説明

ピリダジノン構造を含むカスパーゼ阻害剤

本発明は、カスパーゼ阻害剤として用いることができるピリダジノン誘導体、その製造方法、及びそれを含有するカスパーゼ阻害用医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスパーゼ−1[インターロイキン−1β−変換酵素、ICE]、カスパーゼ−3[アポパイン(apopain)/CPP−32]、カスパーゼ−8及びカスパーゼ−9を含む各種カスパーゼに対する阻害剤としてのピリダジノン誘導体または薬学的に許容されるその塩、及びそれを含むカスパーゼ阻害用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カスパーゼは、最近10余年の間に発見されたαβテトラマー形態の新しい種類のシステインプロテアーゼである。現在までに、約14種類のカスパーゼが知られている。それらの中の一つであるカスパーゼ−1(ICE)は、サイトカインの一種であり、生物学的に不活性なプロインターロイキン−1βを活性なインターロイキン−1βへ変換することに関与する。インターロイキン−1は、インターロイキン−1αとインターロイキン−1βとからなり、両方ともに単核細胞(monocytes)で31KDaの前駆物質の形態に合成される。その中で、プロインターロイキン−1βのみがICEによって活性化される。カスパーゼ−1によって加水分解される位置は、Asp27−Gly28とAsp116−Ala117である。後者の位置が加水分解されると、インターロイキン−1βが得られる。インターロイキン−1βは、炎症発生において重要なメディエーターとして作用すると報告されている(非特許文献1,非特許文献5〜9)。カスパーゼ−1は1989年に初めて発見され、その3次元構造が、2つの独立した研究グループによってX線結晶学的方法で明らかにされた。
【0003】
カスパーゼ−3(CPP−32)は、その役割または作用機序について広く研究されており、その3次元構造は1996年に明らかになった(非特許文献2〜4)。プロカスパーゼ−3から活性化されたカスパーゼ−3(アポパイン)は(P)Asp−X−X−Asp(P)モチーフの位置で加水分解され、公知の基質としては、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ、U1 70,000Mrの核内低分子リボヌクレオタンパク質及び460,000MrのDNA−依存性プロテインキナーゼの触媒的サブユニットなどが挙げられる。カスパーゼ−7のX線構造はカスパーゼ−3の構造とよく似ていると報告されている(非特許文献10)。
【0004】
カスパーゼ−8及び9はカスパーゼ−3、6、7の上流に存在し、このカスパーゼはいずれもアポトーシスカスケードに関与することが知られている。カスパーゼ−8のX線構造は1999年に明らかになっており(非特許文献11、12)、特に、その阻害剤はアポトーシスと関連した疾患を治療するのに有利に使用することができる。
【0005】
カスパーゼ阻害剤とは、カスパーゼの活性を阻害して、カスパーゼ活性によって誘発される炎症やアポトーシスなどの症状を制御する化合物を意味する。この阻害剤を投与して治療または緩和しうる疾患または症状としては、たとえば、認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿病、胃潰瘍、肝炎ウィルスによる脳損傷、肝炎による肝疾患、急性肝炎、劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶反応、関節リウマチ、虚血性心臓疾患、及び肝硬変が挙げられる(非特許文献13〜30)。
【0006】
現在までに知られているカスパーゼ阻害剤の中で、最も知られている不可逆的阻害剤は次の化合物である:
【0007】
【化001】

