ピロー包装用原反フィルム、及びピロー包装体
【課題】 被包装物を包装する包装工程上でフィルム材の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性が確保されるピロー包装用原反フィルムを提供する。
【解決手段】 曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されている。
【解決手段】 曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を包装するための包装用原反フィルム、及び、被包装物を包装した包装体に関し、より詳しくは、被包装物をピロー包装するためのピロー包装用原反フィルム、及び、被包装物をピロー包装したピロー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パンや菓子類等の食品、日用品等の被包装物を包装する形態として、ピロー包装が知られている。かかるピロー包装は、一般的に、曲折自在なフィルム材からなる帯状のピロー包装用原反フィルム(以下、単に原反フィルムという)を長手方向に搬送しつつ被包装体を包装するようにしている。
【0003】
ここで、ピロー包装の包装工程について具体的に説明すると、ピロー包装は、長手方向に搬送される原反フィルム上に被包装物を供給した後、被包装物を包み込むように原反フィルムを長手方向と直交する短手方向に曲げ、原反フィルムの重なり合う短手方向の両端部同士をシールするとともに、長手方向における被包装物の両側で原反フィルムの互いに重なり合った部分同士をシールして被包装物を包装し、該被包装物を包装した部分をピロー包装体として切り離すようにして行われる。また、原反フィルムからピロー包装体を切り離すのに併せ、被包装物の両側で原反フィルムの互いに重なり合った部分同士をシールしたシール部に切欠き状のノッチを形成するようにもしている。
【0004】
これにより、上記包装工程で得られたピロー包装体は、ノッチ(ノッチを画定するエッジの頂点)を起点にして被包装物を覆ったフィルム材(包装材)を切断することで、開封できるようになっている。
【0005】
しかしながら、被包装物の両側にあるシール部は原反フィルムの重なり合った部分同士をシールした領域であるため、剛性が高く、ノッチを起点にして包装材を切断しようとしても円滑に切断できない場合がある。また、ノッチを起点に包装材を切断できたとしても、包装材が不特定な方向に裂けて体裁良く開封できない場合がある。
【0006】
そこで、原反フィルムには、図12(a)に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10’が形成されるとともに、該第一切断補助線10’に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20’が形成されたものが提供されている。
【0007】
かかる原反フィルム1’は、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’がハーフカットやミシン目等で構成され、図12(b)に示す如く、被包装物F’を包装したピロー包装体P’(ピロー包装体P’を構成する包装材60’)になった状態で、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’が互いに対向して同方向に延びた状態になるようになっている。
【0008】
これにより、上記原反フィルム1’は、ピロー包装体P’(包装材60’)になった状態で、包装材60’を第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’に沿って切断して容易に開封できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、被包装物F’を包装する際、上述の如く、被包装物F’を包み込むように原反フィルム1’を短手方向に曲げてその両端部同士を重ね合わせるようにしているが、原反フィルム1’の曲がり具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じ、第一切断補助線10’と第二切断補助線20’とが互いに向かい合った配置にならないことがある。
【0010】
これに伴い、被包装物F’の両側で原反フィルム1’の互いに重なり合った部分同士をシールしてシール部S2’を形成すると、シール部S2’内で第一切断補助線10’が相手方の第二切断補助線20’の形成されていない部分と重なった状態になり、また、第二切断補助線20’が相手方の第一切断補助線10’の形成されていない部分と重なった状態になってしまうことがある。すなわち、図13に示す如く、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’のそれぞれの端部がシール部S2’内で短手方向にずれた配置になってしまうことがある。
【0011】
このように第一切断補助線10’と第二切断補助線20’とがシール部S2’内でずれた配置になると、シール部S2にノッチ50’(図12(b)参照)を形成したとしても、ピロー包装体P’を開封する際に、第一切断補助線10’と対向する部分又は第二切断補助線20’と対向する部分(第一切断補助線10’の形成されていない部分又は第二切断補助線20’の形成されていない部分)が包装材60’の切断を阻害してしまい、円滑に開封できないといった問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、被包装物を包装する包装工程上でフィルム材の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性が確保されるピロー包装用原反フィルム及びピロー包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るピロー包装用原反フィルムは、曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とする。なお、ここで「シール」とは、熱溶着(ヒートシール)によるフィルム材同士の接合は勿論のこと、接着剤によるフィルム材同士の接合を含む概念である。
【0014】
上記構成のピロー包装用原反フィルムによれば、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、被包装物を包装するために短手方向に曲げて同方向の両端部同士を重ね合わせるに際し、曲げ具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じたとしても、複数本形成された第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか一方の少なくとも何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか他方が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、被包装物を包み込むように短手方向に曲げたピロー包装用原反フィルムを被包装物の両側でシールした上で切断してピロー包装体にしても、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になる。従って、ピロー包装体を開封するときに、被包装物を包装した包装材(フィルム材)を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。
【0015】
本発明に係るピロー包装用原反フィルムの一態様として、前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されていることが好ましい。このようにすれば、被包装物を包装するために短手方向に曲げて同方向の両端部同士を重ね合わせるに際し、曲げ具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じたとしても、複数本形成された第二切断補助線の何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、被包装物を包み込むように短手方向に曲げたピロー包装用原反フィルムを被包装物の両側でシールした上で切断してピロー包装体にしても、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になる。従って、ピロー包装体を開封するときに、被包装物を包装した包装材(フィルム材)を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。また、第一切断補助線を複数本形成しないため、第一切断補助線を形成する工程或いは設備を最小限に抑えることができる。
【0016】
本発明に係るピロー包装体は、曲折自在なフィルム材で構成された包装材を備え、包装材は、被包装物を包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物の両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物を包装し、しかも、一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域のうちの一方の領域には、他方向の両端部の重なり合った部分同士をシールして形成される一対のシール部の少なくとも何れか一方のシール部内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線が形成され、他方の領域には、第一切断補助線の始点があるシール部内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線が形成されたピロー包装体であって、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とする。なお、ここで「シール」とは、熱溶着(ヒートシール)によるフィルム材同士の接合は勿論のこと、接着剤によるフィルム材同士の接合を含む概念である。
【0017】
上記構成のピロー包装体によれば、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されているので、被包装物を包装するために包装材(フィルム材)を一方向に曲げるに際し、フィルム材の曲げ具合や両端部同士を重なり具合にバラツキが生じていたとしても、複数本形成された第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか一方の少なくとも何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか他方が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、該ピロー包装体は、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になっており、開封するときに、被包装物を包装した包装材を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。
【0018】
