説明

フィン整列装置

【課題】フィンを高速にかつ連続的に整列保持パレットの溝内に挿入配置し整列することが可能なフィン整列装置を提供する。これにより、フィン整列の生産効率を大幅に向上させることができる。
【解決手段】熱交換器用フィン4を搬送する搬送部1と、該搬送部1から前記フィンを受け取り搬送案内する案内部2と、前記フィンを、該案内部2から受け取り、前記フィンを整列保持する整列保持パレット3と、を備える熱交換器用フィン整列装置10であって、前記案内部2が、前記搬送部1出口側の端部Eを中心に回動可能であることを特徴とする、熱交換器用フィン整列装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の波形状を持ち所定長さに切断された熱交換器用フィンを、整列保持パレットに高速に供給して整列させる熱交換器用フィン整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器用フィン整列装置は、次のようなフィンの整列方法を採用していた。すなわち、図3に示すように、整列保持パレット3のフィン入口を有する一つの整列用溝7を、搬送部1のフィン出口に対して位置決めし、工場エアー等を使用して、フィン4を搬送部1から搬送し、整列用溝7内へ挿入配置する。次のステップとして、該整列用溝の隣の溝を、搬送部1のフィン出口に対して位置決めし、別のフィン4を同様に搬送部1から搬送し、該隣の溝内へ挿入配置する。後は、最終溝内に最後のフィン4が挿入されるまで、このステップが繰り返される。図3には、整列保持パレット3の整列用溝7へのフィン4の挿入順番が示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなフィンの整列方法は、各フィンを整列する毎に整列保持パレット3が移動と停止を繰り返し、また、整列保持パレット3の移動中は、整列保持パレット3へのフィン4の挿入ができない。このため、各フィンの挿入配置ステップの時間間隔を一定時間空けざるをえず、多数のフィンの挿入配置に要する時間が多大となるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィンを高速にかつ連続的に整列保持パレットの溝内に挿入配置し整列することが可能なフィン整列装置を提供することである。これにより、フィン整列の生産効率を大幅に向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載のフィン整列装置を提供する。
請求項1に記載の発明によれば、案内部が、搬送部出口側の端部を中心に回動可能であることを特徴としている。この機構により、整列保持パレットが移動中でも、整列保持パレットへフィンを挿入配置することが可能となる。これにより、多数のフィンの挿入配置に要する時間を短縮することが可能となる。案内部は、整列保持パレットに比し小型であるので回動に要する時間も少なくて済む。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、案内部が回動しながら、かつ該回動と同期して整列保持パレットも移動しながら、案内部より整列保持パレットの整列用溝内へフィンを受け取ることを特徴としている。これにより、フィンを案内部から整列保持パレットへ、フィンを傷めずスムースに移し替えることが可能となり、また、各フィンの挿入配置作業が連続的になり、該作業に関する待ち時間がほぼゼロとなる。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、整列保持パレットが、整列用溝内へ案内部よりフィンを受け取る時、整列保持パレットは、溝配列の一列飛びにフィンを受け取り、最終溝で反転して逆方向へ、フィンが未挿入の溝にフィンを一列飛びに受け取ることを特徴としている。これにより、フィンは最初の溝から挿入配置が始まり、該最初の溝の隣の溝でフィンの挿入配置が終わる。すなわち、次に控える別の整列保持パレットの整列用溝と最も近い距離の溝において最終フィンの挿入配置が終わる。このため、引き続き、次に控える別の整列保持パレットの最初の溝へと案内部が回動する時間が最短となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るフィン整列装置の概観図である。図2は、本発明に係るフィン整列装置の上面図である。図3は、従来のフィン整列装置の上面図である。
