説明

フィルム包装方法及びその装置

【課題】被包装物へ巻き付けるストレッチフィルムの溶着部が外側へ突出することがなく、かつ充分な強度で溶着でき、さらに全幅にわたって緊張した状態でストレッチフィルムを巻き付ける。
【解決手段】回転テーブル2上に被包装物4を載置し、回転テーブルの回転に従って、フィルム供給装置31より延伸作用が施された状態で供給されるストレッチフィルム30を被包装物の周囲に、巻付け始端部と巻付け終端部とを所定長さにわたって重複させて巻き付け、両端部の重複部を、これの内側と外側から重ねて、かつ上下方向に列状に溶着し、この列状の溶着を横方向に少なくとも1個所にて行い、その後、溶着部より上流側のストレッチフィルムを切断するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブル上に移載された被包装物の周囲に回転テーブルの回転に従ってストレッチフィルムをフルウェブ状に巻き付けて包装するフィルム包装方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルム包装方法及びその装置では、被包装物を搬出入するコンベヤを備えた回転テーブルと、この回転テーブルの上記被包装物の載置位置から外れた位置に設けられてフィルムの先端部をチャックするチャック装置と、回転テーブルの側方に配設され、上記チャック装置へストレッチフィルムを繰り出し供給するフィルム供給装置、溶着装置、及びフィルム切断装置等とからなっていて、フィルム供給装置から繰り出したストレッチフィルムの先端をチャック装置にてチャックした状態で被包装物を載置した回転テーブルを回転することにより、このストレッチフィルムを被包装物の周囲に巻き付け、ついでこの巻き付け最下流部を被包装物に巻き付けられた部分のストレッチフィルムを溶着し、これの下流側をチャック装置にてチャックした状態でフィルム切断装置にて切断することにより被包装物の周囲にストレッチフィルムを巻き付け包装するようになっている(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開平7−33107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のフィルム包装装置では、被包装物に一層のストレッチフィルムを巻き付け、、これの始端部、終端部との裏側面を対向させてつまみ状にクリップし、このクリップ部で2枚重ねにして溶着するようにしているため、ストレッチフィルムの切断後の溶着部が、ストレッチフィルムの2枚重ね状になって被包装物の外側へ突出した状態で残ってしまい、この部分からストレッチフィルムが破損したり、突出片が自動倉庫内の検知器に感知されて誤動作の原因となる等の問題があった。また、包装後の美感においても上記突出片により損なわれていた。
【0005】
また、上記従来のフィルム包装装置では、ストレッチフィルムの始端部をチャックするチャック装置では、上下方向に広げられたストレッチフィルムの端部をブレードで対向するフィンガ間に押し込むようになっているため、この部分のストレッチフィルムは上下方向に弛んだ状態でチャックされてしまい、この状態で被包装物にストレッチフィルムを巻き付けられるため、上下方向にシワが生じた状態で包装され、ストレッチフィルムとしての作用効果を発揮できなかった。
【0006】
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、被包装物に巻き付けたストレッチフィルムの始端部と終端部との溶着部が、被包装物の周囲からヒラヒラ突出することなく、しかも十分な強度で溶着でき、また被包装物の全高にわたって、緊張した状態でストレッチフィルムを巻き付けることができるようにしたフィルム包装装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るフィルム包装方法は、回転テーブル上に被包装物を載置し、
回転テーブルの回転に従って、回転テーブルの側方に設けられたフィルム供給装置より延伸作用が施された状態で供給されるストレッチフィルムを被包装物の周囲に、巻付け始端部と巻付け終端部とを所定長さにわたって重複させて巻き付け、
上記巻付け始端部と巻付け終端部の重複部を、これの内側と外側から重ねて、かつ上下方向に列状に溶着し、この列状の溶着を横方向に少なくとも1個所にて行い、
その後、溶着部より上流側のストレッチフィルムを切断するようにした。
【0008】
