説明

フィールドベースのアセット管理装置及びアーキテクチャ

フィールド取り付け可能なインタフェースモジュール(120、302)が提供される。知的インタフェースモジュールは、データ通信ネットワーク(118、122、314)に結合するように構成された少なくとも1個のデータ接続ポート及びフィールド装置バス(132、134、307A、307B、307C、307D)に結合するように構成された少なくとも1個のプロセス通信接続ポート(124、126、128、130)を含む。知的インタフェースモジュール(120、302)はまた、制御装置(320)及び制御装置(320)に結合されたメモリ(324)を含む。制御装置(320)は、1個以上のフィールド装置及び/又はフィールド装置バスに対して高位機能を提供するように構成されている。高位機能は、較正サポート、複合装置サポート、診断サポート、分散制御システムサポート及び仮想フィールド装置機能を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
化学、石油又は他のタイプの工業プロセスで使用されるようなプロセスモニタリング・制御システムは通常、アナログ又はデジタル通信路を介してオペレータ又はユーザのワークステーション及び1個以上のフィールド装置に通信的に結合された集中モニタリング・制御システムを含む。フィールド装置は、プロセスパラメータ(たとえば温度、圧力、流量など)をモニタリングするように適合されたセンサ及び/又は工業プロセスに対して動作(たとえば弁の開閉など)を実行するように適合されたアクチュエータを含むことができる。
【0002】
一般に、集中モニタリング・制御システムは、フィールド装置によって実施されたプロセス計測を示す信号及び/又はフィールド装置に関する情報を、アナログ式又はデジタル式であることができる入出力(I/O)装置又はモジュールを介して受信する。モニタリングシステムは、プロセス計測を示す信号を受信し、受信した信号に基づいてプロセスの様々な局面をモニタリングする。モニタリングシステムは、計測したプロセスデータを既定の限界値に対して比較し、その限界値が超えられるならば、動作を起動する(たとえばアラーム信号を発する)ように適合されることができる。
【0003】
モニタリング・制御システムのプロセス制御装置は、計測値及び他の情報を使用してプロセスをモニタリングし、制御ルーチンを実施することができる。プロセス制御装置は制御信号を発することができ、その制御信号が、バス又は他の通信路もしくはチャネル上、アナログ又はデジタルI/O装置を介してフィールド装置に送られて、特定のプロセスの動作を制御することができる。
【0004】
工業プラントの制御は非常に複雑で重要なプロセスである。効果的な制御は、関連するすべてのプロセス変量を正確に感知することだけでなく、弁アクチュエータなどのような変換器を介してプロセスと効果的に対話することにも依存する。所与のプロセス施設は、プロセス制御を容易にするために協働する何十個又は何百個ものフィールド装置を含むこともある。時間とともに、種々のフィールド装置に対し、そのような装置がプロセス計測及び/又は制御タスクを効果的に実行することができることを保証するため、定例の保守、修繕又は較正を実施することが必要になるかもしれない。
【0005】
プロセス制御に関して、アセット管理とは、フィールド装置に関する膨大な機能を集合的に指す語である。アセット管理は、フィールド装置及び/又は他のプロセス制御アセットの診断及びモニタリング、そのような装置の構成管理、フィールド装置の較正、フィールド装置のドキュメンテーションならびに企業統合を含む。事実、数々のアセット管理関連製品が、米テキサス州AustinのFisher-Rosemount Systems社から市販されているAMS(商標)パッケージで利用可能である。AMS(商標)パッケージは、AMSポータル、AMSデバイスマネージャ、AMSマシーナリマネージャ、AMSパフォーマンスモニタ及びAMSオプチマイザのような製品を含む。これらの製品に関する詳細は、http://www.emersonprocess.com/optimize/amssinde.htmで見ることができる。
【0006】
工業プロセス制御及び管理においてフィールド装置のためのより効果的なアセット管理を提供することは、当該技術に対して有意な利益となる。
【0007】
発明の概要
フィールド取り付け可能な知的インタフェースモジュールが提供される。知的インタフェースモジュールは、データ通信ネットワークに結合するように構成された少なくとも1個のデータ接続ポート及びフィールド装置バスに結合するように構成された少なくとも1個のプロセス通信接続ポートを含む。知的インタフェースモジュールはまた、制御装置及び制御装置に結合されたメモリを含む。制御装置は、1個以上のフィールド装置及び/又はフィールド装置バスに対して高位機能を提供するように構成されている。高位機能は、較正サポート、複合装置サポート、診断サポート、分散制御システムサポート及び仮想フィールド装置機能を含む。
【0008】
詳細な説明
