説明

フィルム現像装置

【課題】 各処理液の量を大幅に低減することができ、液管理が不要な大幅に小型化されたフィルム現像装置であって、フィルムの挿入がスムーズで、フィルムの両端部に設けられている、バーコード部の部分も現像可能なフィルム現像装置を提供する。
【解決手段】 フィルム2をガイドする螺旋状のガイド部(フィルムガイド溝412a)が少なくともフィルム長に対応して形成された現像リール41と、現像リール41の少なくとも一部を収容する現像タンク42と、現像リール41を回転駆動させる現像リール駆動手段(現像リール駆動部43)と、処理液を現像タンク42に充填する処理液供給手段(液供給部70)と、各処理液を現像リール41から順次排出する処理液排出手段(液排出部90)とを備え、フィルムガイド溝412aの内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、フィルム面に対して傾斜するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のフィルムと処理液とを接触させることで現像を行うフィルム現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真フィルムは、複数種類の現像処理液に順次浸漬させて、このフィルムの一面側に設けられている乳剤面内の感光剤と現像処理液とを反応させることにより、現像処理するのが一般的である。従来、このような写真フィルムの現像処理を自動的に実行させるフィルム現像装置として、現像処理液を貯留する処理槽を現像処理液毎に複数設け、搬送ローラ等により構成される搬送部でフィルムを停止させることなく連続的に搬送させるとともに各処理槽の現像処理液に潜らせて現像処理するものが知られている。
【0003】
しかしながら、このような装置では、現像処理液毎に複数の処理槽を設け、各処理槽内にも搬送ローラを設けているため、処理槽が大型化し、しかも、処理槽に貯留されている現像処理液は一回の充填で多数本のフィルムを処理することができることから、一本のフィルムを現像処理した後に次のフィルムを現像するまでの時間が長いと、その間、現像処理液が劣化するという問題があった。特に、近年、ディジタルカメラの普及に伴い、一日に処理するフィルム本数が少なくなって、数日に亘って処理槽に貯留されている現像処理液を管理しなければならず、その管理が煩雑で現像処理液の性状を適正な範囲に維持することが困難となる。
【0004】
一方、現像処理液の管理を不要とするために、現像処理液を一本のフィルム毎に使い捨て可能にすることによって現像処理液の性状管理を不要とする装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、刀の鞘状を呈した処理槽を有し、この処理槽に現像処理液を供給、循環、排出等することによって、使用する現像処理液の量を少量として、現像処理液をフィルム一本毎に使い捨てにすることを可能としている。
【特許文献1】特開平9−292688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の装置においても、長尺のフィルムを刀の鞘状を呈した処理槽に挿入するための機構(前記の特許文献1の引込手段)が必要であり、装置全体の小型化の障害となっている。しかも、鞘状の処理槽に、フィルムを直線状に展開してフィルムの表裏両面と処理槽の内壁面との間に所定の空隙を設けるように挿入するため、鞘状の処理槽がフィルムの厚み方向に大きくなるという問題があった。この問題は、装置全体の小型化の障害となるばかりか、この処理槽に充填する現像処理液の量の増加を招き、現像処理に要するコストの増大を招く。
【0006】
特に、パトローネのスプール等に巻付けられたフィルムは巻癖(長手方向の反り)がついており、フィルムの表裏両面と処理槽の内壁面との間の空隙が小さいと、フィルムが処理槽の内壁面に接触して現像ムラ等の品質不良が発生する虞れがあることから、この接触を生じないように処理槽の寸法(特に、フィルムの厚み方向の寸法)を設計する必要があり、処理槽がさらに大きくなるという問題がある。
【0007】
また、長尺のフィルムを刀の鞘状を呈した処理槽に挿入するための機構(前記の特許文献1の引込手段)においては、フィルムのパフォーレーションに発生した小さなバリや割れが処理槽のガイド部に引っかかって現像ムラが生じたり、挿入ガイドの濡れのために、フィルムが処理槽のガイド部に貼り付いたりする可能性があった。
【0008】
また、フィルムの端部が処理槽のガイド部に貼り付いた場合は、フィルムの両端部に設けられている、フィルムの種別を表すバーコード部の部分において現像ムラが生じる可能性があった。
【0009】
本発明は、前記問題を解決するべくなされたもので、各処理液の量を大幅に低減することができ、液管理が不要な大幅に小型化されたフィルム現像装置であって、また、フィルムの挿入がスムーズで、フィルムの両端部に設けられている、バーコード部の部分も現像可能なフィルム現像装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のフィルム現像装置は、長尺のフィルムと処理液とを接触させることで現像を行うフィルム現像装置において、略フィルム幅だけ離間して並設される略円板状の側板の各対向面に、外周縁の一箇所から中心に向けて、フィルムの幅方向端部をガイドする螺旋状のガイド部が少なくともフィルム長に対応して形成された現像リールと、前記側板が略直立した状態で前記現像リールの少なくとも一部を収容する現像タンクと、前記現像リールをリール中心軸回りに回転駆動させる現像リール駆動手段と、前記現像リールが1回転する間に前記ガイド部の内端が処理液中に浸漬される深さに、処理液を前記現像タンクに充填する処理液供給手段と、現像処理終了後の各処理液を前記現像リールから順次排出する処理液排出手段とを備え、前記現像リールのガイド部は、前記側板の径方向内側と外側とに相対向して前記ガイド部に形成される内側ガイド面と外側ガイド面とを備え、これら内側ガイド面と外側ガイド面とは、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されていることを特徴とするフィルム現像装置である。
【0011】
上記の構成によれば、現像リールに収容された1本のフィルムを処理するに必要なだけの処理液をその都度、現像リールに供給するだけでよいので、処理液の劣化を判断したり、処理可能なフィルムの本数を計数したり、処理液の交換時期を判断するなどの液管理が不要になる。
【0012】
また、処理すべきフィルムの本数が少ない場合でも、本数に応じた量の処理液を消費するだけでよいので、無駄に浪費される処理液の量を少なくすることができる。
【0013】
さらに、現像リールに渦巻き状に収容されるフィルムの面間のピッチを現像品質に影響を受けない程度まで小さくすることにより、現像リールを小型化することができるので、装置全体を大幅に小型化するとともに、各処理液の量を大幅に低減することができる。
【0014】
また、上記の構成によれば、現像リールのガイド部の内側ガイド面と外側ガイド面とが、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されているので、フィルム面とそれぞれのガイド面とが略点接触で接する結果、フィルムのパフォーレーションに発生した小さなバリや割れがガイド部に引っかかって現像ムラが生じたりするなどの事故を効果的に防止することができる。また、このようにフィルム面とそれぞれのガイド面とが略点接触で接するようにすることで、フィルム面とガイド面との摩擦抵抗が大幅に減じられ、フィルムの現像リールへの挿入をスムーズにすることができるようになる。
【0015】
特に、複数のフィルムを連続処理する時などは、現像リールが濡れているために、フィルムがガイド面に貼り付く傾向があり、摩擦抵抗が大きくなる。このような場合、内側ガイド面と外側ガイド面とが、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されることは、フィルム面をガイド面から離して略点接触で接するようにするので、フィルムがガイド面に貼り付くことを防止してフィルム面とガイド面との摩擦抵抗を減じる効果が大である。
【0016】
さらに、内側ガイド面と外側ガイド面とを、テーパー状に形成することは、フィルムの両端部に設けられている、フィルムの種別を表すバーコード部に対しても処理液を循環させることが可能になるので、このバーコード部の部分を現像することもできるようになる。
【0017】
また、請求項2に記載のフィルム現像装置は、前記現像リールのガイド部が、内側ガイド面と外側ガイド面とに亘る底壁ガイド面を当該ガイド面にわたって離散的に備え、前記底壁ガイド面は、摩擦抵抗を減じる手段として、ガイド部の渦中心軸に向かって漸次、深底になっていることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、底壁ガイド面が、当該ガイド面にわたって離散的に設けられているので、僅かに蛇行しながらガイド部の渦中心軸に向かって挿入されるフィルムと、離散的に設けられている底壁ガイド面とが、略点接触となる結果、底壁ガイド面が連続的に設けられている場合と比較して、より摩擦抵抗を軽減することができ、フィルムの現像リールへの巻き取りをスムーズに行うことができる。
【0019】
また、底壁ガイド面が、ガイド部の渦中心軸に向かって漸次、深底になっているので、特にフィルムの先端が底壁ガイド面の途中で引っかかるという事故を未然に防止することができ、フィルムの現像リールへの巻き取りを、よりスムーズに行うことができる。
【0020】
また、請求項3に記載のフィルム現像装置は、前記現像リールのガイド部が、フッ素樹脂で形成されていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、現像リールのガイド部が、フッ素樹脂で形成されているので、ガイド部の撥水性が向上し、内側ガイド面と外側ガイド面とが処理液で濡れにくくなる結果、フィルムがガイド面に貼り付くことが効果的に防止されるようになる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1に記載のフィルム現像装置によれば、現像リールに収容された1本のフィルムを処理するに必要なだけの処理液をその都度、現像リールに供給するだけでよいので、処理液の劣化を判断したり、処理可能なフィルムの本数を計数したり、処理液の交換時期を判断するなどの液管理が不要になる。
