説明

ファイルシステム管理情報配置方法

【課題】従来では、ファイルシステムの管理情報が、光ディスクの内周部および外周部の2ヶ所に記録されていて、外周部のファイルシステム管理領域は、内周部のファイルシステム管理領域が読み出せなかった場合のバックアップとして位置付けられている。光ディスクの外周部は、物理的な衝撃を受けやすく、指紋などの汚れが付着しやすい場所であるので、ファイルシステムが破壊しやすい可能性があり、ファイルシステム管理情報のバックアップとしては適した場所でない。
【解決手段】ファイルシステム管理領域a103と同一内容でバックアップといった位置付けを持つファイルシステム管理領域b104を、光ディスク101の中間部に配置することによって、物理的な衝撃を受けにくく、指紋などの汚れが付着しにくいため、ファイルシステムが破壊しにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク上のファイルシステム管理情報が記録される2ヶ所のファイルシステム管理領域の配置手段を決定するファイルシステム管理情報配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク上のファイルシステム管理領域の配置として、図3を用いて説明する。図3は、光ディスクの概略的な断面から見た、従来のファイルシステムの管理領域の配置の関係について説明するための図である。図3において、301は光ディスク、302は光ディスク301の中心部の貫通孔に存在するわずかな突起物、303はファイルシステム管理情報が記録されるファイルシステム管理領域a、304はファイルシステム管理領域a303と同一でそのバックアップと位置付けられるファイルシステム管理領域bである。ファイルシステム管理領域a303およびファイルシステム管理領域b304は、ファイルシステムの階層構造やファイル実体の記録領域を管理する管理情報が記録される領域である。このファイルシステム管理領域が2ヶ所に記録されるのは、ファイルシステム管理構造を2重化にすることを意味している。ファイルシステム管理構造の2重化の利点は、光ディスク上に、同じ内容のファイルシステム管理情報を2ヶ所に記録することによって、一方のファイルシステム管理情報がディスクの汚れや損傷などの起因で読めなくなった場合でも、他方のファイルシステム管理情報を読み出すことにより、ファイル実体に異常がなくてもファイルが読み出せなくなる事態を回避できることである。
【0003】
従来の光ディスク301には、ファイルシステム管理領域a303が内周部に、ファイルシステム管理領域b304が外周部に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、光ディスクの外周部は、内周部に比べて、物理的な衝撃を受けやすいという欠点があった。図3で示されるように、光ディスク301を平面上に置いた場合、貫通孔の突起物302が存在するので、光ディスク301の内周部や中間部が浮いていて、外周部が平面に接触しているような形状になる。また、光ディスクの記録再生装置のトレイおよびスロット、ディスクケースなどで光ディスクの出し入れをしたり、光ディスクを拾い上げようとしたりすると、手先が外周部に接触してしまう場合が多い。この場合、外周部に損傷を受けたり、指紋などの汚れが付着してしまう。また、光ディスクの記録再生装置のローディング機構では、光ディスクをトレイにのせるタイプのトレイローディングや、光ディスクを押し込むタイプのスロットローディングがあり、どのタイプでもディスクを装着する際に、光ディスクの外周部に衝撃を与えやすい。また、光ディスクを落とすと、外周部が先に着地してしまい、損傷を受けてしまう。
【特許文献1】特開2002−279709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように、光ディスクの外周部は、物理的な衝撃を受けて損傷しやすく、指紋などの汚れなどが付着しやすい場所であり、前記従来のファイルシステム管理情報配置方法では、外周部に配置されるファイルシステム管理情報が破壊しやすい可能性があるという課題を有していた。
【0006】
前記従来のファイルシステム管理情報配置方法において、外周部のファイルシステム管理情報は、内周部に配置されるファイルシステム管理情報が読み出せなかった場合のバックアップと位置付けられている。仮に、外周部のファイルシステム管理情報が破壊されて読み出せなくなっても、内周部のファイルシステム管理情報が正常に読み出せば、そのディスクが使用不能にならない。しかし、バックアップという用途からみれば、バックアップする場所は、比較的に安全であることが好ましいと考える。
【0007】
本発明では、前記従来の課題を解決するもので、ファイルシステム管理情報を光ディスクの中間部に配置することである。光ディスクの中間部は、外周部に比べて、物理的な衝撃をあまり受けないので損傷しにくく、指紋などの汚れなどが付着しにくい場所である。本発明によって、ファイルシステム管理情報が破壊されにくくしたファイルシステム管理情報配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明のファイルシステム管理情報配置方法は、光ディスクの内周部に記録されるファイルシステム管理情報のバックアップと位置付けられるファイルシステム管理情報を、光ディスクの中間部に配置することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のファイルシステム管理情報配置方法によれば、光ディスクの中間部に、ファイルシステム管理情報を割り当てることによって、前記従来の外周部に割り当てることよりファイルシステムが破壊されにくくして、ファイルシステム管理の信頼性を向上させるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、光ディスクの概略的な断面から見た、本発明のファイルシステム管理情報配置方法の実施の形態1のファイルシステムの管理領域の配置の関係について説明するための図である。図1において、101〜104は、それぞれ図3の301〜304と同様である。101は光ディスク、102は光ディスク101の中心部にある貫通孔の突起物、103はファイルシステムの管理情報が記録されるファイルシステム管理領域a、104はファイルシステム管理領域bである。図1において、図3に相当する符号を有するものは、同じ内容なので、詳細な説明は省略する。
