説明

フィルム供給装置およびこれを備えた包装装置

【課題】セッティング時等においてはフィルムをローラ間に通しやすい構成となっており、フィルムの接続を行う際等においてはフィルムをローラに巻きつけてフィルムの搬送精度を向上させることが可能なフィルム供給装置を提供する。
【解決手段】フィルム供給ユニット6は、製袋包装機3の上流側に取り付けられており、2本のシャフト21,31に対してそれぞれ装着された2本のフィルムロール21a,31aから製袋包装ユニット5に対してフィルムFを供給する。フィルム供給ユニット6は、オートスプライサ部20と、オートスプライサ部20の下流側に配置された一対のピンチローラ27a,27bと、このピンチローラ27a,27bを移動させるローラ移動機構40と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、包装装置等に搭載されており、包装装置の包装部に対して包材(フィルム)を供給するフィルム供給装置およびこれを備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製袋包装機等の包装装置では、ロール状に巻回された長尺のフィルムを回転可能な状態で支持しており、ここからローラ等を含む搬送機構によって製袋包装部までフィルムを搬送している。
【0003】
このような包装装置では、ロール状のフィルムを用いて連続的に包装を行っており、全てのフィルムを搬送してしまうと新しいフィルムを装填し、古いフィルムの終端部分と新しいフィルムの始端部分とを継ぎ合わせてフィルムの搬送を再開する。
【0004】
例えば、特許文献1には、紙等のウェブ(フィルム)を2つのウェブ供給ローラから供給するとともに、第1のウェブがなくなるとそのウェブの下流端(終端)と他の第2のウェブの上流端(始端)とを相互に半自動的に接合するウェブの接合装置について開示されている。
【0005】
このウェブの接合装置では、第1・第2の軸体の周りにそれぞれ取り付けられた第1・第2ピンチローラを所定の角度位置まで移動させ、かつ2つのピンチローラを圧接、離間させることで、例えば、重ね合わせ接合や突合せ接合によって2つの連続したウェブ同士を接合することができる。
【特許文献1】特公平7−76065号公報(平成7年8月16日公告)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のウェブの接合装置(フィルム供給装置)では、以下に示すような問題点を有している。
【0007】
すなわち、上記公報に開示された装置では、ピンチローラの開閉駆動について開示されているものの、このような構成では搬送されるフィルムとピンチローラとが線で接触するだけであるため、両者の間で滑りが発生し、フィルムの終端と予備のフィルムの始端とをつなぐ際におけるピンチローラによるフィルムの搬送精度が低下するおそれがある。
【0008】
一方、フィルムとピンチローラとを確実に接触させるために2つのピンチローラ間の間隔を狭めた場合には、運転を開始するためのセッティング時にフィルムを通し難くなって作業性が低下するおそれがある。
【0009】
本発明の課題は、セッティング時等においてはフィルムをローラ間に通しやすい構成となっており、フィルムの接続を行う際等においてはフィルムをローラに巻きつけてフィルムの搬送精度を向上させることが可能なフィルム供給装置およびこれを備えた包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るフィルム供給装置は、長尺のフィルムが巻回された複数のフィルムロールを回転可能な状態で支持しており、一方のフィルムロールからフィルムを送り出しながら下流側へと搬送しつつ、一方のフィルムロールのフィルムがなくなると一方のフィルムロールのフィルムの終端部分と他方のフィルムロールのフィルムの始端部分とを接続して搬送するフィルム供給装置であって、スプライサ部と、第1・第2ローラと、ローラ移動機構と、を備えている。スプライサ部は、一方のフィルムロールのフィルムの終端部分と他方のフィルムロールのフィルムの始端部分とを自動的に接続する。第1ローラは、スプライサ部の下流側に配置されており、フィルムを所定の方向に搬送する。第2ローラは、第1ローラとの間にフィルムが通過するように、所定の間隔を開けて第1ローラに対向配置されている。ローラ移動機構は、第1ローラおよび第2ローラの少なくとも一方におけるフィルムとの接触面積を増加させる方向に、第1ローラおよび第2ローラの少なくとも一方を移動させる。
【0011】
ここでは、2本のフィルムロールから送り出されるフィルムの終端部分と始端部分とを継ぎ合わせるオートスプライサ機能を搭載したフィルム供給装置において、フィルムを通過させるための所定の隙間を空けた状態で、スプライサ部の下流側に対向配置されたピンチローラ等の2つのローラと、この2つのローラの少なくとも一方をフィルムとの接触面積が増大する方向に移動させるローラ移動機構と、を備えている。
【0012】
なお、上記下流側とは、本フィルム供給装置によって供給されるフィルムの搬送方向を基準とした方向を意味するものとする。
【0013】
ここで、オートスプライサ機能を搭載した従来のフィルム供給装置では、フィルムの終端部と予備のフィルムの始端部とを継ぎ合わせる際には、ピンチローラの間隔を狭めてフィルムを挟み込むようにしてフィルムの搬送制御を行っていた。この場合、フィルムとこれを挟み込んだローラとは、ローラの軸方向に沿って線で接触するだけとなるため、ローラとフィルムとの間に滑りが発生して、挟み込んだローラによって正確な搬送制御を行うことができないおそれがある。
【0014】
本発明のフィルム供給装置では、セッティング時等には所定の間隔を空けた第1・第2ローラ間にフィルムを通過させつつ、通常の運転時やスプライサ部においてフィルム同士を継ぎ合わせる際には、第1・第2ローラの少なくとも一方を、フィルムとの接触面積が増大する方向に移動させる。
【0015】
これにより、セッティング時等には、第1・第2ローラ間にフィルムを容易に通過させつつ、必要な場合には第1・第2ローラにおいてフィルムをしっかりとグリップした状態で所定の方向へと搬送することができる。この結果、第1・第2ローラにおけるフィルムの滑りの発生を防止して、例えば、スプライサ部におけるフィルムの継ぎ合わせ時における第1・第2ローラによる搬送を高精度に行って、フィルムの継ぎ合わせを正確に実施することができる。
