説明

フェイスマスク用木綿シートおよびその製造方法

【課題】 熱可塑性合成繊維を用いることなく、木綿繊維を構成繊維とする木綿シートにおいてフェイスマスクに適用し得る伸長性と実用強度を具備できるシートを提供する。
【解決手段】 フェイスマスクに用いる木綿シートであって、該木綿シートは木綿繊維を構成繊維とし、木綿繊維相互間が高圧水流の作用によって交絡することにより一体化しており、木綿シートの目付が60〜120g/m、木綿シートの最大伸長方向に10%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.04N以下、最大伸長方向に25%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.08N以下であり、フェイスマスクの横方向と木綿シートの最大伸長方向とが合致するように用いるフェイスマスク用木綿シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケアのために美容液や化粧水等を含浸させてパックとして使用するためのフェイスマスクの基布として使用しうるフェイスマスク用木綿シートおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フェイスマスク等の基布として、吸水性の良好なセルロース繊維を含む不織布が用いられている。具体的には、木綿繊維を構成繊維とし、この構成繊維相互間を高圧水流の作用によって交絡させた不織布が用いられている。このような不織布は、綿繊維を構成繊維としているので、吸水性が良好である。したがって、美容液や化粧水を含浸しやすく、フェイスマスクの基布として優れている。また、バインダーを使用せずに、高圧水流によって構成繊維相互間を交絡させ、不織布の強度を実現させているので、肌荒れ等を生じにくいという面でも優れている。
【0003】
しかしながら、高圧水流の作用で交絡させた不織布は、構成繊維相互間が緊密に三次元的に交絡しており、伸長性に劣るという欠点があった。したがって、フェイスマスクの基布として使用した場合、顔面に沿いにくく、扱いにくいということがあった。交絡の際に、水流の圧力を低くすることにより、三次元的な交絡の程度を低くすれば、伸長性をある程度与えることはできるが、所定の引張強度を具備することは困難となり、使用時に破断してしまうことが懸念されるものであった。
【0004】
上記した問題を解決するために、本件出願人は、特許文献1に記載する技術を提案している。この技術によれば、セルロース系短繊維と熱可塑性合成樹脂製短繊維とを構成繊維として水流交絡を施して繊維密度が粗な部分と密な部分とを形成させた不織フリースを得た後に機械方向に熱延伸した後に熱固定することによって、粗な部分を変形しやすくして伸長性を付与するものである。これは不織フリースの形態において変形しやすい粗な部分を有していることと、構成素材として熱により軟化する熱可塑性合成樹脂製短繊維を有することに起因している。なお、この特許文献1記載の方法では、熱により軟化しない木綿繊維のみからなる不織布では、このような伸長効果を発揮不能であることを、特許文献1の比較例1に例示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−314905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、熱可塑性合成繊維を用いることなく、木綿繊維を構成繊維とする木綿シートにおいてフェイスマスクに適用し得る伸長性と実用強度を具備できるシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、フェイスマスクに用いる木綿シートであって、該木綿シートは木綿繊維を構成繊維とし、木綿繊維相互間が高圧水流の作用によって交絡することにより一体化しており、木綿シートの目付が60〜120g/m、木綿シートの最大伸長方向に10%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.04N以下、最大伸長方向に25%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.08N以下であり、フェイスマスクの横方向と木綿シートの最大伸長方向とが合致するように用いることを特徴とするフェイスマスク用木綿シートを要旨とするものである。
