説明

ファイバレーザ装置

【課題】自然放出光による光学系の損傷や光学特性の低下が抑制されたファイバレーザ装置を提供する。
【解決手段】ファイバレーザ装置5は、第1の光源10、第2の光源12、ファイバレーザ増幅器20、およびファイバレーザ発振器30を有する。第1の光源10は、第1のシード光を第1の周期を有するパルス列として放出する放出期間と、前記第1の周期よりも長い非放出期間とを有する。第2の光源12は、前記第1のシード光の波長とは異なる波長を有する第2のシード光を、前記非放出期間内に第2の周期を有するパルス列として放出可能である。ファイバレーザ増幅器20は、第1の希土類元素が添加された光ファイバ22を有し、ファイバレーザ発振器30は、前記第1のシード光の前記波長における光吸収強度が前記第2のシード光の前記波長における光吸収強度よりも高い第2の希土類元素が添加された光ファイバを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ファイバレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置や光応答装置では、高出力のパルスレーザ光が要求される。このために、固体レーザまたは半導体レーザからのパルスシード光を、ファイバレーザ増幅器により増幅して高出力パルスレーザ光を得ることが多い。
【0003】
ファイバレーザ増幅器は、コアに添加された希土類元素に励起光が吸収され、誘導放出により利得を生じてパルスシード光を増幅できる。しかし、一般にファイバレーザ増幅器は利得を生じる波長範囲が広いために、高い出力レベルまで励起され且つ蓄積されたエネルギーを効率よく取り出すことが困難である。
【0004】
ツリウム(Tm)とネオジウムとをコアに添加した光ファイバを利得媒体とし、ツリウムによる光増幅時に発生する波長0.8μm帯の自然放出光をネオジウムに吸収させると、波長1.47μm帯の光の増幅を行うことができる。
【0005】
しかしながら、自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を励起光としてTm添加光ファイバを有するファイバレーザ装置がASEを生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−93235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自然放出光による光学系の損傷や光学特性の低下が抑制されたファイバレーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のファイバレーザ装置は、 第1の光源、第2の光源、ファイバレーザ増幅器、およびファイバレーザ発振器、を有する。前記第1の光源は、第1のシード光を放出可能である。また、前記第1の光源は、前記第1のシード光を第1の周期を有するパルス列として放出する放出期間と、前記第1のシード光を放出せず前記第1の周期よりも長い非放出期間と、を有する。前記第2の光源は、前記第1のシード光の波長とは異なる波長を有する第2のシード光を、前記非放出期間内に第2の周期を有するパルス列として放出可能である。前記ファイバレーザ増幅器は、第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部と、を有する。また、前記ファイバレーザ増幅器は、第1の希土類元素が添加された光ファイバを有し、前記第1の端部から入射された前記第1および第2のシード光を増幅可能である。前記ファイバレーザ発振器は、前記ファイバー増幅器と接続される第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部と、を有する。また、前記ファイバレーザ発振器は、前記第1のシード光の前記波長における光吸収強度が前記第2のシード光の前記波長における光吸収強度よりも高い第2の希土類元素が添加された光ファイバを有する。前記ファイバレーザ発振器は、さらに前記第1のシード光の前記波長よりも長い波長でありかつ前記第1の周期を有するパルスレーザ光を前記第2の端部から放出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態のファイバレーザー装置の構成図である。
【図2】図2(a)は第1の光源からのレーザ光、図2(b)は第2の光源からのレーザ光、図2(c)はファイバーレーザ増幅器のレーザ光、図2(d)はファイバレーザ発振器のレーザ光、図2(e)は第1のシード光、図2(f)は第2のシード光、のパルス波形図である。
【図3】図3(a)はErの光吸収または発光スペクトル、図3(b)はTmの光吸収または発光スペクトル、を示すグラフ図である。