【0023】
また、処理すべきフィルムの本数が少ない場合でも、本数に応じた量の処理液を消費するだけでよいので、無駄に浪費される処理液の量を少なくすることができる。
【0024】
さらに、現像リールに渦巻き状に収容されるフィルムの面間のピッチを現像品質に影響を受けない程度まで小さくすることにより、現像リールを小型化することができるので、装置全体を大幅に小型化するとともに、各処理液の量を大幅に低減することができる。
【0025】
また、現像リールのガイド部の内側ガイド面と外側ガイド面とが、それぞれフィルム端面に対して傾斜するように形成されているので、フィルム面とそれぞれのガイド面とが略点接触で接する結果、フィルムのパフォーレーションに発生した小さなバリや割れがガイド部に引っかかって現像ムラが生じたりするなどの事故を効果的に防止することができる。また、このようにフィルム面とそれぞれのガイド面とが略点接触で接するようにすることで、フィルム面とガイド面との摩擦抵抗が大幅に減じられ、フィルムの現像リールへの挿入をスムーズにすることができるようになる。
【0026】
特に、複数のフィルムを連続処理する時などは、現像リールが濡れているために、フィルムがガイド面に貼り付く傾向があり、摩擦抵抗が大きくなる。このような場合、内側ガイド面と外側ガイド面とを、テーパー状に形成することは、フィルム面をガイド面から離して略点接触で接するようにし、フィルムがガイド面に貼り付くことを防止してフィルム面とガイド面との摩擦抵抗を減じる効果が大である。
【0027】
さらに、内側ガイド面と外側ガイド面とを、テーパー状に形成することは、フィルムの両端部に設けられている、フィルムの種別を表すバーコード部に対しても処理液を循環させることが可能になるので、このバーコード部の部分を現像することもできるようになる。
【0028】
また、請求項2に記載のフィルム現像装置によれば、底壁ガイド面が、当該ガイド面にわたって離散的に設けられているので、僅かに蛇行しながらガイド部の渦中心軸に向かって挿入されるフィルムと、離散的に設けられている底壁ガイド面とが、略点接触となる結果、底壁ガイド面が連続的に設けられている場合と比較して、より摩擦抵抗を軽減することができ、フィルムの現像リールへの巻き取りをスムーズに行うことができる。
【0029】
また、底壁ガイド面が、ガイド部の渦中心軸に向かって漸次、深底になっているので、特にフィルムの先端が底壁ガイド面の途中で引っかかるという事故を未然に防止することができ、フィルムの現像リールへの巻き取りを、よりスムーズに行うことができる。
【0030】
また、請求項3に記載のフィルム現像装置によれば、現像リールのガイド部が、フッ素樹脂で形成されているので、ガイド部の撥水性が向上し、内側ガイド面と外側ガイド面とが処理液で濡れにくくなる結果、フィルムがガイド面に貼り付くことが効果的に防止されるようになる。
【0031】
このように、本発明によれば、各処理液の量を大幅に低減することができ、液管理が不要な大幅に小型化されたフィルム現像装置を実現することができるという顕著な効果を奏する。また、フィルムの挿入がスムーズで、フィルムの両端部に設けられている、バーコード部の部分も現像可能なフィルム現像装置を実現することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は、本発明の実施の形態に係るフィルム現像装置1の構成を示す全体斜視図であり、図2は、同装置の正面図である。また、図3は、フィルム現像装置の液供給部の構成を示す概略斜視図であり、図4は、同液供給部および後述する液排出部の構成を示す概略正面図である。なお、ここでは、両端部にパーフォレーションを有する写真用35mmフィルム、いわゆる135フィルムを現像するフィルム現像装置について説明するが、APS(Advanced Photo System)フィルム等その他の長尺のフィルムを現像する場合にも適用可能である。
【0033】
図1と図2とを参照して、本発明の実施の形態に係る現像リール41を採用したフィルム現像装置1は、フィルム2が収容されたパトローネ3が支持されるパトローネ支持部20と、パトローネ3からフィルム2を引き出して搬送する第1搬送部30と、フィルム2を現像する現像部40と、この現像部40から現像後のフィルム2を引き出して搬送する第2搬送部50と、現像後のフィルム2を乾燥する乾燥部60と、現像部40に対して処理液や洗浄液を供給する液供給部70(処理液供給手段に相当する)と、現像部40から処理液や洗浄液を排出する液排出部90(処理液排出手段に相当する)とを備える。これらのうち、各部20,30,40,50,60は、外部からの光の侵入を遮断することにより内部が暗室として機能するハウジング10内の前面側に配設され、フィルム現像装置1の左側から右側に向けてフィルム2が搬送されるべく配置されている。また、各部20,30,40,50,60の背面側には液供給部70,液排出部90等が配設されている。
【0034】
フィルム2は、長手方向後端部がスプール3aに係止され、スプール3aに巻き付けられてパトローネ3内に収容されている。フィルム2は、この巻き付け状態の内面側に画像が形成される感光材料を含む乳剤が塗布された乳剤面2aを有している。この乳剤面2aの幅方向中央部分は画像形成領域として機能する。
【0035】
パトローネ支持部20は、ハウジング10の上部における左側部に配設されている。このパトローネ支持部20は、パトローネ3のスプール3aを回転自在の状態で支持するものであり、ここではフィルム2がパトローネ3から全長に亘って引き出されたあと、スプール3aに係止されているフィルム後端部を切断するカッタ21を含んで構成されている。
【0036】
カッタ21は、パトローネ支持部20に支持されるパトローネ3の下流側であって、第1搬送部30の上流側に配設され、上下2枚刃からなる、いわゆる押し切り型のものである。後述するフィルム後端センサ324によりフィルム2の後端が検出された場合にフィルム搬送路の上下2枚刃のうち、例えば下側の刃が搬送路内に進入することによってフィルム2を押し切るものである。
【0037】
第1搬送部30は、パトローネ支持部20の下流側に配設され、フィルム搬送路に沿ってフィルム2を現像部40まで搬送するものである。具体的には、第1搬送部30は、図2に示すように、フィルム搬送路に沿って配設され、パトローネ3からフィルム2を引き出すように構成された第1搬送ローラ対31を有している。また、この第1搬送部30は、引き出されたフィルム2を現像リール41の外周縁の一箇所に向けて搬送する搬送手段として第2搬送ローラ対32と、その下流側における現像部40近傍に設けられ、各搬送ローラ対31,32によって搬送されるフィルム2を現像部40に導入するための挿入ガイド33とを備えている。
【0038】
そして、この第1搬送部30は、搬送ローラ対32において、フィルムの搬送路が途中で略直角に方向変換されるように構成されている。すなわち、第1搬送部30は、フィルム搬送路の途中に、フィルム2のカール(フィルム2がスプール3aに巻き付けられることによりその長手方向に付与されている反り)方向と逆方向に略直角に屈曲して形成された部位を有する。ここでは、パトローネ支持部20から現像部40に至るフィルム搬送路において、パトローネ支持部20から略水平方向に延び、第2搬送ローラ対32の駆動ローラ321に沿って垂直下方に方向変換して現像部40へ通じるように形成されている。
【0039】
そして、この方向変換部の上流側および下流側に、駆動ローラ321に圧接される従動ローラ322,323が配置され、これらでフィルム2を挟んで搬送するものとなされている。
【0040】
また、従動ローラ322には、その回転及び停止を検出することによりフィルム後端を検出するフィルム後端センサ324が設けられている。このフィルム後端センサ324は、パルスエンコーダ等からなり、搬送ローラ対31の駆動ローラ311、321が回転しているにも拘わらず従動ローラ322が回転していない場合にフィルム2がパトローネ3から全て引き出されたとみなすもので、この検出結果をカッタ21に出力して、カッタ21でフィルム2の後端部を切断するものである。
【0041】
挿入ガイド33は、第1搬送部30から現像部40へのフィルム2の受け渡しを円滑に行うべくフィルム2の先端部をガイドするものである。この挿入ガイド33は、上流端部を中心に搬送方向と直交する方向(フィルム2の厚み方向)に揺動可能に構成されている。
【0042】
ここで、図5は、挿入ガイド33、現像部40、排出ガイド51、液排出部90を示す分解斜視図である。具体的には、挿入ガイド33は、図5に示すように、上流端部を中心に搬送方向と直交する方向(フィルム2の厚み方向)に揺動可能に構成された挿入ガイド本体33aと、この挿入ガイド本体33aを揺動させる図略のガイド揺動機構とを備え、挿入ガイド本体33aは、上流端部に揺動中心軸331aが設けられフィルム搬送路の一面側を形成する第1揺動部材331と、この第1揺動部材331に対向して配置され第1揺動部材331とともにフィルム搬送路を形成する第2揺動部材332と、第1揺動部材331に軸支されるガイド駆動ローラ333と、このガイド駆動ローラ333に圧接され第2揺動部材332に軸支されるガイド従動コロ334と、図略のガイド揺動機構に係合される係合ピン336とを備えている。
【0043】
そして、挿入ガイド本体33aが、ガイド揺動機構に駆動されて、現像リール41にフィルム2を挿入するために適した位置である挿入位置と、現像処理中に現像リール41と干渉しない現像位置と、現像処理後に、現像後のフィルム2を排出するために適した排出位置とに位置変更可能に構成されている。
【0044】
現像部40は、図1および図2に示すように、第1搬送部30の下流側に配設され、フィルム乳剤面内の感光剤と複数の処理液とを反応させることによりフィルム2を現像するものである。特に、この現像部40は、第1搬送部30から搬送されてきたフィルム2をその全長に亘って螺旋状に丸めた状態で収容し、順次処理液を入れ換えてフィルム2を1本毎に現像処理するべく構成されている。
【0045】
