説明

フィルタユニット

【課題】 捕集効率の低下が無く、簡便にフィルタ濾材が枠体に取付けられたフィルタユニットを提供する。
【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜11と通気性支持体12とが積層されたフィルタ濾材10の端部を、通気性支持体12が内側に位置するように折り返し、その折り返し領域で、前記フィルタ濾材10を一対の枠体(図示せず)が挟持するように、前記枠体に取付ける。これにより、常に、一対の枠体の双方にPTFE多孔質膜11が接するようになり、流路中にPTFE多孔質膜11を確実に存在させることが可能となる。この結果、捕集効率の低下が無く、簡便にフィルタ濾材10が枠体に取付けられたフィルタユニットを得ることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気清浄機や防塵マスクなどにフィルタユニットが用いられている。前記フィルタユニットには、粉塵などの捕集効率が高く、通気抵抗である圧力損失が低いことが要求される。そこで、フィルタ濾材の選定と、取付け加工形状の工夫により、これらの特性を満足しようと種々の検討がなされている。
【0003】
例えば、前記フィルタ濾材として、ガラス繊維にバインダーを加えて抄紙した濾材(特許文献1参照)や合成繊維のエレクトレット濾材(特許文献2参照)、シート状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)半焼成体を作製し(特許文献3参照)、これを2軸延伸して多孔質化させたPTFE多孔質膜(特許文献4および5参照)などを用いることが提案されている。
【0004】
また、これらのフィルタ濾材の特性や製造方法における問題を解決するために、未焼成のPTFEのシート状成形体を延伸して得られたPTFE多孔質膜を、高性能フィルタユニットの濾材として適用することが種々提案されている(例えば、特許文献6参照)。そして、前記PTFE多孔質膜に、補強などを目的として通気性支持体を積層したフィルタ濾材についても提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0005】
前記フィルタ濾材を、一対の枠体で挟持してフィルタユニットを作製するのが一般的である。このとき、濾材と枠体に隙間が生じないように密着させる必要があるが、濾材には、限られたフィルタユニットの容積の中で濾材の表面積を増加させる様に、一般的にプリーツ加工といわれる折加工(波板状の折り曲げ)が施されている場合がある。この場合に、濾材をホットメルト接着剤などを用いて枠体に取付けることは、その形状の複雑さから多くの手間がかかるとされ、枠体でかしめるなど所要の圧力で挟持することによりフィルタユニットとすることが提案されている(特許文献8参照)。また、その挟持形状についての提案もなされている(特許文献9参照)。
【0006】
ところが、前記フィルタ濾材として、PTFE多孔質膜に通気性支持体を積層したフィルタ濾材を用いる場合、通気性支持体自体には、圧力損失の増加を避けるためにフィルタとしての捕集性能がなかったり、あったとしてもPTFE多孔質膜の捕集性能と比べるとはるかに低い場合が多い。このフィルタ濾材を枠体に取付けるときに、カシメなどで挟持する場合には、フィルタ濾材の表面が枠体と密着あるいは一部が圧縮された形となる。このとき、枠体に通気性支持体のみが接する部分ができ、通気性支持体が流路となり、空気の流れの上流側から下流側へとPTFE多孔質膜を通過せずに空気が流れてしまい、捕集性能が低下するという問題があった。
【特許文献1】特開昭63−16019号公報
【特許文献2】特開昭54−53365号公報
【特許文献3】特開昭59−152825号公報
【特許文献4】特開平3−221541号公報
【特許文献5】特開平5−202217号公報
【特許文献6】特開平7−196831号公報
【特許文献7】国際公開第WO94/16802号パンフレット
【特許文献8】特開2000−153122号公報
【特許文献9】特許第3143879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、捕集効率の低下が無く、簡便にフィルタ濾材が枠体に取付けられたフィルタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のフィルタユニットは、PTFE多孔質膜と通気性支持体とが積層されたフィルタ濾材と、このフィルタ濾材の端部を挟持する一対の枠体とを備え、前記フィルタ濾材は、前記端部に前記PTFE多孔質膜が折り返された折り返し領域を有し、前記折り返し領域の内側に前記通気性支持体が存在するフィルタユニットである。