【図4】図4は、比較例にかかるファイバレーザ装置の構成を表す模式図である。
【図5】図5(a)は光応答装置の構成を表す模式図、図5(b)はその信号の波形図、である。
【図6】図6(a)はファイバレーザ装置からのパルスレーザ光を波長変換する場合の構成を示す模式図、図6(b)はファイバレーザ装置からのパルスレーザ光の波形図、図6(b)は波長変換後のパルスレーザ光の波形図、である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施形態のファイバレーザ装置の構成を表す模式図である。ファイバレーザ装置は、第1の光源10と、第2の光源12と、ファイバレーザ増幅器20と、第3の光源14と、ファイバレーザ発振器30と、を有している。
【0011】
第1の光源10は、例えば、波長λ1が1.56μm近傍の第1のシード光を放出する。また、第2の光源12は、波長λ1とは異なるように、波長λ2が、例えば1.48μm近傍または1μm近傍の第2のシード光を放出する。第1の光源10と第2の光源12とは、例えば、InGaAsPなどからなる半導体レーザ素子とすることができる。ドライバ14は、第1および第2の光源10、12をパルス駆動し、パルスレーザ光をそれぞれ放出させる。
【0012】
また、ドライバ14は、第1のシード光のパルス列の非放出期間を設けることができる。さらに、ドライバ14は、第1のシード光の非放出期間において、第2のシード光のパルス列を放出できる。
【0013】
ファイバーレーザ増幅器20は、コアに希土類元素が添加された光ファイバ22と、カプラ24と、コンバイナー26と、を有する。シード光の波長を1.48〜1.56μmの範囲とする場合、第1の希土類元素としては、例えばエルビウム(Er)やイッテルビウム(Yb)を用いることができる。Erによる増幅は、EDFA(Er-doped Fiber amplification)方式と呼ばれる。図1において、ファイバレーザ増幅器20は、第1の光源10および第2の光源12の側に、第1の端部20aを有し、その反対の側に第2の端部20bを有する。
【0014】
第3の光源16は、例えば、第2の端部20bの側に設けられる。第3の光源16は、0.975μm近傍の波長λ3の励起光を放出可能であり、コンバイナー26などを介して励起光を光ファイバ22へ導入する。光ファイバ22に添加された第1の希土類元素は、励起光を吸収し、誘導放出により第1のシード光や第2のシード光を増幅して、第2の端部20bから放出する。第3の光源16は、例えば、AlGaAsなどからなる半導体レーザ素子からの放出光を合成し、数百mWなどの高出力を放出可能な光モジュールとすることができる。
【0015】
ファイバレーザ発振器32は、コアに第2の希土類元素が添加された光ファイバ32を有する。この場合、励起光としては、第1のシード光をファイバレーザ増幅器20により増幅した増幅光(波長λ1)を用いることができる。図1において、ファイバレーザ発振器32は、ファイバレーザ増幅器20の側に第1の端部30a、その反対の側に第2の端部30b、を有している。
【0016】
ファイバレーザ発振器30の発振波長は、光共振器により決めることができる。図1において、光共振器は、ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)をさらに有している。FBGは、コアの屈折率が光ファイバの光軸方向に沿って周期的に変化したブラッグ回折格子を有している。FBGは、その中心波長λB近傍の反射帯域において光を反射し、中心波長λBから離れた帯域において光を透過する。
【0017】
第1の端部30aの側に設けられた第1FBG34の中心波長λB1と、第2の端部30bの側に設けられた第2FBG36の中心波長λB2と、は、所望の発振波長λ4の近傍に設定される。
【0018】
また、波長λ4における第1FBG34の反射率を第2FBG36の反射率よりも高くすると、第2の端部30bから、波長λB近傍のレーザ光を放出できる。この場合、例えば、第2FBG36の反射率を50%近傍、第1FBG34の反射率を50%よりも高く90%以上などとすることができる。なお、光共振器は、光ファイバ32の両側に設けられたミラーなどで構成することもできる。
【0019】
図1において、光ファイバがシリカファイバであるものとすると、それぞれの光学部品は、ファイバの端部を融着することにより接続可能である。
【0020】
図2(a)は第1の光源からのレーザ光出力、図2(b)は第2の光源からのレーザ光出力、図2(c)はファイバレーザ増幅器のレーザ光出力、図2(d)はファイバレーザ発振記のレーザ光出力図2(e)は第1のシード光、図2(f)は第2のシード光、のパルス波形図である。
