説明

フィブリンミクロビーズおよびその使用

【課題】生物学的に活性であり、かつ大量に架橋されたフィブリン(フィブリノゲンを含む)フィブリンミクロビーズおよび該フィブリンミクロビーズの調製法を提供する。
【解決手段】フィブリンミクロビーズに結合された細胞(たとえば線維芽細胞や内皮細胞、軟骨細胞等)を含む組成物および該フィブリンミクロビーズを使用して細胞を培養および分離する方法、さらに、該フィブリンミクロビーズを使用した細胞移植法および組織操作法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィブリンミクロビーズ、フィブリンミクロビーズの調製法、ならびに細胞の培養、分離および輸送用のビヒクルとして、創傷治療に関連する細胞輸送用のビヒクルとして、および組織操作用のビヒクルとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フィブリンクロットは、カルシウムイオンの存在下でフィブリノゲンとトロンビンとの反応に基づいてin vivoで形成される。創傷治療の最初の段階は、フィブリンクロットの形成後から開始され、それには非損傷組織の周辺からの細胞の移動が含まれる。通常、創傷に移動する最初期細胞は炎症性であり、それらは損傷後少なくとも1〜3日間活性である。その後、細胞は、固定され、通過する間葉直系の細胞ならびに異なるコラーゲン型であるフィブロネクチンおよびヒアルロンの細胞外マトリクス(ECM)を有する消化フィブリンおよび置換フィブリンによって離脱される。内皮細胞はまた、フィブリン浸潤し、ミクロキャピラリー構造を産生する。最後に、これらの細胞は、仮のフィブリンマトリクスを分泌ECM中の実質細胞および脈管構造によって集められた肉芽組織に置き換える。
【0003】
ヒト線維芽細胞は、創傷床内の細胞外マトリクス(ECM)の再生を担う主要な細胞実体である。ヒト線維芽細胞はまた、フィブリノゲンおよびトロンビンに対する特定の膜レセプターを発現する。皮膚創傷の場合、ヒト線維芽細胞は、真皮のマトリクスを改質する。例えば、切開性の皮膚創傷治療過程の間、ヒト線維芽細胞は周辺組織から移動し、フィブリンクロットに侵入し、その溶解を補助し、細胞外マトリクス中のコラーゲン(すなわち、I型およびIII型)を産生ならびに改質する。ヒト線維芽細胞のこれらの特性に基づいて、線維芽細胞移植が、身体の自然創傷治癒を補助する手段であると示唆されている(Gorodetsky, R.他、Radiat. Res.、125, 181〜186, 1991)。
【0004】
孔および細孔を含むを含むベンゾイル化ヒアルロン酸(HA)シートは、創傷治療用の線維芽細胞およびケラチノサイトのキャリアとして使用されている(Andreassi, L他、Wounds、3, 3, 116〜126, 1991)。特にHAシートは、これらの細胞を用いて培養され、次いで、熱傷部位に付着すると、細胞はシートから移動し、創傷の再肉芽形成の速度を速める。しかし、移植HAシートに伴う主要な問題は、それらが組織によって代謝されないこと、投与するには取り扱いにくいこと、および長期的な免疫学的問題を引き起こし得ることである。
【0005】
精製フィブリン(フィブリノゲン)(当該分野でフィブリンとフィブリノゲンとの混合物として公知)およびいくつかのその溶解フラグメント(すなわち、FPA、FPB、DおよびE)は、マクロファージ、ヒト線維芽細胞(HF)および内皮細胞を含む種々の細胞への走化性を示している(Gordetsky, R.他、J. Lab. Clin. Med.、印刷中、1997、Brown, L. F.他、Amer. J. Pathol.、142, 273〜283, 1993、Clark, R.A.F.他、J. Invest. Dermatol.、79, 624〜629, 1982、Ciano, P.S.他、Lab. Invest.、54, 62〜69, 1986、Dejana, E.他、J. Clin. Invest.、75, 11〜18, 1985)。トロンビンはまた、線維芽細胞および内皮細胞を含む種々の細胞に増殖効果をもたらし、そしてラットの皮膚における創傷治療を促進することが示されている(Kang, Y.H.他、J. Histochem. Cytochem.、39, 413〜423, 1991、Shuman F.、NY Acad. SCi.、408, 228〜235, 1986、Biedermann, B.他、J. Lab. Clin. Med.、124, 339〜347, 1994)。
【0006】
フィブリンミクロビーズは、先行技術において、薬物送達系としての使用が記載されている(Hoら、Drug dev. and Ind. Pharm.、20, 4, 535〜546, 1994、Senderoff他、J. Parenteral Sci. & Tech.、45, 1, 2〜6, 1991)。しかし、先行技術ではこのようなフィブリンミクロビーズが任意の細胞に対して走化性および/または増殖効果を有するということは示唆も教示もされていない。さらに、Ho他およびSenderoff他のフィブリンミクロビーズは、細胞培養用ビヒクルとして特に有用でも所望でもないだろう。これに関して、Ho他のミクロビーズは、タンパク質を架橋し、特定の生物学的活性部位を破壊するグルタルアルデヒドを含み、それによりミクロビーズの細胞への結合を妨害する。グルタルアルデヒド処理はまた、ミクロビーズを免疫原性にすることができる。Senderoff他のミクロビーズは、フィブリンとして本質的に同一の比較的低い程度の架橋を含む。従って、Senderoff他のミクロビーズは、水溶液中で不安定なので、水溶液中で容易に溶解しないマトリクスを必要とする細胞培養用のビヒクルとして有用でないだろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術のフィブリンミクロビーズとは異なる、ミクロビーズを種々の型の細胞と反応させる特定の生物学的に活性な部位を損傷できるグルタルアルデヒドなどの任意の外因性架橋剤を含まないフィブリンミクロビーズを提供する。さらに、本発明のフィブリンミクロビーズは、先行技術のフィブリンミクロビーズとは異なり、フィブリンミクロビーズを水溶液中でより長い時間安定化させるフィブリン(フィブリノゲン)の大量架橋、細胞培養用および他の用途のビヒクルとしての使用に特に所望される特性を含む。
【0008】
従って、本発明の1つの目的は、生物学的に活性でかつ大量に架橋されたフィブリン(フィブリノゲン)を含むフィブリンビーズを提供することである。
【0009】
本発明の1つの目的はまた、本発明のフィブリンミクロビーズの調製法を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、本発明のフィブリンミクロビーズに結合した細胞を含む組成物を提供することである。
【0011】
本発明のなお更なる目的は、本発明のフィブリンミクロビーズを用いた培養法および1つの細胞型を他の細胞型から分離する方法を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、本発明のフィブリンミクロビーズを用いた細胞移植法を提供することである。
【0013】
本発明の1つの目的はまた、本発明のフィブリンミクロビーズに結合した細胞を用いた創傷治療の促進法を提供することである。
【0014】
最後に、本発明の1つの目的は、本発明のフィブリンミクロビーズを用いた組織操作法を提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、以下の記載から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、大量に架橋されたフィブリン(フィブリノゲン)を含む生物学的に活性なミクロビーズに関する。本明細書中で使用されるように、「生物学的に活性な」とは、フィブリンミクロビーズがを種々の細胞型の増殖を誘引および促進させる生物学的に活性な部位を所有することを意味する。これは、フィブリンミクロビーズを細胞への誘引も生物学的活性も持たせない外因性架橋剤(グルタルアルデヒドなど)で処理した先行技術のフィブリンミクロビーズとは異なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
