説明

フィブリン層を備えた要素、それらの作製および使用

【課題】フィブリンをベースにした層を備えた要素に関し、支持体細孔の均質性または均一性が欠けているとある場合には、細胞の付着に影響を与える欠点の解決。
【解決手段】フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした層を備えた要素であって、以下の(a)および(b)を含む:(a)疎水性または実質的に疎水性の支持体であって、厚さ0.1〜5mmの多孔性部分を有し、該細孔は、その厚さを横切って伸長していて、5〜100μmの結節間隔を有し、該多孔性部分の1面は、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン含有物質をベースにした化合物で処理されている;(b)該支持体の該処理面を覆っているフィブリンベース層であって、該処理面上において実質的に均一かつ均質であり、該フィブリン層と、該支持体のうち少なくとも該フィブリン層と接触している面とは、実質的にフィブリンノーゲンを含まない要素。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィブリンをベースにした層を備えた要素に関し、該要素は、以下の(a)および(b)を含む:(a)疎水性または実質的に疎水性の支持体であって、該支持体は、厚さ0.1〜5mmの多孔性部分を有し、該細孔は、その厚さを横切って伸長していて、5〜100μmの結節間隔を有し、該多孔性部分の1面は、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲンをベースにした化合物で処理されている;および(b)該支持体の該処理面を覆っているフィブリンをベースにした層。
【背景技術】
【0002】
このような要素は、特許文献1および特許文献2から公知である。 これらの公知要素は、単に、フィブリノーゲンおよびトロンビンを含有する溶液に支持体を浸けることにより、またはこのような溶液を多孔性支持体に通して押すことにより、作製される。これらの公知要素は、簡単な浸漬により作製するとき、実質的に小型のフィブリン層を有し、その支持体細孔内には殆どまたは全くフィブリンを有しないか、またはフィブリンが直径の大きい細孔を簡単に通るので、直径の大きい細孔内にはフィブリンを有し直径の小さい細孔内にはフィブリンを有しない。このように、フィブリンが直径の大きい細孔を簡単に通ることから、均質性および/または均一性が欠けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第96/07444号
【特許文献2】米国特許第5298255号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの支持体細孔において、フィブリンの存在に関して、このように均質性または均一性が欠けていると、ある場合には、細胞の付着に影響を与えることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、これらの欠点をなくすことを目的としており、本明細書の第一段落で記述したような要素に関し、該要素は、該フィブリンベース層が該処理面において実質的に均一かつ均質であることにより、特徴付けられる。本発明によるフィブリン層は、フィブリノーゲンがなく、このフィブリン層と結合していないことにより、特徴付けられる。このフィブリン層上にフィブリノーゲンがないことは、その電気泳動図でγバンドがないことにより、検出され得る。このフィブリン層でのフィブリノーゲンの欠如は、フィブリン層を形成するように反応していないいずれのフィブリノーゲンも、この多孔性支持体を通って吸引されるという事実により、起こる。それゆえ、本発明による要素は、このフィブリン層と支持体との接触面において、実質的に、好ましくは、反応していないフィブリノーゲンが存在していないということにより、特徴付けられる。例えば、本発明による要素のフィブリン層は、フィブリンネットワークを形成するように反応していないフィブリノーゲンを、2重量%未満、好ましくは、1重量%未満、特に、0.5重量%未満、さらに特定すると、0.1重量%未満で含有する。
【0006】
有利には、このフィブリン層、および少なくとも、10μmの厚さを横切って伸長している支持体層は、このフィブリン層の重量に対して、1重量%未満、有利には、0.5重量%未満、好ましくは、0.1重量%未満の未反応フィブリノーゲンを含有する。好ましくは、フィブリンは、この支持体の処理多孔性部分の厚さを横切って、該処理面から少なくとも2μmの深さまで伸長しており、両方とも、10〜20μmの平均直径を有する細孔および20μmより大きい平均直径を有する細孔を通る。
【0007】
特定の実施形態に従って、この支持体の多孔性部分は、この処理面の全面にわたって、実質的に均質かつ均一な多孔度を有し、一部のフィブリンは、この支持体の多孔性部分の厚さを横切って、少なくとも10μmの深さまで、均質かつ均一に伸長している。可能な実施形態によれば、この多孔性支持体は、このフィブリン層と接触している面から10μmより離れた層で、特に、20μmの深さまで、フィブリノーゲンを含有する。
【0008】
このフィブリンネットワークが既に形成されたとき、乾燥したフィブリン層を再浸漬する際に、このネットワークで新たなフィブリン結合(このような結合は、このネットワークの胞(alveoli)または一部の胞のサイズを小さくする)が形成されるのを防止するために、好ましくは、(未だに反応していない)遊離のフィブリノーゲンが存在しないようにしなければならない。
【0009】
本発明の1実施形態によれば、このネットワークに付着したフィブリンの一部は、この支持体の処理多孔性部分の厚さを横切って、該処理面から少なくとも2μmの深さまで伸長しており、10〜20μmの平均直径を有する細孔および20μmより大きい平均直径を有する細孔を通る。この支持体は、任意の疎水性または実質的に疎水性の物質から製造され得るものの、それは、特に、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートまたはポリテトラフルオロエチレンから製造され、該物質は、有利には、特に二軸方向に延伸されている。
【0010】
疎水性または実質的に疎水性の物質との用語は、本明細書中にて、30〜50°のバイアスを有する物質を同定するのに使用され、このバイアスは、ASTM
D 2578−84法で測定される。
【0011】
有利には、この支持体の多孔性部分は、この処理面の全面にわたって、実質的に均質かつ均一な多孔度を有し、すなわち、表面単位による細孔の分布または数は、この多孔性部分に対して、実質的に均一である。例えば、ある多孔性部分では、この多孔性部分1cm2の面積における10μmよりも大きい直径を有する細孔は、多孔性部分の各cm2に対して、10μmよりも大きい直径を有する細孔の平均体積の0.8〜1.2倍、好ましくは、0.9〜1.1倍で変わる。
【0012】
1実施形態によれば、このフィブリン層のうち、少なくとも、この多孔性支持体と接触している面とは反対の面は、安定化されている。特に、該フィブリンベース層は、少なくとも部分的に架橋されて、その間で開口部を有する隣接胞のネットワークを形成する。この層は、有利には、水溶性でない程度に充分に架橋されている。有利な1実施形態の詳細によれば、該層は、細胞および/またはタンパク質、特に、細胞−フィブリン結合を媒介するタンパク質(フィブロネクチンなど)を備えている。
【0013】
このフィブリン層の厚さは、水和または再水和したとき、好ましい1実施形態の特徴によれば、100μmより大きく、150μmより大きくさえあり得るが、この支持体の多孔性部分を覆う架橋フィブリンベース層(水和した状態または水和後の状態)は、0.5〜100μm厚、有利には、2.5〜50μm厚、好ましくは、5〜20μm厚であり、架橋したフィブリンベース分子または結合間には、胞が形成されており、該胞は、5〜25μm3の体積を有し、該房(chamber)の平均厚さまたは高さは、1〜5μm、特に、1〜3μmである。
【0014】
特定の1実施形態の詳細によれば、該フィブリン層で覆われた支持体部分の細孔は、水溶性または実質的に水溶性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われた内面を有する。例えば、該フィブリン層で覆われた支持体部分の細孔は、フィブリノーゲン、アルブミン、フィブロネクチン、バイブロネクチン(vibronectin)またはそれらの混合物により、覆われている。特に、この処理面とは反対の支持体面は、水溶性または実質的に水溶性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われている。このような被覆は、この支持体のうち処理面と反対の面と接触している組織の癒着を向上させるのに、有利である。
【0015】
有利な特徴によれば、少なくとも、この支持体の多孔性部分は、少なくとも部分的に、水溶性または水混和性の極性添加剤で覆われている。このような添加剤は、好ましくは、タンパク質に対して非変性で生体適合性の構造である。このような添加剤には、グリセロール、糖(スクロース、マンニトール、ソルビトールなど)が挙げられ得る。このような添加剤は、特に、水に溶解性であるかまたは少なくとも混和性であり、特に、大気圧での水の凍結温度と比較して、凍結温度を下げることができる水溶性または水混和性添加剤から選択される。
【0016】
好ましい実施形態によれば、この要素は、乾燥しており、例えば、0.5重量%未満、または、さらに0.1重量%未満の水分を有する。
【0017】
有利な実施形態によれば、このフィブリン層は、フィブロネクチンの存在下にて、架橋される。このフィブリン層中の架橋フィブロネクチン含量は、有利には、この架橋層中のフィブリンおよびフィブロネクチンの重量の0.5〜15%、好ましくは、1〜10%である。この含量は、この層中のフィブリンおよびフィブロネクチン結合の重量と比較した、この層中のフィブロネクチン結合の重量に対応している。
【0018】
