ファージが引き金を引くイオン・カスケードの検出法(SEPTIC)
本発明は、細菌を検出する方法およびギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有するナノ−ウエルデバイスを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にイオン検出法の分野、そしてさらに具体的には、ファージ誘導イオンチャンネルを使用する細菌の検出および同定の装置、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定はしないが、その背景を細菌検出に関連して記述する。バクテリオファージは、細菌を殺すウイルスである。大部分のバクテリオファージは明確な宿主特異性、すなわち病原性細菌の型決定のためのバクテリオファージの広範な使用に導いた特性を有する(「ファージ型決定」に関しては、引用文献1〜3、6、8、11、12参照)。二本鎖DNAファージは、3種の主要な形態型:収縮性尾部を有するミオファージ(myophage);柔軟で非収縮性尾部を有するシフォファージ(siphophage);短く「ずんぐりした」尾部を有するポドファージ(podophage)に分類できる。
【0003】
バクテリオファージは、最も数が多い生物学的実体であり、生物界内で1031と推定され、そして想像出来ないほどの多数の種がある。ファージは、大腸菌(E.coli)の一部の株のみに感染するλのような狭い宿主範囲のファージから、すべての腸内細菌および粘液細菌内にそのDNAを注入できるP1のようなゼネラリストまで、広範囲の宿主特異性をもって存在する。その結果、ファージは、臨床微生物学環境内で細菌の型決定するための「ローテク」法として使用されてきた。病原性細菌の検出および同定においてファージの特異性を利用する試みは、標的細菌の培養、感染されたカルチャーの培養、および子孫ビリオンの産生のアッセイへの要求、すなわち少なくとも数時間を要しそして培養条件の知識を必要とするようなプロセスが重荷となっていた。
【0004】
バクテリオファージ感染に要求される段階は不可逆吸着である。二本鎖DNA(dsDNA)ファージに対して、特異性吸着装置、通常は尾部ファイバーと宿主細胞の表面上の特異性受容体との相互作用からの結果である。dsRNAファージの3種の主要形態型の2種:収縮性尾部を有するミオファージ、および柔軟尾部を有するシフォファージでは、宿主細胞内へのDNAの注入は迅速に行われそしてファージDNAが標的細胞質内に入るチャンネルの一時的形成を含む。注入と同時に、短寿命の膜脱分極および感染細胞あたりに速度約106/秒の細胞質からのK+の流出が起こり、次いで理解が十分されていない再閉止プロセスが起き、膜の再エネルギー付与および感染プログラムの開始を可能とさせる。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、細菌の検出および同定のための装置、システムおよび方法(例えばバイオチップ)である。本発明の一つの利点は、細菌の検出が細菌標的へのファージビリオンの不可逆的付着を要求するのみであることにある。吸着が起きると、直ちに注入イベントが、電場内の局所的攪乱を構成するイオンの一時的漏洩を起こす。従って、それらの設計は、細菌の増殖または繁殖に対するファージの能力を要求しない。
【0006】
多くの場合に、細菌は、DNAの吸着および吸着をファージに可能とさせるがしかし引き続いて注入されたDNAを破壊しそしてファージ増殖を防止する「制限システム」を有する。細菌を検出するためにファージの増殖を用いる全てのシステムにはこの制限が課せられるが、しかし本設計にはそうではない。本イベントは、細菌が増殖するかどうかには関係なく起きる。完全に開発されたシステムで自然的に生まれる他の利点は、可搬性、速度、信頼度/精度、および低コストである。本システムは、検出されるべき各細菌株に対
して特異性のバクテリオファージを必要とするが、しかし、本発明は新しいバクテリオファージの単離および特性決定を可能とする。
【0007】
一つの態様では、本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を含んでなるナノ−ウエルデバイス、およびギャップにおけるまたはその周囲におけるバクテリオファージもしくは細菌または両者を含む細菌および/またはウイルス(例えばバクテリオファージ)の検出のための装置および方法を含み、ここでギャップにおける流体内の電場変動は、バクテリオファージに暴露された細菌が存在しない現状を示す。
【0008】
本発明は、細菌検出のためのナノ−ウエルデバイスおよび方法を含む。本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイス、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるおよび/またはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む装置を含む。
【0009】
本発明は、細菌を検出するための方法も提供する。該方法は、ギャップにおいてまたはその周囲において1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有するキャップ周囲における1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイスを液体試料と接触させ、そして、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的と接触した場合に生成される1個もしくはそれ以上の電場変動を検出することを含み、これによりギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す。
【0010】
本発明は、基体および基体上に配置されたナノウエル・デバイスを有するナノ−ウエルセンサーを含む。ナノウエル・デバイスは、ギャップ周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標識を接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるもしくはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む。
【0011】
ナノ−ウエル・センサーを作製するための方法も含まれる。ナノ−ウエル・センサーは、基体上にギャップ周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を形成することにより製作される。1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが流体試料内の同族体標的と接触した場合に、検出可能な電場変動の引き金を引く1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが、ギャップにおいてまたはその周囲において備えられる。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本発明の種々の態様の作製および使用は、以下に詳細に記載するが、本発明が特定の範囲で広く変化して実現できる多数の適用可能な発明的概念を提供することは認められるべきである。本明細書内で考察する特定の態様は、本発明を作製および使用する際の特定の方法の単なる例示でありそして本発明の範囲を限定はしない。
【0013】
本発明の理解を容易とするために、多数の用語を以下に定義する。本明細書内で定義される用語は、本明細書内では、本発明に関連する領域内の通常の熟練者により通常理解される意味を有する。「a」、「an」、および「the」の用語は、単一の実体のみに言及するのみならず、さらに特定の例が例示として使用できる一般的な分類を含むことを意図する。本明細書内の用語は、発明の特定の態様を記述するために使用されるが、しかしそれらの使用は、特許請求範囲で輪郭を述べられたものを除いて、本発明を限定するものではない。
【0014】
本明細書内で使用される場合に、「デポジットする」の用語とは、層の配置もしくは設
置またはプロセスによる敷設もしくは残置を指す。各種の機構が1枚もしくはそれ以上の層をデポジットするために使用されてもよく、それには電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場(in−situ)重合またはそれらの組合せを含んでなる1個もしくはそれ以上の層が含まれる。層は性質が均質でも不均質でもよい。さらに、デポジットされる層は、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノチューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。
【0015】
本明細書中に使用される場合に、「金属」、または「金属を含む」の用語とは、金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、クロム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケルなど、それらの合金または組合せを指す。金属化合物は、窒化チタン、チタン・タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。本明細書中に使用される場合に、「エッチング」の用語は、表面からその全体または一部を切り込むまたは取り除くことを指し、例えば反応性イオンエッチングである。
【0016】
本明細書中に使用される場合に、「暴露する」または「暴露」の用語とは、1個もしくはそれ以上の領域の一部の除去として定義される。領域は1個もしくはそれ以上のピンの側部上、ピンの先端上またはそれらの組合せであってもよい。除去は、化学的および/または機械的平面化、レーザーアブレーションまたは化学的除去を介して起きてもよい。
【0017】
本明細書中に使用される場合に、「基体」の用語とは、下に置かれる層であってそしてその表面に或る材料がデポジットされるとして定義される。基体は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英またはそれらの組合せを含む部分的透明物質であってもよい。基体は、1種もしくはそれ以上の生物活性物、生分解性物、導電体、熱伝導体、多孔体、誘発可能物、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0018】
本発明のパッドは、多数の公知の接合技術のいずれか、例えば、それらに限定はされないが、ワイヤ接合、フリップチップ接合およびテープ自動化接合を使用して接合されてもよい。「プローブ」の一部として使用される場合には、それらの接触パッドは、一般に、プローブ表面で検出されるシグナルを最大化するように広い表面積を有する。一つの例では、アルミニウム、金、銅、ハンダ、または同様の物質から成るボールまたはハンダ接合が、接触パッドに接合される。ワイア接合する場合には、接触の部位はチゼル接合と呼ばれる。接触パッド(単数および複数)は、暴露され覆われていない。接触パッドおよび/またはそれから形成される層は、導電性材料、例えば半導体および/または導電性金属、例えばアルミニウムおよび/または銅から作製されてもよい。接触パッド層の下に補強層を配置することが通常である。補強層の例は、強い「無反応性」金属、例えばチタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、ニッケル、窒化ニッケル、タンタル、窒化タンタル、窒化タンタルケイ素、およびそれらの組合せ/合金から作製されたものである。
【0019】
本発明に関連して使用されてもよいファージの例は、当該技術分野の熟練者には公知のように公知の細菌標的と共に入手可能であるかまたは可能となるすべてのものを含む。例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type
Culture Collection)(ATCC)から、細菌およびバクテリオファージのカタログとして公開されて入手できるファージ型の表である。その他のかかる寄託機関も、それらのカタログに同様のデータを公開しており、そしてそれは本方法で使用するために可能性があるファージを同定するために使用されてもよい、ファージは、なかでも、水性またはその他の浮遊液内で使用されそして冷凍乾燥形態、噴霧乾燥、真空乾燥およびその他の形態で供給されてもよく、それは例えば本発明の入力/出力パッドをウエル内に含むマイクロタイタープレートの一部である。一般に、ファージは溶解性であり、標
的生物体の溶解に導いてもよいが、しかし一定の用途では、ファージは不完全でありそしてそれらの標的の細胞質に接触およびその中への注入に際して発生される所要のイオン性シグナルを提供するのみであてもよい。
【0020】
本発明はナノ−ウエルデバイスおよび細菌を検出するための方法を含む。本発明はナノ−ウエルデバイスを含む装置を含み、ここで、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触すると検出可能な電場変動の引き金を引く。
【0021】
本発明は、生きている細菌を数分間以内に特異性をもって同定できる、細菌検出および同定方法「ファージが引き金を引くイオン・カスケードの検出法(SEPTIC)」を提供する。本方法は、バクテリオファージ感染の後、細菌が約108個のイオンを周囲流体内に放出しそしてこのイオン放出により誘導される電圧変動が、数ミクロンの大きさの2枚の薄い金属膜電極を用いて検出できるという事実を利用する。
【0022】
例えば、本発明はギャップ周囲に1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエル・デバイスおよび1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料中で同族体標的に接触すると検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む装置を提供する。ギャップは約50〜約500ナノメートルでありそして1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、ボール接合、ワイア接合、テープ接合、チゼル接合およびそれらの組合せを用いて結合されたFET、JFET、MOSFET、OSFET、もしくはSPRセンサーを含む。さらに、1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、増幅器、前置増幅器、接触部、スイッチ、トランジスターおよびそれらの組合せと電気通信状態である。
【0023】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触は、種々の時間および振幅スケールを有する無作為的波を起こす。発生する検出可能な電場変動は、ほぼ1/f、1/f2形およびそれらの組合せのパワー密度スペクトルを含む。1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標識との間の接触は、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを有する1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす。
【0024】
ファージに対する同族体標的は、エシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、シゲラ(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、クラミジア(Clamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ニューモコッカス(Pneumococcus)、ネイッセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バチルス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア・ファージ(Providencia phage)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、イェルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)およびそれらの組合せを含み、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、S.ムタンス(mutans)ファージ、バチルス(Bacillus)ファージΦ29、アクチノミセス(Actinomyces)ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージ
