説明

ピロリジン化合物の製造方法

【課題】高価な試薬や超低温条件を用いなくとも、立体的に非常に込み合ったトリ置換メチル基を有する化合物(3)を、効率的に製造できる方法を提供すること。
【解決手段】式(3)


で表される化合物またはその塩の製造方法であって、
式(1)


で表される化合物を、式(2)


で表される化合物またはその塩と、ホルムアルデヒドまたはその誘導体の存在下に反応させることを含む方法(式中、各記号の定義は明細書記載の通りである)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、農薬、有機電子材料等あるいはそれらの中間体として有用なピロリジン化合物の製造方法、さらに詳しくはN−トリ置換メチル−トランス−3,4−ジ置換ピロリジン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(3)
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を表し、各当該アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が窒素原子で置換されていてもよく、ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は互いに隣り合うことはない。Xは電子吸引基を示す。RとXとは絶対配置を示すのではなく、お互いがピロリジン環に対してトランス位に配置されていることを示す。)で表される化合物(以下、化合物(3)と記すこともある。)は、医薬、農薬、有機電子材料等あるいはそれらの中間体として有用な化合物である。たとえば、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステルは、メラノコルチン(melanocortin)−4(MC−4)レセプターアゴニストとして有用な薬剤の中間体として有用である(例えば、特許文献1)。また、化合物(3)は立体的に非常に込み合ったトリ置換メチル基を有しており、その合成法としては例えば、特許文献1中に、下記スキーム1記載の方法が開示されている。
【0005】
【化2】

【0006】
しかしながら、この方法は、高価なリチウムヘキサメチルジシラジドを使用し、超低温を必要とするなどの問題点を有している。
【特許文献1】国際公開第04/092126号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高価な試薬や超低温条件を用いなくとも、立体的に非常に込み合ったトリ置換メチル基を有する化合物(3)を、効率的に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
<1> 化合物(3)またはその塩の製造方法であって、
式(1)
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、R及びXは前記と同義を有する。)
で表される化合物(以下、化合物(1)と記すことがある。)を、式(2)
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R、RおよびRは前記と同義を有する。)
で表される化合物(以下、化合物(2)と記すことがある。)またはその塩と、ホルムアルデヒドまたはその誘導体存在下に反応させることを含む方法。
<2> R、RおよびRがそれぞれアルキル基である<1>に記載の方法。
<3> R、RおよびRがそれぞれメチル基である<2>に記載の方法。
<4> Rが置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいアルキル基である<1>から<3>のいずれかに記載の方法。
<5> Rがフッ素原子で置換されたフェニル基またはメチル基である<4>に記載の方法。
<6> Rが2,4−ジフルオロフェニル基である<5>に記載の方法。
<7> Xが式(V)で表される基、式(VI)で表される基、ホルミル基、シアノ基またはニトロ基である<1>から<6>のいずれかに記載の方法。
【0013】
【化5】

