説明

ファンフォールド紙収納箱

【課題】 本発明は、ファンフォールド紙の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるファンフォールド紙収納箱を提供することを課題とする。
【解決手段】 ファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角の略1/2の角度で逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサ12を収納箱11の底面に設ける。また、ファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角の逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサ13に、スペーサ13の最上位部分から収納箱11の一側面に沿って上部に延出した把持片14を設け、スペーサ13における傾斜面をファンフォールド紙5の傾斜角の略2/3の角度にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱に関し、特に水平面に載置すると堆積量の増加に伴って一方向に傾斜した状態になるファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、ファンフォールド紙の積載状況を説明するための説明図である。
近年、商品の物流管理等に用いられることが多くなってきているRFID1は、小型化しやすく小さな取り付けスペースにも対応できるため、商品等に貼付するラベル2に内蔵させて用いられることが多い。
【0003】
RFID1が内蔵されたラベル2に対してプリンタで印字を施す場合には、RFID1が内蔵されたラベル2は、帯状台紙3に間隔をおいて仮着されたラベル連続体4としてプリンタに供給されるのが一般的であり、ラベル連続体4をロール状に巻き回したロール紙やジグザグ状に折り畳んで積み上げたファンフォールド紙5として流通している。なお、RFIDとは、ICチップ、アンテナ、通信手段等を有し、電波を用いて無線(非接触)で情報通信が可能なタグであり、非接触ICタグ、無線ICタグ、非接触IC等の他の呼称で表される場合もあるが、本明細書では、代表してRFIDと表現する。
【0004】
RFID1が内蔵されたラベル2をファンフォールド紙5として供給する場合には、図5(a)に示すように、RFID1が送り出し方向に対して偏った位置に配置されていると、RFID1部分(特にIC部分)が隆起しているため、RFID1部分(特にIC部分)の隆起が蓄積する。従って、図5(b)に示すように、ファンフォールド紙5を水平面に載置すると堆積量の増加に伴って一方向に傾斜した状態になり、ファンフォールド紙5が崩れたり、プリンタにラベル2が傾いた状態で供給されることで印字不良を引き起こす原因になったりする。
【0005】
そこで、ファンフォールド紙5を収納すると共に、ファンフォールド紙5の傾きを補正するスペーサを底面に設けた収納箱が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、従来技術では、ファンフォールド紙5の最上位が最も状態の良い、略水平になるようにスペーサの角度が設定されており、収納箱からファンフォールド紙5が送り出されて積載量が減るに従い、スペーサによってファンフォールド紙5が水平面から大きく傾いてしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開2002−80173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ファンフォールド紙の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるファンフォールド紙収納箱を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向が傾斜した状態になるファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱であって、前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の略1/2の角度で逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサが底面に設けられていることを特徴とするファンフォールド紙収納箱に存する。
また請求項2記載の発明の要旨は、水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向が傾斜した状態になるファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱であって、前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサが底面に設けられていると共に、前記スペーサには、前記スペーサの最上位部分から収納箱の一側面に沿って上部に延出した把持片が形成されていることを特徴とするファンフォールド紙収納箱に存する。
また請求項3記載の発明の要旨は、前記スペーサは、前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の略2/3の角度で傾いた傾斜面を有することを特徴とする請求項2記載のファンフォールド紙収納箱に存する。
また請求項4記載の発明の要旨は、前記把持片には、取り除くタイミングを指示する目盛りが設けられていると共に、前記把持片の上端は、収納されたファンフォールド紙の当初の最上位よりも下側に位置していることを特徴とする請求項2又は3記載のファンフォールド紙収納箱に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のファンフォールド紙収納箱は、ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の略1/2の角度で逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサを底面に設けるように構成することにより、収納されたファンフォールド紙の最上位から最下位までの傾斜角を、ファンフォールド紙を水平面に載置した時の傾斜角の略1/2以内にすることができ、ファンフォールド紙の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるという効果を奏する。
