説明

フィルム検査装置およびフィルムの製造方法

【課題】フィルムの表面の凹凸を高精度に検査できるようにする。
【解決手段】フィルム検査装置は、フィルムFを非接触の状態でガイドするガイド部材3と、フィルムFの表面Faに検査光を照射する照明手段と、フィルムFaの表面Faを撮像する撮像手段とを備えている。ガイド部材3は、フィルムFの裏面Fbに対向するガイド面31、複数の空気室32、およびこれらの空気室32からガイド面31に至る連通路を有している。さらに、フィルム検査装置は、複数の空気室32内の圧力を個別に制御する圧力制御手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を光学的に検査するフィルム検査装置およびフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムの欠陥を検出するために、フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を検査することが行われている。このようなフィルムの表面の凹凸の検査には、特許文献1に記載されているような光学的な方法を使用することが可能である。具体的には、照明手段でフィルムの表面に検査光を照射して、その検査光が照射された部分を撮像手段で撮像する。そして、撮像した画像を画像処理装置に取り込んで画像処理を行い、欠陥レベルの凹凸があるか否かを判定する。
【0003】
ところで、前記の検査を高精度に行うためには、検査位置におけるフィルムの厚み方向の変位や変形を欠陥レベルの凹凸の深さまたは高さよりも小さく抑えてフィルムの表面を一定レベルで平滑に保つ必要がある。そのためには、例えば図10に示すように、適度な張力を与えたフィルムFにガイドローラ10を押し付けて、ガイドローラ10上で検査を行うようにすることが考えられる。
【0004】
しかしながら、図10に示すような構成では、フィルムFが柔軟である場合、フィルムFの裏面Fbまたはガイドローラ10の表面に異物11が付着すると、異物11の噛み込みによってフィルムFが部分的に盛り上がり、異物による盛り上がりと元々表面Faにある凸との識別が難しくなるため、高精度な検査ができないという問題がある。
【0005】
そこで、特許文献2に開示されている検査装置のように、フィルムを空気で浮上させてその位置で検査することが考えられる。
【特許文献1】特開2006−226900号公報
【特許文献2】特開2005−320095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記検査装置は、CSP(チップサイズパッケージ)テープを搬送しながら検査するものである。このCSPテープは、ポリイミド基材などの表面に金属材料で配線パターンが形成されたものであり、柔軟性が比較的に低いため、厚みが比較的に薄くてもスムーズに搬送することが可能である。
【0007】
これに対し、搬送されるフィルムが例えば金属層を有しない樹脂製の粘着テープなどの柔軟なものである場合には、単にフィルムを浮上させただけではその柔軟さ故に欠陥レベルの凹凸の深さまたは高さ以上にフィルムがばたついたり湾曲したりするおそれがある。そのため、特許文献2の構成では柔軟なフィルムに対して高精度な凹凸の検査を行うことは難しい。
【0008】
なお、特許文献2に記載の技術は、テープのジャミングなどの搬送不良を解決することを目的としており、本願発明とは課題が異なっている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、フィルムの表面の凹凸を高精度に検査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を光学的に検査する検査装置であって、前記フィルムの裏面に対向するガイド面を有し、このガイド面から空気を噴射することにより前記フィルムを非接触の状態でガイドするガイド部材と、このガイド部材と反対側から前記フィルムの表面に検査光を照射する照明手段と、前記フィルムの表面における前記検査光が照射される部分を撮像する撮像手段とを備え、前記ガイド部材は、内部に複数の空気室を有しているとともに、これらの空気室から前記ガイド面に至る連通路を有していて、前記各空気室に圧縮空気が送り込まれることにより前記連通路を通じて前記ガイド面から空気を噴射可能となっている一方、前記複数の空気室内の圧力を個別に制御する圧力制御手段をさらに備えるフィルム検査装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を光学的に検査する工程を含むフィルムの製造方法であって、前記工程は、前記フィルムの裏面に対向するガイド面、複数の空気室、およびこれらの空気室から前記ガイド面に至る連通路を有するガイド部材を用いて、前記複数の空気室内の圧力を個別に制御しつつ各空気室に圧縮空気を送り込むことにより前記連通路を通じて前記ガイド面から空気を噴射して前記フィルムを非接触状態でガイドしながら、前記フィルムの表面に検査光を照射し、その反射光を解析することによって欠陥レベルの凹凸の有無の判定を行うものである、フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフィルム検査装置によれば、ガイド部材の内部に複数の空気室が設けられており、これらの空気室からガイド面まで連通路が延びているので、ガイド面からは各空気室に対応する領域ごとにその空気室内の空気が連通路を通じて噴射されるようになる。