【0014】
(式中、Rxは置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を示す。)
<8> Xが式(V)で表される基である<7>に記載の方法。
<9> Xがメトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基である<8>に記載の方法。
<10> 化合物(1)が、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸t−ブチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸ベンジル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸L−メンチルまたは光学活性3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルである<1>から<4>のいずれかに記載の方法。
<11> 化合物(2)が、N−t−ブチルグリシン、N−(1−メチル−1−フェニル)エチルグリシン、N−(1−シクロヘキシル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アリル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1,1−ジフェニル)エチルグリシン、N−トリフェニルメチルグリシンまたはN−トリシクロヘキシルメチルグリシンである<1>、<5>から<9>のいずれかに記載の方法。
<12> 化合物(3)が、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸イソプロピル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸t−ブチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸ベンジル、光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メンチルまたは光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルである<1>に記載の方法。
<13> ホルムアルデヒドまたはその誘導体が、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルマリン水溶液、メトキシメタノールまたはジメトキシメタンである<1>から<12>のいずれかに記載の方法。
<14> ホルムアルデヒドまたはその誘導体が、パラホルムアルデヒドである<13>に記載の方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高価な試薬や、超低温反応を用いることなく、短い工程で効率よく立体的に非常に込み合ったトリ置換メチル基を有する化合物(3)を製造できるため、工業的に有利な方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について具体的に説明する。
式(3)、式(1)におけるRの説明
「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12の直鎖または分枝のアルキル基が挙げられる。
【0017】
「置換されていてもよいシクロアルキル基」における「シクロアルキル基」の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜7個のシクロアルキル基が挙げられる。
【0018】
「置換されていてもよいアルケニル基」における「アルケニル基」の例としては、エテニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、1−ノネニル基、2−ノネニル基、1−デセニル基、2−デセニル基、1−ウンデセニル基、1−ドデセニル基等の炭素数2〜12の直鎖または分枝のアルケニル基が挙げられる。
【0019】
「置換されていてもよいアルキニル基」における「アルキニル基」の例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−メチル−2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、1−ウンデシニル、1−ドデシニル等の炭素数2〜12の直鎖または分枝のアルキニル基が挙げられる。
【0020】
当該それぞれの「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「アルケニル基」および「アルキニル基」中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が−N=基で置換されていてもよい。ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は、互いに隣り合うことはない。その例としては、メトキシメチル基、メトキシ基、t−ブトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メチルチオメチル基、2−ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノ基、2−ジエチルアミノエトキシメチル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシメチル基、3−アセチルプロピル基、2−アセチルオキシエチル基、ピバロイルオキシメチル基、4−アリルオキシブチル基等が含まれる。
【0021】
当該「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「アルケニル基」および「アルキニル基」が有してもよい置換基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基等が含まれる。置換基の数は特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。
【0022】
「置換されていてもよい芳香族基」における「芳香族基」の例としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基など);炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有する5〜7員環の芳香族ヘテロ環基(例えば、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基など);同一または異なる当該芳香族ヘテロ環同士からなる縮合環基(例えば、ナフチリジニル基、イミダゾピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピリミドピラジニル基、ピロロピリミジニル基など);当該芳香族ヘテロ環と上記芳香族炭化水素からなる縮合環基(例えば、ベンゾフラニル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基など)等が含まれる。
【0023】
当該「芳香族基」が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;上記と同義の「置換されていてもよいアルキル基」;上記と同義の「置換されていてもよいアルケニル基」;上記と同義の「置換されていてもよいアルキニル基」(当該アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が−N=基で置換されていてもよい。ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は、互いに隣り合うことはない。);ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、上記と同義の「置換されていてもよいアルキル基」、上記と同義の「置換されていてもよいアルケニル基」および上記と同義の「置換されていてもよいアルキニル基」から選ばれる置換基で置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基等)等が挙げられる。
【0024】
Rとしては、置換されていてもよいフェニル基及び置換されていてもよいアルキル基が好ましく、フッ素原子で置換されたフェニル基及びメチル基がより好ましく、2,4−ジフルオロフェニル基が特に好ましい。
【0025】
式(3)、式(1)におけるXの説明