本発明に係るピロー包装体の一態様として、前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されていることが好ましい。このようにすれば、被包装物を包装するために包装材(フィルム材)を一方向に曲げるに際し、フィルム材の曲げ具合や両端部同士を重なり具合にバラツキが生じていたとしても、複数本形成された第二切断補助線何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、該ピロー包装体は、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になっており、開封するときに、被包装物を包装した包装材を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。また、第一切断補助線を複数本形成しないため、第一切断補助線を形成する工程或いは設備を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のピロー包装用原反フィルム、及びピロー包装体によれば、被包装物を包装する包装工程上でフィルム材の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示す。
【図2】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムに第一切断補助線及び第二切断補助線を形成する方法を説明するための説明図であって、(a)は、ピロー包装用原反フィルムになるフィルム材に切断補助線を形成する状態の概略縦断面図を示し、(b)は、ピロー包装用原反フィルムになるフィルム材に切断補助線を形成する状態の斜視図を示す。
【図3】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分拡大断面図であって、(a)は、第一切断補助線付近の部分拡大断面図を示し、(b)は、第二切断補助線付近の部分拡大断面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装する際の包装工程を説明するための概略平面図を示す。
【図5】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装したピロー包装体の斜視図を示す。
【図6】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態の第二シール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【図7】本発明の第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示す。
【図8】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装する際の包装工程を説明するための概略平面図を示す。
【図9】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装したピロー包装体の斜視図を示す。
【図10】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態の第二シール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【図11】本発明の他実施形態に係るピロー包装体用の包装材の説明図であって、(a)は、被包装物を包装した状態でガセットの形成されるピロー包装体用の包装材の平面図を示し、(b)被包装物を包装した状態でガセットの形成されない一般的なピロー包装体用の包装材の平面図を示す。
【図12】従来の包装態様を説明するための説明図であって、(a)は、従来のピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示し、(b)は、被包装物を包装した状態のピロー包装体の斜視図を示す。
【図13】従来のピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態のシール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルム(以下、単に原反フィルムという)及びピロー包装体について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態に係る原反フィルムは、曲折自在な帯状のフィルム材で構成されている。そして、原反フィルムは、図1に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10が形成されるとともに、該第一切断補助線10に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。
【0023】
そして、原反フィルム1は、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成される。本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が複数本形成されている。
【0024】
第一切断補助線10は、フィルム材の少なくとも何れか一方の面上を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の周知な構成を採用することができる。
【0025】
本実施形態に係る第一切断補助線10は、形態的に従来から周知なハーフカットに類似するものであるが、切断方向性や切断容易性が従来のハーフカットよりも格段に向上した特殊なものになっている。
【0026】
ここで本実施形態に係る第一切断補助線10の形成方法について説明すると、図2(a)及び図2(b)に示す如く、第一切断補助線10は、原反フィルム1になるフィルム材fを所定周波数の超音波が付与されるホーンHと受け材Bとで挟み込んだ状態で、前記ホーンHに超音波を付与してフィルム材fを溶かすことで形成されている。
【0027】
より具体的に説明すると、本実施形態に係る第一切断補助線10を形成するための受け材Bは、ホーンHと共にフィルム材fを挟み込む先端部の幅が先端に向かうにつれて幅狭になるように形成されている。そして、ホーンHと受け材Bとに挟み込まれたフィルム材fに対して受け材Bの先端部の幅方向と直交する方向の張力Tを作用させつつホーンHに超音波を付与する。このようにすると、ホーンHに付与した超音波による振動エネルギーでフィルム材fが受け材Bの先端部の形状に対応して溶け、その溶けた部分が受け材Bの先端部によって両側に押しやられて隆起部30になるのに併せ、フィルム材fに対する張力Tの作用で両側の隆起部30が互いに接近する結果、図3(a)に示す如く、隆起部30間に第一切断補助線10が細長く且つ深さの深い溝のように形成される。
【0028】
これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と直交する方向に引っ張ると、厚みが周囲の厚みと極端に異なる第一切断補助線10と対応する部分に引っ張り力(張力T)が集中して作用し、薄肉になって脆弱になった部分(第一切断補助線10上)で切断するようになっている。また、該原反フィルム1は、第一切断補助線10の両側に強度の増した隆起部30が形成されているため、切断時に第一切断補助線10の延びる方向に対して交差する方向に裂けようとしても、隆起部30が切断方向を矯正して第一切断補助線10に沿って裂けるようになっている。これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10に沿って体裁良く切断できるようになっている。
【0029】
第二切断補助線20…は、フィルム材を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができる。
【0030】
本実施形態に係る第二切断補助線20…は、第一切断補助線10と同様の方法で形成されている。本実施形態に係る原反フィルム1は、複数の第二切断補助線20…が第一切断補助線10と同様の方法で形成されているため、図3(b)に示す如く、各第二切断補助線20…を形成するときに受け材Bによって両側に押しやられた部分(隆起部30)が隣り合う第二切断補助線20…間に集まる結果、第二切断補助線20…間(隆起部30)の厚みが周囲よりも厚くなっている。これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と同様に、何れの第二切断補助線20においても体裁良く切断できるようになっている。
【0031】
図1に戻り、本実施形態に係る原反フィルム1は、被包装物Fを包装した状態で該被包装物Fの両側に一対のガセット40a,40b(図5参照)を形成できるように短手方向の寸法が設定されている。また、本実施形態に係る原反フィルム1は、開封時に一方のガセット40aを切除できるように、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の配置が決定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と第二切断補助線20…との間が一方のガセット40aとなる領域40a’に設定されている。
【0032】
本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央位置よりも一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の両方が形成されている。これに伴い、該原反フィルム1は、短手方向の他端側の領域であって短手方向の中央で長手方向に延びる中央線(図示しない)を基準に一方のガセット40aになる領域40a’と対称となる位置に他方のガセット40bになる領域40b’が設定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央にある中央線を基準にした対称位置に一対のガセット40a,40bになる領域40a’,40b’に設定されている。なお、図1には、便宜上、ガセット40a,40bを形成するための折り曲げ予定線(後述の第一予定線L1、第二予定線L2、第三予定線L3)を二点鎖線で示しているが、実際の原反フィルム1にこれらの予定線L1,L2,L3は描かれていない。
【0033】
本実施形態に係る原反フィルム1は、以上の構成からなり、次に、該原反フィルム1を用いて被包装物Fを包装する包装工程(包装方法)について説明する。なお、ここでは特に言及しないが、原反フィルム1でピロー包装する場合、専用のピロー包装機が用いられるため、以下の包装工程は、ピロー包装機の作動と対応している。
【0034】
まず、図4に示す如く、原反フィルム1は、被包装物Fの供給される供給位置を通過するように長手方向に搬送される。この際、原反フィルム1は、供給位置の前段でガセット40a,40bの一部を形成すべく、折り曲げ予定線L1,L2に沿って折り返される。すなわち、原反フィルム1は、各ガセット40a,40bになる領域40a’40b’に対して短手方向に間隔をあけて三本(三箇所)の折り曲げ予定線L1,L2,L3が設定されており、各領域40a’40b’内に設定された三本の折り曲げ予定線L1,L2,L3のうち、短手方向の内側にある二本の折り曲げ予定線L1,L2(以下、この二本の折り曲げ予定線L1,L2のうち、最も内側にある折り曲げ予定線L1を第一予定線といい、中央の折り曲げ予定線L2を第二予定線ということとする。)で折り返される。
【0035】
これにより、原反フィルム1は、ガセット40a,40bになる領域40a’40b’の一部が長手方向に延びた襞状に形成されることになる。この状態で、一方のガセット40aを形成するための折り曲げ予定線L1,L2,L3のうち、最も外側にある折り曲げ予定線(以下、第三予定線L3という)を基準にして第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが略対称的な配置になる。
