説明

ピークレベル検出器、ピークレベル検出部、及び、2値化信号生成回路

【課題】A/D変換器のサンプリングタイミングによらず、ピークレベルを高い精度で検出できるピークレベル検出器を提供する。
【解決手段】ピークレベル検出器11には、所定のサンプリングクロックに従って離散的に信号レベルが取得された信号が入力される。ピークタイミング検出器111は、連続する少なくとも3つのサンプル点でのサンプリングデータを比較し、少なくとも3つのサンプリングデータの前端及び後端のサンプリングデータよりも、前端及び後端に挟まれるサンプリングデータのうちの少なくとも1点が大きくなるピークタイミングを検出する。ピーク推定器112は、ピークタイミングの検出時に、連続する少なくとも3つのサンプリングデータの値から、サンプリング前の元信号のピークレベルを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピークレベル検出器及びピークレベル検出部に関し、更に詳しくは、所定のサンプリングクロックに従って離散的に信号レベルが取得されたパルス信号のサンプリングデータから、元信号であるパルス信号の最大値を推定するピークレベル検出器及びピークレベル検出部に関する。また、本発明は、そのようなピークレベル検出器を用いた2値化信号生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス信号のピークレベルを検出するピークレベル検出器と、それを用いた2値化信号生成回路とがある。そのような回路が搭載される装置の一つとして、光ディスク装置がある。光ディスク装置で記録・再生される光ディスクの種類としては、追記型のDVD(DVD−R)や書き換え可能なDVD(DVD−RW)がある。これらDVD−R/RWには、半径方向に一定の周波数でうねり(ウォブル)がついた、データ記録を行うためのグルーブトラックと、情報の記録・再生を行う際に必要な物理アドレス情報等を示すLPP(Land Pre−Pit)があらかじめ記録されているランドとが形成されている。
【0003】
光ディスク再生時には、光ディスク装置内の光ピックアップからレーザ光を照射し、光ディスクからの反射光を、光ピックアップ内にある複数個の受光素子により受光する。記録データのRF信号は、複数個の受光素子から出力される信号の和をとることにより生成される。また、ウォブル再生信号は、受光素子から出力される信号のうち、内周側に設けられた受光素子の出力信号と、外周側に設けられた受光素子の出力信号との差をとることにより生成される。ウォブル再生信号は、ウォブル成分と、LPPを示す成分を含む二次曲線状のパルス成分として再生される。また、パルス成分は、ウォブル成分のピーク付近で、ウォブル成分よりも大きな振幅の信号として再生される。ウォブル再生信号から、2値化信号回路により、LPPを示すパルス成分の2値化信号が生成される。
【0004】
2値化信号生成回路は、VCA(Voltage Controlled Amplifier)と、ピークレベル検出部と、ベースレベル検出部と、スライスレベル生成部と、コンパレータとから構成される。VCAは、ウォブル再生信号を入力し、その振幅を、以降の処理に適切な大きさとなるように補正して出力する。ピークレベル検出部及びベースレベル検出部は、それぞれVCAの出力を入力し、パルス信号のピークレベル及びベースレベルを検出して出力する。スライスレベル生成部は、ピークレベル検出部及びベースレベル検出部の出力を入力し、スライスレベルを生成し出力する。コンパレータは、VCAの出力とスライスレベル生成部の出力とを比較し、パルス成分の2値化信号を出力する。
【0005】
2値化信号生成回路の各部は、アナログ回路で構成できる。例えば、ピークレベル検出部は、図11に示すような回路で構成できる。この例では、ピークレベル検出部70の出力は、コンデンサ74に蓄えられた電荷によって定まる。出力の電位がVCA出力として与えられる電位より低い場合には、バッファ71からダイオード72、抵抗73を経由して、コンデンサ74に電荷が蓄えられる。逆に、出力の電位が高い場合には、蓄えられた電荷が抵抗75を通して放電される。抵抗73とコンデンサ74とで決まる時定数が、パルス成分の持続時間と同程度で、かつ、抵抗75とコンデンサ74とで決まる時定数がパルス成分の間隔より十分に長ければ、ピークレベル検出部からは、パルス成分のピーク値に追従した出力が得られる。
【0006】
また、ベースレベル検出部は、ピークレベル検出部と同様な回路構成にて、ピークレベルに追従する時定数を大きくし、パルス成分に追従しないようにすることにより実現できる。図11においては、ピークレベルへの追従特性に関連する時定数は、抵抗73及びコンデンサ74により決定されるので、これらをパルス成分の持続時間に比べて十分に大きくとればよい。
【0007】
ここで、アナログ回路は単純な回路で構成できるものの、素子ばらつきの影響を受けやすく、受動部品を使うため小型化には向かない。これに対して、ディジタル回路は、素子ばらつきの影響を抑えられることや回路の微細化に向いている。また、CPUやメモリとの接続も容易となる。これらのことから、近年、回路を構成する際には、ディジタル回路で構成する傾向が高まっている。上述した2値化信号生成回路をディジタル回路として構成した場合、ウォブル再生信号は、A/D変換器によって所定のサンプリングクロックに基づいてサンプリングされた離散的なサンプルデータとなる。このとき、サンプリングのタイミングによっては、パルス成分のピークレベルでサンプリングできていない可能性がある。
