説明

ファンフィルタユニット

【課題】フィルタで浄化されかつイオンを含む浄化空気を、室内に容易に拡散させることを可能にする。
【解決手段】ファンフィルタユニット10は、ケーシング11と、ケーシング11内部に配置された、送風機12、高圧損フィルタ13、低圧損フィルタ14A〜14D、及びイオン発生器15A〜15Dを備える。低圧損フィルタ14A〜14D及び高圧損フィルタ13は、送風機12から送られた空気を通過させて、それぞれの下流側に空気を送り出す。イオン発生器15A〜15Dそれぞれを、低圧損フィルタ14A〜14Dそれぞれの下流側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生器を搭載したファンフィルタユニットに関し、特に、食品工場、病院等のクリーンルームで使用されるファンフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場や病院等のクリーンルームでは、異物、細菌、ウイルス等が食品や患者に曝露されることを避けるために、HEPAフィルタを通した清浄空気が室内に供給されるのが一般的である。細菌やウイルスは、粉塵に付着して浮遊していることが多く、そのため、HEPAフィルタは、粉塵とともに細菌等を除去することが可能である。しかし、HEPAフィルタを通過しただけの空気に殺菌機能はなく、フィルタ下流側に一旦持ち込まれた細菌等は、そのまま室内に留まることになる。
【0003】
そこで、従来、特許文献1に記載されるように、塵埃を除去するためのエアフィルタと、細菌等の分解除去を図るためのイオン発生器とが組み合わされた空気清浄機が開発されている。イオン発生器は、放電電極間に放電電圧以上の電圧を印加させてイオンを発生させ、そのイオンによって細菌等を分解除去する。イオン発生器は、発生させたイオンがHEPAフィルタによって消失されることを防止するために、通常エアフィルタの下流側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3680121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した空気清浄機では、放電電極間に局所的に発生したイオンを室内に押し流すために、イオン発生器に比較的早い風速の空気を通過させる必要がある。そのため、例えば、フィルタを通過する空気の風速そのものを高めるか、フィルタから出た空気をイオン発生器を通過する前に一旦絞る必要がある。
【0006】
しかし、イオン発生器を高い風速で通過した空気は、室内の局所的な部分に向けられことになり、イオンを拡散させる装置等がなければ、室内全体にイオンを拡散させることが困難になる。また、イオンを拡散させるために、エアフィルタの下流にファン等が設けられると、そのファンが発塵源となるおそれもある。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、装置の構造を複雑にすることなく、イオンを含む清浄空気を室内の広い範囲に拡散することが可能なファンフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るファンフィルタユニットは、送風機と、ケーシングと、ケーシング内部に配置され、送風機から送られた空気を通過させて、それぞれの下流側に空気を送り出す低圧損フィルタ及び高圧損フィルタと、低圧損フィルタの下流側に配置されたイオン発生器とを備える。本発明では、低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの空気送り出し口が、互いに近接するように配置されるとともに、低圧損フィルタが、高圧損フィルタと同じ圧力損失になろうとするため、低圧損フィルタを通る通過風速が、高圧損フィルタよりも早くなることを特徴とする。なお本明細書において、低圧損フィルタ、高圧損フィルタとは、それぞれ、同一の風速においての圧力損失が、低い、高いフィルタを意味する。
【0009】
低圧損フィルタの空気送り出し口の合計開口面積は、高圧損フィルタの空気送り出し口の合計開口面積より小さいことが好ましく、また低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの空気送り出し口は、同一平面上に配置されていたほうが良い。イオン発生器は、少なくともマイナスイオンを発生させることが好ましい。
【0010】