【0036】
そして、一対のガセット40a,40bになる領域40a’40b’のそれぞれの一部が襞状に形成されると、一対のガセット40a,40bになる領域40a’40b’間に(原反フィルム1上)に被包装物Fが配置される。しかる後、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、各第三予定線L3で折り返される。これにより、第三予定線L3よりも幅方向外側にあった領域は、被包装物Fに被った状態になる。そして、第一予定線L1と第三予定線L3とが略対向した状態になり、第一予定線L1と第三予定線L3との間が、第二予定線L2上で稜線を形成した二つ折り状(襠状)のガセット40a,40bとなる。
【0037】
そして、上述の如く、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが第三予定線L3を基準に略対称位置にあるため、該第三予定線L3上で原反フィルム1を折り返すと、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になる。
【0038】
そして、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、短手方向の両端部同士が長手方向に延びる一対の第一ヒートシールバーSB1,SB1に挟まれてシール(熱溶着)され、長手方向に延びるシール部分S1(以下、第一シール部という)が形成される。これにより、原反フィルム1は、短手方向に無端環状をなして被包装物Fを囲んだ状態になる。
【0039】
しかる後、被包装物Fを包み込んだ原反フィルム1における被包装物Fの両側(折り返しによって互いに重なり合った部分)が短手方向に延びる一対の第二ヒートシールバーSB2,SB2に挟まれてシール(熱溶着)され、短手方向に延びたシール部(以下、第二シール部という)S2が形成される。ここで第二シール部S2が形成されるが、上述の如く、複数の第二切断補助線20…の何れ一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になっているため、原反フィルム1の短手方向の両端部の重ね合わせにズレが生じた状態で第二シール部S2が形成された(互いに重なり合った部分同士がシールされた)としても、第二シール部S2内で何れかの第二切断補助線20…と第一切断補助線10とが重なった状態になる。
【0040】
そして、原反フィルム1は、第二シール部S2の延びる方向(短手方向)に沿うように切断され、該切断によって切り離された部分が被包装物Fを包装した包装材60となる。すなわち、原反フィルム1が短手方向に延びる帯状の第二シール部S2上で短手方向に切断されることで、被包装物Fを包装材60で覆ったピロー包装体Pが原反フィルム1から切り離されることになる。そして、なお、原反フィルム1を切断するのに併せ、第一切断補助線10の配置に対応する位置に切欠き状のノッチ50が形成される。
【0041】
このように、帯状の原反フィルム1を長手方向に搬送しつつ、ガセット40a,40bの形成、被包装物Fの包装、第一シール部S1及び第二シール部S2の形成、原反フィルム1の切断を連続的に行うことで、複数のピロー包装体Pが連続的に形成されることになる。
【0042】
上記工程を経て作製されたピロー包装体Pは、図5に示す如く、包装材60が被包装物Fを包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされて第一シール部S1が形成されるとともに、被包装物Fの両側となる他方向の両端部の重なり合った部分同士がシールされて一対の第二シール部S2,S2が形成されている。これにより、ピロー包装体Pは、包装材60が被包装物Fの周囲を完全に覆い、被包装物Fを包装した状態になっている。また、該ピロー包装体Pは、包装材60が一方向に曲げられることで互いに対向した二つの領域X,Yが形成されており、その領域X,Yのうちの一方の領域Xには、他方向の両端部に形成される第二シール部S2内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線10が形成され、他方の領域Yには、第一切断補助線10の始点がある第二シール部S2内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。そして、該ピロー包装体Pの包装材60は、第一切断補助線10が一本形成され、第二切断補助線20が一方向で並列をなすように複数本形成されている。
【0043】
上記構成のピロー包装体Pは、複数の第二切断補助線20…が一方向で並列をなすように形成されているため、包装工程上で原反フィルム1の曲げ具合や短手方向の端部同士の重なり具合にバラツキが生じていたとしても、図6に示す如く、第二シール部S2内で第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…の何れか一本とが一致している。従って、該ピロー包装体Pは、ノッチ50を起点に包装材60を他方向(原反フィルム1の長手方向と対応する方向)に切断するに際し、何ら阻害されることなく、第一切断補助線10と、これに対応する第二切断補助線20…とに沿って切断されることになる。
【0044】
そして、上記構成のピロー包装体Pは、図5に示す如く、包装材60が一方のガセット40aの両側に形成された第一切断補助線10と第二切断補助線20…とに沿って切断されるため、開封後に該ガセット40aとその近傍とが切除される結果、被包装物Fの大部分が包装材60の残りの部分に覆われた状態になる。従って、被包装物Fがパン等の食品である場合には、包装材60の被包装物Fを覆った部分を持って食すことができる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る原反フィルム1及びピロー包装体Pは、被包装物Fを包装する包装工程上で原反フィルム1の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できる。
【0046】
また、本実施形態に係る原反フィルム1は、上述の如く、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、第一切断補助線を形成する工程を最小限に抑えた上で、上記作用及び効果を奏することができる。
【0047】
次に、本発明の第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルム及びピロー包装体について説明する。なお、以下の説明において、第一実施形態と同一の構成、或いは相当する構成について同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0048】
本実施形態に係る原反フィルム1は、第一実施形態と同様に、曲折自在な帯状のフィルム材で構成されており、図7に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10が形成されるとともに、該第一切断補助線10に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。
【0049】
そして、原反フィルム1は、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成される。本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が複数本形成されている。
【0050】
第一切断補助線10は、フィルム材の少なくとも何れか一方の面上を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができるが、本実施形態においても、第一実施形態と同様の方法で同様の形態に形成されている。
【0051】
そして、第二切断補助線20…についても、フィルム材を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができるが、本実施形態においても、第一実施形態と同様の方法で同様の形態に形成されている。
【0052】
本実施形態に係る原反フィルム1は、第一実施形態とは異なり、短手方向の両側を折り返すことで被包装物Fを包み込んだ状態になるように短手方向の長さが設定されている。すなわち、該原反フィルム1は、被包装物Fを包装するときに短手方向の両側のそれぞれに一本の稜線を形成した状態で折り返すことを前提に短手方向の寸法が設定されている。
【0053】
そして、本実施形態に係る原反フィルム1は、開封時に一方の稜線とその近傍を切除できるように、第一切断補助線10と第二切断補助線20…との間に包装時の稜線となる折り曲げ予定線Lが設定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが折り曲げ予定線Lを基準に略対称位置になるように形成されている。
【0054】
本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央位置よりも一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の両方が形成されている。これに伴い、本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の他端側であって短手方向の中央で長手方向に延びる中央線を基準に一方の稜線(折り曲げ予定線L)と対称となる位置に他方の稜線になる折り曲げ予定線Lが設定されている。なお、図7には、便宜上、ピロー包装体Pになったときに稜線となる折り曲げ予定線Lを二点鎖線で示しているが、実際の原反フィルム1には、折り曲げ予定線Lは描かれていない。
【0055】
本実施形態に係る原反フィルム1は、以上の構成からなり、次に、該原反フィルム1を用いて被包装物Fを包装する包装工程(包装方法)について説明する。なお、ここでは特に言及しないが、原反フィルム1でピロー包装する場合、専用のピロー包装機が用いられるため、以下の包装工程は、ピロー包装機の作動と対応している。
【0056】
まず、図8に示す如く、原反フィルム1は、被包装物Fの供給される供給位置を通過するように長手方向に搬送される。この際、本実施形態に係る原反フィルム1は、供給位置で被包装物Fが一方の面上に供給され、その後に折り曲げ予定線L,Lに沿って短手方向の両側が折り返される。
【0057】
そして、上述の如く、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが折り曲げ予定線Lを基準に略対称位置にあるため、原反フィルム1を折り曲げ予定線Lで折り返すと、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になる。
【0058】
そして、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、短手方向の両端部同士が原反フィルム1の長手方向に延びる一対の第一ヒートシールバーSB1,SB1に挟まれてシール(熱溶着)され、長手方向に延びる第一シール部S1が形成されることになる。
【0059】
