説明

ファイル送信装置及びファイル受信装置

【課題】本発明は、単方向通信回線でデータ誤りやデータ欠損が発生しても、ダウンロードサービスを維持し易いファイル送信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ファイル送信装置1は、単方向通信回線Mを介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するものであり、フラグメント情報生成手段11と、メディアデータを分割した分割メディアデータを生成するフラグメント化手段13と、複製メタデータを生成するメタデータ複製手段15と、メタデータを先頭とし、分割メディアデータの前に複製メタデータを配置し、複製メタデータが一定間隔となるようにコンテナ化したファイルを生成するコンテナ化手段17と、生成したファイルをファイル受信装置に送信するファイル送信手段19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの再生に必要となるメタデータを複製してファイルに含めて、デジタル放送又はマルチキャスト通信である単方向通信回線を介してファイルを送信するダウンロードシステムにおけるファイル送信装置及びファイル受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPネットワーク等の双方向通信回線を介して、ソフトウェア、映像、音楽等のコンテンツをダウンロードする様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、デジタル放送の拡大等に伴って、BSデジタル放送やモバイル放送等の単方向通信回線を介した、コンテンツのダウンロードサービスが期待されている。
【特許文献1】特開2007−221234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、双方向通信回線では、伝送路上でデータ誤りやデータ欠損が発生することを想定しており、これらが発生しても、データを再送する手法が確立されており、ユーザは、コンテンツを完全な形でダウンロードすることができる。
【0004】
しかし、放送波等の単方向通信回線では、データ誤りやデータ欠損が発生したデータを再送することを想定しておらず、データ誤りやデータの欠損が含まれたまま、コンテンツがユーザに提供されてしまう可能性がある。例えば、BSデジタル放送でダウンロードサービスを提供する場合、降雨減衰によって、データの誤りやデータの欠損が広範囲に設置された大量の受信装置で発生することになる。また、モバイル放送でダウンロードサービスを提供する場合、移動受信することが主になるため、ユーザの生活スタイルに依存して受信状況、つまり、データの誤りやデータの欠損が発生する状況が異なることになる。
【0005】
例えば、ダウンロードするコンテンツは、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2 TS(Transport Stream)を含むマルチパート形式、MPファイル形式、3GPP形式又は3GPP2形式等、様々なファイル形式で符号化される。このため、ダウンロードするコンテンツは、音楽データや映像データといったメディアデータだけでなく、前記したファイル形式やコンテンツの著作権情報を格納したメタデータも含まれる。そして、従来のダウンロードサービスでは、図6に示すように、メディアデータとメタデータとを多重化したファイルを、ユーザに提供することが一般的である。
【0006】
ここで、メディアデータにデータ誤りやデータ欠損が発生しても、映像や音声の乱れを許容すれば、受信装置がメディアデータを再生することは可能であり、ダウンロードサービスを維持することができる。一方で、メタデータにデータ誤りやデータ欠損が発生した場合、メタデータを利用することができず、コンテンツのタイトルを表示できない、又は、コンテンツの再生に必要なライセンスを取得できず、ダウンロードサービスを維持することができない。つまり、ダウンロードサービスにおいて、データ誤りやデータ欠損が許容できるデータと、データ誤りやデータ欠損が許容できないデータとがある。
【0007】
そこで、本発明は、単方向通信回線でデータ誤りやデータ欠損が発生しても、ダウンロードサービスを維持し易いファイル送信装置及びファイル受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するため、請求項1に係るファイル送信装置は、デジタル放送又はマルチキャスト通信である単方向通信回線を介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するファイル送信装置と、ファイルを受信する1以上のファイル受信装置とを備えるダウンロードシステムにおけるファイル送信装置であって、分割制御情報生成手段と、メディアデータ分割手段と、メタデータ複製手段と、多重化手段と、ファイル送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、ファイル送信装置は、分割制御情報生成手段によって、メディアデータを予め設定したサイズに分割する分割数を算出すると共に、分割数を含む分割制御情報を生成する。また、ファイル送信装置は、メディアデータ分割手段によって、メディアデータが入力され、分割制御情報生成手段が生成した分割制御情報に基づいて、メディアデータを分割数に分割して分割メディアデータを生成する。
