説明

フィリング充填方法

【課題】 食品の長さが異なる場合にも一定量のフィリングを食品の長さに対応した長さで充填する。
【解決手段】 フィリングの充填量、充填開始位置および充填完了位置を設定し、その際、フィリングの充填開始位置を食品10の搬送方向(矢印25の方向)の先端11からの長さで設定し、フィリングの充填完了位置を食品10の後端12からの長さで設定し、所定の搬送速度で搬送される食品10が食品長さ計測用センサ31の前を通過する時に食品長さ計測用センサ31が食品10の搬送方向(矢印25の方向)の長さを計測し、充填用食品確認センサ33が搬送される食品10の先端11を検出したときに、充填開始位置から充填機40がフィリングを食品10に充填し、その際充填速度は、計測された食品10の搬送方向(矢印25の方向)の長さ、設定された充填開始位置、設定された充填完了位置、前記搬送速度および設定された充填量により決定されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品にフィリングを充填するフィリング充填方法に関し、特に、フィリング充填量を正確に制御することができるフィリング充填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来ロールパン等の食品にクリーム、ジャム、バター等のフィリングを充填してクリームパン、ジャムパン、バターパン等を製造している(例えば特許文献1参照)。この場合、ロールパン等をコンベアで搬送しつつ、ロールパン等の上面をカッターで切り開き、この切り開いた部分にノズルからフィリングを所定時間充填している。
【特許文献1】特開2003−190842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、ロールパン等の食品の搬送方向の長さが一定の場合には、一定の充填時間にて一定の充填速度でフィリングを充填できるが、食品の搬送方向の長さが異なる場合には、フィリングの充填を食品の長さに応じて良好に充填することができないという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フィリングを充填する食品の長さが異なる場合にも一定量のフィリングを食品の長さに対応した長さで充填することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ロールパン等の食品にフィリングを充填するフィリング充填方法において、前記フィリングの充填量、充填開始位置および充填完了位置を設定し、その際、前記フィリングの充填開始位置を前記食品の搬送方向の先端から前記充填開始位置までの長さで設定し、前記フィリングの充填完了位置を前記食品の搬送方向の後端から前記充填完了位置までの長さで設定し、前記食品を所定の搬送速度で搬送し、前記所定の搬送速度で搬送される食品が食品長さ計測用センサの前を通過する時に前記食品長さ計測用センサが前記食品の前記搬送方向の長さを計測し、前記充填用食品確認センサが前記搬送される食品の先端を検出したときに、前記充填開始位置から充填機がフィリングを前記所定の速度で搬送される食品に充填し、その際前記充填速度は、前記計測された食品の搬送方向の長さ、前記設定された充填開始位置、前記設定された充填完了位置、前記搬送速度および前記設定された充填量により決定されることを特徴とするフィリング充填方法である。
これにより、ロールパン等の食品にフィリングを充填する場合に、設定された充填量のフィリングを食品の充填開始位置から充填完了位置まで充填することができる。そして、所定の搬送速度で搬送される食品が食品長さ計測用センサの前を通過する時に前記食品長さ計測用センサが前記食品の前記搬送方向の長さを計測し、前記充填用食品確認センサが前記搬送される食品の先端を検出したときに、前記充填開始位置から充填機がフィリングを前記所定の速度で搬送される食品に充填し、その際前記充填速度は、前記計測された食品の搬送方向の長さ、前記設定された充填開始位置、前記設定された充填完了位置、前記搬送速度および前記設定された充填量により決定されるので、前記食品の搬送方向の長さが異なる場合においても、設定された量のフィリングを食品の長さに対応した長さで食品に充填することができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1に記載したフィリング充填方法において、前記食品長さ計測用センサが前記搬送される食品に所定方向の赤外線等の光を照射して、この照射した光により前記食品を検知している検知時間を計測し、この検知時間と前記搬送速度との積により前記食品の搬送方向の長さを算出することを特徴とするフィリング充填方法である。