すなわち、現像部40は、図5に示すように、第1搬送部30から搬送されてきたフィルム2を所定ピッチで螺旋状に巻回し収容する現像リール41と、複数の処理液が順次入れ換え供給されるとともに、供給される処理液中に現像リール41の一部が浸漬可能に構成された現像タンク42と、現像リール41をそのリール中心軸413周りに回転させる現像リール駆動部43とを備え、この現像リール駆動部43によって現像リール41がリール中心軸回りに回転駆動されることにより現像リール41に収容されたフィルム2をその全長に亘って現像タンク42内に充填される処理液中に浸漬させて現像処理するものである。
【0046】
そして、この現像部40においては、フィルム2を現像して色画像を形成するための発色現像液(以下、「CD液」という)と、銀画像などの銀をハロゲン化銀などの銀塩に変えるための漂白液(以下、「BL液」という)と、フィルム乳剤面に残存しているAgXを溶解除去して光に対して安定化させるための定着液(以下、「FIX液」という)と、色画像を安定化させるための安定液(以下、「STB液」という)とを順次供給、排出することにより、フィルム2をその全長に亘って各処理液に浸漬させて現像処理している。
【0047】
図6〜図10を参照して、本発明の実施形態に係る現像リール41の詳細について説明する。図6は、現像リール41の構成を示す正面図であり、図7は、図6のA−A矢視図を、図8は、フィルムガイド溝412aの構成を示す断面図である。また、図9は、現像リール41の側板412を内側から見た図を、それぞれ示している。また、図10は、現像リール41のフィルムガイド溝412aの構成を示す正面図である。
【0048】
これらの図に示すように、現像リール41は、略フィルム幅だけ離間して並設される略円板状の側板412の各対向面に、外周縁の一箇所に設けられたフィルム挿入口411から中心に向けて、フィルム2の幅方向端部を支持する螺旋状のガイド部が少なくともフィルム長だけ形成されたものであり、フッ素樹脂の材料で構成されている。この現像リール41は、側面視略円形状に形成され、フィルム挿入口411を通じて押し込み挿入されたフィルム2を螺旋状に巻回し、かつ、収容保持する。
【0049】
具体的に説明すると、現像リール41は、フィルム2の略幅寸法だけ離間して並設され、各々対向する内面にフィルム挿入口411に連通する螺旋状のフィルムガイド溝412a(ガイド部に相当する)が形成された側板412と、この側板412の内径口412b(図5)を貫通することにより両側板412の間隔を保持するとともに、側板412を供回りさせるリール中心軸413とを備え、各フィルムガイド溝412aにフィルム2の幅方向端部をそれぞれ係止することによりフィルム2を保持するものである。
【0050】
側板412の外周縁に設けられたフィルム挿入口411は、側板412の略接線方向に開口しているとともに、その開口縁から所定の長さに亘って外周縁方向に拡開するロート状に形成され、フィルム2が挿入され易くなされている。側板412のフィルムガイド溝412aは、所定ピッチ、すなわち螺旋の径方向に隣接するフィルムガイド溝412a間の間隔が所定の間隔となるように形成されている。
【0051】
このフィルムガイド溝412a(ガイド部に相当する)は、その全長が長尺寸法を有するサイズのフィルム2の略全長を支持可能に構成される。そして、この径方向に隣接するフィルムガイド溝412aには、側板412の外面側から処理液を導入するための通液孔412cが適宜間隔置きに側板412を貫通して形成されている。
【0052】
また、このフィルムガイド溝412aは、図8に示すように、側板412の径方向内側と外側とに相対向して形成される内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとを有している。これら内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、現像リール41への巻き取りをスムーズにして、フィルム2がフィルムガイド溝412aの途中で引っかかる事故を防止するために、フィルム2面とガイド面との摩擦抵抗を減じる手段として、それぞれフィルム面に対して傾斜するとともに、フィルムから遠ざかるにつれて相互の間隔が漸次減少するようなテーパー状に形成されている。本実施形態では、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、それぞれフィルム2の面に対して約2度の傾き角度を有している。
【0053】
また、現像リール41のフィルムガイド溝412aには、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとに亘り、側板412の面方向へのフィルム端の変位を規制する一対の底壁ガイド面412gが、フィルムガイド溝412aの当該ガイド面にわたって離散的に設けられている。これら一対の底壁ガイド面412gは、特にフィルム2の先端がこの底壁ガイド面412gの現像リールへの巻き取りをスムーズにして、途中で引っかかるという事故を防止するために、フィルム2面とガイド面との摩擦抵抗を減じる手段として、フィルムガイド溝412aの渦中心軸に向かって漸次、深底になっている。
【0054】
さらに、これら内側ガイド面412dと外側ガイド面412eと底壁ガイド面412gとからなるフィルムガイド溝412aは、側板412と一体にフッ素樹脂で形成されているので、フィルムに対する摩擦抵抗がより少なく、現像リール41への巻き取りをよりスムーズにしている。また、ガイド部の撥水性が向上し、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとが処理液で濡れにくくなる結果、フィルム2がガイド面412d、412eに貼り付くことが効果的に防止されるようになる。
【0055】
現像リール駆動部43(現像リール駆動手段に相当する)は、図5に示すように、ハウジング10(図1)の適所に軸支されたリール中心軸413に直結されるステッピングモータ等の駆動モータとして構成され、現像リール41をリール中心軸413周りにフィルムガイド溝412aの中心側の起点から外側に向かう螺旋方向に対して正逆回転駆動させるものである。この現像リール駆動部43は、現像処理中に現像リール41を所定の回転速度で回転させるように設定される。なお、挿入ガイド33から現像リール41へのフィルム2の受け渡し、現像後のフィルム2を現像リール41から排出ガイド51への受け渡しを実行する際には、現像リール駆動部43は、所定の位置に現像リール41を固定する。
【0056】
なお、リール中心軸413または駆動モータの回転軸の適所には、ロータリーエンコーダ、或いは現像リール駆動部43の回転基準位置を検出するフォトセンサ等の回転位置検出手段が設けられており、この検出結果を用いて現像リール41に対するそれぞれの状態での停止位置が、制御されるようになっている。
【0057】
また、現像リール駆動部43からリール中心軸413に駆動力を伝達する構造は、上記のように、現像リール駆動部43としての駆動モータの出力軸をリール中心軸413に直結する場合の他、歯車列等によって間接的に連結するものであってもよい。
【0058】
現像タンク42は、現像リール41の下方にハウジング10に固定された状態で配設され、現像リール41に収容されたフィルム2を現像するために、液供給部70(図1)から供給された処理液を貯留するためのものである。現像タンク42は、現像リール41の側板412が略直立した状態で現像リール41の少なくとも一部を収容するように構成されている。すなわち、現像リール41の外周形状に対応して円弧形状に曲成された所定幅を有する底壁部421と、この底壁部421の幅方向両端部に各々対向して形成された側壁部422とを備え、その上端開口部に外側に向かって延出するフランジ部423が形成されている。対向する側壁部422のうち一方側の側壁部422には、上記液供給部70から処理液を導入するための液供給口424が側壁部422を貫通して形成されている。この液供給口424は、現像タンク42内に供給された処理液の液面よりも高い位置に形成されている。
【0059】
一方、底壁部421には、その最下位置に現像タンク42内に貯留されている処理液等を排出する液排出口425a,425bが設けられている。なお、液排出口425a,425bの一方は、CD液の排出経路を他の処理液と異ならせるためのものである。このようにCD液について、排出経路を異ならせることにより、CD液に含有される銀を容易に回収して再利用することができる。
【0060】
上記構成の現像部40で現像処理が完了したフィルム2は、この現像部40から第2搬送部50(図1)を通って乾燥部60に搬送される。
【0061】
第2搬送部50は、図1および図2に示すように、現像部40の下流側に配設され、略水平方向に延びるフィルム搬送路に沿ってフィルム2を乾燥部60まで搬送するものである。具体的には、第2搬送部50は、その上流部に配設された排出ガイド51とスクイズローラ対52とを備えている。
【0062】
排出ガイド51は、現像部40から第2搬送部50へのフィルム2の受け渡しを円滑に行うためフィルム2の先端部をガイドするものである。
【0063】
この排出ガイド51は、図5に示すように、フィルム導入口515の開口高さ(フィルム搬送方向に直交する高さ方向)が拡開するとともに、現像リール41に近接する方向にスライド移動するものとなされている。具体的には、排出ガイド51は、下流端部を中心に搬送方向と直交するフィルム2の厚み方向に揺動可能に構成された排出ガイド本体51aと、この排出ガイド本体51aを揺動させる図略のガイド揺動機構とを備え、ガイド揺動機構を駆動させて排出ガイド本体51aを位置変更させるべく構成されている。
【0064】
排出ガイド本体51aは、その下流端部に揺動中心軸511aが設けられるとともにフィルム搬送路の一面側(図では上面側)を形成する第1揺動部材511と、第1揺動部材511と対向して配置され第1揺動部材511とともにフィルム搬送路を形成する第2揺動部材512と、第1揺動部材511および第2揺動部材512にそれぞれ軸支され共通の駆動手段によって回転駆動されるガイド駆動ローラ対513とを備える。
【0065】
第1揺動部材511は、フィルム搬送路に沿って略水平方向に延び、その下流端部に設けられた揺動中心軸511aによって下方に付勢された状態で、ハウジング10の適所に軸支され、揺動するものとなされている。
【0066】
