説明

フィルム状エコーゲル及び超音波センサユニット

【課題】超音波透過率が高く、強度・柔軟性に富み、剥離後のべた付き感かなく、人体に安全であり、しかも使い捨てを可能にしたフルム状エコーゲル、及びこのフィルム状エコーゲルを有した超音波センサユニットを提供するものである。
【解決手段】本発明のフィルム状エコーゲルは、超音波センサと人体との音響結合に用いられるエコーゲルであって、フィルム状に成型され水を含有した天然由来の高分子系ゲルから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサと人体との音響結合に用いられるフィルム状エコーゲルに関する。
本発明は、上記フィルム状エコーゲルを有した超音波センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサと人体と音響結合材のエコーゲルとしては、ゼリー状ゲル、あるいは液体を含む膨潤ゾルが用いられて来た。また、グリセリンフィルム状パッド、ポリウレタンを用いた高分子系フィルム状ゲル(特許文献1参照)なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢者医療において、尿障害や尿失禁の患者に対する排尿管理が重要となって来ている。排尿管理の1つとして、超音波を利用して膀胱内の蓄尿量を定期的に自動計測し、ある限界蓄尿量に達したならば、排尿を促すことで失禁を未然に防ぐこと、あるいは患者からの排尿日誌などデータを管理センターに送り、患者の治療に役立てるシステムも提案されている。このような場合、超音波センサと人体との音響結合材であるエコーゲルを長時間にわたり人体に接触させておく必要がある。
【0005】
ところで、従来のゼリー状エコーゲルあるいは液体を含む膨潤ゾルの場合は、べた付きがあり、人体に付着した際に不快感が伴うのみならず、衣類を汚染するため、日常生活を送りながらの使用は困難であった。使用後は、拭き取る必要もある。つまり、付着時のべたつきや、拭き取り残しによる不快感及び衣類の汚染があるため、長時間の使用は、患者の精神的負担が非常に大きい。また、揮発性が高く、長時間の使用に耐えないものであった。
【0006】
グリセリンフィルム状パッドの場合も、長時間使用していると、体積が減って機能が低下する。
【0007】
さらに、事業化を考えたときに、衛生面の観点からは使い捨てであることが望ましい反面、価格を抑える必要もある。
【0008】
一方、ポリウレタンを用いた合成高分子系エコーゲルは、フィルム状であるため、衣服汚染がなく、使用後の拭き取りの必要もない。長時間の使用が可能であり、べたつき感や人体に付着した際の不快感がなく、従来の上記問題点が改善される。しかしながら、合成高分子を利用しているため、破棄したときにも自然消滅されずに残る点で環境面に問題がある。ポリウレタンを用いた高分子系エコーゲルは、化学反応で作られるが、反応しないで残った成分により、皮膚にかぶれが生じる懼れがあり、安全面でも問題がある。原料が反応性試薬であり、製造面でも問題がある
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、超音波透過率が高く、強度・柔軟性に富み、べた付き感がなく、人体に安全であり、しかも使い捨てを可能にしたフルム状エコーゲルを提供するものである。
本発明は、このようなフィルム状エコーゲルを有した超音波センサユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るフィルム状エコーゲルは、超音波センサと人体との音響結合に用いられるエコーゲルであって、フィルム状に成型され水を含有した天然由来の高分子系ゲルから構成される。天然由来の高分子としては、例えば、アルギン酸を用いることができる。
【0011】
天然由来の高分子系ゲルの好ましい形態は、アルギン酸と、グルコノデルタラクトンと、第2リン酸カルシウムと、炭酸ナトリウムと、水との反応生成物で構成される。
【0012】
本発明に係る超音波センサユニットは、超音波センサと、超音波センサと人体との間に介挿される音響結合に用いられるフィルム状エコーゲルとを有し、フィルム状エコーゲルが、上記水を含有した天然由来の高分子系ゲルからなるフィルム状エコーゲルで構成される。
【0013】