そして上記方法を実施するための発明に係るフィルム包装装置は、上面にコンベヤを有する回転テーブルと、この回転テーブルの上方で、この回転テーブルと同期して回転するようにして天井フレームに設けたスタビライザと、上記コンベヤの側方位置で、かつ回転テーブルと天井フレームの少なくとも一方に、上下方向への起立姿勢と、回転テーブルあるいは天井フレームに沿う状態の折りたたみ姿勢とに姿勢可変にし、かつ圧着バーをコンベヤの側方へ向けて設けた溶着受け装置と、この溶着受け装置の側方で、かつ上下方向に対向させて回転テーブルと天井フレームに設けられ、上記溶着受け装置に近接する位置から離隔する位置に移動可能で、さらに離隔する位置に対して近接する位置での上下の間隔が広くなるようにしてストレッチフィルムの上下端をチャックするようにした上下一対のチャック装置と、回転テーブルの側方で、起立状態の溶着受け装置の圧着カバーに対して接離する溶着装置と上下方向にカッタを移動可能に設けたカッタ装置とを有し、かつ上記回転テーブルの溶着受け装置に対して接離方向に移動可能にした溶着・切断装置と、上下一対のチャック装置に先端の上下がチャックされ、回転テーブルの回転によって繰り出し方向に延伸作用を受けながらストレッチフィルムを繰り出し供給するフィルム供給装置とからなっている。
【0009】
上記フィルム包装装置において、フィルム供給装置のフィルム供給路を構成する複数の送りロールのうち、隣接する2本のロールを延伸ロールとし、上流側の延伸ロールの回転周速を、下流側の延伸ロールの回転周速より遅くすると共に、少なくとも一方の延伸ロールの少なくとも上側の端部を自由回転する自由回転ロールとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルム包装方法によれば、被包装物に巻き付けたストレッチフィルムの始端部と終端部の溶着部を、被包装物の周囲からヒラヒラ突出することなく、しかも充分な強度で溶着できる。
【0011】
また、本発明のフィルム包装装置によれば、被包装物に巻き付けるストレッチフィルムの内側に溶着受け装置を被包装物の側方で起立姿勢にし、これの圧着バーに対して上記ストレッチフィルムの外側から、溶着装置を押し付けることにより、被包装物に巻き付けたストレッチフィルムを、これの巻き重ね方向に溶着することができ、これによりストレッチフィルムの始端部と終端部とを、これらの間に位置する巻き付け層のストレッチフィルムと重なり方向に一体状に溶着でき、この溶着部において十分な強度で溶着することができる。
【0012】
また、巻き付け開始時におけるストレッチフィルムの始端部を、チャック装置にて上下方向に緊張することができ、ストレッチフィルムの全幅にわたってこれの始端部から緊張した状態で被包装物に巻き付けることができ、フィルム供給装置にて延伸されながら供給されるストレッチフィルムを被包装物の全高にわたって緊張状態で巻き付けることができる。
【0013】
さらに、延伸作用を加えながらストレッチフィルムを回転テーブル側へ供給する一対の延伸ロールからなるフィルム供給装置の上流側の延伸ロールを下流側の延伸ロールより遅く回転し、少なくとも一方の延伸ロールの少なくとも上側の端部を自由回転ロールとしたことにより、ここから繰り出されるストレッチフィルムの少なくとも上端部には延伸作用が加えられず、この部分は延伸されない。従って、この部分を被包装物の例えば上方へはみ出させることにより、この部分が被包装物の内側へ倒れて、被包装物の上端周囲がストレッチフィルムにて被覆され、被包装物の周囲のストレッチフィルムの内側へのゴミの侵入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1、図2は本発明に係るフィルム包装装置の全体を示すもので、図1は天井部分を省略して示す平面図、図2は側面図である。図中1はベースフレーム、2はこのベースフレーム1上に、回転自在に載置され、かつモータ1aにて回転されるようにした回転テーブルである。そしてこの回転テーブル2には、一対のコンベヤチェン3a,3bとからなるコンベヤ3が、上記コンベヤチェン3a,3bの上側辺を回転テーブル2の上面より突出させて設けてあり、このコンベヤ3上に被包装物4が、これを載置したパレット5ごと搬出入されて載置されるようになっている。この被包装物4の一例としては、平面形状が矩形で所定の高さを有している形状になっている。
【0015】
ベースフレーム1の一側部で、かつ回転テーブル2より離隔する位置にマスト6が立設してあり、このマスト6にサブフレーム7が図示しない昇降装置にて昇降可能に支持されており、このサブフレーム7の上端部には上記ベースフレーム1に上下方向に対向するアーム8が設けてある。このアーム8の下側に天井フレーム9が回転自在に支持されており、モータ9aにて回転駆動されるようになっている。この天井フレーム9は上記回転テーブル2と対向し、かつ回転中心が同軸になっている。
