説明

ピロホスファターゼの添加を伴うリアルタイムPCR

【課題】定量的リアルタイムPCR増幅および次に続く後期増幅サイクルでの融解曲線分析について改善された性能を提供すること。
【解決手段】耐熱性DNAポリメラーゼ、
デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物、
緩衝剤、
少なくとも2つの増幅プライマーおよび
第1の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第1のハイブリダイゼーションプローブ
を含有してなり、ピロホスファターゼをさらに含有する、標的核酸を増幅し、検出するための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸増幅の分野および当該増幅をリアルタイムで監視する分野に関する。より精密には、本発明は、リアルタイムPCRアッセイであって、かかるアッセイにおいて存在する蛍光性化合物が適切に安定化されていることを特徴とするアッセイを実施する解決法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNAの増幅は、分子生物学には欠かせない技術である。PCRによる核酸分析には、サンプルの調製、増幅および生成物の分析が必要である。多くの場合、これらの工程は連続的に実施されるが、増幅および分析を同時に行うことができる。増幅の前に、DNA色素または蛍光プローブをPCR混合物に添加することができ、増幅の間にPCR生成物の分析に用いることができる。同一の装置中の同一の管内での増幅と同時に、サンプルの分析を行う。このような研究方法の組み合わせによって、さらなる分析のためにサンプルが閉じ込められた容器からサンプルを取り出す必要がないので、サンプルの操作が軽減され、時間が節約され、次の反応のための生成物の汚染のリスクが大きく低下する。増幅を生成物の分析と組み合わせるという考え方は、「リアルタイム」PCRとして知られている。たとえば、特許文献1を参照すること。
【0003】
リアルタイムPCR検出フォーマット
動力学的リアルタイムPCRでは、PCR生成物の形成をPCRの各サイクルにおいて監視する。多くの場合、増幅反応の間に蛍光シグナルを測定するためのデバイスが追加されたサーモサイクルで増幅を測定する。
【0004】
a)DNA結合色素フォーマット
多くの場合、二本鎖の増幅産物の量は、分析されるサンプル中にもともと存在する核酸の量を上回るので、二本鎖DNAに特異的な色素が用いられ得る。この色素は、二本鎖DNAに結合した場合にのみ、適切な波長で励起されて強い蛍光を示す。好ましくは、たとえばPCR反応の効率に影響を与えないSybrGreen Iのような色素のみが用いられ得る。
【0005】
本技術分野において知られているその他のすべてのフォーマットには、その標的核酸に結合した際にのみ蛍光を発する、蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブの設計が必要である。
【0006】
b)TaqManプローブ
一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを二種の成分で標識する。適切な波長の光で第一の成分が励起する時、蛍光共鳴エネルギー転移の原則に基づいて、吸収されたエネルギーが第二の成分、いわゆるクエンチャーに転移する。PCR反応のアニーリング工程の間にこのハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合し、次の伸長段階の間にTaqポリメラーゼの5'-3'エクソヌクレアーゼ活性によってこのプローブが分解される。結果的に、励起された蛍光成分およびクエンチャーが空間的に相互に分離し、従って、第一の成分の蛍光発光を測定することができる。TaqManプローブアッセイは、特許文献2、特許文献3および特許文献4に詳細に開示されている。TaqManハイブリダイゼーションプローブおよび試薬混合物は特許文献5に開示されている。
【0007】
c)分子ビーコン
これらのハイブリダイゼーションプローブも、第一の成分およびクエンチャーで標識され、これらの標識がプローブの両末端に位置することが好ましい。プローブの二次構造の結果として、両成分が溶液中で空間的に接近している。適切な波長の光での励起の後で第一の成分の蛍光発光が測定できる(米国特許第号5,118,801号)ように、標的核酸へのハイブリダイゼーションの後、両成分が相互に分離する。
【0008】
d)シングルラベルプローブ(SLP)フォーマット
この検出フォーマットは、5'-末端または3'-末端のいずれかにおいて単一の蛍光色素で標識された単一のオリゴヌクレオチドからなる(特許文献7)。オリゴ標識について、二種の異なる設計:G-クエンチングプローブおよびニトロインドールデクエンチングプローブを採用することができる。G-クエンチングの態様において、蛍光色素はオリゴ5'-末端または3'-末端のCに取り付けられる。2つのGがCの反対側の標的鎖上で、かつ相補的オリゴヌクレオチドプローブの近傍の1位内に位置する場合において、プローブが標的にハイブリダイズすると、蛍光が有意に減少する。ニトロインドールデクエンチングの態様において、蛍光色素はオリゴヌクレオチドの5'-末端または3'-末端のニトロインドールに取り付けられる。どういうわけか、ニトロインドールは遊離プローブの蛍光シグナリングを減少させる。プローブが標的DNAにハイブリダイズすると、デクエンチング効果が原因で蛍光が増加する。
【0009】
e)FRETハイブリダイゼーションプローブ
