説明

ファイル送信装置、画像形成装置、ファイル通信プログラム及びファイル通信方法

【課題】 XPS(XML Paper Specification)ファイルを取り扱う画像形成装置などにおいて、送信されるXPSファイルのサイズが大きすぎることに起因するバッファオーバーフローやメモリ不足などによる処理速度の低下などの問題点があった。
【解決手段】 PC(端末装置)側でXPSファイルのフラグメントの構造とサイズを記述したXMLファイルを生成して画像形成装置に送信し、画像形成装置側でXPSファイルをどのように分割するかの指示を記載したXMLファイルを生成してPCに送信して、前記指示に基づいてXPSファイルを分割して画像形成装置に送信する方法により課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
XPS(XML Paper Specification)やOPC(Open Packaging Conventions)ファイルなどのXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルを取り扱う画像形成装置やファイル送信装置において、該文書ファイルを分割して送信することにより、受信側でファイルサイズが大きすぎることにより起因する問題を解決することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来プリンタにおいて印刷を行う際には、端末装置上のアプリケーションファイルで文書を取り扱い、前記文書を端末装置上に備えたプリンタドライバプログラムがページ記述言語(PDL;Page Description Language)による印刷データに変換してプリンタに送信し、同プリンタ内で前記ページ記述言語による印刷データを解析して印刷エンジンを駆動し印刷を行う方法が取られていた。
【0003】
しかし、CPU(Central Processing Unit)の性能が向上しプリンタに用いられる様な比較的安価なCPUの処理能力も向上してきたため、端末装置上のアプリケーションの文書を文書ファイル形式のままプリンタに送信して、プリンタ内で印刷エンジン駆動用データに変換して印刷を行う方法が可能となってきた。この方法により、端末装置でのPDL変換処理が不要となりその負荷が無くなり、またPDL変換を行うプリンタドライバを開発する必要が無くなる。
【0004】
最近、マイクロソフト(登録商標)社が提唱したXPS(XML Paper Specification)やOPC(Open Packaging Conventions)などの新しい文書ファイル形式が用いられるようになってきた。しかし、これらのファイルは元々XML形式を拡張させて作成されているのでファイルサイズが大きく膨らんでしまう傾向がある。
【0005】
このXMLファイルのサイズ膨張化を解決するために、マークアップ言語文書の固定部分を除去し、変化する部分の発生頻度を使用してマークアップ言語文書を符号化する方法がある(特許文献1参照)。
【0006】
上記方法は、XMLファイルのサイズを小さくする方法としてファイルの貯蔵や送信の際などには有効であるが、貯蔵や送信の前後ではファイルの符号化及び復号化の際に多くのメモリを費やしてしまうことになる。
【0007】
前記XPSやOPCなどの文書ファイルは、メモリを多く消費する描画が含まれているものが多く、ひとつの文書ファイルをそのままの形でデータを印刷装置に流してしまうと、ファイルサイズが大きすぎることによる印刷装置内でのメモリが不足することによる処理の停止や低速化などの問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2004−32774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、XML拡張形式のファイルを端末装置から画像形成装置に送信して印刷を行う際に、XML拡張形式のファイルのサイズが大きすぎることによる画像形成装置側でのバッファオーバーフローによる処理の停止や処理速度の低下を抑制することが出来なかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のファイル送信装置は、XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得部と、前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達部と、前記ファイル受信装置から前記文書ファイルの分割指示情報を受信する分割指示情報受信部と、前記分割指示情報に基づいて、前記文書ファイルをフラグメントに分割するファイル分割部と、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送信部と、を有することを最も主要な特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、ファイル送信装置から送信されるXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を受信するフラグメント構成情報受信部と、メモリの余裕状況を取得するメモリ余裕状況取得部と、前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示部と、前記ファイル送信装置において分割されたXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルを受信する分