【0008】
上記の二つの阻害剤は、酵素を不可逆的に不活性化して細胞アポトーシスを抑制する共通の機序に基づいてそれらの活性を阻害する(不可逆、広域スペクトル阻害剤)。不可逆的な阻害剤は可逆的阻害剤よりもずっと効果的な阻害活性を持っていると報告されている(非特許文献31)。IDN−1965(IDUN社製)とMX−1013(Maxim社製)は、いずれも肝損傷関連細胞アポトーシスモデルで活性を示すことと報告されている(非特許文献32、33)。これらの化合物は現在、前臨床研究の段階にある。
【0009】
不可逆的阻害剤であるIDN−6556は、C型肝炎患者への肝臓保護薬として臨床試験のフェーズIIの段階にある(非特許文献34、28)。
【0010】
【化002】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Inflammation: Basic Principles and Clinical Correlates, 2nd ed., ed by Gallin, Goldstein and Snyderman. Raven Press Ltd., New York. 1992, pp211-232; Blood, 1996, 87(6), 2095-2147.
【非特許文献2】Wilson, K. P. et al., Nature, 1994, 370. 270.
【非特許文献3】Walker, N. P. C. et al., Cell, 1994, 78, 343.
【非特許文献4】Nature Structural Biology, 1996, 3(7), 619.
【非特許文献5】Thornberry, N. A. et al., Nature, 1992, 356, 768.
【非特許文献6】Nature Biotechnology, 1996, 14, 297.
【非特許文献7】Protein Science, 1995, 4, 3.
【非特許文献8】Nature, 1995, 376(July 6), 37.
【非特許文献9】Protein Science, 1995, 4, 2149.
【非特許文献10】Wei, Y. et al, Chemistry and Biology, 2000, 7, 423.
【非特許文献11】Blanchard H. et al, Structure, 1999, 7, 1125.
【非特許文献12】Blanchard H. et al, J. of Mol. Biol., 2000, 302, 9.
【非特許文献13】カスパーゼ関連疾患の文献; 認知症:Arch Neurol 2003 Mar;60(3):369-76, Caspase gene expression in the brain as a function of the clinical progression of Alzheimer disease. Pompl PN, Yemul S, Xiang Z, Ho L, Haroutunian V, Purohit D, Mohs R, Pasinetti GM.
【非特許文献14】カスパーゼ関連疾患の文献;脳卒中:Proc Natl Acad Sci USA 2002 Nov 12;99(23):15188-93, Caspase activation and neuroprotection in caspase-3-deficient mice after in vivo cerebral ischemia and in vitro oxygen glucose deprivation. Le DA, Wu Y, Huang Z, Matsushita K, Plesnila N, Augustinack JC, Hyman BT, Yuan J, Kuida K, Flavell RA, Moskowitz MA.
【非特許文献15】カスパーゼ関連疾患の文献;AIDSによる脳損傷:J Neurosci 2002 May 15;22(10):4015-24, Caspase cascades in human immunodeficiency virus-associated neurodegeneration. Garden GA, Budd SL, Tsai E, Hanson L, Kaul M, D'Emilia DM, Friedlander RM, Yuan J, Masliah E, Lipton SA.
【非特許文献16】カスパーゼ関連疾患の文献;糖尿病:Diabetes 2002 June;51(6):1938-48, Hyperglycemia-induced apoptosis in mouse myocardium: mitochondrial cytochrome C-mediated caspase-3 activation pathway. Cai L, Li W, Wang G, Guo L, Jiang Y, Kang YJ.
【非特許文献17】カスパーゼ関連疾患の文献; 胃潰瘍:J Physiol Pharmacol 1998 Dec;49(4):489-500, Role of basic fibroblast growth factor in the suppression of apoptotic caspase-3 during chronic gastric ulcer healing. Slomiany BL, Piotrowski J, Slomiany A.
【非特許文献18】カスパーゼ関連疾患の文献; 肝炎ウィルスによる脳損傷:J Viral Hepat 2003 Mar;10(2):81-6, Cerebral dysfunction in chronic hepatitis C infection. Forton DM, Taylor-Robinson SD, Thomas HC.
【非特許文献19】カスパーゼ関連疾患の文献; 劇症肝不全:Gastroenterology 2000 Aug;119(2):446-60, Tumor necrosis factor alpha in the pathogenesis of human and murine fulminant hepatic failure. Streetz K, Leifeld L, Grundmann D, Ramakers J, Eckert K, Spengler U, Brenner D, Manns M, Trautwein C.
【非特許文献20】カスパーゼ関連疾患の文献; 敗血症:Nat Immunol 2000 Dec;1(6):496-501, Caspase inhibitors improve survival in sepsis: a critical role of the lymphocyte. Hotchkiss RS, Chang KC, Swanson PE, Tinsley KW, Hui JJ, Klender P, Xanthoudakis S, Roy S, Black C, Grimm E, Aspiotis R, Han Y, Nicholson DW, Karl IE.
【非特許文献21】カスパーゼ関連疾患の文献; 臓器移植拒絶反応:Xenotransplantation 2001 May;8(2):115-24, In vitro prevention of cell-mediated xeno-graft rejection via the Fas/FasL-pathway in CrmA-transducted porcine kidney cells. Fujino M, Li XK, Suda T, Hashimoto M, Okabe K, Yaginuma H, Mikoshiba K, Guo L, Okuyama T, Enosawa S, Amemiya H, Amano T, Suzuki S.
【非特許文献22】カスパーゼ関連疾患の文献; 関節リウマチ:Prog Med Chem 2002;39:1-72, Caspase inhibitors as anti-inflammatory and antiapoptotic agents. Graczyk PP.
【非特許文献23】カスパーゼ関連疾患の文献; 虚血性心臓疾患:Am J Physiol Heart Circ Physiol 2002 Sep;283(3):H990-5, Hypoxia-induced cleavage of caspase-3 and DFF45/ICAD in human failed cardiomyocytes. Todor A, Sharov VG, Tanhehco EJ, Silverman N, Bernabei A, Sabbah HN.
【非特許文献24】カスパーゼ関連疾患の文献; 抗炎症:J Immunol 2003 Mar 15;170(6):3386-91, A broad-spectrum caspase inhibitor attenuates allergic airway inflammation in murine asthma model. Iwata A, Nishio K, Winn RK, Chi EY, Henderson WR Jr, Harlan JM.
【非特許文献25】カスパーゼ関連疾患の文献; 肝炎による肝疾患:i) J Viral Hepat. 2003 Sep;10(5):335-42. Apoptosis in hepatitis C. Kountouras J, Zavos C, Chatzopoulos D.
【非特許文献26】カスパーゼ関連疾患の文献; 肝炎による肝疾患:ii) Apoptosis 2003 Dec;8(6):655-63. Apoptosis participates to liver damage in HSV-induced fulminant hepatitis. Pretet JL, Pelletier L, Bernard B, Coumes-Marquet S, Kantelip B, Mougin C.
【非特許文献27】カスパーゼ関連疾患の文献; 肝炎による肝疾患:iii) Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jun 24; 100(13):7797-802. Caspase 8 small interfering RNA prevents acute liver failure in mice. Zender L, Hutker S, Liedtke C, Tillmann HL, Zender S, Mundt B, Waltemathe M, Gosling T, Flemming P, Malek NP, Trautwein C, Manns MP, Kuhnel F, Kubicka S.
【非特許文献28】カスパーゼ関連疾患の文献;肝硬変:i) J Pharmacol Exp Ther. 2004 Mar;308(3):1191-6, The caspase inhibitor Idn-6556 attenuates hepatic injury and fibrosis in the bile duct ligated mouse. Canbay A., Fledstein A., Baskin-Bey E., Bronk FS. Gores GJ.
【非特許文献29】カスパーゼ関連疾患の文献;肝硬変:ii) Hepatology. 2004 Feb; 39(2): 273-8, Apoptosis: the nexus of liver injury and fibrosis. Canbay A, Friedman S, Gores GJ.
【非特許文献30】カスパーゼ関連疾患の文献;肝硬変:iii) Hepatology. 2003 Nov; 38(5): 1188-98, Kupffer cell engulfment of apoptotic bodies stimulates death ligand and cytokine expression. Canbay A, Feldstein AE, Higuchi H, Werneburg N, Grambihler A, Bronk SF, Gores GJ.
【非特許文献31】Wu J. et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology, 1999, 17, 320.
【非特許文献32】Hoglen N. C. et al, J. of Pharmacoloy and Experimental Therapeutics, 2001, 297, 811.
【非特許文献33】Jaeschke H. et al, Toxicology and Applied Pharmacology, 2000, 169, 77.
【非特許文献34】Hoglen N.C. et al, J. Pharmacol Exp. Ther., 2004, 309(2):634. Characterization of IDN-6556 (3-[2-(2-tert-butyl-phenylaminooxalyl)-amino]-propionylamino]-4-oxo-5-(2,3,5,6-tetrafluoro-phenoxy)-pentanoic acid): a liver-targeted caspase inhibitor.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、カスパーゼに対して、効果的で、且つ高い選択性を有する阻害剤として使用しうる新しい化合物をデザインするために鋭意研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明者らは様々な化合物を合成して、カスパーゼに対するそれらの結合能及び阻害活性を測定した。その結果、下記式(1)の化合物がこのような条件を満たすことを見出し、本発明に到った。
【0014】
【化003】