「大量に架橋された」とは、フィブリン(フィブリノゲン)が、少なくとも30%架橋されたフィブリン(フィブリノゲン)、より好ましくは少なくとも50%架橋されたフィブリン(フィブリノゲン)を含むことを意味する。本発明のフィブリンミクロビーズの大量架橋は、それらの製造中に天然のフィブリン(フィブリノゲン構造の特にD−ドメイン変性を助長する高温を利用するので、それにより周囲温度でのフィブリン(フィブリノゲン)の天然の配座異性体では通常では架橋されない第XIII因子による架橋部位が露呈することにより起こると考えられる。SDS-PAGEゲルパターン(図1)は、このような第XIII因子媒介反応による大量架橋を示す。大量架橋により本発明のミクロビーズは水溶液中で不溶でかつ安定になり、それによりミクロビーズは、細胞培養用および他の用途において安定となる。
【0018】
フィブリンミクロビーズが、少なくとも1つの生物活性作用物質を含み得ることもまた本発明の範囲内である。適切な生物活性作用物質には、薬物、神経薬(neurologics)、ビタミン、ビタミン誘導体、成長因子、糖質ステロイド、ステロイド、抗生物質、抗細菌性化合物(殺菌性化合物および静菌性化合物を含む)、抗ウイルス性化合物、抗真菌性化合物、駆虫性化合物、殺腫瘍性化合物、静腫瘍性化合物、トキシン、酵素、酵素インヒビター、タンパク質、ペプチド、ミネラル、神経伝達物質、リポタンパク質、糖タンパク質、免疫調節物質、免疫グロブリンおよびそのフラグメント、色素、放射性標識、放射線不透過性化合物、蛍光化合物、脂肪酸誘導体、多糖類、細胞レセプター結合分子、抗炎症薬、抗緑内障性(antiglaucomic)化合物、散瞳性化合物、麻酔薬、核酸、ポリヌクレオチドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明のミクロビーズは以下の様式で産生される。最初に、フィブリノゲン、トロンビンおよび第XIII因子を含む水溶液を調製する。この溶液は、内因性第XIII因子を含むフィブリンとトロンビンを組み合わせることによるか、内因性フィブリノゲンおよび内因性第XIII因子を含む寒冷沈降物とトロンビンとを組み合わせることによるか、またはフィブリン、第XIII因子およびトロンビンをそれぞれ水溶液で組み合わせることによって調製できる。ヘビ毒液プロテアーゼ(例えば、レプチラーゼ)などの等価のプロテアーゼがトロンビンの代替物としてできることも本発明の範囲内である。水溶液中のフィブリノゲン:トロンビン:第XIII因子の比は、好ましくは5〜100mg/mL:1〜100U/mL:1〜50U/mL、最も好ましくは20〜40mg/mL:5〜10U/mL:2〜20U/mLである。これらのタンパク質に加えて、水溶液はまた、フィブロネクチンならびにフィブリノゲンおよび寒冷沈降開始物質中に存在できる他の血液由来タンパク質を含むことができる。フィブリンミクロビーズに任意の生物活性作用物質が含まれることが所望される場合、それらの作用物質は、混合前または水溶液に直接フィブリノゲンまたはトロンビン溶液に添加できる。
【0020】
次に、凝固開始前に、水溶液を約50〜80℃の温度範囲に加熱したオイルに導入し、乳濁液を形成させる。イソオクタンなどの疎水性有機溶媒がまたオイルに含むことができる。本発明者らは、以下の実験詳説の節に記載のようにフィブリノゲンおよびトロンビンの濃縮物を使用すると、フィブリノゲンおよびトロンビンを組み合わせた後約30秒で凝固することを見出した。しかし、フィブリノゲンおよびトロンビンの他の濃度では、公知の凝固アッセイによって凝固の開始は同定できなかった。
【0021】
適切なオイルには、植物オイル(コーンオイル、オリーブオイル、ダイズオイル、およびココナッツオイルなど)、石油ベースのオイル、シリコンオイルおよびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。植物オイルは、細胞で代謝され、細胞に栄養を与えるので好ましい。最も好ましい実施形態では、植物オイルはコーンオイルである。本発明者らは、ミネラルオイルは、細胞で代謝されないので避けるべきだと考える。さらに、不飽和結合を含むオイル(すなわち、キャノーラオイル)は、酸化され得るので避けるべきである。
【0022】
水溶液が加熱オイルに導入された後、次いで、乳濁液を約50〜80℃の温度に維持し、適切な速度で大量に架橋されたフィブリン(フィブリノゲン)を含むフィブリンミクロビーズが乳濁液中に得られるまで混合する。混合速度は乳濁液の体積およびミクロビーズの所望のサイズに依存する。体積が1Lのフラスコに400mLの油相および100mLの水相である場合、好ましい混合速度は300〜500rpmである。一般に、乳濁液は約3〜9時間混合されるが、実際の時間は温度、初発反応物の濃度および乳濁液の体積によって変化する。上記で考察のように、約50〜80℃の温度で、天然のフィブリン(フィブリノゲン)構造が変性されて周囲温度では通常は架橋されない第XIII因子によって架橋される部位が露呈すると考えられる。このような架橋は、混合/加熱サイクルの最初の段階の間に起こる。加熱はまた、乳濁系脱水(乾燥プロセス)の目的で使用されることにより、集合または癒着しない架橋フィブリン(フィブリノゲン)粒子が産生される(粒子が大量の水を所有している場合)。
【0023】
最後に、大量に架橋されたフィブリンミクロビーズは、遠心分離、濾過、またはその組み合わせなどの手順を使用して乳濁液から単離できる。次いで、好ましくは、単離されたフィブリンミクロビーズは、ヘキサン、アセトンおよび/またはエタノールなどの有機溶媒で洗浄され、その後風乾できる。次いで、ミクロビーズは、市販のフィルターまたはふるいを用いて所望のサイズに部類分けできる。好ましくは、本発明のフィブリンミクロビーズは約50〜200ミクロンの直径に部類分けされたが、所望であれば、より大きなまたはより小さなフィブリンミクロビーズに分類できる。本発明はまた、本発明のフィブリンビーズに結合した細胞を含む組成物を提供する。細胞には、フィブリンミクロビーズに結合する任意の細胞が含まれる。このような細胞には、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
特定の細胞もまたフィブリンミクロビーズ上で増殖するので、本発明はまた、細胞をフィブリンミクロビーズに結合させる条件下で、培養培地中でフィブリンミクロビーズ結合細胞を本発明のフィブリンミクロビーズと培養する方法を提供する。細胞を本発明のフィブリンミクロビーズと培養する利点は、細胞がフィブリンビーズ上に結合し増殖することである。従って、細胞は他の用途で必要なので、細胞は損傷することなくフィブリンミクロビーズからピペッティングおよび流し出しによって細胞培養培地から容易に取り除くことができる。これは、細胞上の特定のレセプターを損傷し、さもなければ細胞損傷を起こすことができるトリプシン処理などの培養プレートから細胞を取り除く従来の手段よりも実質的な改善である。本発明のフィブリンミクロビーズを用いてあるまた、環境から別の環境へ細胞を移す能力とは、このような細胞が細胞に対して最小の損傷で新鮮な培養培地に再播種できることを意味する。
【0025】
これらの利点に加えて、本発明のフィブリンミクロビーズは、それらが従来の細胞培養物より顕著に密度の高い細胞集団を誘引および増殖するので、従来の細胞培養物よりも組換えタンパク質、ウイルス、細菌を産生し、所望の核酸などをクローニングするためのより有効な手段として使用できる。そういうものとして、本発明のフィブリンミクロビーズと共に培養した細胞は、種々のベクター、ウイルス、細菌、核酸などで形質転換または形質移入され得ると構想される。この様式で、本発明のフィブリンミクロビーズは、ウイルス、組換えタンパク質を産生、核酸などのクローニング用のビヒクルとして使用できる。
【0026】
さらに、全ての細胞が本発明のフィブリンミクロビーズに結合しないので、フィブリンミクロビーズはまた、細胞を分離するのに非常に有用である。これに関して、本発明はまた、フィブリンミクロビーズ結合細胞およびフィブリンミクロビーズに結合していない細胞を含む細胞培養物からフィブリンミクロビーズに結合している細胞を分離する方法を提供する。この方法では、フィブリンミクロビーズ結合細胞をフィブリンミクロビーズに結合させる条件下で、増殖培地中でフィブリンミクロビーズと細胞とを培養できる。次いで、ミクロビーズに結合した目的の細胞は、フィブリンミクロビーズを培養培地から取り除くことによって単離できる。