【0008】
図12(a)及び(b)に、ウォブル再生信号波形とそのサンプリング点とを示す。ウォブル信号波形中に●印で示す位置が、サンプリング点である。図12(a)では、サンプリングのタイミングが、パルス成分のピークレベルと一致している。このため、A/D変換前のウォブル再生信号波形(アナログ)におけるピークレベルと、AD変換後のピークレベルとは等しい。しかし、図12(b)では、サンプリングタイミングがLPP信号のピークレベルに一致しておらず、A/D変換前のウォブル再生信号波形におけるピークと、A/D変換後のピークとは一致しない。このように、ディジタル構成では、サンプリングタイミングのずれにより、パルス成分のピークレベルが変化する。高速再生時に、A/D変換器のサンプリング周期を再生速度によらず一定とすると、1つのパルス成分に対するサンプル数が減るため、A/D変換の前後でのピークレベルが一致しない可能性はより高くなる。この場合、パルス成分のピークレベルの検出精度が下がり、ノイズの影響等により、パルス成分が小さい場合に正しく2値化できない可能性が出る。
【0009】
A/D変換器にて、ピークレベルを正しくサンプリングするための方法として、A/D変換器のサンプリング周波数を高くし、サンプリングデータを多くする方法がある。しかし、A/D変換器のサンプリング周波数を高くするには、回路規模の大きなA/D変換器を使用する必要がある。また、回路規模の大きなA/D変換器は、消費電力が高くなるという問題もある。A/D変換器のサンプリング周波数を高くしないで、ピークレベルを正しく検出する技術としては、特許文献1や特許文献2に記載された技術がある。特許文献1に記載の技術では、ディスク状記録媒体の円周方向に間欠的に設けられた、サーボ領域に形成されたウォブルマークからの反射光強度を表すピット信号を、一定のサンプリング周期でサンプリングする。このサンプリングデータから、ピット信号のピーク値を算出する。このとき、1つのピット信号に対するサンプリングデータが少ないことから、周期的に存在する複数のピット信号からのサンプリングデータを抽出し、抽出したサンプリングデータを2次関数で近似することにより、ピークレベルを算出する。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術では、まず、アナログ信号を所定周期Tsでサンプリングし、所定数Nのデータをサンプリングデータメモリに記憶する。サンプリングデータメモリに所定数Nのデータが記憶されると、そのN個のデータの中から最大となるデータを上位3つ見つける。最大となるデータが、a番目のデータD(a)であるとすると、(a−1)番目のデータD(a−1)から(a+1)番目のデータD(a+1)までの間を補間対象区間とする。データD(a−1)とD(a)及びD(a)とD(a+1)の間を、Ts/M間隔で補間する補間データda−1(1)、…、da−1(M−1)、d(1)、…da−1(a−1)を求める。da−1(b)は、次式によって求められる。
a−1(b)=ΣD[(a+1)+i]×[1/π・Ts(1−b/M)]
×sin[x・Ts(1−b/M)]×W[(i−b)/M)
(ただし、Σはi=−pからpまでの総和をとるものとする)
2番目に大きいデータと3番目に大きいデータについても同様の演算を行い、それぞれの区間の補間データを求める。このようにして求められた補間データから、最も大きなデータをピークレベルとして検出している。
【特許文献1】特開2003−281762号公報
【特許文献2】特開平10−160507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1では、複数のピット信号のサンプリングデータを、1つのピット信号のサンプリングデータのように扱い演算を行う。このため、特許文献1に記載の技術では、十分な精度が得られないことが考えられる。一方、特許文献2では、補間データを求めることにより、A/D変換前の信号に近い信号を再現できる。しかし、特許文献2に記載の技術では、ピークレベルの1点を検出するために、複数のデータを求める必要があり、補間の精度を高くするほど、演算量が増加するという問題がある。
【0012】
本発明では、A/D変換器のサンプリングタイミングによらず、ピークレベルを高い精度で検出できるピークレベル検出器、並びに、そのようなピークレベル検出器を備えるピークレベル検出部、及び、2値化信号生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のピークレベル検出器は、離散的に信号レベルが取得されたサンプリングデータから、該サンプリングデータのピークレベルを検出するピークレベル検出器であって、前記サンプリングデータの連続する少なくとも3つのサンプリングデータを比較し、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータの前端及び後端のサンプリングデータよりも、前端及び後端に挟まれるサンプリングデータのうちの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出するピークタイミング検出部と、前記ピークタイミング検出部が、ピークタイミングを検出すると、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータから前記サンプリングデータのピークレベルを推定するピーク推定部とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のピークレベル検出部は、離散的に信号レベルが取得されたサンプリングデータの連続する少なくとも3つのサンプリングデータを比較し、前記サンプリングデータ中の前端及び後端のサンプリングデータより、前端及び後端に挟まれるサンプリングデータの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出し、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータの値から前記サンプリングデータのピークレベルを推定するピークレベル検出器と、前記ピークレベル検出器の出力と、一時刻前の自身の出力とを比較し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも大きいときは、前記一時刻前の出力に、前記ピークレベル検出器の出力と前記一時刻前の出力との差に所定の追従時定数を乗じた値を出力し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも小さいときは、前記一時刻前の出力から所定の減衰量を減じた値を出力するピークレベル算出器とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の2値化信号生成回路は、パルス成分を含む信号からパルス成分を2値化した信号を生成する2値化信号生成回路であって、サンプリングクロックに従って、前記パルス成分を含む信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器が出力するデータ列うちの連続する少なくとも3つのデータを比較し、前記データ列中の前端及び後端のデータより、前端及び後端に挟まれるデータの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出し、前記連続する少なくとも3つのデータから前記パルス成分のピークレベルを推定するピークレベル検出器と、該ピークレベル検出器の出力と一時刻前の自身の出力とを比較し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも大きいときは、前記一時刻前の出力に、前記ピークレベル検出器の出力と前記一時刻前の出力との差に所定の追従時定数を乗じた値を出力し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも小さいときは、前記一時刻前の出力から所定の減衰量を減じた値を出力するピークレベル算出器とを有するピークレベル検出部と、前記A/D変換器が出力するデータ列から前記パルス成分のベースレベルを検出するベースレベル検出部と、前記ピークレベル検出部が出力するパルス成分のピークレベルと前記ベースレベル検出部が出力するパルス成分のベースレベルとから、パルス成分を2値化するためのスライスレベルを生成するスライスレベル生成部と、前記A/D変換器の出力を前記スライスレベル生成部が生成したスライスレベルを用いてパルス成分の2値化信号を出力するコンパレータとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のピークレベル検出器及びピークレベル検出部では、離散的に信号レベルが取得されたパルス信号のサンプリングデータから、元のパルス信号のピークレベルを求めることができる。また、本発明の2値化信号生成回路では、パルス信号の2値化を高い精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のピークレベル検出器を含むピークレベル検出部の構成を示している。ピークレベル検出部10は、ピークレベル検出器11と、ピークレベル算出器12とを有する。ピークレベル検出器11には、離散的に取得されたサンプリングデータ列が入力される。このサンプリングデータ列は、例えば光ディスクから読み出された信号を、A/D変換器にてサンプリングクロックに従ってA/D変換したデータ列である。
【0018】
ピークタイミング検出器111は、連続する三時刻分のサンプリングデータを保存するレジスタを有しており、サンプリングデータ列の連続する3点のサンプリングデータを比較し、中央のサンプリングデータが、その前後のサンプリングデータよりも大きい時点(ピークタイミング)を検出する。ピーク推定器112は、ピークタイミング検出器111がピークタイミングを検出すると、3点のサンプリングデータに基づいて、元信号のピークレベルを推定し、その推定値をピーク値として出力する。ピーク推定器112は、ピークタイミング検出時以外、つまり、前後のサンプリングデータのうちの少なくとも1つの値が中央のサンプリングデータよりも大きいときは、3つのサンプリングデータのうちの中央の値を出力する。