【0008】
また、本発明は、木綿繊維を構成繊維とする不織ウェブを、開孔を有する支持体上に坦持させると共に、不織ウェブ側より高圧水流を噴射して、木綿繊維同士を交絡させた不織フリースを得た後、高圧水流による水を該不織フリースが含んだ状態で乾燥機に導入し、乾燥機内で機械方向に熱延伸することを特徴とフェイスマスク用木綿シートの製造方法を要旨とするものである。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明のフェイスマスク用木綿シートは、木綿繊維を構成繊維とする。木綿繊維は、天然繊維であるために、肌触りがよく肌への刺激が少ないため、直接肌に接し、かつ特定時間肌に接した状態で放置されるフェイスマスクの基材として好ましく用いることができる。また、木綿繊維は吸水性が良好であるため、化粧水や美容液等の化粧料を良好に保持することができる。また、木綿繊維の繊維長は、一般的に使用されている範囲で差し支えなく、具体的には10〜50mm程度である。
【0011】
本発明における木綿シートは、木綿繊維相互間が高圧水流の作用によって交絡することにより一体化している。シート表面は、平滑なものであってもよいし、高圧水流処理を施す際の支持体の模様(孔の形態)に応じて適度な凹凸が付与されたものであってもよい。シート表面が平坦であると、フェイスマスクによりパックした際、肌と密着しやすく、また肌当たり性が良好である。一方、シート表面に適度な凹凸が付与されていると、凸部においては繊維密度が高く凹部においては繊維密度が低くなる傾向となり、繊維密度が高い凸部により多くの化粧料を保持することができるため、化粧料の保持性が良好となる。本発明では、高圧水流処理の際に支持体として粗目織物を用いる場合、25〜100メッシュ程度の目開き(孔の大きさ)を持つものを好ましく用いることができる。25〜40メッシュのものを用いると、シート表面に適度な凹凸が形成される傾向にあり、40メッシュを超えるものであると、シート表面は平滑になる。
【0012】
本発明における木綿シートの目付は、60〜120g/m2である。60g/m2以上とすることにより、フェイスマスクとして十分な量の化粧料を保持することが可能となる。120g/m2を超えると、含浸させる化粧料の量もまた多量に必要とするため、フェイスマスク自体の質量が大きくなり取扱性に劣るものとなる。
【0013】
本発明における木綿シートは、最大伸長方向に10%伸長したときの荷重を目付で除した値(以下、「LC(10)」という。)が0.04N以下、最大伸長方向に25%伸長したときの荷重を目付で除した値(以下、「LC(25)」という。)が0.08N以下である。ここで、最大伸長方向とは、本発明における木綿シートを種々の方向に伸長したとき、最も伸長率の大きい方向のことを意味している。伸度の測定方法は、JIS L 1906に記載の方法に準じて測定されるものである。具体的には、試料長20cmで試料幅5cmの試料片を準備する。この試料片は、最大伸長方向が試料長方向になっている。そして、この試料片を、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM−4−100)を用いて、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で伸長し、試料片が破断した際の試料片の伸びから伸度を求めるものである。また、破断伸度測定の際、10%伸長時の応力、25%伸長時の応力を測定し、それぞれの応力の値を試料片の目付で除することによって、LC(10)の値、LC(25)の値を算出する。本発明における木綿シートは、LC(10)≦0.04N、LC(25)≦0.08Nであることにより、フェイスマスクとして使用する際に、特別に力をかけなくとも、顔全体の立体曲線に応じてシートが緩やかに伸びて肌に密着する。
【0014】
以上のような伸長性を有する木綿シートは、以下の製造方法で得ることができる。すなわち、木綿繊維を構成繊維とする不織ウェブを、開孔を有する支持体上に坦持させると共に、不織ウェブ側より高圧水流を噴射して、木綿繊維同士を交絡させた不織フリースを得た後、高圧水流による水を該不織フリースが含んだ状態で乾燥機に導入し、乾燥機内で機械方向に熱延伸するという方法で得ることができる。以下、この製造方法を詳細に説明する。