割ファイル受信部と、前記分割された文書ファイルを印刷エンジン駆動データに変換する印刷データ変換部と、前記印刷エンジン駆動データを印刷する印刷部と、を有することを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明のファイル通信プログラムは、コンピュータをファイル送信装置が有するXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得手段と、前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達手段と、前記ファイル受信装置のメモリの余裕状況取得するメモリ状況取得手段と、前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示手段と、前記分割する指示に基づいて、前記文書ファイルをフラグメントに分割するファイル分割手段と、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送受信手段と、して機能させることを最も主要な特徴とする。
【0013】
本発明のファイル通信方法は、XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信するファイル通信方法であって、前記ファイル送信装置において、前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報を生成して、前記ファイル受信装置に送信し、前記ファイル受信装置において、メモリの余裕状況を取得して前記フラグメント構成情報と該メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示情報を生成して前記ファイル送信装置に送信し、前記ファイル送信装置において、前記分割する指示に基づいて前記文書ファイルを分割し、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のファイル送信装置は、XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得部と、前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達部と、前記ファイル受信装置から前記文書ファイルの分割指示情報を受信する分割指示情報受信部と、前記分割指示情報に基づいて、前記文書ファイルをフラグメントに分割するファイル分割部と、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送信部と、を有することを最も主要な特徴とするため、XML拡張形式のファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信する際に、同ファイルのサイズが大きすぎることによるファイル受信装置でのバッファオーバーフローによる処理の停止や処理速度の低下を抑制することが可能となった。また、前記ファイルの分割指示はファイル受信装置にて行われるので、ファイル送信装置の処理の負担が軽減した。
【0015】
本発明の画像形成装置は、ファイル送信装置から送信されるXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を受信するフラグメント構成情報受信部と、メモリの余裕状況を取得するメモリ余裕状況取得部と、前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示部と、前記ファイル送信装置において分割されたXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルを受信する分割ファイル受信部と、前記分割された文書ファイルを印刷エンジン駆動データに変換する印刷データ変換部と、前記印刷エンジン駆動データを印刷する印刷部と、を有することを最も主要な特徴とするため、XML拡張形式のファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信する際に、同ファイルのサイズが大きすぎることによるファイル受信装置でのバッファオーバーフローによる処理の停止や処理速度の低下を抑制することが可能となった。また、画像形成装置は、分割ファイル指示の際に装置の処理能力に応じて動的に分割指示を指定することが可能なため、画像形成装置の処理能力を最大限に発揮可能となった。
【0016】
本発明のファイル通信プログラムは、コンピュータをファイル送信装置が有するXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得手段と、前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達手段と、前記ファイル受信装置のメモリの余裕状況取得するメモリ状況取得手段と、前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示手段と、前記分割する指示に基づいて、前記文書ファイルをフラグメントに分割するファイル分割手段と、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送受信手段と、して機能させることを最も主要な特徴とするため、XML拡張形式のファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信する際に、同ファイルのサイズが大きすぎることによるファイル受信装置でのバッファオーバーフローによる処理の停止や処理速度の低下を抑制することが可能となった。
