ピロール置換インドリノン化合物の塩および多形
本発明は、構造式1に示す5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの非吸湿性、例えばマレイン酸塩、およびこれらの塩の結晶多形に関する。本発明はさらに、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む医薬組成物、および当該組成物を用いて癌のような疾患を治療する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第60/508104号(2003年10月2日出願)の利益を主張するものであり、その全内容を本明細書中に援用する。
発明の背景
本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖、例えば癌の処置に有用な5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩型および多形に関する。本発明はさらに、このような塩を含む組成物、およびこのような組成物を、哺乳動物、特に人間における異常な細胞増殖の処置に治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造式1:
【化1】
で示される化合物5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、腫瘍の増殖、進行および生存を誘発するシグナル伝達カスケードに関与するレセプターチロシンキナーゼ(RTK)の強力な選択的経口インヒビターである。インビボでの研究は、この化合物が、種々の充実性および造血系の前臨床癌異種移植モデルで抗腫瘍活性を有する事を示している。この化合物、その製造および用途は、さらに米国特許出願公開第US2003/0092917号(2003年5月15日公開)に記載されており、その全内容を引用により本明細書の一部とする。
【0003】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、遊離塩基型においてまずまず結晶性であり、化学的およびエナンチオマー的に安定であり、そして比較的非吸湿性である。しかしながら、化学的およびエナンチオマー的安定性を維持しつつ、結晶性の改善および/または吸湿性の低下といった改善された性質を有する塩型を得る事は有利であろう。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
或る態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの非吸湿性塩を提供する。吸湿性は、25℃の温度で雰囲気調節微量天秤を使用する動的吸湿重量測定(DMSG)によって決定する。試料を、3%刻みで0ないし90%の範囲の相対湿度で分析する。各段階で平衡に到達した後に次の段階に移行し、連続した5点(120秒間につき1点)での重量変化が0.002mg(0.02%)未満である事を平衡と判断する。この吸湿性測定法を使用すると、本発明に係る非吸湿性塩は、相対湿度80%において、5%未満、好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%(重量)未満の水の取り込みを示す。
【0005】
この態様の特別な側面では、この塩は、無水性、結晶性、または無水性および結晶性の両方である。
この態様の特別な側面では、この塩は、マレイン酸塩、好ましくは無水マレイン酸塩または結晶性マレイン酸塩、より好ましくは結晶性無水マレイン酸塩である。
この態様の特別な側面では、この塩は、多形型1または多形型2で示される結晶性無水マレイン酸塩である。
【0006】
多形型1は、12.7および15.4゜の回折角(2θ)に特性粉末X線回折(PXRD)のピークを有する結晶性無水多形である。より詳細には、多形型1は、表1に示すピークを含むPXRDパターンを有する。
【表1】
【0007】
当業者は、ピーク位置(2θ)が、典型的には0.1゜程度の装置間変動を示す事が理解できるであろう。さらに、当業者は、相対ピーク強度が、装置間変動ならびに結晶性の程度、好ましい向き、調製された試料の表面、および当業者に既知のその他の因子に起因する変動を示す事、そして、この相対強度は定性的尺度としてのみ捉えるべきである事が理解できるであろう。さらに詳細には、多形型1は図1に示すものと本質的に同一のPXRDパターンを持ち、ここで「本質的に同一」とは、上述の典型的なピーク位置と強度の変動性を包含している。
【0008】
多形型2は、13.1および15.9゜の回折角(2θ)に粉末特性X線回折(PXRD)のピークを持つ結晶性無水多形である。より詳細には、多形型2は、表2に示すピークを含むPXRDパターンを有する。
【表2】
【0009】
さらに詳細には、多形型2は図2に示すものと本質的に同一のPXRDパターンを持ち、ここで「本質的に同一」とは、上述の典型的なピーク位置と強度の変動性を包含している。
この態様の別の側面では、この塩は多形型1または多形型2に示す結晶性無水マレイン酸塩であり、ここで、この多形型は実質上純粋である。多形型1の「実質上純粋な」塩は、多形型2または他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。同様に、多形型2の「実質上純粋な」塩は、多形型1または他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。
【0010】
この態様の別の側面では、この塩は、多形型1と多形型2の混合物である結晶性無水マレイン酸塩である。好ましくはこの混合物は実質上純粋な混合物であり、ここで、多形型1および2の実質上純粋な混合物は、他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。
【0011】
多形型1および2の混合物は、両方の型に特徴的な回折ピーク、特に回折角(2θ)12.7、13.1、15.4および15.9に、より詳細には表1および2に示した位置にピークを持ち、さらに詳細には図1および2のコンボリューションであるPXRDパターンを有する。
【0012】
別の態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩を提供する。
【0013】
この態様の特別な側面では、このマレイン酸塩は、結晶性、無水性、または結晶性且つ無水性の両方である。
【0014】
この態様の特別な側面では、このマレイン酸塩は多形型1の、好ましくは実質上純粋な多形型1の、または多形型2の、好ましくは実質上純粋な多形型2の、または多形型1および2の混合物の、好ましくは実質上純粋な混合物の、結晶性無水塩である[ここで、多形型1および2は前記の通りである]。
【0015】
別の態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する。この態様の特別な側面では、この結晶性無水マレイン酸塩は、多形型1の、好ましくは実質上純粋な多形型1の、または多形型2の、好ましくは実質上純粋な多形型2の、または多形型1および2の混合物の、好ましくは実質上純粋な混合物の、塩である[ここで、多形型1および2は前記の通りである]。
【0016】
別の態様では、本発明は、図1に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0017】
別の態様では、本発明は、図2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0018】
別の態様では、本発明は、図1および2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む回折パターンのコンボリューションである粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0019】
別の態様では、本発明は、前記態様のいずれかに記載の塩を含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明に係る薬用組成物のいずれかを含むカプセル剤を提供する。この態様の特別な側面では、このカプセル剤は、5ないし75mg、好ましくは10ないし25mgの遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、人間を包含する哺乳動物の癌を治療する方法を提供し、この方法は、本発明に係る医薬組成物のいずれかの治療有効量を哺乳動物に投与する事を含む。
別の態様では、本発明は、哺乳動物の癌を処置する方法を提供し、この方法は、本発明に係るカプセル剤のいずれかを、人間を包含する哺乳動物に投与する事を含む。
【0021】
前記の方法態様のいずれかの特別な側面では、この方法はさらに、1もしくはそれ以上の抗腫瘍物質、抗血管新生物質、シグナル変換インヒビター、または抗増殖物質を投与する事を含む。
【0022】
本発明はさらに、前記定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量を、哺乳動物に投与する事を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための方法に関するものである。この方法の或る態様では、異常な細胞増殖は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファローピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または1もしくはそれ以上の上記の癌の組み合わせを包含する癌であるが、これらに限定される訳ではない。この方法の別の態様では、該異常細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄を包含する(但しこれらに限定されない)良性増殖性疾患である。
【0023】
本発明はさらに、有糸分裂インヒビター、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、生体反応修飾物質、抗体、細胞毒、抗ホルモン、および抗アンドロゲンより成る群から選ばれる抗腫瘍物質と組み合わせた、式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量を、前記哺乳動物に投与する事を含む、哺乳動物における異常な細胞増殖の治療のための方法に関するものである。
【0024】
本発明はさらに、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量、および薬学上許容し得る担体を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の治療のための医薬組成物に関するものである。該組成物の或る態様では、異常な細胞増殖は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファローピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または1もしくはそれ以上の上記の癌の組み合わせを包含する癌であるが、これらに限定される訳ではない。この薬用組成物の別の態様では、該異常細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄を包含する(但しこれらに限定されない)良性増殖性疾患である。
【0025】
本発明はさらに、薬学上許容し得る担体、ならびに、有糸分裂インヒビター、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、生体反応修飾物質、抗ホルモン、および抗アンドロゲンより成る群から選ばれる抗腫瘍物質と組み合わせた、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の治療に有効である量を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための医薬組成物に関するものである。
【0026】
本発明はさらに、人間を包含する哺乳動物における血管新生に随伴する疾患の処置方法であって、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、前記疾患の治療に有効な量を、該哺乳動物に投与する事を含む方法に関するものである。このような疾患には、メラノーマのような癌性腫瘍;加齢に関連する黄斑変性、推定眼ヒストプラズマ症候群、および増殖性糖尿病性網膜症に由来する網膜血管新生のような眼疾患;関節リウマチ;骨粗鬆症、パジェット病、悪性体液性高カルシウム血症、骨転移腫瘍に由来する高カルシウム血症、およびグルココルチコイド治療により誘発される骨粗鬆症のような骨喪失疾患;冠動脈再狭窄;ならびに、アデノウイルス、ハンタウイルス、Borrelia burgdorferi、Yersinia spp.、Bordetella pertussis、およびStreptococcus A群から選ばれる病原菌に関連するものを包含する或る種の微生物感染症、が包含される。
【0027】
本発明はさらに、式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグの或る量と、抗血管新生物質、シグナル変換インヒビター、および抗増殖物質から選ばれる1またはそれ以上の物質の或る量[これらの量は、合わせて前記の異常細胞増殖の治療に有効である]を含む、哺乳動物における異常細胞増殖を治療する方法(およびそのための医薬組成物)に関するものである。
【0028】