【0015】
まず、木綿繊維群を公知のカード法によって開繊及び集積し、木綿繊維からなる不織ウェブを得る。この不織ウェブを、開孔を有する支持体上に担持させる。開孔を有する支持体とは、噴射される高圧水流を排出しうる開孔を多数備えるものであり、具体的には、粗目織物が用いられ、織物の目が孔となり、経糸および緯糸の交点が凸部となるものである。粗目織物としては、経糸および緯糸として金属線または太繊度の合成樹脂製フィラメント等を用いて、平織組織または綾織組織、杉綾織組織等の任意の織組織で製織されたものが採用される。また、粗目織物の目の大きさは任意であるが、上記したように25〜100メッシュ程度の目開き(孔の大きさ)を持つものを好ましく用いる。
【0016】
開孔を有する支持体に担持された不織ウェブに向けて、高圧水流を噴射する。すなわち、支持体が位置する反対側に噴射ノズルを置いて、このノズルから高圧水流を噴射して、直接不織ウェブに当たるようにする。高圧水流は、噴射ノズルから高圧で水を噴射すれば、容易に得ることができる。噴射圧力としては、3〜10MPa程度がよい。噴射圧力が3MPa以上とすることにより、シートとして実用的な引張強度を保持でき、また良好な形態安定性を持つことができる程度に構成繊維間に十分な交絡を施すことが可能となる。また、噴射圧力を10MPa以下とすることにより、構成繊維間の交絡が緊密でかつ強固になりすぎず、後工程の熱延伸工程にて不織フリースの破断が生じることなく熱延伸が可能となる。また、高圧水流は、不織ウェブに一回または複数回施してもよいが、不織ウェブに表裏から何度も高圧水流を施したりすると、水圧にもよるが、構成繊維間の交絡が強固になり過ぎて、熱延伸工程にて破断が生じる恐れが生じるので注意する。
【0017】
高圧水流が施されて木綿繊維同士が交絡した不織フリースは、高圧水流による水を含浸した状態となっている。この水を含んだ状態の不織フリースを乾燥機に導入し、乾燥機内で機械方向に熱延伸する。乾燥機に導入する際に不織フリースが含む水は、不織フリースの質量に対して50質量%以上とすることが好ましい。50質量%以上の水を含んだ状態とすることにより、効果的に熱延伸を施すことができる。なお、より好ましい含水量は、70〜120質量%である。なお、乾燥機導入前に余剰水分をマングル等によって絞り取るとよい。
【0018】
熱延伸は機械方向に行うが、熱延伸とは加熱下で延伸することであり、乾燥機内における特定の高温雰囲気下にて延伸することをいう。乾燥機内の設定温度は、100〜130℃程度、乾燥機内での熱延伸処理時間は5〜80秒程度がよい。また、機械方向というのは、不織フリースの搬送方向のことであり、不織フリースを延伸する場合、搬送方向に延伸する方が任意の延伸比で延伸でき、生産性も低下しにくく合理的であるため、ここでは機械方向に熱延伸する。延伸は公知の方法が用いられ、例えば、供給ロールと、供給ロールよりも速い周速度で回転する延伸ロール間で行われる。
【0019】
熱延伸時における延伸倍率は任意であるが、良好な伸長性を得るためには、供給ロールの周速を1としたときに延伸ロールの周速が1.1〜1.3倍とすることが好ましい。周速が1.1倍未満であると、得られる木綿シートは良好な伸長性が付与されない傾向となり、一方、1.3倍を超えると熱延伸時に不織フリースが破断する恐れがある。
【0020】
本発明においては、周速の遅い供給ロールから不織フリースが導出される際に、周速の速い延伸ロールで引っ張られることにより、熱延伸が施される。したがって、熱延伸されるのは、供給ロールの出口の箇所である。このようにして得られた木綿シートは、延伸方向(機械方向)に直交する方向が最大伸長方向となっており、最大伸長方向において良好な伸長性を持つ。なお、供給ロールは、乾燥機内に設置されるが、延伸ロールは、乾燥機内であっても、乾燥機外であっても、いずれでもよい。
【0021】
熱延伸方法として、具体的な方法を図1および図2の概略模式図に基づいて説明する。まず、図1について説明する。乾燥機(3)内における供給ロール(5)と延伸ロール(6)間で熱延伸するものである。高圧水流処理(1)が施された不織フリース(4)は、マングル(2)にて余剰水分が除去された後に、水を含んだ状態で乾燥機(3)に導入される。水を含んだ不織フリースは、供給ロール(5)と延伸ロール(6)とをS字掛けに走行する。供給ロールの周速に対して延伸ロールの周速が1.1〜1.3倍であり、不織フリースは、供給ロールの出口の箇所(供給ロールから不織フリースが離れる箇所)で熱延伸が行われる。なお、乾燥機に導入の際に不織フリースが保持していた水は、熱延伸を行いながら乾燥されて除去される。熱延伸されて特定の伸長性を有する木綿シートは、巻き取りロール(7)にて巻かれる。