図2(a)は、点Aにおけるレーザ光のパルス波形を示す。第1の光源10は、ドライバ14により、第1の周期T1で第1のシード光(波長λ1)のパルス列を放出する放出期間tp1と、第1のシード光のパルス列を放出しない非放出期間tp2と、を有する。第1の周期T1は、例えば、50μs(繰り返し周波数が20kHzに相当)〜100μs(繰り返し周波数が10kHzに相当)の間とすることができる。なお、第1の周期T1は、この範囲に限定されないものとする。
【0021】
また、図2(b)は、点Dにおけるレーザ光のパルス波形を示す。第2の光源12は、第2の周期T2で第2のシード光のパルス列を放出する。なお、第1の周期T1と、第2の周期T2と、は、同一であっても、また異なっていてもよい。
【0022】
第1のシード光のパルス列は、時間t1から放出され始める。また、第2のシード光のパルス列は、第1のシード光の非放出期間tp2内で放出される。図2では時間t2から放出され始める。
【0023】
第1のシード光の変調動作周期TMは、放出期間tp1および非放出期間tp2を含む。ファイバレーザ装置の用途では、変調動作周期TMは、第1の周期T1や第2の周期T2に対して長く設定される場合が多い。すなわち、繰り返し周波数で表すと、例えば1kHz以下のような低い周波数とすることが多い。なお、変調動作周期TMは、毎回同じである必要はないが、毎回同じとした方がパルス波形制御が容易である。
【0024】
図2(c)は、点Bにおける増幅光のパルス波形を示す。この場合、ファイバレーザ増幅器20は、第1のシード光の放出期間tp1の間、波長λ1の増幅光を放出する。また、第1のシード光の非放出期間tp2の間、波長λ2の第2のシード光を増幅してその増幅光を放出する。この場合、第2のシード光の波長λ2および光出力、をそれぞれ適正に選択し、非放出期間tp2の間に光ファイバ22にエネルギーが蓄積されることを抑制できる。このため、ASEの放出が抑制される。
【0025】
図2(d)は、出力点Cにおいて、発振光のパルス波形を示す。ファイバレーザ発振器30は、第1のシード光の増幅光(パルス列)を励起光とし、第1のシード光の波長λ1よりも長い波長λ4のレーザ光を出力点Cから外部に放出する。また、第2のシード光(波長λ2)も、ファイバレーザ発振器30に入射する。しかしながら、Tmの光吸収スペクトルにおいて、波長λ2における光吸収強度を、波長λ1における光吸収強度よりも十分に低く設定することにより励起に寄与しないようにできる。このため、Tmが添加された光ファイバ32が発振することが抑制できる。すなわち、出力点Cから出力される波長λ1の高出力パルス列の間では、ASEが励起光となった擬似CW光や波長λ2の光は放出されない。
【0026】
また、図2(e)において、第1の周期T1が50μsの時、パルス幅W1は10〜100nmなどとすることができる。この場合、W1/T1は、0.2〜2%と低い。また、図2(f)の第2のシード光のW2/T2も、例えば、0.2〜2%などとすることができる。さらに、第1のシード光と、第2のシード光と、において、W1=W2かつT1=T2とすると波形制御が容易である。
【0027】
放出期間tp1や非放出期間tp2は、パルス幅に対して長い。本明細書では、放出期間tp1や非放出期間tp2の間、連続して放出される光を擬似CW光と呼ぶことにする。
【0028】
図3(a)はTmの光吸収スペクトルまたは発光スペクトル、図3(b)はErの光吸収スペクトルまたは発光スペクトル、を示すグラフ図である。
図3(a)のように、第2の希土類元素としてTmを用いる場合、1.8〜2.1μmの赤外線レーザ光を放出するための励起光の波長は種々選択可能である。例えば、InGaAsP材料を用いた半導体レーザ素子では、1.3〜1.6μmの波長範囲に光吸収領域がある。この場合、第1のシード光の増幅光をファイバレーザ発振器30の励起光とするので、高出力とすることが好ましい。すなわち、Tmの光吸収スペクトルにおいて第1のシード光の波長λ1における光吸収強度は、第2のシード光の波長λ2における光吸収強度の略10倍のように高いことが好ましい。
【0029】
また、図3(b)のように、第1の希土類元素としてErを用いる場合、第2のシード光の光吸収強度は、第1のシード光の光吸収強度よりも高いことが好ましい。さらに、第2のシード光の発光強度は、第1のシード光の発光強度よりも低いことが好ましい。このようにすると、第1のシード光は、第2のシード光よりも高出力とできるので、Tmの励起光として用いるのに適している。
【0030】