本明細書に記載する方法および医薬組成物において、抗血管新生物質、例えばMMP-2(マトリックス-メタロプロテアーゼ2)インヒビター、MMP-9(マトリックス-メタロプロテアーゼ9)インヒビター、およびCOX-II(シクロオキシゲナーゼII)インヒビターが式1の化合物と共に使用できる。有用なCOX-IIインヒビターの例は、CELEBREX(登録商標)(アレコキシブ)、バルデコキシブ、およびロフェコキシブを包含する。有用なマトリックスメタロプロテアーゼインヒビターの例は、WO96/33172(1996年10月24日公開)、WO96/27583(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2(1999年10月29日出願)、WO98/07697(1998年2月26日公開)、WO98/03516(1998年1月29日公開)、WO98/34918(1998年8月13日公開)、WO98/34915(1998年8月13日公開)、WO98/33768(1998年8月6日公開)、WO98/30566(1998年7月16日公開)、欧州特許公開606046(1994年7月13日公開)、欧州特許公開931788(1999年7月28日公開)、WO90/05719(1990年3月331日公開)、WO99/52910(1999年10月21日公開)、WO99/52889(1999年10月21日公開)、WO99/29667(1999年7月17日公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1(1999年3月25日出願)、英国特許出願番号9912961.1(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148464号(1999年8月12日出願)、米国特許5863949(1999年1月26日登録)、米国特許5861510(1999年1月19日登録)、および欧州特許公開780386(1997年6月25日公開)に記載されており、これらは全て引用によりその全内容を本明細書の一部とする。好ましいMMP-2およびMMP-9インヒビターは、MMP-1を阻害する活性が殆どまたは全くないものである。より好ましくは、他のマトリックス-メタロプロテアーゼ(即ちMMP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、およびMMP-13)と比較して、選択的にMMP-2および/またはMMP-9を阻害するものである。
【0029】
本発明化合物との組み合わせに有用なMMPインヒビターのうち幾つかの具体例は、AG-3340、RO 32-3555、RS 13-0830、および以下の一覧:
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロペンチル)-アミノ]プロピオン酸;
3-エキソ-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R) 1-[4-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;
4-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;
【0030】
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロブチル)-アミノ]-プロピオン酸;
4-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R) 1-[4-(4-フルオロ-2-メチル-ベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-1-メチル-エチル)-アミノ]-プロピオン酸;
3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(4-ヒドロキシカルバモイル-テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-アミノ]-プロピオン酸;
3-エキソ-3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-エンド-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;および、
3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-フラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
に記載の化合物ならびに該化合物の薬学上許容し得る塩、溶媒和物およびプロドラッグである。
【0031】
式1の化合物ならびにその薬学上許容し得る塩、溶媒和物およびプロドラッグは、シグナル変換インヒビター、例えばEGFR(上皮成長因子レセプター)の反応を阻害できる物質、例えばEGFR抗体、EGF抗体、およびEGFRインヒビターである分子;VEGF(血管内皮成長因子)インヒビター;およびerbB2レセプターインヒビター、例えばerbB2レセプターと結合する有機分子または抗体、例えばHERCEPTIN(登録商標)(Genentech, Inc.、South San Francisco, California, USA)と組み合わせて使用することもできる。
【0032】
EGFRインヒビターは、例えばWO95/19970(1995年7月27日公開)、WO98/14451(1998年4月9日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、および米国特許5747498(1998年5月5日登録)に記載されている。EGFR阻害物質は、モノクローナル抗体C225および抗EGFR 22 Mab(ImClone Systems Incorporated、New York, New York, USA)、化合物ZD-1839(AstraZeneca)、BIBX-1382(Boehringer Ingelheim)、MDX-447(Medarex Inc.、Annandale, New Jersey, USA)、およびOLX-103(Merck & Co.、Whitehouse Station, New Jersey, USA)、VRCTC-310(Ventech Research)およびEGF融合毒素(Seragen Inc.、Hopkinton, Massachusettes)を包含するがこれらに限定される訳ではない。
【0033】
VEGFインヒビター、例えばSU-5416およびSU-6668(Sugen Inc.、South San Francisco, California, USA)もまた式1の化合物と組み合わせることができる。VEGFインヒビターは、例えばWO99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際出願 PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、WO95/21613(1995年8月17日公開)、WO99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許5834504(1998年11月10日登録)、WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許5883113(1999年3月16日登録)、米国特許5886020(1999年3月23日登録)、米国特許5792783(1998年8月11日登録)、WO99/10349(1999年3月4日公開)、WO97/32856(1997年9月12日公開)、WO97/22596(1997年6月26日公開)、WO98/54093(1998年12月3日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年8月8日公開)、およびWO98/02437(1998年1月22日公開)に記載されており、これらは全て引用によりその全内容を本明細書の一部とする。幾つかの具体的VEGFインヒビターのその他の例は、IM862(Cytran Inc.、Kirkland, Washington, USA);Genentech, Inc.、South San Francisco, Californiaの抗VEGFモノクローナル抗体;およびRibozyme(Boulder, Colorado)およびChiron(Emeryville, California)社製の合成リボザイムであるアンギオザイムである。
【0034】
ErbB2レセプターインヒビター、例えばGW-282974(Glaxo Wellcome plc)、ならびにモノクローナル抗体AR-209(Aronex Pharmaceuticals Inc.、The Woodlands, Texas, USA)および2B-1(Chiron)は、式1の化合物と組み合わせて投与できる。このようなerbB2インヒビターは、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許5587458(1996年12月24日登録)、および米国特許5877305(1999年3月2日登録)に記載のものを包含し、これらの各々は引用によりその全内容を本明細書の一部とする。本発明において有用なerbB2レセプターインヒビターはさらに、1999年1月27日出願の米国仮出願第60/117341号、および1999年1月27日出願の米国仮出願第60/117346号にも記載されており、いずれも引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0035】
本発明化合物と共に使用できるその他の抗増殖物質は、酵素ファルネシル蛋白トランスフェラーゼのインヒビターおよびレセプターチロシンキナーゼPDGFrのインヒビターを包含し、以下の米国特許出願:09/221946(1998年12月28日出願);09/454058(1999年12月2日出願);09/501163(2000年2月9日出願);09/539930(2000年3月31日出願);09/202796(1997年5月22日出願);09/384339(1999年8月26日出願);および09/383755(1999年8月26日出願)に開示され特許請求されている化合物;ならびに以下の米国仮特許出願:60/168207(1999年11月30日出願);60/170119(1999年12月10日出願);60/177718(2000年1月21日出願);60/168217(1999年11月30日出願);および60/200834(2000年5月1日出願)に開示され特許請求されているものを包含する。上記の特許出願および仮特許出願の各々は引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0036】
式1の化合物はさらに、抗腫瘍免疫反応を増強できる物質、例えばCTLA4(細胞毒性リンパ球抗原4)抗体、およびCTLA4をブロックできるその他の物質;ならびに抗増殖物質、例えば他のファルネシル蛋白トランスフェラーゼインヒビター、例えば上記の「背景」の項に引用した参考文献に記載されているファルネシル蛋白トランスフェラーゼインヒビター、を包含する(ただしこれらに限定される訳ではない)、異常細胞増殖または癌の処置に有用なその他の物質と共に使用する事もできる。本発明において使用できる具体的なCTLA4抗体は、米国仮出願60/113647(1998年12月23日出願)に記載のものを包含し、これは引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0037】
本明細書中使用する「処置(治療)する」という語は、別途指摘のない限り、そのような用語を適用する疾患もしくは状態、または係る疾患もしくは状態の1もしくはそれ以上の症状を逆転させ、緩和し、進行を阻害示、または防ぐ事を意味する。本明細書中使用する「処置(治療)」という語は、別途指摘のない限り、直前に「処置(治療)する」として定義した処置の行為を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
発明の詳細な説明
化合物5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、米国特許第6573293号および米国特許出願公開第2003/0092917号(2003年5月15日公開)(これらの全内容を引用により本明細書の一部とする)に記載の方法に従って製造できる。
【0039】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩は、水性溶媒または適当な有機溶媒、例えばメタノールもしくはエタノール中で、遊離塩基化合物を実質上当量の選ばれた鉱酸または有機酸で処理することにより、容易に製造できる。溶媒を注意深く蒸発させると所望の固体塩が容易に得られる。この溶液に適当な鉱酸または有機酸を添加することにより、所望の酸塩を、有機溶媒中の遊離塩基の溶液から沈殿させることもできる。
【0040】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩は、幾つかの許容し得る方法と溶媒系を挙げると、例えばエタノールまたはアセトニトリル/水(1:1)中での室温蒸発、メタノール/酢酸エチル中での加熱蒸発、エタノール/ヘキサンへの浸漬、イソプロパノール中でのゆっくりとした室温蒸発、またはアセトニトリルもしくはイソプロパノール中での室温スラリーを用いて、良好な結晶で生成させることができる。水、アセトニトリル、イソプロパノール、イソプロパノール/水(1:1)およびメタノール中での室温蒸発;アセトニトリルおよびイソプロパノール中での室温スラリー;ならびにエタノール/ヘキサンへの浸漬を用いると、まずまずの、または劣悪な結晶の試料の生成が観察された。