【0010】
また、ファイル送信装置は、メタデータ複製手段によって、メディアデータの再生に必要となるメタデータが入力され、メタデータに分割制御情報を付加すると共に、分割制御情報を付加したメタデータを複製して分割数と同数の複製メタデータを生成する。そして、ファイル送信装置は、多重化手段によって、メタデータを先頭とし、分割メディアデータの前に複製メタデータを配置して、複製メタデータが一定間隔となるように多重化してファイルを生成する。さらに、ファイル送信装置は、ファイル送信手段によって、多重化手段が生成したファイルをファイル受信装置に送信する。
【0011】
ここで、メディアデータは、例えば、1Mバイトから9Gバイトとサイズが大きい一方で、メタデータは、100Kバイト以下とサイズが小さい。この性質を考慮し、ファイル送信装置は、分割メディアデータ同士の間に各複製メタデータが一定間隔で含まれるファイルを生成し、このファイルをファイル受信装置に送信する。これによって、ファイル送信装置は、メタデータ及び全ての複製メタデータでデータ誤りやデータ欠損が発生する事態を限りなく低減できる。
【0012】
請求項2に係るファイル送信装置は、請求項1に記載のファイル送信装置において、メタデータ複製手段は、メタデータ及び複製メタデータに付加された分割制御情報に、ファイルにおける複製メタデータの位置を示す位置情報を含めることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、ファイル送信装置は、ファイル受信装置に、ファイルにおける複製データの位置を示す位置情報に基づいて、ファイルに含まれる複製メタデータを素早く読み出させる。
【0014】
また、前記した課題を解決するため、請求項3に係るファイル受信装置は、デジタル放送又はマルチキャスト通信である単方向通信回線を介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するファイル送信装置と、ファイルを受信する1以上のファイル受信装置とを備えるダウンロードシステムにおけるファイル受信装置であって、ファイル受信手段と、ファイル蓄積手段と、メタデータ欠損判定手段と、メタデータ修復手段と、メディアデータ再生手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、ファイル受信装置は、ファイル受信手段によって、メディアデータの再生に必要となるメタデータを先頭とし、メディアデータが分割された分割メディアデータの前にメタデータが複製された複製メタデータが配置されて、複製メタデータが一定間隔となるように多重化されたファイルを受信する。また、ファイル受信装置は、ファイル蓄積手段によって、ファイル受信手段が受信したファイルを蓄積する。そして、ファイル受信装置は、メタデータ欠損判定手段によって、ファイル蓄積手段が蓄積したファイルに含まれるメタデータが欠損しているか否かを判定する。
【0016】
また、ファイル受信装置は、メタデータ修復手段によって、メタデータが欠損していると判定された場合、ファイル蓄積手段が蓄積したファイルに含まれる複製メタデータを読み出して、複製メタデータが欠損しているか否かを判定すると共に、欠損していないと判定された複製メタデータで、ファイル蓄積手段が蓄積したファイルに含まれるメタデータを上書きする。さらに、ファイル受信装置は、メディアデータ再生手段によって、メタデータを参照し、分割メディアデータを再生する。
【0017】
ここで、メディアデータは、例えば、1Mバイトから9Gバイトとサイズが大きい一方で、メタデータは、100Kバイト以下とサイズが小さい。ファイル受信装置は、この性質を考慮して生成された、分割メディアデータ同士の間に複数の複製メタデータが一定間隔で含まれるファイルを受信する。これによって、ファイル受信装置は、メタデータ及び全ての複製メタデータでデータ誤りやデータ欠損が発生しない限り、メディアデータを再生することができる。
【0018】