f1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0025】
本発明は、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有するギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイスを、液体試料と接触させ、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的に接触した場合に発生する1個もしくはそれ以上の電場変動を検出することにより細菌を検出する方法であって、ここでギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す方法も提供する。
【0026】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす。同族体標的は、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1個もしくはそれ以上の細菌を含みそしてバクテリオファージは、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0027】
本発明は、基体および基体上に配置されたナノウエルデバイスを有するナノ−ウエルセンサーを含む。ナノウエルデバイスは、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む。
【0028】
本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成し、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを提供することによるナノ−ウエルセンサーを製作する方法を提供する。
【0029】
基体は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せを含み、そして1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せにより形成されてもよい
。1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せを含んでなる。さらに、液体試料に暴露するために位置されたギャップを有する1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部の少なくとも一部の上に絶縁層がデポジットされた。
【0030】
ファージに対する同族体標的は、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択された1種もしくはそれ以上の細菌を含みそして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0031】
図1A、1Bおよび1Cは、3種の異なるバクテリオファージ形態を示す電子顕微鏡写真である。図1Aは、約48.5kb DNAおよび150nmの柔軟な尾部を有する50nm正二十面体頭部を有するバクテリオファージλ「シフォファージ」である。バクテリオファージλは、4個の側方尾部ファイバーを有する。図1Bは、約40kb DNAおよび20nmのずんぐりした尾部を有する60nm正二十面体頭部を有するバクテリオファージT7「ポドファージ」である。バクテリオファージT7は、尾部スパイクおよび6個の尾部ファイバーを有する。図1Cは、約170kb DNAおよび115nm収縮性尾部を有する80nm X110nmの細長い正二十面体頭部を有するバクテリオファージT4「ミオファージ」である。バクテリオファージT4は、6個の尾部の短ファイバーおよび6個の長い尾部ファイバーを有する。バクテリオファージλ、バクテリオファージT7およびバクテリオファージT4に加えて、その他のバクテリオファージも本発明に使用されてもよく、例えば、S.ムタンス・バクテリオファージ、アクチノミセス・バクテリオファージ、バチルス・バクテリオファージΦ29、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージPIおよびそれらの組合せである。それに加えて、熟練者は、所望の細胞/株を誘引するために本発明に使用されてもよい多数のその他のバクテリオファージを認めるであろう。
【0032】
それらすべてのファージ型に対して、細菌細胞表面への吸着は、簡単な二体衝突動力学により規定され、ここで速度定数は約10−10〜約10−12ml/(細胞・秒)の範囲である。従って、約109ファージ粒子/mlの容易に到達できる濃度において、標的細菌の約90%以上が、細菌細胞濃度とは関係なくそして完全な特異性をもって、数秒間ないし数分間以内で感染され得る(すなわち、非標的細菌は吸着速度および特異性に影響しない)。ミオファージおよびシフォファージでは、ファージDNAが細菌細胞エンベロープを通って輸送されるプロセスは迅速かつ高度に効率的である(7)。
【0033】
それらの型のファージ(ポドファージを除く)にとって、透過型電子顕微鏡よび電気生理学を含む多数の系統の証拠が、DNAが通る細胞質膜内に形成される一時的チャンネルがあることを示す。このチャンネルは、宿主細胞質膜の一時的脱分極を起こし、それは正常では約−180mVに維持されている(外面が正)(5、9)。DNAが細胞質に到達
した後、ファージ粒子はチャンネルを閉めさせ、宿主膜をエネルギー化の正常状態へ復帰させ、そして感染サイクルが進行する。チャンネルが開いている期間内に、推測すると、このチャンネルを通って、膜を貫通しそして外部液体内へのかなりのイオンの流れが起きる(4)。
【0034】
放出されたイオンは細菌の周囲で早いブラウン運動を受けそして多数が細胞の近辺から逃げることができる。この事実および異なるイオン全体の放出の電荷不均衡が細菌の一時的帯電および時間的変動を起こすであろう。この一時的な中和されない荷電およびタイミングの無作為性およびイオン放出の空間的方向、および放出イオンのブラウン運動のそれらが、ミクロンまたはサブミクロンの大きさの確率論的な空間時間的電場変動を生成する。バクテリオファージ感染の数十年にわたる研究に基づくと、それらの電場変動はナノスケール検出器の構造により検出できることが示される。
【0035】
感染関連イオン流出を再現しそして一般性を確立するために、最初の研究は、宿主として低い運動性の大腸菌(Escherichia coli)W3110(ΔfhuA)株(λs)を用いて、バクテリオファージλ(λΔstf tfa::cat cI857 S105、尾部ファイバーを欠く)、およびUr−λ(λ wt、尾部ファイバーを有する)を用いて行われた。耐性株として同質遺伝子系宿主変異株λR(大腸菌W3110ΔfhuA ΔlamB)が使用され、ここで適当なファージ受容体はなかった。lamB遺伝子の欠失は、ファージに絶対的な耐性を与え、従ってイオンの注入漏洩は予想されなかった。一つの例では、バクテリオファージT5、野生型大腸菌株W3110を感受性宿主(T5s)として、そして同質遺伝子系宿主変異株大腸菌W3110(ΔfhuA)を耐性株(T5R)として使用した。BoulangerおよびLetellier(1988)の古典的な研究に基づくプロトコールに従った。この基本プロトコールは、精製したファージ原料(例えば約2x1010pfu/ml)を宿主細胞(例えば中間対数相細胞、洗浄しそして5mM MgSO4中に再浮遊)を等しい比率で時間0において混合し、種々の時間、37℃でインキュベーションし、チップにアリコート(例えば5μl)を加え、そして一定時間(例えば2分間)におけるイオン放出により変動を測定することを含んでいた。
【0036】
本発明は、特別に設計されたナノ−ウエルデバイスを含み、そして約100nmのギャップ大きさを有するチタン電極の横型ミクロンサイズの蓄電器を含み、良く研究された実験室細菌である大腸菌の細菌細胞の近辺における流体中の電場変動を測定する。細菌の感染の前には電場変動は小さくそしてそれらのパワー密度スペクトルはほぼ1/f形を有していた。ファージ侵入の後には、種々の時間および振幅スケールを有する大きくてゆっくりとした確率論的波が観察された。それらの変動は、約1〜約10Hzの周波数範囲内で近似的に1/f2形を有するパワースペクトルを有していた。試験ファージに耐性である細菌(すなわち、細菌表面において特異性ファージ受容体を持たない細菌)を用いる重要な対照研究は、変動の増加もまたはゆるやかな波動変動動力学も示さなかった。
【0037】
電場変動は、特定目的のナノ−ウエルデバイスにより検出された。ナノ−ウエルセンサーデバイスのパターン形成は、二つのプロセスを含む:第一は、電子ビームリトグラフィー(EBL)がナノ−ウエル(150mm*60mm)を書き込むために使用された;次いで接触フォトリトグラフィーが二個の大きい接触パッド(5nm*5nm)および2個のパッドを連結するブリッジ(100μm*4μm)をパターン形成するために使用された。パッドは、外部回路との電気的連結のために使用され、一方ブリッジは、パッドとナノ−ウエルとを連結する。
【0038】
チップの側面図と平面図を図2Aおよび2Bに示す。図2Aは、ナノスケール検出器の一つの態様の側面図である。ナノスケール検出器10は、前置増幅器モジュール12、シ
グナル受信モジュール14およびナノウエルセンサーデバイス16を含む。シグナル受信モジュール14は、前置増幅器モジュール12と通信状態にある。通信は直接に配線されるか、ネットワークを介して接続されるか(例えば無線または有線)、または後で送信するために電子メディア上に記憶される。前置増幅器モジュール12は、少なくとも第一プローブ18および第二プローブ20に接続され、それらはナノ−ウエルセンサー16と通信状態である。前置増幅器モジュール12は、多数のプローブ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11またはそれ以上のプローブに接続されてもよい。第一プローブ18は、少なくとも部分的にフォトレジスト被覆22を部分的に貫通して第一接触パッド24と接触する。第二プローブ20は、少なくとも部分的にフォトレジスト被覆22を部分的に貫通して第二接触パッド26と接触する。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体28の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体28の上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一プローブ18と第二プローブ20を分離するフォトレジストギャップ32を有する。一つの例では、シグナル受信モジュール14は、ML750 Powerlab/4spであり、そして前置増幅器モジュール12はSR560である。しかし、熟練者は、その他の前置増幅器およびシグナル受信モジュールも使用できることを認めるであろう。
【0039】
一つの例におけるフォトレジストギャップ32は8μmである。しかし、フォトレジストギャップ32は2μm〜16μmの間にあってもよい。電極ギャップ30は150nmであるがしかし特定の用途によっては約100nm〜約200nmの間であってもよい。フォトレジストギャップ32および電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0040】
図2Bは、本ナノスケール検出器を用いる回路を示す。図2Bは、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッド20および第二接触パッド26を少なくとも部分的に覆っている。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38とを分離する第二接触チップ38を有し、それらは一方では第一プローブ(図示せず)と第二プローブ(図示せず)とを分離する。第一プローブ(図示せず)および第二プローブ(図示せず)は前置増幅器モジュール(図示せず)または他の回路(図示せず)の形に電気回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際にはブリッジの中央にある幅150nmおよび長さ4μmのギャップであり、図2Bに示される。フォトレジストギャップ32および電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0041】
一つの例におけるフォトレジストギャップ32は8μmである。しかし、フォトレジストギャップ32は2μm〜16μmの間であってもよい。電極ギャップ30は150nmであるが、しかし特定の用途に応じて約100nm〜約200nmの間であってもよい。分析物ウインドウ34は、第一接触パッド24の一部である第一接触パッドチップ36および第二接触パッド26の一部である第二接触パッドチップ38の上のフォトレジスト被覆22内に位置される。第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38の少なくとも一部は分析物ウインドウ34内に伸びている。第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38は、必要とされるいかなる寸法、例えば幅約4μmおよび長さ約8μmであってもよい。一般に、分析物ウインドウ34は8μmX6μmである。しかし熟練者は、ウインドウはさらに大きくてもまたはさらに小さくても良いことを認めるであろう。
【0042】
電場によりナノ−ウエルデバイス16上に誘導される電圧変動は、高い入力インピーダンス(約100Mオーム)を有する低ノイズ前置増幅器12 SR560により増幅され
そしてシグナル受信装置14 ML750 PowerLab/4SP内に送られ、それは図2に示されている。変動のパワー密度スペクトルは、Dynamic Signal
Analyzer SR785(図示せず)により決定された。一つの態様では、ナノ−ウエルデバイス16は二重スクリーニングボックス(Amuneal Manufacturing Corp)(図示せず)内に配置される。二重スクリーニングボックス(図示せず)および前置増幅器14は、振動防止台100BM−2(Nano−K)(図示せず)上に設置されて振動により起きる可能性がある人工的な影響を避ける。パワー密度スペクトルSu(f)の決定の時間ウインドウは、約2分間である。
【0043】
チップの側面図および平面図を図3Aおよび3Bに示す。図3Aは、ナノスケール検出器の別の態様の側面図である。ナノスケール検出器10は、前置増幅器モジュール12、シグナル受信モジュール14およびナノ−ウエルセンサーデバイス16を含む。シグナル受信モジュール14は前置増幅器モジュール12と通信状態にある。通信は、直接配線、ネットワークを介する接続(例えば無線または有線)または後で通信するために電子メディア上に記憶される。前置増幅器モジュール12は、第一または後で送信するために電子メディアに記憶される。前置増幅器モジュール12は、少なくとも第一プローブ18および第二プローブ20に接続され、それらはナノ−ウエルセンサーデバイス16と通信状態にある。前置増幅器モジュール12は、多数のプローブ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11またはそれ以上のプローブと接続されてもよい。第一プローブ18は、少なくとも部分的に第一接触パッド24と接触する。第二プローブ20は、少なくとも部分的に第二接触パッド26と接触する。第一接触パッド24および第二接触パッド26は基体層28の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層28の上に位置して電極ギャップ30を形成する。一つの例では、シグナル受信モジュール14は、ML750 Powerlab/4spであり、そして前置増幅器モジュール12はSR560である。しかし、熟練者は、その他の前置増幅器およびシグナル受信モジュールも使用できることを認めるであろう。電極ギャップ30は液体試料と接触するように配置される。
【0044】
図3Bは、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。第一接触パッド20および第二接触パッド26は、基体層上にある(図示せず)。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0045】
電極ギャップ30は100μmであるが、しかし特定の用途に応じて約60nm〜約200nmの間であってもよい。第一接触パッド24および第二接触パッド26はギャップ電極30を形成する。第一接触パッド24および第二接触パッド26の少なくとも一部が分析物または液体試料(図示せず)と接触する。
【0046】
一つの例において、基体層28はシリコン基体である。しかし、基体層28は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せであってもよい。さらに、基体は生物活性、導電性、熱伝導性、多孔性、またはそれらの組合せである1種もしくはそれ以上の薬剤を含んでもよい。