【0016】
そしてこの天井フレーム9の下面に上記回転テーブル2に対向して回転テーブル2上の被包装物4の上端を押さえるスタビライザ10がシリンダ装置11にて昇降可能にして設けてある。
【0017】
回転テーブル2と天井テーブル9には、上下に対向する上下一対のずつの溶着受け装置12a,12bとチャック装置13a,13bが設けてある。上下の溶着受け装置12a,12bは上記コンベヤ3の搬送方向と直角方向の側方で、かつ回転テーブル2上に載置される被包装物4の側面に沿う位置に設けられ、またチャック装置13a,13bはこの溶着受け装置12a,12bより側方へ離隔した位置に設けられている。
【0018】
溶着受け装置12a,12bは上下対称で同一構成となっているので、その下側の溶着受け装置12bの構成を図3、図4にて説明する。なお図3は図1の矢印A方向、すなわち回転テーブル2の中心側から見た図であり、図4は図3のB−B拡大断面図である。
【0019】
14は回転テーブル2に設けたブラケットで、このブラケット14に第1アーム15の基端が直立状態から水平状態に、かつコンベヤ3の搬送方向に回動可能に支持されている。16はこれを回動するためのシリンダ装置である。第1アーム15の先端部には第2アーム17が、第1アーム15と一直線状になる姿勢から、第1アーム15の回転方向と逆方向に、第1アーム15と平行状態になる姿勢にわたって上記第1アーム14の回動軸と平行な回動軸を支点にして回動するように連結されている。
【0020】
上記第1アーム15の基端側に第1スプロケット18が、この第1アーム15の回動中心と同一軸状に一体状に固着してある。また、第2アーム17の第1アーム15との連結される基端部に第2スプロケット19が、この第2アーム17の回動中心と同一軸状に一体状に固着してある。第1スプロケット18の径(歯数)は、第2スプロケット19の径(歯数)の2倍となっている。そしてこの両スプロケット18,19に回動用のチェン20が巻き掛けてある。
【0021】
なお、上記第1・第2のスプロケット18,19はそれぞれを直接各アーム15,17側に固着してもよく、あるいは各スプロケット18,19と一体状に下軸部を介してアーム15,17に固着してもよい。
【0022】
各アーム15,17には、第1・第2の圧着バー21a,21bが各アーム15,17と平行に、かつ外側へ向けて取り付けられている。また、この各圧着バー21a,21bより回動方向へ隣接して第1・第2のガイドローラ22a,22bが自由回転可能に支持されている。第2アーム15にはガイドローラ22bより外側と、圧着バー22bより内側のそれぞれに隣接する位置に小径のさばきローラ23a,23bが自由回転可能に設けてある。上記圧着バー21a,21bの表面にはシリコンスポンジゴムを用いた溶着受け板24が貼り付けてある。
【0023】
このような構成により、下側の溶着受け装置12bは、図3に示す延長(起立)状態において、シリンダ装置16を伸長動作することにより、第1アーム15は、垂直状態から水平状態になる方向に回動する。この第1アーム15の回動は、これと一体に回動する第1スプロケット18、チェン20、第2スプロケット19に伝達され、この第2スプロケット19が第1スプロケット18と逆方向に、かつ2倍の回動角にわたって回動される。従って、この第2スプロケット19と一体状になっている第2アーム17が、上記第1アーム15が90度回動する間に180度回動されて図3に鎖線で示したように、第1アーム15が水平となった状態で第2アーム17がこれと平行に折りたたまれる。そして、この状態からシリンダ装置16を短縮動作することにより、アーム15,17とも図3に示す状態、すなわち垂直状態に起立される。
【0024】
この下側の溶着受け装置12bと上下方向で対称に構成されている上側の溶着受け装置12aは天井フレーム9に取付けられており、これのシリンダ装置の動作により下側の溶着受け装置12bと同じ動作を行う。なお、この上下の溶着受け装置12a,12bは同期作動されるようになっている。
【0025】
次に上下のチャック装置13a,13bの構成を図1、図2、図5(a),(b)にて説明する。この上下のチャック装置13a,13bも上記溶着受け装置12a,12bと同様に上下対称で同一構成となっているので、下側のチャック装置13bについて説明する。
【0026】
チャック装置13bは、回転テーブル2に設けたガイドレール25と、このガイドレール25に摺動可能に結合されたチャックベース26と、チャックベース26に搭載された一対のチャック刃27a,27bと、チャックベース25を摺動駆動するシリンダ装置28とからなっている。