電子吸引基の例としては、下記式(V)で表される基、式(VI)で表される基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、Rxは置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を示す。)
【0028】
ここで、Rxで示される「置換されていてもよい芳香族基」、「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」および「置換されていてもよいアルキニル基」は、それぞれ、Rにおいて定義されたものと同義であり、また、当該各「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「アルケニル基」および「アルキニル基」中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が−N=基で置換されていてもよい。ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は、互いに隣り合うことはない。
【0029】
Rxとして好ましくは置換されていてもよいアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0030】
Xとしては、式(V)で表される基が好ましく、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基がさらに好ましい。
【0031】
また、Rxに不斉中心をもつ光学活性な置換基を用いることにより、得られる化合物(3)のピロリジン環3,4位に不斉が誘起され、光学活性な化合物(3)を得ることができる。その後、加水分解や酸化処理などでRx基を除去することにより、光学活性なピロリジン化合物に導くことができる。従って、Rxに不斉中心をもつ光学活性な置換基を用いることは、光学活性ピロリジン化合物を得る場合に有利である。
【0032】
式(3)、式(2)におけるR、RおよびRの説明
、RおよびRで示される「置換されていてもよい芳香族基」、「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」および「置換されていてもよいアルキニル基」は、それぞれ、Rにおいて定義されたものと同義であり、また、当該各「アルキル基」、「シクロアルキル基」、「アルケニル基」および「アルキニル基」中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が−N=基で置換されていてもよい。ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は、互いに隣り合うことはない。
好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0033】
化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)の例
化合物(1)の例としては、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル、 3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸イソプロピル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸t−ブチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸ベンジル、光学活性3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メンチル、光学活性3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリロニトリル、3−(2,5−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル、3−(2−フルオロフェニル)アクリル酸メチル、3−(4−フルオロフェニル)アクリル酸エチル、3−(2,4−ジクロロフェニル)アクリル酸エチル、3−(4−クロロフェニル)アクリル酸エチル、3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸ベンジル、3−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)アクリル酸エチル、3−(4−ニトロフェニル)アクリル酸エチル、3−(4−シアノフェニル)アクリル酸エチル、3−(4−メチルチオフェニル)アクリル酸エチル、3−(4−アセチルフェニル)アクリル酸エチル、桂皮酸エチル、クロトン酸エチル、3−(3−ピリジル)アクリル酸エチル、4−ベンジルオキシ−2−ブテン酸メチル、4−(メトキシ)メトキシ−2−ブテン酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−ブテン酸メチル、4−フェニル−3−ブテン−2−オン、2−ニトロビニルベンゼンなどが含まれ、好ましくは3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸t−ブチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸ベンジル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸L−メンチルおよび光学活性3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルであり、より好ましくは3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチルおよび3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メチルである。
【0034】
化合物(2)の例としては、N−t−ブチルグリシン、N−(1−メチル−1−フェニル)エチルグリシン、N−(1−シクロヘキシル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アリル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1,1−ジフェニル)エチルグリシン、N−トリフェニルメチルグリシン、N−トリシクロヘキシルメチルグリシン、N−(1−メトキシ−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−メチルチオ−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アセチル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アセチルオキシ−1−メチル)エチルグリシン等が含まれ、好ましくはN−t−ブチルグリシン、N−(1−メチル−1−フェニル)エチルグリシン、N−(1−シクロヘキシル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アリル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1,1−ジフェニル)エチルグリシン、N−トリフェニルメチルグリシンおよびN−トリシクロヘキシルメチルグリシンであり、より好ましくはN−t−ブチルグリシンである。
【0035】