【0017】
本発明のファイル通信方法は、XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信するファイル通信方法であって、前記ファイル送信装置において、前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報を生成して、前記ファイル受信装置に送信し、前記ファイル受信装置において、メモリの余裕状況を取得して前記フラグメント構成情報と該メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示情報を生成して前記ファイル送信装置に送信し、前記ファイル送信装置において、前記分割する指示に基づいて前記文書ファイルを分割し、前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信することを最も主要な特徴とするため、XML拡張形式のファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信する際に、同ファイルのサイズが大きすぎることによるファイル受信装置でのバッファオーバーフローによる処理の停止や処理速度の低下を抑制することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
XPS(XML Paper Specification)やOPC(Open Packaging Conventions)などのXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルを端末装置(ファイル送信装置)から画像形成装置(ファイル受信装置)に送信する際に、画像形成装置に処理不可能な大きなファイルが送信されてしまうことに起因する画像形成装置の処理の停止や低速化の問題をファイル送信装置が文書ファイルのフラグメント構成情報を画像形成装置に送信し、画像形成装置が自身のメモリの余裕状況と該フラグメント構成情報に基づいて文書ファイルを分割する指示をファイル送信装置に行い、ファイル送信装置が指示に従い文書ファイル分割して画像形成装置に送信することにより問題を解決した。
【実施例】
【0019】
本発明に係わる実施例としてのPC(Personal Computer)(ファイル送信装置)及び印刷装置(ファイル受信装置、画像形成装置)について、文書ファイル形式としてXPS(XML Paper Specification)を送信する場合について以下に説明する。
【0020】
[XPSの木構造]
XPS(XML Paper Specification)は、Microsoft(登録商標)社が提唱するXML(Extensible Markup Language)形式を拡張した文書ファイルである。その構造の概略について図1を用いて説明する。
【0021】
図1に示すようにXPSの一つの文書はFixedDocumentSequence, FixedDocument, FixedPage, Canvas, Path, Glyphsという6種類のオブジェクトから構成されており、図1に示すような木構造をとっている。最下層にあるCanvasはイメージ、Pathはベクタ、Glyphsはフォントの描画オブジェクトであり、それらのオブジェクトがFixedPageというページオブジェクトの下層に並ぶ。また、FixedPageが集合して、FixedDocument、さらにその上層にFixedDocumentSequenceと木構造による階層構造を構成している。
【0022】
これらの木構造のひとつのオブジェクトからその下層のオブジェクトをすべて含む単位をフラグメントと呼ぶ。ひとつのXPSファイルは様々なフラグメントで分割することが可能である。例えば、図1の最下層の描画オブジェクトごとに分割することも可能であるし、FixedPageの層でページ毎に分割することも可能である。
【0023】
これら木構造を分割して下層構造まで含めた分割の単位をフラグメントと呼ぶ。
【0024】
[データの流れ]
次に、PCから印刷装置へ印刷が行われるまでのデータの流れについて説明する。
【0025】
XPSファイルは、前記したような木構造を有している。このXPSファイルを解析して、その木構造のフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズ情報をフラグメント構成情報として記述する。
【0026】
下記にフラグメント構成情報の例を示す。
<?xml version="1.0" encoding="ISO-2022-JP" ?>
<FixedDocumentSequence id=00203 size=35607432>
<FixedDocument id=0 size=234870>
<FixedPage id=0 size=12367>
<Canvas id=0-0 size=2435>
<Path id=0-1 size=1328>
<Glyphs id=0-1 size=243>
以下省略
上記フラグメント構成情報を印刷装置に送信し、印刷装置は自身のメモリ状況と装置の処理能力に基づいて、フラグメント情報が送られてきたXPSファイルをどのように分割すれば処理可能であるかを判断して、分割指示情報をXML(Extensible Markup Language)で生成する。
【0027】
下記に分割指示情報の例を示す。XML中にあるsnip=yesのパラメータが分割の指示を表す。