【0047】
第一接触パッド24および/または第一接触パッド26はチタンである。しかし、接触パッドは、個別に金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。追加して、1枚もしくはそれ以上の層は、生物活性、生分解性、導電性、熱電導性、多孔性、誘発可能性またはそれらの組合せであってもよい。さらに、1枚を越える層がデポジットされてもよい。例えば、材
料の第二層は接触層上にデポジットされてもよくそして材料は異なる材料であってもよい。あるいは、接触層は異なる材料であってもよく、異なる材料の第一接触パッドおよび第二接触パッドが作製される。接触層は、例えば電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含む各種の方法を介してデポジットされてもよい。
【0048】
本発明の一つの態様では、チタンが、接触層および他方では第一接触パッドおよび第二接触パッドの材料として使用されてもよい。しかし他の金属、合金、含浸材料、導電性ポリマーまたは金属を含む化合物を使用してもよく、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニッケルなど、それらの合金またはそれらの組合せである。金属化合物も窒化チタン、チタン タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。
【0049】
さらに、本発明は、フォトレジスト被覆22を含んでもよく、それは一つの例ではHekisuto K.K.,の商標名AZ5214である。しかし熟練者は、フォトレジスト被覆は、光画像性(photoimagable)ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノヴォラックに基づくポジティブ・フォトレジスト、カード(cardo)タイプフォトポリマー、A4110、AZ1370などであってもよいことを認めるであろう。
【0050】
一定の工程でエッチングが行われそして熟練者には公知のいずれかの適合する技術、例えば反応性イオンエッチング、Cf4/O2プラズマを介して達成されてもよい。例えば、Plasma−Therm790 Systemが、約150ミリバール、毎分16標準立方センチメートル(sccm)のCF4および平方cmあたりに0.12ワットで全体で約5〜10分間のエッチング条件で使用されてもよく、また別の適するパラメーターも使用できる。
【0051】
本発明のナノメートルスケールの設計(例えばナノ−ウエル設計)に加えて、本発明はさらに大きい検出器、例えばミクロ−ウエルも含む。ミクロ−ウエルはナノ−ウエルと類似するが、しかし流体と前置増幅器との間の流電カプリングを伴う接触面積が500,000倍大きい。図3は、ミクロ−ウエルチップの側面図および平面図を示す。ナノ−ウエルでは、非吸着性ファージおよび細胞の存在下で、電場変動は小さく、ほぼ1/f形のパワー密度スペクトルを示す(図4)。
【0052】
図4は、尾部ファイバーを欠くバクテリオファージλおよびバクテリオファージT5の結果のグラフである。インキュベーション時間は5分間であった。ネガティブ応答の場合(λRおよびT5R)、ナノ−ウエル内の電圧変動のスペクトルは、ほぼ1/f形に従っている。ポジティブ応答の場合(λSおよびT5S)、変動は増加し、1/f2形のより急な勾配のスペクトルとなった。
【0053】
バクテリオファージが侵入した後、大きくゆっくりとした確率論的波が種々の時間および振幅スケールで検出された。それらの変動は、約1〜10Hzの周波数範囲内でほぼ1/f2形のパワースペクトルを有していた。検出の真の機能性は、尾部ファイバーを有するバクテリオファージの場合に予期される。Ur−λを用いる研究は、約1分間〜5分間のインキュベーション前時間の間に高い電気的変動をもたらし、限定された時間内のみでの迅速な吸着プロセスを示す(図5)。尾部ファイバーの存在は、受容体への効率的な付着を加速するに違いない。
【0054】
図5は、尾部ファイバーを有するバクテリオファージUr−λを用いた結果のグラフである。大腸菌W3110(ΔFhuA、ΔlamB)株(λR)を用いた非注入の場合に
は、スペクトルは再び1/f様であった。注入イベントが起きると、約1分間またはそれ以上のインキュベーション時間に対して強い1/f2形スペクトルが現れた。
【0055】
さらに、すべてのポジティブおよびネガティブの場合のスペクトルは、ナノ−ウエルデバイス中でもミクロ−ウエルデバイス中でも同様であった。図6参照。この結果は、変動が空間および時間に関して無作為的であることを示す。それらは大きい検出器内では平均化されるので、ナノ−ウエルまたはそれより小さい検出器システムがそれらを観察するために必要である。
【0056】
図6は、ミクロ−ウエルデバイスで測定されたスペクトルが、バクテリオファージ感染に対していかなる観察可能な依存性も示さないことを示すグラフである。この事実は、電場変動および電荷密度変動が空間および時間で無作為的であり、大きい検出器を用いると平均化されることを示す。
【0057】
図7A〜7Eは、本発明のバイオチップの作製における段階を示す。要約すると、一連のリソグラフおよびエッチング段階が図示のように続いてナノ−ウエルデバイス16が形成される。図7Aは、基体層28の上にデポジットされた接触層40の側面図を示す。犠牲リソグラフ層42が接触層40の上にプリントされる。図7Bに示すように、接触層40を貫通して基体層28に至るような開口を作るために、方向性エッチングプロセスが使用される。図7Cは、接触層40の上へのレジスト層44配置の側面図である。方向性エッチングプロセスが、接触層40の一部を基体層28まで除去するために使用され、それは図7Dに示される。レジスト層44が除去されると、第一接触パッド24および第二接触パッド26が基体層28の上に電極ギャップ30により分離されて残留し、それは図7Eに示される。一つの例では、基体層28はシリコンであり、そして接触層40はチタンである。犠牲リソグラフ層は、接触層40の上にプリントされたポリメチルメタクリレートであり、そして方向性エッチングは、接触層40を通って基体層28に至る開口を作るために使用される。一つの例では、チタンの100nm層がデポジットされそして電子ビームリソグラフィーおよび活性イオンエッチングが幅150nm、長さ60μmの溝をパターン形成するために使用される。さらに、電子ビームリソグラフィーおよび活性イオンエッチングは、幅4μ、長さ100μmのブリッジをパターン形成するために使用される。溝とブリッジとの交点は、幅150nm、長さ4μmのナノ−ウエルを形成する。
【0058】
図8は、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の光学写真の平面写真である。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッド24および第二接触パッド26の少なくとも一部を覆う。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)の上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36と第二接触パッドチップ38とを分離するフォトレジストギャップ32を有し、それらは一方では第一プローブ18と第二プローブ20とを分離する。第一プローブ18および第二プローブ20は、前置増幅器12またはその他の回路(図示せず)の形態の電気回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際には、図8に示すように、ブリッジの中央部にある幅150nmおよび長さ4μmギャップである。
【0059】
図9は、本ナノスケール検出器を使用する回路を示す。図9は、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。フォトレジスト被覆22は第一接触パッド24および第二接触パッドの少なくとも一部を覆う。第一接触パッド24および第二接触パッドは基体層(図示せず)上にある。第一接触パッド24および第二接触パッドは基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38を分離し、それは一方では第一プローブ18と第二プローブ20を分離するフォトレジストギャップ32を有する。第一プロ
ーブ18および第二プローブ20は、前置増幅器12の形態の電気回路またはその他の回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際には、図9に示すように、ブリッジの中央部にある実際には幅150nmおよび長さ4μmギャップである。
【0060】
一定の段階でエッチングが行われそして熟練者には公知のいずれかの適合する技術、例えばCf4/O2プラズマを介して達成されてもよい。例えば、Plasma−Therm 790Systemが、約150ミリバール、毎分16標準立方センチメートル(sccm)のCF4および平方cmあたりに0.12ワットで全体で約5〜10分間のエッチング条件で使用されてもよく、また別の適するパラメーターも使用できる。
【0061】
犠牲リソグラフ層は、犠牲リソグラフ層として使用されてもよいいかなる適合する物質も含んでもよい。一つの例では、基体層28は、シリコン基体である。しかし基体層28は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウム、もしくは金属またはそれらの組合せであってもよい。さらに、基体は、生物活性、導電性、熱伝導性、多孔性またはそれらの組合せである1個もしくはそれ以上の薬剤を含んでもよい。
【0062】
接触層40は、第一接触パッド24および/または第二接触パッド26であってもよく、チタンであるが、しかし、接触パッドは、個別に、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。さらに、1個もしくはそれ以上の層は、生物活性、生分解性、導電性、熱伝導性、多孔性、誘発可能、またはそれらの組合せであってもよい。さらに、1枚を越える層がデポジットされてもよい。例えば、材料の第二層は、接触層上にデポジットされてもよくそして材料は異なる材料であってもよい。あるいは、接触層は異なる材料の第一接触パッドおよび第二接触パッドが作製されるように異なる材料であってもよい。接触層は、例えば、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含む種々の方法によりデポジットされてもよい。
【0063】
本発明の一つの態様では、チタンが、接触層およびさらに第一接触パッドおよび第二接触パッドの材料として使用されてもよい。しかし他の金属、合金、含浸材料、導電性ポリマーまたは金属を含む化合物も使用してもよく、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニッケルなど、それらの合金またはそれらの組合せである。金属化合物は窒化チタン、チタンタングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。
【0064】
さらに、本発明は、フォトレジスト被覆22を含み、それは一つの例ではHekisuto K.K.,の商標名のAZ5214である。しかし熟練者は、フォトレジスト被覆は、光画像性ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノヴォラックに基づくポジティブ・フォトレジスト、カードタイプフォトポリマー、A4110、AZ1370などであってもよいことを認めるであろう。
【0065】
一般に、電解質中のデバイ距離(静電遮蔽距離)は、ミクロンよりはるかに小さい。いずれの静電電場も、デバイ距離を越えると指数関数的に減衰するテイルのように遮蔽され、イオン化された対象物が検出電極のごく近辺にない場合には、電解質内の物理的条件が好ましくないことを示す。例えば、約106細菌/mm3の細菌の濃度を有する約10ミクロンの大きさの四角形の薄膜電極は、平均して10ミクロンの立方体内に細菌1個が存在する。従って、電極の近辺にはただ1個の細菌が存在するのみであり、電極からの細菌の平均距離が数ミクロンなので、細菌はごく近辺には存在しない。従って、電場はデバイ長さをはるかに越えると指数関数的に減衰するので、例えば直接接触よりは一桁低い非常
に低いイオンシグナルが予想される。
【0066】
しかし、2枚の電極の間の電解質を通って直流電流を流すと、状況は根本的に変化しそしてデバイ理論が適用できずそして定常的な長距離電場が電解質を通って広がる。この電場は、細菌が表面と直接接触できる電極まで荷電(例えば感染)した細菌を引き寄せることができる。本方法の大きい利点は、それがSEPTIC検出方法に関して活性(例えばイオン放出)な細菌だけを誘引することである。与えられた細菌がそのイオン放出を終えそしてその過剰な電荷が中和されると、直ちに電場とのその相互作用が停止しそして電極から拡散して去る。
【0067】
本方法の物理的解析および実行可能性。細菌のイオン放出の動力学および電荷分布の詳細は完全には知られていないが、簡単な物理的考察で、SEPTIC技術の感度の上昇の有効性に関するいくらかの粗い推定が可能である。拡散定数、拡散時間および平衡イオン化数はすでに報告されそしてそれ以外の考察は新規である。
【0068】
粘度ηを有する流体内の半径rを有する球体の拡散定数は、ストークスの法則により与えられる。
【0069】
【数1】
【0070】
直径1ミクロンの球状細菌に対して、水中の拡散定数は下記である。
【0071】
【数2】
【0072】
従って、上記の例を採用すると、10ミクロンの大きさの立方体(上記参照)を通過する拡散時間は、下記である(〔3〕も参照のこと)。
【0073】
【数3】
【0074】
この実際的例において、10ミクロンの大きさの立方体内に細菌は平均して1個が存在するので、この結果は、直流電流がない場合に、SEPTIC測定の典型的な期間(例えば約120秒間)の間に、我々は一個の細菌からのイオンを測定できるのみであることを意味する。さらに低い濃度では、我々はいかなる細菌シグナルも得ることができないであろう。
【0075】
荷電した細菌は、ファージ感染の後に約108個のイオンを放出するが、しかし、ネットの電荷は、クーロンエネルギーにより強く制限される。例えば、細菌はZBq(ここでqは電気素量そしてZBはイオン化数である)に荷電され、従ってそれに必要な全エネルギーは、以下のように見積もられる。
【0076】
【数4】
【0077】
さらに荷電を増加しそしてΔZBだけイオン化数を増やすために必要なエネルギーは、以下のように近似できる。
【0078】
【数5】
【0079】
従って、ミクロンの大きさの細菌の上記の例において、イオン化数を1だけ増やすと、下記のエネルギーとなる。
【0080】
【数6】
【0081】
第一に、実際の状況に適合する最低限界である熱活性化イオン化プロセスを仮定すると、
【0082】
【数7】
【0083】
従って〔13〕、
【0084】
【数8】
【0085】
となる。
【0086】
しかし、〔13〕中で考慮されていなかったことは、被動(driven)非平行系はこの限界を持たないので、実際のイオン化数はかなり大きいであろうという事実である。イオン放出が1eVの特性エネルギーを有する電気化学力により駆動されるとすると、
【0087】
【数9】
【0088】
および
【0089】
【数10】
【0090】
となり、1ミクロンの大きさの細菌の極大イオン化数は1000〜30,000の範囲内である。
【0091】
イオン化数に対する電気的輸送性の推定。移動度と拡散定数との間のアインシュタイン式の適用は下記となる。
【0092】
【数11】
【0093】
直流電場Edc内の荷電細菌のドリフト速度は下記である。
【0094】
【数12】
【0095】
10,000qに荷電された1ミクロン大きさの細菌に対する1V/m電場では、下記となる。
【0096】
【数13】
【0097】
1000V/m電場、例えば0.1Vの電圧で100ミクロンの距離スケールでは、ドリフト速度は0.18mm/秒であり、100ミクロンの距離内のすべての細菌は1秒以内に電極で捕捉されるであろう。従って、細菌は流体を通ってドリフトできそして早い速度で電極で捕捉される。
【0098】
細菌数の電流密度は下記である。
【0099】
【数14】
【0100】
直流電流Iが流体内の背景イオン流れにより支配されるとすると、下記となる。
【0101】
【数15】
【0102】
すなわち、細菌電流密度は次式を満足する。
【0103】
【数16】
【0104】