【0016】
第2の発明に係るフィルム供給装置は、第1の発明に係るフィルム供給装置であって、ローラ移動機構は、所定の旋回軸を有しており、旋回軸を中心にして第1・第2ローラを旋回させる。
【0017】
ここでは、ローラ移動機構が、第1ローラと第2ローラとの間にフィルムが通過した状態で、第1・第2ローラを旋回移動させる。
【0018】
これにより、第1・第2ローラ間に存在するフィルムは、第1・第2ローラに対して巻き掛けられた状態となり、第1・第2ローラに対するフィルムの接触面積を容易に増大させることができる。この結果、セッティング時等には第1・第2ローラ間にフィルムを容易に通過させる一方、第1・第2ローラの少なくとも一方を駆動して、スプライサ部においてフィルムの継ぎ合わせを行う場合に搬送制御の対象となる第1・第2ローラにおけるフィルムの滑りの発生を防止して、高精度な搬送制御を実施することができる。
【0019】
第3の発明に係るフィルム供給装置は、第1の発明に係るフィルム供給装置であって、第1・第2ローラの下流側に配置された第3ローラをさらに備えている。そして、ローラ移動機構は、第1ローラまたは第2ローラを、残りの2つのローラの間に向かって移動させる。
【0020】
ここでは、ローラ移動機構が、2つのローラの間に1つのローラを落とし込むように第1・第2ローラのいずれか一方を移動させる。
【0021】
これにより、2つのローラの間に落とし込まれたローラによって、第1・第2ローラ間に存在するフィルムの2つのローラに対する接触面積を増大させることができる。この結果、例えば、スプライサ部におけるフィルムの継ぎ合わせを行う際に第1・第2ローラ等によってフィルムを搬送する場合でも、ローラとフィルムとの間における滑りの発生を防止して、高精度な搬送制御を実施することができる。
【0022】
第4の発明に係るフィルム供給装置は、第1の発明に係るフィルム供給装置であって、第1・第2ローラの下流側に配置された第3ローラをさらに備えている。そして、ローラ移動機構は、第1・第2ローラに対して近接する方向に第3ローラを移動させる。
【0023】
ここでは、ローラ移動機構が、第1・第2ローラに対して近接する位置まで第3ローラを移動させる。
【0024】
これにより、第1・第2ローラ間の間隔を狭めた後、さらに第3ローラを第1・第2ローラに対して近接配置させることで、第1ローラまたは第2ローラにおけるフィルムとの接触面積を増大させることができる。この結果、例えば、スプライサ部におけるフィルムの継ぎ合わせを行う際に第1・第2ローラ等によってフィルムを搬送する場合でも、ローラとフィルムとの間における滑りの発生を防止して、高精度な搬送制御を実施することができる。
【0025】
第5の発明に係るフィルム供給装置は、第2の発明に係るフィルム供給装置であって、旋回軸は、第1ローラの回転軸と第2ローラの回転軸とを結ぶ線の中心に配置されている。
【0026】
ここでは、第1・第2ローラの回転軸間の中心位置に配置された旋回軸を中心として、第1・第2ローラを回動させる。
【0027】
これにより、第1・第2ローラの間を通過しているフィルムに対する第1・第2ローラの接触面積を容易に増大させて、フィルムと第1・第2ローラとの間における滑りの発生を防止することができる。この結果、第1・第2ローラを制御対象とするフィルムの搬送制御を高精度に行うことができる。
【0028】
第6の発明に係るフィルム供給装置は、第3または第4の発明に係るフィルム供給装置であって、第3ローラは、フィルムの搬送方向を切り換える方向転換ローラである。
【0029】
ここでは、第1・第2ローラに対して近接移動させる第3ローラとして、方向転換ローラを用いている。
【0030】
これにより、従来から設けられている方向転換ローラを、第1・第2ローラに対して近接、離間させることで、必要最小限の構成により、高精度な搬送制御を実施することが可能なフィルム供給装置を得ることができる。
【0031】
第7の発明に係るフィルム供給装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係るフィルム供給装置であって、ローラ移動機構は、ローラを所定の方向へ移動させるシリンダを有している。
【0032】
ここでは、ローラ移動機構による第1・第2ローラ等を移動させる駆動源として、シリンダを用いている。
【0033】
これにより、比較的簡易な構成により、各ローラとフィルムとの接触面積を増大させて、高精度な搬送制御を実施することができる。
【0034】
第8の発明に係る包装装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係るフィルム供給装置を備えている。
【0035】
これにより、セッティング時等には一対のローラ間の隙間にフィルムを通しやすい構成となっており、フィルムの接続を行う際にはフィルムをローラに巻きつけてフィルムの搬送精度を向上させることが可能な包装装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明のフィルム供給装置によれば、セッティング時等にはフィルムをローラ間に通しやすい構成となっており、フィルムの接続を行う際等においてはフィルムをローラに巻きつけてフィルムの搬送精度を向上させて高精度にフィルムの接続を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係るフィルム供給ユニット(フィルム供給装置)6を搭載した組合せ計量システム10について、図1〜図7(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
【0038】
なお、以下の説明において用いる「上流側」、「下流側」とは、フィルムFが搬送される方向を基準にした方向を意味するものとする。
【0039】
[組合せ計量システム10全体の構成]
本実施形態に係る組合せ計量システム10は、図1に示すように、被包装物となるポテトチップス等の商品C(図2参照)の計量を行い、計量済の商品Cをフィルムで覆って、筒状となったフィルムを縦横にシールして袋詰の商品Cを製造する装置であって、主として、組合せ計量装置2と、製袋包装機(包装装置)3と、を備えている。
【0040】
商品Cは、製袋包装機3の上方に設けられた組合せ計量装置2において、所定の重量ずつ計量されて各ホッパ内において貯留されており、回数計量によって所定の合計重量になるように排出される。
