説明

フィーダ

【課題】低コストかつ少ない組み立て労力によって製造可能であるフィーダを提供する。
【解決手段】フィーダが2枚の側方プレート(4,5)およびそれらを結合するトラバース(6,7,8)を有するケース部材(2)を備えている。前記側方プレート(4,5)上に取り付けられている少なくとも1本のシャフト(11,12,13)が印刷物を引き出しおよび搬送する。ケース部材(2)は、両方の側方プレート(4,5)とトラバース(6,7,8)からなる一部品型の基礎枠台(3)を有している。少なくとも1本のシャフト(11,12,13)を支承するために少なくとも一方の側方プレート(4,5)上に位置決め手段(19,20)が配置されている。基礎枠台(3)は、シャフト(11,12,13)を外側から挿入しまた交換することができるよう開口部(35−38)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの側方プレートおよびそれらを結合するトラバースを有するケース部材と、前記側方プレート上に取り付けられていて印刷物を引き出しおよび搬送するための少なくとも1本のシャフトを備えるフィーダに関する。この種のフィーダは印刷業界において久しい以前から知られており多様な機能のために使用されている。これは例えば、丁合機の装填に使用され、その際印刷紙葉は直立あるいは水平状態の積重ね体から取り出される。また、カードあるいは商品見本を貼り付けるために丁合機内の任意の場所で使用することができる。さらに、この種のフィーダは例えば新聞あるいは雑誌中に内包物を挿入するよう機能する。いずれの場合においてもフィーダにはその能力および動作安全性の点に関して高い性能が要求される。またこれは大量生産されることもあるため、低コストかつ簡便に製造および組み立て可能であることが必要になる。
【背景技術】
【0002】
前述した種類のフィーダの一例がスイス国特許出願公開第493337号A明細書(特許文献1)によって知られている。それによれば、把持機構によって印刷紙葉を積重ね体から取り出し、その際スプレッダ機構によって開いてフィンの上に投下しさらにその後搬送ベルト上に投下する。把持およびスプレッダ機構は、側方プレート上に支承されたシャフト上に存在している。各側方プレートはトラバースによって結合されている。
【0003】
欧州特許第1231176号明細書(特許文献2)には、印刷物を搬送路に給入するフィーダが開示されている。積重ね体から印刷物を取り出すために、枠台の2枚の側方プレート上にシャフトが取り付けられており、その上に把持盤が回転ずれしないように取り付けられている。把持盤上には積重ね体から印刷物を取り出すためのグリッパが配置されている。
【0004】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第493337号A明細書
【特許文献2】欧州特許第1231176号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、低コストかつ少ない組み立て労力によって製造可能であるフィーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、本発明に係るフィーダによって、ケース部材が一部品型の基礎枠台を有し、少なくとも1枚の側方プレート上に少なくとも1本のシャフトを取り付けるあるいはそれを交換するために位置決め手段を配置することによって解決される。
【0007】
本発明に係るフィーダによれば、従来のように各側方プレートがトラバースによって相互に結合されるのではなく、特に溶接によって、取り外し不可能に結合される。それによって基礎枠台すなわちケース部材がより少ない継ぎ目を有するものとなりネジ留めされたケース部材に比べて著しく安定したものとなる。シャフトの取り付けおよび交換が可能になるように、ケース上におけるシャフトの取り付けは少なくとも1枚の側方プレート上に固定された位置決め手段によって実施される。この基礎枠台は例えば金板、樹脂、あるいは精密鋳造によって低コストに製造することができる。特に、基礎枠台を比較的薄い金板によって自律直立保持式かつ高い剛性をもって製造可能であることが判明した。さらにこの種の基礎枠台は高い生産個数で低コストに製造可能である。1本あるいは複数のシャフトを外側から挿入可能であるため、簡便かつ迅速な組み立てが実現する。従来のようにシャフトの交換に際して側方プレートおよびトラバースを分解してその後再びネジ付けする必要がなくなる。
【0008】
本発明の一追加構成形態によれば、少なくとも1枚の側方プレートがシャフトを挿入するための開口部を有している。本発明の追加構成によればこの開口部はスロットからなる。このスロットが側方プレートの一縁部上で開放されていれば、シャフトの組み立ておよび交換が極めて容易になる。このスロットは下方の縁部で開放されていれば好適である。1本あるいは複数のシャフトは下方からケース部材あるいは基礎枠台内に挿入することができる。
【0009】
本発明の一追加構成によれば、位置決め手段として一方の側方プレート上に固定された位置決め板が設けられる。この位置決め板は同時にシャフトを支承するよう機能する。
【0010】