請求項4に係るファイル受信装置は、請求項3に記載のファイル受信装置において、ファイル受信手段は、受信したファイルに含まれるメタデータ及び複製メタデータにおいて、ファイルにおける複製メタデータの位置を示す位置情報を含む分割制御情報が付加されており、メタデータ修復手段は、分割制御情報に含まれる位置情報に基づいて、ファイル蓄積手段が蓄積したファイルに含まれる複製メタデータを読み出すことを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、ファイル受信装置に、ファイルにおける複製データの位置を示す位置情報を参照し、ファイル蓄積手段に蓄積されたファイルに含まれる複製メタデータを素早く読み出すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、ファイル送信装置は、メタデータ及び全ての複製メタデータでデータ誤りやデータ欠損が発生する事態を限りなく低減できるため、ファイル受信装置がメディアデータを再生できないことが殆どなく、単方向通信回線でデータ誤りやデータ欠損が発生しても、ダウンロードサービスを維持し易くすることができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、ファイル送信装置は、ファイル受信装置に、ファイルにおける複製データの位置を示す位置情報に基づいて、ファイルに含まれる複製メタデータを素早く読み出させるため、ファイル受信装置によるメタデータの修復処理の速度が向上する。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、ファイル受信装置は、メタデータ及び全ての複製メタデータでデータ誤りやデータ欠損が発生しない限り、メディアデータを再生可能なため、単方向通信回線でデータ誤りやデータ欠損が発生しても、ダウンロードサービスを維持し易くすることができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、ファイル受信装置は、ファイルにおける複製データの位置を示す位置情報を参照し、ファイル蓄積手段に蓄積されたファイルに含まれる複製メタデータを素早く読み出すため、メタデータの修復処理の速度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する手段及び同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略した。
【0025】
[ファイル送信装置の構成]
図1を参照して、本発明の本実施形態に係るファイル送信装置の構成について説明する。図1は、本発明の本実施形態に係るファイル送信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ファイル送信装置1は、単方向通信回線Mを介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するものであり、フラグメント情報生成手段(分割制御情報生成手段)11と、フラグメント化手段(メディアデータ分割手段)13と、メタデータ複製手段15と、コンテナ化手段(多重化手段)17と、ファイル送信手段19とを備える。
【0026】
フラグメント情報生成手段(分割制御情報生成手段)11は、メディアデータを予め設定したサイズに分割する分割数を算出すると共に、この分割数を含むフラグメント情報(分割制御情報)を生成するものである。本実施形態では、フラグメント情報生成手段11は、例えば、メディアデータが3Gバイトであり、このサイズが1Gバイトに設定されていた場合、分割数を「3」と算出する。また、フラグメント情報生成手段11は、例えば、メディアデータが3Gバイトであり、このサイズが1Gバイトに設定されていた場合、分割数を「3」と算出する。
【0027】
フラグメント化手段(メディアデータ分割手段)13は、メディアデータが入力され、フラグメント情報生成手段11が生成したフラグメント情報に基づいて、メディアデータを分割数に分割して分割メディアデータを生成するものである。本実施形態では、フラグメント化手段13は、例えば、メディアデータが3Gバイトであり、分割数が「3」の場合、サイズが1Gバイトの分割メディアデータを3個生成する。また、フラグメント化手段13は、例えば、メディアデータが2.5Gバイトであり、分割数が「3」の場合、サイズが1Gバイトの分割メディアデータを2個生成すると共に、サイズが0.5Gバイトの分割メディアデータを1個生成する
【0028】
また、フラグメント化手段13は、生成した各分割メディアデータの先頭に、各分割メディアデータを一意に識別するフラグメントIDを付加する。そして、フラグメント化手段13は、フラグメントIDを付加した全分割メディアデータをコンテナ化手段17に出力する。なお、フラグメント化手段13が、請求項に記載のメディアデータ分割手段に相当する。
【0029】
メタデータ複製手段15は、メタデータが入力され、メタデータにフラグメント情報を付加するものである。そして、メタデータ複製手段15は、フラグメント情報を付加したメタデータを複製して分割数と同数の複製メタデータを生成し、メタデータ及び全複製メタデータをコンテナ化手段17に出力する。本実施形態では、メタデータ複製手段15は、メタデータ及び複製メタデータに付加されたフラグメント情報に、ファイルにおける複製メタデータの位置を示す位置情報を含める。つまり、メタデータ及び複製メタデータのフラグメント情報には、分割数と、分割メディアデータのサイズと、位置情報とが含まれる。
【0030】
