説明

フィルムタイプ基材に貫入するための方法および装置

本発明は、異なる材料からなり且つ接着、材料結合または固着の同様の形態によって気密に一体的に接合された薄膜層(8)を、簡単な方法で分離するための装置および方法に関する。この場合、分離とは、それぞれのただ1つの層(18)が、回転によって、らせんタイプのねじ山部(16)を用いて、突き通され且つ引き起こされ、ガス状の媒体(例えば空気)または液状の媒体(例えば水)である媒体が、上記層と第2の薄膜層(17)との間に作られている空隙内に導入されることを可能とすることを意味している。本方法および装置は、それらが簡単であり、薄膜ワークピースのいかなる位置においても適用され得ることを特徴としている。薄膜における付加的な開口、間隔、バルブ等、それゆえ考慮される必要性および先行する材料処理(分離要素の導入)は、この手法において作り出されるバッグをその後に充填するために何ら必要とされない。製造コストは、したがって最小化され、取扱時間は縮減され、他の材料の導入による材料費用または複合物の生成は回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ、装置、ろうと等のような付加的な補助手段を使用する必要なしに、ぴったりと隣接する薄膜層を膨らませ、分離しおよび/または充填するための方法および装置に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、気密に、すなわちぴったりと上下に重ね合わされて配置される、薄膜状すなわちフィルムタイプの基材に貫入するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ぴったりと隣接する薄膜またはバッグを充填するために、通常は装置が用いられて、個々の層が機械的に分離され(引き離され)、その後にのみ、充填のためのさらなるカニューレ等が分離された層間に挿入されるか、あるいはカニューレ、ノズル等が、複雑で且つ微妙なマニュアル操作によって、薄膜層の層間に、挿入されまたは突き刺されようとされるかのいずれかである。
【0004】
しばしば適用される別の方法は、後続の充填手順のためのそのように準備された現場に適切なカニューレまたはノズルが結合されるのを可能とするために、従前の製造工程における適切な現場において調製されるべく、薄膜内にバルブを挿入し、開口を充填しまたはスペーサを挿入することからなる。さらに、それによって、材料、時間およびコストに関して高い消費がそれら全てのプロセスにおいて、考慮されねばならず、そして結果として自動プロセスは、さらに複雑で且つ厳しい要求がなされる。同様にして、多くの場合において、付加的な機能(例えば、バルブまたは開口を充填すること)によってアップグレードされる薄膜は、そのように形成された複合材料から構成されており、それゆえに、そのような材料の適切な配置のための煩雑な操作技術が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、取扱いが簡単で、薄膜に対する要求もさほど厳しくない、方法および装置によって、薄膜バッグを充填し、且つぴったりと隣接する薄膜層を分離するための方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を解決するために、気密にすなわちぴったりと上下に重ね合わされたフィルムタイプの基材に貫入する方法であって、所望の数の薄膜層のみが、円筒状中空体のらせん状終端部分の少なくとも1つのカッティング面の回転の数の制御およびトルクの大きさの制御を介して、定義された円筒状中空体の回転によって突き通される方法が提供される。
【0007】
本発明によれば、分離されるべき薄膜、または充填されるべきバッグは、一方向性にらせん状に設計された円筒状中空体のカッティング面を備える端部へ導かれる。特別な開口充填操作を含む従来の方法とは対照的に、ここでは、ワークピース薄膜上での正確な位置決めは必要とされない。むしろ、薄膜は、らせん状に設計された円筒状中空体のカッティング面にあてがわれ、且つ円筒状中空体を取り囲むろうとを介して吸引することにより、または本発明の好ましい実施形態に従ったクッション面で押し付けることによってそれらの位置に固定される。この後、円筒状中空体は、制御され且つ定義された回転動作が開始され、それによってらせん状に設計された円筒状中空体の端部を構成するカッティング面に、その後に、薄膜面の提供された粗さによってカッティング面の先端によって薄膜を捕らえ、そしてさらなる回転動作において薄膜に貫入することができるようにするために、摩擦によって最初に一点に集中して(punctually)薄膜をざらざらにする。そのようにすることにおいて、薄膜は、最初に言及されたカッティング面に対して垂直に延びるカッティング面によって円形に開口され、先端は、円筒状中空体のねじ切りされた構造によって、薄膜層の層間で、さらに回転されおよび/または上記ねじ切りされた構造によって、ねじ切りされた構造の導きに沿って持ち上げられる。円筒状中空体の駆動をパラメータ(回転の数、速度およびトルク)表示するとき、材料強度、材料特性および分離されるべき薄膜層の数が、考慮され得る。
【0008】
簡単な充填を可能とするために、好ましい実施形態に従って、ガス状または液状媒体が、特別に挿入された円筒状中空体を介して薄膜層の間に導入されることが、さらに提案される。
【0009】