【0027】
上記ガイドレール25は、平面状態で上記溶着受け装置12bに近接する位置から回転テーブル2の回転方向上流側で、かつコンベヤ3より離隔する方向に向けて傾斜されている。また、上記ガイドレール25は溶着受け装置12bに近い方が低くなるように上下方向に傾斜したスペーサ29に支持されている。なお、上側のチャック装置13aはスペーサ29を介して天井フレーム9に支持されている。
【0028】
チャック刃27a,27bはチャックベース26に内装した開閉装置(図示せず)にて開閉されるようになっている。そして両チャック刃27a,27bはこれの閉状態でストレッチフィルム30を滑ることなくチャックできるようになっている。そのために、チャック刃27a,27bの刃にゴム等の摩擦係数が大きい刃先片を装着してもよい。
【0029】
この上下一対のチャック装置13a,13bはスペーサ29の高い位置で上記ストレッチフィルム30をチャックし、その状態でスペーサ29の低い位置まで移動することにより、上下の両スペーサ29,29の高さ分だけ上下方向に離隔され、その分ストレッチフィルム30が上下に緊張されるようになっている。
【0030】
図1において、31は上記ストレッチフィルム30を延伸しながら供給するフィルム供給装置である。このフィルム供給装置31は昇降フレーム7の背後に設けてあり、フィルムロール32を支持するロール支持軸33と、フィルムロール32より繰り出されるストレッチフィルム30を両ロールの回転差によって延伸する一対の延伸ロール34,35と、ストレッチフィルム30を上記チャック装置13a,13bを含む回転テーブル2側へブレーキをかけながら案内する出口ローラ装置36とからなっている。上記ロール支持軸33はブレーキ力が作用した状態で回転し、フィルムロール32はこのロール支持軸33にチャッキングされて支持される。ストレッチフィルム30は被包装物4の高さ寸法より幅が広いものが用いられる。
【0031】
このフィルム供給装置31における一対の延伸ロール34,35において、図6に示すように、一方の例えばストレッチフィルム30の供給方向下流側の延伸ロール34がモータ37にて出口ローラ装置36へのストレッチフィルム30の供給速度で回転するように駆動されるようになっており、また両延伸ロール34,35のそれぞれの端部には一対のスプロケット38a,38bが固着されていて、これに巻き掛けたチェン39にて他方の延伸ロール35が一方の延伸ロール34に連動して回転されるようになっている。このとき、下流側の延伸ロール34に固着したスプロケット38bの径は、上流側のそれに対して小さく、例えば1/2になっていて、上流側の延伸ロール35が下流側のものに比べて1/2の回転数で回転されるようになっている。
【0032】
また、このフィルム供給装置31において、上流側の延伸ロール35の上端側と下端側の一部が、他の部分に対して自由回転可能にした自由回転ロール35a,35bとなっている。
【0033】
図1、図2,図7〜図10においてお41は溶着・切断装置であり、この溶着・切断装置41はマスト6に水平方向に回動可能に支持された支持枠42と、この支持枠42の先端部に上下方向に位置調整可能に支持されたブラケット43と、このブラケット43に設けられた溶着装置44及びカッタ装置45と、上記支持枠42を回動するシリンダ装置46とからなっている。そしてこの溶着・切断装置41は、上記シリンダ装置46の伸縮動作により、先端部が回転テーブル2側に対向する「作動位置」と、先端部が回転テーブル2より、これの回転方向下流側に向けて離隔する方向に回動する「収納位置」とに亘って回動するようになっている。
【0034】
ブラケット43は上記被包装物4の高さより長くなっていて、支持枠42に垂直状態で支持されている。そしてこのブラケット43に設けられる溶着装置44は、このブラケット43に沿わせて上下方向全長に亘って設けた支持部材47と、この支持部材47の側面に上下方向に複数個、例えば4個のヒータ装置48a,48b,48c,48dとからなっている。この各ヒータ装置48aから48dは支持部材47の側面に固着されるシリンダ装置49と、このシリンダ装置49のロッドの先端に結合したヒータ50とからなっている。
【0035】
ヒータ50の表面は上下に長い板状になっていて、内部に設けたヒータ線により前面全体が所定の温度になるようになっている。そしてこの各ヒータ50は、溶着・切断装置41が「作動位置」まで回動した状態で、上記延長状態にある溶着受け装置12a,12bの圧着バー21a,21bに対向するようになっており、またこの状態でシリンダ装置49を伸縮動することにより、ヒータ50が上記溶着受け措置12a,12bの圧着パッド21a,21bに接離するようになっている。
