgctgt acgctccggt (配列番号27)
プローブ27 ctcgtcgact ccttcgaagc cg (配列番号28)
プローブ28 tggcgtgccg ttctcgtcga (配列番号29)
プローブ29 gcagccaatt cagcagtggc gt (配列番号30)
プローブ30 cgccgcgttg ccgcagccaa (配列番号31)
プローブ31 atcgacctca tcgacgccgc (配列番号32)
プローブ32 tggcaatacc gaccacatcg ac (配列番号33)
プローブ33 cacacaatga tcggtggcaa ta (配列番号34)
プローブ34 ggccgtctgg cgcacacaat (配列番号35)
プローブ35 cgtaccgcgt cctcggccgt (配列番号36)
プローブ36 aagccattgc gtaccgcgtc (配列番号37)
プローブ37 ccagcaccct ggtggccaag ccat (配列番号38)
プローブ38 gtcaggtcca ccagcaccct gg (配列番号39)
プローブ39 cacccgctgt caggtccacc ag (配列番号40)
プローブ40 tcggccgaca cacccgct (配列番号41)
プローブ41 ggtggtatcg gccgacac (配列番号42)
プローブ42 cggcgacggt ggtatcgg (配列番号43)
プローブ43 ccagcgcggc gacggt (配列番号44)
プローブ44 cgcatctcct ccagcgcggc (配列番号45)
プローブ45 cggtgcgcat ctcctccag (配列番号46)
プローブ46 actcgacgct ggcggtgc (配列番号47)
プローブ47 gagctgcaaa ccaactcgac (配列番号48)
【0034】
2.プローブの固定化
上記の配列番号2〜48に示されるオリゴヌクレオチドプローブ1〜47のそれぞれの5'末端にターミナルトランスフェラーゼ(Promega社製)を用いて、ポリチミンの付加を行った。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(30unit/μL)を0.4μL、チミジン三リン酸(10pmol/μL)を2μL、オリゴヌクレオチドプローブ(50mM)を2μL、製品添付の反応緩衝液を2μL、精製水3.6μLを添加して反応溶液を調製した後、37℃で4時間反応させ、10×SSC緩衝液90μLを加えることで、ポリチミンが付加されたオリゴヌクレオチドプローブ1pmol/μLを得た。
その後、ポリチミンが付加されたオリゴヌクレオチドプローブをポリエステル膜上に一定間隔でそれぞれ0.5μLずつ塗布し、312nmの紫外線を2分間照射して固定化することで、検出用試験片を作成した。
【0035】
[実施例2〜14] pncA遺伝子の変異の検出
1.pncA遺伝子の抽出
本実施例では、結核菌そのものを検体とし、pncA遺伝子の変異検出を行った。各実施例に用いた検体の結核菌を下記の表2に示した。各検体からフェノール抽出法によりゲノムDNAを抽出精製し、試料とした。
【表2】

【0036】
2.pncA遺伝子の増幅
配列表の配列番号49に表された塩基配列からなるフォワードプライマー、同様に配列番号50に表された塩基配列からなり、かつ5'末端にビオチンを結合させたリバースプライマー、及びTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)を用いたPCR法により、試料に含まれるpncA遺伝子の増幅を行った。プライマーの塩基配列は以下に示すとおりである。
フォワードプライマー ggcgtcatggaccctatatc (配列番号49)
リバースプライマー caacagttcatcccggttc (配列番号50)
PCRの反応条件は、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクルにより、増幅を行った。これにより増幅したDNAにはビオチンが結合している。
【0037】
3.プローブを用いた検出
増幅したDNA溶液10μLに、水酸化ナトリウム(5M)、エチレンジアミン四酢酸(0.05M)の溶液(10μL)を加えてよく攪拌し、5分間放置して、増幅したDNAを1本鎖に変性した。この試料溶液中に、ドデシル硫酸ナトリウム(0.01w/v%)、塩化ナトリウム(1.8w/v%)、クエン酸ナトリウム(1.0w/v%)の溶液(1mL)及び実施例1で作製した検出用試験片1枚を加え、反応温度62℃のもとで30分間振とうして反応させた。その後、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンを加え、さらにニトロブルーテトラゾリウム(NBT)及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファターゼ p−トルイジニル塩(BCIP)を加えて、検出用試験片上の各プローブとハイブリダイズしたビオチンを含む増幅DNAに結合したアルカリホスファターゼを発色させた。
【0038】
4.検出結果
図2(写真)に示した実施例2〜14における検出結果を表3にまとめた。本発明のプローブセットはpncA遺伝子の様々な変異を検出できることが明らかとなった。