【発明の効果】
【0009】
このように、フィルタ濾材の端部にPTFE多孔質膜が折り返された折り返し領域を設け、その内側に通気性支持体が存在するようにし、その折り返し領域でフィルタ濾材を枠体に取付けることにより、常に、一対の枠体の双方にPTFE多孔質膜が接するようになり、流路中にPTFE多孔質膜を確実に存在させることが可能となる。これにより、捕集効率の低下が無く、簡便にフィルタ濾材が枠体に取付けられたフィルタユニットを得ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のフィルタユニットにおいて、前記フィルタ濾材が、帯状であり、かつ波板状にプリーツ加工されていることが好ましい。前記プリーツ加工の方法としては、特に制限されないが、例えば、レジプロ式やロータリー式のプリーツマシンを用いる方法など、公知の方法を用いればよい。
【0011】
本発明のフィルタユニットおいて、前記フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さとは、例えば、図4にAで示した長さが該当し、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さとは、例えば、図4にBで示した長さが該当する。なお、図4において、11はPTFE多孔質膜を、12は通気性支持体を、13は枠体の上部を、14は枠体の下部を示す。図4は、本発明のフィルタユニットにおけるフィルタ濾材と枠体との取付け部分の構成の一例を示す図であり、本発明を制限するものではない。
【0012】
本発明のフィルタユニットにおいて、前記フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さは、機能的にはPTFE多孔質膜の厚みより大きければよく、例えば、0.05mm以上あれば十分である。外観上見栄えを良くする場合は、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さの20〜90%の範囲であることが好ましく、50〜90%の範囲であることがより好ましい。逆にフィルタ濾材が枠体に確実に取付けられていることを確認するために、前記フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さを前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さ以上にし、前記フィルタ濾材の折り返し領域の一部を枠体からはみ出させてもよい。これにより、フィルタ濾材が枠体に確実に取付けられていることを簡単に目視で確認できるようになる。
【0013】
以下に、本発明のフィルタユニットの一例について説明する。
【0014】
本発明のフィルタユニットに用いられるフィルタ濾材は、PTFE多孔質膜と通気性支持体とが積層された構成である。
【0015】
本発明において、前記PTFE多孔質膜の製造方法は、特に制限されないが、例えば、特公平7−8926号公報で提案されている液状潤滑剤の混合された分子量の異なるPTFEファインパウダーを層状に分布させた後に、層構造を保ったまま押出して圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法、特公平3−58291号公報で提案されている液状潤滑剤を含有したPTFE圧延シートを重ねてさらに圧延し、さらに延伸することでPTFE複層多孔質膜を得る方法、特開昭54−97686号公報で提案されている孔径の異なる未焼成のPTFE多孔性構造体を複数重ね合わせて圧着することで積層化し、PTFEの融点以上の温度で焼成してPTFE複層多孔質膜を得る方法などが挙げられる。
【0016】
前記PTFE多孔質膜において、その厚みは、例えば、0.001〜0.1mmの範囲、好ましくは0.001〜0.03mmの範囲であり、その圧力損失は、例えば、1〜2000Paの範囲、好ましくは1〜500Paの範囲、より好ましくは1〜200Paの範囲であり、その捕集効率は、例えば、90%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.98%以上である。なお、前記圧力損失および捕集効率の測定方法については、後述のとおりである。
【0017】
本発明において、前記通気性支持体の材質は、特に制限されず、求める濾材性能にあわせて選定することができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯、ポリエチレン(PE)を鞘とする芯鞘構造を有する複合繊維で形成されたスパンボンド不織布、織布、メッシュなどを用いることができる。
