説明

フィルム包装機の制御装置

【課題】複数の処理手段及び検査による各々の所定の処理を、共通のセンサからの出力に基づき処理することが可能なフィルム包装機の制御装置を提供する。
【解決手段】設定手段12は、1包装分の帯状フィルムの中から、所定の処理を施すエリアと、そのエリアからズレた位置であって所定の処理とは別の所定の処理を施すエリアと、フィルム上の基準とする基準位置とを設定する。記憶手段14は、設定手段12で設定した各エリアと、それらのエリアと基準位置との位置関係とを記憶する。ラインセンサ11は、フィルムの搬送経路で張られた状態の帯状フィルムに対向して配置される。発信手段1は、フィルム送り位置に関する信号を発信する。包装時におけるフィルム搬送中に、ラインセンサ11が撮像した画像データ情報から得た基準位置と発信手段1の信号とに基づき、各エリアについての所定の処理を施す信号を各々生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状フィルムに所定の処理を施して物品をフィルム包装するフィルム包装機における制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムロールから繰り出した帯状フィルムを筒状フィルムに成形し、その筒状フィルムを一対のシール部材でシールして切断する縦形製袋包装機が開示されている。この縦形製袋包装機は、帯状フィルムに印刷されたアイマーク(レジマーク)をアイマークセンサで検出し、エンドシールを行うための基準データとして使用することが記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4141561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アイマークセンサは単にアイマークを検出するために設置されたセンサであって、別の制御による処理を施す処理手段に利用されていない。例えば、原反ロールから製袋手段に至るまでの帯状フィルムの搬送経路には、帯状フィルムに商品の製造日や消費期限などの日付を印刷する日付印字装置、または、帯状フィルムに対してラベルを所定間隔毎に貼付けるラベラなどが別の処理手段として設けられることがあり、これらの処理手段における動作処理の結果を自動で検査したい場合は、センサが新たに設けられる。このことは、部品点数の増加を招くだけでなく、包装品種の変更に際して設定の変更を要するため、設定が極めて煩雑で、多くの設定時間や手間を費やすことになる。
【0005】
本発明は、複数の処理手段及び検査による各々の所定の処理を、共通のセンサからの出力に基づき処理することが可能なフィルム包装機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るフィルム包装機の制御装置は、設定手段12と記憶手段14とラインセンサ11と発信手段1とを備えている。設定手段12は、1包装分の帯状フィルム5の中から、所定の処理を施すエリアE1と、そのエリアE1からズレた位置であって所定の処理とは別の所定の処理を施すエリアE2及び/又はエリアE3及び/又はエリアE4と、フィルム上の基準とする基準位置17とを設定する。記憶手段14は、設定手段12で設定した各エリアE1,E2及び/又はエリアE3及び/又はエリアE4と、それらのエリアE1,E2及び/又はエリアE3及び/又はエリアE4と基準位置17との位置関係とを記憶する。ラインセンサ11は、フィルムの搬送経路で張られた状態の帯状フィルム5に対向して配置される。発信手段1は、フィルム送り位置に関する信号を発信する。包装時におけるフィルム搬送中に、ラインセンサ11が撮像した画像データ情報から得た基準位置17と発信手段1との信号とに基づき、各エリアについての所定の処理を施す信号を各々生成する。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記ラインセンサ11で撮像されたライン画像は、フィルム搬送方向に向けて等間隔である。
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記所定の処理を施す信号は、ラベラ10を動作させるための信号と、ラベラ10の動作によるラベル16が正規位置にあるか否か検査を行うための信号と、日付印字装置10を動作させるための信号と、日付印字装置10の動作による日付印字18が正規位置にあるか否か検査を行うための信号と、袋のエアー抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工を施すための信号とのうち、少なくともいずれかの信号である。
【0008】