【0019】
ピークタイミング検出器111がピークタイミングを検出したときの3つのサンプリングデータを、yN−1、y、yN+1とする。3つのサンプリングデータの大小関係はyN−1<y、かつ、y>yN+1であり、この場合、サンプリング前のデータ(元信号)において、時刻N−1からN+1までの間にピークが存在している。そこで、二次関数近似により、ピークを推定する。これら3点を通る2次関数のピークレベルpは、
p=y−(yN+1−yN−1/8(yN+1−2y+yN−1) (1)
で表すことができる。ピーク推定器112は、式1に従って、3点のサンプリングデータからピークレベルとなる値を推定する。このようにピーク値を推定することで、A/D変換器のサンプリングタイミングに影響されずに、ピークレベルが検出できる。
【0020】
なお、中央のサンプリングデータが前後のサンプリングデータよりも大きいときでも、中央のサンプリングデータと、前後のサンプリングデータとの差が小さいときには、式1で算出されたpの値は中央のサンプリングデータと大きく変わらない。このため、中央のサンプリングデータと前後のサンプリングデータとの差を求め、その差が所定の値以上のときに、ピーク推定器112にて式1によりピークレベルpを算出し、差が所定の値よりも小さいときは、ピーク推定器112から中央のサンプリングデータを出力してもよい。
【0021】
ところで、式1を参照すると、この演算には除算が含まれる。回路のLSI化に際して、除算器を用いると、回路量が増加する。そこで、式1の項の(yN+1−yN−1)と(yN+1−2y+yN−1)の比に応じて、(yN+1−yN−1)の倍率を決定するようにしてもよい。この方法によるピークレベルpの算出のフローチャートを、図2に示す。まず、ピークレベルpの初期値をyとし、|yN+1−yN−1|、8|yN+1−2y+yN−1|をそれぞれa、bとする(ステップA1)。また、cの初期値をaと置く(ステップA2)。次いで、aとbの比の関係を求めるための任意に設定できる整数をxとし、cとb/xとを比較する(ステップA3)。xを大きくする程、aとbの比の精度が高く求めることができるが、比較する回数が増える可能性がある。cとb/xとを比較し、cがb/xより大であれば、c/bが1/x以上であるので、p=p+a/xとすることができる(ステップA4)。cからb/xを差し引き(ステップA5)、ステップA3に戻り、比較を繰り返す。そして、cとb/xを比較し、cがb/xより小となったときのピークレベルpを求める。
【0022】
ピークレベル検出器11の出力は、ピークレベル算出器12に入力される。ピークレベル算出器12は、比較器121により、ピークレベル検出器11の出力(p)と、一時刻前の自身の出力(Pi−1)とを比較する。ピークレベル算出器12は、ピークレベル検出器11の出力が一時刻前の自身の出力よりも大きいときは(p>Pi−1)、セレクタ122より、一時刻前の出力に、ピークレベル検出器11の出力と一時刻前の自身の出力との差にピークレベル追従時定数(K)を乗じた値を加えた値(Pi−1+(p−Pi−1)×K)を出力する。一方、一時刻前の自身の出力がピークレベル検出器11の出力よりも大きいときは(p<Pi−1)、セレクタ122より、一時刻前の自身の出力(Pi−1)から所定の減衰量(A)を減算した値(Pi−1−A)を出力する。
【0023】
ここで、ピークレベル追従時定数(K)は、図11に示すアナログ回路における抵抗73とコンデンサ74とで定まる時定数に相当する値である。また、減衰量(A)は、図11に示すアナログ回路における抵抗75とコンデンサ74とで定まる時定数に相当する値である。回路としては、ピークレベル追従時定数としていくつかの値を持たせておき、外部からの制御で、実際にピークレベル算出器12にて使用する値を選択するように構成しておけばよい。また、減衰量についても同様に、減衰量としていくつかの値を持たせておき、外部からの制御で、実際にピークレベル算出器12にて使用する値を選択するように構成しておけばよい。
【0024】
図3に、ピークレベル検出部を含む2値化信号生成回路の構成を示す。2値化信号生成回路は、A/D変換器20、VCA30、ピークレベル検出部10、ベースレベル検出部40、スライスレベル生成部50、及び、コンパレータ60を有する。A/D変換器20は、所定のサンプリング周期でウォブル信号をサンプリングする。VCA30は、A/D変換器20の出力を入力し、A/D変換器20の出力を、以降の処理に適切な振幅に補正して出力する。ピークレベル検出部10及びベースレベル検出部40は、それぞれVCA30の出力を入力し、LPPのピークレベル及びベースレベルを検出し出力する。
【0025】
図4に、ベースレベル検出部40の構成を示す。ベースレベル検出部40は、ピークレベル算出器12を有する。ベースレベル検出部40の構成は、図1に示すピークレベル検出部10の構成から、ピークレベル検出器11を除いた構成である。ピークレベル算出器12には、ベースレベル追従時定数が入力され、ピークレベル算出器12は、ベースレベル追従時定数に応じた追従を行う。すなわち、VCA出力(y)が、一時刻前のピークレベル算出器12の出力(Qi−1)よりも大きいときは、一時刻前出力に、VCA出力と一時刻前出力との差にベースレベル追従定数(K)を乗じた値を加えた値(Q=Q−1+(y−Qi−1)×K)を出力する。ベースレベル検出部40では、ピークレベル算出器12は、ベースレベルに相当するウォブル成分のピーク値を出力する。