有利な実施形態の詳細によれば、このフィブリン層は、カルシウム、特に、カルシウムおよび塩素、さらに正確には、塩化カルシウムを含有する。このフィブリン層のカルシウム含量は、フィブリン層の体積単位(cm3)あたりのカルシウムのμgで表わされるが、有利には、1〜100μg/cm3、好ましくは、5〜90μg/cm3、特に、10〜50μg/cm3である。このフィブリン層中の塩素含量は、有利には、1.5〜200μg/cm3、好ましくは、8〜170μg/cm3、特に、16〜100μg/cm3である。カルシウムが塩化カルシウムの形態のとき、このフィブリン層中の塩化カルシウムの含量(これは、フィブリン層の体積単位(cm3)あたりの塩化カルシウムのμgで表わされる)は、有利には、2.5〜300μg/cm3、好ましくは、13〜260μg/cm3、特に、26〜150μg/cm3である。
【0019】
有利には、このフィブリン層は、実質的に、塩化カルシウム以外のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有しない。
【0020】
好ましくは、塩化カルシウムとは異なるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の含量は、このフィブリン層中の塩化カルシウムの含量の少なくとも10分の1、好ましくは、20分の1、特に、50分の1である。
【0021】
この支持体は、それが何であれ、多孔性支持体であり得るものの、この要素支持体は、好ましくは、生体適合性および/または生体分解性支持体である。
【0022】
本発明に従った要素の1実施形態の特定の詳細によれば、この要素は、2層以上の重なり合ったフィブリン層を有する。有利には、これらの層は、異なる平均体積を備えた胞を有する。特に、この多孔性支持体と接触してこのフィブリン層を覆っているフィブリン層は、多孔性支持体と接触したフィブリン層の胞の平均体積と比較して、小さい平均体積を備えた胞を有する。例えば、この支持体と接触してフィブリン層を覆っているフィブリン層中の胞の平均体積は、この支持体と接触したフィブリン層中の胞の平均体積の0.5倍未満である。1実施形態によれば、この支持体と接触してこのフィブリン層を覆っているフィブリン層は、部分的に、この支持体と接触して該フィブリン層を貫通する。大きい胞を備えたフィブリン層での小さい胞を備えたフィブリン層の貫通は、有利には、小さい胞を備えたフィブリン層が、大きい胞を備えたフィブリン層の厚さの少なくとも50%で貫通するように、しかし、好ましくは、その全厚未満で貫通するようにされる。
【0023】
本発明の要素の層のフィブリンは、その多孔性基板中に存在するフィブリンと同様に、実質的に変性しておらず、好ましくは、全く変性していない。
【0024】
本発明はまた、本発明に従って要素を作製する方法に関する。
【0025】
この方法は、以下を提供する:
多孔性支持体の第一面の少なくとも多孔質部分は、フィブリンまたはフィブリノーゲンを含有する水溶液か、またはフィブリノーゲン含有化合物の1種以上のフィブリンベースと接触され、
この支持体の多孔性部分のうち該第一面と反対の面は、均質かつ均一に、該多孔性部分を少なくとも部分的に通って溶液を吸引する吸引力を受け、それにより、この多孔性部分に対して均質かつ均一に、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした層を確実に堆積し、そして多孔性支持体の多孔性部分を通って、少なくとも、この溶液の水を確実に拡散するだけでなく、多孔性支持体を通って、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を確実に貫通させる。このような吸引により、特に、もし、このフィブリン層を水または水溶液で洗浄したなら、実質的にフィブリノーゲンを含まないフィブリン層が得られる。有利には、この多孔性物質を通るこの溶液の吸引は、少なくとも、フィブリンの架橋中において、好ましくは、少なくとも、このフィブリノーゲン含有物質の反応中およびフィブリンの架橋中において、行われる。この多孔性物質中に存在しているフィブリンは、従って、有利には、この多孔性物質の該第一面を覆っているフィブリン層と架橋される。
【0026】
本発明による方法は、先に記述したように、それと適合する要素を提供する。
【0027】
吸引によって、そのネットワークに付着されたフィブリンは、10〜20μmの平均直径を有する細孔および20μmより大きい平均直径を有する細孔の両方において、少なくとも2μmの深さまで、この多孔性支持体を貫通するように、配列されている。
【0028】
有利には、この支持体のうち該第一面と反対の面は、0.8×105Pa未満の圧力を受け、その多孔性部分の2面間において、少なくとも0.3×105Paの圧力差が生じる。好ましくは、この支持体のうち該第一面と反対の面は、0.5×105Pa未満の圧力を受け、その多孔性部分の2面間において、0.4×105Pa以下の圧力差が生じる。好ましい実施形態によれば、この支持体の多孔性部分の厚さを横切ってフィブリンまたはフィブリノーゲンを効率的に通過させつつ、第一面と反対の支持体面は、断続的に、0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第一圧力を受け、第一圧力は、第二圧力よりも少なくとも5%高い。該第一面と反対の面において正圧または負圧を変える代わりに、該第一面に加える圧力を僅かに変えることも可能である。
【0029】
有利には、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、0.8×105Pa未満の圧力を受け、そして0〜100℃の温度、好ましくは、15〜60℃の温度、特に、25〜40℃の温度に晒される。
【0030】
本発明による方法の変形に従って、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、逆浸透を生じるように選択された溶液を受け、これによって少なくともこの溶液の水は、この支持体の多孔性部分を通って、この第一面と接触して、拡散される。このような拡散は、それにより、この多孔性支持体の厚さを少なくとも部分的に通るフィブリンまたはフィブリノーゲンの実質的に均一かつ規則的な通過を保証する。
【0031】
本発明の方法を実施するために、5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液、特に、5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質および1mlあたり0.01〜10単位のトロンビンを含有する溶液、好ましくは、5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質、XIII因子、および1mlあたり0.01〜2単位、好ましくは0.05〜1単位のトロンビンを含有する溶液が使用される。有利な実施形態によれば、この溶液は、1mlあたり0.5単位未満のトロンビンを含有する。
【0032】
1mlあたり0.1〜10単位のXIII因子を含有する溶液を使っても、有利であることが認められている。フィブリン溶解を少なくするかまたは遅らすために、1〜40ミリモルのCaCl2/ml、特に1〜20ミリモルのCaCl2/mlを含有する溶液からも、有利な結果が得られている。それゆえ、例えば、20ミリモルのCaCl2/mlを使って調製したフィブリン層に対しては、このフィブリン層を調製した1週間後、フィブリノーゲンは、視覚的に検出されなかった。
【0033】
このフィブリンネットワークの形成で使用される少量のトロンビンは、この多孔性支持体を貫通できる多量のフィブリノーゲンに対応していることが認められる。これにもかかわらず、本発明による方法は、特に、この支持体のうちこのフィブリン層と接触している面において、実質的にフィブリノーゲンを含まないフィブリン層を提供する。
【0034】
本発明による方法の特徴に従って、第一工程中において、多孔性支持体の第一面の少なくとも一部は、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液と接触して配置され、この間、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、均質かつ均一に吸引力を受けて、それにより、この多孔性支持体の厚さを横切って、少なくともこの溶液の水を確実に拡散し、そして第一面の該多孔性部分に対して均質かつ均一に、少なくとも2μmの深さまで、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を確実に貫通させ、そして第二工程中において、このフィブリンおよび/またはフィブリノーゲン層が安定化される、
可能な実施形態に従って、この第一面の該部分と、移動している水溶液との間で、接触が生じる。
【0035】
有利には、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液はまた、極性有機添加剤を含有する。このような極性有機添加剤を使用すると、フィブリンネットワーク中の繊維厚さを制御できることが判明した。さらに、このような有機添加剤が存在することにより、また、この乾燥工程中でのフィブリンベース層の保護において有利であり、これは、おそらく、洗浄後に生じ得る。この乾燥操作は、有利には、−30℃〜−100℃の温度、好ましくは、−40℃〜−70℃の温度で、少なくとも部分的に、凍結乾燥により行われる。例えば、この乾燥操作は、幾つかの工程、すなわち、(例えば、30〜70℃の温度で)温度を上げるかまたはこの支持体の多孔性部分と接触したフィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質溶液の除去後に真空を形成するための第一乾燥工程、および凍結乾燥のための第二乾燥工程で、実行される。
【0036】
乾燥操作は、有利には、水、水溶液(例えば、グリセリンのような極性有機添加剤を(例えば、約1〜20重量%、特に、約5〜10重量%で)含有する水溶液)によって、1つ以上の洗浄工程後、実行される。特定の洗浄操作は、このフィブリン層を、水溶液(特に、グリセロールを(例えば、1〜20重量%、特に、5〜10重量%)で含有する水溶液)と接触して、この多孔性支持体と一体化すること、その後、この支持体の他の面を吸引力に晒して、この多孔性支持体を通って、この溶液を吸引することからなる。このような洗浄操作により、フィブリノーゲンを含まない多孔性支持体が得られる。この操作は、本発明とは対応していないフィブリン層を備えた支持体上で実行され得、それにより、この多孔性支持体をこのフィブリノーゲン含有溶液と単に接触させることにより得た生成物は、本発明による要素に変えることが可能となる。