【0027】
さらに、本発明のフィブリンミクロビーズが特定の細胞に結合するので、ミクロビーズがそのような細胞の移植用のビヒクルとして使用できることも構想される。例えば、本発明のフィブリンミクロビーズが創傷治療に関与する細胞を結合するので、フィブリンミクロビーズは、創傷治療促進細胞を創傷に移植するために使用できる。本明細書中で使用されるように、「創傷」には、手術による創傷、熱傷、潰瘍、裂傷などが含まれる。これは、所望の細胞とフィブリンミクロビーズとを培養し、創傷治療有効量のフィブリンミクロビーズに結合した細胞を創傷に塗布することにより達成できる。適切な創傷治療促進細胞には、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。フィブリンミクロビーズが、創傷治癒促進作用物質、成長因子、糖質ステロイド、ステロイド、抗生物質、抗細菌性化合物、抗ウイルス性化合物、および抗真菌性化合物からなる群から選択される、少なくとも1つの生物活性作用物質をさらに含むことができることはまた本発明の範囲内である。この組成物はフィブリン接着剤を使用して創傷に付着することができる。
【0028】
さらに、フィブリンミクロビーズは、これらのタンパク質の欠損に関連する疾患の治療用の所望のタンパク質を発現するための公知の組換え法によって修飾されている細胞を移植することができることが構想される。例えば、インスリンをコードする核酸を含むベクターを使用して、公知の組換え技術によって核酸を細胞内に組み込んで、細胞にインスリンを発現させることができる。ついで、インスリン産生細胞は本発明のフィブリンミクロビーズと培養された後、糖尿病を治療するために患者の導入することができる。治療することができる他の疾患には、血友病A(第XIII因子欠損)、血友病B(第IX因子欠損)および嚢胞性線維症が含まれるがこれらに限定されない。
【0029】
最後に、本発明のフィブリンミクロビーズはまた、組織の形成に関連する細胞に結合するので、フィブリンミクロビーズはまた組織の操作促進用のビヒクルとして使用することができると構想される。これに関して、所望の細胞の懸濁液を細胞とフィブリンミクロビーズとを培養することによって調製することができる。次いで、所望の細胞を保有するフィブリンミクロビーズの懸濁液をフィブリン接着剤を使用して義装具の表面に塗布することができ、そして例えば、所望の細胞外マトリクスまたは組織が義装具の表面に形成されるまで細胞を組織培養培地で培養する。細胞の選択は、所望の組織に依存し、その組織には、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【実施例】
【0030】
本発明は、以下の実験詳説の節に記載されるが、これは、本発明の理解を助けるために記載されたものであり、その後に続く請求項に規定のように本発明のいかなる方法も制限して解釈されるべきではない。
【0031】
(実験の詳説)
(材料および方法)
タンパク質。本実験で使用したフィブリノゲンの供給源は、プールした血漿から分画するか、またはプールした血漿の凍結融解から得た寒冷沈降物のいずれかによって調製されたフィブリノゲンであった。精製フィブリノゲンの生物学的組成は以下である:41±5mg/mLタンパク質、41±5mg/mLフィブリノゲン、1±1mg/mLフィブロネクチン、痕跡量のIgGおよび20±10U/mL第XIII因子。プールした寒冷沈降物の生物学的組成は以下である:72±10mg/mLタンパク質、13±5mg/mLフィブリノゲン、3±1mg/mLフィブロネクチン、13±2mg/mL IgGおよび5±1U/mL第XIII因子。トロンビンはウシまたはヒトのいずれかであり、(Zou他、米国特許第5,677,162号、1997)に記載のように調製した。単位数は、国際標準に対して較正されたクロット時間アッセイによって同定した。
【0032】
FMB調製プロトコール。代表的な調製を400mLのコーンオイルおよびイソオクタンを55℃に加熱して機械で撹拌しながら行った。25mLフィブリノゲン(40mg/mL)または寒冷沈降物(Tris/生理食塩水緩衝液で1:2希釈)を5mLトロンビンと5U/mL(最終濃度)で混合した。このレベルは30秒以内に凝固と誘導する。トロンビン添加後であるが凝固する前に、タンパク質混合物をゆっくりと加熱オイルに添加して撹拌することによりオイル中で懸濁させた小滴に水相を分散させた。混合および加熱を1時間継続する。最終的にイソオクタンをオイルから蒸発させ、その後温度を約75℃に上昇させた。4〜8時間混合を継続した。次いで、加熱を終了し、混合物が室温に達するまで2時間撹拌を継続した。
【0033】
オイル懸濁液を100mLのヘキサンを添加することにより粘度を低下させ、Whatman #42濾紙で濾過し、粒子状のFMBをヘキサンでリンスした。粗FMBを50mLの95%エタノール中に懸濁し、1分間均質化した。FMB粒子を10〜20秒間静置して上清「微粒子」を静かに移した。これらの手順を3回繰り返し、その後本発明のフィブリンミクロビーズ(「FMB」)を風乾し、秤量し、4℃で保存した。分類のために、FMBをワイヤメッシュと通して直径約50〜200ミクロンのFMBを選択した。
【0034】
先行技術のフィブリンミクロビーズ。フィブリンミクロビーズを、Senderoff他、「Fibrin Based Drug Delivery Systems」、J. Parenteral Sci. & Techc.、45, 1, 2〜6, 1991に本質的に記載のように調製した。詳細には、フィブリノゲン溶液を50mgの脱塩し、凍結乾燥したフィブリノゲンおよび1.0mLのクエン酸緩衝液から調製した。次いで、溶液を2.5単位のトロンビンと混合し、50mLの重金属オイルに注入し、1500rpmで撹拌した。インキュベーションの30分後、微粒子を酢酸エチルおよび0.05% Tween 80で分離および洗浄した。次いで、微粒子を窒素ガスで乾燥して有機溶媒を取り除いた。
【0035】
溶解度試験。本発明のFMBを、Tris/生理食塩水または4M尿素中で位相差顕微鏡法で監視することにより溶解度を試験した。Tris緩衝液も4M尿素も室温で1週間FMBを溶解しなかったが、後者はいくらか膨張した。FMBは不溶性でなので、それらを特に分析用の物質を得るために部分的に消化した。100μg FMBを、1mL 0.1 N NaOHに懸濁し、上清サンプルを1または2日後に回収し、フィブリンまたは通常凝固フィブリンをコントロールとして使用した還元4〜12%勾配SDS-PAGE(Nova、Encino、CA)に供した。
【0036】
SDS-PAGE。本発明の種々のFMB調製物の還元SDS-PAGEを行い、アルブミンとフィブロネクチンのSDS-PAGEを比較した。図1に示すように、本発明のFMB調製物のSDS-PAGEは、フィブリノゲンで認められたものとよりもはるかに多くの架橋が認められた。同様に、本発明のFMBについてSDS-PAGEを行ってフィブリノゲン、フィブリンおよびSenderoff他、1994のミクロビーズのSDS-PAGEと比較した。結果を図2に示した。これは、本発明のFNB調製物(レーン3)は、フィブリノゲン(レーン1)、正常な凝固をするフィブリン(レーン2)(これは、通常、γ−γ二量体のみ、SDS-PAGEゲルに侵入しない、αおよびγバンドならびにα−α多量体の喪失を示す)およびSenderoff他、1994のミクロビーズ(レーン4)よりも顕著に架橋した。
【0037】
濃度測定追跡。フィブリノゲン、フィブリン、Senderoff他、1994のミクロビーズおよび本発明のFMB調製物の濃度測定追跡物を調製した。簡単に述べれば、SDS-PAGE(還元)ゲルを、Mac-TCI-IIコンピュータにリンクした平台型のスキャナーでスキャンした。バンドの光学密度をデジタル化し、得られた追跡物を図3A〜図3Dに示す。図に示されるように、本発明のFMB調製物(図3D)は、フィブリノゲン(図3A)、フィブリン(図3B)、Senderoff他、1994のミクロビーズ(図3C)よりも顕著に架橋された。