本発明の一追加構成によれば、一方の側方プレート上に2枚の位置決め板が固定されている。好適にはそれらの位置決め板のうちの一方がいわゆるAシャフトを位置決めするよう機能し、別の位置決め板はBおよび/またはCシャフトを位置決めするよう機能する。
【0011】
本発明の一追加構成によれば、側方プレートの一方が箱形状に形成され、制御機構を収容して操作要素ならびにコントローラを固定するよう作用する。
【0012】
その結果、大量生産においても低コストに製造ならびに組み立てることができ、高い動作安全性を達成することができる。さらに重要な利点は、使用場所において構成部品特にシャフトを比較的簡単に交換し得ることである。
【0013】
本発明のその他の好適な特徴は、従属請求項ならびに以下に記述する詳細な説明および添付図面によって明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】
フィーダ1はケース部材2を備えており、その中にAシャフト11、Bシャフト12ならびにCシャフト13が取り付けられている。図1に示されているようにそれらは駆動機構15によって駆動され、その駆動機構はギアベルトからなる駆動要素21を備えており、そのギアベルトは駆動されたギアベルトプーリ23に掛けられているとともに、ギアベルトプーリ22を介してAシャフト11と、ギアベルトプーリ25を介してBシャフト12と、さらにギアベルトプーリ26を介してCシャフト13と結合されている。駆動要素21を締め付けるためにラグ34上にギアベルトプーリ24が摺動可能に取り付けられている。ケース部材2上にはさらに引き出された紙葉を誘導するためのガイド要素14および16と、ストッパ要素17と、転轍装置18が取り付けられている。前記のシャフト11,12および13ならびに枠台2上に配置および取り付けられたその他の部材は周知のものであるためその詳細な説明は省略する。それらはフィーダの種類に応じて別の構成とするかあるいは削除することができる。例えば1本のシャフトのみを設けるか、あるいは3本より多いシャフトを設ける実施形態も考えられる。
【0016】
ケース部材2は一部品式に形成された基礎枠台3を備えている。第1の側方プレート4と第2の側方プレート5が設けられ、それらは第1のトラバース6と第2のトラバース7ならびに第3のトラバース8を介して相互に結合されている。両方の側方プレート4および5は特に、トラバース6,7および8と溶接されている。側方プレート4および5とトラバース6,7および8の間にはその他の結合方式も考えられる。例えばこれらの部材を接着によって相互に結合することができる。原則的に樹脂あるいは精密鋳造物による構成も可能である。特に、基礎枠台3は比較的薄い板材、好適には金属板から製造することができる。側方プレート4および5を強化するために、これらに折り返し部9または10が設けられる。第2の側方プレート5の折り返し部10は、図2に示されているようにアタッチメント42を収容し得るように形成されており、このアタッチメントは図示されていない側方蓋部材によって箱体31を形成している。アタッチメント42内には入力手段30ならびにその他の操作手段が取り付けられている。箱体31内にはさらに制御機構32が収容されている。この箱体31内にはさらにコントローラ等のその他の要素を収容することができる。全面側に配置され取り外し可能となっている全面板27によってトラバース7と8の間の開口部が遮蔽されている。
【0017】
図示されていない印刷物を給入するためにケース部材2は上側に積重ね体支持台28を備え、その上に摺動可能なストッパ43が配置されている。さらにケース部材2上にテーブル29が旋回可能に配置されている。
【0018】
シャフト11,12および13を取り付けおよび交換するために、第1の側方プレート4が長いスロット35と短いスロット36を備えている。長いスロット35およびにそれに対向しているスロット38ならびに円形の開口部41がAシャフトおよびBシャフトを収容するように機能する。短いスロット36およびそれに対抗しているスロット37はCシャフト13を収容するよう機能する。さらに、これらのシャフト11ないし13を取り付けるために第1の側方プレート4上に上方位置決め板19と下方位置決め板20が固定されている。これらの位置決め板19および20は例えば第1の側方プレート4上にネジ留めされ、そのための適宜な孔部39が設けられている。シャフト11ないし13のための図示されていない回転軸受けが、第2の側方プレート5上のスロット37および38ならびに開口部41の領域に設けられている。これらの部材をネジ留めするためにも適宜な孔部40が設けられている。さらに、第1の側方プレート4内に駆動機構15のための開口部33が設けられている。
【0019】
図示されていないシャフト11の端部を開口部41内に挿入しもう一方の端部を上方位置決め板19によってスロット35内に下方から挿入して上方に推進することによって、シャフト11が取り付けられる。位置決め板19は側方プレート4上の予め設定された位置に固定され、例えばネジ留めされる。位置決め板19によって第1の側方プレート4が追加的に強化される。さらに第2の側方プレート5上には図示されていないAシャフト11の支承要素が固定されている。