FRETハイブリダイゼーションプローブテストフォーマットは、すべての種類の同種ハイブリダイゼーションアッセイにとって特に有用である(非特許文献1)。このものは、同時に用いられ、かつ増幅された標的核酸の同一の鎖に隣接する部位に相補的な二種の一本鎖ハイブリダイゼーションプローブに特徴がある。両プローブは異なる蛍光成分で標識される。適切な波長の光で励起された時、検出される標的分子の隣接する位置に両ハイブリダイゼーションプローブが結合すると第二の成分の蛍光発光が測定できるように、蛍光共鳴エネルギー転移の原則に基づいて、第一の成分は、吸収されたエネルギーを第二の成分に転移する。ハイブリダイゼーション事象の定量測定として、FRETのアクセプター成分の蛍光の増加を監視する代わりに、FRETのドナー成分の蛍光の減少を監視することも可能である。
【0010】
とりわけ、増幅された標的DNAを検出するために、このFRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットをリアルタイムPCRに用いてもよい。リアルタイムPCRの技術分野において知られているすべての検出フォーマットの間で、FRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットは高感度で正確かつ信頼性が高いことが証明されている(特許文献8;特許文献9;特許文献10)。二種のFRETハイブリダイゼーションプローブを使用することに代わるものとして、蛍光標識されたプライマーおよび標識されたただ1つのオリゴヌクレオチドプローブを使用することもあり得る(非特許文献2)。この点について、プライマーをFRETのドナーでまたはFRETのアクセプター化合物で標識するのかどうかを自由に選択することができる。
【0011】
PCRおよびリアルタイムPCRの他に、融解曲線分析のためのFRETハイブリダイゼーションプローブが用いられる。このようなアッセイにおいて、まず、適切な増幅用プライマーを用いる標準的なPCR反応で標的核酸を増幅する。このハイブリダイゼーションプローブは増幅反応の間に既に存在していてもよく、またはその後に添加してもよい。PCR反応が終了した後、サンプルの温度を恒常的に上昇させ、ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合していた限り、蛍光を検出する。融点では、このハイブリダイゼーションプローブがそれらの標的から放出され、蛍光シグナルがバックグラウンドのレベルにまで直ちに減少する。蛍光が最も減少することが観察される最初に派生する値を決定できるような、適切な蛍光対温度−時間のプロットで、この減少を監視する。
【0012】
検出フォーマットに基づくすべてのプローブを「多重化」することができる。より精密には、1つの反応容器内で、増幅用プライマーの複数の対を用いて複数の標的を増幅でき、複数のハイブリダイゼーションプローブを用いて検出できる。この場合において、サンプル中に見つかると想定される複数の標的を検出し識別するために、検出可能な異なる蛍光色素で当該複数のプローブを標識する。
【0013】
FRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットを用いる多重検出について、フルオレセインまたはフルオレセイン誘導体を、FRETのドナーの部分をCy-5、LC-Red-640またはLC-red 705などのFRETのアクセプターの異なる部分と組み合わせたものとして、用いることができる。
【0014】
多重リアルタイムPCRを実施することができる装置の標準的な例は、Roche Diagnostics LightCycler(カタログ番号3 531 414 201)である。このものは、動力学的オンライン式PCR定量および次に続くPCR-生成物の融解曲線の分析が可能な高速PCRシステムである。市販されている最新のLightCyclerバージョン2.0の光学システムは、1つの光源である青色発光ダイオード(470nm LED)および六つの検出チャンネルを含む。分析されるすべての反応についての明確なシグナルのしきい値を求め、標準の遺伝子すなわちハウスキーピング遺伝子などの基準となる核酸についてだけではなく、標的核酸についてのこのしきい値に達するのに必要なサイクル数Cpを求める。標的核酸および基準となる核酸について得られたCpの値に基づいて、標的分子のコピーの絶対数または相対数を求めることができる。
【0015】
サンプルによって放たれる蛍光を、ダイクロイックミラーおよびダイクロイックフィルターのセットによって、六つの検出チャンネルのうちの1つで記録できる異なる波長に分離する。市販されている蛍光性化合物のせいで、このことによって、二本鎖DNA結合色素SybrGreenIの検出、TaqManプローブフォーマットを用いる二色の検出およびハイブリダイゼーションプローブ(HybProbe)フォーマットを用いた4色の検出が可能となる。LightCyclerシステムの詳細は、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示されている。
【0016】
しかしながら、多重アッセイに関する重要な欠点が観察されている。複数のプライマー対を用いて複数のアンプリコンを複製する場合において、蛍光の減少がしばしば観察される。
【0017】
従って、本発明の基礎を成す技術的な課題は、定量的リアルタイムPCR増幅および次に続く後期増幅サイクルでの融解曲線分析について改善された性能を提供することである。
【0018】
【特許文献1】米国特許第6,174,670号
【特許文献2】米国特許第5,210,015号
【特許文献3】米国特許第5,538,848号
【特許文献4】米国特許第5,487,972号
【特許文献5】米国特許第5,804,375号
【特許文献6】米国特許第号5,118,801号
【特許文献7】国際公開第WO 02/14555号
【特許文献8】国際公開第WO 97/46707号
【特許文献9】国際公開第WO 97/46712号
【特許文献10】国際公開第WO 97/46714号