【0038】
細胞培養。正常なヒト線維芽細胞(HF)を、任意環状切除を受けた若いヒト被験体の包皮から単離した。皮膚の上皮層を切り刻んで0.25%トリプシン/ベルセンで迅速に消化させた。単離細胞を洗浄し、10%ウシ胎児血清(FCS)、抗生物質、およびグルタミンを補充したDMEMを有するプラスチック性のペトリ皿にプレートした。10時間後にプレートを洗浄し、より良好に付着した線維芽細胞を選択した。3〜4継代後、細胞は、顕微鏡的に、線維芽細胞の均一な集団で構成されていた。これらの条件で単離し増殖させた細胞のモノクローナル抗体ヒト線維芽細胞表面タンパク質(産物F4771、Sigma、Rehovot、Israel)を用いた免疫組織学によって、この手順で均一な線維芽細胞培養物が得られることを確認した(Ronnov-Jessen、L.他、Histochem. Cytochem.、40, 475〜486, 1992)。
【0039】
正常なマウス線維芽細胞(MF)を、2〜3日齢の新生C3Hマウスの皮膚から、トリプシン/ベルセンを用いた各2時間の3工程の消化によって単離した。コラーゲンの架橋度の低い新生マウスを用いることにより、タンパク質分解性消化の間、高収量の細胞の単離ができる。プロトコールの残りの部分の詳細は、HFの単離および増殖用に使用したプロトコールと同様である。細胞をHFと同様に培養し、3〜5継代培養後のこれらの細胞の均一性は、顕微鏡によって明らかである。これらの細胞を、増殖の速度が低下するまで少なくとも12〜14継代培養した。第4継代〜第10継代の細胞を使用した。
【0040】
ブタ平滑筋細胞(SMC)を、若い動物の胸大動脈から単離し、培地を2回交換して維持し、1〜2週間に1度分割した。10継代までの細胞を使用した。SMC培養物の精製度を、モノクローナル抗筋肉特異的アクチンHHF35を用いた免疫組織学によって測定した(Bar-Shavit, R.他、Cell Regul.、1, 453〜643, 1990)。
【0041】
他の細胞株を異なる供給源から得、以下の参考文献に記載の標準的な条件下で培養した:H. Ben-Bassat博士のマウス線維芽細胞株(3T3)および正常なヒトケラチノサイト(Ben-Bassat, H.他、Plasric & Reconstructive Surgery、89, 510〜520, 1992)、E. Razin博士のマウス乳房細胞(MC-9)(Razin, E.およびG. Marx、J. Immunol.、133, 3282〜3285, 1984)、I. Vlodavsky博士の正常ウシ動脈内皮細胞(BAEC)(Vlodavsky, I.他、J. Cell Biol.、83, 468〜486, 1979)、以前に記載(Bar-Shavit, R.他、Cell Regul.、1, 453〜463, 1990)のように単離および培養したH. Shwalb博士のブタ平滑筋、A. Lazo博士のブタ腎臓内皮細胞、A Ramu博士のマウス白血病細胞(P-388)(Ramu, A.他、Biochem. Pharmacol.、42, 1699〜1704, 1992、ヒト卵巣ガン細胞(OV-1063)はA. Horowitz博士によって単離された(Horowitz, A.t.他、Oncology、42, 332〜337, 1985)、マウス乳房腺癌細胞(EMT-6)は、標準的な条件で増殖された(Rockwell, S.、Br. J. Cancer、37, 212〜215, 1978)、マウスマクロファージ様細胞(J774.2)をI. Ringel博士から得た(Ringel 他、Cancer Res.、45, 3856〜3863, 1985)、4T1マウス乳癌細胞をS. Morecki博士から得た、ヒトメラノーマ細胞をT. Peretz博士から得た。
【0042】
全ての培養培地成分をBiological Industries(Beit-HaEmek, Israel)から購入し、ウシ胎児血清は、GIBCO(Grand Island, New York, NY, USA)から供給された。細胞培養物を水ジャケットCO2インキュベーター中37℃で維持し、増殖速度の速い形質転換細胞については、1:10で、正常な細胞型については1:4の分割比の1週間あたり1〜2継代をトリプシン/ベルセン溶液により回収した。
【0043】
FMB細胞培養研究。FMB細胞培養研究のために、106個の細胞を、50mL培養フラスコ中の10%血清DMEM培地中でほぼ密集するまで増殖させた。細胞を、トリプシン処理し、回収し、計数した。アルミホイルを軽く被せた50mLポリカーボネートチューブ(上部に穴が空けられている)を準備した。次いで、0.5mLのFMB(70%アルコールで一晩滅菌し、3回リンスするか、γ線照射、5Gy)を、5mLの培養培地を有するチューブに添加した。次いで、0.3mLの培地封入ビーズあたり10×106個のトリプシン処理細胞を、5〜6mLの培地を満たしたポリカーボネートチューブに移した。次いで、チューブを、約20度に傾斜させた試験管回転機を備えた組織培養インキュベーターに置き、チューブを約30rpmでもって試験管の頂部の穴を空けたカバーに培地が届かないように回転させた。チューブを2日に1度10秒間ボルテックスして、細胞によるビーズどうしの凝集を回避した。培地を2〜3日毎に1度交換した。インキュベーションの最初の2〜3日後、チューブを穏やかに振盪し、懸濁液のアリコートを取り出した。結合していない細胞をMTSアッセイ(CellTitre 96 AQueous Assay by Promega)を用いて計数した。フィブリノゲン被覆Sepharose Beads(SB-Fib)と比較したFMBの結果を以下の表に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
SEM/CFM分析。細胞を有するFMBを、細胞を有する200μL FMBを培養培地から取り出して2%グルタルアルデヒドを作製して固定する走査電子顕微鏡法(SEM)用に調製した。臨界点乾燥、四酸化オスミニウムで被覆し、Au/Pdでスパッター被覆させてHitachi S-530 Scanning Microscopeを用いて試験することによってサンプルをさらに処理した。線維芽細胞を有する本発明のFMBの走査電子顕微鏡法は、細胞がFMBの表面に結合していることを示した(図4を参照のこと)。ヒト線維芽細胞を有する本発明のFMBの蛍光顕微鏡法もまたコンピュータを導入した共焦点蛍光顕微鏡を用いて行った。この顕微鏡写真を、図5Aおよび図5Bに示す。
【0046】
細胞生存能力/細胞密度研究。細胞がFMB上でどれくらいの期間生存能力を維持できるかを同定するために、FMB上のヒト線維芽細胞を培養培地中に維持し、生存能力を、MTS増殖アッセイ(PromegaのCellTitre 96 AQUEOUS One Solution Cell Proliferation Assay)を用いて細胞と共にロードされた均一に分散したFMBの一定体積のサンプルにおける生存細胞密度の測定によって測定した。代表的には、200μlの懸濁FMB+細胞サンプルを、24ウェル平底プレートに入れ(三つ組で)、そして200μlの新規に調製したMTS/PMC混合物(PromegaのCellTitre 96 AQUEOUS One Solution Cell Proliferation Assay)を各ウェルに添加し、プレートをプレートインキュベーター振盪機に置いた。37℃で2〜6時間のインキュベーション後、0.1mLの上清を96ウェルプレートに移した。色素の光学密度(OD)をコンピュータを導入した自動ミクロウェルプレート分光計(Anthros HT-II、Salzburg、Austria)によって490nmを読み取った。試験した全ての細胞型について、MTSのOD読みとりは、播種した細胞数と非常に相関していた(r>0.97〜0.99)。このことは、FMBを使用して、ビーズ上の最初の増殖から高密度の細胞密集に達する3週間までの期間生存細胞は高い細胞密度を維持できることが見出された。細胞密度は、166mg FMBを有するmLあたり、9.6×105細胞/mLから3.6×106細胞/mLまで増加した。
【0047】