コンテナ化手段(多重化手段)17は、メタデータ複製手段15が出力したメタデータを先頭とし、フラグメント化手段11が生成した分割メディアデータの前にメタデータ複製手段15が出力した複製メタデータを配置して、複製メタデータが一定間隔となるようにコンテナ化(多重化)してファイルを生成するものである。本実施形態では、コンテナ化手段17は、メタデータと、複製メタデータと、フラグメントIDと、分割メディアデータとを含めて、「ISO/IEC 14496−12 ISO based media file format」の形式でコンテナ化する。なお、ファイルのデータ構造は、後記する。
【0031】
ファイル送信手段19は、コンテナ化手段17が生成したファイルをファイル受信装置2(図4参照)に送信するものである。本実施形態では、ファイル送信手段19は、BSデジタル放送、モバイル放送等のデジタル放送である単方向通信回線Mを介して、「ISO/IEC13818−6 DSM−CC データカルーセル方式」でファイルを送信する。なお、本発明は、単方向通信回線Mとして、テジタル放送と同様の単方向な通信方式であるIPマルチキャスト通信(IPマルチキャスト放送)を用いることができる。
【0032】
なお、ファイル送信装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)で構成することができる。また、ファイル送信装置1は、BSデジタル放送又はモバイル放送を送信するためのアンテナ(不図示)を備えても良い。
【0033】
<ファイルのデータ構造>
以下、図2を参照して、本発明におけるファイルのデータ構造について説明する(適宜図1参照)。図2は、本発明におけるファイルのデータ構造を示す図であり、(a)は、ファイル全体のデータ構造を示す図であり、(b)は、ファイルに含まれるメタデータのデータ構造を示す図である。なお、図2(a)には、メディアデータを3個に分割した例を図示した(分割数=3)。
【0034】
具体的には、ファイルには、メタデータを先頭に、1個目の分割メディアデータであることを示すフラグメントIDと、1個目の複製メタデータ1と、1個目の分割メディアデータ1とが順に格納される。続いて、ファイルには、2個目の分割メディアデータであることを示すフラグメントIDと、2個目の複製メタデータ2と、2個目の分割メディアデータ2とが順に格納される。さらに、ファイルには、3個目の分割メディアデータであることを示すフラグメントIDと、3個目の複製メタデータ3と、3個目の分割メディアデータ3とが順に格納される。つまり、ファイルには、複製メタデータが一定間隔で配置されている。
【0035】
メタデータは、メディアデータの再生に必要となるものであり、図2(b)に示すように、メタデータ部と、フラグメント情報部とを有する。メタデータ部は、メタデータ複製手段15に入力されたメタデータである。例えば、メタデータ部には、コンテンツの形式(フォーマット)情報、コンテンツを一意に識別するコンテンツID、コンテンツの容量、コンテンツのタイトル情報及びコンテンツの著作権情報が含まれる。
また、フラグメント情報部は、メタデータ複製手段15がメタデータに付加したフラグメント情報である。例えば、フラグメント情報部には、分割数と、分割メディアデータのサイズと、位置情報とが含まれる。
【0036】
図2(a)に戻り、説明を続ける。
フラグメントID1〜3は、分割メディアデータ1〜3を一意に識別するものである。なお、フラグメントID1〜3は、後記する特殊再生に用いられる。
複製メタデータ1〜3は、メタデータを複製したものであり、図2(b)に示すメタデータと同じデータ構造を有する。
分割メディアデータ1〜3は、メディアデータが前記した分割数で分割されたものである。
【0037】
[ファイル送信装置の動作]
図3を参照して、図1のファイル送信装置の動作について説明する(適宜図1参照)。図3は、図1のファイル送信装置の動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、ファイル送信装置1は、フラグメント情報生成手段11によって、メディアデータを予め設定したサイズに分割する分割数を算出すると共に、分割数を含むフラグメント情報を生成する(ステップS11:フラグメント情報生成ステップ)。
【0039】
ステップS11の処理に続いて、ファイル送信装置1は、フラグメント化手段13によって、メディアデータが入力され、フラグメント情報生成手段11が生成したフラグメント情報に基づいて、メディアデータを分割数に分割して分割メディアデータを生成する(ステップS12:フラグメント化ステップ)。
【0040】
ステップS12の処理に続いて、ファイル送信装置1は、メタデータ複製手段15によって、メタデータが入力され、メタデータにフラグメント情報を付加すると共に、フラグメント情報を付加したメタデータを複製して分割数と同数の複製メタデータを生成する(ステップS13:メタデータ複製ステップ)
【0041】