しかも、各空気室内の圧力が圧力制御手段によって個別に制御されるようになっているので、各空気室に対応する領域ごとにガイド面から噴射される空気の勢いを調整することができる。そして、フィルムはガイド面から噴射される空気によってガイド部材と非接触の状態でガイドされるようになっているので、各空気室内の圧力を適正な値に設定すればフィルムのばたつきや湾曲を抑えてフィルムの表面を一定レベルで平滑に保つことができるようになる。これにより、フィルムの表面の凹凸を高精度に検査することが可能になる。
【0013】
また、本発明に係るフィルムの製造方法によれば、複数の空気室およびこれらの空気室からガイド面に至る連通路を有するガイド部材を用いることにより、ガイド面からは各空気室に対応する領域ごとにその空気室内の空気が連通路を通じて噴射されるようになる。そして、各空気室内の圧力を個別に制御することで、各空気室に対応する領域ごとにガイド面から噴射される空気の勢いを調整して、当該空気によって非接触状態とされるフィルムのばたつきや湾曲を抑えてフィルムの表面を一定レベルで平滑に保つことができる。これにより、フィルムの表面の凹凸を高精度に検査できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るフィルム検査装置1は、長尺状のフィルムFをその長手方向に搬送しながらフィルムFの表面Fa(図2参照)の凹凸を光学的に検査するものであり、装置本体2と画像処理装置6を備えている。
【0016】
フィルムFは、柔軟なものであり、例えば厚みが70〜200μmのポリイミドベルトである。
【0017】
装置本体2の内部には、フィルムFに所定の張力をかけながら当該フィルムFを搬送路に沿って搬送する搬送手段20が配設されている。この搬送手段20は、フィルムFを繰り出す繰り出し部21と、フィルムFを巻き取る巻き取り部26とを有している。また、繰り出し部21と巻き取り部26の間には、搬送方向の上流側から順に第1ローラ22、第2ローラ23、ガイド部材3、第3ローラ24、第4ローラ25が配設されている。第1ローラ22および第4ローラ25は、フィルムFを上方に持ち上げる位置に配置され、第2ローラ23および第3ローラ24は、第1ローラ22と第4ローラ24の間のフィルムFを下方に押し下げる。
【0018】
第2ローラ23と第3ローラ24の間のフィルムFは、ガイド部材3によって鉛直上向きに起立するように持ち上げられる。このガイド部材3は、図2に示すように、フィルムFの幅方向に延びる半円柱状をなし、上方を向く曲面がフィルムFの裏面Fbに対向するガイド面31となっている。そして、ガイド部材3は、ガイド面31から空気を噴射することによりフィルムFを浮き上がらせて当該フィルムFを非接触の状態でガイド面31に沿ってガイドする。ここで、検査に適した浮上量としては、フィルムFに付着する異物の大きさを考慮し、0.05〜0.5mmの範囲内にあることが最もよい。浮上量が小さくなりすぎると接触による傷の危険性が増し、浮上量が大きくなりすぎるとフィルムFのばたつきや空気消費量が増大する。なお、ガイド部材3の構成については後述にて詳細に説明する。
【0019】
さらに、ガイド部材3の巻き取り部26側の斜め上方には、照明手段4が配設され、ガイド部材3の繰り出し部21側の斜め上方には、撮像手段5が配設されている一方、第4ローラ25の巻き取り部26側の斜め上方には、マーキング装置7が配設されている。
【0020】
照明手段4は、フィルムFを挟んでガイド部材3と反対側からフィルムFの表面Faにおける頂上部分にフィルムFの幅方向に延びるライン状の検査光を照射するものである。
【0021】
撮像手段5は、フィルムFの表面Faにおける検査光が照射される部分(頂上部分)を撮像するものであり、本実施形態ではCCDラインセンサカメラからなる。この撮像手段5は、フィルムFの表面Faで反射して当該撮像手段5に入射する検査光の光束がフィルムFの表面Faで正反射した場合の10%〜60%(例えば50%程度)になる位置に配置されている。このような位置に撮像手段5を配置するには、まず、撮像手段5をフィルムFの表面Faで正反射した検査光が入射可能な正反射位置、換言すれば撮像手段5の光軸と鉛直線とのなす角βが検査光のフィルムFへの入射角αと等しくなる位置に配置し、その後に、図4に示すように、フィルムFの頂上部分を中心にして撮像手段5を角βが小さくなる方向または大きくなる方向に回動させる。そして、図5に示すように、後述する画像処理を行った際の階調が正反射位置の10%〜60%になった位置で撮像手段5を停止して固定すればよい。このような配置にすれば、凹凸が強調された画像を得ることができるようになる。
【0022】