【0009】
図1に本発明に係るフィン整列装置10の外観図を示す。1は搬送部、2はフィン案内部(以下、「案内部」と言う)、3は整列保持パレット、4はフィン、5は案内部駆動機構、6は整列保持パレット駆動機構である。フィン整列装置10は、主として1から6の要素と制御部(図示せず)から構成されている。このフィン整列装置10が配置されている場所を第2ステーションと言う。
【0010】
搬送部1は、フィン貯蔵場所である第1ステーション(図示せず)から搬送されて来たフィンを受け取り、案内部2へ搬送する役割を持つ。案内部2は、搬送部1からフィン4を受け取り、整列保持パレット3へ案内する役割を持つ。そして、案内部2は、搬送部出口側の端部E(図2参照)を中心に回動可能となっており、案内部駆動機構5により所定位置へ回動される。整列保持パレット3は、搬送部1の長手方向と略同一方向の整列用溝7が複数列、相互に平行に配列されている。そして、整列保持パレット3は、案内部2より前記整列保持パレット3の前記整列用溝7内へフィン4を受け取りフィン4を整列保持する役割を持つ。
【0011】
この受け取り時には、案内部2が回動しており、かつ該回動と同期して整列保持パレット3も移動している。各フィンの受け取りを連続的に行いフィンの搬送待ち時間を縮小するためである。なお、整列保持パレット3は、整列保持パレット駆動機構6により所定位置へ移動される。
【0012】
案内部駆動機構5、整列保持パレット駆動機構6およびフィン搬送用工場エアーは、制御部(図示せず)により周知の方法で制御される。整列保持パレット3は、本発明に係るフィン整列システムにおいて全部で2台(3A、3B)しか無いことに注意すべきである。整列保持パレット3は、案内部2より全ての整列用溝7内へ設定数のフィン4を受け取った後、第3ステーションへ移動し、全てのフィン4を移し替える。
【0013】
次に、本発明に係るフィン整列装置10の作動を図2を用いて説明する。
まず、所定長さに切断された第1のフィンが、第1ステーション(図示せず)から搬送部1を通過して案内部2へ供給される。その時、案内部2の回動外周端2aと整列保持パレット3Aの第1の溝とが一致するように、整列保持パレット3Aが位置付けられている。そして、整列保持パレット3Aが、D方向へ移動する。同時に、案内部2の回動外周端2aも、D方向と同一方向のF方向に同じ速度で移動する。その同じ速度で移動中は、案内部2の回動外周端2aと整列保持パレット3Aの第2の溝とが一致した状態が続いている。
【0014】
その同じ速度で移動中に、第1のフィンは、案内部2から整列保持パレット3Aの整列用溝7である第2の溝内に挿入される。これにより、フィンを案内部から整列保持パレットへ、フィンを傷めずスムースに移し替えることが可能となり、また、各フィンの挿入配置作業が連続的になり、該作業に関する待ち時間がほぼゼロとなる。
【0015】
第1のフィンが第2の溝に挿入されると、第2のフィンが第1ステーション(図示せず)から搬送部1を通過して案内部へ供給される。同時に、案内部2の回動外周端2aは、逆方向に移動し、整列保持パレット3Aの第4の溝位置まで来ると、再びD方向にパレット3Aと同じ速度で移動する。その同じ速度で移動中に、第2のフィンは前記第4の溝に挿入される。
【0016】
例えば、整列保持パレット3Aが10列の溝を有するなら、このようにして順に、第2、第4、第6、第8、第10、第9、第7、第5、第3、第1の溝の順に各フィン4が挿入される。これにより、整列保持パレット3Aの全ての整列用溝内へフィン4が挿入配置される。これにより、各フィンは、整列保持パレット3Aの最初の溝から挿入配置が始まり、配置順序が反転して、該最初の溝の隣の溝でフィンの挿入配置が終わる。すなわち、次に控える別の整列保持パレット3Bの整列用溝と最も近い距離の溝にて最終フィンの挿入配置が終わる。このため、引き続いて、次に控える別の整列保持パレット3Bの最初の溝へと案内部2の外周端2aが回動する時間が最短となる。
【0017】
続いて、案内部2の回動外周端2aは、次に控える別の整列保持パレット3Bの第9の溝へ移動する。
【0018】
次に、整列保持パレット3Aおよび3Bの二つのパレットは、自己の移動を瞬時停止し、反転してC方向へ移動を始める。同時に、案内部2の回動外周端2aも、二つのパレットの瞬時停止および反転移動に同期して、C方向と同一方向のG方向に同じ速度で移動する。
【0019】