しかる後、被包装物Fを包み込んだ原反フィルム1における被包装物Fの両側(折り返しによって互いに重なり合った部分)が短手方向に延びる一対の第二ヒートシールバーSB2,SB2に挟まれてシール(熱溶着)され、短手方向に延びた第二シール部S2が形成される。ここで第二シール部S2が形成されるが、上述の如く、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になっているため、原反フィルム1の短手方向の両端部同士の重ね合わせにズレが生じた状態で第二シール部S2が形成された(互いに重なり合った部分同士がシールされた)としても、第二シール部S2内で何れか一本の第二切断補助線20…と第一切断補助線10とが重なった状態になる。
【0060】
そして、原反フィルム1は、第二シール部S2の延びる方向(短手方向)に沿うように切断され、被包装物Fを包装した部分がピロー包装体Pとして切り離される。すなわち、原反フィルム1は、短手方向に延びる帯状の第二シール部S2上で短手方向に切断されてピロー包装体Pとなる。なお、原反フィルム1を切断するのに併せ、第一切断補助線10の配置に対応する位置に切欠き状のノッチ50が形成される。
【0061】
このように、帯状の原反フィルム1を長手方向に搬送しつつ、被包装物Fの包装、第一シール部S1及び第二シール部S2の形成、原反フィルム1の切断を連続的に行うことで、複数のピロー包装体Pが連続的に形成されることになる。
【0062】
上記工程を経て作製されたピロー包装体Pは、図9に示す如く、包装材60が被包装物Fを包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物Fの両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物Fを包装した状態になっている。また、該ピロー包装体Pは、包装材60が一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域X,Yが形成されており、その二つの領域X,Yのうちの一方の領域Xには、他方向の両端部に形成される第二シール部S2内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線10が形成され、他方の領域Yには、第一切断補助線10の始点がある第二シール部S2内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。そして、該ピロー包装体Pの包装材60は、第一切断補助線10が一本形成され、第二切断補助線20が一方向で並列をなすように複数本形成されている。
【0063】
上記構成のピロー包装体Pは、複数の第二切断補助線20…が一方向で並列をなすように形成されているため、包装工程上で原反フィルム1の曲げ具合や短手方向の端部同士の重なり具合にバラツキが生じていたとしても、図10に示す如く、第二シール部S2内で第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…の何れか一本とが一致することになる。従って、該ピロー包装体Pは、ノッチ50を起点に包装材60を他方向(原反フィルム1の長手方向と対応する方向)に切断するに際し、何ら阻害されることなく、第一切断補助線10と、これに対応する第二切断補助線20…とに沿って切断されることになる。
【0064】
本実施形態に係るピロー包装体Pは、図9に示す如く、包装材60が一方の稜線(折り曲げ予定線)Lの両側に形成される第一切断補助線10と第二切断補助線20…とに沿って切断されるため、開封後に稜線L近傍が切除される結果、被包装物Fの大部分が原反フィルム1(フィルム材)の残りの部分に覆われた状態になる。従って、被包装物Fがパン等の食品である場合には、包装材60の被包装物Fを覆った部分を持って食すことができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る原反フィルム1及びピロー包装体Pは、被包装物Fを包装する包装工程上で原反フィルム1の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できる。
【0066】
また、本実施形態に係る原反フィルム1は、上述の如く、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、第一切断補助線を形成する工程を最小限に抑えた上で、上記作用及び効果を奏することができる。
【0067】
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0068】
例えば、上記各実施形態において、第一切断補助線10を一本形成するのに対し、第二切断補助線20…を複数本形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10を複数本形成するのに対し、第二切断補助線20…を一本形成するようにしてもよい。また、第一切断補助線10を複数本形成するとともに、第二切断補助線20…を複数本形成するようにしてもよい。
【0069】
上記各実施形態において、原反フィルム1の短手方向の一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、短手方向の中央を通る中心線を基準に一端側の領域内に第一切断補助線10を形成するとともに他端側の領域内に第二切断補助線20…を形成するようにしてもよい。すなわち、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、被包装物Fを包装した状態で互いに対向することになる二つ領域X,Yのそれぞれに形成されればよい。
【0070】
上記各実施形態において、ホーンHと幅方向に先細りした受け材Bとに挟み込まれたフィルム材fに対して受け材Bの先端部の幅方向と直交する方向の張力Tを作用させつつホーンHに超音波を付与することで第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、フィルム材を線状に溶かしたり、フィルム材を線状に切り欠いたりして形成される一般的なハーフカットであってもよいし、複数の切り目が一列に並んだ一般的なミシン目であってもよい。
【0071】
上記各実施形態において、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を原反フィルム1の長手方向の全長に亘って形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、第二シール部S2となる部分を含んだ一部の領域に形成するようにしてもよい。また、ピロー包装体Pの他方向の両端部に形成される一対の第二シール部S2,S2の両方に第一切断補助線10及び第二切断補助線の両端部が存在するようにしたが、例えば、一方の第二シール部S2のみに第一切断補助線10及び第二切断補助線20の一方の端部(始点)が存在するように第一切断補助線10及び第二切断補助線20を形成するようにしてもよい。このようにしても、包装材60の切断の開始を容易に行うことができ、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の存在する部分をこれらに沿って切断することができる。但し、この場合においては、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の存在しない部分が形成されるため、開封時に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の延びる方向で切断できるように、原反フィルム1に切断方向性のある一軸延伸処理されたフィルム材や二軸延伸処理されたフィルム材を採用することが好ましい。
【0072】
上記各実施形態において、熱溶着で第一シール部S1及び第二シール部S2を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いて原反フィルム1の短手方向の端部同士を接合して第一シール部S1を形成し、また、接着剤を用いて被包装物Fの両側にある原反フィルム1の互いに重なり合った部分同士を接合して第二シール部S2を形成するようにしてもよい。
【0073】
上記各実施形態において、原反フィルム1で被包装物Fを包装してピロー包装体Pを作製するようにしたが、ピロー包装体Pは、例えば、図11(a)及び図11(b)に示す如く、平面視略矩形状をなす枚葉状の包装材60で被包装物Fを包装したものであってもよい。すなわち、第一及び第二実施形態で説明した原反フィルム1を長手方向で所定寸法ずつ予め切断して枚葉状の包装材60を作製しておき、その包装材60の一方向の両端部同士をシールする(第一シール部S1を形成する)とともに、他方向における被包装物Fの両側で包装材60の互いに重なり合った部分同士をシールする(第二シール部S2を形成する)することで形成したピロー包装体Pであってもよい。この場合においても、枚葉状の包装材60を一方向に曲げるときに、曲げ具合や同方向の両端部同士の重なり具合にバラツキが発生することがあるが、上述の如く、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方を複数本並列に形成することで、包装材60を曲げたときに両者が一致した状態になる結果、上記各実施形態と同様に円滑に開封することができる。従って、第一及び第二実施形態に係る原反フィルム1は、枚葉状のピロー包装材60を作製するための原反フィルムとして活用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…原反フィルム、10…第一切断補助線、20…第二切断補助線、30…隆起部、40…ガセット、50…ノッチ、60…包装材、f…フィルム材、F…被包装物、H…ホーン、B…受け材、L…予定線、L…稜線、L1…第一予定線(折り曲げ予定線)、L2…第二予定線(折り曲げ予定線)、L3…第三予定線(折り曲げ予定線)、P…ピロー包装体、S1…第一シール部、S2…第二シール部、SB1…第一ヒートシールバー、SB2…第二ヒートシールバー、X,Y…領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を包装するための包装用原反フィルム、及び、被包装物を包装した包装体に関し、より詳しくは、被包装物をピロー包装するためのピロー包装用原反フィルム、及び、被包装物をピロー包装したピロー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パンや菓子類等の食品、日用品等の被包装物を包装する形態として、ピロー包装が知られている。かかるピロー包装は、一般的に、曲折自在なフィルム材からなる帯状のピロー包装用原反フィルム(以下、単に原反フィルムという)を長手方向に搬送しつつ被包装体を包装するようにしている。
【0003】
ここで、ピロー包装の包装工程について具体的に説明すると、ピロー包装は、長手方向に搬送される原反フィルム上に被包装物を供給した後、被包装物を包み込むように原反フィルムを長手方向と直交する短手方向に曲げ、原反フィルムの重なり合う短手方向の両端部同士をシールするとともに、長手方向における被包装物の両側で原反フィルムの互いに重なり合った部分同士をシールして被包装物を包装し、該被包装物を包装した部分をピロー包装体として切り離すようにして行われる。また、原反フィルムからピロー包装体を切り離すのに併せ、被包装物の両側で原反フィルムの互いに重なり合った部分同士をシールしたシール部に切欠き状のノッチを形成するようにもしている。
【0004】
これにより、上記包装工程で得られたピロー包装体は、ノッチ(ノッチを画定するエッジの頂点)を起点にして被包装物を覆ったフィルム材(包装材)を切断することで、開封できるようになっている。