シグナル増加の推定は、イオンカスケードの生成の機構およびそれに対する電場の可能な影響を正確に知らない限り容易ではない。しかし、簡単な推定は、観察された変動が1/f2形のパワー密度スペクトルを有するという事実を利用すると可能である。従って、増加する電流による細菌流れの加速は、加速された変動に帰することができる。スペクトルA/f2を有する記録された1/f2ノイズは、f→Kf変換のためにKの因子だけ増加される速度をもってプレイバックされる場合に、k2A/f2のスペクトルを有する。従って、上記の議論から、スペクトルは下記のようにスケーリングされる。
【0105】
【数17】
【0106】
電流が増加すると、それよりも速く変動が増加する。電極は、イオンカスケードの寿命内で多数の細菌を蓄積し、それは相互相関効果により変動の振幅が増加することも意味する。この増加が細菌流れJBと線型にスケーリングされるとすると、その効果はパワー密度スペクトルのI2によるスケーリングももたらす。従って、二つの別々の効果のために、下記となる。
【0107】
【数18】
【0108】
さらに、上記の二つの効果は、単一物理機構の二つの側面であろう(例えば細菌の空間電荷とは無関係ではなくまたは別の場合に、第二の効果は一定の電流密度、周波数および特性飽和時間の後に飽和するであろう)、従って、推定を下記のように結論することが適当である。
【0109】
【数19】
【0110】
式中、2≦X≦4である。
【0111】
式19により記述されたパワースペクトルのスケーリング/増加は、デバイ遮蔽の排除によりすでに増加したシグナルに該当し、それは直流電流が存在する場合に「活性」細菌が電極に接触するからである。例えば、0.25ミクロンのデバイ遮蔽距離および直流電流が存在しないと、電極から細菌まで3ミクロンの有効距離の場合には、電極に接触する細菌に伴う直流電流状態は、約exp〔3/0.25〕≒15,000倍増加した電場を与える。デバイ遮蔽排除による増幅は、次の層がデバイ遮蔽の増加を受けるので、電極上の細菌の第一層までのみ全長で作用する。
【0112】
最後に、この簡単な描写が、固定された電流および電極大きさの場合に、電極間のギャップ大きさの増加は、この増加技術に効率の上昇をもたらすであろうことを示唆する。
【0113】
直流発電機により電極に給電する技術、すなわち直流電流を電極に通すことにより、S
EPTICの感度を数桁増加できる。この結果は、ギャップの大きさがナノメートル範囲である必要はなくそしてより大きいギャップ大きさは増加をさらに効率的にできることを示す。
【0114】
最後に、本推定/計算が大きく簡略化されておりそしてデバイ電気泳動理論を考慮するとそれが著しく洗練されることを認めることが重要である。
【0115】
本発明に使用される基体は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたはそれらの組合せを含む一般的に透明な材料であってもよい。一般的に使用される材料は、下記の1種もしくはそれ以上を含む:基質と第一層の間、層の間またはそれらの組合せにデポジットされるSi、単結晶Si、窒化ケイ素組成物(SiNx)、酸化ケイ素組成物(SiOx)、またはチタン(Ti)。
【0116】
本発明に従って、広範囲の光画像性ポリマー、例えば光画像性ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノボラックに基づくポジティブフォトレジスト、カードタイプフォトポリマー、などが使用されてもよい。二官能性エポキシ化合物も、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.から商標名”Epon 828”、”Epon 1004”、”Epon 1001F”、”Epon SU−8”および”Epon 1010”、Dow Chemical
Co.から”DER−331”、”DER−332”、および”DER−334”)として入手できるもの、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセン カルボキシラート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4221”)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセン カルボキシラート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4201”)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4289”)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−0400”)を含み使用されたもよい。
【0117】
追加して、変動の増加は、熱的ノイズでも熱的平衡過程でもない。変動は、エネルギーの過剰な源により生成されそして熱平衡エネルギー変動によるものではない。典型的には、電流は、約10〜13Sであり、すなわちナノウエル電極中へ約106電子/秒である。流体を有するナノウエルの導電率は約100倍大きいとすると、それは流体内で約108有効イオン/秒の輸送に相当する。例えば、
増幅器入力(ケーブルを介して):
【0118】
【数20】
【0119】
108オームに対して、我々が最強のファージ反応で測定したよりも1Hzおいて5倍大きいSuを与え、そしてネガティブ実験で我々が測定したものより100倍大きい。ネガティブ実験は平衡系と考えられるので、この結果は、ナノ−ウエル中でReffが1Hzで約1Mオームであることを示す。流体中のイオンのm種の異なる種類を有する導電率:
【0120】
【数21】
【0121】
Reff∝1/σでありそして水中の当初のイオンの濃度がファージ感染により低下しないとすると、導電率は増加できるのみであり、その結果、抵抗および熱的ノイズは低下できるのみである。
【0122】
本明細書中に記載のいずれかの装置およびその変形を使用して、本発明は、適合するバクテリオファージの利用性を前提としていずれの細菌でも検出および同定する系および方法に使用されてもよい。本方法は、1分間で起きる感染に対して非常に迅速である。全部の電子機器は、デバイスがペン位に小さくなるように、バイオチップ上に一体化できる。従ってデバイスは多目的可搬装置であることができる。さらに、熟練者は、多数の他のアーキテクチャー、例えばJFET、MOSFET、OSFETまたはSPRセンサーを使用できることを認めるであろう。
【0123】
本明細書中に記載の特定の態様は例示のために記載したものであって本発明の限定ではないことは理解されるべきである。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲を外れることなく種々の態様として使用できる。当該技術分野の熟練者は、日常的を越えない実験を用いて、本明細書中に記載の特定の方法に多数の等価物を認めるか、または確認できるであろう。かかる等価物は、本発明の範囲内に入りそして特許請求により包含されると考える。
【0124】
本明細書中に言及したすべての出版物および特許出願は、本発明が該当する技術分野の熟練者のレベルの表示である。すべての出版物および特許出願は、それぞれの出版物または特許出願が引用することにより編入されるように特別にそして個別に指定されたと同様に、同様の範囲まで引用することにより本明細書に編入される。
【0125】
本明細書中に開示および特許請求されたすべての組成物および/または方法は、本開示を参照すると不当な実験を行うことなく作製および実施できる。本発明の組成物および方法は好ましい態様として記述されているが、変更が組成物および/または方法および本明細書中に記載の段階もしくは段階の連続に、本発明の概念、精神および範囲から外れることなく適用できることを当該技術分野の熟練者は認めるであろう。さらに特定すると、化学的および生理学的に関連する一定の薬剤が本明細書中に記載の薬剤により置換されて同一もしくは類似の結果に到達するであろうことは明らかである。すべてのかかる類似の置換および変更は、当該技術分野の熟練者には明白でありそして添付の特許請求範囲で定義される本発明の精神、範囲および概念内に入ると考えられる。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0128】
本発明の特徴および利益のさらに完全な理解のために、本発明の詳細な説明のために以下の図面を参照する。
【図1】図1は、3種類の異なるファージ形態を示す。
【図2】ナノ−ウエル、接触パッド、およびパッドとナノ−ウエルを連結するブリッジを有するチップの図2Aは側面図でありそして図2Bは平面図である。
【図3】ブリッジ構造がない100μmギャップおよび接触パッドを有するミクロ−ウエル有する接触パッドを有するチップの図3Aは側面図でありそして図3Bは平面図である。
【図4】図4は、バクテリオファージラムダを用いた結果のグラフである。
【図5】図5は、UR−ラムダファージを用いた結果のグラフである。
【図6】図6は、ミクロ−ウエルスペクトルのグラフである。
【図7】図7A〜Eは、ナノウエルの形成の段階を示す。
【図8】図8は、ナノウエル検出器の顕微鏡写真である。そして
【図9】図9は、本ナノスケール検出器を用いる回路を示す。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にイオン検出法の分野、そしてさらに具体的には、ファージ誘導イオンチャンネルを使用する細菌の検出および同定の装置、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定はしないが、その背景を細菌検出に関連して記述する。バクテリオファージは、細菌を殺すウイルスである。大部分のバクテリオファージは明確な宿主特異性、すなわち病原性細菌の型決定のためのバクテリオファージの広範な使用に導いた特性を有する(「ファージ型決定」に関しては、引用文献1〜3、6、8、11、12参照)。二本鎖DNAファージは、3種の主要な形態型:収縮性尾部を有するミオファージ(myophage);柔軟で非収縮性尾部を有するシフォファージ(siphophage);短く「ずんぐりした」尾部を有するポドファージ(podophage)に分類できる。
【0003】
バクテリオファージは、最も数が多い生物学的実体であり、生物界内で1031と推定され、そして想像出来ないほどの多数の種がある。ファージは、大腸菌(E.coli)の一部の株のみに感染するλのような狭い宿主範囲のファージから、すべての腸内細菌および粘液細菌内にそのDNAを注入できるP1のようなゼネラリストまで、広範囲の宿主特異性をもって存在する。その結果、ファージは、臨床微生物学環境内で細菌の型決定するための「ローテク」法として使用されてきた。病原性細菌の検出および同定においてファージの特異性を利用する試みは、標的細菌の培養、感染されたカルチャーの培養、および子孫ビリオンの産生のアッセイへの要求、すなわち少なくとも数時間を要しそして培養条件の知識を必要とするようなプロセスが重荷となっていた。
【0004】
バクテリオファージ感染に要求される段階は不可逆吸着である。二本鎖DNA(dsDNA)ファージに対して、特異性吸着装置、通常は尾部ファイバーと宿主細胞の表面上の特異性受容体との相互作用からの結果である。dsRNAファージの3種の主要形態型の2種:収縮性尾部を有するミオファージ、および柔軟尾部を有するシフォファージでは、宿主細胞内へのDNAの注入は迅速に行われそしてファージDNAが標的細胞質内に入るチャンネルの一時的形成を含む。注入と同時に、短寿命の膜脱分極および感染細胞あたりに速度約106/秒の細胞質からのK+の流出が起こり、次いで理解が十分されていない再閉止プロセスが起き、膜の再エネルギー付与および感染プログラムの開始を可能とさせる。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、細菌の検出および同定のための装置、システムおよび方法(例えばバイオチップ)である。本発明の一つの利点は、細菌の検出が細菌標的へのファージビリオンの不可逆的付着を要求するのみであることにある。吸着が起きると、直ちに注入イベントが、電場内の局所的攪乱を構成するイオンの一時的漏洩を起こす。従って、それらの設計は、細菌の増殖または繁殖に対するファージの能力を要求しない。
【0006】
多くの場合に、細菌は、DNAの吸着および吸着をファージに可能とさせるがしかし引き続いて注入されたDNAを破壊しそしてファージ増殖を防止する「制限システム」を有する。細菌を検出するためにファージの増殖を用いる全てのシステムにはこの制限が課せられるが、しかし本設計にはそうではない。本イベントは、細菌が増殖するかどうかには関係なく起きる。完全に開発されたシステムで自然的に生まれる他の利点は、可搬性、速度、信頼度/精度、および低コストである。本システムは、検出されるべき各細菌株に対
して特異性のバクテリオファージを必要とするが、しかし、本発明は新しいバクテリオファージの単離および特性決定を可能とする。
【0007】
一つの態様では、本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を含んでなるナノ−ウエルデバイス、およびギャップにおけるまたはその周囲におけるバクテリオファージもしくは細菌または両者を含む細菌および/またはウイルス(例えばバクテリオファージ)の検出のための装置および方法を含み、ここでギャップにおける流体内の電場変動は、バクテリオファージに暴露された細菌が存在しない現状を示す。
【0008】
本発明は、細菌検出のためのナノ−ウエルデバイスおよび方法を含む。本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイス、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるおよび/またはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む装置を含む。
【0009】
本発明は、細菌を検出するための方法も提供する。該方法は、ギャップにおいてまたはその周囲において1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有するキャップ周囲における1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイスを液体試料と接触させ、そして、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的と接触した場合に生成される1個もしくはそれ以上の電場変動を検出することを含み、これによりギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す。
【0010】
本発明は、基体および基体上に配置されたナノウエル・デバイスを有するナノ−ウエルセンサーを含む。ナノウエル・デバイスは、ギャップ周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標識を接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるもしくはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む。
【0011】
ナノ−ウエル・センサーを作製するための方法も含まれる。ナノ−ウエル・センサーは、基体上にギャップ周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を形成することにより製作される。1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが流体試料内の同族体標的と接触した場合に、検出可能な電場変動の引き金を引く1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが、ギャップにおいてまたはその周囲において備えられる。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本発明の種々の態様の作製および使用は、以下に詳細に記載するが、本発明が特定の範囲で広く変化して実現できる多数の適用可能な発明的概念を提供することは認められるべきである。本明細書内で考察する特定の態様は、本発明を作製および使用する際の特定の方法の単なる例示でありそして本発明の範囲を限定はしない。
【0013】
本発明の理解を容易とするために、多数の用語を以下に定義する。本明細書内で定義される用語は、本明細書内では、本発明に関連する領域内の通常の熟練者により通常理解される意味を有する。「a」、「an」、および「the」の用語は、単一の実体のみに言及するのみならず、さらに特定の例が例示として使用できる一般的な分類を含むことを意図する。本明細書内の用語は、発明の特定の態様を記述するために使用されるが、しかしそれらの使用は、特許請求範囲で輪郭を述べられたものを除いて、本発明を限定するものではない。
【0014】
本明細書内で使用される場合に、「デポジットする」の用語とは、層の配置もしくは設