整列保持パレット3AはそのままC方向へ移動を続け、第3ステーション(図示せず)に到着する。第3ステーションでは、整列保持パレット3Aは、整列されたフィンを熱交換器フレーム(図示せず)上に移し替えて、整列用溝を空にする。その後、整列用溝を空にした整列保持パレット3Aは、再びフィンを受け取るため、第2ステーションへ逆戻りをする。
【0020】
一方、二つの整列保持パレット3A、3Bが、自己の移動を瞬時停止し、反転してC方向へ移動を始める同時に、案内部2の回動外周端2aも、C方向と同一方向のG方向に同じ速度で移動する。その同じ速度で移動中に、別の第1のフィンは、整列保持パレット3Bの整列用溝7である第9の溝内に挿入される。
【0021】
後は同様に、整列保持パレット3Bの第7、第5、第3、第1、第2、第4、第6、第8、第10の溝の順にフィン4が挿入される。これにより、整列保持パレット3Bの全ての整列用溝内へフィン4が挿入配置される。
【0022】
続いて、案内部2の回動外周端2aは、第3ステーションから戻って来た整列保持パレット3Aの第2の溝へ移動する。
【0023】
続いて、整列保持パレット3Aおよび3Bの二つのパレットは、自己の移動を瞬時停止し、反転してD方向へ移動を始める。同時に、案内部2の回動外周端2aも、二つのパレットの瞬時停止および反転移動に同期して、D方向と同一方向のF方向に同じ速度で移動する。
【0024】
別の整列保持パレット3BはそのままD方向へ移動を続け、第3ステーション(図示せず)に到着する。第3ステーションでは、別の整列保持パレット3Bは、整列されたフィンを熱交換器フレーム(図示せず)上に移し替えて、整列用溝を空にする。その後、整列用溝を空にした別の整列保持パレット3Bは、再びフィンを受け取るため、第2ステーションへ逆戻りをする。
【0025】
後は、この繰り返しとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るフィン整列装置の概観図である。
【図2】本発明に係るフィン整列装置の上面図である。
【図3】従来のフィン整列装置の上面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 搬送部
2 案内部
3 整列保持パレット
3A 一の整列保持パレット
3B 別の整列保持パレット
4 フィン
5 案内部駆動機構
6 整列保持パレット駆動機構
10 本発明に係るフィン整列装置
90 従来のフィン整列装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器用フィン(4)を搬送する搬送部(1)と、
該搬送部(1)から前記フィンを受け取り搬送案内する案内部(2)と、
前記フィンを、該案内部(2)から受け取り、前記フィンを整列保持する整列保持パレット(3)と、を備える熱交換器用フィン整列装置(10)であって、
前記案内部(2)が、前記搬送部(1)出口側の端部(E)を中心に回動可能であることを特徴とする、熱交換器用フィン整列装置(10)。
【請求項2】
前記整列保持パレット(3)は、前記搬送部(1)の長手方向と略同一方向の整列用溝(7)が複数列、相互に平行に配列されており、
前記案内部(2)が回動しながら、かつ該回動と同期して前記整列保持パレット(3)も移動しながら、前記案内部(2)より前記整列保持パレット(3)の前記整列用溝内へ前記フィンを受け取り、その受け取り時には、前記案内部(2)の回動外周端速度と前記整列保持パレット移動速度が略同一であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器用フィン整列装置(10)。
【請求項3】
前記整列保持パレット(3)は、移動しながら、前記案内部(2)より、最初の前記溝(7)から一列飛びに前記フィンを受け取り、該一列飛びの最終溝に前記フィンを受け取った後、前記最終溝の隣の溝から逆方向へ一列飛びに前記フィンを受け取ることを特徴とする、請求項2に記載の熱交換器用フィン整列装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−112556(P2007−112556A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304630(P2005−304630)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】