別の実験では、EMT-6マウス乳ガン細胞を、以下のようにFMB上にロードした。細胞を回収し、3〜5×106細胞を5〜6mL回転の細胞培養培地中に約0.5〜0.6mLの封入ビーズをそれぞれ有する50mLのポリカーボネートチューブに添加し、回転させた。ビーズ上の培地を2〜3日毎に交換した。6日後、ほとんど全ての細胞密集を、約50×106細胞/チューブ(約0.5mLビーズ)の細胞密度を有するビーズ上の細胞を記録した。
【0048】
更なる実験に置いて、細胞を以下のようにFMB上にロードした。最初にFMBを滅菌アルコールに1時間懸濁し、生理食塩水でリンスし、0.1%アジド中、37℃で一晩インキュベートし、大量の滅菌生理食塩水でリンスした。FMB上にロードすべき細胞を、大きなプラスチック製の組織培養皿中で通常の増殖条件で増殖させた。密集度を読み取る前に、細胞をトリプシン処理し、回収して各々が約6mLの培地中に懸濁させた1〜10×106細胞/300mgビーズを有する多数の50mLポリカーボネートチューブに添加した。チューブを、穴をあけたアルミホイルで被覆し、そして培地が穴をあけたストッパーに達しないように30度の角度で約10サイクル/分でチューブをゆっくり回転させたスタンドにロードした。スタンドを、CO2組織培養インキュベーターに置いた。FMBと細胞とを混合した次の日、付着していない細胞を、短時間のボルテックスによって分離し、チューブをさらに60〜90秒間維持して細胞と共にロードしたFMBを沈殿させた。付着していない細胞ならびにFMBの小フラグメントを含む培地の上清を取り除き、新鮮な培地を添加した。細胞は、回転装置中でFMB上に4日以上増殖を継続することができた。
【0049】
別の実験では、FMBと培養した線維芽細胞の密度をBiosilonミクロキャリアビーズ(Biosilon、A/S NUNC、Foskilde、Denmark)と培養した線維芽細胞の密度とMTSアッセイ(Berman他、Biochimica et Biophysica Acta、1239, 177〜185, 1995)を使用して比較した。培養の9日後にこれらの2つのキャリア型上で増殖させた線維芽細胞を直接的に比較すると、培養培地中の0.37gのFMB上の細胞は、1.2×105細胞/mLから4.8×105細胞/mLに増加(400%増加)し、0.36gのBiosilonミクロキャリアビーズ上での細胞増殖は、1.2×105細胞/mLから1.8×105細胞/mLに増加(50%増加)した(図6を参照のこと)。
【0050】
光学、蛍光および共焦点レーザー顕微鏡法。光学および蛍光顕微鏡法を、×200倍〜×860倍の倍率で、Olympus systemを用いて行った。顕微鏡写真を、一回または2回(光学および蛍光)の露光によって撮影した。410および543nmでの二重励起を有する63倍の対物レンズを用いたコンピューターを導入した共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss Confocal Axiomate LSM410)を使用してプロピジウムヨウ素(PI)で染色したFMBおよび細胞核の内因性蛍光を視覚化する。細胞と共にロードしたFMBを、0.5%緩衝化グルタルアルデヒド中で固定する。試験前に、50μg/mL PIを少なくとも20分間暗所で添加した。次いで、FMBをPBS−グリセロール80%および2%DABCOと共に顕微鏡スライドに置き、共焦点顕微鏡によってスキャンした。可視化画像(Nomarskiに従う位相差および位相差および微分干渉)および蛍光スライススキャンを、重層スライスの合計または3D表示ように処理した。
【0051】
線維芽細胞、内皮細胞およびEMT-6細胞をFMB上にロードした(約100×106細胞/g封入ビーズ)。約1mgのFMBを、細胞と共に滅菌NMRチューブに入れ、培養培地および95%O2/5%CO2の混合ガスと24時間潅流した。コントロールとして、新鮮なマウス皮膚を2mm幅のストリップに切断し、NMRチューブに入れ培地で潅流した。潅流サンプルの162NHZ 32P-NMRスペクトルを、Bruker AMX-400WB分光光度計(Sharoni他、Magn. Res. Med.、36, 66〜71, 1996)を用いてオンラインで記録した。スペクトルは、スペクトルの幅が8.5 KHzおよび8000データポイントであり、45oのパルスの間で1秒ごとの3000のスキャンを蓄積を必要とした。無機リン酸塩(P1)、ホスホクレアチン(PCR)およびATPのβ−共鳴に相当するNMR共鳴の強度の変化を記録した。
【0052】
ブタ皮膚創傷治療モデル。十分な厚みの切除創傷を、以前に記載のようにヨークシャーブタの脊椎傍の皮膚を8mmの円形に穴をあけることによって作製した(Clark他、AM. J. Pathol.、148, 1407〜1421, 1996、McClain他、Am. J. Pathol.、149, 1257〜1270, 1996、およびWelch他、J. Cell Biol.、110, 133〜145, 1990)。各創傷場所に、2U/mLヒトα−トロンビンと混合した150μgの3mg/mLフィブリノゲンを添加した。いくつかの場合では、フィブリンの添加前に、懸濁液中またはFMB上のの0.6〜1.0×106の培養線維芽細胞を創傷の底部に添加した。線維芽細胞添加の3日後に創傷を回収したが、異種移植された細胞の拒絶は認められなかった。いくつかの創傷では、走化性作用物質として公知のヒト血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)(Kokyama他、Circ. Res.、75, 682〜91, 1994)、Ortho-McNeil(Princeton, N.J.)から提供された腎臓を、創傷に塗布する前にフィブリノゲン/トロンビン溶液に添加した。さらに他の創傷に全ての添加物を投与した。創傷部位を、Tegadermで包帯し、ポリウレタン閉鎖包帯し、3日後に回収した。各製剤を三つ組(n=3)で試験した。全ての創傷部位からの標本を、垂直に切開した。半分をホルマリン、パラフィン包埋し、5μmで切断し、Massonトリクロムで染色して生態学的変化を描写する。各創傷の中央を垂直に横断する平面に隣接した切片を、数字でコード化し、Nikon BHK-2顕微鏡で動物実験に関与していない観察者によって評価した。
【0053】
統計。細胞付着および増殖の結果を、2〜4回の実験の平均において示す。平均値および標準誤差は、プールし正常化したデータからの各ポイントを計算した。ANOVA試験によって述べられたように等しい変化および等しくない変動と仮定し、組み合わせデータの有意さの統計学的分析を、Studentのt-testを用いて行った。
【0054】
(結果)
FMBの特徴付け。FMB構成物は、タンパク質溶液の開始からFMBの約60%w/wの収量で作製される。FMBは、室温で1週間いかなる生理学的緩衝液または4尿素中でも溶解しない。これは、タンパク質の顕著な架橋を示唆する。これを直接評価するために、100μg FMBを、1mL 0.1N NaOH中で1または2日間消化し、上清を還元DSD-PAGEで分析し、コントロールフィブリノゲンおよびフィブリンと比較した。ゲルの濃度測定では、FMBは、通常の凝固フィブリン(通常、γ−γ二量体のみ、αおよびβバンドの損失ならびにα−α多量体を示す(図3A〜図3C))で認められるよりも多数の架橋を含むことを示した。
【0055】
FMBの細胞への付着。細胞に付着されるべきFMBならびにSb-Fibの性質を監視した。従って、FMBまたはSb-Fibを、ほぼ密集したヒト線維芽細胞に塗布し、細胞に付着されつつあるビーズの割合を(Gorodetasky他、J. Lab. Clin. Med.、131, 269〜280, 1998)に記載のように位相差顕微鏡によって毎日計数した。コントロールタンパク質である非被覆SBは、細胞と相互作用せず、さらに1週間インキュベーションを延長した後でさえも培養培地に自由に浮遊していた(0%付着)。それに対して、3日目までに、FMBの線維芽細胞に対する付着速度がSB-Fibから得られた反応と類似することが認められた(図4)。FMBの他の正常および形質転換細胞への付着は、細胞のSB-Fibとの相互作用に相当した(図7A、図7B、表2)。ケラチノサイト、OV-1063、およびJ-774.2などの細胞は、任意のビーズと有意に結合するのに対して、正常なヒト、マウス、または形質転換された線維芽細胞、平滑筋、内皮およびEMT-6細胞は、SB-Fibと同等かそれより多数FMBを付着する。