【0005】
しかしながら、被包装物の両側にあるシール部は原反フィルムの重なり合った部分同士をシールした領域であるため、剛性が高く、ノッチを起点にして包装材を切断しようとしても円滑に切断できない場合がある。また、ノッチを起点に包装材を切断できたとしても、包装材が不特定な方向に裂けて体裁良く開封できない場合がある。
【0006】
そこで、原反フィルムには、図12(a)に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10’が形成されるとともに、該第一切断補助線10’に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20’が形成されたものが提供されている。
【0007】
かかる原反フィルム1’は、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’がハーフカットやミシン目等で構成され、図12(b)に示す如く、被包装物F’を包装したピロー包装体P’(ピロー包装体P’を構成する包装材60’)になった状態で、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’が互いに対向して同方向に延びた状態になるようになっている。
【0008】
これにより、上記原反フィルム1’は、ピロー包装体P’(包装材60’)になった状態で、包装材60’を第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’に沿って切断して容易に開封できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、被包装物F’を包装する際、上述の如く、被包装物F’を包み込むように原反フィルム1’を短手方向に曲げてその両端部同士を重ね合わせるようにしているが、原反フィルム1’の曲がり具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じ、第一切断補助線10’と第二切断補助線20’とが互いに向かい合った配置にならないことがある。
【0010】
これに伴い、被包装物F’の両側で原反フィルム1’の互いに重なり合った部分同士をシールしてシール部S2’を形成すると、シール部S2’内で第一切断補助線10’が相手方の第二切断補助線20’の形成されていない部分と重なった状態になり、また、第二切断補助線20’が相手方の第一切断補助線10’の形成されていない部分と重なった状態になってしまうことがある。すなわち、図13に示す如く、第一切断補助線10’及び第二切断補助線20’のそれぞれの端部がシール部S2’内で短手方向にずれた配置になってしまうことがある。
【0011】
このように第一切断補助線10’と第二切断補助線20’とがシール部S2’内でずれた配置になると、シール部S2にノッチ50’(図12(b)参照)を形成したとしても、ピロー包装体P’を開封する際に、第一切断補助線10’と対向する部分又は第二切断補助線20’と対向する部分(第一切断補助線10’の形成されていない部分又は第二切断補助線20’の形成されていない部分)が包装材60’の切断を阻害してしまい、円滑に開封できないといった問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、被包装物を包装する包装工程上でフィルム材の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性が確保されるピロー包装用原反フィルム及びピロー包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るピロー包装用原反フィルムは、曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とする。なお、ここで「シール」とは、熱溶着(ヒートシール)によるフィルム材同士の接合は勿論のこと、接着剤によるフィルム材同士の接合を含む概念である。
【0014】
上記構成のピロー包装用原反フィルムによれば、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、被包装物を包装するために短手方向に曲げて同方向の両端部同士を重ね合わせるに際し、曲げ具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じたとしても、複数本形成された第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか一方の少なくとも何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか他方が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、被包装物を包み込むように短手方向に曲げたピロー包装用原反フィルムを被包装物の両側でシールした上で切断してピロー包装体にしても、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になる。従って、ピロー包装体を開封するときに、被包装物を包装した包装材(フィルム材)を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。
【0015】
本発明に係るピロー包装用原反フィルムの一態様として、前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されていることが好ましい。このようにすれば、被包装物を包装するために短手方向に曲げて同方向の両端部同士を重ね合わせるに際し、曲げ具合や両端部同士の重なり具合にバラツキが生じたとしても、複数本形成された第二切断補助線の何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、被包装物を包み込むように短手方向に曲げたピロー包装用原反フィルムを被包装物の両側でシールした上で切断してピロー包装体にしても、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になる。従って、ピロー包装体を開封するときに、被包装物を包装した包装材(フィルム材)を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。また、第一切断補助線を複数本形成しないため、第一切断補助線を形成する工程或いは設備を最小限に抑えることができる。
【0016】
本発明に係るピロー包装体は、曲折自在なフィルム材で構成された包装材を備え、包装材は、被包装物を包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物の両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物を包装し、しかも、一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域のうちの一方の領域には、他方向の両端部の重なり合った部分同士をシールして形成される一対のシール部の少なくとも何れか一方のシール部内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線が形成され、他方の領域には、第一切断補助線の始点があるシール部内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線が形成されたピロー包装体であって、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とする。なお、ここで「シール」とは、熱溶着(ヒートシール)によるフィルム材同士の接合は勿論のこと、接着剤によるフィルム材同士の接合を含む概念である。
【0017】
上記構成のピロー包装体によれば、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されているので、被包装物を包装するために包装材(フィルム材)を一方向に曲げるに際し、フィルム材の曲げ具合や両端部同士を重なり具合にバラツキが生じていたとしても、複数本形成された第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか一方の少なくとも何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線又は第二切断補助線の何れか他方が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、該ピロー包装体は、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になっており、開封するときに、被包装物を包装した包装材を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。
【0018】
本発明に係るピロー包装体の一態様として、前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されていることが好ましい。このようにすれば、被包装物を包装するために包装材(フィルム材)を一方向に曲げるに際し、フィルム材の曲げ具合や両端部同士を重なり具合にバラツキが生じていたとしても、複数本形成された第二切断補助線何れか一本に対し、相手方となる第一切断補助線が重なった状態又は略重なった状態になる。これにより、該ピロー包装体は、被包装物の両側に形成されるシール部で第一切断補助線と第二切断補助線とが一致又は略一致した状態になっており、開封するときに、被包装物を包装した包装材を第一切断補助線及び第二切断補助線の両方に沿って容易に切断することができる。また、第一切断補助線を複数本形成しないため、第一切断補助線を形成する工程或いは設備を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のピロー包装用原反フィルム、及びピロー包装体によれば、被包装物を包装する包装工程上でフィルム材の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示す。
【図2】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムに第一切断補助線及び第二切断補助線を形成する方法を説明するための説明図であって、(a)は、ピロー包装用原反フィルムになるフィルム材に切断補助線を形成する状態の概略縦断面図を示し、(b)は、ピロー包装用原反フィルムになるフィルム材に切断補助線を形成する状態の斜視図を示す。
【図3】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分拡大断面図であって、(a)は、第一切断補助線付近の部分拡大断面図を示し、(b)は、第二切断補助線付近の部分拡大断面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装する際の包装工程を説明するための概略平面図を示す。
【図5】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装したピロー包装体の斜視図を示す。
【図6】第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態の第二シール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【図7】本発明の第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示す。