【0015】
式中の、R、R、R、R、R、R、R及びXは下記の定義と同義である。
従って、本発明はカスパーゼに対して効果的な阻害活性を有する式(1)の新規なピリダジノン誘導体または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0016】
また、薬学的に許容される担体と共に、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を活性成分として含有している、カスパーゼを阻害する医薬組成物、具体的には炎症及びアポトーシスを予防する医薬組成物を提供することが本発明の他の目的である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る式(1)の化合物はカスパーゼに対して優れた阻害活性を有し、そしてカスパーゼが介在する様々な疾患及び症状の治療に有利に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず第1に、本発明における重要用語は下記のように定義される。
a)C−C−アルキル:1〜5個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素であって、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0019】
b)C−C10−シクロアルキル:3〜10個の炭素原子を有する環状炭化水素であって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0020】
c)アリール:アリール基は芳香族基とヘテロ芳香族基及びその部分還元誘導体を全て含む。芳香族基は単一または縮合された5〜15員環の不飽和炭化水素である。ヘテロ芳香族基は酸素、硫黄及び窒素からなる群から選択された1〜5個のヘテロ原子を有する芳香族基である。アリール基はフェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリル、イミダゾリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリルなどを包含するが、これらに限定されない。
【0021】
上記C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキルまたはアリール基中の一つ以上の水素は、下記から選択された基で置換されていてもよい:アシル、アミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、チオ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、スルホキシ及びグアニド基。
【0022】
d)天然アミノ酸は下記のものを含む:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、プロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。
【0023】
また、本明細書には下記の略語が含まれる。
NBS:N−ブロモスクシンイミド
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO :ジメチルスルホキシド
NMM :N−メチルモルホリン
AIBN: 2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
TEMPO:2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、フリーラジカル
LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
HEPES:N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(2'−エタンスルホン酸)
CHAPS:3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパンスルホネート
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
DTT:ジチオスレイトール
【0024】
以下、本発明をより具体的に説明する。本発明の一態様はカスパーゼに対する阻害剤として有用な、下記式(1)のピリダジノン誘導体または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0025】
【化004】

【0026】
式中の、
I)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、アリール、または全ての天然アミノ酸の側鎖残基を表し、
II)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、アリール、または全ての天然アミノ酸の側鎖残基を表し、
III)RはH、C−C−アルキル、アリール、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、またはハロゲンを表し、
IV)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、
V)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、
VI)R及びRはそれぞれ互いに独立して、H、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、
VII)Xは−CHOR(RはC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、−CHOC(=O)R10(R10はC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、または−CH−W(Wはハロゲンである)を表す。
【0027】
本発明に係る式(1)の化合物において、Rは、好ましくは全ての天然アミノ酸の側鎖残基、より好ましくは−CHCOOHを表す。式(1)の化合物は、R基によってRが結合した炭素が立体中心になるとき、2種の立体異性体、またはそれらの混合物(ジアステレオマー混合物)を含んでいてもよい。Rがカルボキシル部分を含むアミノ酸の側鎖残基であるとき、式(1)の化合物はエステル形態(−CO、ここで、YはC−C−アルキルである)、スルホンアミド形態(−CONHSO、ここで、YはC−C−アルキルである)、及び薬学的に許容される塩形態を含んでいてもよく;または式(1)の化合物は、Rが塩基部分を含むアミノ酸の側鎖残基であるとき、薬学的に許容される塩の形態で存在していてもよい。
【0028】
本発明の化合物(式(1a))は、Rが−CHCOOHであるとき、環状ケタールの形態(式(1b))で存在できるので、当業者であれば環状ケタール(式(1b))も本発明に含まれることを理解することができる。
【0029】
【化005】

【0030】
また、上記化合物の平衡形態には、それらの互変異性形態が含まれることを理解しなければならない。
【0031】
は、好ましくはC−C−アルキルを表し、より好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、またはt−ブチルを表す。式(1)の化合物は、R基によってRが結合した炭素が立体中心になるとき、2種の立体異性体、またはそれらの混合物(ジアステレオマー混合物)を含んでいてもよい。式(1)の化合物は、Rがカルボキシル部分を含むアミノ酸の側鎖残基であるとき、エステル形態(−CO、ここで、YはC−C−アルキルである)、スルホンアミド形態(−CONHSO、ここで、YはC−C−アルキルである)、及び薬学的に許容される塩の形態を含んでいてもよく;または式(1)の化合物は、Rが塩基部分を含むアミノ酸の側鎖残基であるとき、薬学的に許容される塩の形態で存在していてもよい。
【0032】
は、好ましくはH、C−C−アルキル、アリール、C−C−アルコキシ、またはハロゲンを表し、より好ましくはH、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、またはt−ブチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、またはクロロを表す。
は、好ましくはHを表す。
【0033】
は、好ましくはそれぞれが置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたはアリールによって置換されたC−C−アルキルを表すか;または置換されていてもよいアリールを表す。Rは、より好ましくはC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基でそれぞれが置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたはアリールによって置換されたC−C−アルキル;またはC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよいアリールを表す。例えば、Rは、フェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリル、イミダゾリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、またはチアゾリルであるか、またはそれぞれがメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、トリハロメチル、及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、インドリル、キノリニル、イソキノリル、イミダゾリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリルまたはシクロヘキシルで置換されたメチルである。
【0034】
及びRは、それぞれ、好ましくは、Hを表す。
は、好ましくは一つ以上のハロゲンによって置換されたアリール、より好ましくは一つ以上のフッ素によって置換されたフェニル、最も好ましくは2,3,5,6−テトラフルオロフェニルを表す。
10は、好ましくは一つ以上のハロゲンによって置換されたアリール、より好ましくは一つ以上の塩素によって置換されたフェニル、最も好ましくは2,6−ジクロロフェニルを表す。
Wは、好ましくはFを表す。
【0035】
最も好ましい化合物は下記群から選択された化合物である。
3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸(1);
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸(2);
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸(3);
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3-メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−アセチルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ-フェノキシ)−ペンタン酸(4);
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ-フェノキシ)−ペンタン酸(5);及び
(S)−3−{2−[3−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−ペンタン酸(6)。
【0036】
カスパーゼに対して阻害作用を示す式(1)の新規なピリダジノン誘導体を製造する方法を、下記反応式1〜3に表す。しかし、下記反応式に説明される方法は、本発明で用いる典型的な方法のみを表す。操作の順序、試薬、反応条件、溶媒などは制限無く変更できる。
【0037】
(反応式1)
【化006】