【0010】
本発明のファンフォールド紙収納箱は、ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサに、スペーサの最上位部分から収納箱の一側面に沿って上部に延出した把持片を設けるように構成することにより、把持片を引っ張ってスペーサを取り除くことで、ファンフォールド紙の傾斜角を調整することができるため、ファンフォールド紙の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるという効果を奏する。さらに、スペーサにおける傾斜面をファンフォールド紙の傾斜角の略2/3の角度にすることにより、ファンフォールド紙を水平面に載置した時の傾斜角の略1/3以内にすることができ、ファンフォールド紙の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化をさらに低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るファンフォールド紙の第1の実施の形態の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示すスペーサの角度を説明するための説明図である。
【0013】
第1の実施の形態のファンフォールド紙収納箱10は、水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向(ファンフォールド紙5の送り出し方向に対して直交する方向)が傾斜した状態になるファンフォールド紙5を収納するものであり、図1(a)を参照すると、底面と4側面とを備えた収納箱11の底面に、ファンフォールド紙5の傾きを補正するスペーサ12が設けられている。
【0014】
スペーサ12は、図1(b)を参照すると、板状の部材を2箇所折り曲げて形成されたものであり、収納箱11の底面に載置される水平面12aと、収納箱11の一側面と平行な垂直面12bと、ファンフォールド紙5の最下位が載置される傾斜面12cとで構成されることで傾斜面12cの傾斜角が設定されている。
【0015】
図2(a)に示すように、収納箱11に収納するファンフォールド紙5を水平面に載置した時に、最上位の水平面に対する傾斜角が角度αである場合に、スペーサ12、すなわち傾斜面12cは、図2(b)に示すように、ファンフォールド紙5の最上位の傾きとは逆方向に傾けられていると共に、傾斜面12cの傾斜角は、角度α/2に設定されている。
【0016】
これにより、収納箱11に収納された当初におけるファンフォールド紙5の最上位(以下、当初最上位と称す)の水平面に対する傾斜角は、図2(b)に示すように、角度α/2に低減されると共に、ファンフォールド紙5の最下位の水平面に対する傾斜角は、傾斜面12cの傾斜角と同一となるため、角度α/2(ファンフォールド紙5の当初最上位の傾きとは逆方向)となる。
【0017】
なお、スペーサ12、すなわち傾斜面12cの傾斜角は、厳密に角度α/2に設定する必要がないことは明らかであり、収納箱11に収納するファンフォールド紙5の傾きを低減させるという効果を奏する範囲内であれば、角度α/2の±10度程度まで許容されると考えられる。
【0018】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角の略1/2の角度で逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサ12を収納箱11の底面に設けるように構成することにより、収納されたファンフォールド紙5の最上位から最下位までの傾斜角を、ファンフォールド紙5を水平面に載置した時の傾斜角の略1/2以内にすることができ、ファンフォールド紙5の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるという効果を奏する。
【0019】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明に係るファンフォールド紙の第2の実施の形態の構成を示す斜視図であり、図4は、図3に示すスペーサの角度を説明するための説明図である。
【0020】
第2の実施の形態のファンフォールド紙収納箱20は、水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向(ファンフォールド紙5の送り出し方向に対して直交する方向)が傾斜した状態になるファンフォールド紙5を収納するものであり、図3(a)を参照すると、底面と4側面とを備えた収納箱11の底面に、ファンフォールド紙5の傾きを補正するスペーサ13が設けられている。
【0021】
スペーサ13は、図3(b)を参照すると、板状の部材を2箇所折り曲げて形成されたものであり、収納箱11の底面に載置される水平面13aと、収納箱11の一側面と平行な垂直面13bと、ファンフォールド紙5の最下位が載置される傾斜面13cとで構成されることで傾斜面13cの傾斜角が設定されていると共に、垂直面13bと傾斜面13cとの接片、すなわちスペーサ13の最上位部分から収納箱11の一側面に沿って上部に延出した把持片14が形成されている。把持片14は、例えば傾斜面13cの水平面13bと接する箇所の一部分を切り抜くことで形成することができる。
【0022】
先に図2(a)に示したように、収納箱11に収納するファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角が角度αである場合に、スペーサ13、すなわち傾斜面13cは、図4(a)に示すように、ファンフォールド紙5の最上位の傾きとは逆方向に傾けられていると共に、傾斜面13cの傾斜角は、角度2α/3に設定されている。