画像処理装置6は、本実施形態ではパーソナルコンピュータからなる。この画像処理装置6は、撮像手段5と接続されていて、撮像手段5が撮像した画像を取り込んで画像処理を行い、フィルムFの表面Faに欠陥レベルの凹凸があるか否かを判定する。すなわち、画像処理装置6では、フィルムFの表面Faからの反射光が解析されることによって、欠陥レベルの凹凸の有無の判定が行われる。
【0023】
マーキング装置7は、図示は省略するが画像処理装置6と接続されていて、画像処理装置6がフィルムFの表面Faに欠陥レベルの凹凸があると判定した場合には、その凹凸がある位置にマジックなどでマーキングを施すものである。
【0024】
次に、図2および図3を参照して、ガイド部材3の構成について詳細に説明する。
【0025】
ガイド部材3は、多孔質材で構成されている。この多孔質材としては、例えば、セラミック焼結体が挙げられる。
【0026】
また、ガイド部材3の内部には、複数(図例では3つ)の空気室32が設けられている。これらの空気室32は、ガイド面31に沿ってフィルムFの搬送方向に並んでいる。各空気室32は、ガイド部材3の長手方向に延びており、その長さはフィルムFの幅よりも若干長く設定されている。また、ガイド部材31の一方(図2において手前側)の側面には、各空気室32を側方に開放する3つの開口32aが設けられていて、これらの開口32aに配管80がそれぞれ接続されている。なお、図2では、配管80を模式的に描いている。また、空気室32の数量は、フィルムFの搬送速度や目標とする精度に応じて決定すればよい。
【0027】
3つの配管80は、途中で合流してコンプレッサー83につながっており、各空気室32には、対応する配管80を介して圧縮空気が送り込まれるようになっている。そして、上記のようにガイド部材3が多孔質材で構成されていて無数の微孔を有しているので、各空気室32に圧縮空気が送り込まれると、その空気が各空気室32から溢れ出して、微孔を通じて図3中に矢印で示すようにガイド面31から噴射されるようになる。すなわち、微孔によって3つの空気室32からガイド面31に至る連通路が構成されている。
【0028】
なお、ガイド部材3のフラットな下面を樹脂や金属などからなる支持板に貼り付けて、当該支持板でガイド部材3を支持するようにしてもよい。このようにすれば、下面から噴射される空気をなくして、ガイド面31から効率的に空気を噴射することができる。
【0029】
また、各配管80には、途中に空気室32内の圧力を把握するための圧力計81が設けられているとともに、この圧力計81よりも上流側に圧力制御弁82が設けられている。このため、各圧力制御弁82を操作すれば、それに対応する空気室32内の圧力を変更することができる。すなわち、3つの圧力制御弁82が、3つの空気室32内の圧力を個別に制御する圧力制御手段を構成している。なお、圧力制御弁82としては、電磁式のものであっても手動式のものであってもよい。
【0030】
さらに、ガイド部材3には、2つの遮蔽板33がフィルムFの搬送方向で互いに対向するように設けられている。各遮蔽板33は、金属板や樹脂板などの通気性のない部材で構成されており、ガイド面31から内方に延びて隣り合う空気室32の間に介在するように設けられている。なお、図例では、遮蔽板33がガイド面31からガイド部材3の下面まで延びてガイド部材3を3分割しているが、遮蔽板33は、長さがガイド面31からガイド部材31の下面近傍まで延びる程度に設定されていてガイド部材3に埋め込まれるように設けられていてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るフィルム検査装置1では、ガイド部材3の内部にガイド面31に沿って並ぶ複数の空気室32が設けられており、これらの空気室32からガイド面31まで連通路が延びているので、ガイド面31からは各空気室32に対応する領域ごとにその空気室32内の空気が連通路を通じて噴射されるようになる。しかも、各空気室32内の圧力が圧力制御弁82によって個別に制御されるようになっているので、各空気室32に対応する領域ごとにガイド面31から噴射される空気の勢いを調整することができる。そして、フィルムFはガイド面31から噴射される空気によってガイド部材3と非接触の状態でガイドされるようになっているので、各空気室32内の圧力を適正な値に設定すればフィルムFのばたつきを抑えてフィルムFの表面Faを一定レベルで平滑に保つことができるようになる。
【0032】
すなわち、フィルム検査装置1を使用してフィルムFの表面Faの凹凸を検査するには、フィルムFの状態を確認しながら圧力制御弁82によって3つの空気室32内の圧力を個別に制御しつつ、各空気室32に圧縮空気を送り込むようにすればよい。このようにすれば、各空気室32に対応する領域ごとにガイド面31から噴射される空気の勢いを調整して、当該空気によって非接触状態とされるフィルムFのばたつきを抑えてフィルムFの表面Faを一定レベルで平滑に保つことができる。これにより、フィルムFの表面Faの凹凸を高精度に検査できるようになる。なお、この検査工程は、フィルムFを製造する最終段階で行えばよい。
【0033】