ステップS13の処理に続いて、ファイル送信装置1は、コンテナ化手段17によって、メタデータ複製手段15が出力したメタデータを先頭とし、フラグメント化手段11が生成した分割メディアデータの前にメタデータ複製手段15が出力した複製メタデータを配置して、複製メタデータが一定間隔となるようにコンテナ化してファイルを生成する(ステップS14:コンテナ化ステップ)。そして、ファイル送信装置1は、ファイル送信手段19によって、コンテナ化手段17が生成したファイルをファイル受信装置に送信する(ステップS15:ファイル送信ステップ)。
【0042】
[ファイル受信装置の構成]
図4を参照して、本発明の本実施形態に係るファイル受信装置の構成について説明する。図4は、本発明の本実施形態に係るファイル受信装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、ファイル受信装置2は、単方向通信回線Mを介して、ファイルを受信するものであり、ファイル受信手段21と、ファイル蓄積手段22と、メタデータチェック手段(メタデータ欠損判定手段)23と、メタデータ修復手段24と、メディアデータ再生手段25と、を備える。
【0043】
ファイル受信手段21は、単方向通信回線Mを介して、メタデータを先頭とし、分割メディアデータの前に複製メタデータが配置されて、複製メタデータが一定間隔となるように多重化されたファイルを受信するものである。本実施形態では、ファイル受信手段21は、図2に示すようなデータ構造のファイルを受信する。
【0044】
ファイル蓄積手段22は、ファイル受信手段21が受信したファイルを蓄積するものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やRAM(Random Access Memory)である。ここで、例えば、降雨減衰によって、受信したファイルのメタデータが欠損している場合、メタデータが欠損した状態でファイル蓄積手段22に蓄積される。
【0045】
メタデータチェック手段(メタデータチェック欠損判定手段)23は、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれるメタデータが欠損しているか否かを判定するものである。本実施形態では、メタデータチェック手段23は、ファイル蓄積手段22にファイルが蓄積されたとき、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれるメタデータを読み込み、メタデータが読み込みできなかった場合にメタデータが欠損していると判定し、メタデータが読み込めた場合にはメタデータが欠損していないと判定する。なお、メタデータチェック手段23がメタデータをチェックするタイミングは、ファイル蓄積手段22にファイルが蓄積されたときに限定されない。例えば、メタデータチェック手段23は、メディアデータを再生するたびにメタデータをチェックしても良い。
【0046】
そして、メタデータチェック手段23は、メタデータが欠損していると判定した場合、メタデータを複製メタデータで上書きする上書き指令を、後記するメタデータ上書手段24aに出力する。一方、メタデータチェック手段23は、メタデータが欠損していない判定した場合、メタデータの読み込み指令を、後記するメタデータ読込手段24bに出力する。なお、メタデータチェック手段23が、請求項に記載のメタデータチェック欠損判定手段に相当する。
【0047】
メタデータ修復手段24は、本実施形態では、メタデータ上書手段24aと、メタデータ読込手段24bとを備える。
メタデータ上書手段24aは、メタデータチェック手段23からの上書き指令に応じて、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれる複製メタデータを読み出して、複製メタデータが欠損しているか否かを判定するものである。メタデータ上書手段24aは、フラグメント情報に含まれる位置情報に基づいて、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれる複製メタデータをファイルの先頭側から順に読み込む(例えば、図2の複製メタデータ1〜3を順に読み込み)。そして、メタデータ上書手段24aは、全ての複製メタデータが読み込みできなかった場合に複製メタデータが欠損していると判定し、何れか1個のメタデータが読み込めた場合には複製メタデータが欠損していないと判定する。
【0048】
そして、メタデータ上書手段24aは、複製メタデータが欠損していないと判定した場合、読み込みできた複製メタデータでメタデータを上書きし、メタデータの読み込み指令を後記するメタデータ読込手段24bに出力する。一方、メタデータ上書手段24aは、複製メタデータが欠損していると判定した場合、例えば、メディアデータの再生処理を中断する。このように、メタデータ上書手段24aは、位置情報に基づいて、複製メタデータを素早く読み出すため、メタデータの修復処理の速度が向上する。
【0049】
メタデータ読込手段24bは、メタデータチェック手段23又はメタデータ上書手段24aからの読み込み指令に応じて、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれるメタデータを読み出すものである。そして、メタデータ読込手段24bは、読み出したメタデータを後記するメディアデータ再生手段25に出力する。