【0038】
上記反応式において、R’はCH基を除いたRを表す。
上記反応式1において、芳香族アルデヒドと6−アルキル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンは塩基の存在下にエタノール中で反応して、ピリダジノン化合物(3)を得る。この化合物(3)を適切な溶媒及び塩基の存在下でα−ハロ−α−アルキルアセテートと反応させて、化合物(4)を得る。必要であれば、化合物(4)を加水分解して、脱保護されたカルボン酸誘導体(5)を得る。
【0039】
(反応式2)
【化007】

【0040】
上記反応式2及び下記反応式3において、Zは−OR(ここで、RはC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、−OC(=O)R10(ここで、R10はC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、または−W(Wはハロゲンである)を表す。
【0041】
上記反応式2で示されるように、カルボン酸誘導体(5)をアスパラギン酸誘導体(10)(下記反応式3を参照されたい)とカップリングして化合物(6)を得て、これをデス・マーチン(Dess−Martin)ペルヨージナン酸化反応させ、必要に応じて脱保護して所望の化合物(1)を得る。
【0042】
反応式2で示した化合物(1)中の官能基Zは、反応式3の工程に従って所望のZ基を既に有する化合物(10)を最初に合成して、これをカルボン酸化合物(5)と反応させることにより形成できる(国際公開WO第00/23421号公報を参照されたい)。または、カルボン酸化合物(5)とアスパラギン酸(β−t−Bu)メチルエステルとを混合して加水分解した後、反応式3の工程に従って所望のZ基を導入することができる。ZがFであるとき、公知の方法(Tetrahedron Letters,1994,35(52),9693-9696)によってラセミ化合物を製造することができる。
【0043】
(反応式3)
【化008】

【0044】
本発明に係る上記式(1)の化合物は、下記実験例の結果によって立証されるように、カスパーゼに対する広域スペクトルの阻害活性を有しており、これにより、炎症及びアポトーシスの予防効果を有している。従って、本発明は、薬学的に許容される担体と共に、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を活性成分として含有する、カスパーゼ阻害用医薬組成物、具体的には炎症及びアポトーシスを予防するための治療用組成物を提供する。さらに詳しくは、本発明に係る組成物は認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿病、胃潰瘍、肝炎による脳損傷、肝炎による肝疾患、急性肝炎、劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶反応、関節リウマチ、虚血性心臓疾患による心臓細胞壊死、または肝硬変の治療または予防効果を有する。
【0045】
また、本発明はカスパーゼ阻害用、特に炎症及びアポトーシス予防用の式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。さらに、本発明は患者に式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、患者における炎症及びアポトーシスを予防する方法を提供する。さらに、本発明は、患者に式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿病、胃潰瘍、肝炎による脳損傷、肝炎による肝疾患、急性肝炎、劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶反応、関節リウマチ、虚血性心臓疾患による心臓細胞壊死、または肝硬変の治療または予防方法を提供する。
【0046】
本発明の式(1)の化合物は、投与目的のために様々な医薬品形態に剤形化することができる。本発明に係る医薬組成物を製造するために、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を、製造しようとする剤形に従って選択される薬学的に許容される担体と混合する。
【0047】
カスパーゼ阻害化合物は適用目的によって注射用製剤、経皮用製剤または経口用製剤として剤形化できる。投与の容易性及び用量の均一性の側面から組成物を単位投与形態で剤形化するのが特に有利である。
【0048】
経口用製剤の場合には、あらゆる通常の医薬用担体を使用することができる。例えば、懸濁液、シロップ剤、エリキシル及び溶液剤のような経口液体製剤に、水、グリコール、油、アルコールなどを使用することができ;散剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤のような固体製剤に、でんぷん、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩解剤などを使用することができる。投与の容易性によって、錠剤及びカプセル剤が最も便利な服用形態である。錠剤及び丸剤は腸溶性製剤に製剤化することが好ましい。
【0049】
非経口製剤の場合には、担体としては通常、滅菌水を使用し、溶解助剤のような他の成分も使用できる。注射用製剤、例えば,滅菌注射用水性または油性懸濁液は公知の技術に従い、適切な分散剤、湿潤剤、または懸濁剤を用いて製造できる。注射用製剤の製造に用いられる溶媒としては、水、リンゲル液及びNaCl等張液があり、滅菌固定油も溶媒または懸濁媒体として有利に使用できる。モノ−またはジ−グリセリドを含む無刺激性固定油もこのような目的のために使用できる。また、オレイン酸のような脂肪酸も注射用製剤に使用できる。
【0050】
経皮製剤の場合には、担体として浸透促進剤及び/又は適当な湿潤剤を、任意に皮膚に対して顕著な刺激性のない適当な添加剤と共に混合して使用することができる。この添加剤は皮膚を通して投与を促進及び/又は所望の組成物の製造を支援することができる。経皮製剤は経皮用パッチ、滴下式または軟膏のような様々な方式で投与される。
【0051】
本発明のカスパーゼ阻害化合物を臨床の目的で用いる場合は、1日に、体重1kg当たり0.1〜100mgの範囲の量で対象患者に投与するのが好ましい。1日の全投与量を1回または数回にわたって投与することができる。しかし、個々の患者に対する固有の投与量は、使われる特定化合物、患者の体重、性別、健康状態、または食生活、薬剤の投与時期または投与方法、排泄率、薬剤の混合比及び治療する疾患の重症度などによって変わり得る。
【実施例】
【0052】
本発明を、下記実施例によってより具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明に対する理解を助けるためだけのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0053】
製造例1−1)
1−ブロモメチル−2−tert−ブチル−ベンゼン
1−tert−ブチル−2−メチル−ベンゼン(940mg、6.34mmol)、NBS(1.24g、1.1当量)及びAIBN(20mg、触媒量)に、CCl(12mL)を加えて、混合物を1時間還流した。懸濁した粒子をろ去し、CClで洗浄した。有機層を合わせ、減圧下で濃縮して、黄色液体(1.5g)を化学量論的収率で得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ 7.46(m,1H), 7.38(m,1H),7.22−7.21(m,2H),4.83(s,2H),1.46(s,9H)
【0054】
製造例1−2)
2−tert−ブチル−ベンズアルデヒド
製造例1−1)の化合物(1.00g、4.4mmol)に、NaHCO(1.85g、5.0当量)及びDMSO(10mL)を加えて、混合物を100℃で30分間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、水(50mL×3)及び塩化ナトリウム水溶液(50mL×1)で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(750mg、収率99%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ10.85(s,1H),7.93(d,1H),7.49(m,1H),7.32(m,1H),7.25(m,1H),1.52(s,9H)
【0055】
製造例1−3)
4−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−メチル−2H−ピリダジン−3−オン
製造例1−2)の化合物(324mg、2.0mmol)に、6−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(Aldrich社製、224mg、1.0当量)、KOH(168mg、3.0当量)及びEtOH(10mL)を加えて、混合物を還流下で18時間加熱した。反応混合物を1N塩酸水溶液(3.0mL)で中和して、減圧下で蒸留した。残渣を過剰の酢酸エチル(50mL)に溶かし、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(292mg、収率57%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ12.66(br s,1H),7.48(d,1H),7.26−7.20(m,2H),7.02(d,1H),6.40(s,1H),4.22(s,2H),2.19(s,3H),1.34(s,9H)
【0056】
製造例1−4)
2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸エチルエステル
製造例1−3)の化合物(90mg、0.35mmol)とCsCO(342mg、3.0当量)との混合物に、DMF(7mL)及び2−ブロモ−酪酸エチルエステル(343mg、5.0当量)を加えて、混合物を窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで2回抽出(100mL×2)した。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(NaHCO、100mL×2)及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物を化学量論的収率で得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.46(d,1H),7.25−7.18(m,2H),7.02(d,1H),6.33(s,1H),5.43(m,1H),4.19(m,1H),4.17(s,2H),2.24(m,2H),2.16(s,3H),1.33(s,9H),1.22(t,3H),0.91(t,3H)
【0057】
製造例1−5)
2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸
製造例1−4)の化合物(128mg)を溶媒混合物(6mL、テトラヒドロフラン:MeOH:HO=3:2:1)に溶かし、そこに、LiOH・HO(29mg、2.0当量)を加えて、混合物を室温で約2時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸水溶液で中和して、減圧下で蒸留して大部分のテトラヒドロフランを除去した。残渣を過剰の酢酸エチル(50mL)に溶かし、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮して、表題化合物を化学量論的収率で得た。この化合物はさらに精製することなく、次の反応で使用した。
【0058】
製造例1−6)
3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例1−5)で得られたカルボン酸誘導体(125mg、0.36mmol)、3−アミノ−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(Tetrahedron Letters,1994,35(52),9693-9696を参照されたい;83mg、1.1当量)及びHATU(178mg、1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこにDMF(5mL)溶媒中の、トリエチルアミン(0.20mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で3時間反応した。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。こうして得られた化合物とデス・マーチン試薬(305mg、2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下でセライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(30〜40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(125mg、収率67%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.48−7.42(m,2H),7.24(t,1H),7.18(t,1H),6.99(m,1H),6.36(s,1H),5.49(m,1H),5.18−4.90(m,2H),4.83(m,1H),4.17(s,2H),2.98−2.62(m,2H),2.19(two s,3H),2.25−2.12(m,2H),1.39(two s,9H),1.32(s,9H),0.90(m,3H)
【0059】
実施例1
3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸
【0060】
【化009】