請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の発明を前提とする請求項4の発明において、前記記憶手段14には、予め基準位置17の画像データが記憶されるようになっていて、その基準位置17の画像データと、包装時におけるフィルム搬送中にラインセンサ11によって撮像された基準位置17の画像データとの一致によって、各所定の処理を施す信号が各々生成される。
【0009】
請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の発明を前提とする請求項5の発明において、前記基準位置は、レジマーク17、或いは、パッケージデザインなど、フィルム搬送方向に一定間隔でフィルムに印刷された模様の特定の箇所である。
【0010】
請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の発明を前提とする請求項6の発明において、前記記憶手段には予め基準位置17の画像データと各エリアE1,E2及び/又はエリアE3及び/又はエリアE4の画像データとが記憶されるようになっていて、前記ラインセンサ11によって撮像された各エリアE1,E2及び/又はエリアE3及び/又はエリアE4の画像データと、前記記憶手段14に予め記憶された各エリアの画像データとが不一致と判断されることによって、各所定の処理を施す信号が各々生成される。
【0011】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明において、前記記憶手段14に予め記憶された各エリアE1,E2,E3,E4の画像データには、ラベル16の画像データと、日付印字18の画像データと、レジマーク17の画像データと、バーコード15の画像データとのうち、少なくともいずれかの画像データが含まれる。
【0012】
請求項6または請求項7の発明を前提とする請求項8の発明において、画像処理して得た所定画素数における画像データのドット数を比較することによって、前記撮像して得られた画像データと、前記記憶手段14に記憶された画像データとが不一致と判断される。
【0013】
請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の発明を前提とする請求項9の発明において、前記設定手段12で設定した各エリアは、包装品種毎に記憶手段14に記憶される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、1包装分の帯状フィルムを共通のラインセンサが撮像した画像データ情報から得た基準位置と発信手段との信号に基づき、1包装分の帯状フィルムにおける各エリアについての所定の処理を施す信号を各々生成することができるため、各所定の処理毎にセンサ等を設けた従来技術と比較して、センサ等の部品点数を削減することができるとともに、包装品種の変更に際して設定の変更を簡単にすることができる。
【0015】
請求項2の発明では、フィルムを搬送する速度の変化に影響されることなく、フィルム搬送方向に向けて等間隔のライン画像によって各エリアについて所定の処理を施す信号を各々生成することができる。
【0016】
請求項3の発明では、1包装分の帯状フィルムにおいてフィルム加工、或いは、検査を施すための信号といった種類が異なる2種類以上の信号を共通のラインセンサで撮像することによって生成することができる。
【0017】
請求項4の発明では、1包装分の帯状フィルムにおいて各エリア位置の基準位置を共通のラインセンサで撮像するため、センサ等の部品点数の削減や設定変更の簡素化を図ることができる。
【0018】
請求項5の発明において、レジマーク、或いは、パッケージデザインなど、フィルム搬送方向に一定間隔でフィルムに印刷された模様の特定の箇所は、他の印刷された模様との識別が容易であるため、基準位置とする模様として適している。
【0019】
請求項6の発明では、包装時のフィルム搬送中に撮像して得られた各エリア毎の画像データと予め記憶された各エリア毎の画像データとを比較するだけであるため、データ処理量が少なくて済み、データ処理時間の短縮を図ることができる。このため、フィルム搬送速度をより高速にしてフィルム包装することができる。
【0020】
請求項7の発明では、1包装分の帯状フィルムにおいてフィルム搬送時における各種検査に必要とされる各種の画像データを記憶させることができる。
請求項8の発明では、前記記憶手段に予め記憶された各エリアの画像データは、撮像して得られた画像データと、画像処理して得た所定画素数における画像データのドット数について比較される。そして、その比較によって不一致と判断されると、所定の処理を施す信号が生成されることによって、データ処理時間を短縮することができる。このため、フィルム搬送速度をより高速にしてフィルム包装することができる。