【0036】
カッタ装置45は、ブラケット43の側面に上下方向に沿わせて設けたロッドレスシリンダ51と、このロッドレスシリンダ51の作動子に固着したカッタ52とからなっており、ロッドレスシリンダ51の作動子の動作によりカッタ52が被包装物4の全高さを超える長さにわたって移動するようになっている。このカッタ装置45のカッタ52は、溶着・切断装置41の「作動位置」方向への回動方向で上記用着装置44より下流側で、かつヒータ50よりブラケット43側に位置されている。
【0037】
溶着装置44と切断装置45の間に溶着装置44のヒータ50より回転テーブル2側へ突出したブラシ53が高さ方向全長にわたって設けてある。また、ブラケット43の上記溶着・切断装置44の作動位置方向への回動方向最下流部にガイドローラ54が自由回転するようにして設けてある。
【0038】
上記構成における作用を、図1〜図10に示した構成図及び図11〜図16に示した作用説明図に基づいて説明する。
【0039】
待機状態の回転テーブル2は、図1に示されるようにコンベヤ3がベースフレーム1に対して横方向に向けられる姿勢になっている。この状態で図1に左側から搬送されてきた被包装物4を回転テーブル2上に載せるとともに、コンベヤ3を所定時間作動してこの被包装物4を回転テーブル2の回転中心部に載置させる(図11)。そしてこれと同時にスタビライザ10を下動して被包装物4を押さえる。なおこのときの被包装物4の頂面には、必要に応じてトップシートが前もって掛けられている。
【0040】
包装作業に先立って、図5(a)に示すように上下のチャック装置13a,13bを後退させ、上下に対向する両チャック装置13a,13bがスペーサ29の高さ分だけ対向方向に近づけた状態にすると共に、この各チャック装置13a,13bを開状態にしておく。そしてこの状態のチャック装置13a,13bの位置までストレッチフィルム30を引き出してこの両チャック装置13a,13bの閉動作によりストレッチフィルム30の先端の上下端部をチャックする(図11)。
【0041】
その後、溶着受け装置12a,12bを起立させると共に、チャック装置13a,13bを前進させて被包装物4に近づける(図12)。これにより、チャック装置13a,13bはスペーサ29,29の上下方向の傾斜分だけ相互の間隔が広がり、その分この部分におけるストレッチフィルム30は上下方向に緊張される(図5(b))。
【0042】
この状態から回転テーブル2と天井フレーム9とを一体状に上方から見て右回転方向に回転させると、被包装物4と共に、上下溶着受け装置12a,12bとチャック装置13a,13bが一体状に回転し、ストレッチフィルム30はチャック装置13a,13bにて引き出されて、起立状態の溶着受け装置12a,12bの外側から被包装物4の周囲にこれの全高さにわたって巻き付けられる。
【0043】
このとき、フィルム供給装置31のモータ37が駆動されて、下流側延伸ロール34の周速が上記回転テーブル2の回転によるストレッチフィルム30の引き出し速度と略同一速度でストレッチフィルム30が繰り出される。そして、このときの上流側の延伸ロール35の回転速度は上流側の延伸ロール34の1/2であるから、両ロール34,35を通る間にストレッチフィルム30は、供給方向(一軸方向)へ延伸させる。また、このストレッチフィルム30は出口ローラ装置36にてブレーキ力が作用される。従って、回転テーブル2の回転に従って被包装物の周囲に巻き付けられるストレッチフィルム30は巻き付け方向にストレッチ(延伸)されていると共に、上下方向に緊張された状態で巻き付けられる。
【0044】
またこのとき、上記フィルム供給装置31においてストレッチフィルム30の延伸作用を行う上流側の延伸ロール35の上側部分と下側部分が自由回転ロール35a,35bとなっているため、ストレッチフィルム30のこの部分に案内される部分は延伸されない。従って、フィルム供給装置31より繰り出されるストレッチフィルム30の上側部と下側部は延伸されていないため、被包装物4に巻き付けられてこの上面よりはみ出す部分は、被包装物4の上面の内側へ倒れて被包装物4の上面の周囲部もフィルム包装される。また、下側部分は被包装物4を載置するパレット5にゆるやかに巻き付けられる。
【0045】
なお、上記自由回転ロール35a,35bは、延伸ロール35の上側のみに設けてもよい。また、この自由回転ロールは下流側の延伸ロール34側に設けてもよく、さらに上流側と下流側の双方の延伸ロール34,35に設けても良い。