【0026】
なお、ベースレベル検出部40の構成として、ピークレベル検出部10と同様に、二次関数近似によってピークレベルを推定するピークレベル検出器11を備える構成も考えられる。しかし、一般に、パルス成分のベースレベルは、パルス成分よりも振幅が小さい。このため、二次関数を用いて近似したピーク値と、サンプリングデータを用いて求めたピーク値との差は小さい。従って、ベースレベル検出部40では、ピークレベル検出器11を用いなくても、ベースレベルを正しく求めることが可能であり、図4では、ピークレベル検出器11を省いた構成としている。
【0027】
また、サンプリングデータ列となっても、パルス成分とウォブル成分の特性は変わらないので、ピークレベル検出部10とベースレベル検出部40とで、ピークレベル算出器12に共通の回路を使用することができる。すなわち、2値化信号生成回路の外部より設定可能なピークレベル(ベースレベル)追従時定数を、相互に異なる値に設定することで、パルス成分とウォブル成分との2種類のピークレベルの検出が可能である。
【0028】
図5に、スライスレベル生成部50の構成を示す。スライスレベル生成部50は、減算器51、乗算器52、及び、加算器53を有する。スライスレベル生成部50は、ピークレベル検出部10の出力と、ベースレベル検出部40の出力とから、両信号の範囲内の値を算出し、スライスレベルを出力する。コンパレータ60は、VCA30の出力とスライスレベル生成部50の出力とを入力し、比較処理を行う。コンパレータ60は、VCA出力がスライスレベルよりも大きいときは“1”を、スライスレベルよりも小さいときは“0”を出力する。このコンパレータ60の出力が、2値化信号生成回路の出力となり、パルス成分の2値化信号が得られる。
【0029】
ピークレベル検出器11の動作について、具体例を用いつつ説明する。図6に、A/D変換前の入力信号波形とそのサンプリング点を示す。ここでは、説明の便宜上、VCA30における振幅補正は等倍(補正なし)とする。A/D変換器20は、入力信号(ウォブル再生信号)を所定の周期でサンプリングし、図中に●印で示すサンプリングデータを出力する。ピークレベル検出部10は、各時刻のサンプリングデータを挟む連続する3点のサンプリングデータについて、各時刻のサンプリングデータと、その前後の時刻のサンプリングデータとを比較し、中央のサンプリングデータが、その前後の時刻のサンプリングデータよりも大きいか否かを判断する。中央のサンプリングデータが、その前後の時刻のサンプリングデータよりも大きいということは、その三時刻の間に入力信号の極大値が存在することを表している。すなわち、3つのサンプリングデータの間に、ピークレベルが含まれる可能性があるということを表している。
【0030】
図6では、A/D変換前の入力信号波形は、時刻N−1、N付近でピークを取っている。このピークは、LPP付近のピークに対応している。時刻N−1、N、N+1におけるサンプリングデータを、それぞれyN−1、y、yN+1とする。yN−1、y、yN+1を比較すると、中央のサンプリングデータであるyが、その前後のyN−1、yN+1よりも大きくなっている。しかしながら、A/D変換におけるサンプリングのタイミングが、入力信号波形がピークとなる時点からずれており、yの値は、入力信号波形のピークよりは小さな値となっている。そこで、3点のサンプリングデータyN−1、y、yN+1を通る2次関数の曲線を考え、その曲線の極大値を求める。この2次関数の曲線は、図6中に実線で示すようになる。ピークレベル検出部10は、この2次関数曲線の極大値を、式1により算出し、A/D変換前の入力信号波形のピークレベルを推定する。算出されたピークレベルpは、サンプリングデータの最大値yに比して、A/D変換前の入力信号波形のピークに近い値となり、誤差が減少する。
【0031】
図7に、ピークレベル検出部10の各部の動作波形を示す。図7に示すように、ピークレベル検出器11の出力は、ある期間にパルス成分が2つ含まれる信号となっている(a)。このパルス成分は、図6におけるLPP付近のピークに対応している。なお、図7では、説明簡略化のために、パルス成分以外のピークレベル検出器11の出力をフラットにしているが、実際には、図6に示すように、小刻みに変動する。ただし、その値の大きさは、パルス成分でのピークレベル検出器11の出力よりも小さい。
【0032】
時刻t1で、ピークレベル算出器12に、1番目のパルス成分が入力されると、比較器121は、ピークレベル検出器11の出力(a)が、一時刻前のピークレベル算出器12の出力(b)よりも大きいと判断する。比較器121は、ピークレベル検出器11の出力が一時刻前のピークレベル算出器12の出力よりも大きいと判断すると、セレクタ122に、一時刻前のピークレベル算出器12の出力に、ピークレベル検出器11の出力と一時刻前の出力との差にピークレベル追従時定数を乗じた値を加えた値を出力させる。
【0033】