置またはプロセスによる敷設もしくは残置を指す。各種の機構が1枚もしくはそれ以上の層をデポジットするために使用されてもよく、それには電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場(in−situ)重合またはそれらの組合せを含んでなる1個もしくはそれ以上の層が含まれる。層は性質が均質でも不均質でもよい。さらに、デポジットされる層は、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノチューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。
【0015】
本明細書中に使用される場合に、「金属」、または「金属を含む」の用語とは、金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、クロム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケルなど、それらの合金または組合せを指す。金属化合物は、窒化チタン、チタン・タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。本明細書中に使用される場合に、「エッチング」の用語は、表面からその全体または一部を切り込むまたは取り除くことを指し、例えば反応性イオンエッチングである。
【0016】
本明細書中に使用される場合に、「暴露する」または「暴露」の用語とは、1個もしくはそれ以上の領域の一部の除去として定義される。領域は1個もしくはそれ以上のピンの側部上、ピンの先端上またはそれらの組合せであってもよい。除去は、化学的および/または機械的平面化、レーザーアブレーションまたは化学的除去を介して起きてもよい。
【0017】
本明細書中に使用される場合に、「基体」の用語とは、下に置かれる層であってそしてその表面に或る材料がデポジットされるとして定義される。基体は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英またはそれらの組合せを含む部分的透明物質であってもよい。基体は、1種もしくはそれ以上の生物活性物、生分解性物、導電体、熱伝導体、多孔体、誘発可能物、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0018】
本発明のパッドは、多数の公知の接合技術のいずれか、例えば、それらに限定はされないが、ワイヤ接合、フリップチップ接合およびテープ自動化接合を使用して接合されてもよい。「プローブ」の一部として使用される場合には、それらの接触パッドは、一般に、プローブ表面で検出されるシグナルを最大化するように広い表面積を有する。一つの例では、アルミニウム、金、銅、ハンダ、または同様の物質から成るボールまたはハンダ接合が、接触パッドに接合される。ワイア接合する場合には、接触の部位はチゼル接合と呼ばれる。接触パッド(単数および複数)は、暴露され覆われていない。接触パッドおよび/またはそれから形成される層は、導電性材料、例えば半導体および/または導電性金属、例えばアルミニウムおよび/または銅から作製されてもよい。接触パッド層の下に補強層を配置することが通常である。補強層の例は、強い「無反応性」金属、例えばチタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、ニッケル、窒化ニッケル、タンタル、窒化タンタル、窒化タンタルケイ素、およびそれらの組合せ/合金から作製されたものである。
【0019】
本発明に関連して使用されてもよいファージの例は、当該技術分野の熟練者には公知のように公知の細菌標的と共に入手可能であるかまたは可能となるすべてのものを含む。例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type
Culture Collection)(ATCC)から、細菌およびバクテリオファージのカタログとして公開されて入手できるファージ型の表である。その他のかかる寄託機関も、それらのカタログに同様のデータを公開しており、そしてそれは本方法で使用するために可能性があるファージを同定するために使用されてもよい、ファージは、なかでも、水性またはその他の浮遊液内で使用されそして冷凍乾燥形態、噴霧乾燥、真空乾燥およびその他の形態で供給されてもよく、それは例えば本発明の入力/出力パッドをウエル内に含むマイクロタイタープレートの一部である。一般に、ファージは溶解性であり、標
的生物体の溶解に導いてもよいが、しかし一定の用途では、ファージは不完全でありそしてそれらの標的の細胞質に接触およびその中への注入に際して発生される所要のイオン性シグナルを提供するのみであてもよい。
【0020】
本発明はナノ−ウエルデバイスおよび細菌を検出するための方法を含む。本発明はナノ−ウエルデバイスを含む装置を含み、ここで、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触すると検出可能な電場変動の引き金を引く。
【0021】
本発明は、生きている細菌を数分間以内に特異性をもって同定できる、細菌検出および同定方法「ファージが引き金を引くイオン・カスケードの検出法(SEPTIC)」を提供する。本方法は、バクテリオファージ感染の後、細菌が約108個のイオンを周囲流体内に放出しそしてこのイオン放出により誘導される電圧変動が、数ミクロンの大きさの2枚の薄い金属膜電極を用いて検出できるという事実を利用する。
【0022】
例えば、本発明はギャップ周囲に1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエル・デバイスおよび1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料中で同族体標的に接触すると検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む装置を提供する。ギャップは約50〜約500ナノメートルでありそして1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、ボール接合、ワイア接合、テープ接合、チゼル接合およびそれらの組合せを用いて結合されたFET、JFET、MOSFET、OSFET、もしくはSPRセンサーを含む。さらに、1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、増幅器、前置増幅器、接触部、スイッチ、トランジスターおよびそれらの組合せと電気通信状態である。
【0023】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触は、種々の時間および振幅スケールを有する無作為的波を起こす。発生する検出可能な電場変動は、ほぼ1/f、1/f2形およびそれらの組合せのパワー密度スペクトルを含む。1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標識との間の接触は、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを有する1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす。
【0024】
ファージに対する同族体標的は、エシェリキア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、サルモネラ(Salmonella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、シゲラ(Shigella)、リステリア(Listeria)、アエロバクター(Aerobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、クラミジア(Clamydia)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ニューモコッカス(Pneumococcus)、ネイッセリア(Neisseria)、クロストリジウム(Clostridium)、バチルス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオ(Vibrio)、セラチア(Serratia)、プロビデンシア・ファージ(Providencia phage)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、ブルセラ(Brucella)、イェルシニア(Yersinia)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)およびそれらの組合せを含み、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、S.ムタンス(mutans)ファージ、バチルス(Bacillus)ファージΦ29、アクチノミセス(Actinomyces)ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージ
f1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0025】
本発明は、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有するギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を有するナノ−ウエルデバイスを、液体試料と接触させ、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的に接触した場合に発生する1個もしくはそれ以上の電場変動を検出することにより細菌を検出する方法であって、ここでギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す方法も提供する。
【0026】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす。同族体標的は、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1個もしくはそれ以上の細菌を含みそしてバクテリオファージは、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0027】
本発明は、基体および基体上に配置されたナノウエルデバイスを有するナノ−ウエルセンサーを含む。ナノウエルデバイスは、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含む。
【0028】
本発明は、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成し、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的と接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを提供することによるナノ−ウエルセンサーを製作する方法を提供する。
【0029】
基体は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せを含み、そして1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せにより形成されてもよい
。1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部は、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せを含んでなる。さらに、液体試料に暴露するために位置されたギャップを有する1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部の少なくとも一部の上に絶縁層がデポジットされた。
【0030】
ファージに対する同族体標的は、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択された1種もしくはそれ以上の細菌を含みそして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージは、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含む。
【0031】
図1A、1Bおよび1Cは、3種の異なるバクテリオファージ形態を示す電子顕微鏡写真である。図1Aは、約48.5kb DNAおよび150nmの柔軟な尾部を有する50nm正二十面体頭部を有するバクテリオファージλ「シフォファージ」である。バクテリオファージλは、4個の側方尾部ファイバーを有する。図1Bは、約40kb DNAおよび20nmのずんぐりした尾部を有する60nm正二十面体頭部を有するバクテリオファージT7「ポドファージ」である。バクテリオファージT7は、尾部スパイクおよび6個の尾部ファイバーを有する。図1Cは、約170kb DNAおよび115nm収縮性尾部を有する80nm X110nmの細長い正二十面体頭部を有するバクテリオファージT4「ミオファージ」である。バクテリオファージT4は、6個の尾部の短ファイバーおよび6個の長い尾部ファイバーを有する。バクテリオファージλ、バクテリオファージT7およびバクテリオファージT4に加えて、その他のバクテリオファージも本発明に使用されてもよく、例えば、S.ムタンス・バクテリオファージ、アクチノミセス・バクテリオファージ、バチルス・バクテリオファージΦ29、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージPIおよびそれらの組合せである。それに加えて、熟練者は、所望の細胞/株を誘引するために本発明に使用されてもよい多数のその他のバクテリオファージを認めるであろう。
【0032】
それらすべてのファージ型に対して、細菌細胞表面への吸着は、簡単な二体衝突動力学により規定され、ここで速度定数は約10−10〜約10−12ml/(細胞・秒)の範囲である。従って、約109ファージ粒子/mlの容易に到達できる濃度において、標的細菌の約90%以上が、細菌細胞濃度とは関係なくそして完全な特異性をもって、数秒間ないし数分間以内で感染され得る(すなわち、非標的細菌は吸着速度および特異性に影響しない)。ミオファージおよびシフォファージでは、ファージDNAが細菌細胞エンベロープを通って輸送されるプロセスは迅速かつ高度に効率的である(7)。
【0033】
それらの型のファージ(ポドファージを除く)にとって、透過型電子顕微鏡よび電気生理学を含む多数の系統の証拠が、DNAが通る細胞質膜内に形成される一時的チャンネルがあることを示す。このチャンネルは、宿主細胞質膜の一時的脱分極を起こし、それは正常では約−180mVに維持されている(外面が正)(5、9)。DNAが細胞質に到達
した後、ファージ粒子はチャンネルを閉めさせ、宿主膜をエネルギー化の正常状態へ復帰させ、そして感染サイクルが進行する。チャンネルが開いている期間内に、推測すると、このチャンネルを通って、膜を貫通しそして外部液体内へのかなりのイオンの流れが起きる(4)。
【0034】
放出されたイオンは細菌の周囲で早いブラウン運動を受けそして多数が細胞の近辺から逃げることができる。この事実および異なるイオン全体の放出の電荷不均衡が細菌の一時的帯電および時間的変動を起こすであろう。この一時的な中和されない荷電およびタイミングの無作為性およびイオン放出の空間的方向、および放出イオンのブラウン運動のそれらが、ミクロンまたはサブミクロンの大きさの確率論的な空間時間的電場変動を生成する。バクテリオファージ感染の数十年にわたる研究に基づくと、それらの電場変動はナノスケール検出器の構造により検出できることが示される。
【0035】
感染関連イオン流出を再現しそして一般性を確立するために、最初の研究は、宿主として低い運動性の大腸菌(Escherichia coli)W3110(ΔfhuA)株(λs)を用いて、バクテリオファージλ(λΔstf tfa::cat cI857 S105、尾部ファイバーを欠く)、およびUr−λ(λ wt、尾部ファイバーを有する)を用いて行われた。耐性株として同質遺伝子系宿主変異株λR(大腸菌W3110ΔfhuA ΔlamB)が使用され、ここで適当なファージ受容体はなかった。lamB遺伝子の欠失は、ファージに絶対的な耐性を与え、従ってイオンの注入漏洩は予想されなかった。一つの例では、バクテリオファージT5、野生型大腸菌株W3110を感受性宿主(T5s)として、そして同質遺伝子系宿主変異株大腸菌W3110(ΔfhuA)を耐性株(T5R)として使用した。BoulangerおよびLetellier(1988)の古典的な研究に基づくプロトコールに従った。この基本プロトコールは、精製したファージ原料(例えば約2x1010pfu/ml)を宿主細胞(例えば中間対数相細胞、洗浄しそして5mM MgSO4中に再浮遊)を等しい比率で時間0において混合し、種々の時間、37℃でインキュベーションし、チップにアリコート(例えば5μl)を加え、そして一定時間(例えば2分間)におけるイオン放出により変動を測定することを含んでいた。