図1は、従来技術のプロセス制御・計測施設の略図である。システム10は、ローカルエリアネットワーク、たとえばイーサネットネットワーク18を介して結合された複数のワークステーション12、14、16を含む。また、複数のフィールド装置マルチプレクサ20、22、24がイーサネットローカルエリアネットワーク(LAN)18に結合されている。各マルチプレクサ20、22、24は、プロセス工業規格通信ネットワークとローカルエリアネットワーク18との間でインタフェースすることができる公知の装置である。たとえば、マルチプレクサ20は、HART(登録商標)通信ループ26とLAN18との間でインタフェースすることができるHART(登録商標)マルチプレクサである。したがって、HART(登録商標)通信ループ26に結合されているフィールド装置28A、28B、28C、28Dは、ある程度、インタフェース装置20を介してワークステーション12、14、16にとってアクセス可能である。同様に、マルチプレクサ装置22は、LAN18とH1 FOUNDATION(商標)フィールドバスプロセス通信セグメント30との間のインタフェースである。したがって、フィールドバス装置32A、32B、32C、32D、32E及び32Fは、何らかの形で、マルチプレクサ22を介してワークステーション12、14、16にとってアクセス可能である。
【0009】
フィールド装置34A、34B及び34Cは、プロセス通信ループ36に結合され、ASIプロセス通信プロトコルにしたがって通信する。ASIループ/セグメント36がマルチプレクサ24に結合され、このマルチプレクサはDeviceNetセグメント又はループ38に結合され、それに対してフィールド装置40A、40B及び40Cが結合されている。マルチプレクサ20、22、24を介して、ワークステーション12、14及び16のいずれか又はすべてがフィールド装置のいずれか又はすべてに関して、コアアセット管理機能を実行することができる。このような機能は、種々のフィールド装置の診断及びモニタリング、フィールド装置の構成管理、フィールド装置のいずれか又はすべてに関する較正サポート、フィールド装置のいずれか又はすべてに関する追跡記録、注記及び図面をはじめとするドキュメンテーションならびに企業統合を含む。
【0010】
本発明の実施態様にしたがって、米ミネソタ州ChanhassenのRosemount社から商品名Model 3420の下で販売されているものと同種の知的インタフェースモジュールを使用することにより、1個以上のフィールド装置とのより高レベルの対話が提供される。
【0011】
図2は、本発明の実施態様のプロセス計測・制御システム100の略図である。システム100は、それぞれイーサネットネットワーク118及びModBusネットワーク122を介して知的インタフェースモジュール120に結合されているワークステーション112及び114を含む。知的インタフェースモジュール120は、複数のセグメント接続ポート124、126、128及び130を含む。ポート124及び130は、複数のプロセス通信ループ又はセグメント132及び134にそれぞれ結合された状態で示されている。ループ132は、HART(登録商標)通信ループとして示されているが、適当なプロセス通信プロトコルを含むことができる。ループ132は、最大36個のフィールド装置136A、136B、136Cを結合することができる。同様に、ループ134はFOUNDATION(商標)フィールドバスプロセス通信セグメントである。しかし、本発明の実施態様にしたがって、部品124、126、128及び130のための適当なプロセス工業通信プロトコル。ループ134は、フィールド装置138A、138B及び138Cに結合されているが、プロセス通信プロトコルに依存して、適当な数の装置を結合することができる。
【0012】
各ポート124、126、128及び130は、特定のプロセス通信プロトコルを有する特定のプロセス通信ループ又はセグメントに結合するように設計されている。したがって、知的インタフェースモジュール120は、一つ以上の指定されたプロセス通信プロトコルとでの動作のために任意の4個のポートを有するようにオーダすることができる。さらに図2で示すように、本発明の実施態様はまた、モジュール140及び142が同じくModBus122に結合された状態で示されているため、複数の知的インタフェースモジュールを用いることを含む。知的インタフェースモジュール120は、以下さらに詳細に開示するフィールド装置機能及び/又は高位アセット管理機能及び制御・モニタリング機能へのアクセスを提供する。さらには、知的インタフェースモジュール120はまた、好ましくは、モジュール120によって提供される種々の機能との対話が、ワークステーション112又は114上で実行される市販のブラウザソフトウェアを介する対話であることができるような統合ウェブサーバを含む。
【0013】
現在、ますます多くのフィールド装置製造業者が、5〜10年間又は場合によってそれを超える期間、較正を要しないフィールド装置を提供している。このようなフィールド装置は一般に、較正のたびに自らの較正傾向を局所的に管理するだけでなく、較正データをメモリ内に数年間維持するのに十分な知能及びメモリを含む。このような知的フィールド装置が増えるにつれ、1個以上の知的インタフェースモジュールを使用する高位フィールド装置機能、たとえばアセット管理の使用がますます重要になる。