化合物(3)の例としては、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸イソプロピル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸t−ブチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸ベンジル、光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メンチル、光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニル、trans−1−t−ブチル−3−シアノ−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン、trans−1−t−ブチル−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−クロロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−ニトロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−シアノフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−メチルチオフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(4−アセチルフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−フェニルピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−メチルピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(3−ピリジニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(ベンジルオキシメチル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(メトキシメトキシメチル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−3−アセチル−4−フェニルピロリジン、trans−1−t−ブチル−3−ニトロ−4−フェニルピロリジン、trans−1−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−シクロヘキシル−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−アリル−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1,1−ジフェニルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(トリフェニルメチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(トリシクロヘキシルメチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−メトキシ−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−メチルチオ−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−アセチル−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−(1−アセチルオキシ−1−メチルエチル)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチルなどが含まれ、好ましくはtrans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸イソプロピル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸t−ブチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸ベンジル、光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メンチル及び光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルであり、より好ましくはtrans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル及びtrans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチルである。尚、式(3)におけるRとXとは絶対配置を示すのではなく、お互いがピロリジン環に対してトランス位に配置されていることを示す。例えば、式(3)において、Rが2,4−ジフルオロフェニル基で、Xがエトキシカルボニル基、そしてR、R及びRが何れもメチル基であるtrans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステルの場合、(3R,4S)体または(3S,4R)体のいずれかまたはその混合物を表す。
【0036】
ホルムアルデヒドまたはその誘導体の説明
ホルムアルデヒドまたはその誘導体とは、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドの重合物、ホルムアルデヒドの環状物、ホルムアルデヒドの水和物、ホルムアルデヒドとアルコールとのヘミアセタール、ホルムアルデヒドとアルコールとのジアセタール、ホルムアルデヒドとアルキレンジオールとの環状アセタール等を指す。具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルマリン水溶液、メトキシメタノール、エトキシメタノール、プロポキシメタノール、イソプロポキシメタノール、ブトキシメタノール、イソブトキシメタノール、t−ブトキシメタノール、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジプロポキシメタン、ジイソプロポキシメタン、ジブトキシメタン、ジイソブトキシメタン、ジ−t−ブトキシメタン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン等が挙げられる。これら誘導体はどれも好適に使用できるが、取り扱いやすさや入手の容易さから、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルマリン水溶液、メトキシメタノール及びジメトキシメタンが好ましく、パラホルムアルデヒドがさらに好ましい。
【0037】
化合物(2)の塩および化合物(3)の塩の説明
化合物(2)はアミンおよびカルボン酸を有しており、酸付加塩または塩基との塩を形成してもよい。また、化合物(3)はピロリジン環を有しており、酸付加塩を形成してもよい。
【0038】
化合物(2)の塩を使用する場合は、反応中に酸または塩基を適宜添加し、中和すればよい。
【0039】
酸付加塩としては、例えば無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等)が挙げられ;塩基との塩としては、例えばアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。
【0040】
化合物(1)及び化合物(2)の製造方法
化合物(1)は、CHX(Xは前記と同義である)で表される化合物とR−CHO(Rは前記と同義である)で表される化合物とのアルドール反応やCHXCOOH(Xは前記と同義である)で表される化合物とRCHO(Rは前記と同義である)で表される化合物とのネーヴェナーゲル反応、あるいは、BrCHX(Xは前記と同義である)で表される化合物とトリフェニルフォスフィンまたはジアルコキシフォスフィンから調製されるウィッティッヒ試薬またはホーナー・エモンズ試薬とRCHO(Rは前記と同義である)で表される化合物とのウィッティッヒ反応またはホーナー・エモンズ反応などの一般的な反応によって調製される。一方、化合物(2)は、ハロ酢酸とRNH(R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物との縮合反応によって調製される。
【0041】
化合物(3)の詳細な製造法の説明
化合物(1)と、化合物(2)とをホルムアルデヒドまたはその誘導体存在下、反応させることにより、化合物(3)を得ることができる。たとえば、下記[1]〜[6]に記載の方法を挙げることができ、また、それらを部分的に組み合わせた方法を挙げることもできる。
【0042】
[1]ホルムアルデヒドまたはその誘導体を、まず溶媒に分散または溶解させ、化合物(1)及び化合物(2)を順次添加する方法
[2]ホルムアルデヒドまたはその誘導体を、まず溶媒に分散または溶解させ、化合物(2)及び化合物(1)を順次添加する方法
[3]化合物(1)をまず溶媒に分散または溶解させ、化合物(2)及びホルムアルデヒドまたはその誘導体を順次添加する方法
[4]化合物(1)をまず溶媒に分散または溶解させ、ホルムアルデヒドまたはその誘導体及び化合物(2)を順次添加する方法
[5]化合物(2)をまず溶媒に分散または溶解させ、化合物(1)及びホルムアルデヒドまたはその誘導体を順次添加する方法
[6]化合物(2)をまず溶媒に分散または溶解させ、ホルムアルデヒドまたはその誘導体及び化合物(1)を順次添加する方法