【0018】
つぎに、前記PTFE多孔質膜と通気性支持体とを積層し、例えば、ホットメルト接着剤を用いた接着、熱融着などの方法によって貼りあわせる。本発明は、PTFE多孔質膜が最外層に露出していれば実施できる。例えば、PTFE多孔質膜が1層の場合には、後述の折り返し加工において、単純に前記積層体を折り返せばよい。なお、PTFE多孔質膜と通気性支持体の層の数は、それぞれ2層以上であってもよい。この場合、PTFE多孔質膜に余長部を設けておき、その部分を折り返すことによっても同様の効果が得られる。例えば、図5(a)に示すように、PTFE多孔質膜21aの片面上に、通気性支持体22a、PTFE多孔質膜21bおよび通気性支持体22bをこの順で積層し、その際に2枚のPTFE多孔質膜21a、21bの端部が、通気性支持体22a、22bの端部からはみ出すようにする。つぎに、図5(b)に示すように、2枚のPTFE多孔質膜21a、21bの余長部を折り返し、その先端を通気性支持体22bの端部上に位置させる。なお、図5において、20はフィルタ濾材を、23はPTFE多孔質膜21aの折り返し領域の先端を、24はPTFE多孔質膜21aの折り返し領域の上部角を示す。前記余長部の作り方は、例えば、前記PTFE多孔質膜と通気性支持体との接着に接着剤を用いる場合には、前記余長部となる部分をマスキングするなどすればよいし、熱融着で接着する場合も同様に、熱ロールを凹状に加工したり、テープを巻きつけるなどして、熱伝導を落として接着しない部分を作ることによって行うことができる。
【0019】
つぎに、このフィルタ濾材の端部を折り返す。本発明の折り返し加工は、PTFE多孔質膜で通気性支持体をくるむように、すなわち前記通気性支持体が内側に位置するように折り返す。フィルタ濾材に前述の波板状のプリーツ加工を施す場合には、その前に折り返すのが好ましいが、特に制限するものではない。フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さについては、前述のとおりである。
【0020】
つぎに、前記端部が折り返されたフィルタ濾材を、その折り返し領域で一対の枠体に取付ける。前記枠体の大きさや材質などは、特に制限されず、用途に応じて任意に選択することができる。前記取付けに際しては、PTFE多孔質膜を空気の流れの上流側に配置してもよいし、通気性支持体を空気の流れの上流側に配置してもよい。空気の流れの上流側にPTFE多孔質膜を配置した場合、捕集された異物を落下させやすく、フィルタ濾材を長寿命化することができる。この場合、空気の流れの下流側の通気性支持体の機能は、主に濾材強度の向上にあり、その厚みを、0.05〜1mmの範囲とすることが好ましく、0.05〜0.5mmの範囲とすることがより好ましい。また、空気の流れの上流側に通気性支持体を配置する場合には、前記通気性支持体に、大きな異物をあらかじめ取り除く役割を与えるために、前記空気の流れの下流側に通気性支持体を配置する場合よりも、その厚みをより厚くすることが好ましい。この場合には、通気性支持体がどのような厚みであっても、確実にPTFE多孔質膜を通気するように、フィルタ濾材を枠体に取付けることができる。なお、この場合、前述の折り返し領域の空気の流れの上流側には、通気性支持体がない状態となるが、折り返し領域を設けるのは、本来枠体への取付けが目的であり問題はない。
【0021】
図1の断面図に、本発明のフィルタユニットに用いられるフィルタ濾材の一例を示す。図示のとおり、このフィルタ濾材10は、PTFE多孔質膜11の上に通気性支持体12が積層された構成である。
【0022】
図2を用いて、図1に示したフィルタ濾材10の折り返し加工の一例について説明する。図示のように、フィルタ濾材10の端部を、PTFE多孔質膜11で通気性支持体12をくるむように、すなわち前記通気性支持体12が内側に位置するように折り返し、折り返し領域とする。
【0023】
図3の分解斜視図を用いて、本発明のフィルタ濾材の枠体への取付けの一例について説明する。この例は、帯状のフィルタ濾材に波板状のプリーツ加工が施されている場合の例である。図3(a)に示すプリーツ加工が施されている帯状のフィルタ濾材10を、その両端の折り返し領域で、一対のくし型の枠体13、14に取付ける。なお、図3(b)の13は枠体の上部を、図3(c)の14は枠体の下部を示す。
【0024】
本発明のフィルタユニットは、使用に際して、枠体ごと交換することもできるし、フィルタ濾材を枠体から外し、フィルタ濾材のみを交換しても確実に枠体にフィルタ濾材を取付けることができる。これにより、枠体を再利用できるようになり、より安価なフィルタユニットとすることができる。