【0037】
本発明によりフィブリン層を形成する方法で使用されるフィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質の溶液は、好ましくは、0〜20%、特に、3〜15%、さらに特定すると、5〜10%の該極性有機添加剤を含有する。この添加剤は、有利には、グリセロール、糖(マンニトール、ソルビトール、スクロース、グルコースなど)であり得る。本発明による方法において、約5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質、約0.01〜10単位/mlのトロンビンおよび5〜10%のグリセロールを含有する溶液を使用するとき、フィブリン繊維のネットワークが得られ、ここで、その胞のサイズは、本発明による方法において、約5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質、約0.01〜10単位/mlのトロンビン(グリセロールなし)を含有する溶液を使って得られたネットワークのものと類似している。それにもかかわらず、グリセロールを使用して得られたネットワーク中の繊維サイズは、より小さく、それにより、グリセロールを用いると、この溶液中でフィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をうまく使用できた。
【0038】
フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質の溶液のpHは、有利には、5〜8.5、好ましくは、5.5〜8、特に、6〜7.5である。この溶液のpHは、鉱物起源または有機起源の強酸(HCl)または弱酸(クエン酸など)を添加することにより、緩衝溶液(例えば、トリス緩衝液)によって制御され得る。
【0039】
この溶液はまた、有利には、少なくとも、水溶性タンパク質、特に、アルブミンを含有する。
【0040】
特定の1実施形態によれば、少なくとも、このフィブリンまたはフィブリノーゲン化合物ベース層の堆積の一部に対して、第一面と接触した溶液中のフィブリンまたはフィブリノーゲン化合物の濃度は、この支持体を通って実質的に一定の水拡散を保証するために、制御される。
【0041】
本発明による方法では、生体適合性または生体分解性多孔性支持体が使用される。
【0042】
特定の実施形態によれば、それから得られる利点は、その開始から、この多孔性支持体の厚さを通る実質的に均一な水拡散を保証するように得られ、この多孔性部分は、このフィブリンまたはフィブリノーゲン含有溶液が該多孔性部分と接触する前に、湿潤剤および/または水溶性タンパク質および/または極性有機添加剤を有利に含有する水溶液で処理される。
【0043】
本発明によれば、この多孔性支持体はまた、引き続いて、数層のフィブリン層を堆積するために、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液で処理され得る。本発明によれば、この多孔性支持体は、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を含有するがトロンビンを含有しない溶液で処理され得、次いで、前処理された支持体は、トロンビンを含有する溶液で処理され得る。
【0044】
本発明はまた、本発明による要素からなる濾過膜を含有するフィルター、本発明による要素からなる膜を含有するバイオリアクター、本発明による要素からなる移植片、および本発明による要素から製造した人工皮膚に関する。
【0045】
フィブリン(薄い繊維)をうまく使用するため、およびフィブリンネットワークに付着した細胞の良好な生存度を保証するために、グリセロールは、胞のサイズを制御するのに有用であることが分かったので、本発明の他の目的は、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした化合物であり、該化合物は、乾燥発泡体または乾燥発泡体粒子の形状を有し、0.05〜10重量%の水溶性または水混和性の極性有機添加剤を含有し、該発泡体は、房の少なくとも50容量%からなる多孔度または5〜25μm2の体積空洞(volume cavities)を有する。有利には、フィブリンの少なくとも90重量%は、架橋形状である。おそらく、この化合物はまた、1種以上のタンパク質および/または1種以上の活性物質を含有する。極性添加剤のうちで、グリセリンが好ましいが、他の添加剤(例えば、糖、スクロース、グルコース、マンニトールなど)もまた使用され得る。その水含量は、有利には、0.5重量%より低い。実際、この発泡体または架橋フィブリンネットワークは、少なくとも部分的に、水溶性または水混和性の極性有機添加剤で覆われている。
【0046】
この化合物の調製は、ある方法で行われ得、ここで、おそらく前乾燥工程後、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲンの水溶液(これはまた、水溶性または水混和性の極性有機添加剤を含有する)は、凍結乾燥により乾燥され、該溶液の有機溶媒含量は、それを0.5重量%未満で含有する化合物を得るために、0.05〜10重量%である。有利には、凍結乾燥による乾燥操作は、−40〜−100℃、好ましくは、−50℃〜−75℃の温度で、行われる。特に、凍結乾燥は、3段階で実行され、各段階は、この化合物または溶液を−40〜−100℃まで温度低下させることに続いて、0.4bar(0.4×105Pa)未満まで圧力低下させることを包含する。例えば、第一段階では、圧力は、0.2〜0.4×105Paまで低下され、最終段階では、圧力は、0.2×105Pa未満まで低下される。
【0047】
本発明はまた、フィブリノーゲンを含まないフィブリン層(特に、共にフィブリノーゲンを含まない多孔性支持体およびフィブリン層)を得るような様式で、このフィブリン層から未結合フィブリノーゲン(特に、この多孔性支持体で見られるフィブリノーゲン)を抽出させる方法に関する。この方法は、以下を提供する:
この多孔性支持体の第一面上で付着されたフィブリン層の少なくとも一部は、極性有機添加剤を有利に含有する水溶液と接触され、そして
この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、均質かつ均一に、該多孔性部分を少なくとも部分的に通ってこの溶液を吸引する吸引力を受けて、それにより、該多孔性支持体に対して均質かつ均一に、この支持体の該第一面付近のフィブリノーゲンを確実に除去する。この吸引によって、少なくとも、この溶液の水は、この多孔性支持体の多孔性部分の厚さを通って拡散される。この方法が充分な時間にわたって適用されるなら、この多孔性部分の厚さを通って拡散される水の量は、多孔性部分の細孔中のフィブリノーゲンを除去または抽出するのに充分であり得る。従って、この吸引により、実質的にフィブリノーゲンを含まないフィブリン層が得られるか、またはフィブリノーゲンを含まない多孔性支持体およびフィブリン層さえ得られる。
【0048】
1種以上の添加剤(例えば、1種以上の水溶性タンパク質、1種以上の薬剤など)を含有する水溶液を使用するとき、この洗浄工程により、この多孔性支持体に一定量の該添加剤を導入できるようになり、またはこの支持体のうちフィブリン層と接触していない面を該添加剤で被覆できるようになる。
【0049】
溶液の吸引によって、水は、この多孔性支持体を貫通できるようになり、その結果、例えば、第一面(このフィブリン層を備えた面)から少なくとも2μm、有利には、少なくとも10μm、好ましくは、少なくとも20μmの深さで、少なくとも、10〜20μmの平均直径を有する細孔は、フィブリノーゲンを含まなくなる。
【0050】
有利には、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、0.8×105 Pa未満の圧力を受け、その多孔性部分の2面間において、少なくとも0.3×105Paの圧力差が生じる。好ましくは、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、0.5×105Pa未満、さらに好ましくは、0.4×105Pa以下の圧力を受ける。好ましい実施形態によれば、この支持体の多孔性部分の厚さを横切って水を効率的に通過させつつ、第一面と反対の多孔性支持体面は、断続的に、0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第一圧力を受け、そして0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第二圧力を受け、第一圧力は、第二圧力よりも少なくとも5%高い。該第一面と反対の面において正圧または負圧を変える代わりに、該第一面に加える圧力を僅かに変えることも可能である。
【0051】
有利には、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、0.8×105Pa未満の圧力を受け、そして0〜100℃の温度、好ましくは、15〜60℃の温度、特に、25〜40℃の温度に晒される。
【0052】
本発明による方法の変形に従って、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面は、逆浸透を生じるように選択された溶液を受け、少なくともこの溶液の水は、この支持体の多孔性部分を通って、この第一面と接触して、拡散を引き起こす。このような拡散は、それにより、この多孔性支持体の厚さを少なくとも部分的に通る水の実質的に均一かつ規則的な通過を保証する。
【0053】