【図8】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装する際の包装工程を説明するための概略平面図を示す。
【図9】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装したピロー包装体の斜視図を示す。
【図10】第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態の第二シール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【図11】本発明の他実施形態に係るピロー包装体用の包装材の説明図であって、(a)は、被包装物を包装した状態でガセットの形成されるピロー包装体用の包装材の平面図を示し、(b)被包装物を包装した状態でガセットの形成されない一般的なピロー包装体用の包装材の平面図を示す。
【図12】従来の包装態様を説明するための説明図であって、(a)は、従来のピロー包装用原反フィルムの部分平面図を示し、(b)は、被包装物を包装した状態のピロー包装体の斜視図を示す。
【図13】従来のピロー包装用原反フィルムで被包装材を包装した状態のシール部の概略断面図であって、第一切断補助線及び第二切断補助線の配置を示した概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係るピロー包装用原反フィルム(以下、単に原反フィルムという)及びピロー包装体について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態に係る原反フィルムは、曲折自在な帯状のフィルム材で構成されている。そして、原反フィルムは、図1に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10が形成されるとともに、該第一切断補助線10に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。
【0023】
そして、原反フィルム1は、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成される。本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が複数本形成されている。
【0024】
第一切断補助線10は、フィルム材の少なくとも何れか一方の面上を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の周知な構成を採用することができる。
【0025】
本実施形態に係る第一切断補助線10は、形態的に従来から周知なハーフカットに類似するものであるが、切断方向性や切断容易性が従来のハーフカットよりも格段に向上した特殊なものになっている。
【0026】
ここで本実施形態に係る第一切断補助線10の形成方法について説明すると、図2(a)及び図2(b)に示す如く、第一切断補助線10は、原反フィルム1になるフィルム材fを所定周波数の超音波が付与されるホーンHと受け材Bとで挟み込んだ状態で、前記ホーンHに超音波を付与してフィルム材fを溶かすことで形成されている。
【0027】
より具体的に説明すると、本実施形態に係る第一切断補助線10を形成するための受け材Bは、ホーンHと共にフィルム材fを挟み込む先端部の幅が先端に向かうにつれて幅狭になるように形成されている。そして、ホーンHと受け材Bとに挟み込まれたフィルム材fに対して受け材Bの先端部の幅方向と直交する方向の張力Tを作用させつつホーンHに超音波を付与する。このようにすると、ホーンHに付与した超音波による振動エネルギーでフィルム材fが受け材Bの先端部の形状に対応して溶け、その溶けた部分が受け材Bの先端部によって両側に押しやられて隆起部30になるのに併せ、フィルム材fに対する張力Tの作用で両側の隆起部30が互いに接近する結果、図3(a)に示す如く、隆起部30間に第一切断補助線10が細長く且つ深さの深い溝のように形成される。
【0028】
これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と直交する方向に引っ張ると、厚みが周囲の厚みと極端に異なる第一切断補助線10と対応する部分に引っ張り力(張力T)が集中して作用し、薄肉になって脆弱になった部分(第一切断補助線10上)で切断するようになっている。また、該原反フィルム1は、第一切断補助線10の両側に強度の増した隆起部30が形成されているため、切断時に第一切断補助線10の延びる方向に対して交差する方向に裂けようとしても、隆起部30が切断方向を矯正して第一切断補助線10に沿って裂けるようになっている。これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10に沿って体裁良く切断できるようになっている。
【0029】
第二切断補助線20…は、フィルム材を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができる。
【0030】
本実施形態に係る第二切断補助線20…は、第一切断補助線10と同様の方法で形成されている。本実施形態に係る原反フィルム1は、複数の第二切断補助線20…が第一切断補助線10と同様の方法で形成されているため、図3(b)に示す如く、各第二切断補助線20…を形成するときに受け材Bによって両側に押しやられた部分(隆起部30)が隣り合う第二切断補助線20…間に集まる結果、第二切断補助線20…間(隆起部30)の厚みが周囲よりも厚くなっている。これにより、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と同様に、何れの第二切断補助線20においても体裁良く切断できるようになっている。
【0031】
図1に戻り、本実施形態に係る原反フィルム1は、被包装物Fを包装した状態で該被包装物Fの両側に一対のガセット40a,40b(図5参照)を形成できるように短手方向の寸法が設定されている。また、本実施形態に係る原反フィルム1は、開封時に一方のガセット40aを切除できるように、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の配置が決定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と第二切断補助線20…との間が一方のガセット40aとなる領域40a’に設定されている。
【0032】
本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央位置よりも一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の両方が形成されている。これに伴い、該原反フィルム1は、短手方向の他端側の領域であって短手方向の中央で長手方向に延びる中央線(図示しない)を基準に一方のガセット40aになる領域40a’と対称となる位置に他方のガセット40bになる領域40b’が設定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央にある中央線を基準にした対称位置に一対のガセット40a,40bになる領域40a’,40b’に設定されている。なお、図1には、便宜上、ガセット40a,40bを形成するための折り曲げ予定線(後述の第一予定線L1、第二予定線L2、第三予定線L3)を二点鎖線で示しているが、実際の原反フィルム1にこれらの予定線L1,L2,L3は描かれていない。
【0033】
本実施形態に係る原反フィルム1は、以上の構成からなり、次に、該原反フィルム1を用いて被包装物Fを包装する包装工程(包装方法)について説明する。なお、ここでは特に言及しないが、原反フィルム1でピロー包装する場合、専用のピロー包装機が用いられるため、以下の包装工程は、ピロー包装機の作動と対応している。
【0034】
まず、図4に示す如く、原反フィルム1は、被包装物Fの供給される供給位置を通過するように長手方向に搬送される。この際、原反フィルム1は、供給位置の前段でガセット40a,40bの一部を形成すべく、折り曲げ予定線L1,L2に沿って折り返される。すなわち、原反フィルム1は、各ガセット40a,40bになる領域40a’40b’に対して短手方向に間隔をあけて三本(三箇所)の折り曲げ予定線L1,L2,L3が設定されており、各領域40a’40b’内に設定された三本の折り曲げ予定線L1,L2,L3のうち、短手方向の内側にある二本の折り曲げ予定線L1,L2(以下、この二本の折り曲げ予定線L1,L2のうち、最も内側にある折り曲げ予定線L1を第一予定線といい、中央の折り曲げ予定線L2を第二予定線ということとする。)で折り返される。
【0035】
これにより、原反フィルム1は、ガセット40a,40bになる領域40a’40b’の一部が長手方向に延びた襞状に形成されることになる。この状態で、一方のガセット40aを形成するための折り曲げ予定線L1,L2,L3のうち、最も外側にある折り曲げ予定線(以下、第三予定線L3という)を基準にして第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが略対称的な配置になる。
【0036】
そして、一対のガセット40a,40bになる領域40a’40b’のそれぞれの一部が襞状に形成されると、一対のガセット40a,40bになる領域40a’40b’間に(原反フィルム1上)に被包装物Fが配置される。しかる後、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、各第三予定線L3で折り返される。これにより、第三予定線L3よりも幅方向外側にあった領域は、被包装物Fに被った状態になる。そして、第一予定線L1と第三予定線L3とが略対向した状態になり、第一予定線L1と第三予定線L3との間が、第二予定線L2上で稜線を形成した二つ折り状(襠状)のガセット40a,40bとなる。
【0037】
そして、上述の如く、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが第三予定線L3を基準に略対称位置にあるため、該第三予定線L3上で原反フィルム1を折り返すと、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になる。
【0038】
そして、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、短手方向の両端部同士が長手方向に延びる一対の第一ヒートシールバーSB1,SB1に挟まれてシール(熱溶着)され、長手方向に延びるシール部分S1(以下、第一シール部という)が形成される。これにより、原反フィルム1は、短手方向に無端環状をなして被包装物Fを囲んだ状態になる。
【0039】
しかる後、被包装物Fを包み込んだ原反フィルム1における被包装物Fの両側(折り返しによって互いに重なり合った部分)が短手方向に延びる一対の第二ヒートシールバーSB2,SB2に挟まれてシール(熱溶着)され、短手方向に延びたシール部(以下、第二シール部という)S2が形成される。ここで第二シール部S2が形成されるが、上述の如く、複数の第二切断補助線20…の何れ一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になっているため、原反フィルム1の短手方向の両端部の重ね合わせにズレが生じた状態で第二シール部S2が形成された(互いに重なり合った部分同士がシールされた)としても、第二シール部S2内で何れかの第二切断補助線20…と第一切断補助線10とが重なった状態になる。