本発明に係る超音波センサユニットは、超音波出射角度が異なる複数のセンサ素子からなる超音波センサと、超音波センサ側に貼り付けられた音響結合に用いられる1次フィルム状エコーゲルと、1次フィルム状エコーゲルと人体との間に介挿される音響結合に用いられる2次フィルム状エコーゲルとを有し、2次超音波エコーゲルが、上記水を含有した天然由来の高分子系ゲルからなるフィルム状エコーゲルで構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフィルム状エコーゲルによれば、フィルム状に成型された水を含有した天然由来の高分子系ゲルで構成されるので、柔軟性と長時間の使用が可能な強度を有し、音響結合に最適な水を含有するため、超音波透過率が高い。人体に付着したときのべたつき感、あるいは剥離した後のべたつき感がなく、人体に安全であり、使い捨てを可能にする。
【0015】
本発明に係る超音波センサユニットによれば、音響結合材として、本発明の水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルを用いるので、フィルム状エコーゲルの使い捨てが可能になり、人体に対し常に清潔で安全な状態で超音波による観察を可能にする。
【0016】
本発明に係る超音波センサユニットによれば、音響結合材として、1次フィルム状エコーゲルと2次フィルムエコーゲルを組み合わせて用いている。1次フィルム状エコーゲルで超音波出射面側の平坦でない面を埋め込んで平坦化するので、超音波の透過を阻害する空気層の形成がなくなる。人体に接触する2次フィルム状エコーゲルに、本発明の水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルが用いられるので、2次フィルム状エコーゲルの使い捨てが可能になり、人体に対し常に清潔で安全な状態で超音波による観察を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るフィルム状エコーゲルの概略構成図である。
【図2】A,B 本発明によるアルギン酸含有のフィルム状エコーゲルと、従来のグリセリンを用いたフィルム状エコーゲルと密着度を比較した写真図である。
【図3】A,B 本発明によるアルギン酸含有のフィルム状エコーゲルと、従来のゼリー状ゲルによる超音波透過率を比較したエコー画像である。
【図4】本発明による第1実施の形態に係る超音波センサユニットを人体に装着した状態を示す概略図である。
【図5】A,B 本発明による第1実施の形態に係る超音波センサユニットの概略構成図である。
【図6】本発明による第2実施の形態に係る超音波センサユニットを人体に装着した状態を示す概略図である。
【図7】本発明による第2実施の形態に係る超音波センサユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1に、超音波センサと人体との音響結合材として用いられる本発明に係るフィルム状エコーゲルの一実施の形態を示す。本実施の形態に係るフィルム状(あるいはシート状ともいう)エコーゲル1は、超音波センサと人体の所要部位との間に空気が存在しないように密着して用いられる。
【0020】
本実施の形態に係るフィルム状エコーゲル1に要求される物性は、超音波の透過率が高いこと、強度及び柔軟性に優れること、密着性が良いこと、人体に安全であること、使い捨てが可能であり、環境に優しいこと、しかも低価格で製造できること等である。
【0021】
本実施の形態に係るフィルム状エコーゲル1は、天然由来の高分子を含有し、水を含んだ天然由来の高分子系ゲルで構成される。天然由来の高分子としては、例えばアルギン酸を用いることができる。アルギン酸以外で本発明に適用される天然由来の高分子としては、ペクチン、ジェランガム、カラギーナンセルロース(カルボン酸塩)がある。汎用性を考慮すると、アルギン酸が優位である。
【0022】
上記天然由来の高分子系ゲルの好ましい例は、アルギン酸、グルコノデルタラクトン、第2リン酸カルシウム及び炭酸ナトリウムを有する成分と、水との反応生成物で構成される。
【0023】
次に、本実施の形態に係るフィルム状エコーゲルの最も好ましい具体的一例をその製法と共に示す。
下記の成分配合比で構成された混合粉体を用意する。
アルギン酸 28.2重量%
第2リン酸カルシウム 16.3重量%
グルコノデルタラクトン 48.5重量%
炭酸ナトリウム 7.0重量%