【0014】
図3は、本発明の実施態様のプロセスモニタリング・制御システム内の知的インタフェースモジュールのブロック図である。一般に、知的インタフェースモジュール302は、複数のフィールド装置バス307A〜307Dと1個以上の制御ネットワーク304及び306との間で双方向データ伝送を提供するように適合されている。知的インタフェースモジュール302は一般に、イーサネット入出力(I/O)モジュール(又はイーサネットインタフェース)316ならびに、場合によっては、制御ネットワーク304及び306と通信するように適合された1個以上のネットワークI/Oモジュール(又は他のネットワークインタフェース)318を含む。制御装置320は、プロセッサ322、メモリ324及び1個以上の電力調整器336を含むことができる。制御装置320は、複数のフィールド装置に電力を印加し、それらと通信するために、複数のI/Oモジュール、たとえばセグメントI/Oモジュール328に結合されている。たとえば、I/Oモジュール328は、フィールド装置セグメント307Aと通信するように適合されたセグメントI/Oモジュールであることができる。さらに別のモジュールは、フィールド装置バス又はネットワーク307Bと通信するためのバス又はネットワークI/Oモジュールであることができる。さらに別のモジュールは、ワイヤレスネットワーク307Cを介して、ワイヤレスに通信するように適合された1個以上のフィールド装置と通信するように適合されたワイヤレストランシーバであることができる。最後に、さらに別のモジュールは、フィールド装置が結合されているHART(登録商標)ネットワーク307Dに結合された4−20mAのHART(登録商標)I/Oモジュールであることができる。
【0015】
制御装置320は、種々のフィールド装置を介して工業プロセスに対して多様な機能を実行するように適合されている。制御装置320は、プロセッサ322を介して、1個以上のフィールド装置に関する記憶されたデータを処理したり(制御システム310による使用に備えて情報をコンディショニングするため)、メモリ324からの記憶された参照データに対して計測値を比較したりすることができる。制御装置320は、イーサネットケーブル314を介して制御システム310と通信したり、デジタル又はデジタル・アナログ複合フォーマットで他の知的インタフェースモジュールと通信したりすることができる。さらには、各フィールド装置及び/又は知的インタフェースモジュール302は、較正、識別、診断などのような二次的機能を実行するように適合されていることもできる。
【0016】
制御装置320は、知的インタフェースモジュール302のための基礎を形成する。制御装置320は、一般に、その中に記憶された命令及び/又はメモリ324の中に記憶された命令を実行して多様な適当な機能を実行することができる。高位対話を容易にする一つの機能は、制御装置320によるウェブサーバ機能性の提供である。したがって、ワークステーション112又は114のところにいるユーザが、便利でユビキタスなブラウザソフトウェアを使用して知的インタフェースモジュール302と速やかかつ容易に対話することができる。以下さらに詳細に説明する高位機能は、非限定的に、較正サポート、複合装置のためのサポート、中継装置診断及び分散制御システム又はアセット管理パッケージ内のより高レベルの機能のためのデバイスイネーブラ及び制御ループ又は特定のプロセス装備品、たとえば熱交換器に関する高レベル診断の提供を含む。
【0017】
図4は、本発明の実施態様の知的インタフェースモジュール120、302によって提供される典型的なユーザインタフェース400の略図である。好ましくは、インタフェース400は、クライアントブラウザ、たとえばワークステーション112上のクライアントブラウザからの要求に応じて制御装置320上で稼働するウェブサーバソフトウェアによって提供される。インタフェース400は、中にリストされた一連の機能が較正に関するものであることを示すタイトルバー402を含む。インタフェース400は、選択されると、遠隔地のユーザが試験スキームを決定することを可能にするユーザインタフェース要素404を含む。本明細書で定義する「試験スキーム」とは、指定のフィールド装置に対して実行される一つ以上の較正動作の事前に選択されたセットである。較正動作は一般に、既知の物理的条件、たとえば温度又は圧力をフィールド装置に適用し、それに対するフィールド装置の応答を観測することを含む。逆に、較正動作はまた、既知の信号をフィールド装置に印加し、その信号の物理的影響、たとえば弁の変位を実測することを含むこともできる。一般に、フィールド装置は複数の較正オプションを要し、知的インタフェースモジュール302中への記憶の前の時点で試験スキームを決定することは、技術者が全体的較正をより効果的に実行することを可能にする。
【0018】