上述された目的を解決するために、気密にすなわちぴったりと上下に重ね合わされたフィルムタイプの基材に貫入するための装置であって、円筒状中空体のらせん状終端部分の少なくとも1つのカッティング面が、薄膜を、それぞれ、回転動作の定義された停止点において、後続の薄膜層へのいかなる貫入をも防止するように、その上での回転により、漸次突き通すべく設計されている、一方向にらせん状に設計された円筒状中空体を備える装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、回転するように取り付けられ且つ結果的に駆動される管状の、一方においてらせん状に形成されている中空シリンダが、使用される。このらせん状中空シリンダの逃げ端部は、例えば、互いに垂直に配置された2つのカッティング面を有し、そして相互方向に延び且つ中空シリンダの周面をたどることによって先端に集束する。これらのカッティング面の機能は、中空シリンダの中ぐりの軸に対して充分に垂直に配置された、プロセスの始めに非常に重要なカッティング面が、貫入されるべき材料の粗くする且つ発端のカットの原因となるような態様に分割される。このカッティング面のカッティングエッジはまた、それゆえ、一側のみの端部に向かって終端すべく回される。前者に対して垂直に延びる(それゆえ、中空シリンダの中ぐりの軸に対して平行な)第2のカッティング面は、その後に、中空シリンダの周囲に対応して円形に延びるカットを作る原因となる。2つのカッティング面によって形成される集束先端は、また、中ぐり軸に対して垂直に延びるカッティング面によって粗くされる薄膜面が、捕らえられ得て、それゆえ先端が非常に平坦な角度で薄膜材料に貫入することを可能とするように設計される。中空シリンダの中ぐり軸に対する垂直線に基づく第1のカッティング面の角度偏差は、粗くするまたは貫入する作用に対して決定的に重要である。中ぐり軸に対する垂直線に基づく上記角度よりも鈍角になればなるほど、らせん状に設計された中空シリンダによる薄膜の貫入は、よりアグレッシブになり、それゆえ、直下に配置される第2の薄膜層をも貫入しまたは損傷することの危険を含んでいる。そのような配置は、それゆえ、耐性があり且つ厚みがある薄膜材料と共にのみ使用されるであろう。
【0011】
異なる材料および材料厚に対する簡単な適合は、本発明の装置の好ましい実施形態によるカッティング面の傾斜の角度によって実行可能である。
【0012】
個々の薄膜層の相互間についての間隔の簡単な決定のために、らせん形状を構成するねじ山部の導きによる分離の間にそのような間隔が決定されることが、好ましく提案されている。
【0013】
多くの場合において、個々の薄膜層の付着の度合いが考慮されなければならない。このような関係において、円筒状中空体に対する個々の薄膜層の付着の度合いは、らせん形状を構成するねじ山部の寸法を決定することによって決定されることが、さらにまた好ましいと提案される。
【0014】
本発明の装置の確実な配置を可能とするため、少なくとも1つの薄膜層を貫入するとき、らせん状に設計された円筒状中空体にあてがわれる薄膜層が、真空により吸引され、それによって、らせん状に設計された円筒状中空体の端部を形成するカッティング面に対して定義され且つ静止した位置に配置されるような形態で、それを介して周囲の空気が吸引され得るろうと形状の部分に、中空体が固定されて取り囲まれることが、さらにまた好ましいと提案される。
【0015】
正確な位置を拡張し、過大な応力が、特に突き刺されまたは貫入されるべき薄膜に対向する何らかの薄膜に印加されることを回避するために、本発明の装置が、らせん状に設計された円筒状中空体の端部を形成するカッティング面に対向して配置されたクッション部分に、上記クッション部分が、らせん状に設計された円筒状中空体の端部を形成するカッティング面に対して相対的に定義され且つ静止した位置に薄膜層を位置決めするような態様で結合可能であることが、さらにまた好ましいと提案される。
【0016】
予見される応用によれば、充填によって形成される開口は、再び閉じられてもよくまたは再び閉じられなければならない。このことは、接着、溶着または閉塞物による閉鎖によるさらなる操作手順において独立に果たされ得る。これらのプロセスは、また、本装置に組み込まれ且つ制御技術に関してプロセスに統合されても良い。
【0017】
本発明に従った装置のタイプおよび形態、そして本発明に従った手順の経過は、薄膜バッグの柔軟な充填または薄膜層の分離のためのユーザフレンドリで且つ移動可能な装置を提供するために、手によって操作可能な簡単な器具に統合されるのに明確に適している。
【0018】
さらにまた、らせん状中空シリンダは、ピッチ内にいくつかの開口が設けられるような態様で工夫され得る。これに関連して、少なくとも1つの開口が、カッティング面に近接してまたはねじ山部に沿って、円筒状中空体の内部に連通して、開口することが提案される。したがって、いくつかの薄膜層を1つの操作手順において相互から分離し且つ、同時に、層間に媒体を充填することが可能である。もしも、これらの中ぐりが、中空シリンダの内部に通るチューブによって異なって自由であるか、または閉じているならば、異なる充填レベルまたは充填媒体も、個々の層に導入され得る。この2層薄膜バッグの単純な充填は、それゆえ、そのような薄膜ブランクの最適化されたさらなる処理を確実にすべく意図された、接着または材料結合によって結合された多層平坦薄膜の水洗い、分離および通風のように、容易に可能である。これに関連して、好ましくは、本発明に従った装置が、内部に配置された、第2の片側が閉じた中空のシリンダを備え、上記第2の中空のシリンダは、位置における変化によって分離された薄膜層の間のガス状または液状媒体のための出口開口を決定することが提案される。
【0019】