【0039】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のPZA耐性菌検出用プローブセットを用いると、pncA遺伝子の変異の位置のいずれか少なくとも1つが変異することにより生じるPZA薬剤耐性菌を検出することができる。その結果、結核患者が保有する菌をモニタリングすることができ、PZA耐性菌を保有する結核患者に対して適切な治療方法を提供することができる。このことにより、不要な薬剤投与を防ぐことができ、患者の負担が軽減化され、さらに無駄な医療費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1−1】pncA遺伝子の配列と、本発明のプローブの位置の関係を示す図である。
【図1−2】pncA遺伝子の配列と、本発明のプローブの位置の関係を示す図である。
【図2−1】実施例1の検出用試験片を用いた実施例2〜14の検出結果を示す図である。
【図2−2】実施例1の検出用試験片を用いた実施例2〜14の検出結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異を検出しうる複数種のプローブからなるプローブセット。
【請求項2】
配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異が、以下に示す1以上の位置の変異である請求項1に記載のプローブセット:
第-11位、第3位、第8位、第11位、第14位、第19位、第20位、第23位、第24位、第26位、第28位、第29位、第35位、第40位、第41位、第42位、第68位、第69位、第74位、第75位、第77位、第78位、第83位、第100位、第102位、第104位、第134位、第137位、第139位、第143位、第146位、第151-230位、第152位、第153位、第157位、第158位、第161位、第162位、第169位、第170位、第172位、第181位、第182位、第185位、第187位、第190位、第199位、第202位、第203位、第212位、第216位、第226位、第227位、第231位、第233位、第254位、第261位、第286位、第287位、第288位、第290位、第295位、第296位、第307位、第308位、第309位、第307-311位、第341位、第351位、第356位、第362位、第363位、第369位、第381-382位、第383位、第382-390位、第386位、第386-389位、第392位、第393位、第403位、第406位、第410位、第412位、第415位、第416位、第421位、第422位、第436位、第442位、第449位、第452位、第464位、第466位、第467位、第476位、第481位、第486-496位、第494位、第515位、第525位、第533位、第538位。
【請求項3】
配列表の配列番号1に表された塩基配列又はその相補配列に存在しうるpncA遺伝子の変異が、以下に示す1以上の変異、又はその相補的な関係にある変異である請求項2に記載のプローブセット:
1)第-11位の塩基AからGへの変異
2)第3位の塩基GからTへの変異
3)第8位の塩基CからAへの変異
4)第11位の塩基TからGへの変異
5)第11位の塩基TからCへの変異
6)第14位の塩基TからAへの変異
7)第19位の塩基GからTへの変異
8)第20位の塩基TからAへの変異
9)第24位の塩基CからGへの変異
10)第23位の塩基AからGへの変異
11)第26位の塩基TからGへの変異
12)第26位の塩基TからCへの変異
13)第29位の塩基AからCへの変異
14)第28位の塩基CからTへの変異
15)第29位の塩基AからGへの変異
16)第35位の塩基AからCへの変異
17)第40位の塩基TからCへの変異
18)第41位の塩基GからAへの変異
19)第42位の塩基CからGへの変異
20)第68位の塩基GからT及び第69位の塩基TからCへの変異
21)第74位の塩基CからA及び第75位の塩基CからAへの変異
22)第77位の塩基Gの欠落
23)第78位の塩基Cの欠落
24)第78位の塩基CからGへの変異
25)第83位の塩基CからAへの変異
26)第100位の塩基TからGへの変異
27)第102位の塩基CからGへの変異
28)第104位の塩基TからCへの変異
29)第134位の塩基TからGへの変異
30)第137位の塩基CからAへの変異
31)第139位の塩基AからGへの変異
32)第143位の塩基Aの欠落
33)第146位の塩基AからCへの変異
34)第151-230位の間が80塩基が欠落
35)第153位の塩基CからGへの変異
36)第152位の塩基AからCへの変異
37)第157位の塩基GからAへの変異
38)第158位の塩基Aの欠落
39)第162位の塩基Gの欠落
40)第161位の塩基Cの欠落
41)第161位の塩基CからTへの変異
42)第170位の塩基AからCへの変異
43)第169位の塩基CからGへの変異
44)第172位の塩基TからCへの変異
45)第181位の塩基AからCへの変異
46)第182位の塩基C及び第183位の塩基Aの欠落
47)第184/185位の間に塩基Tの挿入
48)第187位の塩基GからCへの変異
49)第190位の塩基TからGへの変異
50)第199位の塩基TからCへの変異
51)第202位の塩基TからCへの変異
52)第202位の塩基TからGへの変異
53)第203位の塩基GからAへの変異
54)第203位の塩基GからCへの変異
55)第212位の塩基AからCへの変異
56)第216位の塩基CからGへの変異