【非特許文献1】Matthews, J.A., and Kricka, L.J., Anal. Biochem. 169 (1988) 1-25
【非特許文献2】Bernard, P.S.ら、Anal. Biochem. 255 (1998) 101-107
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、リアルタイムPCRアッセイであって、かかるアッセイにおいて存在する蛍光性化合物が適切に安定化されていることを特徴とするアッセイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ピロホスファターゼが存在することで、リアルタイムPCRの後期サイクルの実験操作中であっても、蛍光シグナリングが安定するようであるという意外な観察結果に基づく。
【0021】
従って、第一の局面においては、本発明は、少なくとも1つの第一の標的核酸をサーモサイクリング手順の間に増幅し検出するための組成物中に存在する少なくとも第一の蛍光実体を安定化させるためのピロホスファターゼの使用に関する。
【0022】
第二の局面においては、本発明は、
−熱安定性DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物
−緩衝剤
−少なくとも2つの増幅用プライマー
−第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブを含有し、さらにピロホスファターゼを含むことを特徴とする標的核酸を増幅し検出するための組成物に向けられている。
【0023】
好ましくは、ピロホスファターゼは熱安定性ピロホスファターゼである。
【0024】
この文脈において、本発明は、増幅されると想定されるそれぞれの標的核酸をさらに含むような組成物にも及ぶ。
【0025】
具体的な態様においては、この組成物は、第二の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第二のハイブリダイゼーションプローブを含み、ここで当該第一および第二のハイブリダイゼーションプローブは共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する。
【0026】
第三の局面においては、本発明は、
−標的核酸を増幅し検出するための上記に開示された組成物を提供する工程、
−上記組成物を、少なくとも1つの第一の標的核酸を含むと想定されるサンプルと共に混合する工程、
−生じた混合物をサーモサイクリングプロトコルに付し、ハイブリダイゼーションに依存する蛍光を監視することによって、当該標的核酸の増幅産物を検出する工程を含む、少なくとも1つの第一の標的核酸を増幅し検出するための方法にも関する。
【0027】
具体的な態様においては、本発明による方法によって、多重リアルタイムPCRを実施することができる。仮にこのような場合、組成物は複数のハイブリダイゼーションプローブを含み、このプローブは少なくとも2つの、好ましくは3〜4の、および最も好ましくは3〜6の異なる増幅標的とハイブリダイズすることができる。
【0028】
第四の局面においては、本発明は、
−熱安定性DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物
−緩衝剤
−少なくとも2つの増幅用プライマー
−第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブ、および
−優先的には熱安定性ピロホスファターゼであるピロホスファターゼを含むキットに向けられている。
【0029】
具体的な態様においては、かかるキットは第二の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第二のハイブリダイゼーションプローブをさらに含み、ここで当該第一および第二のハイブリダイゼーションプローブは共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する。
【0030】
即ち、本発明の要旨は以下である:
〔1〕 耐熱性DNAポリメラーゼ、
デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物、
緩衝剤、
少なくとも2つの増幅プライマーおよび
第1の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第1のハイブリダイゼーションプローブ
を含有してなり、ピロホスファターゼをさらに含有する、標的核酸を増幅し、検出するための組成物;
〔2〕 前記ピロホスファターゼが耐熱性ピロホスファターゼである前記〔1〕記載の組成物;
〔3〕 第2の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第2のハイブリダイゼーションプローブをさらに含有してなり、該第1および第2のハイブリダイゼーションプローブが共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する、前記〔1〕または〔2〕いずれか記載の組成物;
〔4〕 テンプレート核酸をさらに含有してなる前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の組成物;
〔5〕 耐熱性DNAポリメラーゼ、
デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物、
緩衝剤、
少なくとも2つの増幅プライマーおよび
第1の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第1のハイブリダイゼーションプローブ
を含有してなり、ピロホスファターゼをさらに含有するキット;