低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの一方のフィルタが少なくとも2つ以上設けられたほうが良い。この場合、他方のフィルタが、例えば2つの一方のフィルタの間に配置される。また、2つ以上の一方のフィルタが、他方のフィルタを取り巻くように配置されても良い。他方のフィルタは、例えば送風機に対向するように配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、ファンフィルタユニットに、圧力損失の異なる2つ以上のフィルタを組み込むことにより、フィルタで浄化されかつイオンを含む浄化空気を、室内に容易に拡散させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態のファンフィルタユニットを示す斜視図である。
【図2】II−II線上に沿う矢視断面図である。
【図3】第1の実施形態のファンフィルタユニットを下方から見た平面図である。
【図4】低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの性能を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態のファンフィルタユニットを下方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係るファンフィルタユニットを示す。以下、図1〜図3を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1に示すように、ファンフィルタユニット10は、ケーシング11と、ケーシング11内部に配置された、送風機12、高圧損フィルタ13、低圧損フィルタ14A〜14D、及びイオン発生器15A〜15Dを備える。ファンフィルタユニット10は、例えば、クリーンルーム等の室内に、清浄されかつマイナスイオンを含む空気を送り出すためのものであって、通常クリーンルーム等の天井面に設置される。
【0015】
ケーシング11は、下方が開口された四角形箱形であって、方形等を成す四角形の底面11Aと、側面11B〜11Eを備える。ケーシング11の内部には、四角形の仕切り板16が設けられる。仕切り板16は、その四角形の各辺を構成する各外縁部それぞれが、側面11B〜11Eそれぞれの内周面に連設する。すなわち、仕切り板16は、外縁全周がケーシング11の内周面に連設し、仕切り板16と底面11Aとの間に空間19を形成する。
【0016】
送風機12は、本体部21と、本体部21を取り囲むように設けられた回転部22と、本体部21と回転部22とを接続する接続部23とを備える。本体部21は、ケーシングの底面11Aに取り付けられ、その内部に不図示のモータを備える。回転部22は、放射状に配置された湾曲板状の複数の羽根25を有する。
【0017】
ケーシング11の底面11Aには、送風機12に対向する位置に、空気取り出し口11Fが設けられる。送風機12は、モータの駆動力によって、回転部22(すなわち、羽根25)を回転させて、空気取り出し口11Fから空間19内部に空気を取り込み、空気を放射状に拡散させる。これにより、空間19内部は、130〜140Pa程度の一定の静圧に維持される。
【0018】
高圧損フィルタ13及び低圧損フィルタ14A〜14Dは、送風機12の下側、すなわち、送風機12の下流側に配置される。フィルタ13、14A〜14Dは、仕切り板16の上面に取り付けられ、これらは同一平面上に配置される。
【0019】
高圧損フィルタ13は、丸型フィルタであって、環状のフィルタ枠31と、フィルタ枠31内部に収納された濾材32とを備える。同様に、各低圧損フィルタ14A〜14Dは、丸型フィルタであって、それぞれ環状のフィルタ枠41と、フィルタ枠41内部に収納された濾材42とを備える。各濾材32、42は、シート状濾材がひだ状に折られたものであって、円盤形状を呈し、その外周面がフィルタ枠31、41の内周面に接着される。
【0020】
本実施形態では、高圧損フィルタ13の濾材32としてガラス濾材が使用されるとともに、低圧損フィルタ14A〜14Dの濾材42としてPTFE濾材が使用される。PTFE濾材は、ガラス濾材よりもそのシート厚さが薄く、低圧損フィルタ14A〜14Dの同一風速下の圧力損失を、高圧損フィルタ13よりも小さくする。なお、フィルタ13、14A〜14DはHEPAフィルタであるが、微粒子除去用フィルタであれば、中性能フィルタ等のHEPAフィルタ以外のフィルタであっても良い。
【0021】
各フィルタ13、14A〜14Dは、フィルタ枠31、41の一方の開口部31A、41Aが上方を向き、他方の開口部31B、41Bが下方を向くように配置される。したがって、送風機12から送られた空気は、一方の開口部31A、41Aからフィルタ内部に取り入れられ、濾材32、42を通過して他方の開口部31B、41Bそれぞれから下側に送り出される。このとき、空気中の微粒粉塵等は、濾材32、42によって除去される。
【0022】