さらに、本実施形態の構成であれば、フィルムFの柔らかさや搬送速度などが変わっても、各空気室32内の圧力を変更するだけで装置の構成を変えることなく対応することができる。
【0034】
また、3つの空気室32は、フィルムFの搬送方向に並んでいるので、フィルムFを高速搬送する場合や浮上量が小さく設定されている場合に適した構成となっている。
【0035】
ここで、ガイド部材3が多孔質材で構成されている場合には、遮蔽板33が設けられていなければ隣り合う空気室32から送り出された空気同士が干渉することがあるが、遮蔽板33が設けられていればそのようなことが抑制されるため、フィルムFの表面Faをより高精度に一定レベルで平滑に保つことができるようになる。
【0036】
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るフィルム検査装置を説明する。なお、第2実施形態以降の実施形態では、第1実施形態と同一の構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
第2実施形態に係るフィルム検査装置は、エンドレスのフィルムFを周回させるように搬送しながらその表面Faの凹凸を光学的に検査するものであり、ガイド部材3の下方に第5ローラ27を有している。この第5ローラ27は、駆動ローラと張力付与ローラの2つの機能を兼ね備えており、上下動可能に構成されている。
【0038】
このような構成のフィルム検査装置を使用してフィルムFの表面Faの凹凸を検査するには、まず、第5ローラを上方に移動して、フィルムFをガイド部材3と第5ローラ27に掛け渡す。次いで、第5ローラ27を下方に移動してフィルムFに張力をかけ、その状態で第5ローラ27を回転させてフィルムFを搬送し、フィルムFの表面Faの凹凸の検査を行う。フィルムFが一周して検査が終了すると、第5ローラ27を再び上方に移動して、フィルムFを抜き取る。
【0039】
このような構成のフィルム検査装置においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
次に、図7および図8を参照して、本発明の第3実施形態に係るフィルム検査装置を説明する。
【0041】
第3実施形態に係るフィルム検査装置では、3つの空気室32がガイド面31に沿ってフィルムFの幅方向に並んでいる。そして、ガイド部材3の下面に、配管80につながる3つの開口32aが設けられている。なお、空気室32の数量は、フィルムFの幅や目標とする精度に応じて決定すればよい。
【0042】
さらに、2つの遮蔽板33は、フィルムFの幅方向で互いに対向するように設けられている。
【0043】
幅広(例えば幅1000mm以上)のフィルムFでは、フィルムFの幅方向の湾曲の影響が大きく現れるため、このようにすれば、幅広のフィルムFを搬送する場合に適した構成とすることができる。
【0044】
例えば、空気室が1つだけであって、その空気室にはガイド部材の下面の中央からのみ圧縮空気が送り込まれるようになっている場合には、図8に二点鎖線で示すように、空気室内の圧力が高い部分に対応する中央が上方に膨らむようにフィルムFが湾曲するが、本実施形態のように、3つの空気室32がフィルムFの幅方向に並んでいれば、両端の空気室32の圧力をその間の空気室32の圧力より大きくすることでフィルムFの湾曲を抑えてフィルムFの表面を一定レベルで平滑に保つことができるようになる。これにより、フィルムFの表面Faの凹凸を高精度に検査することが可能になる。
【0045】
なお、第3実施形態の構成を第1実施形態および第2実施形態に適用することも可能である。
【0046】
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態に係るフィルム検査装置を説明する。
【0047】
第4実施形態に係るフィルム検査装置では、撮像手段5が前述した正反射位置に配設されていて、入射角αと角βが等しくなっている。また、照明手段4の近傍には、当該照明手段4の光軸上に整形部材9が配設されている。そして、整形部材9には、照明手段4から放射される検査光を整形する幅1mm程度のスリット9aが設けられている。
【0048】
このようにすれば、凹凸が強調された画像を得ることができるようになる。
【0049】
なお、前記各実施形態では、ガイド部材3が多孔質材で構成されている形態を示したが、ガイド部材3は、多孔質材で構成されている必要はなく、例えば機械加工等により空気室32からガイド面31に至る連通路が形成された金属製や樹脂製のものであってもよい。ただし、前記実施形態のようにガイド部材3が多孔質材で構成されていれば、ガイド部材3に機械加工等を施さなくても連通路を有したガイド部材3を得ることができ、製造コストを抑えることができる。
【0050】
また、空気室32は、ガイド面31に沿ってフィルムFの搬送方向および幅方向に並んでいて、マトリクス状に配置されていてもよい。
【0051】
さらに、ガイド部材3のガイド面31は、曲率半径が一定である必要はなく、頂上部分と裾部分とで異なる曲率半径を有していてもよい。また、ガイド部材3の断面形状は、半円状である必要はなく、例えば円弧状や扇状などになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフィルム検査装置を示す概略構成図である。