【0020】
このBシャフト12も下方から基礎枠台3内に挿入される。Bシャフト12の一端部はスロット38を介して、他方の端部はスロット35を介して挿入される。第1の側方プレート4上でのBシャフト12の支承は縦長の下方位置決め板20によって実施され、これは図5に示されているように下方に開口したスロット44を備えている。Cシャフト13の取り付けも同様な方式で実施される。そのためにスロット36および37、ならびに下方の位置決め板20のスロット45が設けられている。交換に際してBシャフト12およびCシャフト13は簡便な方式で取り外すことができる。Aシャフト11の交換のためにまずBシャフト12が取り外され、その後上方の位置決め板19が解除される。従ってシャフト11,12および13の組み立ておよび交換は、基礎枠台3を変更することなく実施することができる。その結果自立式基礎枠台3の安定性が常に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るフィーダを示す立体図であり、明瞭化のために側方カバーが省略されている。
【図2】本発明に係るフィーダを示す別の立体図であり、明瞭化のために側方部材が省略されている。
【図3】基礎枠台を示す立体図である。
【図4】基礎枠台を示す別の立体図である。
【図5】本発明に係るフィーダを示す立体図であり、個別の構成部品が分解されている。
【符号の説明】
【0022】
1 フィーダ
2 ケース部材
3 基礎枠台
4,5 側方プレート
6,7,8 トラバース
9,10 折り曲げ部
11 Aシャフト
12 Bシャフト
13 Cシャフト
14,16 ガイド要素
15 駆動機構
17 ストッパ要素
18 転轍装置
19,20 位置決め板
21 駆動要素
22,23,24,25,26 歯車
27 前面板
30 入力手段
31 箱体
34 ラグ
35,36,37,38,44,45 スロット
33,41 開口部
39,40 孔部
42 アタッチメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の側方プレート(4,5)およびそれらを結合するトラバース(6,7,8)を有するケース部材(2)と、前記側方プレート(4,5)上に取り付けられていて印刷物を引き出しおよび搬送するための少なくとも1本のシャフト(11,12,13)を備えるフィーダであり、ケース部材(2)が一部品型の基礎枠台(3)を有し、少なくとも1枚の側方プレート(4,5)上に少なくとも1本のシャフト(11,12,13)を支承するあるいはそれを交換するための位置決め手段(19,20)を配置することを特徴とするフィーダ。
【請求項2】
基礎枠台(2)は板材、樹脂、あるいは鋳造材によって製造することを特徴とする請求項1記載のフィーダ。
【請求項3】
両方の側方プレート(4,5)とトラバース(6,7,8)が互いに溶接されていることを特徴とする請求項1または2記載のフィーダ。
【請求項4】
少なくとも1枚の側方プレート(4,5)が少なくとも1本のシャフト(11,12,13)を挿入するための開口部(35,36,37,38)を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフィーダ。
【請求項5】
少なくとも1つの開口部(35,36,37,38)がスロットとして形成されることを特徴とする請求項4記載のフィーダ。
【請求項6】
少なくとも1つの開口部(35,36,37,38)がスロットとして形成され、それが側方プレート(4,5)の一縁部上で開口していることを特徴とする請求項5記載のフィーダ。
【請求項7】
少なくとも1枚の側方プレート(4,5)が位置決め手段(19,20)を固定する手段(39,40)を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のフィーダ。
【請求項8】
位置決め手段(19,20)は板材(19)として形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフィーダ。
【請求項9】
少なくとも一方の側方プレート(5)上に制御機構(32)および/または少なくとも1つの入力手段(30)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のフィーダ。
【請求項10】
折り畳みフィーダ、丁合機用のフィーダ、同封物フィーダ、または商品あるいはラベルを貼り付けるためのフィーダであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−33325(P2008−33325A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192708(P2007−192708)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(502254615)ミュラー マルティーニ ホールディング アクチェンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】