説明

フィルム装着容器およびその製造方法

【課題】 筒状の熱収縮性フィルムの窓部を実質的に収縮させることなく、熱収縮性フィルムを容器に装着する方法、および熱収縮性フィルムの窓部の収縮むらを防止したフィルム装着容器を提供する。
【解決手段】 周方向の一部に窓部2を有する筒状の熱収縮性フィルム1を容器3に被せ、その熱収縮性フィルム1の窓部2を除く部分のみに加熱媒体を吹き付けることにより、例えば、スチームトンネル6の片側のスチーム管61のみからスチームを噴出することにより、熱収縮性フィルム1の窓部2を除く部分を収縮させて、容器3に熱収縮性フィルム1を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の熱収縮性フィルムが装着された容器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、清涼飲料水等が充填されたPETボトルや、ビールが充填された瓶容器等の容器には、筒状の熱収縮性ラベルが装着されることが多い。このような熱収縮性ラベルを容器に装着するには、通常、偏平状に折り畳まれた熱収縮性ラベルの長尺筒状体をマンドレルにより開口させた後、所定の長さにカットし、カットした熱収縮性ラベルを容器に被せ、次いでスチームトンネルや熱風トンネルを通過させてスチームや加熱エアを吹き付けることにより、熱収縮性ラベルを熱収縮させて容器に密着させる(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−48424号公報
【特許文献2】特開2003−261171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の熱収縮性ラベル装着方法では、通常、スチームトンネルや熱風トンネル内で容器の搬送方向の両側部から吹き出される加熱媒体によって、熱収縮性ラベルが全体的に熱収縮するようになっている。
【0004】
しかしながら、熱収縮性フィルムの下側に存在する図柄等が表示され、当該図柄等との関係で高い仕上がり精度が要求されるような窓部の印刷を、筒状の熱収縮性ラベルの周方向の一部に施した場合、上記のように熱収縮性ラベルが全体的に熱収縮することによって、窓部の印刷に収縮むらが生じ、その窓部の仕上がり精度が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、筒状の熱収縮性フィルムの窓部を実質的に収縮させることなく、熱収縮性フィルムを容器に装着する方法、および熱収縮性フィルムの窓部の収縮むらを防止したフィルム装着容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、窓部を有する筒状の熱収縮性フィルムを容器に装着したフィルム装着容器の製造方法において、前記容器に被せた前記熱収縮性フィルムの一部であって前記窓部を除く部分のみに加熱媒体を吹き付けることにより、前記熱収縮性フィルムを装着することを特徴とするフィルム装着容器の製造方法を提供する(請求項1)。ここで、「窓部」とは、熱収縮性フィルムの下側に存在する図柄等が表示され得る部分であり、熱収縮による収縮むらがないことが望ましい部分である。
【0007】
上記発明(請求項1)によれば、熱収縮性フィルムの窓部には加熱媒体が吹き付けられないため、その窓部は収縮しないか、または非常に小さい収縮率で収縮し得る。これにより、窓部の収縮むらを防止することが可能となる。
【0008】
上記発明(請求項1)においては、前記熱収縮性フィルムを被せた容器を回転させずに搬送しながら、前記容器の搬送方向の一側部のみから前記容器に加熱媒体を吹き付けることが好ましい(請求項2)。
【0009】
上記発明(請求項2)によれば、既存の装置、例えば、加熱媒体の吹き出し位置を制御することのできるスチームトンネルや熱風トンネル等を利用することができる。
【0010】
上記発明(請求項1,2)において、前記容器の外周面には、所定の幅を有する描画線が所定の間隔をもって複数平行に形成されてなる図柄が、前記描画線の幅に対応する間隔で相互に位置をずらして複数設けられており、前記熱収縮性フィルムの前記窓部は、所定の幅を有する線状の不透明部と所定の幅を有する線状の透明部とが交互に平行にそれぞれ複数設けられてなるものであってもよい(請求項3)。
【0011】
また、上記発明(請求項1,2)において、前記容器の外周面には、所定の幅を有する描画線が所定の間隔をもって複数平行に、かつ前記容器の軸方向に対して傾斜するように形成されてなる図柄が、前記描画線の幅に対応する間隔で相互に位置をずらして複数設けられており、前記熱収縮性フィルムの前記窓部は、所定の幅を有する線状の不透明部と所定の幅を有する線状の透明部とが交互に平行に、かつ前記容器における描画線の傾斜に対応して傾斜するようにそれぞれ複数設けられてなるものであってもよい(請求項4)。
【0012】