プロペラ型攪拌器にて精製水を強攪拌して渦を作り、出来た精製水の渦の壁面へ上記成分配合された混合粉体を少しずつ、ふりかけるように投入する。混合粉体を精製水に振りかけた時点で粘度が増加する。すなわち、精製水と混合粉体が接触すると、すぐにゲル化が起こる。次に、精製水に混合粉体を分散させたら、そのまま15秒程度攪拌する。次に、真空脱泡器にて30秒程度脱泡する。次に、例えばシャレーに流し入れて30分程度静置する。精製水と混合粉体との配合比は、精製水60mlに対して混合粉体が1.8gとした。これによりフィルム状のエコーゲルが得られる。
【0024】
このようにして得られた本実施の形態のフィルム状エコーゲルは、超音波透過率が高く、強度及び柔軟性に富み、密着性もよく、べた付き感がなく、人体に安全であり、しかも使い捨てを可能にする等の物性を有している。
【0025】
精製水と上記成分配合の混合粉体との配合比は、次の通りである。精製水30mlに対して、混合粉体が0.4g〜1.2gの配合比であれば、本実施の形態に係る上記物性を有するフィルム状エコーゲルが得られる。混合粉体の配合比が0.4gより少ないと、強度不十分となり、混合粉体の配合比が1.2を越えると、精製水に混合粉体が均一に混合できず、成型が困難であった。
【0026】
図2A,Bを用いて本実施の形態に係るフィルム状エコーゲルの密着性を検証する。フィルム状エコーゲルと皮膚との間の密着度が低いと、体毛などにより空気が入るため、体内組織の観察が不可能になる。
【0027】
図2Aは、円形状をなした本実施の形態に係るアルギン酸含有のフィルム状エコーゲル1を基板3上に配置した太さ0.5mmのシャープペンの芯4の上から密着したときの写真図である。図2Bは、円形状をなしたグリセリンを用いたフィルム状エコーゲル(商品名:sontac ジェルパッド)5を基板3上に配置した太さ0.5mmのシャープペンの芯4の上から密着したときの写真図である。本実施の形態のフィルム状エコーゲル1では、基板上のシャープペンの芯4の段差部、すなわち芯4の側面とフィルム状エコーゲル1との間に空気の層が見られず、密着性が優れていることが確認できる。これに対して、グリセリンを用いたフィルム状エコーゲル5では、基板上のシャープペンの芯4の段差部、すなわち芯4の側面とフィルム状エコーゲル1との間に空気の層6(白く見える線)が見られ、密着性が本実施の形態より劣ることが確認できる。
【0028】
図3A,Bを用いて本実施の形態に係るフィルム状エコーゲルの超音波透過性を検証する。この検証で、超音波診断装置(エコー)で膀胱を観察し、膀胱に尿が溜まった状態で、超音波センサ(いわゆるプローブ)と下腹部との間にそれぞれ本実施の形態のフィルム状エコーゲル及び従来のゼリー状ゲルを介挿してエコーの見え方を比較した。図3Aは、本実施の形態のフィルム状エコーゲルを用いたときのエコー画像である。図3Bは、従来のゼリー状ゲルを用いたときのエコー画像である。両者を比較してみると、大きな差異が見られず、共に超音波透過率が高い。従って、超音波センサと人体間の音響結合材として、本実施の形態のフィルム状エコーゲルを使用できることが確認できる。
【0029】
表1に、従来のゼリー状ゲル、ポリウレタンを用いた合成高分子系フィルム状エコーゲル(いわゆるポリウレタンフィルム状エコーゲル)、グリセリンを用いたフィルム状エコーゲル(いわゆるグリセリンゲルパッド)、及び本実施の形態のアルギン酸含有のフィルム状エコーゲルのそれぞれの物性を示す。表1では、超音波透過率、強度・柔軟性、べたつき感の有無、安全性・環境に優しいか否か、密着度、低価格及び使い捨て可能か否か、等の物性を評価した。○印は良、×印は不可を表す。
【0030】
【表1】

【0031】
上述の本実施の形態に係るフィルム状エコーゲルによれば、天然由来の高分子系ゲルで構成されるので、人体に対して安全であると同時に、環境に優しく、環境破壊の心配がない。皮膚との密着度も優れており、体毛などにより空気層が形成されることがなく、超音波の透過を阻害することがない。低価格で製造することができ、使い捨てを可能にする。従って、衛生面が向上する。さらに、超音波透過率が高く、従来のゼリー状ゲルと同等の超音波透過率を有する。フィルムの強度及び柔軟性も十分あり、人体に付着したときのべたつき感、あるいはフィルム状エコーゲルの剥離後のべたつき感がない。従って、不快感を与えることがない。
【0032】
次に、本実施の形態に係るフィルム状エコーゲルを備えた超音波センサユニットの実施の形態について説明する。
【0033】