【図2】前記検査装置のガイド部材等を示す斜視図である。
【図3】前記ガイド部材の断面図である。
【図4】前記検査装置の撮像手段の配置を説明する説明図である。
【図5】前記撮像手段の配置を決定する際の階調を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るフィルム検査装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るフィルム検査装置のガイド部材を示す斜視図である。
【図8】図7のガイド部材の断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るフィルム検査装置の部分的な概略構成図である。
【図10】ガイドローラ上で検査を行う構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 フィルム検査装置
3 ガイド部材
31 ガイド面
32 空気室
33 遮蔽板
4 照明手段
5 撮像手段
80 配管
82 圧力制御弁(圧力制御手段)
9 整形部材
9a スリット
F フィルム
Fa 表面
Fb 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を光学的に検査する検査装置であって、
前記フィルムの裏面に対向するガイド面を有し、このガイド面から空気を噴射することにより前記フィルムを非接触の状態でガイドするガイド部材と、このガイド部材と反対側から前記フィルムの表面に検査光を照射する照明手段と、前記フィルムの表面における前記検査光が照射される部分を撮像する撮像手段とを備え、
前記ガイド部材は、内部に複数の空気室を有しているとともに、これらの空気室から前記ガイド面に至る連通路を有していて、前記各空気室に圧縮空気が送り込まれることにより前記連通路を通じて前記ガイド面から空気を噴射可能となっている一方、前記複数の空気室内の圧力を個別に制御する圧力制御手段をさらに備えるフィルム検査装置。
【請求項2】
前記ガイド部材には、前記複数の空気室のそれぞれに圧縮空気を送り込むための複数の配管が接続されており、前記各配管には、圧力制御弁が設けられていて、これらの圧力制御弁で前記圧力制御手段が構成されている請求項1に記載のフィルム検査装置。
【請求項3】
前記複数の空気室は、前記ガイド面に沿って前記フィルムの搬送方向に並んでいる請求項1または2に記載のフィルム検査装置。
【請求項4】
前記複数の空気室は、前記ガイド面に沿って前記フィルムの幅方向に並んでいる請求項1または2に記載のフィルム検査装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、多孔質材で構成されていて、この多孔質材の有する微孔で前記連通路が構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム検査装置。
【請求項6】
前記ガイド部材には、通気性のない遮蔽板が、前記ガイド面から内方に延びて隣り合う前記空気室の間に介在するように設けられている請求項5に記載のフィルム検査装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記フィルムの表面で反射して当該撮像手段に入射する前記検査光の光束が前記フィルムの表面で正反射した場合の10%〜60%になる位置に配設されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム検査装置。
【請求項8】
前記照明手段から放射される検査光を整形するスリットを有する整形部材をさらに備え、前記撮像手段は、前記フィルムの表面で正反射した検査光が入射可能な位置に配設されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム検査装置。
【請求項9】
フィルムを搬送しながらその表面の凹凸を光学的に検査する工程を含むフィルムの製造方法であって、
前記工程は、前記フィルムの裏面に対向するガイド面、複数の空気室、およびこれらの空気室から前記ガイド面に至る連通路を有するガイド部材を用いて、前記複数の空気室内の圧力を個別に制御しつつ各空気室に圧縮空気を送り込むことにより前記連通路を通じて前記ガイド面から空気を噴射して前記フィルムを非接触状態でガイドしながら、前記フィルムの表面に検査光を照射し、その反射光を解析することによって欠陥レベルの凹凸の有無の判定を行う工程である、フィルムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−2869(P2009−2869A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165612(P2007−165612)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】