【0021】
請求項9の発明では、包装品種毎に複数のエリアを記憶したため、包装品種毎に記憶した画像データを呼び出すことで、簡単に設定を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】横形製袋充填機の概略構成を模式的に表した図である。
【図2】概略的制御ブロック図である。
【図3】ラインセンサと帯状フィルムとの関係、並びに、1包装分の帯状フィルムにおける各エリアの関係を示す図である。
【図4】ラインセンサによるフィルム蛇行検知を示す図である。
【図5】FPGAによる処理制御を示す図である。
【図6】FPGAによる処理制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に概略的に示すように、フィルム包装機として例示する横形製袋充填機においては、エンコ−ダなどのパルス発信手段1(図2参照)が付設されたサーボモータなどの駆動手段2によりフィルム繰出し機構3における駆動ローラ3aが駆動して、原反ロール4から引き出された帯状フィルム5が、製袋手段6に引き出し案内され、製袋手段6で筒状に成形された筒状フィルム7に縦シールが施されると共に、筒状フィルム7中に物品8が所定間隔毎に供給され、各物品8間でエンドシーラ9により筒状フィルム7に横シールが施されると共に筒状フィルム7が切断されることで、ピロー包装品が得られる。
【0024】
原反ロール4から製袋手段6に至るまでの帯状フィルム5の搬送経路には、帯状フィルム5に商品の製造日や消費期限などの日付を印刷する日付印字装置や、帯状フィルム5に対してラベルを所定間隔毎に貼付けるラベラなどの処理手段10(図2参照)が設置され、その日付印字装置やラベラなどの処理手段10の下流側でラインセンサ11(図1,2参照)が、図3に示すようにこの搬送経路で張られた帯状フィルム5に対向した状態で帯状フィルム5の搬送方向に対し直交するように交差して設置されている。ラインセンサ11により、原反ロール4から引き出されて移動する帯状フィルム5の幅方向全域が直線エリア単位で撮像される。
【0025】
図2に示すように、入力装置の操作パネルなどの設定手段12と発信手段1とラインセンサ11とは制御処理部13の入力側に接続され、処理手段10は制御処理部13の出力側に接続され、制御処理部13は発信手段1とラインセンサ11と設定手段12とからの入力信号に基づき処理手段10を駆動制御する。
【0026】
本実施形態では、複数の処理手段10による各々の所定の処理を、共通のラインセンサ11からの出力に基づき処理させるために、フィルム包装する前の段階(ティーチングモード)で制御処理部13における記憶手段14に記憶させた基準となる画像データと、包装時におけるフィルム搬送中にラインセンサ11で撮像して得られた画像データとを比較し、各々の所定の処理を施す信号を生成するように構成されている。なお、ここでいう所定の処理とは、ラベラや日付印字装置を動作させたり、ラベラの動作によるラベルが正規位置にあるか否か検査を行ったり、日付印字装置の動作による日付印字が正規位置にあるか否か検査を行ったり、袋のエアー抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工を施す処理である。ラベルや日付印字が正規位置にあるか否かの検査では、ラベルの貼付け位置や日付の印字位置がズレているか否か、或いは、ラベルそのものが貼られているか否か、日付そのものが印字されているか否かについて検査される。開封用切込みとは、袋の開封を容易にするために袋の一部にミシン目やノッチなどの切込みを入れることなどをいう。
【0027】
前記ティーチングモードは、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を回転駆動してフィルムを搬送させ、サーボモータ(駆動手段2)に付設されたエンコーダ(発信手段1)から出力されるパルス間隔毎に、ラインセンサ11で1ラインずつ撮像を繰り返す。フィルムを撮像するにあたって、図3に示すように1包装分のフィルムの始端5aと終端5bとに印刷位置合わせ用のマークとしてのレジマーク17が付されている場合は、レジマーク17を確認しながら撮像すれば、1包装分の長さLのフィルムの始端5aから終端5bまでのフィルムの模様を取り込ませることができる。
【0028】
なお、ラインセンサ11で1包装分のフィルムの始端5aと終端5bを認識させる方法としては、様々な方法が採用可能である。例えば、フィルムの搬送経路の所定位置に付した目印にフィルムの始端5aを合わせた後、フィルムを搬送してもよい。