ユーザインタフェース要素406は、選択されると、遠隔地のユーザがルートを決定することを可能にする。所与のプロセス施設が多数のフィールド装置を利用するかもしれない。所与の技術者の稼働において、多数のフィールド装置が保守を要するかもしれない。ルートを決定することは、特定の稼働に関して又はある特定の日において技術者が保守を要するフィールド装置に対応する順序を遠隔地のユーザが生成することを可能にする。
【0019】
ユーザインタフェース要素408は、選択されると、遠隔地のユーザがフィールド装置較正をスケジューリングすることを可能にする。知的インタフェースモジュール120、302は、それに結合されたすべてのフィールド装置の指示を外に見えるようにする。すると、知的インタフェースモジュール120、302の遠隔地のユーザは、取り付けられたフィールド装置のいずれか又はすべてに関して較正スケジュールをセットすることができる。較正スケジュールは、較正が実施されるべき特定の間隔を決定すること及び/又は較正が実施されるべき特定の期日又は日付を決定することを含むことができる。
【0020】
ユーザインタフェース要素410は、そのユーザが、ドキュメンテーション較正器との間でデータをダウンロード及び/又はアップロードすることを可能にする。ドキュメンテーション較正器は、フィールド装置保守技術者が、既知の条件をフィールド装置に適用し、その既知の条件にしたがってフィールド装置を調節し、その調節をドキュメンテーションするために使用する公知の装置である。ドキュメンテーション較正器へのデータのダウンロードは、非限定的に、ユーザによって決定された一つ以上の試験スキームをダウンロードすること及び/又は保守稼働中に技術者が使用すべきルートをダウンロードすることを含む。データのアップロードは、非限定的に、1個以上のフィールド装置に対して実施された調節を示す記録及び保守稼働中にドキュメンテーション較正器が取得したかもしれない他の適当な情報をアップロードすることを含む。ユーザがワークステーション114を介して知的インタフェースモジュール120、302と対話しているとき、このアップロード/ダウンロードプロセスは、公知の技術にしたがって単にドキュメンテーション較正器をワークステーション112に結合することを含むこともできる。しかし、先に述べたように、知的インタフェースモジュール120、302はワイヤレストランシーバを含むことができる。さらに、ドキュメンテーション較正器がワイヤレストランシーバを含み、知的インタフェースモジュール120、302の範囲内にワイヤレストランシーバを備えたドキュメンテーション較正器を有するフィールド技術者が、そのウェブサーバインタフェースを介するやり方を含む適当なやり方で、潜在的にインタフェースモジュール120、302と直接対話することができるということが考えられる。このように、アップロード/ダウンロード機能は、ドキュメンテーション較正器とインタフェースモジュール120、302との間で、ワークステーション112を使用することなく生じさせることができる。
【0021】
インタフェース400はまた、ユーザによって選択されると、較正履歴を示すデータを表示するユーザインタフェース要素412を含む。較正履歴は、特定のフィールド装置又はフィールド装置の群に固有であるように選択することもできるし、適当なやり方でグループ分け、表示又は報告することもできる。
【0022】
図5は、ユーザがインタフェース要素412を選択することに応答して提供される典型的な画面の略図である。ユーザインタフェース500は、ユーザインタフェース400と同様、好ましくは、制御装置320及びその上で実行されるウェブサーバソフトウェアによって提供される。インタフェース500は、その中に表示されているコンテンツ又は情報が「較正履歴」であることを示すタイトルバーを含む。較正履歴は、好ましくはユーザがタブ504、506、508又は510をクリックすることによって対話しながら、多数の方法で表示又は整列することができる。タブ504をクリックすると、較正履歴が利用可能であるフィールド装置の識別に関する情報が整列又は表示される。タブ506をクリックすると、1個以上の選択されたフィールド装置に関するサービス情報が提供される。タブ508をクリックすると、較正に使用された試験器具に関する情報が整列又は表示され、タブ510をクリックすると、較正中に存在する多数の試験条件又は他の要因が表示される。表示装置500は、1個以上のフィールド装置に関して、最初(as found)/最後(as left)の情報を表示することもできるし、履歴又は概要情報を表示することもできる。具体的には、図5は、誤差が日付ごとにスケーリングされ、表示された誤差タイプが「最大」である特定のフィールド装置を示す。確かに、他の形態のスケーリング及び誤差タイプが本発明の実施態様の範囲内であり、それぞれドロップダウンボックス513、514と対話することによって選択することができる。図5は、この特定のフィールド装置が3回較正されており、最初の較正は、装置が、−1.3の最大誤差率(最初(as found)の情報)を有し、約+0.3の最後(as left)の情報における最大誤差値を有することを見いだした。