本発明のさらに他の目的は、生体吸収性物質または吸収性重合体(特に、ポリ乳酸重合体および/またはポリグリコール重合体および/または生体高分子)だけでなく構造タンパク質および多糖類から製造された層で覆われた多孔性支持体を作製する方法であり、該構造タンパク質は、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニンおよびフィブリン、およびヒトまたは動物の組織を形成する他のタンパク質だけでなく、組換えタンパク質を含む群から選択される。 この方法により、水溶液または水性懸濁液が調製され、これは、1種以上の重合体および/または生体高分子および/または該重合体および/または生体高分子をその場で形成する物質を含有する。この溶液または懸濁液は、この多孔性支持体の少なくとも1つの異なる面(有利には、第一面と反対の面)から該溶液または懸濁液の水の少なくとも一部を吸引しつつ、多孔性支持体の第一面と接触される。この吸引力により、水および有利に吸収可能な生体高分子または重合体は、この多孔性支持体で拡散される。このような拡散を保証するために、この多孔性支持体のうち該第一面と反対の面(この溶液または懸濁液と接触している面)は、0.8×105Pa未満の圧力を受け、この間、この多孔性支持体の2つの面間において、少なくとも0.3×105Paの圧力差が生じる。好ましくは、該第一面と反対の支持体面は、0.5×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の圧力を受ける。好ましい実施形態によれば、この支持体の多孔性部分の厚さを通って水を効率的に通過させつつ、この支持体のうち第一面と反対の面は、断続的に、0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第一圧力を受け、そして0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第二圧力を受け、第一圧力は、第二圧力よりも少なくとも5%高い。該第一面と反対の面において正圧または負圧を変える代わりに、該第一面に加える圧力を僅かに変えることも可能である。この重合体溶液または懸濁液と接触する面とは反対の該面はまた、逆浸透を生じるように選択された溶液の影響を受け得、少なくとも、この支持体の多孔性部分を通って第一面と接触するこの溶液の水の拡散を引き起こす。このような拡散は、それにより、この多孔性支持体の厚さを少なくとも部分的に通る水の実質的に均一かつ規則的な通過を保証する。この多孔性支持体を通って拡散している溶液は、有利には、20〜70℃、特に、30〜50℃の温度である。一旦、吸収性重合体または生体高分子が形成されると、この層は、有利には、凍結乾燥で乾燥される。凍結乾燥は、有利には、このフィブリン層に関して記述したように、行われる。もし、乾燥工程を凍結乾燥で実行するなら、この層を形成するのに使用する溶液は、有利には、例えば、約1〜15%、特に、5〜10%で、極性添加剤(特に、グリセロール)を含有する。
【0054】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1) フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした層を備えた要素であって、該要素は、以下の(a)および(b)を含む:(a)疎水性または実質的に疎水性の支持体であって、該支持体は、厚さ0.1〜5mmの多孔性部分を有し、該細孔は、その厚さを横切って伸長していて、5〜100μmの結節間隔を有し、該多孔性部分の1面は、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン含有物質をベースにした化合物で処理されている;および(b)該支持体の該処理面を覆っているフィブリンベース層:ここで、該フィブリンベース層は、該処理面上において、実質的に均一かつ均質であり、該フィブリン層と、該支持体のうち少なくとも該フィブリン層と接触している面とは、実質的にフィブリンノーゲンを含まない、
要素。
(項目2) 前記フィブリン層と、少なくとも、10μmの厚さを横切って伸長している支持体とが、該フィブリン層の重量に対して、1重量%未満、有利には、0.5重量%未満、好ましくは、0.1重量%未満の未反応フィブリノーゲンを含有する、項目1に記載の要素。
(項目3) フィブリンが、前記支持体の前記処理多孔性部分の厚さを横切って、前記処理面から少なくとも2μmの深さまで伸長しており、両方とも、10〜20μmの平均直径を有する前記細孔および20μmより大きい平均直径を有する前記細孔を通る、項目1または2に記載の要素。
(項目4) 前記支持体の前記多孔性部分が、前記処理面の全面にわたって、実質的に均質かつ均一な多孔度を有し、一部のフィブリンが、該支持体の該多孔性部分の厚さを横切って、少なくとも10μmの深さまで、均質かつ均一に伸長している、項目1〜3のいずれかの項目に記載の要素。
(項目5) 前記多孔性支持体が、前記フィブリン層と接触している前記面から10μmより離れた層に、フィブリノーゲンを含有する、項目2に記載の要素。
(項目6) フィブリノーゲンが、前記支持体の厚さを横切って、少なくとも20μmの深さまで伸長している、項目5に記載の要素。
(項目7) 前記フィブリン層のうち、少なくとも、前記多孔性支持体と接触している面とは反対の面が安定化されている、項目1〜6のいずれかの項目に記載の要素。
(項目8) 前記フィブリンベース層が、少なくとも部分的に架橋されて、隣接胞のネットワークを形成する、項目7に記載の要素。
(項目9) 前記層が、細胞および/またはタンパク質、特に、細胞−フィブリン結合を媒介するタンパク質を備えている、項目1〜8のいずれかの項目に記載の要素。
(項目10) 前記支持体の前記多孔性部分を覆っている前記架橋フィブリンベース層が、乾燥状態で測定したとき、0.5〜100μmの厚さ、好ましくは、2.5〜50μmの厚さであり、該架橋フィブリンベース分子または結合間、または繊維間で、胞が形成され、該胞が、5〜25μm3の体積を有し、該胞の平均厚さまたは高さが、1〜5μm、特に、1〜3μmである、項目1〜9のいずれかの項目に記載の要素。
(項目11) 前記フィブリン層で覆われた前記支持体部分の前記細孔が、水溶性または実質的に水溶性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われた内面を有する、項目1〜10のいずれかの項目に記載の要素。
(項目12) 前記処理面とは反対の前記支持体面が、水溶性または実質的に水溶性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われている、項目11に記載の要素。
(項目13) 前記支持体の前記多孔性部分の少なくとも前記細孔が、水溶性または水混和性の極性有機添加剤で覆われている、項目1〜12のいずれかの項目に記載の要素。
(項目14) 前記架橋フィブリン繊維のネットワークが、水溶性または水混和性極性添加剤、好ましくは、グリセロール、糖およびそれらの混合物を含む群から選択される添加剤で少なくとも部分的に覆われている、そして/または該添加剤を含む、項目13に記載の要素。
(項目15) 0.5重量%未満、好ましくは、0.1重量%未満の水分含量を有する、項目1〜14のいずれかの項目に記載の要素。
(項目16) フィブロネクチンが、前記フィブリン層に付着されており、該フィブロネクチン含量が、該層中のフィブリンおよびフィブロネクチンの重量と比較して、0.5〜15%である、項目1〜15のいずれかの項目に記載の要素。
(項目17) 前記フィブリン層が、該フィブリン層の体積1cm3あたり、1〜100μg、好ましくは、1〜50μgのオーダーのカルシウムを含有する、項目1〜16のいずれかの項目に記載の要素。
(項目18) カルシウムが、塩化カルシウムの形態をとっている、項目14に記載の要素。
(項目19) 前記支持体が、2層の重なり合ったフィブリン層を有し、該支持体と接触している層が、該支持体と接触している該フィブリン層を覆う層の胞と比較して、大きい体積の胞を有する、項目1〜18のいずれかの項目に記載の要素。
(項目20) 前記支持体が、生体適合性および/または生体分解性である、項目1〜19のいずれかの項目に記載の要素。
(項目21) 項目1〜20のいずれかに記載の要素を作製する方法であって、ここで、多孔性支持体の第一面の少なくとも1つの多孔質部分は、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を含有する水溶液と接触して配置されており、ここで、該支持体の該多孔性部分のうち該第一面と反対の面は、均質かつ均一に、該多孔性部分を少なくとも部分的に通って該溶液を吸引する吸引力を受け、それにより、該多孔性部分に対して均質かつ均一に、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした層を確実に堆積し、そして該多孔性支持体の該多孔性部分を通って、少なくとも、該溶液の水を確実に拡散するだけでなく、該多孔性支持体を通って、フィブリンまたはフィブリノーゲンを確実に貫通させる、
方法。
(項目22) 前記支持体のうち前記第一面と反対の面が、0.8×105Pa未満の圧力を受け、ここで、前記多孔性部分の2面間において、少なくとも0.3×105Paの圧力差が生じる、項目21に記載の方法。
(項目23) 前記第一面と反対の前記支持体面が、0.5×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa以下の圧力を受ける、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記第一面と反対の前記支持体面が、断続的に、0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第一圧力を受け、そして0.8×105Pa未満、好ましくは、0.4×105Pa未満の第二圧力を受け、該第一圧力が、該第二圧力よりも少なくとも5%高い、項目22または23に記載の方法。
(項目25) 前記多孔性支持体のうち前記第一面と反対の面が、0.8×105Pa未満の圧力を受け、そして0〜100℃の温度、好ましくは、15〜60℃の温度に晒される、項目22〜24のいずれかに記載の方法。
(項目26) 前記多孔性支持体のうち前記第一面と反対の面が、逆浸透を生じるように選択された溶液を受け、少なくとも該溶液の水が、該第一面と接触して該支持体の前記多孔性部分を通って、拡散を引き起こす、項目21に記載の方法。