【0061】
製造例1−6)の化合物(120mg、0.23mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら、1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、表題化合物(90mg、収率82%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.70(two br s,1H),7.46(d,1H),7.24(t,1H),7.18(t,1H),6.97(d,1H),6.46及び6.43(two s,1H),5.37(m,1H),5.05−4.70(m,3H),4.14(s,2H),3.18−2.72(m,2H),2.23(two s,3H),2.25−2.15(m,2H),1.32(s,9H),0.92(m,3H)
【0062】
製造例2−1)
(S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ―フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
N−ベンジルオキシカルボニル−β−t−ブチルアスパラギン酸(17.93g、55.46mmol)及びNMM(6.70mL、1.10当量)に、無水テトラヒドロフラン(150mL)を窒素雰囲気下で加え、−15℃に保持した。そこにイソブチルクロロホルメート(7.56mL、1.05当量)を加えて、反応混合物を約20分間撹拌した。ジアゾメタン−エーテル溶液(2.0当量の1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソ-グアニジンから合成、60mL)を加える間、反応物を0℃で保持し、0℃で30分間撹拌し、ジアゾケトン誘導体を得た。そこに、30%HBr/AcOH(22.6mL、2.0当量)を0℃で加えて、30分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2回)及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)し、減圧下で濃縮して、ブロモメチルケトン誘導体(22.2g)を化学量論的収率で得た。
【0063】
ブロモメチルケトン誘導体(22.2g、55,45mmol)及び2,3,5,6−テトラフルオロフェノール(11.05g、1.2当量)をジメチルホルムアミド(130mL)に溶かし、KF(8.05g、2.5当量)を加えて、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2回)及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)し、減圧下で濃縮して2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシメチルケトン誘導体を得た。この化合物をメタノール(150mL)に溶かし、そこにNaBH(4.19g、2.0当量)を0℃でゆっくり加えて、混合物を1時間撹拌した。飽和酢酸アンモニウム溶液を加えて反応を中止させて、反応混合物を減圧下で蒸留してメタノールを除去した。残渣を酢酸エチルで抽出(200mL×2)し、水及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで分離−精製(10〜20%酢酸エチル/ヘキサン)して、表題化合物(19.6g、収率73%)を得た。
【0064】
製造例2−2)
(S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例2−1)の化合物(19.6g、40.2mmol)をMeOH(130mL)に溶かし、Pd/C(Aldrich社製、10%、1.0g)を加えて、混合物を水素雰囲気下で3時間撹拌した。反応混合物を、セライトを通してろ過してPd/Cを除去し、MeOHで洗浄した。ろ液を減圧下で蒸留して、表題化合物(13.17g、収率93%)を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.2(br,2H),7.6−7.5(m,1H),5.9(m,1H),4.3−4.1(m,3H),3.6(m,1H),2.7(m,1H),1.4(s,9H)
【0065】
製造例2−3)
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例1−5)で得られたカルボン酸誘導体(70mg、0.20mmol)、製造例2−2)で得られた化合物(79mg、1.1当量)及びHATU(99mg、1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこに、DMF(5mL)溶媒中の、トリエチルアミン(0.11mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で1.5時間反応させた。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。このようにして得られた化合物とデス・マーチン試薬(170mg、2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、反応混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下でセライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(110mg、収率81%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.54(m,1H),7.47(m,1H),7.19(t,1H),7.00(t,1H),6.75(m,1H),6.37(m,1H),5.50(m,1H),5.16−4.96(m,2H),4.86(m,1H),4.17(m,2H),3.03−2.61(m,2H),2.20(two s,3H),2.26−2.15(m,2H),1.39及び1.38(two s,9H),1.33(s,9H),0.91(m,3H)
【0066】
実施例2
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル-ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0067】
【化010】