【0056】
【表2】

【0057】
細胞のFMBへの付着速度。線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞のFMBに対する走触性反応の速度(図7A)は、Sb-Fibとの反応と類似していた(Gorodetsky他、J. Lab. Clin. Med.、131, 269〜280, 1998)。3日目までにほとんどのFMBは、細胞層に固定された。
【0058】
FMに対する増殖速度。FMBに対する細胞増殖速度を観察するために、ブタ腎臓細胞の増殖を、1%〜10%の血清(図7B)を含み、1週間に2回培地を交換した培養培地中で維持されたFMB上で監視した。結果は、10%血清を含む場合、1週間後に7倍の細胞増加が達成できたことを示す。15日目までに、至適条件で、細胞は30倍を超えて増殖した。より低い血清濃度での細胞増殖は、顕著に低かった。
【0059】
FMB上での細胞の付着および増殖を、種々の顕微鏡技術で視覚化した。SEMによれば、細胞膜とFMBとの間に親密な接触を有する1つのビーズ上に付着した多数の線維芽細胞を幾分か観察することができが、細胞膜とミクロビーズとの間の境界を観察することは難しい。(図7Aおよび図7B)。図8Aは、FMB上に24時間ロードした高力価(100×106細胞/FMB)のEMT-6細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。この画像は、赤色染色された核によって示された細胞とロードされたFMBによる50枚の光学スライスの合成を示す(直径が約8μm)。平均的なFMB(直径50〜100μm)に付着した細胞の数は、70〜250細胞の範囲であり、これらの細胞は、代表的には表面全体に分散され、FMB中の内部に浸透する。HFをより小さなFMB(直径約30μm)と3日間増殖させ、蛍光顕微鏡で観察された場合、細胞をFBM表面を被覆した赤色染色核で視覚化すると、高密度で組織様マトリクス内にFMBの凝集が現れた(図8B)。
【0060】
FMBでの細胞移動。組織培養によるフィブリンの小滴(20mg/mL)に包埋されたFMB由来のHFのダウンローディングを研究した。インキュベーションの3日後、蛍光および光学顕微鏡法を組み合わせることにより、細胞の赤色染色核は、中間物である軟質のフィブリンゲル内に密集して集合しているFMBから離れて広がっており、消化ゲルの半透明の液胞が残されていることを観察することができた(図8C、ほぼビーズより下−B2)。いくつかの移動細胞は、は、フィブリンを超えた領域に達していたが、プラスチックの表面に移動したものはより少ない。この現象はまた、共焦点顕微鏡法で視覚化されるが、PI染色核は、HFの前部に広がり、FMB上の細胞密度の高い領域が残されていることが示された一方で、FMBが消化されそしてフィブリンゲルが取り囲まれていることを示す(図8D)。
【0061】
31P−核磁気共鳴。潅流NMRチューブにいれた線維芽細胞をロードしたFMBを、24時間継続して監視した(図9)。ストレスに敏感な指標は、リン酸クレアチン(PCR)NMRシグナル(約3ppm)である。FMB上に細胞をロードした直後から強度が増加し、約3時間後に最大に達した。その後強度は一定に持続し、18時間後に減少した。ATPβ−ホスフェート共鳴(-8.5 ppm)に相当する強度が、インキュベーション期間(24時間)を通して不変なままであった。類似のシグナル強度が、潅流された新鮮なマウス皮膚において記録された(データは示さず)。
【0062】
ブタ皮膚創傷治療。材料および方法に記載のように、十分な厚みの切除創傷を、異系交配のヨークシャーブタの脊椎傍の皮膚に作製し、他の添加物または細胞を有するか有さないヒトフィブリンで満たした。全ての創傷を3日(通常肉芽組織形成が起こらない時間)で回収した(Clark他、Am. J. Pathol.、148, 1407〜1421, 1996、McClain他、Am. J. Pathol.、149, 1257〜1270, 1996、およびWelch他、J. Cell Biol.、110, 133〜145, 1990)。フィブリンのみで満たされた創傷では、創傷の下部の皮下組織に穏やかな線維芽細胞増殖が認められた(図10A)。PDGF-BBをフィブリンに添加した場合、線維芽細胞の数は2〜3倍に増加した(図10B)。外因性フィブリン中で懸濁された同系の線維芽細胞を創傷に添加して培養した場合、線維芽細胞様細胞が単独で現れる傾向がある(図10C)。フィブリンに懸濁させた線維芽細胞およびPDFG-BBを創傷に投与した場合、フィブリンと皮下細胞の下部との間の中間面に肉芽組織の小さなポケットが観察され(図10D)、フィブリンおよび皮下組織内フィブリンの数が増加する。FMBのみが創傷に移植された場合、FMBは新規に形成された肉芽組織中の創傷の基底に容易に視覚化される(図6E)。PDGF-BBがFMB懸濁液中に含まれる場合、3日目に、創傷の下部の皮下組織に線維芽細胞数の顕著な増加が認められた(図6F)。線維芽細胞(10×106細胞/g FMB)と共にロードしたFMBをフィブリンと共に塗布した場合、FMBと皮下組織との間の中間面に緩やかに組織化した肉芽組織が認められた(図10G)。PDGF-BBも含む場合、より大量のより組織化された肉芽組織が認められた(図10H)。従って、全ての状況では、FMBは、特に移植線維芽細胞のキャリアとして使用された場合、顕著な肉芽組織形成を伴う線維芽細胞増殖を増加させるようである。さらに、FMBコントロール(図10E)と比較すると、移植の3日後でのFMBのサイズは、顕著な肉芽組織が形成されるにつれて顕著に小さくなる(図10F〜図10H)。移植FMBの生分解は、肉芽組織の細胞密度と相関するようである。
【0063】
上記の全ての刊行物および特許が、本明細書においてその全体が参考として援用される。前記の発明が理解を明確にする目的でいくらか詳細に記載されているが、開示を読むことにより添付の請求項における本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および詳細を様々に変化できることが当業者によって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】アルブミン(レーン2)およびフィブリン(レーン8)と比較した本発明の種々のFBM調製物(レーン3〜7)のSDS-PAGE(非還元)を示す図である。レーン0は分子量(MW)マーカーを示し、レーン1はブランクである。本発明のフィブリンミクロビーズ(「FMB」)調製物(レーン3〜7)は、フィブリン(レーン8)より大量に架橋されていることを示す。
【図2】フィブリノゲン(レーン1)、フィブリン(レーン2)およびSenderoff他、1994のミクロビーズ(レーン4)と比較した本発明のFMB調製物(レーン3)のSDS-PAGE(非還元)を示す図である。レーン0は、分子量(MW)マーカーを示す。SDS-PAGEは、本発明のFMB調製物(レーン3)が、フィブリノゲン(レーン1)、フィブリン(レーン2)およびSenderoff他、1994のミクロビーズ(レーン4)よりも顕著に架橋されていることを示す。
【図3A】フィブリノゲンの濃度測定追跡を示す図である。
【図3B】フィブリンの濃度測定追跡を示す図である。
【図3C】Senderoff他、1994のミクロビーズの濃度測定追跡を示す図である。
【図3D】本発明のFMB調製物の濃度測定追跡を示す図である。濃度測定追跡は、本発明のFMB調製物(図3D)は、フィブリノゲン(図3A)、フィブリン(図3B)およびSenderoff他、1994のミクロビーズ(図3C)よりも顕著に架橋されていることを示す。
【図4】線維芽細胞を有する本発明のFMBの走査電子顕微鏡写真を示す図であり、これはFMBの表面に結合した細胞の近さの程度を示す。
【図5A】コンピュータを導入した蛍光顕微鏡によって視覚化されたヒト線維芽細胞を有する本発明のFMBの蛍光顕微鏡写真を示す図である。図5Aは、培養におけるFMBおよび線維芽細胞を示し、一方、図6Aは、新規の培養フラスコに移された後の線維芽細胞遊離FMBを示す。