【0029】
1包装分フィルム送り単位でパルスがリセットされるようにエンコーダから出力されたパルスが処理される。
ここで言う、フィルムに印刷された模様は、レジマーク17の他に、例えば、商品に対応したパッケージデザインやバーコード、その他の模様がある。
【0030】
次に、ラインセンサ11で撮像して得られた画像データにおけるフィルムの模様のいずれかを基準位置として設定され、制御処理部13で記憶手段14に記憶される。なお、この基準位置の設定は、予め記憶手段14に記憶された、1包装分とするフィルム長さ情報と、始端5aから基準位置までの位置情報とに基づき演算されて行われる。
【0031】
基準位置とする模様としては、フィルム搬送方向に一定間隔で印刷されていて、撮像する際にフィルム幅方向でフィルムの一方の端部におけるエッヂから所定の位置にある模様であって、他の印刷された模様と識別が容易な図柄や文字やその他のデザインが好ましい。レジマーク17は、フィルム搬送方向に一定間隔でフィルムの端部に印刷されており、フィルムの端部には他の模様が印刷されないので、特にレジマーク17を基準位置として選択するのが好ましい。
【0032】
次に、ラインセンサ11の撮像によって取り込まれた少なくとも1包装分の帯状フィルム5の画像エリアの中から、検査を施すためのエリア、例えば、日付が印字されているエリアや、ラベルが貼付されているエリアなど、これらのエリアに対応する画像データのみを制御処理部13で記憶手段14に記憶させる。これらのエリアの画像データの生成は、予め記憶手段14に記憶された始端或いは基準位置から各所定の処理を施すエリアまでの位置情報に基づき演算されて生成される。また、記憶手段14には、これらの画像データに対応させて、基準位置からの位置情報がエンコーダ(発信手段1)から発信されるパルスのカウント数に関連づけて記憶手段14に記憶される。なお、前記ティーチングモードによる記憶の他に撮像したフィルム全体の画像データの中から、所定のエリアの画像データを抽出・記憶させる方法は様々あり、一旦、外部のパソコンに接続して処理することも可能である。
【0033】
包装時におけるフィルム搬送中にラインセンサ11で撮像して得られた基準位置の画像データが、予め記憶手段14に記憶された画像データに一致するか否かが判断される。この判断によって一致すると判断されると、エンコーダ(発信手段1)から出力されるパルスのカウント値と基準位置との関係に基づき、予め記憶手段14に記憶された所定の処理を施すエリアに達したか否か判断される。所定の処理を施すエリアに達していれば、ラインセンサ11で撮像した画像データの中から、所定の処理を施すエリアの画像データが生成されて、生成されたエリアの画像データが、予め記憶手段14に記憶されたエリアの画像データに一致するか否かの正否判断が行われる。この画像データの正否判断の結果、一致しないときに、異常であることを報知(表示や警報など)したり、或いは、包装された製品を通常とは異なる排出経路に導くなどの制御処理を実施させるトリガとしての信号が生成されて出力される。
【0034】
一方、フィルム加工を施す場合において、包装時におけるフィルム搬送中に、ラインセンサ11で撮像して得られた基準位置の画像データが、予め記憶手段14に記憶された画像データに一致すると、エンコーダ(発信手段1)から出力されるパルスと予め記憶手段14に記憶されたパルス数との関係に基づき所定の処理のタイミングを決定するトリガとしての信号が生成され、所定の処理が施される。
【0035】
次に、前述した所定の処理について具体的に説明する。
包装に使用するフィルムを識別するためのバーコード照合においては、図3に示すように、通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データでバーコード15を所定のエリアE1により監視する。通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE1のバーコードのパターンと照合し、不一致と判断された場合には、異常を示す信号を生成して出力する。フィルム包装を開始してから、バーコード照合を数回程度行えばよく、このことで制御処理部13の処理負担を軽減することができる。
【0036】
ラベラの動作により貼り付けられたラベルに対する検査においては、図3に示すように、通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データでラベル16を所定のエリアE2により監視する。通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE2のラベルと照合し、ラベルが正規位置にない場合には、異常を示す信号を生成して出力する。
