説明

フィルタ及びその製造方法

【課題】表面捕集と洗浄性を保持しながら、傷の発生防止を行う。また、洗浄による繰り返しの圧力に対して耐久性の高いフィルタを提供する。
【解決手段】大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体3と、このフィルタ本体3の外側又は内側に設けた精密濾過膜5であって、前記フィルタ本体3より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体3より細かい微細孔を持った精密濾過膜5と、この精密濾過膜5の外側又は内側に設けた保護膜7であって、前記精密濾過膜5より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜5より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体3と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体3より細かい気孔を有した保護膜7と、で構成されると共に、前記フィルタ本体3と精密濾過膜5と保護膜7の各層が互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタ及びその製造方法に関し、特にガス状あるいは液状の流体から微細な粉塵を分離する濾過装置に使用されるフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス状あるいは液状の流体から微細な粉塵を分離して濾過する捕集手段として、布やセルロース、フェルト等の繊維からなる袋状のバグフィルタやプリーツフィルタと、樹脂の粒子を表面で融着して焼結した連通多孔質成形体(焼結体)からなるフィルタエレメントが知られている。
【0003】
しかしながら、前者のバグフィルタはリテーナにより支えられるものであり、表面気孔が微小で均一であることから表面捕集が優れており、捕集粉塵の払い落としが容易であるが、この捕集粉塵の払い落としのためにバグフィルタに逆圧を繰り返しかけると、リテーナとの間での摩擦により、バグフィルタが裂けてしまうという問題点や、微細な粉塵はバグフィルタ内に蓄積し、半年から1年程度でつまりが発生し風量低下が発生するという問題点があった。また、後者のフィルタエレメントは、焼結体の孔の大きさが樹脂の粒子の径に対して1/4〜1/5程度となる。例えば、樹脂の粒子径50μmに対して10μm程度の孔が形成されるために大きな粒子の粉塵しか捕集できないことになる。もし、樹脂の粒子の径を小さくして孔の大きさを小さくすると、空気抵抗が大きくなってしまうという問題点があった。
【0004】
そこで、上記の問題を解消するために、1つ目の従来例のフィルタとしては、フィルタの内壁からフィルタの厚さの1/4〜2/3の位置に、強度を有する支持体と微粒子からなる精密濾過層が積層されている。これに該当するフィルタとしては特許文献1に示されている。また、特許文献2の筒状フィルタは、フィルタの内層部には熱融着性複合繊維が卷回され、その上層部にかけて該熱融着性複合繊維の繊維径よりも細い繊維径を有するガラス繊維からなるガラス繊維不織布層が挿入されており、ガラス繊維不織布層がフィルタの内表面からの厚さの1/3ないし4/5の円周面に挿入され、その空隙率が96%以上、厚さがフィルタ厚さの10〜50%である。
【0005】
また、2つ目の従来例のフィルタとしては、強度を有するフィルタ本体の表面に、精密濾過層として微細粒子を接着などの接合技術で貼り付けている。例えば、特許文献3〜特許文献5のフィルタでは、例えばポリエチレンなどの樹脂の粒子を表面で融着して焼結した連通多孔質成形体(焼結体)の表面に、精密濾過層としてフッ素樹脂あるいは他の樹脂などの微粒子のコーティング層を例えば接着剤などで接着して形成した焼結体フィルタである。すなわち、焼結体の孔がフッ素樹脂などの微粒子により多数の小さな隙間となる。
【0006】
また、3つ目の従来例のフィルタとしては、強度を有するフィルタ本体の表面に、PTFE膜(ポリテトラフロロエチレン)などの多孔質シート(又は多孔質フィルム)を精密濾過層として貼り付けている。例えば、特許文献6のフィルタでは、例えばポリエチレンなどの樹脂の粒子を焼結した連通多孔質成形体(焼結体)の表面に、微細な孔を有した多孔質シート(又はフィルム)を接着又は融着などの方法で表面に貼り付けた焼結体フィルタである。なお、前記多孔質シートとしては、PEポリ工チレン、PPポリプロピレン、PTFE膜などの多孔質シート(又は多孔質フィルム)がある。
【0007】
また、上記の3つ目の従来例の他のフィルタとしては、直径が数1μm〜数百μmという比較的太いサイズの不織布などの布状の繊維からなるフィルタ本体の表面に、微細な孔を有した多孔質膜やマイクロファイバ膜等のように非常に細い繊維からなるシート(又はフィルム)が精密濾過層として貼り付けられている。
【特許文献1】特開昭56−49605号公報
【特許文献2】特許第3677836号公報
【特許文献3】特許第3330153号公報
【特許文献4】特開平11−262613号公報
【特許文献5】特開平11−276824号公報
【特許文献6】特開平8−173727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、1つ目の従来例のフィルタでは、逆圧洗浄やパルス洗浄を行っても、精密濾過層で捕集した粉塵などの補足粒子は支持体に邪魔されて除去できないために、寿命が短いという問題点があった。
【0009】
また、2つ目の従来例のフィルタでは、微細粒子からなる精密濾過層がフィルタ本体の表層に数μm〜数10μmの厚さで接着形成されているので、補足粒子の表面捕集ができ、逆圧洗浄やパルス洗浄で通気性や通液性の回復ができるが、フィルタを製造する際に治具などによって表面に傷が発生し易い。また、フィルタを取扱中に、例えば逆圧洗浄やパルス洗浄時に、接着が不十分の箇所や上記の傷が起点となって精密濾過層の剥離が発生し易い。さらには、経年変化により接着層の劣化でも精密濾過層の剥離が発生するという問題点があった。