【0068】
製造例2−3)の化合物(110mg、0.15mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、そこに0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら、1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(65%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(85mg、収率91%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.75及び7.55(two br s,1H),7.45(m,1H),7.23(t,1H),7.17(m,1H),6.96(m,1H),6.74(m,1H),6.44(two s,1H),5.43−5.34(m,1H),5.00−4.70(m,3H),4.12(m,2H),3.11(m,1H),2.77(m,1H),2.20及び2.21(two s,3H),2.26−2.16(m,2H),1.31及び1.30(two s,9H),0.92(m,3H)
【0069】
製造例3−1)
2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−プロピオン酸エチルエステル
製造例1−3)の化合物(26mg、0.10mmol)とCsCO(65mg、2.0当量)との混合物に、DMF(5mL)と2−ブロモ−プロピオン酸エチルエステル(53mg、3.0当量)とを加えて、混合物を窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで2回抽出(100mL)した。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(NaHCO、100mL×2)と塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(30mg、収率84%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.46(d,1H),7.23(t,1H),7.18(t,1H),7.00(d,1H),6.33(s,1H),5.55(qt,1H),4.20(m,2H),4.16(s,2H),2.16(s,3H),1.68(d,3H),1.33(s,9H),1.23(t,3H)
【0070】
製造例3−2)
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例3−1)の化合物(30mg、0.084mmol)を製造例1−5)と同様の方法で加水分解して、カルボン酸誘導体(29mg、0.084mmol)を得た。このカルボン酸誘導体、製造例2−2)の化合物(35mg、1.1当量)及びHATU(44mg、1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこに、DMF(5mL)溶媒中の、トリエチルアミン(0.05mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。このようにして得られた化合物とデス・マーチン試薬(76mg、2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下でセライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(35mg、収率60%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.47(d,1H),7.37(t,1H),7.24(t,1H),7.18(t,1H),6.99(d,1H),6.73(m,1H),6.37(two s,1H),5.65(m,1H),5.19−4.96(m,2H),4.86(m,1H),4.17(s,2H),3.02−2.62(m,2H),2.19及び2.18(two s,3H),1.68(two d,3H),1.39(s,9H),1.33(s,9H)
【0071】
実施例3
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−プロピオニルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0072】
【化011】

【0073】
製造例3−2)の化合物(34mg、0.051mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、表題化合物(26mg、収率84%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.61(br,1H),7.46(d,1H),7.24(m,1H),7.18(m,1H),6.95(m,1H),6.76(m,1H),6.45(s,1H),5.51(m,1H),4.89(m,3H),4.12(s,2H),3.14−2.73(m,2H),2.21(two s,3H),1.67(two d,3H),1.31(two s,9H)
【0074】
製造例4−1)
[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−酢酸エチルエステル
製造例1−3)の化合物(90mg、0.35mmol)とCsCO(228mg,2.0当量)との混合物に、DMF(10mL)と2−ブロモ酢酸エチルエステル(117mg、2.0当量)とを加えて、混合物を窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで2回抽出(100mL)した。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(NaHCO、100mL×2)と塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(104mg、収率87%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.46(d,1H),7.23(t,1H),7.19(t,1H),7.01(d,1H),6.35(s,1H),4.87(s,2H),4.24(qt,2H),4.17(s,2H),2.16(s,3H),1.33(s,9H),1.28(t,3H)
【0075】
製造例4−2)
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−アセチルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ-フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例4−1)の化合物(75mg、0.22mmol)を製造例1−5)と同様の方法で加水分解して、カルボン酸誘導体(60mg、0.19mmol、87%)を得た。このカルボン酸誘導体、製造例2−2)の化合物(74mg、1.1当量)及びHATU(94mg,1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこに、DMF(5mL)溶媒中の、トリエチルアミン(0.11mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。このようにして得られた化合物とデス・マーチン試薬(157mg、2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下で、セライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(105mg、収率80%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.47(d,1H),7.32(d,1H),7.25(t,1H),7.19(t,1H),6.99(d,1H),6.74(m,1H),6.40(s,1H),5.24−5.03(m,2H),4.91(m,1H),4.85(s,2H),4.16(two s,2H),3.04−2.68(m,2H),2.18(s,3H),1.41(s,9H),1.33(s,9H)
【0076】
実施例4
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−3−メチル−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−アセチルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0077】
【化012】

【0078】
製造例4−2)の化合物(100mg、0.15mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、そこに0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら、1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(65%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(59mg、収率67%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.71(br,1H),7.45(d,1H),7.23(t,1H),7.17(t,1H),6.95(d,1H),6.75(m,1H),6.46(s,1H),5.06−4.82(m,5H),4.11(s,2H),3.19−2.81(m,2H),2.20(s,3H),1.31(s,9H)
【0079】
製造例5−1)
4−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン及び6−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン
公知の方法(J. Amer. Chem. Soc., 1945, 67, 60-62 及び J. Org. Chem., 1961, 26, 1854-1856)で得られた4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(192mg、1.95mmol)、製造例1−2)で得られた2−tert−ブチル−ベンズアルデヒド(316mg、1.0当量)及びKOH(220mg、2.0当量)に、EtOH(30mL)を加えて、混合物を還流下で6時間加熱した。反応混合物を1N塩酸水溶液で中和して、減圧下で蒸留して大部分のテトラヒドロフランを除去した。残渣を過剰の酢酸エチル(50mL)に溶かし、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、表題化合物4−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン(76mg)と6−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン(167mg)を得た。
4−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン:
H−NMR(500MHz,CDCl)δ11.73(s,1H),7.65(d,1H),7.47(d,1H),7.24(t,1H),7.20(t,2H),7.01(d,1H),6.50(m,1H),4.21(s,2H),1.34(s,9H)
6−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン:
H−NMR(500MHz,CDCl)δ10.60(s,1H),7.61(s,1H),7.45(d,1H),7.25(t,1H),7.18(t,2H),6.97(d,1H),6.44(s,1H),4.15(s,2H),1.40(s,9H)
【0080】
製造例5−2)
2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸エチルエステル
製造例5−1)で得られた4−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン(76mg、0.314mmol)とCsCO(307mg,3.0当量)との混合物に、DMF(4mL)と2−ブロモ酪酸エチルエステル(306mg,5.0当量)を加えて、混合物を窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで2回抽出(100mL)した。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(NaHCO、100mL×2)と塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(10〜20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(100mg、収率89%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.69(d,1H),7.51(d,1H),7.30−7.22(m,2H),7.07(d,1H),6.50(m,1H),5.56(dd,1H),4.25(m,4H),2.35−2.21(m,2H),1.38(s,9H),1.28(t,3H),0.98(m,3H)
【0081】
製造例5−3)
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例5−2)の化合物(94mg、0.263mmol)を製造例1−5)と同様の方法で加水分解して、カルボン酸誘導体(86mg、0.263mmol、100%)を得た。このカルボン酸誘導体、製造例2−2)の化合物(102mg、1.1当量)及びHATU(130mg、1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこに、DMF(5mL)溶媒中の、トリエチルアミン(0.15mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。このようにして得られた化合物とデス・マーチン試薬(223mg,2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下、セライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20〜30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(150mg、収率86%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.70(m,1H),7.46(d,1H),7.34(m,1H),7.24(t,1H),7.18(t,1H),7.00(m,1H),6.75(m,1H),6.49(m,1H),5.51(m,1H),5.18−4.94(m,2H),4.87(m,1H),4.18(m,2H),3.02−2.64(m,2H),2.28−2.15(m,2H),1.39(two s,9H),1.32(s,9H),0.92(m,3H)
【0082】
実施例5)
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸
【0083】
【化013】