【0037】
フィルムは、送り方向に伸びや縮みがあるため、商品に対応したパッケージデザインなどの印刷された模様のあるフィルムで包装する場合、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を単に一定速度で作動させていては、印刷された模様に対してシール・切断される位置がばらつくことになる。そのため、基準位置がズレないように、レジマーク検知においては、図3に示すように、帯状フィルム5上に一定ピッチに印刷されたレジマーク17を所定のエリアE3で監視する。通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアの画像データと比較し、レジマーク17の異常を示す信号を生成して出力し、フィルム繰出用のサーボモータ(駆動手段2)を補正制御させる。この場合も、ティーチングモードにおけるラインセンサ11による撮像は必須ではない。
【0038】
日付印字装置の動作により付された日付印字に対するの検査においては、図3に示すように、通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データで日付印字18を所定のエリアE4により監視する。通常運転時に搬送される帯状フィルム5の画像データをティーチングモードで記憶した所定のエリアE4の日付印字18と照合し、日付印字18が正規位置にない場合には、異常を示す信号を生成して出力する。
【0039】
なお、図3に示すエリアE1,E2,E3,E4は、バーコード15、ラベル16、レジマーク17及び日付印字18が互いにズレて離れていれば、部分的に重なっていてもよく、この場合にはエリアが互いにズレているといえる。
【0040】
帯状フィルム5は、フィルムの厚みやすべり性などが原因で、搬送過程で搬送方向と直交する方向のいずれかに片寄って蛇行する。フィルム蛇行検知では、この蛇行を検出するために、ラインセンサ11で通過する帯状フィルム5の端部のエッヂを常時撮像する。図4に示すように、撮像された画像データのうち所定のエリアEXの画像データを抽出し、フィルムのエッヂがフィルム幅方向に所定値S以上ズレているか否かを判断する。フィルムが蛇行していると判断すると、異常を示す信号を生成して出力する。なお、フィルムのエッヂの位置は撮像された画像データの濃淡等を分析することで判別可能である。
【0041】
前述したフィルム蛇行検知においては、予め記憶したエリアの画像データとの正否の判断の際、画像処理して得た所定画素数における画像データでエリア内に含むドット数のみを比較判断し、異常を示す信号を生成して出力するようにしてもよい。この場合にはデータ処理時間を少なくすることができる。また、他の所定の処理においても、画像の輪郭などのパターン認識による比較処理とドット数の比較処理とのうち必要に応じていずれか一方或いは両方を採用してもよい。例えば、ラベル16や日付印字18などの文字の形状については、少なくともパターン認識による比較処理を行う方が好ましい。
【0042】
前記制御処理部13には画像データ処理を行うためのFPGA(File Programmable Gate Array)などの専用の処理手段を備えており、本例においては以下のようなデータ処理が実施される。
【0043】
まず、フィルム包装時におけるフィルム搬送中にラインセンサ11で帯状フィルム5を撮像して、基準位置とするフィルムに印刷される模様(本例ではレジマーク17)が以下のようにして判別される。
【0044】
図5に示すように、ラインセンサ11はスキャン方向に順次1画素ずつスキャンしながらFPGAに出力する。このラインセンサ11によるスキャンは、フィルム搬送方向と直交するフィルム幅方向に1ラインあたり数千画素分にわたり、一定間隔(コンマ数msecから数msec)でライン毎に繰り返される。
【0045】
そして、FPGAでは、スキャンされた1画素毎の画素データが、スキャンされた順番で、LUT(不図示)にてデータ処理されながら、順次、入力バッファ50に送られる。
入力バッファ50では、スキャンされた1画素毎の画素データをシフトさせつつ、順次、各記憶エリア(al〜an)に一時的に格納する作業が行われる。
【0046】
この格納と並行して、所定の複数の記憶エリア(a8,a9,a10,a11)に一時的に格納された画素データが、順次、演算器60に出力される。
演算器60では、各記憶エリア(a8,a9,a10,a11)から受け取る個々の画素データに対して演算処理を行って、演算結果がレジスタ70に出力される。出力された演算結果はレジスタに一時的に格納される。
【0047】