これにより、前記食品長さ計測用センサが所定方向に赤外線等の光を照射し、照射された光により前記搬送される食品を検知している検知時間は前記食品の前記搬送方向の先端から後端までが所定方向に照射された赤外線等の光を受けている時間であるので、前記検知時間と前記搬送速度の積により前記食品の前記搬送方向の長さを算出することができる。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のフィリング充填方法であって、前記充填速度はシーケンサにより算出され、その際前記計測された食品の搬送方向の長さから前記食品の先端から前記設定された充填開始位置までの長さおよび前記食品の後端から前記充填完了位置までの長さを引き算して充填長さを算出し、前記設定したフィリングの充填量を体積で表しものと前記搬送速度の積を前記充填長さで除して前記充填速度を算出し、算出された充填速度により充填機のフィリング充填用ポンプが制御されることを特徴とするフィリング充填方法である。
これにより、シーケンサが前記計測された食品の搬送方向の長さから「前記食品の先端から前記設定された充填開始位置までの長さ」および「前記食品の後端から充填完了位置までの長さ」を引き算して充填長さを算出し、前記設定したフィリングの充填量を体積で表しものと前記搬送速度の積を前記充填長さで除して前記充填速度を算出する。そして、算出された充填速度により充填機のフィリング充填用ポンプが制御されるので、食品の長さが異なる場合にも設定された量のフィリングを充填できるように充填速度を自動的に制御することができる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、食品の長さが異なる場合においても、設定された量のフィリングを前記食品に自動的に食品の長さに応じて適正に充填することができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、フィリング充填対象の食品の搬送方向の長さを前記食品に接触しないで自動的に計測することができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果とともに、長さの異なる食品の充填開始位置から充填完了位置までに設定された量のフィリングを自動的に充填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るフィリング充填方法を実施するフィリング充填システムを示し、図2は図1のフィリング充填システムのシーケンサ等を示し、図3は図2のシーケンサのタッチパネルを示し、図4は本発明のフィリング充填方法を実施するフローチャートを示し、図5は本発明のフィリング充填方法でフィリングを充填した食品を示す。なお、図5(a)は通常の長さの食品の場合であり、(b)は長い食品の場合であり、(c)は短い食品の場合である。
【0009】
図1に示すように、ロールパン等の食品10にフィリングを充填するフィリング充填システム20は、以下の構成になっている。
フレーム21上に搬送手段の一例となるコンベア22が配設されている。コンベア22はサーボモータ23により回転駆動される。
【0010】
図2に示すように、シーケンサ50は、図1のフィリング充填システム20全体を制御する中央処理装置であるCPU53、CPU53に接続されたタッチパネル51、位置コントローラ52、メモリ54、入力インターフェース55および出力インターフェース56を備えている。メモリ54にはフィリング充填システム20全体を作動させるための各種データおよびプログラムが格納されている。食品10の長さ計測センサ31および食品確認センサ33の出力は入力インターフェース55を経由してCPU53に送られる。また、CPU53の処理結果は出力インターフェース56を経由して充填機40に送られる。
サーボモータ23は位置コントローラ52により制御され、エンコーダ24はサーボモータ23の回転速度を検出して位置コントローラ52に送る。位置コントローラ52はエンコーダ24から送られてきた回転速度が設定値になるようにサーボモータ23を制御する。
【0011】
図3(a)に示すように、タッチパネル51はその第1入力画面51aにてフィリング16の充填開始位置14(図5(a)参照)および充填完了位置15(図5(a)参照)および充填量(単位cc)を設定する。その際、フィリング16の充填開始位置14を食品10の搬送方向(図1の矢印25の方向)の先端11から充填開始位置14までの長さS(単位mm)で設定し、フィリング16の充填完了位置15を食品10の搬送方向の後端12から充填完了位置15までの長さF(単位mm)で設定する。そして、算出された充填速度を充填機40(図1参照)の最大充填速度の何%になるか表示する。なお、100%を超えるときはエラー表示をする。また、フィリング16の充填量を重量で表すときは、体積に換算するための充填補正を表示する。さらに、図3(b)の第2入力画面51bでは搬送速度をコンベア22(図1参照)の最大搬送速度の何%になるかで設定する。