(項目27) 5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液が使用される、項目21〜26のいずれかに記載の方法。
(項目28) 5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質および1mlあたり0.01〜10単位のトロンビンを含有する溶液が使用される、項目27に記載の方法。
(項目29) 5〜20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質、第XIII因子、および1mlあたり0.01〜2単位のトロンビンを含有する溶液が使用される、項目28に記載の方法。
(項目30) 1mlあたり0.1〜10単位のXIII因子を含有する溶液が使用される、項目29に記載の方法。
(項目31) 前記溶液が、1mlあたり、1〜40ミリモルの塩化カルシウムを含有する、項目27〜30のいずれかに記載の方法。
(項目32) 前記溶液が、0〜20重量%、有利には、3〜15重量%、好ましくは、5〜10重量%の水溶性または水混和性の極性有機添加剤を含有する、項目27〜31のいずれかに記載の方法。
(項目33) 前記添加剤が、グリセロールである、項目32に記載の方法。
(項目34) 第一工程中において、多孔性支持体の第一面の少なくとも一部が、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン含有物質を含有する溶液と接触して配置され、ここで、該多孔性支持体のうち該第一面と反対の面が、吸引力を受けて、それにより、該多孔性支持体の厚さを横切って、少なくとも該溶液の水を確実に拡散し、そして該第一面の該多孔性部分に対して均質かつ均一に、該多孔性支持体の厚さを横切って、フィブリンまたはフィブリノーゲンを確実に貫通させ、そして第二工程中において、前記フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン層が安定化される、項目21〜33のいずれかに記載の方法。
(項目35) 前記第一面の前記部分と、移動している水溶液との間で、接触が生じる、項目21〜34のいずれかに記載の方法。
(項目36) 湿潤剤を含有する水溶液が使用されて、前記支持体を前記フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質を含有する前記溶液と接触して配置する前に、前記多孔性支持体の前記細孔を満たす、項目21〜35のいずれかに記載の方法。
(項目37) 前記フィブリン層が、おそらく洗浄工程の後に、乾燥工程を受ける、項目21〜36のいずれかに記載の方法。
(項目38) 前記乾燥操作が、有利には、−30℃〜−100℃の温度、好ましくは、−40℃〜−70℃の温度で、少なくとも部分的に、凍結乾燥により行われる、項目37に記載の方法。
(項目39) 少なくとも、前記フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質をベースにした層の堆積物の一部に対して、前記第一面と接触する前記溶液中のフィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質の濃度が、前記支持体を通る実質的に一定の水拡散を保証するために、制御されている、項目28〜38のいずれかに記載の方法。
(項目40) 生体適合性および/または生体分解性の多孔性支持体が使用される、項目21〜39のいずれかに記載の方法。
(項目41) 前記多孔性部分が、有利には湿潤剤、タンパク質または極性有機添加剤またはそれらの混合物を含有する水溶液で処理され、その後、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲン含有物質を含有する前記溶液が該多孔性部分と接触される、項目21〜40のいずれかに記載の方法。
(項目42) 項目1〜20のいずれかに記載の要素からなる膜を含む、フィルター。
(項目43) 項目1〜20のいずれかに記載の要素からなる膜を含む、バイオリアクター。
(項目44) 項目1〜20のいずれかに記載の要素からなる、移植片。
(項目45) 項目1〜20のいずれかに記載の要素から製造される、人工皮膚。
【0055】
それ以上の特徴および詳細は、添付の図面を参照して、特定の実施形態の上記詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明による要素の概略図である。
【図2】図2は、本発明による要素を作製するための設備の概略図である。
【図3】図3は、凍結乾燥前、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図4】図4は、凍結乾燥前、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図5】図5は、凍結乾燥前、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図6】図6は、凍結乾燥後、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図7】図7は、凍結乾燥後、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図8】図8は、凍結乾燥後、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときのフィブリンネットワークの薄片の断面図である。
【図9】図9は、断面で見たとき、1IU/mlのトロンビンを含有する溶液によって得られたネットワークの断面図である。
【図10】図10は、断面で見たとき、10IU/mlのトロンビンを含有する溶液によって得られたネットワークの断面図である。
【図11】図11は、断面で見たとき、20IU/mlのトロンビンを含有する溶液によって得られたネットワークの断面図である。
【図12】図12は、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20)を使って撮影したときの、CaCl2を含有しない溶液によって得たネットワークの断面図である。
【図13】図13は、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20)を使って撮影したときの、2.7mMのCaCl2/mlを含有する溶液によって得たネットワークの断面図である。
【図14】図14は、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20)を使って撮影したときの、27mMのCaCl2/mlを含有する溶液によって得たネットワークの断面図である。
【図15】図15は、500倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、2時間培養後の細胞を有するフィブリンネットワークの上面図である。
【図16】図16は、500倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、2時間培養後の細胞を有するフィブリンネットワークの上面図である。
【図17】図17は、500倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、2時間培養後の細胞を有するフィブリンネットワークの上面図である。
【図18】図18は、500倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、2時間培養後の細胞を有するフィブリンネットワークの上面図である。
【図19】図19は、100倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときの、細胞「C」を備えたフィブリン層4を有する多孔性支持体2の断面図である。
【図20】図20は、100倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときの、細胞「C」を備えたフィブリン層4を有する多孔性支持体2の断面図である。
【図21】図21は、1000倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときの、細胞「C」を備えたフィブリン層4を有する多孔性支持体2の断面図である。
【図22】図22は、低分子量のマーカー(1、6)、コントロールフィブリノーゲン(5)、コントロールフィブリン(4)、インキュベーション後に浸出液に由来の重合体層(その多孔性膜を通っている部分)およびインキュベーション後の浸出液の浮いている部分の電気泳動図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、本発明による要素の一部の拡大断面図を概略的に示す。
【0058】
要素1は、以下の(a)および(b)を含む:(a)疎水性または実質的に疎水性の支持体2、例えば、PTFE(これは、両方の軸方向に拡大され延伸されている)であって、これは、0.1〜5mm、例えば、300〜500μmの厚さEを備えた多孔性部分を有し、その細孔Pは、その厚さに沿って伸長しているが、5〜100μm、例えば、約30〜40μmの平均直径「d」(細孔体積/細孔の表面)を有し、該支持体2の該多孔性部分の一面3は、フィブリンおよび/またはフィブリノーゲンベース化合物で処理されている;および(b)フィブリンベース層4であって、これは、支持体2の処理面3を覆っている。
【0059】
該フィブリンベース層4は、該処理面3において、実質的に均一かつ均質である。例えば、層4中のフィブリノーゲン(このフィブリン層に結合していないフィブリン)の含量は、このフィブリン層の0.5重量%より低く、好ましくは、0.1重量%より低い。
【0060】