そして、ティーチングモードなどによって予め記憶させておいた基準データと比較され、基準データと一致すると判断されるとレジマーク17であると判断され、基準位置の情報が自動的に記憶され、またフィルムの搬送量をパルスとして出力するパルス発信手段(本例ではエンコーダ1)のパルス数とが関連付けられる。
【0048】
このように、ラインセンサ11がスキャン方向に順次1画素ずつスキャンする際に、演算器60が、所定の複数の記憶エリア(a8,a9,a10,a11)に順次、格納される画素データについて演算することにより、データ処理の高速化が図れてフィルム包装速度をより高速にしてフィルム包装することが可能になる共に、演算処理領域やバッファ領域などの容量の小さな処理手段を採用できて安価なFPGAを採用することができる。
【0049】
次に、このように基準位置としてのレジマーク17が判別できると、検査処理を施すエリア(E1,E2,E4)については、基準位置からの位置がフィルム搬送方向及びフィルム幅方向においても予め記憶されているので、エリア(E1,E2,E4)毎に、図6の制御処理によって判別することができる。
【0050】
図6において、図5と同様に、ラインセンサ11によってスキャンされた1画素ごとの画素データが、スキャンされた順番で、LUT(不図示)にてデータ処理されながら、フィルムの搬送量と関連させて1ラインごとのデータが等間隔で入力バッファ50に送られる。
【0051】
ただし、基準位置から各エリア(E1,E2,E4)までの位置が予め記憶されていることから、FPGA内にゲートSW(不図示)を設けて、予め記憶させた各エリア(E1,E2,E4)とその周辺の画素データのみを入力バッファ50に送る。
【0052】
入力バッファ50では、スキャンされた1画素毎の画素データをシフトさせつつ、順次、各記憶エリア(al〜an)に一時的に格納する作業が行われる。
この格納と並行して、所定の複数の記億エリア(a8,a9,a10,a11)に一時的に格納された画素データが、順次、3つの演算器61,62,63に出力される。
【0053】
演算器61,62,63では、各記憶エリア(a8,a9,a10,a11)から受け取る個々の画素データに対して所定の演算処理がなされ、更に、ティーチングモードなどによって予め記憶させておいた基準データと比較が行われ、各々比較データがレジスタ71,72,73に出力される。
【0054】
本例では、演算器61から出力される比較データは、レジスタ73が順次一時的に格納し、演算器62から出力される比較データは、レジスタ72が順次一時的に格納し、演算器63から出力される比較データは、レジスタ71が順次一時的に格納する点で、図5の制御処理とは相違する。
【0055】
また、各演算器(61,62,63)各々異なる演算を行うようにしているが、模様の種類によっては同一の演算が実施される。
この理由として、ラインセンサ11がスキャンした特定の1ラインを処理するタイミング(t=0)における入力バッファ50に一時的に記億させた画素データを演算器63が演算に用い、1ラインを処理するタイミング(t=1)における画素データを演算器62が演算に用い、更に1ラインを処理するタイミング(t=2)における画素データを演算器63が演算に用いて、フィルムに印刷された模様を2次元的に分析するためである。フィルムの搬送方向に対するラインセンサ11のスキャン位置によって検査処理を施すエリアが広い場合では画像のパターン形状が異なる。従って、演算器(61,62,63)毎、各記憶エリア(a8,a9,a10,a11)から受け取る個々の画素データに対する所定の係数が異なる。
【0056】
そして、レジスタ71a、レジスタ72b、レジスタ73cに順次、一時的に格納された比較データが演算器64に出力され、演算器64にて、特定の検査処理を施すエリアにおける検査に関する演算結果がレジスタ74に記憶される。
【0057】
このように、複数のライン単位で比較すれば、検査処理を施すエリア内を2次元的に比較し判断することができ、比較判定精度を高めることができる。
また、図5の制御処理と同様に、ラインセンサ11がスキャン方向に順次1画素ずつスキャンする際に、演算器(61,62,63)が、記憶エリア(a8,a9,a10,a11)に順次、格納される画素データについて演算することにより、データ処理の高速化が図れてフィルム包装速度をより高速にしてフィルム包装することが可能になるとともに、演算処理領域やバッファ領域などの容量の小さな処理手段を採用できて安価なFPGAを採用することができる。
【0058】
なお、基準位置として定めるレジマーク17を図5の制御処理で一旦判別した以降、レジマーク17をフィルムの伸びや縮みによる基準位置ズレを検査するために、レジマーク17を検出する制御手法としては、図6と同様に、予め記憶させた各エリアE3とその周辺の画素データのみを、入力バッファ50に送って処理すれば、演算処理領域やバッファ領域などの容量の小さな処理手段を採用できて安価なFPGAを採用することができる。