第2揺動部材512は、第1揺動部材511に沿って略水平方向に延び、その下流端部に設けられた図略の揺動中心軸によって揺動自在で、かつ、搬送方向に沿ってスライド可能にハウジング10の適所に支持されている。この第2揺動部材512は、フィルム2の現像処理面側を受ける底壁部5121と、この底壁部5121の幅方向両端部から第1揺動部材511の方向に延びる側壁部5122とを有し、この側壁部5122が第1揺動部材511に向かうにつれて外側に拡がるテーパー状に形成され、これにより、現像リール41に収容されているフィルム2の後端部が案内されてフィルム2の姿勢を矯正しつつ確実にフィルム2が現像リール41から引き出される。
【0067】
ガイド駆動ローラ対513は、上側の駆動ローラが第1揺動部材511に軸支される一方、下側の駆動ローラがハウジング10(図1)の適所に軸支され、第1揺動部材511の揺動に伴って接離するものとなされている。そして、ガイド駆動ローラ対513の両ローラが離間して現像リール41からフィルム2が受け渡され、この受け渡し後に、ガイド駆動ローラ対513の両ローラが圧着され、これによりフィルム2が挟まれて搬送されるものとなされている。
【0068】
一方、スクイズローラ対52は、図1に示すように、第2搬送部50における下流端部に設けられ、フィルム2の乳剤面や非乳剤面に残存している各種処理液を除去するものである。また、このスクイズローラ対52は、乾燥部60にフィルム2を押し込み搬送する搬送ローラとしても機能するものであり、各ローラは例えば共通の駆動手段によって回転駆動するものとなされている。
【0069】
つぎに、乾燥部60について説明する。乾燥部60は、図1および図2に示すように、第2搬送部50の下流側、詳しくはスクイズローラ対52の下流側に配設され、現像後のフィルム2を所定ピッチで螺旋状に巻回した状態で収容して、この収容状態でフィルム2を乾燥させるものである。具体的には、乾燥部60は、第2搬送部50から搬送されてきたフィルム2を所定ピッチで螺旋状に巻回し収容する乾燥リール61と、この乾燥リール61の背面側に配設されたヒータ付き送風ファン62とを備え、乾燥リール61によって保持されているフィルム2間に温風を吹き込むことによりフィルム2を乾燥させるものである。
【0070】
ここで、乾燥部60の温度制御方法について簡単に説明する。乾燥部60には、乾燥リール61内の雰囲気温度を測定する温度センサ(図示省略)が配設されており、この温度センサによる測定温度を用いて、ヒータ付き送風ファン62の動作が制御される。例えば、温度センサによる測定温度が60℃以下の場合には、ヒータ及び送風ファン62が連続して「ON」状態とされ、温度センサによる測定温度が60℃超で80℃未満の場合には、ヒータ及び送風ファン62が間欠的に「ON」状態とされ(例えば、1秒毎に「ON」状態と「OFF」状態とを切換え)、温度センサによる測定温度が80℃以上の場合には、ヒータ及び送風ファン62が「OFF」状態とされる。このような制御を行うことにより、乾燥リール61内の雰囲気温度が略60〜80℃の範囲に制御されるため、フィルム2を好適に乾燥することが可能となる。なお、上述の乾燥リール61内の雰囲気温度の温度制御は、後述する制御部100によって行われる。
【0071】
この乾燥部60で乾燥されたフィルム2は、乾燥リール61ごと、ハウジング10に設けられた蓋体12を開放することにより開口する取出口を通じて取り出される。
【0072】
ここで、図3と図4とを用いて、現像タンク42に処理液等を供給する液供給部70、及び、現像タンク42に貯留されている処理液等を外部へ排出する液排出部90(図4)について説明する。図3は、液供給部70を示す概略斜視図であり、図4は、液供給部70および液排出部90を示す概略正面図である。
【0073】
液供給部70(処理液供給手段に相当する)は、現像リール41が1回転する間にフィルムガイド溝412aの内端が処理液中に浸漬される深さに、処理液を現像タンク42に充填するものである。この液供給部70は、各種処理液等が充填される複数の補充タンク712〜716からなるタンク部71と、このタンク部71の補充タンク712〜716をタンク毎に保持するタンク保持部72(図4)と、タンク部71の各補充タンク712〜716から吐出される各種処理液等を一時的に貯留するサブタンク部73(図4)と、サブタンク部73に貯留される各種処理液を現像タンク42に供給する液供給ホース74と、液供給ホース74による供給流路を開閉する第1流路開閉機構75と、液供給ホース74の途中に設けられ供給する処理液を温める液加熱用ヒータ78とを備える。また、この液供給部70には、サブタンク部73を昇降するサブタンク昇降機構80が設けられている。
【0074】
タンク部71は、CD液が充填されたCD用補充タンク712と、BL液が充填されたBL用補充タンク713と、FIX液が充填されたFIX用補充タンク714と、STB液が充填されたSTB用補充タンク715と、現像処理後にサブタンク部73から現像タンク42に至るまでの流路等を洗浄する洗浄液が充填された洗浄液用補充タンク716とを備える。なお、ここでは洗浄液は水を用いているが、例えば水に洗剤を混入した洗浄液を用いるものであってもよい。
【0075】
処理液が充填される補充タンク712〜715は、複数回(例えば、10回)の現像処理に必要な量の各種処理液が充填可能な容積に形成され、この充填される処理液をサブタンク部73に供給するための液吐出口が設けられる。洗浄液用補充タンク716も、複数回(例えば、10回)の洗浄処理に必要な量の洗浄液が充填可能な容積に形成され、この洗浄液をサブタンク部73に供給するための液吐出口が設けられる。これらの補充タンク712〜716は、液吐出口を最下位置にした姿勢で、充填されている処理液等が全て排出される形状に形成されている。すなわち、この液吐出口には図4に示すように、当該液吐出口を閉塞する状態に付勢された逆止弁79が設けられ、この逆止弁79がサブタンク部73の後述する開弁ピン732b〜736bに押圧されて補充タンク712〜716内部に退入することにより、液吐出口が開口して処理液等がサブタンク部73に供給される。
【0076】
タンク保持部72は、図4に示すように、ハウジング10を利用して形成され、ハウジング10の上面に補充タンク712〜716を露出した状態で各補充タンク712〜716を保持している。また、タンク保持部72は、各種処理液(CD液、BL液、FIX液、STB液)が充填される補充タンク712〜715を保持する高さよりも、洗浄液が充填される補充タンク716を保持する高さを高くするため高さ方向の段差を設けて形成されている。
【0077】
サブタンク部73は、ハウジング10内のタンク部71の下方に設けられ、各補充タンク712〜716から各種処理液および洗浄液を1回分の処理(現像処理或いは洗浄処理)に必要な量だけ一括計量して補充し、これら各種液を一時的に貯留するとともに、第1流路開閉機構75の開閉動作に応じてこの貯留している各種処理液等を順次現像タンク42に供給するものである。
【0078】
ここでは、サブタンク部73を昇降させることによりタンク部71から適量の処理液および洗浄液を補充するとともに、この補充された各種処理液および洗浄液を重力による流下(ここでは、便宜上、自然落下という)によって現像タンク42に供給するべく構成されている。具体的には、サブタンク部73は、サブタンク本体731(図4)と、サブタンク本体731に支持され各補充タンク712〜716毎に対応して設けられた各種サブタンク732〜736とを備える。
【0079】
サブタンク本体731は、図4に示すように、その長手方向両端部に各々上下2本のガイドピン731aを有し、このガイドピン731aがハウジング10に設けられたガイドレール13の高さ方向に細長く形成された長孔に差し込まれることにより、上下昇降可能に支持されている。これらのガイドピン731aのうち下側のガイドピン731aにはそれぞれ回転コロ84が回転自在に支持されており、この回転コロ84がサブタンク昇降機構80の昇降用カム83の外周面に沿って転動することによりサブタンク本体731が昇降動される。
【0080】
サブタンク昇降機構80は、ハウジング10に取り付けられており、ステッピングモータ等により構成される駆動部81と、この駆動部81の出力軸に直結されたカム回転軸82と、このカム回転軸82に取り付けられるとともに外周面がサブタンク本体731の回転コロ84に当接する一対の昇降用カム83とを備える。この昇降用カム83は、カム回転軸82からの距離が少なくとも2段階に分けられたカムノーズを有し、これらのカムノーズが緩やかな曲線によって結ばれることにより形成される。
【0081】
また、サブタンク732〜736のうち洗浄用サブタンク736は、各種処理液が貯留される処理液用サブタンク732〜735よりも高い位置で支持されている。このように洗浄用サブタンク736を高い位置で支持することにより洗浄液用サブタンク736から各処理液用サブタンク732〜735に向けて自然落下により洗浄液を供給することができる。
【0082】
そして、この洗浄液用サブタンク736は、その底面に洗浄液用補充タンク716の逆止弁79を下方から押圧して逆止弁79を開弁させる開弁ピン736bを備えている。この開弁ピン736bにより逆止弁79が開弁されると、補充タンク716の吐出口から洗浄液が洗浄液用サブタンク736に吐出され、洗浄液の液位が補充タンク716の吐出口に達した時点で補充タンク716からの洗浄液の吐出が停止されることになる。すなわち、液位が補充タンク716の吐出口に達すると当該吐出口からの空気の供給が絶たれ、補充タンク716内に負圧が作用することを利用して洗浄液を計量するものであり、洗浄液用サブタンク736に補充する洗浄液の量を考慮してこの開弁ピン736bの高さが設定されている。
【0083】
この洗浄液用サブタンク736は、その底面に現像処理液の数に応じて設けられた排出口を通じて各処理液用サブタンク732〜735に洗浄液を供給するための洗浄液供給ホース77が接続されている。この洗浄液供給ホース77は、可撓性のホース(例えば、塩化ビニル製のホース)が用いられ、側面から外力を作用させることにより圧潰されて内部流路が閉塞されるものである。この洗浄液供給ホース77の途中には、洗浄液供給ホース77による洗浄液流路を開閉する第2流路開閉機構76が設けられ、この第2流路開閉機構76によって流路を開閉することにより洗浄液用サブタンク736から各処理液用サブタンク732〜735に向かって自然落下する洗浄液を流通、停止するものとなされている。