2回目の較正は、装置が約−0.6の最大誤差率を有し、約−0.3%の最後(as left)の情報における最大誤差を有することを見いだしている。最後の較正は、フィールド装置が約+0.6の最大誤差率を有し、約+0.3の最後(as left)の情報における誤差を有することを見いだしている。当業者は、本発明の実施態様にしたがって数々の較正履歴表示及び報告オプションを使用することができることを理解するであろう。ある特定の利点は、表示され、報告されるこの較正情報及び変量較正情報が、フィールド取り付け可能ユニットである知的インタフェースモジュール120、302によって提供されるという事実から生じる。したがって、プロセス施設及びワークステーション112、114のいずれかによって利用されるデータネットワークに対して有意な変化が起こることができる。しかし、較正情報は、任意のワークステーションのブラウザを知的インタフェースモジュール120、302のネットワークアドレスに向けるだけで容易に入手可能である。
【0023】
知的インタフェースモジュール120、302によって提供されるもう一つの重要な機能は、複合フィールド装置をサポートする機能である。複合フィールド装置の例は、非限定的に、米ミネソタ州Eden PrairieのRosemount社によって商品名Model 3095MVの下で販売されている多変量質量流速トランスミッタならびに商品名Mass ProBar(登録商標)及びMass ProPlate(商標)流量計の下で販売されているRosemount社製品を含む。さらなる複合フィールド装置としては、非限定的に、コリオリ型質量流速計及びレーダレベルトランスミッタがある。このような装置の複雑さの一つは、これらの装置が一つ以上のプロセス変量を計測することができ、計測したプロセス変量の一つ以上を使用する計算に基づくさらなるプロセス変量を提供することもできることから生じる。通常、計算の局面は、特定の用途の物性、たとえば特定の流体の密度又は化学組成に応じて異なる。これに関して、知的インタフェースモジュール302は、プロセス流体(気体及び液体)の物性データベースをメモリ324内に含む。適当な及び/又は公知の計算法を使用して、知的インタフェースモジュール120、302は、1個以上の取り付けられたフィールド装置によって計測又は受信されたプロセス変量情報をメモリ324内の物性データベース内に記憶された流体情報と組み合わせて、密度、圧縮率、粘度又は他の適当な流体関連データを動的に計算することができる。
【0024】
図6は、上記のような複合フィールド装置をサポートするために制御装置320によって提供される一つの典型的なユーザインタフェースの略図である。具体的には、インタフェース600は、そのユーザが、複合フィールド装置がさらされるプロセス流体のタイプを選択することを可能にする。ウィンドウ602は、データベースのための可能な選択肢、すなわち蒸気、データベース:気体、データベース:液体、カスタム:気体、カスタム:液体及び天然ガスを含む。図6に示すように、ある特定の流体タイプ、たとえば蒸気603を選択すると、知的インタフェースモジュール604によって計算又は他のやり方で提供されることができる種々の機能がウィンドウ604に示される。そのような機能の一例が飽和蒸気トラッキング605である。最後に、ウィンドウ606がプロセス流体の名称を示す。
【0025】
本発明の実施態様にしたがって、知的インタフェースモジュール120、302はまた、機能強化された診断サポートを提供することができる。たとえば、知的インタフェースモジュール120、302は、好ましくは、それが接続されている各フィールド装置に関する情報をモニタリングし、記憶する。一つのそのような例は、各フィールド装置がさらされる最大温度及び圧力をトラッキングすることを含む。一般に、フィールド装置は、それがさらされる最大温度及び/又は圧力に関する情報を計測し、記憶することができる。しかし、破局的事象が起こり、フィールド装置が不可逆的に損傷するならば、そのような情報が失われるかもしれない。全く対照的に、知的インタフェースモジュール120、302は、そのような情報を、好ましくは最大温度及び/又は圧力が発生した時間を含め、実際のフィールド装置から離れた場所に記憶する。したがって、破局的事象がフィールド装置に起こるとしても、データは失われない。
【0026】
知的インタフェースモジュール120はまた、大きめの装備、たとえばポンプ、熱交換器に関するより高レベルの診断及び制御ループ診断を提供する。ポンプ診断は、既知のポンプ曲線ならびにポンプの上流及び下流に配置された1個以上のフィールド装置によって観測された圧力及び圧力差計測値を使用することによって実施することができる。ポンプ曲線は、圧力及び/又は圧力差計測値との比較で所与のポンプ性能曲線に関して4点曲線当てはめを使用することにより、知的インタフェースモジュール120内で容易に再現することができる。ポンプ診断に関するさらなる詳細は、Fisher-Rosemount Systems社に発行された米国特許第6,954,713号で見ることができる。
【0027】