【0040】
そして、原反フィルム1は、第二シール部S2の延びる方向(短手方向)に沿うように切断され、該切断によって切り離された部分が被包装物Fを包装した包装材60となる。すなわち、原反フィルム1が短手方向に延びる帯状の第二シール部S2上で短手方向に切断されることで、被包装物Fを包装材60で覆ったピロー包装体Pが原反フィルム1から切り離されることになる。そして、なお、原反フィルム1を切断するのに併せ、第一切断補助線10の配置に対応する位置に切欠き状のノッチ50が形成される。
【0041】
このように、帯状の原反フィルム1を長手方向に搬送しつつ、ガセット40a,40bの形成、被包装物Fの包装、第一シール部S1及び第二シール部S2の形成、原反フィルム1の切断を連続的に行うことで、複数のピロー包装体Pが連続的に形成されることになる。
【0042】
上記工程を経て作製されたピロー包装体Pは、図5に示す如く、包装材60が被包装物Fを包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされて第一シール部S1が形成されるとともに、被包装物Fの両側となる他方向の両端部の重なり合った部分同士がシールされて一対の第二シール部S2,S2が形成されている。これにより、ピロー包装体Pは、包装材60が被包装物Fの周囲を完全に覆い、被包装物Fを包装した状態になっている。また、該ピロー包装体Pは、包装材60が一方向に曲げられることで互いに対向した二つの領域X,Yが形成されており、その領域X,Yのうちの一方の領域Xには、他方向の両端部に形成される第二シール部S2内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線10が形成され、他方の領域Yには、第一切断補助線10の始点がある第二シール部S2内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。そして、該ピロー包装体Pの包装材60は、第一切断補助線10が一本形成され、第二切断補助線20が一方向で並列をなすように複数本形成されている。
【0043】
上記構成のピロー包装体Pは、複数の第二切断補助線20…が一方向で並列をなすように形成されているため、包装工程上で原反フィルム1の曲げ具合や短手方向の端部同士の重なり具合にバラツキが生じていたとしても、図6に示す如く、第二シール部S2内で第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…の何れか一本とが一致している。従って、該ピロー包装体Pは、ノッチ50を起点に包装材60を他方向(原反フィルム1の長手方向と対応する方向)に切断するに際し、何ら阻害されることなく、第一切断補助線10と、これに対応する第二切断補助線20…とに沿って切断されることになる。
【0044】
そして、上記構成のピロー包装体Pは、図5に示す如く、包装材60が一方のガセット40aの両側に形成された第一切断補助線10と第二切断補助線20…とに沿って切断されるため、開封後に該ガセット40aとその近傍とが切除される結果、被包装物Fの大部分が包装材60の残りの部分に覆われた状態になる。従って、被包装物Fがパン等の食品である場合には、包装材60の被包装物Fを覆った部分を持って食すことができる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る原反フィルム1及びピロー包装体Pは、被包装物Fを包装する包装工程上で原反フィルム1の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できる。
【0046】
また、本実施形態に係る原反フィルム1は、上述の如く、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、第一切断補助線を形成する工程を最小限に抑えた上で、上記作用及び効果を奏することができる。
【0047】
次に、本発明の第二実施形態に係るピロー包装用原反フィルム及びピロー包装体について説明する。なお、以下の説明において、第一実施形態と同一の構成、或いは相当する構成について同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0048】
本実施形態に係る原反フィルム1は、第一実施形態と同様に、曲折自在な帯状のフィルム材で構成されており、図7に示す如く、長手方向に延びる第一切断補助線10が形成されるとともに、該第一切断補助線10に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。
【0049】
そして、原反フィルム1は、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成される。本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が複数本形成されている。
【0050】
第一切断補助線10は、フィルム材の少なくとも何れか一方の面上を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができるが、本実施形態においても、第一実施形態と同様の方法で同様の形態に形成されている。
【0051】
そして、第二切断補助線20…についても、フィルム材を線状に切り欠いたハーフカットや、複数の切り目を一列に配設したミシン目等の従来から周知な構成を採用することができるが、本実施形態においても、第一実施形態と同様の方法で同様の形態に形成されている。
【0052】
本実施形態に係る原反フィルム1は、第一実施形態とは異なり、短手方向の両側を折り返すことで被包装物Fを包み込んだ状態になるように短手方向の長さが設定されている。すなわち、該原反フィルム1は、被包装物Fを包装するときに短手方向の両側のそれぞれに一本の稜線を形成した状態で折り返すことを前提に短手方向の寸法が設定されている。
【0053】
そして、本実施形態に係る原反フィルム1は、開封時に一方の稜線とその近傍を切除できるように、第一切断補助線10と第二切断補助線20…との間に包装時の稜線となる折り曲げ予定線Lが設定されている。すなわち、本実施形態に係る原反フィルム1は、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが折り曲げ予定線Lを基準に略対称位置になるように形成されている。
【0054】
本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の中央位置よりも一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の両方が形成されている。これに伴い、本実施形態に係る原反フィルム1は、短手方向の他端側であって短手方向の中央で長手方向に延びる中央線を基準に一方の稜線(折り曲げ予定線L)と対称となる位置に他方の稜線になる折り曲げ予定線Lが設定されている。なお、図7には、便宜上、ピロー包装体Pになったときに稜線となる折り曲げ予定線Lを二点鎖線で示しているが、実際の原反フィルム1には、折り曲げ予定線Lは描かれていない。
【0055】
本実施形態に係る原反フィルム1は、以上の構成からなり、次に、該原反フィルム1を用いて被包装物Fを包装する包装工程(包装方法)について説明する。なお、ここでは特に言及しないが、原反フィルム1でピロー包装する場合、専用のピロー包装機が用いられるため、以下の包装工程は、ピロー包装機の作動と対応している。
【0056】
まず、図8に示す如く、原反フィルム1は、被包装物Fの供給される供給位置を通過するように長手方向に搬送される。この際、本実施形態に係る原反フィルム1は、供給位置で被包装物Fが一方の面上に供給され、その後に折り曲げ予定線L,Lに沿って短手方向の両側が折り返される。
【0057】
そして、上述の如く、第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…とが折り曲げ予定線Lを基準に略対称位置にあるため、原反フィルム1を折り曲げ予定線Lで折り返すと、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になる。
【0058】
そして、原反フィルム1は、長手方向に搬送されつつ、短手方向の両端部同士が原反フィルム1の長手方向に延びる一対の第一ヒートシールバーSB1,SB1に挟まれてシール(熱溶着)され、長手方向に延びる第一シール部S1が形成されることになる。
【0059】
しかる後、被包装物Fを包み込んだ原反フィルム1における被包装物Fの両側(折り返しによって互いに重なり合った部分)が短手方向に延びる一対の第二ヒートシールバーSB2,SB2に挟まれてシール(熱溶着)され、短手方向に延びた第二シール部S2が形成される。ここで第二シール部S2が形成されるが、上述の如く、複数の第二切断補助線20…の何れか一本に対して第一切断補助線10が対向した状態になっているため、原反フィルム1の短手方向の両端部同士の重ね合わせにズレが生じた状態で第二シール部S2が形成された(互いに重なり合った部分同士がシールされた)としても、第二シール部S2内で何れか一本の第二切断補助線20…と第一切断補助線10とが重なった状態になる。
【0060】
そして、原反フィルム1は、第二シール部S2の延びる方向(短手方向)に沿うように切断され、被包装物Fを包装した部分がピロー包装体Pとして切り離される。すなわち、原反フィルム1は、短手方向に延びる帯状の第二シール部S2上で短手方向に切断されてピロー包装体Pとなる。なお、原反フィルム1を切断するのに併せ、第一切断補助線10の配置に対応する位置に切欠き状のノッチ50が形成される。
【0061】
このように、帯状の原反フィルム1を長手方向に搬送しつつ、被包装物Fの包装、第一シール部S1及び第二シール部S2の形成、原反フィルム1の切断を連続的に行うことで、複数のピロー包装体Pが連続的に形成されることになる。
【0062】
上記工程を経て作製されたピロー包装体Pは、図9に示す如く、包装材60が被包装物Fを包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物Fの両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物Fを包装した状態になっている。また、該ピロー包装体Pは、包装材60が一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域X,Yが形成されており、その二つの領域X,Yのうちの一方の領域Xには、他方向の両端部に形成される第二シール部S2内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線10が形成され、他方の領域Yには、第一切断補助線10の始点がある第二シール部S2内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線20が形成されている。そして、該ピロー包装体Pの包装材60は、第一切断補助線10が一本形成され、第二切断補助線20が一方向で並列をなすように複数本形成されている。
【0063】