上記発明(請求項3,4)によれば、容器の外周面に装着した熱収縮性フィルムを周方向または軸方向に移動させると、熱収縮性フィルムの窓部の透明部から複数の図柄が順次表示される。ここで、熱収縮性フィルムの窓部は、熱収縮によるむらが生じておらず、非常に高い仕上がり精度を有するため、図柄は熱収縮性フィルムの窓部から正確に表示される。このようなフィルム装着容器は、容器自体に付加価値を与え、需要者の容器内容物に対する購買意欲を向上させることができる。
【0013】
上記発明(請求項1〜4)において、前記容器に被せる前の前記熱収縮性フィルムは折目を有しており、前記熱収縮性フィルムを前記容器に被せるときに、前記熱収縮性フィルムの折目の位置を利用して、前記熱収縮性フィルムと前記容器との周方向の位置合わせを行うことが好ましい(請求項5)。
【0014】
第2に本発明は、窓部を有する筒状の熱収縮性フィルムが装着されてなる容器であって、前記熱収縮性フィルムの窓部は、収縮していないかまたは収縮率1%以下で収縮していることを特徴とするフィルム装着容器を提供する(請求項6)。
【0015】
上記発明(請求項6)によれば、熱収縮性フィルムの窓部の収縮むらが防止される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフィルム装着容器の製造方法によれば、筒状の熱収縮性フィルムの窓部を実質的に収縮させることなく、熱収縮性フィルムを容器に装着することができる。また、本発明のフィルム装着容器によれば、熱収縮性フィルムの窓部の収縮むらを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔フィルム装着容器の製造方法〕
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルム装着容器の製造方法を示す図であり、図2は、同実施形態におけるスチームトンネル内の状態を示す図であり、図3(a)〜(d)は、同実施形態における熱収縮性フィルムの装着のフローを示す概念図である。
【0018】
本実施形態における熱収縮性フィルム1を長尺筒状体10としたものは、図1および図3に示すように、2箇所の折目11をもって偏平状に折り畳まれている。なお、熱収縮性フィルム1のシール部(熱収縮性フィルム1の両側端を互いに接合した部分)の位置は特に限定されるものではない。
【0019】
筒状の熱収縮性フィルム1の周方向の一部には、収縮しないことが望ましい窓部2が設けられており、本実施形態では、窓部2は熱収縮性フィルム1の一方の折目11を窓部2の略中心に含むようにして設けられている。この窓部2の詳細な構成については後述する。
【0020】
熱収縮性フィルム1の材料としては、加熱媒体の吹き付け方によって、周方向にて熱収縮する部位と熱収縮しない部位とが生じ得る材料からなれば特に限定されず、例えば、実質的に一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。なお、実質的な一軸延伸とは、一方向の延伸が2〜5倍程度、他方向の延伸が1〜1.5倍程度である延伸をいう。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリスチレン(OPS)フィルム等のポリスチレン系樹脂を使用したフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系樹脂を使用したフィルムなどを使用することができ、中でも、PETフィルムを使用することが好ましい。
【0021】
熱収縮性フィルム1の厚さは、特に限定されないが、通常は10〜100μmであり、好ましくは20〜60μmである。
【0022】
筒状の熱収縮性フィルム1の周方向の長さは、容器3の外周の1.01〜1.15倍であるのが好ましく、特に1.02〜1.10倍であるのが好ましい。この倍率が1.01倍未満では、熱収縮性フィルム1を容器3に被せることが困難となり、1.15倍を超えると、熱収縮性フィルム1の窓部2が収縮する可能性が高くなる。
【0023】
熱収縮性フィルム1の周方向の長さに対する窓部2の周方向の長さの比率は、50%以下であることが好ましく、特に45%以下であることが好ましい。この比率が50%を超えると、熱収縮性フィルム1の窓部2の側端部が収縮するおそれがある。
【0024】
図1および図3に示すように、偏平状に折り畳まれた熱収縮性フィルム1の長尺筒状体10(図3(a))は、マンドレル51により略円筒状に開口させられた後(図3(b))、所定の高さ(上下方向の長さ)となるようにサークルカッター52によってカットされる。そして、カットされた熱収縮性フィルム1は、コンベア53によって搬送されてきた容器3の外周面に被せられる(図3(c))。
【0025】
ここで、容器3の周方向の一部には、熱収縮性フィルム1の窓部2に対応する図柄部4が形成されている。この図柄部4の詳細な構成については後述する。熱収縮性フィルム1は、熱収縮性フィルム1の窓部2が容器3の図柄部4の上に位置するように容器3の外周面に被せられることが好ましいが、本実施形態では、熱収縮性フィルム1の窓部2は熱収縮性フィルム1の折目11を窓部2の略中心に含むようにして設けられているため、容器3の図柄部4の中心が熱収縮性フィルム1の折目11の位置にくるように容器3をコンベア53上に配置して搬送することにより、熱収縮性フィルム1の窓部2と容器3の図柄部4との位置合わせを行うことができる。