【図5B】コンピュータを導入した蛍光顕微鏡によって視覚化されたヒト線維芽細胞を有する本発明のFMBの蛍光顕微鏡写真を示す図である。
【図6】FMBおよびBiosilonビーズに対する線維芽細胞の増殖の比較を示す図である。細胞数を、MTSアッセイによって評価した。
【図7A】FMBに対する細胞の反応を描写した図である。図7Aは、線維芽細胞、平滑筋細胞および内皮細胞への付着(走触性)の速度を示す。異なる時点で培養した細胞に付着したFMB%を、光学顕微鏡で監視した。図7Bは、ブタ腎臓内皮細胞の増殖速度を示す。約100万個の細胞をFMBにロードし、異なる培養条件で維持した。FMBの細胞数をMTSアッセイで評価した。
【図7B】FMBに対する細胞の反応を描写した図である。図7Bは、ブタ腎臓内皮細胞の増殖速度を示す。約100万個の細胞をFMBにロードし、異なる培養条件で維持した。FMBの細胞数をMTSアッセイで評価した。
【図8】FMB上の線維芽細胞の顕微鏡写真を示す図である。図8Aは、1つのFMB上のEMT-6細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。50の光学スライスを重ね合わせた合成画面は、1つのFMB上にロードした約200個の細胞を示す。図8Bは、小FMB上で増殖したHF、赤色PI染色核の蛍光顕微鏡写真を示す。高い細胞密度でビーズが凝集し、組織様構造を形成していた。図8Cは、FMBにロードし、組織プレート上に低密度フィブリン小滴を包埋した細胞の蛍光および光学顕微鏡画像を組み合わせた画像を示す。上部は、PI赤色染色核の蛍光画像である。画像の下半分は蛍光顕微鏡と光学顕微鏡とを組み合わせた画像であり、それはフィブリンゲルの境界ならびにゲル消化トラックを示すB2の周りの半透明の輪郭を有するFMB(B1)および(B2)からの細胞移動を示す。図8Dは、パネル(C)に記載のように密集したFMBの共焦点顕微鏡によって得られた合成重層スライスを示す。核のPI蛍光が非常に高いので、これはFMBおよび周辺のフィブリンからの細胞消化経路の位置を示す。
【図9】24時間継続したFMB上の内皮細胞の31P-NMRスペクトルを示す図である。Pcrシグナル(+3ppm)の変化は、細胞のエネルギー予備の消費を誘導するストレスを示す。それに対して、-8ppmでのβATPシグナルは、追跡後21時間で細胞の生存能力に影響を与えた。
【図10】3mg/mLフィブリンおよびFMBとの組み合わせ、ヒト皮膚線維芽細胞、PDGF-BB、およびコントロールを移植したブタの皮膚創傷の病歴による3日目でのブタ皮膚創傷治癒を示す図である。図10Aは、ヒトフィブリン以外の付加をしない創傷を示す。肉芽形成組織の証拠は認められなかった。図10Bは、外因性PDGF-BBを含む創傷を示す。線維芽細胞数の増加は、創傷の真下に認められたが、肉芽形成組織は認められなかった。図10Cは、フィブリン中に懸濁している線維芽細胞が付加された創傷を示す。フィブリンクロット中の個々の線維芽細胞は証明されたが、肉芽形成組織は認められなかった。図10Dは、フィブリン+PDFG-BB中に懸濁している線維芽細胞が付加された創傷を示す。新生肉芽組織は、フィブリンクロット中の漸増数の個々の線維芽細胞と同様に創傷(矢印)の真下に認められた。図1Eは、フィブリン中に懸濁したFMBを添加した創傷を示す。FMBは、創傷の底部に沿って認められた。図10Fは、フィブリン+PDFG-BB中に懸濁したFMBを添加した創傷を示す。FMBは、創傷の底部に沿って、皮下組織(矢印)の下に多数の線維芽細胞が認められた。図10Gは、フィブリン中に懸濁されたFMBをロードした線維芽細胞を添加した創傷を示す。FMBは、創傷の底部に沿って認められなかった。多数の線維芽細胞が、FMBと皮下組織の下との間に認められた。図10Hは、フィブリンおよびPDFG-BB中に懸濁されたFMBをロードした線維芽細胞を添加した創傷を示す。FBMは創傷の底部に認められ、FMBと皮下組織の下との間に頑強な肉芽組織が認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルタルアルデヒド非存在下に調製され、少なくとも30%大量に架橋されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含む、生物学的に活性なフィブリンミクロビーズ。
【請求項2】
少なくとも50%の前記フィブリンおよびフィブリノゲンが架橋されている、請求項1記載のフィブリンミクロビーズ。
【請求項3】
50〜200ミクロンの直径を有する、請求項1もしくは2記載のフィブリンミクロビーズ。
【請求項4】
少なくとも1つの生物学的作用物質をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィブリンミクロビーズ。
【請求項5】
(i)フィブリノゲン、トロンビンおよび第XIII因子を含む水溶液を調製する工程と、(ii)凝固開始前に、前記水溶液を50〜80℃の温度に加熱したオイルに導入して乳濁液を形成する工程と、(iii)架橋されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含むフィブリンミクロビーズが得られるまで50〜80℃の温度で前記乳濁液を混合する工程と、(iv)前記フィブリンミクロビーズを単離する工程とを包含する、フィブリンミクロビーズの生産法。
【請求項6】
フィブリノゲン、トロンビンおよび第XIII因子を含む前記水溶液は、内因性第XIII因子を含む精製フィブリノゲンとトロンビンとを組み合わせることによって調製される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
フィブリノゲン、トロンビンおよび第XIII因子を含む前記水溶液は、内因性フィブリノゲンおよび内因性第XIII因子を含む寒冷沈降物とトロンビンとを組み合わせることによって調製される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
フィブリノゲン、トロンビンおよび第XIII因子を含む前記水溶液は、フィブリノゲン、第XIII因子およびトロンビンを組み合わせることによって調製される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記水溶液中のフィブリノゲン:トロンビン:第XIII因子の比は、5〜100mg/mL:1〜100U/mL:1〜50U/mLである、請求項5〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液中のフィブリノゲン:トロンビン:第XIII因子の比は、20〜40mg/mL:5〜10U/mL:2〜20U/mLである、請求項5〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記水溶液は、少なくとも1つの生物活性作用分子をさらに含む、請求項5〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
フィブリノゲン、第XIII因子およびトロンビンを含む前記水溶液は、前記水溶液の調製後の30秒以内に前記オイルに導入される、請求項5〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記オイルは、植物オイル、石油ベースのオイル、シリコンオイル、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項5〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記オイルは、コーンオイル、オリーブオイル、ダイズオイル、ココナッツオイル、およびその組み合わせからなる群から選択される植物オイルである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記植物オイルはコーンオイルである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記オイルは疎水性の有機溶媒と混合される、請求項5〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒はイソオクタンである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記乳濁液は、3〜9時間混合される、請求項5〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記フィブリンミクロビーズは、遠心分離、濾過、またはその組み合わせによって単離される、請求項5〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記単離されたミクロビーズを所望のサイズに部類分けする工程をさらに包含する、請求項5〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