1番目のパルス成分のピークに向けて、ピークレベル検出器11の出力(a)が増加していくとき、ピークレベル検出器11の出力(a)は、一時刻前のピークレベル算出器12の出力(b)よりも大きい。このため、ピークレベル算出器12の出力(c)は、一時刻前の出力(b)よりも、ピークレベル検出器11の出力との差分に応じた分だけ増加する。従って、ピークレベル算出器12の出力は、ピークレベル検出器11の出力の増加に追従して、増加していく。
【0034】
1番目のパルス成分がピークレベルに到達し、時刻t2にて、ピークレベル検出器11の出力(a)が減少に転じると、比較器121は、一時刻前のピークレベル算出器12の出力(b)がピークレベル検出器11の出力(a)よりも大きいと判断する。比較器121は、一時刻前のピークレベル算出器12の出力がピークレベル検出器11の出力よりも大きいと判断すると、セレクタ122に、一時刻前のピークレベル算出器12の出力から所定の減衰量を減じた値を出力させる。1番目のパルス成分のピーク後は、ピークレベル検出器11の出力(a)が一時刻前のピークレベル算出器12の出力(b)よりも小さいので、ピークレベル算出器12の出力(c)は、1番目のパルス成分のピークレベルで極大値をとった後、一定の割合で減少していくことになる。
【0035】
2番目のパルス成分が入力され、時刻t3にて、ピークレベル検出器11の出力が一時刻前のピークレベル算出器12の出力を上回ると、ピークレベル算出器12は、1番目のパルス成分のときと同様な動作で、一時刻前のピークレベル算出器12の出力に、ピークレベル検出器11の出力と一時刻前の出力との差にピークレベル追従時定数を乗じた値を加えた値を出力する。2番目のパルス成分がピークに到達し、ピークレベル検出器11の出力が減少に転じた後についても、1番目のパルス成分が入力されたときと同様な動作により、ピークレベル算出器12は、一時刻前のピークレベル算出器12の出力から所定の減衰量を減じた値を出力する。
【0036】
続いて、2値化信号生成回路の動作例について説明する。図8に、2値化信号生成回路の各部の動作波形を示す。同図では、各信号を連続した信号として示しているが、実際には離散信号となっている。A/D変換器20が出力する信号は、ウォブル成分とLPPを示すパルス成分とが重なった信号であり、VCA30により、以降の処理に適切な振幅に補正される。ピークレベル検出器11は、VCA30の出力信号から、パルス成分のピークレベルを検出する。また、ベースレベル検出部40は、VCA30の出力信号から、ウォブル成分のピークレベルを検出する。
【0037】
スライスレベル生成部50は、ピークレベル検出部10及びベースレベル検出部40の出力から、両者の範囲内の値となるスライスレベルを生成する。コンパレータ60は、VCA30の出力と、スライスレベル生成部50が生成したスライスレベルとを比較し、VCA30の出力がスライスレベルよりも大きいときは“1”を、スライスレベルよりも小さいときは“0”を出力する。これにより、パルス成分の2値化信号が得られる。
【0038】
図9に、パルス成分の2値化の動作についての別例を示す。図9(a)は、本実施形態のピークレベル検出器11を用いた場合である。すなわち、サンプリングデータから式1によりピーク値を推定し、それを基にスライスレベル決定する場合である。図9(b)は、サンプリングデータからそのままピーク値を求め、それを基にスライスレベルを決定する場合である。双方のスライスレベルを比較すると、サンプリングデータからそのまま求めたピーク値は、式1を適用して推定したピーク値よりも小さい値となるため、スライスレベル生成部50での設定が同様とした場合、図9(b)のスライスレベルは、図9(a)のスライスレベルよりも低くなる。
【0039】
VCA30の出力には、パルス成分の他に、ノイズ成分が含まれる。通常、ノイズ成分の振幅は、パルス成分の振幅よりも小さい。図9(a)では、スライスレベルが十分に高いので、ノイズ成分が、スライスレベルを超えることはない。従って、パルス成分に対応した箇所でのみ2値化信号のパルスが得られ、パルス成分を正しく検出できる。一方、図9(b)では、スライスレベルが図9(a)の場合よりも低いため、ノイズ成分で、2値化信号が“1”となる。この場合、ノイズ成分をパルス成分と誤検出して、エラーが発生する可能性がある。
【0040】
本実施形態では、ピークタイミング検出器111によって、ピークタイミングを検出し、ピーク推定器112にて、連続する3点のサンプリング点から、サンプリング前の元信号のピークを推定する。連続する3点のサンプリング点のうちの前後の値が、中央よりも小さいときに、その3点のサンプリング点を二次関数で近似したときの極大値を求めることで、サンプリング前の元の信号のピークを推定可能である。従って、A/D変換器のサンプリングのタイミングにより、パルス成分のピークレベルをサンプリングできない場合でも、パルス成分のピークレベルを高い精度で検出できる。
【0041】
ここで、二次関数を用いてピークを推定するという点では、特許文献1と類似する。しかし、特許文献1では、入力信号をピット信号、つまり、上に凸の山型の信号に限定しており、入力信号に(ピーク)山とボトム(谷)とが交互に現れる信号を想定していない。このため、入力信号に山と谷とが交互に現れる状況では、ピーク値を正しく推定することはできない。本実施形態では、ピークタイミング検出器111にて、入力信号うちの連続する3点のサンプリング値を比較し、中央のサンプリング値が、前後のサンプリング値よりも大きくなる時点を、ピークタイミングとして検出し、そのタイミングで、ピーク値を推定する。このようにすることで、入力信号に山と谷とが交互に現れる状況でも、ピーク値を正しく推定できる。