一部のフィブリノーゲンFは、10〜20μmの平均直径を有する細孔(その体積(μm3で表わす)を細孔壁の表面積(μm2で表わす)で割った値が10〜20μmである細孔)および20μmより大きい平均直径を有する細孔の両方において、この支持体の処理した多孔性部分の厚さEを横切って、該処理面から少なくとも10μmの深さ「e」まで伸長し得る。特に、この多孔性部分の処理面の25μmより大きい全細孔では、一部のフィブリノーゲンは、この支持体の厚さEを横切って、少なくとも30μmの深さ「e」まで伸長している。それにもかかわらず、面3では、この支持体は、このネットワークに結合していないフィブリノーゲンを実質的に含まない。このフィブリンネットワークに結合していないフィブリノーゲンがないことは、この多孔性支持体を通る水の通過のせいである。特定の1実施形態では、この多孔性支持体は、このフィブリン層を支える面から、少なくとも10μmの深さまで、フィブリノーゲンを含まない。特に有利な実施形態によれば、この支持体は、その厚さ全体にわたって、フィブリノーゲンを含まない。
【0061】
フィブリン層4は、図1で示すように、XIII因子の存在により、架橋によって安定化されている。それゆえ、該層4は、隣接胞40のネットワークを形成する。
【0062】
面3から決定されるフィブリン層の厚さ「h」(その脱水形態)は、例えば、約10μmであるのに対して、房またはセルの平均体積は、約10μm3である。その胞は、開いており、その間に開口部を有する。胞との用語は、5μm3より大きい体積を有する無フィブリン領域を規定しており、これは、フィブリン結合で取り囲まれている。層4における胞の分布は、実質的に規則的であり、すなわち、層4で覆われた面3の1cm2の領域における胞の体積は、その領域の単位表面積(cm2)あたりの房の平均体積の0.8〜1.2倍(好ましくは、0.9〜1.1倍)である。これらの房の平均高さは、面3に垂直に測定したとき、例えば、2〜3μmである。
【0063】
図1で示した要素は、有利には、乾燥状態である。その水分含量は、例えば、0.01重量%未満であり、これにより、この要素の優れた保存および安定性が保証される。この要素を再水和したとき、このフィブリン層は、例えば、1.5倍より大きい倍率、特に、1.6〜2.5倍で膨張する(再水和後のフィブリン層の厚さは、乾燥フィブリン層の厚さの1.6〜2.5倍に相当している)。
【0064】
特定の実施形態によれば、細孔Pは、水溶性または実質的に水混和性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われた内面を有し、および/またはこの支持体のうち処理面とは反対の面6は、水溶性または実質的に水混和性のタンパク質で少なくとも部分的に覆われている。このような被覆は、例えば、細胞固定化、フィブリンまたはフィブリノーゲン含有物質で処理された面とは反対の面を取り囲む組織の癒着を助けるのに有利である。
【0065】
1実施形態の有利な特徴によれば、この支持体の多孔性部分の細孔P(内壁)は、水溶性または水混和性の極性有機添加剤またはこのような添加剤の痕跡により、少なくとも部分的に覆われている。この極性有機添加剤はまた、有利には、層4のフィブリン層およびこの支持体の面3および6上で、少なくとも一部で存在している。この添加剤は、例えば、グリセロール、糖など、またはこれらの添加剤の混合物であり得る。該添加剤は、水に特に溶解性であるかまたは少なくとも混和性であり、特に、大気圧で水の凍結温度に対して、凍結温度を下げることができる水溶性添加剤のうちから選択される。このフィブリン、フィブリノーゲンおよび/またはトロンビン溶液中または湿潤架橋フィブリン層(これは、乾燥しておらず、その細孔中の水含量は、約50%である)中の溶解性または混和性添加剤の量は、好ましくは、大気圧での凍結温度を−5℃未満、好ましくは、−10℃未満で下げるのに充分である。
【0066】
図示した実施形態の支持体は、PTFEの生体適合性の多孔性支持体であるものの、他の生体適合性支持体、特に、生体分解性支持体または生体適合性で生体分解性の支持体は、使用できる。
【0067】
本発明による要素を作製する方法の少数の例を以下で記述する。
【0068】
本発明による1個以上の要素の作製には、その房内で大気圧に対して真空または負圧を生じるために、真空ポンプ11に接続された真空チャンバ10が使用される。このチャンバは、図2で概略的に示されている。
【0069】
このチャンバは、これらの溶液をチューブの内部空間または中空部(これは、1〜100mm、さらに特定すると、2〜10mmの内径を有する)に入れるための吸気口を有する。チューブ13は、非多孔性リング13Bで分離された多孔性円筒形部分13A(20〜30μmの細孔の平均直径)を有する。そのチューブ厚は、この多孔性部分に対して、約200〜300μmであった。吸気口12は、液密様式でそこにこのチューブの末端13Cを留める手段を含む。吸気口12は、ダクト15によって、フィブリノーゲン含有物質(10〜40mg/mlの濃度)の水溶液(これは、1ミリリットルあたり0.2〜20単位のXIII因子(IU/ml)および100〜1000μg/mlのフィブロネクチン)を含有するタンク14に接続されており、ダクト16によって、トロンビン(0.05〜2IU/mlの濃度)の水溶液を含有するタンク17に接続されており、そしてダクト18によって、水およびおそらく1種以上の添加剤を含有するタンク19に接続されている。ダクト15、16および18には、流体の通過を許容または防止するバルブVが取り付けられている。該ダクトは、大気圧に依存して、1種以上の流体をこの吸気口に向ける。制御システム20は、所望の容量およびこのチャンバ内で測定された容量に依存して、この真空ポンプの操作を制御する。
【0070】
この吸気口に留めたものと反対のチューブ末端は、プラグ21で閉じられるが、これは、有利には、バルブ23付きのダクト22により伸長され、チューブ内に含まれる流体または溶液の排出を可能にする。
【0071】
このチャンバはまた、そのチャンバ温度を+60℃〜−100℃の範囲に調節する手段24を備えている。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
本実施例では、溶液A(これは、20mg/mlのフィブリノーゲン含有物質、1mlあたり1000μgのフィブロネクチンおよび2IU/mlのXIII因子を含有する)、および溶液B(これは、1mlあたり0.2IUのトロンビン、および40mM(ミリモル)の塩化カルシウムを含有する)を使用した。
【0073】
溶液Aおよび溶液Bを、同じ流速で、この吸気口に供給して、溶液Aおよび溶液Bの両方の1:1混合物を得た。そのように得た混合物は、10mg/mlのフィブリノーゲン、500μg/mlのフィブロネクチン、1IU/mlのXIII因子、0.1IU/mlのトロンビンおよび20 mM/mlのCaCl2を含有していた。
【0074】
このチューブの中空部および内部空間を、溶液AおよびBの混合物で満たし、そのチャンバ圧を0.4×105Pa(すなわち、大気圧に対して、約600ミリバールの負圧)まで低下させた。この真空の形成により、水は、このチューブの多孔性部分の厚さを通って吸引される。この真空は、このチューブの外面で生じるので、後者は、僅かに伸展されるかまたは締められ、これは、このチューブの細孔を通る液体の拡散を助ける。
【0075】
真空を作って維持している間、このチューブの外壁は、濡れていることが分かった。
【0076】
約1〜30分間にわたって真空を維持した後、このチャンバの圧力は、漸次、大気圧に戻した。一旦、このチューブを空にして水洗すると、チューブの内面は、約5μm厚の架橋フィブリン層で覆われていることが分かり、15〜20μm3の房または開放セルは、チューブの多孔性部分上にあった(この層を支える支持体の面に平行に測定したように、2〜3μmのセル高さ、5〜7μm2の面積)。このフィブリン層だけでなく、フィブリン層との支持体界面上には、フィブリン層に結合していないフィブリノーゲンは存在しなかった。フィブリノーゲンは、この支持体の細孔において、10μmより大きい平均直径を有する全細孔に対して、少なくとも約20μmの深さ(このチューブの内面から)まで、存在していた。
【0077】
この多孔性支持体を通るフィブリノーゲンの通過は、図22の電気泳動図で確認される。実際、このフィブリノーゲン溶液と接触している面とは反対の面からの一部の液体を収集した。この液体をインキュベートした後、形成された重合体層(2)および上澄み液(3)の両方について、電気泳動ピークを決定した。この結果、インキュベーション後、この電気泳動(2)により、フィブリンに典型的なピークが明らかとなり、このことから、そのフィブリノーゲンは、この多孔性支持体を通ったことが判明した。
【0078】
このチューブは、引き続いて、50℃に加熱した気体で乾燥した。
【0079】
(実施例2)
そのチャンバ内の圧力を約0.4×105Paで維持して洗浄水がこの多孔性支持体を通って確実に拡散するようにしつつ、このチューブの内側に脱塩水流れを入れてフィブリノーゲン溶液を排出することにより、その洗浄工程を行ったこと以外は、実施例1を繰り返した。この拡散により、フィブリノーゲンは、この多孔性支持体から除去できる。
【0080】
(実施例3)
そのチューブの温度を−60℃まで下げて水を氷にし、それをこの温度で凍結乾燥することにより、このチューブを乾燥したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0081】
(実施例4)
50%の溶液Aおよび50%の溶液Bからなる混合物の約5重量%でグリセロールを添加したこと以外は、実施例3を繰り返した。この多孔性支持体およびフィブリン層の両方でグリセロールが存在していることにより、この要素にある程度の融通性が得られることに注目した。さらに、その凍結乾燥工程は、簡単であった。
【0082】
その架橋フィブリンの形成時にグリセロールが存在していることは、このフィブリン層に規則的で均一な構造を与えるのに有利であることが判明した。さらに、グリセロールが存在していることにより、フィブリンおよびフィブリノーゲンがこのチューブの多孔性部分の細孔を通過し易くなった。
【0083】
(実施例5)
50%の溶液Aおよび50%の溶液Bからなる混合物の約10重量%でグリセロールを添加したこと以外は、実施例4を繰り返した。この多孔性支持体およびフィブリン層の両方でグリセロールが存在していることにより、この要素にある程度の融通性が得られることに注目した。さらに、その凍結乾燥工程は、簡単であった。