〔6〕 第2の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第2のハイブリダイゼーションプローブをさらに含有してなり、該第1および第2のハイブリダイゼーションプローブが共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する前記〔5〕記載のキット;
〔7〕 色補正ファイルを含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体をさらに含有してなる前記〔5〕または〔6〕記載のキット;
〔8〕 前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の組成物を提供する工程、
該組成物と、少なくとも第1の標的核酸を含むと推定されるサンプルとを混合する工程、
生じた混合物をサーモサイクリングプロトコルに供する工程、
ハイブリダイゼーションに依存する蛍光をモニターすることによって、該標的核酸の増幅産物を検出する工程
を含む、少なくとも1つの第1の標的核酸を増幅し、検出するための方法;
〔9〕 前記組成物が、少なくとも2つ、好ましくは3〜6つおよび最も好ましくは3〜4つの異なる増幅産物にハイブリダイズすることができる複数のハイブリダイゼーションプローブを含有することを特徴とする前記〔8〕記載の方法;ならびに
〔10〕 サーモサイクリング手順の間に少なくとも1つの第1の標的核酸を増幅するための組成物に存在する少なくとも1つの第1の蛍光実体を安定化させるためのピロホスフェートの使用。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、リアルタイムPCRアッセイであって、かかるアッセイにおいて存在する蛍光性化合物が適切に安定化されていることを特徴とするアッセイが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
多重アッセイにおいては、リアルタイム定量による蛍光値は、後期サイクルにおける初期のバックグラウンドの蛍光より小さいかもしれない。この効果はおそらく、フルオレセインチャンネル530における蛍光の減少に反映する、バッファー条件に影響を与える高濃度のDNA/アンプリコンが原因で生じる。
【0033】
多重実験におけるFRETのドナーの部分としてのフルオレセインの発光について、二段階の減少がしばしば観察される。このことは次には、FRETのアクセプターのあらゆる部分の蛍光発光に影響するという結果を伴う蛍光共鳴エネルギー転移プロセスにおいて、フルオレセインがFRETのドナーとして機能する能力を低下させる。
【0034】
ピロホスファターゼが存在する場合、フルオレセインの発光の減少は一段階であり、このことは、後期増幅サイクルにおけるシグナル減少の影響が少なくとも部分的に補正されることを示唆する。この補正作用を、次の考慮すべき事項によって説明することができる:
【0035】
増幅反応の間に、ヌクレオチド三リン酸が、生じたアンプリコンに結合するのと同時にピロリン酸塩(PPi)が放出される:
【化1】

【0036】
しかしながら、PPi濃度が上昇すると、結果的に反応混合物のpHが低下する。このことは次には、一般的な蛍光色素、とりわけフルオレセインの安定性に影響を与えることが知られている(「活量係数の補正を利用したフルオレセインについてのpKa値の分光光度定量(Spectrophotometricdetermination of pKa values for fluoresceinusing activity coefficient corrections)」, Smith, S.A., Pretorius, W.A., Water SA 28 (2002) 395-402; 「フルオレセインに関する研究-VII:pHの関数としてのフルオレセインの蛍光(Studies on Fluorescein-VII: The Fluorescence of Fluorescein as a function of pH)」; Diehl, H. and Markuszewski, R., Talanta 36 (1989) 416-418)。
【0037】
熱安定性ピロホスファターゼ(PPase)を添加するのと同時に、ピロリン酸塩がオルトリン酸塩(Pi)に変換する。
【0038】
【化2】

【0039】
溶液においては、遊離したオルトリン酸塩は平衡を形成する:
【化3】

【0040】
特に酸性溶液においては、この平衡が原因で、そのpHは上昇し、フルオレセインなどの蛍光性化合物は安定化されたままであろう。
【0041】
従って、第一の局面においては、本発明は、少なくとも1つの第一の標的核酸をサーモサイクリング処理の間に増幅するための組成物において、少なくとも1つの第一の蛍光実体を安定化させるところのピロホスファターゼの使用に向けられている。
【0042】
ピロホスファターゼは好ましくは、37℃を超える温度で最適な活性を示す熱安定性ピロホスファターゼである。このピロホスファターゼはサーモサイクリング処理に抵抗性を示し、40増幅サイクルを超えて、その活性を安定して保持している。適切な熱安定性ピロホスファターゼの一例は、欧州特許第763 599号に開示されている。
【0043】
ピロホスファターゼを、終濃度が少なくとも0.005U/μLだが0.5U/μL以下となるように組成物に添加してもよい。好ましくは、終濃度が約0.01U/μL〜0.1U/μLのピロホスファターゼを添加する。最適例としては、終濃度が約0.04/μLのピロホスファターゼが特定されている。
【0044】