[2]及び[6]の方法については、化合物(1)を添加する前に、化合物(2)とホルムアルデヒドまたはその誘導体溶液とを予め十分に反応させておいてもよい。また、[2]及び[6]の変法として、化合物(2)及びホルムアルデヒドまたはその誘導体を混合後、予め十分に反応させ、該反応液を、化合物(1)を分散または溶解させた液中に添加する方法を挙げることもでき、さらには、それらを部分的に組み合わせた方法などを挙げることもできる。
【0043】
化合物(2)の量は、化合物(1)1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1〜4モル、さらに好ましくは2〜4モルである。ホルムアルデヒドまたはその誘導体の量は、化合物(1)1モルに対して通常1〜20モル、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは2〜6モルである。
【0044】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はなく、たとえば、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、塩素化炭化水素などが好適に使用でき、芳香族炭化水素及びエーテル溶媒が更に好ましい。脂肪族炭化水素溶媒の例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、石油エーテルなどが挙げられる。芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。アルコール溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、イソペンチルアルコール、n−ヘキサノール、2−ヘキサノール、イソヘキシルアルコール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、イソヘプチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノt−ブチルエーテルなどが挙げられる。塩素化炭化水素の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。中でもキシレン及びジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)が特に好ましい。
【0045】
溶媒の量は、撹拌性、反応時間等の点から、化合物(1)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは、5〜50Lである。
【0046】
反応時間は通常1〜48時間で、反応温度は通常50〜200℃、好ましくは100〜150℃である。
【0047】
反応液中に、適宜触媒を加えて、反応を促進させてもよい。触媒としては、化合物(1)のLUMO(最低空軌道)を下げる効果があるものが好ましく、例えば、ルイス酸、アミノ酸、2級アミンなどが好ましい。また、この触媒が光学活性体であるかまたはさらに光学活性配位子を加えることにより、化合物(3)を光学活性体として得ることが可能である。
【0048】
化合物(3)の単離は、反応液を常法による後処理(たとえば、中和、抽出、水洗、造塩、結晶化など)に付すことにより行うことができる。またその精製は、化合物(3)またはその塩を再結晶、抽出精製、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより行うことができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0050】
製造例1
3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチルの合成
窒素雰囲気下、THF(200ml)中に60wt%水素化ナトリウム(4.0g, 0.10mol)を加え、0℃に冷却した。ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル(22.0g, 0.098mol)のTHF(200ml)溶液を滴下し、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。
次に2,4−ジフルオロベンズアルデヒド(13.5g、 0.095mol)のTHF(100ml)溶液を0℃で滴下し、反応混合物を室温に戻し終夜撹拌した。反応液に、酢酸エチル(300ml)及び水(200ml)を加え撹拌後分液し、得られる有機相をさらに水(100ml)で2回洗浄した。洗浄した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮することにより、表題化合物(19.0g、 0.090mol)を得た。(収率 94%)
1H−NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.34(3H, t, J=7Hz), 4.27(2H, q, J=7 Hz), 6.47(1H, d, J=16 Hz), 6.83−6.93(2H, m), 7.49−7.55(1H, m), 7.74(1H, d, J=16Hz) ppm.
13C−NMR(CDCl3, 100MHz) δ 14.29, 60.59, 104.5, 111.8, 118.9, 120.4, 130.0, 136.0, 166.4 ppm.
【0051】
製造例2
N−t−ブチルグリシン塩酸塩の合成
窒素雰囲気下、トルエン(120ml)中にt−ブチルアミン(35.0g, 0.479mol)を加え、ブロモ酢酸エチル(40.1g, 0.240mol)のトルエン(40ml)溶液を25〜40℃で滴下し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応液から析出した固体をろ過で取り除き、ろ液を減圧下で濃縮した後、6M水酸化ナトリウム水溶液(40ml, 0.240mol)を加え、100℃にて20分間加熱還流した。室温に戻し、濃塩酸でpHを1〜2に調整した後、減圧下濃縮した。得られた白色固体に濃塩酸(50ml)を加え、80℃に加熱し、デカンテーションにより得られた水相を濃縮した。生成した結晶をアセトンで洗浄し、表題化合物(24.9g,0.149mol)を得た。(収率 62%)
1H−NMR(CD3OD, 400MHz) δ 1.39(9H, s), 3.89(2H, s) ppm.
13C−NMR(CD3OD, 100MHz) δ 25.77, 42.95, 58.33, 168.9 ppm.
【0052】
実施例1
trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
N−t−ブチルグリシン塩酸塩(1.1g, 6.6mmol)にメタノール(10ml)を加え、28wt%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液(1.3g, 6.7mmol)で中和した後、減圧下で濃縮した。濃縮残渣にキシレン(25ml)、パラホルムアルデヒド(0.45g, 15mmol)、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル(0.53g, 2.5mmol)を混合し、混合物を135〜141℃で24時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、減圧下に濃縮し、1M塩酸(10ml)を加えた。塩酸溶液を、ヘプタン(10ml)で洗浄し分液した後、酢酸エチル(20ml)で3回抽出した。得られた有機相を併せて、1M水酸化ナトリウム(10ml)及び水で洗浄し、洗浄した有機相を減圧下で濃縮し、表題化合物(0.42g, 1.4mmol)を得た。(収率 54%)
1H−NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.10(9H, s), 1.19(3H, t, J=7Hz), 2.77(1H, t, J=8Hz), 2.98(1H, t, J=8Hz), 3.06(1H, q, J=8Hz), 3.14(1H, t, J=8Hz), 3.19(1H, t, J=8Hz), 3.79(1H, q, J=8Hz), 4.05−4.18(2H, m), 6.72−6.78(1H, m), 6.80−6.86(1H, m), 7.36−7.41(1H, m) ppm.
13C−NMR(CDCl3, 100MHz) δ 14.16, 25.98, 39.95, 49.74, 49.86, 52.47, 53.09, 60.65, 103.6, 111.1, 126.1, 129.5, 173.6 ppm.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)
【化1】