【0012】
前記従来のファイルシステム管理情報配置方法では、光ディスク101の外周部に、ファイルシステム管理領域b104を配置していたが、本発明のファイルシステム管理情報配置方法では、光ディスク101の中間部に配置するようにする。図1で示されているように、光ディスク101を平面上に置いた場合、貫通孔の突起物102が存在するので、内周部と中間部では、平面から浮いたようになる。そのため、物理的な衝撃をあまり受けないので損傷しにくく、指紋などの汚れが付着しにくい場所であるため、ファイルシステム管理領域a103とファイルシステム管理領域b104が使用不能にならない。
【0013】
なお、本実施の形態では、光ディスクの内周部と中間部の2ヶ所に、ファイルシステム管理情報を記録する場合を説明したが、光ディスクの内周部および/または中間部の複数ヶ所に、ファイルシステム管理情報を記録しても良い。
【0014】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、単層の光ディスクの場合のファイルシステム管理情報配置方法についての説明を行った。
【0015】
図2は、多層の光ディスクの概略的な断面から見た、本発明のファイルシステム管理情報配置方法の実施の形態1のファイルシステムの管理領域の配置の関係について説明するための図である。図2において、201〜204は、それぞれ図1の101〜104と同様である。201は光ディスク、202は光ディスク201の中心部にある貫通孔の突起物、203はファイルシステムの管理情報が記録されるファイルシステム管理領域a、204はファイルシステム管理領域bである。図2において、図1に相当する符号を有するものは、同じ内容なので、詳細な説明は省略する。
【0016】
多層ディスクとは、複数の記録層を重ねたものである。図2では2つの記録層を重ねた2層ディスクに例えて説明を行う。その記録層は一般的にレイヤーと呼ばれているが、211ではレイヤー0、212ではレイヤー1と呼ぶことが一般的である。記録再生装置のレーザーピックアップから見て一番下のレイヤーは、レイヤー0で、最下層でもある。
【0017】
本発明のファイルシステム管理情報配置方法の実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、ファイルシステム管理領域a203を光ディスク201の内周部、ファイルシステム管理領域b204を光ディスク201の中間部に配置する。多層ディスクの場合は、複数のレイヤーが存在するが、ファイルシステム管理領域の配置方法としては、どの層に配置してもよい。図2では、ファイルシステム管理領域a203は最下層の内周部、ファイルシステム管理領域b204は最上層の中間部に配置した場合の例である。この例で、ファイルシステム管理領域b204が、最下層の中間部に配置してもよい。
【0018】
図2で示されているように、光ディスク201を平面上に置いた場合、貫通孔の突起物202が存在するので、内周部と中間部では、平面から浮いたようになる。そのため、物理的な衝撃をあまり受けないので損傷しにくく、指紋などの汚れが付着しにくい場所であるため、ファイルシステム管理領域a203とファイルシステム管理領域b204が使用不能にならない。
【0019】
なお、本実施の形態では、光ディスクの内周部と中間部の2ヶ所に、ファイルシステム管理情報を記録する場合を説明したが、光ディスクの内周部および/または中間部の複数ヶ所に、ファイルシステム管理情報を記録しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかるファイルシステム管理情報配置方法は、ファイルシステムの破壊による光ディスクの信頼性の損失を低減させることが可能なので、光ディスクのファイルシステム管理情報の配置手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明における単層光ディスクの概略的な断面図
【図2】本発明における多層光ディスクの概略的な断面図
【図3】従来の単層光ディスクの概略的な断面図
【符号の説明】
【0022】
101,201 光ディスク
102,202 貫通孔の突起物
103,203 ファイルシステム管理領域
104,204 ファイルシステム管理領域(バックアップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層の光ディスクのファイルシステム管理情報を、前記光ディスクの内周部および/または中間部の複数ヶ所に記録することを特徴とするファイルシステム管理情報配置方法。
【請求項2】
多層の光ディスクの場合のファイルシステム管理情報を、前記光ディスクのどの層であっても、内周部および/または中間部の複数ヶ所に記録することを特徴とするファイルシステム管理情報配置方法。
【請求項3】
請求項1に記載の配置方法により、ファイルシステム管理情報が記録された単層の光ディスク。
【請求項4】
請求項2に記載の配置方法により、ファイルシステム管理情報が記録された多層の光ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−193900(P2007−193900A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11979(P2006−11979)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】