【0012】
図1に示すように、コンベア22は食品10を設定された搬送速度で搬送する。前記搬送速度で搬送される食品10が食品長さ計測用センサ31の前を通過する時に食品長さ計測用センサ31が食品10の前記搬送方向の長さLを計測し、充填用食品確認センサ33が搬送される食品10の先端11を検出する。
【0013】
なお、長さ計測用センサ31はコンベア22で搬送される食品10に所定方向の赤外線等の光を照射し、照射した光が前記搬送される食品10により反射した場合にその反射した光を検知する。さらに、長さ計測用センサ31が発光部とこの発光部とは分離した受光部とを有し、前記発光部が照射した光が前記搬送される食品10により遮られることにより前記受光部が前記搬送される食品10で遮られている光を検知できないことによって前記搬送される食品10を検知する場合もある。この食品10を検知したことを示す信号(食品長さ計測用センサ31がスイッチのようにオンとなる)は上述のようにCPU53に送られるので、CPU53が前記検知の開始から終了までの時間の長さすなわち検知時間を計測し、前記検知時間と前記搬送速度との積により前記食品の搬送方向の長さを算出する。
また、充填用食品確認センサ33は、長さ計測用センサ31と同様の構造を有し、赤外線等の光を食品10に照射して食品10を検知する。
また、スライサ32は搬送されている食品10にフィリング16を充填するための搬送方向の溝13を形成することができる。
また、充填機40はフィリング16を収容する第1および第2ホッパ41、42、第1ホッパ41に接続された第1充填用ポンプ43、第2ホッパ42に接続された第2充填用ポンプ44および第1および第2充填用ポンプ43、44の出口に接続されたノズル45を備えている。
【0014】
上記フィリング充填システム20を使用して食品10にフィリング16が下記のようにして充填される。
図4に示すように、まず、食品長さ計測用センサ31が上述のように食品10を検知したときに、食品長さ計測用センサ31がスイッチのようにオンとなる(ステップS1)。このオン状態を示す信号(食品10を検知したことを示す信号)はCPU53に送られる。CPU53は前記オン状態を示す信号を受けている時間すなわち前記検知時間中において位置コントローラ52からエンコーダ24の出力パルスを計測して前記搬送距離を求め、求めた搬送距離を食品10の搬送方向の長さLとする(ステップS2)。食品長さ計測用センサ31がオフになると計測終了する(ステップS3)。つぎに、シーケンサ50が計測された長さLと、充填開始位置14と、充填完了位置15からフィリング16の充填長さN(図5(a)参照)を算出する(ステップS4)。
ここで、N=L−S−F
である。つぎに、シーケンサ50が設定された充填量Mと算出された充填長さNと、食品10の搬送速度からフィリング充填速度を算出する(ステップS5)。
ここで、充填速度=M×(搬送速度)/N
である。
【0015】
つぎに、食品確認センサ33が搬送されている食品10の先端11を検知したときに、食品確認センサ33がオンになる(ステップS6)。このとき、CPU53に内臓されたタイマーがカウントをスタートする(ステップS7)。つぎに、前記タイマーがS/(搬送速度)をカウントアップしたときに、食品10の充填開始位置14がノズル45の下に位置するようにする(ステップS8)。
つぎに、シーケンサ50が充填機40に「設定充填量」、「算出された充填速度」および「充填開始指令」を出力する(ステップS9)。
そのとき、充填機40の充填用ポンプ(43または44)が始動して、フィリング16を食品10の溝13の充填開始位置14から充填し始める(ステップS10)。
つぎに、食品10の充填完了位置15までフィリング16を充填完了したときに、充填用ポンプ(43または44)を停止する(ステップS11)。
このようにして、設定された量で長さN、幅W(図5(a)参照)のフィリング16を食品10に充填することができる。
【0016】
なお、図5(b)に示すように、通常の食品10より長い長さLaの食品10aの場合は、先端11aから充填開始位置14aまでの長さを(a)の場合と等しくSとし、後端12aから充填完了位置15aまでの長さを(a)の場合と等しくFとする。このため、食品10aの溝13aに充填された前記設定量のフィリング16aの長さNaは(a)の場合のNより長くなり、充填されたフィリング16aの幅Waは(a)の場合のWより狭くなる。