(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を表し、各当該アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基中の−CH−基の1個または2個以上が−O−基、−S−基、−NH−基または−CO−基で置換されていてもよく、その−CH=基の1個が窒素原子で置換されていてもよく、ただし、当該−O−基、−S−基および−NH−基は互いに隣り合うことはない。Xは電子吸引基を示す。RとXとは絶対配置を示すのではなく、お互いがピロリジン環に対してトランス位に配置されていることを示す。)で表される化合物またはその塩の製造方法であって、
式(1)
【化2】

(式中、R及びXは前記と同義を有する。)で表される化合物を、式(2)
【化3】

(式中、R、RおよびRは前記と同義を有する。)で表される化合物またはその塩と、ホルムアルデヒドまたはその誘導体存在下に反応させることを含む方法。
【請求項2】
、RおよびRがそれぞれアルキル基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、RおよびRがそれぞれメチル基である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rが置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいアルキル基である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Rがフッ素原子で置換されたフェニル基またはメチル基である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Rが2,4−ジフルオロフェニル基である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Xが式(V)で表される基、式(VI)で表される基、ホルミル基、シアノ基またはニトロ基である請求項1に記載の方法。
【化4】

(式中、Rxは置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を示す。)
【請求項8】
Xが式(V)で表される基である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Xがメトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(1)で表される化合物が、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸エチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸メチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸t−ブチル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸ベンジル、3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸L−メンチルまたは光学活性3−(2,4−ジフルオロフェニル)アクリル酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
式(2)で表される化合物が、N−t−ブチルグリシン、N−(1−メチル−1−フェニル)エチルグリシン、N−(1−シクロヘキシル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1−アリル−1−メチル)エチルグリシン、N−(1,1−ジフェニル)エチルグリシン、N−トリフェニルメチルグリシンまたはN−トリシクロヘキシルメチルグリシンである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
式(3)で表される化合物が、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸エチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸イソプロピル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸t−ブチル、trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸ベンジル、光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸メンチルまたは光学活性trans−1−t−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−カルボン酸3−(4,4−ジメチル−2−オキソ)テトラヒドロフラニルである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ホルムアルデヒドまたはその誘導体が、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ホルマリン水溶液、メトキシメタノールまたはジメトキシメタンである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ホルムアルデヒドまたはその誘導体が、パラホルムアルデヒドである請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2006−348020(P2006−348020A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135675(P2006−135675)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】