【0041】
組合せ計量装置2は、図1に示すように、後述する製袋包装機3の上部に配置されており、商品Cについて計量ホッパにおいて所定重量ずつ計量した後、これらの計量値を所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出して所定の合計重量の商品Cとする回数計量を行う。
【0042】
製袋包装機3は、組合せ計量装置2における回数計量の結果、所定の合計重量分排出された商品Cについて、フィルムFを用いて袋詰めする装置である。なお、この製袋包装機3については、後段にて詳述する。
【0043】
[製袋包装機3]
製袋包装機3は、図1に示すように、製袋包装ユニット5と、この製袋包装ユニット5に対して袋となるフィルムFを供給するフィルム供給ユニット(フィルム供給装置)6と、を含むように構成されている。
【0044】
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形機構13(図2参照)に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。
【0045】
製袋包装ユニット5は、図4に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構14と、筒状フィルムFmの重なり部分を縦にシールする縦シール機構15と、筒状フィルムFmを横にシールすることで袋Bの上下の端部を封止する横シール機構17とを有している。
【0046】
成形機構13は、チューブ13bと、フォーマー13aとを有している。チューブ13bは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、組合せ計量装置2で計量された被包装物Cが投入される。フォーマー13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。このフォーマー13aの形状は、フィルムロールから繰り出されてきたシート状のフィルムFがフォーマー13aとチューブ13bとの間を通るときに筒状に成形されるような形状となっている(図2参照)。また、成形機構13のチューブ13bやフォーマー13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0047】
プルダウンベルト機構14は、図2に示すように、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmを吸着して下方に搬送する機構であって、チューブ13bを挟んで左右両側にそれぞれベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回して筒状フィルムFmを下方に運ぶ。なお、図2においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
【0048】
縦シール機構15は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、チューブ13bの正面側に位置しており、ヒータや、そのヒータにより加熱され筒状フィルムFmの重なり部分に接触するヒータベルトを有している。また、縦シール機構15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
【0049】
横シール機構17は、成形機構13、プルダウンベルト機構14および縦シール機構15の下方に配置されている。横シール機構17は、図2に示すように、ヒータを内蔵する一対のシールジョー17a,17bを含むように構成されている。
【0050】
一対のシールジョー17a,17bは、互いに押しつけ合うようにして筒状フィルムFmを挟持し、袋の上下のそれぞれの端部となる筒状フィルムFmの一部に圧力および熱を加えてシールを施す。
【0051】
[横シール機構17の構成]
横シール機構17は、図2に示すように、成形機構13、プルダウンベルト機構14、および縦シール機構15の下方に配置されている。この横シール機構17は、2つのシールジョー17a,17bをD字状に旋回させながら、筒状フィルムを横シールするときに一対のシールジョー17a,17bを押し付け合わせて横シール部分を形成する。
【0052】
[フィルム供給ユニット6の構成]
フィルム供給ユニット6は、図3に示すように、下流側に配置された製袋包装ユニット5に対してフィルムFを供給する装置であって、オートスプライサ部(スプライサ部)20と、予備ローラ取付部30と、を有している。
【0053】
(オートスプライサ部20)
オートスプライサ部20は、ローラ20a,20b等を用いて、一対のピンチローラ(第1ローラ、第2ローラ)27a,27b(図4等参照)の間を介してフィルムFを下流側に配置された製袋包装ユニット5へと搬送する。また、オートスプライサ部20は、製袋包装ユニット5に対して供給される長尺のフィルムFが巻回されたフィルムロール21aがなくなると、フィルムFの搬送を一旦停止させた後、一対のピンチローラ27a,27bによってフィルムFを所定の方向に搬送する。なお、セッティング時等において上記一対のピンチローラ27a,27b間にフィルムFを通す際に、一対のピンチローラ27a,27bを回動させる機構(ローラ移動機構40)については、後段にて詳述する。
【0054】
これにより、先に使用されるフィルムロール21aのフィルムFがなくなった場合でも、予備のフィルムロール31aのフィルムFと接続することで、予備のフィルムロール31aから継続してフィルムFの搬送を行うことができる。なお、予備のフィルムロール31aを使用し始めた場合には、フィルムFがなくなった側のシャフト21に新たなフィルムロール21aを予備のフィルムロールとして装着することができる。
【0055】
さらに、オートスプライサ部20は、図3および図4に示すように、シャフト21と、フロントスプライサ部22と、バックスプライサ部23と、仮止め部24と、ヒートシール部25と、シリンダ26と、支持板28と、ローラ移動機構40と、を含むように構成されている。
【0056】
シャフト21は、図3に示すように、製袋包装ユニット5に対して、予備のフィルムロール31aよりも先に供給されるフィルムロール21aを、回転可能な状態で支持している。
【0057】