【0010】
また、3つ目の従来例のフィルタでは、PTFE膜やテフロン(登録商標)などの多孔質シート(又は多孔質フィルム)を貼り付けた表層は、数μm〜数10μmの厚さで薄いので、傷が付き易いという問題点があった。また、上記の多孔質シート(又は多孔質フィルム)は付着強度が弱いため、逆圧洗浄やパルス洗浄で剥離が発生することがあった。この剥離が発生すると、膜厚が薄いことで膜強度が弱いために破けることがあった。さらには、フィルタを取扱中に傷が付き易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明のフィルタは、大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体と、
このフィルタ本体の外側又は内側に設けた精密濾過膜であって、前記フィルタ本体より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、
この精密濾過膜の外側又は内側に設けた保護膜であって、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜と、で構成されると共に、
前記フィルタ本体と精密濾過膜と保護膜の各層が互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明のフィルタは、大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体と、
このフィルタ本体の外側又は内側に設けた第1の保護膜であって、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第1の保護膜と、
この第1の保護膜の外側又は内側に設けた精密濾過膜であって、前記第1の保護膜より小径の素材で、かつ前記第1の保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、
この精密濾過膜の外側又は内側に設けた第2の保護膜であって、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第2の保護膜と、で構成されると共に、
前記フィルタ本体と第1の保護膜と精密濾過膜と第2の保護膜の各層が互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、この発明のフィルタは、前記フィルタにおいて、前記フィルタ本体が、大径の樹脂で、かつ大径の気孔を持った焼結体、あるいは太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体を少なくとも1層以上に巻いて構成した筒状体であることが好ましい。
【0014】
また、この発明のフィルタは、前記フィルタにおいて、前記精密濾過膜が、微粒子素材からなる接着層、又は微細孔を有した多孔質膜あるいはマイクロファイバ膜であることが好ましい。
【0015】
また、この発明のフィルタは、前記フィルタにおいて、前記保護膜が、粉塵の剥離性を有する樹脂でコーティング処理されていることが好ましい。
【0016】
また、この発明のフィルタは、前記フィルタにおいて、前記保護膜が、10μm〜1000μmの厚さであることが好ましい。
【0017】
この発明のフィルタの製造方法は、大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
このフィルタ本体の外側又は内側に微粒子素材を接着剤で吹き付けることで、前記フィルタ本体より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい微細孔を持った精密濾過膜を形成し、
この精密濾過膜の外側又は内側に、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜を接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするものである。
【0018】
この発明のフィルタの製造方法は、大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
予め、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜の片面に、この保護膜より小径の素材で、かつ前記保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜を接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜付き保護膜を構成し、
前記精密濾過膜付き保護膜を前記フィルタ本体の外側又は内側に前記精密濾過膜を接触するようにして接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするものである。
【0019】
この発明のフィルタの製造方法は、大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
予め、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第1の保護膜と、この第1の保護膜より小径の素材で、かつ前記第1の保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、前記第1の保護膜と同じ条件の第2の保護膜と、を順にサンドイッチ構造として接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜付き保護膜を構成し、
前記精密濾過膜付き保護膜を前記フィルタ本体の外側又は内側に前記第1の保護膜を接触するようにして接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするものである。
【0020】