【0023】
これにより、収納箱11に収納されたファンフォールド紙5の当初最上位の水平面に対する傾斜角は、図4(a)に示すように、角度α/3に低減される。
【0024】
図4(a)に示す状態から、収納箱11に収納されたファンフォールド紙5が順次送り出されると、ファンフォールド紙5の最上位の傾斜角は、水平(角度0)になった後、図4(b)に示すように、逆方向に傾いて角度α/3に到達する。
【0025】
図4(b)に示す状態で、把持片14を把持して引っ張ることにより、スペーサ13を取り除くと、図4(c)に示すように、ファンフォールド紙5は、収納箱11の底面に直接載置され、ファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角は、角度α/3になると共に、ファンフォールド紙5の最下位の水平面に対する傾斜角は、収納箱11の底面と同一となるため、水平面となる。なお、把持片14にスペーサ13を取り除くタイミングを指示する目盛りを設け、図4(b)に示す状態でファンフォールド紙5の最上位が目盛りに到達するように構成すると、ユーザがスペーサ13を取り除くタイミングを簡単に把握することができる。また、把持片14の上端を、収納箱11に収納するファンフォールド紙5の当初最上位よりも下側に位置させるように構成すると、プリンタへのセッティング時に誤ってスペーサ13が取り除かれることがない。
【0026】
なお、スペーサ13、すなわち傾斜面13cの傾斜角は、厳密に角度2α/3に設定する必要がないことは明らかであり、収納箱11に収納するファンフォールド紙5の傾きを低減させるという効果を奏する範囲内であれば、角度α/3の±10度程度まで許容されると考えられる。
【0027】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、ファンフォールド紙5の最上位の水平面に対する傾斜角の逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサ13に、スペーサ13の最上位部分から収納箱11の一側面に沿って上部に延出した把持片14を設けるように構成することにより、把持片14を引っ張ってスペーサ13を取り除くことで、ファンフォールド紙5の傾斜角を調整することができるため、ファンフォールド紙5の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化を低減させることができるという効果を奏する。さらに、スペーサ13における傾斜面をファンフォールド紙5の傾斜角の略2/3の角度にすることにより、ファンフォールド紙5を水平面に載置した時の傾斜角の略1/3以内にすることができ、ファンフォールド紙5の最上位から最下位までの水平面に対する傾きの変化をさらに低減させることができるという効果を奏する。
【0028】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るファンフォールド紙の第1の実施の形態の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すスペーサの角度を説明するための説明図である。
【図3】本発明に係るファンフォールド紙の第2の実施の形態の構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示すスペーサの角度を説明するための説明図である。
【図5】ファンフォールド紙の積載状況を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 RFID
2 ラベル
3 帯状台紙
4 ラベル連続体
5 ファンフォールド紙
10 ファンフォールド紙収納箱(第1の実施の形態)
11 収納箱
12 スペーサ(第1の実施の形態)
12a 水平面
12b 垂直面
12c 傾斜面
13 スペーサ(第2の実施の形態)
13a 水平面
13b 垂直面
13c 傾斜面
14 把持片
20 ファンフォールド紙収納箱(第2の実施の形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向が傾斜した状態になるファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱であって、
前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の略1/2の角度で逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサが底面に設けられていることを特徴とするファンフォールド紙収納箱。
【請求項2】
水平面に載置すると堆積量の増加に伴って幅方向が傾斜した状態になるファンフォールド紙を収納するファンフォールド紙収納箱であって、
前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の逆方向に傾いた傾斜面を有するスペーサが底面に設けられていると共に、
前記スペーサには、前記スペーサの最上位部分から収納箱の一側面に沿って上部に延出した把持片が形成されていることを特徴とするファンフォールド紙収納箱。
【請求項3】
前記スペーサは、前記ファンフォールド紙の最上位の水平面に対する傾斜角の略2/3の角度で傾いた傾斜面を有することを特徴とする請求項2記載のファンフォールド紙収納箱。
【請求項4】
前記把持片には、取り除くタイミングを指示する目盛りが設けられていると共に、
前記把持片の上端は、収納されたファンフォールド紙の当初の最上位よりも下側に位置していることを特徴とする請求項2又は3記載のファンフォールド紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282324(P2006−282324A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103467(P2005−103467)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】