【0084】
ここでは、第2流路開閉機構76は、カム機構を用いて洗浄液供給ホース77にその側面から圧力を作用させることにより洗浄液供給ホース77を圧潰して流路を閉塞するとともに、上記圧力を除くことによって洗浄液供給ホース77の弾性復元により流路を開放する機構を採用している。このカム機構のホース圧潰用カム763は、回転することにより、各処理液用サブタンク732〜735に対応する全て(4本)の洗浄液供給ホース77を押圧板とともに圧潰する姿勢と、全ての洗浄液供給ホース77から離間する姿勢とに切り換え可能に構成され、これにより洗浄液供給ホース77による流路を開閉するものとなされている。
【0085】
この第2流路開閉機構76の下流側で、洗浄液供給ホース77は、各々処理液用サブタンク732〜735に接続されている。そして、1本分のフィルム2の現像処理が終了した後に、第2流路開閉機構76により洗浄液供給ホース77による流路が開放されると、洗浄液が、この洗浄液供給ホース77を通じて各処理液用サブタンク732〜735に供給され、これら各サブタンク732〜735を洗浄した後、後述する各処理液と同様に現像タンク42に導入され、この現像タンク42から外部へ排出される。
【0086】
各処理液用サブタンク732〜735は、その側壁上部に洗浄液を導入する導入口732a〜735a(図4)が設けられ、この導入口732a〜735aに洗浄液供給ホース77が接続されている。また、各処理液用サブタンク732〜735は、その底面に各処理液用補充タンク712〜715の逆止弁79を下方から押圧して逆止弁79を開弁させる開弁ピン732b〜735bが設けられている。これらの開弁ピン732b〜735bにより逆止弁79が開弁されると、補充タンク712〜715の吐出口から各処理液が処理液用サブタンク732〜735に吐出され、各処理液の液位が各補充タンク712〜715の吐出口に達した時点で各補充タンク712〜715からの各処理液の吐出が停止されることになる。従って、処理液用サブタンク732〜735に補充する処理液の量を考慮してこの開弁ピン732b〜735bの高さが設定されている。
【0087】
さらに、各処理液用サブタンク732〜735の底面には、液排出口を通じて各処理液毎の液供給ホース74(図3)に接続されている。
【0088】
液供給ホース74は、可撓性のホース(例えば、塩化ビニル製のホース)が用いられ、側面から外力を作用させることにより圧潰されて内部流路が閉塞されるものである。各処理液の液供給ホース74は、その下流部において合流されており、一本の合流液供給ホース74aをなし、この合流液供給ホース74aの外周部に各処理液を加熱する液加熱用ヒータ78が設けられている。この合流液供給ホース74aは、現像タンク42の液供給口424(図5)に接続され、これによりそれぞれ所定の適温に加熱された処理液が現像タンク42に導入される。
【0089】
この液供給ホース74の合流部の上流側には、各ホース74による液流路を開閉する第1流路開閉機構75が設けられている。この第1流路開閉機構75は、全ての液供給ホース74による流路を閉塞する全閉状態と、各液供給ホース74による流路を個別に開放する個別開放状態とを切り換えることにより、各処理液用サブタンク732〜735から現像タンク42に向かって自然落下する各処理液を流通、停止するものである。
【0090】
ここでは、この第1流路開閉機構75は、カム機構を用いて液供給ホース74にその側面から圧力を作用させることによりホース74を圧潰して流路を閉塞するとともに、上記圧力を除くことによって液供給ホース74の弾性復元により流路を開放する機構を採用している。具体的には、図3および図4に示すように、第1流路開閉機構75は、各液供給ホース74に応じて設けられ回転駆動するコロ押圧用カム751(図3)と、このコロ押圧用カム751の外周面を転動してカム751の回転角度に応じて液供給ホース74を圧潰する圧潰用コロ752と、これら全てのカム751の回転中心であるカム中心軸753と、出力軸がこのカム中心軸753に直結されるステッピングモータ等からなる駆動部754(図4)と、液供給ホース74を挟んで圧潰用コロ752に対向配置され、コロ752との間にホース74を挟んで圧潰する押圧板755(図3)とを備えている。
【0091】
コロ押圧用カム751(図3)は、略円盤体として形成され、その外周面の一部が径方向内側に凹陥してコロ退避部751aが形成されている。このコロ退避部751aは、各コロ押圧用カム751に応じて異なる位相で形成される。従って、カム中心軸753が1回転する内に、各カム751に対応する圧潰用コロ752が順次対応するコロ退避部751aに収容され、これにより液供給ホース74による流路が順次開放される状態となるとともに、全ての圧潰用コロ752が各々コロ退避部751aから外れたカム751の外周面に当接され、これにより全て(4本)の液供給ホース74による流路が閉塞される状態となる。
【0092】
圧潰用コロ752は、コロ押圧用カム751が回転することにより、コロ退避部751aを出入りし、これにより液供給ホース74に対して接離する方向に揺動して、液供給ホース74を圧潰して流路を閉塞する位置と、液供給ホース74への押圧状態を解除して流路を開放する位置とに切り換え可能に構成されている。
【0093】
次に、液排出部90(処理液排出手段に相当する)は、現像処理終了後の各処理液を現像リール41から順次排出するものであり、図4に示すように、現像タンク42に供給された処理液及び洗浄液を廃液ホース91を通じて外部に排出するように構成されている。液排出部90は、ここでは第1流路開閉機構75と同様の構造を有している。すなわち、液排出部90は、現像タンク42の液排出口425a,425b(図5)に接続された一対の廃液ホース91と、この廃液ホース91の途中に設けられ廃液ホース91による流路を開閉する廃液流路開閉機構92とを備え、この廃液流路開閉機構92により一対の廃液ホース91による流路のいずれかを選択して開放し、現像タンク42内の処理液または洗浄液を排出するものである。
【0094】
廃液ホース91は、一本であってもよいが、ここでは特定の処理液(例えばCD液)の廃液経路を他の処理液と異ならせるべく二本設けられている。すなわち、図5に示すように、CD液を排出するための廃液ホース911と、その他の処理液および洗浄液を排出するための廃液ホース912とが設けられている。このようにCD液を排出する廃液ホース911をその他の処理液および洗浄液を排出するための廃液ホース912と異ならせることにより、前記したようにCD液に含まれる銀を再利用することができる。
【0095】
廃液流路開閉機構92は、2本の廃液ホース91による流路を同時に閉塞する全閉状態と、2本の廃液ホース91による流路を別々に開放する個別開放状態と、2本の廃液ホース91による流路を同時に開放する全開状態とを切り換えることにより、現像タンク42から外部に自然落下する各処理液等を流通、停止するものである。ここでは、この廃液流路開閉機構92は、カム機構を用いて廃液ホース91にその側面から圧力を作用させることにより廃液ホース91を圧潰して流路を閉塞するとともに、上記圧力を除くことによって廃液ホース91の弾性復元により流路を開放する機構を採用している。
【0096】
次に、フィルム現像装置1の作用について説明する。図11〜図12は、フィルム現像装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、図11は、フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートの前半部を、図12は、フィルム現像装置1の動作の一例を示すフローチャートの後半部をそれぞれ示している。
【0097】
なお、以下の動作は、CPU,ROM,RAM等を備え、パーソナルコンピュータ等からなる制御部100(図2)によって行われる。具体的には、予めROM(又はRAM)に記憶されているプログラムがCPUによって実行されることによって、フィルム現像装置全体の動作が制御される。
【0098】
ただし、図1〜図5における、各可動部材の位置及び各種タンクの位置は、下記の状態に初期設定されているものとする。すなわち、カッタ21は、下限位置にあり、挿入ガイド33はフィルム2を挿入するために適した位置である挿入位置にセットされている(排出ガイド51は、待避位置にある)。現像リール41、送風ファン62は、停止状態であり、液加熱用ヒータ78はOFF状態である。また、洗浄液供給ホース77、液供給ホース74、廃液ホース91は全て閉状態であり、現像タンク42は空の状態である。そして、サブタンク本体731は、下限位置にあり、サブタンク本体731は空の状態である。さらに、パトローネ3に格納されたフィルム2がハウジング10の蓋体11を開放してパトローネ支持部20にセットされ、フィルム2の先端がパトローネ3から引き出されて第1搬送ローラ対31に挟み込まれているものとする。
【0099】
まず、ハウジング10の適所に配設された押しボタンスイッチ(図示省略)がONされたか否かの判定が行われる(ステップS101)。ONされたのではないと判定された場合(ステップS101でNO)には、処理が待機状態とされる。ONされたと判定された場合(ステップSでYES)には、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が開始され、フィルム2がパトローネ3から引き出されて現像リール41への搬送が開始される(ステップS103)とともに、図13を用いて後述する現像準備処理が開始される(ステップS102)。そして、フィルム後端センサ324によってフィルム2の後端が検出された(フィルム2が後端までパトローネ3から引き出された)か否かの判定が行われる(ステップS105)。具体的には、第2搬送ローラ対32の駆動ローラ321が回転しているにも拘わらず従動ローラ322の回転が停止しているか否かをフィルム後端センサ324で検出し、従動ローラ322の回転が停止している場合にフィルムの後端を検出する。
【0100】