また、図5(c)に示すように、通常の食品10より短い長さLbの食品10bの場合は、先端11bから充填開始位置14bまでの長さを(a)の場合と等しくSとし、後端12bから充填完了位置15bまでの長さを(a)の場合と等しくFとする。このため、食品10bの溝13bに充填された前記設定量のフィリング16bの長さNbは(a)の場合のNより短くなり、充填されたフィリング16bの幅Wbは(a)の場合のWより広くなる。
このようにして、食品10a、10bの長さLa、Lbが食品10の長さLと異なっていても、設定された量のフィリング16a、16bを食品10a、10bの長さLa、Lbに対応した長さで食品10a、10bに充填することができる。
【0017】
また、長さ計測用センサ31は、食品10を検知したときにスイッチのようにオンとなるが、このとき逆にオフとなるようにしてもよい。食品確認センサ33も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るフィリング充填方法を実施するフィリング充填システムの正面図である。
【図2】図1のフィリング充填システムのシーケンサ等を示すブロック図である。
【図3】図2のシーケンサのタッチパネルの正面図である。
【図4】本発明のフィリング充填方法を実施するフローチャートである。
【図5】本発明のフィリング充填方法でフィリングを充填した食品の平面図である。
【符号の説明】
【0019】
10、10a、10b 食品
11、11a、11b 搬送方向の先端
12、12a、12b 後端
14、14a、14b 充填開始位置
15、15a、15b 充填完了位置
16、16a、16b フィリング
20 フィリング充填システム
22 コンベア(搬送手段)
25 搬送方向
31 長さ計測用センサ
33 食品確認センサ
40 充填機
50 シーケンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールパン等の食品にフィリングを充填するフィリング充填方法において、
前記フィリングの充填量、充填開始位置および充填完了位置を設定し、その際、前記フィリングの充填開始位置を前記食品の搬送方向の先端から前記充填開始位置までの長さで設定し、前記フィリングの充填完了位置を前記食品の搬送方向の後端から前記充填完了位置までの長さで設定し、
前記食品を所定の搬送速度で搬送し、
前記所定の搬送速度で搬送される食品が食品長さ計測用センサの前を通過する時に前記食品長さ計測用センサが前記食品の前記搬送方向の長さを計測し、
前記充填用食品確認センサが前記搬送される食品の先端を検出したときに、前記充填開始位置から充填機がフィリングを前記所定の速度で搬送される食品に充填し、
その際前記充填速度は、前記計測された食品の搬送方向の長さ、前記設定された充填開始位置、前記設定された充填完了位置、前記搬送速度および前記設定された充填量により決定されることを特徴とするフィリング充填方法。
【請求項2】
請求項1に記載したフィリング充填方法において、
前記食品長さ計測用センサが前記搬送される食品に所定方向の赤外線等の光を照射して、この照射した光により前記食品を検知している検知時間を計測し、この検知時間と前記搬送速度との積により前記食品の前記搬送方向の長さを算出することを特徴とするフィリング充填方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のフィリング充填方法であって、
前記充填速度はシーケンサにより算出され、
その際前記計測された食品の搬送方向の長さから前記食品の先端から前記設定された充填開始位置までの長さおよび前記食品の後端から前記充填完了位置までの長さを引き算して充填長さを算出し、前記設定したフィリングの充填量を体積で表しものと前記搬送速度の積を前記充填長さで除して前記充填速度を算出し、
算出された充填速度により充填機のフィリング充填用ポンプが制御されることを特徴とするフィリング充填方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−217817(P2006−217817A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31698(P2005−31698)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(390015532)株式会社ジャパンシステム (1)
【Fターム(参考)】