【0046】
このときのストレッチフィルム30の巻き付け数は、これの始端部と終端部とを若干重複させた状態で、1回以上数回とするが、1回(1層)ではフィルムの強度に問題があるので2回転して2層巻きにする(図14)。
【0047】
図14は2回転(2層巻き)した終点状態であるが、この終点に至る前、例えば図13に示すように1回転と1/4回転したときに、チャック装置13a,13bを開いてストレッチフィルム30のチャックを解除し、後退させておく。開動作したチャック刃27a,27bは被包装物4に巻き付けているストレッチフィルム30の下辺及び上辺より外れるので、チャック装置13a,13bはこのストレッチフィルム30に干渉することなく後退される。後退したチャック装置13a,13bは開いたままにしておく。チャック装置13a,13bから開放されたストレッチフィルム30の先端部は、これより外側に巻き付けられるストレッチフィルム30にて押さえられてゆるむことはない。また、このストレッチフィルム30の先端部(始端部)は図13に示すように溶着受け装置12a,12bに対向されている。
【0048】
図14に示した巻き付け終了状態で、溶着・切断装置41を「作動位置」へ回動し、これの溶着装置44を前進させ、これのヒータ50を溶着受け装置12a,12bの圧着バー21a,21bとの間に位置するフィルム先端部を含む3枚のストレッチフィルム30が線状に重ね合わせ溶着され、この部分に第1溶着線Lが形成される。
【0049】
ついで、溶着装置44のヒータ50を後退させて、これを被包装物4から離隔してから、コンベヤ3を少し前進させる(図15)。その後、再び溶着装置44のヒータ50を前進させて、これを溶着受け装置12a,12bの圧着バー21a,21bに押し付ける。これにより先に溶着された位置から、上記コンベヤ3の移動方法だけ間隔をあけた位置において3枚のストレッチフィルム30が線状に重ね合わせ溶着され、第2溶着線Lが形成される。
【0050】
この状態、すなわち溶着装置44の作動状態で、これより上流側のストレッチフィルム30を、図15に示すように後退状態のチャック装置13a,13bにてチャックし、ついで切断装置45を作動して、これのカッタ52にてストレッチフィルム30を切断する。その後、溶着・切断装置41を「収納位置」へ回動して包装作業が終了される(図16)。
【0051】
またこの動作と同時に、または相前後して溶着受け装置12a,12bを折りたたむ。このときの溶着受け装置21a,12bの第1・第2のアーム15,17の折りたたみ作動は、上記したようにして巻き掛けられたストレッチフィルム30の内側で行われるが、これらに設けたガイドローラ22a,22bにて案内されてスムーズに行われる。折りたたみ状態の両溶着受け装置12a,12bは、被包装体4の側方で、これに巻き付けられるストレッチフィルム30の上下に外れた位置に格納される。
【0052】
以上の動作により、図16に示すように、被包装物4を2層巻きしたストレッチフィルム30は、これの巻き始め端部と巻き終わり端部とが3枚重ね状態で、第1・第2の2つの溶着線L,Lにて溶着される。そしてこのように包装された被包装物4は、コンベヤ3の作動により回転テーブル2より搬送される。なお、このときの溶着が1個所でもその強度が十分であれば1個所であってもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、溶着受け装置12a,12bを回転テーブル2と天井テーブル9の双方に上下方向で対称状に2組設けた例を示したが、これの起立状態で被包装物4の全高さをカバーできる長さにできれば、上下の一方だけでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明装置で天井部分を省略して示す平面図である。
【図2】本発明装置を示す側面図である。
【図3】図1のA方向から見た溶着受け装置の正面図である。
【図4】図3のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図5】(a),(b)はチャック装置の構成及び作用を示す正面図である。
【図6】フィルム供給装置の延伸ロール部を示す一部破断図である。
【図7】溶着・切断装置を示す側面図である。
【図8】溶着・切断装置を示す正面図である。
【図9】溶着・切断装置を示す平面図である。
【図10】図8のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図11】作用説明図である。