上記構成のピロー包装体Pは、複数の第二切断補助線20…が一方向で並列をなすように形成されているため、包装工程上で原反フィルム1の曲げ具合や短手方向の端部同士の重なり具合にバラツキが生じていたとしても、図10に示す如く、第二シール部S2内で第一切断補助線10と複数の第二切断補助線20…の何れか一本とが一致することになる。従って、該ピロー包装体Pは、ノッチ50を起点に包装材60を他方向(原反フィルム1の長手方向と対応する方向)に切断するに際し、何ら阻害されることなく、第一切断補助線10と、これに対応する第二切断補助線20…とに沿って切断されることになる。
【0064】
本実施形態に係るピロー包装体Pは、図9に示す如く、包装材60が一方の稜線(折り曲げ予定線)Lの両側に形成される第一切断補助線10と第二切断補助線20…とに沿って切断されるため、開封後に稜線L近傍が切除される結果、被包装物Fの大部分が原反フィルム1(フィルム材)の残りの部分に覆われた状態になる。従って、被包装物Fがパン等の食品である場合には、包装材60の被包装物Fを覆った部分を持って食すことができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る原反フィルム1及びピロー包装体Pは、被包装物Fを包装する包装工程上で原反フィルム1の曲がり具合や端部同士の重なり具合等にバラツキが生じたとしても、開封の円滑性を確保できる。
【0066】
また、本実施形態に係る原反フィルム1は、上述の如く、第一切断補助線10が一本形成されるのに対し、第二切断補助線20…が短手方向で並列をなすように複数本形成されているので、第一切断補助線を形成する工程を最小限に抑えた上で、上記作用及び効果を奏することができる。
【0067】
尚、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0068】
例えば、上記各実施形態において、第一切断補助線10を一本形成するのに対し、第二切断補助線20…を複数本形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10を複数本形成するのに対し、第二切断補助線20…を一本形成するようにしてもよい。また、第一切断補助線10を複数本形成するとともに、第二切断補助線20…を複数本形成するようにしてもよい。
【0069】
上記各実施形態において、原反フィルム1の短手方向の一端側の領域内に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、短手方向の中央を通る中心線を基準に一端側の領域内に第一切断補助線10を形成するとともに他端側の領域内に第二切断補助線20…を形成するようにしてもよい。すなわち、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、被包装物Fを包装した状態で互いに対向することになる二つ領域X,Yのそれぞれに形成されればよい。
【0070】
上記各実施形態において、ホーンHと幅方向に先細りした受け材Bとに挟み込まれたフィルム材fに対して受け材Bの先端部の幅方向と直交する方向の張力Tを作用させつつホーンHに超音波を付与することで第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、フィルム材を線状に溶かしたり、フィルム材を線状に切り欠いたりして形成される一般的なハーフカットであってもよいし、複数の切り目が一列に並んだ一般的なミシン目であってもよい。
【0071】
上記各実施形態において、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…を原反フィルム1の長手方向の全長に亘って形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切断補助線10及び第二切断補助線20…は、第二シール部S2となる部分を含んだ一部の領域に形成するようにしてもよい。また、ピロー包装体Pの他方向の両端部に形成される一対の第二シール部S2,S2の両方に第一切断補助線10及び第二切断補助線の両端部が存在するようにしたが、例えば、一方の第二シール部S2のみに第一切断補助線10及び第二切断補助線20の一方の端部(始点)が存在するように第一切断補助線10及び第二切断補助線20を形成するようにしてもよい。このようにしても、包装材60の切断の開始を容易に行うことができ、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の存在する部分をこれらに沿って切断することができる。但し、この場合においては、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の存在しない部分が形成されるため、開封時に第一切断補助線10及び第二切断補助線20…の延びる方向で切断できるように、原反フィルム1に切断方向性のある一軸延伸処理されたフィルム材や二軸延伸処理されたフィルム材を採用することが好ましい。
【0072】
上記各実施形態において、熱溶着で第一シール部S1及び第二シール部S2を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いて原反フィルム1の短手方向の端部同士を接合して第一シール部S1を形成し、また、接着剤を用いて被包装物Fの両側にある原反フィルム1の互いに重なり合った部分同士を接合して第二シール部S2を形成するようにしてもよい。
【0073】
上記各実施形態において、原反フィルム1で被包装物Fを包装してピロー包装体Pを作製するようにしたが、ピロー包装体Pは、例えば、図11(a)及び図11(b)に示す如く、平面視略矩形状をなす枚葉状の包装材60で被包装物Fを包装したものであってもよい。すなわち、第一及び第二実施形態で説明した原反フィルム1を長手方向で所定寸法ずつ予め切断して枚葉状の包装材60を作製しておき、その包装材60の一方向の両端部同士をシールする(第一シール部S1を形成する)とともに、他方向における被包装物Fの両側で包装材60の互いに重なり合った部分同士をシールする(第二シール部S2を形成する)することで形成したピロー包装体Pであってもよい。この場合においても、枚葉状の包装材60を一方向に曲げるときに、曲げ具合や同方向の両端部同士の重なり具合にバラツキが発生することがあるが、上述の如く、第一切断補助線10及び第二切断補助線20の少なくとも何れか一方を複数本並列に形成することで、包装材60を曲げたときに両者が一致した状態になる結果、上記各実施形態と同様に円滑に開封することができる。従って、第一及び第二実施形態に係る原反フィルム1は、枚葉状のピロー包装材60を作製するための原反フィルムとして活用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…原反フィルム、10…第一切断補助線、20…第二切断補助線、30…隆起部、40…ガセット、50…ノッチ、60…包装材、f…フィルム材、F…被包装物、H…ホーン、B…受け材、L…予定線、L…稜線、L1…第一予定線(折り曲げ予定線)、L2…第二予定線(折り曲げ予定線)、L3…第三予定線(折り曲げ予定線)、P…ピロー包装体、S1…第一シール部、S2…第二シール部、SB1…第一ヒートシールバー、SB2…第二ヒートシールバー、X,Y…領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とするピロー包装用原反フィルム。
【請求項2】
前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されている請求項1に記載のピロー包装用原反フィルム。
【請求項3】
曲折自在なフィルム材で構成された包装材を備え、包装材は、被包装物を包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物の両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物を包装し、しかも、一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域のうちの一方の領域には、他方向の両端部に形成される一対のシール部の少なくとも何れか一方のシール部内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線が形成され、他方の領域には、第一切断補助線の始点があるシール部内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線が形成されたピロー包装体であって、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とするピロー包装体。
【請求項4】
前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されている請求項3に記載のピロー包装体。
【請求項1】
曲折自在な帯状のフィルム材で構成され、長手方向に延びる第一切断補助線が形成されるとともに、該第一切断補助線に対して長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる第二切断補助線が形成され、被包装物を包み込むように短手方向に曲げた上で、重なり合う短手方向の両端部同士がシールされるとともに、長手方向における被包装物の両側で互いに重なり合った部分同士がシールされ、長手方向で所定長さ毎に切断されることで被包装物を包装したピロー包装体にされるピロー包装用原反フィルムであって、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、短手方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とするピロー包装用原反フィルム。
【請求項2】
前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されている請求項1に記載のピロー包装用原反フィルム。
【請求項3】
曲折自在なフィルム材で構成された包装材を備え、包装材は、被包装物を包み込むように一方向に曲げられた状態で、一方向の両端部同士がシールされるとともに、被包装物の両側となる他方向の両端部の互いに重なり合った部分同士がシールされて被包装物を包装し、しかも、一方向に曲げられることで互いに対向する二つの領域のうちの一方の領域には、他方向の両端部に形成される一対のシール部の少なくとも何れか一方のシール部内に始点を有して一方向と直交する他方向に延びる第一切断補助線が形成され、他方の領域には、第一切断補助線の始点があるシール部内に始点を有して他方向に延びる第二切断補助線が形成されたピロー包装体であって、包装材は、第一切断補助線及び第二切断補助線の少なくとも何れか一方が、一方向で並列をなすように複数本形成されていることを特徴とするピロー包装体。
【請求項4】
前記第一切断補助線が一本形成されるのに対し、前記第二切断補助線が複数本形成されている請求項3に記載のピロー包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−285167(P2010−285167A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138429(P2009−138429)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
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