フロントスプライサ部22は、図3に示すように、シャフト21において支持されたフィルムロール21aから送り出される長尺のフィルムFを、ローラ22e,22fを介して下流側となる上方へと搬送する(図4参照)。また、フロントスプライサ部22は、図4に示すように、ハンドル22bを把持してバックスプライサ部23から離間させる方向に引っ張ることで、回動軸22cを中心として本体部22aを回動させることができる。これにより、フィルムロール21a,31aの交換時等には、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間を開いて、フィルムFをセットする際の作業性を向上させることができる。なお、本体部22aを回動させる際には、支持板28に形成された誘導穴28aに沿って、本体部22aに固定された突出部22dが移動し、所定の角度で誘導穴28aの下端部に突出部22dが接触する。これにより、本体部22aの回動を所定の回動角度で停止させることができる。さらに、フロントスプライサ部22の上方には、後述する仮止め部24とヒートシール部25とが配置されており、フロントスプライサ部22の上面において、シャフト21において支持されたフィルムロール21aから送り出されるフィルムFの終端部と予備のフィルムロール31aから送り出されるフィルムFの始端部とが、熱シールによって接続される。
【0058】
バックスプライサ部23は、図3に示すように、予備のフィルムロール31aから送り出される長尺のフィルムFを、ローラ23e,23fを介して下流側となる上方へと搬送する(図4参照)。また、バックスプライサ部23は、フロントスプライサ部22と同様に、図4に示すように、ハンドル23bを把持してフロントスプライサ部22から離間させる方向に引っ張ることで、回動軸23cを中心として本体部23aを回動させることができる。これにより、フロントスプライサ部22と同様に、フィルムロール21a,31aの交換時等には、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間を開いて、フィルムFをセットする際の作業性を向上させることができる。なお、本体部23aを回動させる際における、本体部23aに固定された突出部23dが支持板28に形成された誘導穴28bに沿って移動し、所定の回動角度で誘導穴28bの下端部に突出部23dが接触することで本体部22aの回動を所定の角度で停止させる点については上記と同様である。さらに、バックスプライサ部23の上方には、後述する仮止め部24が配置されている。これにより、バックスプライサ部23の上面において、予備のフィルムロール31aから送り出されるフィルムFの始端部を、シャフト21において支持されたフィルムロール21aの終端部と接続されるまで保持する。そして、バックスプライサ部23の側面には、予備のフィルムロール31aから送り出されるフィルムFの始端部を、フロントスプライサ部22の上面とヒートシール部25との間に送り込むためのシリンダ26が取り付けられている。これにより、シャフト21に支持されたフィルムロール21aのフィルムFが無くなって、上記フィルムFの終端部と予備のフィルムロール31aから送り出されるフィルムFの始端部とつなぎ合わせる際には、シリンダ26を駆動して図示しない挿入板をフロントスプライサ部22側に向かって前進させることで、容易にフロントスプライサ部22の上面とヒートシール部25との間に、バックスプライサ部23の上面に仮止めされていたフィルムFの始端部を送り込むことができる。
【0059】
仮止め部24は、図4に示すように、フロントスプライサ部22およびバックスプライサ部23の上面にそれぞれ配置されている。バックスプライサ部23の上面に配置された仮止め部24は、予備のフィルムロール31aから送り出されて、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間の隙間を経由してバックスプライサ部23の上面にあるフィルムFの始端部を仮止めするために設けられている。一方、フロントスプライサ部22の上面に配置された仮止め部24は、予備のフィルムロール31aを使用している間に新たにシャフト21に装着されたフィルムロール21aから送り出されて、フロントスプライサ部22とバックスプライサ部23との間の隙間を経由してフロントスプライサ部22の上面にあるフィルムFの始端部を仮止めするために設けられている。これにより、フィルムロール21aを包装に使用している場合には、予備のフィルムロール31aのフィルムFの始端部をバックスプライサ部23の上面において仮止めしつつ、予備のフィルムロール31aを包装に使用している場合には、フィルムロール21aのフィルムFの始端部をフロントスプライサ部22の上面において仮止めすることができる。そして、仮止め部24は、回動軸24aと、回動軸24aを中心に回動するクリップ部24bとを有している。クリップ部24bは、回動軸24aを中心として回動するとともに、バックスプライサ部23の上面に対して磁力によって吸引されており、フィルムFのつなぎ合わせを行うまでフィルムFの始端部を仮固定する。
【0060】
なお、先に使用されたフィルムロール21aのフィルムFがなくなって、シャフト31に装着された予備のフィルムロール31aを使用し始めた後には、先に使用してフィルムFがなくなったシャフト21に新たにフィルムロール21aを装着し、このフィルムFの始端部をフロントスプライサ部22の上面に仮止めしておく。これにより、シャフト21,31に対して交互に予備のフィルムロール21a,31aを装着してフィルム同士を接続するまで、フロントスプライサ部22あるいはバックスプライサ部23の上面において待機させることができる。この結果、予備のフィルムロール21a,31aを常に装着させておくことで、フィルムロール21a,31aに巻回されたフィルムFの量に関わらず、製袋包装機3における連続運転が可能になる。
【0061】
ヒートシール部25は、フロントスプライサ部22の上面に配置されており、加熱部25aをヒートシールする部分、つまりフィルムFの終端部と予備のフィルムロール31aのフィルムFの始端部とを接続する部分に対して所定の圧力をかけながら当接させる。これにより、フィルムロール21aから送り出されるフィルムFの終端部あるいは始端部と、フィルムロール31aから送り出されるフィルムFの始端部あるいは終端部との重なり部分に対して、熱と圧力とを付与することで両者を容易に接続することができる。