【0059】
また、レジマーク17の検査においても、図6と同様に2次元的に比較し判断してもよい。
更には、本例では、図5及び図6の制御処理においては、演算器60,61,62,63に4つの記憶エリア(a8,a9,a10,a11)から画素データが出力されるように示したが、画素データを出力する記憶エリアの数は複数であればよく、それらの複数の記憶エリアが順次1画素ずつ連続していなくても処理可能である。
【0060】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 1包装分の帯状フィルム5を共通のラインセンサ11が撮像した画像データ情報から得た基準位置(レジマーク17)と発信手段1との信号に基づき、検査やフィルム加工などの処理手段10の処理信号を各々生成することができる。従って、各所定の処理毎にセンサ等を設ける必要がなくセンサ等の部品点数を削減することができるとともに、包装品種の変更に際して設定の変更を簡単にすることができる。さらに、高速で帯状フィルム5を搬送して包装するフィルム包装機でも、画像データを用いて複数の処理を実現させることできる。
【0061】
* 前記ラインセンサ11で撮像されたライン画像は、フィルム搬送方向に向けて等間隔であるため、フィルムを搬送する速度の変化に影響されることなく、各エリアE1,E2,E3,E4について所定の処理を施す信号を各々生成することができる。
【0062】
* フィルム搬送中にラインセンサ11によって撮像して得た基準位置(レジマーク17)と発信手段1の信号との関係に基づき各エリアE1,E2,E3,E4毎の画像データが生成されて、生成された各エリアE1,E2,E3,E4毎の画像データが予め記憶手段14に記憶された各エリアの画像データに一致するか否かの正否判断を行うので、ラベル16の画像データや日付印字18の画像データやレジマーク17の画像データやバーコード15の画像データなど、1包装分の帯状フィルムにおいて各エリアE1,E2,E3,E4のみの画像データを比較するだけでよく、所定の処理についてのデータ処理量が少なくて済み、データ処理時間の短縮を図ることができる。このことから、フィルム搬送速度をより高速にすることができる。
【0063】
* ラインセンサ11で撮像して得られた画像データと記憶手段14に記憶された画像データとの比較判断において、画像処理して得た所定画素数における画像データのドット数を比較することでその比較判断を簡単に行うことができる。
【0064】
* 1包装分の帯状フィルム5における各エリアE1,E2,E3,E4を包装品種毎に記憶して包装品種の変更に際して各所定の処理を施す信号の生成を簡単に行うことができる。
【0065】
* ティーチングモードにおいて、通常運転時と同様に包装機にフィルムを装着して帯状フィルム5を撮像することにより、ラインセンサ11から帯状フィルム5までの距離が同じになる。このため、画像の大きさ比率が同じになるので、画像データの比較判断を簡単に行うことができる。
【0066】
* フィルム蛇行検知において所定のエリアEXに関する処理を基準位置と発信手段1との信号に基づき、各エリアE1,E2,E3,E4について所定の処理を施す信号を各々生成することに加えて、共通のラインセンサ11で行うことができる。
【0067】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 発信手段1としては、フィルムの搬送量をパルスとして出力するエンコーダを用いたが、フィルム送り位置に関する信号を発信するものであれば、フィルムの搬送動作を直接的または間接的に検出可能なその他の発信手段であってもよく、限定されるものではない。
【0068】
・ 横形製袋充填機に限られることなく、フィルムで物品を包装する他の包装機でも利用可能である。
・ 本実施形態では、制御処理部13が画像データの処理を行うと共にフィルム搬送など包装機の作動制御を行うこととしたが、画像データ処理を行う専用の制御処理部を別に設けて、データ処理の迅速化を図るようにしてもよい。
【0069】
・ 本実施形態では、帯状フィルム5の蛇行を検出するために、フィルムの端部の裏面にプレートを敷き、そのプレートに目印を付けて帯状フィルム5の蛇行を検出するようにしてもよい。
【0070】
・ 本実施形態では、1包装分のフィルムの模様を画像データとして取り込ませる際に、フィルム幅全域を撮像してもよいが、例えば、フィルムに印刷された模様など撮像を要する位置がフィルム幅の半分側のみであれば、その部分を撮像するようにしてもよい。その場合、ラインセンサ11の長さを半分にすることができる。