高圧損フィルタ13は、仕切り板16の中央に取り付けられ、ケーシング11の中央において、送風機12に対向する。低圧損フィルタ14A〜14Dは、それぞれケーシング11の4隅それぞれに配置され、高圧損フィルタ13を取り囲む。フィルタ14A〜14Dは、高圧損フィルタ13の中央位置を中心として回転対称に配置される。また、各低圧損フィルタ14A〜14Dは、高圧損フィルタ13に隣接する。
【0023】
高圧損フィルタ13は、その開口部31Bの面積(開口面積)がケーシング11の開口面積の過半を占めるような大きさを有している一方、低圧損フィルタ14A〜14Dは、ケーシング11の各隅部に収まる程度の大きさである。これにより、低圧損フィルタ14A〜14Dの開口部41Bの面積(開口面積)の合計は、高圧損フィルタ13の開口部31Bの開口面積より小さくなる。
【0024】
仕切り板16には、図3に示すように、高圧損フィルタ13、及び低圧損フィルタ14A〜14Dそれぞれに一致した位置に大孔17、及び小孔18A〜18Dそれぞれが設けられる。大孔17、小孔18A〜18Dそれぞれは、フィルタ13、14A〜14Dの各開口部31B、41Bそれぞれの直径よりより僅かに直径が大きい丸孔である。これにより、大孔17及び小孔18A〜18Dは、フィルタ13、14A〜14Dと同様の形状で、かつ同様の位置に配置される。すなわち、小孔18A〜18Dは、大孔17を取り巻き、かつ大孔17に隣接するように配置される。また、小孔18A〜18Dの開口面積の合計は、大孔17の開口面積より小さくなる。
【0025】
各フィルタ13、14A〜14Dそれぞれは、各孔17、18A〜18Dを上側から塞ぐように配置されており、フィルタ13、14A〜14Dそれぞれの開口部31B、41Bは各孔17、18A〜18Dに対向する。そのため、フィルタの開口部31B、41Bから送り出された空気は、さらに孔17、18A〜18Dを通って、ファンフィルタユニット10の下流側に送り出される。すなわち、本実施形態では、互いに隣り合うように配置され、かつ同一平面に配置された大孔17と小孔18A〜18Dが、高圧損フィルタ13及び低圧損フィルタ14A〜14Dの空気送り出し口を構成する。これら空気送り出し口から送り出された空気は、後述するように下流側で混ざり合うことになる。
【0026】
なお、各フィルタ枠31、41の下面には、不図示のガスケットが取り付けられる。フィルタ13、14A〜14Dは、ガスケットを介して仕切り板16に取り付けられ、これにより、フィルタ13、14A〜14Dと仕切り板16の隙間から、濾材32、42を通過しない空気が漏れることが防止される。
【0027】
各イオン発生器15A〜15Dは、低圧損フィルタ14A〜14Dそれぞれに一致した位置に配置され、かつ仕切り板16の下面に取り付けられる。すなわち、各イオン発生器15A〜15Dは、フィルタ14A〜14Dの下流側である各小孔18A〜18Dの下側に配置される。
【0028】
各イオン発生器15A〜15Dは、一対の対向するベース51A、51Bと、これらベース51A、51Bを接続して保持する一対の保持部52A、52Bを備える。ベース51A、51Bの互いに対向する面には、不図示の一対の放電電極が1組又は複数組設けられる。各放電電極間に放電電圧以上の直流電圧が印加されると、コロナ放電が生じ、放電電極付近にマイナス電荷が生じる。マイナス電荷は、空気中の酸素や水分子に作用し、マイナスイオンが発生する。すなわち、ベース51A、51B間には、多量のマイナスイオンが発生する。
【0029】
図3に示すように、一対のベース51A、51Bは、下方側から見ると、低圧損フィルタ14A〜14Dの開口部41Bないし小孔18A〜18Dを挟み込むように配置される。したがって、低圧損フィルタ14A〜14Dの開口部41Bからの空気は、一対のベース51A、51Bの間を通って下流側に送り出される。これにより、ベース51A、51B間のマイナスイオンは、低圧損フィルタ14A〜14Dからの空気によって下流側に押し流される。
【0030】
ここで、低損失フィルタ14A〜14Dは、所定風速における圧力損失が相対的に小さく、高圧損フィルタ13と同じ圧力損失になるために、鉛直下方に送り出す空気の風速を相対的に早くする。風速は、マイナスイオンを十分に押し流せるように、例えば1.2m/秒以上であることが好ましい。このように風速の早い空気は、ベース51A、51B間のマイナスイオンを効率的に下流側に押し流すが、比較的直線的に、すなわち横方向(水平方向)に広がらずに下方に送り出される。
【0031】
一方、高圧損フィルタ13は、所定風速における圧力損失が相対的に大きく、相対的に風速の遅い空気を鉛直下方に送り出すことになる。風速は、例えば0.5m/秒以下である。このように風速が遅い空気は、横方向(水平方向)に広がりつつ、鉛直下方に送り出される。