【0062】
シリンダ26は、図4に示すように、バックスプライサ部23の側面に取り付けられており、図示しない挿入板をフロントスプライサ部22の上面まで前進させる。このとき、フロントスプライサ部22の上面とヒートシール部25との間には、フィルムロール31aのフィルムFの始端部あるいは終端部と、シャフト21に支持されたフィルムロール21aのフィルムFの終端部あるいは始端部とが、図示しない挿入板とともに挿入される。これにより、シャフト21に支持されたフィルムロール21aから送り出されるフィルムFが無くなって予備のフィルムロール31aから送り出されるフィルムFをつなぎ合わせる際、あるいはシャフト31に支持されたフィルムロール31aから送り出されるフィルムFが無くなってフィルムロール21aから送り出されるフィルムFをつなぎ合わせる際に、フロントスプライサ部22の上面において、フィルムロール31aのフィルムFの始端部あるいは終端部を、フィルムロール21aのフィルムFの終端部あるいは始端部に重ね合わせた状態を形成することができる。
【0063】
支持板28は、製袋包装ユニット5側のフレームに対してオートスプライサ部20を固定するための板材であって、図4に示すように、上述したフロント・バックスプライサ部22,23の突出部22d,23dを誘導する誘導穴28a,28bが形成されている。これにより、製袋包装ユニット5の直上流側に、オートスプライサ部20を配置することができる。
【0064】
ローラ移動機構40は、オートスプライサ部20においてフィルムFの始端部と終端部とを接続する際に一方のフィルムFを所定の位置まで搬送する一対のピンチローラ27a,27bの配置を切り換える機構であって、図4に示すように、回動機構41、本体部42、回動軸43、回転モータ44およびシリンダ45を有している。具体的には、ローラ移動機構40は、通常運転時およびフィルムFの接続処理を行う際には、図4、図5および図7(a)に示すように、一対のピンチローラ27a,27bを水平方向から若干傾斜した向きに沿って配置する。一方、ローラ移動機構40は、運転開始時等におけるセッティングを行う際には、図6および図7(b)に示すように、一対のピンチローラ27a,27bを鉛直方向から若干傾斜した向きに沿って配置する。これにより、通常運転時やフィルムFの接続時等では、図7(a)等に示すように、フィルムFとピンチローラ27a,27bとの接触面積を十分に確保することができる。そして、セッティング時等においてピンチローラ27a,27b間の隙間にフィルムFを通す作業を行う際には、図7(b)に示すように、ピンチローラ27a,27bを回動させて、隙間を側方から見て大きく取ることで、セッティング時における作業性を向上させることができる。
【0065】
回動機構41は、下端部がフロントスプライサ部22の一部に、他方が一対のピンチローラ27a,27bを回動させる回動軸43に対して接続されている。また、回動機構41は、シリンダ41aと、リンク部材41bとを含むように構成されている。シリンダ41aは、下端部がフロントスプライサ部22の一部に、上端部がリンク部材41bの一端にそれぞれ相対回転可能な状態で接続されている。リンク部材41bは、一端がシリンダ41aの伸縮側(上端部)に、他端が一対のピンチローラ27a,27bを回動させる回動軸43に対して接続されている。これにより、シリンダ41aを伸縮させてリンク部材41bを回動させることで、リンク部材41bの他端に回転不能な状態で接続された回動軸を所定の方向に回動させることができる。
【0066】
本体部42は、オートスプライサ部20の上部に取り付けられており、ローラ移動機構40を支持している。また、本体部42には、回動機構41によって回動される一対のピンチローラ27a,27bの回動範囲を設定する開口溝42aが形成されている。この開口溝42aは、一対のピンチローラ27a,27bの両端部分が挿入されている。このため、回動機構41によって所定の方向に回動する一対のピンチローラ27a,27bは、両端が挿入されている開口溝42aによってその回動範囲が制限される。
【0067】
回動軸43は、一対のピンチローラ27a,27bを回動させる際の回動中心となる部材であって、一対のピンチローラ27a,27bの回転軸の間の中心に配置されている。
【0068】
回転モータ44は、一対のピンチローラ27a,27bのうち、駆動ローラである一方のピンチローラ27aに対して回転駆動力を伝達する。
【0069】
シリンダ45は、一対のピンチローラ27a,27bのうち、他方のピンチローラ27bの一方のピンチローラ27aに対する距離を調整する機構であって、ピンチローラ27bをピンチローラ27aに対して近接させたり離間させたりする。例えば、通常の搬送時やフィルムFの接続時には、シリンダ45は、ピンチローラ27a,27b間をできるだけ近づけるように駆動される一方、セッティング時等においてはピンチローラ27a,27b間をできる限り広くするように駆動される。
【0070】
なお、セッティング時等においてフィルムFを一対のピンチローラ27a,27b間の隙間を通すために、上記ローラ移動機構40の回動機構41によって一対のピンチローラ27a,27bを回動させる際には、この一対のピンチローラ27a,27bに接続された本体部42、回転モータ44およびシリンダ45も、回動軸43を中心として回動する。
【0071】
(予備ロール取付部30)
予備ロール取付部30は、図3に示すように、上述したオートスプライサ部20の下方に取り付けられており、予備のフィルムロール31aを支持するシャフト31と、脚部33a〜33cと、を含んでいる。
【0072】
シャフト31は、上述したオートスプライサ部20に含まれるシャフト21に支持されたフィルムロール21aのフィルムFが無くなった後で使用される予備のフィルムロール31aを回転可能な状態で支持している。
【0073】
脚部33a〜33cは、予備ロール取付部30を支持するために設けられており、脚部33a,33bは設置面に対する位置に、脚部33cは製袋包装ユニット5の一部に対する位置にそれぞれ配置されている。
【0074】
<一対のピンチローラ27a,27bを回動させる際の動き>