【0036】
本発明は、特別に設計されたナノ−ウエルデバイスを含み、そして約100nmのギャップ大きさを有するチタン電極の横型ミクロンサイズの蓄電器を含み、良く研究された実験室細菌である大腸菌の細菌細胞の近辺における流体中の電場変動を測定する。細菌の感染の前には電場変動は小さくそしてそれらのパワー密度スペクトルはほぼ1/f形を有していた。ファージ侵入の後には、種々の時間および振幅スケールを有する大きくてゆっくりとした確率論的波が観察された。それらの変動は、約1〜約10Hzの周波数範囲内で近似的に1/f2形を有するパワースペクトルを有していた。試験ファージに耐性である細菌(すなわち、細菌表面において特異性ファージ受容体を持たない細菌)を用いる重要な対照研究は、変動の増加もまたはゆるやかな波動変動動力学も示さなかった。
【0037】
電場変動は、特定目的のナノ−ウエルデバイスにより検出された。ナノ−ウエルセンサーデバイスのパターン形成は、二つのプロセスを含む:第一は、電子ビームリトグラフィー(EBL)がナノ−ウエル(150mm*60mm)を書き込むために使用された;次いで接触フォトリトグラフィーが二個の大きい接触パッド(5nm*5nm)および2個のパッドを連結するブリッジ(100μm*4μm)をパターン形成するために使用された。パッドは、外部回路との電気的連結のために使用され、一方ブリッジは、パッドとナノ−ウエルとを連結する。
【0038】
チップの側面図と平面図を図2Aおよび2Bに示す。図2Aは、ナノスケール検出器の一つの態様の側面図である。ナノスケール検出器10は、前置増幅器モジュール12、シ
グナル受信モジュール14およびナノウエルセンサーデバイス16を含む。シグナル受信モジュール14は、前置増幅器モジュール12と通信状態にある。通信は直接に配線されるか、ネットワークを介して接続されるか(例えば無線または有線)、または後で送信するために電子メディア上に記憶される。前置増幅器モジュール12は、少なくとも第一プローブ18および第二プローブ20に接続され、それらはナノ−ウエルセンサー16と通信状態である。前置増幅器モジュール12は、多数のプローブ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11またはそれ以上のプローブに接続されてもよい。第一プローブ18は、少なくとも部分的にフォトレジスト被覆22を部分的に貫通して第一接触パッド24と接触する。第二プローブ20は、少なくとも部分的にフォトレジスト被覆22を部分的に貫通して第二接触パッド26と接触する。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体28の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体28の上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一プローブ18と第二プローブ20を分離するフォトレジストギャップ32を有する。一つの例では、シグナル受信モジュール14は、ML750 Powerlab/4spであり、そして前置増幅器モジュール12はSR560である。しかし、熟練者は、その他の前置増幅器およびシグナル受信モジュールも使用できることを認めるであろう。
【0039】
一つの例におけるフォトレジストギャップ32は8μmである。しかし、フォトレジストギャップ32は2μm〜16μmの間にあってもよい。電極ギャップ30は150nmであるがしかし特定の用途によっては約100nm〜約200nmの間であってもよい。フォトレジストギャップ32および電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0040】
図2Bは、本ナノスケール検出器を用いる回路を示す。図2Bは、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッド20および第二接触パッド26を少なくとも部分的に覆っている。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38とを分離する第二接触チップ38を有し、それらは一方では第一プローブ(図示せず)と第二プローブ(図示せず)とを分離する。第一プローブ(図示せず)および第二プローブ(図示せず)は前置増幅器モジュール(図示せず)または他の回路(図示せず)の形に電気回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際にはブリッジの中央にある幅150nmおよび長さ4μmのギャップであり、図2Bに示される。フォトレジストギャップ32および電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0041】
一つの例におけるフォトレジストギャップ32は8μmである。しかし、フォトレジストギャップ32は2μm〜16μmの間であってもよい。電極ギャップ30は150nmであるが、しかし特定の用途に応じて約100nm〜約200nmの間であってもよい。分析物ウインドウ34は、第一接触パッド24の一部である第一接触パッドチップ36および第二接触パッド26の一部である第二接触パッドチップ38の上のフォトレジスト被覆22内に位置される。第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38の少なくとも一部は分析物ウインドウ34内に伸びている。第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38は、必要とされるいかなる寸法、例えば幅約4μmおよび長さ約8μmであってもよい。一般に、分析物ウインドウ34は8μmX6μmである。しかし熟練者は、ウインドウはさらに大きくてもまたはさらに小さくても良いことを認めるであろう。
【0042】
電場によりナノ−ウエルデバイス16上に誘導される電圧変動は、高い入力インピーダンス(約100Mオーム)を有する低ノイズ前置増幅器12 SR560により増幅され
そしてシグナル受信装置14 ML750 PowerLab/4SP内に送られ、それは図2に示されている。変動のパワー密度スペクトルは、Dynamic Signal
Analyzer SR785(図示せず)により決定された。一つの態様では、ナノ−ウエルデバイス16は二重スクリーニングボックス(Amuneal Manufacturing Corp)(図示せず)内に配置される。二重スクリーニングボックス(図示せず)および前置増幅器14は、振動防止台100BM−2(Nano−K)(図示せず)上に設置されて振動により起きる可能性がある人工的な影響を避ける。パワー密度スペクトルSu(f)の決定の時間ウインドウは、約2分間である。
【0043】
チップの側面図および平面図を図3Aおよび3Bに示す。図3Aは、ナノスケール検出器の別の態様の側面図である。ナノスケール検出器10は、前置増幅器モジュール12、シグナル受信モジュール14およびナノ−ウエルセンサーデバイス16を含む。シグナル受信モジュール14は前置増幅器モジュール12と通信状態にある。通信は、直接配線、ネットワークを介する接続(例えば無線または有線)または後で通信するために電子メディア上に記憶される。前置増幅器モジュール12は、第一または後で送信するために電子メディアに記憶される。前置増幅器モジュール12は、少なくとも第一プローブ18および第二プローブ20に接続され、それらはナノ−ウエルセンサーデバイス16と通信状態にある。前置増幅器モジュール12は、多数のプローブ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11またはそれ以上のプローブと接続されてもよい。第一プローブ18は、少なくとも部分的に第一接触パッド24と接触する。第二プローブ20は、少なくとも部分的に第二接触パッド26と接触する。第一接触パッド24および第二接触パッド26は基体層28の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層28の上に位置して電極ギャップ30を形成する。一つの例では、シグナル受信モジュール14は、ML750 Powerlab/4spであり、そして前置増幅器モジュール12はSR560である。しかし、熟練者は、その他の前置増幅器およびシグナル受信モジュールも使用できることを認めるであろう。電極ギャップ30は液体試料と接触するように配置される。
【0044】
図3Bは、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。第一接触パッド20および第二接触パッド26は、基体層上にある(図示せず)。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。電極ギャップ30は、液体試料に接触するように位置される。
【0045】
電極ギャップ30は100μmであるが、しかし特定の用途に応じて約60nm〜約200nmの間であってもよい。第一接触パッド24および第二接触パッド26はギャップ電極30を形成する。第一接触パッド24および第二接触パッド26の少なくとも一部が分析物または液体試料(図示せず)と接触する。
【0046】
一つの例において、基体層28はシリコン基体である。しかし、基体層28は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せであってもよい。さらに、基体は生物活性、導電性、熱伝導性、多孔性、またはそれらの組合せである1種もしくはそれ以上の薬剤を含んでもよい。
【0047】
第一接触パッド24および/または第一接触パッド26はチタンである。しかし、接触パッドは、個別に金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。追加して、1枚もしくはそれ以上の層は、生物活性、生分解性、導電性、熱電導性、多孔性、誘発可能性またはそれらの組合せであってもよい。さらに、1枚を越える層がデポジットされてもよい。例えば、材
料の第二層は接触層上にデポジットされてもよくそして材料は異なる材料であってもよい。あるいは、接触層は異なる材料であってもよく、異なる材料の第一接触パッドおよび第二接触パッドが作製される。接触層は、例えば電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含む各種の方法を介してデポジットされてもよい。
【0048】
本発明の一つの態様では、チタンが、接触層および他方では第一接触パッドおよび第二接触パッドの材料として使用されてもよい。しかし他の金属、合金、含浸材料、導電性ポリマーまたは金属を含む化合物を使用してもよく、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニッケルなど、それらの合金またはそれらの組合せである。金属化合物も窒化チタン、チタン タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。
【0049】
さらに、本発明は、フォトレジスト被覆22を含んでもよく、それは一つの例ではHekisuto K.K.,の商標名AZ5214である。しかし熟練者は、フォトレジスト被覆は、光画像性(photoimagable)ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノヴォラックに基づくポジティブ・フォトレジスト、カード(cardo)タイプフォトポリマー、A4110、AZ1370などであってもよいことを認めるであろう。
【0050】
一定の工程でエッチングが行われそして熟練者には公知のいずれかの適合する技術、例えば反応性イオンエッチング、Cf4/O2プラズマを介して達成されてもよい。例えば、Plasma−Therm790 Systemが、約150ミリバール、毎分16標準立方センチメートル(sccm)のCF4および平方cmあたりに0.12ワットで全体で約5〜10分間のエッチング条件で使用されてもよく、また別の適するパラメーターも使用できる。
【0051】
本発明のナノメートルスケールの設計(例えばナノ−ウエル設計)に加えて、本発明はさらに大きい検出器、例えばミクロ−ウエルも含む。ミクロ−ウエルはナノ−ウエルと類似するが、しかし流体と前置増幅器との間の流電カプリングを伴う接触面積が500,000倍大きい。図3は、ミクロ−ウエルチップの側面図および平面図を示す。ナノ−ウエルでは、非吸着性ファージおよび細胞の存在下で、電場変動は小さく、ほぼ1/f形のパワー密度スペクトルを示す(図4)。
【0052】
図4は、尾部ファイバーを欠くバクテリオファージλおよびバクテリオファージT5の結果のグラフである。インキュベーション時間は5分間であった。ネガティブ応答の場合(λRおよびT5R)、ナノ−ウエル内の電圧変動のスペクトルは、ほぼ1/f形に従っている。ポジティブ応答の場合(λSおよびT5S)、変動は増加し、1/f2形のより急な勾配のスペクトルとなった。
【0053】
バクテリオファージが侵入した後、大きくゆっくりとした確率論的波が種々の時間および振幅スケールで検出された。それらの変動は、約1〜10Hzの周波数範囲内でほぼ1/f2形のパワースペクトルを有していた。検出の真の機能性は、尾部ファイバーを有するバクテリオファージの場合に予期される。Ur−λを用いる研究は、約1分間〜5分間のインキュベーション前時間の間に高い電気的変動をもたらし、限定された時間内のみでの迅速な吸着プロセスを示す(図5)。尾部ファイバーの存在は、受容体への効率的な付着を加速するに違いない。
【0054】
図5は、尾部ファイバーを有するバクテリオファージUr−λを用いた結果のグラフである。大腸菌W3110(ΔFhuA、ΔlamB)株(λR)を用いた非注入の場合に
は、スペクトルは再び1/f様であった。注入イベントが起きると、約1分間またはそれ以上のインキュベーション時間に対して強い1/f2形スペクトルが現れた。
【0055】
さらに、すべてのポジティブおよびネガティブの場合のスペクトルは、ナノ−ウエルデバイス中でもミクロ−ウエルデバイス中でも同様であった。図6参照。この結果は、変動が空間および時間に関して無作為的であることを示す。それらは大きい検出器内では平均化されるので、ナノ−ウエルまたはそれより小さい検出器システムがそれらを観察するために必要である。
【0056】
図6は、ミクロ−ウエルデバイスで測定されたスペクトルが、バクテリオファージ感染に対していかなる観察可能な依存性も示さないことを示すグラフである。この事実は、電場変動および電荷密度変動が空間および時間で無作為的であり、大きい検出器を用いると平均化されることを示す。
【0057】
図7A〜7Eは、本発明のバイオチップの作製における段階を示す。要約すると、一連のリソグラフおよびエッチング段階が図示のように続いてナノ−ウエルデバイス16が形成される。図7Aは、基体層28の上にデポジットされた接触層40の側面図を示す。犠牲リソグラフ層42が接触層40の上にプリントされる。図7Bに示すように、接触層40を貫通して基体層28に至るような開口を作るために、方向性エッチングプロセスが使用される。図7Cは、接触層40の上へのレジスト層44配置の側面図である。方向性エッチングプロセスが、接触層40の一部を基体層28まで除去するために使用され、それは図7Dに示される。レジスト層44が除去されると、第一接触パッド24および第二接触パッド26が基体層28の上に電極ギャップ30により分離されて残留し、それは図7Eに示される。一つの例では、基体層28はシリコンであり、そして接触層40はチタンである。犠牲リソグラフ層は、接触層40の上にプリントされたポリメチルメタクリレートであり、そして方向性エッチングは、接触層40を通って基体層28に至る開口を作るために使用される。一つの例では、チタンの100nm層がデポジットされそして電子ビームリソグラフィーおよび活性イオンエッチングが幅150nm、長さ60μmの溝をパターン形成するために使用される。さらに、電子ビームリソグラフィーおよび活性イオンエッチングは、幅4μ、長さ100μmのブリッジをパターン形成するために使用される。溝とブリッジとの交点は、幅150nm、長さ4μmのナノ−ウエルを形成する。
【0058】