<?xml version="1.0" encoding="ISO-2022-JP" ?>
<FixedDocumentSequence id=00203>
<FixedDocument id=0>
<FixedPage id=0>
<Canvas id=0-0 snip=yes>
<Path id=0-1>
<Glyphs id=0-1 snip=yes>
<FixedPage id=1 snip=yes>
<FixedPage id=2 snip=yes>
以下省略
木構造の上層で分割する場合には、下層の構造の情報は必要ないので記載の省略が可能である。PCは、上記の分割指示情報を受信してその指示に基づいてPC内でファイルを分割する。
【0028】
PCは、分割したXPSファイルを印刷装置に送信する。印刷装置の処理能力が送信するXPSファイル全体をも一度に扱えるようであれば、分割指示ファイルは、分割を行わない指示を出す場合もありえるので、その場合は分割されていないXPSファイルを送信する。
【0029】
印刷装置側は、送信されたXPSファイルを受信して印刷出力を行う。
【0030】
[構成]
図2に本発明実施例のPC(ファイル送信装置)1.1及び印刷装置(画像形成装置)1.2の各機能部について説明する。
【0031】
1.1 PC(Personal Computer)(ファイル送信装置):アプリケーション上で文書を扱い、印刷のためにXPSなどの文書ファイル形式のデータを印刷装置に送信するファイル送信装置である。
【0032】
1.1.1 XPSファイル(文書ファイル):XPSフォーマットのファイルである(ZIP圧縮がなされている)。
【0033】
1.1.1.1 XML木構造:1.1.1のXPSファイルはXMLの拡張形式で記述されており、図1に示すような木構造を有している。
【0034】
1.1.2 主制御部:文書ファイル送信のための制御を行う機能部である。
【0035】
1.1.2.1 XPS解析部(フラグメント構成情報取得部):XPSファイル(文書ファイル)を解析して、その木構造の各フラグメントの構成物(オブジェクト内容)及びそのサイズを解析する。
【0036】
1.1.2.2 フラグメント構成情報生成伝達部(フラグメント構成情報伝達部):前記XPS解析部が解析したフラグメント情報をXMLで記述して印刷装置に送信する。
【0037】
1.1.2.3 分割指示情報受信部:印刷装置(ファイル受信装置、画像形成装置)で作成されたXMLで記述してある分割指示情報を受信してファイル分割部に渡す。
【0038】
1.1.2.4 ファイル分割部:印刷装置から受信した分割指示情報に基づいて、XPSファイルをフラグメントごとに分割したファイルとして生成する。
【0039】
1.1.2.5 分割ファイル送信部:ファイル分割部が生成した分割されたXPSファイルを印刷装置に送信する。
【0040】
1.2 印刷装置(ファイル受信装置、画像形成装置):PCから送られてきたXPSなどの文書ファイル形式のデータの印刷を行う。
【0041】
1.2.1 メモリ:印刷装置内のメモリである。PCから送信された分割ファイルの処理を行う際に記録を行う。
【0042】
1.2.2 メモリ状況判断部(メモリ余裕状況取得部):印刷装置におけるメモリサイズの状況を取得し、分割指示部に渡す。
【0043】
1.2.3 分割指示部(フラグメント構成情報受信部):PC側から送信されたフラグメント構成情報を受信して、メモリ状況判断部からのメモリの余裕状況と前記フラグメント構成情報と印刷装置の処理能力に基づいて、文書ファイルを分割する指示をXMLにて記述してPCに送信する。
【0044】
1.2.5 出力処理部(分割ファイル受信部、印刷データ変換部、印刷部):PCから送信された文書ファイル(分割されている場合とされていない場合の両方)を受信し、解析して印刷エンジンが駆動可能な印刷エンジン駆動データに変換して、そのデータにより印刷エンジンを駆動させて印刷を行う。
【0045】
[フローチャート]
実施例の動作の流れについてまず、図3のフローチャートを用いてPC側での処理について説明する。
【0046】
S2.1:XPS解析部1.1.2.1は、XPSファイルを解析してフラグメント構成情報を取得する。
【0047】
S2.2:フラグメント構成情報生成伝達部1.1.2.2は、前ステップで解析されたフラグメントの構成情報をXMLにて記述して印刷装置に送信する。
【0048】
S2.3:分割指示情報受信部1.1.2.3は、印刷装置で生成されたXMLで記述されたXPSファイルの分割指示情報を受信する。
【0049】
S2.4:ファイル分割部1.1.2.4は、前ステップで受信したXPSファイルの分割指示情報を解析して分割指示があるかないかを判断する。分割指示有りの場合はS2.5に、分割指示無しの場合は、S2.9に動作を移行する。
【0050】
S2.5:ファイル分割部1.1.2.4は、前記分割指示情報に従いXPSファイルを分割する。
【0051】
S2.6:分割されたファイルの数分ループを繰り返す。
【0052】
S2.7:分割ファイル送信部1.1.2.5は、S2.5で分割したファイルを印刷装置に送信する。
【0053】
S2.8:印刷装置においてS2.7で送信されたデータの処理が進み、メモリが解放されて新しいデータの受入ができるまで待機する。
【0054】
S2.9:分割ファイル送信部1.1.2.5は、分割されていないファイルをそのままの形で送信する。
【0055】
次に図4のフローチャートを用いて、印刷装置側での処理の流れについて説明する。
【0056】