ここでは、上述したような各種構成を備えたフィルム供給ユニット6において、一方のフィルムロール21a,31aのフィルムFの終端部と他方のフィルムロール31a,21aのフィルムFの始端部とを接続する際には、一対のピンチローラ27a,27bによって接触面積を十分に確保した上で、フィルムFを所定の方向へ正確に搬送する(図5および図7(a)参照)。一方、運転開始時等にセッティングを行う場合には、まず、使用するフィルムロール21a,31aの一方からフィルムFの先端を引き出して、フロント・バックスプライサ部22,23の一方を経由して、一対のピンチローラ27a,27bの間の隙間にフィルムFを通す必要がある。本実施形態では、通常の搬送時等においてはピンチローラ27a,27bに対するフィルムFの接触面積を十分に確保しつつ、このようなセッティング時における作業性を向上させることを目的として、ローラ移動機構40によって一対のピンチローラ27a,27bを回動させる。
【0075】
すなわち、通常の運転を行っている際には、フィルムロール21aあるいはフィルムロール31aのいずれか一方から供給されるフィルムFは、図5および図7(a)に示すように、シリンダ45によって間隔を狭められた一対のピンチローラ27a,27bに対して接触しながらその間を通って、下流側に配置された製袋包装ユニット5に対して搬送される。このとき、一対のピンチローラ27a,27bは、図5および図7(a)に示すように、略水平方向に沿って配置されている。このため、ピンチローラ27a,27bに対して略水平方向から供給されるフィルムFは、ピンチローラ27a,27bの一部に巻き掛けられた状態となり、2つのピンチローラ27a,27bに対する接触面積が大きい状態で搬送される。
【0076】
そして、フィルムロール21aあるいはフィルムロール31aのいずれか一方から供給されるフィルムFがなくなると、一旦、フィルムFの搬送を停止させる。このとき、ピンチローラ27a,27bは、上述したように、フィルムFに対する接触面積が大きい状態でフィルムFの搬送を行っている。これにより、オートスプライス部20におけるフィルムF同士の接続を行う際に製袋される袋のピッチがずれないように、フィルムFの端部に付されたレジマーク等の検出結果を参照しつつ、フィルムFを高精度に所定の位置まで搬送させることができる。その後、上述したオートスプライサ部20において、使用していたフィルムロール21a,31aのフィルムFの終端部と、予備のフィルムロール31a,21aのフィルムFの始端部とが接続される。
【0077】
一方、運転開始時等にセッティングを行う場合には、ローラ移動機構40に含まれるシリンダ41aを駆動させて、図6および図7(b)に示すように、回動軸43を中心としてピンチローラ27a,27bを所定の角度だけ回動させる。このとき、ピンチローラ27a,27bは、略鉛直方向に沿って配置されるため、フィルムFが供給される側方から見て隙間が大きく開いた状態となる。これにより、通常の運転時やフィルムFの接続を行う際には、ピンチローラ27a,27bにおいてしっかりとフィルムFをグリップした状態とし、セッティング時等においてはピンチローラ27a,27bを旋回させて隙間を大きくすることで、一対のピンチローラ27a,27b間の隙間に対して、容易にフィルムFを通すことができるため、セッティング時等における作業性を向上させることができる。
【0078】
なお、このようなセッティング時においては、回動軸43を中心としてピンチローラ27a,27bを旋回させるだけでなく、上述したシリンダ45を駆動してピンチローラ27bをピンチローラ27aに対して離間する方向に移動させる。この場合には、一対のピンチローラ27a,27b間の隙間がさらに大きくなるため、フィルムFをピンチローラ27a,27b間に通す等の作業性をさらに向上させることができる。
【0079】
[本フィルム供給ユニット6の特徴]
(1)
本実施形態のフィルム供給ユニット6は、図3に示すように、製袋包装機3の上流側に取り付けられており、2本のシャフト21,31に対してそれぞれ装着された2本のフィルムロール21a,31aから製袋包装ユニット5に対してフィルムFを供給する。そして、フィルム供給ユニット6は、図4に示すように、先に使用していた一方のフィルムロール21aのフィルムFがなくなると、そのフィルムFの終端部と他方のフィルムロール31aのフィルムFの始端部とを接続するオートスプライサ部20を備えている。さらに、フィルム供給ユニット6は、図4に示すように、オートスプライサ部20の下流側に、一対のピンチローラ27a,27bと、このピンチローラ27a,27bを移動させるローラ移動機構40とを備えている。
【0080】
これにより、フィルムFを通常搬送している際やオートスプライサ部20においてフィルムFの接続を行う際には、図4や図5、図7(a)に示すように、搬送されるフィルムFがピンチローラ27a,27bの一部に巻き掛けられて接触面積が大きい状態とし、セッティングを行う際等には、ピンチローラ27a,27bを移動させて図6および図7(b)に示すように、フィルムFが供給される側方から見てピンチローラ27a,27b間の隙間が大きい状態とすることができる。この結果、フィルムFを搬送する際にはピンチローラ27a,27bにおいてフィルムFとの接触面積を確保することでフィルムFの滑りの発生を防止して、フィルムFの高精度な搬送を可能とすることができる。さらに、フィルムFを通す際にはフィルムFの供給方向から見たピンチローラ27a,27b間の隙間をできる限り広げて、セッティング等の作業性を向上させることができる。
【0081】
(2)
本実施形態のフィルム供給ユニット6では、図5および図6に示すように、一対のピンチローラ27a,27bを、回動軸43を中心として旋回移動させる。
【0082】
これにより、ピンチローラ27a,27bに対してフィルムFが巻き掛けられて両者が面で接触した状態と、ほとんど接触せずにピンチローラ27a,27b間に隙間を空けた状態とを、容易に切り換えることが可能になる。この結果、ピンチローラ27a,27bにおけるフィルムFの滑りの発生を防止して高精度なフィルムFの搬送を可能とし、かつセッティング時等にはピンチローラ27a,27b間の隙間にフィルムFを通し易い構成とすることができる。
【0083】
(3)
本実施形態のフィルム供給ユニット6では、図7(a)および図7(b)に示すように、一対のピンチローラ27a,27bを旋回移動させる中心となる回動軸43を、ピンチローラ27a,27bの回転軸同士を結ぶ直線の中心に配置している。
【0084】