また、この発明のフィルタの製造方法は、前記フィルタの製造方法において、前記精密濾過膜を、微粒子素材を接着剤で吹き付けることで形成し、あるいは微細孔を有した多孔質膜又はマイクロファイバ膜で形成することが好ましい。
【0021】
また、この発明のフィルタの製造方法は、前記フィルタの製造方法において、前記フィルタ本体を、大径の樹脂で、かつ大径の気孔を持った焼結体で形成することが好ましい。
【0022】
また、この発明のフィルタの製造方法は、前記フィルタの製造方法において、前記フィルタ本体を、太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体を回転軸に少なくとも1層以上に卷回して円筒状に形成することが好ましい。
【0023】
また、この発明のフィルタの製造方法は、前記フィルタの製造方法において、前記保護膜に、粉塵の剥離性を有する樹脂でコーティング処理を行うことが好ましい。
【0024】
また、この発明のフィルタの製造方法は、前記フィルタの製造方法において、前記保護膜を、10μm〜1000μmの厚さに形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明のフィルタによれば、精密濾過膜の表面が保護膜で保持されているので、逆圧洗浄やパルス洗浄による精密濾過膜の破損や広い範囲の剥離を防止することができる。
【0026】
また、精密濾過膜の表面が保護膜で保持されているので、フィルタの製造工程で、例えば製造治具などが精密濾過膜に直接接触することが無いので、精密濾過膜に傷が発生するという事態を防止することができる。
【0027】
さらに、フィルタを集塵機や濾過装置に取り付け、取り外しを行う際に、フィルタを誤って他の物体にぶつけても、精密濾過膜に直接当たらず、保護膜に傷が付くだけなので、フィルタの性能を低下させることがない。
【0028】
また、精密濾過膜が強い強度の保護膜で保持されているので、逆圧洗浄やパルス洗浄時に精密濾過膜にかかる力を分散できることから、フィルタを長期間使用しても劣化が殆ど無くなる。しかも、精密濾過膜の破れは最小限の範囲に防止することができる。
【0029】
また、この発明のフィルタによれば、上述したフィルタの効果に加えて、精密濾過膜の両面が第1の保護膜と第2の保護膜で挟まれたサンドイッチ構造であるので、逆圧洗浄やパルス洗浄、あるいは通常の濾過作用が行われる際に、精密濾過膜の両面のいずれの側から圧力が生じても、この圧力に対して第1の保護膜又は第2の保護膜のいずれかで確実に支えることができる。フィルタの寿命を向上させることができる。
【0030】
また、この発明のフィルタの製造方法によれば、精密濾過膜の表面に保護膜を設けるので、フィルタの製造工程で、例えば製造治具などが精密濾過膜に直接接触することが無いので、精密濾過膜に傷が発生するという事態を防止することができる。さらに、ハンドリング中の当て傷、擦れ傷などが付くのを防止できる。
【0031】
また、この発明のフィルタの製造方法によれば、予め保護膜の片面に精密濾過膜を形成するために、このときに精密濾過膜の特性を前もって確認できるので、品質の安定向上を図ることができる。また、保護膜の均一平面上に精密濾過膜を形成するので精密濾過膜が均一で安定する。その結果、濾過性能が向上する。また、高価な精密濾過膜用の材料ロスが殆ど無くなる。
【0032】
また、この発明のフィルタの製造方法によれば、予め、精密濾過膜の両面が第1の保護膜と第2の保護膜で挟まれたサンドイッチ構造の精密濾過膜付き保護膜を製造することで、上述したフィルタの製造方法と同様の効果に加えて、逆圧洗浄やパルス洗浄、あるいは通常の濾過作用が行われる際に、精密濾過膜の両面のいずれの側から圧力が生じても、この圧力に対して第1の保護膜又は第2の保護膜のいずれかで確実に支える高寿命のフィルタをつくることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1(A),(B)を参照するに、この実施の形態に係るフィルタ1は、基本的にフィルタ1のそれ自体を支持するための強い強度を有するフィルタ本体3が大径の素材で、かつ大径の気孔を有している。また、前記フィルタ本体3の外側又は内側には、ガス状あるいは液状の流体から微細な粉塵を分離して濾過するための精密濾過膜5が設けられている。また、前記精密濾過膜5の外側又は内側には、精密濾過膜5を保護するための保護膜7が設けられている。さらに、前記フィルタ本体3と精密濾過膜5と保護膜7の各層は互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されている。
【0035】
このとき使用される接着剤としては、例えば、ビニール系樹脂やフェノール系樹脂、メラニン系樹脂、レゾルシノール系樹脂、アクリルニトリル系樹脂、ウレタン系樹脂などがある。また、上記の各層を熱融着する場合、例えば100〜250°Cの加熱温度で行われる。
【0036】
なお、上記の保護膜7は前記フィルタ本体3より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体3より細かい気孔を有しており、上記の精密濾過膜5は前記保護膜7より小径の素材で、かつ前記保護膜7より細かい微細孔を有している。
【0037】
また、フィルタ1の周辺部から中心部に向かって濾過する外圧式では、精密濾過膜5と保護膜7の各層がフィルタ本体3の外側に順に設けられるが、フィルタ1の中心部から周辺部に向かって濾過する内圧式では、精密濾過膜5と保護膜7の各層がフィルタ本体3の内側に順に設けられる。
【0038】
次に、この発明の実施の形態のフィルタ1における上述した基本的な構成を踏まえて、種々の具体的な実施の形態について、より詳しく説明する。
【0039】
第1の実施の形態のフィルタ9としては、上記のフィルタ本体3が、素材である樹脂の粒子径Dが数十μm〜数百μmで、より具体的には50μm以上の樹脂の粒子径Dの骨格粒子からなり25〜100μmの径dの気孔を持った焼結体11からなるもので、比較的粗いものが用いられる。例えば、樹脂の粒子径Dが50μm以上のPE(ポリエチレン)の焼結体11がある。