【0084】
実施例2および4に由来のフィブリンネットワークの一部を、凍結乾燥前および後に、その中に2〜2.5%のグルタルアルデヒドの溶液を含有する皿に一晩置いた。その後、グルタルアルデヒドで固定したネットワークの薄片を、加熱した小刀によって横に切断し、その薄片を、40%、50%、70%、80%、90%および100%のエタノール溶液で脱水した。
【0085】
図3、4および5は、凍結乾燥前、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、それぞれ、実施例2、3および4に由来のフィブリンネットワークの薄片の断面図であるのに対して、図6、7および8は、凍結乾燥後、5,000倍の倍率で、電子顕微鏡で撮影したときの、それぞれ、実施例2、3および4に由来のフィブリンネットワークの薄片の断面図である。これらの図を比較すると、その結果、凍結乾燥前の実施例2、3および4に由来のフィブリンネットワークの胞は、類似しており、凍結乾燥後の実施例2、3および4に由来のフィブリンネットワークの胞は、類似しており、グルセロールを使用することによって、このネットワークの繊維のサイズが小さくなっている。それゆえ、グリセロールは、この凍結乾燥工程中に繊維を保護するのに有用である以外に、このフィブリンネットワークの繊維のサイズまたは直径を制御できる試薬である。
【0086】
(実施例6)
グリセロールを、まず、グルコースで置き換え、次いで、マンニトールで置き換えたこと以外は、実施例4を繰り返した。
【0087】
(実施例7)
約10mg/mlのフィブリノーゲンおよびそれぞれ1IU/ml、10IU/mlおよび20IU/mlのトロンビンを含有する溶液を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0088】
それにより得られたネットワークを、2〜2.5%のグルタルアルデヒドを含有する溶液および実施例4で記述したエタノール含有溶液で処理した。そのように得たネットワークの一部の薄片を、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡、Philips XL20)で検査した。図9、10および11は、それぞれ、3,500倍の倍率で、1IU/ml、10IU/mlおよび20IU/mlのトロンビンを含有する溶液を使って得られたネットワークの断面図である。
【0089】
これらの図9〜11は、この溶液中のトロンビンが高濃度で存在していると、繊維の数が多くなるが、そのサイズは小さくなることを示している。
【0090】
(実施例8)
0mM/ml、2.7mM/mlおよび27mM/mlの濃度のCaCl2を有するトロンビンおよびフィブリノーゲン溶液を調製したこと以外は、実施例1を繰り返した。実施例4で記述したネットワークを処理し洗浄した後、0mM/ml(図12)、2.7mM/ml(図13)および27mM/ml(図14)を含有する溶液で得たネットワークの断面を、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡、Philips XL20)で5,000倍の倍率で検査した。これらの図は、高いカルシウム含量が、多い繊維、その大きいサイズ、およびその胞の小さい体積に対応していることを示している。
【0091】
(実施例9)
5%のグリセロール、20mg/mlのフィブリノーゲン、1mlあたり500μgのフィブロネクチン、10IU/mlのXIII因子、1mlあたり1IUのトロンビンおよび1mlあたり40mM(ミリモル)のカルシウムを含有する溶液を使用すること以外は、実施例4を繰り返した。
【0092】
(実施例10)
そのチャンバの真空を制御して、大気圧に対する600mbar(約0.4×105Paの圧力)から大気圧に対する630mbar(約0.38×105Paの圧力)まで断続的に変えたこと以外は、実施例4を繰り返した。この真空の変化は、この支持体の孔内でフィブリンおよびフィブリノーゲンが拡散するのに有利であることが分かった。水で洗浄し、このフィブリン層を水流と接触させ、そしてこのチャンバ内にて、大気圧に対する600mbar(約0.4×105Paの圧力)から大気圧に対する630mbar(約0.38×105Paの圧力)までの真空を作った後、この支持体およびフィブリン層は、それ以上の遊離のフィブリノーゲンを含有していなかった。
【0093】
このチューブは、必要なら、凍結乾燥前または後に、121℃の温度で60分間、例えば、オートクレーブで簡単に滅菌し得る。他の任意の滅菌法は、この架橋フィブリン層の胞構造も支持体構造も破壊しないという条件で、使用され得る。
【0094】
(実施例11)
そのチューブ内で実質的に一定のフィブリノーゲン濃度を保証するために、この拡散工程中にて、このチューブで、フィブリノーゲンの濃度を制御したこと以外は、実施例3を繰り返した。こうするために、バルブ23を断続的に開いて、このチューブから一定量の溶液を排出し、このチューブに、フィブリノーゲンを殆どまたは全く含有しない溶液を供給した。これにより、このフィブリン層は、実質的に規則的かつ均質な厚さであることが保証される。
【0095】
(実施例12)
そのフィブリノーゲン濃度を実質的に連続的に制御して、このチューブの内壁にフィブリンが堆積するにつれて、この濃度を低下させたこと以外は、実施例11を繰り返した。
【0096】
(実施例13)
そのチューブをフィブリノーゲン溶液で処理する前に、脱塩水、1mg/mlのアルブミンを含有する水溶液、10mg/mlのアルブミンを含有する水溶液、30mg/mlのアルブミンを含有する水溶液を、それぞれ、このチューブに供給して、その細孔を該溶液で満たしたこと以外は、実施例3を繰り返した。
【0097】
(実施例14)
その溶液に含有されたタンパク質が、30mg/mlのアルブミンおよび10mg/mlのフィブロネクチンであること以外は、実施例3を繰り返した。ビブロネクチンなどのような他のタンパク質は、アルブミンおよび/またはフィブロネクチンに代えて、個々にまたは混合物中で使用できた。
【0098】
WO96/07444で示すように、このフィブリン層は、それを変性するかまたはそれに特定の特性を与えるか、いずれかのために処理できる。
【0099】
このフィブリン層は、水、1種以上の塩(おそらく、溶液中)、フィブリン層を備えた支持体の生体適合性を改良するのに使用される添加剤で処理され得る。これらの添加剤は、例えば、タンパク質、抗凝固剤、抗炎症化合物、移植片の拒絶を少なくする化合物、生細胞、細胞成長阻害剤、内皮細胞を刺激する試薬、抗生物質、抗新生物剤、遺伝子物質、架橋フィブリン層上の内皮細胞の成長および/または付着を促進および/または刺激するタンパク質、成長因子、ヘパリン結合のための成長因子、コレステロールに抗する物質(ZOCOR(登録商標))などから選択され得る。添加剤の一部の特定の例は、米国特許第5,660,873号で示されており、その内容は、参考として、含まれている。
【0100】
このフィブリン層は、もし必要なら、例えば、プラスチンによって、加水分解され得る。
【0101】
(実施例15)
第一工程中にて、このチューブに溶液Aを供給して、このチャンバ内で真空を作ることにより、非架橋フィブリンまたはフィブリノーゲン層を得ること、および第二工程中にて、このチューブに溶液B(トロンビン)を供給して、フィブリンモノマーを形成し、架橋構造を得たこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0102】
(実施例16)
凍結乾燥を、数段階、すなわち、温度を−58℃まで下げること、この−58℃という温度を維持すること、1〜5時間にわたって真空を作ること(その凍結乾燥装置は、7Paの圧力設定値で調節し、その結果、真空ポンプは連続的に作動し得た)、この真空を維持しつつ、温度を−58℃から−20℃〜−30℃まで上げること、この真空を維持しつつ、−20℃〜−30℃の温度を少なくとも10時間(10〜100時間)維持すること、この真空を維持しつつ、この温度を20℃より高く上げることによって行ったこと以外は、実施例4を繰り返した。
【0103】
(実施例17)
その多孔性チューブを、引き続いて、溶液Aおよび溶液Bで処理したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0104】
本実施例の処理工程は、以下である:
a)このチューブに溶液A(フィブリノーゲン)を供給すること;
b)このチューブの外側の空間に真空を作って、チューブの壁を通って溶液Aを吸引すること;
c)このチューブ内に依然として存在している溶液Aを除去すること;
d)室温で15分間にわたって堆積したフィブリノーゲン層をインキュベートすること(工程a)、b)、c)およびd)は、工程e)の前に、1回または数回、例えば、2回または3回繰り返され得る);
e)このチューブに溶液B(トロンビン)を供給すること;
f)このチューブの外側の空間で真空を作って、チューブの壁を通って溶液Bを吸引すること;
g)このチューブ内に依然として存在している溶液Bを除去すること;
h)この層を37℃で30分間インキュベートすること;
i)このチューブに溶液A(フィブリノーゲン)を供給すること;
j)このチューブの外側の空間に真空を作って、チューブの壁を通って溶液Aを吸引すること;
k)このチューブ内に依然として存在している溶液Aを除去すること;
l)この層を、室温で15分間にわたってインキュベートすること(工程i、j、kおよびlは、1回または数回繰り返し得る);
m)この層を、37℃で90分間インキュベートすること。
【0105】
(実施例18)
中間インキュベーション工程d、hおよびlを省いたこと以外は、実施例16を繰り返した。
【0106】
(実施例19)
その多孔性チューブを、引き続いて、溶液Aおよび溶液Bで処理したこと以外は、実施例1を繰り返した。
【0107】
本実施例の処理工程は、以下である:
a)このチューブに溶液A(フィブリノーゲン)を供給すること;
b)このチューブの外側の空間に真空を作って、チューブの壁を通って溶液Aを吸引すること;
c)このチューブ内に依然として存在している溶液Aを除去すること;