【0022】
次いで、図2について説明する。図2もまた、乾燥機(3)内における供給ロール(5)と延伸ロール(6)間で熱延伸するものであり、乾燥機内へ導入されるまでの工程は図1と同様である。乾燥機に導入された水を含んだ不織フリースは、供給ロール(5)と延伸ロール(6)とをS字掛けに走行するが、ここで供給ロールと延伸ロールとは、いわゆる一対のロールとなっている。供給ロールの周速に対して延伸ロールの周速が1.1〜1.3倍であり、供給ロールから延伸ロールへ送り出される点(ロール同士の交点)にて熱延伸が行われる。
【0023】
以上のようにして、良好な伸長性を有する木綿シートを得ることができる。木綿シートは、構成繊維が天然繊維であるので、肌に優しく、アレルギーの恐れが少ない。また、木綿シートは、良好な吸水性を有しているため、化粧料を十分に保持することができる。さらには、少ない力で適度に伸びる良好な伸長性を持つため、顔全体の立体曲線に応じてシートが緩やかに伸びて肌に密着し、リフトアップ効果が期待できる。
【0024】
本発明の木綿シートをフェイスマスクとする際には、木綿シートの最大伸長方向がフェイスマスクの横方向となるようにする。こうすることで、よりリフトアップ効果を期待することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のフェイスマスク用木綿シートは、天然繊維である木綿繊維を構成繊維とするものであり、肌触りが良好で吸水性に優れている。したがって、化粧料を十分に保持することができる。また、本発明のフェイスマスク用木綿シートは、最大伸長方向に対して、小さい力に対する伸長性を有している。したがって、顔に沿って伸びやすく、肌に密着するため、フェイスマスクとして良好に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法の一例を示す概略模式図である。
【図2】本発明の製造方法の他の一例を示す概略模式図である。
【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、木綿繊維からなる不織ウェブを高圧水流処理後に水を含んだ状態で熱延伸することによって、良好な伸長性を付与しうるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0028】
実施例1
平均繊維長25mmの木綿繊維群を準備し、カード機で開繊、集積して目付67g/mの不織ウェブを作成した。
【0029】
この不織ウェブを、100メッシュのプラスチック製粗目織物上に担持し、高圧水流を不織ウェブに施した。高圧水流は、粗目織物の位置する側と反対側に水流噴射装置を設置して行った。水流噴射装置は、不織ウェブの上方50mmの位置に設置され、孔径0.1mmの噴射ノズルを、孔間隔0.6mmで直線上に配置された列を三列備えたものである。そして、各噴射ノズルから、圧力4.5MPaで水を噴射させて高圧水流とした。不織ウェブに高圧水流を施すことにより、構成繊維同士を交絡させてなる不織フリースを得た。この不織フリースの余剰の水分をマングルロールで絞って、不織フリースの質量に対して80質量%の水を含んだ状態で、温度120℃の乾燥機に導入した。
【0030】
水を含んだ不織フリースは、乾燥機内では、図1に示すごとき一対の供給ロールにS字掛けで導入した。供給ロールにおける導入側ロールの周速1に対して、供給ロールにおける送出側ロールの周速を1.21倍、乾燥機外の延伸ロールの周速を1.21倍として、熱延伸を施し、供給ロールにおける導入側ロールの周速と、送出側ロールおよび延伸ロール間での周速差によって不織フリースは搬送方向(機械方向)に熱延伸させた。このようにして、木綿シートを得た。
【0031】
比較例1
実施例1において、熱延伸を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして木綿シートを得た。すなわち、乾燥機内の供給ロールにおける導入側ロールの周速および送出側ロールの周速、乾燥機外の延伸ロールの周速をいずれも同速度とした。