【0032】
本実施形態において、高圧損フィルタ13の空気送り出し口(すなわち、大孔17)は、各低圧損フィルタ14A〜14Dの空気送り出し口(すなわち、小孔18A〜18D)に隣り合うことにより近接している。そのため、横方向に広げられた高圧損フィルタ13からの空気は、イオン発生器15A〜15Dを通過した低圧損フィルタ14A〜14Dからの空気と混ざり合いながら、下方に進むことになる。これにより、低圧損フィルタ14A〜14Dから送り出された空気、すなわちマイナスイオンは、高圧損フィルタ13からの空気とともに、横方向に拡散しつつ下方向に進み、室内全体にマイナスイオンが行き渡ることになる。
【0033】
また、イオンを拡散させるための送風機を別途設けなくても、一台の送風機でイオンを容易に拡散させることが可能であるため、簡単な構成で目的を達成でき、かつ送風機に起因する発塵を室内で生じさせることもない。
【0034】
さらに、本実施形態では、フィルタ13、14A〜14Dからの風は、混ざり合って室内に流されるため、全体として風速が弱められ、患者等を高い風速の風に曝露させることもない。特に、本実施形態では、高圧損フィルタ13(大孔17)の合計開口面積が、低圧損フィルタ14A〜14D(小孔18A〜18D)の合計開口面積よりも大きいため、ファンフィルタユニット10からの風は、高圧損フィルタ13からの風が支配的となる。そのため、ユニット10からの風は、風速が十分に弱く、かつマイナスイオンを十分に拡散できるものである。
【0035】
図4は、本実施形態で使用される低圧損フィルタと、高圧損フィルタの性能を示すグラフである。図4のグラフは、風速に対する未使用フィルタの圧力損失(初期圧力損失)を示すグラフである。図4から明らかなように、低圧損フィルタは、風速増加に対する初期圧力損失の増加率が、高圧損フィルタより小さくなっており、かつ高圧損フィルタよりも同一風速における圧力損失が小さくなっていることが理解できる。そして例えば、静圧が130〜140Pa程度の場合、高圧損フィルタは風速0.45m/秒で、低圧損フィルタは風速1.2m/秒程度で空気を送り出すことになる。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの数及び形状、並びにこれらの配置等が第1の実施形態と相違する。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を説明する。
【0037】
本実施形態に係るファンフィルタユニット10は、開口面積が相対的に大きい2つの高圧損フィルタ63A、63Bと、開口面積が相対的に小さい1つの低圧損フィルタ64を備える。高圧損フィルタ63A、63Bは、矩形フィルタであって、矩形の四角枠形のフィルタ枠71と、フィルタ枠71内部の薄型四角柱の濾材72とを備える。同様に、低圧損フィルタ64は、矩形フィルタであって、矩形の四角枠形のフィルタ枠81と、フィルタ枠81内部に収納された薄型四角柱の濾材82とを備える。これら矩形のフィルタ63A、63B、64の長手方向は、互いに対向する側面11C、11Eに垂直である。
【0038】
低圧損フィルタ64は、仕切り板16、すなわちケーシング11の中央に配置され、送風機12に対向して配置される。高圧損フィルタ63A、63Bは、低圧損フィルタ64を中心に左右に対称的に配置される。高圧損フィルタ63A、63Bは、下側から見ると、ケーシング11の左半分及び右半分の殆どを占めるとともに、それらの間に低圧損フィルタ64が挟み込まれて配置される。
【0039】
仕切り板16の大孔87A、87B及び小孔88それぞれは、第1の実施形態と同様に、フィルタ63A、63B、64に対応して形成される。したがって、孔87A、87B、88は、それぞれ矩形を呈し、小孔88は、大孔87A、87Bの間に挟まれるように配置される。
【0040】
本実施形態でも、高圧損フィルタ63A、63B(大孔87A、87B)の合計開口面積は、低圧損フィルタ64(小孔88)の開口面積よりも大きくなる。また、イオン発生器65は、低圧損フィルタ64に対応して1個だけ設けられ、低圧損フィルタ64(小孔88)に一致した位置に配置される。
【0041】
第1の実施形態と同様に、低圧損フィルタ64は、風速の相対的に早い空気を送り出し、その空気によってイオン発生器65で発生したイオンが下流側に押し流される。一方、高圧損フィルタ63A、64Bは、風速の相対的に遅い空気を送り出し、その空気によってイオンが室内全体に拡散される。したがって、本実施形態でも、フィルタで浄化され、かつイオンを含む浄化空気が、室内全体に行き渡ることになる。
【0042】