【0040】
また、第1の実施の形態のフィルタ9の製造方法を併せて説明すると、上記の精密濾過膜5は、図1(A)に示されているように、素材としては例えばテフロン(登録商標)の10μm以下の樹脂の粒子径Dからなる微粒子素材13を上記のフィルタ本体3の外側又は内側に接着剤で吹き付けることで、5μm以下の径dの微細孔を有した多孔質膜が形成される。
【0041】
この多孔質膜はテフロン(登録商標)素材であるために粉塵の付着力が弱いので、捕集した粉塵が落下し易いものである。なお、多孔質膜としては、上記のテフロン(登録商標)素材に限らず、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどの他の材質からなるものであってもよい。また、具体的には、粒子径Dがミクロンからサブミクロン(10μm〜0.1μm)である。
【0042】
さらに、図1(A)の状態から図1(B)へ移行するように、上述したようにフィルタ本体3の外側又は内側に形成された精密濾過膜5の表面には、保護膜7が貼り付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合されることで、フィルタ9が完成する。
【0043】
このとき、上記の保護膜7は、精密濾過膜5で捕集された捕捉粒子が逆圧洗浄やパルス洗浄により精密濾過膜5から剥離されることを妨げない厚さやメッシュサイズを選定するもので、例えば20μm以上の厚さで、100メッシュ以上であることが望ましい。この実施の形態では、不織布などの素材で、厚さが例えば10μm〜数百μmの薄い膜で構成されている。
【0044】
なお、上記の保護膜7にはテフロン(登録商標)などのコーティング処理を行うことで、保護膜7のそれ自体に粉塵などの捕集物の剥離性を向上させることができる。
【0045】
また、この第1の実施の形態のフィルタ9の他の製造方法としては、図2(A)に示されているように、予め、前述した実施の形態と同様の保護膜7の片側の表面に、前述した実施の形態と同様に微粒子素材13を接着剤で吹き付けたり、あるいはPTFE膜15やマイクロファイバ膜17を貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜5を形成することで、精密濾過膜付き保護膜19を作成する。
【0046】
次いで、この精密濾過膜付き保護膜19が、図2(A)の状態から図2(B)へ移行するように、前記フィルタ本体3の外側又は内側に前記精密濾過膜5を接触するようにして貼り付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合することで、フィルタ9が完成する。
【0047】
この場合、保護膜7の片面に精密濾過膜5を形成する際に、精密濾過膜5の特性を前もって確認できるので、品質の安定向上を図ることができる。この点は、特に微粒子素材13を用いて精密濾過膜5を形成する場合に有効である。また、上記の微粒子素材13を保護膜7の広い均一面に均一にコーティングできるので、微粒子素材13のロスが少なくなる、換言すれば高価な精密濾過膜用の材料ロスが殆ど無くなるというメリットがある。その結果、濾過性能が向上する。
【0048】
ちなみに、図1のようにフィルタ本体3の表面に微粒子素材13を吹き付ける場合は、精密濾過膜5の厚さムラ、外部への飛散、さらにフィルタ本体3の骨格粒子の気孔の間に微粒子素材13が入り込んで目詰まりに近い状態等の不具合が発生することがある。特に、フィルタ本体3の表面の凹凸が大きい場合は、微粒子素材13を均一に付着させることが難しいために、精密濾過膜5の厚さのバラツキが大きくなる。これらの問題点は、図2(A)、(B)のように予め保護膜7の片面に精密濾過膜5を形成することで、解消することができる。
【0049】
また、上記のPTFE膜15は、10μm以下の径の微細孔を有しており、テフロン(登録商標)素材であるために粉塵の付着力が弱いので、捕集した粉塵が落下し易いものである。なお、PTFE膜15としては、上記のテフロン(登録商標)素材に限らず、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどの他の材質からなるものであってもよい。また、具体的には、孔径がミクロンからサブミクロン(0.01μm〜10μm)である。
【0050】
また、上記のマイクロファイバ膜17は、10μm以下の繊維径を有し10μm以下の径の孔を持っており、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどのマイクロファイバ膜の例えば不織布などのシート状の物体からなるシートであって比較的安価であり、表面処理を行うことで耐熱性や難燃性を付加し易いものであり、粉塵の剥離性も向上できる。また、具体的には、繊維径は0.01〜10μmである。
【0051】
上記構成により、第1の実施の形態のフィルタ9(つまり、フィルタ1)は、たとえ逆圧洗浄やパルス洗浄時に精密濾過膜5がフィルタ本体3から剥離しても、前記精密濾過膜5が外側又は内側から保護膜7で保持されているので、精密濾過膜5の破損や広い範囲の剥離を防止することができる。
【0052】
また、精密濾過膜5の外側又は内側に保護膜7が設けられているので、フィルタ9の製造工程で、例えば製造治具などが精密濾過膜5に直接接触することが無いので、薄い厚さで弱い強度の精密濾過膜5に傷が発生するという事態を防止することができる。さらに、ハンドリング中の当て傷、擦れ傷などが付くのを防止できる。
【0053】
また、フィルタ9を集塵機や濾過装置に取り付け、取り外しを行う際に、フィルタ9を誤って上記の装置の枠などにぶつけても、薄膜の精密濾過膜5に直接当たらず、保護膜7に傷が付くだけなので、フィルタ9の性能を低下させることがない。
【0054】