【0026】
図1に示すように、熱収縮性フィルム1が被せられた容器3は、コンベア53によって搬送され、加熱エリア内に導入される。このとき容器3は、熱収縮性フィルム1の窓部2を搬送方向の一側部に位置させて、回転することなく立った状態で搬送される。本実施形態では、加熱エリアとしてスチームトンネル6を使用するが、これに限定されるものではなく、例えば熱風トンネルを使用することもできる。
【0027】
スチームトンネル6は、図1および図2に示すように、容器3の搬送方向の両側部に、容器3の搬送方向に沿って延在するスチーム管61を複数本備えている。スチーム管61の側部には複数の噴出孔62が形成されており、この噴出孔62からスチームトンネル6の中心側に向かってスチームを噴出することが可能になっている。各スチーム管61は、個別にスチーム噴出のON/OFF(開閉)を制御することが可能となっている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、容器3に被せられた熱収縮性フィルム1の窓部2が存在しない側のスチーム管61であって、熱収縮性フィルム1の高さに対応する位置(図2では下から2番目、あるいは2番目および3番目)のスチーム管61のみからスチームを噴出させる。これにより、熱収縮性フィルム1は、周方向の窓部2が存在する側は収縮しないか、または非常に小さい収縮率で収縮し、周方向の窓部2が存在しない側のみが大きく熱収縮して、容器3の外周面に密着する(図3(d))。
【0029】
熱収縮性フィルム1の窓部2が存在する側が収縮する場合、その収縮率は1%以下であることが好ましく、特に0.5%以下であることが好ましい。収縮率がこのように小さければ、収縮むらは実質的に発生しない。
【0030】
スチームの圧力・温度および容器3のスチームトンネル通過時間(加熱時間)は、熱収縮性フィルム1が上記のように熱収縮し得るように、適宜調節すればよい。なお、窓部2が上記収縮率で熱収縮されるのであれば、スチームトンネル6の出口付近で熱収縮性フィルム1の全体にスチームを吹き付けて熱収縮性フィルム1全体の仕上がりを良くすることもできる。
【0031】
このようにして容器3の外周面に装着された熱収縮性フィルム1の窓部2は実質的に収縮していないため、熱収縮によるむらが生じることなく、非常に高い仕上がり精度を有する。
【0032】
〔フィルム装着容器〕
次に、上記フィルム装着容器の製造方法によって得られたフィルム装着容器について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るフィルム装着容器の側面図であり、図5は、同実施形態において容器に装着された熱収縮性フィルムの展開図であり、図6は、同実施形態における容器の外周面に設けられた図柄部を示す図であり、図7(a)〜(e)は、同実施形態のフィルム装着容器における図柄の変遷を示す図である。
【0033】
図4に示すように、本実施形態に係るフィルム装着容器は、容器3と、容器3の外周面に装着された熱収縮性フィルム1とから構成される。本実施形態における容器3は、飲料用の缶容器であるが、円筒状の部分を有する限り、容器3の種類(用途・材料)は特に限定されるものではない。
【0034】
熱収縮性フィルム1の周方向の一部に設けられた窓部2には、図5に示すように、幅W1の線状の不透明部21と幅W2の線状の透明部22とが交互に平行に、かつ筒状の熱収縮性フィルム1の軸方向(=容器3の軸方向)に対して傾斜するようにそれぞれ複数設けられている。このような窓部2は、透明な熱収縮性フィルム1に対して不透明部21を印刷することによって設けることができる。
【0035】
一方、容器3の外周面における熱収縮性フィルム1の窓部2に対応する位置には、図6に示すように、図柄部4が形成されている。図柄部4は、複数(本実施形態では5つ)の図柄40a〜40eを備えており、各図柄40a〜40eは、幅W4のスペース42を介して複数平行に、かつ容器3の軸方向に対して傾斜するように配された幅W3の描画線41a〜41eから構成されている。そして、図柄40aと図柄40b、図柄40bと図柄40c、図柄40cと図柄40d、図柄40dと図柄40eとは、それぞれ幅W3の描画線41a〜41eに対応する間隔で相互に位置をずらして設けられている。なお、幅W1、幅W2、幅W3および幅W4は、それぞれ周方向(水平方向)の幅を表すものとする。
【0036】
窓部2の不透明部21の幅W1と、図柄部4のスペース42の幅W4とは、実質的に同一であるのが好ましく、窓部2の透明部22の幅W2は、図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3と同一かそれよりわずかに小さいのが好ましく、また、窓部2の不透明部21の幅W1および図柄部4のスペース42の幅W4は、図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3と、図柄の数から1を引いた値(本実施形態では5−1=4)とを掛け合わせた値であることが好ましい。