【0041】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩酸塩は、アセトニトリル/エタノール/水から蒸留することにより良好な結晶が生成できる。
【0042】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の7種類の多形型が同定され特性決定されている。多形型1ないし7と命名したこれらの型についてのPXRDパターンを、図1ないし7に示す。
【0043】
多形型1は、シクロペンタノンまたはニトロベンゼン中で80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型1の赤外スペクトル(600cm-1ないし4000cm-1) (ピーク表)を表3に示し、PXRDパターンを図1に示す。DSCおよびTGAによる分析は、この多形型がピーク融点220℃および融解開始温度215℃で融解することを示し;試料が融解する時にTGA重量の喪失が同時に起こる。完全な分解は315℃で開始する。
【0044】
【表3】
【0045】
多形型2は、好ましくは極性溶媒中で80℃から5℃に、好ましくはゆっくりと(例えば0.6℃/分)冷却し、そして好ましくは熟成時間を長く(例えば48時間)とることによって製造できる。多形型2の赤外スペクトル(600cm-1ないし4000cm-1) (ピーク表)を表4に示し、PXRDパターンを図2に示す。DSCおよびTGAによる分析は、この多形型がピーク融点224℃および融解開始温度221℃で融解することを示している。
【0046】
【表4】
【0047】
多形型1および2の混合物は、エタノールおよびTHF/水溶媒中で製造できる。
多形型3は、水中で80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型3を製造しようとすると多形型2または5との混合物が生成した。図3Aは典型的なPXRDパターンを示し、図3Bは、算出された純粋な多形型3のパターンを示すようデコンボリュートされたパターンを示す。多形型3は水和物であるかも知れないが、これは確認された訳ではない。
【0048】
多形型4は、4-メチルモルホリンまたはトリエチルアミン中80℃から5℃に冷却することにより製造できる。
多形型5は、好ましくは極性溶媒中で、80℃から5℃に、好ましくは急速な冷却速度(例えば300℃/分)および短い熟成時間(例えば1時間)で冷却することにより製造できる。多形型6は、エステル、ケトン、アルコール、アルカンおよびアミンを包含する種々の溶媒中で、80℃から5℃に、好ましくは急速な冷却速度(例えば300℃/分)および短い熟成時間(例えば1時間)で冷却することにより製造できる。多形型6を製造しようとすると多形型2または5との混合物が生成した。図6Aは典型的なPXRDパターンを示し、図6Bは、算出された純粋な多形型6のパターンを示すようデコンボリュートされたパターンを示す。
【0049】
多形型7は、プロパン-1,2-ジオール中80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型7は溶媒和物であるかも知れないが、これは確認された訳ではない。
多形型3-7は安定ではなく、時間がたつと多形型2に変換する。
【0050】
本発明に係る薬用組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、溶液、懸濁液として経口投与に、または、無菌溶液、懸濁液もしくは乳濁液として非経口的注射に、または、軟膏もしくはクリームとして局所投与に、または坐剤として直腸投与に好適な形態とすることができる。この薬用組成物は、正確な用量を持つ一回投与に好適な単位投薬形態とすることができる。この薬用組成物は、常套的薬用担体または賦形剤と、活性成分としての本発明に係る化合物を含有する。加えて、その他の医学的または薬学的物質、担体、アジュバントなどを含有することもできる。
【0051】
非経口投与剤型の例は、無菌水溶液、例えば水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液に入れた活性化合物の溶液または懸濁液を包含する。このような剤型は、所望により適当に緩衝化することができる。
【0052】
好適な薬用担体は、不活性希釈剤または増量剤、水および種々の有機溶媒を包含する。この薬用組成物は、所望により香料、結合剤、賦形剤などといったさらなる成分を含有できる。したがって、経口投与のためには、種々の賦形剤、例えばクエン酸を含有する錠剤を、様々な崩壊剤、例えば澱粉、アルギン酸および或る種の複合珪酸塩と共に、そして結合剤、例えばスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムと共に使用できる。さらに、錠剤製造目的のためには、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤がしばしば有用である。同様の種類の固体組成物を軟および硬ゼラチンカプセル剤に利用することもできる。そのための好ましい材料は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールを包含する。経口投与用の水性懸濁液またはエリキシルを所望する場合は、活性化合物を様々な甘味料または香料、着色料または色素、および所望により乳化剤または懸濁化剤ならびに希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせと合することができる。
【0053】
本発明に係る薬用組成物を調合する好ましい方法は、米国仮特許出願第60/421133号(2002年9月10日出願)に記載されており、その全内容を引用により本明細書の一部とする。
【0054】
特定量の活性化合物を有する種々の薬用組成物を製造する方法は、当業者に既知であるか、または明らかである。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa., 15th Edition(1975)を参照されたい。
【実施例】
【0055】
実施例
下に記載する実施例および製造例は、本発明の態様の特定の側面をさらに説明および例示するものである。本発明の範囲は以下の実施例の範囲により限定される訳では決してないという事を理解されたい。
【0056】
方法および材料
示差走査熱量測定法(DSC):Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA機器モデル2920示差走査熱量測定器によりDSC測定を実施した。試料は0.4ないし2mgの重量範囲であった。波形模様をつけたアルミ皿に試料を置き、10℃/分の速度で320℃まで加熱した。パージ気体として乾燥窒素を使用した。
【0057】
粉末X線回折(PXRD):図1および2、ならびに以下の実施例のPXRDデータは、Scintag X2またはX1 Advanced Diffraction Systemのいずれかを用いて取得した。この系には、1.5406Å(0.15406nm)におけるCuKα1放出を得るための45kVおよび40mAに維持した銅X線源、およびソリッドステートペルティエ冷却検出器を使用した。ビーム窓は、2および4mmの、管の発散および散乱防止スリット、ならびに0.5および0.3mm幅の、検出器の散乱防止および受光スリットを用いて調節した。通常、0.03゜/点の段階的スキャンおよび1s/点のカウント時間を用いて2゜から40゜までの2シータ(2θ)のデータを集めた。Scintag の12mmまたは9mmのアルミトレー挿入体または石英板を備えた円形トップローディングステンレススチール試料カップを試料の格納に使用した。分析前に必要に応じて試料を乳鉢と乳棒で手動粉砕した。表1および2中の強度データを、1秒あたりの各点からのおよそのバックグラウンドカウントを差し引くことにより、バックグラウンドについておおまかに補正した。
【0058】
図3-9のPXRDデータを、高スループットPXRDスクリーニング装置を用いて補正した。Hi-Starエリア型検出器を備え付けたBruker GADDS回折計にプレートを載せた。データの収集は、3ないし42゜の2θ領域で単色化したCuKα照射を用いて室温で実施した。2θ範囲(第一のフレームについては3≦2θ≦21゜、そして第二のフレームについては19≦2θ≦42゜) における各ウェルの回折パターンを、各フレームについて75秒間の暴露時間で収集した。PXRD分析中に使用した担体材料はX線に対して透明であり、バックグラウンドに対する寄与は僅かであった。
【0059】
TGA測定は、Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA Instrumentsモデル2950 Hi-Res分析器を用いて実施した。風袋秤量済みの白金製吊り下げ皿に試料を載せ、10℃/分の速度で少なくとも165℃まで加熱した。乾燥窒素をパージ気体として使用した。
HPLC条件は個々の実施例に記載する。
【0060】
実施例1
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの幾つかの塩を製造し、吸湿性について分析した。吸湿性は、25℃の温度で雰囲気調節微量天秤を使用する動的吸湿重量測定(DMSG)によって測定した。試料を、3%刻みで0ないし90%の範囲の相対湿度で、湿度プロファイル36 → 0 → 90 → 0%で分析した(ここで、初期値36%は、およその初期平衡化相対湿度を反映している(特に測定した訳ではない))。各段階で平衡に到達した後に次の段階に移行し、連続した5点(120秒間につき1点)での重量変化が0.001mg(0.01%)または0.002mg(0.02%)未満である事を平衡と判断する。塩の間の比較のため、80%相対湿度(RH)における水の取り込みを選択した。各々の塩についての80%RH値を表5に示すが、この表の右側の欄は、完全なDMSGスキャンを示す対応図を示している。80%における水の取り込みについて与えられた値の範囲は、0 → 90%および90 → 0%のスキャンにおけるヒステリシスを反映している。
【0061】
【表5】
【0062】
塩酸塩について、最初の測定は、見かけ上段階的な水分獲得/喪失を伴う吸着を示し、この吸着プロファイルは顕著なヒステリシスを示した(図10Aを参照されたい)。この塩は表5で「多形型1」と表記されている。最終生成物(HCl「多形型2」)は、PXRDにより評価されたところによれば(示していない)出発材料と同じ結晶形ではなかった。このHCl塩の多形型2についてのDSCおよびTGA測定は、融点が約284℃の一水和物を示した。TGAは3.8%の重量喪失であった。HCl塩の多形型2はDMSGによっても評価したが、これは0 → 81 → 0%の相対湿度プロファイルを用いた(図10B)。多形型2の塩は比較的非吸湿性であり、顕著なヒステリシスを示さなかった。
【0063】
L-リンゴ酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約182℃で融解したが、さらなる熱的現象が約95℃で起こった。
マレイン酸塩を用いて収集した最初のデータは割愛する。最初のマレイン酸塩はまずまずの結晶性を持っていたに過ぎず、特異なPXRDパターンを示し、そして約181℃の融点を持っていた。この物質は、吸湿性であり、相対湿度80%において約9%の水分取り込みであった。この塩は多形型5、または、多形型5と1またはそれ以上の他の多形の混合物であると考えられるが、これは検証されなかった。その後、良好な結晶性を持ち多形型2として特性決定された第二のマレイン酸塩試料を試験し、この多形型2試料からの結果を表5に示した。
【0064】
L-酒石酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約191℃で融解した。
【0065】
トシラート塩はまずまずの結晶性であった(PXRDは示していない)。この試料は約190℃で融解した。約65%の相対湿度で約2.5%の水分取り込みが観察され、その後、約30%の相対湿度で喪失が観察された。この重量変化はおよそ1モルの水に等しかった。
マンデル酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約224℃で融解した。
マロン酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約133℃で脱溶媒和し(DSC)、約261℃で融解した。TGAにより溶媒含有量は約15%であると決定された。
【0066】
実施例2
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の、2つの異なる試料について化学的安定性を評価した。試料は、温度と湿度を制御した試験室で、25℃および相対湿度60%(表7および8)または40℃および相対湿度75%(表9および10)に保持した。様々な時間間隔で材料を取り出し、マレイン酸塩対イオン検定、不純物、水分およびエナンチオマー純度について試験した。
【0067】
マレイン酸対イオン検定はイオン交換クロマトグラフィー(IEC)で測定した。典型的な条件は以下の通りであった:
イオンクロマトグラフ:電導度検出器を備えたDionex DX 600
分析カラム:Anionic AS14、250 x 4.0 mm、Dionex
ガードカラム:Anionic AS 14、100 x 4.0 mm、Dionex
カラム温度:30℃
移動相:3.5mM炭酸ナトリウム + 1mM炭酸水素ナトリウム
溶離モード:アイソクラティック
流速:1.2mL/分
注入容量:25μL
【0068】
適当料のマレイン酸塩を水(Milli Q等級)に溶解し、IECで分析し、較正試料と比較する。これらの条件下で、マレイン酸に起因するピークは約11分の保持時間を持つ。試料中のマレイン酸の量を以下のように算出する:
検定% = (CS/W) x 100
[式中、CSは試料中に見いだされたマレイン酸の濃度であり、Wは水溶液中の理論的試料濃度である]
【0069】
不純物および分解生成物の量は、ダイオードアレー検出器を備えたPerkin Elmer LC 200系を用いるHPLCによって決定した。分析カラムはWaters Xterra RP18、5μm、250 x 4.6 mmであり、ガードカラムはWaters Xterra RP18、5μm、20 x 3.9 mmであった。移動相Aは90%の0.05M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)と10%のアセトニトリルの混合物であった。移動相Bは、10%の0.05M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)と90%のアセトニトリルの混合物であった。溶媒勾配を表6に示す。
【0070】
【表6】
【0071】
流速1mL/分、注入容量30μL、室温、435nmの検出とした。これらの条件下で、マレイン酸塩に起因するピークは約24分の保持時間を持つ。不純物をそれらの相対保持時間(RRT)により特性決定する。RRT=0.26の不純物はE異性体である。他の異性体は特性決定しなかった。
【0072】
エナンチオマー純度は、Chiralpak AD分析カラム、10μm、250 x 4.6mm(ダイセル化学)を使用し、乾熱機温度30℃、移動相2-プロパノール/ヘプタン/???、イソクラティック溶離モード、流速0.5mL/分、注入容量50μL、検出器波長265nm、希釈溶媒2-プロパノール/ヘプタン(50/50)および試料濃度0.3mg/mLで、HPLCによって決定した。これらの条件下で、S異性体は約15.5分の保持時間を持ち、R異性体は約22分の保持時間を持つ。
【0073】
水分はUSP 25、<921>、方法Icに従って測定した。
結果を表7〜10に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
実施例3
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1、多形型2、および多形型1と多形型2の混合物の試料について、結晶形の安定性を評価した。各々の場合に、その物質の試料を40℃および相対湿度75%に温度および湿度を制御した安定性試験室に入れた。試験時間中に数回試料を取り出し、PXRDパターンの質的変化を分析した。多形型1では試験時間は163日間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。多形型2では試験時間は134日間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。混合した多形型1/多形型2では試験時間は6週間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。
【0079】
実施例4
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の試料で6週間の安定性試験を実施した。この化合物を密閉バイアルで6週間、3種類の安定性試験条件:5℃、25℃/60%相対湿度および40℃/75%相対湿度、に暴露し、HPLC機器をAgilent 1100系とした事以外は実施例2の記載と同様にして、化学的およびエナンチオマー安定性について分析した。
【0080】
【表11】
【0081】
レファランス標準から得られたこのHPLC実施全体の平均レスポンスファクタに基づき、E異性体を不純物ではなく当該化合物であると考えて、回収パーセントを算出した。このクラスの化合物は可逆的E-Z異性化を示し、一般にZ異性体が好まれる。この異性化はしばしば試料の調製および分析の所産である。熱重量分析(TGA)は僅かな水分を示し、よってこれは回収パーセントの算出の際考慮しなかった。表に示した数値は幾つかの注入の平均である。
【0082】
熱安定性と残留溶媒含有量を決定するため、同じ試料をDSCとTGAで分析した。結果を表12に示す。
【0083】
【表12】
【0084】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩は、調査した全ての安定性条件下で安定であった。6週間安定性試料の検定は97.1-98.5%であり、総不純物含有量は1.67-1.85%であった。この検定および不純物プロファイルは、調査した全ての条件下で、初期プロファイルに比較して著しい変化を示さなかった。マレイン酸のHPLC定量分析は、遊離塩基対酸の化学量論的比率1:1と矛盾しなかった(データは示していない)。さらに、いかなる試料にもキラル変換は観察されなかった。80℃に2週間保持した試料においてエナンチオマー安定性の確認も行ったが、R異性体量の増加は観察されなかった。
【0085】
6週間試料のDSC分析は、207-208℃に単一の鋭い吸熱性融解/分解ピークを示した。TGA分析は、25-125℃の間で僅かな重量喪失(2%未満)を示した。DSCで観察された218℃における吸熱性ピークに呼応する207℃で、著明な重量喪失(約21-23%)が起こった。
【0086】
40℃/75%RHに6週間維持した試料のPXRD分析は、対照試料に比較して結晶変化を示さなかった。
【0087】
実施例6
前臨床生物種(インビボおよびインビトロ)およびヒトの肝細胞およびミクロソームにおいて、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの代謝は主に肝チトクロムP450の仲介する酸化経路によって進行する。主たる代謝部位はモルホリニル基である。カニクイザルに1回経口投与(100mg/kg)した後に、3種類の代謝産物がインビボ同定された(図8)。サル血漿中において親化合物に対して<16%相対存在量が検出されたこれら3種の代謝産物は、ヒトミクロソームおよび肝細胞中に観察された主生成物でもあった。相対存在量は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(100mg/kg)の1回投与後のサル血漿から決定し、440nMにおけるインドールの特徴的UV吸収から推定した、(AUC0-12代謝産物/AUC0-12親) x 100 を基礎とした。核磁気共鳴(NMR)によってN,O-脱アルキル化代謝産物を確認した。この代謝産物は生化学活性を有するが細胞活性は持たず、この事は、細胞に進入するに充分な透過性を欠くことを示唆するものである。モルホリニルラクタム代謝産物は酸素化-脱水素化の産物であり、これもまたNMRによって確認した。モルホリニルヘミアミナール代謝産物は、イミニウムイオン捕捉実験によって同定された不安定な代謝産物である。12.5mgの1回投与後にヒト尿中の代謝産物も決定し、これらの代謝産物を表9に示す。相対存在量を428nmでのUV反応によって決定した。
【0088】
本発明を具体的且つ好ましい態様を参考に説明してきたが、当業者は、常套的実験および本発明の実施を通じて変化や修飾を施せることが理解できるであろう。したがって、本発明は前記の説明に限定される訳ではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されるよう意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型2の粉末X線回折パターンを示す。
【図3A】図3Aは、多形混合物中に多形型3を含む、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図3B】図3Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型3の、デコンボリュートした粉末X線回折パターンを示す。
【図4】図4は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型4の粉末X線回折パターンを示す。
【図5】図5は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型5の粉末X線回折パターンを示す。
【図6A】図6Aは、多形混合物中に多形型6を含む、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図6B】図6Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型6の、デコンボリュートした粉末X線回折パターンを示す。
【図7】図7は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型7の粉末X線回折パターンを示す。
【図8】図8は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの構造式と、サル血漿における3種類の代謝産物の相対存在量を示す。
【図9】図9は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドと、ヒト尿における幾つかの代謝産物の相対存在量を示す。
【図10A】図10Aは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの第一の塩酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図10B】図10Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの第二の塩酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【0090】
【図11】図11は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのL-リンゴ酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図12】図12は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図13】図13は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのL-酒石酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図14】図14は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのトシラート塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図15】図15は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマンデル酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図16】図16は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマロン酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第60/508104号(2003年10月2日出願)の利益を主張するものであり、その全内容を本明細書中に援用する。
発明の背景
本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖、例えば癌の処置に有用な5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩型および多形に関する。本発明はさらに、このような塩を含む組成物、およびこのような組成物を、哺乳動物、特に人間における異常な細胞増殖の処置に治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造式1:
【化1】
で示される化合物5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、腫瘍の増殖、進行および生存を誘発するシグナル伝達カスケードに関与するレセプターチロシンキナーゼ(RTK)の強力な選択的経口インヒビターである。インビボでの研究は、この化合物が、種々の充実性および造血系の前臨床癌異種移植モデルで抗腫瘍活性を有する事を示している。この化合物、その製造および用途は、さらに米国特許出願公開第US2003/0092917号(2003年5月15日公開)に記載されており、その全内容を引用により本明細書の一部とする。
【0003】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、遊離塩基型においてまずまず結晶性であり、化学的およびエナンチオマー的に安定であり、そして比較的非吸湿性である。しかしながら、化学的およびエナンチオマー的安定性を維持しつつ、結晶性の改善および/または吸湿性の低下といった改善された性質を有する塩型を得る事は有利であろう。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
或る態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの非吸湿性塩を提供する。吸湿性は、25℃の温度で雰囲気調節微量天秤を使用する動的吸湿重量測定(DMSG)によって決定する。試料を、3%刻みで0ないし90%の範囲の相対湿度で分析する。各段階で平衡に到達した後に次の段階に移行し、連続した5点(120秒間につき1点)での重量変化が0.002mg(0.02%)未満である事を平衡と判断する。この吸湿性測定法を使用すると、本発明に係る非吸湿性塩は、相対湿度80%において、5%未満、好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%(重量)未満の水の取り込みを示す。