また、逆圧洗浄やパルス洗浄の圧力は精密濾過膜5に直接かかるため、長期間使用すると、従来では、疲労のために精密濾過膜5が破れたり、フィルタ本体3から剥離したりしていたが、この実施の形態のフィルタ9では、精密濾過膜5が強い強度の保護膜7で保持されているので、精密濾過膜5にかかる力を分散できることから、フィルタ9を長期間使用しても劣化が殆ど無くなる。しかも、精密濾過膜5の破れは最小限の範囲に防止することができる。
【0055】
次に、第2の実施の形態のフィルタ21について説明する。なお、前述した第1の実施の形態のフィルタ9と異なる点を主として説明し、第1の実施の形態と同様の部材は同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
図3及び図4を参照するに、前述した第1の実施の形態のフィルタ9ではフィルタ本体3が焼結体11であるが、第2の実施の形態のフィルタ21ではフィルタ本体3が太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体23を少なくとも1層以上に巻いて構成した筒状体である。例えば、図3のフィルタ21ではベース布状体23を4層に巻いて構成した筒状体であり、図4のフィルタ21ではベース布状体23を1層だけ巻いて、所謂、単層のベース布状体23で構成した筒状体である。
【0057】
なお、フィルタ本体3と精密濾過膜5と保護膜7の基本的な構成と、精密濾過膜5と保護膜7の各層については、前述した第1の実施の形態のフィルタ9の場合とほぼ同様である。
【0058】
より詳しく説明すると、上記のフィルタ本体3を構成するベース布状体23が例えば5〜300μmの径で、孔径10μm(不織布の密度で0.4〜0.6g/cm相当)〜1000μm(不織布の密度で0.05〜0.07g/cm相当)を持った不織布23Aであり、この不織布23Aが1層ないしは複数層に巻かれて円筒状に成形される。この円筒状の厚さ、つまり不織布23Aの1層ないしは複数層の全体の厚さが1.0〜5.0mmである。
【0059】
なお、不織布23Aとしては、PP(ポリプロピレン)、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンを含むPE(ポリエチレン)、あるいはPPとPEとの混合などの素材が用いられる。その他に用いられる樹脂としては、プロピレンと他のα−オレフィンと共重合体などのポリオレフィン系、あるいはポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、低融点可塑性ポリエステルなどのポリエステル系、あるいはナイロン6,ナイロン66などのポリアミド系、あるいはポリスチレン系、塩化ビニール系、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂およびこれらの混合物からなる合成樹脂をあげることができる。
【0060】
また、不織布23Aの複数層は接着又は熱融着などの接合技術で接合されている。このときの接着や熱融着については、前述した実施の形態のフィルタ1で説明したのと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0061】
また、上記の保護膜7としては前述した通りであるが、この第2の実施の形態では例えば10〜100μmの径で、ベース布状体23である不織布23Aより細かい孔径5μm(不織布の密度で0.5〜0.7g/cm相当)〜400μm(不織布の密度で0.1〜0.12g/cm相当)を持った不織布7Aが用いられている。なお、上記の不織布7Aとしては、上述した不織布23Aと同様の樹脂の素材が使用されるので、詳しい説明は省略する。
【0062】
また、上記の精密濾過膜5としては、微粒子素材13を接着剤で吹き付けたり、あるいは上記の不織布7Aより細かい5μm以下の微細孔を持ったPTFE膜15やマイクロファイバ膜17を貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜5が形成される。なお、上記の微粒子素材13、PTFE膜15やマイクロファイバ膜17については前述した実施の形態のフィルタ9の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0063】
なお、保護膜7である不織布7Aと精密濾過膜5との接着や熱融着については、前述した実施の形態のフィルタ9(1)で説明したのと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0064】
また、第2の実施の形態のフィルタ21の製造方法を説明すると、図1で説明したのと同様に、微粒子素材13を上記のフィルタ本体3の表面に接着剤で吹き付けることで、5μm以下の径dの微細孔を有した多孔質膜の精密濾過膜5が形成される。
【0065】
次いで、保護膜7が前記精密濾過膜5の表面に貼り付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合されることで、フィルタ21が完成する。
【0066】
また、第2の実施の形態のフィルタ21の他の製造方法を説明すると、図2で説明したのと同様に、予め、前述した実施の形態と同様の保護膜7の片側の表面に、微粒子素材13を接着剤で吹き付けたり、あるいはPTFE膜15やマイクロファイバ膜17を貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜5を形成することで、精密濾過膜付き保護膜19を作成する。
【0067】
次いで、予め構成された精密濾過膜付き保護膜19が、前記フィルタ本体3の外側に前記精密濾過膜5を接触するようにして1層だけ巻き付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合されることで、図5(A),(B)に示されているように、円筒状のフィルタ21が完成する。なお、円筒状のフィルタ21の長さLは、例えば10〜5000mmである。
【0068】
このとき、フィルタ本体3と精密濾過膜付き保護膜19との接着や熱融着については、前述した実施の形態のフィルタ9(1)で説明したのと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0069】