【0037】
図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3は、具体的には、0.1〜1.0mmであることが好ましく、特に0.2〜0.5mmであることが好ましい。図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3がこの範囲にあることにより、各図柄40a〜40eを明確に、しかも躍動感をもって表示することができる。
【0038】
さらに、窓部2における不透明部21および透明部22の傾斜角度(容器3の軸に対する角度。以下同じ。)と、図柄部4における描画線41a〜41eの傾斜角度とは実質的に同一であり、その傾斜角度の大きさは、0〜80°であることが好ましく、窓部2を精度よく仕上げるためには、特に0〜30°であることが好ましい。
【0039】
窓部2および図柄部4が上記のような構成を有することにより、窓部2の透明部22は、図柄部4のいずれか一つの図柄40a〜40eの描画線41a〜41eを表示し、窓部2の不透明部21は、図柄部4の残りの4つの図柄40a〜40eの描画線41a〜41eを隠すことができる。そして、熱収縮性フィルム1を図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3に対応する間隔で容器3の周方向に摺動させると、窓部2の透明部22から、図柄部4の複数の図柄40a〜40eが順次表出する。また、窓部2の不透明部21および透明部22ならびに図柄部4の描画線41a〜41eの傾斜角度が0°より大きい場合、特に10〜80°の場合には、熱収縮性フィルム1を図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3に対応する間隔で容器3の軸方向に摺動させると、窓部2の透明部22から、図柄部4の複数の図柄40a〜40eが順次表出する。
【0040】
具体的には、容器3に対して熱収縮性フィルム1を図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3に対応する間隔で容器3の周方向、時計回りに摺動させると、または、容器3に対して熱収縮性フィルム1を図柄部4の描画線41a〜41eの幅W3に対応する間隔で容器3の軸方向、下から上に摺動させると、図7(a)〜(e)に示すように、窓部2の透明部22から5つの図柄40a〜40eが順次表出し、それによってバッターがスウィングする様子が動的に表される。
【0041】
以上のような構成を有するフィルム装着容器における熱収縮性フィルム1の窓部2は、高い精度を有する必要があり、特に窓部2の不透明部21および透明部22ならびに図柄部4の描画線41a〜41eの傾斜角度が0°より大きい場合には、縦方向および横方向のいずれにも高い精度を有する必要があるが、前述したとおり、熱収縮性フィルム1の窓部2は、熱収縮によるむらが生じておらず、非常に高い仕上がり精度を有するため、容器3の図柄部4の描画線41a〜41eが熱収縮性フィルム1の窓部2の透明部22から精度よく見え、熱収縮性フィルム1の摺動によって遷移する図柄40a〜40eも正確に表示される。
【0042】
上記のような娯楽性を有するフィルム装着容器は、需要者の内容物(本実施形態では飲料)に対する購買意欲を向上させることができる。
【0043】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0044】
例えば、上記実施形態に係る熱収縮性フィルム1における窓部2は、上記のように不透明部21と透明部22とが交互に複数設けられているものでなくてもよく、当該窓部を通して容器に設けられた図柄等が透視可能であり、かつ、当該図柄等に対応して精度良く設けられるものであればよい。例えば、容器3の外周面に形成された図柄と組み合わさって何らかの図柄が構成されるような図柄を有する窓部であってもよいし、有色透明な窓部と容器3の図柄の色とが合わさって新しい色が表現できるものであってもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
厚さ50μmの実質的に一軸延伸されたPETフィルム(東洋紡績社製,S7042)からなり、周方向の長さが217mmであり、幅50mm、高さ50mmの四角形の窓部が印刷された筒状の熱収縮性フィルムを用意し、その熱収縮性フィルムを外径66mm(外周約207mm)の飲料用缶容器に被せた。そして、熱収縮性フィルムを被せた缶容器(缶容器のN数=7)を、図1および図2に示すようにコンベアによる容器3の搬送方向の両側部に複数のスチーム管を備えたスチームトンネル(フジアステック社製,SH−3500)に導入した。
【0047】