【0042】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のピークレベル検出部の構成は、図1に示す第1実施形態のピークレベル検出部10の構成と同様である。本実施形態では、ピークレベル検出器11は、サンプリングデータの連続する4点から、元信号のピークレベルを推定する。ピークタイミング検出器111は、サンプリングデータの連続する4点の値を比較する。ピークタイミング検出器111は、前端及び後端のサンプリングデータよりも、それらに挟まれるサンプリングデータのうちの少なくとも1点の値が大きい時点を、ピークタイミングとして検出する。
【0043】
ピーク推定器112は、ピークタイミングが検出された連続する4点のサンプリングデータから、二次関数近似を利用して、元信号のピーク値を算出(推定)する。その際、ピーク推定器112は、連続する4点のサンプリングデータのうちの前端のサンプリングデータを含む連続する3点のサンプリングデータから式1によりピーク値を算出し、連続する4点のサンプリングデータのうちの後端のサンプリングデータを含む連続する3点のサンプリングデータから式1によりピーク値を算出し、それらの相加平均を、推定されたピーク値として出力する。
【0044】
図10に、入力信号波形及びそのサンプリング点を示す。この例では、A/D変換前の入力信号波形は、時刻N−1、N付近でピークを取っている。このピークは、LPP付近のピークに対応している。時刻N−1、N、N+1、N+2におけるサンプリングデータを、それぞれyN−1、y、yN+1、yN+2とする。これらを比較すると、前端及び後端のサンプリングデータyN−1、yN+2よりも、その間のサンプリングデータy、yN+1が大きい。このため、ピークタイミング検出器111は、時刻N−1からN+2を、ピークタイミングとして検出する。
【0045】
ピーク推定器112は、yN−1、y、yN+1を通る二次関数曲線とy、yN+1、yN+2を通る二次関数曲線とのそれぞれの極大値を求め、その平均値を算出する。すなわち、4点のサンプリングデータの中心2点を通り、端2点のサンプリングデータを考慮した二次関数のピークレベルとなる値を算出する。このとき算出されるピークレベルpは、式2で表せる。
p=(y+yN+1)/2−(yN+1−yN−1/16(yN+1−2y+yN−1)−(yN+2−y/16(yN+2−2yN+1+y) (2)
【0046】
本実施形態では、ピークレベル算出に用いるサンプリング点を第1実施形態よりも増やし、連続する4点のサンプリングデータを用いて、離散的なサンプリングデータから、元の信号のピークレベルを推定する。本実施形態では、第1実施形態に比して、ピークレベル算出での演算量が増加するが、用いるサンプリングデータ数を増やすことで、ノイズ等の影響を軽減して、ピークレベルを算出することが可能である。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0047】
なお、第1実施形態では連続する3つのサンプリングデータを用いて元信号のピークレベルを推定し、第2実施形態では連続する4つのサンプリングデータを用いて元信号のピークレベルを推定したが、5つ以上のサンプリングデータを用いてピークレベルを算出することも可能である。その場合には、ピークタイミング検出器111にて、連続する5つのサンプリングデータを比較し、前端及び後端のサンプリングデータよりもそれらの挟まれたサンプリングデータのうちの少なくとも1つが大きくなる時点をピークタイミングとして検出し、ピーク推定器112にて、ピークタイミングが検出された5つのサンプリングデータから、時刻を1つずつずらしながら連続する3つのサンプリングデータにより二次関数近似の極大値を求め、それらの相加平均を求めればよい。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のピークレベル検出器、ピークレベル検出部、及び、2値化信号生成回路は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態のピークレベル検出部の構成を示すブロック図。
【図2】ピークレベル検出器におけるピークレベル算出の手順を示すフローチャート。
【図3】ピークレベル検出部を含む2値化信号生成回路の構成を示すブロック図。
【図4】ベースレベル検出部の構成を示すブロック図。
【図5】スライスレベル生成部の構成を示すブロック図。
【図6】第1実施形態におけるピークレベル検出器の動作を示す波形図。
【図7】ピークレベル検出部の各部の動作を示す波形図。
【図8】2値化信号生成回路の各部の動作を示す波形図。
【図9】(a)及び(b)は、それぞれコンパレータの入力信号と2値化信号とを示す波図。
【図10】本発明の第2実施形態のピークレベル検出器の動作を示す波形図。
【図11】アナログ回路構成のピークレベル検出器の構成を示すブロック図。