図7は、比較的複雑な装備品である熱交換器700に関する高レベル診断(ファウリングモニタリング)を提供する知的インタフェースモジュール120の略図である。図示するように、フィールド装置702及び704が熱交換器700の上流に配置され、フィールド装置706及び708がその下流に配置されている。フィールド装置702及び704は、たとえば上流の温度及びゲージ圧を計測することができ、下流のフィールド装置706及び708は、下流のゲージ圧及び温度を計測することができる。さらには、フィールド装置710は、熱交換器700をはさんでの圧力差を計測するように構成されている。これら種々のフィールド装置は、知的インタフェースモジュール120に結合されているプロセス通信ループ上712にプロセス変量を提供する。知的インタフェースモジュール120は、上流プロセス変量、下流プロセス変量及び熱交換器700をはさんでの圧力差をモニタリングし、熱交換器700が目詰まりした又は漏れを起こしたなどの障害を速やかに診断することができる。
【0028】
知的インタフェースモジュール120、302によって提供される診断のさらに別の重要な機能は、知的インタフェースモジュールが接続されている一つ以上のプロセス通信ループ上で入手可能な診断情報を中継及び/又は処理する機能に関する。たとえば、1個以上のフィールド装置からの診断情報を解析及び/又は要約したのち、相応に、一つ以上のデータ通信路、たとえばイーサネット通信リンクに中継することができる。あるいはまた、フィールド装置診断情報は、単に、知的インタフェースモジュール120、302によってフィールドプロセス制御ループからデータ通信ネットワークに中継することもできる。
【0029】
知的インタフェースモジュール120、302はまた、分散制御システム(DCS)又はアセット管理パッケージで支援を行うための高位機能を提供する。そのようなデバイスイネーブラの例は、プロセス変量データ又は他の適当なデータをモニタリング、記憶及び解析して公知の統計的プロセス制御機能を提供することを含む。統計的プロセス制御は、所与のプロセスを特性決定することができるように経時的なプロセス変動性を調査するための公知の技術である。さらには、統計的プロセス制御は、プロセスを制御しきれなくなった時点を速やかに識別するために使用することができ、潜在的な誤差要因を識別するのに役立つことができる。
【0030】
知的インタフェースモジュール120、302により、その精巧な制御装置及び種々のフィールド装置への結合のおかげで提供されることができるさらに別の重要な機能は、知的インタフェースモジュール120、302を、仮想フィールド装置であるように、又は仮想フィールド装置の機能を提供するように構成することができることである。仮想フィールド装置として作動するとき、構成及び/又は制御技術ならびにアルゴリズムは、使いやすいウェブサーバインタフェースを介して選択する、又はそうでなければ変更することができ、取り付けられたフィールド装置は、本質的に、仮想フィールド装置に対する入力又は出力としてマッピングされることができる。一つ以上の入力及び一つ以上の出力、たとえばプロセス変量出力及び/又はアラーム出力の間の関係を選択することもできる。
【0031】
好ましい実施態様を参照しながら本発明を説明したが、当業者は、本発明の本質及び範囲を逸することなく、その形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術のプロセス制御・計測施設の略図である。
【図2】本発明の実施態様のプロセス制御・計測施設の略図である。
【図3】本発明の実施態様の知的インタフェースモジュールのブロック図である。
【図4】本発明の実施態様の知的インタフェースモジュールによって提供されるユーザインタフェースの略図である。
【図5】本発明の実施態様の知的インタフェースモジュールによって提供されるもう一つのユーザインタフェースの略図である。
【図6】本発明の実施態様の知的インタフェースモジュールによって提供されるさらに別のユーザインタフェースの略図である。
【図7】多数のフィールド装置と対話して複合フィールド装置に関する高位診断を提供する知的インタフェースモジュールの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信ネットワークに結合するように構成された少なくとも1個のデータネットワーク接続ポートと、
フィールド装置バスに結合するように構成された少なくとも1個のプロセス通信接続ポートと、
制御装置と、
制御装置に結合されたメモリと
を含み、制御装置が、較正サポート、複合装置サポート、診断サポート、分散制御システムサポート及び仮想フィールド装置からなる群より選択される高位機能を提供するように構成されている知的インタフェースモジュール。
【請求項2】
制御装置及びメモリが、ウェブサーバ機能性を提供するように構成されている、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項3】