スチームトンネルでは、熱収縮性フィルムの窓部に直接スチームが当たらないように、缶容器の搬送方向の一側部のみのスチーム管から、熱収縮性フィルムの周方向の窓部のない部分にスチームを噴出するようにした。スチームの温度は80℃とし、缶容器のスチームトンネル内の通過時間は4〜5秒とした。
【0048】
上記にようにして熱収縮性フィルムを装着した缶容器から熱収縮性フィルムを剥し取り、当該熱収縮性フィルムの窓部の幅を測定し、下記式に基づいて熱収縮率を算出した。結果を表1に示す。
熱収縮率(%)=(装着前の幅−装着後の幅)/装着前の幅×100
なお、容器装着後の熱収縮性フィルムは、フィルム全体として外周方向に約4.5%収縮した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から明らかなように、缶容器に被せた熱収縮性フィルムにおいてスチームが直接当てられなかった窓部は、実質的に熱収縮しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、収縮むらのないことが望ましい窓部を有する熱収縮性フィルムを装着する、娯楽性を備えた容器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルム装着容器の製造方法を示す図である。
【図2】同実施形態におけるスチームトンネル内の状態を示す図である。
【図3】同実施形態における熱収縮性フィルムの装着のフローを示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るフィルム装着容器の側面図である。
【図5】同実施形態において容器に装着された熱収縮性フィルムの展開図である。
【図6】同実施形態における容器の外周面に設けられた図柄部を示す図である。
【図7】同実施形態のフィルム装着容器における図柄の変遷を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1…熱収縮性フィルム
2…窓部
21…不透明部
22…透明部
3…容器
4…図柄部
40a,40b,40c,40d,40e…図柄
41a,41b,41c,41d,41e…描画線
42…スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部を有する筒状の熱収縮性フィルムを容器に装着したフィルム装着容器の製造方法において、
前記容器に被せた前記熱収縮性フィルムの一部であって前記窓部を除く部分のみに加熱媒体を吹き付けることにより、前記熱収縮性フィルムを装着することを特徴とするフィルム装着容器の製造方法。
【請求項2】
前記熱収縮性フィルムを被せた容器を回転させずに搬送しながら、前記容器の搬送方向の一側部のみから前記容器に加熱媒体を吹き付けることを特徴とする請求項1に記載のフィルム装着容器の製造方法。
【請求項3】
前記容器の外周面には、所定の幅を有する描画線が所定の間隔をもって複数平行に形成されてなる図柄が、前記描画線の幅に対応する間隔で相互に位置をずらして複数設けられており、
前記熱収縮性フィルムの前記窓部は、所定の幅を有する線状の不透明部と所定の幅を有する線状の透明部とが交互に平行にそれぞれ複数設けられてなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム装着容器の製造方法。
【請求項4】
前記容器の外周面には、所定の幅を有する描画線が所定の間隔をもって複数平行に、かつ前記容器の軸方向に対して傾斜するように形成されてなる図柄が、前記描画線の幅に対応する間隔で相互に位置をずらして複数設けられており、
前記熱収縮性フィルムの前記窓部は、所定の幅を有する線状の不透明部と所定の幅を有する線状の透明部とが交互に平行に、かつ前記容器における描画線の傾斜に対応して傾斜するようにそれぞれ複数設けられてなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム装着容器の製造方法。
【請求項5】
前記容器に被せる前の前記熱収縮性フィルムは折目を有しており、
前記熱収縮性フィルムを前記容器に被せるときに、前記熱収縮性フィルムの折目の位置を利用して、前記熱収縮性フィルムと前記容器との周方向の位置合わせを行う
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム装着容器の製造方法。
【請求項6】
窓部を有する筒状の熱収縮性フィルムが装着されてなる容器であって、
前記熱収縮性フィルムの窓部は、収縮していないかまたは収縮率1%以下で収縮していることを特徴とするフィルム装着容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−151479(P2006−151479A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347268(P2004−347268)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】