図4(A)は、印刷装置が分割指示をPCに通知するフローチャートである。
【0057】
PC側のS2.2の処理により印刷装置にフラグメント構成情報が送信されると処理が開始する。
【0058】
S3.1:分割指示部1.2.3は、PCからフラグメント構成情報を受信する。
【0059】
S3.2:メモリ状況判断部1.2.2は、印刷装置内のメモリサイズを判断するメモリの余裕状況を取得する。
【0060】
S3.3: 分割指示部1.2.3は、S3.1で受信したフラグメント構成情報と、S3.2で取得したメモリの余裕状況と、装置の処理能力とから、文書ファイルを分割する指示(分割指示情報)をXMLで記述してPCに送信する。
【0061】
図4(B)は、印刷処理に関するフローチャートである。
【0062】
PC側のS2.7またはS2.9の処理により印刷データが送信されると、印刷装置において以下の処理が開始する。
【0063】
S3.4:出力処理部1.2.5は、PCから送信された文書ファイルを受信する。
【0064】
S3.5:出力処理部1.2.5は、受信した文書ファイル(分割されている場合とされていない場合の両方あり)を印刷エンジンの駆動データに変換し、印刷出力を行う。
【0065】
以上でPC側の処理を終了する。
【0066】
[実施例の効果]
本実施例により、PC側でのPDL変換の処理が不要となった。また、印刷装置側でのPDLから印刷エンジン駆動データへの変換処理が不要となった。
【0067】
本実施例では、印刷するXPSファイルの木構造をXMLで記述して印刷装置側に通知して、印刷装置側が自らの処理能力に応じて分割処理を指示するので、PC側は印刷装置の処理能力を知る必要が無く、プリンタドライバが印刷装置の機種・処理能力に係わらずひとつのプリンタドライバで汎用性を持つことが可能となり、プリンタドライバにPDL変換の必要が無いことと合わせてプリンタドライバの開発コストを大幅に削減可能となった。
【0068】
印刷装置側では、フラグメント構成情報の受信時点でのメモリの余裕状況に応じて動的にファイルの分割指示を行うことが可能となり、印刷装置は常にその最大処理能力を発揮可能となった。
【0069】
フラグメント構成情報はXMLで記述されるために基本的には元のXPSファイルから必要な部分のみを抽出するだけでよいので、その処理は簡単にすなわち処理に時間をかけずに行うことが可能である。また、元の文書ファイルにあるイメージのデータや、フォントデータなども必要ないので、元のXPSファイルに比べてXMLで記述されたフラグメント構成情報はファイルサイズが小さくなり、送信及び処理の負担が少ない利点がある。
【0070】
分割指示情報は、上記のフラグメント構成情報の利点に加えてさらに、層構造で分割指示を行う場合分割を行った場合に下層の情報は必要ないので、ファイルサイズが非常に小さくなり、送信及び処理の負担がより少ない。
【0071】
[その他]
実施例としては、文書ファイル形式としてXPS(XML Paper Specification)について説明を行ったが、他の文書ファイル形式、例えばOPC(Open Packaging Conventions)であっても良い。
【0072】
分割指示情報では、タグ中にパラメータ(snip=yes)として分割の指示を挿入したが、その他に分割指示を示すタグ(例えば<snip>)により分割を指示してもよい。
【0073】
分割は、フラグメント単位としたが、フラグメントの中途で分割を行い、分割されたフラグメントの後側は、次のフラグメントと結合して出力する形をとってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】XPS(XML Paper Specification)の木構造の概略図である。
【図2】PC(ファイル送信装置)と印刷装置(画像形成装置)の機能ブロック図である(実施例1)。
【図3】PC(ファイル送信装置)側での処理のフローチャートである(実施例1)。
【図4】印刷装置(画像形成装置)側での処理のフローチャートである(実施例1)。
【符号の説明】
【0075】
1.1 PC(Personal Computer)(ファイル送信装置)
1.1.1 XPS(XML Paper Specification)ファイル(文書ファイル)
1.1.2.1 XPS解析部(フラグメント構成情報取得部、フラグメント構成情報取得手段)
1.1.2.2 フラグメント構成情報生成伝達部(フラグメント構成情報伝達部、フラグメント構成情報伝達手段)
1.1.2.3 分割指示情報受信部(フラグメント構成情報伝達手段)
1.1.2.4 ファイル分割部(ファイル分割手段)
1.1.2.5 分割ファイル送信部(分割ファイル送受信手段)
1.2 印刷装置(ファイル受信装置、画像形成装置)
1.2.2 メモリ状況判断部(メモリ余裕状況取得部、メモリ状況取得手段)
1.2.3 分割指示部(フラグメント構成情報受信部、フラグメント構成情報伝達手段、分割指示手段)
1.2.5 出力処理部(分割ファイル受信部、印刷データ変換部、印刷部、分割ファイル送受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得部と、
前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達部と、
前記フラグメント構成情報に基づいて前記ファイル受信装置が生成した前記文書ファイルの分割指示情報を受信する分割指示情報受信部と、
前記分割指示情報に基づいて、分割単位であるフラグメントに前記文書ファイルを分割するファイル分割部と、