【0071】
・ ラインセンサ11が撮像する基準位置は、フィルムに印刷された模様の他に、フィルムに加工された孔などであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…発信手段、5…帯状フィルム、5a…フィルム継目、10…処理手段、11…ラインセンサ、12…設定手段、14…記憶手段、15…バーコード、16…ラベル、17…レジマーク(基準位置)、18…日付印字、E1,E2,E3,E4…エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1包装分の帯状フィルムの中から、所定の処理を施すエリアと、そのエリアからズレた位置であって所定の処理とは別の所定の処理を施すエリアと、フィルム上の基準とする基準位置とを設定する設定手段と、
設定手段で設定した各エリアと、それらのエリアと基準位置との位置関係とを記憶する記憶手段と、
フィルムの搬送経路で張られた状態の帯状フィルムに対向して配置されたラインセンサと、
フィルム送り位置に関する信号を発信する発信手段と
を備え、包装時におけるフィルム搬送中に、ラインセンサが撮像した画像データ情報から得た基準位置と発信手段との信号に基づき、各エリアについての所定の処理を施す信号を各々生成する
ことを特徴とするフィルム包装機の制御装置。
【請求項2】
前記ラインセンサで撮像されたライン画像は、フィルム搬送方向に向けて等間隔であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項3】
前記所定の処理を施す信号は、ラベラを動作させるための信号と、ラベラの動作によるラベルが正規位置にあるか否か検査を行うための信号と、日付印字装置を動作させるための信号と、日付印字装置の動作による日付印字が正規位置にあるか否か検査を行うための信号と、袋のエアー抜き用孔の形成または開封用切込みの形成などのフィルム加工を施すための信号とのうち、少なくともいずれかの信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項4】
前記記憶手段には予め基準位置の画像データが記憶されるようになっていて、その基準位置の画像データと、包装時におけるフィルム搬送中にラインセンサによって撮像された基準位置の画像データとの一致によって、各所定の処理を施す信号が各々生成されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項5】
前記基準位置は、レジマーク、或いは、パッケージデザインなど、フィルム搬送方向に一定間隔でのフィルムに印刷された模様の特定の箇所であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段には予め基準位置の画像データと各エリアの画像データとが記憶されるようになっていて、前記ラインセンサによって撮像された各エリアの画像データと、前記記憶手段に予め記憶された各エリアの画像データとが不一致と判断されることによって、各所定の処理を施す信号が各々生成されることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項7】
前記記憶手段に予め記憶された各エリアの画像データには、ラベルの画像データと、日付印字の画像データと、レジマークの画像データと、バーコードの画像データとのうち、少なくともいずれかの画像データが含まれることを特徴とする請求項6に記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項8】
画像処理して得た所定画素数における画像データのドット数を比較することによって、前記撮像して得られた画像データと、前記記憶手段に記憶された画像データとが不一致と判断されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のフィルム包装機の制御装置。
【請求項9】
前記設定手段で設定した各エリアは、包装品種毎に記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載のフィルム包装機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−228788(P2010−228788A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79188(P2009−79188)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】