以下においては、本発明が、図面を参照して例示的な実施形態を用いてより詳細に説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1において、薄膜状基材を貫入しまたは突き刺すための装置のらせん状に設計された円筒状中空体3が、どのようにして、ハウジング7内に回転可能に取り付けられており、そしてフレキシブルカプリング2を介してモータ1によって駆動されるかが示されている。らせん状に設計された円筒状中空体3のカッティング面9上に薄膜層8を位置決めし且つ固定するように、ダクト5を介してろうと4を用いて真空が発生され得る。らせん状に設計された円筒状中空体3を回転することによる薄膜層の分離の後に、薄膜層8の間にダクト6を通り且つ中ぐり10を経由して媒体が導入され得る。
【0021】
図2において、シャフト端部15によって駆動装置に結合され、他方では、カッティング面14にて終端するらせん状に設計された端部12を備えている、らせん状に設計された円筒状中空体3が示されている。ガス状または液状媒体は、入口開口11を含む中ぐり13を通して導入され得る。
【0022】
図3において、らせん状に設計された円筒状中空体3が、どのように、2つの薄膜層17および18から構成されるバッグ内に、上側薄膜層18がらせん状に設計されたピッチ16によって持ち上げられ且つ第2の薄膜層17から分離されるように回転されるかが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に従った方法の実現のために2層の薄膜を分離するために本発明に従って組み立てられた装置を示す図である。
【図2】本発明に従った装置のらせん状に設計された円筒状中空体を示す図である。
【図3】2つの薄膜層内に回転される、らせん状に設計された円筒状中空体を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密にすなわちぴったりと上下に重ね合わされたフィルムタイプの基材(8)に貫入するための方法であって、所望の数の薄膜層のみが、円筒状中空体のらせん状終端部分(12)の少なくとも1つのカッティング面(14)の回転の数の制御およびトルクの大きさの制御を介して、定義された円筒状中空体(3)の回転によって突き通される、方法。
【請求項2】
ガス状または液状媒体が、特別に挿入された円筒状中空体(3)を介して薄膜層(17)および(18)の間に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
気密にすなわちぴったりと上下に重ね合わされたフィルムタイプの基材(8)に貫入するための装置であって、円筒状中空体のらせん状終端部分(12)の少なくとも1つのカッティング面(14)が、薄膜(8)または(18)を、それぞれ回転動作の規定された停止点において、後続の薄膜層(17)へのいかなる貫入をも防止するように、その上での回転により漸次突き通すべく設計されている、一方向にらせん状に設計された円筒状中空体を備える、装置。
【請求項4】
異なる材料および材料厚みに対する貫入作用の適合が、カッティング面(14)の傾斜角度によって可能であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
個々の薄膜層(17)と(18)相互の相対的な間隔は、らせん形状を構成するねじ山部(12)の誘導によって分離の間に決定されることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
円筒状中空体に対する個々の薄膜層(18)の付着の度合いは、らせん形状を構成するねじ山部(12)の寸法を決定することによって決定可能であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
らせん状に設計された円筒状中空体にあてがわれる薄膜層(8)が、真空によって吸引され、それによって定義され且つらせん状に設計された円筒状中空体(3)の端部を形成するカッティング面(14)に対して静止した位置に配置されるように、周囲の空気がそれを通して吸引され得る(5)ろうと形状部分(4)によって、装置が固定的に囲まれていることを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
らせん状に設計された円筒状中空体の端部を形成するカッティング面(14)に対向して配置されるクッション部分に、前記クッション部分が薄膜層を、定義され且つらせん状に設計された円筒状中空体(3)の端部を形成するカッティング面(14)に対して静止した位置に配置するように結合されていることを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
内部に配置された、第2の片側が閉じた中空のシリンダを備え、前記第2の中空のシリンダは、位置における変化によって分離された薄膜層の間のガス状または液状媒体のための出口開口を決定することを特徴とする、請求項3から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの開口(13)が、カッティング面(14)の近傍に、またはねじ山部(12)に沿って円筒状中空体(3)の内部に連通して開口していることを特徴とする、請求項3から9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−503761(P2006−503761A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545590(P2004−545590)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/AT2003/000319
【国際公開番号】WO2004/037692
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505152398)モンデイ・インフレータブル・パツケージング・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】