【図12】(a)及び(b)は、それぞれLPP成分付近の信号をA/D変換した例を示す波形図。
【符号の説明】
【0050】
10:ピークレベル検出部
11:ピークレベル検出器
111:ピークタイミング検出器
112:ピーク推定器
12:ピークレベル算出器
121:比較器
122:セレクタ
20:A/D変換器
30:VCA
40:ベースレベル検出部
50:スライスレベル生成部
51:減算器
52:乗算器
53:加算器
60:コンパレータ
70:ピークレベル検出部(アナログ)
71:バッファ
72:ダイオード
73:抵抗
74:コンデンサ
75:抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離散的に信号レベルが取得されたサンプリングデータから、該サンプリングデータのピークレベルを検出するピークレベル検出器であって、
前記サンプリングデータの連続する少なくとも3つサンプリングデータを比較し、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータの前端及び後端のサンプリングデータよりも、前端及び後端に挟まれるサンプリングデータのうちの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出するピークタイミング検出部と、
前記ピークタイミング検出部が、ピークタイミングを検出すると、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータから前記サンプリングデータのピークレベルを推定するピーク推定部とを有することを特徴とするピークレベル検出器。
【請求項2】
前記ピーク推定部は、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータから近似される2次曲線の極大値から前記ピークレベルを推定することを特徴とする、請求項1に記載のピークレベル検出器。
【請求項3】
離散的に信号レベルが取得されたサンプリングデータの連続する少なくとも3つのサンプリングデータを比較し、前記サンプリングデータ中の前端及び後端のサンプリングデータより、前端及び後端に挟まれるサンプリングデータの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出し、前記連続する少なくとも3つのサンプリングデータの値から前記サンプリングデータのピークレベルを推定するピークレベル検出器と、
前記ピークレベル検出器の出力と、一時刻前の自身の出力とを比較し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも大きいときは、前記一時刻前の出力に、前記ピークレベル検出器の出力と前記一時刻前の出力との差に所定の追従時定数を乗じた値を出力し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも小さいときは、前記一時刻前の出力から所定の減衰量を減じた値を出力するピークレベル算出器とを有することを特徴とするピークレベル検出部。
【請求項4】
パルス成分を含む信号からパルス成分を2値化した信号を生成する2値化信号生成回路であって、
サンプリングクロックに従って、前記パルス成分を含む信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器が出力するデータ列うちの連続する少なくとも3つのデータを比較し、前記データ列中の前端及び後端のデータより、前端及び後端に挟まれるデータの少なくとも1つが大きくなるピークタイミングを検出し、前記連続する少なくとも3つのデータから前記パルス成分のピークレベルを推定するピークレベル検出器と、該ピークレベル検出器の出力と一時刻前の自身の出力とを比較し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも大きいときは、前記一時刻前の出力に、前記ピークレベル検出器の出力と前記一時刻前の出力との差に所定の追従時定数を乗じた値を出力し、前記ピークレベル検出器の出力が前記一時刻前の出力よりも小さいときは、前記一時刻前の出力から所定の減衰量を減じた値を出力するピークレベル算出器とを有するピークレベル検出部と、
前記A/D変換器が出力するデータ列から前記パルス成分のベースレベルを検出するベースレベル検出部と、
前記ピークレベル検出部が出力するパルス成分のピークレベルと前記ベースレベル検出部が出力するパルス成分のベースレベルとから、パルス成分を2値化するためのスライスレベルを生成するスライスレベル生成部と、
前記A/D変換器の出力を前記スライスレベル生成部が生成したスライスレベルを用いてパルス成分の2値化信号を出力するコンパレータとを備えることを特徴とする2値化信号生成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−70490(P2009−70490A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238261(P2007−238261)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】