【0050】
メディアデータ再生手段25は、メタデータ読込手段24bが出力するメタデータを参照し、分割メディアデータを再生するものである。本実施形態では、メディアデータ再生手段25は、ファイルの先頭から順に、分割メディアデータを再生する。ここで、図2(a)に示すように、分割メディアデータ同士の間に、フラグメントIDと複製メタデータとが挿入されているため、メディアデータ再生手段25は、フラグメントIDと複製メタデータとを読み飛ばして再生する。さらに、メディアデータ再生手段25は、フラグメントIDが付加されている場合、フラグメントIDを参照して、ファイルにおける各分割メディアデータの位置を求めておき、各分割メディアデータを素早く読み出して再生する特殊再生を行うことができる。
【0051】
なお、ファイル受信装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)で構成することができる。また、ファイル受信装置2は、BSデジタル放送又はモバイル放送を受信するためのアンテナ(不図示)を備えても良い。
【0052】
[ファイル受信装置の動作]
図5を参照して、図4のファイル受信装置の動作について説明する(適宜図4参照)。図5は、図4のファイル受信装置の動作を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ファイル受信装置2は、ファイル受信手段21によって、単方向通信回線Mを介して、メタデータを先頭とし、分割メディアデータの前に複製メタデータが配置され、複製メタデータが一定間隔となるように多重化されたファイルを受信する(ステップS21:ファイル受信ステップ)。そして、ファイル受信装置2は、ファイル蓄積手段22によって、ファイル受信手段21が受信したファイルを蓄積する(ステップS22:ファイル蓄積ステップ)。
【0054】
ステップS22の処理に続いて、ファイル受信装置2は、メタデータチェック手段23によって、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれるメタデータが欠損しているか否かを判定する(ステップS23:メタデータチェックステップ)。
【0055】
ステップS23の処理に続いて、ファイル受信装置2は、メタデータ上書手段24aによって、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれる複製メタデータを読み出して、複製メタデータが欠損しているか否かを判定する。そして、ファイル受信装置2は、メタデータ上書手段24aによって、複製メタデータが欠損していない判定した場合、読み込みできた複製メタデータでメタデータを上書きする(ステップS24:メタデータ修復ステップ)。
【0056】
ステップS24の処理に続いて、ファイル受信装置2は、メタデータ読込手段24bによって、ファイル蓄積手段22が蓄積したファイルに含まれるメタデータを読み出し、メディアデータ再生手段25によって、メタデータ読込手段24bが出力するメタデータを参照し、分割メディアデータを再生する(ステップS25:コンテンツ再生ステップ)。
【0057】
本実施形態によれば、メタデータ及び全ての複製メタデータでデータ誤りやデータ欠損が発生しない限り、メディアデータを再生可能なため、単方向通信回線でデータ誤りやデータ欠損が発生しても、ダウンロードサービスを維持し易くすることができる。特に、本発明は、メディアデータのサイズが大きい映像をダウンロードする場合に効果的である。
【0058】
<変形例>
なお、本実施形態では、ファイル受信装置2は、図2(a)に示すデータ構造でファイルを蓄積することとして説明したが、これに限定されない。例えば、メタデータチェック手段23がメタデータを欠損していないと判定した場合、又は、メタデータ上書手段24aがメタデータを上書きした場合、以下の処理を行う。メディアデータ再生手段25は、ファイル蓄積手段22が蓄積するファイルからフラグメントIDと複製メタデータとを除去して分割メディアデータを連結させ、図6に示すように、メタデータと1個のメディアデータとを含むファイルとする。そして、メディアデータ再生手段25は、この1個のメディアデータを再生する。これによって、ファイル受信装置2は、ファイル蓄積手段22の容量を節約すると共に、メディアデータを再生するときにフラグメントIDと複製メタデータとを読み飛ばす必要がなくなり、再生処理が簡易になる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の本実施形態に係るファイル送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明におけるファイルのデータ構造を示す図であり、(a)は、ファイル全体のデータ構造を示す図であり、(b)は、ファイルに含まれるメタデータのデータ構造を示す図である。