【0025】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明するが、本発明は、以下の実施例および比較例によって制限されるものではない。なお、実施例および比較例における各特性の測定方法は、以下に示すとおりである。
【0026】
(1)圧力損失
サンプル(PTFE多孔質膜、フィルタ濾材またはフィルタユニット、以下同じ)を有効面積100cm2の円形のホルダーにセットし、入口側と出口側に圧力差を与え、前記サンプルの透過流速を流量計で5.3cm/秒に調整したときの圧力損失(単位:Pa)を圧力計(マノメーター)で測定した。測定は、1サンプルにつき5箇所行った。5箇所測定した各測定値の平均をサンプルの圧力損失とした。
【0027】
(2)捕集効率
圧力損失判定と同一の装置を用い、サンプルの透過流速を5.3cm/秒に調整して前記サンプルの上流側に粒径0.1〜0.15μmの多分散ジオクチルフタレート(DOP)粒子が約107個/リットルになるように供給し、上流側の粒子濃度とサンプルを透過してきた下流側の粒子濃度とをパーティクルカウンターで測定し、下記(数1)に基づいて捕集効率(%)を求めた。
【0028】
捕集効率(%)=(1−下流側の粒子濃度/上流側の粒子濃度)×100 (数1)
下流側の粒子濃度の単位:個/リットル
上流側の粒子濃度の単位:個/リットル
【実施例1】
【0029】
図1の構成のフィルタ濾材を作製した。すなわち、まず、PTFEファインパウダー(旭硝子社製商品名フルオンCD−123)100重量部に対して液状潤滑剤(流動パラフィン)30重量部を均一に混合し、この混合物を20kg/cm2の条件で予備成形した。ついで、これをロッド状に押出成形し、さらにこのロッド状物を1対の金属製圧延ロール間に通して、厚み0.2mmの長尺のシート状成形体を得た。つぎに、このシート状成形体から、ノルマルデカンを用いた抽出法により前記液状潤滑剤を除去した後、管状芯体にロール状に巻回した。
【0030】
このシート状成形体を、ロール延伸法により長手方向に320℃で20倍に延伸した。つぎに、テンターを用いて幅方向に90℃で60倍に延伸し、PTFE多孔質膜11を得た。このPTFE多孔質膜11の厚みは、3μm、圧力損失は、160Pa、捕集効率は、99.99%であった。
【0031】
つぎに、このPTFE多孔質膜11と通気性支持体12(PETを芯、PEを鞘とする芯鞘構造を有する複合繊維で形成されたスパンボンド不織布(ユニチカ社製商品名エルベス、目付け量70g/m2))とを、熱ラミネートにより接着し、帯状のフィルタ濾材10を得た。
【0032】
つぎに、レシプロ式のプリーツマシンを使用して、ブレード温度90℃で、山谷間隔が10mmになるように波板状のプリーツ加工を施した。ついで、前記プリーツ加工を施したフィルタ濾材10を折り曲げ代を各辺3mmづつ取って切断し、図3(a)に示すように、各辺を3mm折り返した。つぎに、前記図3(a)に示すプリーツ加工を施したフィルタ濾材10を、PTFE多孔質膜11が空気の流れの上流側にくるように、長手方向の長さが80mm、幅80mmで山数が15の一対のくし型の枠体13、14に取付けることで、フィルタユニットを得た。なお、図3(b)の13は枠体の上部を、図3(c)の14は枠体の下部を示し、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さは4mmであった。
【実施例2】
【0033】
PTFE多孔質膜11を空気の流れの下流側にくるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルタユニットを得た。
【実施例3】
【0034】
図5に示す工程でフィルタ濾材を作製した。PTFE多孔質膜21a、21bは、余長部を設けたこと以外、実施例1に記載のPTFE多孔質膜11と同様にして作製した。また、通気性支持体22a、22bには、実施例1に記載の通気性支持体12と同じ物を用いた。PTFE多孔質膜と通気性支持体との接着についても実施例1と同様にして行い、帯状のフィルタ濾材20を得た。つぎに、折り返し領域の幅の長さを6mmとし、前記PTFE多孔質膜21aの折り返し領域の先端23および上部角24を、それぞれ赤と青に着色したこと以外は、実施例1と同様にして、フィルタユニットを得た。前述のとおり、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅は4mmであるので、前記赤色に着色した部分(PTFE多孔質膜21aの折り返し領域の先端23)は、枠体の内側に、前記青色に着色した部分(PTFE多孔質膜21aの折り返し領域の上部角24)は、枠体の外側にそれぞれはみ出す。