d)室温で15分間にわたって堆積したフィブリノーゲン層をインキュベートすること;
e)このチューブに溶液B(トロンビン)を供給すること;
f)このチューブの外側の空間で真空を作って、チューブの壁を通って溶液Bを吸引すること;
g)このチューブ内に依然として存在している溶液Bを除去すること;
h)この層を37℃で30分間インキュベートすること;
i)このチューブを水で洗浄すること(好ましくは、連続的な洗浄操作);
j)工程a〜iを1回または数回繰り返すこと;
k)この層を、37℃で90分間インキュベートすること。
【0108】
(実施例20)
その溶液混合物のpHを、その導入時にて、それぞれ、6、6.5、7および7.5に変えたこと以外、またはそのチューブ中の溶液のpHを、その工程中に制御して、それを6.5、7または7.5に維持したこと以外は、実施例4を繰り返した。
【0109】
(実施例21)
その多孔性チューブを真空チャンバに入れる代わりに、このチューブを、塩(NaCl)の濃縮水溶液を備えた容器に入れて、逆浸透により、このチューブの壁を通って該濃縮溶液に向かう水およびフィブリン−フィブリノーゲン拡散を形成すること以外は、実施例1を繰り返した。
【0110】
(実施例22)
実施例1のフィブリノーゲンおよびトロンビン化合物を、注射器によってチューブに注入して、このチューブの内壁にフィブリン層を形成した。この方法により、フィブリノーゲンは、このチューブの内壁または該内壁の付近にあるフィブリン層に存在するようになる。
【0111】
このフィブリノーゲン溶液を除去し、このチューブを水に浸漬した(前洗浄)後、チューブを、実施例1で使用した真空チャンバに入れた。次いで、このチューブに脱塩水を供給し、それから、このチャンバに真空を作り(0.3×105Paの圧力)、その結果、水は、チューブの壁を通って、その内壁から外壁へと吸引される。このチューブ壁を通って水が拡散することにより、未結合フィブリノーゲンは、このフィブリン層から、この支持体の外側に除去でき、その結果、このチューブの内壁付近に位置しているその少なくとも一部は、フィブリノーゲンを含まなくなる。
【0112】
(実施例23)
そのチューブ壁を通って水を拡散することによる洗浄工程に、5%のグリセロールを含有する水溶液を使用したこと以外は、実施例22を繰り返した。
【0113】
(実施例24)
そのチューブ壁を通って水を拡散することによる洗浄工程に、5%のグリセロールおよび1%のアルブミンを含有する水溶液を使用したこと以外は、実施例22を繰り返した。
【0114】
上記実施例では、人血に由来のフィブリノーゲンおよびトロンビンを使用することにより、フィブリン層を作製した。これらは、市場で入手できる製品(例えば、CRYOLITE製の生体接着剤、例えば、製品FibRx、またはVITEX(製品VIGuard))、または組換えフィブリノーゲンで置き換えることができた。
【0115】
本発明による要素または膜、例えば、実施例1〜13の膜は、いくつかの用途で、例えば、EP 96910867で記述されているように、バイオリアクター用の膜として、フィルター用の膜として、移植片(例えば、人工臓器)として、人工静脈として、人工動脈として、抗血栓物質として、心臓弁として、人工皮膚として、使用され得る;この膜はまた、試験キットまたは設備などの製造に適用され得る。
【0116】
グリセロールを添加せずに作製した凍結乾燥フィブリンネットワーク(実施例3)、凍結乾燥の前後で約5%のグリセロールを含有する溶液で作製したフィブリンネットワーク(実施例4)、および約10%のグリセロールを含有する溶液で凍結乾燥して作製したフィブリンネットワーク(実施例6)に付着した細胞の形態を決定するために、多くの試験を実行した。
【0117】
これらの試験において、ダルベッコ変性イーグル培地Dulbecco Modified Eagle Medium(DMEM)から、培養液を調製した。このDMEM培地に、以下の成分(本明細書中において、重量%で示す)を添加した。
【0118】
20%のHAM’S F12(培地);
10%のFCS(ウシ胎児血清);
1%の非必須アミノ酸(すなわち、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−プロリン、L−セリン);
1%のピルビン酸ナトリウム;
1%のペニシリウムストレプトマイシン;および
1%のL−グルタミン。
【0119】
この培地は、本明細書中以下にて、「調製DMEM培地」と呼ぶ。
【0120】
これらの試験で使用した細胞を、以下のようにして単離した:
ウシを屠殺した直後、ウシの大動脈を回収した。その大動脈の脂肪組織を分離した後、側副動脈を結紮した。その大動脈の内面を、37℃で、15分間にわたって、25IU/mlのコラゲナーゼを含有する溶液で処理した。この処理で解離した細胞を回収し、バリンD、10%のFCS、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2.5μg/mlのアンフォテリシンBを含有するDMEM培地に入れた。この培地を、24時間後、再生した。
【0121】
2日後、この培養液を、70%DMEM培地(これは、20%のHam’s F12、10%のFCS、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2.5μg/mlのアンフォテリシンBを含有する)に入れた。
【0122】
一旦、これらの細胞がコンフルーエンスに達すると、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)の存在下でトリプリン(1mg/ml)の助けを借りて、回収した。
【0123】
次いで、それらを、「調製DMEM培地」で成長させる。
【0124】
これらの細胞をフィブリンネットワークを備えた支持体を含むペトリ皿に加える前に、これらの細胞をこのDMEM培地(これは、トリプシン−EDTA培地(5倍濃縮)で37℃で5分間にわたるインキュベーションにより、調製した)から回収し、次いで、10%のFCSを含有する培地10mlを加えて、その酵素の作用を停止した。トリパンブルーでマーキングした後、Burkerチャンバ中の細胞を数えることにより、顕微鏡の助けを借りて、この培地中の細胞数を測定した。この方法は、本明細書中以下、顕微鏡計数法と称する。得られた細胞数は、第一溶液に対して、25,000個の細胞/mlであり、そして第二溶液に対して、125,000個の細胞/mlである。
【0125】
この培地(これは、それぞれ、50,000個の細胞および250,000個の細胞を含有する)2mlを、異なるペトリ皿(これは、それぞれ、グリセロールの添加なしで調製した凍結乾燥フィブリンネットワーク(皿1)、凍結乾燥前(皿2)および凍結乾燥後(皿3)に約5%のグリセロール(実施例4)を含有する溶液で調製したフィブリンネットワーク、および凍結乾燥と共に約10%のグリセロール(実施例5)を含有する溶液で調製したフィブリンネットワーク(皿4)を含有する)に別々に加えた。
【0126】
ペトリ皿中の細胞の培養は、37℃で、第一バッチの皿(50,000個の細胞を含有する皿)に対して、2時間行い、そして第二バッチの皿(250,000個の細胞を含有する皿)に対して、11日間行った。その培養時間(2時間または11日間のいずれか)が終了したとき、ペトリ皿中のフィブリンネットワークを、2.5%グルタルアルデヒド溶液によって固定した。図15、16、17および18は、電子顕微鏡(Philips XL20走査型電子顕微鏡)で撮影したときの、2時間培養後の皿1、2、3および4のフィブリン層の上面図である。これらの図は、2時間の培養後、異なる皿上でのフィブリンネットワーク上の良好な細胞付着を示している。これらの細胞を、規則的かつ平らな配列で、その上面に分散する。
【0127】
37℃で11日間培養した皿について、その培養時間中において、皿の視覚検査を実行した。この検査は、8日間の培養後、皿1(グリセロールなしのフィブリンネットワーク)のネットワークのフィブリン分解が現れたのに対して、8日間の培養後、皿2、3および4のネットワークについては、フィブリン分解は認められなかったことを示した。
【0128】
11日間の培養後、皿1、2および3について、生細胞数を数えた。この生細胞数は、酵素キット、Boehringer Mannheim WST−1(カタログ番号1644807−バッチ番号14890800)によって測定した。この方法の原理は、この培地に加えたテトラゾリウム塩がミトコンドリアの酵素(スクシネート−テトラゾリウム還元酵素)によりホルマザンに開裂することに基づく。この還元は、生細胞でのみ起こる。代謝的に活性な細胞により産生したホルマザンを、走査型分光光度計(ELISAリーダー)により、定量する。この定量は、ペトリ皿1、2および3の培地を新鮮培地(これは、WST−1酵素キットの溶液100μlを含有する)1mlで置き換えることにより、行った。7%のCO2を含有する雰囲気下にて37℃で4時間のインキュベーション後、分光器での分析用に、各皿の着色溶液100μlを集めた。各溶液に対して、450nmでの吸光度ピークと655nmでの吸光度ピークとの間の差を測定した。皿2および3に対する吸光度差は、皿1に対するものよりもずっと顕著である(40〜50%高い)ことが分かった。皿1、2および3に対する吸光度差は、その中に細胞を有しない試料の吸光度差よりも少なくとも4倍高かった。この分析により、皿1、2および3中の細胞は、生存していること、さらに、グリセロールの存在は、良好な細胞生存度を保証することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−269154(P2010−269154A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145687(P2010−145687)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2000−579275(P2000−579275)の分割
【原出願日】平成11年11月4日(1999.11.4)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】