フィルム2の後端が検出されていないと判定された場合(ステップS105でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が検出されたと判定された場合(ステップS105でYES)には、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が停止され、フィルム2の現像リール41への搬送が停止される(ステップS107)。そして、カッタ21の下刃が上昇され、フィルム2の後端部がカットされる(ステップS109)。次いで、駆動ローラ311、321及びガイド駆動ローラ333の駆動が再度開始され、フィルム2の現像リール41への搬送が再開される(ステップS111)。
【0101】
つぎに、カッタ21によってカットされたフィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したか否かの判定が行われる(ステップS113)。なお、フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したか否かの判定は、例えば、フィルム搬送路に出没自在な作用杆を有する検出スイッチ等を配設して、このスイッチからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達していないと判定された場合(ステップS113でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が挿入ガイド33の位置に到達したと判定された場合(ステップS113でYES)には、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間T1(例えば、10秒)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS115)。所定時間T1が経過していないと判定された場合(ステップS115でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間T1が経過したと判定された場合(ステップS115でYES)には、第1搬送部30の各駆動ローラ311、321の駆動が停止されて、フィルムガイド溝412aの螺旋方向と反対方向(図2で反時計回り)に現像リール41の回転が開始される(ステップS117)。
【0102】
そして、この現像リール41が回転されるのと略同時に、挿入ガイド33及び排出ガイド51が、初期位置である挿入位置から現像位置(挿入ガイド33及び排出ガイド51が待避した位置)に移動される(ステップS119)。
【0103】
次いで、ステップS119及びステップS102の処理が終了すると、図14を用いて後述する現像処理が開始される(ステップS121)とともに、図16を用いて後述する洗浄準備処理が開始される(ステップS122)。つぎに、現像処理が終了すると、図12に示すように、現像リール41の回転が停止される(ステップS123)。そして、排出ガイド51が排出位置へ移動される(ステップS125)。
【0104】
続いて、現像リール41が現像処理中と反対方向、すなわちフィルムガイド溝412aの螺旋方(図2で時計回り)に回転される(ステップS127)。この現像リール41の回転過程で、現像リール41のフィルム挿入口411から突出するフィルム後端部(以降、このフィルム2の後端部が搬送方向先端部となるので以下フィルム2の「先端部」と称す)が排出ガイド51の第2揺動部材512に係止される。そして、フィルム2の先端が排出ガイド51の上(第2揺動部材512の上)に有る(排出ガイド51上へフィルム2の頭出しが完了した)か否かの判定が行われる(ステップS129)。なお、フィルム2の先端が排出ガイド51上に載置されたか否かの判定は、例えば、排出ガイド51の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の先端が排出ガイド51の上にはないと判定された場合(ステップS129でNO)には、現像リール41の回転が継続される。フィルム2の先端が排出ガイド51の上に有ると判定された場合(ステップS129でYES)には、現像リール41の回転が停止される(ステップS131)。この現像リール41の回転が停止された状態では、そのフィルム挿入口411が排出ガイド51のフィルム導入口515に略対向する位置(より詳しくはフィルム挿入口411が上記対向位置よりも若干現像リール41の回転方向下流側に寄った位置)にある。
【0105】
そして、挿入ガイド33および排出ガイド51が排出位置から挿入位置に移動され、これにより排出ガイド51の第1揺動部材511が圧着される(ガイド駆動ローラ対513によってフィルム2の先端が挟持される)(ステップS133)。ここで、第1揺動部材511が圧着されると、ガイド駆動ローラ対513も圧接され、これによりフィルム2を挟んで、フィルム2の幅方向端部を現像リール41のフィルムガイド溝412aから引き剥がしながら、フィルム2を現像リール41から排出し、次のスクイズローラ対52に向かって搬送される。
【0106】
次いで、ガイド駆動ローラ対513、スクイズローラ対52が回転駆動されて、フィルム2の現像リール41から乾燥リール61への搬送が開始される(ステップS135)。
【0107】
そして、フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したか否かの判定が行われる(ステップS137)。なお、フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したか否かの判定は、例えば、乾燥リール61の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。フィルム2の先端が乾燥リール61に到達していないと判定された場合(ステップS137でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の先端が乾燥リール61に到達したと判定された場合(ステップS137でYES)には、乾燥用ヒータ及びファンがONされる(ステップS139)。そして、フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したか否かの判定が行われる(ステップS141)。なお、フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したか否かの判定は、例えば、乾燥リール61の適所にフィルム2の有無を検出する光学式のセンサ(例えば、透過型フォトインタラプタ)を配設して、このセンサからの信号を用いて行うことができる。或いは、先端を検出する上述のセンサでフィルムの後端の通過を検出することで行ってもよい。フィルム2の後端が乾燥リール61に到達していないと判定された場合(ステップS141でNO)には、搬送処理が継続される。フィルム2の後端が乾燥リール61に到達したと判定され(ステップS141でYES)、かつ、ステップS122の処理が終了した場合には、ガイド駆動ローラ対513、スクイズローラ対52の駆動が停止され、フィルム2の現像リール41から乾燥リール61への搬送が停止される(ステップS143)。
【0108】
そして、図17を用いて後述する洗浄処理が開始される(ステップS149)とともに、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間T2(例えば、30秒:フィルム2の乾燥に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS145)。所定時間T2が経過していないと判定された場合(ステップS145でNO)には、乾燥処理が継続される。所定時間T2が経過したと判定された場合(ステップS145でYES)には、乾燥用ヒータ及びファンがOFFされ(ステップS147)、処理が終了される。乾燥処理が終了したフィルム2は、乾燥リール61に巻取られた状態で、作業者により蓋体12が開放されて取り出される。
【0109】
図13は、図11に示すフローチャートのステップS102で行われる現像準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。現像準備処理は、サブタンク本体731を昇降させることによって、CD用補充タンク712、BL用補充タンク713、FIX用補充タンク714、STB用補充タンク715及び洗浄液用補充タンク716から、それぞれ、サブタンク本体731を構成するCD用サブタンク732、BL用サブタンク733、FIX用サブタンク734、STB用サブタンク735及び洗浄液用サブタンク736に、所定量(例えば、CD用サブタンク732、BL用サブタンク733、FIX用サブタンク734及びSTB用サブタンク735には、それぞれ50ml、洗浄液用サブタンク736には、50ml)の液体を補給する処理である。
【0110】
まず、洗浄液供給ホース77、液供給ホース74が全て閉状態にされる(ステップS201)。そして、サブタンク昇降機構80を用いてサブタンク本体731の上昇が開始される(ステップS203)。そして、サブタンク本体731が上限位置に到達したか否かの判定が行われる(ステップS205)。サブタンク本体731が上限位置に到達していないと判定された場合(ステップS205でNO)には、上昇処理が継続される。サブタンク本体731が上限位置に到達したと判定された場合(ステップS205でYES)には、サブタンク昇降機構80を用いてサブタンク本体731の下降が開始される(ステップS207)。
【0111】
そして、サブタンク本体731が下限位置に到達したか否かの判定が行われる(ステップS209)。サブタンク本体731が下限位置に到達していないと判定された場合(ステップS209でNO)には、下降処理が継続される。サブタンク本体731が下限位置に到達したと判定された場合(ステップS209でYES)には、サブタンク本体731の下降が停止される(ステップS211)。そして、廃液ホース91が全て閉状態とされ(ステップS213)、処理がリターンされる。
【0112】
図14〜図15は、図11に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートである。現像処理は、CD,BL,FIX,STBの順に処理液を現像タンク42に供給し、フィルム2を各処理液に浸漬させて各処理液とフィルム2の乳剤とを反応させる処理である。なお、図14〜図15に示す詳細フローチャートの処理が始まる前に、図11に示すフローチャートのステップS117において、現像リール41の回転が開始されている。