【0084】
製造例5−3)の化合物(146mg、0.221mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、そこに0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら、1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(65%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(116mg、収率67%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.80(m,2H),7.45(d,1H),7.24(m,1H),7.18(m,1H),6.96(m,1H),6.76(m,1H),6.57(m,1H),5.41−5.05(m,2H),4.91(m,1H),4.40(m,1H),4.15(s,2H),3.25−2.64(m,2H),2.22(m,2H),1.30(two s,9H),0.94(m,3H)
【0085】
製造例6−1)
2−[3−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸エチルエステル
製造例5−1)で得られた6−(2−tert−ブチル−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オン(167mg、0.689mmol)とCsCO(673mg、3.0当量)との混合物に、DMF(4mL)と2−ブロモ酪酸エチルエステル(672mg、5.0当量)を加えて、混合物を窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルで2回抽出(100mL)した。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(NaHCO、100mL×2)と塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(189mg、収率77%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.70(d,1H),7.50(d,1H),7.27(t,1H),7.21(t,1H),7.04(d,1H),6.49(d,1H),5.46(dd,1H),4.25−4.19(m,4H),2.31−2.15(m,2H),1.43(s,9H),1.27(t,3H),0.93(m,3H)
【0086】
製造例6−2)
(S)−3−{2−[3−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−ペンタン酸tert−ブチルエステル
製造例6−1)の化合物(185mg、0.519mmol)を製造例1−5)と同様の方法で加水分解して、カルボン酸誘導体(166mg、98%)を得た。このカルボン酸誘導体(87mg、0.263mmol)、製造例2−2)の化合物(102mg、1.1当量)及びHATU(130mg、1.3当量)の混合物を0℃に冷却し、そこに、DMF(5mL)溶媒中のトリエチルアミン(0.15mL、4.0当量)を加えて、混合物を室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下で蒸留した。残渣を酢酸エチルで抽出(30mL×2)し、水、炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。このようにして得られた化合物とデス・マーチン試薬(223mg、2.0当量)に、無水ジクロロメタン(4mL)を加えて、混合物を室温で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(1mL)を加えて反応を中止させた。反応混合物を減圧下で、セライトを通してろ過して固体を除去し、酢酸エチルで抽出(20mL×2)した。抽出物を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥(無水NaSO)して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(25〜30%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(150mg、収率86%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.71(d,1H),7.45(d,1H),7.30(t,1H),7.22(t,1H),7.16(m,1H),6.97(d,1H),6.75(m,1H),6.46(d,1H),5.36(m,1H),5.14−4.95(m,2H),4.85(m,1H),4.15(m,2H),3.00−2.63(m,2H),2.26−2.12(m,2H),1.39(three s,18H),0.90(m,3H)
【0087】
実施例6)
(S)−3−{2−[3−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−ペンタン酸
【0088】
【化014】

【0089】
製造例6−2)の化合物(142mg、0.215mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶かして、0℃でトリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。反応混合物を、ゆっくり室温に温めながら、1時間撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をPrep−TLC(65%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、表題化合物(111mg、収率85%)を得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.77(d,1H),7.60(br s,1H),7.45(d,1H),7.22(t,1H),7.16(t,1H),6.95(d,1H),6.76(m,1H),6.51(s,1H),5.28(m,1H),5.05−4.40(br s,2H),4.87(m,1H),4.18(m,2H),3.10−2.68(m,2H),2.24−2.12(m,2H),1.37(two s,18H),0.91(m,3H)
【0090】
実験例1
カスパーゼ阻害効果の試験
公知の方法(Thornberry, N. A. et al., Nature, 1992, 356, 768; Thornberry, N. A. Methods in Enzymology, 1994, 244, 615; Walker, N. P. C. et al., Cell, 1994, 78, 343)を改変して、αβ形態のシステインプロテアーゼとして知られているカスパーゼ−1とカスパーゼ−8を発現、精製及び活性化し、カスパーゼ−9も同様の方法で精製して、それらに対する阻害活性をテストした。簡略に説明すると、p10とp20サブユニット(Thornberry, N. A. et al, Nature, 1992, 356, 768)を大腸菌で発現させ、ニッケルカラムとアニオン交換クロマトグラフィーで精製して、カスパーゼ−1、カスパーゼ−8及びカスパーゼ−9を得た。このようにして得られたカスパーゼ−1に対しては蛍光基質AcYVAD−AFCを、カスパーゼ−8に対してはAcDEVD−AFCを、そしてカスパーゼ−9に対してはAcLEHD−AFCを用いて、合成された阻害剤の比活性度を測定した。酵素反応は、50mMのHEPES(pH7.50)、10%(w/v)のスクロース、0.1%(w/v)のCHAPS、100mMのNaCl、1mMのEDTA、及び10mMのDTTを含む緩衝溶液中、10nMのカスパーゼ−1に対しては50μMのAcYVAD−AFC、2.1nMのカスパーゼ−8に対しては50μMのAcDEVD−AFC、及び200nMのカスパーゼ−9に対しては150μMのAcLEHD−AFCの存在下で、様々な濃度の阻害剤を用いて25℃で遂行した。阻害剤の阻害定数であるK及びKobsの値は蛍光スペクトロメータを用いて反応速度を経時的に測定して初期速度定数を求めることで決定した。Kはラインウィーバーバークプロット(Lineweaver Burk Plot)から算出し、Kobsは下記数式1から算出した。
【0091】
(数式1)
obs=−ln(1−A/Aoo)/t
式中の、
はt時点での開裂率(%)を意味し、そして
ooは最大開裂率(%)を意味する。
【0092】
Spectra MAX GeminiXS Fluorescent Spectro-meter(モレキュラーデバイス社(Molecular Device Co.)製)を、励起波長405nm、発光波長505nmで用いた。
【0093】
阻害剤のインビボ阻害活性は、ジャーカット細胞(ATCC TIB−152)をFas抗体(Upstate Biotech 05-201)でアポトーシスさせ、該細胞を阻害剤で処理時に生きているジャーカット細胞量を観察するために、公知方法のWST−1(Francoeur A.M. and Assalian A. (1996) Biochemica 3, 19-25)によって色の変化を測定して決定した。Spectra MAX 340 Spectrometer(モレキュラーデバイス社製)を吸光波長440nmで用いた。
【0094】
【表01】