高位機能が較正サポートであり、較正サポートが、ウェブサーバ機能性によって提供されるユーザインタフェースを介して提供される、請求項2記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項4】
較正サポートが、ユーザが少なくとも1個のフィールド装置に関して試験スキームを決定することを可能にすることを含む、請求項3記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項5】
較正サポートが、ユーザが複数のフィールド装置に関してルートを決定することを可能にすることを含む、請求項3記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項6】
較正サポートが、ユーザがドキュメンテーション較正器から情報をダウンロードして知的インタフェースモジュールに記憶することを可能にすることを含む、請求項3記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項7】
較正サポートが、ユーザがドキュメンテーション較正器に情報をアップロードすることを可能にすることを含む、請求項3記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項8】
較正サポートが、ユーザインタフェースを介して較正履歴の表示を提供することを含む、請求項3記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項9】
高位機能が複合装置サポートを含み、複合装置サポートがユーザインタフェースを介して提供される、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項10】
メモリが物性データベースに関する情報を記憶する、請求項9記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項11】
制御装置が、物性データベースからのデータ及び少なくとも一つの計測されたプロセス変量を使用して少なくとも一つの計算を提供するように構成されている、請求項10記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項12】
高位機能が診断を含み、少なくとも一つのフィールド装置バスに存在する診断情報が少なくとも一つのデータネットワークに中継される、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項13】
高位機能が診断サポートを含み、診断サポートが、フィールド装置バス上で複数の診断データを処理することを含む、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項14】
制御装置がさらに、診断処理に基づいて診断情報の要約を少なくとも一つのデータネットワーク接続に提供するように構成されている、請求項13記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項15】
高位機能が複合装置サポートを含み、知的インタフェースモジュールが、複合装置に関して計測された変量を提供する複数のフィールド装置に動作的に結合されている、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項16】
高位機能が分散制御システムサポートである、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項17】
制御装置が、少なくとも一つのデータネットワーク接続を介して統計的プロセス制御(SPC)情報を提供するように構成されている、請求項16記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項18】
高位機能が仮想フィールド装置であり、知的インタフェースが少なくとも一つのフィールド装置バスを介して複数のフィールド装置に結合されている、請求項1記載の知的インタフェースモジュール。
【請求項19】
制御装置のウェブサーバ機能性を介して提供されるユーザインタフェースが、ユーザが、少なくとも一つのユーザ変更可能な機能を介して入力及び出力をマッピングすることを可能にする、請求項18記載の知的インタフェースモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−505232(P2009−505232A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526150(P2008−526150)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030966
【国際公開番号】WO2007/021712
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(506266023)フィッシャー−ローズマウント・システムズ・インコーポレーテッド (37)
【氏名又は名称原語表記】Fisher−Rosemount Systems, Inc.
【Fターム(参考)】