【0005】
この態様の特別な側面では、この塩は、無水性、結晶性、または無水性および結晶性の両方である。
この態様の特別な側面では、この塩は、マレイン酸塩、好ましくは無水マレイン酸塩または結晶性マレイン酸塩、より好ましくは結晶性無水マレイン酸塩である。
この態様の特別な側面では、この塩は、多形型1または多形型2で示される結晶性無水マレイン酸塩である。
【0006】
多形型1は、12.7および15.4゜の回折角(2θ)に特性粉末X線回折(PXRD)のピークを有する結晶性無水多形である。より詳細には、多形型1は、表1に示すピークを含むPXRDパターンを有する。
【表1】
【0007】
当業者は、ピーク位置(2θ)が、典型的には0.1゜程度の装置間変動を示す事が理解できるであろう。さらに、当業者は、相対ピーク強度が、装置間変動ならびに結晶性の程度、好ましい向き、調製された試料の表面、および当業者に既知のその他の因子に起因する変動を示す事、そして、この相対強度は定性的尺度としてのみ捉えるべきである事が理解できるであろう。さらに詳細には、多形型1は図1に示すものと本質的に同一のPXRDパターンを持ち、ここで「本質的に同一」とは、上述の典型的なピーク位置と強度の変動性を包含している。
【0008】
多形型2は、13.1および15.9゜の回折角(2θ)に粉末特性X線回折(PXRD)のピークを持つ結晶性無水多形である。より詳細には、多形型2は、表2に示すピークを含むPXRDパターンを有する。
【表2】
【0009】
さらに詳細には、多形型2は図2に示すものと本質的に同一のPXRDパターンを持ち、ここで「本質的に同一」とは、上述の典型的なピーク位置と強度の変動性を包含している。
この態様の別の側面では、この塩は多形型1または多形型2に示す結晶性無水マレイン酸塩であり、ここで、この多形型は実質上純粋である。多形型1の「実質上純粋な」塩は、多形型2または他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。同様に、多形型2の「実質上純粋な」塩は、多形型1または他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。
【0010】
この態様の別の側面では、この塩は、多形型1と多形型2の混合物である結晶性無水マレイン酸塩である。好ましくはこの混合物は実質上純粋な混合物であり、ここで、多形型1および2の実質上純粋な混合物は、他の任意の多形型を10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1% (重量) 未満含む。
【0011】
多形型1および2の混合物は、両方の型に特徴的な回折ピーク、特に回折角(2θ)12.7、13.1、15.4および15.9に、より詳細には表1および2に示した位置にピークを持ち、さらに詳細には図1および2のコンボリューションであるPXRDパターンを有する。
【0012】
別の態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩を提供する。
【0013】
この態様の特別な側面では、このマレイン酸塩は、結晶性、無水性、または結晶性且つ無水性の両方である。
【0014】
この態様の特別な側面では、このマレイン酸塩は多形型1の、好ましくは実質上純粋な多形型1の、または多形型2の、好ましくは実質上純粋な多形型2の、または多形型1および2の混合物の、好ましくは実質上純粋な混合物の、結晶性無水塩である[ここで、多形型1および2は前記の通りである]。
【0015】
別の態様では、本発明は5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する。この態様の特別な側面では、この結晶性無水マレイン酸塩は、多形型1の、好ましくは実質上純粋な多形型1の、または多形型2の、好ましくは実質上純粋な多形型2の、または多形型1および2の混合物の、好ましくは実質上純粋な混合物の、塩である[ここで、多形型1および2は前記の通りである]。
【0016】
別の態様では、本発明は、図1に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0017】
別の態様では、本発明は、図2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0018】
別の態様では、本発明は、図1および2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む回折パターンのコンボリューションである粉末X線回折パターンを有する5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩を提供する[ここで「本質的に同一」とは前記と同意義である]。
【0019】
別の態様では、本発明は、前記態様のいずれかに記載の塩を含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明に係る薬用組成物のいずれかを含むカプセル剤を提供する。この態様の特別な側面では、このカプセル剤は、5ないし75mg、好ましくは10ないし25mgの遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、人間を包含する哺乳動物の癌を治療する方法を提供し、この方法は、本発明に係る医薬組成物のいずれかの治療有効量を哺乳動物に投与する事を含む。
別の態様では、本発明は、哺乳動物の癌を処置する方法を提供し、この方法は、本発明に係るカプセル剤のいずれかを、人間を包含する哺乳動物に投与する事を含む。
【0021】
前記の方法態様のいずれかの特別な側面では、この方法はさらに、1もしくはそれ以上の抗腫瘍物質、抗血管新生物質、シグナル変換インヒビター、または抗増殖物質を投与する事を含む。
【0022】
本発明はさらに、前記定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量を、哺乳動物に投与する事を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための方法に関するものである。この方法の或る態様では、異常な細胞増殖は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファローピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または1もしくはそれ以上の上記の癌の組み合わせを包含する癌であるが、これらに限定される訳ではない。この方法の別の態様では、該異常細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄を包含する(但しこれらに限定されない)良性増殖性疾患である。
【0023】
本発明はさらに、有糸分裂インヒビター、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、生体反応修飾物質、抗体、細胞毒、抗ホルモン、および抗アンドロゲンより成る群から選ばれる抗腫瘍物質と組み合わせた、式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量を、前記哺乳動物に投与する事を含む、哺乳動物における異常な細胞増殖の治療のための方法に関するものである。
【0024】
本発明はさらに、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の処置に有効である量、および薬学上許容し得る担体を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の治療のための医薬組成物に関するものである。該組成物の或る態様では、異常な細胞増殖は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファローピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または1もしくはそれ以上の上記の癌の組み合わせを包含する癌であるが、これらに限定される訳ではない。この薬用組成物の別の態様では、該異常細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄を包含する(但しこれらに限定されない)良性増殖性疾患である。
【0025】
本発明はさらに、薬学上許容し得る担体、ならびに、有糸分裂インヒビター、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレート抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、生体反応修飾物質、抗ホルモン、および抗アンドロゲンより成る群から選ばれる抗腫瘍物質と組み合わせた、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、異常な細胞増殖の治療に有効である量を含む、人間を包含する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための医薬組成物に関するものである。
【0026】
本発明はさらに、人間を包含する哺乳動物における血管新生に随伴する疾患の処置方法であって、上の定義による式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの、前記疾患の治療に有効な量を、該哺乳動物に投与する事を含む方法に関するものである。このような疾患には、メラノーマのような癌性腫瘍;加齢に関連する黄斑変性、推定眼ヒストプラズマ症候群、および増殖性糖尿病性網膜症に由来する網膜血管新生のような眼疾患;関節リウマチ;骨粗鬆症、パジェット病、悪性体液性高カルシウム血症、骨転移腫瘍に由来する高カルシウム血症、およびグルココルチコイド治療により誘発される骨粗鬆症のような骨喪失疾患;冠動脈再狭窄;ならびに、アデノウイルス、ハンタウイルス、Borrelia burgdorferi、Yersinia spp.、Bordetella pertussis、およびStreptococcus A群から選ばれる病原菌に関連するものを包含する或る種の微生物感染症、が包含される。
【0027】
本発明はさらに、式1の化合物またはその薬学上許容し得る塩、溶媒和物またはプロドラッグの或る量と、抗血管新生物質、シグナル変換インヒビター、および抗増殖物質から選ばれる1またはそれ以上の物質の或る量[これらの量は、合わせて前記の異常細胞増殖の治療に有効である]を含む、哺乳動物における異常細胞増殖を治療する方法(およびそのための医薬組成物)に関するものである。
【0028】
本明細書に記載する方法および医薬組成物において、抗血管新生物質、例えばMMP-2(マトリックス-メタロプロテアーゼ2)インヒビター、MMP-9(マトリックス-メタロプロテアーゼ9)インヒビター、およびCOX-II(シクロオキシゲナーゼII)インヒビターが式1の化合物と共に使用できる。有用なCOX-IIインヒビターの例は、CELEBREX(登録商標)(アレコキシブ)、バルデコキシブ、およびロフェコキシブを包含する。有用なマトリックスメタロプロテアーゼインヒビターの例は、WO96/33172(1996年10月24日公開)、WO96/27583(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2(1999年10月29日出願)、WO98/07697(1998年2月26日公開)、WO98/03516(1998年1月29日公開)、WO98/34918(1998年8月13日公開)、WO98/34915(1998年8月13日公開)、WO98/33768(1998年8月6日公開)、WO98/30566(1998年7月16日公開)、欧州特許公開606046(1994年7月13日公開)、欧州特許公開931788(1999年7月28日公開)、WO90/05719(1990年3月331日公開)、WO99/52910(1999年10月21日公開)、WO99/52889(1999年10月21日公開)、WO99/29667(1999年7月17日公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1(1999年3月25日出願)、英国特許出願番号9912961.1(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148464号(1999年8月12日出願)、米国特許5863949(1999年1月26日登録)、米国特許5861510(1999年1月19日登録)、および欧州特許公開780386(1997年6月25日公開)に記載されており、これらは全て引用によりその全内容を本明細書の一部とする。好ましいMMP-2およびMMP-9インヒビターは、MMP-1を阻害する活性が殆どまたは全くないものである。より好ましくは、他のマトリックス-メタロプロテアーゼ(即ちMMP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、およびMMP-13)と比較して、選択的にMMP-2および/またはMMP-9を阻害するものである。
【0029】
本発明化合物との組み合わせに有用なMMPインヒビターのうち幾つかの具体例は、AG-3340、RO 32-3555、RS 13-0830、および以下の一覧:
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロペンチル)-アミノ]プロピオン酸;
3-エキソ-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R) 1-[4-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;