なお、以下の説明において、ファイバレーザ増幅器20の第1の希土類元素はEr、ファイバレーザ発振器30の第2の希土類元素はTm、λ1は1.56μm、λ2は1.48μm、であるものとするが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
すなわち、ファイバレーザ発振器30を構成する光ファイバ32において、第2のシード光(λ2が1.48μm)のTmによる光吸収を第1のシード光(λ1が1.56μm)の光吸収の略10分の1と小さくする。このようにすると、1.48μmのシード光がファイバレーザ発振器30へ入射しても、Tmが添加された光ファイバ32を励起するには不十分である。すなわち、十分の利得を得ることができないので、発振が抑制される。また、第2のシード光はEDFAで増幅されるので、励起光が光ファイバ22で消費されエネルギーの蓄積は少なく、ASEが抑制される。なお、λ1とλ2との間隔を狭くしすぎると、光吸収強度や発光強度の差が小さくなり、第2のシード光がTmを励起しやすくなるので好ましくない。
【0032】
図4(a)は比較例にかかるファイバレーザ装置の構成を表す模式図、図4(b)は点Aにおけるシード光の波形図、図4(c)は点Bにおける増幅光の波形図、図4(d)は点Cにおける出力光の波形図、である。
比較例にかかるファイバレーザ装置105のシード光は1つであり、図4(b)の波形を有する。シード光はファイバレーザ増幅器120で増幅され、点Bにおいて、放出期間tp11において図4(c)の波形図に示すパルス波形となる。
【0033】
また、シード光の非放出期間tp12の間、励起光源116からのエネルギーが希土類元素を励起し続けている。例えば第1の周期T11の10倍の期間、励起が継続されると、1パルスのシード光を励起するエネルギーの略10倍のエネルギーがファイバレーザ増幅器122に蓄積されていることになる。
【0034】
図3(b)のようにErは広い発光スペクトルを有しているので、蓄積されたエネルギーが、例えば、1.53〜1.56μmの広い発光スペクトルを有するASEが擬似CW光として放出される(図4(c))。非放出期間tp12が長くなると、蓄積されるエネルギーが大きくなる。このため、ファイバレーザ発振器130は、図4(c)に示すASEを励起光として、Tm添加光ファイバ132が発振可能となる。このため、図4(d)のように、第1のシード光の非放出期間tp12の間も、ファイバレーザ発振器130からASEを励起光として擬似CW光を放出する。
【0035】
図5(a)はファイバレーザ装置を用いた光応答装置の構成を示す模式図、図5(b)は発振タイミングモニタ出力の波形図、図5(c)は受信信号の波形図、である。
センシング用途に用いる光応答装置では、パルスレーザ光(λ4)は、まずサンプリングミラー50により2つに分岐される。一方のパルスレーザ光は、送信光学系52を経由して空間に放出される。被測定物54からの反射光は、受信光学系56を経由して、受信検知器58に入射する。他方のパルスレーザ光は、サンプリングミラー50で分岐されたのち、発振タイミングモニタ用検知器60に入射する。
【0036】
もしファイバレーザ装置105から、図4(d)のように、ASEを励起光として擬似CW光が放出され続けていると、検知すべきパルスレーザ光(信号)に擬似CW光が雑音成分となり、S/N(信号・雑音)比に劣化を生じる(図5(c))。また、図5(b)のように、発振タイミングモニタ用検知器60により検知信号にも擬似CW光が雑音成分として含まれる。このため、被測定物54までの距離に応じた時間t20からの時間遅れtdを精度よく測定することが困難となる。
【0037】
これに対して、本実施形態にかかるファイバレーザ装置5を用いた光応答装置では、所望のパルスレーザ光のパルス列が放出されない非放出期間にASEを励起光とした擬似CW光の放出が抑制できる。このため、センシング精度を高めることが容易となる。
【0038】
図6(a)はファイバレーザ装置からのパルスレーザ光を波長変換する場合の構成を示す模式図、図6(b)はファイバレーザ装置からのパルスレーザ光の波形図、図6(b)は波長変換後のパルスレーザ光の波形図、である。
図4の比較例にかかるファイバレーザ装置105から放出されたパルスレーザ光は、OPO(Optical Parametric Oscillator)70へ入射する。OPO70は、ZGPなどの非線形結晶72と、非線形結晶72の両側に設けられた2つの共振器ミラー70と、を有している。OPO70に入射した略2μmの波長を有するパルスレーザ光は、略3〜5μmの波長(λ5)に変換されて出射する。
【0039】