【図12】作用説明図である。
【図13】作用説明図である。
【図14】作用説明図である。
【図15】作用説明図である。
【図16】作用説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…ベースフレーム、2…回転テーブル、3…コンベヤ、3a,3b…チェン、4…被包装物、5…パレット、6…マスト、7…サブフレーム、8…アーム、9…天井フレーム、9a…モータ、10…スタビライザ、11…シリンダ装置、12a,12b…溶着受け装置、13a,13b…チャック装置、14…ブラケット、15,17…第1・第2アーム、16…シリンダ装置、18,19…スプロケット、20…チェン、21a,21b…圧着バー,22a,22b…ガイドローラ、23a,23b…さばきローラ、24…溶着受け板、25…ガイドレール、26…チャックベース、27a,27b…チャック刃、28…シリンダ装置、29…スペーサ、30…ストレッチフィルム、31…フィルム供給装置、32…フィルムロール、33…ロール支持軸、34,35…延伸ロール、35a,35b…自由回転ロール、36…出口ローラ装置、37…モータ、38a,38b…スプロケット、39…チェン、41…溶着・切断装置、42…支持枠、43…ブラケット、44…溶着装置、45…カッタ装置、46…シリンダ装置、47…支持部材、48a〜48d…ヒータ装置、49…シリンダ装置、50…ヒータ、51…ロッドレスシリンダ、52…カッタ、53…ブラシ、54…ガイドローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル上に被包装物を載置し、
回転テーブルの回転に従って、回転テーブルの側方に設けられたフィルム供給装置より延伸作用が施された状態で供給されるストレッチフィルムを被包装物の周囲に、巻付け始端部と巻付け終端部とを所定長さにわたって重複させて巻き付け、
上記巻付け始端部と巻付け終端部の重複部を、これの内側と外側から重ねて、かつ上下方向に列状に溶着し、この列状の溶着を横方向に少なくとも1個所にて行い、
その後、溶着部より上流側のストレッチフィルムを切断する、
ようにしたことを特徴とするフィルム包装方法。
【請求項2】
上面にコンベヤを有する回転テーブルと、
この回転テーブルの上方で、この回転テーブルと同期して回転するようにして天井フレームに設けたスタビライザと、
上記コンベヤの側方位置で、かつ回転テーブルと天井フレームの少なくとも一方に、上下方向への起立姿勢と、回転テーブルあるいは天井フレームに沿う状態の折りたたみ姿勢とに姿勢可変にし、かつ圧着バーをコンベヤの側方へ向けて設けた溶着受け装置と、
この溶着受け装置の側方で、かつ上下方向に対向させて回転テーブルと天井フレームに設けられ、上記溶着受け装置に近接する位置から離隔する位置に移動可能で、さらに離隔する位置に対して近接する位置での上下の間隔が広くなるようにしてストレッチフィルムの上下端をチャックするようにした上下一対のチャック装置と、
回転テーブルの側方で、起立状態の溶着受け装置の圧着カバーに対して接離する溶着装置と上下方向にカッタを移動可能に設けたカッタ装置とを有し、かつ上記回転テーブルの溶着受け装置に対して接離方向に移動可能にした溶着・切断装置と、
上下一対のチャック装置に先端の上下がチャックされ、回転テーブルの回転によって繰り出し方向に延伸作用を受けながらストレッチフィルムを繰り出し供給するフィルム供給装置と
からなることを特徴とするフィルム包装装置。
【請求項3】
フィルム供給装置のフィルム供給路を構成する複数の送りロールのうち、隣接する2本のロールを延伸ロールとし、上流側の延伸ロールの回転周速を、下流側の延伸ロールの回転周速より遅くすると共に、少なくとも一方の延伸ロールの少なくとも上側の端部を自由回転する自由回転ロールとしたことを特徴とする請求項2記載のフィルム包装装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−273337(P2006−273337A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90813(P2005−90813)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成16年10月5日から9日 社団法人日本包装技術協会開催の「2004東京国際包装展(東京パック2004)」に出品
【出願人】(598099132)松本システムエンジニアリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】