【0113】
まず、CD供給ホース742が開状態とされる(ステップS301)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS1(例えば、195秒:CD用サブタンク732から現像タンク42へのCD液の流下、及び、フィルム2の乳剤とCD液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS303)。所定時間TS1が経過していないと判定された場合(ステップS303でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TS1が経過したと判定された場合(ステップS303でYES)には、CD用廃液ホース911が開状態とされ(ステップS305)、現像タンク42からCD液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR1(例えば、5秒:現像タンク42からのCD液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS307)。所定時間TR1が経過していないと判定された場合(ステップS307でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR1が経過したと判定された場合(ステップS307でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS309)。
【0114】
つぎに、BL供給ホース743が開状態とされる(ステップS311)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS2(例えば、69秒:BL用サブタンク733から現像タンク42へのBL処理液の流下、及び、フィルム2の乳剤とBL液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS313)。所定時間TS2が経過していないと判定された場合(ステップS313でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TS2が経過したと判定された場合(ステップS313でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS315)、現像タンク42からBL液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR2(例えば、5秒:現像タンク42からのBL液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS317)。所定時間TR2が経過していないと判定された場合(ステップS317でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR2が経過したと判定された場合(ステップS317でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS319)。
【0115】
つぎに、図15に示すように、FIX供給ホース744が開状態とされる(ステップS321)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS3(例えば、138秒:FIX用サブタンク734から現像タンク42へのFIX液の流下、及び、フィルム2の乳剤とFIX液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS323)。所定時間TS3が経過していないと判定された場合(ステップS323でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TS3が経過したと判定された場合(ステップS323でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS325)、現像タンク42からFIX液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR3(例えば、5秒:現像タンク42からのFIX液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS327)。所定時間TR3が経過していないと判定された場合(ステップS327でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR3が経過したと判定された場合(ステップS327でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされる(ステップS329)。
【0116】
つぎに、STB供給ホース745が開状態とされる(ステップS331)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS4(例えば、142秒:STB用サブタンク735から現像タンク42へのSTB液の流下、及び、フィルム2の乳剤とSTB液との反応に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS333)。所定時間TS4が経過していないと判定された場合(ステップS333でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TS4が経過したと判定された場合(ステップS333でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされ(ステップS335)、現像タンク42からSTB液が排出される。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TR4(例えば、5秒:現像タンク42からのSTB液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS337)。所定時間TR4が経過していないと判定された場合(ステップS337でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TR3が経過したと判定された場合(ステップS337でYES)には、廃液ホース91(CD用廃液ホース911及びCD以外用廃液ホース912)が閉状態とされ(ステップS339)、処理がリターンされる。
【0117】
図16は、図11に示すフローチャートのステップS122で行われる洗浄準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。洗浄準備処理は、サブタンク本体731、現像タンク42、現像リール41等に付着した処理液を洗浄する処理である洗浄処理の準備をする処理である。まず、液供給ホース74が全て閉状態とされる(ステップS401)。そして、洗浄液供給ホース77が開状態とされ(ステップS403)、洗浄液用サブタンク736からCD用サブタンク732、BL用サブタン733、FIX用サブタンク734及びSTB用サブタンク735への洗浄液の流下が開始される。次いで、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TS5(例えば、15秒:洗浄液用サブタンク736からCD用サブタンク732、BL用サブタン733、FIX用サブタンク734及びSTB用サブタンク735への洗浄液の流下に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS405)。所定時間TS5が経過していないと判定された場合(ステップS405でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TS5が経過したと判定された場合(ステップS405でYES)には、洗浄液供給ホース77が閉状態とされ(ステップS407)、処理がリターンされる。
【0118】
図17は、図12に示すフローチャートのステップS149で行われる洗浄処理の一例を示す詳細フローチャートである。洗浄処理は、サブタンク本体731、現像タンク42、現像リール41等に付着した処理液を洗浄する処理である。まず、現像リール41の時計回りの回転が開始される(ステップS501)。そして、液供給ホース74(CD供給ホース742、BL供給ホース743、FIX供給ホース744及びSTB供給ホース745)が開状態とされる(ステップS503)。次に、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TC1(例えば、30秒:CD用サブタンク732、BL用サブタン733、FIX用サブタンク734及びSTB用サブタンク735から現像タンク42への洗浄液の流下、及び、現像タンク42等の洗浄に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS505)。所定時間TC1が経過していないと判定された場合(ステップS505でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TC1が経過したと判定された場合(ステップS505でYES)には、CD以外用廃液ホース912が開状態とされる(ステップS507)。そして、制御部100に配設されたタイマー等によって計時が開始され、予め設定された所定時間TC2(例えば、10秒:現像タンク42からの洗浄液の流出に要する時間)が経過したか否かの判定が行われる(ステップS509)。所定時間TC2が経過していないと判定された場合(ステップS509でNO)には、処理が待機状態とされる。所定時間TC2が経過したと判定された場合(ステップS509でYES)には、現像リール41の回転が停止され(ステップS511)、処理が終了される。
【0119】
上記の構成のフィルム現像装置1によれば、現像リール41に収容された1本のフィルム2を処理するに必要なだけの処理液をその都度、現像リール41に供給するだけでよいので、処理液の劣化を判断したり、処理可能なフィルム2の本数を計数したり、処理液の交換時期を判断するなどの液管理が不要になる。
【0120】
また、処理すべきフィルム2の本数が少ない場合でも、本数に応じた量の処理液を消費するだけでよいので、無駄に浪費される処理液の量を少なくすることができる。
【0121】
