説明

フィルム状物質の製造方法

【課題】従来の支持体表面の疵の発生防止、支持体表面への異物付着防止等の管理作業を必要とする支持体を用いないで、表面の平滑性を良好とできるフィルム状物質の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のフィルム状物質の製造方法は、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有し、前記塗布液は界面活性剤の親水性基と接しながら流延することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は溶液製膜によるフィルム状物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム状物質の製造法においては、フィルム状物質となる有機ポリマ等の前駆物質を含む塗布液を支持体上に流延し、その後、溶媒を乾燥させて形成する溶液成膜方法が知られている(例えば、特許文献1乃至3)
フィルム状物質は、電子基板材料、磁気記録材料、物品の保護材料、光学基板材料等に使用され、また、細粒化されたものの場合、塗料、成型品等のフィラー材料、化粧料、電池材料等に使用されている。
【特許文献1】特開平11−254469号公報
【特許文献2】特開2002−120247号公報
【特許文献3】特開2004−66613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フィルム状物質に求められるものとして、薄肉化、厚みの安定性、表面平滑性が挙げられている。溶液成膜方法は、フィルム状物質となる有機ポリマや無機ポリマ等の前駆物質を含む塗布液を支持体上で流延し、溶媒の乾燥等を経てフィルム化するものなので、表面平滑性は、塗布液が塗布される支持体の表面状態に大きく依存することになる。そのため、表面平滑性に優れるフィルムを得るためには、支持体表面の疵の発生防止や、支持体表面への異物付着の防止等を行う必要があった。
【0004】
本発明は、従来の支持体表面の疵の発生防止、支持体表面への異物付着防止等の管理作業を必要とする支持体を用いないで、表面の平滑性を良好とできるフィルム状物質の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフィルム状物質の製造方法の第一の形態は、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有し、前記塗布液は界面活性剤の親水性基と接しながら流延することを特徴とする。
【0006】
フィルム状物質の表面は、塗布液が塗布される被塗布面の状態に依存することになる。本発明の場合、塗布液が液体面上に塗布され、塗布液が液体面上を流延することになるので、フィルム状物質の形成過程下で、フィルム状物質の前駆物質乃至フィルム状物質が固体表面と接することがないので、平滑性の表面を有するフィルム状物質を得やすくなる。
【0007】
塗布液を液体表面に塗布すると、塗布液と液体とが混合が生じ液体表面での塗布液の流延が生じ難い。しかしながら、本発明の第一形態では、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液、すなわち水系塗布液を表面が界面活性剤の層で覆われた油浴に塗布することで、塗布液が界面活性剤の親水性基と接することになる。このため、塗布液と油浴中の油との混合が生じ難く、しかも、塗布液のレベリング作用により、塗布液が界面活性剤の層上を流延することとなるので、フィルム状物質の前駆物質乃至フィルム状物質が固体表面と接することなく、フィルム状物質を形成でき、当該物質の表面の平滑なものとせしめる。
【0008】
本発明のフィルム状物質の製造方法の第二の形態は、表面が界面活性剤の層で覆われた水浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と非水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有し、前記塗布液は界面活性剤の疎水性基と接しながら流延することを特徴とする。
【0009】
本発明の第二形態では、フィルム状物質の前駆物質と非水系溶媒とを含む塗布液、すなわち非水系塗布液を表面が界面活性剤の層で覆われた油浴に塗布することで、塗布液が界面活性剤の疎水性基と接することになる。このため、塗布液と水浴中の水との混合が生じ難く、しかも、塗布液のレベリング作用により、塗布液が界面活性剤の層上を流延することとなるので、フィルム状物質の前駆物質乃至フィルム状物質が固体表面と接することなく、フィルム状物質を形成でき、当該物質の表面の平滑なものとせしめる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルム状物質の製造方法は、表面が平滑なフィルム状物質を簡便に得ることに奏功する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のフィルム状物質の製造方法の第一の形態は、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有する。
【0012】
前記界面活性剤は、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらは、親水性の高い官能基を有し、油の界面のなじみをよくする作用を奏し好ましい。具体例として、アニオン性界面活性剤として、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、エチレングリコールドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(5)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(10)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(2)ヘキサデシル硫酸ナトリウムエーテル、エチレングリコール変性オクタデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、p−n−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−(n−デシルオキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラプロピルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩等が挙げられ、カチオン性界面活性剤として、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。尚、POEは、ポリオキシエチレン、POEの後の括弧内の数字は、オキシエチレン鎖の数を示している。
【0013】