【0035】
(比較例1)
前記帯状のフィルタ濾材の長手方向の両端を折り返さないこと以外は、実施例1と同様にして、フィルタユニットを得た。
【0036】
(比較例2)
前記帯状のフィルタ濾材の長手方向の両端を折り返さないこと以外は、実施例2と同様にして、フィルタユニットを得た。
【0037】
(比較例3)
前記帯状のフィルタ濾材の長手方向の両端を折り返さないこと以外は、実施例3と同様にして、フィルタユニットを得た。
【0038】
実施例1、2および比較例1、2により作製したフィルタユニットの圧力損失と捕集効率を測定し、これに使用した前記フィルタ濾材単体との特性比較を行った。その結果を下記表1に示す。
【0039】
(表1)
フィルタ濾材 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
圧力損失(Pa) 160 80 80 80 80
捕集効率(%) 99.99 99.99 99.99 99.9 99.9
【0040】
実施例3および比較例3により作製したフィルタユニットの圧力損失と捕集効率を測定し、実施例3により作製したフィルタ濾材単体との特性比較を行った。その結果を下記表2に示す。
【0041】
(表2)
フィルタ濾材 実施例3 比較例3
圧力損失(Pa) 350 170 170
捕集効率(%) 99.9999以上 99.9999以上 99.9
【0042】
前記表1、2より、実施例1〜3により作製したフィルタユニットでは、フィルタ濾材の特性が十分維持されているのに対し、比較例1〜3により作製したフィルタユニットでは捕集効率の低下が見られた。このことから、本発明のフィルタユニットでは、捕集効率の低下が無いことが明らかとなった。また、実施例3により作製したフィルタユニットでは、各特性の測定の際、フィルタユニットを測定装置の円形ホルダーに取付けた状態でも膜面に赤色と青色に着色した部分が見え、このことから、フィルタ濾材が枠体に確実に取付けられていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のフィルタユニットは、例えば、空気清浄機、防塵マスク、空調機、掃除機など広い用途に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のフィルタユニットに用いるフィルタ濾材の一例の構成を示す断面図である。
【図2】前記フィルタ濾材の端部の折り返し領域を示す断面図である。
【図3】本発明のフィルタユニットの一例の構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明のフィルタユニットのその他の例の構成を示す部分断面図である。
【図5】本発明のフィルタユニットに用いるフィルタ濾材のその他の例の端部の折り返し工程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0045】
10、20 フィルタ濾材
11、21a、21b PTFE多孔質膜
12、22a、22b 通気性支持体
13 枠体上部
14 枠体下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜と通気性支持体とが積層されたフィルタ濾材と、このフィルタ濾材の端部を挟持する一対の枠体とを備え、前記フィルタ濾材は、前記端部に前記PTFE多孔質膜が折り返された折り返し領域を有し、前記折り返し領域の内側に前記通気性支持体が存在するフィルタユニット。
【請求項2】
前記フィルタ濾材が、帯状であり、かつ波板状にプリーツ加工されている請求項1記載のフィルタユニット。
【請求項3】
前記フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さが、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さの20〜90%の範囲である請求項1または2記載のフィルタユニット。
【請求項4】
前記フィルタ濾材の折り返し領域の幅の長さが、前記枠体の前記フィルタ濾材を挟持する部分の幅の長さ以上である請求項1または2記載のフィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75757(P2006−75757A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263679(P2004−263679)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】