さらに、現像リール41に渦巻き状に収容されるフィルム2の面間のピッチを現像品質に影響を受けない程度まで小さくすることにより、現像リール41を小型化することができるので、装置全体を大幅に小型化するとともに、各処理液の量を大幅に低減することができる。
【0122】
また、上記の構成のフィルム現像装置1によれば、現像リール41のガイド部の内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとが、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されているので、フィルム面とそれぞれのガイド面412d、412eとが略点接触で接する結果、フィルム2のパフォーレーションに発生した小さなバリや割れがガイド部に引っかかって現像ムラが生じたりするなどの事故を効果的に防止することができる。また、このようにフィルム面とそれぞれのガイド面412d、412eとが略点接触で接するようにすることで、フィルム面とガイド面412d、412eとの摩擦抵抗が大幅に減じられ、フィルム2の現像リール41への挿入をスムーズにすることができるようになる。
【0123】
特に、複数のフィルム2を連続処理する時などは、現像リール41が濡れているために、フィルム2がガイド面412d、412eに貼り付く傾向があり、摩擦抵抗が大きくなる。このような場合、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとが、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されることは、フィルム面をガイド面412d、412eから離して略点接触で接するようにするので、フィルムがガイド面412d、412eに貼り付くことを防止してフィルム面とガイド面412d、412eとの摩擦抵抗を減じる効果が大である。
【0124】
さらに、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとを、テーパー状に形成することは、フィルム2の両端部に設けられている、フィルム2の種別を表すバーコード部に対しても処理液を循環させることが可能になるので、このバーコード部の部分を現像することもできるようになる。
【0125】
上記の構成のフィルム現像装置1によれば、底壁ガイド面412gが、当該ガイド面にわたって離散的に設けられているので、僅かに蛇行しながらガイド部の渦中心軸に向かって挿入されるフィルム2と、離散的に設けられている底壁ガイド面412gとが、略点接触となる結果、底壁ガイド面が連続的に設けられている場合と比較して、より摩擦抵抗を軽減することができ、フィルム2の現像リール41への巻き取りをスムーズに行うことができる。
【0126】
また、底壁ガイド面412gが、ガイド部の渦中心軸に向かって漸次、深底になっているので、特にフィルム2の先端が底壁ガイド面412gの途中で引っかかるという事故を未然に防止することができ、フィルムの現像リールへの巻き取りを、よりスムーズに行うことができる。
【0127】
さらに、上記の構成のフィルム現像装置1によれば、現像リール41のガイド部が、フッ素樹脂で形成されているので、ガイド部の撥水性が向上し、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとが処理液で濡れにくくなる結果、フィルム2がガイド面412d、412eに貼り付くことが効果的に防止されるようになる。
【0128】
なお、本発明のフィルム現像装置1の具体的構成は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。例えば、次のように変更することができる。
【0129】
(1)本発明の実施の形態に係るフィルム現像装置1は、図示のような、ハウジング10と、パトローネ支持部20と、第1搬送部30と、第2搬送部50と、乾燥部60とを備えたものに限定されない。これらハウジング10と、パトローネ支持部20と、第1搬送部30と、第2搬送部50と、乾燥部60とは、それぞれ種々の設計変更が可能である。
【0130】
(2)また、現像リール41において、側板412の通液孔412cは、必ずしも必須ではない。例えば、僅かな間隙からでもフィルム面に対して処理液を循環することが可能な現像リール41であれば、側板412の通液孔412cを省略することも可能である。
【0131】
(3)また、側板412に設けられたフィルムガイド溝412aは、必ずしも所定の等ピッチである必要はない。例えば必要に応じて現像リール41の中心軸に向かうほど、ピッチを大きくするなどの変更が可能である。
【0132】
(4)フィルムガイド溝412aの内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、本実施形態では、それぞれフィルム2の面に対して約2度の傾き角度でフィルムから遠ざかるにつれて相互の間隔が漸次減少するようなテーパー状に形成されているが、必ずしも約2度の傾きに限定されない。傾き角度は設計変更可能である。また、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、本実施形態のように、フィルムから遠ざかるにつれて相互の間隔が漸次減少するようなテーパー状に限定されない。例えば、図18は、フィルムガイド溝412aの変形例を示す断面図である。このようにフィルム2の面に対して傾斜したものであれば、内側ガイド面412dと外側ガイド面412eとは、フィルムから遠ざかるにつれて相互の間隔が漸次増加するようなテーパー状に形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る現像リールを採用したフィルム現像装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】同実施形態の概略正面図である。
【図3】同実施形態の液供給部を示す概略斜視図である。
【図4】同実施形態の液供給部、液排出部の構成を示す概略正面図である。
【図5】同実施形態の挿入ガイド、現像部、排出ガイド、液排出部を示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係る現像リールの構成を示す正面図である。
【図7】図6のA−A矢視図である。
【図8】フィルムガイド溝の構成を示す断面図である。
【図9】現像リールの側板を内側から見た図である。
【図10】現像リールのフィルムガイド溝の構成を示す正面図である。
【図11】フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートの前半部である。
【図12】フィルム現像装置の動作の一例を示すフローチャートの後半部である。
【図13】図11に示すフローチャートのステップS102で行われる現像準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図14】図11に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートの前半部である。
【図15】図11に示すフローチャートのステップS121で行われる現像処理の一例を示す詳細フローチャートの後半部である。
【図16】図11に示すフローチャートのステップS122で行われる洗浄準備処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図17】図11に示すフローチャートのステップS149で行われる洗浄処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図18】フィルムガイド溝の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0134】
1 フィルム現像装置
2 フィルム
3 パトローネ
41 現像リール
412 側板
412a フィルムガイド溝(ガイド部)
412d 内側ガイド面
412e 外側ガイド面
412g 底壁ガイド面
42 現像タンク
43 現像リール駆動部(現像リール駆動手段)
70 液供給部(処理液供給手段)
90 液排出部(処理液排出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフィルムと処理液とを接触させることで現像を行うフィルム現像装置において、
略フィルム幅だけ離間して並設される略円板状の側板の各対向面に、外周縁の一箇所から中心に向けて、フィルムの幅方向端部をガイドする螺旋状のガイド部が少なくともフィルム長に対応して形成された現像リールと、
前記側板が略直立した状態で前記現像リールの少なくとも一部を収容する現像タンクと、
前記現像リールをリール中心軸回りに回転駆動させる現像リール駆動手段と、
前記現像リールが1回転する間に前記ガイド部の内端が処理液中に浸漬される深さに、処理液を前記現像タンクに充填する処理液供給手段と、
現像処理終了後の各処理液を前記現像リールから順次排出する処理液排出手段とを備え、
前記現像リールのガイド部は、前記側板の径方向内側と外側とに相対向して前記ガイド部に形成される内側ガイド面と外側ガイド面とを備え、
これら内側ガイド面と外側ガイド面とは、それぞれフィルム面に対して傾斜するように形成されていることを特徴とするフィルム現像装置。
【請求項2】
前記現像リールのガイド部は、内側ガイド面と外側ガイド面とに亘る底壁ガイド面を当該ガイド面にわたって離散的に備え、
前記底壁ガイド面は、摩擦抵抗を減じる手段として、ガイド部の渦中心軸に向かって漸次、深底になっていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム現像装置。
【請求項3】
前記現像リールのガイド部は、フッ素樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のフィルム現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−242998(P2006−242998A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54439(P2005−54439)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】