油浴を形成する油は、その20℃での粘度が、好ましくは1〜200mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・sとされる。粘度が1mPa・s未満だと、塗布液を塗布した際等に液面の波打ちが生じることがあり、フィルム状物質の表面に油浴の波打ちの影響が現れることがある。他方、200mPa・s超では、作製したフィルム状物質を油浴から取り出す際に油がフィルム状物質に付着しやすくなり回収が困難になることがある。
【0014】
また前記油は、20℃での水への溶解度が好ましくは、1mg/L以下、より好ましくは0.1mg/L以下とされる。油の水への溶解度が高い場合はフィルム状物質への油の混入、油浴へのフィルム状物質やその前駆体の混入が起こる事がある。水への溶解度の下限は特に限定されないが、0.00001mg/Lと設定してもよい。
【0015】
油浴を形成する油の例は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸や、それらを主成分とする混合物である植物または動物性油脂類、灯油、軽油等であり、特にオレイン酸、リノール酸が好ましい。これらは、常温、例えば5〜30℃で液体であり、しかも沸点が150℃以上と高く、安定した液体であるからである。
【0016】
表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程では、例えば、油浴の深さが0.1〜100mmとなるように容器に油を導入する。油浴の表面は、好ましくは1〜50、より好ましくは2〜10とされる。容器は、汎用品のものでよく、例えば、ステンレス製の容器が使用される。界面活性剤は、容器に油を導入後に導入されることが好ましい。
【0017】
界面活性剤は、質量比で、油に対して界面活性剤を好ましくは0.001倍量以上、より好ましくは0.005倍量以上、さらに好ましくは0.01倍量以上添加することで表面が界面活性剤の層で覆われた油浴の準備を行いやすくなる。界面活性剤の添加量の上限は、特に限定されないが、0.1倍量と設定してもよい。
【0018】
本発明の第一の形態において、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴に塗布される塗布液は、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤である。塗布方法は、特に限定されないが、スプレー法、スポイトやノズルやニードルによる滴下、ロールコート法、フローコート法等によって行われる。
【0019】
フィルム状物質の前駆物質の例としては、シリカ、チタン、アルミナ、アンチモン酸亜鉛、ジルコニアなどの無機酸化物のコロイド溶液やゾル溶液等が挙げられる。
【0020】
水系溶媒の例としては、純水の他に塩酸、硝酸、硫酸のような酸性溶媒、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ性溶媒等が挙げられる。
【0021】
前記前駆物質、前記水系溶媒の他に塗布液は、メタノールなどのアルコール類や油浴に添加したのと同様の界面活性剤、増粘剤、消泡剤等を含んでもよい。
【0022】
塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程は、静置する等による塗布液のレベリング作用により行うことができる。
【0023】
流延された塗布液は常温での自然乾燥、赤外線ヒーター、熱風、油浴の加温等の加熱乾燥により溶媒が除去されフィルム状物質とされる。乾燥により得られたフィルム状物質は、形状がシート状であれば回転ローラー等で巻き上げる等の方法、薄片状の粉体の場合は、網目形状を有するもの、例えば、フィルターや、メッシュ等で油をきりながらフィルム状物質を掬う等の方法で回収される。
【0024】
フィルム状物質の回収時に油がフィルム状物質に付着する場合は、アセトンのような油に可溶な溶媒や界面活性剤を添加した水などの洗浄剤により回収時または回収後に洗浄し、フィルム状物質から油を除去しても良い。
【0025】
本発明のフィルム状物質の製造方法の第二の形態は、表面が界面活性剤の層で覆われた水浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と非水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有する。
【0026】
前記界面活性剤は、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらは、親水性の高い官能基を有し、油の界面のなじみをよくする作用を奏し好ましい。具体例として、アニオン性界面活性剤として、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、エチレングリコールドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(5)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(10)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムエーテル、POE(2)ヘキサデシル硫酸ナトリウムエーテル、エチレングリコール変性オクタデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、p−n−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−(n−デシルオキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラプロピルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩等が挙げられ、カチオン性界面活性剤として、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。尚、POEは、ポリオキシエチレン、POEの後の括弧内の数字は、オキシエチレン鎖の数を示している。
【0027】
水浴を形成する水は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤を導入することで、その粘度が、好ましくは1〜200mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・sとされる。
【0028】
粘度が1mPa・s未満だと、塗布液を塗布した際等に液面の波打ちが生じることがあり、フィルム状物質の表面に湯浴の波打ちの影響が現れることがある。他方、200mPa・s超では、増粘剤などがフィルム状物質に付着しやくなり回収が困難になることがある。
【0029】
表面が界面活性剤の層で覆われた水浴を準備する工程では、例えば、水浴の深さが0.1〜100mmとなるように容器に油を導入する。油浴の表面は、好ましくは1〜50、より好ましくは2〜10とされる。容器は、汎用品のものでよく、例えば、ステンレス製の容器が使用される。界面活性剤は、容器に油を導入後に導入されることが好ましい。