図8は、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の光学写真の平面写真である。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッド24および第二接触パッド26の少なくとも一部を覆う。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)の上にある。第一接触パッド24および第二接触パッド26は、基体層(図示せず)の上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36と第二接触パッドチップ38とを分離するフォトレジストギャップ32を有し、それらは一方では第一プローブ18と第二プローブ20とを分離する。第一プローブ18および第二プローブ20は、前置増幅器12またはその他の回路(図示せず)の形態の電気回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際には、図8に示すように、ブリッジの中央部にある幅150nmおよび長さ4μmギャップである。
【0059】
図9は、本ナノスケール検出器を使用する回路を示す。図9は、本発明のナノ−ウエルセンサーデバイス16の平面図である。フォトレジスト被覆22は第一接触パッド24および第二接触パッドの少なくとも一部を覆う。第一接触パッド24および第二接触パッドは基体層(図示せず)上にある。第一接触パッド24および第二接触パッドは基体層(図示せず)上に位置して電極ギャップ30を形成する。フォトレジスト被覆22は、第一接触パッドチップ36および第二接触パッドチップ38を分離し、それは一方では第一プローブ18と第二プローブ20を分離するフォトレジストギャップ32を有する。第一プロ
ーブ18および第二プローブ20は、前置増幅器12の形態の電気回路またはその他の回路に接続される。ナノ−ウエルは、実際には、図9に示すように、ブリッジの中央部にある実際には幅150nmおよび長さ4μmギャップである。
【0060】
一定の段階でエッチングが行われそして熟練者には公知のいずれかの適合する技術、例えばCf4/O2プラズマを介して達成されてもよい。例えば、Plasma−Therm 790Systemが、約150ミリバール、毎分16標準立方センチメートル(sccm)のCF4および平方cmあたりに0.12ワットで全体で約5〜10分間のエッチング条件で使用されてもよく、また別の適するパラメーターも使用できる。
【0061】
犠牲リソグラフ層は、犠牲リソグラフ層として使用されてもよいいかなる適合する物質も含んでもよい。一つの例では、基体層28は、シリコン基体である。しかし基体層28は、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリカ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウム、もしくは金属またはそれらの組合せであってもよい。さらに、基体は、生物活性、導電性、熱伝導性、多孔性またはそれらの組合せである1個もしくはそれ以上の薬剤を含んでもよい。
【0062】
接触層40は、第一接触パッド24および/または第二接触パッド26であってもよく、チタンであるが、しかし、接触パッドは、個別に、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せであってもよい。さらに、1個もしくはそれ以上の層は、生物活性、生分解性、導電性、熱伝導性、多孔性、誘発可能、またはそれらの組合せであってもよい。さらに、1枚を越える層がデポジットされてもよい。例えば、材料の第二層は、接触層上にデポジットされてもよくそして材料は異なる材料であってもよい。あるいは、接触層は異なる材料の第一接触パッドおよび第二接触パッドが作製されるように異なる材料であってもよい。接触層は、例えば、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含む種々の方法によりデポジットされてもよい。
【0063】
本発明の一つの態様では、チタンが、接触層およびさらに第一接触パッドおよび第二接触パッドの材料として使用されてもよい。しかし他の金属、合金、含浸材料、導電性ポリマーまたは金属を含む化合物も使用してもよく、例えば金、銀、白金、銅、アルミニウム、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、ニッケルなど、それらの合金またはそれらの組合せである。金属化合物は窒化チタン、チタンタングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデンなどであってもよい。
【0064】
さらに、本発明は、フォトレジスト被覆22を含み、それは一つの例ではHekisuto K.K.,の商標名のAZ5214である。しかし熟練者は、フォトレジスト被覆は、光画像性ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノヴォラックに基づくポジティブ・フォトレジスト、カードタイプフォトポリマー、A4110、AZ1370などであってもよいことを認めるであろう。
【0065】
一般に、電解質中のデバイ距離(静電遮蔽距離)は、ミクロンよりはるかに小さい。いずれの静電電場も、デバイ距離を越えると指数関数的に減衰するテイルのように遮蔽され、イオン化された対象物が検出電極のごく近辺にない場合には、電解質内の物理的条件が好ましくないことを示す。例えば、約106細菌/mm3の細菌の濃度を有する約10ミクロンの大きさの四角形の薄膜電極は、平均して10ミクロンの立方体内に細菌1個が存在する。従って、電極の近辺にはただ1個の細菌が存在するのみであり、電極からの細菌の平均距離が数ミクロンなので、細菌はごく近辺には存在しない。従って、電場はデバイ長さをはるかに越えると指数関数的に減衰するので、例えば直接接触よりは一桁低い非常
に低いイオンシグナルが予想される。
【0066】
しかし、2枚の電極の間の電解質を通って直流電流を流すと、状況は根本的に変化しそしてデバイ理論が適用できずそして定常的な長距離電場が電解質を通って広がる。この電場は、細菌が表面と直接接触できる電極まで荷電(例えば感染)した細菌を引き寄せることができる。本方法の大きい利点は、それがSEPTIC検出方法に関して活性(例えばイオン放出)な細菌だけを誘引することである。与えられた細菌がそのイオン放出を終えそしてその過剰な電荷が中和されると、直ちに電場とのその相互作用が停止しそして電極から拡散して去る。
【0067】
本方法の物理的解析および実行可能性。細菌のイオン放出の動力学および電荷分布の詳細は完全には知られていないが、簡単な物理的考察で、SEPTIC技術の感度の上昇の有効性に関するいくらかの粗い推定が可能である。拡散定数、拡散時間および平衡イオン化数はすでに報告されそしてそれ以外の考察は新規である。
【0068】
粘度ηを有する流体内の半径rを有する球体の拡散定数は、ストークスの法則により与えられる。
【0069】
【数1】
【0070】
直径1ミクロンの球状細菌に対して、水中の拡散定数は下記である。
【0071】
【数2】
【0072】
従って、上記の例を採用すると、10ミクロンの大きさの立方体(上記参照)を通過する拡散時間は、下記である(〔3〕も参照のこと)。
【0073】
【数3】
【0074】
この実際的例において、10ミクロンの大きさの立方体内に細菌は平均して1個が存在するので、この結果は、直流電流がない場合に、SEPTIC測定の典型的な期間(例えば約120秒間)の間に、我々は一個の細菌からのイオンを測定できるのみであることを意味する。さらに低い濃度では、我々はいかなる細菌シグナルも得ることができないであろう。
【0075】
荷電した細菌は、ファージ感染の後に約108個のイオンを放出するが、しかし、ネットの電荷は、クーロンエネルギーにより強く制限される。例えば、細菌はZBq(ここでqは電気素量そしてZBはイオン化数である)に荷電され、従ってそれに必要な全エネルギーは、以下のように見積もられる。
【0076】
【数4】
【0077】
さらに荷電を増加しそしてΔZBだけイオン化数を増やすために必要なエネルギーは、以下のように近似できる。
【0078】
【数5】
【0079】
従って、ミクロンの大きさの細菌の上記の例において、イオン化数を1だけ増やすと、下記のエネルギーとなる。
【0080】
【数6】
【0081】
第一に、実際の状況に適合する最低限界である熱活性化イオン化プロセスを仮定すると、
【0082】
【数7】
【0083】
従って〔13〕、
【0084】
【数8】
【0085】
となる。
【0086】
しかし、〔13〕中で考慮されていなかったことは、被動(driven)非平行系はこの限界を持たないので、実際のイオン化数はかなり大きいであろうという事実である。イオン放出が1eVの特性エネルギーを有する電気化学力により駆動されるとすると、
【0087】
【数9】
【0088】
および
【0089】
【数10】
【0090】
となり、1ミクロンの大きさの細菌の極大イオン化数は1000〜30,000の範囲内である。
【0091】
イオン化数に対する電気的輸送性の推定。移動度と拡散定数との間のアインシュタイン式の適用は下記となる。
【0092】
【数11】
【0093】
直流電場Edc内の荷電細菌のドリフト速度は下記である。
【0094】
【数12】
【0095】
10,000qに荷電された1ミクロン大きさの細菌に対する1V/m電場では、下記となる。
【0096】
【数13】
【0097】
1000V/m電場、例えば0.1Vの電圧で100ミクロンの距離スケールでは、ドリフト速度は0.18mm/秒であり、100ミクロンの距離内のすべての細菌は1秒以内に電極で捕捉されるであろう。従って、細菌は流体を通ってドリフトできそして早い速度で電極で捕捉される。
【0098】
細菌数の電流密度は下記である。
【0099】
【数14】
【0100】
直流電流Iが流体内の背景イオン流れにより支配されるとすると、下記となる。
【0101】
【数15】
【0102】
すなわち、細菌電流密度は次式を満足する。
【0103】
【数16】
【0104】
シグナル増加の推定は、イオンカスケードの生成の機構およびそれに対する電場の可能な影響を正確に知らない限り容易ではない。しかし、簡単な推定は、観察された変動が1/f2形のパワー密度スペクトルを有するという事実を利用すると可能である。従って、増加する電流による細菌流れの加速は、加速された変動に帰することができる。スペクトルA/f2を有する記録された1/f2ノイズは、f→Kf変換のためにKの因子だけ増加される速度をもってプレイバックされる場合に、k2A/f2のスペクトルを有する。従って、上記の議論から、スペクトルは下記のようにスケーリングされる。
【0105】
【数17】
【0106】
電流が増加すると、それよりも速く変動が増加する。電極は、イオンカスケードの寿命内で多数の細菌を蓄積し、それは相互相関効果により変動の振幅が増加することも意味する。この増加が細菌流れJBと線型にスケーリングされるとすると、その効果はパワー密度スペクトルのI2によるスケーリングももたらす。従って、二つの別々の効果のために、下記となる。
【0107】
【数18】
【0108】
さらに、上記の二つの効果は、単一物理機構の二つの側面であろう(例えば細菌の空間電荷とは無関係ではなくまたは別の場合に、第二の効果は一定の電流密度、周波数および特性飽和時間の後に飽和するであろう)、従って、推定を下記のように結論することが適当である。
【0109】
【数19】
【0110】
式中、2≦X≦4である。
【0111】
式19により記述されたパワースペクトルのスケーリング/増加は、デバイ遮蔽の排除によりすでに増加したシグナルに該当し、それは直流電流が存在する場合に「活性」細菌が電極に接触するからである。例えば、0.25ミクロンのデバイ遮蔽距離および直流電流が存在しないと、電極から細菌まで3ミクロンの有効距離の場合には、電極に接触する細菌に伴う直流電流状態は、約exp〔3/0.25〕≒15,000倍増加した電場を与える。デバイ遮蔽排除による増幅は、次の層がデバイ遮蔽の増加を受けるので、電極上の細菌の第一層までのみ全長で作用する。
【0112】
最後に、この簡単な描写が、固定された電流および電極大きさの場合に、電極間のギャップ大きさの増加は、この増加技術に効率の上昇をもたらすであろうことを示唆する。
【0113】
直流発電機により電極に給電する技術、すなわち直流電流を電極に通すことにより、S
EPTICの感度を数桁増加できる。この結果は、ギャップの大きさがナノメートル範囲である必要はなくそしてより大きいギャップ大きさは増加をさらに効率的にできることを示す。
【0114】
最後に、本推定/計算が大きく簡略化されておりそしてデバイ電気泳動理論を考慮するとそれが著しく洗練されることを認めることが重要である。
【0115】
本発明に使用される基体は、ガラス、プラスチック、ポリマーまたはそれらの組合せを含む一般的に透明な材料であってもよい。一般的に使用される材料は、下記の1種もしくはそれ以上を含む:基質と第一層の間、層の間またはそれらの組合せにデポジットされるSi、単結晶Si、窒化ケイ素組成物(SiNx)、酸化ケイ素組成物(SiOx)、またはチタン(Ti)。
【0116】
本発明に従って、広範囲の光画像性ポリマー、例えば光画像性ポリイミド、光画像性ベンゾシクロブテン、光画像性エポキシ、ノボラックに基づくポジティブフォトレジスト、カードタイプフォトポリマー、などが使用されてもよい。二官能性エポキシ化合物も、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical Co.から商標名”Epon 828”、”Epon 1004”、”Epon 1001F”、”Epon SU−8”および”Epon 1010”、Dow Chemical
Co.から”DER−331”、”DER−332”、および”DER−334”)として入手できるもの、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセン カルボキシラート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4221”)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセン カルボキシラート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4201”)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−4289”)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えばUnion Carbide Corp.からの”ERL−0400”)を含み使用されたもよい。
【0117】
追加して、変動の増加は、熱的ノイズでも熱的平衡過程でもない。変動は、エネルギーの過剰な源により生成されそして熱平衡エネルギー変動によるものではない。典型的には、電流は、約10〜13Sであり、すなわちナノウエル電極中へ約106電子/秒である。流体を有するナノウエルの導電率は約100倍大きいとすると、それは流体内で約108有効イオン/秒の輸送に相当する。例えば、
増幅器入力(ケーブルを介して):
【0118】
【数20】
【0119】
108オームに対して、我々が最強のファージ反応で測定したよりも1Hzおいて5倍大きいSuを与え、そしてネガティブ実験で我々が測定したものより100倍大きい。ネガティブ実験は平衡系と考えられるので、この結果は、ナノ−ウエル中でReffが1Hzで約1Mオームであることを示す。流体中のイオンのm種の異なる種類を有する導電率:
【0120】
【数21】
【0121】
Reff∝1/σでありそして水中の当初のイオンの濃度がファージ感染により低下しないとすると、導電率は増加できるのみであり、その結果、抵抗および熱的ノイズは低下できるのみである。
【0122】
本明細書中に記載のいずれかの装置およびその変形を使用して、本発明は、適合するバクテリオファージの利用性を前提としていずれの細菌でも検出および同定する系および方法に使用されてもよい。本方法は、1分間で起きる感染に対して非常に迅速である。全部の電子機器は、デバイスがペン位に小さくなるように、バイオチップ上に一体化できる。従ってデバイスは多目的可搬装置であることができる。さらに、熟練者は、多数の他のアーキテクチャー、例えばJFET、MOSFET、OSFETまたはSPRセンサーを使用できることを認めるであろう。
【0123】
本明細書中に記載の特定の態様は例示のために記載したものであって本発明の限定ではないことは理解されるべきである。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲を外れることなく種々の態様として使用できる。当該技術分野の熟練者は、日常的を越えない実験を用いて、本明細書中に記載の特定の方法に多数の等価物を認めるか、または確認できるであろう。かかる等価物は、本発明の範囲内に入りそして特許請求により包含されると考える。
【0124】
本明細書中に言及したすべての出版物および特許出願は、本発明が該当する技術分野の熟練者のレベルの表示である。すべての出版物および特許出願は、それぞれの出版物または特許出願が引用することにより編入されるように特別にそして個別に指定されたと同様に、同様の範囲まで引用することにより本明細書に編入される。