57)第226位の塩基AからCへの変異
58)第227位の塩基CからTへの変異
59)第230/231位の間に6110塩基の挿入
60)第233位の塩基GからAへの変異
61)第254位の塩基TからGへの変異
62)第254位の塩基TからCへの変異
63)第260/261位の間に塩基ACの挿入
64)第288位の塩基Gが欠落
65)第286位の塩基AからCへの変異
66)第286位の塩基AからGへの変異
67)第287/288位の間に塩基Tの挿入
68)第287位の塩基AからCへの変異
69)第290位の塩基GからAへの変異
70)第295位の塩基TからGへの変異
71)第296位の塩基AからCへの変異
72)第307位の塩基TからCへの変異
73)第308位の塩基AからCへの変異
74)第309位の塩基CからGへの変異
75)第307-311位の塩基TACAGの欠落
76)第341位の塩基Cが欠落
77)第350/351位の間に塩基Tの挿入
78)第356位の塩基GからAへの変異
79)第362位の塩基GからC及び第363位の塩基GからCへの変異
80)第368/369位の間に18塩基の挿入
81)第381-382位の塩基GGの欠落
82)第383位の塩基TからGへの変異
83)第382/383位の間に塩基AGの挿入
84)第382-390位の間の8塩基の欠落
85)第385/386位の間に塩基CGの挿入
86)第386-389位の塩基ATGTの欠落
87)第391/392位の間に塩基GGの挿入
88)第392/393位の間に塩基Gの挿入
89)第403位の塩基AからCへの変異
90)第406位の塩基GからAへの変異
91)第406位の塩基GからTへの変異
92)第406位の塩基Gの欠落
93)第410位の塩基AからCへの変異
94)第412位の塩基TからCへの変異
95)第412位の塩基Tの欠落
96)第412位の塩基TからAへの変異
97)第414/415位の間に塩基Gの挿入
98)第416位の塩基TからCへの変異
99)第415位の塩基GからTへの変異
100)第415位の塩基GからAへの変異
101)第422位の塩基AからCへの変異
102)第421位の塩基CからTへの変異
103)第436位の塩基GからAへの変異
104)第442位の塩基CからAへの変異
105)第449位の塩基Gの欠落
106)第452位の塩基Tの欠落
107)第464位の塩基TからGへの変異
108)第465/466位の間に塩基Tの挿入
109)第467位の塩基TからAへの変異
110)第476位の塩基TからGへの変異
111)第480/481位の間に塩基TGACの挿入
112)第486-496位の間の10塩基の欠落
113)第493/494位との間にCの挿入
114)第515位の塩基TからCへの変異
115)第525位の塩基GからCへの変異
116)第532/533位の間に塩基Cの挿入
117)第538位の塩基GからTへの変異。
【請求項4】
以下に示すi)又はii)に記載のオリゴヌクレオチド鎖からなるプローブを含む請求項2又は3に記載のプローブセット:
i)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列を含むオリゴヌクレオチド鎖;
ii)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド鎖。
【請求項5】
配列表の配列番号1に表されたpncA遺伝子の塩基配列又はその相補配列の少なくとも第-20位から第560位を検出しうる、少なくとも23種類以上のプローブを含むプローブセット。
【請求項6】
以下に示すi)又はii)に記載のオリゴヌクレオチド鎖からなるプローブを含む請求項5に記載のプローブセット:
i)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列を含むオリゴヌクレオチド鎖;
ii)配列表の配列番号2〜48に表されたいずれかの塩基配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド鎖。
【請求項7】
請求項2〜4及び6のいずれか1に記載のプローブセットに含まれる少なくとも1つのプローブを含むピラジナミド耐性結核菌の検出用試薬。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットに含まれるプローブを固定したピラジナミド耐性結核菌検出用試験片。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットを含むピラジナミド耐性結核菌の検出用キット。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1に記載のプローブセットを用いて検査することを特徴とする結核菌の判別方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公開番号】特開2006−180746(P2006−180746A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376314(P2004−376314)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(501372514)国立国際医療センター総長 (11)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】