【0095】
実験例2
マウスにおけるFas抗体による肝損傷に対する治療効果
工程1)血液サンプルの製造
雄性Balb/cマウス(6週齢、Charles River Laboratory、大阪、日本)を22℃及び55%の相対湿度下で12時間ずつ明/暗を変えながら飼育した。この時、食料と水は不断給餌した。発熱物質フリーのホスフェート緩衝液に、Fas抗体(Jo2; BD Pharmingen、San Diego, California)を溶かし、それを0.15mg/kgの量で各マウスの尾静脈に注射した。Fas抗体を注射した直後に、試験化合物が溶解しているビヒクル(PEG400:エタノール=2:1からなる混合物をホスフェート緩衝液で20倍に希釈)またはビヒクル単独を実験動物に経口投与した。薬物投与から6時間後、心臓から血液サンプルを得た。
【0096】
工程2)血漿アミノトランスフェラーゼ活性の試験
工程1で得た血液サンプルに対して血漿ALT活性を、ALT試験キット(Asan Pharm. Co. Seoul, Korea)を使用して、製造者の説明書に従って測定した。その結果、Fas抗体投与により血漿内ALT活性が急激に上昇して、試験化合物が上昇した酵素活性を用量−依存的に阻害することが分かった。これらの結果に基づいて、試験化合物のED50値をPrismソフトウェア(GraphPad社製)を用いて算出して、0.001〜10mg/kgの値を得た。
【産業上の利用可能性】
【0097】
上記実験例の結果から明らかなように、本発明に係る式(1)の化合物は優れたカスパーゼ阻害活性を有しており、特に、Fas抗体による肝損傷動物モデルで治療効果を示す。従って、式(1)の化合物は、カスパーゼが介在する様々な疾患及び症状の治療または予防のために効果的に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化015】

(式中の、
I)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、アリール、または全ての天然アミノ酸の側鎖残基を表し、
II)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、アリール、または全ての天然アミノ酸の側鎖残基を表し、
III)RはH、C−C−アルキル、アリール、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、またはハロゲンを表し、
IV)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、
V)RはH、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、
VI)R及びRはそれぞれ互いに独立して、H、C−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールを表し、そして
VII)Xは−CHOR(RはC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、−CHOC(=O)R10(R10はC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、または−CH−W(Wはハロゲンである)を表す):
の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が、置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールで置換されているC−C−アルキルを表すか;または置換されていてもよいアリールを表す、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、C−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたはアリールで置換されているC−C−アルキルを表すか;またはC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよいアリールを表す、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
I)Rが全ての天然アミノ酸の側鎖残基を表し、
II)RがC−C−アルキルを表し、
III)RがH、C−C−アルキル、アリール、C−C−アルコキシ、またはハロゲンを表し、
IV)RがHを表し、
V)RがC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたはアリールで置換されているC−C−アルキルを表すか;またはC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよいアリールを表し、
VI)R及びRがそれぞれ互いに独立して、Hを表し、
VII)Xが−CHOR(RはC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、−CHOC(=O)R10(R10はC−C−アルキル、C−C10−シクロアルキル、またはアリールである)、または−CH−W(Wはハロゲンである)を表す、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
I)Rが−CHCOOHを表し、
II)RがC−C−アルキルを表し、
III)RがH、C−C−アルキル、アリール、C−C−アルコキシ、またはハロゲンを表し、
IV)RがHを表し、
V)Rが、C−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC−C10−シクロアルキルまたはアリールで置換されているC−C−アルキルを表すか;またはC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されていてもよいアリールを表し、
VI)R及びRがそれぞれ互いに独立して、Hを表し、
VII)Xが−CHO−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、−CHO−(2,6−ジクロロベンゾイル)、または−CH−Fを表す、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
(S)−3−{2−[5−(2−tert−ブチル−ベンジル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イル]−ブチリルアミノ}−4−オキソ−5−(2,3,5,6−テトラフルオロ−フェノキシ)−ペンタン酸。
【請求項7】
薬学的に許容される担体と共に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を活性成分として含有するカスパーゼ阻害用医薬組成物。
【請求項8】
炎症及びアポトーシスの予防用である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿病、胃潰瘍、肝炎による脳損傷、肝炎による肝疾患、急性肝炎、劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶反応、関節リウマチ、虚血性心臓疾患による心臓細胞壊死、または肝硬変の治療または予防用である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
急性肝炎または肝硬変の治療用である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
関節リウマチの治療用である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項12】
カスパーゼを阻害するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項13】
患者に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、患者における炎症及びアポトーシスを予防する方法。
【請求項14】
患者に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、認知症、脳卒中、AIDSによる脳損傷、糖尿病、胃潰瘍、肝炎による脳損傷、肝炎による肝疾患、急性肝炎、劇症肝不全、敗血症、臓器移植拒絶反応、関節リウマチ、虚血性心臓疾患による心臓細胞壊死、または肝硬変を治療または予防する方法。

【公表番号】特表2010−509318(P2010−509318A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536150(P2009−536150)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005303
【国際公開番号】WO2008/056897
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509128764)エルジー ライフ サイエンス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】