この場合、ファイバレーザ装置105から放出されたパルスレーザ光が、図4(d)のように、ASEにより励起された擬似CW光を含んでいると、波長変換に寄与しない擬似CW成分が非線形結晶72に吸収される。このため、非線形結晶72が発熱し結晶に損傷を与えることがある。
【0040】
また、例えば、図4(a)の比較例の構成において、点BにASEの伝搬を抑制するためにフィルタを配設しても、例えば300mW以上のASEで損傷を生じることがある。このように、放射エネルギーの高い擬似CW光は、フィルタの空間結合部に損傷を与えることが多いので、ASEの発生を抑制することが好ましい。
【0041】
本発明の実施形態によれば、ファイバレーザ増幅器から入射するASEを励起光としてファイバレーザ発振器が擬似CW光として発振することが抑制できる。このため、光学系の損傷やセンシングなどにおける光学特性の低下が抑制されたファイバレーザ装置が提供される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
5 ファイバレーザ装置、10 第1の光源、12 第2の光源、16 第3の光源、20 ファイバレーザ増幅器、20a 第1の端部、20b 第2の端部、22 光ファイバ、30 ファイバレーザ発振器、30a 第1の端部、30b 第2の端部、32 光ファイバ、34 第1FBG、36 第2FBG、T1 第1の周期、 T2 第2の周期、tp1 放出期間、tp2 非放出期間、λ1 第1のシード光の波長、λ2 第2のシード光の波長、λ4 パルスレーザ光(出力光)の波長、λB、λB1、λB2 FBGの中心波長、C 出力点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシード光を放出可能な第1の光源であって、前記第1のシード光を第1の周期を有するパルス列として放出する放出期間と、前記第1のシード光を放出せず前記第1の周期よりも長い非放出期間と、を有する第1の光源と、
前記第1のシード光の波長とは異なる波長を有する第2のシード光を、前記非放出期間内に第2の周期を有するパルス列として放出可能な第2の光源と、
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部と、を有するファイバレーザ増幅器であって、第1の希土類元素が添加された光ファイバを有し、前記第1の端部から入射された前記第1および第2のシード光を増幅可能なファイバレーザ増幅器と、
前記ファイバー増幅器と接続される第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部と、を有するファイバレーザ発振器であって、前記第1のシード光の前記波長における光吸収強度が前記第2のシード光の前記波長における光吸収強度よりも高い第2の希土類元素が添加された光ファイバを有し、前記第1のシード光の前記波長よりも長い波長でありかつ前記第1の周期を有するパルスレーザ光を前記第2の端部から放出可能なファイバレーザ発振器と、
を備えたファイバレーザ装置。
【請求項2】
前記第1のシード光は、前記ファイバレーザ増幅器により増幅されたのち前記ファイバレーザ発振器を励起可能である請求項1記載のファイバレーザ装置。
【請求項3】
前記ファイバレーザ増幅器に励起光を供給可能な第3の光源をさらに備えた請求項1または2に記載のファイバレーザ装置。
【請求項4】
前記ファイバレーザ増幅器において、前記第1のシード光の前記波長における発光強度は、前記第2のシード光の前記波長における発光強度よりも高い請求項1〜3のいずれか1つに記載のファイバレーザ装置。
【請求項5】
前記ファイバレーザ発振器は、前記第1の端部の側に設けられた第1のファイバブラッググレーティングと、前記第2の端部の側に設けられた第2のファイバブラッググレーティングと、を有し、
前記パルスレーザ光の前記波長において、前記第1のファイバブラッググレーティングの反射率は、前記第2のファイバブラッググレーティングの反射率よりも高い請求項1〜4のいずれか1つに記載のファイバレーザ装置。
【請求項6】
前記第1の希土類元素は、エルビウムおよびイッテルビウムのうちのいずれかを含み、
前記第2の希土類元素は、ツリウムである請求項1〜5のいずれか1つに記載のファイバレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65655(P2013−65655A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202843(P2011−202843)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】