なお、上記の各層を接着又は熱融着などで接合する際には、一般的に、まずフィルタ本体3の各層を接合し、次にこのフィルタ本体3に精密濾過膜付き保護膜19を接合する。しかし、フィルタ本体3と精密濾過膜付き保護膜19の各層を同時に接合することもできる。
【0070】
また、ここでは、図5(A),(B)に示されているように、精密濾過膜付き保護膜19がフィルタ本体3の外側に巻かれているが、精密濾過膜付き保護膜19がフィルタ本体3の内側に巻かれても良い。すなわち、筒状のフィルタ21の周辺部から中心部に向かって濾過する外圧式では、精密濾過膜付き保護膜19がフィルタ本体3の外側に巻かれるが、フィルタ21の中心部から周辺部に向かって濾過する内圧式では、精密濾過膜付き保護膜19がフィルタ本体3の内側に巻かれる。例えば、予め構成した精密濾過膜付き保護膜19が回転軸としての例えば駆動ロールに、1層だけ巻き付けられてラップ代を持って接合された後に、この精密濾過膜付き保護膜19の外側に、ベース布状体23が1層ないしは複数層で巻き付けられてフィルタ本体3を形成する。このとき、駆動ロールに巻き付けられた精密濾過膜付き保護膜19やベース布状体23は予め接着剤が塗布されており、外側から圧着ロールで押圧されるか、あるいは加熱ロールで押圧、加熱されて熱融着される。
【0071】
なお、上記の外圧式および内圧式のいずれにおいても、精密濾過膜付き保護膜19は精密濾過膜5の側がフィルタ本体3に接するように巻かれるのである。つまり、保護膜19が最外側又は最内側に位置して精密濾過膜5を保持する構成である。
【0072】
以上のように製造された第2の実施の形態のフィルタ21の作用、効果は、前述した第1の実施の形態のフィルタ9で説明したのとほぼ同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0073】
また、上述した第2の実施の形態のフィルタ21は、例えば図5(B)に示されているように中空円筒状のフィルタであるが、この筒状のフィルタ21を折り曲げて、例えば中空円筒状から星形形状の断面をなす中空星形筒状の星形状フィルタ、あるいは波板形状の板で全体的に断面矩形状をなす矩形状フィルタ、その他の断面形状のプリーツフィルタに変形することができる。
【0074】
このプリーツフィルタの成形方法としては、例えば、星形形状の断面をなす星形柱体の金型が、上記のフィルタ21の中空円筒の内部に挿入される。次いで、プレス加工機等の板金加工機を用いて、フィルタ21の周囲から熱を加えると共に圧力をかけることで、前記フィルタ21が前記星形柱体の金型の外周へ押圧されて折曲げ加工を行うことができる。
【0075】
次に、この発明の他の実施の形態に係るフィルタ25について説明する。なお、前述した実施の形態のフィルタ1と異なる点を主として説明し、同様の部材は同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
図6(A),(B)を参照するに、このフィルタ25と前述した実施の形態のフィルタ1と異なる点は、フィルタ本体3の外側又は内側に設ける精密濾過膜5と保護膜7の構成にある。すなわち、このフィルタ25の基本的な構成は、フィルタ本体3の外側又は内側に前記保護膜7と同じ条件の第1の保護膜7Bが設けられており、この第1の保護膜7Bの外側又は内側に精密濾過膜5が設けられており、この精密濾過膜5の外側又は内側に前記保護膜7と同じ条件の第2の保護膜7Cが設けられている。換言すれば、フィルタ本体3の外側又は内側には、精密濾過膜5の両面が第1の保護膜7Bと第2の保護膜7Cで挟まれたサンドイッチ構造の精密濾過膜付き保護膜27が設けられている。
【0077】
なお、前記フィルタ本体3と第1の保護膜7Bと精密濾過膜5と第2の保護膜7Cの各層は互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されている。前記接着や熱融着については、前述した実施の形態のフィルタ9(1)で説明したのと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0078】
次に、この発明の実施の形態のフィルタ25における上述した基本的な構成を踏まえて、種々の具体的な実施の形態について、より詳しく説明する。
【0079】
第3の実施の形態のフィルタ29及びその製造方法について説明する。なお、前述した第1の実施の形態のフィルタ9と異なる点を主として説明し、第1の実施の形態と同様の部材は同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
図6(A),(B)を参照するに、フィルタ29のフィルタ本体3としては、第1の実施の形態と同様の焼結体11が用いられている。さらに、図6(A)に示されているように、予め、前述した第1の実施の形態の保護膜7と同様の条件の第1の保護膜7Bの片側の表面に、第1の実施の形態と同様に微粒子素材13を接着剤で吹き付けたり、あるいはPTFE膜15やマイクロファイバ膜17を貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜5を形成する。次いで、この精密濾過膜5の表面に、第1の実施の形態の保護膜7と同様の条件の第2の保護膜7Cを貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合することで、精密濾過膜付き保護膜27を作成する。
【0081】
次いで、この精密濾過膜付き保護膜27が、図6(A)の状態から図6(B)へ移行するように、前記フィルタ本体3の外側又は内側に前記第1の保護膜7Bを接触するようにして貼り付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合することで、フィルタ29が完成する。
【0082】