上記各実施形態では、低圧損フィルタ及び高圧損フィルタは、仕切り板16の上面に取り付けられたが、仕切り板16の下面に取り付けられても良い。この場合、各フィルタの下側の開口部が、フィルタからの空気を下流側に送り出す空気送り出し口を構成する。
【0043】
また、上記各実施形態では、濾材の材質を異ならせることにより、同一風速における低圧損フィルタの圧力損失を高圧損フィルタより小さくしたが、別の方法でこれらフィルタの圧力損失を異ならせても良い。例えば、低圧損フィルタの濾材のひだ山の高さを高くしたり、単位幅当たりのひだ数を多くしたりして、低圧損フィルタの単位開口面積当たりの濾材の有効面積を、高圧損フィルタより大きくし、同一風速における低圧損フィルタの圧力損失を高圧損フィルタよりも小さくしても良い。
【0044】
さらに、上記各実施形態では、イオン発生器は、例えば特許第3680121号公報に記載されるように、放電電極間に交流電圧が作用されることにより、マイナスイオンと、プラスイオンを発生させても良い。
【0045】
なお、第1の実施形態では、低圧損フィルタは、4つ設けられたが、1つ以上であればいくつでも良い。例えば、フィルタ14B、14Dが省略され、高圧損フィルタ13を間に挟み込むように配置される2つの低圧損フィルタ14A、14Cのみが設けられても良い。また、高圧損フィルタが複数設けられていても良い。
【0046】
同様に、第2の実施形態でも、高圧損フィルタは2つ設けられたが、1つ以上であればいくつでも良い。例えば、低圧損フィルタを取り巻くように配置された4つの高圧損フィルタが設けられても良い。また、低圧損フィルタが複数設けられていても良い。勿論、第1及び第2の実施形態において、高圧損フィルタや低圧損フィルタの形状は、丸型や矩形に限定されず、いかなる形状であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
10 ファンフィルタユニット
11 ケーシング
12 送風機
13、63A、63B 高圧損フィルタ
14A〜14D、64 低圧損フィルタ
15A〜15D、65 イオン発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、ケーシングと、前記ケーシング内部に配置され、前記送風機から送られた空気を通過させて、それぞれの下流側に空気を送り出す低圧損フィルタ及び高圧損フィルタと、前記低圧損フィルタの下流側に配置されたイオン発生器とを備え、
前記低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの空気送り出し口は、互いに近接するように配置されるとともに、前記低圧損フィルタを通る通過風速が、前記高圧損フィルタよりも早くなることを特徴とするファンフィルタユニット。
【請求項2】
前記低圧損フィルタの空気送り出し口の合計開口面積は、前記高圧損フィルタの空気送り出し口の合計開口面積より小さいことを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。
【請求項3】
前記低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの空気送り出し口は、同一平面上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。
【請求項4】
前記低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの一方のフィルタが少なくとも2つ設けられ、他方のフィルタが、2つの一方のフィルタの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。
【請求項5】
前記低圧損フィルタ及び高圧損フィルタの一方のフィルタが複数設けられ、それら複数のフィルタが、他方のフィルタを取り巻くように配置されることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。
【請求項6】
前記他方のフィルタが、前記送風機に対向するように配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載のファンフィルタユニット。
【請求項7】
前記イオン発生器は、少なくともマイナスイオンを発生させることを特徴とする請求項1に記載のファンフィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−200798(P2011−200798A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70696(P2010−70696)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】