4-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;
【0030】
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロブチル)-アミノ]-プロピオン酸;
4-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R) 1-[4-(4-フルオロ-2-メチル-ベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-1-メチル-エチル)-アミノ]-プロピオン酸;
3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(4-ヒドロキシカルバモイル-テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-アミノ]-プロピオン酸;
3-エキソ-3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
3-エンド-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;および、
3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-フラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;
に記載の化合物ならびに該化合物の薬学上許容し得る塩、溶媒和物およびプロドラッグである。
【0031】
式1の化合物ならびにその薬学上許容し得る塩、溶媒和物およびプロドラッグは、シグナル変換インヒビター、例えばEGFR(上皮成長因子レセプター)の反応を阻害できる物質、例えばEGFR抗体、EGF抗体、およびEGFRインヒビターである分子;VEGF(血管内皮成長因子)インヒビター;およびerbB2レセプターインヒビター、例えばerbB2レセプターと結合する有機分子または抗体、例えばHERCEPTIN(登録商標)(Genentech, Inc.、South San Francisco, California, USA)と組み合わせて使用することもできる。
【0032】
EGFRインヒビターは、例えばWO95/19970(1995年7月27日公開)、WO98/14451(1998年4月9日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)、および米国特許5747498(1998年5月5日登録)に記載されている。EGFR阻害物質は、モノクローナル抗体C225および抗EGFR 22 Mab(ImClone Systems Incorporated、New York, New York, USA)、化合物ZD-1839(AstraZeneca)、BIBX-1382(Boehringer Ingelheim)、MDX-447(Medarex Inc.、Annandale, New Jersey, USA)、およびOLX-103(Merck & Co.、Whitehouse Station, New Jersey, USA)、VRCTC-310(Ventech Research)およびEGF融合毒素(Seragen Inc.、Hopkinton, Massachusettes)を包含するがこれらに限定される訳ではない。
【0033】
VEGFインヒビター、例えばSU-5416およびSU-6668(Sugen Inc.、South San Francisco, California, USA)もまた式1の化合物と組み合わせることができる。VEGFインヒビターは、例えばWO99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際出願 PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、WO95/21613(1995年8月17日公開)、WO99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許5834504(1998年11月10日登録)、WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許5883113(1999年3月16日登録)、米国特許5886020(1999年3月23日登録)、米国特許5792783(1998年8月11日登録)、WO99/10349(1999年3月4日公開)、WO97/32856(1997年9月12日公開)、WO97/22596(1997年6月26日公開)、WO98/54093(1998年12月3日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年8月8日公開)、およびWO98/02437(1998年1月22日公開)に記載されており、これらは全て引用によりその全内容を本明細書の一部とする。幾つかの具体的VEGFインヒビターのその他の例は、IM862(Cytran Inc.、Kirkland, Washington, USA);Genentech, Inc.、South San Francisco, Californiaの抗VEGFモノクローナル抗体;およびRibozyme(Boulder, Colorado)およびChiron(Emeryville, California)社製の合成リボザイムであるアンギオザイムである。
【0034】
ErbB2レセプターインヒビター、例えばGW-282974(Glaxo Wellcome plc)、ならびにモノクローナル抗体AR-209(Aronex Pharmaceuticals Inc.、The Woodlands, Texas, USA)および2B-1(Chiron)は、式1の化合物と組み合わせて投与できる。このようなerbB2インヒビターは、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許5587458(1996年12月24日登録)、および米国特許5877305(1999年3月2日登録)に記載のものを包含し、これらの各々は引用によりその全内容を本明細書の一部とする。本発明において有用なerbB2レセプターインヒビターはさらに、1999年1月27日出願の米国仮出願第60/117341号、および1999年1月27日出願の米国仮出願第60/117346号にも記載されており、いずれも引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0035】
本発明化合物と共に使用できるその他の抗増殖物質は、酵素ファルネシル蛋白トランスフェラーゼのインヒビターおよびレセプターチロシンキナーゼPDGFrのインヒビターを包含し、以下の米国特許出願:09/221946(1998年12月28日出願);09/454058(1999年12月2日出願);09/501163(2000年2月9日出願);09/539930(2000年3月31日出願);09/202796(1997年5月22日出願);09/384339(1999年8月26日出願);および09/383755(1999年8月26日出願)に開示され特許請求されている化合物;ならびに以下の米国仮特許出願:60/168207(1999年11月30日出願);60/170119(1999年12月10日出願);60/177718(2000年1月21日出願);60/168217(1999年11月30日出願);および60/200834(2000年5月1日出願)に開示され特許請求されているものを包含する。上記の特許出願および仮特許出願の各々は引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0036】
式1の化合物はさらに、抗腫瘍免疫反応を増強できる物質、例えばCTLA4(細胞毒性リンパ球抗原4)抗体、およびCTLA4をブロックできるその他の物質;ならびに抗増殖物質、例えば他のファルネシル蛋白トランスフェラーゼインヒビター、例えば上記の「背景」の項に引用した参考文献に記載されているファルネシル蛋白トランスフェラーゼインヒビター、を包含する(ただしこれらに限定される訳ではない)、異常細胞増殖または癌の処置に有用なその他の物質と共に使用する事もできる。本発明において使用できる具体的なCTLA4抗体は、米国仮出願60/113647(1998年12月23日出願)に記載のものを包含し、これは引用によりその全内容を本明細書の一部とする。
【0037】
本明細書中使用する「処置(治療)する」という語は、別途指摘のない限り、そのような用語を適用する疾患もしくは状態、または係る疾患もしくは状態の1もしくはそれ以上の症状を逆転させ、緩和し、進行を阻害示、または防ぐ事を意味する。本明細書中使用する「処置(治療)」という語は、別途指摘のない限り、直前に「処置(治療)する」として定義した処置の行為を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
発明の詳細な説明
化合物5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドは、米国特許第6573293号および米国特許出願公開第2003/0092917号(2003年5月15日公開)(これらの全内容を引用により本明細書の一部とする)に記載の方法に従って製造できる。
【0039】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩は、水性溶媒または適当な有機溶媒、例えばメタノールもしくはエタノール中で、遊離塩基化合物を実質上当量の選ばれた鉱酸または有機酸で処理することにより、容易に製造できる。溶媒を注意深く蒸発させると所望の固体塩が容易に得られる。この溶液に適当な鉱酸または有機酸を添加することにより、所望の酸塩を、有機溶媒中の遊離塩基の溶液から沈殿させることもできる。
【0040】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩は、幾つかの許容し得る方法と溶媒系を挙げると、例えばエタノールまたはアセトニトリル/水(1:1)中での室温蒸発、メタノール/酢酸エチル中での加熱蒸発、エタノール/ヘキサンへの浸漬、イソプロパノール中でのゆっくりとした室温蒸発、またはアセトニトリルもしくはイソプロパノール中での室温スラリーを用いて、良好な結晶で生成させることができる。水、アセトニトリル、イソプロパノール、イソプロパノール/水(1:1)およびメタノール中での室温蒸発;アセトニトリルおよびイソプロパノール中での室温スラリー;ならびにエタノール/ヘキサンへの浸漬を用いると、まずまずの、または劣悪な結晶の試料の生成が観察された。
【0041】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩酸塩は、アセトニトリル/エタノール/水から蒸留することにより良好な結晶が生成できる。
【0042】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の7種類の多形型が同定され特性決定されている。多形型1ないし7と命名したこれらの型についてのPXRDパターンを、図1ないし7に示す。
【0043】
多形型1は、シクロペンタノンまたはニトロベンゼン中で80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型1の赤外スペクトル(600cm-1ないし4000cm-1) (ピーク表)を表3に示し、PXRDパターンを図1に示す。DSCおよびTGAによる分析は、この多形型がピーク融点220℃および融解開始温度215℃で融解することを示し;試料が融解する時にTGA重量の喪失が同時に起こる。完全な分解は315℃で開始する。
【0044】
【表3】
【0045】
多形型2は、好ましくは極性溶媒中で80℃から5℃に、好ましくはゆっくりと(例えば0.6℃/分)冷却し、そして好ましくは熟成時間を長く(例えば48時間)とることによって製造できる。多形型2の赤外スペクトル(600cm-1ないし4000cm-1) (ピーク表)を表4に示し、PXRDパターンを図2に示す。DSCおよびTGAによる分析は、この多形型がピーク融点224℃および融解開始温度221℃で融解することを示している。
【0046】
【表4】
【0047】
多形型1および2の混合物は、エタノールおよびTHF/水溶媒中で製造できる。
多形型3は、水中で80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型3を製造しようとすると多形型2または5との混合物が生成した。図3Aは典型的なPXRDパターンを示し、図3Bは、算出された純粋な多形型3のパターンを示すようデコンボリュートされたパターンを示す。多形型3は水和物であるかも知れないが、これは確認された訳ではない。
【0048】
多形型4は、4-メチルモルホリンまたはトリエチルアミン中80℃から5℃に冷却することにより製造できる。
多形型5は、好ましくは極性溶媒中で、80℃から5℃に、好ましくは急速な冷却速度(例えば300℃/分)および短い熟成時間(例えば1時間)で冷却することにより製造できる。多形型6は、エステル、ケトン、アルコール、アルカンおよびアミンを包含する種々の溶媒中で、80℃から5℃に、好ましくは急速な冷却速度(例えば300℃/分)および短い熟成時間(例えば1時間)で冷却することにより製造できる。多形型6を製造しようとすると多形型2または5との混合物が生成した。図6Aは典型的なPXRDパターンを示し、図6Bは、算出された純粋な多形型6のパターンを示すようデコンボリュートされたパターンを示す。
【0049】