【0030】
界面活性剤は、質量比で、油に対して界面活性剤を好ましくは0.0001倍量以上、より好ましくは0.0005倍量以上、さらに好ましくは0.001倍量以上添加することで表面が界面活性剤の層で覆われた油浴の準備を行いやすくなる。界面活性剤の添加量の上限は、特に限定されないが、0.1倍量と設定してもよい。
【0031】
本発明の第二の形態において、表面が界面活性剤の層で覆われた水浴に塗布される塗布液は、フィルム状物質の前駆物質と非水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤である。塗布方法は、特に限定されないが、スプレー法、スポイトやノズルやニードルによる滴下、ロールコート法、フローコート法等によって行われる。
【0032】
フィルム状物質の前駆物質の例としては、アクリルモノマー、ウレタンモノマー、のアルコキシシランのモノマー類およびその重合体等が挙げられる。
【0033】
非水系溶媒の例としては、ヘキサノール、ヘプタノールなどの高級アルコール類、ヘキサン、ヘプタンなどのアルカン、ジエチルエーテルなどのエーテル、メチルエチルケトンなどのケトン、ベンゼンやトルエン等が挙げられる。
【0034】
前記前駆物質、前記非水系溶媒の他に塗布液は、低級アルコール類、油浴に添加したのと同様の界面活性剤、N,N,N`,N`-テトラメチルエチレンジアミンのような重合開始剤、ジブチル錫ジラウレートのような触媒等を含んでもよい。
【0035】
塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程は、静置する等による塗布液のレベリング作用により行うことができる。
【0036】
流延された塗布液は常温での自然乾燥、赤外線ヒーター、熱風、油浴の加温等の加熱乾燥により溶媒が除去されフィルム状物質とされる。乾燥により得られたフィルム状物質は、形状がシート状であれば回転ローラー等で巻き上げる等の方法、薄片状の粉体の場合は、網目形状を有するもの、例えば、フィルターや、メッシュ等で油をきりながらフィルム状物質を掬う等の方法で回収される。
【0037】
回収時に増粘剤などがフィルム状物質に付着する場合は、回収時または回収後に水洗浄等で増粘剤を除去しても良い。洗浄は薄片状の粉体の場合は回収後に水中で攪拌し濾過により薄片を回収する、シート状体の場合は回収時または回収後に水を吹き付けなら回転スポンジを用いて添加剤を取り除くなどの方法で行ってもよい。
【0038】
尚、本発明で形成されるフィルム状物質は、有機系のもの、無機系のものと特に限定されないが、厚みが、好ましくは、0.1μm〜1mm、より好ましくは0.5〜50μmとされる。また、大きさは特に限定されず、長径が2μmの薄片状の粉体から、矩形で幅の長さが300mm程度のシート状体の大きさのものがフィルム状物質とされる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例および比較例で得られたフィルム状物質に対し、以下に示す方法により品質評価を行った。
【0040】
[平坦度の評価]:薄片表面の平坦度は、走査型電子顕微鏡(S−4500;日立製作所製)を用いて薄片断面の任意の箇所において、薄片と水平に10μmのスケールバーを接して、スケールバーと薄片表面の凹凸によるひずみの最大値で表し、10箇所測定して得られた各値の平均値として定義した。
【0041】
[厚みの評価]:走査型電子顕微鏡(S−4500;日立製作所製)によって倍率5000倍で薄片の断面を10箇所測定して得られた各値の平均値として定義した。
【0042】
[フィルム状物質の作製]
ステンレス製の容器にオレイン酸(キシダ化学 一級)を入れ0.02倍量のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(キシダ化学 特殊用)を加えて攪拌した。攪拌を止めた後、静置することで、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴とした。
【0043】
コロイダルシリカ(日産化学工業 スノーテックスN)にイオン交換水を加えて攪拌し固形分濃度が10重量%とされた水溶液を塗布液とし、この塗布液を、スプレーガン(アネスト岩田 LPA−100)を用いて油浴上に20℃の常温環境で塗布した。
【0044】
塗布された塗布液は、塗布後すぐに界面活性剤の層上を流延し、塗布後10秒ほどで均質な塗膜となった。その後、2分間の静置で、塗膜が乾燥され、フィルム状物質が油浴上で形成された。
【0045】
乾燥して得られたフィルム状物質を油浴表面から回収し、走査型電子顕微鏡で観察を行った。その観察結果を図1に示す。得られたフィルム状物質の厚みは0.7μm、平坦度は0.2μmであった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】フィルム状物質の走査型電子顕微鏡の観察結果(図面代用写真)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状物質の製造方法であり、表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有し、前記塗布液は界面活性剤の親水性基と接しながら流延することを特徴とするフィルム状物質の製造方法。
【請求項2】
界面活性剤が硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載にフィルム状物質の製造方法。
【請求項3】
油浴を形成する油の粘度が1〜200mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム状物質の製造方法。
【請求項4】
前記油浴は、20℃での水への溶解度が1mg/L以下である油により構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフィルム状物質の製造方法。
【請求項5】
表面が界面活性剤の層で覆われた油浴を準備する工程は、質量比で、油に対して界面活性剤を0.001倍量以上添加することで行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルム状物質の製造方法。
【請求項6】
フィルム状物質の製造方法であり、表面が界面活性剤の層で覆われた水浴を準備する工程、フィルム状物質の前駆物質と非水系溶媒とを含む塗布液を前記界面活性剤の層に塗布する工程、塗布された塗布液を前記界面活性剤の層上で流延する工程を有し、前記塗布液は界面活性剤の疎水性基と接しながら流延することを特徴とするフィルム状物質の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−234619(P2010−234619A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84479(P2009−84479)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】