これにより、一対のピンチローラ27a,27b間の隙間を通過するフィルムFが、容易にピンチローラ27a,27bの外周面に巻き掛けられて十分な接触面積を確保した状態を形成することができる。
【0085】
(4)
本実施形態のフィルム供給ユニット6では、図5および図6に示すように、一対のピンチローラ27a,27bを旋回移動させる駆動源として、ローラ移動機構40に含まれる回動機構41のシリンダ41aを用いている。
【0086】
これにより、比較的簡易な構成によって、一対のピンチローラ27a,27bを旋回移動させることで、ピンチローラ27a,27bにおけるフィルムFの滑りの発生を防止して高精度なフィルムFの搬送を行うことができる。一方、セッティング時等においては、このような簡易な構成によって、一対のピンチローラ27a,27bを旋回移動させることで、ピンチローラ27a,27b間の隙間にフィルムFを挿入し易い状態を形成して作業性を向上させることができる。
【0087】
(5)
本実施形態の製袋包装機3は、上述したフィルム供給ユニット6を備えている。
【0088】
これにより、フィルムFを搬送する際にはピンチローラ27a,27bにおいてフィルムFとの接触面積を確保することでフィルムFの滑りの発生を防止して、フィルムFの高精度な搬送を可能とすることができるとともに、フィルムFを通す際にはフィルムFの供給方向から見たピンチローラ27a,27b間の隙間をできる限り広げて、セッティング等の作業性を向上させることが可能な製袋包装機3を提供できる。
【0089】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
(A)
上記実施形態では、オートスプライサ部20におけるフィルムFの継ぎ合わせ時には、ピンチローラ27a,27bを、回動軸43を中心として旋回移動させることで、フィルムFと両ピンチローラ27a,27bとの接触面積を増大させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
例えば、図8および図9に示すように、2つのピンチローラ(第1・第2ローラ)127a,127b間に、別のピンチローラ(第3ローラ)127cを落とし込むように移動させるローラ移動機構140を備えたフィルム供給ユニット(フィルム供給装置)120であってもよい。
【0092】
このフィルム供給ユニット120では、ピンチローラ127cを2つのピンチローラ127a,127b間へ移動させるシリンダ145を備えており、図9および図10(b)に示す離間状態から、図8および図10(a)に示す近接状態へと移行することで、ピンチローラ127a,127bとピンチローラ127cとの間を通るフィルムFをピンチローラ127a〜127cに対して巻き掛けることができる。この結果、上記実施形態と同様に、ピンチローラ127a〜127cにおけるフィルムFの滑りの発生を防止して、高精度にフィルムFの搬送を行うことができるとともに、セッティング時等にはフィルムFを通し易い状態へ容易に移行させてセッティング等の作業性を向上させることができる。
【0093】
(B)
上記実施形態では、オートスプライサ部20におけるフィルムFの継ぎ合わせ時には、ピンチローラ27a,27bを、回動軸43を中心として旋回移動させることで、フィルムFと両ピンチローラ27a,27bとの接触面積を増大させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】
例えば、図11(a)および図11(b)に示すように、一対のピンチローラ(第1・第2ローラ)227a,227bに比較的近くに配置された方向転換ローラ(第3ローラ)227cを一方のピンチローラ227aに対して近接するように移動させることで、ピンチローラ227aおよび方向転換ローラ227cに対してフィルムFが巻き掛けられた状態を形成することができる。この結果、ピンチローラ227aにおいてフィルムFの滑りが発生することを防止して、高精度なフィルムFの搬送を実施することができるとともに、通常の搬送時やフィルムFの接続時等には図11(a)に示すように、ピンチローラ227a,227b間を広く開放することで、フィルムFを通し易くしてセッティング時等における作業性を向上させることができる。
【0095】
なお、ピンチローラ227a,227bに対して近接移動させるローラとしては、図11(a)および図11(b)に示すように、フィルムFの搬送方向を切り換える方向転換ローラ227cを用いてもよいし、近接配置されている他のローラを用いてもよい。
【0096】
(C)
上記実施形態では、第1ローラ等を移動させる駆動源として、シリンダ45を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば、シリンダの替わりに、各ローラを移動させるための駆動源としてモータ等の他の駆動機構を用いてもよい。
【0098】
(D)
上記実施形態では、図4に示すように、先に使用されるフィルムロール21aのフィルムFの終端部と、予備のフィルムロール31aのフィルムFの始端部とを、ヒートシール部25によって熱溶着するスプライサを搭載している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
例えば、先に使用されるフィルムロールのフィルムの終端部と、予備のフィルムロールのフィルムの始端部とを、粘着テープ等によって接続するスプライサを搭載しているフィルム供給装置であってもよい。
【0100】
(E)
上記実施形態では、図1に示すように、本発明に係るフィルム供給装置を、組合せ計量システム10に含まれる製袋包装機3に対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
例えば、組合せ計量システムのようなシステムに含まれる製袋包装機ではなく、小型の包装機等に取り付けられたフィルム供給装置として、本発明のフィルム供給装置を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のフィルム供給装置は、セッティング時等においてはフィルムをローラ間に通しやすい構成となっており、フィルムの接続を行う際等においてはフィルムをローラに巻きつけてフィルムの搬送精度を向上させて高精度にフィルムの接続を行うことができるという効果を奏することから、オートスプライサ機能を有するフィルム供給装置およびこれを搭載した包装装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態に係る組合せ計量システムの全体構成を示す斜視図。