前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送信部と、を有する
ことを特徴とするファイル送信装置。
【請求項2】
請求項1記載のファイル送信装置であって、
前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式がXPS(XML Paper Specification)又はOPC(Open Packaging Conventions)である
ことを特徴とするファイル送信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のファイル送信装置であって、
前記フラグメント構成情報伝達部は、前記伝達するフラグメント構成情報をXML(Extensible Markup Language)で記述する
ことを特徴とするファイル送信装置。
【請求項4】
ファイル送信装置から送信されるXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を受信するフラグメント構成情報受信部と、
メモリの余裕状況を取得するメモリ余裕状況取得部と、
前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示部と、
前記ファイル送信装置において分割されたXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルを受信する分割ファイル受信部と、
前記分割された文書ファイルを印刷エンジン駆動データに変換する印刷データ変換部と、
前記印刷エンジン駆動データを印刷する印刷部と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置であって、
前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式がXPS(XML Paper Specification)又はOPC(Open Packaging Conventions)である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置であって、
前記分割指示部は、前記分割する指示をXML(Extensible Markup Language)で記述する
ことを特徴とするファイル画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを
ファイル送信装置が有するXML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報取得手段と、
前記フラグメント構成情報をファイル受信装置に伝達するフラグメント構成情報伝達手段と、
前記ファイル受信装置のメモリの余裕状況取得するメモリ状況取得手段と、
前記フラグメント構成情報と前記メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示手段と、
前記分割する指示に基づいて、前記文書ファイルをフラグメントに分割するファイル分割手段と、
前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信する分割ファイル送受信手段と、
して機能させるためのファイル通信プログラム。
【請求項8】
請求項7記載のファイル通信プログラムであって、
前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式がXPS(XML Paper Specification)又はOPC(Open Packaging Conventions)である
ことを特徴とするファイル通信プログラム。
【請求項9】
XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルをファイル送信装置からファイル受信装置に送信するファイル通信方法であって、
前記ファイル送信装置において、前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式の文書ファイルのフラグメントの構成物及びフラグメントのサイズの情報であるフラグメント構成情報を取得するフラグメント構成情報を生成して、前記ファイル受信装置に送信し、
前記ファイル受信装置において、メモリの余裕状況を取得して前記フラグメント構成情報と該メモリ余裕状況に基づいて、前記文書ファイルを処理可能な単位に分割する指示を行う分割指示情報を生成して前記ファイル送信装置に送信し、
前記ファイル送信装置において、前記分割する指示に基づいて前記文書ファイルを分割し、
前記文書ファイルまたは前記分割された文書ファイルを前記ファイル送信装置から前記ファイル受信装置に送信する
ことを特徴とするファイル通信方法。
【請求項10】
請求項9記載のファイル通信方法であって、
前記XML(Extensible Markup Language)拡張形式がXPS(XML Paper Specification)又はOPC(Open Packaging Conventions)である
ことを特徴とするファイル通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−305266(P2008−305266A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153228(P2007−153228)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】