【0125】
本明細書中に開示および特許請求されたすべての組成物および/または方法は、本開示を参照すると不当な実験を行うことなく作製および実施できる。本発明の組成物および方法は好ましい態様として記述されているが、変更が組成物および/または方法および本明細書中に記載の段階もしくは段階の連続に、本発明の概念、精神および範囲から外れることなく適用できることを当該技術分野の熟練者は認めるであろう。さらに特定すると、化学的および生理学的に関連する一定の薬剤が本明細書中に記載の薬剤により置換されて同一もしくは類似の結果に到達するであろうことは明らかである。すべてのかかる類似の置換および変更は、当該技術分野の熟練者には明白でありそして添付の特許請求範囲で定義される本発明の精神、範囲および概念内に入ると考えられる。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0128】
本発明の特徴および利益のさらに完全な理解のために、本発明の詳細な説明のために以下の図面を参照する。
【図1】図1は、3種類の異なるファージ形態を示す。
【図2】ナノ−ウエル、接触パッド、およびパッドとナノ−ウエルを連結するブリッジを有するチップの図2Aは側面図でありそして図2Bは平面図である。
【図3】ブリッジ構造がない100μmギャップおよび接触パッドを有するミクロ−ウエル有する接触パッドを有するチップの図3Aは側面図でありそして図3Bは平面図である。
【図4】図4は、バクテリオファージラムダを用いた結果のグラフである。
【図5】図5は、UR−ラムダファージを用いた結果のグラフである。
【図6】図6は、ミクロ−ウエルスペクトルのグラフである。
【図7】図7A〜Eは、ナノウエルの形成の段階を示す。
【図8】図8は、ナノウエル検出器の顕微鏡写真である。そして
【図9】図9は、本ナノスケール検出器を用いる回路を示す。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部含んでなるナノ−ウエルデバイス、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージ
を含んでなる装置。
【請求項2】
ギャップが約50〜約500ナノメートルの間である、請求項1の装置。
【請求項3】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、FET、JFET、MOSFET、OSFET、またはSPRセンサーを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項4】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、増幅器、前置増幅器、接触部、スイッチ、トランジスターおよびそれらの組合せを有する電気コミュニケーション内にある、請求項1の装置。
【請求項5】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、ボール接合、ワイヤ接合、テープ接合、チゼル接合、およびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項6】
検出可能な電場変動が、ほぼ1/f、1/f2形およびそれらの組合せのパワー密度スペクトルを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項7】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触が、種々の時間および振幅スケールを有する確率論的波を起こす、請求項1の装置。
【請求項8】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす、請求項1の装置。
【請求項9】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項10】
1種もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項11】
ギャップにおいてまたはその周囲において1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有する、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を含んでなるナノ
−ウエルデバイスを、液体試料と接触させ、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的に接触した場合に発生する1個もしくはそれ以上の電場変動を検出する段階を含んでなる、細菌を検出する方法であって、ここでギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す方法。
【請求項12】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす、請求項11の方法。
【請求項13】
同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1種もしくはそれ以上の細菌を含んでなる、請求項11の方法。
【請求項14】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項15】
1種もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項16】
基体;基体上に配置されたナノ−ウエルデバイスを含んでなるナノ−ウエルセンサーであって、ここで、ナノ−ウエルデバイスがギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含んでなる
ナノ−ウエルセンサー。
【請求項17】
ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成し、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを提供する、
段階を含んでなるナノ−ウエルセンサーを製作する方法。
【請求項18】
基体が、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリ
カ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項19】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成する段階が、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項20】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項21】
ギャップが液体試料への暴露のために位置される、請求項17の方法。
【請求項22】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部の少なくとも一部の上にデポジットされた絶縁層をさらに含んでなる、請求項17の方法。
【請求項23】
同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1種もしくはそれ以上の細菌を含んでなる、請求項17の装置。
【請求項24】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項25】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項1】
ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部含んでなるナノ−ウエルデバイス、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引く、ギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージ
を含んでなる装置。
【請求項2】
ギャップが約50〜約500ナノメートルの間である、請求項1の装置。
【請求項3】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、FET、JFET、MOSFET、OSFET、またはSPRセンサーを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項4】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、増幅器、前置増幅器、接触部、スイッチ、トランジスターおよびそれらの組合せを有する電気コミュニケーション内にある、請求項1の装置。
【請求項5】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、ボール接合、ワイヤ接合、テープ接合、チゼル接合、およびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項6】
検出可能な電場変動が、ほぼ1/f、1/f2形およびそれらの組合せのパワー密度スペクトルを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項7】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触が、種々の時間および振幅スケールを有する確率論的波を起こす、請求項1の装置。
【請求項8】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との間の接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす、請求項1の装置。
【請求項9】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項10】
1種もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項1の装置。
【請求項11】
ギャップにおいてまたはその周囲において1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを有する、ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を含んでなるナノ
−ウエルデバイスを、液体試料と接触させ、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが試料内の同族体標的に接触した場合に発生する1個もしくはそれ以上の電場変動を検出する段階を含んでなる、細菌を検出する方法であって、ここでギャップにおける試料内の1個もしくはそれ以上の電場変動が、試料内に同族体標的が存在しない現状を示す方法。
【請求項12】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージと同族体標的との接触が、周波数範囲約1Hz〜約10Hz内でほぼ1/f2形を有するパワースペクトルを含んでなる1個もしくはそれ以上の確率論的変動を起こす、請求項11の方法。
【請求項13】
同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1種もしくはそれ以上の細菌を含んでなる、請求項11の方法。
【請求項14】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項15】
1種もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項16】
基体;基体上に配置されたナノ−ウエルデバイスを含んでなるナノ−ウエルセンサーであって、ここで、ナノ−ウエルデバイスがギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部、および1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを含んでなる
ナノ−ウエルセンサー。
【請求項17】
ギャップの周囲の1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成し、そして1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが液体試料内の同族体標的に接触した場合に検出可能な電場変動の引き金を引くギャップにおけるまたはその周囲における1個もしくはそれ以上のバクテリオファージを提供する、
段階を含んでなるナノ−ウエルセンサーを製作する方法。
【請求項18】
基体が、ガラス、プラスチック、ポリマー、石英、シリコン、サファイア、石英、シリ
カ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ひ化ガリウム、リン化ガリウムもしくは金属またはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項19】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部を基体上に形成する段階が、電気メッキ、蒸着、スピンコーティング、コーティング、スパッタリング、現場重合またはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項20】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部が、金属、非金属、ポリマー、組成物、レジスト、樹脂、炭素ナノ−チューブ、プラスチックまたはそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項21】
ギャップが液体試料への暴露のために位置される、請求項17の方法。
【請求項22】
1個もしくはそれ以上の入力/出力接続部の少なくとも一部の上にデポジットされた絶縁層をさらに含んでなる、請求項17の方法。
【請求項23】
同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せから選択される1種もしくはそれ以上の細菌を含んでなる、請求項17の装置。
【請求項24】
ファージの同族体標的が、エシェリキア、エンテロバクター、サルモネラ、スタフィロコッカス、シゲラ、リステリア、アエロバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ニューモコッカス、ネイッセリア、クロストリジウム、バチルス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア・ファージ、クロモバクテリウム、ブルセラ、イェルシニア、ヘモフィリス、ボルデテラおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【請求項25】
1個もしくはそれ以上のバクテリオファージが、S.ムタンス・ファージ、バチルス・ファージΦ29、アクチノミセス・ファージ、バクテリオファージM102、バクテリオファージe10、バクテリオファージf1、バクテリオファージλ、バクテリオファージPI、球形ファージPhiX174、球形ファージG4、球形ファージS13、バクテリオファージT1、バクテリオファージT2、バクテリオファージT3、バクテリオファージT4、バクテリオファージT5、バクテリオファージT6、バクテリオファージT7、ssRNAバクテリオファージMS2、ssRNAバクテリオファージR17、ssRNAバクテリオファージf2、ssRNAバクテリオファージQベータおよびそれらの組合せを含んでなる、請求項17の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−521407(P2008−521407A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543553(P2007−543553)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042832
【国際公開番号】WO2006/058263
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507170217)ザ・テキサス・エイアンドエム・ユニバーシテイ・システム (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042832
【国際公開番号】WO2006/058263
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507170217)ザ・テキサス・エイアンドエム・ユニバーシテイ・システム (1)
【Fターム(参考)】
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