図4に、超音波センサユニットの第1実施の形態を示す。本実施の形態の超音波センサユニットは、超音波センサ(いわゆるプローブ)の超音波出射面側が平坦な場合に適用され、超音波センサ12と、超音波センサ12と人体13との間に介挿される上述の本発明のフィルム状エコーゲル1とにより構成される。第1実施の形態の超音波センサユニットは、膀胱を観察(蓄尿量の計測を含む)するための超音波センサユニット11A、のどの体内組織を観察する超音波センサユニット11B、その他の体内組織を観察する超音波センサユニットなどに適用できる。例えば、のどに密着させるフィルム状エコーゲル1の場合は、のどの表面が凹凸状であるので、比較的に厚い膜厚のフィルム状エコーゲルが用いられる。膀胱観察での下腹部に密着させるフィルム状エコーゲル1の場合は、皮膚表面がなめらかであるので、比較的に薄い膜厚のフィルム状エコーゲルが用いられる。
【0034】
図5Aに、第1実施の形態に係る膀胱を観察するための超音波センサユニット11Aの概略を示す。本実施の形態に係る超音波センサユニット11Aは、複数のセンサ素子12aを有し、各センサ素子12aの超音波出射面が面一に配置された超音波センサ(いわゆるプローブ)12と、上述の本発明に係る水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲル1とから構成される。
【0035】
図5Bに、のどの体内組織を観察するためのセンサユニット11Bの概略を示す。センサ素子12aを有し、センサ素子12aの超音波出射面が平坦に配置された超音波センサ(いわゆるプローブ)12と、本実施の形態に係る水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲル1とから構成される。
【0036】
第1実施の形態に係る超音波センサユニット11[11A,11B]によれば、音響結合材として、本発明の水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルを用いるので、フィルム状エコーゲルの使い捨てが可能になり、人体に対し常に清潔で安全な状態で超音波による観察を可能にする。
【0037】
図6に、超音波センサユニットの第2実施の形態を示す。本実施の形態の超音波センサユニット14は、超音波センサ(いわゆるプローブ)の超音波出射面側の面が平坦でない場合に適用される。本実施の形態の超音波センサユニット14は、超音波センサ15と、超音波センサ15側に貼り付けられた音響結合材に用いられる1次フィルムエコーゲル16と、1次フィルム状エコーゲルと人体との間に介挿される音響結合材に用いられる2次フィルム状エコーゲル1とを有して構成される。2次フィルム状エコーゲル1は、使い捨て可能とされた上述の本発明のフィルム状エコーゲルで構成される。1次フィルム状エコーゲル16は、超音波センサ15側の平坦でない面を埋め込んで空気層が形成されないようにするためのものであり、例えば、前述したポリウレタンを使用した合成高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルにて構成することができる。
【0038】
図7に、第2実施の形態に係る膀胱を観察(蓄尿量の計測を含む)するための超音波センサユニット14の概略を示す。本実施の形態に係る超音波センサユニット14は、超音波出射角度が異なる複数のセンサ素子15aが配列された超音波センサ15と、1次フィルム状エコーゲル15と、2次フィルム状エコーゲル1とを有して構成される。超音波センサ15は、図6に示すように人体13の下腹部に装着される。超音波センサ15は、図示しないが、各センサ素子15aからの超音波が恥骨と腹膜の間の限られた隙間を透過して、膀胱の前壁の近傍に対応する部分で交差して立体的に広がり、膀胱の後壁へ指向するように構成される。この超音波センサ14では、交差後に立体的に広がる超音波を利用することにより、膀胱の立体形状がより正確に測定でき、蓄尿量をより正確に検知することができる。
【0039】
そして、超音波センサユニット14は、1次フィルム状エコーゲル16により超音波出射面側の平坦でない面が埋め込まれて、空気層の全く無い状態で、表面が平坦に整形される。この1次フィルム状エコーゲル16は、取り替えることなく、長期間貼り付けられるので、合成高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルで構成されるのが好ましい。この1次フィルム状エコーゲル16と下腹部との間に2次フィルム状エコーゲル1が介挿される。
【0040】