多形型7は、プロパン-1,2-ジオール中80℃から5℃に冷却することにより製造できる。多形型7は溶媒和物であるかも知れないが、これは確認された訳ではない。
多形型3-7は安定ではなく、時間がたつと多形型2に変換する。
【0050】
本発明に係る薬用組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、溶液、懸濁液として経口投与に、または、無菌溶液、懸濁液もしくは乳濁液として非経口的注射に、または、軟膏もしくはクリームとして局所投与に、または坐剤として直腸投与に好適な形態とすることができる。この薬用組成物は、正確な用量を持つ一回投与に好適な単位投薬形態とすることができる。この薬用組成物は、常套的薬用担体または賦形剤と、活性成分としての本発明に係る化合物を含有する。加えて、その他の医学的または薬学的物質、担体、アジュバントなどを含有することもできる。
【0051】
非経口投与剤型の例は、無菌水溶液、例えば水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液に入れた活性化合物の溶液または懸濁液を包含する。このような剤型は、所望により適当に緩衝化することができる。
【0052】
好適な薬用担体は、不活性希釈剤または増量剤、水および種々の有機溶媒を包含する。この薬用組成物は、所望により香料、結合剤、賦形剤などといったさらなる成分を含有できる。したがって、経口投与のためには、種々の賦形剤、例えばクエン酸を含有する錠剤を、様々な崩壊剤、例えば澱粉、アルギン酸および或る種の複合珪酸塩と共に、そして結合剤、例えばスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムと共に使用できる。さらに、錠剤製造目的のためには、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤がしばしば有用である。同様の種類の固体組成物を軟および硬ゼラチンカプセル剤に利用することもできる。そのための好ましい材料は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールを包含する。経口投与用の水性懸濁液またはエリキシルを所望する場合は、活性化合物を様々な甘味料または香料、着色料または色素、および所望により乳化剤または懸濁化剤ならびに希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせと合することができる。
【0053】
本発明に係る薬用組成物を調合する好ましい方法は、米国仮特許出願第60/421133号(2002年9月10日出願)に記載されており、その全内容を引用により本明細書の一部とする。
【0054】
特定量の活性化合物を有する種々の薬用組成物を製造する方法は、当業者に既知であるか、または明らかである。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easter, Pa., 15th Edition(1975)を参照されたい。
【実施例】
【0055】
実施例
下に記載する実施例および製造例は、本発明の態様の特定の側面をさらに説明および例示するものである。本発明の範囲は以下の実施例の範囲により限定される訳では決してないという事を理解されたい。
【0056】
方法および材料
示差走査熱量測定法(DSC):Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA機器モデル2920示差走査熱量測定器によりDSC測定を実施した。試料は0.4ないし2mgの重量範囲であった。波形模様をつけたアルミ皿に試料を置き、10℃/分の速度で320℃まで加熱した。パージ気体として乾燥窒素を使用した。
【0057】
粉末X線回折(PXRD):図1および2、ならびに以下の実施例のPXRDデータは、Scintag X2またはX1 Advanced Diffraction Systemのいずれかを用いて取得した。この系には、1.5406Å(0.15406nm)におけるCuKα1放出を得るための45kVおよび40mAに維持した銅X線源、およびソリッドステートペルティエ冷却検出器を使用した。ビーム窓は、2および4mmの、管の発散および散乱防止スリット、ならびに0.5および0.3mm幅の、検出器の散乱防止および受光スリットを用いて調節した。通常、0.03゜/点の段階的スキャンおよび1s/点のカウント時間を用いて2゜から40゜までの2シータ(2θ)のデータを集めた。Scintag の12mmまたは9mmのアルミトレー挿入体または石英板を備えた円形トップローディングステンレススチール試料カップを試料の格納に使用した。分析前に必要に応じて試料を乳鉢と乳棒で手動粉砕した。表1および2中の強度データを、1秒あたりの各点からのおよそのバックグラウンドカウントを差し引くことにより、バックグラウンドについておおまかに補正した。
【0058】
図3-9のPXRDデータを、高スループットPXRDスクリーニング装置を用いて補正した。Hi-Starエリア型検出器を備え付けたBruker GADDS回折計にプレートを載せた。データの収集は、3ないし42゜の2θ領域で単色化したCuKα照射を用いて室温で実施した。2θ範囲(第一のフレームについては3≦2θ≦21゜、そして第二のフレームについては19≦2θ≦42゜) における各ウェルの回折パターンを、各フレームについて75秒間の暴露時間で収集した。PXRD分析中に使用した担体材料はX線に対して透明であり、バックグラウンドに対する寄与は僅かであった。
【0059】
TGA測定は、Thermal Analyst 5000コントローラーを備えたTA Instrumentsモデル2950 Hi-Res分析器を用いて実施した。風袋秤量済みの白金製吊り下げ皿に試料を載せ、10℃/分の速度で少なくとも165℃まで加熱した。乾燥窒素をパージ気体として使用した。
HPLC条件は個々の実施例に記載する。
【0060】
実施例1
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの幾つかの塩を製造し、吸湿性について分析した。吸湿性は、25℃の温度で雰囲気調節微量天秤を使用する動的吸湿重量測定(DMSG)によって測定した。試料を、3%刻みで0ないし90%の範囲の相対湿度で、湿度プロファイル36 → 0 → 90 → 0%で分析した(ここで、初期値36%は、およその初期平衡化相対湿度を反映している(特に測定した訳ではない))。各段階で平衡に到達した後に次の段階に移行し、連続した5点(120秒間につき1点)での重量変化が0.001mg(0.01%)または0.002mg(0.02%)未満である事を平衡と判断する。塩の間の比較のため、80%相対湿度(RH)における水の取り込みを選択した。各々の塩についての80%RH値を表5に示すが、この表の右側の欄は、完全なDMSGスキャンを示す対応図を示している。80%における水の取り込みについて与えられた値の範囲は、0 → 90%および90 → 0%のスキャンにおけるヒステリシスを反映している。
【0061】
【表5】
【0062】
塩酸塩について、最初の測定は、見かけ上段階的な水分獲得/喪失を伴う吸着を示し、この吸着プロファイルは顕著なヒステリシスを示した(図10Aを参照されたい)。この塩は表5で「多形型1」と表記されている。最終生成物(HCl「多形型2」)は、PXRDにより評価されたところによれば(示していない)出発材料と同じ結晶形ではなかった。このHCl塩の多形型2についてのDSCおよびTGA測定は、融点が約284℃の一水和物を示した。TGAは3.8%の重量喪失であった。HCl塩の多形型2はDMSGによっても評価したが、これは0 → 81 → 0%の相対湿度プロファイルを用いた(図10B)。多形型2の塩は比較的非吸湿性であり、顕著なヒステリシスを示さなかった。
【0063】
L-リンゴ酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約182℃で融解したが、さらなる熱的現象が約95℃で起こった。
マレイン酸塩を用いて収集した最初のデータは割愛する。最初のマレイン酸塩はまずまずの結晶性を持っていたに過ぎず、特異なPXRDパターンを示し、そして約181℃の融点を持っていた。この物質は、吸湿性であり、相対湿度80%において約9%の水分取り込みであった。この塩は多形型5、または、多形型5と1またはそれ以上の他の多形の混合物であると考えられるが、これは検証されなかった。その後、良好な結晶性を持ち多形型2として特性決定された第二のマレイン酸塩試料を試験し、この多形型2試料からの結果を表5に示した。
【0064】
L-酒石酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約191℃で融解した。
【0065】
トシラート塩はまずまずの結晶性であった(PXRDは示していない)。この試料は約190℃で融解した。約65%の相対湿度で約2.5%の水分取り込みが観察され、その後、約30%の相対湿度で喪失が観察された。この重量変化はおよそ1モルの水に等しかった。
マンデル酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約224℃で融解した。
マロン酸塩の結晶性は劣悪であった(PXRDは示していない)。この試料は約133℃で脱溶媒和し(DSC)、約261℃で融解した。TGAにより溶媒含有量は約15%であると決定された。
【0066】
実施例2
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の、2つの異なる試料について化学的安定性を評価した。試料は、温度と湿度を制御した試験室で、25℃および相対湿度60%(表7および8)または40℃および相対湿度75%(表9および10)に保持した。様々な時間間隔で材料を取り出し、マレイン酸塩対イオン検定、不純物、水分およびエナンチオマー純度について試験した。
【0067】
マレイン酸対イオン検定はイオン交換クロマトグラフィー(IEC)で測定した。典型的な条件は以下の通りであった:
イオンクロマトグラフ:電導度検出器を備えたDionex DX 600
分析カラム:Anionic AS14、250 x 4.0 mm、Dionex
ガードカラム:Anionic AS 14、100 x 4.0 mm、Dionex
カラム温度:30℃
移動相:3.5mM炭酸ナトリウム + 1mM炭酸水素ナトリウム
溶離モード:アイソクラティック
流速:1.2mL/分
注入容量:25μL
【0068】
適当料のマレイン酸塩を水(Milli Q等級)に溶解し、IECで分析し、較正試料と比較する。これらの条件下で、マレイン酸に起因するピークは約11分の保持時間を持つ。試料中のマレイン酸の量を以下のように算出する:
検定% = (CS/W) x 100
[式中、CSは試料中に見いだされたマレイン酸の濃度であり、Wは水溶液中の理論的試料濃度である]
【0069】
不純物および分解生成物の量は、ダイオードアレー検出器を備えたPerkin Elmer LC 200系を用いるHPLCによって決定した。分析カラムはWaters Xterra RP18、5μm、250 x 4.6 mmであり、ガードカラムはWaters Xterra RP18、5μm、20 x 3.9 mmであった。移動相Aは90%の0.05M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)と10%のアセトニトリルの混合物であった。移動相Bは、10%の0.05M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)と90%のアセトニトリルの混合物であった。溶媒勾配を表6に示す。
【0070】
【表6】
【0071】
流速1mL/分、注入容量30μL、室温、435nmの検出とした。これらの条件下で、マレイン酸塩に起因するピークは約24分の保持時間を持つ。不純物をそれらの相対保持時間(RRT)により特性決定する。RRT=0.26の不純物はE異性体である。他の異性体は特性決定しなかった。
【0072】
エナンチオマー純度は、Chiralpak AD分析カラム、10μm、250 x 4.6mm(ダイセル化学)を使用し、乾熱機温度30℃、移動相2-プロパノール/ヘプタン/???、イソクラティック溶離モード、流速0.5mL/分、注入容量50μL、検出器波長265nm、希釈溶媒2-プロパノール/ヘプタン(50/50)および試料濃度0.3mg/mLで、HPLCによって決定した。これらの条件下で、S異性体は約15.5分の保持時間を持ち、R異性体は約22分の保持時間を持つ。
【0073】
水分はUSP 25、<921>、方法Icに従って測定した。
結果を表7〜10に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
実施例3
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1、多形型2、および多形型1と多形型2の混合物の試料について、結晶形の安定性を評価した。各々の場合に、その物質の試料を40℃および相対湿度75%に温度および湿度を制御した安定性試験室に入れた。試験時間中に数回試料を取り出し、PXRDパターンの質的変化を分析した。多形型1では試験時間は163日間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。多形型2では試験時間は134日間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。混合した多形型1/多形型2では試験時間は6週間であり、PXRDパターンに結晶形の変化は見られなかった。
【0079】
実施例4