上記の理論的な説明のように、増幅反応の間にピロホスファターゼを添加すると、特に多重実験で異なる標的を増幅する場合には、増幅処理の間のpHの減少が弱まるか、またはさらに完全に抑えられる結果となる。このような効果は結果的に、増幅反応混合物中に存在する蛍光プローブの基本的に任意のタイプの蛍光実体を安定化させる。このような混合物には、TaqManプローブ、分子ビーコン、シングルラベルプローブおよびFRETハイブリダイゼーションプローブの対が含まれるがこれらに限定されるわけではない。とりわけ、ピロホスファターゼの添加は、フルオレセインまたはその他のFRETのドナーの部分として機能し得る蛍光性化合物の安定化にとって極めて有利である。
【0045】
さらに、多重の設定が少なくとも2つまたはそれを超える異なるハイブリダイゼーションプローブを含む場合において、ピロホスファターゼの添加は極めて有利である。とりわけ、このことは、フルオレセインをFRETハイブリダイゼーションプローブの複数の対の唯一のドナー成分として用いることを特徴とする多重FRETハイブリダイゼーションプローブについても当てはまる。
【0046】
この点について、その他の目的のために、ピロホスファターゼは、鋳型に依存する核酸の増幅を実施する技術分野において既に用いられていることに注意する必要がある:
【0047】
欧州特許第763 599号は、全体的な増幅効率を改善するための、PCRにおける添加物としての熱安定性ピロホスファターゼの使用を開示している。同様に、DE 19612779号は、極めて長いDNA鋳型配列を増幅するための、ピロホスファターゼの使用を開示する。米国特許第6,225,092号は、直接的な増幅シークエンシング反応において、ピロホスファターゼを添加することの利益を開示する。最後に米国出願第2003/0049655号は、その後に続くそれぞれの塩を除去するためにホスファターゼを添加するだけではなく、室温での非特異的なプライマー伸長を防止するための、PCR反応混合物への添加物としてのピロリン酸塩の使用を開示する。しかしながら、これらの参考文献のどれにも、および発明者の最良の知識に従うところのその他の先行技術の参考文献にも、リアルタイムPCRのための添加物としてピロホスファターゼを使用することについての予想または示唆はない。
【0048】
第二の局面においては、本発明は、
−熱安定性DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物
−緩衝剤
−少なくとも2つの増幅用プライマー
−第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブを含み、当該組成物がさらにピロホスファターゼを含むことを特徴とする、標的核酸を増幅し検出するための組成物に関する。
【0049】
好ましくは、ピロホスファターゼは熱安定性ピロホスファターゼである。また好ましくは、当該ピロホスファターゼは、終濃度が少なくとも0.005U/μLだが0.5U/μL以下で存在する。極めて好ましいものは、終濃度が約0.01U/μL〜0.1U/μLであり、最適な終濃度が約0.04U/μLのものである。
【0050】
この熱安定性DNAポリメラーゼは、本技術分野において知られている、PCR増幅反応を実施することができる天然の、組み換え型のおよび/または化学修飾されたDNAポリメラーゼのあらゆる種類のものであってよい。これには、たとえばTaqポリメラーゼまたはあらゆる種類の標的の二本鎖DNAを増幅することができるその他のあらゆるポリメラーゼが含まれる。さらに、これには、相当な程度の逆転写酵素活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼ、たとえば米国特許第5,618,711号に開示されたthermus thermophilusに由来するDNAポリメラーゼが含まれる。
【0051】
とりわけ、DNAポリメラーゼは、米国特許第5,677,152号および米国特許第5,773,258号に開示された化学修飾を含んでもよい。これらの参考文献に開示された酵素は、増幅の第一サイクルの前に酵素を不活性化させ、それによって結果的にいわゆるホットスタート効果を生じさせるような、電子対を共有するが熱に不安定な修飾を含む。
【0052】
多くの場合、ヌクレオシドの混合物には、増幅反応にとって十分な単量体性の遊離物を提供するのに足りるほぼ等モル量のdATP、dGTP、dCTPおよびdTTPが含まれる。dTTPの代わりに、dUTPを用いてもよい。さらに、この混合物は、塩基類似体d-NTPまたはあらゆる種類の非ヌクレオシド塩基類似体dNTPをさらに含んでいてもよい。
【0053】
適切な緩衝剤の他に、この組成物は、熱安定性ポリメラーゼの酵素活性または好ましくは熱安定性ピロリン酸塩のいずれかを最適化するための無機イオン、塩類または化合物をさらに含んでもよい。さらに、これらの化合物はプライマーのアニーリングの特異性を高めうる。好ましくは、この組成物は、1〜5mMのMgCl2の間の濃度範囲のMgCl2を含む。
【0054】
増幅用プライマーの少なくとも一対はオリゴヌクレオチドの対であり、その2つの部分が逆向きの方向で標的核配列に結合する。このようなオリゴヌクレオチドを、本技術分野において周知の従来のホスホラミダイト化学を用いて調製してもよい。その上、この技術によって、適切なホスホラミデートが利用できる限り、修飾されたまたは標識されたヌクレオチドの結合が可能となる。
【0055】
特定の態様においては、本発明の組成物は、増幅用プライマーの複数の対および好ましくは2、3、4または5〜6対の増幅用プライマーを含んでもよい。これらのものは、分析されるサンプルに存在すると想定されている種々の標的配列を増幅することができる。
【0056】