グルタルアルデヒド非存在下に調製され、少なくとも30%大量に架橋されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含む、生物学的に活性であるフィブリンミクロビーズに結合させた細胞を含む組成物。
【請求項22】
前記細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記フィブリンミクロビーズは、少なくとも1つの生物活性作用物質をさらに含む、請求項21もしくは22記載の組成物。
【請求項24】
前記細胞はウイルスで感染されている、請求項21〜23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項25】
前記細胞は組換えタンパク質を発現する、請求項21〜24のいずれか1項記載の組成物。
【請求項26】
前記細胞は外因性の核酸を含む、請求項21〜25のいずれか1項記載の組成物。
【請求項27】
細胞をフィブリンミクロビーズに結合させる条件下で、培養培地中でフィブリンミクロビーズ結合細胞をフィブリンミクロビーズと培養する工程を包含し、前記ミクロビーズは生物学的に活性であり、グルタルアルデヒド非存在下に調製され、少なくとも30%大量に架橋されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含む、細胞培養法。
【請求項28】
前記フィブリンミクロビーズ結合細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記フィブリンミクロビーズを前記培養培地から単離する工程をさらに包含する、請求項27もしくは28記載の方法。
【請求項30】
前記フィブリンミクロビーズは、少なくとも1つの生物活性作用物質をさらに含む、請求項27〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記細胞はウイルスで感染される、請求項27〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記ウイルスを前記細胞培養物から単離する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記細胞は組換えタンパク質を産生する、請求項27〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記組換えタンパク質を前記細胞培養物から単離する工程をさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記細胞は外因性核酸を含む、請求項27〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記外因性核酸を前記細胞培養物から単離する工程をさらに含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
フィブリンミクロビーズ結合細胞およびフィブリンミクロビーズに結合していない細胞を含む細胞培養物から前記フィブリンミクロビーズ結合細胞を分離する方法であって、前記方法は、(i)前記フィブリンミクロビーズ結合細胞をフィブリンミクロビーズに結合させる条件下で、培養培地中でフィブリンミクロビーズを有する細胞培養物を培養する工程であって、前記ミクロビーズは生物学的に活性であり、グルタルアルデヒド非存在下に調製され、少なくとも30%大量に架橋されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含む工程と、(ii)前記フィブリンミクロビーズを前記培養培地から単離する工程とを包含する、方法。
【請求項38】
前記フィブリンミクロビーズ結合細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
フィブリンおよびフィブリノゲンが少なくとも30%架橋されており、フィブリンミクロビーズに結合した細胞を含み、移植する組成物の調製のための、請求項1記載のフィブリンミクロビーズの使用。
【請求項40】
前記細胞は創傷治癒促進細胞である、請求項39記載の使用。
【請求項41】
前記創傷治癒促進細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項40記載の使用。
【請求項42】
前記フィブリンミクロビーズは、創傷治癒促進作用物質、成長因子、糖質ステロイド、ステロイド、抗生物質、抗細菌性化合物、抗ウイルス性化合物、および抗真菌性化合物からなる群から選択される、少なくとも1つの生物活性作用物質をさらに含む、請求項39〜41のいずれか1項記載の使用。
【請求項43】
前記組成物はフィブリン接着剤を使用して創傷に付着される、請求項39〜42のいずれか1項記載の使用。
【請求項44】
前記細胞は、タンパク質における欠損症が疾患に関連する当該タンパク質を発現する、請求項39〜43のいずれか1項記載の使用。
【請求項45】
(i)フィブリンミクロビーズに結合した所望の細胞の懸濁液を調製し、前記フィブリンミクロビーズは生物学的に活性であり、グルタルアルデヒド非存在下に調製され、少なくとも30%大量に連結されたフィブリンおよびフィブリノゲンを含む工程と、(ii)前記懸濁液を義装具の表面に塗布する工程と、(iii)前記義装具の表面上に組織を形成させる条件下で、組織培養培地中で細胞を培養する工程とを包含する、組織を操作する方法。
【請求項46】
前記細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、神経芽細胞腫細胞、腎細胞、肝細胞、膵臓細胞、甲状腺細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、マウス乳ガン細胞、骨/軟骨形成細胞、およびその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記懸濁液は、フィブリン接着剤によって前記義装具の表面に塗布される、請求項45もしくは46記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−44950(P2008−44950A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230805(P2007−230805)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【分割の表示】特願2000−512930(P2000−512930)の分割
【原出願日】平成10年9月15日(1998.9.15)
【出願人】(500125847)ヴィアイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】V.I. TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】155 Duryea Road, Melville, NY 11747, U.S.A.
【出願人】(500125858)ハダシット・メディカル・リサーチ・アンド・ディヴェロップメント・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】HADASIT MEDICAL RESEARCH AND DEVELOPMENT LTD.
【住所又は居所原語表記】Kiryat Hadassah, P.O. Box 12000, 91120 Jerusalemu, Israel
【Fターム(参考)】