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の試料で6週間の安定性試験を実施した。この化合物を密閉バイアルで6週間、3種類の安定性試験条件:5℃、25℃/60%相対湿度および40℃/75%相対湿度、に暴露し、HPLC機器をAgilent 1100系とした事以外は実施例2の記載と同様にして、化学的およびエナンチオマー安定性について分析した。
【0080】
【表11】
【0081】
レファランス標準から得られたこのHPLC実施全体の平均レスポンスファクタに基づき、E異性体を不純物ではなく当該化合物であると考えて、回収パーセントを算出した。このクラスの化合物は可逆的E-Z異性化を示し、一般にZ異性体が好まれる。この異性化はしばしば試料の調製および分析の所産である。熱重量分析(TGA)は僅かな水分を示し、よってこれは回収パーセントの算出の際考慮しなかった。表に示した数値は幾つかの注入の平均である。
【0082】
熱安定性と残留溶媒含有量を決定するため、同じ試料をDSCとTGAで分析した。結果を表12に示す。
【0083】
【表12】
【0084】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩は、調査した全ての安定性条件下で安定であった。6週間安定性試料の検定は97.1-98.5%であり、総不純物含有量は1.67-1.85%であった。この検定および不純物プロファイルは、調査した全ての条件下で、初期プロファイルに比較して著しい変化を示さなかった。マレイン酸のHPLC定量分析は、遊離塩基対酸の化学量論的比率1:1と矛盾しなかった(データは示していない)。さらに、いかなる試料にもキラル変換は観察されなかった。80℃に2週間保持した試料においてエナンチオマー安定性の確認も行ったが、R異性体量の増加は観察されなかった。
【0085】
6週間試料のDSC分析は、207-208℃に単一の鋭い吸熱性融解/分解ピークを示した。TGA分析は、25-125℃の間で僅かな重量喪失(2%未満)を示した。DSCで観察された218℃における吸熱性ピークに呼応する207℃で、著明な重量喪失(約21-23%)が起こった。
【0086】
40℃/75%RHに6週間維持した試料のPXRD分析は、対照試料に比較して結晶変化を示さなかった。
【0087】
実施例6
前臨床生物種(インビボおよびインビトロ)およびヒトの肝細胞およびミクロソームにおいて、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの代謝は主に肝チトクロムP450の仲介する酸化経路によって進行する。主たる代謝部位はモルホリニル基である。カニクイザルに1回経口投与(100mg/kg)した後に、3種類の代謝産物がインビボ同定された(図8)。サル血漿中において親化合物に対して<16%相対存在量が検出されたこれら3種の代謝産物は、ヒトミクロソームおよび肝細胞中に観察された主生成物でもあった。相対存在量は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(100mg/kg)の1回投与後のサル血漿から決定し、440nMにおけるインドールの特徴的UV吸収から推定した、(AUC0-12代謝産物/AUC0-12親) x 100 を基礎とした。核磁気共鳴(NMR)によってN,O-脱アルキル化代謝産物を確認した。この代謝産物は生化学活性を有するが細胞活性は持たず、この事は、細胞に進入するに充分な透過性を欠くことを示唆するものである。モルホリニルラクタム代謝産物は酸素化-脱水素化の産物であり、これもまたNMRによって確認した。モルホリニルヘミアミナール代謝産物は、イミニウムイオン捕捉実験によって同定された不安定な代謝産物である。12.5mgの1回投与後にヒト尿中の代謝産物も決定し、これらの代謝産物を表9に示す。相対存在量を428nmでのUV反応によって決定した。
【0088】
本発明を具体的且つ好ましい態様を参考に説明してきたが、当業者は、常套的実験および本発明の実施を通じて変化や修飾を施せることが理解できるであろう。したがって、本発明は前記の説明に限定される訳ではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されるよう意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型1の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型2の粉末X線回折パターンを示す。
【図3A】図3Aは、多形混合物中に多形型3を含む、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図3B】図3Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型3の、デコンボリュートした粉末X線回折パターンを示す。
【図4】図4は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型4の粉末X線回折パターンを示す。
【図5】図5は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型5の粉末X線回折パターンを示す。
【図6A】図6Aは、多形混合物中に多形型6を含む、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。
【図6B】図6Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型6の、デコンボリュートした粉末X線回折パターンを示す。
【図7】図7は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩、多形型7の粉末X線回折パターンを示す。
【図8】図8は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの構造式と、サル血漿における3種類の代謝産物の相対存在量を示す。
【図9】図9は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドと、ヒト尿における幾つかの代謝産物の相対存在量を示す。
【図10A】図10Aは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの第一の塩酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図10B】図10Bは、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの第二の塩酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【0090】
【図11】図11は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのL-リンゴ酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図12】図12は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマレイン酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図13】図13は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのL-酒石酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図14】図14は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのトシラート塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図15】図15は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマンデル酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【図16】図16は、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドのマロン酸塩についての動的吸湿重量測定(DMSG)スキャンを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの非吸湿性塩。
【請求項2】
塩が多形型1、多形型2、または多形型1と多形型2の混合物である結晶性無水マレイン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
塩が、回折角(2θ)12.7および15.4にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
塩が、回折角(2θ)13.1および15.9にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項5】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項6】
塩が多形型1、多形型2、または多形型1と多形型2の混合物である、請求項5に記載のマレイン酸塩。
【請求項7】
図1に示すものと本質上同じ回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを持つ、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項8】
図2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の塩を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬組成物を含むカプセル剤。
【請求項11】
5〜75mg の遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む、請求項10に記載のカプセル剤。
【請求項12】
10〜25mg の遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む、請求項11に記載のカプセル剤。
【請求項13】
哺乳動物に、請求項9に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法。
【請求項14】
哺乳動物に、請求項10に記載のカプセル剤を投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法。
【請求項1】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの非吸湿性塩。
【請求項2】
塩が多形型1、多形型2、または多形型1と多形型2の混合物である結晶性無水マレイン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
塩が、回折角(2θ)12.7および15.4にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
塩が、回折角(2θ)13.1および15.9にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項5】
5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項6】
塩が多形型1、多形型2、または多形型1と多形型2の混合物である、請求項5に記載のマレイン酸塩。
【請求項7】
図1に示すものと本質上同じ回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを持つ、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項8】
図2に示すものと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの結晶性無水マレイン酸塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の塩を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬組成物を含むカプセル剤。
【請求項11】
5〜75mg の遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む、請求項10に記載のカプセル剤。
【請求項12】
10〜25mg の遊離塩基相当量の5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキサミドの塩を含む、請求項11に記載のカプセル剤。
【請求項13】
哺乳動物に、請求項9に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法。
【請求項14】
哺乳動物に、請求項10に記載のカプセル剤を投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−507482(P2007−507482A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530728(P2006−530728)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003070
【国際公開番号】WO2005/033098
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003070
【国際公開番号】WO2005/033098
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]