以上のことから、フィルタ29の製造方法は、予め、精密濾過膜5の両面が第1の保護膜7Bと第2の保護膜7Cで挟まれたサンドイッチ構造の精密濾過膜付き保護膜27を製造することで、前述した第1のフィルタ9の製造方法と同様の効果、例えば精密濾過膜5の品質の安定向上を図れることや、高価な精密濾過膜用の材料ロスを少なくすることや、その他の効果が得られる。
【0083】
しかも、製造されたフィルタ29は、前述した第1のフィルタ9と同様の効果に加えて、精密濾過膜5の両面が第1の保護膜7Bと第2の保護膜7Cで挟まれたサンドイッチ構造であるので、例えば通常の濾過作用が行われる際には、濾過すべき気体や液体による圧力を第1の保護膜7Bで確実に支えることができ、一方、逆圧洗浄やパルス洗浄の際にかかる圧力を第2の保護膜7Cで確実に支えることができるので、フィルタ29の寿命を向上させることができる。
【0084】
次に、第4の実施の形態のフィルタ31及びその製造方法について説明する。なお、前述した第2の実施の形態のフィルタ21並びに第3の実施の形態のフィルタ29と異なる点を主として説明し、第2、第3の実施の形態と同様の部材は同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
図7及び図8を参照するに、このフィルタ31は、フィルタ本体3が前述した第2の実施の形態のフィルタ21と同様に、太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体23を少なくとも1層以上に巻いて構成した筒状体である。例えば、図7のフィルタ31ではベース布状体23を4層に巻いて構成した筒状体であり、図8のフィルタ31ではベース布状体23を1層だけ巻いて、所謂、単層のベース布状体23で構成した筒状体である。
【0086】
また、予め、前述した第3の実施の形態のフィルタ29の場合と同様に精密濾過膜付き保護膜27が作成される。すなわち、第3の実施の形態と同様の第1の保護膜7Bの片側の表面に、第3の実施の形態と同様に微粒子素材13を接着剤で吹き付けたり、あるいはPTFE膜15やマイクロファイバ膜17を貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜5を形成する。次いで、この精密濾過膜5の表面に、第3の実施の形態と同様の第2の保護膜7Cを貼り付けて接着又は熱融着などの接合技術で接合することで、精密濾過膜付き保護膜27を作成する。
【0087】
次いで、予め構成された精密濾過膜付き保護膜27が、前記フィルタ本体3の外側に前記第1の保護膜7Bを接触するようにして1層だけ巻き付けられて接着又は熱融着などの接合技術で接合することで、円筒状のフィルタ31が完成する。このとき、フィルタ本体3と精密濾過膜付き保護膜27との接着や熱融着については、前述した第2実施の形態で説明したのと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0088】
また、上記説明のように精密濾過膜付き保護膜27がフィルタ本体3の外側に巻かれている場合は外圧式フィルタ31となるが、精密濾過膜付き保護膜27がフィルタ本体3の内側に巻かれる場合は内圧式フィルタ31となる。その具体的な製造方法は、前述した第2の実施の形態で説明したものとほぼ同様であり、前記第2の保護膜7Cが最外側又は最内側に位置して巻かれる。
【0089】
以上のように製造された第4の実施の形態のフィルタ31の作用、効果は、前述した第3の実施の形態のフィルタ29で説明したのとほぼ同様であるので、詳しい説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(A),(B)は、この発明の第1の実施の形態のフィルタの製造方法の概略的な説明図、並びに前記フィルタの部分的な拡大断面図である。
【図2】(A),(B)は、この発明の第1の実施の形態のフィルタの他の製造方法の概略的な説明図、並びに前記フィルタの部分的な拡大断面図である。
【図3】この発明の第2の実施の形態のフィルタの一例を示す部分的な断面図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態のフィルタの他の例を示す部分的な断面図である。
【図5】(A)は、この発明の第2の実施の形態のフィルタの全体を示す概略的な断面図で、(B)は(A)の斜視図である。
【図6】(A),(B)は、この発明の第3の実施の形態のフィルタの製造方法の概略的な説明図、並びに前記フィルタの部分的な拡大断面図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態のフィルタの一例を示す部分的な断面図である。
【図8】この発明の第4の実施の形態のフィルタの他の例を示す部分的な断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 フィルタ(この実施の形態の基本的な構成の)
3 フィルタ本体
5 精密濾過膜
7 保護膜
7A 不織布(保護膜7の)
7B 第1の保護膜(保護膜7の)
7C 第2の保護膜(保護膜7の)
9 フィルタ(第1の実施の形態の)
11 焼結体
13 微粒子素材(精密濾過膜)
15 PTFE膜(精密濾過膜)
17 マイクロファイバ膜(精密濾過膜)
19 精密濾過膜付き保護膜
21 フィルタ(第2の実施の形態の)
23 ベース布状体
23A 不織布(ベース布状体23の)
25 フィルタ(他の実施の形態の基本的な構成の)
27 精密濾過膜付き保護膜(サンドイッチ構造の)
29 第3の実施の形態のフィルタ
31 第4の実施の形態のフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体と、
このフィルタ本体の外側又は内側に設けた精密濾過膜であって、前記フィルタ本体より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、
この精密濾過膜の外側又は内側に設けた保護膜であって、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜と、で構成されると共に、