【0032】
実施例1、比較例1で得られた木綿シートの物性値は、表1のとおりであった。なお、破断伸度等の測定において、最大伸長方向は延伸方向と直交する方向とした。また、引張強度は、破断伸度を測定したときの最大荷重を示したものであり、単位は(N/5cm幅)である。また、引張強度については、延伸方向(機械方向)についても評価した。
【0033】
【表1】

【0034】
表1の結果から明らかなように、熱延伸を施していない比較例1に比べて実施例1の木綿シートは、破断伸度の値が高く、伸長性に優れていることがわかる。また、比較例1に比べて実施例1の木綿シートは、LC(10)、LC(25)の値が低くなっており、小さい力で伸長しやすいことがわかる。実施例に係る木綿シートの最大伸長方向がフェイスマスクの横方向となるようにフェイスマスクとして用いることで、顔の立体面に沿いやすく、肌を良好に密着するフェイスマスクとなる。
【0035】
実施例2
実施例1において、不織ウェブの目付を80g/mとしたこと以外は、実施例1と同様にして木綿シートを得た。
【0036】
比較例2
実施例2において、高圧水流処理の際の水圧を 3.3MPaとして水圧を弱くして処理したこと、乾燥機内の供給ロールにおける導入側ロールの周速および送出側ロールの周速、乾燥機外の延伸ロールの周速をいずれも同速度とし、熱延伸を施さなかったこと以外は、実施例2と同様にして木綿シートを得た。
【0037】
実施例2、比較例2で得られた木綿シートの物性値は、表2のとおりであった。
【0038】
【表2】

【0039】
表2の結果から明らかなように、高圧水流の圧力を弱くし熱延伸を施さなかった比較例2に比べて実施例2の木綿シートは、破断伸度の値が高く、伸長性に優れていることがわかる。また、比較例2の木綿シートのLC(10)、LC(25)の値が低くいものの、引張強度が機械方向および機械方向に直行する方向ともに小さく、実用的な強度を有するものではなかった。実施例2の木綿シートは、実用的な強度を有するとともに、LC(10)、LC(25)の値が低く小さい力で伸長しやすいものであり、木綿シートの最大伸長方向がフェイスマスクの横方向となるようにフェイスマスクとして用いることで、顔の立体面に沿いやすく、肌を良好に密着するフェイスマスクとなるものであった。
【符号の説明】
【0040】
1 高圧水流処理
2 マングル
3 乾燥機
4 不織フリース
5 供給ロール
6 延伸ロール
7 巻き取りロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスクに用いる木綿シートであって、該木綿シートは木綿繊維を構成繊維とし、木綿繊維相互間が高圧水流の作用によって交絡することにより一体化しており、木綿シートの目付が60〜120g/m、木綿シートの最大伸長方向に10%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.04N以下、最大伸長方向に25%伸長したときの荷重を目付で除した値が0.08N以下であり、フェイスマスクの横方向と木綿シートの最大伸長方向とが合致するように用いることを特徴とするフェイスマスク用木綿シート。
【請求項2】
木綿繊維を構成繊維とする不織ウェブを、開孔を有する支持体上に坦持させると共に、不織ウェブ側より高圧水流を噴射して、木綿繊維同士を交絡させた不織フリースを得た後、高圧水流による水を該不織フリースが含んだ状態で乾燥機に導入し、乾燥機内で機械方向に熱延伸することを特徴とフェイスマスク用木綿シートの製造方法。
【請求項3】
熱延伸は、供給ロールと延伸ロール間で熱延伸するものであり、不織フリースは、供給ロールの周速を1としたときに延伸ロールの周速が1.1〜1.3倍であることを特徴とする請求項2記載のフェイスマスク用木綿シートの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−275643(P2010−275643A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126861(P2009−126861)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】