本発明の組成物は、第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブを含む。このハイブリダイゼーションプローブは、リアルタイムPCRで用いられる、たとえばTaqManプローブ、分子ビーコン、シングルラベルプローブなどのハイブリダイゼーションプローブのあらゆる種類のものであってよい。具体的な態様においては、この組成物は、第二の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第二のハイブリダイゼーションプローブを含み、ここで当該第一および第二のハイブリダイゼーションプローブは共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する。言い換えれば、本発明の組成物はFRETハイブリダイゼーションプローブの少なくとも一対を含んでいてもよい。
【0057】
本発明の組成物は、異なる標的核配列とハイブリダイズする、2、3、4、5〜6またはさらに様々に標識されたハイブリダイゼーションプローブを含んでもよい。さらに、本発明の範囲内において、この組成物は、FRETハイブリダイゼーションプローブのそれぞれの対が、異なる核酸配列とハイブリダイズすることを特徴とする、2、3、4または5〜6対のFRETハイブリダイゼーションプローブを含んでもよい。好ましくは、当該ハイブリダイゼーションプローブの複数の対のFRETのドナーのすべての部分が同一である。最も好ましくは、ドナーのすべての部分がフルオレセインである。
【0058】
分析対象のサンプルと混合する場合、上記に開示されたすべての本発明の組成物は、当該サンプル中に存在することが想定される1つ以上の標的核酸配列を増幅し検出するために使用されうる。この文脈において、本発明は、上記に開示された組成物に存在する成分に加えて、それぞれの標的核酸配列または増幅されると想定される標的核酸配列を含む組成物にも及ぶ。
【0059】
別の局面においては、本発明は、本発明の組成物を調製するためのキットにも関する。
【0060】
より精密には、このようなキットは、少なくとも
(i)熱安定性DNAポリメラーゼ
(ii)デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物
(iii)緩衝剤
(iv)2つの増幅用プライマーの少なくとも一対
(v)第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブ、および
(vi)優先的には熱安定性ピロホスファターゼであるピロホスファターゼを含む。
【0061】
異なる成分を、異なる容器にそれぞれ個別に貯蔵してもよい。あるいは、異なる成分をひとまとめにして1つの貯蔵容器内に貯蔵してもよい。あるいは、(i)〜(vi)の成分の一部のみを任意に選択した組み合わせをまとめて貯蔵してもよい。好ましい態様においては、成分(ii)、(iii)、(iv)および(v)をまとめて貯蔵し、成分(i)および(vi)をそれぞれ別個に貯蔵する。別の好ましい態様においては、(i)、(ii)、(iii)および(iv)ならびに(v)をまとめて貯蔵する。
【0062】
別の態様においては、このようなキットは増幅用プライマーの複数の対、好ましくは2、3、4または5〜6対の増幅用プライマー、およびTaqManプローブ、分子ビーコンおよびシングルラベルプローブからなる群より選択される(がこれらに限定されるわけではない)それぞれ2、3、4または5〜6の異なる標識されたハイブリダイゼーションプローブを含む。
【0063】
さらに別の具体的な態様においては、当該キットは第二の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第二のハイブリダイゼーションプローブをさらに含み、ここで当該第一および第二のハイブリダイゼーションプローブは共にFRETハイブリダイゼーションプローブの対を構成する。さらに、このようなキットは、2、3、4または5〜6対の増幅用プライマーを、FRETハイブリダイゼーションプローブのそれぞれの対が増幅用プライマーの異なる対によって増幅される異なる核酸配列とハイブリダイズすることを特徴とする、2、3、4または5〜6対のFRETハイブリダイゼーションプローブと共に含んでもよい。好ましくは、当該ハイブリダイゼーションプローブの複数の対のFRETのドナーのすべての部分が同一である。最も好ましくは、(少なくとも1つ、いくつかまたはすべての)ドナーの部分がフルオレセインである。
【0064】
極めて具体的な態様においては、本発明のキットは、「色補正ファイル」を含むコンピュータが読み取り可能な記録媒体をさらに含んでもよい。このような色補正ファイルは、多重実験において生じることがある、異なる検出チャンネル間のクロストークを補正するための手段である。言い換えれば、異なる検出チャンネル間のクロストークを計算するために、それぞれの実験で得られるデータを特定の数学的な操作に付す。
【0065】
さらなる局面においては、本発明は、
−熱安定性DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物
−緩衝剤
−少なくとも2つの増幅用プライマー
−第一の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第一のハイブリダイゼーションプローブ
−優先的には熱安定性ピロホスファターゼであるピロホスファターゼ
を含有する、標的核酸を増幅し検出するための組成物を提供する工程、
−当該組成物を、少なくとも1つの第一の標的核酸を含むと想定されるサンプルと共に混合する工程、
−リアルタイムサーモサイクラー装置において、生じた混合物をサーモサイクリングプロトコルに付す工程、および
−ハイブリダイゼーションに依存する蛍光を監視することによって、当該標的核酸の増幅産物を検出する工程を含む、方法にも関する。
【0066】
本発明の方法を実施するために、上記に開示されたすべての組成物およびキットを用いてもよい。とりわけ、本発明の方法によって、多重リアルタイムPCRを実施することができる。仮にこのような場合、組成物は複数のハイブリダイゼーションプローブを含み、これらのプローブは少なくとも2つの、好ましくは3〜4の、および最も好ましくは3〜6の異なる増幅標的とハイブリダイズすることができる。