前記フィルタ本体と精密濾過膜と保護膜の各層が互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体と、
このフィルタ本体の外側又は内側に設けた第1の保護膜であって、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第1の保護膜と、
この第1の保護膜の外側又は内側に設けた精密濾過膜であって、前記第1の保護膜より小径の素材で、かつ前記第1の保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、
この精密濾過膜の外側又は内側に設けた第2の保護膜であって、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第2の保護膜と、で構成されると共に、
前記フィルタ本体と第1の保護膜と精密濾過膜と第2の保護膜の各層が互いに接着又は熱融着などの接合技術で接合されていることを特徴とするフィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ本体が、大径の樹脂で、かつ大径の気孔を持った焼結体、あるいは太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体を少なくとも1層以上に巻いて構成した筒状体であることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記精密濾過膜が、微粒子素材からなる接着層、又は微細孔を有した多孔質膜あるいはマイクロファイバ膜であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフィルタ。
【請求項5】
前記保護膜が、粉塵の剥離性を有する樹脂でコーティング処理されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のフィルタ。
【請求項6】
前記保護膜が、10μm〜1000μmの厚さであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のフィルタ。
【請求項7】
大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
このフィルタ本体の外側又は内側に微粒子素材を接着剤で吹き付けることで、前記フィルタ本体より小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい微細孔を持った精密濾過膜を形成し、
この精密濾過膜の外側又は内側に、前記精密濾過膜より大径の素材で、かつ前記精密濾過膜より大径の気孔を有すると共に前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜を接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項8】
大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
予め、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した保護膜の片面に、この保護膜より小径の素材で、かつ前記保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜を接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜付き保護膜を構成し、
前記精密濾過膜付き保護膜を前記フィルタ本体の外側又は内側に前記精密濾過膜を接触するようにして接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項9】
大径の素材で、かつ大径の気孔を有したフィルタ本体を形成し、
予め、前記フィルタ本体と同等か又は小径の素材で、かつ前記フィルタ本体より細かい気孔を有した第1の保護膜と、この第1の保護膜より小径の素材で、かつ前記第1の保護膜より細かい微細孔を持った精密濾過膜と、前記第1の保護膜と同じ条件の第2の保護膜と、を順にサンドイッチ構造として接着又は熱融着などの接合技術で接合して精密濾過膜付き保護膜を構成し、
前記精密濾過膜付き保護膜を前記フィルタ本体の外側又は内側に前記第1の保護膜を接触するようにして接着又は熱融着などの接合技術で接合することを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記精密濾過膜を、微粒子素材を接着剤で吹き付けることで形成し、あるいは微細孔を有した多孔質膜又はマイクロファイバ膜で形成することを特徴とする請求項8又は9記載のフィルタの製造方法。
【請求項11】
前記フィルタ本体を、大径の樹脂で、かつ大径の気孔を持った焼結体で形成することを特徴とする請求項7、8、9又は10記載のフィルタの製造方法。
【請求項12】
前記フィルタ本体を、太径の素材で、かつ粗いメッシュのベース布状体を回転軸に少なくとも1層以上に卷回して円筒状に形成することを特徴とする請求項7、8、9又は10記載のフィルタの製造方法。
【請求項13】
前記保護膜に、粉塵の剥離性を有する樹脂でコーティング処理を行うことを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のフィルタの製造方法。
【請求項14】
前記保護膜を、10μm〜1000μmの厚さに形成することを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−272692(P2008−272692A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121037(P2007−121037)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(391065529)株式会社ニコテック (14)
【Fターム(参考)】