【図2】図1の組合せ計量システムに含まれる製袋包装ユニットの構成を示す斜視図。
【図3】図1の組合せ計量システムの製袋包装機に含まれるフィルム供給ユニットの構成を示す正面図。
【図4】図3のフィルム供給ユニットに含まれるオートスプライサ部の構成を示す正面図。
【図5】図4のオートスプライサ部の上部に含まれるローラ移動機構の通常時の状態を示す斜視図。
【図6】図4のオートスプライサ部の上部に含まれるローラ移動機構のセッティング時の状態を示す斜視図。
【図7】(a),(b)は、通常搬送時およびセッティング時における一対のピンチローラの位置関係を示す模式図。
【図8】本発明の他の実施形態に係るフィルム供給ユニットの通常時の状態を示す斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るフィルム供給ユニットのセッティング時の状態を示す斜視図。
【図10】(a),(b)は、図8および図9のフィルム供給ユニットにおいて通常搬送時およびセッティング時における一対のピンチローラおよびその周辺のローラの位置関係を示す模式図。
【図11】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係るフィルム供給ユニットにおいて通常搬送時およびセッティング時における一対のピンチローラおよびその周辺のローラの位置関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0104】
2 組合せ計量装置
3 製袋包装機(包装装置)
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット(フィルム供給装置)
10 組合せ計量システム
13 成形機構
13a フォーマー
13b チューブ
14 プルダウンベルト機構
14a 駆動ローラ
14b 従動ローラ
14c ベルト
15 縦シール機構
17 横シール機構
17a,17b シールジョー
20 オートスプライサ部(スプライサ部)
20a ローラ
20b ローラ
21 シャフト
21a フィルムロール
22 フロントスプライサ部
22a 本体部
22b ハンドル
22c 回動軸
22d 突出部
22e,22f ローラ
23 バックスプライサ部
23a 本体部
23b ハンドル
23c 回動軸
23d 突出部
23e,23f ローラ
24 仮止め部
24a 回転軸
24b クリップ部
25 ヒートシール部
25a 加熱部
26 シリンダ
27a,27b ピンチローラ(第1・第2ローラ)
28 支持板
28a,28b 誘導穴
30 予備ロール取付部
31 シャフト
31a フィルムロール
33a〜33c 脚部
40 ローラ移動機構
41 回動機構
41a シリンダ
41b リンク部材
42 本体部
42a 開口溝
43 回動軸
44 回転モータ
45 シリンダ
120 フィルム供給ユニット(フィルム供給装置)
127a〜127c ピンチローラ(第1〜第3ローラ)
140 ローラ移動機構
145 シリンダ
227a,227b ピンチローラ(第1・第2ローラ)
227c 方向転換ローラ(第3ローラ)
F フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフィルムが巻回された複数のフィルムロールを回転可能な状態で支持しており、一方の前記フィルムロールからフィルムを送り出しながら下流側へと搬送しつつ、前記一方のフィルムロールのフィルムがなくなると前記一方のフィルムロールの前記フィルムの終端部分と他方のフィルムロールのフィルムの始端部分とを接続して搬送するフィルム供給装置であって、
前記一方のフィルムロールのフィルムの終端部分と前記他方のフィルムロールのフィルムの始端部分とを自動的に接続するスプライサ部と、
前記スプライサ部の下流側に配置されており、前記フィルムを所定の方向に搬送する第1ローラと、
前記第1ローラとの間に前記フィルムが通過するように、所定の間隔を開けて前記第1ローラに対向配置された第2ローラと、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの少なくとも一方における前記フィルムとの接触面積を増加させる方向に、前記第1ローラおよび前記第2ローラの少なくとも一方を移動させるローラ移動機構と、
を備えているフィルム供給装置。
【請求項2】
前記ローラ移動機構は、所定の旋回軸を有しており、前記旋回軸を中心にして前記第1・第2ローラを旋回させる、
請求項1に記載のフィルム供給装置。
【請求項3】
前記第1・第2ローラの下流側に配置された第3ローラをさらに備えており、
前記ローラ移動機構は、前記第1ローラまたは前記第2ローラを、残りの2つの前記ローラの間に向かって移動させる、
請求項1に記載のフィルム供給装置。
【請求項4】
前記第1・第2ローラの下流側に配置された第3ローラをさらに備えており、
前記ローラ移動機構は、前記第1・第2ローラに対して近接する方向に前記第3ローラを移動させる、
請求項1に記載のフィルム供給装置。
【請求項5】
前記旋回軸は、前記第1ローラの回転軸と前記第2ローラの回転軸とを結ぶ線の中心に配置されている、
請求項2に記載のフィルム供給装置。
【請求項6】
前記第3ローラは、前記フィルムの搬送方向を切り換える方向転換ローラである、
請求項3または4に記載のフィルム供給装置。
【請求項7】
前記ローラ移動機構は、前記ローラを所定の方向へ移動させるシリンダを有している、
請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム供給装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルム供給装置を備えている、
包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−127091(P2008−127091A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317662(P2006−317662)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】