【0067】
この新規な方法は、特にFRETのドナー化合物のすべてが同一の場合、たとえばFRETのドナー化合物のすべてがフルオレセインの場合、FRETハイブリダイゼーションプローブの複数の対を用いる多重PCR実験について特に有用である。
【0068】
本発明の理解を助けるために、次の実施例、参考文献、配列表および図面を提供する。本発明の真の範囲は添付された請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された処理において修飾できることが理解される。
【実施例】
【0069】
実施例1
LightCycler 2.0装置でFRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットを用いた四重PCR
Light Cycler 2.0装置(Roche Applied Science カタログ番号3 531 414 201)で4例の異なるハウスキーピング遺伝子h-PBGD、hβ2-M、h-G6PDHおよびhHPRTを増幅し検出するために、Roche Applied Science カタログ番号3 146 073、3 146 081、3 261 883および3 261 891に従うところの配列を有するプライマーおよびプローブを用いた。0.8単位の熱安定性ピロホスファターゼ(Calbiochem カタログ番号:405822)がある場合またはない場合にて、増幅を実施した。
【0070】
最初に、10倍の検出混合物を調製した:
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
フルオレセイン-CPG(Roche Applied Science カタログ番号3 138 187、LC-Red-610(Roche Applied Science カタログ3 561 488)、LC-Red 640(Roche Applied Science カタログ番号2 015 161)、LC-Red-705(Roche Applied Science カタログ番号2 157 594)およびCy-5-NHS-エステル(Amershamカタログ番号27179901)またはCy-5ホスホラミデート(Amersham カタログ番号PA 15100)を用いるホスホラミデート化学の標準的なプロトコルに従って、プライマーおよびプローブを合成した。
【0075】
全容積が20μLのそれぞれの毛細管について、4μLの5×Master Mix(Multiplex Master Roche Applied Science カタログ番号04 340 019 001)を、0.8μLの25mM MgCl2および2μLの10×Detection Mixのそれぞれ、ならびにRoche Applied Science カタログ番号3 146 073、3 146 081、3 261883および3 261 891)のRNA標準から逆転写されたそれぞれのDNAを約105コピー含む4μLのヒトcDNAと混合した。それぞれの第二のアリコートにおいて、0.8μLの熱安定性ピロホスファターゼ(1U/μL、Calbiochem カタログ番号:405822)を添加し、結果として終濃度を0.04U/μLとした)。
【0076】
それぞれのピペッティングスキームは次のとおりであった:
【表5】

【0077】
次のプロトコルに従って、リアルタイムでのサーモサイクリングおよび検出を行った:
【表6】

【0078】
実線はピロホスファターゼを含むサンプルを表し、破線はピロホスファターゼを含まないサンプルを表す特徴を有する、異なる検出チャンネルからの蛍光発光を図1〜5に示す。
【0079】
FRETハイブリダイゼーションプローブの異なるすべての4対のFRETのドナーの部分としてのフルオレセインの発光を、図1に示す。図面に見られるように、二段階の減少を測定することができ、その一方0.8Uのピロホスファターゼが存在する場合、減少は一段階である。従って、ピロホスファターゼは、後期増幅サイクルの間に、少なくとも部分的にフルオレセインを安定させることができる。
【0080】
ピロホスファターゼがある場合またはない場合での、4例の異なるハウスキーピング遺伝子(図2はチャンネル610、h-β2-M)、図3はチャンネル640(PBGD)、図4はチャンネル670(HPRT)および図5はチャンネル705(G6PDH))の増幅および検出について表示するFRETのアクセプターの異なる部分の、45の増幅サイクルを通しての発光が図2〜5に示される。
【0081】
図面から読み取れるように、ピロホスファターゼがないサンプルにおいて、4チャンネルのすべてにおける蛍光シグナリングは約35の増幅サイクルでピークとなり、それに続いて次第に減少した。この効果は、LC-Red 610(図2)、LC-Red 640(図3)およびLC-Red 705(図5)で標識されたFRETのドナープローブについてさらに0.8Uのピロホスファターゼを含むサンプルにおいては完全に補正され、Cy-5(図4)で標識されたプローブについては実質的に補正された。従って、ホスファターゼの添加によって、後期増幅サイクルにおけるFRETのアクセプターの種々の部分のシグナリングの安定化が可能となる。おそらくはFRETのドナーのフルオレセインの安定化が原因である。
【0082】
実施例2
LightCycler 2.0装置でFRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットを用いた三重PCR