【図3】図1のファイル送信装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の本実施形態に係るファイル受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図4のファイル受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】従来のメディアデータを含むファイルのデータ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ファイル送信装置
11 フラグメント情報生成手段(分割制御情報生成手段)
13 フラグメント化手段(メディアデータ分割手段)
15 メタデータ複製手段
17 コンテナ化手段(多重化手段)
19 ファイル送信手段
2 ファイル受信装置
21 ファイル受信手段
22 ファイル蓄積手段
23 メタデータチェック手段(メタデータ欠損判定手段)
24 メタデータ修復手段
24a メタデータ上書手段
24b メタデータ読込手段
25 メディアデータ再生手段
M 単方向通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送又はマルチキャスト通信である単方向通信回線を介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するファイル送信装置と、当該ファイルを受信する1以上のファイル受信装置とを備えるダウンロードシステムにおけるファイル送信装置であって、
前記メディアデータを予め設定したサイズに分割する分割数を算出すると共に、当該分割数を含む分割制御情報を生成する分割制御情報生成手段と、
前記メディアデータが入力され、前記分割制御情報生成手段が生成した分割制御情報に基づいて、当該メディアデータを前記分割数に分割して前記分割メディアデータを生成するメディアデータ分割手段と、
前記メディアデータの再生に必要となるメタデータが入力され、当該メタデータに前記分割制御情報を付加すると共に、前記分割制御情報を付加した前記メタデータを複製して前記分割数と同数の複製メタデータを生成するメタデータ複製手段と、
前記メタデータを先頭とし、前記分割メディアデータの前に前記複製メタデータを配置して、当該複製メタデータが一定間隔となるように多重化して前記ファイルを生成する多重化手段と、
前記多重化手段が生成したファイルを前記ファイル受信装置に送信するファイル送信手段と、
を備えることを特徴とするファイル送信装置。
【請求項2】
前記メタデータ複製手段は、前記メタデータ及び前記複製メタデータに付加された前記分割制御情報に、前記ファイルにおける前記複製メタデータの位置を示す位置情報を含めることを特徴とする請求項1に記載のファイル送信装置。
【請求項3】
デジタル放送又はマルチキャスト通信である単方向通信回線を介して、コンテンツの内容となるメディアデータを含むファイルを送信するファイル送信装置と、当該ファイルを受信する1以上のファイル受信装置とを備えるダウンロードシステムにおけるファイル受信装置であって、
前記メディアデータの再生に必要となるメタデータを先頭とし、前記メディアデータが分割された分割メディアデータの前に前記メタデータが複製された複製メタデータが配置されて、当該複製メタデータが一定間隔となるように多重化された前記ファイルを受信するファイル受信手段と、
前記ファイル受信手段が受信した前記ファイルを蓄積するファイル蓄積手段と、
前記ファイル蓄積手段が蓄積した前記ファイルに含まれる前記メタデータが欠損しているか否かを判定するメタデータ欠損判定手段と、
前記メタデータが欠損していると判定された場合、前記ファイル蓄積手段が蓄積した前記ファイルに含まれる前記複製メタデータを読み出して、当該複製メタデータが欠損しているか否かを判定すると共に、欠損していないと判定された前記複製メタデータで、前記ファイル蓄積手段が蓄積した前記ファイルに含まれる前記メタデータを上書きするメタデータ修復手段と、
前記メタデータを参照し、前記分割メディアデータを再生するメディアデータ再生手段と、
を備えることを特徴とするファイル受信装置。
【請求項4】
前記ファイル受信手段は、受信した前記ファイルに含まれる前記メタデータ及び前記複製メタデータにおいて、前記ファイルにおける前記複製メタデータの位置を示す位置情報を含む分割制御情報が付加されており、
前記メタデータ修復手段は、前記分割制御情報に含まれる前記位置情報に基づいて、前記ファイル蓄積手段が蓄積した前記ファイルに含まれる前記複製メタデータを読み出すことを特徴とする請求項3に記載のファイル受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−153951(P2010−153951A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326753(P2008−326753)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】