1次フィルム状エコーゲル16の物性としては、超音波透過率が高いこと、1次及び2次フィルム状エコーゲル16及び1の界面での超音波の反射がないこと、凹凸を埋め込んで平坦化できる柔軟性かつ粘着性を有すること、長期使用でも消滅せずに残ること、等が要求される。この条件を有するものとして、上記のポリウレタンを用いた高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルが適する。
【0041】
2次フィルム状エコーゲル1の物性としては、超音波透過率が高いこと、1次及び2次フィルム状エコーゲル16及び1の界面での超音波の反射がないこと、2次フィルムエコーゲルと皮膚との界面での超音波の反射がないこと、皮膚がかぶれないこと、強度・受難性に富み、密着性が高いこと、使い捨て可能であること、等が要求される。この条件を有するものとして、本発明の水を含有した天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルが適する。
【0042】
第2実施の形態に係る超音波センサユニット14によれば、音響結合材として、1次フィルム状エコーゲル16と2次フィルムエコーゲル1を組み合わせて用いている。1次フィルム状エコーゲル16で超音波出射面側の平坦でない面を埋め込んで平坦化するので、超音波の透過を阻害する空気層の形成がなくなる。人体に接触する2次フィルム状エコーゲル1に、本発明の水を含有する天然由来の高分子系ゲルによるフィルム状エコーゲルが用いられるので、2次フィルム状エコーゲル1の使い捨てが可能になり、人体に対し常に清潔で安全な状態で超音波による観察を可能にする。
【符号の説明】
【0043】
1・・本発明のフィルム状エコーゲル(2次フィルムエコーゲル)、3・・基板、4・・シャープペンの芯、5・・グリセリンを用いたフィルム状エコーゲル、6・・空気層、11[11A,11B]、13・・人体、14・・超音波センサユニット、12、15・・超音波センサ、12a、15a・・センサ素子、16・・1次フィルム状エコーゲル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサと人体との音響結合に用いられるエコーゲルであって、
フィルム状に成型され水を含有した天然由来の高分子系ゲルから成る
フィルム状エコーゲル。
【請求項2】
天然由来の高分子は、アルギン酸である
請求項1記載のフィルム状エコーゲル。
【請求項3】
天然由来の高分子系ゲルは、
アルギン酸、グルコノデルタラクトン、第2リン酸カルシウム及び炭酸ナトリウムを有する成分と、水との反応生成物で構成される
請求項2記載のフィルム状エコーゲル。
【請求項4】
天然由来の高分子系ゲルは、
アルギン酸、グルコノデルタラクトン、第2リン酸カルシウム及び炭酸ナトリウムが所要の配合比で混合された粉末を水に投入して得られた反応生成物で構成される
請求項3記載のフィルム状エコーゲル。
【請求項5】
前記水と前記混合された粉末との配合比が、水30mlに対して、前記粉末が0.4〜1.2gである
請求項4記載のフィルム状エコーゲル。
【請求項6】
超音波センサと、
前記超音波センサと人体との間に介挿される音響結合に用いられるフィルム状エコーゲルと
を有し、
前記フィルム状エコーゲルが、請求項1乃至5のいずれかに記載のフィルム状エコーゲルで構成される
超音波センサユニット。
【請求項7】
超音波出射角度が異なる複数のセンサ素子からなる超音波センサと、
前記超音波センサ側に貼り付けられた音響結合に用いられる1次フィルム状エコーゲルと、
前記1次フィルム状エコーゲルと人体との間に介挿される音響結合に用いられる2次フィルム状エコーゲルと
を有し、
前記2次フィルム状エコーゲルが、請求項1乃至5のいずれかに記載のフィルム状エコーゲルで構成される
超音波センサユニット。


【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−176197(P2012−176197A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41518(P2011−41518)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20〜22年度、文部科学省、地域イノベーションクラスタープログラム都市エリア型(発展)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【Fターム(参考)】