それぞれのプラスミドDNAの1×106コピーに由来する三種の異なる配列を増幅するために、基本的に実施例1と同じ条件下で、三重リアルタイムPCR実験を行った。Roche Applied Science(カタログ番号1 721 992)からの熱安定性ピロホスファターゼを用いた。LC-Red 640を蛍光性アクセプターの部分として用いて第II因子のDNAを検出するために、ならびにhHFEの二種のアイソフォームであるところの、Cy-5を蛍光性アクセプターの部分として用いてHFE 845を検出するために、およびLC-Red 705を蛍光性アクセプターの部分として用いてHFE 187を検出するために、適切なプライマーおよびプローブを用いてPCRを実施した。5'アクセプターの部分を保持するプローブを末端のリン酸基の部分と共にそれぞれの3'末端でブロックした。
【0083】
これら三種の標的について、次のプライマーおよびプローブを用いた:
【表7】

【0084】
さらに本実験において、0.8単位のピロホスファターゼを添加することによって、後期増幅サイクルでの蛍光シグナリングの減少を、LC-Red 640およびLC-Red 705の発光については完全に、Cy-5の発光については実質的に補うことができた。
【0085】
参考文献のリスト
Bernard, P.S.ら、Anal. Biochem. 255 (1998) 101-107
DE 19612779
Diehl, H., およびMarkuszewski, R., Talanta 36 (1989) 416-418
EP 763 599
Matthews, J.A.およびKricka, L.J., Anal. Biochem. 169 (1988) 1-25
Smith, S.A., Pretorius, W.A., Water SA 28 (2002) 395-402
US 2003/0049655
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US 5,210,015
US 5,487,972
US 5,538,848
US 5,618,711
US 5,677,152
US 5,773,258
US 5,804,375
US 6,174,670
US 6,225,092
WO 02/14555
WO 97/46707
WO 97/46712
WO 97/46714
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】四重PCRハウスキーピング遺伝子:β2M(チャンネル610)、PBGD(チャンネル640)、HPRT(チャンネル670)、G6PDH(チャンネル705)破線はピロホスファターゼが無い場合;実線:0.8Uのピロホスファターゼを含む場合。チャンネル530、フルオレセイン発光。
【図2】四重PCRハウスキーピング遺伝子:β2M(チャンネル610)、PBGD(チャンネル640)、HPRT(チャンネル670)、G6PDH(チャンネル705)破線はピロホスファターゼが無い場合;実線:0.8Uのピロホスファターゼを含む場合。チャンネル610、LC-Red 610発光。
【図3】四重PCRハウスキーピング遺伝子:β2M(チャンネル610)、PBGD(チャンネル640)、HPRT(チャンネル670)、G6PDH(チャンネル705)破線はピロホスファターゼが無い場合;実線:0.8Uのピロホスファターゼを含む場合。チャンネル640、LC-Red 640発光。
【図4】四重PCRハウスキーピング遺伝子:β2M(チャンネル610)、PBGD(チャンネル640)、HPRT(チャンネル670)、G6PDH(チャンネル705)破線はピロホスファターゼが無い場合;実線:0.8Uのピロホスファターゼを含む場合。チャンネル670、Cy-5発光。
【図5】四重PCRハウスキーピング遺伝子:β2M(チャンネル610)、PBGD(チャンネル640)、HPRT(チャンネル670)、G6PDH(チャンネル705)破線はピロホスファターゼが無い場合;実線:0.8Uのピロホスファターゼを含む場合。チャンネル705:LC-Red 705発光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性DNAポリメラーゼ、
デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物、
緩衝剤、
少なくとも2つの増幅プライマーおよび
第1の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第1のハイブリダイゼーションプローブ
を含有してなり、ピロホスファターゼをさらに含有する、標的核酸を増幅し、検出するための組成物。
【請求項2】
耐熱性DNAポリメラーゼ、
デオキシヌクレオシド三リン酸の混合物、
緩衝剤、
少なくとも2つの増幅プライマーおよび
第1の蛍光実体で標識された少なくとも1つの第1のハイブリダイゼーションプローブ
を含有してなり、ピロホスファターゼをさらに含有するキット。
【請求項3】
請求項1記載の組成物を提供する工程、
該組成物と、少なくとも第1の標的核酸を含むと推定されるサンプルとを混合する工程、
生じた混合物をサーモサイクリングプロトコルに供する工程、
ハイブリダイゼーションに依存する蛍光をモニターすることによって、該標的核酸の増幅産物を検出する工程
を含む、少なくとも1つの第1の標的核酸を増幅し、検出するための方法。
【請求項4】
サーモサイクリング手順の間に少なくとも1つの第1の標的核酸を増幅するための組成物に存在する少なくとも1つの第1の蛍光実体を安定化させるためのピロホスフェートの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75167(P2006−75167A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−261187(P2005−261187)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】